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特許7491897計測装置、測距装置、電子機器および計測方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】計測装置、測距装置、電子機器および計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20240521BHJP
   G01J 1/44 20060101ALI20240521BHJP
   G01S 7/486 20200101ALI20240521BHJP
   H01L 31/107 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01J1/42 H
G01J1/44 A
G01S7/486
H01L31/10 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021502055
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2020006377
(87)【国際公開番号】W WO2020175251
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2019034949
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣野 大輔
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-179587(JP,A)
【文献】特表2010-521825(JP,A)
【文献】特表2008-542706(JP,A)
【文献】特開2012-060012(JP,A)
【文献】特開2009-238935(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181307(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0230037(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-1/60
G01S 7/48-7/51、17/00-17/95
H01L 27/14-17/148、31/10-31/119
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電位に充電された状態で入射された光子に応じてアバランシェ増倍が発生して電流が流れ、リチャージ電流により該状態に戻る受光素子と、
前記電流を検出し、該電流が閾値を跨いだ場合に出力信号を反転させる検出部と、
前記検出部により検出された前記反転のタイミングをクロックに従い遅延させる第1の遅延部と、前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを前記クロックに従いさらに遅延させる第2の遅延部と、を含む遅延部と、
前記受光素子の動作を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、
前記第1の遅延部の出力と前記第2の遅延部の出力との論理積に基づき前記受光素子に対する前記リチャージ電流の供給を制御し、
前記第1の遅延部の出力と反転させた前記第2の遅延部の出力との論理積に基づき前記受光素子における前記アバランシェ増倍の発生を制御する、
計測装置。
【請求項2】
前記第1の遅延部は、
前記クロックの立ち上がりおよび立ち下がりのうち一方に従い前記反転のタイミングを遅延させ、
前記第2の遅延部は、
前駆クロックの立ち上がりおよび立ち下がりのうち前記一方と異なる他方に従い、前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングをさらに遅延させる
請求項に記載の計測装置。
【請求項3】
前記第2の遅延部は、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを、さらに、前記クロックに従い順次に遅延させる複数の第3の遅延部を含み、
前記制御部は、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングと、前記複数の第3の遅延部のうち1つの遅延部によりさらに遅延された前記反転のタイミングと、に基づき前記受光素子の動作を制御する
請求項に記載の計測装置。
【請求項4】
第1の基板と、該第1の基板が積層される第2の基板と、を含み、
前記受光素子が前記第1の基板に配置され、
前記検出部と、前記遅延部と、前記制御部と、が前記第2の基板に配置される
請求項1に記載の計測装置。
【請求項5】
前記受光素子は、
それぞれ独立して光子が入射される複数の素子が配列される素子アレイとして構成され、
前記制御部は、
前記複数の素子それぞれの動作を、該複数の素子に含まれる2以上の素子毎に共通に制御する
請求項1に記載の計測装置。
【請求項6】
前記2以上の素子それぞれに1対1で対応する2以上の前記検出部のそれぞれに検出された2以上の前記反転のタイミングのうち時系列上で最も先に検出された前記反転のタイミングに基づき、前記2以上の素子それぞれの動作を制御する
請求項に記載の計測装置。
【請求項7】
前記受光素子は、単一光子アバランシェダイオードである
請求項1に記載の計測装置。
【請求項8】
所定の電位に充電された状態で入射された光子に応じてアバランシェ増倍が発生して電流が流れ、リチャージ電流により該状態に戻る受光素子と、
前記電流を検出し、該電流が閾値を跨いだ場合に出力信号を反転させる検出部と、
前記検出部により検出された前記反転のタイミングをクロックに従い遅延させる第1の遅延部と、前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを前記クロックに従いさらに遅延させる第2の遅延部と、を含む遅延部と、
前記受光素子の動作を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する制御部と、
光源が発光した発光タイミングから、前記受光素子が受光した受光タイミングまで、の時間を計測して計測値を取得する時間計測部と、
前記計測値のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラムに基づき被測定物までの距離を演算する演算部と、
を備え
前記制御部は、
前記第1の遅延部の出力と前記第2の遅延部の出力との論理積に基づき前記受光素子に対する前記リチャージ電流の供給を制御し、
前記第1の遅延部の出力と反転させた前記第2の遅延部の出力との論理積に基づき前記受光素子における前記アバランシェ増倍の発生を制御する、
測距装置。
【請求項9】
光源と、
前記光源が発光する発光タイミングを制御する光源制御部と、
所定の電位に充電された状態で入射された光子に応じてアバランシェ増倍が発生して電流が流れ、リチャージ電流により該状態に戻る受光素子と、
前記電流を検出し、該電流が閾値を跨いだ場合に出力信号を反転させる検出部と、
前記検出部により検出された前記反転のタイミングをクロックに従い遅延させる第1の遅延部と、前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを前記クロックに従いさらに遅延させる第2の遅延部と、を含む遅延部と、
前記受光素子の動作を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する制御部と、
前記発光タイミングから、前記受光素子が受光した受光タイミングまで、の時間を計測して計測値を取得する時間計測部と、
前記計測値のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラムに基づき被測定物までの距離を演算する演算部と、
前記演算部で演算された前記距離を示し情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1の遅延部の出力と前記第2の遅延部の出力との論理積に基づき前記受光素子に対する前記リチャージ電流の供給を制御し、
前記第1の遅延部の出力と反転させた前記第2の遅延部の出力との論理積に基づき前記受光素子における前記アバランシェ増倍の発生を制御する、
電子機器。
【請求項10】
所定の電位に充電された状態で入射された光子に応じてアバランシェ増倍が発生して電流が流れ、リチャージ電流により該状態に戻る受光素子の該電流を検出し、該電流が閾値を跨いだ場合に出力信号を反転させる検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された前記反転のタイミングをクロックに従い遅延させる第1の遅延ステップと、前記第1の遅延ステップにより遅延された前記反転のタイミングを前記クロックに従いさらに遅延させる第2の遅延ステップと、を含む遅延ステップと、
前記受光素子の動作を、前記遅延ステップにより遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する制御ステップと、
を有し、
前記制御ステップは、
前記第1の遅延ステップによる出力と前記第2の遅延ステップによる出力との論理積に基づき前記受光素子に対する前記リチャージ電流の供給を制御し、
前記第1の遅延ステップによる出力と反転させた前記第2の遅延ステップによる出力との論理積に基づき前記受光素子における前記アバランシェ増倍の発生を制御する、
計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、測距装置、電子機器および計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受光した光を光電変換により電気信号に変換して出力可能な受光素子が知られている。このような受光素子の一つとして、アバランシェ増倍により1光子の入射に応じて大電流を得ることができる単一光子アバランシェダイオード(以下、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)と呼ぶ)が知られている。SPADのこの特性を利用することで、1光子の入射を高感度で検知することができる。
【0003】
SPADによる光子検出動作について、概略的に説明する。例えば、電源電圧Vddが供給され、基準電圧Vrefに基づき出力電流が制御される電流源を、SPADのカソードに接続する。SPADのアノードは、アバランシェ増倍が発生する大きな負電圧(-Vbd)を与える。この状態でSPADに光子が入射されると、アバランシェ増倍が開始されSPADのカソードからアノードの方向に向けて電流が流れ、それに伴いSPADにおいて電圧降下が発生し、アノード-カソード間電圧が電圧(-Vbd)まで下がるとアバランシェ増倍が停止される(クエンチング動作)。その後、電流源からの電流(リチャージ電流Idとする)によりSPADが充電され、SPADの状態が光子入射前の状態に戻る(リチャージ動作)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-044923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SPADのクエンチング動作およびリチャージ動作を、制御に従い強制的に実行する、アクティブクエンチ/リチャージ方式が知られている。アクティブクエンチ/リチャージ方式において、クエンチング動作およびリチャージ動作の、SPADの電圧降下発生タイミングに対する遅延量は、インバータチェーンの駆動力や、負荷容量の調整により決定することができる。
【0006】
これらインバータチェーンの駆動力や負荷容量はアナログ要素であり、PVT(Process/Voltage/Temperature)変動、外来ノイズなどの影響を受け易い。
【0007】
本開示は、受光素子の動作をより安定して制御可能とする計測装置、測距装置、電子機器および計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る計測装置は、所定の電位に充電された状態で入射された光子に応じてアバランシェ増倍が発生して電流が流れ、リチャージ電流により該状態に戻る受光素子と、前記電流を検出し、該電流が閾値を跨いだ場合に出力信号を反転させる検出部と、前記検出部により検出された前記反転のタイミングをクロックに従い遅延させる第1の遅延部と、前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを前記クロックに従いさらに遅延させる第2の遅延部と、を含む遅延部と、前記受光素子の動作を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の遅延部の出力と前記第2の遅延部の出力との論理積に基づき前記受光素子に対する前記リチャージ電流の供給を制御し、前記第1の遅延部の出力と反転させた前記第2の遅延部の出力との論理積に基づき前記受光素子における前記アバランシェ増倍の発生を制御する
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】各実施形態に適用可能な直接ToF方式による測距を模式的に示す図である。
図2】各実施形態に適用可能な、受光部が受光した時刻に基づく一例のヒストグラムを示す図である。
図3】各実施形態に係る測距装置を用いた電子機器の一例の構成を示すブロック図である。
図4】各実施形態に適用可能な測距装置の一例の構成をより詳細に示すブロック図である。
図5】各実施形態に適用可能な画素の基本的な構成例を示す図である。
図6】各実施形態に係る測距装置に適用可能なデバイスの構成の例を示す模式図である。
図7】既存技術による、アクティブクエンチ/リチャージ方式を用いて受光素子の制御を行うための一例の構成を概略的に示す図である。
図8A】既存技術による素子制御部が含む遅延手段の例を示す図である。
図8B】既存技術による素子制御部が含む遅延手段の例を示す図である。
図8C】既存技術による素子制御部が含む遅延手段の例を示す図である。
図8D】既存技術による素子制御部が含む遅延手段の例を示す図である。
図9】第1の実施形態に係る、アクティブクエンチ/リチャージ方式を用いて受光素子の制御を行うための一例の構成を概略的に示す図である。
図10】第1の実施形態に係る構成の例を、より詳細に示す図である。
図11】第1の実施形態に係る動作の例を示すタイミングチャートである。
図12】第1の実施形態に係る受光素子の制御を示す一例のフローチャートである。
図13】第1の実施形態の第1の変形例に係る素子制御部の構成の例を示す図である。
図14】第1の実施形態の第1の変形例に係る素子制御部における各遅延回路の出力信号のタイミングの例を示すタイミングチャートである。
図15】第1の実施形態の第1の変形例に係るロジック回路の一例の構成を示す図である。
図16】第1の実施形態の第2の変形例に係る素子制御部の構成の例を示す図である。
図17】第1の実施形態の第2の変形例に係る動作の例を示すタイミングチャートである。
図18】第1の実施形態の第3の変形例に係る素子制御部の構成の例を示す図である。
図19】第2の実施形態に係る素子制御部の構成の例を示す図である。
図20】第1の実施形態に係る動作の例を示すタイミングチャートである。
図21】第3の実施形態に係る構成の例を示す図である。
図22】第3の実施形態に適用可能な、画素を受光チップとロジックチップとに分離して構成する例を示す図である。
図23】第4の実施形態に係る測距装置に適用可能な受光ICの構成の例を示す図である。
図24】第5の実施形態による、上述の第1の実施形態およびその各変形例、第2の実施形態、第3の実施形態、ならびに、第4の実施形態を適用可能な測距装置を使用する使用例を示す図である。
図25】本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図26】撮像部の設置位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の各実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより、重複する説明を省略する。
【0011】
(各実施形態に共通の構成)
本開示は、光子の検出を行う技術に用いて好適なものである。本開示の各実施形態の説明に先んじて、理解を容易とするために、各実施形態に適用可能な技術の一つとして、光子の検出により測距を行う技術について説明する。この場合の測距方式として、直接ToF(Time Of Flight)方式を適用する。直接ToF方式は、光源から射出された光が被測定物により反射した反射光を受光素子により受光し、光の射出タイミングと受光タイミングとの差分の時間に基づき測距を行う方式である。
【0012】
図1および図2を用いて、直接ToF方式による測距について、概略的に説明する。図1は、各実施形態に適用可能な直接ToF方式による測距を模式的に示す図である。測距装置300は、光源部301と受光部302とを含む。光源部301は、例えばレーザダイオードであって、レーザ光をパルス状に発光するように駆動される。光源部301から射出された光は、被測定物303により反射され、反射光として受光部302に受光される。受光部302は、光電変換により光を電気信号に変換する受光素子を含み、受光した光に応じた信号を出力する。
【0013】
ここで、光源部301が発光した時刻(発光タイミング)を時間tem、光源部301から射出された光が被測定物303により反射された反射光を受光部302が受光した時刻(受光タイミング)を時間treとする。定数cを光速度(2.9979×108[m/sec])とすると、測距装置300と被測定物303との間の距離Dは、次式(1)により計算される。
D=(c/2)×(tre-tem) …(1)
【0014】
測距装置300は、上述の処理を、複数回繰り返して実行する。受光部302が複数の受光素子を含み、各受光素子に反射光が受光された各受光タイミングに基づき距離Dをそれぞれ算出してもよい。測距装置300は、発光タイミングの時間temから受光部302に光が受光された受光タイミングまでの時間tm(受光時間tmと呼ぶ)を階級(ビン(bins))に基づき分類し、ヒストグラムを生成する。
【0015】
なお、受光部302が受光時間tmに受光した光は、光源部301が発光した光が被測定物により反射された反射光に限られない。例えば、測距装置300(受光部302)の周囲の環境光も、受光部302に受光される。
【0016】
図2は、各実施形態に適用可能な、受光部302が受光した時刻に基づく一例のヒストグラムを示す図である。図2において、横軸はビン、縦軸は、ビン毎の頻度を示す。ビンは、受光時間tmを所定の単位時間d毎に分類したものである。具体的には、ビン#0が0≦tm<d、ビン#1がd≦tm<2×d、ビン#2が2×d≦tm<3×d、…、ビン#(N-2)が(N-2)×d≦tm<(N-1)×dとなる。受光部302の露光時間を時間tepとした場合、tep=N×dである。
【0017】
測距装置300は、受光時間tmを取得した回数をビンに基づき計数してビン毎の頻度310を求め、ヒストグラムを生成する。ここで、受光部302は、光源部301から射出された光が反射された反射光以外の光も受光する。このような、対象となる反射光以外の光の例として、上述した環境光がある。ヒストグラムにおいて範囲311で示される部分は、環境光による環境光成分を含む。環境光は、受光部302にランダムに入射される光であって、対象となる反射光に対するノイズとなる。
【0018】
一方、対象となる反射光は、特定の距離に応じて受光される光であって、ヒストグラムにおいてアクティブ光成分312として現れる。このアクティブ光成分312内のピークの頻度に対応するビンが、被測定物303の距離Dに対応するビンとなる。測距装置300は、そのビンの代表時間(例えばビンの中央の時間)を上述した時間treとして取得することで、上述した式(1)に従い、被測定物303までの距離Dを算出することができる。このように、複数の受光結果を用いることで、ランダムなノイズに対して適切な測距を実行可能となる。
【0019】
図3は、各実施形態に係る測距装置を用いた電子機器の一例の構成を示すブロック図である。図3において、電子機器6は、測距装置1と、光源部2と、記憶部3と、制御部4と、光学系5と、を含む。
【0020】
光源部2は、上述した光源部301に対応し、レーザダイオードであって、例えばレーザ光をパルス状に発光するように駆動される。光源部2は、面光源としてレーザ光を射出するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)を適用することができる。これに限らず、光源部2として、レーザダイオードをライン上に配列したアレイを用い、レーザダイオードアレイから射出されるレーザ光をラインに垂直の方向にスキャンする構成を適用してもよい。さらにまた、単光源としてのレーザダイオードを用い、レーザダイオードから射出されるレーザ光を水平および垂直方向にスキャンする構成を適用することもできる。
【0021】
測距装置1は、上述した受光部302に対応して、複数の受光素子を含む。複数の受光素子は、例えば2次元格子状に配列されて受光面を形成する。光学系5は、外部から入射する光を、測距装置1が含む受光面に導く。
【0022】
制御部4は、電子機器6の全体の動作を制御する。例えば、制御部4は、測距装置1に対して、光源部2を発光させるためのトリガである発光トリガを供給する。測距装置1は、この発光トリガに基づくタイミングで光源部2を発光させると共に、発光タイミングを示す時間temを記憶する。また、制御部4は、例えば外部からの指示に応じて、測距装置1に対して、測距の際のパターンの設定を行う。
【0023】
測距装置1は、受光面に光が受光されたタイミングを示す時間情報(受光時間tm)を取得した回数を所定の時間範囲内で計数し、ビン毎の頻度を求めて上述したヒストグラムを生成する。測距装置1は、さらに、生成したヒストグラムに基づき、被測定物までの距離Dを算出する。算出された距離Dを示す情報は、記憶部3に記憶される。
【0024】
図4は、各実施形態に適用可能な測距装置1の一例の構成をより詳細に示すブロック図である。図4において、測距装置1は、画素アレイ部100と、測距処理部101と、画素制御部102と、全体制御部103と、クロック生成部104と、発光タイミング制御部105と、インタフェース(I/F)106と、を含む。これら画素アレイ部100、測距処理部101、画素制御部102、全体制御部103、クロック生成部104、発光タイミング制御部105およびインタフェース(I/F)106は、1つの半導体チップ上に配置することができる。
【0025】
これに限らず、測距装置1は、第1の半導体チップと第2の半導体チップとを積層した構成としてもよい。この場合、例えば画素アレイ部100の一部(受光部など)を第1の半導体チップ上に配置し、測距装置1に含まれる他の部分を第2の半導体チップ上に配置する構成が考えられる。
【0026】
図4において、全体制御部103は、例えば予め組み込まれるプログラムに従い、この測距装置1の全体の動作を制御する。また、全体制御部103は、外部から供給される外部制御信号に応じた制御を実行することもできる。クロック生成部104は、外部から供給される基準クロック信号に基づき、測距装置1内で用いられる1以上のクロック信号を生成する。発光タイミング制御部105は、外部から供給される発光トリガ信号に従い発光タイミングを示す発光制御信号を生成する。発光制御信号は、光源部2に供給されると共に、測距処理部101に供給される。
【0027】
画素アレイ部100は、2次元格子状に配列される、それぞれ受光素子を含む複数の画素10、10、…を含む。各画素10の動作は、全体制御部103の指示に従った画素制御部102により制御される。例えば、画素制御部102は、各画素10からの画素信号の読み出しを、行方向にp個、列方向にq個の、(p×q)個の画素10を含むブロック毎に制御することができる。また、画素制御部102は、当該ブロックを単位として、各画素10に対する行方向の走査を行い、さらに列方向の走査を行い、各画素10から画素信号を読み出すことができる。これに限らず、画素制御部102は、各画素10をそれぞれ単独で制御することもできる。さらに、画素制御部102は、画素アレイ部100の所定領域を対象領域として、対象領域に含まれる画素10を、画素信号を読み出す対象の画素10とすることができる。さらにまた、画素制御部102は、複数行(複数ライン)に対して纏めて走査を行い、それを列方向にさらに走査して、各画素10から画素信号を読み出すこともできる。
【0028】
なお、以下では、走査は、光源部2(図4参照)を発光させ、画素10からの受光に応じた信号Vplsの読み出しを、1つの走査領域内において走査対象として指定した各画素10について連続的に行う処理をいうものとする。1回の走査において複数回の発光と読み出しとを実行することができる。
【0029】
各画素10から読み出された画素信号は、測距処理部101に供給される。測距処理部101は、変換部110と、生成部111と、信号処理部112と、を含む。
【0030】
各画素10から読み出され、画素アレイ部100から出力された画素信号は、変換部110に供給される。ここで、画素信号は、各画素10から非同期で読み出され、変換部110に供給される。すなわち、画素信号は、各画素10において光が受光されたタイミングに応じて受光素子から読み出され、出力される。
【0031】
変換部110は、画素アレイ部100から供給された画素信号を、デジタル情報に変換する。すなわち、画素アレイ部100から供給される画素信号は、当該画素信号が対応する画素10に含まれる受光素子に光が受光されたタイミングに対応して出力される。変換部110は、供給された画素信号を、当該タイミングを示す時間情報に変換する。
【0032】
生成部111は、変換部110により画素信号が変換された時間情報に基づきヒストグラムを生成する。ここで、生成部111は、時間情報を、設定部113により設定された単位時間dに基づき計数し、ヒストグラムを生成する。生成部111によるヒストグラム生成処理の詳細については、後述する。
【0033】
信号処理部112は、生成部111により生成されたヒストグラムのデータに基づき所定の演算処理を行い、例えば距離情報を算出する。信号処理部112は、例えば、生成部111により生成されたヒストグラムのデータに基づき、当該ヒストグラムの曲線近似を作成する。信号処理部112は、このヒストグラムが近似された曲線のピークを検出し、検出されたピークに基づき距離Dを求めることができる。
【0034】
信号処理部112は、ヒストグラムの曲線近似を行う際に、ヒストグラムが近似された曲線に対してフィルタ処理を施すことができる。例えば、信号処理部112は、ヒストグラムが近似された曲線に対してローパスフィルタ処理を施すことで、ノイズ成分を抑制することが可能である。
【0035】
信号処理部112で求められた距離情報は、インタフェース106に供給される。インタフェース106は、信号処理部112から供給された距離情報を、出力データとして外部に出力する。インタフェース106としては、例えばMIPI(Mobile Industry Processor Interface)を適用することができる。
【0036】
なお、上述では、信号処理部112で求められた距離情報を、インタフェース106を介して外部に出力しているが、これはこの例に限定されない。すなわち、生成部111により生成されたヒストグラムのデータであるヒストグラムデータを、インタフェース106から外部に出力する構成としてもよい。この場合、設定部113が設定する測距条件情報は、フィルタ係数を示す情報を省略することができる。インタフェース106から出力されたヒストグラムデータは、例えば外部の情報処理装置に供給され、適宜、処理される。
【0037】
図5は、各実施形態に適用可能な画素10の基本的な構成例を示す図である。図5において、画素10は、受光素子1000と、PチャネルのMOSトランジスタであるトランジスタ1001と、インバータ1002と、を含む。
【0038】
受光素子1000は、入射された光を光電変換により電気信号に変換して出力する。各実施形態においては、受光素子1000は、入射された光子(光子)を光電変換により電気信号に変換し、光子の入射に応じたパルスを出力する。各実施形態では、受光素子1000として、単一光子アバランシェダイオードを用いる。以下、単一光子アバランシェダイオードを、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)と呼ぶ。SPADは、カソードにアバランシェ増倍が発生する大きな負電圧を加えておくと、1光子の入射に応じて発生した電子がアバランシェ増倍を生じ、大電流が流れる特性を有する。SPADのこの特性を利用することで、1光子の入射を高感度で検知することができる。
【0039】
図5において、SPADである受光素子1000は、カソードがトランジスタ1001のドレインに接続され、アノードが受光素子1000の降伏電圧に対応する負電圧(-Vbd)の電圧源に接続される。トランジスタ1001のソースが電圧Veに接続される。トランジスタ1001のゲートには、基準電圧Vrefが入力される。トランジスタ1001は、電圧Veおよび基準電圧Vrefに応じた電流をドレインから出力する電流源である。このような構成により、受光素子1000には、逆バイアスが印加される。また、光電流は、受光素子1000のカソードからアノードに向けた方向に流れる。
【0040】
より詳細には、受光素子1000は、アノードに電圧(-Vbd)が印加され電位(-Vdb)により充電された状態で光子が入射されると、アバランシェ増倍が開始されカソードからアノードの方向に向けて電流が流れ、それに伴い受光素子1000において電圧降下が発生する。この電圧降下により、受光素子1000のアノード-カソード間電圧が電圧(-Vbd)まで下がるとアバランシェ増倍が停止される(クエンチング動作)。その後、電流源であるトランジスタ1001からの電流(リチャージ電流)により受光素子1000が充電され、受光素子1000の状態が光子入射前の状態に戻る(リチャージ動作)。
【0041】
ここで、当該クエンチング動作およびリチャージ動作は、外部からの制御無しに行われる、パッシブ動作である。
【0042】
トランジスタ1001のドレインと受光素子1000のカソードとの接続点から取り出された電圧Vsが、インバータ1002に入力される。インバータ1002は、入力された電圧Vsに対して例えば閾値判定を行い、当該電圧Vsが閾値電圧Vthを正方向または負方向に超える毎に出力信号Voivを反転させる。
【0043】
より具体的には、インバータ1002は、受光素子1000に対する光子の入射に応じたアバランシェ増倍による電圧降下において、電圧Vsが閾値電圧Vthを跨いだ第1のタイミングで、出力信号Voivを反転させる。次に、リチャージ動作により受光素子1000の充電が行われ電圧Vsが上昇する。インバータ1002は、この上昇する電圧Vsが閾値電圧Vthを跨いだ第2のタイミングで、出力信号Voivを再び反転させる。この第1のタイミングと第2のタイミングとの時間方向の幅が、受光素子1000に対する光子の入射に応じた出力パルスとなる。
【0044】
この出力パルスは、図4を用いて説明した、画素アレイ部100から非同期に出力される画素信号に対応する。図4において、変換部110は、この出力パルスを、当該出力パルスが供給されたタイミングを示す時間情報に変換して生成部111に渡す。生成部111は、この時間情報に基づきヒストグラムを生成する。
【0045】
図6は、各実施形態に係る測距装置1に適用可能なデバイスの構成の例を示す模式図である。図6において、測距装置1は、それぞれ半導体チップからなる受光チップ20と、ロジックチップ21とが積層されて構成される。なお、図5では、説明のため、受光チップ20とロジックチップ21とを分離した状態で示している。
【0046】
受光チップ20は、画素アレイ部100の領域において、複数の画素10それぞれに含まれる受光素子1000が2次元格子状に配列される。また、画素10において、トランジスタ1001およびインバータ1002は、ロジックチップ21上に形成される。受光素子1000の両端は、例えばCCC(Copper-Copper Connection)などによる結合部1105を介して、受光チップ20とロジックチップ21との間で接続される。
【0047】
ロジックチップ21は、受光素子1000によって取得された信号を処理する信号処理部を含むロジックアレイ部2000が設けられる。ロジックチップ21に対して、さらに、当該ロジックアレイ部2000と近接して、受光素子1000によって取得された信号の処理を行う信号処理回路部2010と、測距装置1としての動作を制御する装置制御部2030と、を設けることができる。
【0048】
例えば、信号処理回路部2010は、上述した測距処理部101を含むことができる。また、装置制御部2030は、上述した画素制御部102、全体制御部103、クロック生成部104、発光タイミング制御部105およびインタフェース106を含むことができる。
【0049】
なお、受光チップ20およびロジックチップ21上の構成は、この例に限定されない。また、装置制御部2030は、ロジックアレイ部2000の制御以外にも、例えば受光素子1000の近傍に、他の駆動や制御の目的で配置することができる。装置制御部2030は、図6に示した配置以外にも、受光チップ20およびロジックチップ21の任意の領域に、任意の機能を有するように設けることができる。
【0050】
(既存技術による受光素子の制御)
次に、本開示の説明に先立って、既存技術による受光素子1000の制御について説明する。図7は、既存技術による、アクティブクエンチ/リチャージ方式を用いて受光素子1000の制御を行うための一例の構成を概略的に示す図である。
【0051】
図7において、素子制御部400は、遅延手段を含む。素子制御部400は、受光素子1000に対してフォトンが入射されアバランシェ増倍により電流が流れた際の、最初にインバータ1002の出力信号Voivが反転したタイミングに対して遅延手段により第1の遅延を与えてクエンチング手段1003を制御し、クエンチング動作を実行する。素子制御部400は、クエンチング動作の実行後、さらに第2の遅延を遅延手段により与えてリチャージ手段1004を制御し、リチャージ動作を実行する。
【0052】
ここで、図5を用いて説明したように、電圧Vsに対するインバータ1002の出力信号Voivの、クエンチング動作に係る第1のタイミングと、リチャージ動作に係る第2のタイミングと、の間隔(反転タイミングの間隔)が、受光素子1000に対する光子の入射を示す出力パルスの幅となる。リチャージ動作により受光素子1000が充電される速度は、電流源としてのトランジスタ1001により供給される電流量を多くすることで、より高速にできる。一方で、リチャージ動作による充電を必要以上に高速化すると、光子の入射に応じて受光素子1000に流れる電流が、クエンチング動作により停止されない事態が起こり得る。
【0053】
そのため、アクティブクエンチング/リチャージ方式においては、素子制御部400における遅延手段により、第1のタイミングおよび第2のタイミングを適切に制御する必要がある。
【0054】
図8A図8Dは、既存技術による素子制御部400が含む遅延手段の例を示す図である。図8Aは、複数のインバータ410を直列に接続したインバータチェーンにより遅延手段を構成した例である。図8Bは、図8Aに示したインバータチェーンにおいて、各インバータ410の出力の遅延量を、各インバータ410の負荷容量411を調整することで設定可能とした遅延手段の例である。図8Cは、図8Aに示したインバータチェーンにおいて、各インバータ410の出力の遅延量を、各インバータ410に電流を供給する電流源412を調整することで設定可能とした遅延手段の例である。図8Dは、インバータ410の入力側に設けた電流源412および容量411を整することで、インバータ410から出力される信号の遅延量を設定する遅延手段の例である。
【0055】
上述した図8A図8Dに示した遅延手段は、それぞれアナログ信号処理により遅延を生成している。そのため、素子の特性ばらつきなどにより、発生させる遅延時間におけるばらつきを回避することが難しい。また、図8B図8Dに示した、遅延量を調整可能とした構成は、何れも、容量411および電流源412といったアナログ要素を含む。そのため、PVT(Process/Voltage/Temperature)変動、外来ノイズなどの影響を受け易い。
【0056】
この遅延時間のばらつきに応じて、例えば各画素10から出力される出力パルスの幅にばらつきがある場合、後段の回路(変換部110、生成部111など)を、出力パルスの幅が最も広い状態に応じて設計する必要がある。したがって、ダイナミックレンジ(飽和カウントレート)の向上が難しい。
【0057】
[第1の実施形態]
次に、本開示の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、アクティブクエンチ/リチャージ方式において、クエンチ動作およびリチャージ動作を、所定周期のクロックに基づき制御する。
【0058】
図9は、第1の実施形態に係る、アクティブクエンチ/リチャージ方式を用いて受光素子1000の制御を行うための一例の構成を概略的に示す図である。図9の例では、受光素子1000のクエンチング動作およびリチャージ動作を制御する素子制御部200aは、ロジック回路201aと、遅延回路2101および2102と、クエンチング手段1003と、リチャージ手段1004と、を含む。図9の例では、遅延回路2101および2102として、それぞれ、入力された信号を、所定周期のクロックを提供するクロック信号ckに従いラッチするD-フリップフロップ(FF)回路を用いている。
【0059】
素子制御部200aにおいて、遅延回路2101および2102のクロック入力端に、クロック信号ckが共通に入力される。インバータ1002から出力される出力信号Voivが遅延回路2101の遅延入力端に入力される。遅延回路2101は、遅延入力端に入力された出力信号Voivを遅延させて、出力信号Vo1として出力する。遅延回路2101から出力される出力信号Vo1が、遅延回路2102の遅延入力端に入力される。遅延回路2102は、遅延入力端に入力された出力信号Vo1をさらに遅延させて、出力信号Vo2として出力する。
【0060】
また、遅延回路2101から出力された出力信号Vo1と、遅延回路2102から出力された出力信号Vo2と、がロジック回路201aに入力される。
【0061】
ロジック回路201aは、遅延回路2101から供給される出力信号Vo1と、遅延回路2102から供給される出力信号Vo2と、に基づき、クエンチング手段1003およびリチャージ手段1004を制御する。このように、第1の実施形態に係る素子制御部200は、クエンチング手段1003によるクエンチング動作と、リチャージ手段1004によるリチャージ動作と、を同期されたクロック信号ckに基づき制御している。
【0062】
そのため、第1の実施形態によれば、クエンチング動作およびリチャージ動作に対する遅延量は、クロック信号ckに基づき決定され、当該遅延量に対する画素10毎のばらつきを抑制することができる。また、当該遅延量がクロック信号ckに基づき決定されるため、当該遅延量に対する各要素のPVT変動や外来ノイズなど影響を抑制することができる。したがって、第1の実施形態を適用することで、受光素子1000の動作をより安定的に制御することが可能となる。
【0063】
図10は、第1の実施形態に係る構成の例を、より詳細に示す図である。図10において、ロジック回路201aは、AND回路2001および2002を含む。AND回路2001は、一方の入力端が、入力信号を反転させる反転入力端とされている。遅延回路2102から出力される出力信号Vo2が、AND回路2001の一方の入力端(反転入力端)と、AND回路2002の一方の入力端と、に入力される。また、遅延回路2101から出力される出力信号Vo1が、AND回路2001の他方の入力端(非反転入力端)と、AND回路2002の他方の入力端と、に入力される。
【0064】
AND回路2001は、一方の入力端に反転して入力された出力信号Vo2と、他方の入力端に入力された出力信号Vo1と、の論理積を、クエンチング手段1003の動作を制御する制御信号en_qとして出力する。また、AND回路2002は、一方および他方の入力端にそれぞれ入力された出力信号Vo1およびVo2の論理積を、リチャージ手段1004を制御する制御信号en_rとして出力する。
【0065】
図10の例では、クエンチング手段1003は、NチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであるトランジスタ211を用いて構成される。トランジスタ211のドレインが、受光素子1000のカソードと、トランジスタ1001のドレインと、が接続される接続点に接続される。トランジスタ211のソースが接地電圧に接続される。トランジスタ211のゲートに、制御信号en_qが入力される。
【0066】
また、図10の例では、リチャージ手段1004は、PチャネルのMOSトランジスタであるトランジスタ212と、NチャネルのMOSトランジスタであるトランジスタ213と、を用いて構成される。トランジスタ212のソースには、所定のバイアス電圧Vbpが供給される。トランジスタ212のドレインがトランジスタ213のドレインに接続され、トランジスタ212のドレインとトランジスタ213のドレインとが接続される接続点に、トランジスタ1001のゲートが接続される。トランジスタ213のソースが接地電圧に接続される。トランジスタ212および213のゲートには、制御信号en_rがそれぞれ入力される。
【0067】
図11は、第1の実施形態に係る、図10の構成による動作の例を示すタイミングチャートである。図11において、横軸は時間を示し、縦方向に、クロック信号ck、電圧Vs、出力信号Voiv、Vo1およびVo2、ならびに、制御信号en_qおよびen_rをそれぞれ示している。
【0068】
図11に示されるように、時点t0にて受光素子1000に光子が入射される前の初期状態において、電圧Vsはハイ(High)状態とされ、この電圧Vsがインバータ1002で反転され、インバータ1002の出力信号Voivがロー(Low)状態とされ、遅延回路2101および2102それぞれの出力信号Vo1およびVo2がロー(Low)状態とされる。制御信号en_qは、他方の入力端に入力される出力信号Vo1がロー状態であるので、ロー状態とされる。また、制御信号en_rは、出力信号Vo1およびVo2がそれぞれロー状態であるので、ロー状態とされる。
【0069】
図11において、時点t0にて受光素子1000に光子が入射されると、アバランシェ増倍により受光素子1000に電流が流れ、それに伴い電圧Vsが降下する。電圧Vsがインバータ1002における閾値電圧Vthを時点t1で跨ぐと、インバータ1002は、出力信号Voivを反転させ、ハイ状態とする。出力信号Voivのハイ状態は、クロック信号ckの次の立ち上がりタイミング(時点t2)で遅延回路2101にラッチされ、遅延回路2101の出力信号Vo1がハイ状態とされる。すなわち、遅延回路2101は、インバータ1002から出力された出力信号Voivをクロック信号ckに従い遅延させる。
【0070】
遅延回路2101の出力信号Vo1は、次のクロック信号ckの立ち上がりのタイミング(時点t3)で遅延回路2102にラッチされ、遅延回路2102の出力信号Vo2がハイ状態とされる。すなわち、遅延回路2102は、遅延回路2101でクロック信号ckに従い遅延させたインバータ1002の出力信号Voivを、クロック信号ckに従いさらに遅延させる。
【0071】
ここで、時点t2から時点t3までの期間は、遅延回路2101の出力信号Vo1がハイ状態、遅延回路2102の出力信号Vo2がロー状態となっている。そのため、AND回路2002から出力される制御信号en_rは、ロー状態が維持される一方、AND回路2001から出力される制御信号en_qは、ハイ状態とされる。したがって、トランジスタ211がオン(ON)状態とされ、受光素子1000のカソードが接地電圧(gnd)に接続され、クエンチング動作(Quench)がなされる。
【0072】
時点t3で遅延回路2102の出力信号Vo2がハイ状態とされると、出力信号Vo1およびVo2がそれぞれハイ状態となる。これにより、AND回路2001から出力される制御信号en_qがロー状態となり、クエンチング手段1003においてトランジスタ211がオフ状態になる。一方、時点t3においてAND回路2002から出力される制御信号en_rがハイ状態とされ、リチャージ手段1004において、トランジスタ212がオフ状態、トランジスタ213がオン状態となる。これにより、トランジスタ1001のゲートがロー状態となってトランジスタ1001がオン状態となり、時点t3において、受光素子1000が電圧Veにて充電されるリチャージ動作(Recharge)が実行される。
【0073】
リチャージ動作により受光素子1000に対する充電が開始されると、充電量に応じて電圧Vsが上昇する。インバータ1002は、電圧Vsが閾値電圧Vthを跨ぐと(時点t4)、出力信号Voivを反転させて、ロー状態とする。図11の例では、出力信号Voivが反転する時点t4は、リチャージ動作が開始された時点t3の後のタイミングとなっている。
【0074】
クロック信号ckの次の立ち上がりのタイミング(時点t5)で、遅延回路2101の出力信号Vo1がロー状態とされる。一方、遅延回路2102の出力信号Vo2は、この時点t5ではハイ状態であるので、AND回路2002から出力される制御信号en_rは、ロー状態とされる。すなわち、この時点t5において制御信号en_qおよびen_rがそれぞれロー状態となり、各トランジスタ211、212および213が初期状態となる(Reset)。
【0075】
クロック信号ckの次の立ち上がりのタイミング(時点t6)で、遅延回路2102の出力信号Vo2がロー状態とされる。
【0076】
なお、上述では、遅延回路2101の出力信号Vo1がロー状態となった時点t5で各トランジスタ211、212および213を初期状態としているが、これはこの例に限定されない。すなわち、各トランジスタ211、212および213を初期状態とするタイミングは、電圧Vsのセトリング時間に応じて異なるタイミングとすることができる。一例として、リチャージ動作が時点t5からクロック信号ckの次の立ち上がりの時点t6までの間に完了する場合、各トランジスタ211、212および213の初期化を時点t6において行うことが考えられる。この場合、ロジック回路201aの構成を、対応する構成に変更する。
【0077】
図12は、第1の実施形態に係る受光素子の制御を示す一例のフローチャートである。図12のフローチャートによる処理の実行に先んじて、素子制御部200aの各部が図11で説明した初期状態とされているものとする。
【0078】
ステップS10で、インバータ1002は、受光素子1000に流れる電流を検出する。次のステップS11で、インバータ1002は、ステップS10で検出された電流が閾値を跨いだか否かを判定する。インバータ1002は、検出された電流が閾値を跨いでいないと判定した場合(ステップS11、「No」)、処理をステップS10に戻し、電流の検出を継続する。一方、インバータ1002は、ステップS10で検出された電流が閾値を跨いだと判定した場合(ステップS11、「Yes」、図11の時点t1)、処理をステップS12に移行させる。
【0079】
なお、実際には、ステップS10において、インバータ1002は、受光素子1000に電流が流れることによる、当該受光素子1000における電圧Vsを検出する。ステップS11で、インバータ1002は、電圧Vsが閾値電圧Vthを跨いだか否かを判定する。
【0080】
ステップS12で、インバータ1002は、出力信号Voivを反転させる。次のステップS13で、ロジック回路201aは、ステップS12でインバータ1002により出力信号Voivが反転されたタイミングを、クロック信号ckに従い遅延させる(図11の時点t2)。
【0081】
次のステップS14で、ロジック回路201aは、ステップS13で遅延されたタイミングに従い受光素子1000を制御する。より具体的には、ロジック回路201aは、ステップS14で、当該タイミングに従いクエンチング手段1003およびリチャージ手段1004を制御し、受光素子1000にクエンチング動作およびリチャージ動作を実行させる。実際には、ロジック回路201aは、上述したように、クエンチング手段1003の制御(図11の時点t2)の後、クロック信号ckの次の立ち上がりのタイミング(図11の時点t3)で、受光素子1000のリチャージ動作を開始させる。
【0082】
リチャージ動作の完了後、クロック信号ckに従い、素子制御部200aの各部が初期状態とされる(図11の時点t5、t6)。
【0083】
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。上述した第1の実施形態では、2つの遅延回路2101および2102を用いてインバータ1002から出力される出力信号Voivを遅延させていた。これはこの例に限定されず、インバータ1002から出力される出力信号Voivを、クロック信号ckに同期する3以上の遅延回路を用いてもよい。
【0084】
図13は、第1の実施形態の第1の変形例に係る素子制御部の構成の例を示す図である。図13の例では、第1の実施形態の第1の変形例に係る素子制御部200cは、同一のクロック信号ckに同期して動作する、3以上の遅延回路2101、2102および2103、…が示されている。図14は、この図13に示される、第1の実施形態の第1の変形例に係る素子制御部200cにおける、各遅延回路2101、2102および2103、…の出力信号Vo1、Vo2およびVo3、…のタイミングの例を示すタイミングチャートである。
【0085】
図13の構成において、遅延回路2101は、インバータ1002から出力される出力信号Voivのハイ状態への遷移を、クロック信号ckの時点t10における立ち上がりのタイミングでラッチし、出力信号Vo1をハイ状態とする。遅延回路2102は、この出力信号Vo1のハイ状態への遷移を、クロック信号ckの次の立ち上がりのタイミング(時点t11)でラッチし、出力信号Vo2をハイ状態とする。遅延回路2103は、この出力信号Vo2のハイ状態への遷移を、クロック信号ckの次の立ち上がりのタイミング(時点t12)でラッチし、出力信号Vo3をハイ状態とする。
【0086】
以降、さらに遅延回路が直列に接続されている場合、各遅延回路は、前段の遅延回路の出力信号のハイ状態への遷移を、順次、クロック信号ckの立ち上がりのタイミングでラッチし、自身の出力電圧をハイ状態に遷移する。このように、共通のクロック信号ckにより同期して動作する、D-FFによる複数の遅延回路を直列に接続した場合、各遅延回路の出力信号は、クロック信号ckの周期に従い後段の遅延回路に引き継がれる。
【0087】
図15は、第1の実施形態の第1の変形例に係るロジック回路201cの一例の構成を示す図である。ロジック回路201cは、図10を用いて説明したロジック回路201aと同様に、一方の入力端が反転入力端、他方の入力端が非反転入力端のAND回路2001と、一方および他方の入力端が共に非反転入力端であるAND回路2002と、を含む。ロジック回路201cは、さらに、セレクタ2003を含む。
【0088】
図15の例では、AND回路2001および2002の他方の入力端には、図10と同様に、遅延回路2101の出力信号Vo1が入力される。AND回路2001および2002の一方の入力端には、セレクタ2003の出力が入力される。セレクタ2003の選択入力端には、遅延回路2102、2103、…の各出力信号Vo2、Vo3、…が入力される。セレクタ2003は、選択入力端に入力された各出力信号Vo2、Vo3、…のうち1つを選択して、AND回路2001および2002の一方の入力端に入力する。
【0089】
AND回路2001および2002は、それぞれ、一方の入力端に入力された、出力信号Vo2、Vo3、…からセレクタ2003により選択された出力電圧と、遅延回路2101から出力された出力信号Vo1と、に基づき、制御信号en_qおよびen_rを出力する。クエンチング手段1003およびリチャージ手段1004は、これら制御信号en_qおよびen_rに従い、図10および図11を用いた説明と同様にして制御される。なお、クエンチング手段1003およびリチャージ手段1004の構成は、図10を用いて説明した構成をそのまま適用できる。
【0090】
このように、3以上の遅延手段を直列に接続することで、クエンチング動作に対するリチャージ動作の遅延時間を、クロック信号ckの周期を単位として調整することが可能となる。
【0091】
(第1の実施形態の第2の変形例)
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。上述した第1の実施形態では、各遅延回路2101および2102の動作を、クロック信号ckの立ち上がりのタイミングに同期させていた。これに対して、第1の実施形態の第2の変形例では、クロック信号ckの立ち下がりのタイミングをさらに用いて、各遅延回路2101および2102を動作させる。
【0092】
図16は、第1の実施形態の第2の変形例に係る素子制御部の構成の例を示す図である。図16に示される素子制御部200dは、図9および図10を用いて説明した素子制御部200aに含まれる遅延回路2102を、クロック入力端が反転入力とされた遅延回路2102’と置き換えた例である。遅延回路2102’は、クロック信号ckの立ち下がりのタイミングに同期して動作する。また、ロジック回路201dは、図10を用いて説明したロジック回路201aと同一の構成を有する。
【0093】
なお、図16に示される遅延回路2102’以外の部分は、図9および図10と同一の構成を適用できるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0094】
図17は、第1の実施形態の第2の変形例に係る動作の例を示すタイミングチャートである。上述した図11と同様に、図17において、横軸は時間を示し、縦方向に、クロック信号ck、電圧Vs、出力信号Voiv、Vo1およびVo2、ならびに、制御信号en_qおよびen_rをそれぞれ示している。時点t20にて受光素子1000に光子が入射される前の初期状態において、電圧Vsがハイ状態、インバータ1002の出力信号Voivがロー、遅延回路2101および2102それぞれの出力信号Vo1およびVo2がロー状態とされる。また、当該初期状態において、制御信号en_qおよびen_rは、それぞれロー状態とされる。
【0095】
図17において、時点t20にて受光素子1000に光子が入射されると、アバランシェ増倍により受光素子1000に電流が流れ、それに伴い電圧Vsが降下する。電圧Vsがインバータ1002における閾値電圧Vthを時点t21で跨ぐと、インバータ1002は、出力信号Voivを反転させ、ハイ状態とする。出力信号Voivのハイ状態は、クロック信号ckの次の立ち上がりタイミング(時点t22)で遅延回路2101にラッチされ、遅延回路2101の出力信号Vo1がハイ状態とされる。すなわち、遅延回路2101は、インバータ1002から出力された出力信号Voivをクロック信号ckに従い遅延させる。
【0096】
遅延回路2101の出力信号Vo1は、クロック信号ckの次の立ち下がりのタイミング(時点t23)で遅延回路2102にラッチされ、遅延回路2102の出力信号Vo2がハイ状態とされる。すなわち、遅延回路2102は、遅延回路2101でクロック信号ckに従い遅延させたインバータ1002の出力信号Voivを、クロック信号ckに従いさらに遅延させる。
【0097】
時点t22から時点t23までの期間は、遅延回路2101の出力信号Vo1がハイ状態、遅延回路2102の出力信号Vo2がロー状態となっている。そのため、AND回路2002から出力される制御信号en_rは、ロー状態が維持される一方、AND回路2001から出力される制御信号en_qは、ハイ状態とされる。したがって、トランジスタ211がオン状態とされ、受光素子1000のカソードが接地電圧(gnd)に接続され、クエンチング動作(Quench)がなされる。
【0098】
時点t23で遅延回路2102の出力信号Vo2がハイ状態とされると、出力信号Vo1およびVo2がそれぞれハイ状態となる。これにより、AND回路2001から出力される制御信号en_qがロー状態となり、クエンチング手段1003においてトランジスタ211がオフ状態になる。一方、AND回路2002から出力される制御信号en_rがハイ状態とされ、リチャージ手段1004において、トランジスタ212がオフ状態、トランジスタ213がオン状態となる。これにより、トランジスタ1001のゲートがロー状態となってトランジスタ1001がオン状態となり、クロック信号ckの立ち下がりのタイミングである時点t23において、受光素子1000が電圧Veにて充電されるリチャージ動作(Recharge)が実行される。
【0099】
リチャージ動作により受光素子1000に対する充電が開始されると、充電量に応じて電圧Vsが上昇する。インバータ1002は、電圧Vsが閾値電圧Vthを跨ぐと(時点t24)、出力信号Voivを反転させて、ロー状態とする。図17の例では、出力信号Voivが反転する時点t24は、リチャージ動作が開始された時点t23の後のタイミングとなっている。
【0100】
上述した第1の実施形態では、図11を用いて説明したように、時点t22でクエンチング動作が実行されてから、時点t23でリチャージ動作が開始されるまでの時間が、クロック信号ckの1周期に対応する時間となっている。これに対して、第1の実施形態の第2の変形例では、クロック信号ckの立ち下がりのタイミングをさらに用いている。そのため、時点t22でクエンチング動作が実行されてから、時点t23でリチャージ動作が開始されるまでの時間が、クロック信号ckの1/2の時間となっている。
【0101】
したがって、インバータ1002において出力信号Voivを反転させる間隔を短縮でき、より高速な動作が可能となる。また、各処理を例えば上述した図11と同様の時間間隔で動作させる場合、必要なクロック信号ckの周波数が図11の場合と比較して1/2で済み、クロック信号ckの生成に関する消費電力を削減することが可能である。
【0102】
また、第1の実施形態の第2の変形例によれば、上述した第1の実施形態と同様に、クエンチング動作およびリチャージ動作に対する遅延量は、クロック信号ckに基づき決定され、当該遅延量に対する画素10毎のばらつきを抑制することができる。また、当該遅延量がクロック信号ckに基づき決定されるため、当該遅延量に対する各要素のPVT変動や外来ノイズなど影響を抑制することができる。したがって、第1の実施形態の第2の変形例を適用することで、受光素子1000の動作をより安定的に制御することが可能となる。
【0103】
クロック信号ckの次の立ち上がりのタイミング(時点t25)で、遅延回路2101の出力信号Vo1がロー状態とされる。一方、遅延回路2102の出力信号Vo2は、この時点t25ではハイ状態であるので、AND回路2002から出力される制御信号en_rは、ロー状態とされる。すなわち、この時点t25において制御信号en_qおよびen_rがそれぞれロー状態となり、各トランジスタ211、212および213が初期状態となる(Reset)。
【0104】
クロック信号ckの次の立ち下がりのタイミング(時点t26)で、遅延回路2102の出力信号Vo2がロー状態とされる。
【0105】
なお、上述では、遅延回路2101の出力信号Vo1がロー状態となった時点t25で、クエンチング動作およびリチャージ動作に係る各トランジスタ211、212および213を初期状態としているが、これはこの例に限定されない。すなわち、各トランジスタ211、212および213を初期状態とするタイミングは、電圧Vsのセトリング時間に応じて異なるタイミングとすることができる。一例として、リチャージ動作が時点t25からクロック信号ckの次の立ち下がりの時点t26までの間に完了する場合、各トランジスタ211、212および213の初期化を時点t26において行うことが考えられる。この場合、ロジック回路201dの構成を、対応する構成に変更する。
【0106】
(第1の実施形態の第3の変形例)
次に、第1の実施形態の第3の変形例について説明する。上述した第1の実施形態、ならびに、第1の実施形態の第1および第2の変形例では、受光素子1000のカソードから電圧Vsを読み出して、インバータ1002に供給する構成となっていた。これに対して、第1の実施形態の第3の変形例は、受光素子1000のアノードから電圧Vsを読み出して、インバータ1002に供給する構成としている。
【0107】
図18は、第1の実施形態の第3の変形例に係る素子制御部の構成の例を示す図である。この図18に示される構成は、図16に示した第1の実施形態の第2の変形例の構成に対応するものとして示している。
【0108】
図18において、画素10’は、受光素子1010と、NチャネルのMOSトランジスタであるトランジスタ1011と、インバータ1002と、を含む。受光素子1010は、上述の受光素子1000と対応するもので、カソードが、上述した負電圧(-Vbd)に絶対値が対応する正の電圧Vbdに電圧Veを加えた電圧(Vbd+Ve)に接続される。受光素子1010のアノードが、トランジスタ1011のドレインに接続される。トランジスタ1011のソースは、所定の電圧VSSに接続される。電圧VSSは、例えば接地電圧とすることができる。
【0109】
トランジスタ1011と受光素子1010のアノードとが接続される接続点から取り出された電圧Vsがインバータ1002に入力される。インバータ1002は、電圧Vsに対して閾値電圧Vthによる閾値判定を行い、電圧Vsが閾値電圧Vthを跨いだと判定した場合に、出力信号Voivを反転させる。
【0110】
素子制御部200eは、ロジック回路201eと、遅延回路2101および2102’と、クエンチング手段1003’と、リチャージ手段1004’と、を含む。
【0111】
インバータ1002から出力された出力信号Voivは、遅延回路2101に入力される。遅延回路2101は、入力された信号をクロック信号ckの立ち上がりのタイミングでラッチするD-FF回路である。遅延回路2101から出力された出力信号Vo1は、遅延回路2102’に入力される。遅延回路2102’は、クロック入力端が反転入力端とされ、入力された信号をクロック信号ckの立ち下がりのタイミングでラッチするD-FF回路である。
【0112】
遅延回路2101および2102’から出力された各出力信号Vo1およびVo2は、ロジック回路201eに入力される。ロジック回路201eは、NAND回路2011および2012を含む。NAND回路2011は、一方の入力端が、入力信号を反転させる反転入力端とされている。遅延回路2102から出力される出力信号Vo2が、NAND回路2011の一方の入力端(反転入力端)と、NAND回路2012の一方の入力端と、に入力される。また、遅延回路2101から出力される出力信号Vo1が、NAND回路2011の他方の入力端(非反転入力端)と、NAND回路2012の他方の入力端と、に入力される。
【0113】
NAND回路2011は、一方の入力端に反転して入力された出力信号Vo2と、他方の入力端に入力された出力信号Vo1と、の論理積を、クエンチング手段1003’の動作を制御する制御信号xen_qとして出力する。また、NAND回路2012は、一方および他方の入力端にそれぞれ入力された出力信号Vo1およびVo2の論理積を、リチャージ手段1004’を制御する制御信号xen_rとして出力する。
【0114】
図18の例では、クエンチング手段1003’は、PチャネルのMOSトランジスタであるトランジスタ2110を用いて構成される。トランジスタ2110のドレインが、受光素子1010のアノードと、トランジスタ1011のドレインと、が接続される接続点に接続される。トランジスタ2110のソースが電圧Veに接続される。トランジスタ2110のゲートに、制御信号xen_qが入力される。
【0115】
また、図18の例では、リチャージ手段1004’は、PチャネルのMOSトランジスタであるトランジスタ2111と、NチャネルのMOSトランジスタであるトランジスタ2112と、を用いて構成される。トランジスタ2112のソースには、所定のバイアス電圧Vbnが供給される。トランジスタ2112のドレインがトランジスタ2111のドレインに接続され、トランジスタ2112のドレインとトランジスタ2111のドレインとが接続される接続点に、トランジスタ1011のゲートが接続される。トランジスタ2111のソースが電圧Veに接続される。トランジスタ2111および2112のゲートには、制御信号xen_rがそれぞれ入力される。
【0116】
この図18に示す構成における動作は、当該構成に対応する図16の構成における動作と同様となる。したがって、図18の動作として、図16の構成に対応する図17のタイミングチャートを用いて説明した動作を適用できるので、ここでの説明を省略する。このように、本開示の技術は、受光素子1010のアノードから電圧Vsを読み出す構成にも適用可能なものである。
【0117】
第1の実施形態の第3の変形例においても、上述した第1の実施形態と同様に、クエンチング動作およびリチャージ動作に対する遅延量は、クロック信号ckに基づき決定され、当該遅延量に対する画素10’毎のばらつきを抑制することができる。また、当該遅延量がクロック信号ckに基づき決定されるため、当該遅延量に対する各要素のPVT変動や外来ノイズなど影響を抑制することができる。したがって、第1の実施形態の第3の変形例を適用することで、受光素子1010の動作をより安定的に制御することが可能となる。
【0118】
[第2の実施形態]
次に、本開示の第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態およびその各変形例では、クエンチング動作およびリチャージ動作を、それぞれ、クロック信号ckに同期させたアクティブ方式により実行していた。これに対して、第2の実施形態では、クエンチング動作をパッシブ方式により実行し、リチャージ動作を、クロック信号ckに同期させたアクティブ方式により実行する。
【0119】
図19は、第2の実施形態に係る素子制御部の構成の例を示す図である。図19に示す構成は、例えば図10に示した第1の実施形態の構成に対して、アクティブ方式によるクエンチング動作に関する構成が省略されている。より具体的には、図19に示される素子制御部200fにおいて、図10の構成に対してクエンチング手段1003(トランジスタ211)が省略されている。
【0120】
また、ロジック回路201fは、図10のロジック回路201aに対して、クエンチング手段1003を制御する制御信号en_qを出力するためのAND回路2001が省略されている。遅延回路2102から出力される出力信号Vo2がAND回路2002の一方の入力端に入力される。また、遅延回路2101から出力される出力信号Vo1がAND回路2002の他方の入力端に入力される。AND回路2002の出力は、リチャージ手段1004に含まれるトランジスタ212および213の各ゲートに入力される。
【0121】
図20は、第1の実施形態に係る、図19の構成による動作の例を示すタイミングチャートである。図20において、横軸は時間を示し、縦方向に、クロック信号ck、電圧Vs、出力信号Voiv、Vo1およびVo2、ならびに、制御信号en_rをそれぞれ示している。
【0122】
図20に示されるように、時点t30にて受光素子1000に光子が入射される前の初期状態において、電圧Vsはハイ状態とされ、この電圧Vsがインバータ1002で反転され、インバータ1002の出力信号Voivがロー状態とされ、遅延回路2101および2102それぞれの出力信号Vo1およびVo2がロー状態とされる。制御信号en_rは、出力信号Vo1およびVo2がそれぞれロー状態であるので、ロー状態とされる。
【0123】
図20において、時点t30にて受光素子1000に光子が入射されると、アバランシェ増倍により受光素子1000に電流が流れ、それに伴い電圧Vsが降下する。電圧Vsがインバータ1002における閾値電圧Vthを時点t31で跨ぐと、インバータ1002は、出力信号Voivを反転させ、ハイ状態とする。出力信号Voivのハイ状態は、クロック信号ckの次の立ち上がりタイミング(時点t32)で遅延回路2101にラッチされ、遅延回路2101の出力信号Vo1がハイ状態とされる。すなわち、遅延回路2101は、インバータ1002から出力された出力信号Voivをクロック信号ckに従い遅延させる。
【0124】
遅延回路2101の出力信号Vo1は、次のクロック信号ckの立ち上がりのタイミング(時点t33)で遅延回路2102にラッチされ、遅延回路2102の出力信号Vo2がハイ状態とされる。すなわち、遅延回路2102は、遅延回路2101でクロック信号ckに従い遅延させたインバータ1002の出力信号Voivを、クロック信号ckに従いさらに遅延させる。
【0125】
ここで、受光素子1000におけるアバランシェ増倍によりトランジスタ1001を介して流れる電流に応じて、トランジスタ1001のソース-ドレイン間抵抗により電圧降下が発生する。この電圧降下により、受光素子1000に掛かる電圧が電圧(-Vdb)まで下がり、パッシブ方式によるクエンチング動作が実行される。
【0126】
時点t33で遅延回路2102の出力信号Vo2がハイ状態とされると、出力信号Vo1およびVo2がそれぞれハイ状態となる。これにより、AND回路2002から出力される制御信号en_rがハイ状態とされ、リチャージ手段1004において、トランジスタ212がオフ状態、トランジスタ213がオン状態となる。これにより、トランジスタ1001のゲートがロー状態となってトランジスタ1001がオン状態となり、時点t33において、受光素子1000が電圧Veにて充電されるリチャージ動作(Recharge)が実行される。
【0127】
リチャージ動作により受光素子1000に対する充電が開始されると、充電量に応じて電圧Vsが上昇する。インバータ1002は、電圧Vsが閾値電圧Vthを跨ぐと(時点t34)、出力信号Voivを反転させて、ロー状態とする。図20の例では、出力信号Voivが反転する時点t34は、リチャージ動作が開始された時点t33の後のタイミングとなっている。
【0128】
クロック信号ckの次の立ち上がりのタイミング(時点t35)で、遅延回路2101の出力信号Vo1がロー状態とされる。一方、遅延回路2102の出力信号Vo2は、この時点t35ではハイ状態であるので、AND回路2002から出力される制御信号en_rは、ロー状態とされる。すなわち、この時点t35において制御信号en_qおよびen_rがそれぞれロー状態となり、各トランジスタ211、212および213が初期状態となる(Reset)。
【0129】
クロック信号ckの次の立ち上がりのタイミング(時点t36)で、遅延回路2102の出力信号Vo2がロー状態とされる。
【0130】
なお、上述では、遅延回路2101の出力信号Vo1がロー状態となった時点t35で、リセット動作に係る各トランジスタ212および213を初期状態としているが、これはこの例に限定されない。すなわち、各トランジスタ212および213を初期状態とするタイミングは、電圧Vsのセトリング時間に応じて異なるタイミングとすることができる。一例として、リチャージ動作が時点t35からクロック信号ckの次の立ち上がりの時点t36までの間に完了する場合、各トランジスタ212および213の初期化を時点t36において行うことが考えられる。この場合、ロジック回路201fの構成を、対応する構成に変更する。
【0131】
この第2の実施形態の構成では、クロック信号ckに同期させた強制的なクエンチング動作を行わないため、上述した第1の実施形態に係る構成に対して、クエンチング動作に時間を要する。したがって、第2の実施形態に係る構成において、受光素子1000に光子が入射されてからリチャージ動作が完了するために要する時間は、リチャージ動作をパッシブ方式により実行する場合に比べて短時間で済むが、上述した上述した第1の実施形態に係る構成と比較して、長時間を要する。
【0132】
一方で、第2の実施形態に係る構成は、アクティブ方式によるクエンチング動作を実行するための構成(例えば図11におけるトランジスタ211およびAND回路2001)を省略することができる。したがって、上述した第1の実施形態に係る構成と比較して、より簡易な構成にて実現可能である。また、これにより、実装時の回路面積を、第1の実施形態に係る構成と比較して、より小さくすることが可能である。
【0133】
また、第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態などと同様に、リチャージ動作に対する遅延量は、クロック信号ckに基づき決定され、当該遅延量に対する画素10毎のばらつきを抑制することができる。また、当該遅延量がクロック信号ckに基づき決定されるため、当該遅延量に対する各要素のPVT変動や外来ノイズなど影響を抑制することができる。したがって、第2の実施形態を適用することで、受光素子1000の動作をより安定的に制御することが可能となる。
【0134】
[第3の実施形態]
次に、本開示の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、本開示に係る素子制御部を、複数の画素10に共通して設ける例である。図21は、第3の実施形態に係る構成の例を示す図である。図21の例では、第1の実施形態にて説明した素子制御部200aを第3の実施形態に適用した例について示している。
【0135】
図21において、各画素10のインバータ1002から出力された各出力信号VoivがOR回路1030に入力される。OR回路1030の出力は、素子制御部200aの遅延回路2101の入力端に入力される。遅延回路2101は、OR回路1030から入力された出力信号Voivをクロック信号ckの立ち上がりのタイミングでラッチし、クロック信号ckの次の立ち上がりのタイミングで、出力信号Vo1を出力する。出力信号Vo1は、遅延回路2102の入力端に入力される。遅延回路2102は、入力された出力信号Vo1をラッチし、クロック信号ckの次の立ち上がりのタイミングで出力信号Vo2を出力する。
【0136】
遅延回路2101から出力された出力信号Vo1と、遅延回路2102から出力された出力信号Vo2と、がロジック回路201aに入力される。ロジック回路201aは、図10および図11などを用いて説明したように、出力信号Vo1およびVo2に基づき、クエンチング動作を制御するための制御信号en_qと、リチャージ動作を制御するための制御信号en_rと、を生成し、各画素10に供給する。
【0137】
なお、図21の例では、説明のため、制御信号en_qが省略されると共に、制御信号en_rが信号RCHGとして示されている。
【0138】
信号RCHGは、各画素10に共通して供給される。各画素10において、信号RCHGに応じて、図示を省略するリチャージ手段1004によりトランジスタ1001の動作が制御され、各受光素子1000に対するリチャージ動作が実行される。
【0139】
図21に示す構成では、OR回路1030は、各画素10のうち時間的に最も先に光子が入射された画素10のインバータ1002から出力された出力信号Voivを出力する。したがって、インバータ1002の出力信号VoivをOR回路1030に入力する各画素10は、各画素10のうち時間的に最も先に光子が入射された画素10に同期して、クエンチング動作およびリチャージ動作が実行される。
【0140】
このように、クエンチング動作およびリチャージ動作を制御する制御信号を複数の画素10で共有することで、素子制御部200aの数が少なくて済み、実装の際の回路面積を削減することが可能である。
【0141】
なお、図21に示される各画素10において、受光素子1000は、結合部1020を介して、画素10に含まれる他の要素(例えばトランジスタ1001およびインバータ1002)と分離した構成とすることができる。図22は、第3の実施形態に適用可能な、クエンチング動作およびリチャージ動作を制御する制御信号を2画素×2画素の4つの画素10で共有する場合において、画素10を受光チップ20とロジックチップ21(それぞれ図6参照)とに分離して構成する例を示す図である。
【0142】
図22の例では、上述した図6と同様に、受光チップ20の下面と、ロジックチップ21の上面と、が貼り合わされる構造とされる。各受光素子1000は、各受光素子1000において光子が入射される面が受光チップ20の上面に配置される。一方、例えば素子制御部200aと、各画素10に含まれるトランジスタ1001およびインバータ1002と、クエンチング手段1003と、リチャージ手段1004と、が、ロジックチップ21上の回路部1040に配置される。
【0143】
受光素子1000のカソードおよびアノードが、チップ間接続1050を行う各接続部1051および1052を介して、回路部1040に接続される。このとき、受光素子1000のカソードを回路部1040に接続する接続部1051は、上述した結合部1020と対応する。結合部1020は、例えばCCC(Copper-Copper Connection)を適用すると好ましい。
【0144】
このような構成において、クエンチング動作およびリチャージ動作を制御する制御信号を複数の画素10で共有することで、例えば各受光素子1000の受光チップ20上の配置位置それぞれに1対1に対応するロジックチップ21上の回路部1040における各領域に、素子制御部200aを配置する必要が無くなる。これにより、回路部1040におけるレイアウトに余裕を持たせることが可能となる。これは、例えば各受光素子1000の受光面が小面積化し、各受光素子1000をより高密度に配置可能となった場合などにおいて、ロジックチップ21におけるレイアウト設計などを容易とすることが可能となる。
【0145】
[第4の実施形態]
次に、本開示の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、例えば図3図6を用いて説明した、本開示の技術が適用される測距装置1を、単層の半導体チップ上に形成する例である。図23は、第4の実施形態に係る測距装置に適用可能な受光IC(Integrated Circuit)の構成の例を示す図である。
【0146】
図23において、第4の実施形態に係る受光IC1200は、例えば図1の受光部302に対応するもので、図3および図4を用いて説明した測距装置1の構成を含む。受光IC1200は、単層の半導体チップ上に、画素アレイ部100と、周辺回路部1100と、ロジック部1101と、I/O(Input/Output)部1102とが配置されて構成される。
【0147】
画素アレイ部100は、上述したように、行列状に配置された複数の画素10を含む。図23の例では、例えば、各画素10と、素子制御部200aと、クエンチング手段1003と、リチャージ手段1004と、が画素アレイ部100に含まれるものとして示している。素子制御部200aは、各画素10に設けてもよいし、複数の画素10毎に1つの素子制御部200aを設ける構成でもよい。
【0148】
ロジック部1101は、例えば図4の測距処理部101に対応する。例えば、ロジック部1101は、画素アレイ部100から例えば画素10毎に供給される各出力信号Vo2を、画素10に含まれる受光素子1000に光が受光されたタイミングを示す時間情報に変換する。ロジック部1101は、さらに、各出力信号Vo2が変換された時間情報に基づきヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムのデータに基づき所定の演算を行い、例えば距離情報を算出する。ロジック部1101で算出された距離情報は、例えば図4のI/F106に対応するI/O部1102を介して、出力データとして受光IC1200の外部に出力される。
【0149】
図23において、周辺回路部1100は、図4に示したクロック生成部104に対応するクロック生成部1110を含む。クロック生成部1110は、上述したクロック信号ckを生成し、生成したクロック信号ckを、経路1120を介して受光IC1200の各部に供給する。さらに、周辺回路部1100は、例えば図4に示した画素制御部102と、全体制御部103と、発光タイミング制御部105と、を含む。周辺回路部1100は、これらクロック生成部1110と、図4に示した画素制御部102と、全体制御部103と、発光タイミング制御部105と、を含めて、受光IC1200上にレイアウトされる。
【0150】
このように、第4の実施形態では、受光IC1200上に、クロック生成部1110と、画素アレイ部100と、が配置され、クロック生成部1110で生成されたクロック信号ckが画素アレイ部100に供給される。画素アレイ部100において、クロック信号ckは、各画素10に対応する各素子制御部200aに供給される。
【0151】
各画素10において、受光素子1000のクエンチング動作およびリチャージ動作がクロック信号ckに基づき制御される。そのため、クエンチング動作およびリチャージ動作をアナログ素子により遅延させる場合と比較して、アナログ遅延の遅延量に対するPVT変動対策のような構成が不要となる。また、外来ノイズの影響も抑制されるため、例えば受光素子1000から取り出される電圧Vsのダイナミックレンジの変動を抑えることが可能である。したがって、第4の実施形態を適用することで、受光素子1000の動作をより安定的に制御することが可能となり、より高精度に測距を実行可能にできる。
【0152】
[第5の実施形態]
次に、本開示の第5の実施形態として、本開示の第1の実施形態およびその各変形例、第2の実施形態、第3の実施形態、ならびに、第4の実施形態の適用例について説明する。図24は、第5の実施形態による、上述の第1の実施形態およびその各変形例、第2の実施形態、第3の実施形態、ならびに、第4の実施形態を適用可能な測距装置1を使用する使用例を示す図である。
【0153】
上述した測距装置1は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0154】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置。
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置。
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置。
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置。
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置。
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置。
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置。
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置。
【0155】
[本開示に係る技術のさらなる適用例]
(移動体への適用例)
本開示に係る技術は、さらに、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボットといった各種の移動体に搭載される装置に対して適用されてもよい。
【0156】
図25は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0157】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図25に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、および統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、および車載ネットワークI/F(インタフェース)12053が図示されている。
【0158】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、および、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0159】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0160】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット12030は、例えば、受信した画像に対して画像処理を施し、画像処理の結果に基づき物体検出処理や距離検出処理を行う。
【0161】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0162】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0163】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0164】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0165】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0166】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声および画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図25の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062およびインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイおよびヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0167】
図26は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。図26では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104および12105を有する。
【0168】
撮像部12101、12102、12103、12104および12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドアおよび車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101および車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101および12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0169】
なお、図26には、撮像部12101~12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112および12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102および12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101~12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0170】
撮像部12101~12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101~12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0171】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101~12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111~12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0172】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101~12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0173】
撮像部12101~12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101~12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101~12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101~12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0174】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、上述した上述の第1の実施形態およびその各変形例、第2の実施形態、第3の実施形態、ならびに、第4の実施形態を適用可能な測距装置1を撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、より安定的に測距を実行することが可能となる。
【0175】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0176】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
所定の電位に充電された状態で入射された光子に応じてアバランシェ増倍が発生して電流が流れ、リチャージ電流により該状態に戻る受光素子と、
前記電流を検出し、該電流が閾値を跨いだ場合に出力信号を反転させる検出部と、
前記検出部により検出された前記反転のタイミングをクロックに従い遅延させる遅延部と、
前記受光素子の動作を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する制御部と、
を備える計測装置。
(2)
前記制御部は、
前記受光素子に対する前記リチャージ電流の供給を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する
前記(1)に記載の計測装置。
(3)
前記制御部は、
前記受光素子における前記アバランシェ増倍の発生を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する
前記(1)または(2)に記載の計測装置。
(4)
前記遅延部は、
前記反転のタイミングを前記クロックに従い遅延させる第1の遅延部と、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを前記クロックに従いさらに遅延させる第2の遅延部と、
を含み、
前記制御部は、
前記第1の遅延部に遅延された前記反転のタイミングと、前記第2の遅延部によりさらに遅延された前記反転のタイミングと、に基づき前記受光素子の動作を制御する
前記(1)乃至(3)の何れかに記載の計測装置。
(5)
前記第1の遅延部は、
前記クロックの立ち上がりおよび立ち下がりのうち一方に従い前記反転のタイミングを遅延させ、
前記第2の遅延部は、
前駆クロックの立ち上がりおよび立ち下がりのうち前記一方と異なる他方に従い、前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングをさらに遅延させる
前記(4)に記載の計測装置。
(6)
前記第2の遅延部は、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを、さらに、前記クロックに従い順次に遅延させる複数の第3の遅延部を含み、
前記制御部は、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングと、前記複数の第3の遅延部のうち1つの遅延部によりさらに遅延された前記反転のタイミングと、に基づき前記受光素子の動作を制御する
前記(4)に記載の計測装置。
(7)
第1の基板と、該第1の基板が積層される第2の基板と、を含み、
前記受光素子が前記第1の基板に配置され、
前記検出部と、前記遅延部と、前記制御部と、が前記第2の基板に配置される
前記(1)乃至(6)の何れかに記載の計測装置。
(8)
前記受光素子は、
それぞれ独立して光子が入射される複数の素子が配列される素子アレイとして構成され、
前記制御部は、
前記複数の素子それぞれの動作を、該複数の素子に含まれる2以上の素子毎に共通に制御する
前記(1)乃至(7)の何れかに記載の計測装置。
(9)
前記2以上の素子それぞれに1対1で対応する2以上の前記検出部のそれぞれに検出された2以上の前記反転のタイミングのうち時系列上で最も先に検出された前記反転のタイミングに基づき、前記2以上の素子それぞれの動作を制御する
前記(8)に記載の計測装置。
(10)
前記受光素子は、単一光子アバランシェダイオードである
前記(1)乃至(9)の何れかに記載の計測装置。
(11)
所定の電位に充電された状態で入射された光子に応じてアバランシェ増倍が発生して電流が流れ、リチャージ電流により該状態に戻る受光素子と、
前記電流を検出し、該電流が閾値を跨いだ場合に出力信号を反転させる検出部と、
前記検出部により検出された前記反転のタイミングをクロックに従い遅延させる遅延部と、
前記受光素子の動作を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する制御部と、
光源が発光した発光タイミングから、前記受光素子が受光した受光タイミングまで、の時間を計測して計測値を取得する時間計測部と、
前記計測値のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラムに基づき被測定物までの距離を演算する演算部と、
を備える測距装置。
(12)
前記制御部は、
前記受光素子に対する前記リチャージ電流の供給を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する
前記(11)に記載の測距装置。
(13)
前記制御部は、
前記受光素子における前記アバランシェ増倍の発生を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する
前記(11)または(12)に記載の測距装置。
(14)
前記遅延部は、
前記反転のタイミングを前記クロックに従い遅延させる第1の遅延部と、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを前記クロックに従いさらに遅延させる第2の遅延部と、
を含み、
前記制御部は、
前記第1の遅延部に遅延された前記反転のタイミングと、前記第2の遅延部によりさらに遅延された前記反転のタイミングと、に基づき前記受光素子の動作を制御する
前記(11)乃至(13)の何れかに記載の測距装置。
(15)
前記第1の遅延部は、
前記クロックの立ち上がりおよび立ち下がりのうち一方に従い前記反転のタイミングを遅延させ、
前記第2の遅延部は、
前駆クロックの立ち上がりおよび立ち下がりのうち前記一方と異なる他方に従い、前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングをさらに遅延させる
前記(14)に記載の測距装置。
(16)
前記第2の遅延部は、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを、さらに、前記クロックに従い順次に遅延させる複数の第3の遅延部を含み、
前記制御部は、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングと、前記複数の第3の遅延部のうち1つの遅延部によりさらに遅延された前記反転のタイミングと、に基づき前記受光素子の動作を制御する
前記(14)に記載の測距装置。
(17)
第1の基板と、該第1の基板が積層される第2の基板と、を含み、
前記受光素子が前記第1の基板に配置され、
前記検出部と、前記遅延部と、前記制御部と、が前記第2の基板に配置される
前記(11)乃至(16)の何れかに記載の測距装置。
(18)
前記受光素子は、
それぞれ独立して光子が入射される複数の素子が配列される素子アレイとして構成され、
前記制御部は、
前記複数の素子それぞれの動作を、該複数の素子に含まれる2以上の素子毎に共通に制御する
前記(11)乃至(17)の何れかに記載の測距装置。
(19)
前記2以上の素子それぞれに1対1で対応する2以上の前記検出部のそれぞれに検出された2以上の前記反転のタイミングのうち時系列上で最も先に検出された前記反転のタイミングに基づき、前記2以上の素子それぞれの動作を制御する
前記(18)に記載の測距装置。
(20)
前記受光素子は、単一光子アバランシェダイオードである
前記(11)乃至(19)の何れかに記載の測距装置。
(21)
光源と、
前記光源が発光する発光タイミングを制御する光源制御部と、
所定の電位に充電された状態で入射された光子に応じてアバランシェ増倍が発生して電流が流れ、リチャージ電流により該状態に戻る受光素子と、
前記電流を検出し、該電流が閾値を跨いだ場合に出力信号を反転させる検出部と、
前記検出部により検出された前記反転のタイミングをクロックに従い遅延させる遅延部と、
前記受光素子の動作を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する制御部と、
前記発光タイミングから、前記受光素子が受光した受光タイミングまで、の時間を計測して計測値を取得する時間計測部と、
前記計測値のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラムに基づき被測定物までの距離を演算する演算部と、
前記演算部で演算された前記距離を示し情報を記憶する記憶部と、
を備える電子機器。
(22)
前記制御部は、
前記受光素子に対する前記リチャージ電流の供給を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する
前記(21)に記載の電子機器。
(23)
前記制御部は、
前記受光素子における前記アバランシェ増倍の発生を、前記遅延部に遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する
前記(21)または(22)に記載の電子機器。
(24)
前記遅延部は、
前記反転のタイミングを前記クロックに従い遅延させる第1の遅延部と、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを前記クロックに従いさらに遅延させる第2の遅延部と、
を含み、
前記制御部は、
前記第1の遅延部に遅延された前記反転のタイミングと、前記第2の遅延部によりさらに遅延された前記反転のタイミングと、に基づき前記受光素子の動作を制御する
前記(21)乃至(23)の何れかに記載の電子機器。
(25)
前記第1の遅延部は、
前記クロックの立ち上がりおよび立ち下がりのうち一方に従い前記反転のタイミングを遅延させ、
前記第2の遅延部は、
前駆クロックの立ち上がりおよび立ち下がりのうち前記一方と異なる他方に従い、前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングをさらに遅延させる
前記(24)に記載の電子機器。
(26)
前記第2の遅延部は、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングを、さらに、前記クロックに従い順次に遅延させる複数の第3の遅延部を含み、
前記制御部は、
前記第1の遅延部により遅延された前記反転のタイミングと、前記複数の第3の遅延部のうち1つの遅延部によりさらに遅延された前記反転のタイミングと、に基づき前記受光素子の動作を制御する
前記(24)に記載の電子機器。
(27)
第1の基板と、該第1の基板が積層される第2の基板と、を含み、
前記受光素子が前記第1の基板に配置され、
前記検出部と、前記遅延部と、前記制御部と、が前記第2の基板に配置される
前記(21)乃至(26)の何れかに記載の電子機器。
(28)
前記受光素子は、
それぞれ独立して光子が入射される複数の素子が配列される素子アレイとして構成され、
前記制御部は、
前記複数の素子それぞれの動作を、該複数の素子に含まれる2以上の素子毎に共通に制御する
前記(21)乃至(27)の何れかに記載の電子機器。
(29)
前記2以上の素子それぞれに1対1で対応する2以上の前記検出部のそれぞれに検出された2以上の前記反転のタイミングのうち時系列上で最も先に検出された前記反転のタイミングに基づき、前記2以上の素子それぞれの動作を制御する
前記(28)に記載の電子機器。
(30)
前記受光素子は、単一光子アバランシェダイオードである
前記(21)乃至(29)の何れかに記載の電子機器。
(31)
所定の電位に充電された状態で入射された光子に応じてアバランシェ増倍が発生して電流が流れ、リチャージ電流により該状態に戻る受光素子の該電流を検出し、該電流が閾値を跨いだ場合に出力信号を反転させる検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された前記反転のタイミングをクロックに従い遅延させる遅延ステップと、
前記受光素子の動作を、前記遅延ステップにより遅延された前記反転のタイミングに基づき制御する制御ステップと、
を有する計測方法。
【符号の説明】
【0177】
1 測距装置
2 光源部
3 記憶部
6 電子機器
10,10’ 画素
20 受光チップ
21 ロジックチップ
100 画素アレイ部
200a,200c,200d,200e,200f,400 素子制御部
201a,201c,201d,201e,201f ロジック回路
2101,2102,2102’,2103 遅延回路
211,212,213,1001 トランジスタ
410,1002 インバータ
1000 受光素子
1003,1003’ クエンチング手段
1004,1004’ リチャージ手段
1030 OR回路
1120 経路
1200 受光IC
2001,2002 AND回路
2003 セレクタ
2011,2012 NAND回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26