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特許7491953両眼屈折機器、テスト画像のセット、両眼屈折方法、及びそれに関連するコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】両眼屈折機器、テスト画像のセット、両眼屈折方法、及びそれに関連するコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/032 20060101AFI20240521BHJP
   A61B 3/028 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A61B3/032
A61B3/028
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021571435
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2020064902
(87)【国際公開番号】W WO2020239943
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】19305700.7
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アデール・ロンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ジルダ・マラン
(72)【発明者】
【氏名】マルタ・エルナンデス-カスタニェーダ
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0164822(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03175776(EP,A1)
【文献】特開2006-122661(JP,A)
【文献】特表2005-524432(JP,A)
【文献】特表2019-531769(JP,A)
【文献】特表2017-526078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両眼屈折機器(1)であって、
- 第1の光学ユニット(5)と、
- 第2の光学ユニット(6)と、
- 対象(4)の第1の眼(2)に第1のテスト画像(21、51、61、71、81)を提供するため、及び同時に前記対象(4)の第2の眼(3)に第2のテスト画像(22、52、62、72、82)を提供するための、画像表示システム(7)であって、前記第1のテスト画像が、前記第1の光学ユニット(5)を通して前記対象の前記第1の眼(2)によって見られ、前記第2のテスト画像が、前記第2の光学ユニット(6)を通して前記対象の前記第2の眼(3)によって見られる、画像表示システム(7)と、
- 制御ユニット(8)であって、
a)前記第1の光学ユニット(5)を用いて第1の屈折矯正を前記第1の眼(2)に提供し、前記第2の光学ユニット(6)を用いて第2の屈折矯正を前記第2の眼(3)に提供するステップ、
b)前記画像表示システムを用いて、前記対象の前記第1の眼(2)及び前記第2の眼(3)に前記第1のテスト画像(21、51、61、71、81)及び前記第2のテスト画像(22、52、62、72、82)をそれぞれ提供するステップであって、前記第1のテスト画像及び前記第2のテスト画像が、
- 前記第1のテスト画像(21、51、61、71、81)が、第1の周辺画像(21p、51p、61p、71p、81p)によって囲まれる第1の中央画像(21c、51c、61c、71c、81c)を含み、前記第1の中央画像が、少なくとも1つの第1の視標(21o、51o、61o、71o、81o)を含み、
- 前記第2のテスト画像(22、52、62、72、82)が、第2の周辺画像(22p、52p、62p、72p、82p)によって囲まれる第2の中央画像(22c、52c、62c、72c、82c)を含み、
- 前記第1の周辺画像(21p、51p、61p、71p、81p)及び前記第2の周辺画像(22p、52p、62p、72p、82p)のそれぞれが不均一であり、前記第1の周辺画像と前記第2の周辺画像との間の類似性のレベルが所与の閾値より高く、
- 前記第2の中央画像(22c、52c、62c、72c、82c)が、前記第1の中央画像(21c、51c、61c、71c、81c)とは異なり、前記第2の中央画像が、視標を与えられていないか、又は前記少なくとも1つの第1の視標(21o、81o)のコントラスト若しくはシャープネスレベルよりも小さなコントラスト若しくはシャープネスレベルを有する1つ若しくは複数の第2の視標(22o、82o)のみを含む、ようにされる、前記提供するステップ、並びに
c)前記対象が前記少なくとも1つの第1の視標(21o、51o、61o、71o、81o)を知覚するシャープネスに関する、前記対象によって提供される少なくとも1つの標識に応じて前記第1の屈折矯正を変更するステップ、
を実行するために、前記第1の光学ユニット(5)及び前記第2の光学ユニット(6)並びに前記画像表示システム(7)を制御するようにプログラムされる、前記制御ユニット(8)と、
を備える、両眼屈折機器(1)。
【請求項2】
前記制御ユニット(8)が、前記第1のテスト画像(21、51、61、71、81)が、少なくとも1つの画像特性について前記第1の中央画像(21c、51c、61c、71c、81c)から前記第1の周辺画像(21p、51p、61p、71p、81p)へ連続した遷移をもたらす遷移要素(21t、51t、71t、81t)を含むようにプログラムされる、請求項1に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項3】
前記制御ユニット(8)が、
- 前記第1の中央画像(21c、51c、61c、71c、81c)が、前記少なくとも1つの第1の視標(21o、51o、61o、71o、81o)が上に重ね合わされた第1の中央背景(25c、75c)を含み、
- 前記遷移要素が、前記第1の中央背景(25c、75c)を画定する境界(21t、51t、71t、81t)を含み、
- 前記少なくとも1つの画像特性が、画像明度(L)、色特徴、画像要素外形のうちの少なくとも1つを含む、
ようにプログラムされる、請求項2に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項4】
前記制御ユニット(8)が、前記第1の周辺画像(21p、51p、61p、81p)が第1の周辺背景(25p)を有するようにプログラムされ、且つ
- 前記少なくとも1つの画像特性が、前記画像明度(L)を含み、前記画像明度が、前記第1の周辺背景(25p)における周辺明度値(L)を有し、且つ前記第1の中央背景(25c)における中央明度値(L)を有し、前記画像明度が、前記境界(21t)を横断する線(26)に沿って前記周辺明度値(L)から前記中央明度値(L)に段階的且つ単調に変化するように、又は
- 前記少なくとも1つの画像特性が、前記色特徴を含み、前記色特徴が、前記第1の周辺背景における周辺色値を有し、且つ前記第1の中央背景における中央色値を有し、前記色特徴が、前記境界を横断する線に沿って前記中央色値から前記周辺色値に段階的且つ単調に変化するように、プログラムされる、請求項3に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項5】
前記制御ユニット(8)が、前記第1の周辺画像(71p)が物体(78)の画像を含むようにプログラムされ、前記少なくとも1つの画像特性が、前記画像要素外形を含み、前記第1の周辺画像に表される前記物体の一部(77)が、前記第1の中央背景(75c)と同一の外形を有し、前記物体(78)の前記一部(77)の前記画像の輪郭(71t)が、前記第1の中央背景(75c)の前記境界(71t)と一致する、請求項3又は4に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項6】
前記制御ユニット(8)が、前記第1の中央画像(21、81)が第1のバランス要素(21o、81o)を含み、且つ前記第2の中央画像(22、82)が第2のバランス要素(22o、82o)を含むようにプログラムされ、前記第1のバランス要素(21o、81o)が、前記第2のバランス要素(22o、82o)の形状、サイズ、及び/又は前記第2のテスト画像(22、82)内の位置と実質的に同一である、形状、サイズ、及び/又は前記第1のテスト画像(21、81)内の位置を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項7】
- 前記第1のバランス要素が、前記少なくとも1つの第1の視標(21o、81o)であり、
- 前記第2のバランス要素が、前記少なくとも1つの第1の視標(21o、81o)の形状と実質的に同一の形状を有する、前記1つ又は複数の第2の視標(22o、82o)のうちの1つである、請求項6に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項8】
前記第2の中央画像(22c、82c)が、前記1つ又は複数の第2の視標(22o、82o)を含み、前記1つ又は複数の第2の視標(22o、82o)の前記コントラスト又はシャープネスレベルが、完全にシャープで100パーセントのコントラストを有する視標と比較して、前記第2の眼について少なくとも2倍の視力低下を引き起こすのに十分小さい、請求項1~7のいずれか一項に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項9】
前記第2の中央画像(22c、82c)が、前記1つ又は複数の第2の視標(22o、82o)を含み、前記1つ又は複数の第2の視標(22o、82o)の前記コントラストが、1パーセントと20パーセントとの間に含まれ、前記少なくとも1つの第1の視標(21o、81o)の前記コントラストが、50パーセントより高い、請求項1~8のいずれか一項に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項10】
前記第1のテスト画像(21、51、61、71、81)及び前記第2のテスト画像(22、52、62、72、82)のうちの少なくとも1つが、前記対象(4)の眼球優位性のレベルに依存する特徴を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項11】
- 前記第1のテスト画像(81)が、前記第1の中央画像(81c)とは別個であり、前記第1の周辺画像(81p)によって囲まれる、追加の第1の中央画像(81c’)を含み、
- 前記第2のテスト画像(82)が、前記第2の中央画像(82c)とは別個であり、前記第2の周辺画像(82p)によって囲まれ、少なくとも1つの追加の第2の視標(82o’)を含む、追加の第2の中央画像(82c’)を含み、
- 前記追加の第1の中央画像(81c’)が、前記追加の第2の中央画像(82c’)とは異なり、前記追加の第1の中央画像(81c’)が、視標を与えられていないか、又は前記少なくとも1つの追加の第2の視標(82o’)のコントラスト若しくはシャープネスレベルよりも小さなコントラスト若しくはシャープネスレベルを有する1つ若しくは複数の追加の第1の視標(81o’)のみを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項12】
前記制御ユニット(8)が、ステップa)、ステップb)、ステップc)、及び次いでステップa)、ステップb’)、ステップc’)を含むステップの集合を複数回連続して実行するために、前記第1の光学ユニット(5)及び前記第2の光学ユニット(6)並びに前記画像表示システム(7)を制御するようにプログラムされ、
- ステップb’)において、前記画像表示システム(7)が、訂正された第1の中央画像(22c、52c、62c、72c、82c)を前記第1の眼(2)に提供し、訂正された第2の中央画像(21c、51c、61c、71c、81c)を前記第2の眼(3)に提供し、訂正された第1の中央画像及び第2の中央画像が、初期の第1の中央画像及び初期の第2の中央画像とは少なくともシャープネス及び/又はコントラストそれぞれにおいて異なり、前記訂正された第1の中央画像が、好ましくは前記初期の第2の中央画像であり、前記訂正された第2の中央画像が、好ましくは前記初期の第1の中央画像であり、
- ステップc’)において、前記第2の屈折矯正が、前記対象が前記少なくとも1つの第1の視標(21o、51o、61o、71o、81o)を知覚するシャープネスに関する、前記対象によって提供される少なくとも1つの標識に基づいて変更される、
請求項1~10のいずれか一項に記載の両眼屈折機器(1)。
【請求項13】
対象(4)の第1の眼(2)の少なくとも1つの屈折特徴を両眼方式で判断するために、両眼屈折機器(1)を用いて、前記対象(4)の前記第1の眼(2)及び前記対象(4)の第2の眼(3)にそれぞれ提供される第1のテスト画像(21、51、61、71、81)及び第2のテスト画像(22、52、62、72、82)を含む、画像のセットであって、
- 前記第1のテスト画像(21、51、61、71、81)が、第1の周辺画像(21p、51p、61p、71p、81p)によって囲まれる第1の中央画像(21c、51c、61c、71c、81c)を含み、前記第1の中央画像が、少なくとも1つの第1の視標(21o、51o、61o、71o、81o)を含み、
- 前記第2のテスト画像(22、52、62、72、82)が、第2の周辺画像(22p、52p、62p、72p、82p)によって囲まれる第2の中央画像(22c、52c、62c、72c、82c)を含み、
- 前記第1の周辺画像(21p、51p、61p、71p、81p)及び前記第2の周辺画像(22p、52p、62p、72p、82p)のそれぞれが不均一であり、前記第1の周辺画像と前記第2の周辺画像との間の類似性のレベルが所与の閾値より高く、
- 前記第2の中央画像(22c、52c、62c、72c、82c)が、前記第1の中央画像(21c、51c、61c、71c、81c)とは異なり、前記第2の中央画像が、視標を与えられていないか、又は前記少なくとも1つの第1の視標(21o、51o、61o、71o、81o)のコントラスト若しくはシャープネスレベルよりも小さなコントラスト若しくはシャープネスレベルを有する1つ若しくは複数の第2の視標(22o、82o)のみを含む、画像のセット。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが両眼屈折機器(1)の制御ユニット(8)によって実行されるときに、前記両眼屈折機器(1)に
両眼屈折機器(1)を用いて実施される、両眼屈折方法であって、
前記両眼屈折機器(1)が、
- 第1の光学ユニット(5)と、
- 第2の光学ユニット(6)と、
- 対象(4)の第1の眼(2)に第1のテスト画像(21、51、61、71、81)を提供するため、及び同時に前記対象(4)の第2の眼(3)に第2のテスト画像(22、52、62、72、82)を提供するための、画像表示システム(7)であって、前記第1のテスト画像が、前記第1の光学ユニット(5)を通して前記対象の前記第1の眼(2)によって見られ、前記第2のテスト画像が、前記第2の光学ユニット(6)を通して前記対象の前記第2の眼(3)によって見られる、前記画像表示システム(7)と、を備え、
前記両眼屈折方法が、
a)前記第1の光学ユニット(5)を用いて第1の屈折矯正を前記対象の前記第1の眼(2)に提供し、前記第2の光学ユニット(6)を用いて第2の屈折矯正を前記対象の前記第2の眼(3)に提供するステップと、
b)前記画像表示システム(7)を用いて、前記第1の眼(2)及び前記第2の眼(3)に前記第1のテスト画像(21、51、61、71、81)及び前記第2のテスト画像(22、52、62、72、82)をそれぞれ提供するステップであって、
- 前記第1のテスト画像(21、51、61、71、81)が、第1の周辺画像(21p、51p、61p、71p、81p)によって囲まれる第1の中央画像(21c、51c、61c、71c、81c)を含み、前記第1の中央画像が、少なくとも1つの第1の視標(21o、51o、61o、71o、81o)を含み、
- 前記第2のテスト画像(22、52、62、72、82)が、第2の周辺画像(22p、52p、62p、72p、82p)によって囲まれる第2の中央画像(22c、52c、62c、72c、82c)を含み、
- 前記第1の周辺画像(21p、51p、61p、71p、81p)及び前記第2の周辺画像(22p、52p、62p、72p、82p)のそれぞれが不均一であり、前記第1の周辺画像と前記第2の周辺画像との間の類似性のレベルが所与の閾値より高く、
- 前記第2の中央画像(22c、52c、62c、72c、82c)が、前記第1の中央画像(21c、51c、61c、71c、81c)とは異なり、前記第2の中央画像が、視標を与えられていないか、又は前記少なくとも1つの第1の視標(21o、81o)のコントラスト若しくはシャープネスレベルよりも小さなコントラスト若しくはシャープネスレベルを有する1つ若しくは複数の第2の視標(22o、82o)のみを含む、前記提供するステップと、
c)前記対象が前記少なくとも1つの第1の視標(21o、51o、61o、71o、81o)を知覚するシャープネスに関する、前記対象によって提供される少なくとも1つの標識に応じて前記第1の屈折矯正を変更するステップと、
を含む、両眼屈折方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの視標を含む第1のテスト画像を対象の第1の眼に表示し、第2のテスト画像を対象の第2の眼に表示するように構成され、第1のテスト画像及び第2のテスト画像が互いから少なくとも一部異なる、両眼屈折機器に関する。本発明は、両眼屈折方法、コンピュータプログラム、及びそのような方法に関連するテスト画像のセットにも関する。
【背景技術】
【0002】
従来の両眼屈折手順では、対象は、両眼を開いている。視標を含むテスト画像が、対象の第1の眼に提供され、雲霧、雲霧解除、球面及び乱視特性の微調整の通常のステップが、この眼に対して行われる。一方、対象の第2の眼には、空白画像が提供される。次いで、この第2の眼の屈折異常を判断するために、テスト画像が対象の第2の眼に提供され、空白画像が対象の第1の眼に提供される。
【0003】
しかし、優位眼と呼ばれる、対象の眼の1つによって知覚される画像が強く優位を占める両眼視を有する対象がいる。言い換えると、そのような対象は、両眼画像融合の神経プロセスにおいて、他の視覚経路よりも強い優位性を持つ1つの視覚経路を有する。このような対象の場合、上述した両眼屈折手順の間、空白画像が対象の優位眼に提供されるときに、対象の左と右の視覚経路の間の視野闘争に起因して、「抑制」現象が発生することがある。この場合、対象によって知覚される画像は、完全に空白画像である。
【0004】
知覚される画像における視標のそのような抑制は、当然ながら、非優位眼の屈折異常の判断を困難にするか、又は不可能にすらする。対象の眼球優位性が、そのような抑制を引き起こすほど十分強くないとしても、それは、対象によって知覚される画像の明滅又は点滅を引き起こすことがよくある。さらに、そのような両眼屈折手順の間、対象によって知覚される画像の点滅もまた、眼球輻輳に関連する対象の視力の問題によって引き起こされ得る。これらの悪影響によって、両眼屈折手順の正確性又は対象にとっての快適性が低下し、実行される時間が長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の1つの目的は、対象の片眼又は両眼の少なくとも1つの屈折特徴を判断するための両眼屈折機器であって、眼球優位性及び視野闘争によって、並びに/又は眼球輻輳の問題によって引き起こされる上述した有害効果が、回避され、又は少なくとも低減される、両眼屈折機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、請求項1によって定義される両眼屈折機器を提供することにより、本発明に従って達成される。
【0007】
発明者は、同一又は類似の周辺画像を含む2つの異なるテスト画像を対象の両眼に提供することによって、左及び右の視覚経路のバランスの取れた融合が誘導されることを観察した。それは、対象に対して、これらのテスト画像の中央領域ですら、且つ対応する中央画像が明らかに異なっているとしても、対象に対して表示される第1のテスト画像及び第2のテスト画像の両方を考慮に入れる、安定した知覚画像をもたらす。
【0008】
眼球優位性/視野闘争に関して、この改善についての1つの説明は、対象の視覚系は(上記周辺画像のおかげで)大部分が類似する左の画像及び右の画像を見るため、それは、左及び右の画像間の矛盾を全く知覚せず、したがって、対象の左及び右の視覚経路の一方又は他方の間でいかなる選択も行わないということである。
【0009】
眼球輻輳の問題に関して、発明者によって観察される安定性/快適性改善についての1つの説明は、サポートとして(実質的に同一の)周辺画像が存在することで、空白領域が視標領域を囲んでいるときよりも、対象の視覚系が視線方向を安定させること又は適当な視線方向を有することがより容易であるということである。
【0010】
いずれにしても、対象の眼に請求項1で定義されるような2つのテスト画像を提供することは、対象の両眼視の安定性を改善し、これらの画像の観察をより快適にする。したがって、両眼屈折手順の間にそのようなテスト画像の使用が行われるとき、対象は、従来のテスト画像(周辺テスト画像のない)を用いるよりも迅速且つ信頼できる方式でテスト/比較されるように屈折矯正を評価する。対象の視力を矯正するのに適切な屈折矯正は、したがって、より迅速且つ正確に判断される。
【0011】
さらに、眼球優位性が強い対象については、採用される特定のテスト画像のおかげで、上述した「抑制」現象が回避され、したがって(従来のテスト画像では可能でなかった)対象の視力を矯正するのに適切な屈折矯正を判断するために、両眼屈性手順が用いられ得る。
【0012】
有利な任意選択の特徴によれば、両眼屈折機器の制御ユニットは、対象の第1の眼に提供される第1のテスト画像が、少なくとも1つの画像特性について、第1のテスト画像の第1の中央画像から第1の周辺画像へ連続した遷移をもたらす遷移要素を含むようにプログラムされる。
【0013】
また、制御ユニットは、対象の第2の眼に提供される第2のテスト画像もまた、少なくとも1つの画像特性について、第2のテスト画像の第2の中央画像から第2の周辺画像へ連続した遷移をもたらす、そのような遷移要素を含むようにプログラムされ得る。
【0014】
発明者は、第1の中央画像及び第2の中央画像が明らかに異なっていても、そのような遷移要素が、十分に安定しバランスの取れた両眼視に寄与することを観察した。
【0015】
この効果についての1つの説明は、検討されるテスト画像について、遷移要素は、テスト画像の周辺画像内の中央画像を段階的に統合することを可能にし、視点から中央画像を周辺画像に視覚的にリンクする(遷移要素は、中央画像が対応する周辺画像にうまく調和することを可能にする)ということである。視点から、テスト画像は、そのとき、全体として主に周辺画像によって構成されるように見える(中央画像は、周辺画像の一部として見える)。したがって、そのような遷移要素を用いると、対象の視覚認知は、(第1の周辺画像及び第2の周辺画像は大部分が互いに同一であるため)既に述べたように対象の両眼視に対して安定化及びバランスを保つ効果を有する、対象が見る第1の周辺画像及び第2の周辺画像に主に依存する。よって、融合はより柔軟であり、複視現象は、存在するとしてもほとんど知覚されず、ユーザに対する不都合はほとんどない。
【0016】
第1のテスト画像の遷移要素は、上記少なくとも1つの画像特性を表す量が、第1の中央画像及び第1の周辺画像において同一の値を有するか、又は第1の中央画像から第1の周辺画像へと段階的に変化するようであってもよい。同じことが、第2のテスト画像の遷移要素に適用されてもよい。上述した少なくとも1つの画像特性は、
- 画像明度、
- 色特徴(色値)、
- 画像要素外形、
- テクスチャ要素の形状、向き、サイズ、又は密度などのテクスチャ特性
を含み得る。
【0017】
特定の実施形態では、両眼屈折機器の制御ユニットは、遷移要素がテクスチャ要素を含み、上記少なくとも1つの画像特性が上記テクスチャ要素に関連するテクスチャ特性を含むようにプログラムされ得る。
【0018】
さらに、両眼屈折機器の制御ユニットは、対象の第1の眼に表示される第1の周辺画像が、それが対象の第1の眼の位置から見られているときに、実際の場面、物体、又は抽象的な図形を表し、第2の周辺画像が、それが対象の第2の眼の位置から見られているときに、同一の場面、物体、又は抽象的な図形を表すようにプログラムされ得る。言い換えると、第1の周辺画像及び第2の周辺画像は、立体画像であってもよい。立体画像では、場面の異なる物体が、異なる平面に位置するように配置されてもよい。
【0019】
両眼屈折機器の任意選択の非限定的な特徴は、また、請求項3~12により、本発明に従って定義される。
【0020】
上述した目的は、また、請求項13により定義される両眼屈折方法を提供することによって、請求項14により定義されるコンピュータプログラムを提供することによって、又は請求項15により定義されるテスト画像のセットを提供することによって達成される。
【0021】
上記で提示される両眼屈折機器の任意選択の特徴は、請求項13、14、及び15によりそれぞれ定義される両眼屈折方法、コンピュータプログラム、又はテスト画像のセットにも適用され得る。
【0022】
実施例の詳細な説明
添付図面を参照する以下の説明により、本発明を構成するもの、及びそれを達成し得る方法が明らかになるであろう。本発明は、図面に示される実施形態に限定されるものではない。したがって、請求項で言及された特徴に参照符号が続く場合、そのような符号は、請求項の理解度を高める目的でのみ含まれ、請求項の範囲を限定するものではないと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による両眼屈折機器の実施形態を概略的に表す。
図2図1の両眼屈折機器によって、対象の第1の眼及び第2の眼にそれぞれ提供される、第1のテスト画像及び第2のテスト画像を含む、第1の組のテスト画像を概略的に表す。
図3図2の第1のテスト画像の一部における画像明度の変化を概略的に表す。
図4】表されるテスト画像に存在する第1の遷移要素及び第2の遷移要素をよりはっきりと識別するために、図2の第1のテスト画像及び第2のテスト画像を再び表す。
図5-8】対象の第1の眼及び第2の眼にそれぞれ提供される第1のテスト画像及び第2のテスト画像をそれぞれが含む、第2、第3、第4、及び第5の組のテスト画像を概略的に表す。
図9-10】図1の両眼屈折機器を用いて行われる第1の両眼屈折方法のいくつかのステップを概略的に表す。
図11-12】図1の両眼屈折機器を用いて行われる第2の両眼屈折方法のいくつかのステップを概略的に表す。
図13-14】図1の両眼屈折機器を用いて行われる第3の両眼屈折方法のいくつかのステップを概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
両眼屈折機器
図1は、両眼方式で、即ち、対象4が両眼を開き且つ遮るものがない間に、対象4の第1の眼2及び/又は第2の眼3の少なくとも1つの屈折特徴を判断するための両眼屈折機器1の主な要素を、上から概略的に表している。
【0025】
機器1は、対象4の第1の眼2に第1の屈折矯正を提供する第1の光学ユニット5、及び対象4の第2の眼3に第2の屈折矯正を提供する第2の光学ユニット6を含む。
【0026】
機器は、また、対象4の第1の眼2に第1のテスト画像21、51、61、71、81を提供するため、及び同時に対象4の第2の眼3に第2のテスト画像22、52、62、72、82を提供するための、画像表示システム7を含み、第2のテスト画像は、第1のテスト画像21、51、61、71、81とは異なる。
【0027】
第1のテスト画像21、51、61、71、81は、第1の光学ユニット5を通して対象の第1の眼2によって見られ、第2のテスト画像22、52、62、72、82は、第2の光学ユニット6を通して対象4の第2の眼3によって見られる。
【0028】
図1の実施形態では、第1の光学ユニット5及び第2の光学ユニット6のそれぞれは、レンズ、ミラー、又はそのような光学コンポーネントのセットを含み、調整可能な屈折力特徴を有する。例えば、レンズは、調整可能な形状を有する変形可能液体レンズを含んでもよい。代替として、光学ユニットは、異なる光学力を有する非変形レンズの集合と、これらのレンズのいくつかを選択して対象4がそれを通して見ることができるレンズのセットを形成するためにそれらをグループ化することを可能にする機械システムと、を含んでもよい。この最後の場合に、レンズのセットの屈折力を調整するために、レンズのセットのうちの1つ又は複数のレンズが、光学ユニットに格納された他のレンズによって置換される。
【0029】
これらの光学ユニット5、6のそれぞれが、対象の眼2、3のうちの1つの正面の、この眼の近く(実際には、5センチメートルより遠くない)に配置されるように意図され、それによって、この眼2、3は、レンズを通して、レンズのセットを通して、又は光学ユニット5、6のミラー上への反射により、画像表示システム7のスクリーン70を見ることができる。機器は、様々な距離(近方視、遠方視、及び/若しくは中間視)並びに/又は様々な眼の視線方向(例えば、読書のために下に向けた自然な眼の視線方向、遠方視のための水平な眼の視線方向)で、屈折測定を可能にするように構成される。このスクリーン70は、ベイダル系(Badal system)などの特定の結像系(表示せず)を用いるときは25cm(近方視用)と無限遠との間に含まれ、若しくは結像系が用いられない場合(若しくは平面ミラーを用いる場合)には実際は最大で約8メートルの、第1の光学ユニット5及び第2の光学ユニット6からの距離に位置し、又は欧州特許第3298952号明細書に開示されるものに類似の系などは、スクリーンによってもたらされる第1の画像(周辺画像の1つ若しくは複数から構成され得る)と結像モジュールによってもたらされる第2の画像(中央画像の1つ若しくは複数から構成され得る)との組み合わせを可能にし、第1の画像及び第2の画像の両方がおそらく個人の眼に対して可変距離に結像される。
【0030】
レンズ、レンズのセット、又は第1の光学ユニット5及び第2の光学ユニット6のそれぞれのレンズのセット及びミラーは、全体球面度数S(球面光学力、例えば、ジオプトリで表される)を有する。その屈折力の円柱成分は、円柱度数C(例えば、ジオプトリで表される)を有し、且つその円柱が角度αによって表される向きを有する、等価な円柱レンズのものである。対応する光学ユニット5、6によって提供される第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正のそれぞれが、これらの3つの屈折力パラメータS、C、及びαの値によって特徴付けられ得る。この屈折矯正は、3つの組{M、J0、J45}など、光学ユニット5、6の上述した屈折力特徴を表すパラメータの任意の他のセットの値によって、同様に特徴付けられてもよい。ここで、等価球Mは、球体S+円柱Cの半分に等しく(M=S+C/2)、J0及びJ45は、光学ユニット5、6のレンズ又はレンズのセットの円柱屈折力特徴を表す2つのジャクソンクロスシリンダレンズの屈折力である。
【0031】
ここで画像表示システム7に関して、図1の実施形態では、それは、第1の偏光で第1のテスト画像21、51、61、71、81を表示し、同時に、第2の偏光で第2の画像22、52、63、72、82を表示することが可能な、液晶ディスプレイスクリーン70を用いて実現される。第1の偏光及び第2の偏光は、互いに直交する。例えば、第1の偏光及び第2の偏光は、いずれも直進し、且つ互いに垂直である。又は、同様に、第1の偏光は、左旋円偏光であり、第2の偏光は、右旋円偏光である。
【0032】
スクリーン70の全範囲が、第1の光学ユニット5及び第2の光学ユニット6のそれぞれを通して見られ得る。
【0033】
しかし、第1の光学ユニット5は、画像表示システム7から到来する光をフィルタリングする第1の偏光フィルタを含む。第1の偏光フィルタは、第2の偏光をフィルタで除去し、第1の偏光を通過させ、それによって、第1の偏光が対象の第1の眼2に到達し得る。したがって、第1の光学ユニット5を通して、対象の第1の眼2は、第1の画像21、51、61、71、81を見ることができるが、第2の画像22、52、62、72、82を見ることはできない。
【0034】
同様に、第2の光学ユニットは、画像表示システム7から到来する光をフィルタリングする第2の偏光フィルタを含む。第2の偏光フィルタは、第1の偏光をフィルタで除去し、第2の偏光を通過させ、それによって、第2の偏光が対象の第2の眼3に到達し得る。
【0035】
画像表示システムは、各画像テストが高頻度で交互に表示されると同時に、画像が向けられるべきでない眼を同期された電子シャッタが遮断する、《能動的》分離などの、任意の他の分離技術を用いてもよい。分離システムは、また、それぞれの側/眼が互いを遮断する異なるクロマティックフィルタ(例えば、赤色及び緑色フィルタ)を有するディスプレイ及び眼の両方の上でクロマティックフィルタを用いる、クロマティック分離を使用してもよい。
【0036】
第1の画像及び第2の画像(例えば、図2上に表される)は、スクリーン70上で互いに一致する(それらのそれぞれの枠が互いに一致する)。それらは、いずれもこのスクリーン上の同一ゾーンを占める。
【0037】
ここで、スクリーン70は、少なくとも5度の幅である、又は少なくとも10度の幅でもある、対象の視野の一部を占める。
【0038】
以下で詳細に提示されるように、表示される第1のテスト画像及び第2のテスト画像のそれぞれが、
- 視標を表示するための(且つ、おそらくいくつかの場合において空所のままであってもよい)中央画像21c、51c、61c、71c、81c、22c、52c、62c、72c、82c、及び
- 中央画像を囲み、通常、対象のための左及び右の視覚経路間のバランスのとれた融合プロセスに寄与する、周辺画像21p、51p、61p、71p、81p、22p、52p、62p、72p、82p
を含む。
【0039】
したがって、これらのテスト画像21、51、61、71、81、22、52、62、72、82は、何らかの合成画像であり、さらに、それらは、それらが占める視野の一部が幅広いときに一層安定する周辺画像を含む。よって、上述したもののように、そのような合成画像を収容するのに十分な空間を提供するためにワイドスクリーンを用いることは、非常に有用である。
【0040】
代替の実施形態では、画像表示システムは、反射型のパッシブスクリーン(アルミ箔スクリーンなど)、並びに第1の偏光で第1のテスト画像を、及び第2の偏光で第2のテスト画像をこのスクリーン上に投影するための1つ又は複数のプロジェクタを用いて実施されてもよく、第1のテスト画像及び第2のテスト画像は、スクリーン上で互いに重ね合わされる。
【0041】
やはり、他の実施形態では、画像表示システムは、対象の第1の眼にテスト画像の1つを提供する第1のディスプレイスクリーンと、(2つの異なる偏光を除く単一スクリーンを採用する代わりに)対象の第2の眼にテスト画像のもう1つを提供する、第1のディスプレイスクリーンとは別個の第2のディスプレイスクリーンを含み得る。この場合、第1の光学ユニット及び第2の光学ユニットは、例えば、対象の第1の眼の正面及び第2の眼の正面にそれぞれ配置される、第1の及び第2のベイダルのようなシステムを用いて実現され得る。これらのベイダルのようなシステムのそれぞれが、調整可能な対象の眼からの距離にこのディスプレイスクリーンの画像を形成するために、少なくとも1つのレンズと、検討されるディスプレイスクリーンにこのレンズを結合する光路長を修正するための変位システムと、を含む。そのような場合において、第1の(それぞれ第2の)光学ユニットによって提供される第1の(それぞれ第2の)屈折矯正は、それが第1の(それぞれ第2の)ディスプレイスクリーンの画像を形成する距離に直接関連する。光学ユニットによって提供される球面屈折矯正は、例えば、対象の眼4と光学ユニットによって形成されるディスプレイスクリーンの画像との間の代数距離の逆数に等しいか又はほぼ等しい。
【0042】
いずれにしても、第1の光学ユニット5及び第2の光学ユニット6によって提供される第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正は、調整可能である。これらの屈折矯正は、機器1の制御ユニット8によって制御される。
【0043】
少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つの不揮発性メモリを含む制御ユニット8は、(「両眼屈折方法」と題する段落において)後述する両眼屈折方法のうちの1つ又は複数を実施するために、両眼屈折機器1を操作するようにプログラムされる。
【0044】
これらの両眼屈折方法は、対象4が両眼を開いているという点、並びに上述の具体的に設計された第1のテスト画像21、51、61、71、81及び第2のテスト画像22、52、62、72、82が、屈折方法の少なくとも一部の間、対象の第1の眼2及び第2の眼3にそれぞれ提供されるという点で、共通している。
【0045】
より正確には、これらの方法のそれぞれの間、対象に提供される第1のテスト画像及び第2のテスト画像は、以下の通りである。
- 上述の通り、第1のテスト画像21、51、61、71、81は、第1の周辺画像21p、51p、61p、71p、81pによって囲まれる第1の中央画像21c、51c、61c、71c、81cを含み、第2のテスト画像22、52、62、72、82は、第2の周辺画像22p、52p、62p、72p、82pによって囲まれる第2の中央画像22c、52c、62c、72c、82cを含む。
- 第1の周辺画像及び第2の周辺画像のそれぞれが不均一であり、第1の周辺画像と第2の周辺画像との間の類似性のレベルが所与の閾値より高い。
- 第1の中央画像21c、51c、61c、71c、81cは、少なくとも1つの第1の視標21o、51o、61o、71o、81oを含む。及び
- 第2の中央画像22c、52c、62c、72c、82cは、第1の中央画像21c、51c、61c、71c、81cとは異なり、第2の中央画像22c、52c、62c、72c、82cは、視標を与えられていないか、又は上記少なくとも1つの第1の視標21o、51o、61o、71o、81oのコントラスト若しくはシャープネスレベルよりも小さなコントラスト若しくはシャープネスレベルを有する1つ若しくは複数の第2の視標22o、82oのみを含む。
【0046】
「発明の概要」を提示した段落で上述した通り、そのような第1のテスト画像及び第2のテスト画像を使用することによって、対象4の両眼視の安定性が改善され、これらの画像の観察がより快適になり、(融合後)対象によって知覚される大局的画像の明滅又は点滅が回避され、眼球輻輳問題が制限される。したがって、そのような画像が対象に提供される両眼屈折方法は、従来の両眼テスト画像が用いられるときよりも高速に実行可能であり、より正確な結果につながる。
【0047】
さらに、これらのテスト画像が採用されるとき、眼球優位性が強い対象についてでさえ、「抑制」現象は観察されない。言い換えると、第1のテスト画像の少なくとも1つの第1の視標は、(左及び右の視覚経路間の神経融合の後)対象によって知覚される大局的な両眼画像において知覚可能なままである。したがって、採用されるテスト画像のおかげで、両眼屈折方法は、(周辺画像のない従来のテスト画像では可能でなかった)対象の眼球優位性が強い場合でも、対象の視力を矯正するのに適当な屈折矯正を判断するために用いられ得る。
【0048】
上述した特性を有する第1のテスト画像21、51、61、71、81及び第2のテスト画像22、52、62、72、82をそれぞれが含む、第1の、第2の、第3の、第4の、及び第5の組のテスト画像が、「両眼テスト画像」と題する段落において(図2図8を参照して)後述される。
【0049】
本明細書で説明される両眼屈折機器1の実施形態では、これらの組のテスト画像の1つ又は複数が、制御ユニット8のメモリに記憶され、それによって、それらは、両眼屈折方法が上述した両眼屈折機器1を用いて行われるときに、画像表示システム7によって表示され得る。より概略的には、少なくとも1つのコンピュータプログラムが、このメモリ内に記憶され、このコンピュータプログラムは、プログラムが制御ユニット8によって実行されるときに、(以下で詳細に説明される方法のような)上記で提示した特徴を有する両眼屈折方法を両眼屈折機器1に実行させる命令を含む。このコンピュータプログラムは、これらの組のテスト画像のうちの少なくとも1つを表すデータを含む。
【0050】
両眼テスト画像
2つの主な種類の両眼屈折方法及び関連するテスト画像のセットについて、以下で説明される。
【0051】
第1の種類の両眼屈折方法では、対象4の眼2、3に、(例えば、図2の第1のテスト画像21のような)1つ又は複数のシャープでコントラストの高い視標が知覚され得るテスト画像が1度に1つだけ提供され、他の眼には、視標が与えられていないか、又は(図2の第2のテスト画像22のような)低下したコントラスト若しくはシャープネスレベルを有する1つ若しくは複数の視標のみを含むテスト画像が提供される。
【0052】
図2図5図6、及び図7にそれぞれ表示される第1の、第2の、第3の、及び第4の組のテスト画像は、この第1の種類の両眼屈折方法に適当な組のテスト画像の実施例である。
【0053】
このような両眼屈折方法では、シャープに知覚され得る視標が対象の眼に1度に1つだけ提供されるため、対象の第1の眼2及び第2の眼3にそれぞれ提供される第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正は、1度に1つ交互に対象によって評価される。図9図12を参照して後述する第1の屈折方法及び第2の屈折方法は、この第1の種類の屈折方法に属する。
【0054】
第2の種類の両眼屈折方法では、両方が少なくとも1つのシャープでコントラストの高い視標を含む第1のテスト画像81及び第2のテスト画像82が、対象4の第1の眼2及び第2の眼3にそれぞれ提供される(図8)。しかし、シャープで強くコントラストの高い視標、即ち、第1のテスト画像81内に存在する視標81o及び第2のテスト画像82内に存在する視標82o’は、対象の視野の異なる部分(81c、82c’)に表示される。したがって、第2の種類の両眼屈折方法では、第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正が、対象によって同時に評価され得る。
【0055】
第2の種類の屈折方法において用いられるテスト画像のセットは、例えば、図8の第1のテスト画像81及び第2のテスト画像82のような、周辺画像81p、82pによって囲まれる、2つの別個の接続されていない中央画像81cと81c’、82cと82c’をそれぞれが含む第1のテスト画像及び第2のテスト画像を含み得る。
【0056】
図13及び図14を参照して後述する第3の両眼屈折方法は、この第2の種類の両眼屈折方法に属する。
【0057】
しかし、検討される両眼屈折方法の種類が何であっても、後述する例示的な組のテスト画像のそれぞれにおいて、第1のテスト画像21、51、61、71、81は、少なくとも1つの画像特性について、第1のテスト画像の第1の中央画像21c、51c、61c、71c、81cから第1の周辺画像21p、51p、61p、71p、81pへ連続した遷移をもたらす第1の遷移要素21t、51t、71t、81tを含む。
【0058】
「発明の概要」を提示した段落で上述した通り、そのような遷移要素によって、第1の中央画像の対応する周辺画像への視覚的統合が可能となり、それらの間の突然の不連続性が回避され、対象4の両眼視の安定化に効果的に寄与する。
【0059】
同様に、これらの組のテスト画像のそれぞれにおいて、第2のテスト画像22、52、62、72、82は、少なくとも1つの画像特性について、第2のテスト画像の第2の中央画像22c、52c、62c、72c、82cから第2の周辺画像22p、52p、62p、72p、82pへ連続した遷移をもたらす第2の遷移要素22t、52t、72t、82tを含む。
【0060】
より具体的には、本明細書で説明される組のテスト画像について、第1の遷移要素21t、51t、71t、81tは、上記画像特性を表す量が、第1の中央画像及び第1の周辺画像において同一の値を有するか、又は第1の中央画像から第1の周辺画像へと段階的に変化するようになっている。同じことが、第2のテスト画像の第2の遷移要素22t、52t、72t、82tに適用され得る。
【0061】
第1の、第2の、第3の、及び第5の組のテスト画像の場合において、中央画像から周辺画像への遷移が連続的である画像特性は、画像明度Lである。これらの場合において、画像明度Lは、検討される中央画像からそれを囲む周辺画像へ段階的に変化する(図2図5図6、及び図8)。
【0062】
第4の組のテスト画像の場合(図7)、中央画像から周辺画像への遷移が連続的である画像特性は、テスト画像に表される要素の外形である。より正確には、この場合、中央画像71c、72cの外形が、第1の周辺画像71p、72pに表される要素77(ここでは、パラグライダの翼)の外形と同一である。
【0063】
全般特性が上記で提示されている、第1の、第2の、第3の、第4の、及び第5の組のテスト画像が、ここで次々により詳細に説明され得る。
【0064】
第1の組のテスト画像(図2図4
第1のテスト画像21
この第1のテスト画像21の第1の中央画像21cは、四角形を有する。それは、均一な、白く明るい背景25cを有する。中央背景25cの任意の点の画像明度は、例えば、第1のテスト画像21の中の最高明度に等しくてもよく、又は第1のテスト画像の中の最高明度の4分の3より高くてもよい。
【0065】
第1の視標21oは、中央背景25cの上に重ね合わされ、表されるように、スネレン文字(Snellen-letter)、即ち、「C」、「R」、「V」、「S」、及び「Z」である。
【0066】
変形では、そのような文字の代わりに、他の種類の視標が採用されてもよい。ここで、「視標」という用語は、対象4の視力の明瞭度/シャープネスをテストするのに適当なシンボル(即ち、図形)又はシンボルのセットを示す。それは、テストされる眼が、球面屈折に関して十分に矯正されているかどうかを判断するのに適当な、スネレン文字のようなシンボルであってもよい。それは、また、時計の文字盤の時間毎に3重の平行線を含む「時計乱視チャート」のような、乱視を特徴付けるのに適当なシンボルであってもよい。概して、視標は、シンボル又はシンボルのセットであり、そのそれぞれが、閉じた輪郭によって画定され、均一に塗り潰され、例えば、黒で塗り潰されるか、又は灰色で塗り潰される。シンボルは、シンボル自体の塗り潰しとは別個の、概して白又は灰色(「消失する」視標の場合)の背景上に重ね合わされる。各シンボルは、角度のある視点からはやや小さく、又は細い。その角度のある幅は、概して、1度よりも小さく、典型的には、10分の1度である。
【0067】
採用される視標は、図2に表されるスネレン文字の代わりに、スネレン若しくは任意の他の文字、アラビア文字若しくは漢字、ランドルトC、リー小児テスト(Lea pediatric test)の図形、ゴロビン・シブツェフ表(Golovin-Sivtsev table)の図形、又は(図5のような)乱視をテストするための線若しくは点のセットであってもよい。
【0068】
第1の視標21oは、コントラストが高い。それらのコントラストは50%より高く、80%より高いことさえある。視標のコントラストは、比率(Lmax-Lmin)/(Lmax+Lmin)として定義される。ここで、Lmaxは、視標の周囲における最大明度であり、ここでは中央背景25cの明度である。一方、Lminは、視標内の最小明度であり、ここでは視標の黒い塗り潰しの明度である。代替として、画像及び視標は、夜の場面を表す周辺画像との逆のコントラスト(暗い背景上に白いシンボル)のものであってもよい。
【0069】
第1の視標21oは、シャープである。それらの外形は、輪郭がはっきりしている。実際には、そのような完全にシャープな視標の輪郭の厚み、即ち、視標の均一な塗り潰しと視標の周囲との間の遷移ゾーンの幅は、視標幅の0.2より小さいか、又は0.1より小さくすらある。
【0070】
第1の中央画像21cの領域は、第1の周辺画像21pの領域よりも小さい。より正確には、第1の周辺画像21pの領域による第1の中央画像21cの領域の比率は、3分の1よりも小さく、ここでは、5%よりも小さくすらある。周辺画像は、上述した安定化効果の要因であり、視点からの第1の中央画像21cと第2の中央画像22cとの間の差異を補償するため、領域に関して、中央画像21cよりも周辺画像21pが優位であることが有益である。
【0071】
第1の中央画像21cは、第1のテスト画像21の中央部分を占める。第1の中央画像21cは、第1のテスト画像のエッジまで拡張せず、第1の周辺画像21pによって四方を囲まれている。
【0072】
第1の周辺画像21pは、第1の中央画像21cが占めていない第1のテスト画像21の部分を満たす。第1の周辺画像21pは、熱気球23の画像、及び上に建造物を有する丘24の画像を含む、風景の画像である。第1のテスト画像21では、第1のテスト画像21の観察者にとって、この丘24が、気球23より遠くに見える(丘が、気球よりも小さな縮尺で表されている)。周辺背景25pと示される第1の周辺画像21pの背景25pは、いくらかの青空から構成され、中程度の明度で、やや均一である。
【0073】
より概略的には、第1の周辺画像21pは、不均一である。それは、物体(気球23のような)、抽象的なグラフィック構造(図8に表される三日月83及び84のような)、又は風景要素(丘24のような)を表す複数の個別の要素を含む。第1の周辺画像21pの空間周波数量は、少なくとも所与の空間周波数閾値まで拡張する。この空間周波数閾値は、1度につき2本の線対に等しく、又は例えば、画像が対象の位置から見られるとき、1度につき4本若しくは10本の線対に等しくすらある(気球23のリブ、又は例えば、丘24上の小さな建造物の細部が、図2において高空間周波数量を有するゾーンである)。上述した空間周波数閾値は、例えば、視標毎に1本以上の線対であってもよい。
【0074】
第1の周辺画像21pの豊かで変化の多い視覚コンテンツは、この画像の安定化効果に寄与する。実際に、それは、第2の周辺画像22pに存在するものと同一又は類似の豊富な視覚的サポートを提供し、それは、対象の左及び右の視覚経路間の非常に安定した、バランスの取れた融合を可能にする。立体的な場面は、視覚系が安定することを可能にする単眼及び両眼距離のための知覚の要素をもたらし得るため、それは、焦点合わせ及び融合の助けとなる。さらに、それは、視点から対象の注意を捉え、対象が、対象に提供されるテスト画像上に焦点を合わせるのを維持することを助ける。
【0075】
第1の中央画像21cは、第1のテスト画像21の一部において拡張し、その場合に、人は、第1の中央画像21cがないときに、拡張する周辺背景25p(したがって、ここではいくらかの青空)を見ることを予期する。
【0076】
図2に表される第1のテスト画像21の場合、第1の中央画像21cから第1の周辺画像21pへの連続した遷移をもたらす第1の遷移要素21tは、第1の中央画像21cの境界である。
【0077】
この境界21tは、厚く、それにわたって画像明度Lが段階的に変化する。この厚い境界21tは、図4において識別され、この図では、境界21tは、2つの破線の長方形枠の間で拡張している。
【0078】
図2の挿入部は、この影付きの厚い境界21tの一部を拡大して示す。この挿入部には、周辺背景25pに位置する点A及び中央背景25cに位置する点Bが、表されている。
【0079】
点Aにおいて、画像明度Lは、周辺明度値Lを有する。この値は、第1の中央画像の周囲の、周辺背景25pの平均画像明度を表す(例えば、等しい)。点Bにおいて、画像明度Lは、中央明度値Lを有する。この中央明度値Lは、中央背景25cの画像明度の値であり、それは、ここでは均一である。周辺明度値Lと中央明度値Lは、互いに異なっている。この例では、周辺明度値Lと中央明度値Lとの間の明度差ΔLが、中央明度値の10%にほぼ等しい。
【0080】
図3は、境界に対して垂直に境界21tを横断する直線26に沿った画像明度Lの変化を表す。この直線26は、点Aを点Bにリンクする。それは、この図に見られ得るように、この直線に沿って、画像明度Lは、周辺明度値Lから中央明度値Lへ段階的且つ単調に変化する(ここでは、増加する)。
【0081】
境界21tの厚さΔxは、図2に表される直線26のような、境界に対して垂直に境界21tを横断する直線に沿って、画像明度Lが周辺明度値Lから中央明度値Lへと変化する距離である。この厚さΔxは、第1の中央画像の第1の視標21oの1つの幅以上であってもよい。代替として、この厚さΔxは、視作業の困難性の関数として調整され得る(作業が複雑である場合、対象が注意をテスト上に維持することを可能にするためには、より厚い境界が有利である)。
【0082】
この厚い境界21tの中で、画像明度の勾配の絶対値δL/δxは、境界の合計厚さによって割られる明度差ΔLより大きい。画像明度勾配δL/δxにおいて、xは、対象の位置から見られる、検討される画像の点の角度位置である。
【0083】
図2の場合において、第1の周辺画像21pから第1の中央画像21cへの遷移が第1の遷移要素21tによって連続的に行われる画像特性は、画像明度Lである。
【0084】
やはり、変形では、第1の周辺画像から第1の中央画像への遷移が連続的である画像特性は、画像明度Lの代わりに、例えば色特徴であってもよい。したがって、例えば、画像彩度、即ち、画像の明度に対する画像クロマの比率が、周辺背景では中央背景と異なっていてもよく、周辺彩度値から中央彩度値へ段階的且つ単調に変化してもよい。この場合、周辺背景の色は、非常に純粋で華やかな青であってもよいが、例えば、中央背景は、灰色である。そのような場合、画像明度は、周辺背景において中央背景と同一であってもよい。
【0085】
第2のテスト画像
第2のテスト画像22は、第2の中央画像22cに関することを除いて、第1のテスト画像21に非常に類似し、第2の中央画像22cは、第1の中央画像21cとは異なる。実際に、第2の中央画像22cは、第1の中央画像21cの第1の視標21oよりも小さなコントラスト及び/又はシャープネスレベルを有する第2の視標22oのみを含む。
【0086】
この組のテスト画像21、22は、対象の1つの眼の視力及び/又は屈折欠陥を他方の後でテストするように意図されるため、第2の視標22oは、低下したコントラスト/シャープネスを有する。例えば、第1のテスト画像21が対象の第1の眼2に提供されると同時に、第2のテスト画像22が対象の第2の眼3に提供されるとき、両眼方式にもかかわらず、テストされるのは対象の第1の眼の視力及び/又は屈折欠陥のみである。
【0087】
したがって、より基本的な変形(例えば、図5及び図6の第2及び第3の組のテスト画像についての場合のように)では、第2の視標22oが省略され得ることは明らかである。
【0088】
それでも、対象にとって、第2の中央画像22cにおいてこれらの低コントラスト及び/又は低シャープネスの第2の視標22oが存在することは、左及び右の視覚経路の間の融合後、対象によって知覚される大局的画像内の第1の視標の「抑制」のない、よりバランスのとれた、安定した両眼視にさえつながる。
【0089】
実際に、それらのコントラスト又はシャープネスを除いて、第2の視標22oは、第1の視標21oと同一である。第2のテスト画像22内のそれらの形状、サイズ、位置、及び向きは、第1のテスト画像21内の第1の視標の形状、サイズ、位置、及び向きと同一である。図2の場合、第2の視標22oは、スネレン文字であり、第1の中央画像21cに存在するものと(それらのシャープネス/コントラストを除いて)同一、即ち、「C」、「R」、「V」、「S」、及び「Z」である。
【0090】
視標が与えられていない第2の中央画像と比較して、これらの第2の視標22oの存在は、第1のテスト画像21と第2のテスト画像22との間の差異を減少させつつ、両眼方式で、且つ1度に1つの眼において(第2の視標が対象によってシャープに知覚されない場合があるため)、対象の視力をテストすることを依然として可能にする。
【0091】
既に論じられたように、第1のテスト画像21と第2のテスト画像22との間の差異を減少させることは、バランスのとれた両眼視に寄与する。
【0092】
言い換えると、第1の視標21o及び第2の視標22oは、第1の中央画像及び第2の中央画像にそれぞれ存在する、いくつかの種類の第1の及び第2のバランス要素であり、それは、それらの類似性に起因して、これらの2つの中央画像21c、22cの間に視覚的リンクを生成する。また、この視覚的リンクは、バランスのとれた視覚融合プロセスに寄与する。
【0093】
第2の視標のコントラスト及びシャープネスレベルに関して、少なくともそれらのうちの1つは、完全にシャープで100パーセントのコントラストを有する視標と比較して、第2のテスト画像22が提供される眼に対して少なくとも2倍の視力低下を引き起こすほど十分小さい。
【0094】
例えば、第2のテスト画像22が提供される眼が、その光学ユニット5、6によって適切に矯正され、それによって10/10又はそれより高い視力(矯正時点で)を有すると仮定する。そうすると、第2の視標22oのコントラスト又はシャープネスレベルは、対象の有効視力を5/10まで低下させるほど十分小さい。即ち、第2の視標22oのコントラスト又はシャープネスレベルは、これらの視標が(角度のある視点から)十分大きい場合、即ち、5/10の視力に対応する標準視覚テストチャートの視標より大きいか、又は同程度の大きさである場合にのみ対象によって識別され得るほど小さい。
【0095】
図9図12を参照して後述する両眼屈折方法の間、対象の眼の1つが、「機能している」眼である。この眼の屈折欠陥を光学的に矯正するのに適当な屈折矯正を判断するために、この眼には、第1の視標21oのように、コントラストが強く、シャープな視標が提供される。一方、「僚眼」と呼ばれる対象の他の眼は、第2のテスト画像22のように、シャープな、又はコントラストの強い視標を有しないテスト画像を見る。このような屈折方法の間、機能している眼は通常、開始矯正に追加の正の視度を追加することによって、不鮮明にされ、即ち、雲霧状態にされている。その後、対象が10/10又はより高い視力にさえ対応する小さな視標を識別することが可能になるまで、この眼は、段階的に雲霧解除される。このようなプロセスの間、これらの異なる屈折矯正によって矯正される、機能している眼の視力は、ほぼ6/10又は7/10(雲霧のとき)から10/10又はそれより高く(雲霧解除のとき)まで変化する。
【0096】
第2の視標22oに関して、上述の通り、それらのコントラスト/シャープネスは、僚眼の屈折矯正が何であっても、僚眼がそれらを見ることができる有効視力が5/10以下であるほど十分に小さい。
【0097】
したがって、これらの第2の視標22oの存在によって、機能している眼の適当な屈折矯正の判断が妨げられることはない。実際に、この眼が適切に矯正される場合(第2の視標がシャープに知覚できないとき)にのみ、対象は、機能している眼に表示される小さな「10/10視力」の視標を識別することができる。また、機能している眼の雲霧/雲霧解除プロセスの間、第2の視標は、第1の視標よりも小さなシャープネスでのみ知覚され得るため、対象が知覚する大局的画像において対象によって知覚される視標のシャープネスは、第1の視標21oのシャープネスである。
【0098】
実際には、第2のテスト画像の視標について2倍の視力低下を得るために、例えば、完全にシャープであるが、10%のコントラストしかない第2の視標22が、採用されてもよい。
【0099】
代替として、そのような視力低下を得るために、第2の視標は、検討される眼を光学的に矯正する球面屈折力よりも+1ジオプトリ高い球面屈折力を有する、不鮮明化レンズを通してそれらが見られているかのように、不鮮明にされつつ100%のコントラストを有し得る。「そのような不鮮明化レンズを通してそれらが見られているかのように」不鮮明化されたそのような視標は、光学シミュレーションを用いて事前計算され得る。そのような数値的光学シミュレーションの間、それらは、例えば、これらの視標から数メートル離れて位置し、Po+1ジオプトリ(例えば、Poは、数十ジオプトリに等しくてもよい)に等しい球面屈折力を有するシミュレーションレンズによって、完全にシャープな視標の画像として取得されてもよく、この画像は、レンズの後方1/Poメートルに位置するシミュレーションスクリーン上に形成されている。
【0100】
第2の視標のコントラスト及び/又はシャープネスレベル(又は等価的には、それらのコントラスト及び/又は不鮮明レベル)を調整する方法に関するさらなる詳細は、得られる視力低下の関数として、以下の文献、C.A.Johnson及びE.J.Cassonによる「Effects of Luminance,Contrast,and Blur on Visual Acuity」、Optometry and Vision Science,January 1996,ページ864~869において、特に本文献の図3及び図4において、見出され得る。
【0101】
第1の視標と第2の視標との間のこのコントラスト/シャープネスの差異を除いて、第1の中央画像21c及び第2の中央画像22cは、ここでは同一(同一サイズ、同一の中央背景25c)である。
【0102】
ここで第2の周辺画像22pに関して、図2の場合、それは、第1の周辺画像21pに完全に同一である。第2の遷移要素22tもまた、第1のテスト画像21の第1の遷移要素21tと同一である。
【0103】
しかしながら、代替として、第1の周辺画像及び第2の周辺画像が互いに非常に類似しているが、それでも、例えば、表現される場面の立体的3Dレンダリングを可能にするために、完全に同一でなくてもよいことに留意されたい。やはり、このような場合、第1の周辺画像及び第2の周辺画像は、それらの間の類似性レベルが所与の閾値よりも高いくらい十分に類似している。
【0104】
類似性のこのレベルは、例えば、第1の周辺画像と第2の周辺画像との間の正規化相関積に等しくてもよく、即ち、第1の周辺画像の自己相関の積の平方根を第2の周辺画像の自己相関によって割った、それらの間の相関積に等しくてもよい。そのような場合、上述した類似性閾値のレベルは、例えば、0.8に等しくてもよい。
【0105】
類似性のレベルは、また、サイズ/形状/色が同一の2つの画像の間で、遠方視の距離で対象によって観察されるときに6°未満の角度偏位として、又は+/-1ジオプトリ未満の差異として、定義され得る。
【0106】
より概略的には、類似性閾値のレベルは、類似性の基準レベルの0.8倍に等しくてもよい。類似性のこの基準レベルが、第1の周辺画像及び第1の画像それ自体の間の類似性レベルであり、(それが第1の周辺画像のみに関係することを除いて)第1の周辺画像及び第2の周辺画像間の類似性のレベルと同一の方式で計算される。
【0107】
代替として、類似性閾値のレベルは、第1の画像とランダム画像との間で計算される類似性のレベルの10倍に等しくてもよい。
【0108】
類似性レベルの許容範囲は、同一の第1の基準画像並びに第1の基準画像及び別の画像とはそれぞれ異なっている、異なる第2の画像を有する2つの画像の連続する組み合わせを対象に示すこと、並びに類似性の特定レベルを第1の基準画像を用いてそれぞれ定義することによって経験的に定義され得る。類似性の許容範囲のレベルの下限は、表現される場面の立体3Dレンダリングを対象が知覚できない類似性の最高レベルに対応する。類似性の許容範囲のレベルの上限は、対象が複視を訴えるであろう、類似性の最低レベルに対応する。
【0109】
第2の組のテスト画像(図5
第2の組のテスト画像は、以下を除いて第1の組のテスト画像と同一である。
- 第2の中央画像52cには、視標が与えられていない。
- 第1の中央画像51c及び第2の中央画像52cは、四角形の代わりに、円形、円盤形である。
- 第1の視標51oは、スネレン文字の代わりに小さな黒い円盤である。これらの円盤は、三角格子を形成するように表示されており、その外観形状は六角形である。
【0110】
第1の視標51oのこのセットは、この第1のテスト画像51が提供される眼の乱視特徴をテストするのによく適している。
【0111】
第3の組のテスト画像(図6
第3の組のテスト画像は、以下を除いてテスト画像の第1の組と同一である。
- 第2の中央画像62cには、視標が与えられていない。
- 第1の視標61cは、第1の組のテスト画像とは異なるスネレン文字、即ち、「R」、「V」、「N」、「O」、及び「S」である。
- 第1の周辺画像61p及び第2の周辺画像62pに表される風景は、第1の組の第1の周辺画像21p及び第2の周辺画像22pに表されるものとは異なる。
【0112】
第1の周辺画像61p及び第2の周辺画像62pに表される風景は、
- 前景のいくつかの木65、
- 画像61pの1つの側のパラグライダ63、
- 湖及び丘、及び
- 水平線における、パラグライダ63とは反対の画像61pの別の側の岬64
を含む。
【0113】
背景は、この場合も、主にいくらかの青空によって構成される。パラグライダは、遠くの岬64に向かって動いているかのように方向付けられている。
【0114】
このような構成は、対象が知覚した画像上に焦点を合わせることを維持する。実際に、そのような場面を見ているとき、対象は、パラグライダを見て、その後パラグライダが辿っているように見える方向、即ち岬64の方を見る傾向にある。したがって、対象は、パラグライダ63から岬64へと風景全体を探索し、戻る傾向にあり、それによって、視点から、対象の注意が効率的に維持される。
【0115】
この第1の周辺画像61pは、ナラティブコンテンツを有する画像の例、即ち、いくつかの要素(ここではパラグライダ63)が明らかに、実際の場面において場面にわたって移動し、及び/又は視点から互いに関連する異なる要素(ここでは、例えば、パラグライダ、湖、及び岬が、パラグライダの移動方向によって互いに関連している)を含む要素である、場面を表現する画像である。
【0116】
例えば、それらが互いに後を辿っているかのように配置され、山の頂上の方に向けられた線を形成する複数の熱気球を含む画像は、豊かなナラティブコンテンツを有する画像である。
【0117】
上述の通り、ナラティブコンテンツを有する画像は、対象に提供される画像に対象が焦点を合わせることを維持する助けとなるため、屈折手順において有用である。
【0118】
さらに、この実施形態では、選ばれる背景は、対象に対して異なる観察深度(図6上において、立体画像の正面から背面へ、前景のいくつかの木65、パラグライダ63、湖及び丘、並びに水平線における岬64、背景としてのいくらかの青空)を暗示する、異なる平面に分割される自然環境を表現している。
【0119】
そのような背景は、異なる要素が異なる平面上に配置されているように見えることによって構成されるために最も自然に見える環境を見ていることから、対象のストレスを低減しようとする。この背景は、不均衡を増大させつつ、異なる平面に分割されており、それによって、単眼深度インデックス及び立体鏡検査が、合致する情報を与える。深度インデックスは、画像を設計する際に検討され、考慮されていた。
【0120】
当然ながら、立体画像の正面から背面へというように、異なる観察平面に分割されるひまわり畑又はラベンダー畑などの他の種類の自然環境が、用いられてもよい。
対象のより近くで知覚される特定のひまわり又はラベンダーの小枝
増大した観察深度に位置するひまわり/ラベンダー畑の異なる部分
ひまわり/ラベンダー畑の中間平面の1つ又は複数の木
異なる観察深度における空中を飛行している1つ又は複数の凧
ラベンダー/ひまわり畑のより深い背景における山脈
背景の青空
【0121】
第4の組のテスト画像(図7
第4の組のテスト画像は、以前の組とは全く異なる。それは、対象の眼の1つに提供される球面屈折矯正の微調整のための、赤緑2色テストを行うことを可能にする。
【0122】
したがって、この第4の組のテスト画像について、第1の中央画像71c及び第2の中央画像72cのそれぞれが、2つの均一な部分を含む中央背景75cを有する。この中央背景75cは、
- 緑で均一に塗り潰された第1の背景部分75c’、及び
- 赤で均一に塗り潰された第2の背景部分75c’
を含む。
【0123】
第2の中央画像72cには、視標が与えられていない。
【0124】
第1の中央画像71cは、スネレン文字、ここでは「H」及び「O」である第1の視標71oを含む。同じ視標が、第1の背景部分75c’上、及び第2の背景部分75c’上に重ね合わされる。したがって、ここでは、「H」が、第1の背景部分75c’上に重ね合わされ、第1のものと同一の別の「H」が、第2の背景部分75c’上に重ね合わされる。
【0125】
視標に関することを除いて、第1中央画像71c及び第2の中央画像72cは、互いに同一である。
【0126】
第1の周辺画像71p及び第2の周辺画像72pは、互いに同一である。それらは、前景にパラグライダ78、背景に湖、丘、及びいくらかの青空を有する風景を表している。パラグライダ78は、翼77、ハンガー、及びパラグライダのパイロットが座っている座席76を含む。
【0127】
第1の周辺画像71pの領域による第1の中央画像71cの領域の比率は、3分の1よりも小さい(且つ、同じことが第2のテスト画像72に適用される)。
【0128】
この第4の組のテスト画像について、第1の周辺画像71pと第1の中央画像71cとの間の遷移要素は、この場合も、中央背景75cの境界71tである。しかし、以前の組のテスト画像とは対照的に、この境界71tは、不鮮明且つ段階的である代わりに、シャープである。
【0129】
しかしながら、中央背景75cの境界71tは、パラグライダ78の翼77の輪郭に合致している。したがって、第1の中央画像71cは、第1の周辺画像に何らかの形で挿入され、第1の周辺画像71に表されている物体(ここでは、完全なパラグライダ78)の一部(ここでは、パラグライダの翼77)の画像を正確に置換する。実際に、この物体78の一部の画像の輪郭は、中央背景75cの境界71tと一致する。
【0130】
第1の中央画像71cは、したがって、第1の周辺画像71pに表される物体78の一部であるように見える。したがって、対象は、主に第1の周辺画像71pによって占められる第1の画像71を全体として知覚し、第1の周辺画像71pは、上述の通り、安定化及びバランス効果を有する。
【0131】
この場合、遷移要素71tによってもたらされる、第1の中央画像71cと第1の周辺画像71pとの間の連続性は、形状の連続性であり、中央背景75c及びパラグライダの翼77は、同一の外形を有し、同一の輪郭すら有している。したがって、この場合、形式上、遷移が連続的である量は、画像要素外形を表す量であり、検討されている画像要素は、第1の中央画像の場合、その背景75cであり、第1の周辺画像の場合、パラグライダの翼77である。これらの画像要素外形を表す量は、例えば、検討される画像要素の輪郭に沿って分布される異なる点の2次元座標のセットであってもよい。
【0132】
第2のテスト画像72において、第2の遷移要素72tは、第1の遷移要素71tと同一である。それは、中央背景75c及びパラグライダの翼77の共通の輪郭72tによって構成される。
【0133】
補足的に、輪郭上だけでなく翼の形状に起因する影を表す翼の内側にも、テクスチャ要素を追加することが可能であり、それによって、周辺画像と中央画像との間のリンクが増大する。
【0134】
第5の組のテスト画像(図8
既に述べた通り、この組のテスト画像について、第1のテスト画像81及び第2のテスト画像82の両方が、対象の視野の異なる部分(81c、82c’)に表示される、少なくとも1つのシャープでコントラストの強い視標81o、82o’(第1のテスト画像81についての「Z C H」、及び第2のテスト画像82についての「S Z D」、図8を参照)を含んで、対象の第1の眼2及び第2の眼3に対してそれぞれ提供される第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正の同時評価を可能にする。
【0135】
より具体的には、第1のテスト画像81は、2つの別個の接続されていない中央画像、即ち、いずれも第1の周辺画像81pによって囲まれる、第1の中央画像81c及び追加の第1の中央画像81c’を含む。また、第2のテスト画像82もまた、2つの別個の接続されていない中央画像、即ち、いずれも第2の周辺画像82pによって囲まれる、第2の中央画像82c及び追加の第2の中央画像82c’を含む。
【0136】
第1のテスト画像と第2のテスト画像とが、(それらのそれぞれのフレームが合致して)互いに重なり合っているとき、第1の中央画像81c及び第2の中央画像82cは、互いに合致し、追加の第1の中央画像81c’及び第2の中央画像82c’もまた、互いに合致している。
【0137】
第1の中央画像81cは、第1のテスト画像81の中央部分の左側に位置し、追加の第1の中央画像81c’は、第1のテスト画像81の中央部分の右側に位置する。
【0138】
第1の組のテスト画像と同様に、第1の中央画像81cは、シャープでコントラストの強い第1の視標81oを含み、第2の中央画像82cは、低下したコントラスト及び/又はシャープネスレベルを有する視標82oを含む。これらの異なる視標のシャープネス及びコントラストは、第1の組のテスト画像内の対応する視標と同一である。これらのコントラスト又はシャープネスを除いて、第1の視標81o及び第2の視標82oは、同一である。それらは、スネレン文字であり、「Z」、「C」、及び「H」を含む。
【0139】
視標のコントラスト/シャープネスを除いて、第1の中央画像81cは、第2の中央画像82cと同一である。それらの背景は、均一で、白く明るい。
【0140】
ここで追加の中央画像81c’、82c’に関して、第2の中央画像82cは、シャープでコントラストの強い(第1の視標81oと同一のシャープネス及びコントラストである)少なくとも1つの追加の第2の視標82o’を含む。また、追加の第1の中央画像81c’は、少なくとも1つの追加の第2の視標82o’のコントラスト又はシャープネスレベルよりも小さなコントラスト又はシャープネスレベルを有する1つ又は複数の追加の第1の視標81o’のみを含む。これらのコントラスト又はシャープネスを除いて、追加の第1の視標81o’及び第2の視標82o’は、同一である。それらは、対応するテスト画像81、82の中で同一の形状、サイズ、位置、及び向きを有する。それらは、スネレン文字であり、「S」、「Z」、及び「D」を含む。
【0141】
視標のコントラスト/シャープネスを除いて、追加の第1の中央画像81c’は、追加の第2の中央画像82c’と同一である。それらの背景は、第1の中央画像81c及び第2の中央画像82cのように、均一で、白く明るい。
【0142】
この組のテスト画像の第1の周辺画像81pは、均一の濃い灰色の背景を有し、より薄い色合いの灰色の、複数の抽象的な三日月形の幾何学図形83、84を含む。第2の周辺画像82pは、第1の周辺画像と同一である。
【0143】
この組のテスト画像の第1の遷移要素81tは、第1の組のテスト画像の遷移要素21tに完全に類似する。それは、第1の中央画像81cを画定する不鮮明で段階的な境界の形式をとる。追加の第1の中央画像81c’もまた、ちょうど第2の中央画像82c及び追加の第2の中央画像82c’のように、そのような不鮮明で段階的な境界によって画定される。
【0144】
この第5の組のテスト画像の変形において、追加の第1の中央画像81c’及び第2の中央画像82cには、視標が与えられていなくてもよい。
【0145】
図面に表されるテスト画像の組の代替物
図面に表される5つの組のテスト画像を提示するとき、特に、第1の組のテスト画像(図2)を提示するときに、異なる代替物については既に説明されている。
【0146】
やはり、本発明による、複数の他の代替的な組のテスト画像が可能である。
【0147】
まず、上述した5つの組のうちの1つの任意の特徴が、テスト画像のこれらの組の別の組に適用され得る。
【0148】
例えば、一体の白い背景を有する中央画像の代わりに、2色テストのための2重の緑/赤の背景を有する中央画像が、第1の組のテスト画像において採用され得る。
【0149】
また、第4の組のテスト画像(図7)において、中央背景の境界は、周辺画像に表される物体の一部の画像の輪郭に合致することに加えて、(図2のように)不鮮明にされてもよい。
【0150】
また、図8のテスト画像において、周辺背景は、例えば(又は逆に)、図2の周辺背景25pによって置換されてもよい。
【0151】
さらに、第2、第3、又は第4の組のテスト画像(図5図6、及び図7)において、第2の中央画像は、これらの第2の視標が、第1の組のテスト画像の第2の視標と同様に、より低いコントラスト又はシャープネスを有することを除いて、検討されるテスト画像の組の第1の視標と同一の、第2の視標を含んでもよい。
【0152】
第2、第3、第4、又は第5の組のテスト画像において、第1の周辺画像及び第2の周辺画像は互いに非常に類似しているが、第1の組のテスト画像について上述した通り、完全に一致していなくてもよい。
【0153】
別の代替物では、視標は、「消失する」タイプのものであってもよい(そのような視標は、低空間周波数を有する成分を除去するために、例えば標準的な黒白視標の空間周波数フィルタリングによって、取得され得る)。そのような場合において、中央背景は、均一な白色である代わりに、均一な灰色である。
【0154】
さらに、上述したそれぞれの組のテスト画像において、一致する代わりに、第1の周辺画像及び第2の周辺画像が、第1のテスト画像及び第2のテスト画像が(それぞれの枠が互いに一致して)互いに重ね合わされるときに、第1の周辺画像のいくつかの要素が、第2の周辺画像の対応する要素に対してわずかに横方向にシフトされて、表現される場面の立体3Dレンダリングを可能にするようであってもよい。より正確には、そのような場合、第1の周辺画像は、それが対象の第1の眼2の位置から見られているときに、実際の場面、物体、又は抽象的な図形を表し、第2の周辺画像は、それが対象の第2の眼3の位置から見られているときに、同一の場面、物体、又は抽象的な図形を表す。
【0155】
そのような立体テスト画像を採用することは、前文において説明した抑制現象を取り除くのに非常に効率的な方法である。実際に、そのようなテスト画像では、対象は、3次元的に場面を知覚しようとする傾向を非常に強く有し、したがって、融合プロセスにおいて左及び右の視覚経路の両方を考慮に入れて(したがって、「抑制現象」を除去して)、この3次元レンダリングを取得する。そのような立体画像が採用されるとき、それらの3次元的性質を考慮に入れるために、それらの類似性のレベルを計算する方法が適合されなければならない。
【0156】
対象の視力の両眼テストのために設計された、これらの組のテスト画像の別の任意選択特性によれば、第1のテスト画像及び第2のテスト画像のうちのそれぞれが、対象4の眼球優位性のレベルに依存する特徴を有する。
【0157】
この特徴は、例えば、第1の周辺画像の領域と第1の中央画像の領域との比であってもよく、この比は、対象の眼球優位性のレベルが高いときに、ますます高くなる。これは、周辺画像に起因するバランス及び安定化効果を増強することを可能にし、対象の眼球優位性以上に強い。
【0158】
他の実施形態では、図面に表されない、第1の中央画像が、中央背景、例えば、均一な背景を有し、第1の周辺画像が、周辺背景、例えば、中央背景とは異なる色又はシェードを有する均一な背景を有し、第1の中央画像と第1の周辺画像との間の遷移要素は、パーチメントステイン(parchment stain)のようなテクスチャ要素を含み、これらのテクスチャ要素は、中央背景に重ね合わされ、且つ周辺背景にも重ね合わされた、ランダムな、又は周期的な格子を共に形成する。
【0159】
そのようなテクスチャ要素の格子は、異なる特徴、テクスチャ要素の(即ち、言い換えると格子のパターンの)形状、向き、及びサイズ、それらの密度、並びにテクスチャの隣接要素間の平均距離によって特徴付けられる。この最後の実施形態では、テクスチャ要素に関連するこれらのテクスチャ特性のうちの少なくとも1つが、第1の周辺画像及び第1の中央画像において同一であるか、又は第1の周辺画像から第1の中央画像へと段階的に変化する。
【0160】
両眼屈折方法
後述する両眼屈折方法のそれぞれは、予備ステップS0を含み、ステップS0の間に、第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正の初期値が判断される。これらの初期値は、対象の眼が光学的に矯正される、即ち、対象がその最大視力又は10/10若しくはそれより高い視力を取得した最適値とはあまり大きな違いはない。
【0161】
第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正のこれらの初期値は、対象の第1の眼2及び第2の眼3の両方が、7/10又はそれより高い視力を有するようであってもよい。
【0162】
これらの屈折方法のそれぞれにおいて、これらの初期値は、開始点の役割を演じる。これらの開始点から、第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正のより精細な値が、後続のステップにおいて判断される。
【0163】
予備ステップS0において、第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正の初期値は、対象の第1の眼2及び第2の眼3の屈折異常に関するデータを取得することによって、制御ユニット8によって判断され得る。これらのデータは、以下であってもよい。
- 対象4に関する以前の屈折処方箋。この処方箋は、例えば、機器1のユーザインタフェースを用いて入力され、リモートサーバからロードされ、対象5の電子健康カード内に読み込まれ、又は対象5によって通常装着される眼鏡レンズから判断される。
- 本明細書で説明される主観的な両眼屈折方法の前に、客観的な屈折手順(偏心的な光屈折手順、又は検討される眼の網膜によって反射される波面の特性を伴う手順など)を実行することによって取得される、対象の第1の眼2及び第2の眼3の屈折異常の予備値。
【0164】
これらの方法のそれぞれにおいて、予備ステップS0の後、球面反射テストが、それぞれの眼に対して(できる限り同時に)行われて、検討される眼の球面屈折異常を矯正するのに適当な等価球Mの値を判断する。ここで、球面屈折テストは、雲霧及びその後の雲霧解除プロセスを含む。球面屈折テストは、検討される方法に応じて(図9図11、及び図13を参照)、ステップS1及びS1’、ステップS1”、又はステップS1’’’において行われる。
【0165】
この球面屈折テストの後、これらの方法のそれぞれが、この眼の乱視を矯正するのに適当なJ0及びJ45パラメータの値などの、対象の眼2、3のそれぞれの乱視特徴を判断するための乱視テストを含む。このテストは、検討される方法に応じて、ステップS2及びS2’、ステップS2”、又はステップS2’’’において行われる。
【0166】
次いで、これらの方法のそれぞれが、対象のそれぞれの眼について、2色テスト又は異なる視力レベルの視標を用いたテストであり得る、以前に判断された等価球Mの値を精密化又は確認するための精密化テストを含む。これらの精密化テストは、検討される方法に応じて、ステップS3及びS3’、ステップS3”、又はステップS3’’’に対応する。
【0167】
ここで説明される屈折方法のそれぞれにおいて、球面屈折テストは、少なくとも以下の(サブ)ステップ:
a)第1の光学ユニット5を用いて第1の屈折矯正を第1の眼2に提供し、第2の光学ユニット6を用いて第2の屈折矯正を第2の眼3に提供するステップ
b)画像表示システム7を用いて、対象の第1の眼2及び第2の眼3に第1のテスト画像21、51、61、71、81及び第2のテスト画像22、52、62、72、82をそれぞれ提供するステップ
c)対象が第1の視標21o、51o、61o、71o、81oを知覚するシャープネスに関する、対象によって提供される少なくとも1つの標識に応じて、第1の光学ユニット5によって提供される第1の屈折矯正を変更するステップ
を含む。
【0168】
概して複数回連続して実行されるステップのこのセットは、第1の屈折矯正の等価球Mを調整することを可能にし、それによって、第1の屈折矯正は、対象の第1の眼2の屈折異常を最適に矯正する屈折矯正に徐々に近づく。
【0169】
当然ながら、類似のステップのセットが、第2の屈折矯正の等価球Mを調整するために、対象の第2の眼3について実行されてもよく、それによって、第2の屈折矯正は、第2の眼3の屈折異常を最適に矯正する屈折矯正に徐々に近づく。
【0170】
乱視テスト又は精密化(2色)テストもまた、そのようなステップのセットを含み得る。
【0171】
既に説明したように、上述したような第1のテスト画像及び第2のテスト画像を対象の第1の眼及び第2の眼にそれぞれ提供することによって、これらの両眼屈折方法の正確性が改善され、適当な屈折処方箋のより迅速な判断が可能となる。
【0172】
主な特徴が上記で提示されている、第1の、第2の、及び第3の屈折方法は、ここで、図9図11、及び図13を参照してより詳細に説明される。
【0173】
第1の屈折方法
第1の屈折方法では、予備ステップS0の後、
- 球面屈折テスト、乱視テスト、及び次いで2色テストが、ステップS1、S2、及びS3のそれぞれにおいて、対象の第1の眼2に対して実行される。続いて、
- 球面屈折テスト、乱視テスト、及び次いで精密化(2色)テストが、ステップS1’、S2’、及びS3’のそれぞれにおいて、対象の第2の眼3に対して実行される。
【0174】
既に述べた通り(両眼テスト画像に関する段落で)、この第1の屈折方法では、対象4の眼2、3には、1つ又は複数のシャープでコントラストの強い視標が知覚され得るテスト画像(第1のテスト画像21など)が1度に1つだけ提供される。
【0175】
したがって、対象の第1の眼2に最適な屈折矯正を判断するために、対象の第1の眼2及び第2の眼3に、
- ステップS1において、図2の第1のテスト画像21及び第2のテスト画像22をそれぞれ、
- ステップS2において、図5の第1のテスト画像51及び第2のテスト画像52をそれぞれ、並びに
- 最後の2色テストについて、ステップS3において、図7の第1のテスト画像71及び第2のテスト画像72をそれぞれ、
提供され得る。
【0176】
次いで、対象の第2の眼3に最適な屈折矯正を判断するために(ステップS1’、S2’、S3’において)、第1のテスト画像及び第2のテスト画像は、シャープでコントラストの強い視標を含むテスト画像を第2の眼に提供するために互いに代用される。3D立体周辺画像の場合において、第1のテスト画像及び第2のテスト画像の中央部分のみが、互いに代用され、又は初期の第1の中央部分及び初期の第2の中央部分に対してそれぞれシャープ/コントラストが異なる、訂正された第1の中央部分及び訂正された第2の中央部分によってそれぞれ置換されて、シャープでコントラストの強い視標を含むテスト画像を第2の眼に提供する。
【0177】
したがって、ステップS1’において、対象の第1の眼2及び第2の眼3には、例えば、図2の第2のテスト画像22及び第1のテスト画像22がそれぞれ提供され得る。
【0178】
ステップS2’において、対象の第1の眼2及び第2の眼3には、図5の第2のテスト画像52及び第1のテスト画像52がそれぞれ提供され得る。ステップS3’において、対象の第1の眼2及び第2の眼3には、図7の第2のテスト画像72及び第1のテスト画像72がそれぞれ提供され得る。
【0179】
図10は、ステップS1において、第1の眼2について行われる、球面屈折テストのいくつかのサブステップを表す。
【0180】
ステップS1の始まりにおいて、制御ユニット8は、第1の光学ユニット5を制御して、第1の眼2に対して雲霧法を行うために、第1の屈折矯正の等価球Mを、予備ステップS0において判断されたこの等価球Mの初期値よりもわずかに高い値、例えば+0.5又は+0.75ジオプトリ高い値に設定する。
【0181】
第2の眼3に提供される第2の屈折矯正の等価球Mは、予備ステップS0において判断されるその初期値に設定されてもよく、又は第2の眼3(ステップS1の間、僚眼である)に雲霧法を行うためにより高い値に設定されてもよい。この段階において、第2の眼には、いずれにしても、シャープに知覚され得る視標を含まないテスト画像が提供されることとなるため、雲霧法又は第2の眼ではないものは、必須ではない。
【0182】
それによって調整される第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正は、ステップa)の最初の実行の間、対象に提供される(図10)。
【0183】
一方で、ステップb)が、実行される。例えば、第1の組のテスト画像の第1のテスト画像21及び第2のテスト画像22が、対象の第2の眼2及び第2の眼3にそれぞれ提供される。
【0184】
次いで、対象は、対象が知覚する大局的画像に存在する視標を対象が知覚するシャープネスに関する標識を提供するように求められる。標識は、対象が第1の視標21oを知覚するシャープネスに対応する。この標識は、対象がそれらをシャープに見る(視標の識別に成功する)かそうでない(視標を識別できない)かをテストするために、対象が見る視標(文字)を識別するように対象に求めることによって非直接的な方法で提供され得る。
【0185】
次いで、この標識に応じて、第1の屈折矯正の等価球Mの値が、ステップc)において修正される。例えば、対象が第1の視標をシャープに知覚しなかったことが分かった場合、この等価球の値は、例えば、0.25又は0.1ジオプトリ減算することによってこの値までわずかに減少される。
【0186】
次いで、対象が、少なくとも10/10の視力に対応するサイズを有する小さな視標を適切に識別することができるまで、ステップa)、b)、及びc)が再び実行される。
【0187】
第2の屈折方法
第2の屈折方法は、第1の屈折方法に極めて類似するが、この第2の屈折方法において、第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正が、第1の屈折矯正のテスト及び調整と第2の屈折矯正のテスト及び調整との間の複数の交替を伴って、交互に調整される。
【0188】
ステップS1及びS1’は、何らかの形で併合されて、ステップS1”を形成する。
【0189】
ステップS1”の始まりにおいて、第1の眼2及び第2の眼3の両方が、ステップS1の始まりにおける第1の眼2のように、わずかに雲霧法が行われる。
【0190】
次いで、第1の屈折矯正の等価球Mは、ステップS1)のように、上述のステップa)、b)、及びc)を1回実行することによってテストされ、調整される。
【0191】
次いで、ステップa)、b’)、及びc’)が実行される(図12)。
【0192】
ステップb’)において、画像表示システム7は、第1の組のテスト画像の第2のテスト画像22を第1の眼2に提供し、この組のテスト画像の第1のテスト画像21を第2の眼3に提供する。
【0193】
また、ステップc’)において、第2の屈折矯正は、対象が第1の視標21oを知覚するシャープネスに関して、対象によって提供される少なくとも1つの標識に基づいて変更される。それは、この状況では、第1の屈折矯正ではなく第2の屈折矯正に依存する(第1のテスト画像が、対象の第2の眼に提供されるため)。
【0194】
次いで、対象が、少なくとも10/10の視力に対応するサイズを有する小さな視標を適切に識別することができるまで、これらの視標が対象の第1の眼又は第2の眼に提供される場合、ステップa)、b)、c)、a)、b’)、c’)を含むステップのグループが繰り返される。
【0195】
同様に、ステップS2”において、第1の屈折矯正の乱視特徴及び第2の屈折矯正の乱視特徴が、第1の屈折矯正の調整と第2の屈折矯正の調整との間の複数の交替を伴う小さなステップによって交互に調整される。
【0196】
この第2の方法の変形において、第1の屈折矯正の調整と第2の屈折矯正の調整との間の交替は、図12の場合よりも少ない頻度であってもよい。例えば、完全な雲霧/雲霧解除プロセスは、第1の眼について行われ、その後第2の眼について行われてもよい。さらに、第1の眼の乱視特徴、その後第2の眼の乱視特徴が、判断され得る。そのような変形では、屈折方法は、ステップS0、ステップS1、ステップS1’、ステップS2、ステップS2’、ステップS3、及びステップS3’をこの順序で含む。
【0197】
第3の屈折方法
既に述べた通り、第3の両眼屈折方法において、対象の第1の眼及び第2の眼に提供される第1のテスト画像81及び第2のテスト画像82の両方が、少なくとも1つのシャープでコントラストの強い(しかし、対象の視野の異なる部分81c、82c’に表示される)視標81o、82o’を含む。したがって、第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正は、対象によって同時に評価され得る。
【0198】
この第3の方法では、ステップS1’’’の始まりにおいて、制御ユニット8は、第1の光学ユニット5を制御して、第1の眼に対して雲霧法を行うために、第1の屈折矯正の等価球Mを、予備ステップS0において判断されたこの等価球の初期値よりもわずかに高い(例えば+0.5又は+0.75ジオプトリ高い)値に設定する。また、同様に、制御ユニット8は、第2の光学ユニット6を制御して、第2の眼に対しても雲霧法を行うために、第2の屈折矯正の等価球Mを、予備ステップS0において判断されたその初期値よりもわずかに高い(例えば+0.5又は+0.75ジオプトリ高い)値に設定する。
【0199】
それによって調整される第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正は、ステップa)の最初の実行の間、対象に提供される(図14)。
【0200】
一方で、ステップb)が、実行される。第5の組のテスト画像の第1のテスト画像81及び第2のテスト画像82(図8)が、対象の第1の眼2及び第2の眼3にそれぞれ提供される。
【0201】
次いで、対象は、対象が知覚する大局的画像の左の部分に存在する視標を対象が知覚するシャープネスに関する標識を提供するように求められる。標識は、対象が第1の視標81oを知覚するシャープネスに対応する(図8参照)。この標識は、対象がそれらをシャープに見る(視標の識別に成功する)かそうでない(視標を識別できない)かをテストするために、対象が見る視標(文字)を識別するように対象に求めることによって非直接的な方法で提供され得る。
【0202】
次いで、この標識に応じて、第1の屈折矯正の等価球Mの値が、(ステップS1について説明された通り)ステップc)において修正される。
【0203】
次いで、対象は、対象が知覚する大局的画像の右の部分に存在する視標を対象が知覚するシャープネスに関する標識を提供するように求められる。標識は、対象が追加の第2の視標82o’を知覚するシャープネスに対応する。この標識は、上記で説明された通り、非直接的な方法で提供され得る。
【0204】
次いで、この標識に応じて、第2の屈折矯正の等価球Mの値が、ステップc’)において修正される。
【0205】
次いで、対象が知覚する画像の左部分及び右部分の両方において、対象が、少なくとも10/10の視力に対応するサイズを有する小さな視標を適切に識別することができるまで、ステップa)、b)、c)及びc’)を含むステップのセットが、再び、おそらく複数回実行される。
【0206】
ステップS2’’’は、それが、ステップS1’’’の終わりで得られる第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正で開始すること、及び採用される視標が文字ではなく、(図5の視標のような)乱視特徴をテストするのに適当な視標であることを除いて、ステップS1’’’に類似である。
【0207】
ステップS3’’’は、ステップS2’’’の終わりで得られる第1の屈折矯正及び第2の屈折矯正で開始し、図7のように精密化(2色)テストに適当な中央画像を用いて行われる。
【0208】
本発明による、これらの方法の複数の代替が可能である。例えば、これらの方法のそれぞれが、上述したテスト、即ち、球面屈折テスト、乱視テスト、及び精密化(2色)テストのうちの1つだけを、これらのテスト全ての代わりに含んでもよい。
【0209】
本開示の機器内で用いられる屈折測定方法及び画像が、対話型要素又はステップを用いてもよい。説明プロセス全体が、ナラティブストーリを構築するためにつながり得る。キーボード又はパッドが、対象の回答を入力するため、又は対象が望む場合に対象が前の場面に戻ることを可能にするために使用されてもよい。標識は、屈折検査プロセスの前進の度合をグラフィック表示するために使用され得る。遷移ビデオは、対象の快適性を改善し、対象の注意を維持することを助け、検査プロセスの楽しいコンテンツを追加しつつ、屈折検査プロセスの前進の度合をグラフィック表示するために、2つの連続的なテストの間の屈折検査プロセスの様々な時間において組み込まれ得る。その結果、そのようなビデオは、ビデオ進捗としてだんだん目に見える水平線と共に、海上を前進するボートを表示してもよい。このイラストレーションは、波の音を伴っている。各ビデオは、5秒間続く。波の音及び海上を移動するボートを示すビデオは、それらが自然の要素であることから、選択された。それらは、対象をリラックスさせ、彼らのストレスを低減し、彼らの注意を再び引き込むことを目的とする。進捗バーは、また、検査の現在の段階を対象に示すために、ビデオ上に見えている。これによって、対象の快適性を改善し、彼らが注意を維持することを助け、愉快で楽しいコンテンツを追加するために、検査に対して進捗の要素を追加することが可能となる。加えて、検査のどのレベルが未決定であるか、及び残りのステップ数を知ることは、彼らに残りの時間の認識を与え、それによって、集中を容易にする。対象から注意、協力、及びテストの理解(質問/回答)、並びに上記全てを得て、対象が視覚検査の間ストレスを受けていないことを確認するために、テストに関する説明及び/又はテストを説明する遊び心のある素晴らしいストーリーテリング、並びにテスト中に示されるいくつかの物体に対する焦点合わせ(テストのような宝探し)が、テストの開始時に与えられてもよい。
【符号の説明】
【0210】
1 両眼屈折機器
2 第1の眼
3 第2の眼
4 対象
5 第1の光学ユニット
6 第2の光学ユニット
7 画像表示システム
8 制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14