(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】力を調整可能な装置
(51)【国際特許分類】
H02K 49/10 20060101AFI20240521BHJP
H02K 7/11 20060101ALI20240521BHJP
F16H 49/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H02K49/10 A
H02K7/11
F16H49/00 A
(21)【出願番号】P 2021531211
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 FR2019052851
(87)【国際公開番号】W WO2020109744
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-14
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アルザングル,ジャン-ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ル ダンマ,コランタン
(72)【発明者】
【氏名】ガルメス,バティスト
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101325349(CN,A)
【文献】特開2005-086932(JP,A)
【文献】特開2018-078714(JP,A)
【文献】特開2015-144048(JP,A)
【文献】特開2006-244885(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1032723(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 49/10
H02K 7/11
F16H 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軌道に沿った変位を可能にするための機械的に案内される部材と、
第1強磁性構造(1、1a)および磁石(7)に堅く接続された第2強磁性構造(3、3a)の間の磁気相互作用によって、前記変位を磁気的に指標付ける手段と、を備え、
前記磁石(7)は、電気コイル(8、9)に少なくとも部分的に囲まれており、
前記電気コイル(8、9)は、前記
電気コイル(8、9)に流れる電流の方向および大きさに従って、前
記磁石(7)の磁化を変更することを特徴とする力を調整可能な装置
であって、
前記手段は、前記第1強磁性構造(1、1a)と前記第2強磁性構造(3、3a)との間における無電流の磁気相互作用によって、前記部材の前記変位を磁気的に指標付けるための機構である、力を調整可能な装置。
【請求項2】
前記磁石(7)は、100kA/mより小さい保磁力を有する磁石であることを特徴とする請求項1に記載の力を調整可能な装置。
【請求項3】
磁化された前記第2強磁性構造(3)は、さらに100kA/mを超える保磁力を有する第
2の磁石(5)に堅く接続されていることを特徴とする請求項1に記載の力を調整可能な装置。
【請求項4】
前記第2強磁性構造(3)は、前記磁石(7)の2つの逆極性を接続する磁気短絡によって、さらに磁気的に閉じ込められていることを特徴とする請求項1に記載の力を調整可能な装置。
【請求項5】
前記第2強磁性構造(3、3a)は、前記第1強磁性構造(1)と共に、前記磁石(7)の第1極性の側の第1エアギャップと、前記磁石(7)の第2極性の側の第2エアギャップと、を規定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の力を調整可能な装置。
【請求項6】
パルス方式で、前記
電気コイル(8、9)への電源を制御する電子回路をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の力を調整可能な装置。
【請求項7】
前記第1
強磁性構造(1)および
前記第2
強磁性構造(3)は、複数の歯(2)を備え、
前記第2強磁性構造(3)は、一方が
前記第2の磁石(5)に接続され、他方
が前記磁石(7)に接続された、2つの歯付き半管状部分(4a、4b)から成り、
前記第2の磁石(5)および前記磁石(7)の磁化の方向は、平行であることを特徴とする請求項3に記載の力を調整可能な装置。
【請求項8】
前記歯の間の角度偏差は、
前記第1
強磁性構造(1)および
前記第2
強磁性構造(3)の間で同一であることを特徴とする請求項7に記載の力を調整可能な装置。
【請求項9】
前記歯の間の角度偏差は、
前記第1
強磁性構造(1)および
前記第2
強磁性構造(3)の間で異なることを特徴とする請求項7に記載の力を調整可能な装置。
【請求項10】
前記第2強磁性構造(3)は、
第2の磁石(5)および前記磁石(7)によって分離された2つの同軸
のディスク(
4c、4d)から成り、
前記磁石は、管状形状および軸方向磁化を有し、前記ディスク(
4c、4d)と同軸に配置されることを特徴とする請求項1に記載の力を調整可能な装置。
【請求項11】
前記装置は、回転式であり、
前記第1強磁性構造(1)および前記第2強磁性構造(3)は、
前記第1強磁性構造(1)と前記第2強磁性構造(3)との相対的な角度位置に応じて、可変のエアギャップを形成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の力を調整可能な装置。
【請求項12】
前記装置(DI)は、電気モータのステータに一体化され、
前記装置は、安定位置に保持するための力または所定の位置に戻るための力を制御することを特徴とする請求項1に記載の力を調整可能な装置を備える電気モータ。
【請求項13】
前記第1
強磁性構造(1)は、電気モータの
ヨークであり、
前記装置は、安定位置に保持するための力または所定の位置に戻るための力を制御することを特徴とする請求項1に記載の力を調整可能な装置を備える電気モータ。
【請求項14】
前記装置(DI)は、運動減速機(29)に結合され、
前記運動減速機(29)の出力ホイール(31)は、巻揚機(35)に堅く接続され、
ケーブルは、一方で前記巻揚機(35)に、他方で支持面(34)に堅く接続され、
ばね(33)は、前記
支持面に力またはトルクを加えることを特徴とする請求項1に記載の力を調整可能な装置。
【請求項15】
前
記装置(DI)は、前記磁石(7)の磁化を変化させることによって、ドアを閉じる速度を制御することを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の力を調整可能な装置を備えるドア閉じ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタンまたは回転変位または直線変位によって移動可能なアクセサリ、例えば、制御ボタンの位置および/または変位を表すアナログ信号を提供するための電磁センサに関連付けられた調整ボタン、を備える指標付け装置の分野に関する。
【0002】
このような装置は、一般に、ユーザによって作動されるときに、この部材によって占有される様々な位置に従って、上述の素子の活性化を引き起こす手動制御部材を備える。
【0003】
タッチによる触覚フィードバックを生成することでユーザの操作の結果として、操作が実際に行われたという感覚、または増分の数を触覚で知覚するという感覚、を得るために、ユーザがこの制御部材を動作させるときに、例えば、硬い点を通過することによって、触覚効果を感じることが重要である。この効果は、制御部材の位置の指標付け(割り出し)に相当する。また、与えられた情報およびユーザの経験が豊かになるように、例えば、同じボタンで行われる制御の種類、またはシステムによって動作が行われた場合に、動的に依存して感じられる感覚を変更できることも重要である。
【0004】
この制御装置は、例として自動車産業にて使用されている。それは、車両で使用することができ、例えば、ライト、ミラー、フロントガラスワイパー、エアコン、インフォティンメント、ラジオなどの動作および調整を制御する。
【0005】
それは、また様々な産業で、特に家庭用または産業用機器を調整するために使用されている。また、この装置は、(モータに電流を流さずに)制御可能な残留トルクまたは所定の安定位置に戻るための力のような、調整可能な力を獲得するために、電気モータに一体化することができる。
【背景技術】
【0006】
マイクロスイッチ、またはノッチ付きランプ上で機械的に位置が割り出されるバネ式負荷ボタンのような、手動制御装置は既に従来技術で知られている。
【0007】
これら装置では、機械部品間での摩擦が、一般に、寄生力および早期摩耗を引き起こす。
【0008】
磁気相互作用を用いた解決策が提案されている。EP1615250B1は、少なくとも1つの素子、特に電気回路または機械部材を制御するための装置であって、ハウジングと、手動制御部材と、前記制御部材の位置を割り出す方法とを備え、リングまたはディスクの形態をする逆極性の2つの永久磁石から成り立ち、一方は前記ハウジングに固定または堅く接続されており、他方は可動であり、前記制御部材に堅く接続され、その長手方向軸に対し垂直に取り付けられ、「作業」位置と呼ばれる様々な位置に従って動作する、前記素子を動作させるための方法は前記制御部材を占有することを記載する。
【0009】
FR2804240は、磁気式スイッチングによって自動車内の電気機能を制御するための装置を記載する。それは、ハウジングと、制御部材の位置を割り出すための方法を備える素子が取り付けられた回転軸に堅く接続された手動回転制御部材と、前記制御部材の様々な変位に対応する電気情報を提供するために、導電回路と協働するスイッチング方法とを備え、割り出し方法は永久磁石から成り、そのいくつかは静止しており、他の物は回転軸と共に回転している。
【0010】
WO2011154322は、静止位置から変位可能な手動で動作可能な制御素子を備え、制御素子によって変位区間において同期して駆動される第1可動永久磁石と、磁束によって後者に同期している第1可動永久磁石の変位区間の第1の部分区間において駆動される第2可動永久磁石と、および少なくとも第1永久磁石において磁気復元力を発生させるために制御素子に対し静止している第3永久磁石と、を備える少なくとも3つの永久磁石を備える、少なくとも2つのスイッチングまたは調整段階を有するスイッチングおよび/または調整機能のための制御素子を記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術の解決策は、第1に、指標付けの剛性は固定され一定であるため、完全に満足できるものではない。例えば、制御ボタンが目標位置に近いときに剛性を減少させ、反対に、目標位置が遠く大きな移動を伴う変位が必要なときにそれを増加させるなどの、状況に応じた触覚相互作用の性質を変化させることは、従来技術では不可能である。
【0012】
本発明は、剛性が変化する期間を除いて、指標付け堅さの規則の調整を制御部材の変位の中で電力消費無しにパラメータ化可能にすることで、この課題を改善することを目的とする。
【0013】
このような解決策は、特に連続的な電力供給を必要とする動力化制御ボタンを除外する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの技術的課題に対応するために、本発明はその最も一般的な意味において、所定の軌道に沿った変位を可能にするための機械的に案内される部材と、第1強磁性構造および磁石に堅く接続された第2強磁性構造の間の磁気相互作用によって、前記変位を磁気的に指標付ける手段と、を備え、前記磁石は、電気コイルに少なくとも部分的に囲まれており、前記電気コイルは、前記コイルに流れる電流の方向および大きさに従って、前記永久磁石の磁化を変更することを特徴とする力を調整可能な装置に関する。
【0015】
「磁気相互作用」という語は、第1および第2強磁性構造体ならびに磁石によって形成された、磁気回路の全磁気抵抗の変化による、磁気手段によって生成される任意の力を意味すると理解される。これは、例えば、歯付き構造体もしくは、可変エアギャップ、または、他の磁石と低保磁力場磁石との相互作用を有する構造体を含みうる。
【0016】
また、本発明は、所定の軌道に沿った変位を認めるための機械的に案内される部材と、第1強磁性構造(1、1a)および磁石(7)に堅く接続された第2強磁性構造(3、3a)の間の磁気相互作用によって、前記変位を磁気的に指標付けるための手段と、を備え、前記磁石(7)は、電気コイル(8、9)に少なくとも部分的に囲まれており、前記電気コイル(8、9)は、前記コイル(8、9)に流れる電流の方向および大きさに従って、前記永久磁石(7)の磁化を変更するコンピュータポインティングデバイスを除いた調整装置に関する。
【0017】
望ましくは、
磁石は100kA/mより小さい保磁力を有する磁石である。
【0018】
前記第2強磁性構造は、さらに100kA/mを超える保磁力を有する第2永久磁石に堅く接続されている。
【0019】
前記第2強磁性構造は、前記磁石の2つの逆極性を接続する磁気短絡によって、さらに磁気的に閉じ込められている。
【0020】
前記第2強磁性構造は、前記第1強磁性構造と共に、前記磁石の第1極性の側の第1エアギャップと、前記磁石の第2極性の側の第2エアギャップと、を規定する。
【0021】
一つの変形例に係る本発明の力を調整可能な装置は、パルス方式で、前記コイルへの電源を制御する電子回路をさらに備える。
【0022】
有利には、
前記第1構造および第2構造は、複数の歯を備え、前記第2強磁性構造は、一方が第2の磁石に接続され、他方が第1の磁石に接続された、2つの歯付き半管状部分から成り、前記2つの磁石の磁化の方向は、平行である。
【0023】
前記歯の間の角度偏差は、第1構造(1)および第2構造(3)の間で同一である。
【0024】
前記歯の間の角度偏差は、第1構造(1)および第2構造(3)の間で異なる。
【0025】
前記第2強磁性構造は、前記2つの磁石によって分離された2つの同軸ディスクから成り立ち、前記磁石は、管状形状および軸方向磁化を有し、前記ディスクと同軸に配置される。
【0026】
前記装置は、回転式であり、前記第1強磁性構造および前記第2強磁性構造は、前記構造の相対的な角度位置に応じて、可変のエアギャップを形成する。
【0027】
本発明はまた、本発明による力を調整可能な装置を備える電気モータに関係し、前記装置は、電気モータのステータに一体化され、前記装置は、安定位置に保持するための力または所定の位置に戻るための力を制御する。
【0028】
有利には、第1構造は、電気モータのシリンダヘッドであり、前記装置は、安定位置に保持するための力または所定の位置に戻るための力を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明は、添付の図面によって例示される非限定的な実施形態に関する、以下の説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【
図1】
図1は、装置の電磁気構造の第1例の斜視図である。
【
図3a】
図3aは、電磁気構造の第2の変形例における、半残留磁石の磁化の性質に応じた磁力線を示す。
【
図3b】
図3bは、電磁気構造の第2の変形例における、半残留磁石の磁化の性質に応じた磁力線を示す。
【
図4】
図4は、本発明による装置の変形例に応じた、電磁気構造の部分断面の斜視図である。
【
図5a】
図5aは、磁力線のレイアウトを有する別の実施形態における、本発明による装置の上面図である。
【
図5b】
図5bは、磁力線のレイアウトを有する別の実施形態における、本発明による装置の上面図である。
【
図5c】
図5cは、磁力線のレイアウトを有する別の実施形態における、本発明による装置の上面図である。
【
図6】
図6は、本発明による装置の変形例に応じた電磁気構造の部分断面の斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明による装置の別の変形例に応じた電磁気構造の部分断面の斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明による装置の別の変形例に応じた電磁気構造の部分断面の斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明による直線運動装置の実施形態を示す。
【
図10a】
図10aは、所定の位置に戻すための力を生成するための電気モータに一体化された装置の代替実施形態の分離図を示す。
【
図10b】
図10bは、所定の位置に戻すための力を生成するための電気モータに一体化された装置の代替実施形態のギアモータに一体化された上面図を示す。
【
図10c】
図10cは、所定の位置に戻すための力を生成するための電気モータに一体化された装置の代替実施形態のギアモータに一体化された断面図を示す。
【
図11】
図11は、電気モータに一体化された本発明による装置の別の実施形態を示す。
【
図12】
図12は、操作ボタンに一体化された本発明による装置の代替実施形態を示す。
【
図13a】
図13aは、ばねの進行推力を管理するための本発明による装置の代替実施形態を示す。
【
図13b】
図13bは、ばねの進行推力を管理するための本発明による装置の代替実施形態を示す。
【
図14a】
図14aは、2つの異なる種類のノッチングを生成することを可能にする特定の実施形態による本発明による装置の断面図を示す。
【
図14b】
図14bは、2つの異なる種類のノッチングを生成することを可能にする特定の実施形態による本発明による装置の断面図を示す。
【
図15a】
図15aは、3つ以上の異なるノッチング種類を生成するための2つの異なる実施形態による本発明による装置の断面図を示す。
【
図15b】
図15bは、3つ以上の異なるノッチング種類を生成するための2つの異なる実施形態による本発明による装置の断面図を示す。
【
図16】
図16は、制御された制動トルクを生成するためにアクチュエータに一体化することができる本発明による装置の断面図である。
【
図17】
図17は、
図10aに示されたものに対する代替実施形態の本発明による装置の斜視図である。
【
図18】
図18は、本発明による装置を使用するユーザインターフェースの一例のブロック図である。
【
図19a】
図19aは、本発明による装置が組み込まれ、少なくとも3つの異なる自由度によって配向できる、ユーザインターフェースの一例の斜視図である。
【
図19b】
図19aは、本発明による装置が組み込まれ、少なくとも3つの異なる自由度によって配向できる、ユーザインターフェースの一例の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、実施形態1に係る割り出し装置の電磁構造の概略斜視図であり、
図2aおよび
図2bは、このような装置の断面図および上面図をそれぞれ示す。
図1および
図2bにおける、太矢印は、素子の磁化の方向を表している。
【0031】
指標付け(割り出し)装置のこの実施例は、強磁性体からなる歯付き円筒により形成された第1構造体(1)から成り、図示の実施例では、歯付き円筒は半径方向に延びる20個の歯を有し、歯の数は限定されない。第1構造体(1)は、軸(6)を中心に回転しており、(ここでは見えない)手動で作動される制御ボタンに結合されている。
【0032】
第2歯付き強磁性構造体(3)は、この第1構造体(1)の内部に同軸に配置され、第1構造体(1)の運動に対して静止している。この第2強磁性構造体(3)は、第1構造体の複数の歯(2)に向かって半径方向に延び、第1構造体(1)の複数の歯(2)の角度偏差と同じ角度偏差である、複数の歯(11)を有する2つの静止した半管状部分(4a、4b)から成り立つ。歯(2)および(11)に関するこのような同一の角度偏差は、第1構造体(1)と第2構造体(3)との間の力を最大にすることを可能にし、それゆえに、ユーザに対し与える触覚感覚を最大にすることを可能にする。しかしながら、この触覚感覚の調整は、2つの構造体(1、3)における歯の数によって、および、ことによると歯(2、11)間の角度偏差の差によって、または2つの構造体(1、3)の歯(2、11)の異なる幅によってさえ、好都合に可能にする。
【0033】
2つの半管状部分(4a、4b)は、好ましくは希土類を組み込んだ高エネルギーの第1の永久磁石(5)によって一方で接続され、第1の永久磁石は、0.7テスラよりも大きい典型的な残留磁化を有し、いずれの場合も100kA/mよりも大きく典型的には600kA/mである高い消磁保磁力場を備えている。磁化の方向は、磁石の最大寸法に沿っており、この場合は、回転の軸(6)に対し、直交した方向である。永久磁石(5)は、一定の磁場を生成する機能を有し、装置の使用中に消磁されてはならない。
【0034】
これら2つの半管状部分(4a、4b)は、さらに他方で低保磁力場を有する第2磁石(7)に接続され、つまり、第2磁石は、半残留タイプまたはAlNiCoタイプの磁石であり、典型的に残留磁化が1.2テスラあり、典型的な保磁力場が50kA/mあり、いずれの場合も100kA/mより小さい。磁化の方向は、磁石の最大寸法に沿っており、第2の低保磁力場磁石(7)に与える磁化に応じて2つの磁石(5)および(7)の磁束は加算的または減算的であり、半管状部分(4a、4b)に磁束が流れる。磁石(7)の低保磁力場は、それの周りに設けられたコイルの手段によって、容易に磁化または消磁されるようにするために必要であり、これは、強力で高価な電子回路の使用なしに、一体化された装置での使用を可能にする限られたエネルギーで行われる。
【0035】
この第2磁石(7)は、第1磁石(5)と平行に配置され、2つの電磁コイル(8、9)に囲まれている。別の実施形態において、1つのコイルのみを設けてもよく、2つのコイル(8、9)は、例えば、バランスおよび空間最適化のために、ガイド軸(6)の両側に配置される。
【0036】
一例として、それぞれのコイルは、0.28mmの銅線で56巻き(ポケットあたり28巻き)しており、コイルは、端子抵抗が0.264Ωを有する。
【0037】
低保磁力場磁石(7)の磁化の極性を反転させるために、例えば、キャパシタを放電させることによって与えられる電流が直流または電気パルスの形態でコイル(8、9)に印加される。一例として、約730Atの起磁力を発生させる13アンペアの電流は、磁化を変更することを可能にする。
【0038】
実施形態1の動作は以下の通りである。(任意の基準での)正の方向での直流または電流パルスがコイル(8、9)を通って流れるとき、2つのコイルの間に加算できる磁場が生成することで、2つの磁石の磁束が、加算され、主にループ状に2つの磁石(5、7)および半管状部分(4a、4b)を通って流れるような方向に、低保磁力場磁石(7)は磁化される。その結果、第1構造体(1)を通る磁束がほとんどまたは全く存在せず、2つの構造体(1、3)との間の結合がほとんどまたは全く存在せず、そのため、構造体を作動するユーザは1つのノッチングも感じない。この具体例において、2つの磁石(5、7)の磁化は、平行で、2つの半管状部分(3、4)の間の中央平面に対して垂直であるが、この構成は排他的ではない。
【0039】
(任意の基準での)負の方向での電流パルスがコイル(8、9)を通って流れるとき、2つのコイルの間に再び加算できる磁場を生成し、2つの磁石の磁束が、減算され、主にループ状に2つの磁石(5、7)および2つの歯付き構造(1、3)を通って流れるような方向に、低保磁力場磁石(7)は磁化される。これは、顕著な結合またはノッチングを起こし、有意な指標付け感覚が装置のユーザによって知覚され、ユーザはノッチングを感じる。
【0040】
コイル(8、9)内の電流の強度は、有利には、低保磁力場磁石(7)の磁化の強度に、ひいては静止構造と可動構造との間の結合磁束に直接影響することによって、触覚感覚を調整することを可能にする。
【0041】
図3aおよび3bは、本発明による装置の変形例を示し、磁石(7)の周りのコイル(8)に結合した、低保磁力磁石(7)のみが存在している。この変形例では、前の実施形態にて既に説明した第1(1)および第2(2)歯付き構造体の機能が維持される。この変形例では、2つの半管状部分(4a、4b)もまた、軟磁性材料からなる短絡路(12)によって、相互接続されている。太矢印は、磁石(7)の磁化の方向を表し、この矢印の長さがこの磁化の強度を象徴する。
【0042】
この変形例の動作は以下の通りである。低保磁力場磁石(7)が飽和状態に磁化されるとき、すなわち、磁化が最大強度を有するとき、短絡路(12)は磁化が飽和し、その透磁率は低く、空気のそれに到達する。この場合(
図3a)、低保磁力場磁石(7)によって生成された磁場は、主に、第1(1)および第2(3)歯付き構造体を通過する。そのため、周期的なトルクの生成が促進され、ノッチング効果が生じ、したがって、触覚感覚は第2構造体(3)のユーザ操作によって感じられる。コイル(8)に与える電流パルスのもとで、低保磁力場磁石(7)は消磁し、少なくとも部分的に、磁化の強度は低下する。その結果、短絡路はもはや磁気飽和せず、低保磁力場磁石(7)で生成された磁束の大部分が短絡路(12)を通ってループする(
図3b)。この結果、第1構造体(1)の歯(2)と第2構造体(3)との間の磁場が劇的に減少され、対応して、ユーザのノッチングおよび触覚感覚を減少させる。コイル(8)内でのパルス電流の強度に影響を与えることによって、低保磁力場磁石(7)内での残留磁化のレベルを調整することができ、したがって、得られるノッチングの強度を調整することができる。
【0043】
短絡路(12)の使用は、本発明に必ず必要不可欠ではなく、磁石(7)の最小磁化の許容範囲を与える目的のみで用いられること、に注意すべきである。したがって、低保磁力場磁石(7)の残留磁化のレベルを調整するために、コイル(8)のパルス電流の強度のみに影響することによって、短絡路(12)を省略することが可能である。
【0044】
例として、もし消磁後低保磁力磁石(7)が、飽和時に有する磁場よりも10倍小さい磁場を提供する場合、残留トルクは典型的に100倍以上小さく観測される。
【0045】
図4は、第2強磁性構造体が、2つの構造体のインターフェースに形成された歯の領域に第1構造体(1)との2つの主なエアギャップを形成している、2つの歯付きディスク(4c、4d)によって形成されている変形例を示す。第1の、高保磁力場永久磁石(5)は、管状形状でかつ軸方向磁化を有する。第2の、低保磁力場永久磁石(7)は、第1永久磁石(5)と同軸であり、円筒形状でかつ軸方向磁化を有し、この場合、軸(6)に堅く接続される。コイル(8)は低保磁力磁石(7)を取り囲む。動作はその他の点では、コイル(8)に与えられる電気パルスの方向が、第1軸方向または反対の第2軸方向で低保磁力磁石(7)を磁化し、ノッチングを生成または抑制するために磁場を加算または減算する限りにおいて、上記第一の例で説明したものと同様である。
【0046】
図5aから5cは、本発明による装置の代替実施形態の類似図を、上から見たものである。前述した上記実施形態と異なり、第1構造体(1)および第2構造体(3)は歯を持たない。第2構造体(3)は、特に磁極片(4e、4f)を形成する点によって、その2つの端部で終端されている。これら2つの構造体(1)および(3)の間の磁気抵抗の変動は、例えばこの場合、この形状に限定されることはないが、略楕円形状が与えられた第1構造体(1)のために、磁極片(4e、4f)における連続的に可変なエアギャップによって達成される。上述したものと動作も同様である。
図5bは、永久磁石(5)および低保磁力磁石(7)が同じ方向に磁化の方向を持つ場合を示しており、第1(1)および第2(3)構造体での磁束のループ化を促進し、その結果2つの素子間の力を助長する。
図5cでの永久磁石(5)および低保磁力磁石(7)の磁化の方向は逆であり、磁束は第2構造体(3)の中で大部分が流れ、2つの構造体(1)および(3)の間に働く力を最小化またはキャンセルさえする。
【0047】
図6は、前述した歯付き構造体(1)および(3)の使用を繰り返す、別の代替実施形態である。この変形例は、一方では、この場合は歯で終端された折られたシートの形態であり、永久磁石(5)および低保磁力磁石(7)と接触する第2構造体(3)のデザインによって、他方では、2つの構造体(1)および(3)の間の歯(2)の数が異なることによって、最初の実施形態と異なっている。永久磁石(5)は平行六面体の形状をしており、低保磁力磁石(7)は活性化コイル(8、9)が軸(6)の両方の側に巻かれた円筒の形状をしている。
【0048】
図7は、永久磁石(5)が第2構造体(3)の歯付き半管状部分(4a、4b)の複数の平面延伸部(4a1、4b1)の間に、軸方向に配置される点で、上記と主に異なっている、別の代替実施形態である。この場合の永久磁石(5)は第1構造体(1)の回転に関する軸方向磁化を有し、単一のコイル(8)は低保磁力磁石(7)の周りに位置し、後者は回転軸に垂直な磁化の方向を有する。
【0049】
図8は、永久磁石(5)および低保磁力磁石(7)が同軸ではないという相違点を有し、
図4と同様の実施形態である。永久磁石(5)は、軸方向でもある磁化の方向と共に軸方向に延在し、低保磁力磁石(7)は、コイル(8)によって囲まれ、永久磁石(5)と平行である。
【0050】
図9は、本発明による直線運動装置の実施形態である。これは、ステータ(15)の複数の歯(2)と共に磁気的に協働する歯付き磁束収集器(14)によって終端された、形状は限定されないが、ロッドまたはバーの形状をした直線運動素子(13)から成る。ステータ(15)および直線運動素子(13)は、それぞれ回転する場合での第1(1)および第2構造体(3)と同等のものである。したがって、固定子(15)は、直線運動素子(13)に対し垂直に延伸する永久磁石(5)を有し、その磁化はこの延伸に沿った向きである。低保磁力磁石(7)は、永久磁石(5)と平行に伸び、コイル(8)によって囲まれ、その磁化を調整することを可能にする。
【0051】
図10aおよび11は、電気モータまたはアクチュエータの中に可変で制御可能な力を具体化させることを意図した本発明による装置の2つの特定の変形例である。
【0052】
図10aにおいて、点線の楕円(DI)によって区切られた本発明による装置は、磁化回転子(18)に関して半径方向に延びた、磁極(17)を有するモータ固定子(16)を含むモータに一体化されている。ここで与えられる実施例では、この磁化回転子(18)は、外部部材または機械減速機(減速ギア)を駆動させることを意図したピニオン(19)を回転させる。3つの磁極(17)は、磁化回転子(18)を駆動する回転場を発生させるために、モータコイル(20)を持っており、磁極の数は制限されない。モータ固定子(16)のある特定の磁極(17a)は、前記特定の磁極(17a)と平行に延伸する永久磁石(5)と結合し、その磁化方向はこの延伸に沿っており、永久磁石(5)に平行な低保磁力磁石(7)に結合している。特定の磁極(17a)は、活性化コイル(8)によって囲まれており、磁化回転子(18)側に、永久磁石(5)および低保磁力磁石(7)を磁気的に接続することを可能にする端部(21)を有する。コイル(8)を通って流れる電流パルスによって、低保磁力磁石は永久磁石(5)のそれと同じ方向または反対の方向の磁化の方向を有する。もし磁化が同じ方向である場合は、2つの磁石(5)および(7)の磁束は終端(21)から広がり、磁化回転子(18)を所定の位置に保持する力を生成するために、または所定の位置に前記磁化回転子(18)を戻す力を生成するために、磁化回転子(18)と相互作用する。もし磁化が互いに反対の方向である場合は、終端(21)における2つの磁石(5)および(7)の磁束はループし、磁化回転子(18)との相互作用は無く、後者には力を生成しない。
【0053】
本発明による装置は、例えば規定の位置を維持するトルク、所定の位置に戻すトルク、または周期的な残留トルクを加えることを可能にすることによって、電気モータまたはアクチュエータの中に制御可能な力を導入することを可能にする。
【0054】
例えば、
図10bにおいて
図10aのモータは、運動減速機(29)およびねじりばね(30)と結合し、基準位置(フェイルセーフ位置と呼ばれる)への復帰が、点線の楕円(DI)によって区切られた本発明による装置によって制御されるギアモータを形成する。ばね(30)は、出力ホイール(31)に位置決めされ、それにトルクを与える。モータが与えられた位置に到達しなければならない動作モードにおいて、本発明による装置は、回転子(18)へのトルクを生成する、回転子(18)および終端(21)の間の磁気相互作用を生成するような方法で活性である。運動減速機(29)の動作によって、この磁気トルクは、増幅され、バネ(30)によって出力ホイール(31)に生成されるトルクよりも大きくなる。したがって、装置は電流を消費することなく任意の位置を保持できる。一方、もし低保磁力磁石(7)での磁化を反転させることによって本発明による装置を不活性に変えた場合、回転子(18)および終端(21)の間の磁気相互作用トルクは抑制または最小化される。その結果、出力ホイールに加えられたばね(30)からのトルクは、出力ホイール(31)を所定の位置(例えば、ストッパの効力によって)に戻す力を生成する。したがって、本発明による装置は、制御可能で戻り/フェールセーフな力を達成することを可能にする。目的は、電流でばね(30)の戻り力を絶えず克服せず、モータの大きさを最小化できるようにすることである。
【0055】
減速機に結合し、減速機の出力ホイールのばねに結合する本発明による装置を含む、この特定の実施形態の適用例は、ドア閉じ機構での使用である。この場合、例えば、本発明による装置での相互作用トルクを最小限にすることによってその移動の大部分にわたるドアを閉じる時間を最小限にすることを可能にし、そして、生成する相互作用トルクによってドアの移動の最後の部分にわたる閉じることを制動することを可能にする。装置の寸法決めは、ドアを閉じる間に低保磁力場磁石(7)の磁化周期にも影響を与えることによって要求される、所望の制動特性を変更することを可能にする。この適用例は、
図13aおよび13bに示すような装置でも考えられることに注意されたい。
【0056】
図11は、電気モータに一体化されたこの力を制御可能な装置の変形例であり、固定子は
図10のものと類似し、参照素子が共通である。しかしながらこの実施例では、装置は磁化回転子(18)の内部に一体化されており、特定の磁極を持たない。実際に、固定子は従来式であり、電気モータの固定子と変化がない。磁化回転子(18)は、
図1に示す装置の第1構造体(1)と同等な強磁性ヨーク(22)を含む。この第1構造体(1)の中では、
図1の同様の素子が見られる。ヨーク(22)および静止した第2構造体(3)の間の制御可能な相互作用は、磁化回転子(18)に加わる力を変化させることを可能にする。
【0057】
図12は、第1歯付き構造体(1a)および第2歯付き構造体(3a)の間の相互作用が、遮断力を制御するために用いる、本発明による装置を組み込んだ手動で制御可能なボタン(23)を示す。第1構造体(1a)および第2構造体(3a)は、他方に対して軸方向に移動可能であり、第1構造体(1)の平面内に永久磁石(5)が一体化され、第2構造体(3a)の平面内に低保磁力磁石(7)および活性化コイル(8)が一体化されている。2つの構造体(1a、3a)の間の境界面において、半径方向に延伸する制動ディスク(24)があり、制動ディスク(24)はボタン(23)の歯付きサポート(支持体)(25)へと堅く接続している。したがって、ディスク(24)はボタン(23)に堅く接続している。
【0058】
低保磁力磁石(7)の磁化の方向が永久磁石(5)のそれと同一であるとき、2つの磁石(5、7)の磁束はボタン(23)の歯付きサポート(25)の中と第1構造体(1a)の歯付きサポート(26)の中とをそれぞれ流れ、これにより、ボタン(23)のユーザが感じるノッチング感覚を生成する。低保磁力磁石(7)の磁化の方向が永久磁石(5)のそれと反対になるとき、2つの磁石(5、7)の磁束は2つの構造体(1a、3a)の間のエアギャップを主に流れ、このエアギャップ(27)の閉塞を促進し、したがって、2つのサポート(25、26)の間の制動ディスク(24)を固定する。ノッチ状態への復帰は、低保磁力磁石(7)の磁化の方向を変更することと、1つ以上のばね(28)の動作によってエアギャップ(27)が再び開くこととによって、達成することができる。したがって、本発明による装置の効果によって、ノッチング感覚を達成することだけではなく、ボタンの動作を防止することで停止への到達をシミュレートすることをも可能にする。
【0059】
図13aおよび13bは、本発明(DI)(この場合、
図1に示す実施形態による)による装置のそれぞれ上面図および斜視図であり、機械運動減速機(29)および押し装置(32)に関連している。後者は圧縮ばね(33)および支持平面(34)から成り立つ。運動減速機(29)は、出力ホイール(31)上に、平面支持体(34)に接続されたケーブル(36)が巻かれた巻揚機(35)を有する。圧縮ばね(33)は、一方の長手方向側(A)上で固定されており、他方の長手方向側(B)上で支持平面(34)に力を加える。本発明による装置の磁化を管理することによって、前記装置において磁力の源を生成することが可能になる。出力ホイール(31)ひいては巻揚機(35)に加えられるトルクは、減速機(29)の動作によって、増幅され、ばね(33)の力に抗してケーブル(36)を保持する大きさになる。本発明による装置における磁化を変更することによって、磁力の源が除去または最小化され、巻揚機(35)における力が除去または最小化され、したがって、ばね(33)が
図13aにおける太矢印の方向に支持平面を前進させることを可能にする。したがって、角運動を伴う支持平面にも適用できるこの装置は、支持平面(34)の漸進的な前進を達成するために、圧縮ばねの力を有利に管理することができる。例えば、そのような装置の使用は、シリンジポンプのために、もしくは任意の分配器の適用量を管理することまたはドアを閉じること管理することすらも想定されうる。
【0060】
図14aおよび14bは、同じトポロジーの2つの磁気構成を示し、その目的は、低保磁力場磁石(7)の磁化の方向に応じて異なる数のノッチを感じることである。
図14aの太矢印で示すように方向づけられたとき、第2構造体(3)の一部分(4a)にしたがって運ばれ、第1構造体(1)の複数の歯(2)の周期と同一の周期でこの構成において空間をあけられている、第1パターンの複数の歯を経由して第1および第2構造体(1、3)の間を流れる磁束を、この磁石(7)の磁化は生成する。
【0061】
図14bに示す第2の構成によれば、太矢印で象徴されるように、磁石(7)の磁化は上述したものとは反対方向であり、第2構造体(3)の一部分(4b)にある、トルクに関して第2機械的周期を生成するように空間をあけられた、第2パターンの複数の歯を経由して、第1および第2構造体(1、3)の間を磁束が流れる。この第2構成による生成されたトルクの機械的周波数は、第1構造体(1)上の均等に離間された歯数と、一部分(4b)にしたがって運ばれた第2パターンの複数の歯にしたがって均等に離間された第2構造体(3)上の歯数と、の間のLCM(最小公倍数)に等しい。このパターンで配置されるべき歯数は、一部分(4b)にしたがって運ばれた第2パターンの複数の歯上の均等に離間した歯数を、この歯数と、第1構造体(1)の歯数との間のGCD(最大公約数)によって割ったものと等しい。
【0062】
図示の例では、第1構造体(1)上には15°間隔で均等に離間した24個の歯があり、固定子の一部分(4a)にある第1パターンの歯上には15°間隔で離間した3個の歯がある。生成されるトルクの機械的周期は、360/LCM(24,360/15°)すなわち15°である。一部分(4b)にある第2パターンの歯は20°間隔で離間した3個の歯を有する。生成されるトルクの機械的周期は、360/LCM(24、360/20=18)すなわち5°である。
【0063】
一部分(4b)にしたがって運ばれたこの第2パターンの歯に配置されるべき歯数は、18歯/GCD(18、24)=3である。
【0064】
図15aは、4つの異なる動作モードを得ることを可能にした、
図14aおよび14bでの実施形態の拡張したバージョンである。実施形態は、その内面にわたって分布し半径方向内側に向けられた歯(2)を有するリングの形状をした第1の歯付き構造体(1)と、この場合では3つの半管状部分(4a、4b、および4c)を含む第2強磁性構造体(3)と、高保磁力場永久磁石(5)と、2つの低保磁力場磁石(7a、および7b)と、を有する。後者はそれぞれ、それらの磁化(9a、および9bそれぞれ)を反転することおよび/または変更することを可能にする、コイルによって囲まれる。
【0065】
その外側円筒側面において、複数の半管状部分(4a、4b)はそれぞれ、リングの歯と一組の歯が相互作用することを可能にする、一組の歯(11a、11b)を有する。半管状部分(4c)は、磁束のループを確保することと、磁気トルクを最適化することとを可能にする、形状を有する。この場合、第2構造体(3)に対する第1構造体(1)の任意の相対位置における磁束のループを確保するために、歯はなく一定の半径(11c)とする。
【0066】
第2強磁性構造体(3)は、磁石(5,7aおよび7b)および半管状部分(4a、4bおよび4c)をオルソ半径方向(orthoradial)に交互に配置することによって生成される。このようにして、磁束が第2強磁性構造体(3)を通るループのみであるように、もし全ての磁石の磁化の方向が選択されたならば、装置は実質的にゼロトルクを有することができる。1つまたは複数の低保磁力場磁石(7aまたは7b)の磁化の方向の変化によって、半管状部分(4a、4b)または(4a、4c)または(4b、4b)の2つだけを通って、第1歯付き構造体(1)に向けられ、
図14aおよび14bの教示に従って、第1および第2構造体(1、3)の幾何学的特性に応じた3つの異なる磁化トルクが得られる。
【0067】
図15bは、4つの異なる動作モードをも得ることを可能にする、
図15aの代替実施形態である。この目的のために、実施形態は内面にわたって分布する歯(2)付きリングの形状の第1歯付き構造体(1)を有し、この場合3つの半管状部分(4a、4bおよび4c)と、高保磁力場永久磁石(5)と、2つの低保磁力場磁石(7a、7b)とを備える。後者はそれぞれコイルに囲まれ、それらの磁化(9aおよび9b、それぞれ)を反転および/または変更することを可能にする。第2強磁性構造体(3)は第1構造体(1)の内側に存在し、一組の均等に分配された歯(2)を備える。
【0068】
半円筒状部分(4a、4b)はそれぞれそれらの円筒面の内側に、回転子の歯と相互作用することを可能にする一組の歯(それぞれ11a、11b)を有する。半管状部分(4c)は、磁束をループにすることを確保することと、磁化トルクを最適化することとを可能にする形状を有する。この場合、第2構造体(3)に対する第1構造体(1)の任意の相対位置でも、磁束をループにすることを確保するために、歯ではなく、一定の半径(11c)を有する。
【0069】
図16に示す構成では、低保磁力場磁石(7)の配向方向に応じて、また既に上述した教示を考慮すると、磁束は第2構造体(3)と相互作用することなく、またはほぼ相互作用することなく、主に第1構造体(1)を流れ、もしくは、磁束は歯を介して第2構造体(3)を流れ、第2構造体(3)に対する第1構造体(1)の相対位置に応じたトルクを生成する。この効果の原因である高保磁力場永久磁石(5)との磁気協働は、それゆえに、その周りの電気コイル(8)によって引き起こされる低保磁力場磁石(7)の磁化の配向方向に応じる。このような装置は特に一例として、要求に応じて固定または開放されなければならない装置のための追加の位置保持機能を作ることに使用することができる。
【0070】
図17は、
図10a、10bおよび10cで提案または示された代替実施形態である。この実施形態では、本発明による装置(DI)は、モータの制御コイル(20’)の1つに直接一体化される。このように、モータの回転子(18)との磁気相互作用によるノッチングまたはノッチングの欠如による機能性は、モータの電気相であるコイル(20’)によって、直接制御されることができる。モータを制御するとき、コイル(20’)での電流の流れは、低保磁力場磁石(7)の永久磁化を変更するための制限を超えてはならない。装置(DI)は、上述した場合の例をとると、異なる方法で生産されることができる。
【0071】
図18は、ユーザインターフェースを管理するための完全なシステムに統合されたときの、本発明による装置(DI)のブロック図である。この実施例では、本発明による装置(DI)はこのユーザインターフェースおよび位置センサに堅く接続され、それはマイクロコントローラによって制御される。この実施形態によれば、位置センサによって検出され、信号(38)を介してマイクロコントローラに送り返された信号に応じて、インターフェースの位置を示し、このマイクロコントローラは制御信号(37)を介して本発明による装置(DI)のコイル(複数可)を制御する。上記で定義された機能によるノッチングを生成すること、変更すること、またはキャンセルすることによって、ユーザインターフェースでの本発明による装置の動作(39)によって、すなわち、動作中およびインターフェースの位置に応じて、本発明による装置(DI)はユーザが感じるものをこのように動的に変更できる。
【0072】
図19aおよび19bは、本発明(DI)による装置を用いた同じユーザインターフェースの異なる図であり、一つは分解図であり、一つは断面図である。この実施例では、この装置(DI)は、3つの回転自由度によってユーザによって回転できるインターフェース(40)の中に一体化される。したがって、装置(DI)は、いずれの実施例においても上述された教示による前記装置(DI)の構成に応じて、ユーザが感じるものを変更することができる。この実施例では、第2構造体(3)は、ボールジョイントフィンガー(43)に硬く接続されており、それゆえに、3軸の回転自由度が可能である。装置の回転の主軸(A)による回転は自由であるが、他の2つの回転自由度は、円錐(44)の形状を成す支持体(41)とボールジョイントフィンガー(43)との機械的協働によって機械的に制限されている。軸(A)に沿った移動における自由度を追加することも想定される。