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特許7491896PDE3/PDE4二重阻害剤としての融合三環式化合物
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  • 特許-PDE3/PDE4二重阻害剤としての融合三環式化合物 図1
  • 特許-PDE3/PDE4二重阻害剤としての融合三環式化合物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】PDE3/PDE4二重阻害剤としての融合三環式化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240521BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240521BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20240521BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C07D471/04 116
A61K31/519
A61K31/55
A61K31/553
A61P11/00
A61P11/06
A61P43/00 111
C07D471/04 CSP
C07D487/04 150
C07D498/04
C07D471/04 121
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021501020
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2019095826
(87)【国際公開番号】W WO2020011254
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】201810772374.3
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ユンフ
(72)【発明者】
【氏名】パン,ジャンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,グォリ
(72)【発明者】
【氏名】ス,シェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シューフイ
【審査官】吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-540207(JP,A)
【文献】米国特許第04482556(US,A)
【文献】Elisa BONANDI et al.,“The 1,2,3-triazole ring as a bioisostere in medicinal chemistry”,Drug Discovery Today,2017年10月,Vol. 22, No. 10,p.1572-1581,DOI: 10.1016/j.drudis.2017.05.014
【文献】Jonas BOSTROM et al.,“Oxadiazoles in Medicinal Chemistry”,Journal of Medicinal Chemistry,2012年01月13日,Vol. 55, No. 5,p.1817-1830,DOI: 10.1021/jm2013248
【文献】J.W. DUNDEE et al.,“Midazolam A Review of its Pharmacological Properties and Therapeutic Use”,Drugs,1984年12月,Vol. 28, No. 6,p.519-543,DOI: 10.2165/00003495-198428060-00002
【文献】Venkataraman SUBRAMANIAN et al.,“Design, Synthesis, and Biological Evaluation of Tetrazole Analogs of Cl-Amidine as Protein Arginine Deiminase Inhibitors”,Journal of Medicinal Chemistry,2015年01月16日,Vol. 58, No. 3,p.1337-1344,DOI: 10.1021/jm501636x
【文献】Nicholas A. MEANWELL,“Synopsis of Some Recent Tactical Application of Bioisosteres in Drug Design”,Journal of Medicinal Chemistry,2011年03月17日,Vol. 54, No. 8,p.2529-2591,DOI: 10.1021/jm1013693
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
C07D 487/04
C07D 498/04
A61P 43/00
A61P 11/00
A61P 11/06
A61K 31/519
A61K 31/55
A61K 31/553
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【化1】


(式中、環Cyは5員のヘテロシクリル基または5員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、前記5員のヘテロシクリル基又は5員のヘテロアリール基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、=O、ハロゲン、シアノ基、C1-12アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-6アルキル)、-C(O)N(C1-6アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-6アルキル)またはC1-12アルコキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、ここで、前記C1-12アルキル基又はC1-12アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換され、
前記環Cyの環原子に少なくとも1つの窒素原子が含まれ、
Lは-N(R)-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-O-、-S-、-OC(O)-、-C(O)O-、-CHN(R)C(O)-、-CHC(O)N(R)-、-S(O)NH-、-NHS(O)-、または単結合から選ばれ、
nは1、2、3又は4であり、
は-(CH-から選ばれ、ここで、mは1、2又は3であり、
は-O-、-NH-、-S-、または単結合から選ばれ、
、R、Rはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、またはC1-6アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換され、
各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換される)
【請求項2】
環Cyは5員のヘテロシクリル基または5員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、前記5員のヘテロシクリル基又は5員のヘテロアリール基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、=O、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-3アルキル)、-C(O)N(C1-3アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-3アルキル)、C1-6アルコキシ基、または1つまたは複数のハロゲンによって置換されたC1-6アルキル基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換され、
所望により、環Cyは5員のヘテロシクリル基または5員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、前記5員のヘテロアリール基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-3アルキル)、-C(O)N(C1-3アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-3アルキル)、C1-6アルコキシ基、又は1つまたは複数のハロゲンによって置換されたC1-6アルキル基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換され、ここで、前記5員のヘテロシクリル基は所望により1つまたは複数の=O基によって置換され、
所望により、環Cyはオキサゾリジン-2-オン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、又はイソキサゾリル基から選ばれ、ここで、前記イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基又はイソキサゾリル基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-3アルキル)、-C(O)N(C1-3アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-3アルキル)、C1-6アルコキシ基、または1つ又は複数のハロゲンによって置換されたC1-6アルキル基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換され、
所望により、環Cyは5員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、前記5員のヘテロアリール基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、C1-3アルキル基、-C(O)NH、-C(O)O(C1-3アルキル)、C1-3アルコキシ基、または1つ又は複数のハロゲンによって置換されたC1-3アルキル基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
所望により、環Cyはイミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、またはイソキサゾリル基から選ばれ、ここで、前記イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基又はイソキサゾリル基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、C1-3アルキル基、-C(O)NH、-C(O)O(C1-3アルキル)、C1-3アルコキシ基、または1つ又は複数のハロゲンによって置換されたC1-3アルキル基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
所望により、環Cyは5員のヘテロアリール基から選ばれ、前記5員のヘテロアリール基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素、シアノ基、メチル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、メトキシ基、またはトリフルオロメチル基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される、請求項1に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
環Cyはイミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、またはイソキサゾリル基から選ばれ、前記イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基又はイソキサゾリル基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素、シアノ基、メチル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、メトキシ基、またはトリフルオロメチル基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される、請求項2に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
環Cyは構造単位
【化2】


から選ばれ、
式中、
【化3】


は単結合又は二重結合を表し、
、T、T、およびTはそれぞれ独立してC=O、C(R)、C(R、O、N(R)、N、またはSから選ばれ、
各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-12アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-6アルキル)、-C(O)N(C1-6アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-6アルキル)、またはC1-12アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-12アルキル基又はC1-12アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
所望により、TはC(R)、C(R、またはNから選ばれ、T、T、及びTはそれぞれ独立してC=O、C(R)、C(R、O、N(R)、N、またはSから選ばれ、
所望により、TはC(R)またはNから選ばれ、T、T、及びTはそれぞれ独立してC=O、C(R)、O、N(R)、N、またはSから選ばれ、
所望により、TはC(R)またはNから選ばれ、T、T、及びTはそれぞれ独立してC(R)、O、N(R)、N、またはSから選ばれ、
所望により、構造単位
【化4】


で、TはC(R)またはNから選ばれ、T、T、及びTはそれぞれ独立してC(R)、O、N(R)、またはNから選ばれ、
所望により、構造単位
【化5】


で、TはC(Rから選ばれ、T、T、及びTはそれぞれ独立してC=O、C(R、またはOから選ばれ、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-3アルキル)、-C(O)N(C1-3アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-3アルキル)、またはC1-6アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)O(C1-3アルキル)、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル基又はC1-3アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)O(C1-3アルキル)、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-3アルキル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基又はC1-3アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-3アルキル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-3アルキル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望により1つ、2つ又は3つのハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換され、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素、シアノ基、メチル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、メトキシ基、またはトリフルオロメチル基から選ばれ、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基、またはC1-6アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、C1-3アルキル基、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望により1つ又は複数のハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換され、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望により1つ、2つ又は3つのハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換され、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素またはメチル基から選ばれる、請求項1に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、メチル基、またはメトキシ基から選ばれ、及び/又は、各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはメチル基から選ばれる、請求項4に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
構造単位
【化6】


から選ばれ、
所望により、構造単位
【化7】


から選ばれ、
所望により、構造単位
【化8】


から選ばれ、
所望により、構造単位
【化9】


から選ばれる、請求項4に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
構造単位
【化10】


から選ばれる、請求項4に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
Lは-N(R)-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-CHN(R)C(O)-、-CHC(O)N(R)-、-S(O)NH-、-NHS(O)-、または単結合から選ばれ、
所望により、Lは-N(R)-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-CHN(R)C(O)-、-S(O)NH-、または単結合から選ばれ、
所望により、Lは-N(R)-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、または-S(O)NH-から選ばれ、
所望により、Lは-N(R)-、-N(R)C(O)-、または-C(O)N(R)-から選ばれ、
所望により、Lは-NH-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、または-C(O)N(OH)-から選ばれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
Lは-NH-、-NHC(O)-、-C(O)NH-若しくは-C(O)N(OH)-、-S(O)NH-、または単結合から選ばれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
nは1、2、または3から選ばれ、
所望により、nは1または2から選ばれ、
所望により、nは2に選ばれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
、R、及びRはそれぞれ独立してハロゲンまたはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望により1つ、2つ又は3つのハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換され、
所望により、R、R、及びRはそれぞれ独立してハロゲンまたはメチル基から選ばれ、ここで、前記メチル基は所望により1つ、2つ又は3つのハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換される、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合
物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
、R、及びRはそれぞれ独立してメチル基に選ばれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはメチル基から選ばれ、ここで、前記メチル基は所望により1つ、2つ又は3つのハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換され、
所望により、各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはメチル基から選ばれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
各Rはそれぞれ独立して水素またはヒドロキシ基から選ばれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
は-(CH-または-(CH-から選ばれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
は-O-または化学結合から選ばれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
式(II)の化合物から選ばれ、
【化11】


式中、E、E及びLの定義として請求項1、8、9、15、16のいずれか1項に記載の定義が適用され、
、T、T、T及び構造単位
【化12】


の定義として請求項4~7のいずれか1項に記載の定義が適用される、請求項1に記載の式(I)の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩
【請求項18】
【化13】


【化14】


【化15】


から選ばれる、化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、又は薬学的に許容されるその塩を含み、薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤をさらに含む、医薬組成物。
【請求項20】
PDE3及び/又はPDE4関連障害の治療薬物の製造における請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、薬学的に許容されるその塩又は請求項19に記載の医薬組成物の使用であって、所望により、前記PDE3及び/又はPDE4関連障害は慢性閉塞性肺疾患または喘息から選ばれる前記使用。
【請求項21】
哺乳動物のPDE3及び/又はPDE4関連障害の治療用薬物であって、治療有効量の請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体若しくは互変異性体、薬学的に許容されるその塩又は請求項19に記載の医薬組成物を含み、所望により、前記PDE3及び/又はPDE4関連障害は慢性閉塞性肺疾患または喘息から選ばれる前記薬物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はPDE3/PDE4二重阻害剤としての融合三環式化合物、その合成方法、当該化合物を含む医薬組成物、及びPDE3/PDE4関連疾患、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は11のファミリーを含むスーパーファミリー酵素群であり、ファミリーのそれぞれが異なるシグナル伝達に関与し、異なる生理学的プロセスを調節する。PDE3はヒト気道平滑筋(ASM)中の主なホスホジエステラーゼであり、PDE3を阻害すると細胞内のcAMP濃度が上昇し、気管支平滑筋が弛緩する。PDE4は炎症誘発性メディエーター及び抗炎症性メディエーターの発現で主な調節作用を果たし、PDE4阻害剤は炎症性細胞の有害なメディエーターの放出を阻害することができる。したがって、PDE3及びPDE4の両方に阻害効果がある阻害剤はβ-アドレナリン作動性受容体アゴニストの気管支拡張効果(bronchodilation)及びグルココルチコイドの吸入による抗炎症効果(anti-inflammatory action)を有する。機能的に互いに補完する二重標的は理論的に単一標的よりも大きな効果を有し、従来薬物の組み合わせでしか得られない治療効果を単一の薬剤で実現し、薬物の組み合わせで成分薬物の物理的及び化学的特性が完全には適合できないという欠点を解消することができれば、投与が容易になり、一定用量での投与に役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】PCT国際出願第WO200005830号
【非特許文献】
【0004】
【文献】Victoria Boswell et al.,J.Pharmaco.Experi.Therap.,318,840-848(2006)
【文献】Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis(4th Ed).Hoboken,New Jersey:John Wiley&Sons,Inc,(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1、特許文献1には化合物RPL554、化合物RPL565が報告され、長時間作用型の気管支拡張効果及び抗炎症効果を有し、溶解度が低く、クリアランスが高い等の物理的及び化学的特性を備えるため、吸入投与に適する一方、PDE4に対するその阻害活性が満足できず、抗炎症効果は芳しくないことが試験データから判明したため、PDE3/PDE4阻害活性を兼ね備える化合物の開発が必要になる。
【化1】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の一態様では、式(I)の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるその塩を提供し、
【化2】


式中、環Cyは5員のヘテロシクリル基または5員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、前記5員のヘテロシクリル基又は5員のヘテロアリール基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、=O、ハロゲン、シアノ基、C1-12アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-6アルキル)、-C(O)N(C1-6アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-6アルキル)またはC1-12アルコキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、ここで、前記C1-12アルキル基又はC1-12アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換され、
前記環Cyの環原子に少なくとも1つの窒素原子が含まれ、
Lは-N(R)-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-O-、-S-、-OC(O)-、-C(O)O-、-CHN(R)C(O)-、-CHC(O)N(R)-、-S(O)NH-、-NHS(O)-、または単結合から選ばれ、
nは1、2、3又は4であり、
は-(CH-から選ばれ、ここで、mは1、2又は3であり、
は-O-、-NH-、-S-、または単結合から選ばれ、
、R、Rはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、またはC1-6アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換され、
各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換される。
【発明の効果】
【0007】
本願の化合物はPDE3及びPDE4に明らかな二重阻害効果が認められ、ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)中のTNF-αに明らかな阻害効果が認められる。リポ多糖(lipopolysaccharide、略称LPS)誘発ラット急性肺損傷モデルで優れた抗炎症効果を示す。インビボクリアランスが高く、経口投与の場合に血漿中曝露量が低く生物学的利用能が低く、局所投与経路では安全性が高い。ヒト肝ミクロソーム由来シトクロムP450の5種のアイソエンザイム(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4)に対する阻害効果が低く、薬物相互作用のリスクはない。BALF中の白血球総数を減らすなど、明らかな抗炎症効果が認められ、最小有効量が低い。気道抵抗の指標Penhを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1はBALF(肺胞洗浄液)中の白血球総数である。
図2図2はメタコリン(Mch)誘発モデルに対する肺機能検査(気道抵抗の指標Penh)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態では、環Cyは5員のヘテロシクリル基または5員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、前記5員のヘテロシクリル基又は5員のヘテロアリール基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、=O、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-3アルキル)、-C(O)N(C1-3アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-3アルキル)、C1-6アルコキシ基、または1つまたは複数のハロゲンによって置換されたC1-6アルキル基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、環Cyは5員のヘテロシクリル基または5員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、前記5員のヘテロアリール基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-3アルキル)、-C(O)N(C1-3アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-3アルキル)、C1-6アルコキシ基、又は1つまたは複数のハロゲンによって置換されたC1-6アルキル基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換され、ここで、前記5員のヘテロシクリル基は所望により1つまたは複数の=O基によって置換される。いくつかの実施形態では、環Cyはオキサゾリジン-2-オン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサ
ジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、又はイソキサゾリル基から選ばれ、ここで、前記イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基又はイソキサゾリル基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-3アルキル)、-C(O)N(C1-3アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-3アルキル)、C1-6アルコキシ基、または1つ又は複数のハロゲンによって置換されたC1-6アルキル基から選ばれる1つまたは複数の基によって置換される。
【0010】
いくつかの実施形態では、環Cyは5員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、前記5員のヘテロアリール基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、C1-3アルキル基、-C(O)NH、-C(O)O(C1-3アルキル)、C1-3アルコキシ基、または1つ又は複数のハロゲンによって置換されたC1-3アルキル基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、環Cyはイミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、またはイソキサゾリル基から選ばれ、ここで、前記イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基又はイソキサゾリル基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、C1-3アルキル基、-C(O)NH、-C(O)O(C1-3アルキル)、C1-3アルコキシ基、または1つ又は複数のハロゲンによって置換されたC1-3アルキル基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。
【0011】
いくつかの実施形態では、環Cyは5員のヘテロアリール基から選ばれ、ここで、前記5員のヘテロアリール基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素、シアノ基、メチル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、メトキシ基、またはトリフルオロメチル基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、環Cyはイミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、またはイソキサゾリル基から選ばれ、前記イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基又はイソキサゾリル基は所望によりアミノ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素、シアノ基、メチル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、メトキシ基、またはトリフルオロメチル基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。
【0012】
いくつかの実施形態では、環Cyは構造単位
【化3】

から選ばれ、
式中、
【化4】
は単結合又は二重結合を表し、
、T、TおよびTはそれぞれ独立してC=O、C(R)、C(R、O、N(R)、N、またはSから選ばれ、
各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-12アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-6アルキル)、-C(O)N(C1-6アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-6アルキル)、またはC1-12アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-12アルキル基又はC1-12アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。
【0013】
いくつかの実施形態では、環Cyは構造単位
【化5】

から選ばれ、
式中、
【化6】
は単結合又は二重結合を表し、
、T、TおよびTはそれぞれ独立してC(R)、C(R、O、N(R)、N、またはSから選ばれ、
各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-12アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-6アルキル)、-C(O)N(C1-6アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-6アルキル)、またはC1-12アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-12アルキル基又はC1-12アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、環Cyは構造単位
【化7】
から選ばれ、
式中、T、T、TおよびTはそれぞれ独立してC=O、C(R、O、N(R)、またはSから選ばれ、
各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-12アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-6アルキル)、-C(O)N(C1-6アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-6アルキル)、またはC1-12アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-12アルキル基又はC1-12アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、
各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、TはC(R)、C(R、またはNから選ばれ、T、T、及びTはそれぞれ独立
してC=O、C(R)、C(R、O、N(R)、N、またはSから選ばれる。
【0014】
いくつかの実施形態では、TはC(R)またはNから選ばれ、T、T、及びTはそれぞれ独立してC=O、C(R)、O、N(R)、N、またはSから選ばれる。
【0015】
いくつかの実施形態では、TはC(R)またはNから選ばれ、T、T、及びTはそれぞれ独立してC(R)、O、N(R)、N、またはSから選ばれる。
【0016】
いくつかの実施形態では、構造単位
【化8】

で、TはC(R)またはNから選ばれ、T、T、及びTはそれぞれ独立してC(R)、O、N(R)、またはNから選ばれる。
【0017】
いくつかの実施形態では、構造単位
【化9】

で、T、T、T、及びTで少なくとも1つはN(R)、Nから選ばれる。
【0018】
いくつかの実施形態では、構造単位
【化10】

で、TはC(Rから選ばれ、T、T、及びTはそれぞれ独立してC=O、C(R、またはOから選ばれる。
【0019】
いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)NH(C1-3アルキル)、-C(O)N(C1-3アルキル)、-COOH、-C(O)O(C1-3アルキル)、またはC1-6アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル
基、-C(O)NH、-C(O)O(C1-3アルキル)、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル基又はC1-3アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、-C(O)NH、-C(O)O(C1-3アルキル)、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-3アルキル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基又はC1-3アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-3アルキル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C1-3アルキル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、またはC1-3アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望により1つ、2つ又は3つのハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換される。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、フッ素、塩素、シアノ基、メチル基、-C(O)NH、-C(O)OCH、メトキシ基、またはトリフルオロメチル基から選ばれる。
【0020】
いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基、またはC1-6アルコキシ基から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基は所望によりハロゲン、アミノ基、またはヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、C1-3アルキル基、またはC1-3アルコキシ基から選ばれる。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、アミノ基、ヒドロキシ基、メチル基、またはメトキシ基から選ばれる。
【0021】
いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望により1つ又は複数のハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換される。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望により1つ、2つ又は3つのハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換される。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはメチル基から選ばれる。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素またはメチル基から選ばれる。
【0022】
いくつかの実施形態では、構造単位
【化11】

から選ばれ、さらに
【化12】

から選ばれ、一層さらに
【化13】

から選ばれ、また一層さらに
【化14】

から選ばれ、またより一層さらに
【化15】

から選ばれる。
【0023】
いくつかの実施形態では、構造単位
【化16】

から選ばれ、さらに
【化17】

から選ばれ、一層さらに
【化18】
から選ばれる。
【0024】
いくつかの実施形態では、Lは-N(R)-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-CHN(R)C(O)-、-CHC(O)N(R)-、-S(O)NH-、-NHS(O)-、または単結合から選ばれる。いくつかの実施形態では、Lは-N(R)-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-CHN(R)C(O)-、-S(O)NH-、または単結合から選ばれる。いくつかの実施形態では、Lは-N(R)-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、または-S(O)NH-から選ばれる。いくつかの実施形態では、Lは-N(R)-、-N(R)C(O)-、または-C(O)N(R)-から選ばれる。いくつかの実
施形態では、Lは-NH-、-NHC(O)-、-C(O)NH-若しくは-C(O)N(OH)-、-S(O)NH-、または単結合から選ばれる。いくつかの実施形態では、Lは-NH-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、または-C(O)N(OH)-から選ばれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、nは1、2、または3から選ばれる。いくつかの実施形態では、nは1または2から選ばれる。いくつかの実施形態では、nは2に選ばれる。
【0026】
いくつかの実施形態では、構造単位
【化19】

から選ばれ、さらに
【化20】

から選ばれ、一層さらに
【化21】

から選ばれ、また一層さらに
【化22】
から選ばれ、またより一層さらに
【化23】

から選ばれ、さらにまたより一層さらに
【化24】

から選ばれる。
【0027】
いくつかの実施形態では、構造単位
【化25】

から選ばれ、さらに
【化26】

から選ばれ、一層さらに
【化27】

から選ばれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、構造単位
【化28】

から選ばれる。
【0029】
いくつかの実施形態では、R、R、及びRはそれぞれ独立してハロゲンまたはC1-3アルキル基から選ばれ、ここで、前記C1-3アルキル基は所望により1つ、2つ又は3つのハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換される。いくつかの実施形態では、R、R、及びRはそれぞれ独立してハロゲンまたはメチル基から選ばれ、
ここで、前記メチル基は所望により1つ、2つ又は3つのハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換される。いくつかの実施形態では、R、R、及びRはそれぞれ独立してメチル基に選ばれる。
【0030】
いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはメチル基から選ばれ、ここで、前記メチル基は所望により1つ、2つ又は3つのハロゲン、アミノ基又はヒドロキシ基によって置換される。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、またはメチル基から選ばれる。いくつかの実施形態では、各Rはそれぞれ独立して水素またはヒドロキシ基から選ばれる。
【0031】
いくつかの実施形態では、Eは-(CH-または-(CH-から選ばれる。
【0032】
いくつかの実施形態では、Eは-O-または化学結合から選ばれる。
【0033】
いくつかの実施形態では、構造単位-E-E-は-(CH-、-(CH-、-(CH-O-から選ばれる。
【0034】
本願のいくつかの好ましい実施形態では、前記式(I)の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるその塩は、式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるその塩から選ばれ、
【化29】

式中、T、T、T、T、E、E及びLの定義、並びに構造単位
【化30】

の定義として上記の定義が適用される。
【0035】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物で構造単位
【化31】

の定義として上記の定義が適用される。
【0036】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物で構造単位-E-E-の定義として上記の定義が適用される。
【0037】
本願のいくつかの好ましい実施形態では、前記式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるその塩は、式(II-1)、式(II-2)又は式(II-3)の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるその塩から選ばれ、
【化32】

式中、Rは水素、ヒドロキシ基から選ばれ、
、T、T、T、E及びEの定義、並びに構造単位
【化33】

の定義として本願の式(II)の化合物での定義が適用される。
【0038】
いくつかの実施形態では、式(II-1)、式(II-2)又は式(II-3)の化合物で構造単位
【化34】

の定義として上記の定義が適用される。
【0039】
いくつかの実施形態では、式(II-1)、式(II-2)又は式(II-3)の化合物で構造単位-E-E-の定義として上記の定義が適用される。
【0040】
本願の更なる態様では、
【化35】

【化36】

【化37】

から選ばれる化合物、その異性体又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0041】
本願の更なる態様では、前記式(I)、式(II)、式(II-1)、式(II-2)
、式(II-3)の化合物もしくは前記特定の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本願の医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤をさらに含む。
【0042】
本願の更なる態様では、治療を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトに、治療有効量の式(I)、式(II)、式(II-1)、式(II-2)、式(II-3)の化合物もしくは前記特定の化合物、その異性体もしくは薬学的に許容されるその塩、又はその医薬組成物を投与することを含む哺乳動物のPDE3及び/又はPDE4関連障害の治療方法を提供する。
【0043】
本願の更なる態様では、PDE3及び/又はPDE4関連障害を予防又は治療する薬物の製造における前記式(I)、式(II)、式(II-1)、式(II-2)、式(II-3)の化合物もしくは前記特定の化合物、その異性体もしくは薬学的に許容されるその塩、又はその医薬組成物の使用を提供する。
【0044】
本願の更なる態様では、PDE3及び/又はPDE4関連障害を予防又は治療するための式(I)、式(II)、式(II-1)、式(II-2)、式(II-3)の化合物もしくは前記特定の化合物、その異性体もしくは薬学的に許容されるその塩、又はその医薬組成物の用途を提供する。
【0045】
本願の更なる態様では、PDE3及び/又はPDE4関連障害を予防又は治療するための式(I)、式(II)、式(II-1)、式(II-2)、式(II-3)の化合物もしくは前記特定の化合物、その異性体もしくは薬学的に許容されるその塩、又はその医薬組成物を提供する。
【0046】
本願のいくつかの実施形態では、前記PDE3及び/又はPDE4関連障害は喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選ばれる。
【0047】
関連の用語及び定義
特に説明がない限り、本明細書で使用される下記の用語及び表現は、以下記載の意味を有する。特定の用語又は表現は、特に定義される場合を除き、確定しない又は不明瞭なものとしてではなく、本分野通常の意味で理解されるべきである。本明細書で商品名が記載される場合、対応する製品又はその有効成分を指す。
【0048】
複数の基が互いに連結して形成された化合物では、各原子の原子価が正常であり、且つ当該化合物が安定的に存在する。
【0049】
本願で挙げられた連結基に方向が設定される。例えば、
【化38】

で連結基Lが-N(R)C(O)-である場合には、-N(R)C(O)-が左側から右側に記載されるように両端を連結して
【化39】

を構成し、Lが-C(O)N(R)-である場合には、左側から右側に記載されるように両端を連結して
【化40】

を構成する。前記連結官能基、置換基及び/又はそのバリアントの組み合わせは、当該組み合わせが安定的な化合物を生成させる場合にのみ認められる。
【0050】
用語「薬学的に許容される」とは、ヒト及び動物の組織に接触して使用されるのに適し、毒性と刺激性を持たず、アレルギー反応やその他の問題、合併症を引き起こさないと医学的に判断され、利益とリスクが釣り合う化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対して使用される。
【0051】
薬学的に許容される塩の例としては、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基と形成した塩、無機酸と形成した塩、有機酸と形成した塩、塩基性又は酸性のアミノ酸と形成した塩等が挙げられる。
【0052】
本願で薬学的に許容される塩は、酸基又は塩基を含む母体化合物から通常の化学方法で合成できる。このような塩は一般に、水、有機溶剤又は両者の混合物において、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態と化学量論的に適切な塩基又は酸を反応させて合成される。
【0053】
本願の化合物には、特定の幾何異性体又は立体異性体の形態が存在してもよい。本願に係るこの類の化合物には、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、並びにラセミ混合物及びその他の混合物、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマーを豊富に含有する混合物を含み、これらの混合物はいずれも本願の範囲に含まれる。アルキル基等の置換基には、他に不斉炭素原子が存在してもよい。前記異性体及びそれらの混合物は、全てが本願の範囲に含まれる。
【0054】
本願の化合物及び中間体は異なる互変異性形態として存在してもよく、このような形態の全てが本願の範囲に含まれる。用語「互変異性体」又は「互変異性形態」とは低エネルギー障壁によって相互変換でき、異なるエネルギーを持つ構造異性体である。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体ともいう)にはプロトンの転移による相互変換、例えば、ケトン-エノール異性化、イミン-エナミン異性化が含まれる。プロトン互変異性体の一例はイミダゾールであり、プロトンが2つの環上窒素原子間に転移できる。原子価互変異性体にはいくつかの結合電子の組み替えによる相互変換を含む。
【0055】
本願の化合物は、例えば、1つ以上の立体異性体があるように、非対称のものであってもよい。特に説明がない限り、エナンチオマー、ジアステレオマーをはじめ全ての立体異性体が含まれる。本願で非対称炭素原子を有する化合物は光学的に純粋な形態又はラセミ形として分離できる。光学的に純粋な形態はラセミ混合物から分離されてもよいし、又は不斉原料もしくは不斉試薬を使用して合成されてもよい。
【0056】
不斉合成、不斉試薬又はその他の通常技術により、光学活性を有する(R)-及び(S)-異性体、並びにD及びL異性体を合成できる。本願の特定の化合物のエナンチオマーを得るためには、不斉合成、又は不斉助剤の誘導作用によりそれを合成できる。ただし、生成物として得たジアステレオマー混合物を分離し、補助的な官能基を脱去させることにより、所望のエナンチオマーの純粋な形態を得る。あるいは、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシル基)が含まれる場合には、光学活性を備える適切な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成し、その後、当分野周知の通常方法でジアステレオマーを分離し回収することで、純粋なエナンチオマーを得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は一般にクロマトグラフィーで行われ、クロマトグラフィーにはキラルな固定相を使用し、所望により化学誘導法と組み合わせる(例えば、アミンからのカルバメート生成)。
【0057】
本願には、本明細書に記載の化合物と同じ形であり、なおかつ1つ以上の原子は原子量又は質量数が自然的に存在する通常の原子量又は質量数とは異なる原子によって置換された、即ち同位体によって標識された前記化合物をさらに含む。本願の化合物に結合できる同位体の例としては水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素、塩素の同位体が挙げられ、例えば、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125I、36Cl等である。
【0058】
本願の化合物は、当該化合物の1つ以上の構成原子に、非天然的な割合で同原子の同位体が含まれてもよい。例えば、放射能同位体、例えば、三重水素(H)、ヨウ素-125(125I)又は炭素-14(14C)で化合物を標識する。あるいは、水素を重水素に置換して重水素化薬物を形成させてもよく、重水素と炭素からなる結合は水素と炭素からなる通常の結合よりも強固なもので、非重水素化薬物と比べて、重水素化薬物は毒性や副作用が低減され、薬物安定性及び治療効果が向上し、薬物の生物学的半減期が延長する等の利点を有する。本願の化合物の同位体を含むバリアントは、放射能の有無に関らず、どれもが本願の範囲に含まれる。
【0059】
また、原子量又は質量数が大きい同位体(例えば、重水素H)に置換することでより高い代謝安定性が得られるため、例えば、インビボ半減期の延長又は用量の低減など治療上利点があり、したがって場合によってはこれが好ましい選択になる。ただし、重水素置換は一部置換であってもよいし完全置換であってもよく、一部置換とは少なくとも1つの水素が少なくとも1つの重水素に置換されることである。
【0060】
「所望により」又はこれに類する表現は、続いて記載される事項又は状況は生じる可能性があるが、必ずしも生じるとは限らないことであり、当該記載には前記事象又は状況が生じる場合及び前記事項又は状況が生じない場合が含まれる。
【0061】
用語「置換された」とは、特定の原子の原子価が正常であり、且つ置換後に得た化合物が安定的なものであれば、当該原子上の任意の1つ以上の水素原子(重水素及び水素のバリアントを含む)が置換基によって置換されることである。置換基が酸素(=O)である場合には、2つの水素原子が置換されることである。酸素置換はアリール基に起きない。
【0062】
用語「所望により置換された」とは、置換されてもよいし置換されなくてもよいことである。特に規定がある場合を除き、置換基の種類と数量は化学的に実現可能な範囲であれば、特に限定されない。
【0063】
化合物の組成又は構造で特定の変数(例えばR)が1回以上出現した場合には、出現の都度、独立して定義される。したがって、例えば、1つの官能基が0~2個のRによって置換される場合には、当該官能基は所望により最大2つのRによって置換されてもよく、なおかつRはそれぞれ独立して選択される。置換基及び/又はそのバリアントの組み合わせは、当該組み合わせが安定的な化合物を生成させる場合にのみ認められる。
【0064】
変数が単結合に指定された場合には、それによって連結された2つの官能基が直接的に連結されるものを表す。例えば、A-L-ZでLが単結合である場合には、当該構造はA-Zになる。
【0065】
1つの置換基が結合を介して環の2つの原子に架橋された場合には、前記置換基が当該環の任意の原子に結合されてもよい。例えば、構造単位
【化41】

では、置換がシクロヘキシル基又はシクロヘキサジエンの任意の位置に起きてもよい。
【0066】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」とはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。
【0067】
用語「ヒドロキシ基」とは-OH基である。
【0068】
用語「シアノ基」とは-CN基である。
【0069】
用語「アミノ基」とは-NH基である。
【0070】
置換基が空である場合、当該置換基が存在しない。例えば、A-XでXが空であれば当該構造はAになる。置換基で置換先の基に連結される原子が指定されない場合には、置換基は任意の原子によって結合できる。例えば、ピリジル基が置換基になる場合、ピリジン環の任意の炭素原子によって置換先の基に連結されてもよい。
【0071】
用語「アルキル基」とは一般式がC2n+1の炭化水素基である。当該アルキル基は直鎖でもよいし分岐鎖でもよい。例えば、用語「C1-6アルキル基」とは1から6個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-メチルペンチル基等)である。同様に、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルスルホニル基及びアルキルチオ基のアルキル基の部分(即ちアルキル基)には前記定義が適用される。
【0072】
用語「アルコキシ基」とは-O-アルキル基である。
【0073】
特に指定がない限り、Cn-n+m又はC-Cn+mにはnからn+m個の炭素の任
意の状況を含む。例えば、C1-12にはC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12を含み、nからn+mにおける任意の範囲をも含む。例えば、C1-12にはC1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、C9-12等を含む。同様に、nからn+m員とは環原子数がnからn+m個のことである。例えば、3~12員環には3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、12員環を含み、nからn+mにおける任意の範囲をも含む。例えば、3~12員環には3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、6~10員環等を含む。
【0074】
用語「ヘテロシクリル基」とは、完全に飽和又は部分的に不飽和であり(ただし完全に不飽和の複素芳香族ではない)、且つ単環、架橋環又はスピロ環として存在する非芳香族環である。特に指定がない限り、当該ヘテロシクリル基は一般に硫黄、酸素、窒素から独立してから選ばれる1から3個のヘテロ原子(好ましくは1個又は2個のヘテロ原子)を有する3から7員環である。ヘテロシクリル基の非限定的な例にはオキシラニル基、テトラヒドロフリル基、ジヒドロフリル基、ピロリジニル基、N-メチルピロリジニル基、ジヒドロピロリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、4H-ピラニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、テトラヒドロチエニル基、ジヒドロピリダジン、ジヒドロピリミジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロイミダゾール、ジヒドロイソキサゾール、ジヒドロトリアゾール、ジヒドロピリダジン等を含む。5個の環原子を有する単環式ヘテロシクリル基であることが好ましい。
【0075】
用語「ヘテロアリール基」とは、少なくとも1つの環原子がN、O、Sから選ばれ、残りの環原子はCであり、且つ少なくとも1つの芳香環を有する、単環又は融合多環式環系である。ヘテロアリール基は4から8員環、特に5から8員環を1つ、6から14個、特に6から10個の環原子を含む複数の融合環を有することが好ましい。ヘテロアリール基の非限定的な例はピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、テトラゾリル基、トリアゾリル基、トリアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、イソインドリル基、イソキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基等である。
【0076】
用語「治療」とは、疾患又は前記疾患関連の1つ以上の症状を予防、改善又は解消するために、本願の化合物又は製剤を投与することであり、下記の状況を含む。
(i)哺乳動物における疾患又は病的状態の出現を予防し、特に当該哺乳動物が当該病的状態になりやすいが、当該病的状態になっているとは診断されない時である。
(ii)疾患又は病的状態を抑制すること、即ちその進行を抑制することである。
(iii)疾患又は病的状態を緩和すること、即ち当該疾患又は病的状態を軽減させることである。
【0077】
用語「治療有効量」とは、(i)特定の疾患、症状又は障害を治療又は予防し、(ii)特定の疾患、病的状態又は障害の1種以上の症状を軽減、改善又は解消し、(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病的状態又は障害の1種以上の症状の発生を予防又は遅延するための、本願の化合物の用量である。本願の化合物の「治療有効量」は当該化合物自体、適用する病的状態とその重症度、投与形態及び治療対象哺乳動物の年齢によって変わるが、当業者が本分野の常識と本開示の内容を踏まえて決定することができる。
【0078】
用語「医薬組成物」とは1種以上の本願の化合物又はその塩と薬学的に許容される賦形剤からなる混合物である。医薬組成物は本願の化合物を生体に投与しやすいために製造されたものである。
【0079】
用語「薬学的に許容される賦形剤」とは生体に明らかな刺激はなく、活性化合物の生物学的活性及び特性を損なわない賦形剤である。適切な賦形剤、例えば、炭水化物、ワックス、水溶性及び/又は水溶性ポリマー、親水性又は疎水性材料、ゼラチン、油、溶媒、水等は当業者に知られた事項である。
【0080】
用語「含む(comprise)」及び類する用語、例えば、comprises又はcomprisingは、「…を含むが、これに限定されない」というふうに、開放的で、非排他的な表現と理解される。
【0081】
本願の医薬組成物は本願の化合物と薬学的に許容される適切な賦形剤を組み合わせて製造されてもよく、例えば、固体、半固体、液体又は気体の製剤として製造されてもよく、例えば、錠剤、丸薬、カプセル、パウダー、顆粒、軟膏、エマルジョン、懸濁剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、ミクロスフェア、エアロゾル等である。
【0082】
本願の化合物、薬学的に許容されるその塩又はその医薬組成物の典型的な投与経路には、経口、直腸、局所、吸入、非経口、舌下、膣内、鼻腔内、眼内、腹腔内、筋肉内、皮下、静脈内を含むが、これに限定されない。
【0083】
本願の医薬組成物は、本技術分野で周知の手法、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠法、粉砕、乳化、凍結乾燥等の通常の方法で製造されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は経口投与用である。経口投与用の場合に、活性化合物と本技術分野で周知の薬学的に許容される賦形剤を組み合わせて、医薬組成物を製造することができる。このような賦形剤によって本願の化合物は、患者に経口投与する錠剤、丸薬、糖衣コーティング剤、カプセル、液体剤、ゲル剤、シロップ、懸濁剤等として製剤化することができる。
【0085】
経口用固体組成物は混合、充填、打錠等通常の手法で製造することができる。例えば、活性化合物と固体賦形剤を混合し、所望により混合物を粉砕するように製造することができる。必要ならば、他の適切な賦形剤を加え、前記混合物を顆粒に加工すれば、錠剤又は糖衣コーティング剤のコアを得る。適切な賦形剤は、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、甘味料、矯味剤等を含むが、これに限定されない。
【0086】
医薬組成物は非経口投与にも適し、例えば、適切な単位用量の滅菌液剤、懸濁液剤又は凍結乾燥製品である。
【0087】
本明細書に記載の式(I)の化合物の投与形態では、1日の投与量は0.01から200mg/kg体重である。
【0088】
本願の化合物は当業者に知られる様々な合成方法であって、下記の各実施形態、他の化学合成方法と組み合わせてなされた実施形態及び当業者に知られる同等な実施形態を含み、好ましい実施形態は本願の実施例を含むが、これに限定されない前記合成方法で製造することができる。
【0089】
本願に記載の各実施形態の化学反応は適切な溶媒で行われ、前記溶媒は本願に係る化学的変化及び使用する試薬と原料に適する。本願の化合物を得るために、場合によっては当業者が既存の実施形態を踏まえて合成手順又は反応プロセスを選択し又は一部変更する必要がある。
【0090】
本分野では合成経路を設定する際に考慮すべき要因の1つが反応性官能基(例えば、本
願ではアミノ基)の適切な保護基の選択である。これに関しては、例えば、非特許文献2を参照する。本願に引用される参考文献の全てが全体で本願に組み込まれる。
【0091】
いくつかの実施形態では、本願の式(I)の化合物は当業者が有機合成分野の標準的な手法を用いて下記の経路によって合成することができる。
【0092】
中間体の合成:
【化42】
【0093】
式(I)の化合物の合成:
【化43】


【化44】


【化45】


【化46】
【0094】
本願で使用される溶媒は市販品である。本願で使用する略語及びその意味は次のとおりである。HATU=O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DMSO=ジメチルスルホキシド、Boc=tert-ブトキシカルボニル基(1種のアミン保護基)、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、Me=メチル基、SEM=MeSiCHCHOCH-、LHMDS=リチウムヘキサメチルジシラジド、prep-TLC=分取薄層クロマトグラフィー、TP=プロピルホスホン酸無水物(環状トリマー)、Tris-HCl=トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、AMP=アデニル酸、GMP=グアニル酸、TNF-酸=腫瘍壊死因子α、EDTA=エチレンジアミン四酢酸、THP=テトラヒドロピラニル基、OTs=p-トルエンスルホニル基、NMP=N-メチルピロリドン、THF=テトラヒドロフラン、MeCN=アセトニトリル、PyBop=1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、Et=エチル基。
【実施例
【0095】
次に、実施例を用いて本願の詳細な説明を行う。これは本願に何らかの限定を加えるためではない。本明細書では具体的な実施形態を含め本願の詳細な説明が記載される。当業者であれば、本願の趣旨から逸脱することなく本願の特定の実施形態に様々な変形や改善を行うことができ、これは自明な事項である。
【0096】
実施例1:化合物BB-1の合成
【化47】


【化48】
【0097】
ステップ1:化合物BB-1-2の合成
窒素雰囲気下で、100℃で化合物BB-1-1(21.10g)とシアノ酢酸エチル(11.00g、10.38mL)の混合物を16時間攪拌する。反応終了後、混合物を70℃に冷却し、ゆっくりとエタノール(30mL)を滴加すると、大量の固形物が析出する。濾過し、ケーキを減圧乾燥して生成物BB-1-2を得る。
【0098】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.26(t,J=5.2Hz,1H),6.86(d,J=8.0Hz,1H),6.79(br s,1H),6.71(d,8.0Hz,1H),4.00(q,J=6.8Hz,2H),3.72(s,3H),3.59(s,2H),3.31-3.23(m,2H),2.64(t,J=7.2Hz,2H),1.32(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:263.1[M+H]
【0099】
ステップ2:化合物BB-1-3の合成
窒素雰囲気下で、三塩化ホスホリル(379.50g、230.00mL)を85℃に加熱し、数回に分けて化合物BB-1-2(26.00g)を加える。85℃で反応混合物を2時間攪拌して反応させる。反応終了後、減圧蒸留により三塩化ホスホリルの殆どを除去する。残留物にジクロロメタン(200mL)を加え、水で洗浄する(100mL×2)。無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥した後、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮する。酢酸エチル(20mL)で粗生成物をパルプ化して精製することで、化合物BB-1-3を得る。
【0100】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=7.16(s,1H),6.83(s,1H),4.62(s,1H),4.12(q,J=6.8Hz,2H),3.86(s,3H),3.35(d,J=6.4Hz,2H),2.84(t,J=6.4Hz,2H),1.44(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:245.1[M+H]
【0101】
ステップ3:化合物BB-1-4の合成
0℃で、数回に分けて98%濃硫酸(12.88g、128.69mmol、7.00mL)に化合物BB-1-3(1.00g)を加える。27℃で反応混合物を3時間攪拌する。反応終了後、混合物を冷水(15mL)に加え、次に水酸化ナトリウム水溶液(4mol/L、32mL)を滴加してpHを調節し、中性になると酢酸エチルで抽出する(100mL×3)。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮して、化合物BB-1-4を得る。
MS-ESI m/z:263.1[M+H]
【0102】
ステップ4:化合物BB-1-5的合成
0℃で、数回に分けてナトリウム(2.42g)をエタノール(80mL)に加える。28℃で混合物を30分間攪拌した後、数回に分けて溶液に化合物BB-1-4(6.90g)を加え、80℃で30分間攪拌する。次に炭酸ジエチル(9.32g、9.51mL)を加え、引き続き80℃で当該混合物を5時間攪拌する。反応終了後、混合物を室温に冷却し、ゆっくりと氷水(30mL)を加え、次に希塩酸(2mol/L、53mL)でpHを調節し、中性になると大量の固形物が析出し、濾過し、エタノール(10mL)でケーキをパルプ化して精製することで、化合物BB-1-5を得る。
【0103】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=11.22(br s,1H),7.35(s,1H),6.95(s,1H),6.22(s,1H),4.09(q,J=6.8Hz,2H),3.90(br s,2H),3.83(s,3H),2.89(br s,2H),1.35(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:289.1[M+H]
【0104】
ステップ5:化合物BB-1-6の合成
室温で、化合物BB-1-5(5.00g)を三塩化ホスホリル(30mL)に溶解する。窒素雰囲気下で、100℃で反応混合物を16時間攪拌する。反応終了後、減圧蒸留により溶媒の殆どを除去する。水(100mL)を加え、ジクロロメタンで抽出する(150mL×2)。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮して、化合物BB-1-6を得る。
MS-ESI m/z:306.9[M+H]
【0105】
ステップ6:化合物BB-1の合成
室温で、化合物BB-1-6(925.67mg)をイソプロパノール(8mL)に溶解し、2,4,6-トリメチルアニリン(2.10g)を加える。窒素雰囲気下で、90℃で反応混合物を15時間攪拌する。反応終了後、混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮し、エタノール(6mL)で残留物をパルプ化して精製することで、化合物BB-1を得る。
【0106】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.85(br s,1H),7.27(s,1H),6.97(s,1H),6.90(s,2H),6.45(s,1H),4.10(q,J=6.8Hz,2H),3.90(t,J=6.0Hz,2H),3.86(s,3H),2.87(t,J=6.0Hz,2H),2.45(s,3H),2.11(s,6H),1.37(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:406.2[M+H]
【0107】
実施例2:化合物BB-2的合成
【化49】


【化50】

【0108】
ステップ1:化合物BB-2-2の合成
室温で、化合物BB-2-1(8g)、尿素(9.18g)を水(80mL)に溶解し、濃塩酸(12mol/L、9.56mL)を滴加し、110℃に加熱して24時間攪拌する。反応終了後、反応液を室温に冷却し、濾過し、水でケーキを洗浄し(50mL×2)、真空乾燥して、化合物BB-2-2を得る。
【0109】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=6.84(br d,J=8.0Hz,1H),6.78(br s,1H),6.69(br d,J=8.0Hz,1H),6.02(br t,J=5.2Hz,1H),5.43(br s,2H),4.04-3.94(m,2H),3.71(s,3H),2.95(q,J=6.4Hz,2H),2.50-2.40(m,2H),1.66-1.59(m,2H),1.35-1.25(m,3H)。
MS-ESI m/z:253.2[M+H]
【0110】
ステップ2:化合物BB-2-3の合成
窒素雰囲気下で、数回に分けてナトリウム(6.38g)を無水エタノール(150mL)に加え、攪拌してナトリウムが完全に溶解すると、ナトリウムエトキシド溶液を得る。化合物BB-2-2(7g)、マロン酸ジエチル(11.11g)を加え、加熱して16時間還流させる。反応液を室温に冷却し、減圧下で濃縮してエタノールを除去し、残留物に水を加えて溶解し、氷浴下で2mol/Lの塩酸を滴加してpHを5に調整した後、珪藻土で濾過し、酢酸エチル(150mL×2)で濾液を抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(150mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=5:1~1:1、ジクロロメタン:メタノール=50:1~20:1)で残留物から精製することで、化合物BB-2-3を得る。
【0111】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=6.90-6.82(m,2H),6.78-6.72(m,1H),4.07(q,J=6.8Hz,2H),3.89-3.84(m,2H),3.81(s,3H),3.37(s,2H),2.62(t,J=7.2Hz,2H),1.94(q,J=7.2Hz,2H),1.39(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:321.2[M+H]
【0112】
ステップ3:化合物BB-2-4の合成
窒素雰囲気下で、三塩化ホスホリル(26.40g)に化合物BB-2-3(2.4g)を加え、80℃に加熱して12時間攪拌する。反応液を室温に冷却し、減圧下で濃縮して三塩化ホスホリルを除去して、BB-2-4を得る。これをそのまま次のステップの反応に使用する。
MS-ESI m/z:321.1[M+H]
【0113】
ステップ4:化合物BB-2の合成
20℃で、化合物BB-2-4(2.4g)のTHF(24mL)溶液に2,4,6-トリメチルアニリン(2.02g)のTHF溶液(10mL)を滴加する。滴加完了後、20℃で3時間攪拌し、50℃に加熱して2時間攪拌する。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮して溶媒の殆どを除去し、酢酸エチル(50mL)で残留物を溶解した後、水(50mL)、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮した後、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液はジクロロメタン:メタノール=100:1~20:1)で濃縮生成物から精製することで、化合物BB-2を得る。
【0114】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=7.26(s,1H),7.11(br s,2H),6.97(s,1H),6.31(s,1H),4.20-4.14(m,2H),4.03-4.01(m,2H),3.95(s,3H),2.84-2.82(m,2H),2.37(s,3H),2.29(s,6H),1.90-1.78(m,2H),1.49-1.42(m,3H)。
MS-ESI m/z:420.3[M+H]
【0115】
実施例3:化合物BB-3の合成
【化51】


【化52】

【0116】
ステップ1:化合物BB-3-2の合成
室温で、化合物BB-3-1(2g)を1,2-ジクロロエタン(20mL)に溶解し、イソシアン酸トリメチルシリル(3.82g)を滴加し、90℃に加熱して18時間攪拌する。反応終了後、反応液を室温に冷却し、減圧下で濃縮し、メチルtert-ブチルエーテル(10mL)で残留物をパルプ化して、化合物BB-3-2を得る。
MS-ESI m/z:255.1[M+H]
【0117】
ステップ2:化合物BB-3-3の合成
窒素雰囲気下で、数回に分けてナトリウム(1.13g)を無水エタノール(85mL)に加え、攪拌してナトリウムが完全に溶解すると、ナトリウムエトキシド溶液を得る。前記溶液に化合物BB-3-2(2.5g)、マロン酸ジエチル(3.94g)を加え、加熱して12時間還流させる。反応液を室温に冷却し、濃縮してエタノールを除去し、残留物に水を加えて溶解し、氷浴下で2mol/Lの塩酸を滴加してpHを5に調整した後、珪藻土で濾過し、酢酸エチル(50mL×2)で濾液を抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮して、化合物BB-3-3を得る。
【0118】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=6.83(dd,J=8.8Hz,2.4Hz,1H),6.58(d,J=3.2Hz,1H),6.44(dd,J=8.8Hz,3.2Hz,1H),4.19-4.15(m,2H),4.11-4.09(m,2H),4.04-4.00(m,2H),3.76(s,3H),3.35(s,2H),1.39(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:323.1[M+H]
【0119】
ステップ3:化合物BB-3-4の合成
窒素雰囲気下で、三塩化ホスホリル(12.37g)に化合物BB-3-3(1.3g)を加え、80℃に加熱して12時間攪拌する。反応液を室温に冷却し、減圧下で濃縮して三塩化ホスホリルを除去して、化合物BB-3-4を得る。これをそのまま次のステップの反応に使用する。
MS-ESI m/z:323.1[M+H]
【0120】
ステップ4:化合物BB-3の合成
20℃で、化合物BB-3-4(1.2g)のTHF(20mL)溶液に2,4,6-トリメチルアニリン(1.01g)を滴加する。滴加完了後、25℃で12時間攪拌し、40℃に加熱して3時間攪拌する。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮して溶媒の殆どを除去し、酢酸エチル(50mL)で残留物を溶解した後、水(50mL)、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮した後、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液はジクロロメタン:メタノール=200:1~30:1)で濃縮生成物から精製することで、化合物BB-3を得る。
【0121】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.89(s,1H),7.11(s,1H),6.92(br s,2H),6.81(s,1H),6.05(s,1H),4.28(t,J=5.6Hz,2H),4.11-4.04(m,4H),3.84(s,3H),2.26(s,3H),2.13(br s,6H),1.38-1.32(m,3H)。
MS-ESI m/z:422.2[M+H]
【0122】
実施例4:化合物BB-4の合成
【化53】


【化54】

【0123】
ステップ1:化合物BB-4-1の合成
室温で、化合物BB-1(1.00g)を2-ブタノン(35mL)に溶解し、2-(2-ブロモエチル)イソインドリン-1,3-ジオン(3.76g)、炭酸カリウム(3.07g)、ヨウ化ナトリウム(2.22g)をこの順に加える。窒素雰囲気下で、85℃で反応混合物を72時間攪拌する。反応終了後、混合物を濃縮して有機溶媒の殆どを除去し、水(30mL)を加え、酢酸エチル(25mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=15:1~
3:1)で残留物から精製することで、化合物BB-4-1を得る。
MS-ESI m/z:579.3[M+H]
【0124】
ステップ2:化合物BB-4の合成
室温で、化合物BB-4-1(500.00mg)をクロロホルム(3mL)とエタノール(3mL)に溶解し、抱水ヒドラジン(152.67mg、純度85%)を加える。窒素雰囲気下で、28℃で混合物を16時間攪拌する。反応終了後、混合物を濃縮して有機溶媒の殆どを除去し、水(15mL)を加え、ジクロロメタン(15mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮して、化合物BB-4を得る。
【0125】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=6.95(s,1H),6.85(br s,2H),6.66(s,1H),5.31(s,1H),4.14(t,J=6.8Hz,2H),4.05(q,J=6.8Hz,2H),3.91(t,J=6.4Hz,2H),3.62(s,3H),2.90-2.86(m,4H),2.22(s,3H),1.95(br s,6H),1.33(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:449.2[M+H]
【0126】
実施例4の合成手順を参照して、下表1の各実施例を合成する。
【表1】
【0127】
実施例7:化合物BB-7の合成
【化55】


【化56】

【0128】
ステップ1:化合物BB-7の合成
室温で、化合物BB-1(1.0g)を2-ブタノン(50mL)に溶解し、3-ブロモプロピオン酸メチル(2.47g)、ヨウ化ナトリウム(2.22g)、リン酸カリウム(4.71g)をこの順に加え、反応液を95℃に加熱して40時間攪拌する。室温に冷却し、水(50mL)、酢酸エチル(50mL)を加え、液-液分離を行う。飽和食塩水(50mL)で有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=10:1~2:1)で残留物から精製することで、化合物BB-7を得る。
【0129】
H NMR(400MHz,CDCl)δ=6.85(br s,2H),6.72(s,1H),6.63(s,1H),5.44(s,1H),4.58-4.51(m,2H),4.13-4.06(m,2H),4.03-4.00(m,2H),3.74(s,3H),3.67(s,3H),2.90-2.83(m,4H),2.25(s,3H),2.02(s,6H),1.46(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:492.1[M+H]
【0130】
実施例8:化合物WX001の合成
【化57】


【化58】

【0131】
ステップ1:化合物WX001の合成
室温で、化合物BB-1(100.00mg)をDMF(2mL)に溶解し、4-メチルベンゼンスルホン酸-2-(2-オキサゾリジノン-3-イル)エチル(422.19mg)、炭酸カリウム(306.76mg)、ヨウ化ナトリウム(221.79mg)をこの順に加える。窒素雰囲気下で、80℃で反応混合物を72時間攪拌する。反応終了後、濾過し、濾液を濃縮し、水(6mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(6mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX001を得る。
【0132】
H NMR(400MHz,CDCl)δ=6.93(s,2H),6.62(s,1H),6.56(s,1H),5.31(s,1H),4.27(br s,2H),4.15-4.01(m,6H),3.91(br s,2H),3.65(s,3H),3.52(br s,2H),2.84(br s,2H),2.26(s,3H),2.15(br s,6H),1.41(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:519.0[M+H]
【0133】
実施例9:化合物WX002の合成
【化59】


【化60】

【0134】
ステップ1:化合物WX002-1の合成
室温で、化合物BB-1(4.5g)を2-ブタノン(120mL)に溶解し、3-ブロモプロピオニトリル(8.92g)、炭酸カリウム(13.8g)、ヨウ化カリウム(11.05g)をこの順に加える。窒素雰囲気下で、85℃で反応混合物を60時間攪拌する。反応終了後、濾過し、濾液を濃縮し、水(100mL)を加え、酢酸エチル(150mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=3:1~1:1)で残留物から精製することで、化合物WX002-1を得る。
【0135】
H NMR(400MHz,CDCl)δ=6.79(br s,2H),6.66(s,1H),6.59(s,1H),5.39(s,1H),4.51(t,J=6.8Hz,2H),4.24(q,J=6.8Hz,2H),3.98(t,J=6.0Hz,2H),3.70(s,3H),2.90(t,J=6.8Hz,2H),2.84(t,J=6.0Hz,2H),2.20(s,3H),1.98(br s,6H),1.41(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:459.5[M+H]
【0136】
ステップ2:化合物WX002的合成
室温で、化合物WX002-1(160.00mg)をトルエン(4mL)に溶解し、トリメチルシリルアジド(120.60mg)、ジブチルスズオキシド(300.00mg)をこの順に加える。窒素雰囲気下で、110℃で反応混合物を12時間攪拌する。反応終了後、混合物を25℃に冷却し、濃縮し、水(5mL)を加え、酢酸エチル(5mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX002を得る。
【0137】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=7.18(br s,2H),7.00(s,1H),6.83(br s,1H),5.70(br s,1H),4.76(t,J=6.8Hz,2H),4.19-4.12(m,4H),3.72(s,3H),3.60(t,J=6.8Hz,2H),3.06(t,J=6.8Hz,2H),2.40(s,3H),2.30(br s,6H),1.45(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:502.1[M+H]
【0138】
実施例10:化合物WX003の合成
【化61】


【化62】

【0139】
ステップ1:化合物WX001-2の合成
室温で、化合物BB-4(500.00mg)、WX003-1(413.91mg)をtert-ブタノール(20mL)に溶解し、前記溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(81.66mg)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(85.74mg)、リン酸カリウム(乾燥)(378.58mg)を加える。窒素保護下で、110℃で反応混合物を12時間攪拌する。反応終了後、室温に戻し、水(30mL)、酢酸エチル(50mL)を加えて反応をクエンチし、液-液分離を行って有機相を得、飽和食塩水(20mL)で有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液はジクロロメタン:メタノール=50:1~10:1)で残留物から精製することで、化合物WX003-2を得る。
MS-ESI m/z:600.3[M+H]
【0140】
ステップ2:化合物WX003の合成
室温で、化合物WX003-2(0.22g)、塩酸-酢酸エチル溶液(3mL、4mol/L)を酢酸エチル(20mL)に溶解する。窒素雰囲気下で、25℃で反応混合物を1時間攪拌する。混合物を減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX003を得る。
【0141】
H NMR(400MHz,CDOD-d)δ=8.26(br s,1H),7.19(s,2H),7.00(s,1H),6.82(s,1H),5.70(s,1H),4.62(t,J=6.0Hz,2H),4.21-4.16(m,4H),3.86(t,J=6.0Hz,2H),3.72(s,3H),3.07(t,J=6.4Hz,2H),2.40(s,3H),2.31(s,6H),1.45(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:516.2[M+H]
【0142】
実施例10の合成手順を参照して、下表2の各実施例を合成する。
【表2】
【0143】
実施例12:化合物WX005の合成
【化63】

【0144】
ステップ1:化合物WX005-2の合成
室温で、化合物BB-1(3.22g)をDMF(30mL)に溶解し、WX005-1(9.00g)、炭酸カリウム(9.88g)、ヨウ化ナトリウム(7.14g)をこの順に加える。窒素雰囲気下で、83℃で反応混合物を72時間攪拌する。反応終了後、混合物を濃縮して有機溶媒の殆どを除去し、水(70mL)を加え、酢酸エチル(70mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=4:1~3:2)で残留物から精製することで、化合物WX005-2を得る。
MS-ESI m/z:494.3[M+H]
【0145】
ステップ2:化合物WX005-3の合成
室温で、化合物WX005-2(0.42g)、濃塩酸(1mL、12mol/L)を1,4-ジオキサン(3mL)に溶解する。窒素雰囲気下で、25℃で反応混合物を12時間攪拌する。混合物に飽和炭酸ナトリウムの水溶液(3mL)を加えてpHを7~8に調整し、水(3mL)を加え、酢酸エチル(5mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮して、化合物WX005-3を得る。これをそのまま次のステップの反応に使用する。
MS-ESI m/z:448.0[M+H]
【0146】
ステップ3:化合物WX005の合成
室温で、化合物WX005-3(100.00mg)、2-アミノ-1,3,4-チアジアゾール(45.19mg)をエタノール(2mL)に溶解する。窒素雰囲気下で、78℃で混合物を12時間攪拌した後、室温に冷却し、NaBH(67.62mg)、メタノール(0.5mL)を加え、78℃に加熱して引き続き12時間攪拌する。水(1mL)を加えて反応液をクエンチし、減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX005を得る。
【0147】
H NMR(400MHz,CDCl)δ=8.26(s,1H),6.92(br s,1H),6.82(s,2H),6.64(s,1H),6.59(s,1H),5.41(s,1H),4.61-4.54(m,2H),4.08-3.94(m,4H),3.81-3.73(m,2H),3.68(s,3H),2.82(t,J=6.0Hz,2H),2.22(s,3H),2.00(s,6H),1.41(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:533.0[M+H]
【0148】
実施例12の合成手順を参照して、下表3の実施例を合成する。
【表3】
【0149】
実施例17:化合物WX010の合成
【化64】

【0150】
ステップ1:化合物WX010-1の合成
室温で、化合物BB-1(5.00g)を2-ブタノン(100mL)に溶解し、2-(3-ブロモプロピル)イソインドリン-1,3-ジオン(13.22g)、炭酸カリウム(10.23g)、ヨウ化ナトリウム(7.39g)をこの順に加える。窒素雰囲気下で、80℃で反応混合物を30時間攪拌する。反応終了後、混合物を濃縮して有機溶媒の殆どを除去し、水(50mL)を加え、ジクロロメタン(50mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=5:1~1:1)で残留物から精製することで、化合物WX010-1を得る。
MS-ESI m/z:593.2[M+H]
【0151】
ステップ2:化合物WX010-2の合成
室温で、化合物WX010-1(1.30g)をクロロホルム(10mL)とエタノール(10mL)に溶解し、抱水ヒドラジン(5.15g、純度85%)を加える。窒素雰囲気下で、70℃で混合物を10時間攪拌する。反応終了後、混合物を濃縮して有機溶媒の殆どを除去し、水(30mL)を加え、酢酸エチル(15mL×2)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮して、化合物WX010-2を得る。
MS-ESI m/z:463.2[M+H]
【0152】
ステップ3:化合物WX010-4の合成
室温で、化合物WX010-2(900.00mg)、WX003-1(903.06mg)をtert-ブタノール(5mL)に溶解し、前記溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(356.32mg)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(187.07mg)、リン酸カリウム(乾燥)(825.98mg)を加える。窒素保護下で、100℃で反応混合物を12時間攪拌する。反応終了後、室温に戻し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=20:1~1:1)で残留物から精製することで、化合物WX010-4を得る。
MS-ESI m/z:614.1[M+H]
【0153】
ステップ4:化合物WX010の合成
室温で、化合物WX010-4(1.00g)、塩酸-酢酸エチル溶液(5mL、4mol/L)を酢酸エチル(5mL)に溶解する。窒素雰囲気下で、25℃で反応混合物を10分間攪拌する。混合物を減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX010を得る。
【0154】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=8.27(s,1H),7.18(s,2H),6.99(s,1H),6.81(s,1H),5.68(s,1H),4.49(t,J=6.8Hz,2H),4.25-4.13(m,4H),3.71(s,3H),3.63(t,J=6.8Hz,2H),3.08(t,J=6.4Hz,2H),2.40(s,3H),2.32-2.16(m,8H),1.45(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:530.1[M+H]
【0155】
実施例18:化合物WX015の合成
【化65】


【化66】

【0156】
ステップ1:化合物WX015の合成
室温で、化合物BB-4(50.0mg)、4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボン酸(12.6mg)をDMF(2mL)に溶解し、HATU(50.86mg)、DIPEA(28.81mg)を加える。25℃で反応液を24時間攪拌する。反応終了後、混合物を減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX015を得る。
【0157】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=8.39(br s,1H),6.91(s,2H),6.85(s,1H),6.76(s,1H),5.50(s,1H),4.54-4.51(m,2H),4.11(q,J=6.8Hz,2H),3.98(t,J=6.0Hz,2H),3.90(t,J=5.6Hz,2H),3.69(s,3H),2.91(t,J=6.0Hz,2H),2.29(s,3H),2.03(s,6H),1.42(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:544.5[M+H]
【0158】
実施例18の合成手順を参照して、下表4-1~表4-4の各実施例を合成する。
【表4-1】
【0159】
【表4-2】
【0160】
【表4-3】
【0161】
【表4-4】
【0162】
実施例57:化合物WX054の合成
【化67】


【化68】

【0163】
ステップ1:化合物WX054-2の合成
室温で、化合物WX054-1(174.4mg)をTHF(4mL)に溶解し、0℃に冷却し、LHMDS(1mol/L、1.02mL)を滴加し、引き続き0℃で30分間攪拌し、化合物BB-7(200mg)のTHF(2mL)溶液を滴加し、滴加完了後、静置して温度が30℃に上がると、引き続き2時間攪拌する。水(10mL)を加えて反応液をクエンチし、酢酸エチル(10mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、水(10mL)、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX054-2を得る。
MS-ESI m/z:674.6[M+H]
【0164】
ステップ2:化合物WX054の合成
窒素雰囲気下で、化合物WX054-2(20mg)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1.54g)を加え、25℃で3時間攪拌する。反応終了後、混合物を減圧下で濃縮して溶媒の殆どを除去し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX054を得る。
【0165】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=8.75(br s,1H),7.14(s,2H),6.96(s,1H),6.77(s,1H),5.65(s,1H),4.70-4.62(m,2H),4.20-4.10(m,4H),3.68(s,3H),3.20-3.10(m,2H),3.04(t,J=6.4Hz,2H),2.36(s,3H),2.26(s,6H),1.41(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:544.3[M+H]
【0166】
実施例57の合成手順を参照して、下表5の各実施例を合成する。
【表5】
【0167】
実施例61:化合物WX058の合成
【化69】


【化70】

【0168】
ステップ1:化合物WX058-1の合成
室温で、化合物BB-1(5.00g)を2-ブタノン(20mL)に溶解し、2-ブロモ酢酸エチル(4.12g)、ヨウ化ナトリウム(0.37g)、炭酸カリウム(3.41g)をこの順に加え、反応液を80℃に加熱して12時間攪拌する。室温に冷却し、ジクロロメタン(50mL)を加えて希釈し、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=100:1~10:1)で残留物から精製することで、化合物WX058-1を得る。
【0169】
H NMR(400MHz,CDCl)δ=6.77(s,2H),6.69(s,1H),6.58(s,1H),5.42(s,1H),4.93(br s,2H),4.16(q,J=7.2Hz,2H),4.05-3.96(m,4H),3.69(s,3H),2.82(t,J=6.0Hz,2H),2.19(s,3H),1.93(s,6H),1.40(t,J=7.2Hz,3H),1.21(t,J=7.2Hz,3H)。
【0170】
ステップ2:化合物WX058-2の合成
室温で、化合物WX058-1(0.30g)をエタノール(10mL)と水(4mL)とテトラヒドロフラン(6mL)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(0.10g)を加え、25℃で反応液を8時間攪拌する。減圧下で濃縮し、水(10mL)を加え、4mol/LのHClで水相のpHを3~4に調整すると、固体が析出し、濾過し、乾燥して、化合物WX058-2を得る。
MS-ESI m/z:464.2[M+H]
【0171】
ステップ3:化合物WX058-3の合成
室温で、化合物58-1A(2.50g)を酢酸エチル(20mL)に溶解し、(Boc)O(9.19g)、氷酢酸(8mL)、Pd/C(0.25g、純度10%)をこの順に加え、25psiの水素雰囲気で、30℃で反応液を12時間攪拌する。濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=10:1~2:1)で残留物から精製することで、化合物58-2Aを得る。
【0172】
H NMR(400MHz,CDCl)δ=8.20(s,1H),5.42-5.39(m,1H),5.24(br s,1H),4.44(d,J=5.2Hz,2H),4.08-4.06(m,1H),3.74-3.70(m,1H),2.10-2.04(m,4H),1.70-1.63(m,2H),1.46(s,9H)。
【0173】
室温で、化合物58-2A(0.60g)、塩酸-酢酸エチル溶液(1mL、4mol/L)を酢酸エチル(2mL)に溶解する。窒素雰囲気下で、30℃で反応混合物を30分間攪拌する。固体が析出すると、濾過し、酢酸エチル2mLでケーキを洗浄し、乾燥して、化合物WX058-3を得る。
H NMR(400MHz,CDOD)δ=9.06(s,1H),4.39(s,2H)。
【0174】
ステップ4:化合物WX058の合成
室温で、化合物WX058-2(0.15g)、化合物WX058-3(0.43g)をDMF(2mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.1mL)、HATU(0.18g)をこの順に加え、30℃で反応液を10時間攪拌した後、水(20mL)に注入し、酢酸エチル(20mL×2)で抽出する。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX058を得る。
【0175】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=8.64(s,1H),7.14(s,2H),6.99(s,1H),6.83(s,1H),5.70(s,1H),5.18(s,2H),4.69(s,2H),4.28-4.11(m,4H),3.71(s,3H),3.07(t,J=6.4Hz,2H),2.38(s,3H),2.22(br s,6H),1.53-1.39(m,3H)。
MS-ESI m/z:544.1[M+H]
【0176】
実施例62:化合物WX059の合成
【化71】


【化72】

【0177】
ステップ1:化合物WX059の合成
室温で、化合物BB-4(30mg)、1H-1,2,3-トリアゾール-5-スルホニルクロリド(22.42mg)をDMF(1mL)に溶解し、トリエチルアミン(13.54mg)を加え、20℃で攪拌する。反応終了後、混合物を飽和食塩水30mLにデカントし、酢酸エチル(15mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、水50mL、飽和食塩水50mLで各1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、濾液を減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX059を得る。
【0178】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=8.29(br s,1H),7.14(br s,2H),6.98(s,1H),6.79(s,1H),5.66(s,1H),4.51(br s,2H),4.24-4.10(m,4H),3.70(s,3H),3.64(br s,2H),3.06(br s,2H),2.37(s,3H),2.29(s,6H),1.43(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:580.0[M+H]
【0179】
実施例62の合成手順を参照して、下表6の実施例を合成する。
【表6】
【0180】
実施例64:化合物WX064の合成
【化73】


【化74】

【0181】
ステップ1:化合物WX064-2の合成
室温で、化合物WX064-1(20g)をDMF(300mL)に溶解し、水素化ナトリウム(4.30g、純度60%)を加え、30分間攪拌した後、すぐに1,2-ジブロモエタン(100.97g)を加え、60℃に加熱して11.5時間攪拌する。室温に冷却し、飽和食塩水(600mL)で反応液をクエンチし、酢酸エチル(200mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、水(600mL)、飽和食塩水(600mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=20:1~50:1)で残留物から精製することで、化合物WX064-2を得る。
MS-ESI m/z:231.8[M-100+2+H]
【0182】
ステップ2:化合物WX064-3の合成
窒素雰囲気下で、化合物WX064-2(3.66g)、化合物BB-1(1.5g)をDMF(20mL)に溶解し、リン酸カリウム(乾燥)(4.71g)、ヨウ化ナトリウム(3.33g)を加えた後、100℃に加熱して48時間攪拌する。室温に冷却し、飽和食塩水(100mL)で反応液をクエンチし、酢酸エチル(40mL×3)で抽出する。有機相を合わせ、水(200mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、残留物を酢酸エチル(25mL)に入れて5分間攪拌し、濾過して不溶物を除去し、濾液を濃縮した後、分取薄層クロマトグラフィー(溶離液はジクロロ
メタン:メタノール=10:1)で精製して、化合物WX064-3を得る。
MS-ESI m/z:655.6[M+H]
【0183】
ステップ3:化合物WX064-4の合成
室温で、化合物WX064-3(700mg)を塩化水素-酢酸エチル溶液(4M、7.67mL)に溶解し、40℃に加熱して3時間攪拌する。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)で反応液をクエンチし、ジクロロメタン(10mL×4)で抽出する。有機相を合わせ、飽和食塩水(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、化合物WX064-4を得る。これをそのまま次のステップの反応に使用する。
【0184】
MS-ESI m/z:555.1[M+H]
【0185】
ステップ4:化合物WX064-5の合成
窒素雰囲気下で、化合物WX064-4(410mg)をメタノール(10mL)に溶解し、パラジウム炭素の水湿潤品(200mg、純度10%)を加え、室温で水素バルーン(15psi)において8時間攪拌する。珪藻土で反応液を濾過して触媒を除去し、濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得る。粗生成物を石油エーテル(15mL)と酢酸エチル(0.5mL)の混合溶媒に入れて30分間攪拌し、濾過して、化合物WX064-5を得る。
MS-ESI m/z:465.3[M+H]
【0186】
ステップ5:化合物WX064の合成
室温で、化合物WX064-5(100mg)、1,2,3-トリアゾール-5-カルボン酸(48.68mg)、トリエチルアミン(65.35mg)をジクロロメタン(2mL)に溶解し、TP(273.97mg)を加えた後、40℃に加熱して6時間攪拌する。ジクロロメタン(13mL)で反応液を希釈した後、水(20mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで残留物から精製することで、化合物WX064を得る。
【0187】
H NMR(400MHz,CDCl)δ=8.25(s,1H),7.00(s,2H),6.71(s,1H),6.67(s,1H),5.46(s,1H),4.24(t,J=5.6Hz,2H),4.14(q,J=6.8Hz,2H),4.04-3.97(m,2H),3.80(br s,2H),3.74(s,3H),2.94(t,J=6.0Hz,2H),2.34(s,3H),2.17(br s,6H),1.49(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:560.3[M+H]
【0188】
実施例65:化合物WX065の合成
【化75】


【化76】

【0189】
ステップ1:化合物WX065-5の合成
室温で、化合物65-1A(2.00g)とp-トルエンスルホン酸(1.10g)を溶解したテトラヒドロフラン(50mL)にDHP(2.15g)を滴加し、滴加完了後、20℃で混合物を12時間攪拌する。反応液を減圧下で濃縮した後、濃縮生成物を酢酸エチル(100mL)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム(80mL)、飽和食塩水(80mL)で各1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、化合物65-2Aを得る。
MS-ESI m/z:241.2[M+H]
【0190】
0℃で、化合物65-2A(0.80g)と炭酸カリウム(2.30g)を溶解したDMF(10mL)にヨードメタン(0.95g)を滴加し、滴加完了後、25℃で混合物を12時間攪拌する。反応液を水(20mL)に注入し、酢酸エチル(10mL×2)で抽出する。有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、化合物65-3Aを得る。
MS-ESI m/z:255.2[M+H]
【0191】
0℃で、化合物65-3A(0.80g)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に水酸化ナトリウム(0.38g)の水(8mL)溶液を滴加し、滴加完了後、25℃で混合物を12時間攪拌する。氷浴で反応液を冷却しながら2mol/Lの塩酸でpHを4に調整し、酢酸エチル(20mL×2)で抽出する。有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、化合物WX065-5を得る。
MS-ESI m/z:227.0[M+H]
【0192】
ステップ2:化合物WX065-6の合成
室温で、化合物WX064-5(60.0mg)、WX065-5(58.44mg)、トリエチルアミン(65.35mg)をDMF(1mL)に溶解し、PyBOP(201.64mg)を加えた後、20℃で12時間攪拌する。高速液体クロマトグラフィーで混合物から精製して、化合物WX065-6を得る。
MS-ESI m/z:673.4[M+H]
【0193】
ステップ5:化合物WX065の合成
化合物WX065-6(40mg)を塩化水素-酢酸エチル溶液(4M、1mL)に溶解し、20℃で1時間攪拌する。反応液を減圧下で濃縮した後、高速液体クロマトグラフィーで濃縮生成物から精製することで、化合物WX065を得る。
【0194】
H NMR(400MHz,CDOD)δ=7.95(s,1H),7.12(s,2H),6.98(s,1H),6.80(s,1H),5.68(s,1H),4.69-4.66(m,2H),4.45(br s,2H),4.21(t,J=6.4Hz,2H),4.16(q,J=7.2Hz,2H),3.99(br s,3H),3.70(s,3H),3.07(t,J=6.4Hz,2H),2.36(s,3H),2.24(s,6H),1.43(t,J=7.2Hz,3H)。
MS-ESI m/z:589.1[M+H]
【0195】
実施例65の合成手順を参照して、下表7の各実施例を合成する。
【表7】
【0196】
各実施例の化合物のH NMRデータ及びMSデータ
【表8-1】
【0197】
【表8-2】
【0198】
【表8-3】
【0199】
【表8-4】
【0200】
【表8-5】
【0201】
【表8-6】
【0202】
【表8-7】
【0203】
【表8-8】
【0204】
【表8-9】
【0205】
【表8-10】
【0206】
【表8-11】
【0207】
【表8-12】
【0208】
【表8-13】
【0209】
実験例1:PDE3A酵素に対する化合物の阻害活性のインビトロ検出
実験目的:蛍光の偏光によるAMP/GMPの発現測定、即ちAMP/GMP抗体結合の追跡により酵素活性を示す。
【0210】
試薬:
実験バッファー:10mMのTris-HCl(pH 7.5)、5mMのMgCl、0.01%Brij 35、1mMのジチオトレイトール(DTT)、1%DMSO。
酵素:Sf9昆虫細胞中のバキュロウイルスでN末端GSTタグを用いて組換えヒトPDE3A(遺伝子アクセッション番号NM_000921、アミノ酸669末端)を発現し、分子量は84kDaである。
基質:1μMのcAMP
検出:Transcreener(登録商標)AMP2/GMP2抗体及びAMP2/GMP2 AlexaFluor633追跡。
【0211】
操作手順:
1.組換えヒトPDE3A酵素及び基質(1μMのcAMP)をそれぞれ新たに調製した実験バッファーに溶解する。
2.前記PDE3A酵素バッファーを反応ウェルに移す。
3.音響技術(echo 550、精度はナノリットル)を利用してPDE3A酵素バッファーを含む反応ウェルに、100%DMSOに溶解した化合物を加え、室温で10分間インキュベートする。
4.基質バッファーを前記反応ウェルに加えて反応を開始させる。
5.室温で1時間インキュベートする。
6.検出混合物(Transcreener(登録商標)AMP2/GMP2抗体及びAMP2/GMP2 AlexaFluor633追跡)を加えて反応を停止させ、ゆっくりと混合しながら90分間インキュベートする。蛍光の偏光測定範囲はEx/Em=620/688である。
【0212】
データ分析:AMP/GMP標準曲線に基づいて、コンピュータソフトウェアExcelを用いて蛍光の偏光信号からDMSOに対するパーセンテージ酵素活性を算出し、nM単位に換算する。GraphPad Prism(医学グラフ作成用)で曲線あてはめを行う。実験結果を表1に示す。
【0213】
実験例2:PDE4B酵素に対する化合物の阻害活性のインビトロ検出
実験目的:蛍光の偏光によるAMP/GMPの発現測定、即ちAMP/GMP抗体結合の追跡により酵素活性を示す。
【0214】
試薬:
実験バッファー:10mMのTris-HCl(pH 7.5)、5mMのMgCl、0.01%Brij 35、1mMのDTT、1%DMSO。
酵素:Sf9昆虫細胞中のバキュロウイルスでN末端GSTタグを用いて組換えヒトPDE4B(遺伝子アクセッション番号NM_002600、アミノ酸305末端)を発現し、分子量は78kDaである。
基質:1μMのcAMP
検出:Transcreener(登録商標)AMP2/GMP2抗体及びAMP2/GMP2 AlexaFluor633追跡。
【0215】
操作手順:
1.組換えヒトPDE4B酵素及び基質(1μMのcAMP)をそれぞれ新たに調製し
た実験バッファーに溶解する。
2.前記PDE4B酵素バッファーを反応ウェルに移す。
3.音響技術(echo 550、精度はナノリットル)を利用してPDE4B酵素バッファーを含む反応ウェルに、100%DMSOに溶解した化合物を加え、室温で10分間インキュベートする。
4.基質バッファーを前記反応ウェルに加えて反応を開始させる。
5.室温で1時間インキュベートする。
6.検出混合物(Transcreener(登録商標)AMP2/GMP2抗体及びAMP2/GMP2 AlexaFluor633追跡)を加えて反応を停止させ、ゆっくりと混合しながら90分間インキュベートする。蛍光の偏光測定範囲はEx/Em=620/688である。
【0216】
データ分析:AMP/GMP標準曲線に基づいて、コンピュータソフトウェアExcelを用いて蛍光の偏光信号からDMSOに対するパーセンテージ酵素活性を算出し、nM単位に換算する。GraphPad Prism(医学グラフ作成用)で曲線あてはめを行う。
実験結果を表9に示す。
【表9】
【0217】
実験例3:ヒト末梢血単核細胞中TNF-αに対する化合物の阻害活性のインビトロ検出
実験目的:ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)中のTNF-αレベルで、試験化合物の細胞レベルの抗炎症活性を示す。
【0218】
操作手順:
1.健常者から全血を採取し、EDTA抗凝固管で抗凝固処理を行う。
2.Ficoll密度勾配遠心法でPBMCを分離した後、カウントし、細胞濃度を2×10/mLに調整する。
3.U底96ウェルプレートの各ウェルに2×10の細胞、1ng/mLのLPS、濃度が100μM、10μM、1μM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pMの化合物のDMSO溶液を加え、各ウェルは200μLである。
4. 24時間培養した後、上清を収集する。
5.ELISA法で上清中のTNF-αレベルを検出し、コンピュータソフトウェアGraphpad Prismで阻害曲線をあてはめしてIC50を算出する。
実験結果を表10に示す。
【表10】
【0219】
実験例4:ビーグル犬による薬物動態研究
本研究では、試験動物として雄性のビーグル犬を用い、LC-MS/MS法でビーグル犬への化合物WX036の静脈注射又は経口投与の異なる経過時間後の血漿中薬物濃度を定量的に測定することで、ビーグル犬の体内の化合物WX036の薬物動態特性を評価する。
【0220】
化合物WX036の清澄溶液を頭静脈又は大伏在静脈から10~12kgのビーグル犬2匹の体内に注射し、試験化合物の清澄溶液を10~12kgのビーグル犬2匹(一晩絶食)に胃内投与する。投与後0.0333時間、0.0833時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間に、全ての動物は末梢静脈から約500μL採血して0.85~1.15mgのKEDTA・2HOを含む抗凝固遠心管に移し、4℃で、3000gで10分間遠心分離した後、血漿を採取する。LC-MS/MS法で血中薬物濃度を測定し、薬物動態コンピュータソフトウェアWinNonlin(商標)Version 6.3(Pharsight、Mountain View、CA)を用いて、ノンコンパートメントモデル×線形台数法で関連の薬物動態パラメータを算出する。
【表11】
【0221】
実験例5:ヒト肝ミクロソーム由来シトクロムP450のアイソエンザイム(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4)に対する活性阻害効果
CYPの5種のアイソエンザイムの5つの特異的なプローブ基質、フェナセチン(Phenacetin、CYP1A2)、ジクロフェナク(Diclofenac、CYP2C9)、(S)-メフェニトイン((S)-Mephenytoin、CYP2C19)、デキストロメトルファン(Dextromethorphan、CYP2D6)、ミダゾラム(Midazolam、CYP3A4)をそれぞれヒト肝ミクロソーム及び試験化合物と共インキュベートし、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型(NADPH)を加えて反応を開始させる。反応終了後、サンプルを処理し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)法で、特異的な基質が生成した5種の代謝生成物、アセトアミノフェン(Acetaminophen)、4’-ヒドロキシジクロフェナク(4’-Hydroxydiclofenac)、4’-ヒドロキシメフェニトイン(4’-Hydroxymephenytoin)、デキストロルファン(Dextrorphan)、1’-ヒドロキシミダゾラム(1’-Hydroxymidazolam)の濃度を定量的に検出し、それぞれの半数阻害濃度(IC50)を算出する。
【表12】
【0222】
実験例6:受動喫煙誘発ラット急性肺損傷モデルによる薬力学研究
試験動物:
雄性SPF Sprague-Dawleyラット(提供元:上海斯莱克実験動物有限公司)を用いる。体重は約200gである。
【0223】
試験手順:
1.動物を施設に運んだ後、施設環境に適応するように1週間飼育し、体重によってランダムに3群に分ける。
2.試験開始後1~3日目に、各群に試験対象化合物を30分間噴霧し、モデル群及び各化合物処理群の動物を1時間受動喫煙に曝露させた後、4時間を経て再び1時間受動喫煙に曝露させる。毎日2回で、3日連続してタバコの煙に曝露させる。対照群動物を室内の空気に曝露させる
3.試験後4日目、各群に試験対象化合物を30分間噴霧し、モデル群及び各化合物処理群の動物に対して噴霧吸入より150μg/mLのLPSに15分間曝露させ、噴霧開始から3時間後、1時間受動喫煙に曝露させ、動物の肺機能(Penh)を検出し、COを付与して動物を安楽死した後、肺胞洗浄液を収集して細胞をカウントする。
4.薬物投与:
投与形態:全身曝露用噴霧装置を用いて、最大噴霧量(約12mL)で30分間試験化合物を噴霧する。
投与頻度:毎朝受動喫煙前に30分間薬物を噴霧投与し又は溶媒を投与し、4日目にLPS噴霧吸入前に薬物を投与する。
5.薬力学的エンドポイントの測定:
(1)BALF(肺胞洗浄液)中の白血球総数。
(2)メタコリン(Mch)誘発モデルに対する肺機能検査(気道抵抗の指標Penh)。
【表13】

試験結果を図1及び図2に示す。
図1
図2