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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】配索構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20240521BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20240521BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20240521BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K7/06 C
B60R16/02 623Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021213417
(22)【出願日】2021-12-27
(65)【公開番号】P2023097198
(43)【公開日】2023-07-07
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 匡宏
(72)【発明者】
【氏名】下津佐 潤
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-78255(JP,A)
【文献】特開2011-101519(JP,A)
【文献】特開2014-62754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 7/06
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のフェライトに通されて電気接続箱に接続される配索部材の配索構造であって、
前記配索部材は、電線と、少なくとも一部がケースに覆われた板状のバスバと、を備え、
前記電線及び前記バスバは、互いに隣接されて前記フェライトに通され、
前記ケースは、前記バスバの前記フェライトへの挿通箇所における表裏側に、前記フェライトの内面に接触する球状の支持突起を有する、
配索構造。
【請求項2】
前記ケースは、前記支持突起から延在するリブを有する、
請求項1に記載の配索構造。
【請求項3】
前記リブは、前記支持突起よりも低い突出高さを有している、
請求項2に記載の配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば、自動車に搭載される電気接続箱において、ケース内に収納されているバスバの一部の外周に磁性体環を嵌合させてノイズを吸収することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平5-15619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両に搭載される電気接続箱では、ノイズ対策のために、自動車等の車両のボディ側に装着される環状のフェライトに、電気接続箱に接続するバスバを通して配索する場合がある。このような場合、フェライトとバスバとが相対的に傾いていたり、フェライトとバスバとの間に組付け誤差が生じていると、バスバの配索が困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気接続箱に接続されるバスバを環状のフェライトへ容易に通して配索することが可能な配索構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0007】
環状のフェライトに通されて電気接続箱に接続される配索部材の配索構造であって、
前記配索部材は、電線と、少なくとも一部がケースに覆われた板状のバスバと、を備え、
前記電線及び前記バスバは、互いに隣接されて前記フェライトに通され、
前記ケースは、前記バスバの前記フェライトへの挿通箇所における表裏側に、前記フェライトの内面に接触する球状の支持突起を有する、配索構造。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気接続箱に接続されるバスバを環状のフェライトへ容易に通して配索することが可能な配索構造を提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る配索構造が適用された電気接続箱における配索部材の接続箇所の斜視図である。
図2図2は、配索部材の斜視図である。
図3図3は、配索部材のフェライトケースを外した状態の斜視図である。
図4図4は、フェライトを分割させた状態を示す配索部材の斜視図である。
図5図5は、フェライトケースを外した配索部材の平面図である。
図6図6は、ケースが装着されたバスバの斜視図である。
図7図7は、ケースが装着されたバスバの下面側から視た斜視図である。
図8図8は、図6におけるB部拡大図である。
図9図9は、図7におけるC部拡大図である。
図10図10は、図5におけるA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る配索構造が適用された電気接続箱における配索部材の接続箇所の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態における配索構造は、配索部材100をジャンクションブロック等の電気接続箱1に配索する構造である。電気接続箱1は、2つの端子部2,3を備えている。配索部材100は、配索材として、バスバ10と、電線60とを備えており、これらのバスバ10及び電線60の端部が電気接続箱1の端子部2,3に締結されて接続されている。これにより、電気接続箱1に配索部材100が配索されている。配索部材100のバスバ10と電線60は、電気接続箱1からバッテリ等に接続される配索材であり、一方が正極、他方が負極とされている。
【0013】
図2は、配索部材の斜視図である。図3は、配索部材のフェライトケースを外した状態の斜視図である。図4は、フェライトを分割させた状態を示す配索部材の斜視図である。図5は、フェライトケースを外した配索部材の平面図である。
【0014】
図2図5に示すように、バスバ10及び電線60を備えた配索部材100は、フェライト部70を有している。フェライト部70には、フェライト71が設けられており、このフェライト71は、絶縁樹脂製のフェライトケース72によって覆われている。フェライト71は、一対の分割フェライト71a,71bから構成されおり、これらの分割フェライト71a,71bが互いに組み合わされて楕円形の環状に形成されている。このフェライト71は、フェライトケース72に覆われた状態で自動車等のボディにブラケット等によって組付けられる。
【0015】
バスバ10及び電線60は、環状のフェライト71に通され、その外周がフェライト71によって周方向にわたって覆われている。これにより、バスバ10及び電線60に高電圧・大電流の電流が流された際にも、フェライト71によってノイズの発生が抑えられる。フェライト71において、バスバ10及び電線60は、互いに近接されて並列に配索された並列配索部10A,60Aとされている。
【0016】
バスバ10に並設される電線60は、芯線の外周を絶縁性樹脂からなる外被で覆った絶縁電線からなるもので、一方の端部に、孔部61aを有する端子金具61が接続されている。この電線60は、一方の端部に設けられた端子金具61が電気接続箱の端子部3に接続され、他方の端部が、例えば、バッテリの端子に接続される。
【0017】
図6は、ケースが装着されたバスバの斜視図である。図7は、ケースが装着されたバスバの下面側から視た斜視図である。
【0018】
図6及び図7に示すように、バスバ10は、一方の端部が、孔部21aを有する接続部21とされており、この接続部21が電気接続箱1の端子部2に接続される。また、バスバ10には、他方の端部に電線23が接続されている。この電線23は、例えば、バッテリの端子に接続される。
【0019】
バスバ10は、板状に形成されている。このバスバ10は、例えば、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の導電性金属材料からなる板材から形成されている。バスバ10は、接続部21を除く部分が、絶縁性を有する樹脂材料から成形されたケース30によって覆われている。ケース30は、第1ケース31と、第2ケース32とから構成されている。
【0020】
第1ケース31は、バスバ10の下方側に装着されており、バスバ10は、その下方側が第1ケース31によって覆われる。第2ケース32は、バスバ10の上方側に装着されており、バスバ10は、その上方側が第2ケース32によって覆われている。第2ケース32は、バスバ10に装着された第1ケース31に対して、その上方側から組付けられる。これにより、バスバ10に第1ケース31及び第2ケース32が装着され、これらの第1ケース31及び第2ケース32からなるケース30によってバスバ10が覆われる。
【0021】
第1ケース31及び第2ケース32からなるケース30は、複数のロック部37を有している。ロック部37は、第1ケース31に形成された係止爪38と、第2ケース32に形成された係止孔39とから構成されている。このロック部37は、バスバ10に装着された第1ケース31に対して第2ケース32を組付けることにより、係止爪38が係止孔39に入り込んで係止する。これにより、第1ケース31と第2ケース32とが組付けられた状態でロックされる。
【0022】
バスバ10の並列配索部10Aにおいて、バスバ10を覆うケース30は、2つの支持突起41,42を有している。これらの支持突起41,42は、ケース30の表裏側に設けられている。
【0023】
図8は、図6におけるB部拡大図である。図9は、図7におけるC部拡大図である。図10は、図5におけるA-A断面図である。
図8及び図9に示すように、ケース30に設けられた支持突起41,42は、それぞれ球状に形成されている。一方の支持突起41は、第1ケース31に一体に形成され(図9参照)、他方の支持突起42は、第2ケース32に一体に形成されている(図8参照)。
【0024】
図9に示すように、支持突起41の周囲には、複数のリブ45が一体に形成され、支持突起41から外周へ向かって延在されている。これらのリブ45は、支持突起41よりも低い突出高さを有している。本例では、支持突起41の周囲に、4つのリブ45が周方向へ等間隔に形成されている。互いに対向する一対のリブ45は、バスバ10の長手方向に沿って形成され、他の互いに対向する一対のリブ45は、バスバ10の幅方向に沿って形成されている。
【0025】
図8に示すように、支持突起42の周囲には、複数のリブ46が一体に形成され、支持突起42から外周へ向かって延在されている。これらのリブ46は、支持突起42よりも低い突出高さを有している。本例では、支持突起42の周囲に、4つのリブ46が周方向へ等間隔に形成されている。互いに対向する一対のリブ46は、バスバ10の長手方向に沿って形成され、他の互いに対向する一対のリブ46は、バスバ10の幅方向に沿って形成されている。
【0026】
図10に示すように、ケース30に支持突起41,42が設けられたバスバ10の並列配索部10Aを、分割フェライト71a,71bからなるフェライト71に挿通させるように配索すると、それぞれの支持突起41,42は、それぞれフェライト71の内面に接触する。このとき、支持突起41,42は、それぞれ球状に形成されているので、フェライト71の内面に対して点接触する。
【0027】
ところで、バスバ10及び電線60が挿通されるフェライト71は、フェライトケース72に覆われて車両のボディ側に装着される。このため、このフェライト71に対して電気接続箱1に接続されるバスバ10が相対的に傾いたり、フェライト71とバスバ10との間に組付け誤差が生じることがある。
【0028】
このような場合であっても、バスバ10のケース30の支持突起41,42は、フェライト71の内面に点接触するので、バスバ10は、フェライト71に通されて電気接続箱1へ無理なく容易に配索される。
【0029】
以上、説明したように、本実施形態に係る配索構造によれば、フェライト71に通されて電線60と隣接されるバスバ10において、バスバ10を覆うケース30に設けられた支持突起41,42がフェライト71の内面に接触する。これにより、フェライト71に通されたバスバ10が良好に支持された状態で配索される。このケース30に設けられた支持突起41,42は球状に形成されているのでフェライト71の内面と点接触することとなる。したがって、フェライト71に対して電気接続箱1に接続されるバスバ10が相対的に傾いたり、フェライト71とバスバ10との間に組付け誤差が生じていたとしても、バスバ10をフェライト71に通して電気接続箱1へ無理なく容易に配索することができる。
【0030】
また、ケース30は、フェライト71の内面に接触する支持突起41,42から延在するリブ45,46を有しているので、ケース30における支持突起41,42の形成箇所がリブ45,46によって補強される。したがって、車両が上下方向に振動した際に、支持突起41,42に力が加わったとしても、その力のケース30への影響をリブ45,46によって抑えることができる。
【0031】
しかも、リブ45,46は、支持突起41,42よりも低い突出高さを有しているので、フェライト71の内面へリブ45,46が接触することによるケース30への無理な力の作用を抑えつつ、支持突起41,42をフェライト71の内面へ接触させてバスバ10を支持させることができる。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0033】
ここで、上述した本発明に係る配索構造の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 環状のフェライト(71)に通されて電気接続箱(1)に接続される配索部材(100)の配索構造であって、
前記配索部材(100)は、電線(60)と、少なくとも一部がケース(30)に覆われた板状のバスバ(10)と、を備え、
前記電線(60)及び前記バスバ(10)は、互いに隣接されて前記フェライト(71)に通され、
前記ケース(30)は、前記バスバ(10)の前記フェライト(71)への挿通箇所における表裏側に、前記フェライト(71)の内面に接触する球状の支持突起(41,42)を有する、配索構造。
【0034】
上記[1]の構成の配索構造によれば、フェライトに通されて電線と隣接されるバスバにおいて、バスバを覆うケースに設けられた支持突起がフェライトの内面に接触する。これにより、フェライトに通されたバスバが良好に支持された状態で配索される。このケースに設けられた支持突起は球状に形成されているのでフェライトの内面と点接触することとなる。したがって、フェライトに対して電気接続箱に接続されるバスバが相対的に傾いたり、フェライトとバスバとの間に組付け誤差が生じていたとしても、バスバをフェライトに通して電気接続箱へ無理なく容易に配索することができる。
【0035】
[2] 前記ケース(30)は、前記支持突起(41,42)から延在するリブ(45,46)を有する、
上記[1]に記載の配索構造。
【0036】
上記[2]の構成の配索構造によれば、ケースは、フェライトの内面に接触する支持突起から延在するリブを有しているので、ケースにおける支持突起の形成箇所がリブによって補強される。したがって、車両が上下方向に振動した際に、支持突起に力が加わったとしても、その力のケースへの影響をリブによって抑えることができる。
【0037】
[3] 前記リブ(45,46)は、前記支持突起(41,42)よりも低い突出高さを有している、
上記[2]に記載の配索構造。
【0038】
上記[3]の構成の配索構造によれば、リブは、支持突起よりも低い突出高さを有しているので、フェライトの内面へリブが接触することによるケースへの無理な力の作用を抑えつつ、支持突起をフェライトの内面へ接触させてバスバを支持させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 電気接続箱
2、3 端子部
10 バスバ
10A 並列配索部
21 接続部
21a 孔部
23 電線
30 ケース
31 第1ケース
32 第2ケース
37 ロック部
38 係止爪
39 係止孔
41、42 支持突起
45、46 リブ
60 電線
60A 並列配索部
61 端子金具
61a 孔部
70 フェライト部
71 フェライト
71a、71b 分割フェライト
72 フェライトケース
100 配索部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10