(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】管の状態を制御するための方法、坑井の状態を制御するための方法、システム、および管
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240521BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2021521557
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2019066766
(87)【国際公開番号】W WO2020007643
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-10
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガロワ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ブランピード,シリル
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/120209(WO,A1)
【文献】特表2014-520978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
坑井内に導入される前に第1の管(T
1)の状態を制御するための方法であって、
前記第1の管(T
1)は、抽出構造物(ST
1)に組み込まれるように意図されており、
前記方法は、第1のメモリ(M
1
)から第1のサーバ(SERV
1)
に対して、前記第1の管(T
1)のデジタル記述子(D
1)を
提供し、前記デジタル記述子(D
1)は、少なくとも
第1のデータセット(SET
1)を含み、
前記第1のデータセット(SET
1)は、少なくとも、
・ 前記第1の管(T
1)の1つの追跡コード(TC
1)と、
・ 完了ステータス(S
1)および計画ステータス(S
2)と、
を含み、
前記方法は、
・ 前記第1の管(T
1)の追跡コード(TC
1)を捕捉して前記第1の管(T
1)を認証するステップと、
・
ユーザコンピュータから第1のサーバ(SERV
1)への第1の要求(REQ
1)を生成するステップ(GEN_REQ
1)と、
・ 前記第1の管(T
1)の在庫ステータスを生成するように、識別番号(Id
1)を取得するステップ(ACQ)と、
・ 前記第1の管(T
1)の完了ステータス(S
1)の第1の値を取得するステップ(ACQ)と、
・ 前記第1の管(T
1)の計画ステータス(S
2)の第2の値を取得するステップ(ACQ)と、
・ 前記
完了ステータス(S
1
)の第1の
値または前
記計画ステータス(S
2
)の第2の
値と所定の状態値とが等しいときに、
ユーザインタフェース上に表示される少なくとも1つの
アラート(ALERT
1,ALERT
2)を
自動的に生成するステップ(GEN_ALERT)と、
をさらに含
み、
前記第1のデータセット(SET
1
)は、少なくとも、
・
第1のサブセット(SET
11
)であって、以下の特徴の少なくとも1つ:
・
外径(OD)、
・
内径(ID)、
・ 重量(W)、
・
鋼種(SG)、
・
ドリフト径(DRD)、
・
肉厚(WT)、
・
最小肉厚(MWT)、
・
有効長(EL)、および
・
材料規格(MS)、
を含む幾何学的データの第1のサブセット(SET
11
)と、
・
第2のサブセット(SET
12
)であって、以下の特徴の少なくとも1つ:
・
接続タイプ(CT)、および
・
接合部長さの合計(JLT)、
を含む接合要素データの第2のサブセット(SET
12
)と、
・
第3のサブセット(SET
13
)であって、以下の特徴の少なくとも1つ:
・
パイプ追跡コード(TC)、
・
カップリング追跡コード(CTC)、
・
シリアル番号(SN)、
・
坑井の位置を示す契約番号(CN)、
・
製造元名(MN)、および
・
製造日(MD)、
を含むワークフローデータの第3のサブセット(SET
13
)と、
・
第4のサブセット(SET
14
)であって、以下の特徴の少なくとも1つ:
・
ジョブリファレンス(Jb)、および
・
ジョブにおける連続番号(S
3
)、
を含むジョブデータの第4のサブセット(SET
14
)と、
を含み、
操作者は、管の1つの変更を、坑井内の抽出構造物の全体的な制約に準拠するように制御する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記完了ステータスは、
・ 前記第1のデータセット(SET
1)の前記第1のデータサブセット(SET
11)、前記第2のデータサブセット(SET
12)および前記第3のデータサブセット(SET
13)の所定のデータフィールドに少なくとも1つの値が存在すること、および/または
・ 前記第1のデータセット(SET
1)の完了ステータスフィールドの特定のフィールド値、
について提供される、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記計画ステータスは、
・ 前記第1のデータセット(SET
1)の前記第4のデータサブセット(SET
14)の所定のデータフィールドに少なくとも1つの値が存在すること、および/または
・ 前記第4のデータサブセット(SET
14)の特徴の特定の値、
について提供される、
方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のデータセット(SET
1)は、ジョブデータシート(JD)のジョブリファレンス(Jb)を含み、前記ジョブデータシート(JD)は、シーケンス番号(S
3)を含み、
前記方法は、
・
ユーザコンピュータから
前記第1のサーバ(SERV
1)への第2の要求(REQ
2)を生成するステップと、
・ 前記第1の管(T
1)を含む複数の管に関連する第2のデータセット(SET
2)を含むジョブデータシート(JD)を抽出するステップと、
・ 前記第1のデータセット(SET
14)から前記第1の管(T
1)の連続番号(S
3)を取得するステップと、
・ 前記ジョブデータシート(JD)における前記第1の管(T
1)の連続番号(S
3)と
、
・ 同じ前記ジョブデータシート(JD)の別の管(T
2)、および
・ 前記第1のデータセット(SET
14)に記録される前記第1の管(T
1)、
の連続番号(S
3’)と
、を比較するステップと、
・ 両方の前記連続番号(S
3,S
3’)の比較結果が所定のしきい値よりも低いまたは高いときにアラート(ALERT
3)を生成するステップと、
をさらに含む、
方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のデータセット(SET
1)は、少なくとも、前記
第1の管(T
1)の幾何学的特徴の第4の値(S
4)を含み、
前記方法は、幾何学的ステータスを定義し、
前記方法は、
・ ユーザインタフェースによって
第1の幾何学的特徴の値(S
4’)を取得するステップと、
・ 前記第1のデータセット(SET
1)に含まれる前記幾何学的特徴の第4の値(S
4)と、前記第1の管(T
1)の第1の幾何学的特徴の取得値(S
4’)とを比較するステップと、
・ 2つの前記第4の値(S
4,S
4’)の比較結果が所定のしきい値よりも高いまたは低いときに第3のアラート(ALERT
3)を生成するステップと、
を含む、
方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記第1の幾何学的
特徴の値が前記第1の管(T
1)の全長である場合、前記方法は、長さステータスを定義し、
前記方法は、
・ 前記第1の管(T
1)の連続番号よりも低い連続番号を有する、前記抽出構造物(ST
1)に組み込まれた前記管の累積長を自動的に計算するステップと、
・ 計算された前記累積長と、前記ワークフローデータ(SET
14)に記録された基準値とを比較するステップと、
・ 前記比較結果が所定のしきい値よりも高いまたは低いときにアラートを生成するステップと、
を含む、
方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、
前記第1の幾何学的
特徴の値が前記第1の管(T
1)の内径である場合、前記方法は、泥水ステータスを定義し、
前記方法は、
・ 推定泥水増加値を自動的に計算するステップと、
・ 計算された前記推定泥水増加値と、前記ワークフローデータ(SET
14)に記憶された予想泥水増加値とを比較するステップと、
・ 前記比較結果が所定のしきい値よりも高いまたは低いときにアラートを生成するステップと、
を含む、
方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法において、
前記第1の幾何学的
特徴の値が前記第1の管(T
1)の外径である場合、前記方法は、セメントステータスを定義し、
前記方法は、
・
坑井内に導入される推定セメント量を自動的に計算するステップと、
・ 計算された前記推定セメント量と、前記ワークフローデータ(SET
14)に記憶された予想セメント量とを比較するステップと、
・ 前記比較結果が所定のしきい値よりも高いまたは低いときにアラートを生成するステップと、
を含む、
方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のメモリ(M
1)からのデータの取得
を行うことをさらに含み、
前記第1のメモリ(M
1
)からのデータの取得は、
・ 無線アンテナ
または光学センサを作動させて、前記第1の管(T
1)の表面上の追跡コード(TC
1)を読み取るステップ(READ_CODE)と、
・ 前記第1のメモリ(M
1)から少なくとも前記第1のデータセット(SET
1)のサブセット(SET
11,SET
12,SET
13,SET
14)を抽出するように、
前記第1のサーバ(
SERV
1
)への要求(REQ)を生成するステップと、
・ 無線インタフェースを介して、ユーザデバイスで前記第1のデータセット(SET
1)を受信するステップと、
を含む、
方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のサーバ(
SERV
1
)は、クラウドアーキテクチャ内の複数のメモリを管理し、
第2のデータセットは、前記複数のメモリのうちの少なくとも前記第1のメモリ(M
1)に記憶される、
方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のサーバ(SERV
1)は、前記第1のデータセット(SET
1)を中央サーバ(SERV
0)に定期的に送信する、
方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
・ 光学センサまたは無線アンテナを使用して、前記第1の管(1)上の追跡コード(TC)を読み取るステップ(READ_CODE)と、
・ ユーザインタフェースを使用して、前記第1の管(T
1)の幾何学的データの前記第1のサブセット(SET
11)または接合データの前記第2のサブセット(SET
12)からのデータを変更するステップと、
・ タイムスタンプに関連付けられた変更された前記データを前記第1のメモリ(M
1)に記録するステップと、
・ 前記中央サーバ(SERV
0)によって管理されるメモリ(M
0)内のタイムスタンプ(TS)に関連付けられた、前記メモリ(M
0)で前記第1の管(T
1)に関連付けられた前記変更されたデータを送信するステップと、
・ 前記第1の管(T
1)のデジタル記述子(D
1)を更新するステップ(UPD)と、
を含む、
方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のデータセット(SET
1)を前記追跡コード(TC)とペアリングする予備ステップを含む、
方法。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1の管(1)上の追跡コード(TC)は、前記第1の管(T
1)の表面上に配置された識別タグやマーキングである、
方法。
【請求項15】
複数の管のデジタル記述子を管理するためのシステムであって、
前記管の各々は、抽出構造物(ST
1)に組み込まれるように意図されており、
前記システムは、前記請求項1~14のいずれか1項に記載の方法を実施するための手段を含み、
前記システムは、
・ 第1の管(T
1)のデジタル記述子が追跡コードとペアリングされているメモリをアドレス指定する中央サーバ(SERV
0)と、
・ 少なくとも1つのローカルサーバ(SERV
11,SERV
12,SERV
13,SERV
14)と、
・
各々が異なる領域に配置された複数のローカルネットワークインフラストラクチャであって、少なくとも第1のユーザコンピュータ(PC
1
)とローカルサーバ(SERV
11
,SERV
12
,SERV
13
,SERV
14
)との間の通信を確立できる複数のローカルネットワークインフラストラクチャと、
・ 異なる領域に配置された複数の管(T
k)
と、
・
前記管(T
k
)の各々の表面上に設けられ、無線アンテナ
または光学センサを作動させることで読み取られる
、少なくとも1つの追跡コード(TC)と、
・ 前記領域の各々に配置され、前記追跡コードを捕捉するように構成された、第1のセンサとも呼ばれる少なくとも1つの光学センサまたは1つの無線アンテナと、
・ 前記追跡コード(TC)を受信して、ローカルサーバへの要求を生成するローカルコンピュータ(PC
1)であって、前記第1のローカルコンピュータ(PC
1)は、
・ 管の特徴に関連付けられた値を含む第1のデータセット(SET1)を受信するための手段、
・ 管の特徴の少なくとも1つの値を編集するための手段、
・ 関連付けられたタイムスタンプ(TS)を生成するための手段、および
・ 前記関連付けられたタイムスタンプ(TS)を含む新しい値を前記
ローカルサーバ(SERV
11,SERV
12,SERV
13,SERV
14)に送信するための手段、
をさらに備える、ローカルコンピュータ(PC
1)と、
・ 前記中央サーバ(SERV
0)によって管理される前記第1のデータセット(SET
1)の更新を可能にする通信インタフェースであって、更新された前記データは、前記タイムスタンプ(TS)と関連付けられた新しいデータが追加された前のデータをアーカイブする少なくとも1つのメモリ(M
0)に記録される、通信インタフェースと、
を含む、
システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記複数の管(T
1
)の各々は、その表面において少なくとも6つのマークを
含み、前記マークの各々は、同じ追跡コード(TC)を表し、第1のマークセットは、前記管(T
1)の第1の遠位部で
120°の角度で離間するように円筒対称に配置され、第2のマークセットは、前記管(T
1)の第2の遠位部で
120°の角度で離間するように円筒対称に配置される、
システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムにおいて、
・ 前記第1のマークセットは、前記管(T
1)の第1の遠位部で
120°の角度で離間するように円筒対称に配置された3つのマークの別のセットを含み、前記3つのマークの別のセットは、前記マークセットの最初の3つのマークの第1の所定の距離に配置され、
・ 前記第2のマークセットは、前記管(T
1)の第2の遠位部で
120°の角度で離間するように円筒対称に配置された3つのマークの別のセットを含み、前記3つのマークの別のセットは、前記マークセットの最初の3つのマークの第2の所定の距離に配置される、
システム。
【請求項18】
請求項15または16に記載のシステムにおいて、
前記管(T
1)上の追跡コード(TC)を含む前記マークの各々は、
・ RFIDタグのような識別タグ、および
・ 前記管(T
1)の表面にプリントされたバーコードまたはQRコード
である、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その組み込み前および設置前に構成要素の機械的特性を制御することを可能にする方法およびシステムに関する。より正確には、本発明の領域は、坑井を掘削および構築するために使用される管(tubes)、ケーシング、ライナー、管類(tubings)およびパイプの経過観察(follow-up)、監視および制御に関する。より詳細には、本発明は、坑井への経路(routing)に沿ってすべての構成要素を経過観察、監視および制御するための方法に関する。また、本発明の領域は、管の制御のための管のマーキングに関する。
【背景技術】
【0002】
坑井内に導入されるように意図された管やパイプなどの工業用物体は、目視検査やコンピュータに報告される必要がある一部の検査によって経過観察される。その目的は、その地点で大きな制約がある環境下で、1つずつ組み立てられた抽出構造物の坑井組立体を保証することである。
【0003】
坑井に関連した作業で遭遇する難点の1つとして、抽出構造物の組立体が、導入される部材の計画における多くの変更や、それらの部材自体の変更が挙げられる。これは、管の不良や、管の修理や管の要素の変更などに伴う様々な地点間の移動の増加を含む。
【0004】
別の難点として、坑井内の泥水増加値やセメント量などの一部の坑井パラメータの計算が挙げられる。これらの値は、坑井の制約に従った組立体を保証するために、坑井内に部材が導入されるたびに更新される。これらの値は、次に導入されるように意図された管に関連する情報と、既に坑井内にある抽出構造物の組立体に関連する情報に基づいて、計算され得る。現在、操作者が管を制御し、管に関連するデータをコンピュータに入力し、管の直径や管の長さなどの特定の値を記録して、これらの坑井パラメータの新しい値を計算する。この操作は、目視検査と坑井パラメータの新しい値の生成との間で行われる手動プロセスのために、いくつかの入力エラーを生じさせたり長い時間がかかったりする可能性がある。
【0005】
管にタグを使用した解決策では、在庫管理の目的のため、または2つの異なる地点間を行き来する際の管を観察するために、管を確認する手段を実施することができる。
【0006】
イギリス国特許出願第201317246号には、タグを有する管のための識別情報などを確認するための方法が記載されている。タグには、管および管を製造した会社に関するすべてのデータが含まれる。しかしながら、この文献では、目視検査を容易にするために、坑井までの経路のすべての段階で制御可能な一部変更を含む管を保証する方法が記載されていない。
【0007】
国際公開第2009128999号には、坑井の制御システムにおけるデータを更新するための方法が記載されている。この文献では、中央データベースを更新するために実装された手段が記載されている。しかしながら、この文献では、抽出構造物を制御するための坑井内への管の導入中の一部のパラメータの制御、および坑井の一部のパラメータの制御について記載されていない。
【0008】
また、米国特許出願第2009121895号には、タグを介して管に関する情報を読み取るための解決策が記載されている。しかしながら、この文献では、抽出構造物または坑井に関する情報が、管上で読み取られたデータから生成および更新され得る解決策が記載されていない。
【0009】
イギリス国特許第2472929号には、管上のタグを読み取ることにより、管に関する機械的情報にアクセスすることができる解決策が記載されている。この方法は、管とその位置に関する情報を組み合わせることを目的としている。この文献では、坑井内への管の導入を制御するために管に関する情報を使用する方法が記載されていない。
【0010】
また、米国特許第8463664号には、管とその位置を識別するための方法が記載されている。この方法では、顧客の注文を容易にするために使用され得る計画に関連するデータが記載されている。この文献では、管に関する情報を、坑井内への導入中に同じ抽出構造物の他の部材で利用する方法が記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そのため、管が坑井内に導入されるように意図されている場合、管を動的に制御することができる方法が求められている。
【0012】
これに関して、管や構築される抽出構造物の安全な操作を維持しながら、坑井内に導入されるように意図された管を確実に制御する方法が求められている。また、管に関する情報の取得を容易にし、坑井のパラメータの一部の値をリアルタイムで確実に一致させる方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様によれば、本発明は、第1の管の状態を制御するための方法に関する。ここでは、第1の管は、抽出構造物に組み込まれるように意図されており、第1のサーバは、第1の管のデジタル記述子を管理し、デジタル記述子は、少なくとも第1のメモリに記憶された第1のデータセットを含む。第1のデータセットは、少なくとも、
・ 第1の管の1つの追跡コードと、
・ 完了ステータスおよび計画ステータスと、
を含む。該方法は、
・ 第1の管の追跡コードを捕捉して第1の管を認証するステップと、
・ 第1の管の近傍に位置するコンピュータから第1のサーバへの第1の要求を生成するステップと、
・ 第1の管の在庫ステータスを生成するように、識別番号を取得するステップと、
・ 第1の管の完了ステータスの第1の値を取得するステップと、
・ 第1の管の計画ステータスの第2の値を取得するステップと、
・ 第1または第2の値と所定の状態値とが等しいときに、少なくとも1つのアラートを生成するステップと、
をさらに含む。
【0014】
この利点の1つとして、管のライフサイクル全体をとおして、いつでもコンピュータからアクセス可能な管の様々なステータスを収集できることが挙げられる。様々なステータスの中で、本発明は、特に、管が坑井内に導入されたときに管を制御するための在庫ステータス、完了ステータスおよび計画ステータスを扱う。本発明によって、連続した管の数が坑井内に導入された以前の要素と一致するかどうかを制御できるようになる。また、本発明によって、全体的な経路設定プロセスにおける各種変更を考慮して、管の機械的特徴を検証することができる。
【0015】
アラートは、ユーザインタフェース上に表示されたメッセージやピクトグラムであり得る。アラートは、ユーザインタフェースを介した操作者による妥当性確認に関連付けることができる。
【0016】
一実施形態において、第1のデータセットは、少なくとも、
・ 以下の特徴の少なくとも1つ:
・ 外径、内径、重量、鋼種、ドリフト径、肉厚、最小肉厚、有効長、および材料規格、
を含む幾何学的データの第1のサブセットと、
・ 以下の特徴の少なくとも1つ:
・ 接続タイプ、および別のインタフェース要素との接合部長さの合計、
を含む接合要素データの第2のサブセットと、
・ 以下の特徴の少なくとも1つ:
・ パイプ追跡コード、カップリング追跡コード、シリアル番号、坑井の位置を示す契約番号、製造元名、および製造日、
を含むワークフローデータの第3のサブセットと、
・ 以下の特徴の少なくとも1つ:
・ ジョブリファレンス、およびジョブにおける連続番号、
を含むジョブデータの第4のサブセットと、
を含む。
【0017】
この利点の1つとして、様々なタイプのデータへのアクサスを操作者に提供できることが挙げられる。これにより、操作者は、例えば管の1つの変更を、坑井内の抽出構造物の全体的な制約に準拠するように制御することができる。これは、坑井内に管を導入する際のエラーを減少させることができる。
【0018】
一実施形態において、完了ステータスは、
・ 第1のデータセットのデータの第1、第2および第3のデータサブセットの所定のデータフィールドに少なくとも1つの値が存在すること、および/または
・ 第1のデータセットの完了ステータスフィールドの特定のフィールド値、
について提供される。
【0019】
完了ステータスを制御することによって、管が直接接触している部材に準拠していることを確認することができる。これは、抽出構造物全体が、導入予定の要素を備えることを保証する。
【0020】
一実施形態において、計画ステータスは、
・ 第1のデータセットの第4のデータサブセットの所定のデータフィールドに少なくとも1つの値が存在すること、および/または
・ 第4のデータサブセットの特徴の特定の値、
について提供される。
【0021】
この利点の1つとして、坑井内に導入される各管の坑井計画を保証できることが挙げられる。これにより、抽出構造物の建設の計画シーケンスを含むジョブからのデータとの集計(tally)において、各管からのデータを収集することができる。その利点として、坑井のために選択された管が、ジョブデータシートで参照されている管であることを確認できることが挙げられる。この検証は、管を選択して坑井内に導入する際のエラーを減らすことを目的としている。
【0022】
一実施形態において、第1のデータセットは、ジョブデータシートのジョブリファレンスを含む。ジョブデータシートは、シーケンス番号を含む。ここで、本発明による方法は、
・ 第1の管の近傍に位置するコンピュータから第1のサーバへの第2の要求を生成するステップと、
・ 第1の管を含む複数の管に関連する第2のデータセットを含むジョブデータシートを抽出するステップと、
・ 第1のデータセットから第1の管の連続番号を取得するステップと、
・ ジョブデータシートにおける第1の管の連続番号と
・ 同じジョブデータシートの別の管、および
・ 第1のデータセットに記録される第1の管、
の連続番号とを比較するステップと、
・ 両方の連続番号の比較結果が所定のしきい値よりも低いまたは高いときにアラートを生成するステップと、
をさらに含む。
【0023】
この利点の1つとして、所定のシーケンスに従って坑井内に導入される各部材の順序を制御できることが挙げられる。この制御は、いつでも行うことができる。管が坑井内に導入されると、カメラでタグを自動的に読み取って、最後の検証を実現することができる。このシステムによって、抽出構造物の構築とジョブデータシートの制約との適合性を強化することができる。
【0024】
一実施形態において、第1のデータセットは、少なくとも、管の幾何学的特徴の第4の値を含む。該方法は、幾何学的ステータスを定義し、
・ ユーザインタフェースによって第1の幾何学的特徴の値を取得するステップと、
・ 第1のデータセットに含まれる幾何学的特徴の第4の値と、第1の管の第1の幾何学的特徴の取得値とを比較するステップと、
・ 2つの第4の値の比較結果が所定のしきい値よりも高いまたは低いときに第3のアラートを生成するステップと、
を含む。
【0025】
この利点の1つとして、坑井内に導入された各管の機械的適合性を基準値で計算できることが挙げられる。また、幾何学的または構造的パラメータの比較によって、泥水増加値などの新しい管の導入によって変化する可能性のある坑井の一部の特性を計算および予測することができる。
【0026】
一実施形態において、第1の幾何学的値が第1の管の全長である場合、該方法は、長さステータスを定義し、
・ 第1の管の連続番号よりも低い連続番号を有する、抽出構造物に組み込まれた管の累積長を自動的に計算するステップと、
・ 計算された累積長と、ワークフローデータに記録された基準値とを比較するステップと、
・ 比較結果が所定のしきい値よりも高いまたは低いときにアラートを生成するステップと、
を含む。
【0027】
一実施形態において、第1の幾何学的値が第1の管の内径である場合、該方法は、泥水ステータスを定義し、
・ 推定泥水増加値を自動的に計算するステップと、
・ 計算された推定泥水増加値と、ワークフローデータに記憶された予想泥水増加値とを比較するステップと、
・ 比較結果が所定のしきい値よりも高いまたは低いときにアラートを生成するステップと、
を含む。
【0028】
一実施形態において、第1の幾何学的値が第1の管の外径である場合、該方法は、セメントステータスを定義し、
・ 導入されるセメントの推定量を自動的に計算するステップと、
・ 計算された推定セメント量と、ワークフローデータに記憶された予想セメント量とを比較するステップと、
・ 比較結果が所定のしきい値よりも高いまたは低いときにアラートを生成するステップと、
を含む。
【0029】
この利点の1つとして、一部の制御パラメータが所定の値の範囲外にある場合にアラートが自動的に生成されることが挙げられる。この解決策によって、操作者に修正が通知されたり、生成されたインジケータが、抽出構造物の設計に組み込まれるリスクとして解釈されるようにすることができる。
【0030】
一実施形態において、第1のメモリからのデータの取得は、
・ 無線アンテナの光学センサを作動させて、第1の管の表面上の追跡コードを読み取るステップと、
・ 第1のメモリから少なくとも第1のデータセットのサブセットを抽出するように、第1のサーバへの要求を生成するステップと、
・ 無線インタフェースを介して、ユーザデバイスで第1のデータセットを受信するステップと、
を含む。
【0031】
一実施形態において、第1のサーバは、クラウドアーキテクチャ内の複数のメモリを管理する。ここで、第2のデータセットは、複数のメモリのうちの少なくとも第1のメモリに記憶される。一実施形態において、第1のサーバは、第1のデータセットを中央サーバに定期的に送信する。
【0032】
一実施形態において、該方法は、
・ 光学センサまたは無線アンテナを使用して、第1の管上の追跡コードを読み取るステップと、
・ ユーザインタフェースを使用して、第1の管の幾何学的データの第1のサブセットまたは接合データの第2のサブセットからのデータを変更するステップと、
・ タイムスタンプに関連付けられた変更データを第1のメモリに記録するステップと、
・ 中央サーバによって管理されるメモリ内のタイプスタンプに関連付けられた、該メモリで第1の管に関連付けられた変更データを送信するステップと、
・ 第1の管のデジタル記述子を更新するステップと、
を含む。
【0033】
一実施形態において、該方法は、第1のデータセットを追跡コードとペアリングする予備ステップを含む。
【0034】
一実施形態において、第1の管上の追跡コードは、第1の管の表面上に配置された識別タグやマーキングである。
【0035】
別の態様において、本発明は、坑井の状態を制御するための方法に関する。ここでは、第1の管は、坑井内に存在する抽出構造物に組み込まれるように意図されており、第1のサーバは、第1の管のデジタル記述子を管理し、デジタル記述子は、少なくとも第1のメモリに記憶された第1のデータセットを含み、第1のデータセットは、少なくとも、
・ 第1の管の1つの追跡コードと、
・ 内径と、
を含む。該方法は、
・ 第1の管の追跡コードを捕捉して第1の管を認証するステップと、
・ 第1の管の近傍に位置するコンピュータから第1のサーバへの第1の要求を生成するステップと、
・ 第1の管の内径の値を取得するステップと、
・ 第1の管の内径と、坑井内に存在する抽出構造物から発行された値とを考慮して、推定泥水増加値を自動的に計算するステップと、
・ 計算された推定泥水増加値と、第1のデータセットに記録された予想泥水増加値とを比較するステップと、
・ 比較結果が所定のしきい値よりも高いまたは低いときにアラートを生成するステップと、
をさらに含む。
【0036】
この利点の1つとして、管の制御または坑井の制御のいずれかを駆動する独特の解決策を実装できることが挙げられる。坑井内に導入される管のパラメータは、坑井の一部のパラメータを計算するために使用されてもよい。管の導入によって生じた、泥水またはセメントの特性などの坑井の構造的または機械的特性は、導入される残りの管への作用を予測するために使用されてもよい。
【0037】
別の態様において、本発明は、坑井の状態を制御するための方法に関する。ここでは、第1の管は、坑井内に存在する抽出構造物に組み込まれるように意図されており、第1のサーバは、第1の管のデジタル記述子を管理し、デジタル記述子は、少なくとも第1のメモリに記録された第1のデータセットを含む。第1のデータセットは、少なくとも、
・ 第1の管の1つの追跡コードと、
・ 外径と、
を含む、該方法は、
・ 第1の管の追跡コードを捕捉して第1の管を認証するステップと、
・ 第1の管の近傍に位置するコンピュータから第1のサーバへの第1の要求を生成するステップと、
・ 第1の管の外径の値を取得するステップと、
・ 少なくとも第1の管の外径の値を使用して、推定セメント量を自動的に計算するステップと、
・ 計算された推定セメント量と、第1のデータセットに記録された予想セメント値とを比較するステップと、
・ 比較結果が所定のしきい値よりも高いまたは低いときにアラートを生成するステップと、
をさらに含む。
【0038】
この利点の1つとして、抽出構造物を維持するために導入されるセメントに関する正確なインジケータを生成できることが挙げられる。本発明によって、管がそれぞれ導入される前に、リアルタイムでセメントの値を計算することができる。
【0039】
別の態様において、本発明は、コンピュータプログラムに関する。コンピュータプログラムは、コンピュータによってプログラムが実行されたときに、コンピュータに本発明の方法を実行させる命令を含む。
【0040】
別の態様において、本発明は、複数の管のデジタル記述子を管理するためのシステムに関する。ここでは、各管は、抽出構造物に組み込まれるように意図されている。該システムは、
・ 第1の管のデジタル記述子が追跡コードとペアリングされているメモリをアドレス指定する中央サーバと、
・ 少なくとも1つのローカルサーバと、
・ 異なる領域に配置された複数の管であって、各領域には、少なくとも第1のユーザコンピュータとローカルサーバとの間の通信を確立できるローカルネットワークインフラストラクチャが設けられる、複数の管と、
・ 無線アンテナの光学センサを作動させることで読み取られる、各管の表面上の少なくとも1つの追跡コードと、
・ 各領域に配置され、追跡コードを捕捉するように構成された第1のセンサとも呼ばれる、少なくとも1つの光学センサまたは1つの無線アンテナと、
・ 追跡コードを受信して、ローカルサーバへの要求を生成するローカルコンピュータであって、第1のローカルコンピュータは、
・ 管の特徴に関連付けられた値を含む第1のデータセットを受信するための手段、
・ 管の特徴の少なくとも1つの値を編集するための手段、
・ 関連付けられるタイムスタンプを生成するための手段、および
・ 関連付けられるタイムスタンプを含む新しい値を第1のサーバに送信するための手段、
をさらに備える、ローカルコンピュータと、
・ 中央サーバによって管理される第1のデータセットの更新を可能にする通信インタフェースであって、更新されたデータは、タイムスタンプと関連付けられた新しいデータが追加された前のデータをアーカイブする少なくとも1つのメモリに記録される、通信インタフェースと、
を備える。
【0041】
一実施形態において、本発明によるシステムは、本発明の方法を実施するように構成される。
【0042】
別の態様において、本発明は、その表面において少なくとも6つのマークを有する管に関する。各マークは、同じ追跡コードを表す。第1のマークセットは、管の第1の遠位部で実質的に120°の角度で離間するように円筒対称に配置される。第2のマークセットは、管の第2の遠位部で実質的に120°の角度で離間するように円筒対称に配置される。
【0043】
この利点の1つとして、坑井内に管が導入されたときに管を容易に制御できることが挙げられる。管の表面上の追跡コードを自動的に読み取るように、カメラが配置される。新しい管の導入を自動的に検出するように、動き検出部が設けられてもよい。管および坑井の様々なステータスならびに構造的および幾何学的パラメータの制御は、この構成を用いて自動的に実行される。
【0044】
一実施形態において、
・ 第1のマークセットは、管の第1の遠位部で実質的に120°の角度で離間するように円筒対称に配置された3つのマークの別のセットを含み、3つのマークの別のセットは、上記マークセットの最初の3つのマークの第1の所定の距離に配置され、
・ 第2のマークセットは、管の第2の遠位部で実質的に120°の角度で離間するように円筒対称に配置された3つのマークの別のセットを含み、3つのマークの別のセットは、上記マークセットの最初の3つのマークの第2の所定の距離に配置される。
【0045】
この配置の利点の1つとして、坑井内に管が導入されたときに管の追跡コードを検出および読み取ることが保証されることが挙げられる。
【0046】
一実施形態において、管上の追跡コードを含む各マークは、
・ RFIDタグのような識別タグ、および
・ 管の表面にプリントされたバーコードまたはQRコード
である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の一実施形態によるシステムの模式図であり、ここでは、管が操作、修理および選択され得る異なる領域に、4つのローカルサーバが関連付けられており、これにより、デジタル記述子を要求することができる。
【
図2】様々な地点で変化し、様々な処理が行われ、所与の場所で特定のジョブが割り当てられる管のデジタル記述子の様々な変化を表すタイムラインである。
【
図3】本発明の一実施形態による管の模式図であり、ここでは、管は、本発明の一実施形態に従って制御が行われる領域上にあり、これにより、デジタル記述子と、管と管の使用を示す所定のジョブデータシートとの間の適合性を確認することができる。
【
図4】本発明の方法の一実施形態の主要ステップを示す第1のフローチャートであり、ここでは、管のデジタル記述子に従って、第1の管の在庫ステータスと第1の管の完了ステータスが検証される。
【
図5】本発明の方法の一実施形態のステップを示す第2のフローチャートであり、ここでは、デジタル記述子と少なくともの1つの入力値との間の比較結果に従って、接合データの幾何学的データの値が検証される。
【
図6】本発明の方法の一実施形態のステップを示す第3のフローチャートであり、ここでは、ローカル/中央サーバにおけるデジタル記述子のデータの値の更新ステップが含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[定義]
本明細書において使用される「構成要素(component)」という用語は、坑井を掘削または操作するために使用される任意の要素またはその付属品を意味する。構成要素は、例えば比較的長い(長さ約10メートル)管状要素であってもよく、数十センチの長さの管状カップリングであってもよく、これらの管状要素の付属品(ハンガー、クロスオーバー、安全弁、ツールガスケット、サブなど)であってもよい。構成要素は、カップリングが組み込まれた非常に長い管状要素を備えるパイプであってもよい。
【0049】
構成要素は、1つの接続部、またはコネクタ、またはねじ付き端部を備えてもよい。ねじ付き端部は、ねじ部を介して別の構成要素に結合されるように意図されており、この別の構成要素と共に、ねじ付き管状接続部を構成する。
【0050】
管などの本発明の構成要素は、坑井内の最終組立体に組み込まれるように意図されている。本明細書において、この最終組立体を「抽出構造物」と呼び、参照符号ST1によって示されている。これらの構成要素は、一般に、炭化水素井や同様の坑井内に投入されるように、互いに接続される。抽出構造物ST1は、掘削ステム、ケーシングストリングまたはライナーストリング、または操作カラムなどのチュービングストリングを含む坑井内に導入されるように意図されたすべての構成要素を備える。例えば、典型的な坑井は、異なる直径および長さを有する3つのケーシングストリングと、ライナーストリングと、を備える場合がある。
【0051】
「構成要素」、「管状部材」および「管」という用語は、構成要素が常に管状の部材または実質的に管状の部材またはほぼ管状の部材になるという点で抽出構造物ST1の部材を指すため、本明細書において入替可能に使用される。
【0052】
Jbと付される「ジョブ」という用語は、組立体、すなわち抽出構造物ST1の準備を検討するタスクを指す。また、ジョブは、掘削領域における坑井内への導入も包含する。抽出構造物ST1への導入は、所定のシーケンスSEQ1に従って、構成要素Tk+1によって構成要素Tkとなる。ジョブJb1の定義は、「ジョブリファレンス」と呼ぶリファレンスの定義を意味する。ジョブJb1では、坑井W1内に入る同じ抽出構造物ST1に関係するすべての構成要素が、集計リストを使用して参照される。
【0053】
ジョブは、以下の項目と関連付けられる。
・ 契約番号CN:契約番号は、坑井が建設される場所を示す。契約番号CNは、場所、地理的位置、または構成が建設される地域を定義することができる情報であってもよい。
・ リグリファレンス:坑井が完成するように選択された場所に実装された、特定のリグを示す。リグは、水上または地上のリグタイプであってもよい。各リグタイプは、特定の機能を有してもよい。
・ 集計リファレンス:坑井内に導入される構成要素およびそれに関連する機能のリスト。
・ 各構成要素で実現される様々な動作。
・ ジョブステータス:準備、実行、完了。
【0054】
集計TALは、掘削機器、ケーシング機器およびチュービング機器など、坑井W1内に導入されるすべてのタイプの機器を扱う。集計TAL1に列挙された各機器は、集計で示される以下の他の項目に関連付けられる。
・ 構成要素Tkの特性の一部を示す機能セット。
・ 接続、接触、または相対的な位置など、他の構成要素との相互作用をもつ構成要素のリストの特性の一部を示す機能セット。
・ 追跡コード。
・ ジョブステータス:準備、実行、完了。
・ 有効長。
・ 内径。
・ シーケンス番号:坑井内に導入される各構成要素の順序を示す。また、シーケンス番号は、構成要素とそれに接続される他の構成要素との関係に関する情報を提供する。
【0055】
また、集計には、以下のようなインジケータも含まれる。
・ 抽出構造物ST1の一部を構成する構成要素T1のセットの累積長。
・ 泥水増加値MG(立方メートル):このインジケータは、例えば、別の文書から、またはコンピュータで計算された結果から抽出されてもよい。インジケータは、集計の一部であると見なすことができるように、表示および集計に集約されてもよい。
・ ストリング内容積SIV(立方メートル):このインジケータも、別の文書から、またはコンピュータで計算された結果から抽出されてもよい。インジケータは、集計の一部であると見なすことができるように、表示および集計に集約されてもよい。
【0056】
集計は、「事前集計」または「実行中集計」として異なる情報であってもよい。この利点の1つとして、構成要素の位置または構成要素に対する動作に応じて、カスタマイズされた構成要素Tkのリストを生成できることが挙げられる。
【0057】
例えば、地点40などのリグの位置における操作者は、坑井W1の内側と外側にあるすべての構成要素を調べる必要がある。この利点の1つとして、例えば、抽出構造物の累積長をいつでも計算できることが挙げられる。別の利点として、計算された全長の精度が挙げられる。これにより、構造物に沿った機器、特に特定の管に取り付けることができる機器の正確な位置決めが可能になる。
【0058】
別の例において、地点30における操作者は、最後の補修に大きな注意を払うために、特定のジョブJb1における構成要素のリストを取得したいと考える。この場合、操作者は、坑井内に既に導入された構成要素にアクセスする必要はない。この目的において、操作者は、ユーザインタフェースを介して、一部の動作を確認するための事前集計を要求する。
【0059】
集計リストの事前集計に応じて、管を表すデータの精度レベルがローカルデータベースに記録されてもよい。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータのインタフェースは、所定の坑井W1の抽出構造物ST1の構成要素Tkのリストを生成する。所与のジョブJb1によって、所定のシーケンスSEQ1において、坑井W1内に導入される構成要素Tkのリストを、割り当てられた順序で提示することができる。所定のシーケンスSEQ1によって、操作者は、構成要素Tkに対して実行される各動作が正しい順序で行われることを保証することができる。シーケンスSEQ1は、操作者のコンピュータでアクセス可能な管理ツールによって生成される。シーケンスSEQ1は、ジョブJb1に記録される。
【0061】
シーケンスSEQ1によって、坑井W1内への導入前または導入中の抽出構造物ST1における構成要素の組み込みに対するインジケータを生成することができる。
【0062】
このように、シーケンスSEQ1は、各段階において構成要素Tkに対する次の動作を操作者が計画できるようにする強力なツールである。
【0063】
本発明によって、
・ 所与の坑井W1内に導入されるように意図されたすべての構成要素、および
・ 掘削および完了作業中の構成要素に対する動作を制御するために自動的に生成された基準およびインジケータ、
を示すインタフェースが提供される。
【0064】
このインタフェースは、集計に記載された、例えば坑井で使用される掘削機器またはケーシングおよびチュービング機器に関連する集計TAL1および関連するジョブJb1の情報のすべてまたは一部へのアクセスを提供してもよい。
【0065】
シーケンスSEQ1の利点として、抽出構造物ST1の設置計画レビューの間に生じるエラーが減少することが挙げられる。また、これは、完了する所望の目的に応じて異なるレベルの精度を有するインジケータを生成することを可能にする。その結果、自動的に生成され得る活動レポートが容易になる。
【0066】
「ローカルサーバ」SERV1iは、管状部材が記憶され且つ管の特徴に関するデータが記録される領域「i」または地点に割り当てられたサーバである。このような場所では、ローカルデータベースDB1iは、ローカルサーバSERV1iに関連付けられる。このローカルデータベースDB1iは、サーバメモリであってもよく、別のメモリであってもよい。
【0067】
そのため、本発明の説明において、「ローカルサーバ」または「ローカルデータベース」は、通信インタフェースのイーサネット、RJ45または光ファイバーなどのメモリおよびアクセシビリティ能力を有する同一のネットワーク要素を指すと考えられる。
【0068】
[デジタル記述子]
管のデジタル記述子DD1は、少なくとも1つのメモリM1に記憶された第1のデータセットSET1を含む。第1のメモリM1は、様々なサブネットワークを含むネットワークの中央ノードに位置する。第1のサーバSERV1は、中央ノードにおける管などの複数の構成要素Tkの複数のデジタル記述子Dkを管理する。第1のメモリM1は、サーバSERV1に実装されてもよく、中央ノードにおいてクラウドアーキテクチャとして異なるサーバに分散されてもよい。
【0069】
一実施形態によれば、第1のデータセットSET1は、異なるデータサブセットSET11,SET12,SET13,SET14を含む。
【0070】
一実施例において、第1のデータサブセットSET11は、幾何学的データを扱い、以下の特徴:
・ 実際の外径、
・ 公称外径、
・ 実際の内径、
・ 公称内径、
・ 実際の重量、
・ 公称重量、
・ 鋼種、
・ ドリフト径、
・ 実際の肉厚、
・ 公称肉厚、
・ 最小肉厚、
・ 最小肉厚、
・ 有効長、
・ 材料規格、
・ 最大トルク、
・ 最適トルク、
・ 最小トルク、
・ 最小ショルダトルク、
・ 最大ショルダトルク、
・ 最大デルタ回転数、
・ ショルダ傾斜、および
・ 作製時損失、
のうちの少なくとも1つを含む。
【0071】
一実施例において、第2のデータサブセットSET12は、接合要素データを含む。このサブセットSET12は、以下の特徴:
・ 接続タイプ、
・ (別のインタフェース要素との)接合部長さの合計、
・ 有効な接合部長さの合計、
・ 特別なクリアランスカップリング、
・ 接続部の引張効率を低下させる、低下されたカップリングOD、
・ 同一のケーシングストリング内に複数のストリングがある場合に、カップリングが孔にぶら下がる危険性を低減するための特別なベベル、
・ 一致強度:張力で100%の効率を達成するために変更されたカップリング、
・ ドープレス:ユーザが接続部を構成するためにドープを使用しないことを可能にするコーティングを有する接続部、および
・ その他、
のうちの少なくとも1つを含む。
【0072】
一実施例において、第3のデータサブセットSET13は、ロジスティクス関連データなどのワークフローデータを含む。このサブセットSET13は、以下の特徴:
・ パイプ追跡コードTC、
・ カップリング追跡コードCTC、
・ 契約番号CN、
・ 製造元名MN、および
・ 製造日MD
のうちの少なくとも1つを含む。
【0073】
一実施例において、第4のデータサブセットSET14は、ジョブデータを含む。このサブセットSET14は、以下の特徴:
・ ジョブリファレンスJb、および
・ ジョブにおける連続番号S3、
のうちの少なくとも1つを含む。
【0074】
図1は、製造地点10から、坑井W
1内に管T
1が導入される地点40までの本発明の管T
1の経路シーケンスを示す。
【0075】
図1には、製造地点10、管の機器がある地点20、在庫および修理地点30、ならびに目的地40が示されている。本発明は、これらの地点の構成に限定されない。本発明の別の実施形態において、所定の管は、目的地に到着する前に、異なる地点を経由してもよい。
【0076】
図2は、第1の管T
1とも呼ぶ所定の管T
1の経路シーケンスの一例を示す。時間t
0において、第1の管T
1は、その製造のために地点Aにある。時間t
1において、管T
1は、その端部に終端が設けられるように、第2の地点20に搬送される。例えば、管T
1は、ステンレス鋼種で構築されたものであってもよく、地点20における特定の表面処理に適したものであってもよい。次いで、時間t
2において、管T
1は、例えば船23によって、在庫管理ステップ21を完了するための地点30に移送される。さらに、この段階で、管T
1は、特定の坑井W
1に割り当てられてもよい。この地点30において、操作者が、確認および制御を完了させてもよい。
図2に示す実施例において、管T
1は、時間t
3で地点20に戻される。この段階で、管T
1は、例えば特定の坑井W
1に関連するジョブデータシートで指定された特定の要求に適合するように、適応または修理される。修理または適応の後に、管T
1は、時間t
4で地点30に送られて、次いで、時間t
5で例えば船3によって地点40に配送される。地点40は、例えば坑井W
1である。
【0077】
別の経路シーケンスにおいて、第2の管T2が地点10から地点40に直接配送されてもよい。経路のすべての組み合わせが、本発明の様々な実施形態において想定され得る。
【0078】
各領域10,20,30,40、またはここに記載しない管T1が搬送され得るその他の地点は、第1のデータセットSET1を含むローカルメモリM1を備える。管T1を表すデータは、増加するように意図されており、これらは、経路および管T1で実行される動作に沿って完了することができる。
【0079】
好ましい実施形態において、ローカルメモリは、サーバ内に配置される。一実施例において、各地点10,20,30,40は、ローカルサーバSERV11,SERV12,SERV13,SERV14をそれぞれ備える。一実施形態において、各サーバは、WI-FIなどの無線インタフェースを介してアクセス可能であってもよい。管理インタフェースを含むモバイル装置などの端末やコンピュータは、サーバと通信するように構成されてもよい。一部の実施形態において、認証サーバ(図示せず)は、端末とローカルサーバとの間の安全な伝送に特化していてもよい。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、各ローカルサーバは、中央サーバSERV0を介して、第1のデータセットを自動的にまたは手動で転送する。一実施形態によれば、第1のデータセットは、後に中央サーバSERV0と同期されるように、ウェアラブルメモリに記録され得る。これは、例えばアクセスポイントとの無線接続が確立されていない海上のリグにローカルサーバSERV14がある場合に起こり得る。このような構成において、操作者は、第1のデータセットをローカルに転送し、その後、別の地点から中央サーバSERV0にデータを記録してもよい。一実施形態によれば、可能であれば、ローカルサーバが定期的に第1のデータセットを中央サーバまたは複数の中央サーバに転送する。
【0081】
送信されたデータは、タイムスタンプに関連付けられる。中央サーバSERV0は、必要に応じて、データを特定のタイムスタンプに関連付けることを可能にする処理を行って、第2のデータセットSET1を記録する。
【0082】
製造工場10では、異なる外径および内径、異なる肉厚、ならびに場合によっては異なる形状を有する様々な管T
kを製造することができる。各管の機械的特徴のセットは、第1のローカルサーバS
11に入力されてもよい。
図2は、管T
1の製造時にサーバに記憶され得る情報の一例を示す。例えば、有効長EL、重量WE、外径OD、内径IDおよび肉厚は、管T
1の製造中または製造後に地点10で定義されてもよい。本発明の別の実施形態において、その他の幾何学的データがこの段階で記録されてもよい。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、第1のデータセットは、トレーサビリティおよびロジスティクスにおいて使用されるワークフローデータSET13を含む。一実施形態において、管T1は、シリアル番号SNおよび製造日MDを含む。シリアル番号SNおよび製造日MDは、管T1の製造中または製造後に、第1のローカルサーバSERV11で設定される。別の実施形態において、その他の情報がローカルサーバSERV11に記録されてもよい。
【0084】
一実施形態において、製造された各管状部材Tkの多数の特徴は、基本的に、品質管理および製造工場での非破壊検査を介して得られる。
【0085】
接続部は、必ずしも管T1の製造直後に作製されるわけではなく、地点20における工場に隣接したまたは工場から離れた仕上げ施設を経た後に作製され得る。本発明によって、接続部が製造工場10で実現される場合と、別の地点20で実現される場合との両方の構成を考慮することができる。
【0086】
ほとんどの場合、本発明の管T
1は、地点10などの製造地点から、例えば地点20などの別の地点での接続に特化している。管T
1は、顧客の要求および注文に応じた適切な特徴を有するように、後から適合、装備または機械加工される。接合データを含む第2のデータサブセットSET
12は、管T
1の製造後に、地点20で記録されてもよい。
図2に示す実施例において、特定の接続部を有する管T
1の接続タイプCT(1)および接合部長さの合計JLTは、地点20のローカルサーバSERV
12に入力される。
【0087】
地点20において、例えば追跡コードTCや契約番号CNのような他のワークフローデータがサーバSERV12に記録されてもよい。一実施形態において、各ワークフローデータは、関連するタイムスタンプt1と共にローカルサーバ12に記録される。
【0088】
次いで、サーバSERV12の入力データは、中央サーバSERV0と同期されて、すべての情報が中央メモリまたは中央データベースDB0に記録される。一実施形態において、中央サーバSERV0に送信された各ワークフローデータは、中央サーバSERV0に記録されたレコードがそれぞれタイムスタンプを含むように、関連するタイムスタンプt1と関連付けられる。
【0089】
一実施形態において、中央サーバSERV0に既に記録されているワークフローデータと、記録されるようにローカルサーバSERV12から中央サーバSERV0に送信された新しい値を含む同じワークフローデータとの間に矛盾がある場合、本発明は、各ワークフローデータをそれぞれのタイムスタンプt0,t1に関連付けて、2つの異なる値を有する同じワークフローデータを記録することで、矛盾を管理することができる。
【0090】
製造後には、一部の管状部材が保管地に出荷される。一実施形態において、管T1は、保管のため、および追跡コードTCを受け取るため、および任意選択で適応または変更されるために、または例えば端部におけるねじ部や特定のコネクタの形成やコーティング処理を含むカスタマイズを受けるように、地点20に到着する。別の実施例において、各管Tkは、その経路の他の段階において、特定の適応、変更または任意のカスタマイズを受けてもよい。
【0091】
その結果、第1のデータセットSET1の第2のサブセットSET12からのデータの一部が、ローカルサーバSERV12に記録されてもよい。
【0092】
図2に示す実施例において、管T
1は、両端にコネクタINT
1を受容することで準備されるように変更されている。操作者は、これらのコネクタINT
1の接続タイプTCおよびコネクタを有する管T
1の接合部長さの合計JLTを定義または更新するためのインタフェースを介して、ローカルサーバSERV
12にアクセスする。この動作は、SET
12(CT(INT
1),JLT)によって示されている。
【0093】
経路シーケンスに続いて、管T1は、地点30で搬送される。地点30において、操作者は、ジョブリファレンスおよびジョブのシーケンスSEQ1における連続番号S3を割り当てる。本実施例において、操作者は、検査後に、コネクタINT1に変更を加える必要があることを示している。INTMなどの指示が、ローカルデータベースに記録される。管T1は、修理または変更のために、地点20に向けられる。
【0094】
ローカルサーバSERV12に記録された第2のサブセットSET12および第3のサブセットSET13からのすべてのデータは、例えば毎晩所定の時間に実施されるように計画されたバックアップストレージによって、中央サーバSERV0に自動的に送信される。
【0095】
この動作において、各データは、そのタイムスタンプt2と共に、中央サーバSERV0に記録される。
【0096】
一実施形態において、管状製品T
kは、
図1の地点30であるリグ準備地(rig prep)と呼ばれる場所に送られ得る。ここで、地点40などのヤードまたはリグにおけるジョブでの将来の使用を考慮して、管状製品T
kが準備される。管状構成要素T
kは、掘削されて完成した坑井内に留まってもよく、リグ準備地に送り返されて将来のジョブのために保管されてもよく、必要に応じて地点20などの修理工場に送られてもよい。
【0097】
図2に示す実施例において、例えば管T
1の各端部に配置された各コネクタINT
1のねじ山の再加工などのコネクタINT
1の変更のために、管T
1が地点20に戻される。本実施例において、この動作は、接合部長さの合計JLTの長さを短くすることにつながる。この動作によって、コマンドSET
12(CT(INT
2),JLT
2)が生成されて、操作者は、ローカルデータベース、すなわちローカルサーバSERV
12に新しい入力値を設定する。この実施例において、参照符号INT
2は延長ねじ部を有する変更されたコネクタを表し、JLT
2はコネクタで考慮される管T
1の新しい全長を表す。
【0098】
様々な理由により、管の一部の修理が正当化される場合がある。例えば、管状部材の最初の製造元またはエンドユーザによって制御されない修理工場は、±30mmの精度で長さを測定することを必要とするAPI国際規格に従って、管状部材の長さを測定する場合がある。その一方で、エンドユーザは、±3mmの精度を必要とする場合がある。
【0099】
これらの理由から、管状部材は、段階30または40において、ヤードまたはリグでリグ準備中に準備されてもよい。
【0100】
すべての段階において、管状部材に対して一部制御を行うことができる。リグ準備中に、複数の特徴が制御に従って更新されてもよい。また、修理工場や任意の製造施設またはメンテナンス施設において、管状部材が修理され得る。ここでは、
図2の実施例で示すように、製造工場で測定された初期の特徴の一部が変更されてもよい。
【0101】
図2に示す実施例において、管T
1は、時間t
4で地点30に送られ、次いで、時間t
5で地点40である坑井に送られる。リグでの時間t
5において、操作者は、適切な方法で測定して管T
1の有効長ELなどの特徴を新しく変更してもよい。この実施例において、操作者は、新しく測定された有効長をローカルサーバSERV
14に入力する。この動作は、坑井W
1内の泥水増加値を非常に正確に決定するように実現されてもよい。
【0102】
有効長ELなどの幾何学的データSET11は、この段階においてローカルサーバSERV14で更新されてもよい。次いで、サーバSERV14に記録されたデータは、同期されるために中央サーバSERV0に自動的にまたは手動で送信される。
【0103】
本発明は、ローカルな場所における管状製品T
kの更新された特徴がローカルサーバSERV
11,SERV
12,SERV
13,SERV
14の対応するローカルデータベースに記録される方法およびシステムを提供する。ローカルデータベースは、管状部材T
kに対するローカルレコードを含む。ローカルレコードは、
図2の実施例において、t
1,t
2,t
3,t
4などのタイムスタンプに関連付けられた管の特徴を代表するデータを含む。ローカルサーバSERV
1iは、ローカルレコードを中央データベースSERV
0に送信してもよい。別の実施形態によれば、リアルタイムで実施されてもよく、定期的に実施されてもよい。
【0104】
一実施形態において、ローカルデータベースSERV1iは、ローカルデータベースが中央データベースSERV0から中央レコードを受信するように、同期され得る。
【0105】
ローカルサーバのローカルデータベースは、工場データベース、リグデータベースおよび修理工場データベースとすることができる。この実施例において、ローカルデータベースは、フィールドサービスデータベースとすることができる。フィールドサービスとは、接続部を機械加工する能力を有する付属品および修理工場を意味する。実際、管状部材Tkが搬送後または使用後に修理を必要とする場合があり、付属品が別の構成要素から製造される場合がある。
【0106】
管状部材Tkに対して測定が行われるか、管状部材の1つまたは複数の特徴を変更する管状部材Tkに変更がもたらされると、1つまたは複数の特徴を表す1つまたは複数のローカルレコードは、ローカルユーザインタフェースを介して、ローカルデータベースSERV1iに記録される。
【0107】
ローカルデータベース、すなわち中央データベースを含むローカルサーバSERV1i、すなわちローカルサーバSERV0との同期は、通信インタフェースによって中央サーバがローカルサーバにアクセスできるようにしたときに、リアルタイムで行うことができる。
【0108】
一実施形態において、同期中に、ローカルデータベースDB
1iの項目について、ローカルデータベースDB
1iのローカルレコードと中央データベースDB
0の中央レコードとが比較される。ローカルデータベースにローカルレコードに相当するものがない場合、ローカルレコードがローカルデータベースDB
1iから中央データベースDB
0に引き出される。
図2では、時間t
0での地点10において、有効長ELがローカルデータベースDB
1iに初めて設定される。この情報が中央データベースと同期されると、新しいエントリが中央データベースDB
0に記録される。
【0109】
また、一実施形態において、本発明は、中央データベースDB0の中央レコードを表すデータを含むローカルデータベースDB1iなどの手段を提供する。一実施例において、このローカルデータベースDB1iは、中央データベースDB0の項目の一部のみを含むように構成されてもよい。
【0110】
一実施形態によれば、リモートデータベースDB1iは、リアルタイムでまたは定期的に、中央データベースDB0と同期される。有利には、リモートデータベースDB1iは、最新の更新で管状部材Tkに関連するデータを含む。例えば、時間t5での地点40においてユーザインタフェースを介して管T1の接続タイプCTを制御する操作者は、接続タイプCT(INT2)のみを見ることができる。
【0111】
中央データベースDB0は、
・ 管状部材T1を製造したまたは適合させた工場10または修理工場20によって与えられた特徴、および
・ 管状部材T1の特徴を変更または制御および測定した修理工場またはサービス会社、または別のリモート/ローカルデータベースDB1iからの更新されたデータ、
を含む。
【0112】
リモートデータベースDB14は、管状部材の特徴を確認するために測定が行われるリグデータベース、すなわち地点40に対応してもよい。これらの測定値は、タイムスタンプt4に関連付けられたリモート位置40で測定された管の特徴を表すデータを含むリモートレコードとして、リモートデータベースDB14に記録される。
【0113】
リモートデータベースDB14は、中央データベースDB0にリモートレコードを送信してもよい。
【0114】
地点40などのリグは、海上や砂漠にある可能性があるため、安定したデータリンクを有さない可能性があり、また、リグを操作する操作者のネットワークを介してリンクを取得することが常に可能であるとは限らない。リモートデータベースは、例えばジョブが終了したあとなど、定期的に同期されてもよい。
【0115】
中央データベースDB0は、例えば時間t0で定義される第1の状態における中央データベースからの中央レコードを表すデータを含む。そのため、中央データベースDB0は、例えば別のタイムスタンプt3に関連付けられた別の状態における中央レコードの形態で、別の状態におけるリモートレコードまたはローカルデータベースを表すデータを含んでもよい。
【0116】
地点30または40での掘削および完了動作の間に、ケーシングおよび管類は、ジョブデータシートに記録されたシーケンスで計画されたとおりに孔の中で実行されることが予想される。このシーケンスSEQ1は、坑井の完全性および完了プログラムを保証することができる。
【0117】
坑井W1のケーシングおよび完成のために必要な構成要素のリストは、ジョブデータシートで作製される。このジョブデータシートは、リグの準備作業に使用される集計を含む。
【0118】
本発明によれば、集計は、坑井W1内にいつ、どのような構成要素が所定の順序で導入されるかが記載された、シーケンスSEQ1を含む事前リストP-LIST1を含む。事前リストP-LIST1とジョブのリストLIST1との相違点は、坑井W1内に既に導入された管状部材のセットである。
【0119】
集計の詳細レベルは、坑井W1の複雑さに依存する。実行中には、このリストは、実際に坑井内に降ろされたパイプで更新される。事前リストP-LIST1は、LIST1となる。このリストLIST1は、ランインホール(RIH)集計とも呼ばれ、計画への適合性の確認や活動報告に使用される。
【0120】
本発明によって、リグ内への構成要素の導入の最後のステップで生じるエラーを低減するために、集計内で動的に順序付けられたシーケンスを制御することができる。また、本発明によって、坑井内に導入されるように意図された構成要素のうち、集計に準拠しない構成要素の変化や戻りを低減することができる。
【0121】
一実施形態によれば、本発明は、管状部材の製造から坑井W1内への導入までの管理および経路の変化を同期させるために、管Tkを追跡コードTC1でマーキングすることを利用する。
【0122】
一実施形態によれば、構成要素Tkの追跡コードTCkは、構成要素Tkの識別子とペアリングされる。
【0123】
一実施形態によれば、坑井内に導入されるように意図された各管Tkは、管の表面に物理的にマークされたコードによってマーキングされる。一実施例によれば、マーキングは、例えばバーコード128のタイプのバーコード、またはデータマトリックスのような光学的に読み取り可能なマーキングである。別の実施形態において、マーキングは、塗装、プリントまたは管Tkの表面上にラベルを貼り付けることで、実現される。別の実施形態によれば、マーキングは、レーザマーキングによって実現される。
【0124】
別の実施形態によれば、管Tk上のマーキングは、RFIDタグなどの無線タグによって実現されてもよい。追跡コードTCは、例えば管Tkの表面に張り付けられるように、パッシブまたはアクティブなRFIDタグに記録されてもよい。
【0125】
管Tkの経路の各段階において、操作者は、一般的にはリーダとも呼ばれるカメラなどの光学センサ、またはRFIDリーダなどの無線アンテナを使用して、追跡コードTCを読み取ることができる。
【0126】
一実施形態において、リーダは、モバイル装置、スマートフォン、タブレット端末、または携帯可能なノートパソコンなどのモバイル端末に配置される。
【0127】
別の実施形態において、リーダは、管Tkがカメラの前に移動されたまたはずらされたときに良好に配向されるような所定の位置に配置される。
【0128】
図3は、表面上にマーキングを有する第1の管T
1を示す。ここでは、第1の管T
1は、坑井W
1内に導入される直前である。管T
1が坑井W
1の上で直立した状態で配置されると、カメラ10は、バーコードTC
1を取得する。この構成において、解像度やレンズの光学性能を考慮して、カメラは、3~5メートルの範囲に配置されてもよい。
【0129】
一実施形態において、カメラ10は、IRまたは波長帯域選択光と組み合わせて使用することができる。この利点の1つとして、マーキングタイプと互換性のある解決策を定義できることが挙げられる。
【0130】
一構成において、カメラ10は、下向きであり、管Tkの回転中に読み取る能力を有する。
【0131】
一実施形態において、互換性のあるセントラライザー、動き検出器、または追跡コードのデコードを強化する任意のアルゴリズムが、カメラと共に使用されてもよい。
【0132】
次いで、バーコードTC1は、カメラ10に接続されたコンピュータ2によってデコードされる。カメラは、通信インタフェースを備え、ローカルコンピュータに画像を送信することができる。操作者3は、ソフトウェアプログラムおよびインタフェース4を介して、デコードされたバーコードにアクセスすることができる。追跡コードTCは、例えば、ローカルサーバSERV14によって、ローカルデータベースDB14への適切な要求を定義するために使用されてもよい。
【0133】
追跡コードTCは、管Tkに関連するすべての情報を回復するために使用される。一部の幾何学的情報、ワークフローデータまたは接合データがリアルタイムで取得されてもよい。
【0134】
その利点の1つとして、分析される現在の構成要素T1の情報の利用によって、抽出構造物ST1全体の一部のインジケータまたは基準を生成できることが挙げられる。
【0135】
[管のマーキング]
好ましくは、マーキングは、管状部材の端部に配置される。一実施形態において、マーキングは、各管状端部に配置される。一実施形態において、複数のマーキングが各管状端部に実現される。例えば、
図3に示すように、2つの異なるマーキングが、管T
kの軸に沿って0.2m離間している。また、
図3に示すように、一実施例において、マーキングは、異なる角度(120°)を有するように離間している。一実施形態において、マーキングは、0.3メートルの長さを有する。
【0136】
[在庫ステータス]
リーダの取得で制御可能な第1のインジケータは、管T1の識別子である。この第1のインジケータによって、構成要素Tkの在庫ステータスS0を確認することができる。識別子は、追跡コードTCであってもよく、管T1を識別する固有の識別子であってもよい。また、例えばシリアル番号SNであってもよい。
【0137】
リーダによる追跡コードTCの取得によって、管T1が以前に、例えば段階10または20においてペアリングされていたという事実を導き出すことができる。
【0138】
リグ40で操作される各構成要素を制御することで、安全なインジケータS0を生成することができる。これにより、例えば利用不可(部材への損傷が大きすぎる場合など)のためにローカルデータベースDB14から削除された以前の構成要素Tnが人によって誤って再利用されることがないようにすることができる。
【0139】
また、第1のインジケータS0によって、例えば、構成要素T1の表面が汚れてマーキングが完全に視認できないなどのマーキングへの不備がないことを確認して、管T1を坑井内に挿入する動作の制御を保証することができる
[完了ステータス]
別の実施形態において、第2のインジケータは、リーダによる取得によって制御されてもよい。第2のインジケータは、完了ステータスS1を扱う。一実施形態において、完了ステータスS1は、集計リストに設定されたインジケータである。第2のインジケータによって、管が完成していることを確認することができる。これは、様々な実施形態において、以下の動作が完了していることを示す:
・ 必要な変更がすべて管T1に対して行われ、および/または
・ 管T1には必要な接合要素がすべて設けられ、および/または
・ 前の段階において、少なくとも1人の操作者によって、必要な確認および測定のセットが事前に実行された。
【0140】
一実施形態において、第1のデータセットSET1の少なくとも1つのサブセットの少なくとも1つの特徴の値に関して、完了ステータスS1が分析される。
【0141】
一実施例において、接続タイプCTの存在および有効長ELの存在は、制御される。それらの値が所定の範囲にある場合、完了ステータスS1は、好ましくは確認される。
【0142】
別の例において、コネクタを含む全長は、完了ステータスの妥当性確認を行うために制御される固有のパラメータである。
【0143】
図3に示す実施例において、第2の操作者3’が、目視検査によって管T
kを制御する。目視検査、測定値検査、電気検査およびその他の制御からの結果がローカルデータベースDB
14に記録されてもよい。これらの結果は、特徴の新しい値または適合性情報を送信することで記録される。本発明によって、すべての情報が、例えばタイムスタンプt
4と共にデータベースDB
14に記録される。一実施例において、第2の操作者3’は、坑井W
1内に挿入される管T
1の有効長を測定する。次いで、操作者3’が測定した管の有効長の値は、データベースDB
14に記録される。コンピュータによって、ローカルデータベースDB
14にタイムスタンプ付きのレコードを生成することができる。
【0144】
[計画ステータス]
別の実施形態において、第3のインジケータS2は、追跡コードTCをデコードすることによって、制御される。第3のインジケータS2は、計画ステータスである。計画ステータスは、構成要素がジョブリファレンスに関連付けられていることを操作者に保証する。
【0145】
計画ステータスは、第4のデータサブセットの特定の特徴として定義されてもよい。次いで、この特定の値と、ジョブデータシートのジョブリファレンスとが比較される。ジョブデータシートは、第2のデータセットSET2によって示されてもよい。一実施形態において、この第2のデータセットは、例えば地点40において、第2のローカルデータベースDB24に記録されてもよい。
【0146】
一実施形態によれば、比較結果が、計画ステータスを生成する。
【0147】
[シーケンスステータス]
本発明の別の実施形態において、第4のインジケータS3は、追跡コードTCをデコードすることによって、制御される。第3のインジケータS3は、シーケンスステータスである。シーケンスステータスS3は、坑井W1内への構成要素T1の導入が適切に順序付けられていることを操作者に保証する。ジョブJb1で定義されたシーケンスSEQ1における構成要素T1の数が13である場合、その前に坑井内に挿入された構成要素は、シーケンスSEQ1において前の数である12をもつことになる。
【0148】
この利点の1つとして、特に坑井W1内に導入される前の管の誤った取り扱いなどの人的エラーを減少できることが挙げられる。接合部材を挿入したり、主要構造物の2つの連続する管の間にケージ要素を挿入したりする必要がある場合がある。
【0149】
本発明によって、シーケンスSEQ1において計画されていない構成要素の誤った取り扱いによって生じるエラーを減少させることができる。
【0150】
第3のインジケータS3の制御は、坑井W1内で実現された最後の構成要素Tkの数を記録することで、自動的に実現されてもよい。一実施例において、シーケンス内の連続する2つの番号の比較は、コンピュータのインタフェース上で操作者が容易に確認できる計画ステータスを生成してもよい。
【0151】
[長さステータス]
別の実施形態によれば、第4のインジケータは、追跡コードTCをデコードすることによって、生成される。
【0152】
管T1の長さの取得は、第1の管T1を組み込む抽出構造物ST1の現在の長さの合計を計算するために使用されてもよい。この取得は、管T1の全長または有効長に関連してもよい。
【0153】
本発明の方法によって、導入される管T1の全長と、既に坑井内にある抽出構造物ST1の現在の全長とを自動的に抽出することができる。一実施形態において、抽出構造物ST1の現在の全長は、コンピュータ2のメモリまたはローカルデータベースDB14のメモリに記録される。一実施形態によれば、抽出構造物ST1の現在の全長は、新しいエントリごとに更新される。
【0154】
構造物全体の長さステータスによって、ジョブデータシートで計算される理論値を確保することができる。値は、長さステータスを生成するために、互いに比較されてもよい。
【0155】
[泥水ステータス]
別の実施形態によれば、第5のインジケータは、追跡コードTCをデコードすることによって、生成される。
【0156】
管T1の内径ID1および外径OD1、または肉厚WT1の取得は、管T1の導入後に坑井で出現する可能性がある泥水増加値を計算するために使用されてもよい。
【0157】
この取得は、肉厚WT1の値を考慮して、内径ID1または外径OD1に関連してもよい。
【0158】
本発明の方法によって、管T1の内径値ID1と、既に坑井W1内にある現在の構造物の以前に計算された泥水増加値とから、泥水増加値を自動的に抽出することができる。本発明によって、坑井W1内に導入されるように意図された現在の構成要素と、それ以外の坑井内の構造物とを考慮して、構成要素ごとに泥水増加値を調査することができる。
【0159】
一実施形態において、現在の泥水増加値は、坑井W1内への導入ごとに、コンピュータ2のメモリまたはローカルデータベースDB14のメモリに記録される。一実施形態によれば、抽出構造物ST1の現在の泥水増加値は、新しいエントリごとに更新される。
【0160】
泥水ステータスは、坑井W1内への新しい管T1の導入の各反復で計算される更新値と、ジョブデータシートから取得することができる泥水増加値の予想値との比較によって生成されてもよい。この値は、坑井の特性に従って計算された理論値である。
【0161】
これにより、坑井内の泥水の見かけの量の減少を検出して、坑井の亀裂の可能性を警告することができる。代替的に、これにより、坑井内の泥水の見かけの量の増加を検出することができる。
【0162】
[構造物外容量ステータス]
別の実施形態によれば、第6のインジケータは、追跡コードTCをデコードすることによって、生成される。
【0163】
管T1の外径OD1および有効長ELの取得は、坑井内に導入される構造物の外容量を計算するために使用されてもよい。
【0164】
構造物外容量は、容量計算における内部の自由空間を考慮することなく、抽出構造物が占有する容量に対応する。
【0165】
肉厚WT1の値を考慮して、この取得は、外径OD1または内径ID1に関連してもよい。
【0166】
本発明の方法によって、管T1の外径値OD1または肉厚WT1および内径ID1ならびに有効長ELと、既に坑井W1内にある現在の構造物の以前に計算された構造物外容量値とから、坑井W1内に降ろされた抽出構造物の容量を自動的に抽出することができる。一実施形態において、現在の構造物の容量は、コンピュータ2のメモリまたはローカルデータベースDB14のメモリに記録される。一実施形態によれば、構造物容量値は、新しいエントリごとに更新される。
【0167】
[セメントステータス]
別の実施形態によれば、第7のインジケータは、追跡コードをデコードすることによって、生成される。
【0168】
構造物外容量と同様に、管T1の外径OD1の取得は、構成要素ごとに構築される構造物ST1を補強するために坑井内に導入され得るセメント量を計算するために使用されてもよい。
【0169】
この取得は、肉厚WT1の値を考慮して、外径OD1または内径ID1に関連してもよい。
【0170】
本発明の方法によって、管T1の外径値OD1および坑井W1内に既にある現在の構造物の、以前に計算されたセメント量からセメント量が自動的に抽出されて、坑井W1内に注入される。本発明によって、坑井W1内に導入されるように意図された現在の構成要素を考慮して、坑井内に導入されるセメント量を構成要素ごとに調査することができる。
【0171】
一実施形態において、現在のセメント量は、コンピュータ2のメモリまたはローカルデータベースDB14のメモリに記録される。一実施形態によれば、セメント量の値は、新しいエントリごとに更新される。
【0172】
セメントステータスは、坑井W1内への新しい管T1の導入の各反復で計算される更新値と、ジョブデータシートから取得することができるセメント量の予想値との比較によって、生成されてもよい。この値は、坑井の特性に従って計算された理論値である。この方法によって、坑井の構造物の統合に必要なセメント量をより正確に把握することができる。
【0173】
変形例において、セメント量は、坑井の操作者によって決定される坑井に関するデータから、および抽出構造物の構造物外容量から抽出される。
【0174】
図4は、3つのステップを含む本発明の方法の一実施形態を示す。
【0175】
第1のステップは、モバイル装置やワークステーションなどのユーザコンピュータからローカルデータベースDB1iへの要求REQ1の定義付けおよび伝送を含む。このステップにおいて、本方法は、管T1の識別番号を取得する。識別番号は、カメラで取得されてもよく、インタフェースを介して手動で入力されてもよい。
【0176】
要求REQ1の生成後に、ローカルサーバは、少なくとも第1のデータセットSET1を送信する。一実施形態において、ローカルサーバは、少なくともジョブデータシートを含む第2のデータセットSET2を送信する。この最後の構成は、地点30または40に現れてもよい。
【0177】
本方法は、上記で定義したような少なくとも1つのインジケータが生成されるように、データを受信/取得するステップを含む。これは、ACQで示されている。異なるデータが本発明の様々な実施形態に応じて受信されてもよい。この取得ステップは、例えば追跡コードを読み取った後に自動的に生成されてもよい。この取得は、取得されたデータの一部を示すコンピュータ上の表示領域の形態でなされてもよい。取得は、カスタマイズされた要求REQ1に関する優先データを指摘してもよい。
【0178】
本方法の第3のステップは、特に受信データの操作から生じるインジケータの値が、所定の値の範囲の予想値に対して高い、低い、等しいまたは異なる場合の、アラートの生成を含む。
【0179】
図5は、追跡コードを読み取る予備ステップが導かれる本発明の一実施形態を示す。このステップは、ローカルデータベースDB
1iが存在する各段階、すなわち各地点において実行されてもよい。このステップは、READ_CODEで示されている。
【0180】
図6は、中央データベースDB
0を更新するステップが導かれる一実施形態を示す。このステップは、UPDで示されている。中央データベースDB
0におけるデータの更新によって、各ローカルデータベースDB1Iを各管T
kの現在の特徴で更新することができる。
【0181】
一実施例において、地点20における管T1の変更は、ローカルデータベースDB12に記録され、次いで、中央データベースDB0における更新が完了してもよい。管T1が地点30に到達すると、管T1の変更された特徴は、中央データベースDB0との同期のおかげで、ローカルデータベースDB13で復元されてもよい
このステップの利点の1つとして、各地点における各構成要素の特徴、変更、適合、記録および確認の値を最新の状態に保つ方法を提供できることが挙げられる。これにより、エラーを確実に低減し、抽出構造物ST1の構成の組み込みを制御し、そのような構造を実現するための時間を短縮することができる。