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特許7491912校正情報設定装置、観測装置、校正情報設定方法、観測方法、校正情報設定プログラム、および、観測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】校正情報設定装置、観測装置、校正情報設定方法、観測方法、校正情報設定プログラム、および、観測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 22/00 20060101AFI20240521BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01N22/00 V
G01W1/00 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021519312
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 JP2020016417
(87)【国際公開番号】W WO2020230503
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2019091266
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 修平
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特許第2681997(JP,B2)
【文献】特公平08-003505(JP,B2)
【文献】実開昭55-165277(JP,U)
【文献】特開2013-224884(JP,A)
【文献】特開平11-264736(JP,A)
【文献】Sheng Li et al.,Terahertz Superconducting Radiometric Spectrometer in Tibet for Atmospheric Science,International Journal of Infrared and Millimeter Waves,2018年12月,Vol.40 No.2,pp.166-177
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 22/00-22/04
G01R 23/00-23/20
G01R 29/00-29/26
G01W 1/00-1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測対象のRF信号とローカル信号とをミキシングして、IF信号を生成するミキサと、
前記IF信号を検波して、検波信号を生成する検波器と、
前記ミキサと前記検波器との間に接続され、前記IF信号を減衰させる可変アッテネータと、
前記可変アッテネータの値の変化と前記検波信号の強度の変化との関係から校正情報を設定する校正情報設定部と、
を備える、校正情報設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の校正情報設定装置の各構成と、
前記可変アッテネータの値が固定された状態で得られた前記検波信号の強度と、前記校正情報と、を用いて、前記RF信号の観測データを生成する観測データ生成部と、
を備える、観測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の観測装置であって、
前記校正情報は、前記IF信号の周波数毎に設定されている、
観測装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の観測装置であって、
前記可変アッテネータは、
それぞれに複数の抵抗素子を用いた第1固定抵抗回路および第2固定抵抗回路と、
半導体を用いた可変インピーダンス回路と、を備え、
前記可変インピーダンス回路は、前記第1固定抵抗回路と前記第2固定抵抗回路との間に接続される、
観測装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の観測装置であって、
前記ミキサと前記検波器との間に接続されたIFフィルタと、
前記IFフィルタと前記検波器との間に接続された増幅器と、を備え、
前記可変アッテネータは、前記増幅器よりも前記ミキサ側に接続される、
観測装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の観測装置であって、
前記観測対象のRF信号は、黒体および水蒸気の放射電磁波によるものであり、
前記観測データは、前記黒体の放射電磁波によるRF信号の強度と前記水蒸気の放射電磁波によるRF信号の強度の差である、
観測装置。
【請求項7】
観測対象のRF信号とローカル信号とをミキシングして、IF信号を生成し、
前記IF信号を検波して、検波信号を生成し、
前記IF信号に対する減衰量の変化と前記検波信号の強度の変化との関係から校正情報を設定する、
校正情報設定方法。
【請求項8】
請求項7に記載の校正情報設定方法の各処理を実行し、
前記減衰量が固定された状態で得られた前記検波信号の強度と、前記校正情報と、を用いて、前記RF信号の観測データを生成する、
観測方法。
【請求項9】
観測対象のRF信号とローカル信号とをミキシングして、IF信号を生成し、
前記IF信号を検波して、検波信号を生成し、
前記IF信号に対する減衰量の変化と前記検波信号の強度の変化との関係から校正情報を設定する、
処理を演算装置に実行させる、校正情報設定プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の校正情報設定プログラムの各処理を実行し、
前記減衰量が固定された状態で得られた前記検波信号の強度と、前記校正情報と、を用いて、前記RF信号の観測データを生成する、
処理を演算装置に実行させる、観測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気が生じる放射電磁波等の特定RF信号の観測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すような、水蒸気の観測装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-224884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水蒸気の観測には、放射電磁波(RF信号)の強度を用いる方法がある。この場合、検波器等の観測装置を構成する回路素子の特性によって、観測結果が誤差を有するという問題があった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、観測結果の誤差を小さくできる観測技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の観測装置は、ミキサ、検波器、可変アッテネータ、校正情報設定部、および、観測データ生成部を備える。ミキサは、観測対象のRF信号とローカル信号とをミキシングして、IF信号を生成する。検波器は、IF信号を検波して、検波信号を生成する。可変アッテネータは、ミキサと検波器との間に接続され、IF信号を減衰させる。校正情報設定部は、可変アッテネータの値に応じた検波信号の強度の変化から校正情報を設定する。観測データ生成部は、可変アッテネータの値が固定された状態で得られた検波信号の強度と、校正情報と、を用いて、RF信号の観測データを生成する。
【0007】
この構成では、校正情報は、可変アッテネータの値を変更しながら検波信号のレベルを計測することで得られる。したがって、簡素な構成および処理で、校正情報が得られる。そして、この校正情報によって、観測対象の現象に対する観測時の検波器に起因する誤差が校正される。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、観測結果の誤差を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る観測装置の構成を示すブロック図である。
図2】(A)は、検波信号の強度と減衰量との関係を示すグラフであり、(B)は、強度差の定義を示すグラフである。
図3】可変アッテネータの回路構成例を示す等価回路図である。
図4】(A)は、観測装置が実行するメイン処理の第1態様を示すフローチャートであり、(B)は、観測装置が実行するメイン処理の第2態様を示すフローチャートである。
図5】校正情報の設定の具体的な方法の一例を示すフローチャートである。
図6】観測データの生成の具体的な方法の一例を示すフローチャートである。
図7】第2の実施形態に係る観測装置の構成を示すブロック図である。
図8】第3の実施形態に係る観測装置の構成を示すブロック図である。
図9】第4の実施形態に係る観測装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る観測技術について、図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る観測装置の構成を示すブロック図である。なお、以下の各実施形態に示す観測技術は、水蒸気の観測に用いる態様を示している。しかしながら、観測対象に発する電磁波等のRF信号を観測する装置であれば、本実施形態に係る観測装置の構成は、適用できる。
【0011】
(観測装置10の構成)
図1に示すように、観測装置10は、ミキサ20、基準信号発生器31、ローカル信号発生器32、IFフィルタ41、増幅器42、検波器43、ノイズ抑圧フィルタ44、演算部50、および、可変アッテネータ(可変ATT)60を備える。演算部50は、校正情報設定部501および観測データ生成部502を備える。
【0012】
ミキサ20、ローカル信号発生器32、IFフィルタ41、増幅器42、検波器43、ノイズ抑圧フィルタ44、および、可変アッテネータ(可変ATT)60は、例えば、所定のアナログ電子回路によって実現可能である。基準信号発生器31、および、演算部50は、例えば、CPU等の演算素子と、該演算素子によって実行されるプログラムと、によって実現可能である。
【0013】
観測装置10は、入力端子Pinを有する。入力端子Pinは、図示を省略した初段LNAを介して、アンテナANTに接続する。入力端子Pinは、ミキサ20に接続する。なお、入力端子Pinは、物理的に無くてもよく、この場合、ミキサ20は、初段LNAに直接接続する。また、ローカル信号発生器32は、ミキサ20に接続する。ローカル信号発生器32は、基準信号発生器31に接続する。基準信号発生器31は、演算部50に接続する。
【0014】
ミキサ20は、IFフィルタ41に接続し、IFフィルタ41は、増幅器42に接続する。増幅器42は、可変アッテネータ60に接続し、可変アッテネータ60は、検波器43に接続する。検波器43は、ノイズ抑圧フィルタ44に接続し、ノイズ抑圧フィルタ44は、演算部50に接続する。
【0015】
アンテナANTは、黒色放射体(黒体)90から放射される電磁波、または、観測対象である水蒸気から放射される電磁波を受波する。アンテナANTで受波されたRF信号(電磁波)は、初段LNAを介して、入力端子Pinに入力される。
【0016】
入力端子Pinに入力されたRF信号は、ミキサ20に入力される。
【0017】
基準信号発生器31は、例えば、ノコギリ波からなる基準信号を発生する。基準信号発生器31は、基準信号を、ローカル信号発生器32、および、演算部50に出力する。
【0018】
ローカル信号発生器32は、基準信号に基づいて、所定周波数のローカル信号を発生する。ローカル信号の周波数は、観測対象の周波数スペクトルの周波数範囲内に設定されている。ローカル信号発生器32は、複数の周波数のローカル信号を、個別に発生する。言い換えれば、ローカル信号発生器32は、複数の周波数のローカル信号を、それぞれ異なるタイミングで発生する。ローカル信号発生器32は、ローカル信号をミキサ20に出力する。
【0019】
ミキサ20は、RF信号とローカル信号とをミキシングすることでダウンコンバートして、IF信号を生成する。ミキサ20は、IF信号をIFフィルタ41に出力する。
【0020】
IFフィルタ41は、観測対象の観測データを生成するのに必要な周波数を通過域に含み、その他のノイズ成分を減衰域に含むフィルタ特性を有する。IFフィルタ41は、IF信号をフィルタ処理して、増幅器42に出力する。
【0021】
増幅器42は、IF信号を増幅して、可変アッテネータ60に出力する。
【0022】
可変アッテネータ60は、IF信号の減衰量を調整可能な回路構成を有する。可変アッテネータ60の減衰量は、例えば、演算部50の校正情報設定部501によって設定可能である。可変アッテネータ60を通過したIF信号は、検波器43に入力される。
【0023】
検波器43は、IF信号を検波して、検波信号を出力する。
【0024】
ノイズ抑圧フィルタ44は、例えば、平滑化フィルタによって実現される。ノイズ抑圧フィルタ44は、検波信号のノイズ成分を抑圧して、演算部50に出力する。
【0025】
校正情報設定部501は、詳細は後述するが、検波器43を含み検波器43までの回路に起因する誤差を校正する校正情報を設定する。校正情報設定部501は、校正情報を観測データ生成部502に出力する。
【0026】
観測データ生成部502は、黒色放射体90でアンテナANTの受波面を覆った状態で得られた検波信号(基準検波信号)と、黒色放射体90をアンテナANTの受波面から外した状態で得られた検波信号(観測対象検波信号)とを用いて、観測データを生成する。この際、基準検波信号と観測対象検波信号とは、可変アッテネータ60の減衰量が固定された状態で得られる。
【0027】
より具体的には、観測データ生成部502は、可変アッテネータ60の減衰量が固定された状態において、基準検波信号と観測対象検波信号を受信する。そして、観測データ生成部502は、基準検波信号の強度と観測対象検波信号の強度との差(強度差)から、観測データを生成する。
【0028】
観測データ生成部502は、RF信号の複数の周波数成分のそれぞれに対して、強度差を算出する。これにより、観測データ生成部502は、観測対象の現象に対する放射電磁波の周波数スペクトルを、観測データとして得られる。
【0029】
このとき、観測データ生成部502は、校正情報を用いて予め校正を行っている。これにより、強度差に含まれる検波器43等に起因する誤差は抑制される。したがって、観測データは、観測対象の放射電磁波の強度に対応した高精度な値(誤差が小さな値、誤差が殆ど無い値)になる。
【0030】
(校正情報の設定の概念)
検波器43は、例えば、一般的に温度特性を有している。なお、検波器43以外の回路素子(電子デバイス)も温度特性を有するが、本願では、特に、出力に対する温度特性の影響が大きい、検波器43を主に注目して説明する。したがって、検波信号の強度は、検波器43の温度、例えば、観測装置10の環境温度によって変化する。このように、環境温度によって検波信号の強度が変化すると、観測データに誤差が生じてしまう。したがって、観測装置10は、以下の概念で校正情報を設定し、観測データの構成に利用する。
【0031】
図2(A)は、検波信号の強度と減衰量との関係を示すグラフであり、図2(B)は、強度差の定義を示すグラフである。
【0032】
校正情報の設定は、例えば、黒色放射体90でアンテナANTの受波面を覆った状態において行われる。なお、一定の信号強度のRF信号がアンテナANTに入力される環境を維持できれば、黒色放射体90は、用いなくてもよい。
【0033】
校正情報設定部501は、可変アッテネータ60に対して、減衰量を変更する制御信号を発生する。可変アッテネータ60は、制御信号に応じて、減衰量を変化させる。これにより、可変アッテネータ60は、設定された減衰量で、IF信号を減衰させて出力する。
【0034】
校正情報設定部501は、可変アッテネータ60の減衰量を調整し、複数の減衰量における検波信号の強度を取得する。設定される減衰量は、観測データの生成に必要な範囲で設定されており、設定する減衰量の個数は、適宜設定できる。
【0035】
校正情報設定部501は、複数の減衰量の差と、それぞれの減衰量に対する検波信号の強度の差と関係から、図2(A)に示すような、可変アッテネータ60の減衰量の変化量ΔATTに対する、検波信号の強度の変化量ΔPtを算出する。この際、校正情報設定部501は、複数の減衰量の差と、それぞれの減衰量に対する検波信号の強度の差と関係を、複数組用いて、平均値等を算出することで、変化量ΔPtを算出するとよい。
【0036】
ここで、上述のように、検波器43等が温度特性を有する。したがって、図2(A)に示すように、温度t1における可変アッテネータ60の減衰量の変化量ΔATTに対する温度t1での検波信号強度の変化量ΔPt1(信号強度の変化率Kt1)と、温度t2における可変アッテネータ60の減衰量の変化量ΔATTに対する温度t2での検波信号強度の変化量ΔPt2(信号強度の変化率Kt2)とは、異なる。
【0037】
校正情報設定部501は、この温度に依存する信号強度の変化率Ktを算出する。そして、校正情報設定部501は、例えば、この変化率Ktを校正情報とするか、変化率Ktを用いて校正情報を算出する。
【0038】
これにより、校正情報は、検波器43等の温度特性を適切に反映したものとなる。
【0039】
観測データ生成部502は、上述のように、基準検波信号の強度と観測対象検波信号の強度との差(強度差)から、観測データを生成する。観測データ生成部502は、例えば、図2(B)の強度差ΔP1、強度差ΔP2、および、強度差ΔP3から、観測データを生成する。すなわち、観測データ生成部502は、異なる2つの状態での検波信号の強度差から、観測データを生成する。
【0040】
したがって、校正情報として強度の変化率Ktを用いることで、観測データ生成部502は、検波信号の強度差を高精度に校正でき、高精度な観測データを生成できる。たとば、観測データ生成部502は、変化率Ktを用いて、基準検波信号と観測対象検波信号との強度差を正規化する。これにより、観測データ生成部502は、検波器43の温度特性等に起因する誤差を抑圧して、高精度な観測データを生成できる。
【0041】
そして、本実施形態では、異なる2つの状態は、黒色放射体から放射電磁波が受波される状態と水蒸気からの放射電磁波が受波される状態である。したがって、観測装置10は、水蒸気の放射電磁波の強度に応じた観測データを、高精度に生成できる。
【0042】
以上のように、本実施形態の構成を用いることによって、観測装置10は、水蒸気等の観測対象の現象の観測データを高精度に生成できる。そして、観測装置10は、可変アッテネータ60を用いて減衰量を調整しながら検波信号を生成するだけで、校正情報を設定できる。すなわち、観測装置10は、簡素な構成および簡素な処理で、校正情報を設定でき、高精度な観測データを生成できる。
【0043】
(可変アッテネータの構成例)
図3は、可変アッテネータの回路構成例を示す等価回路図である。図3に示すように、可変アッテネータ60は、可変インピーダンス回路661、固定抵抗回路662、および、固定抵抗回路663を備える。固定抵抗回路622が本発明の「第1固定抵抗回路」に対応し、固定抵抗回路663が本発明の「第2固定抵抗回路」に対応する。
【0044】
可変インピーダンス回路661、固定抵抗回路662、および、固定抵抗回路663は、直列接続される。この際、可変インピーダンス回路661は、固定抵抗回路662と固定抵抗回路663との間に接続される。固定抵抗回路662は、増幅器42の出力端に接続し、固定抵抗回路663は、検波器43に接続する。
【0045】
可変インピーダンス回路661は、抵抗素子と半導体素子とを含む回路であり、半導体素子に流れる制御信号によってインピーダンス(抵抗値)を変化させる。
【0046】
固定抵抗回路662および固定抵抗回路663は、例えば、複数の抵抗素子を所定のパターンで接続した回路構成を有する。固定抵抗回路662は、可変インピーダンス回路661と増幅器42とのインピーダンス整合回路として機能する。固定抵抗回路663は、可変インピーダンス回路661と検波器43とのインピーダンス整合回路として機能する。これにより、可変インピーダンス回路661のインピーダンスを変化させても、可変アッテネータ60と増幅器42との間のインピーダンスの変化や不整合を抑制でき、可変アッテネータ60と検波器43との間のインピーダンスの変化や不整合を抑制できる。したがって、観測装置10は、高精度な校正情報を得られ、高精度な観測データを生成できる。
【0047】
(校正情報の設定方法、観測方法)
上述の説明では、校正情報の設定処理、および、観測データの生成処理を、それぞれに機能部によって実現する態様を示したが、上述の各処理がプログラム化して記憶されており、コンピュータ等の演算装置で当該プログラムを実行することによって、上述の観測装置10の機能を実現してもよい。なお、各処理の具体的な内容は上述しており、追加の説明が必要と考えられる箇所以外は、説明を省略する。
【0048】
図4(A)は、観測装置が実行するメイン処理の第1態様を示すフローチャートであり、図4(B)は、観測装置が実行するメイン処理の第2態様を示すフローチャートである。
【0049】
図4(A)の処理では、観測装置10を構成する演算装置は、校正情報を設定する(S11)。演算装置は、校正情報を用いて、観測データを生成する(S12)。この処理は、観測の初期に、校正情報を設定して利用する場合を示している。観測時間が短い場合等には、この方法を用いればよい。
【0050】
図4(B)の処理では、演算装置は、初期校正情報を設定する(S101)。演算装置は、初期校正情報を用いて、観測データを生成する(S12)。演算装置は、計時機能を有し、校正時刻に達するまで(S13:NO)、初期の校正情報を用いて、観測データを生成する処理を繰り返す(S12)。
【0051】
演算装置は、校正時刻に達すると(S13:YES)、新たに校正情報を設定する(S102)。そして、演算装置は、更新した校正情報を用いて校正を行い、観測データを生成する(S12)。このような処理を用いることで、演算装置は、観測データの生成を継続的に行いながら、定期的に校正情報を更新できる。なお、校正情報の更新は、時刻に基づくものに限らず、例えば、黒色放射体90の電磁波のレベル(強度)が、予め設定した基準値を超えた時に行ってもよい。
【0052】
したがって、演算装置は、高精度な観測データを、継続的に生成できる。また、一般的に、検波器の温度変化は急激ではないので、所定の間隔で、校正情報を更新することで、演算装置は、処理負荷を軽減しながら、高精度な観測データを継続的に生成できる。
【0053】
(校正情報の設定の具体的な方法)
図5は、校正情報の設定の具体的な方法の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、アンテナANTの受波面に、黒色放射体90が配置される(S21)。なお、黒色放射体90の配置は、アンテナANTに黒色放射体90の移動機構を設けて、機械的に制御してもよく、手動であってもよい。演算装置は、可変アッテネータ60の減衰量を設定する(S22)。演算装置は、設定した可変アッテネータ60の減衰量で得られる検波信号の強度を計測する(S23)。
【0054】
演算装置は、観測データを生成するのに必要な強度差が得られる全ての減衰量の範囲を予め設定している。演算装置は、全ての減衰量の範囲に対して検波信号の強度が得られていなければ(S24:NO)、可変アッテネータ60の減衰量の設定を変更して(S22)、検波信号の強度を計測する(S23)。
【0055】
演算装置は、全ての減衰量の範囲に対して検波信号が得られれば(S24:YES)、異なる減衰量における検波信号の強度の差、すなわち、強度の変化率から、校正情報を算出する(S25)。演算装置は、この校正情報を用いて、後述の強度の計測に対する校正を行う(S26)。
【0056】
(観測データの生成の具体的な方法)
図6は、観測データの生成の具体的な方法の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、演算装置は、可変アッテネータ60の減衰量を固定する(S31)。この際、減衰量は、可能な限り小さいことが好ましい。
【0057】
アンテナANTの受波面に、黒色放射体90を配置する(S32)。なお、黒色放射体90の配置は、アンテナANTに黒色放射体90の移動機構を設けて、機械的に制御してもよく、手動であってもよい。
【0058】
演算装置は、基準検波信号の強度を計測する(S33)。
【0059】
アンテナANTの受波面から、黒色放射体90を除去する(S34)。なお、黒色放射体90の除去(取り除き)は、アンテナANTに黒色放射体90の移動機構を設けて、機械的に制御してもよく、手動であってもよい。
【0060】
演算装置は、観測対象検波信号の強度を計測する(S35)。
【0061】
演算装置は、基準検波信号の強度と観測対象検波信号の強度との強度差を算出する(S36)。演算装置は、強度差から観測データを生成、すなわち、水蒸気を観測する(S37)。
【0062】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る観測技術について、図を参照して説明する。図7は、第2の実施形態に係る観測装置の構成を示すブロック図である。
【0063】
図7に示すように、第2の実施形態に係る観測装置10Aは、第1の実施形態に係る観測装置10に対して、複数の回路で、並行に検波信号を計測する点で異なる。その他の点において、観測装置10Aの構成および処理は、観測装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0064】
図7に示すように、観測装置10Aは、ミキサ201、ミキサ202、基準信号発生器31、ローカル信号発生器32、分配器33、分配器34、IFフィルタ411、IFフィルタ412、増幅器421、増幅器422、検波器431、検波器432、ノイズ抑圧フィルタ441、ノイズ抑圧フィルタ442、演算部50A、可変アッテネータ(可変ATT)601、および、可変アッテネータ(可変ATT)602を備える。演算部50Aは、校正情報設定部501A、および、観測データ生成部502Aを備える。
【0065】
分配器33および分配器34は、導波管等のRF信号の伝送線路によって実現される。
【0066】
分配器33は、ローカル信号発生器32、ミキサ201、および、ミキサ202に接続する。分配器34は、入力端子Pin、ミキサ201、および、ミキサ202に接続する。
【0067】
ミキサ201は、IFフィルタ411に接続し、IFフィルタ411は、増幅器421に接続する。増幅器421は、可変アッテネータ601に接続し、可変アッテネータ601は、検波器431に接続する。検波器431は、ノイズ抑圧フィルタ441に接続し、ノイズ抑圧フィルタ441は、演算部50Aに接続する。
【0068】
ミキサ202は、IFフィルタ412に接続し、IFフィルタ412は、増幅器422に接続する。増幅器422は、可変アッテネータ602に接続し、可変アッテネータ602は、検波器432に接続する。検波器432は、ノイズ抑圧フィルタ442に接続し、ノイズ抑圧フィルタ442は、演算部50Aに接続する。
【0069】
ミキサ201およびミキサ202は、上述のミキサ20と同様の構成である。
【0070】
IFフィルタ411およびIFフィルタ412は、フィルタ特性を除いて、上述のIFフィルタ41と同様の構成である。IFフィルタ411は、第1中間周波数f(IF1)を通過域内に含み、第2中間周波数f(IF2)を減衰域に含むフィルタ特性を有する。IFフィルタ412は、第2中間周波数f(IF2)を通過域内に含み、第1中間周波数f(IF1)を減衰域に含むフィルタ特性を有する。第1中間周波数f(IF1)は、ローカル信号の周波数からRF信号の周波数を減算した周波数に設定されている。第2中間周波数f(IF2)は、RF信号の周波数からローカル信号の周波数を減算した周波数に設定されている。
【0071】
可変アッテネータ601および可変アッテネータ602は、上述の可変アッテネータ60と同様の構成である。可変アッテネータ601および可変アッテネータ602には、校正情報設定部501Aから、制御信号が入力される。
【0072】
検波器431および検波器432は、上述の検波器43と同様の構成である。ノイズ抑圧フィルタ441およびノイズ抑圧フィルタ442は、上述のノイズ抑圧フィルタ44と同様の構成である。
【0073】
(信号処理の流れ)
ローカル信号発生器32は、基準信号によって設定された所定周波数のローカル信号を発生する。ローカル信号の周波数は、観測データとして用いる周波数スペクトルの周波数帯域内の周波数に設定されている。
【0074】
分配器33は、ローカル信号を分配して、ミキサ201とミキサ202とに出力する。分配器34は、RF信号を分配して、ミキサ201とミキサ202とに出力する。
【0075】
ミキサ201は、RF信号とローカル信号とをミキシングして、第1IF信号を出力する。ミキサ202は、RF信号とローカル信号とをミキシングして、第2IF信号を出力する。第1IF信号と第2IF信号は同じ信号である。
【0076】
IFフィルタ411は、第1IF信号に対してフィルタ処理を行う。IFフィルタ412は、第2IF信号に対してフィルタ処理を行う。上述のように、IFフィルタ411のフィルタ特性とIFフィルタ412のフィルタ特性は、フィルタ処理後の第1IF信号の周波数成分と、フィルタ処理後の第2IF信号の周波数成分は、異なる。
【0077】
増幅器421は、フィルタ処理後の第1IF信号を増幅する。増幅器422は、フィルタ処理後の第2IF信号を増幅する。
【0078】
増幅後の第1IF信号は、可変アッテネータ601を介して、検波器431に入力される。増幅後の第2IF信号は、可変アッテネータ602を介して、検波器432に入力される。
【0079】
検波器431は、増幅後の第1IF信号を検波して、第1検波信号を出力する。検波器432は、増幅後の第2IF信号を検波して、第2検波信号を出力する。ノイズ抑圧フィルタ441は、第1検波信号のノイズ成分を抑圧して、演算部50Aに出力する。ノイズ抑圧フィルタ442は、第2検波信号のノイズ成分を抑圧して、演算部50Aに出力する。
【0080】
校正情報設定部501Aは、アンテナANTに黒色放射体90が配置されて状態において、可変アッテネータ601の減衰量を変化させて取得した第1検波信号の強度の変化を用いて、第1検波信号用の校正情報(第1校正情報)を設定する。また、校正情報設定部501Aは、アンテナANTに黒色放射体90が配置されて状態において、可変アッテネータ602の減衰量を変化させて取得した第2検波信号の強度の変化を用いて、第2検波信号用の校正情報(第2校正情報)を設定する。校正情報設定部501Aは、校正情報を観測データ生成部502Aに出力する。
【0081】
観測データ生成部502Aは、アンテナANTに黒色放射体90が配置された状態と、アンテナANTから黒色放射体90が取り除かれた状態とで取得された第1検波信号の強度の差と、アンテナANTに黒色放射体90が配置された状態と、アンテナANTから黒色放射体90が取り除かれた状態とで取得された第2検波信号の強度とを用いて、観測データを生成する。この際、観測データ生成部502Aは、第1校正情報を用いて第1検波信号の強度差を校正し、第2校正情報を用いて第2検波信号の強度差を校正する。
【0082】
このように、検波信号を計測する回路を複数備える構成であっても、観測装置10Aは、高精度な観測データを生成できる。
【0083】
さらに、この構成では、1種類の周波数のローカル信号によって、2種類の周波数のRF信号に対する検波信号を得られる。したがって、観測装置10Aは、所定数の周波数スペクトル成分を、その半分の個数のローカル信号によって得られる。また、観測装置10Aは、所定の周波数帯域の周波数スペクトルを、その周波数帯域よりも狭い周波数帯域内のローカル信号によって得られる。これにより、観測装置10Aは、より簡素な処理で、且つ、ローカル信号として設定する周波数帯域を狭くしながら、所定の周波数帯域を有する周波数スペクトルからなる観測データを生成できる。
【0084】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る観測技術について、図を参照して説明する。図8は、第3の実施形態に係る観測装置の構成を示すブロック図である。
【0085】
図8に示すように、第3の実施形態に係る観測装置10Bは、第1の実施形態に係る観測装置10に対して、可変アッテネータ60の配置位置において異なる。観測装置10Bの他の構成は、観測装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0086】
可変アッテネータ60は、ミキサ20とIFフィルタ41との間に接続される。この構成では、校正情報設定部501は、IFフィルタ41に起因する誤差、増幅器42に起因する誤差、および、検波器43に起因する誤差を抑圧可能な校正情報を設定できる。
【0087】
(第4実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る観測技術について、図を参照して説明する。図9は、第4の実施形態に係る観測装置の構成を示すブロック図である。
【0088】
図9に示すように、第4の実施形態に係る観測装置10Cは、第1の実施形態に係る観測装置10に対して、可変アッテネータ60の配置位置において異なる。観測装置10Cの他の構成は、観測装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0089】
可変アッテネータ60は、IFフィルタ41と増幅器42との間に接続される。この構成では、校正情報設定部501は、増幅器42に起因する誤差、および、検波器43に起因する誤差を抑圧可能な校正情報を設定できる。
【0090】
なお、第3実施形態に係る観測装置10Bの構成、および、第4実施形態に係る観測装置10Cの構成は、第2の実施形態に係る観測装置10Aに適用することも可能であり、それぞれの組合せに応じた作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0091】
10、10A、10B、10C:観測装置
20、201、202:ミキサ
31:基準信号発生器
32:ローカル信号発生器
33、34:分配器
41、411、412:IFフィルタ
42、421、422:増幅器
43、431、432:検波器
44、441、442:ノイズ抑圧フィルタ
:ノイズ抑圧フィルタ
50、50A:演算部
60、601、602:可変アッテネータ
90:黒色放射体
501、501A:校正情報設定部
502、502A:観測データ生成部
622:固定抵抗回路
661:可変インピーダンス回路
662、663:固定抵抗回路
【用語】
【0092】
必ずしも全ての目的または効果・利点が、本明細書中に記載される任意の特定の実施形態に則って達成され得るわけではない。従って、例えば当業者であれば、特定の実施形態は、本明細書中で教示または示唆されるような他の目的または効果・利点を必ずしも達成することなく、本明細書中で教示されるような1つまたは複数の効果・利点を達成または最適化するように動作するように構成され得ることを想到するであろう。
【0093】
本明細書中に記載される全ての処理は、1つまたは複数のコンピュータまたはプロセッサを含むコンピューティングシステムによって実行されるソフトウェアコードモジュールにより具現化され、完全に自動化され得る。コードモジュールは、任意のタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体または他のコンピュータ記憶装置に記憶することができる。一部または全ての方法は、専用のコンピュータハードウェアで具現化され得る。
【0094】
本明細書中に記載されるもの以外でも、多くの他の変形例があることは、本開示から明らかである。例えば、実施形態に応じて、本明細書中に記載されるアルゴリズムのいずれかの特定の動作、イベント、または機能は、異なるシーケンスで実行することができ、追加、併合、または完全に除外することができる (例えば、記述された全ての行為または事象がアルゴリズムの実行に必要というわけではない)。さらに、特定の実施形態では、動作またはイベントは、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、または複数のプロセッサまたはプロセッサコアを介して、または他の並列アーキテクチャ上で、逐次ではなく、並列に実行することができる。さらに、異なるタスクまたはプロセスは、一緒に機能し得る異なるマシンおよび/またはコンピューティングシステムによっても実行され得る。
【0095】
本明細書中に開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的論理ブロックおよびモジュールは、プロセッサなどのマシンによって実施または実行することができる。プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代替的に、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシン、またはそれらの組み合わせなどであってもよい。プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成された電気回路を含むことができる。別の実施形態では、プロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはコンピュータ実行可能命令を処理することなく論理演算を実行する他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、デジタル信号プロセッサ(デジタル信号処理装置)とマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装することができる。本明細書中では、主にデジタル技術に関して説明するが、プロセッサは、主にアナログ素子を含むこともできる。例えば、本明細書中に記載される信号処理アルゴリズムの一部または全部は、アナログ回路またはアナログとデジタルの混合回路により実装することができる。コンピューティング環境は、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ポータブルコンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、または装置内の計算エンジンに基づくコンピュータシステムを含むが、これらに限定されない任意のタイプのコンピュータシステムを含むことができる。
【0096】
特に明記しない限り、「できる」「できた」「だろう」または「可能性がある」などの条件付き言語は、特定の実施形態が特定の特徴、要素および/またはステップを含むが、他の実施形態は含まないことを伝達するために一般に使用される文脈内での意味で理解される。従って、このような条件付き言語は、一般に、特徴、要素および/またはステップが1つ以上の実施形態に必要とされる任意の方法であること、または1つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素および/またはステップが任意の特定の実施形態に含まれるか、または実行されるかどうかを決定するための論理を必然的に含むことを意味するという訳ではない。
【0097】
語句「X、Y、Zの少なくとも1つ」のような選言的言語は、特に別段の記載がない限り、項目、用語等が X, Y, Z、のいずれか、又はそれらの任意の組み合わせであり得ることを示すために一般的に使用されている文脈で理解される(例: X、Y、Z)。従って、このような選言的言語は、一般的には、特定の実施形態がそれぞれ存在するXの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、またはZの少なくとも1つ、の各々を必要とすることを意味するものではない。
【0098】
本明細書中に記載されかつ/または添付の図面に示されたフロー図における任意のプロセス記述、要素またはブロックは、プロセスにおける特定の論理機能または要素を実装するための1つ以上の実行可能命令を含む、潜在的にモジュール、セグメント、またはコードの一部を表すものとして理解されるべきである。代替の実施形態は、本明細書中に記載された実施形態の範囲内に含まれ、ここでは、要素または機能は、当業者に理解されるように、関連する機能性に応じて、実質的に同時にまたは逆の順序で、図示または説明されたものから削除、順不同で実行され得る。
【0099】
特に明示されていない限り、「一つ」のような数詞は、一般的に、1つ以上の記述された項目を含むと解釈されるべきである。従って、「~するように設定された一つのデバイス」などの語句は、1つ以上の列挙されたデバイスを含むことを意図している。このような1つまたは複数の列挙されたデバイスは、記載された引用を実行するように集合的に構成することもできる。例えば、「以下のA、BおよびCを実行するように構成されたプロセッサ」は、Aを実行するように構成された第1のプロセッサと、BおよびCを実行するように構成された第2のプロセッサとを含むことができる。加えて、導入された実施例の具体的な数の列挙が明示的に列挙されたとしても、当業者は、このような列挙が典型的には少なくとも列挙された数(例えば、他の修飾語を用いない「2つの列挙と」の単なる列挙は、通常、少なくとも2つの列挙、または2つ以上の列挙を意味する)を意味すると解釈されるべきである。
【0100】
一般に、本明細書中で使用される用語は、一般に、「非限定」用語(例えば、「~を含む」という用語は「それだけでなく、少なくとも~を含む」と解釈すべきであり、「~を持つ」という用語は「少なくとも~を持っている」と解釈すべきであり、「含む」という用語は「以下を含むが、これらに限定されない。」などと解釈すべきである。) を意図していると、当業者には判断される。
【0101】
説明の目的のために、本明細書中で使用される「水平」という用語は、その方向に関係なく、説明されるシステムが使用される領域の床の平面または表面に平行な平面、または説明される方法が実施される平面として定義される。「床」という用語は、「地面」または「水面」という用語と置き換えることができる。「垂直/鉛直」という用語は、定義された水平線に垂直/鉛直な方向を指します。「上側」「下側」「下」「上」「側面」「より高く」「より低く」「上の方に」「~を越えて」「下の」などの用語は水平面に対して定義されている。
【0102】
本明細書中で使用される用語の「付着する」、「接続する」、「対になる」及び他の関連用語は、別段の注記がない限り、取り外し可能、移動可能、固定、調節可能、及び/または、取り外し可能な接続または連結を含むと解釈されるべきである。接続/連結は、直接接続及び/または説明した2つの構成要素間の中間構造を有する接続を含む。
【0103】
特に明示されていない限り、本明細書中で使用される、「およそ」、「約」、および「実質的に」のような用語が先行する数は、列挙された数を含み、また、さらに所望の機能を実行するか、または所望の結果を達成する、記載された量に近い量を表す。例えば、「およそ」、「約」及び「実質的に」とは、特に明示されていない限り、記載された数値の10%未満の値をいう。本明細書中で使用されているように、「およそ」、「約」、および「実質的に」などの用語が先行して開示されている実施形態の特徴は、さらに所望の機能を実行するか、またはその特徴について所望の結果を達成するいくつかの可変性を有する特徴を表す。
【0104】
上述した実施形態には、多くの変形例および修正例を加えることができ、それらの要素は、他の許容可能な例の中にあるものとして理解されるべきである。そのような全ての修正および変形は、本開示の範囲内に含まれることを意図し、以下の請求の範囲によって保護される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9