(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】精製所および改質プラントからの硫黄含有廃棄物の処理方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/86 20060101AFI20240521BHJP
C10G 45/04 20060101ALI20240521BHJP
C10G 19/02 20060101ALI20240521BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20240521BHJP
B01D 53/52 20060101ALI20240521BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B01D53/86 212
C10G45/04 B
C10G19/02
B01D53/50 260
B01D53/52 ZAB
B01D53/86 217
B01D53/14 210
(21)【出願番号】P 2021544105
(86)(22)【出願日】2019-10-07
(86)【国際出願番号】 US2019055026
(87)【国際公開番号】W WO2020076717
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-04
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ シーマンズ
(72)【発明者】
【氏名】テレンス マキュー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ヴィジオリ
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭47-020091(JP,A)
【文献】特開昭60-220123(JP,A)
【文献】特開昭54-095969(JP,A)
【文献】特開昭60-118610(JP,A)
【文献】国際公開第2018/147421(WO,A1)
【文献】特開昭54-107801(JP,A)
【文献】国際公開第2016/102652(WO,A1)
【文献】Regeneration of Residue Hydrodesulfurization Catalyst,Journal of the Japan Petroleum Institute,Vol.56,No.3,P.109-121
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/86
B01D 53/50
B01D 53/52
C10G 45/04
C10G 19/02
C01B 17/04
C01B 17/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄含有廃棄物の処理方法であって、
硫黄含有廃棄物を加熱して、第1のガス流を生成すること、ここで前記第1のガス流は二酸化硫黄(SO
2)を含む、
前記第1のガス流の少なくとも一部を硫黄処理プロセス(STP)に供給すること、
第2のガス流を前記STPに供給すること、ここで前記第2のガス流は硫化水素(H
2S)を含む、
第3のガス流を前記STPに供給すること、ここで前記第3のガス流は酸素(O
2)を含む、および
前記STPに供給される前記第3のガス流の量を調整して、SO
2とH
2Sとの間の反応を維持すること
を含
み、
前記STPが、炭化水素処理プラントのSTPであり、
前記炭化水素処理プラントが、炭化水素精製プラントであり、前記硫黄含有廃棄物が、炭化水素精製プラントから生じる使用済み水素化処理(HDP)触媒を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のガス流が、前記炭化水素処理プラントの炭化水素処理操作から生じる1つ以上のガス流を含む、請求項
1記載の方法。
【請求項3】
前記第2のガス流が、酸性ガス流、アミンガス流、およびサワー水ストリッピングオフガス流からなる群から選択される、請求項
2記載の方法。
【請求項4】
前記硫黄含有廃棄物が、タンクスラッジを含む、請求項
2記載の方法。
【請求項5】
前記硫黄含有廃棄物が、硫黄トラップ触媒を含む、請求項
2記載の方法。
【請求項6】
前記硫黄含有廃棄物を加熱する前に、油と前記硫黄含有廃棄物との混合物から前記硫黄含有廃棄物を分離することをさらに含む、請求項
2記載の方法。
【請求項7】
前記第1のガス流が、二酸化炭素(CO
2)、水(H
2O)、および窒素(N
2)からなる群から選択される1種以上の成分をさらに含み、前記第1のガス流の一部を前記STPに供給することは、前記第1のガス流を処理してSO
2富化ガス流を供給し、前記SO
2富化ガス流を前記STPに供給することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記第1のガス流を処理してSO
2富化ガス流を供給することが、
前記第1のガス流を希薄SO
2吸着媒体と接触させてSO
2富化SO
2吸着媒体およびSO
2枯渇ガスを生成すること、および
前記SO
2富化SO
2吸着媒体からガス状SO
2をストリッピングして前記SO
2富化ガス流を生成すること
を含む、請求項
7記載の方法。
【請求項9】
前記希薄SO
2吸着媒体が、アミンを含む溶媒を含む、請求項
8記載の方法。
【請求項10】
前記STPに供給される前記第3のガス流の量を調整することが、
前記STPへの前記第1のガス流の少なくとも一部の供給速度を決定すること、
前記STPへの前記第2のガス流の供給速度を決定すること、および
前記決定された
前記第1のガス流の供給速度
及び前記決定された前記第2のガス流の供給速度に基づいて前記STPに供給される前記第3のガス流の量を調整すること
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記決定された
前記第1のガス流の供給速度
及び前記決定された前記第2のガス流の供給速度に基づいて前記STPに供給される前記第3のガス流の量を調整することが、前記STPへの前記第2のガス流の供給速度に対して前記STPへの前記第1のガス流の少なくとも一部の供給速度が増加する場合、前記STPへの前記第3のガス流の量を減少させることを含む、請求項
10記載の方法。
【請求項12】
前記STPに供給される前記第3のガス流の量を調整することが、
前記STPのテールガスの組成を決定すること、および
前記決定された組成に基づいて前記STPに供給される前記第3のガス流の量を調整すること
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記STPのテールガスの組成を決定することが、前記テールガス中のSO
2に対するH
2Sの比を決定することを含む、請求項
12記載の方法。
【請求項14】
前記決定された組成に基づいて前記STPに供給される前記第3のガス流の量を調整することが、SO
2に対するH
2Sの比が増加する場合に、前記STPに供給される前記第3のガス流の量を増加させることを含む、請求項
13記載の方法。
【請求項15】
前記第1のガス流の少なくとも一部を前記STPに供給することが、前記第1のガス流を処理して、前記第1のガス流から微粒子を除去することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記STPが、クラウスプロセスを含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記STPが、硫酸プラントを含む、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本出願は、使用済み触媒および他の硫黄含有トラップ、ガード、および廃棄物を、炭化水素精製プロセスから回収して処理するための技術に関する。
【0002】
背景
触媒水素化処理(HDP)は、不純物、例えば、ヘテロ原子(硫黄、窒素、酸素)、水素化または水素化分解重炭化水素、例えば、PNA(多核芳香族)を除去し、金属/半金属汚染物質、例えば、(Si、As、Fe、Na、VおよびNi)を除去するために、石油精製およびオイルサンド改質産業で広く適用されている。水素化処理により一般的に使用される触媒の1つは、アルミナ(Al2O3)、シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体材料に担持される、1つ以上の第VIII族(第8族~第10族、IUPAC)の金属、例えば、コバルト(Co)またはニッケル(Ni)、および1つ以上の第VIB族(第6族、IUPAC)の金属、例えば、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)を含む。水素化処理触媒が水素化処理プロセスで使用される場合、触媒上のコークスと呼ばれる炭素含有堆積物の蓄積および/またはバナジウム(V)などの不活性化無機材料の存在によって、触媒の活性は経時的に低下する。これらの触媒のいくつかは、再利用のために再生または活性化され得るが、しばしば、使用済み触媒は回収されず、代わりに廃棄物として扱われる。使用済み触媒は、しばしば有害な廃棄物として分類され、埋め立て地に送られるか、再生または金属再生利用のために送られるかにかかわらず、それに応じて処理されなければならない。したがって、触媒回収および触媒金属再生利用のためのより効率的なプロセスが必要である。
【0003】
再生または金属再生利用プロセスは、典型的には、精製所または改質プラント(upgrader)から離れて行われる。再生または再生利用の第1の工程は、一般に、高温で酸素の存在下で使用済み触媒を焙焼することである。これにより、触媒上の硫黄化合物が、健康および環境への危険性があると考えられる揮発性硫黄酸化物化合物に変換される。これらの硫黄酸化物化合物を削減する一般的な方法には、苛性アルカリ洗浄および石灰洗浄が含まれる。これらの方法は、硫黄酸化物が大気に侵入するのを防ぐのに効果的であるが、硫酸ナトリウム/使用済み苛性溶液または汚染された硫酸カルシウム固形物などの二次液体および/または固体廃棄物の流れを生成する。
【0004】
概要
本明細書では、硫黄含有廃棄物の処理方法が開示されている。いくつかの実施形態によれば、この方法は、硫黄含有廃棄物を加熱して第1のガス流を生成すること、ここで第1のガス流は二酸化硫黄(SO2)を含む、第1のガス流の少なくとも一部を硫黄処理プロセス(STP)に供給すること、第2のガス流をSTPに供給すること、ここで第2のガス流は硫化水素(H2S)を含む、第3のガス流をSTPに供給すること、ここで第3のガス流は酸素(O2)を含む、およびSTPに供給される第3のガス流の量を調整して、SO2とH2Sとの間の反応を維持することを含む。いくつかの実施形態によれば、STPは、炭化水素処理プラントのSTPである。いくつかの実施形態によれば、炭化水素処理プラントは、炭化水素精製プラント、炭化水素改質プラント、または天然ガス処理プラントである。いくつかの実施形態によれば、第2のガス流は、炭化水素処理プラントの炭化水素処理操作から生じる1つ以上のガス流を含む。いくつかの実施形態によれば、第2のガス流は、酸性ガス流、アミンガス流、およびサワー水ストリッピングオフガス流からなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、STPは、熱反応器を含み、第1、第2、および第3のガス流をSTPに供給することは、第1、第2、および第3のガス流を熱反応器に供給することを含む。いくつかの実施形態によれば、炭化水素処理プラントは、炭化水素精製プラントである。いくつかの実施形態によれば、硫黄含有廃棄物は、使用済み水素化処理(HDP)触媒を含む。いくつかの実施形態によれば、使用済みHDP触媒は、炭化水素精製プラントから生じる。いくつかの実施形態によれば、この方法は、使用済みHDP触媒を加熱することを含み、使用済みHDP触媒を約500°F~約850°Fの温度で加熱することを含む。いくつかの実施形態によれば、使用済みHDP触媒を加熱することは、最初に使用済みHDP触媒を約500°F~約700°Fの第1の温度で加熱して触媒から汚染物質をストリッピングし、次いで使用済みHDP触媒を、酸素含有雰囲気で約750°F~約850°Fの第2の温度で加熱して使用済みHDP触媒上のコークスを除去し、そして使用済みHDP触媒の金属硫化物をそれらの酸化物に変換することを含む。いくつかの実施形態によれば、使用済みHDP触媒を加熱することは、使用済みHDP触媒を約800°F~約2000°Fの温度で加熱することを含む。いくつかの実施形態によれば、第2のガス流は、炭化水素精製プロセスの酸性ガス流、炭化水素精製プロセスのアミンガス流、および炭化水素精製プロセスのサワー水ストリッピングオフガス流からなる群から選択される1つ以上の流れを含む。いくつかの実施形態によれば、硫黄含有廃棄物は、タンクスラッジを含む。いくつかの実施形態によれば、硫黄含有廃棄物は、硫黄トラップ触媒を含む。いくつかの実施形態によれば、この方法は、硫黄含有廃棄物を加熱する前に、油と硫黄含有廃棄物との混合物から硫黄含有廃棄物を分離することをさらに含む。いくつかの実施形態によれば、第1のガス流は、二酸化炭素(CO2)、水(H2O)、および窒素(N2)からなる群から選択される1種以上の成分をさらに含み、第1のガス流の一部をSTPに供給することは、第1のガス流を処理してSO2富化ガス流を供給し、SO2富化ガス流をSTPに供給することを含む。いくつかの実施形態によれば、第1のガス流を処理してSO2富化ガス流を供給することは、第1のガス流を希薄SO2吸着媒体と接触させてSO2富化SO2吸着媒体およびSO2枯渇ガスを生成し、そしてSO2富化SO2吸着媒体からガス状SO2をストリッピングしてSO2富化ガス流を生成することを含む。いくつかの実施形態によれば、希薄SO2吸着媒体は、アミンを含む溶媒を含む。いくつかの実施形態によれば、STPに供給される第3のガス流の量を調整することは、STPへの第1のガス流の少なくとも一部の供給速度を決定し、STPへの第2のガス流の供給速度を決定し、そして決定された供給速度に基づいてSTPに供給される第3のガス流の量を調整することを含む。いくつかの実施形態によれば、決定された供給速度に基づいてSTPに供給される第3のガス流の量を調整することは、STPへの第2のガス流の供給速度に対してSTPへの第1のガス流の少なくとも一部の供給速度が増加する場合、STPへの第3のガス流の量を減少させることを含む。いくつかの実施形態によれば、STPに供給される第3のガス流の量を調整することは、STPのテールガスの組成を決定し、決定された組成に基づいてSTPに供給される第3のガス流の量を調整することを含む。いくつかの実施形態によれば、STPのテールガスの組成を決定することは、テールガス中のSO2に対するH2Sの比を決定することを含む。いくつかの実施形態によれば、決定された組成に基づいてSTPに供給される第3のガス流の量を調整することは、SO2に対するH2Sの比が増加する場合、STPに供給される第3のガス流の量を増加させることを含む。いくつかの実施形態によれば、第1のガス流の少なくとも一部をSTPに供給することは、第1のガス流を処理して、第1のガス流から微粒子を除去することを含む。いくつかの実施形態によれば、STPは、クラウスプロセスを含む。いくつかの実施形態によれば、STPは、硫酸プラントを含む。
【0005】
また、本明細書では、少なくとも1つの触媒回収ユニットと、少なくとも1つの硫黄処理プロセス(STP)とを含む改造された精製所であって、少なくとも1つの触媒回収ユニットは、硫黄含有廃棄物を加熱して第1のガス流を生成するように構成され、第1のガス流は、二酸化硫黄(SO2)を含み;SRUユニットは、第1のガス流を受け取り、第2のガス流を受け取るように構成され、第2のガス流は、硫化水素(H2S)を含み、第3のガス流を受け取り、第3のガス流は酸素(O2)を含み、SRUに供給される第3のガス流の量は、STPにおけるSO2とH2Sとの間の反応を維持するように調整される、改造された精製所も開示されている。いくつかの実施形態によれば、硫黄含有廃棄物は、使用済みHDP触媒を含む。いくつかの実施形態によれば、STPは、クラウスプロセスを含む。いくつかの実施形態によれば、STPは、熱反応器を含み、第1、第2、および第3のガス流は、熱反応器で受け取られる。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの触媒回収ユニットは、使用済みHDP触媒を約500°F~約850°Fの温度で加熱するように構成された反応器を含む。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの触媒回収ユニットは、使用済みHDP触媒を約500°F~約700°Fの第1の温度で加熱して触媒から汚染物質をストリッピングし、次いで使用済みHDP触媒を、酸素含有雰囲気中で約750°F~約850°Fの第2の温度で加熱して使用済みHDP触媒上のコークスを除去し、使用済みHDP触媒の金属硫化物をそれらの酸化物に変換するように構成された反応器を含む。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの触媒回収ユニットは、使用済みHDP触媒を約800°F~約2000°Fの温度で加熱するように構成された反応器を含む。いくつかの実施形態によれば、第2のガス流は、改造された精製所の酸性ガス流、改造された精製所のアミンガス流、および改造された精製所のサワー水ストリッピングオフガス流からなる群から選択される1つ以上の流れを含む。いくつかの実施形態によれば、第1のガス流は、二酸化炭素(CO2)、水(H2O)、および窒素(N2)からなる群から選択される1種以上の成分をさらに含み、改造された精製所は、第1のガス流を処理してSO2富化ガス流をSTPに供給するように構成されたSO2スクラバーをさらに含む。いくつかの実施形態によれば、第1のガス流を処理してSO2富化ガス流を供給することは、第1のガス流を希薄SO2吸着媒体と接触させてSO2富化SO2吸着媒体およびSO2枯渇ガスを生成すること、およびSO2富化SO2吸着媒体からガス状SO2をストリッピングしてSO2富化ガス流を生成することを含む。いくつかの実施形態によれば、希薄SO2吸着媒体は、アミンを含む溶媒を含む。いくつかの実施形態によれば、STPに供給される第3のガス流の量を調整することは、第1のガス流の少なくとも一部のSTPへの供給速度を決定すること、第2のガス流のSTPへの供給速度を決定すること、および決定された供給速度に基づいてSTPに供給される第3のガス流の量を調整することを含む。いくつかの実施形態によれば、決定された供給速度に基づいてSTPに供給される第3のガス流の量を調整することは、STPへの第2のガス流の供給速度に対してSTPへの第1のガス流の少なくとも一部の供給速度が増加する場合、STPへの第3のガス流の量を減少させることを含む。いくつかの実施形態によれば、STPに供給される第3のガス流の量を調整することは、STPのテールガスの組成を決定すること、および決定された組成に基づいてSTPに供給される第3のガス流の量を調整することを含む。いくつかの実施形態によれば、STPのテールガスの組成を決定することは、テールガス中のSO2に対するH2Sの比を決定することを含む。いくつかの実施形態によれば、決定された組成に基づいてSTPに供給される第3のガス流の量を調整することは、SO2に対するH2Sの比が増加する場合に、STPに供給される第3のガス流の量を増加させることを含む。いくつかの実施形態によれば、改造された精製所は、STPが第1のガス流を受け取る前に、第1のガス流を処理して、第1のガス流から微粒子を除去するように構成された1つ以上の装置をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の装置は、1つ以上のサイクロンおよび1つ以上の電気集塵器からなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、精製所は、STPが第1のガス流を受け取る前に、第1のガス流を処理して第1のガス流の温度を下げるように構成された1つ以上の装置をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の装置は、1つ以上の水クエンチャーおよび1つ以上の熱交換器からなる群から選択される。また、本明細書では、上述の装置を供給/組み立てることによって、精製所、天然ガス処理プラント、炭化水素改質プラント/プロセス等を改造する方法も開示されている。
【0006】
また、本明細書では、硫黄含有廃棄物の処理方法であって、硫黄含有廃棄物を加熱して、第1のガス流を生成すること、ここで第1のガス流は二酸化硫黄(SO2)を含む、第1のガス流の少なくとも一部を硫黄処理プロセス(STP)に供給すること、および第2のガス流をSTPに供給すること、ここで第2のガス流は硫化水素(H2S)を含む、方法も開示されている。いくつかの実施形態によれば、STPは、クラウスプロセスを含む。いくつかの実施形態によれば、本方法は、第3のガス流をSTPに供給すること、ここで第3のガス流は酸素(O2)を含む、およびSTPに供給される第3のガス流の量を調整してSO2とH2Sとの間の反応を維持することをさらに含む。いくつかの実施形態によれば、STPは、硫酸プラントを含む。いくつかの実施形態によれば、硫黄含有廃棄物は、使用済みHDP触媒を含む。いくつかの実施形態によれば、硫黄含有廃棄物は、貯蔵タンクスラッジまたは硫黄トラップ触媒を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、HDP触媒回収システムを組み込んだ精製所を示す。
【
図3】
図3は、クラウス硫黄回収ユニットの概略図を示す。
【
図4】
図4は、代替的な実施形態のHDP触媒回収システムを組み込んだ精製所を示す。
【0008】
詳細な説明
前述したように、HDP触媒は、使用中に使用済みとなり、精製所のHDPユニットから除去されなければならない。使用済み触媒の取り扱いには、いくつかの問題がある。使用済み触媒は、典型的には、硫化物の形の触媒および汚染金属、ならびに液体炭化水素および炭化水素堆積物(すなわち、コークス)を含有する。このような汚染物質は、触媒材料の重量を増加させ、多くの場合、使用済み触媒を、有害なものにするかつ/または自己加熱させることがあり、このため、使用済み触媒の取り扱いおよび輸送のコストが増大する。
【0009】
使用済み触媒を、非自己加熱状態にし、かつ/または廃棄物ではなく有害な生成物に変換し得る熱ストリッピング/酸化技術が存在する。しかしながら、このような酸化プロセスによって、使用済み触媒上に存在する硫黄および硫黄含有化合物は、二酸化硫黄(SO2)に変換され、二酸化硫黄は、硫黄削減技術を用いて捕捉または処理されなければならない。このような硫黄削減装置および処理によって、使用済み触媒の処理にかなりのコストが追加される。
【0010】
本開示に記載された方法およびシステムは、使用済みHDP触媒などの硫黄含有廃棄物の再生中に発生するSO2などの硫黄含有副産物を捕捉して処理するために、精製所およびガス処理プラントなどの処理施設に存在する硫黄削減リソースを利用する。処理施設でのこれらの硫黄削減リソース、例えば、クラウス硫黄回収プロセスは、肥料または他の貴重な生産物で使用され得る生産物として元素状硫黄を回収する。現在まで、(酸素含有ガスでの焙焼または再生による)使用済み触媒からの硫黄化合物の除去は、処理施設のクラウス硫黄回収システムにうまく統合されていない。本開示には、これがどのようにして成功し得るかが記載されており、したがって、有害な廃棄物使用済み触媒をその供給源で販売可能な生産物に変換すると同時に、触媒から除去された硫黄酸化物を捕捉し、それらを、管理および/または処分を必要とする結果として生じる廃棄物の流れの代わりに有用な生産物に変換する。したがって、使用済みHDP触媒は、精製所の現場または硫黄削減を導入した他の処理施設で焙焼または再生され得る。
【0011】
図1は、本明細書に記載されるように、HDP触媒回収システム110を組み込んだ、炭化水素精製所100の高度の概略図を示す。炭化水素精製所は、
図1に図示されていない、当業者によく知られている多くのプロセスおよび装置を含むことが理解されよう。しかしながら、この議論の目的のために、2つのHDPユニットが図示されている。HDPユニット102は、精製所100内での常圧蒸留生成物および減圧蒸留からの軽質生成物を処理するために典型的に使用されるような固定床水素化処理ユニットであり得る。HDPユニット104は、精製所内の減圧蒸留からの残留物を処理するために典型的に使用されるような固定床または沸騰床ユニットであり得る。HDPユニット104は、本明細書では残渣処理ユニット(RTU)と呼ばれ得る。
【0012】
繰り返しになるが、HDPユニット102および104は、単なる例示であることが強調されるべきである。稼働中の精製所は、多くの異なるHDPユニットを含む可能性が高く、そのようなユニットは、当該技術分野で知られているように、固定床、移動床、拡張または沸騰床、およびスラリー床などの様々な構成を採用し得る。
図1は、HDPユニットが利用される2つの状況を示すことが意図されている。一般に、双方のタイプのHDPユニット102および104、ならびに精製所に存在するいずれかのHDPユニット中の触媒は、それらの使用中に炭化水素、他の炭素質材料、硫黄含有材料、および金属含有材料の堆積物を蓄積する。残留物処理用HDPユニット104の触媒は、重質残留油を軽質油または合成原油に改質することにより、バナジウムなどの金属を多量に捕集する。
【0013】
一般に、(HDPユニット102のように)常圧蒸留生成物および軽質生成物の処理から生じる使用済み触媒は、再利用のために再生/再生利用され得る。これとは対照的に、(HDPユニット104のように)残留油および他の重質供給物の処理から生じる使用済み触媒は、かかる触媒を処理して炭化水素、他の炭素質材料、硫黄含有材料の蓄積堆積物を除去した後でも、金属含有材料で汚染されすぎて触媒として再利用できないことがある。したがって、このような使用済み触媒を処理することの価値は、主に構成金属を再生利用/リサイクルすることである。しかしながら、これらの一般論が常に当てはまるとは限らないことに留意すべきである。例えば、軽質供給物の処理(すなわち、HDPユニット102)の頂部床は、再生/再利用には有毒すぎる使用済み触媒を生成し得る。同様に、いくつかの残留物および他の重質生成物の処理(すなわち、HDPユニット104)からの使用済み触媒は、依然として再生および再利用に好適であり得る。重要なことは、本明細書に記載された触媒処理/再生方法およびシステムは、触媒再生/再利用および/または金属再生利用のいずれかに使用され得るということである。
【0014】
図1を再び参照すると、組み込まれたHDP触媒回収システム110は、2つのHDP触媒回収ユニット120および130を含む。2つのHDP触媒回収ユニットがこの説明の目的のために図示されているが、組み込まれたHDP触媒回収システムは、2つより多いまたは少ないHDP触媒回収ユニットを含み得ることに留意すべきである。
【0015】
HDP触媒回収ユニット120は、本明細書では、再利用触媒回収ユニットと呼ばれる。なぜなら、再利用触媒回収ユニット120は、概して、使用済みHDP触媒を再利用するために処理(すなわち、再生成)することを目的とするからである。HDP触媒回収ユニット130は、本明細書では再生利用触媒回収ユニットと呼ばれる。なぜなら、再生利用触媒回収ユニット130は、概して、触媒内の金属などの触媒成分のさらなる再生利用のために使用済みHDP触媒を安全(例えば、非自己加熱)にすることを目的とするからである。この図は、再利用触媒回収ユニット120が、より軽い材料で作動する水素化処理プロセスから生じる触媒を処理するために典型的に使用され得るのに対して、再生利用触媒回収ユニット130は、残留物などのより重い材料で作動する水素化処理プロセスから生じる触媒を処理するために典型的に使用され得ることを示すことを意図している。上述のように、開示されたシステムの実施形態は、HDP処理ユニットの一方または両方のタイプを含み得る。
【0016】
上述のように、再利用触媒回収ユニット120の目的は、ナフサ水素化処理装置、灯油またはジェット水素化処理装置、留出物水素化処理装置、および他の反応器、または反応器内の特定の床などの精製プロセスによって発生した低レベルの汚染物質を含み、触媒が反応器から除去される際に低レベルの汚染物質を含む、使用済みHDP触媒を、回収し、処理することである。いくつかの実施形態によれば、再利用触媒回収ユニット120は、いずれかの有意なレベルが存在する場合、使用済み触媒から遊離炭化水素をストリッピングするための第一段階と、酸素含有ガス中の使用済み触媒を再生して触媒上のコークスを除去し、触媒金属硫化物をそれらの酸化物形態に変換するための第二段階とを含み得る。第一段階、すなわち、使用済み触媒から遊離炭化水素をストリッピングすることは、使用済み触媒からの炭化水素の熱脱着を含み得る。代替的に、またはさらに、炭化水素は、使用済み触媒を有機溶媒または界面活性剤および/または洗浄剤を含む水性媒体で洗浄することによって除去され得る。再利用触媒回収ユニット120に使用される装置は、移動ベルト再生器、流動床、回転ルーバー(rotolouver)、回転か焼炉、または当該技術分野で知られている他の装置を含み得る。明確にするために、再利用触媒回収ユニット120に関連する補助装置は、
図1から省略されている。しかしながら、このような補助装置は、当業者には明らかであろう。例えば、再利用触媒回収ユニット120は、ユニットを操作するための燃料(例えば、天然ガス)を供給するための関連装置、ならびにユニットに空気を供給するための装置を有する。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、(1つ以上の)HDPユニット102からの使用済み触媒は、再利用触媒回収ユニット120に輸送される。典型的には、使用済み触媒は、アルミナ(Al2O3)、シリカアルミナ、ゼオライト、またはそれらの組み合わせなどの担体材料上に担持された、コバルト(Co)またはニッケル(Ni)などの1つ以上の第VIII族(第8~10族、IUPAC)金属、およびモリブデン(Mo)またはタングステン(W)などの1つ以上の第VIB族(第6族、IUPAC)金属を含み得る。使用済み触媒は、HDPプロセスからの炭化水素および炭素質汚染物質で汚染され得る。使用済み触媒は、再利用触媒回収ユニット120内で加熱されて、これらの汚染物質を触媒からストリッピングし、使用済み触媒を再生し得る。例えば、使用済み触媒は、約500°F~約900°Fの温度範囲内で加熱され得る。いくつかの実施形態によれば、再利用触媒回収ユニット120では、複数の加熱段階が利用され得る。例えば、第一段階では、使用済み触媒は、約500°F~約700°Fの温度範囲内で加熱されて、汚染物質を、触媒からストリッピングし得る。代替的に(またはさらに)使用済み触媒は、1種以上の界面活性剤および/または洗浄剤を含み得る有機溶媒および/または水性媒体で洗浄され得る。次に、第二段階が利用され、それにより、ストリッピングされた触媒が、約750°F~約900°Fの温度で、酸素含有雰囲気中で加熱され、触媒上のコークスを除去し、触媒金属硫化物を、それらの酸化物の形態に変換(すなわち、触媒を再生)し得る。酸素含有ガスは、例えば、空気または酸素富化空気であり得る。
【0018】
ストリッピングおよび/または再生段階中に使用済み触媒を加熱すると、典型的にはSO2、CO2、H2OおよびN2を含む排気ガスが得られる。例えば、排気ガスは、約65%~約85%のN2、約10%~約20%のO2、約0.1%~約0.4%のCO2、および約0.05%~約0.2%のSO2を含み得る。以下でより詳細に説明されるように、再利用触媒回収ユニット120からの排気は、精製所の硫黄回収ユニット(SRU)106に供給され得る。
【0019】
図1を再び参照すると、再生利用触媒回収ユニット130の目的が、例えば炭化水素残渣などのより重い物質で作動する水素化処理プロセスから生じる使用済みHDP触媒を回収して処理すること、および使用済みHDP触媒を輸送のために安全(すなわち、非自己加熱)にすることであることが想起される。一般に、再生利用触媒回収ユニット130で処理された使用済み触媒は、バナジウムなどの金属汚染物質が豊富である。再生利用触媒回収ユニット130に使用され得る複数の熱酸化ユニットには、直接焼成炉、回転ルーバー、多段焼却炉、移動ベルト再生器等がある。直接焼成回転炉は、800°F~2000°Fの範囲の温度で触媒を焙焼するのに特によく適している。この焙焼プロセスは、触媒から硫黄および炭素の大部分を除去し、触媒に関連する自己加熱の危険性を排除する。再生利用触媒回収ユニット130内で使用済み触媒を焙焼すると、典型的にはSO
2、CO
2、H
2O、およびN
2を含む排気ガスが生成される。例えば、排気ガスは、約65%~約85%のN
2、約5%~約30%のO
2、約1%~約20%のCO
2、および約0.1%~約4%のSO
2を含み得る。以下でより詳細に説明するように、再生利用触媒回収ユニット130からの排気は、精製所の硫黄回収ユニット(SRU)106に供給することができる。明確にするために、再生利用触媒回収ユニット130に関連する補助装置は、
図1から省略されている。しかしながら、このような補助装置は、当業者には明らかであろう。例えば、再生利用触媒回収ユニット130は、ユニットを操作するための燃料(例えば、天然ガス)を供給するための関連装置、ならびに空気をユニットに供給するための装置を有する。いくつかの実施形態によれば、再生利用触媒回収ユニット130は、焙焼が開始されると自己持続し得る。
【0020】
図1を再び参照すると、図示の精製所100は、硫黄回収ユニット(SRU)106も含む。精製所の硫黄回収施設の主な目的は、汚染防止である。原油、オイルサンドおよび天然ガスの流れは、低分子量のメルカプタンから非常に高分子量の残留物までの沸点範囲全体を通して硫黄化合物を含有する。
図1のユニット102および/または104のように、これらの化合物の水素化処理(HDP)は、副産物として硫化水素(H
2S)ガスを形成する。ほとんどの管轄区域では、環境への硫黄化合物の排出を最小限に抑えることが法律で義務付けられているため、硫黄回収はほとんどの精製所の重要な部分である。硫黄回収施設は、H
2Sガスを変換して、市場性のある生産物(例えば、硫酸および/または元素状硫黄)を生成する。
【0021】
図2は、天然ガスの処理または原油精製に関連する供給物流を処理するために使用されるような、硫黄回収設備200のための典型的な処理スキームを示す。硫黄回収設備200は、再利用触媒回収ユニット120および/または再生利用触媒回収ユニット130からの排気ガス201を受け入れるように改造されている。改造の詳細は、以下でより詳細に説明される。硫黄回収設備200は、
図1に示され、以下でより詳細に論じられるように、硫黄回収ユニット106を含む。硫黄回収ユニット106への一次供給物流は、精製所のガスおよび/または液体処理システム202からの酸性ガス流である。処理システムがアミン溶媒を使用する場合、供給物流202は、アミン酸性ガス流と呼ばれ得る。精製所のSRUに供給される典型的な酸性ガス流は、典型的には、硫化水素、二酸化炭素、水、および場合により少量の炭化水素ガスを含む。例えば、酸性ガス流は、約40%~約95%のH
2S、約1%~約10%のH
2O、約1%~約40%のCO
2、および約1%~約8%の炭化水素を含み得る。また、硫黄回収ユニット106のいくつかの実施形態は、サワー水ストリッピング(SWS)システム204からのオフガスを処理するように構成されている。酸素(O
2)は、典型的には、空気またはO
2富化空気の形でSRU106に供給される。SRU106は、典型的には、供給物流に含まれる硫黄の93~98%を元素状硫黄に変換して回収し、溶融硫黄生成物を生成し、これを硫黄脱気ユニット206で脱気して、硫黄に残留するH
2Sを還元/除去し得る。硫黄回収設備は、SRU106内で変換されなかった少量の硫黄化合物をH
2Sに変換し、これをSRU106にリサイクルする、テールガス浄化ユニット208を含み得る。テールガス浄化ユニット208からの排ガスは、燃焼され210、残りの硫黄化合物をすべてSO
2に変換する。
【0022】
典型的な製油所の硫黄回収ユニット(SRU)106は、クラウスプロセスと呼ばれるプロセスを使用して、アミンガス流202および/またはサワー水ストリッピング流204からの硫化水素を元素状硫黄に変換する。このプロセスには、硫化水素が反応全体に応じて元素状硫黄に酸化される多段触媒プロセスが含まれる:
【化1】
【0023】
上記の反応の化学量論は例示的なものに過ぎず、クラウス反応の詳細を変更することによって変化し得ることに留意されたい。硫黄回収ユニット106の各触媒段階は、典型的には、ガス再熱器、触媒反応器、および硫黄凝縮器を含む。
【0024】
クラウスプロセスは、炉などの熱反応器を用いて、以下の反応に従って、酸素含有雰囲気中でH
2Sの一部、例えば1/3を酸化してSO
2を形成することを含む:
【化2】
【0025】
主にH
2S、SO
2、H
2O、およびN
2を含む燃焼ガスは、凝縮器に送られ、それによって元素状硫黄が凝縮されてプロセスガスから分離され、凝縮器から出た冷却ガスは、次に触媒コンバーターに送られる。各段階で、H
2Sの残りの未燃焼部分は、触媒コンバーター内のSO
2と反応して、次のように元素状硫黄を形成する:
【化3】
【0026】
クラウスプロセスに基づく硫黄回収ユニットは、当該技術分野でよく知られており、本明細書で詳細に説明する必要はない。しかしながら、留意すべき重要な点は、二酸化硫黄(SO
2)がクラウスプロセス化学の反応物であるということである。典型的なクラウス操作下では、SO
2は、熱反応器中のH
2Sの酸化により生成される。開示された方法の実施形態は、改造されたSRU106を示す
図3に示すように、触媒回収ユニット120および/または130からの排気燃焼ガス流であるSO
2含有ガス流をクラウスSRUに導入する。触媒回収から生成されたSO
2を処理するためのさらなるSRUの能力が保証される場合、このようなさらなるSRUの能力は、既存のSRUの作業負荷をオフロードするために使用することもでき、これは精製所全体の生産力を高め得ることに留意すべきである。精製所の速度は、既存のSRUの生産力によって制限されることもあり;したがって、さらなるSRUの生産力を追加することは、(1)触媒回収によって生成されたSO
2を処理すること、および(2)他の精製所の硫黄生成プロセスにさらなるSRUの生産力を提供することによってプラントの障害を取り除くという二重の目的に役立ち得る。
【0027】
図3に示されるSRU106は、熱反応器(例えば、炉)および2つの触媒コンバーターを含む。各触媒コンバーターの上流には、硫黄凝縮器および再熱器がある。最終的な硫黄凝縮器は、第2の触媒コンバーターの下流に設けられる。SRU106が、
図3に反映されるよりも多いかまたは少ない触媒領域を含み得ることが理解される。触媒回収ユニット120および/または130からの1つ以上の排気ガス流201が、精製所のサワー水ストリッピングユニットからのアミンガス流202および/またはオフガス流とともにSRUに導入される。図示された実施形態では、流れ201、202および204のそれぞれが、SRUの熱反応器に導入される。しかしながら、他の実施形態も考えられる。例えば、触媒回収排気流201は、空気流に導入され得るか、または熱反応器の下流で、例えば、再熱器または触媒コンバーターの1つに追加され得る。
【0028】
いくらかの量のSO2が流れ201を介してSRU106に導入されると、熱反応器の操作は、その追加のSO2を補償するように調整され得る。換言すれば、改造されたSRUの熱反応器は、SO2の一部が触媒回収ユニット排気流201から供給されるので、クラウス化学のSO2のすべてを生成することを担っていない。熱反応器の条件は、熱反応器へのO2(空気)流を調整することによって補償される。図示されたSRU106は、流れ201、202、および204の流れおよび/または組成をそれぞれ測定するメーター301、302、および304を含む。これらのメーターからの読み取り値を使用して、流れ201、202、および204の流れおよび/または組成に基づいて、熱反応器に供給されるO2の量を調整することができる。例えば、より多くの量のSO2が熱反応器に供給される場合、熱反応器に供給されるO2の量を減少させることができ、それによってH2Sを酸化することによって生成されるSO2の量を減少させることができる。同様に、SRU106は、例えばテールガスの組成を分析し、それに応じて熱反応器に供給されるO2の量を調整するために、1つ以上の分析器306を含み得る。例えば、分析器306は、テールガス中のH2SおよびSO2の相対量を決定し得る。H2Sの量が多すぎる場合、より多くのO2が熱反応器に供給され得る。
【0029】
上記の議論および
図1~3は、1つ以上の再利用触媒回収ユニット120および/または1つ以上の再生利用触媒回収ユニット130からの排気ガスが、排気ガス中に存在するSO
2を処理するために、精製所のSRU106にどのように供給され得るかを説明する。いくつかの実施形態によれば、排気ガスは、排気ガスがSRU106と適合するように処理され得る。例えば、触媒回収ユニット120/130からの排気ガスは、触媒ダストなどの微粒子を含むことができ、これらの微粒子は、ガスがSRU106に配管される前に除去される必要がある。したがって、開示された改造HDP触媒回収システム110および関連する方法の実施形態は、SRU106に排気ガスを配管する前に排気ガスを処理するための1つ以上のプロセスおよび関連する装置を含む。例えば、粒子は、1つ以上のサイクロンまたは湿式もしくは乾式ESPなどの電気集塵器技術(ESP)などの技術および装置を使用して、排気ガスから除去することができる。
【0030】
同様に、いくつかの実施形態によれば、触媒回収ユニット120/130からの排気ガスは、高温であってもよく、したがって、SRU106に供給される前に冷却される必要があり得る。例えば、再生利用触媒回収ユニット130は、典型的には、上述のように、1000°F~約2000°F、例えば1800°Fの温度で作動する。したがって、再生利用触媒回収ユニット130を出た排気ガスは、約1800°Fの温度を有し得る。いくつかの実施形態によれば、排ガスは、それらがSRUに供給される前に圧縮される。ガスが圧縮される場合、それらは、例えば、約400°F未満の温度に冷却されるべきである。したがって、開示された改造HDP触媒回収システム110および関連する方法の実施形態は、排気ガスを冷却するための1つ以上のプロセスおよび関連する装置を含む。いくつかの実施形態によれば、排気ガスは、水急冷、熱交換器などを使用して冷却され得る。触媒回収ユニット120/130の排気流のこのような処理は、実施に特有であり、当業者の能力の範囲内である。
【0031】
図4は、代替的な実施形態のHDP触媒回収システム610を組み込んだ精製所100を示す。HDP触媒回収システム610は、上述した実施形態110と同様であるが、再利用床触媒回収ユニット120および/または再生利用触媒回収ユニット130からの排気ガスからの燃焼ガスからCO
2、H
2Oおよび/またはN
2などの非SO
2成分の一部を分離するための二酸化硫黄洗浄システム620を含む。したがって、二酸化硫黄洗浄システム620は、SO
2に富むガス流をSRUに供給する。二酸化硫黄洗浄システム620は、改造触媒回収システム610の一部として含まれるものとして図示されているが、多くの精製所は、1つ以上の二酸化硫黄洗浄システムを含むことに留意すべきである。このような場合、精製所の二酸化硫黄洗浄装置が使用され得る。
【0032】
二酸化硫黄洗浄システムの例は、当該技術分野でよく知られており、本明細書で詳細に説明する必要はない。例示的な二酸化硫黄洗浄システムは、SO2含有供給物(すなわち、排気ガス)を、例えばアミン含有溶媒などのSO2吸着媒体と接触させるために提供される。いくつかの実施形態によれば、排気ガスは、例えば、向流吸収カラムにおいて、SO2吸着媒体と接触させられる。SO2は、SO2吸着媒体中に優先的に吸着されて、SO2富化吸着媒体と、非SO2成分(例えば、CO2、H2Oおよび/またはN2)に富むSO2枯渇気相とを生成する。次に、SO2が、SO2富化吸着媒体からストリッピングされて、希薄SO2吸着媒体を再生し、SO2に富むガス流を生成し、これをSRUに供給することができる。SO2洗浄システムの一例は、2007年5月8日に発行された米国特許第7,214,358号明細書に記載されている。
【0033】
精製所によっては、硫黄回収にクラウスベースのプロセスを使用せず、代わりに硫酸プラントなどの他の技術を使用して酸性ガス流を処理する場合があることに留意すべきである。いくつかのかかるプロセスによれば、酸性ガスのH2Sは、焼却されてSO2を生成し、これは次に触媒的にSO3に変換され、そして硫酸を生成するために使用され得る。精製所のこのような硫黄処理プロセスは、上記のように、再利用触媒回収ユニット120および/または再生利用触媒回収ユニット130からのSO2含有燃焼ガスを処理するために利用することもできる。例えば、燃焼ガスは、焼却炉および/または硫酸プラントの触媒コンバーターに供給され得る。本開示で使用される「硫黄回収ユニット(SRU)」という用語は、クラウスプロセスに基づく硫黄削減技術、ならびに硫酸プラントなどの他のプロセスに基づく硫黄削減技術を指す。クラウスプロセス、硫酸プラント等に限定されないが、硫黄削減プロセスは、本明細書では硫黄処理プロセス(STP)とも呼ばれる。
【0034】
当業者は、硫黄含有廃棄物を処理する方法およびシステムが本明細書に開示されていることを理解するであろう。本開示は、主に、水素化処理プロセスで使用される硫黄含有使用済み触媒の処理に焦点を合わせている。しかしながら、本明細書に記載された方法およびシステムは、精製所の設定で他の硫黄含有廃棄物に適用され得る。例えば、触媒回収ユニット120および/または130は、貯蔵タンクスラッジおよび硫黄トラップ(典型的には、NiおよびZnベースの触媒を含む)などの他の廃棄物上の有機物を燃焼させるために使用され得る。したがって、ユニット120および130は、本明細書では「触媒回収ユニット」と呼ばれるが、それらの使用はそれほど限定されないことが理解されるべきである。換言すれば、ユニット120および130は、炭化水素処理プラント、炭化水素改質プロセス、天然ガスプラント等内で発生する硫黄含有廃棄物を処理するために、そしてかかる処理プラントの硫黄処理装置を利用して発生したSO2を削減するために使用され得る。したがって、本明細書全体を通して、「触媒回収ユニット」という用語は、「硫黄廃棄物処理ユニット」、「硫黄廃棄物加熱ユニット」、「硫黄廃棄物酸化ユニット」等の用語に置き換えることができる。硫黄含有廃棄物の性質および組成に応じて、廃棄物は、処理ユニット120および/または130に供給する前に処理され得る。例えば、タンク底部(またはスラッジ)は、固形物および油を含み得る。このような廃棄物は、油を固形物から分離するために処理され得、その結果、油は、販売または再処理され得、固形物は、処理ユニット120および/または130を使用して処理され得る。例えば、廃棄物は、廃棄物の固体成分と液体成分とを分離するために遠心分離などの1つ以上の機械的方法を使用して処理され得る。
【0035】
上記の議論は、主に、触媒回収システムが精製所設定で実施される実施形態、特に、かかるシステムが、触媒回収中に生成されるSO2を削減するために、精製所の硫黄処理装置を利用する実施形態に焦点を当てている。しかしながら、他の実施形態は、硫黄処理を含む精製所以外の設定で実施され得る。例えば、天然ガス処理プラントは、典型的には、クラウスおよび/または他の硫黄削減施設を含み、このような施設は、上記のように、触媒回収中に生成されたSO2を処理するために利用され得る。例えば、オイルサンド/ビチューメン改質などのプロセスからの使用済み触媒は、天然ガス処理プラントおよび生成されたSO2を処理するために使用されるプラントの硫黄処理施設で再生され得る。
【0036】
特定の実施形態および特徴は、一組の数値上限および一組の数値下限を用いて記載されている。特に指示がない限り、任意の下限から任意の上限までの範囲が考えられることが理解されるべきである。特定の下限、上限、および範囲は、以下の1つ以上の請求項に記載され得る。すべての数値は、示された値の「約」または「ほぼ」であり、当業者によって予想される数値誤差および変動を考慮している。特に明記されない限り、「約」は、プラスマイナス10パーセントを意味すると解釈され得る。特許請求の範囲または明細書において「含む」という用語と併せて使用される場合の「a」または「an」という単語の使用は、文脈が別段の指示をしない限り、1つ以上を意味する。請求項における「または」という用語の使用は、選択肢のみを指すことが明示的に示されている場合または選択肢が相互に排他的である場合を除き、「および/または」を意味するために使用される。「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」および「含む(contain)」(およびそれらの変形)という用語は、自由形式の連結動詞であり、請求項において使用される場合、他の要素の追加を可能にする。
【0037】
本明細書に開示された発明は、特定の実施形態およびその用途の観点から説明されてきたが、特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの修正および変形を行うことができる。