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特許7491957音量制御支援システム及び音量制御支援方法並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】音量制御支援システム及び音量制御支援方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240521BHJP
   H04M 3/56 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H04L12/28 500C
H04M3/56 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022001032
(22)【出願日】2022-01-06
(65)【公開番号】P2023100389
(43)【公開日】2023-07-19
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】白川 貴久
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-129388(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076919(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04M 3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子機器のスピーカから出力される音データを送信するスピーカ管理部と、
第2電子機器が備えるマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する判定部と、
前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定された場合に、前記第1電子機器のスピーカの音量低下を要求するための音量低下要求を送信する調停部と、
複数の電子機器の各々について優先度を決定するための要素情報を取得する要素情報取得部
を備え、
前記調停部は、要素情報と優先度とが関連付けられた優先度情報を用いて、前記第1電子機器の優先度と前記第2電子機器の優先度とを比較し、前記第2電子機器の優先度が前記第1電子機器の優先度よりも高い場合に、前記第1電子機器に対して音量低下要求を送信する音量制御支援システム。
【請求項2】
前記優先度情報には、時間帯に応じた前記要素情報の優先度が登録されている請求項に記載の音量制御支援システム。
【請求項3】
前記要素情報は、アクティブ化されているアプリケーションの情報である請求項又はに記載の音量制御支援システム。
【請求項4】
前記要素情報は、ユーザ情報である請求項又はに記載の音量制御支援システム。
【請求項5】
第1電子機器のスピーカから出力される音データを送信するスピーカ管理部と、
第2電子機器が備えるマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する判定部と、
前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定された場合に、前記第1電子機器のスピーカの音量低下を要求するための音量低下要求を送信する調停部と
を具備し、
前記第2電子機器は、特定のアプリケーションがアクティブになっている電子機器である音量制御支援システム。
【請求項6】
第1電子機器のスピーカから出力される音データを送信するスピーカ管理部と、
第2電子機器が備えるマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する判定部と、
前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定された場合に、前記第1電子機器のスピーカの音量低下を要求するための音量低下要求を送信する調停部と
を具備し、
前記スピーカ管理部は、規定音量以上の音データを送信する音量制御支援システム。
【請求項7】
マイクと、
他の電子機器のスピーカから出力される音データを受信する通信部と、
前記マイクに入力された音データと、受信した音データとを照合することにより、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたか否かを判定する判定部と
を備え、
スピーカと、
前記スピーカから出力する音データを他の電子機器へ送信するスピーカ管理部と
を備え
前記通信部は、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたと判定された場合に、他の電子機器のスピーカの音量を下げるための音量低下要求を送信する電子機器。
【請求項8】
マイクと、
他の電子機器のスピーカから出力される音データを受信する通信部と、
前記マイクに入力された音データと、受信した音データとを照合することにより、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたか否かを判定する判定部と
を備え、
前記通信部は、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたと判定された場合に、他の電子機器のスピーカの音量を下げるための音量低下要求を送信し、
音量低下要求を受信した場合に、音量を低下させる電子機器。
【請求項9】
音量低下要求を受信した場合に、音量を低下させるためのメッセージを通知する請求項に記載の電子機器。
【請求項10】
マイクと、
他の電子機器のスピーカから出力される音データを受信する通信部と、
前記マイクに入力された音データと、受信した音データとを照合することにより、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたか否かを判定する判定部と
を備え、
前記通信部は、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたと判定された場合に、他の電子機器のスピーカの音量を下げるための音量低下要求を送信し、
音量低下要求を受信した場合に、予め設定されたイヤホン又はヘッドホンへの音声出力に切り替える電子機器。
【請求項11】
コンピュータを請求項から1のいずれかに記載の電子機器として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
第1電子機器のスピーカから出力される音データを受信する工程と、
第2電子機器に設けられたマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する工程と、
前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定した場合に、前記第1電子機器のスピーカから出力される音量を下げるための所定の情報を送信する調停工程と、
複数の電子機器の各々について優先度を決定するための要素情報を取得する工程と
をコンピュータが実行し、
前記調停工程は、要素情報と優先度とが関連付けられた優先度情報を用いて、前記第1電子機器の優先度と前記第2電子機器の優先度とを比較し、前記第2電子機器の優先度が前記第1電子機器の優先度よりも高い場合に、前記第1電子機器に対して音量低下要求を送信する音量制御支援方法。
【請求項13】
第1電子機器のスピーカから出力される音データを受信する工程と、
第2電子機器が備えるマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する工程と、
前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定された場合に、前記第1電子機器のスピーカの音量低下を要求するための音量低下要求を送信する工程と
をコンピュータが実行し、
前記第2電子機器は、特定のアプリケーションがアクティブになっている電子機器である音量制御支援方法。
【請求項14】
第1電子機器のスピーカから出力された、規定音量以上の音データを受信する工程と、
第2電子機器が備えるマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する工程と、
前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定された場合に、前記第1電子機器のスピーカの音量低下を要求するための音量低下要求を送信する工程と
をコンピュータが実行する音量制御支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量制御支援システム及び音量制御支援方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレワークを行う機会が増加し、これに伴いビデオ会議も頻繁に行われている(例えば、特許文献1参照)。ビデオ会議を行っている際、周囲の音(例えば、テレビの音など)をマイクが拾ってしまうと、発話の内容が相手に伝わりにくく、会議に支障をきたす可能性がある。このため、ビデオ会議を行う勤務者は、例えば、テレビを見ている家族に対して音量をなるべく下げるようにお願いしてから、ビデオ会議を開始する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-109954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リモートワークの増加により、勤務者が家族へ音量制御に関する声がけを行う機会が増えており、勤務者及び家族の負担が大きくなっている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電子機器間の音の干渉に関するユーザの負担を軽減できる音量制御支援システム及び音量制御支援方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様は、第1電子機器のスピーカから出力される音データを送信するスピーカ管理部と、第2電子機器が備えるマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する判定部と、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定された場合に、前記第1電子機器のスピーカの音量低下を要求するための音量低下要求を送信する調停部と、複数の電子機器の各々について優先度を決定するための要素情報を取得する要素情報取得部とを具備し、前記調停部は、要素情報と優先度とが関連付けられた優先度情報を用いて、前記第1電子機器の優先度と前記第2電子機器の優先度とを比較し、前記第2電子機器の優先度が前記第1電子機器の優先度よりも高い場合に、前記第1電子機器に対して音量低下要求を送信する音量制御支援システムである。
本発明の他の一態様は、第1電子機器のスピーカから出力される音データを送信するスピーカ管理部と、第2電子機器が備えるマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する判定部と、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定された場合に、前記第1電子機器のスピーカの音量低下を要求するための音量低下要求を送信する調停部とを具備し、前記第2電子機器は、特定のアプリケーションがアクティブになっている電子機器である音量制御支援システムである。
本発明の他の一態様は、第1電子機器のスピーカから出力される音データを送信するスピーカ管理部と、第2電子機器が備えるマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する判定部と、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定された場合に、前記第1電子機器のスピーカの音量低下を要求するための音量低下要求を送信する調停部とを具備し、前記スピーカ管理部は、規定音量以上の音データを送信する音量制御支援システムである。
【0007】
本発明の第二態様は、マイクと、他の電子機器のスピーカから出力される音データを受信する通信部と、前記マイクに入力された音データと、受信した音データとを照合することにより、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたか否かを判定する判定部と、スピーカと、前記スピーカから出力する音データを他の電子機器へ送信するスピーカ管理部とを備え、前記通信部は、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたと判定された場合に、他の電子機器のスピーカの音量を下げるための音量低下要求を送信する電子機器である。
本発明の他の一態様は、マイクと、他の電子機器のスピーカから出力される音データを受信する通信部と、前記マイクに入力された音データと、受信した音データとを照合することにより、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたか否かを判定する判定部とを備え、前記通信部は、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたと判定された場合に、他の電子機器のスピーカの音量を下げるための音量低下要求を送信し、音量低下要求を受信した場合に、音量を低下させる電子機器である。
本発明の他の一態様は、マイクと、他の電子機器のスピーカから出力される音データを受信する通信部と、前記マイクに入力された音データと、受信した音データとを照合することにより、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたか否かを判定する判定部とを備え、前記通信部は、他の電子機器のスピーカから出力された音が前記マイクに入力されたと判定された場合に、他の電子機器のスピーカの音量を下げるための音量低下要求を送信し、音量低下要求を受信した場合に、予め設定されたイヤホン又はヘッドホンへの音声出力に切り替える電子機器である。
【0008】
本発明の第三態様は、コンピュータを上記電子機器として機能させるためのプログラムである。
【0009】
本発明の第四態様は、第1電子機器のスピーカから出力される音データを受信する工程と、第2電子機器に設けられたマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する工程と、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定した場合に、前記第1電子機器のスピーカから出力される音量を下げるための所定の情報を送信する調停工程と、複数の電子機器の各々について優先度を決定するための要素情報を取得する工程とをコンピュータが実行し、前記調停工程は、要素情報と優先度とが関連付けられた優先度情報を用いて、前記第1電子機器の優先度と前記第2電子機器の優先度とを比較し、前記第2電子機器の優先度が前記第1電子機器の優先度よりも高い場合に、前記第1電子機器に対して音量低下要求を送信する音量制御支援方法である。
本発明の他の態様は、第1電子機器のスピーカから出力される音データを受信する工程と、第2電子機器が備えるマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する工程と、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定された場合に、前記第1電子機器のスピーカの音量低下を要求するための音量低下要求を送信する工程とをコンピュータが実行し、前記第2電子機器は、特定のアプリケーションがアクティブになっている電子機器である音量制御支援方法である。
本発明の他の態様は、第1電子機器のスピーカから出力された、規定音量以上の音データを受信する工程と、第2電子機器が備えるマイクに入力された音データと、前記第1電子機器から受信した音データとを照合することにより、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたか否かを判定する工程と、前記第1電子機器のスピーカから出力された音が前記第2電子機器のマイクに入力されたと判定された場合に、前記第1電子機器のスピーカの音量低下を要求するための音量低下要求を送信する工程とをコンピュータが実行する音量制御支援方法である。
【0010】
本発明の参考例としての一態様は、複数の電子機器の各々についてアクティブにされているアプリケーションの情報を取得するアプリケーション監視部と、特定のアプリケーションがいずれかの前記電子機器においてアクティブ化された場合に、前記特定のアプリケーションがアクティブ化された電子機器以外の電子機器に対して音量を低下させるための音量低下要求を送信する調停部とを具備する音量制御支援システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子機器間の音の干渉に関するユーザの負担を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る音量制御支援システムのシステム構成を概略的に示したシステム構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電子機器のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電子機器が備える音量制御支援に関する機能の一例を示した機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る音量制御支援装置が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る音量制御支援システム及び音量制御支援方法並びにプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、音量制御支援システム1のシステム構成を概略的に示したシステム構成図である。図1に示すように、ネットワーク7には、複数の電子機器10(10a、10b)及び音量制御支援装置30が接続されている。本実施形態では、電子機器10の一例として、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置を例示して説明する。
以下において、電子機器10a、10bをそれぞれ区別する必要がある場合には、電子機器10a、10bと称し、区別する必要がない場合には、単に電子機器10と称する。また、図1には2台の電子機器10が示されているが、電子機器10の台数は一例であり、図1に示した台数に限定されない。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態に係る電子機器10のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。図2に示すように、電子機器10は、CPU(Central Processing Unit)11、メインメモリ12、記憶部13、通信インターフェース14、スピーカ15、マイク16、入力デバイス17、ディスプレイ18、カメラ19などを備えている。これら各部は直接的にまたはバスを介して間接的に相互に接続されており互いに連携して各種処理を実行する。
【0016】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された記憶部13に格納されたOS(Operating System)により電子機器10全体の制御を行うとともに、記憶部13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。
【0017】
メインメモリ12は、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0018】
記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等であり、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の電子機器10全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア及び各種データやファイル等を格納する。また、記憶部13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。
【0019】
通信インターフェース14は、例えば、3GやLTE、5G回線を含むワイヤレスネットワークや、有線/無線LAN、Bluetooth(登録商標)等のネットワークに接続し、他のデバイスとの通信を確立させ、情報の相互通信を実現させる。
【0020】
スピーカ15、マイク16、入力デバイス17、ディスプレイ18、カメラ19については周知の構成であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0021】
音量制御支援装置30は、いわゆるコンピュータであり、上述した電子機器10と同様に、CPU、メインメモリ、記憶部、通信インターフェースなどを備えている。
【0022】
次に、本実施形態に係る音量制御支援システム1が有する音量制御支援機能の一例について図を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係る電子機器10が備える音量制御支援に関する機能の一例を示した機能ブロック図、図4は、本実施形態に係る音量制御支援装置30が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。
【0023】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で各電子機器10及び音量制御支援装置30が備える記憶部などに記憶されており、このプログラムをCPUがメインメモリに読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、記憶部に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0024】
図3に示されるように、電子機器10aは、例えば、スピーカ管理部21a、判定部22a、アプリ監視部23a、通信部24aを備えている。また、電子機器10bは、電子機器10aと同様に、スピーカ管理部21b、判定部22b、アプリ監視部23b、通信部24bを備えている。なお、スピーカ15、マイク16については、電子機器10aが備えるものについてはスピーカ15a、マイク16aと称し、電子機器10bが備えるものについてはスピーカ15b、マイク16bと称する。
以下、電子機器10aが備える各部について主に説明し、電子機器10bについては同様の構成のため説明を省略する。
【0025】
スピーカ管理部21aは、スピーカ15aから出力される音データを通信部24aを介して送信する。例えば、スピーカ管理部21aは、スピーカ15aから出力される音データを予め設定されている他の電子機器10bに対して送信する。なお、この例に代えて、音データは、所定のネットワーク(例えば、自宅の無線LAN)に接続されている全ての電子機器10に対してブロードキャストされてもよい。
音データは、スピーカ15aから出力された後の音データでもよいし、スピーカ15aから出力される前の音データであってもよい。
【0026】
スピーカ管理部21aは、全ての音データでなく、所定の条件を満たす音データに限って送信するようにしてもよい。例えば、送信する音データは、音量が規定音量以上である音区間の音データのみに限定してもよい。具体的には、スピーカ管理部21aは、スピーカ15aから規定音量以上の音が出力された場合に、その音データを送信することとしてもよい。これにより、送信する音データのデータ量を削減することができる。規定音量は、例えば、所定距離離れた場所でもスピーカ15aからの音が聞こえるような音量に設定されている。なお、スピーカ管理部21aが送信する音データは、スピーカ15aから出力される音のデータであり、ヘッドホンやイヤホンに音を出力している場合には、音データは送信されない。このような場合、ヘッドホンやイヤホンからの音が電子機器10bのマイク16bによって拾われるようなことは、考えにくいからである。
更に、スピーカ管理部21aは、後述するように、通信部24aを介して音量低下要求を受信した場合に、スピーカ15aの音量を低下させる。例えば、スピーカ管理部21aは、スピーカ15aの音量を規定音量未満に低下させる。
【0027】
判定部22aは、マイク16aに入力された音データと、通信部24aを介して電子機器10bから受信した音データとを照合することにより、電子機器10bのスピーカ15bから出力された音がマイク16aに入力されたか否かを判定する。なお、マイク16aと判定部22aの間に、人間の音声以外のノイズを除去するフィルターなどを設けてもよい。
【0028】
判定部22aは、電子機器10bのスピーカ15bから出力された音がマイク16aに入力されたと判定した場合には、音の干渉が生じていると判定し、電子機器10bのスピーカ15bの音量を下げるための音量低下要求を通信部24aを介して音量制御支援装置30に送信する。このように、マイク16aに入力された音データと、他の電子機器10bから受信した音データとを照合することにより、電子機器10bから出力された音がマイク16aに入力されているのかを確認することができ、適切な音量制御を行うことが可能となる。特に、3台以上の電子機器10が接続されている場合、どの電子機器から出力された音がマイクに入力されたのかを特定することができる。これにより、音の干渉が生じている電子機器10の音量のみを低下させることが可能となる。
【0029】
アプリ監視部23aは、アクティブになっているアプリケーションの情報を所定のタイミングで音量制御支援装置30に送信する。所定のタイミングの一例として、アクティブであるアプリケーションが切り替えられたとき、所定の時間間隔、判定部22aによって音の干渉が生じていると判定されたときなどが挙げられる。
【0030】
図4に示すように、音量制御支援装置30は、例えば、要素情報取得部31、調停部32、及び通信部33を備えている。
要素情報取得部31は、複数の電子機器10の各々について優先度を決定するための要素情報を取得する。具体的には、要素情報取得部31は、各電子機器10a、10bのアプリ監視部23a、23bから出力されたアプリケーションの情報を取得する。なお、本実施形態では、要素情報として、各電子機器10においてアクティブになっているアプリケーションの情報を用いる場合を例示して説明するが、この例に限定されない。要素情報は、例えば、ユーザ情報であってもよい。
【0031】
調停部32は、例えば、各電子機器10についてアプリケーションの優先度が登録されている優先度情報を用いて、各電子機器10においてアクティブとされているアプリケーションの優先度を比較する。例えば、優先度情報には、アプリケーションとその優先度とが関連付けられて登録されている。また、優先度は、時間帯に応じて設定されていてもよい。優先度は、例えば、複数のレベルで表され、最も高い優先度はレベル5とされ、レベルが低くなるほど、優先度が低くなるように設定されていてもよい。
【0032】
要素情報として、アクティブとされているアプリケーションの情報を採用する場合、音の干渉が好ましくないアプリケーションについては、高い優先度が設定される。例えば、ビデオ会議に関するアプリケーションには、最も高い優先度レベル「5」が設定されている。なお、アプリケーションの優先度は、ユーザが適宜カスタマイズできるようにしてもよい。また、優先度の設定手法については、上記例に限定されず、様々な公知の手法を適用することが可能である。
【0033】
調停部32は、例えば、電子機器10aから音量低下要求を受信した場合に、電子機器10a、10bでアクティブとなっているアプリケーションの優先度を優先度情報から取得し、取得した優先度を比較する。この結果、電子機器10aの優先度が電子機器10bの優先度よりも高い場合には、電子機器10bに対して、音量低下要求を送信する。これにより、電子機器10bでは、スピーカ15bの音量を下げる制御がスピーカ管理部21bによって行われることとなる。また、逆に、調停部32は、電子機器10bから音量低下要求を受信した場合には、電子機器10a、10bでアクティブとなっているアプリケーションの優先度を比較し、電子機器10bの優先度が電子機器10aの優先度よりも高い場合に、電子機器10aに対して音量低下要求を送信する。
【0034】
次に、本実施形態に係る音量制御支援システム1によって実行される音量制御支援方法について、例を挙げて具体的に説明する。以下、説明の便宜上、例えば、電子機器10aにおいて、ビデオ会議のアプリケーションがアクティブとされており、電子機器10bにおいて、ゲームのアプリケーションがアクティブとされている場合を例示して説明する。ここで、優先度情報において、ビデオ会議のアプリケーションには、ゲームのアプリケーションよりも高い優先度が登録されている。
【0035】
例えば、電子機器10b(第1電子機器)のスピーカ15bから規定音量以上の音が出力された場合、電子機器10bから電子機器10a(第2電子機器)に対して音データが送信される。電子機器10aは、音データを受信すると、音の干渉が生じているか否かを判定する。すなわち、電子機器10aは、マイク16aに入力された音データと、通信部24aを介して受信した電子機器10bからの音データとを照合することにより、電子機器10bのスピーカ15bから出力された音がマイク16aに入力されているか否かを判定する。この結果、音の干渉が生じている場合には、電子機器10aは、音量低下要求を音量制御支援装置30に送信する。
【0036】
音量制御支援装置30は、電子機器10a、10bにおいて現在アクティブになっているアプリケーションの情報を取得し、優先度を比較する。この結果、電子機器10aでは、ビデオ会議のアプリケーションがアクティブとされており、これは電子機器10bでアクティブとされているゲームのアプリケーションよりも優先度が高いため、音量制御支援装置30は、電子機器10bに対して音量低下要求を送信する。
【0037】
電子機器10bは、音量低下要求を受信すると、例えば、スピーカ15bの音量を規定音量未満に下げる制御を行う。これにより、音の干渉が自動的に抑制され、電子機器10aのユーザは、電子機器10bからの音をあまり気にすることなく、ビデオ会議を行うことができる。また、アプリ毎に音量調整できる電子機器の場合、当該アプリの音量のみを低下させてもよい。このようにすることで、例えば、電子機器10bのゲームアプリケーションの音量を下げつつ、当該電子機器で優先度の高いアプリケーションの音量が低すぎ、例えば電話アプリの着信音に気づかないなどの不利益を解消することが可能となる。
【0038】
なお、上記例では、電子機器10bからスピーカ15bの音データを送信する場合について説明したが、この逆も成立する。すなわち、電子機器10aのスピーカ15aから規定音量以上の音が出力された場合には、電子機器10aから電子機器10bに対して音データが送信されることとなる。この場合において、音の干渉が発生すると電子機器10bにおいて判定された場合には、上記と同様に、電子機器10a、10bにおいてアクティブとされているアプリケーションの優先度に応じて、電子機器10aへの音量低下要求の送信の要否が判定されることとなる。
【0039】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る音量制御支援システム1及び音量制御支援方法並びにプログラムによれば、例えば、電子機器10aは、他の電子機器10bのスピーカ15bから出力される音データを受信する通信部24aと、マイク16aに入力された音データと、受信した音データを照合することにより、音の干渉が発生しているか否かを判定する判定部22aを備えている。これにより、マイク16aに入力された音に、電子機器10bのスピーカ15bから出力された音が含まれているか否かを判定することができる。
【0040】
そして、音の干渉が生じている場合には、音量制御支援装置30の調停部32において、優先度情報を用いた電子機器10a、10bの優先度の比較が行われ、電子機器10aの優先度が高い場合には、スピーカ音量を低下させるための音量低下要求が電子機器10bに送信される。これにより、電子機器10aの優先度が電子機器10bの優先度よりも高かった場合には、電子機器10bの音量が自動的に下げられる。これにより、ビデオ会議を行う際の家族への声掛け頻度を低減することが可能となり、電子機器間の音の干渉に関するユーザの負担を軽減することができる。
【0041】
また、優先度情報には、優先度が時間帯に応じて設定されていることにより、より細やかな音量制御を行うことが可能となる。
【0042】
なお、上記実施形態においては、電子機器10a、10bとしてノートPCなどの情報処理装置を例示して説明したが、この例に限定されない。例えば、電子機器10の他の例として、オーディオ機器、ゲーム機、テレビ、ラジオ等が一例として挙げられる。また、電子機器10は、家庭内に設置されているIoT(Internet of Things)機器などであってもよい。その場合、電子機器10aのスピーカ15aの音データを送信する手段は、電子機器10a内にある必要はなく、テレビ等の傍に設置されたマイク等から成る手段でも良い。また、音量を制御する手段は赤外線リモコン等などの手段でも良い。
【0043】
また、IoTデバイスを電子機器10とする場合には、優先度情報には、IoTデバイスの属性に関連付けた優先度が登録されている。また、IoTデバイスは、アプリ監視部23a、23bに代えて、動作状態(電源オン/電源オフ)を示す情報を監視する動作監視部を備えていてもよい。例えば、IoTデバイスがテレビであった場合、テレビは、動作状態を監視し、その動作状態と自己の識別情報(テレビである旨の情報)を音量制御支援装置30に送信すればよい。
【0044】
また、上述した音量制御支援装置30は、専用のサーバとして設置されている他、例えば、複数の電子機器10のいずれか一つに搭載されていてもよいし、家庭内LANのルータに搭載されていてもよい。また、電子機器10にIoTデバイスが含まれている場合には、音量制御支援装置30は、IoTゲートウェイ(IoTデバイスと遠隔サーバ(クラウドサーバ)との情報のやり取りを行うための中継点(例えば、ルータ))に設置されていてもよい。このように、音量制御支援装置30の設置又は搭載場所については特に限定されない。
【0045】
また、上記実施形態では、音量低下要求を受信した電子機器10は、自動的に音量を低下させる制御を行っていたが、この例に限定されない。すなわち、音量低下要求を受信した場合に行うアクションは上記例に限定されない。例えば、音量をユーザに下げさせるためのメッセージを通知したり、予め設定されたイヤホン又はヘッドホンへの音声出力に自動的に切り替えるようにしてもよい。更にこの場合には、音声出力先を切り替えた旨をユーザに通知することとしてもよい。
【0046】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0047】
例えば、上述の実施形態では、判定部22a、22bが各電子機器10に設けられていたが、この例に限定されない。例えば、音量制御支援装置30が判定部22a、22bの機能を有することとしてもよい。
【0048】
また、いずれかの電子機器10において、特定のアプリケーション(例えば、ビデオ会議に関するアプリケーション)がアクティブにされている期間に限って、スピーカ管理部21a、21bが、上述のように音データを送信するようにしてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態に係る電子機器10において、スピーカ管理部21a、21bによる音データの送信処理、及び判定部22a、22bによる判定処理を省略してもよい。例えば、音量制御支援装置30において、複数の電子機器10の各々についてアクティブにされているアプリケーション情報を監視し、特定のアプリケーション(例えば、ビデオ会議に関するアプリケーション)がいずれかの電子機器10でアクティブになった場合に、上述した音の干渉が発生しているか否かにかかわらず、その電子機器10以外の電子機器に対して音量を低下させるための音量低下要求を送信するような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 :音量制御支援システム
7 :ネットワーク
10、10a、10b :電子機器
11 :CPU
12 :メインメモリ
13 :記憶部
14 :通信インターフェース
15、15a、15b :スピーカ
16、16a、16b :マイク
17 :入力デバイス
18 :ディスプレイ
19 :カメラ
21a、21b :スピーカ管理部
22a、22b :判定部
23a、23b :アプリ監視部
24a、24b、33 :通信部
30 :音量制御支援装置
31 :要素情報取得部
32 :調停部
図1
図2
図3
図4