(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】装軌車両の無限軌道用駆動輪の構造
(51)【国際特許分類】
B62D 55/12 20060101AFI20240521BHJP
F16H 55/30 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B62D55/12 A
F16H55/30 Z
(21)【出願番号】P 2021568874
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 SE2020050563
(87)【国際公開番号】W WO2020246936
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521503857
【氏名又は名称】ビーエーイー システムズ ハッグルンズ アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェストバーグ,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】バーグクヴィスト,アンダーズ
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0058182(US,A1)
【文献】中国実用新案第201980312(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第103717485(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/00
F16H 51/00-55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装軌車両(V)の無限軌道(E)用の駆動輪(DW)の固着構造であって、前記駆動輪(DW)は、ハブ部材(H)と、駆動スプロケット部材(S1,S2)と、を備えており、
前記駆動スプロケット部材(S1,S2)は、周囲を有しており、前記駆動スプロケット部材は、前記駆動スプロケット部材(S1,S2)の前記周囲に配置された一組の歯(10)を備えており、前記歯(10)は、前記無限軌道(E)と係合するように構成されており、前記駆動スプロケット部材(S1,S2)は更に、前記駆動スプロケット部材の歯(10)のための支持部材(20)を備えており、前記歯(10)は、前記支持部材(20)に取り外し可能に取り付けられるように構成されており、前記固着構造は、前記一組の歯(10)のうち1つ以上の歯(10)を前記支持部材(20)に固着するために構成されており、前記固着構造は、前記支持部材(20)の一組の鳩尾形凹部(22)を備えており、各鳩尾形凹部(22)は、1つ以上の歯(10)の係止機能を提供するべく前記1つ以上の歯(10)の係止部(12)を収容するように構成されて
おり、前記支持部材(20)は、前記ハブ部材(H)から離れた方を向くように構成された前側(20c)を有しており、前記鳩尾形凹部(22)は、前記支持部材(20)の前記前側(20c)に配置されている、固着構造において、
前記鳩尾形凹部(22)は、対向する内壁(22a,22b)と凹部底(22c)とを有するとともに、前記凹部底(22c)から前記支持部材(20)の前記前側(20c)に向かって狭くなるように構成されている
ことを特徴とする、固着構造。
【請求項2】
前記鳩尾形凹部(22)は、前記支持部材(20)において放射状に広がるように構成されている、請求項
1に記載の固着構造。
【請求項3】
前記鳩尾形凹部(22)は、前記支持部材(20)の前記前側に放射状に広がるように構成されている、請求項
1又は2に記載の固着構造。
【請求項4】
前記支持部材(20)は、周辺及び中心を備えたリング形の構成を有しており、
前記鳩尾形凹部(22)は、前記支持部材(20)の前記周辺から前記中心に向かっ
て径方向で狭くなるように構成されている、請求項1から
3の何れか一項に記載の固着構造。
【請求項5】
前記鳩尾形凹部(22)は、前記支持部材(20)から外方に狭くなるように構成されている、請求項1から
4の何れか一項に記載の固着構造。
【請求項6】
前記鳩尾形凹部(22)は、前記ハブ部材(H)から遠ざかる方向で狭くなるように構成されている、請求項1から
5の何れか一項に記載の固着構造。
【請求項7】
前記鳩尾形凹部(22)は、1つの歯(10)の係止部(12)を収容するように配置されている、請求項1から
6の何れか一項に記載の固着構造。
【請求項8】
前記鳩尾形凹部は、1つよりも多くの歯の係止部を収容するように配置されている、請求項1から
6の何れか一項に記載の固着構造。
【請求項9】
前記固着構造(A)は更に、鳩尾形凹部(22)と関連して1つ以上の歯(10)を取り付けるためのボルト継手(J1)を備える、請求項1から
8の何れか一項に記載の固着構造。
【請求項10】
前記鳩尾形凹部(22)は、前記ハブ部材(H)から離れた方を向くように配置されている、請求項1から
9の何れか一項に記載の固着構造。
【請求項11】
前記ハブ部材(H)は、前記車両(V)の横方向で前記車両(V)から外方を向くように構成された外面(H1)と、前記横方向で内方を向くように構成された反対の内面(H2)と、を有し、
前記駆動輪(DW)は、前記ハブ部材(H)の前記外面に配置された外側駆動スプロケット部材(S1)と、前記ハブ部材(H)の前記内面に配置された内側駆動スプロケット部材(S2)と、を備える、請求項1から
10の何れか一項に記載の固着構造。
【請求項12】
請求項1から
11の何れか一項に記載の構造を備える、駆動輪(DW)。
【請求項13】
請求項1から
11の何れか一項に記載の固着構造を備える、車両(V)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装軌車両の無限軌道用駆動輪の構造に関する。本発明は、そのような構造を有する駆動輪を備える装軌車両にも関する。
【背景技術】
【0002】
装軌車両は対向する軌道アセンブリを装備し得る。各軌道アセンブリは、駆動輪と、テンション輪と、その間の一組の道路輪と、を備える一組の車輪上に延びるように配置された無限軌道を備える。
【0003】
駆動輪は、ハブ部材と、ハブ部材の各面に接続された内側駆動スプロケット部材及び外側駆動スプロケット部材と、を装備し得る。
【0004】
駆動輪の摩耗は比較的大きい。ゴムの無限軌道を使用するときには、駆動輪の交換はワークステーションで実施される必要があり、その場合、駆動輪の各駆動スプロケット部材が取り外されなければならない。したがって、装軌車両がワークステーションを利用できず、駆動スプロケット部材の歯の摩耗によって駆動輪を交換する必要があるときには、問題となる状況が発生し得る。
【0005】
交換可能な歯を有する駆動輪が知られており、そのような交換を容易にするであろう。
【0006】
しかしながら、駆動輪の保守を更に容易にする、無限軌道用の駆動輪の構造を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、駆動輪の保守を更に容易にする、無限軌道用の駆動輪の構造を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、そのような構造を備える車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の記載から明らかであるこれら及び他の目的は、添付の独立請求項に記載される構造及び車両によって達成される。構造の好適な実施形態は、添付の従属請求項に定義される。
【0010】
本発明によれば、目的は、装軌車両の無限軌道用駆動輪の固着構造によって実現される。駆動輪は、ハブ部材と、駆動スプロケット部材と、を備える。駆動スプロケット部材は、駆動スプロケット部材の周囲に配置された一組の歯を備える。それらの歯は無限軌道と係合するように構成されている。駆動スプロケット部材は更に、駆動スプロケット部材の歯のための支持部材を備える。歯は支持部材に取り外し可能に取り付けられるように構成されている。固着構造は、一組の歯のうち1つ以上の歯を支持部材に固着するために構成されている。固着構造は、支持部材の一組の鳩尾形凹部を備える。各鳩尾形凹部は、1つ以上の歯の係止機能を提供するべく、1つ以上の歯の係止部を収容するように構成されている。
【0011】
こうして、支持部材に配置され1つ以上の歯の係止部を収容するように構成されたそのような一組の鳩尾形凹部を有する固着構造を提供することによって、歯が簡単且つ効率的に交換され得ると共に簡単且つ効率的に支持部材に係止されるという点で、簡単且つ効率的な保守が容易になる。そのような鳩尾形凹部により、歯の効率的な幾何学的係止が容易になる。
【0012】
固着構造の一実施形態によれば、支持部材は前側を有しており、鳩尾形凹部はその支持部材の前側に配置されている。これによって、簡単且つ効率的な係止のための鳩尾形凹部の簡単な利用が容易になる。
【0013】
固着構造の一実施形態によれば、鳩尾形凹部は、支持部材において、放射状に広がるように構成されている。固着構造の一実施形態によれば、鳩尾形凹部は、支持部材において、支持部材の前側に放射状に広がるように構成されている。これによって、支持部材への歯の簡単且つ効率的な係止が容易になる。支持部材において放射状に広がるように構成されたそのような鳩尾形凹部により、歯が側方及び内方の両方に向かって押されるという点で、歯の効率的な幾何学的係止が容易になる。
【0014】
固着構造の一実施形態によれば、鳩尾形凹部は、支持部材の周辺から中心に向かって径方向で狭くなるように構成されている。支持部材において放射状に広がるように構成されたそのような鳩尾形凹部により、歯が側方及び内方の両方に向かって押されるという点で、歯の効率的な幾何学的係止が容易になる。
【0015】
固着構造の一実施形態によれば、鳩尾形凹部は、支持部材から外方に狭くなるように構成されている。固着構造の一実施形態によれば、鳩尾形凹部は、支持部材から外方に、ハブ部材から遠ざかる方向で狭くなるように構成されている。支持部材において放射状に広がるように構成されたそのような鳩尾形凹部により、歯が側方及び内方の両方に向かって押されるという点で、歯の効率的な幾何学的係止が容易になる。
【0016】
固着構造の一実施形態によれば、鳩尾形凹部は対向する内壁と凹部底とを有しており、鳩尾形凹部はその凹部底から支持部材の前側に向かって狭くなるように構成されている。
【0017】
固着構造の一実施形態によれば、鳩尾形凹部は、1つの歯の係止部を収容するように配置されている。
【0018】
固着構造の一実施形態によれば、鳩尾形凹部は、1つよりも多くの歯の係止部を収容するように配置されている。
【0019】
一実施形態によれば、構造は更に、鳩尾形凹部と関連して1つ以上の歯を取り付けるためのボルト継手を備える。
【0020】
固着構造の一実施形態によれば、鳩尾形凹部は、ハブ部材から離れた方を向くように配置されている。固着構造の一実施形態によれば、鳩尾形凹部を有する支持部材の前側は、ハブ部材から離れた方を向くように配置されている。
【0021】
固着構造の一実施形態によれば、駆動輪は、ハブ部材の外面に配置された外側駆動スプロケット部材と、ハブ部材の内面に配置された内側駆動スプロケット部材と、を備える。
【0022】
本発明によれば、目的は、本明細書に記載される構造を備える駆動輪によって達成される。
【0023】
本発明によれば、目的は、本明細書に記載される構造を備える車両によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明をより良く理解するために、添付の図面と合わせて以下の詳細な説明が参照される。図面中、同じ参照符号はいくつかの図を通じて同じ部分を指す。
【0025】
【
図1】本開示の一実施形態による装軌車両の側面図を概略的に図示する。
【
図2】本開示の一実施形態による装軌車両の無限軌道用駆動輪の斜視図を概略的に図示する。
【
図3】本開示の一実施形態による
図2の駆動輪の側面図を概略的に図示する。
【
図4】本開示の一実施形態による装軌車両の無限軌道用駆動輪の駆動スプロケット部材の正面図を概略的に図示する。
【
図5a】本開示の一実施形態による
図4の駆動スプロケット部材の側面図を概略的に図示する。
【
図5b】本開示の一実施形態による
図4の駆動スプロケット部材の側面断面図を概略的に図示する。
【
図6a】本開示の一実施形態による
図4の駆動スプロケット部材の一部の斜視図を概略的に図示する。
【
図6b】本開示の一実施形態による
図4の駆動スプロケット部材の一部の斜視図を概略的に図示する。
【
図7a】本開示の一実施形態による
図4の駆動スプロケット部材の1つの歯の平面図を概略的に図示する。
【
図7b】本開示の一実施形態による
図7aの歯の側面図を概略的に図示する。
【
図8a】本開示の一実施形態による
図7aの歯の背面図を概略的に図示する。
【
図8b】本開示の一実施形態による
図7aの歯の側面断面図を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において、「ゴム軌道」に関連する「ゴム」という用語は、ゴム、エラストマ、又はゴムとエラストマとの組み合わせなど、任意の弾性材料を指す。
【0027】
本開示の一態様によれば、装軌車両の無限軌道用駆動輪の固着構造が提供される。固着構造は、駆動輪の保守を容易にするための固着構造である。固着構造は、駆動輪の駆動スプロケット部材の歯の交換及び再組立てを容易にするための固着構造である。
【0028】
このような装軌車両は、車両を駆動するための右軌道アセンブリ及び左軌道アセンブリを備え得る。このような装軌車両は、代替的には、単一の軌道アセンブリを有する装軌車両であり得る。各軌道アセンブリは、駆動輪と、テンション輪と、一組の道路輪と、それらの輪の上に延びるように配置された無限軌道と、を備え得る。各軌道アセンブリの無限軌道は、駆動輪によって駆動されると共にひいては回転されるように配置され得る。装軌車両は駆動輪を駆動するための駆動手段を備え得る。駆動手段は、1つ以上の内燃エンジン及び/又は1つ以上の電気機械など、任意の適当な駆動手段であり得る。
【0029】
各軌道アセンブリの無限軌道は、任意の適当な構成を有し得ると共に任意の適当な材料で成り得る。各軌道アセンブリの無限軌道は、本開示の一態様によれば、ゴム軌道であり得る。各軌道アセンブリの無限軌道は、本開示の一態様によれば、鋼軌道であり得る。
【0030】
駆動輪は、ハブ部材と、駆動スプロケット部材と、を備える。駆動スプロケット部材はハブ部材に取り付けられている。
【0031】
本開示の一態様によれば、駆動輪は、ハブ部材の外面に配置された外側駆動スプロケット部材と、ハブ部材の内面に配置された内側駆動スプロケット部材と、を備える。
【0032】
本開示の一態様によれば、ハブ部材は、車両の側部から外に面するように構成された前面又は外面と、駆動輪が車両に装着されるとき、すなわち装軌車両の軌道アセンブリに装着されるときに車両の側部の方を向くように構成された反対の後面又は内面と、を有する。
【0033】
単一の駆動輪を備える単一の軌道アセンブリを有する装軌車両については、駆動輪は、ハブ部材と、ハブ部材に取り付けられた駆動スプロケット部材と、を備える。ここでは、駆動輪は、ハブ部材の片面に配置された第1の駆動スプロケット部材と、ハブ部材の反対の面に配置された第2の駆動スプロケット部材と、を備える。これによってハブ部材は、車両の側部から外に向くように構成された第1の面と、駆動輪が車両の単一の軌道アセンブリに装着されるときに車両の反対の側部から外に向くように構成された反対の第2の面と、を有する。
【0034】
本開示の一態様によれば、駆動輪は単一の駆動スプロケット部材を備えていてもよい。本開示による駆動輪は、本開示の一態様によれば単一の駆動スプロケット部材を備えていてもよく、その単一の駆動スプロケット部材は、単一の駆動スプロケット部材の周囲に配置された歯と、それらの歯のための1つの支持部材と、を有している。歯は駆動スプロケット部材の単一の支持部材に取り外し可能に取り付けられるように構成されている。
【0035】
駆動スプロケット部材は、駆動スプロケット部材の周囲に配置された一組の歯を備える。それらの歯は無限軌道と係合するように構成されている。駆動スプロケット部材は更に、駆動スプロケット部材の歯のための支持部材を備える。歯は支持部材に取り外し可能に取り付けられるように構成されている。
【0036】
駆動輪が装軌車両に配置されるとき、駆動スプロケット部材の歯の一組は無限軌道と係合され得、駆動スプロケット部材の歯の別の一組は、無限軌道と係合されず、したがって取り外されて交換され得るように、駆動輪の回転位置にあり得る。駆動輪はその後、駆動スプロケット部材の歯の別の一組が無限軌道と係合されず、したがって取り外されて交換され得るように、駆動輪の別の回転位置に回転され得る。
【0037】
固着構造は、一組の歯のうち1つ以上の歯を支持部材に固着するために構成されている。固着構造は、支持部材の一組の鳩尾形凹部を備える。各鳩尾形凹部は、1つ以上の歯の係止機能を提供するべく、1つ以上の歯の係止部を収容するように構成されている。各鳩尾形凹部は、歯の効率的な幾何学的係止をもたらすべく、1つ以上の歯の係止部を収容するように構成されている。
【0038】
本開示の一態様によれば、支持部材は前側を有しており、鳩尾形凹部はその支持部材の前側に配置されている。このように鳩尾形凹部を前側に配置することによって、1つ以上の歯の簡単な固着のための簡単なアクセスが提供される。本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、支持部材において、放射状に広がるように構成されている。本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、支持部材において、支持部材の前側に放射状に広がるように構成されている。本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、1つ以上の歯の係止部が鳩尾形凹部に係止配置されるとき、歯の効率的な幾何学的係止のために、歯が鳩尾形凹部の側方及び内方の両方に向かって押されるように、支持部材において放射状に広がるように構成されている。
【0039】
本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、支持部材の周辺から中心に向かって径方向で狭くなるように構成されている。本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、1つ以上の歯の係止部が鳩尾形凹部に係止配置されるとき、歯の効率的な幾何学的係止のために、歯が鳩尾形凹部の側方及び内方の両方に向かって押されるように、支持部材の周辺から中心に向かって径方向で狭くなるように構成されている。
【0040】
本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、支持部材から外方に狭くなるように構成されている。本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、1つ以上の歯の係止部が鳩尾形凹部に係止配置されるとき、歯の効率的な幾何学的係止のために、歯が鳩尾形凹部の側方及び内方の両方に向かって押されるように、支持部材から外方に狭くなるように構成されている。
【0041】
ここで、「鳩尾形凹部は支持部材から外方に狭くなるように構成されている」という用語は、支持部材がハブ部材に装着されるときに、ハブ部材から遠ざかる方向で狭くなる鳩尾形凹部を指し得る。本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、支持部材から外方に、ハブ部材から遠ざかる方向で狭くなるように構成されている。駆動輪は、ハブ部材の外面に配置された外側駆動スプロケット部材と、ハブ部材の内面に配置された内側駆動スプロケット部材と、を有し得る。そのような駆動輪については、外側駆動スプロケット部材の鳩尾形凹部は、ハブ部材から遠ざかる方向で、すなわち支持部材から外方に狭くなるように構成されており、内側駆動スプロケット部材の鳩尾形凹部は、ハブ部材から遠ざかる方向で、すなわち支持部材から外方に狭くなるように構成されている。
【0042】
本開示の一態様によれば、支持部材は前側と、反対の後側と、を有する。ハブ部材に取り付けられるとき、支持部材の前側はハブ部材から離れた方を向くように構成され、後側はハブ部材の方を向くように構成される。本開示の一態様によれば、各駆動スプロケット部材の支持部材は、前側と、反対の後側と、を有する。本開示の一態様によれば、外側駆動スプロケット部材の支持部材の前側は、ハブ部材に取り付けられるとき、ハブ部材の前面から離れた方を向くように構成され、内側駆動スプロケット部材の支持部材の前側は、ハブ部材に取り付けられるとき、ハブ部材の後面から離れた方を向くように構成される。
【0043】
本開示の一態様によれば、支持部材はリング形の構成を有している。本開示の一態様によれば、支持部材はホイール形の構成を有している。本開示の一態様によれば、支持部材は、高さよりも半径の方が大きい円筒形の外部構成を有している。本開示の一態様によれば、支持部材は、駆動輪が装軌車両の軌道アセンブリに取り付けられるとき、外側が無限輪に面するリング形の構成を有している。本開示の一態様によれば、支持部材は、外周と中心とを有するリング形の構成を有している。本開示の一態様によれば、支持部材は、周辺と中心とを有するリング形の構成を有している。支持部材の中心は駆動輪の軸中心に対応し得る。
【0044】
ここで、「鳩尾形凹部は支持部材から外方に狭くなるように構成されている」という用語は、ハブ部材から遠ざかる方向で狭くなる鳩尾形凹部を指し得るものであり、そのハブ部材から遠ざかる方向は、駆動輪の中心軸に略平行な方向に対応する。
【0045】
本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、1つ以上の歯の係止部が鳩尾形凹部に係止配置されるとき、歯の効率的な幾何学的係止のために、歯が鳩尾形凹部の側方及び内方の両方に向かって押されるように構成されている。
【0046】
本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、支持部材の外側から前側に沿って支持部材の中心部に向かって延びるように構成された対向する内壁を有する。本開示の一態様によれば、内壁は、支持部材の外側から中心エリアに向かって互いの方に延びるように構成されており、したがって互いに狭くなっている。本開示の一態様によれば、凹部の各内壁は支持部材の径方向に垂直な方向に対する傾斜を有しており、したがって内壁は互いに向かって傾いている。本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は凹部底を有する。本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、凹部底から支持部材の前側に向かって狭くなるように構成されている。
【0047】
本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は対向する内壁と凹部底とを有しており、鳩尾形凹部はその凹部底から支持部材の前側に向かって狭くなるように構成されている。これによって、歯の効率的な幾何学的係止が容易になる。
【0048】
係止部は、支持部材の外側から前側に沿って中心部に向かって延びるように構成された対向する外壁を有する。対向する外壁は、歯が支持部材に取り付けられるとき、鳩尾形凹部の内壁に面するように構成されている。係止部は、歯が支持部材に取り付けられるとき、支持部材の外側と同じ方向に面するように構成された外側を有する。
【0049】
係止部は、歯が支持部材に取り付けられるとき、支持部材の鳩尾形凹部の内端の方を向くように構成された、外側とは反対の内側を有する。
【0050】
本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、1つの歯の係止部を収容するように配置されている。
【0051】
本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、1つよりも多くの歯の係止部を収容するように配置されている。
【0052】
本開示の一態様によれば、固着構造は更に、鳩尾形凹部と関連して1つ以上の歯を取り付けるためのボルト継手を備える。
【0053】
本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部は、ハブ部材から離れた方を向くように配置されている。
【0054】
本開示の一態様によれば、支持部の前側は、ハブ部材から離れた方を向くように配置されている。
【0055】
本開示の一態様によれば、鳩尾形凹部を有する支持部材の前側は、ハブ部材から離れた方を向くように配置されている。
【0056】
図1は、本開示の一実施形態による装軌車両Vの側面図を概略的に図示する。
【0057】
【0058】
装軌車両Vは車両本体Bを備えており、これは本開示の一態様によれば車両Vの車台と車体構造とを備える。
【0059】
装軌車両Vは、車両Vを駆動するための右軌道アセンブリT1及び左軌道アセンブリを備えており、
図1には右軌道アセンブリT1が示されている。各軌道アセンブリは、駆動輪DWと、テンション輪TWと、一組の道路輪RWと、それらの輪の上に延びるように配置された無限軌道Eと、を備えている。ここでは、駆動輪DWは前方に配置されており、テンション輪TWは後方に配置されており、道路輪RWは駆動輪DWとテンション輪TWとの間に配置されている。しかしながら、本開示による装軌車両は、駆動輪、テンション輪、及び道路輪の任意の適当な配置を備えた軌道アセンブリを有し得る。本開示の一態様によれば、テンション輪が前方に配置されてもよく、駆動輪が後方に配置されてもよく、道路輪がそれらの間に配置されてもよい。
【0060】
各軌道アセンブリの無限軌道Eは、駆動輪DWによって駆動されると共にひいては回転されるように配置される。装軌車両Vは、駆動輪DWを駆動するための図示しない駆動手段を備える。駆動手段は、内燃エンジン及び/又は電気機械など、任意の適当な駆動手段であり得る。
【0061】
各軌道アセンブリの無限軌道は、任意の適当な構成を有し得ると共に任意の適当な材料で成り得る。各軌道アセンブリの無限軌道Eは、本開示の一態様によれば、ゴム軌道であり得る。各軌道アセンブリの無限軌道は、本開示の一態様によれば、鋼軌道であり得る。
【0062】
図2は本開示の一実施形態による装軌車両の無限軌道用の駆動輪DWの斜視図を概略的に図示しており、
図3は本開示の一実施形態による
図2の駆動輪DWの側面図を概略的に図示している。
【0063】
駆動輪DWは中心軸Zを有する。駆動輪DWはハブ部材Hを備える。ハブ部材Hは、装軌車両の駆動手段の駆動軸と動作可能に係合するように構成されると共に駆動手段によって回転されるように構成される。よって、ハブ部材Hは中心軸Zについて回転するように配置されている。
図2及び
図3を参照されたい。
【0064】
ハブ部材Hは、本実施形態によれば、スポークを有する。本開示によるハブ部材は任意の適当な構成を有し得る。図示しない駆動手段は、本開示の一態様によれば、駆動手段、例えば電気機械が少なくとも部分的に駆動輪の周辺に収納されるように駆動輪と連結して配置されてもよく、駆動手段軸は駆動輪の中心軸Zと本質的に同軸で一致する。
【0065】
ハブ部材Hは、第1の面H1と、反対の第2の面H2と、を有する。ハブ部材Hは、前面H1と、反対の後面H2と、を有する。
図3を参照されたい。駆動輪DWが車両に装着されるとき、前面H1は車両から外を向くように構成され、後面H2は車両の方を向くように構成される。よって、駆動輪DWが車両に装着されるとき、前面H1は車両の側部から外を向いて、すなわち車両の横方向に面している。よって、駆動輪DWが車両に装着されるとき、後面H2は車両の横方向で車両の方を向いている。ハブ部材の前面H1は、車両の横方向で車両から外方を向くので、ハブ部材Hの外面H1と称され得る。ハブ部材の後面H2は、車両の横方向で内方を向くので、ハブ部材Hの内面H2と称され得る。
【0066】
本開示の一実施形態によれば、駆動輪DWは、ハブ部材Hの前面H1に配置された外側駆動スプロケット部材S1と、ハブ部材Hの後面H2に配置された内側駆動スプロケット部材S2と、を備える。
【0067】
各駆動スプロケット部材S1,S2は、駆動スプロケット部材S1,S2の周囲に配置された一組の歯10を備える。本実施形態によれば、外側駆動スプロケット部材S1は、外側駆動スプロケット部材S1の周囲に配置された一組の歯10を備える。本実施形態によれば、内側駆動スプロケット部材S2は、内側駆動スプロケット部材S2の周囲に配置された一組の歯10を備える。
【0068】
歯10は装軌車両の無限軌道と係合するように構成されている。
【0069】
各駆動スプロケット部材S1,S2は、駆動スプロケット部材S1,S2の歯のための支持部材20を備える。本実施形態によれば、外側駆動スプロケット部材S1は、外側駆動スプロケット部材S1の歯10のための支持部材を備える。本実施形態によれば、内側駆動スプロケット部材S2は、内側駆動スプロケット部材S2の歯10のための支持部材を備える。
【0070】
歯10は支持部材20に取り外し可能に取り付けられるように構成されている。
【0071】
各駆動スプロケット部材S1,S2の支持部材20は、
図2及び
図3の実施形態によれば、リング形の構成を有している。各駆動スプロケット部材S1,S2の支持部材20は、外側20a及び反対の内側20bを有している。
【0072】
各駆動スプロケット部材S1,S2の支持部材20は、前側20c及び反対の後側20dを有している。
【0073】
外側駆動スプロケット部材S1の支持部材20の前側20cは、ハブ部材Hに取り付けられるとき、ハブ部材Hの前面H1から離れた方を向くように構成されている。内側駆動スプロケット部材S2の支持部材20の前側20cは、ハブ部材Hに取り付けられるとき、ハブ部材Hの後面H2から離れた方を向くように構成されている。
【0074】
外側駆動スプロケット部材S1の支持部材20の後側20dは、ハブ部材Hに取り付けられるとき、ハブ部材Hの前面H1の方を向くように構成されている。内側駆動スプロケット部材S2の支持部材20の後側20dは、ハブ部材Hに取り付けられるとき、ハブ部材Hの後面H2の方を向くように構成されている。
【0075】
歯10は、各駆動スプロケット部材S1,S2の支持部材20の周囲に分散して配置されるとき、無限軌道と係合するべく外側20aから突出するように構成されている。
【0076】
歯10は、各駆動スプロケット部材S1,S2の支持部材20の周囲に分散して配置されるとき、前側20cから突出するように構成されている。
【0077】
本開示による駆動輪は、図示しない本開示の一態様によれば、単一の駆動スプロケット部材を備えていてもよい。本開示による駆動輪は、本開示の一態様によれば、図示しない単一の駆動スプロケット部材を備えていてもよく、その単一の駆動スプロケット部材は、単一の駆動スプロケット部材の周囲に配置された歯と、歯のための1つの支持部材と、を有している。歯は、図示しない駆動スプロケット部材の単一の支持部材に取り外し可能に取り付けられるように構成されている。
【0078】
駆動輪DWは、一組の歯10のうち1つ以上の歯10を支持部材20に固着することを容易にするための固着構造Aを備える。駆動輪DWは、一組の歯10のうち1つ以上の歯10を各支持部材20に固着することを容易にするための固着構造Aを備える。
【0079】
固着構造Aは、一組の歯10のうち1つ以上の歯10を支持部材20に固着するために構成されている。固着構造Aは、支持部材20の一組の鳩尾形凹部22を備える。したがって、支持部材20には鳩尾形凹部22が設けられている。本開示の本実施形態によれば、外側駆動スプロケット部材S1の支持部材20は、その支持部材20の周囲に周方向に配置された一組の鳩尾形凹部22を備えている。本開示の本実施形態によれば、内側駆動スプロケット部材S2の支持部材20は、その支持部材20の周囲に周方向に配置された一組の鳩尾形凹部22を備えている。
【0080】
各鳩尾形凹部22は、1つ以上の歯10の係止機能を提供するべく、1つ以上の歯10の係止部12を収容するように構成されている。
【0081】
一組の鳩尾形凹部22は、各駆動スプロケット部材S1,S2の支持部材20の前側20cに配置されている。
【0082】
本開示の一態様によれば、固着構造Aは更に、各駆動スプロケット部材S1,S2の支持部材20の鳩尾形凹部22と関連して1つ以上の歯10を取り付けるためのボルト継手J1を備える。
【0083】
本開示の一態様によれば、固着構造Aは、鳩尾形凹部22と連結して各リング形支持部材20の側部の周囲に配置された一組の取り付け部材24を備える。内側駆動スプロケット部材S2の一組の取り付け部材24を示す
図2を参照されたい。各取り付け部材24は、本実施形態によれば、鳩尾形凹部22と連結して配置されている。各取り付け部材24は、各歯10を支持部材20に取り付けるためのボルト継手J1を収容するように配置されている。
【0084】
本実施形態によれば、各駆動スプロケット部材S1,S2は、各リング形支持部材20の内側20bの周囲に配置された一組の固着部材26を備えている。内側駆動スプロケット部材S2の一組の固着部材26を示す
図2を参照されたい。各固着部材26は、各駆動スプロケット部材S1,S2を駆動輪DWのハブ部材Hに取り付けるためのボルト継手J2を備えているか、又は収容するように配置されている。本実施形態によれば、固着部材26はハブ部材Hのスポークに取り付けられる。
【0085】
外側駆動スプロケット部材S1、したがって固着構造Aは、
図4,
図5a及び
図5bを参照して、以下でより詳細に説明される。
【0086】
図4は本開示の一実施形態による装軌車両の無限軌道用駆動輪の駆動スプロケット部材S1の正面図を概略的に図示しており、
図5aは本開示の一実施形態による
図4の駆動スプロケット部材S1の側面図を概略的に図示しており、
図5bは本開示の一実施形態による
図4の駆動スプロケット部材S1の側面断面
図A-Aを概略的に図示している。
【0087】
このようなスプロケット部材S1を備える駆動輪は、
図1の駆動輪DWによる駆動輪であってもよい。このようなスプロケット部材S1を備える駆動輪は、
図2及び
図3の駆動輪DWによる駆動輪であってもよい。
【0088】
図6aは本開示の一実施形態による
図4の駆動スプロケット部材S1の一部の斜視図を概略的に図示しており、
図6bは本開示の一実施形態による
図4の駆動スプロケット部材S1の一部の斜視図を概略的に図示している。
【0089】
駆動スプロケット部材S1は中心軸Zを有しており、車両の駆動時には、駆動スプロケット部材はその中心軸について回転することが意図されている。
【0090】
駆動スプロケット部材S1は、本開示の一態様によれば、駆動輪、例えば駆動輪のハブ部材の内面に配置された内側駆動スプロケット部材とハブ部材の外面に配置された外側駆動スプロケット部材とを備える
図2から
図3の駆動輪DWの、外側駆動スプロケット部材S1である。
【0091】
駆動スプロケット部材S1は、駆動スプロケット部材S1の周囲に配置された一組の歯10を備える。
【0092】
駆動スプロケット部材S1は、駆動スプロケット部材S1の歯10のための支持部材20を備える。
【0093】
支持部材20は、本開示の一態様によれば、リング形の構成を有している。支持部材20は、駆動輪が装軌車両に装着されるときに車両の軌道アセンブリの無限軌道に面するように構成された外表面を提供する外側20aを有している。
【0094】
歯10は、支持部材20の周囲に分散して配置されるとき、外側20aから突出するように構成されている。したがって、歯10の一部11は、無限軌道と係合するべく外側20aから突出するように構成されている。
【0095】
歯10は、支持部材20の周囲に分散して配置されるとき、駆動輪が装軌車両に装着されるときに車両の軌道アセンブリの無限軌道に面するように構成された外表面を提供する外側10aを有している。歯10の外側10aは歯の一部11の表面部に対応する。その表面部、したがって歯の外側10aは、無限軌道と係合するように構成されている。
【0096】
歯10は、支持部材20の周囲に分散して配置されるとき、駆動輪の、したがって駆動スプロケット部材S1の軸Zの方を向くように構成された内側10bを有している。
【0097】
本開示の一態様による支持部材20は、外側20aとは反対の内側20bを有する。本開示の一態様による支持部材20は、前側20cと、反対の後側20dと、を有する。
【0098】
鳩尾形凹部22は支持部材20の前側20cに配置されている。
【0099】
歯10は支持部材20に取り外し可能に取り付けられるように構成されている。
【0100】
駆動スプロケット部材S1は、一組の歯10のうち1つ以上の歯10を支持部材20に固着することを容易にするための固着構造Aを備えている。駆動スプロケット部材S1は、一組の歯10のうち1つ以上の歯10を各支持部材20に固着することを容易にするための固着構造Aを備えている。
【0101】
固着構造Aは、一組の歯10のうち1つ以上の歯10を支持部材20に固着するために構成されている。固着構造Aは、支持部材20の一組の鳩尾形凹部22を備える。したがって、支持部材20には鳩尾形凹部22が設けられている。
【0102】
各鳩尾形凹部22は、1つ以上の歯10の係止機能を提供するべく、1つ以上の歯10の係止部12を収容するように構成されている。本実施形態によれば、各鳩尾形凹部22は、1つ以上の歯10の係止機能を提供するべく、1つ以上の歯10の係止部12を収容するように構成されている。本実施形態によれば、各歯10は、鳩尾形凹部22に係止適合するように構成された係止部12を備える。
【0103】
駆動スプロケット部材S1の一組の歯10のうち1つの歯10の一実施形態が、
図7a~b及び
図8a~bを参照して、より詳細に説明される。駆動スプロケット部材S1の一組の歯10のうち1つの歯10の係止部12は、
図7a~b及び
図8a~bを参照して、より詳細に説明される。
【0104】
本開示の一態様によれば、固着構造Aは更に、鳩尾形凹部22と関連して1つ以上の歯10を取り付けるためのボルト継手J1を備える。
【0105】
一組の鳩尾形凹部22は支持部材20の前側20cに配置されている。各鳩尾形凹部22は、支持部材20において放射状に広がるように構成されている。各鳩尾形凹部22は、支持部材20の前側20cに放射状に広がるように構成されている。
【0106】
鳩尾形凹部22は、支持部材20の周辺から中心に向かって径方向で狭くなるように構成されている。鳩尾形凹部22は、支持部材20の周辺から支持部材20の中心、すなわちスプロケット部材S1の中心軸に関連する支持部材の中心点に向かって径方向で狭くなるように構成されている。鳩尾形凹部22は、支持部材20の外側20aから支持部材20の中心に向かって径方向で狭くなるように構成されている。
【0107】
鳩尾形凹部22は対向する内壁22a,22bを有する。対向する内壁22a,22bは、第1の内壁22a及び対向する第2の内壁22bを構成する。内壁22a,22bは、支持部材20の外側20aから前側20cに沿って中心部に向かって延びるように構成されている。内壁22a,22bは、支持部材20の外側から中心エリアに向かって互いの方に延びるように構成されており、したがって互いに狭くなっている。
【0108】
内壁22a,22bは、前側20cから凹部底22cに向かって延びるように構成されている。したがって、凹部底22cは、支持部材20の外側20aから前側20cに沿って中心部に向かって延びている。よって、鳩尾形凹部22は内壁22a,22bと凹部底22cとを有する。鳩尾形凹部22は、支持部材20の内側20bから一定の距離にある内端22dを有する。
図4を参照されたい。各鳩尾形凹部22の内端22dは、本実施形態によれば、取り付け部材24と連結されている。
【0109】
図6bに図示されるように、凹部22の各内壁22a,22bは、支持部材20の径方向に垂直な方向に対して傾斜αを有する。凹部22の各内壁22a,22bは、支持部材20の軸方向に平行な方向に対して傾斜αを有する。各内壁22a,22bの傾斜αは、内壁22a,22bが互いに向かって傾くようになっている。
【0110】
したがって、鳩尾形凹部22は、支持部材20から外方に狭くなるように構成されている。したがって、鳩尾形凹部22は、支持部材20の前側20c向かって狭くなるように構成されている。したがって、鳩尾形凹部22は、凹部底22cから支持部材20の前側20c向かって狭くなるように構成されている。
【0111】
例えば
図4及び
図5a~bに図示されている実施形態によれば、各歯10は、鳩尾形凹部22と連結して支持部材20に取り付けられるように構成されている。例えば
図4及び
図5a~bに図示されている実施形態によれば、各歯10は、ボルト継手J1を収容するための開口O1、すなわち貫通孔を備える。開口O1は各歯10の係止部12と連結して配置されている。
【0112】
本開示の一態様によれば、固着構造Aは、鳩尾形凹部22と連結して各リング形支持部材20の側部の周囲に配置された一組の取り付け部材24を備える。
図4を参照されたい。各取り付け部材24は、本実施形態によれば、鳩尾形凹部22と連結して配置されている。各取り付け部材24は、各歯10を支持部材20に取り付けるためのボルト継手J1を収容するように配置されている。
【0113】
本実施形態によれば、駆動スプロケット部材S1は、リング形支持部材20の内側20bの周囲に配置された一組の固着部材26を備えている。各固着部材26は、駆動スプロケット部材S1を駆動輪のハブ部材に取り付けるためのボルト継手J2を備えているか、又は収容するように配置されている。
図4を参照されたい。
【0114】
図7aは本開示の一実施形態による
図2及び4の駆動スプロケット部材S1の歯10の平面図を概略的に図示しており、
図7bは本開示の一実施形態による
図7aの歯10の側面図を概略的に図示しており、
図8aは本開示の一実施形態による
図7aの歯10の背面図を概略的に図示しており、
図8bは本開示の一実施形態による
図8aの歯10の側面断面図を概略的に図示している。
【0115】
歯10は、歯10が支持部材に取り付けられ駆動輪が装軌車両に装着されるときに車両の軌道アセンブリの無限軌道に面するように構成された外表面を提供する外側10aを有する。
図7bを参照されたい。歯10は、外側10aとは反対の内側10bを有する。
図7bを参照されたい。
【0116】
歯10は、歯10が支持部材に取り付けられるときに支持部材の前側から突出するように構成された前側10cを有する。
図7a~bを参照されたい。歯10は前側10cとは反対の後側10dを有しており、その後側は、歯10が支持部材に取り付けられるときに支持部材の前側に面するように構成されている。
図7a~bを参照されたい。
【0117】
歯10は、支持部材20の周囲に分散して配置されるとき、無限軌道と係合するべく歯10の一部11が支持部材20の外側20aから突出するように構成される。例えば
図4を参照されたい。歯10の外側10aは歯10の一部11の表面部に対応する。
【0118】
歯10は、前側10cから後側10dに向かって延びるように構成された第1の長側部10eを有する。
図7aを参照されたい。歯10は、第1の長辺10eとは反対の、前側10cから後側10dに向かって延びるように構成された第2の長側部10fを有する。
図7aを参照されたい。
【0119】
歯10は係止部12を有する。係止部12は、支持部材20の鳩尾形凹部22に適合するように成形されている。例えば
図7a~bを参照されたい。
【0120】
歯10は、歯10の後部に配置された羽根要素14を有する。係止部12は羽根部14から後方に突出するように構成されている。羽根要素14は第1の羽根部14aを備える。第1の長側部10eは、第1の羽根部14aへと遷移するように構成されている。羽根要素14は、第1の羽根部14aとは反対の第2の羽根部14bを備える。第2の長側部10fは、第2の羽根部14bへと遷移するように構成されている。
【0121】
係止部12は対向する外壁12a,12bを有している。対向する外壁12a,12bは、第1の外壁12a及び対向する第2の外壁12bを構成する。外壁12a,12bは、歯10が支持部材20に取り付けられるとき、鳩尾形凹部22の内壁22a,22bに面するように構成されている。外壁12a,12bは、外側10aから前側20cに沿って支持部材20の中心部に向かって延びるように構成されている。
【0122】
係止部12は、歯10が支持部材20に取り付けられるとき、支持部材20の外側20aと同じ方向を向くように構成された外側12cを有する。
【0123】
係止部12は、歯10が支持部材20に取り付けられるとき、支持部材20の鳩尾形凹部22の内端22dの方を向くように構成された、外側12cとは反対の内側12dを有する。
【0124】
外壁12a,12bは、支持部材20の外側から中心エリアに向かって互いの方に延びるように構成されており、したがって外側12cから内側12dに向かって互いに狭くなっている。
【0125】
歯の後側10dは、支持部材の鳩尾形凹部22の凹部底22cに面するように構成された係止部12の表面側12eを構成する。例えば
図7a~b及び
図6aを参照されたい。
【0126】
したがって、本開示の一態様によれば、係止部12は、鳩尾形凹部22の対向する内壁22a,22bに面すると共に少なくとも部分的に係合するように構成された対向する外壁12a,12bと、鳩尾形凹部22の凹部底22cに面すると共に少なくとも部分的に係合するように構成された表面側12eと、を有しており、効率的な幾何学的係止を提供する。
【0127】
以上の本発明の好適な実施形態の記載は、説明及び記述の目的で提供されている。網羅的であること又は本発明を開示されたそのものの形に限定することは意図されていない。当業者には、多くの修正及びバリエーションが明らかに自明であろう。実施形態は、本発明の原則とその実際の適用について最も良く説明するために選択され記述されたものであり、それによって、他の当業者が、種々の実施形態について及び考えられる特定の使用に適した種々の修正を加えて本発明を理解できるようにするものである。