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特許7491966AIM2タンパクの活性を抑制する化合物を含有する乾癬病に使用するための医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】AIM2タンパクの活性を抑制する化合物を含有する乾癬病に使用するための医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4184 20060101AFI20240521BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240521BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240521BHJP
【FI】
A61K31/4184
A61P17/06
C12N15/12 ZNA
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022095986
(22)【出願日】2022-06-14
(65)【公開番号】P2023154372
(43)【公開日】2023-10-19
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】202210355367.X
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521557687
【氏名又は名称】孫 良丹
【氏名又は名称原語表記】SUN Liangdan
【住所又は居所原語表記】218 Jixi Road, Shushan District, Hefei City, Anhui Province 230022, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】孫 良丹
(72)【発明者】
【氏名】甄 ▲き▼
(72)【発明者】
【氏名】李 報
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113855807(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115414483(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4184
A61P 17/06
C12N 15/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
AIM2タンパクの活性を抑制する化合物を含有する乾癬病の治療使用するための医薬組成物であって、前記化合物は、式Iで表される構造を有する化合物である
【化1】
ことを特徴とする医薬組成物
【請求項2】
前記化合物は薬用塩の形式で存在することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
乾癬治療用薬品の製造におけるAIM2タンパク活性の抑制剤の使用であって、前記抑制剤は、式Iで表される構造を有する化合物を含む
【化2】
ことを特徴とする乾癬治療用薬品の製造におけるAIM2タンパク活性の抑制剤の使用。
【請求項4】
前記抑制剤は、乾癬病の病変組織のAIM2タンパク活性を抑制する薬品であることを特徴とする請求項に記載の乾癬治療用薬品の製造におけるAIM2タンパク活性の抑制剤の使用。
【請求項5】
前記化合物は薬用塩の形式で存在することを特徴とする請求項3または4に記載の乾癬治療用薬品の製造におけるAIM2タンパク活性の抑制剤の使用。
【請求項6】
前記AIM2タンパク活性の抑制剤は、カプセル、錠剤、経口製剤、マイクロカプセル製剤、注射流体、坐薬、噴霧剤または軟膏剤であることを特徴とする請求項3に記載の乾癬治療用薬品の製造におけるAIM2タンパク活性の抑制剤の使用。
【請求項7】
前記AIM2タンパク活性の抑制剤は、カプセル、錠剤、経口製剤、マイクロカプセル製剤、注射流体、坐薬、噴霧剤または軟膏剤であることを特徴とする請求項6に記載の乾癬治療用薬品の製造におけるAIM2タンパク活性の抑制剤の使用。
【請求項8】
薬物組成物であって、前記薬物組成物は、乾癬病を治療することに用いられ、且つ少なくとも、化合物、薬用キャリアと/或いは稀釈剤を含み、前記化合物は、式Iで表される構造を有する化合物である
【化3】
ことを特徴とする乾癬病の治療に用いられる薬物組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク抑制薬品の技術分野に属し、具体的に、IM2タンパクの活性を抑制する化合物の乾癬病の治療薬物としての使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乾癬病(psoriasis)は、世界的病気であり、治療しにくく、発病率が高い炎症性皮膚病であり、現在の医療技術でそれを完全に治療することができない。乾癬病を治療する臨床治療方法は多いが、多数は免疫システムを幅広く抑制することにより病症を緩和する。例えば、ホルモン及び免疫抑制剤(Immunosuppressant)を用いるとともに物理的治療方法及び漢方薬を使用する。広域スペクトルの治療方法は、対症治療(Symptomatic treatment)の効果がよくなく、病気が再び発病するか或いは他のシステムに影響を与えるおそれがある。近年、乾癬病の効率的な治療方法により受来の治療方法の欠点を解決することができるが、現在の生物学的薬剤(biological agents)は、多数が乾癬病の炎症経路の下流の奏効因子、例えばIL-17、TNF-αとIL-23等に影響を与えることにより乾癬病の表現形を除去する。
【0003】
従来の治療方法と比較してみると、一定の時間内において、生物学的製剤は、乾癬病の治療の効率を増加させ、薬品の飲用の間隔を延長させ、コンプライアンス(compliance)を増加させることができる。しかしながら、生物学的製剤も従来の治療方法の欠点を有している。乾癬病の治療に向く市販の生物学的製剤は、依然として、下流の奏効分子のエフィシェンシーをブロックすることにより表現形を低減する対症治療方法であり、生物学的製剤の飲用を半年以上停止させると、乾癬病が再び発病するリスクが大幅に増加する。また、生物学的製剤は、値段が高く、それを長時間飲む必要があり、治療の効果が低下すると複数の生物学的製剤を一緒に飲む必要があるので、患者に大きい経済的負担を与える。
【0004】
以上のとおり、従来の乾癬病の治療薬品を広域スペクトルの免疫調節薬品とターゲット式薬品に分けることができる。広域スペクトルの免疫調節薬品は長期的効果がよくないという欠点を有しており、生物学的製剤であるターゲット式薬品は従来の薬品の欠点を解決することができるが、生物学的製剤は値段が高くかつ適用性がよくないという欠点を有している。市販されている乾癬病治療のターゲット式薬品(天然小分子または人工的化合物)の種類が少なく、かつそれはいずれも、乾癬病の発病の過程において下流の奏効経路にのみ影響を与え、乾癬病の重要な細胞因子IL-17及び上流の開始経路に影響を殆ど与えない。そのような対症治療方法は、乾癬病の炎症経路の上流の因子に影響を与える治療方法であり、長期的効果がよくないという欠点を有している。
【0005】
したがって、従来の治療方法と生物学的薬剤の利点を採用できる新型薬物を発明する必要がある。それにより、従来の薬物の欠点を補充し、かつ薬物の有効性、標的化(targeting)、経済性、安全性、コンプライアンス等を確保することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的はIM2タンパクの活性を抑制する化合物の乾癬病の治療薬物としての使用を提供することにある。前記化合物を乾癬病の治療薬物として使用することにより、IL-1βの生成を効率的に抑制し、IMQネズミのCD3+TCR d+ROR γT+比例を低減し、IMQネズミの炎症表現形(Inflammatory phenotype)を効率的に改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的に、前記化合物の式Iはつぎのとおりである。
【化1】
本発明の実施例において、AIM2タンパクの活性を抑制する化合物の乾癬病の治療薬物としての使用を提供する。
【0008】
本発明の実施例において、前記化合物は薬用塩の形式で存在する。
【0009】
本発明の実施例において、前記化合物は薬用酸に塩を添加する形式で存在する。
【0010】
本発明の他の実施例において、乾癬治療用薬品の製造におけるAIM2タンパク活性の抑制剤の使用を更に提供する。
【0011】
本発明の実施例において、前記AIM2タンパク活性の抑制は乾癬病の病変組織のAIM2タンパク活性を抑制する薬品である。

【0012】
本発明の実施例において、前記化合物は薬用塩の形式で存在する。
【0013】
本発明の実施例において、前記化合物は薬用酸に塩を添加する形式で存在する。
【0014】
本発明の実施例において、前記AIM2タンパク活性の抑制は、カプセル、錠剤、経口製剤、マイクロカプセル製剤、注射流体、坐薬、噴霧剤または軟膏剤である。
【0015】
本発明の他の実施例において、乾癬病の治療に用いられる薬物組成物を提供し、その薬物組成物は少なくとも、下記式I
【化2】
に示される化合物、薬用キャリアと/或いは稀釈剤を含む。
【発明の効果】
【0016】
(1)本発明の化合物I(SLD-1)はAIM2に向くAIM2タンパクの活性小分子であり、その化合物で乾癬病を治療する薬物を製造することができる。従来の広域スペクトル免疫調節薬(Broad spectrum immunomodulator)と比較してみると、本発明の化合物は、より強いターゲティング効果を具備し、正確性、快速性、有効性、安全性、安定性を更に向上させることができる。本発明の化合物は、AIM2ヒューマンプロテイン及びマウスオリジンプロテインとの結合力が強く、結合常数を1.029E-5Mと1.033E-5Mまで向上させることができる。
(2)本発明の化合物およびそれで製造される薬物が乾癬病を結合抑制する目標位置はAIM2経路の上流に位置する。従来の生物学的抑制剤(生物学的抑制剤はいずれも、乾癬病免疫炎症経路の中下流に位置し、対症治療方法に属するが、治療効果の安定性がよくないという欠点を有している。したがって、生物学的抑制剤の飲用を停止させると、半年後乾癬病が再び發作するリスクが高い)と比較してみると、本発明の化合物は、炎症因子をブロックするレベルが高く、生物学的抑制剤より一層よい予防の効果を有している。従来の生物学的抑制剤は、多数が注射であり、他のシステムに影響を与えるおそれがある。本発明の化合物は、吸収性がよく、薬品の飲用によるいろいろな副作用を避け、安全性が高く、適用の範囲が広く、使用の利便性がよく、コンプライアンスがよいという利点を有している。
(3)本発明の化合物は、白色の結晶の小分子、液体または無色溶剤に溶解できる無色の液体である。それにより、本発明の薬品を皮膚に塗るとき違和感を与えることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】AIM2の結晶構造を示す図である。
図2】バーチャルスクリーニングのステップを示す流れ図である。
図3】HaCat細胞においてIL-1βmRNAで随時の蛍光量PCR測定を実施してえた結果を示す図である。
図4】SLD-1の核磁気スペクトルを示す図である。
図5】SLD-1のLCMSスペクトルを示す図である。
図6】SLD-1とAIM2タンパクのインタラクションモードを示す図である。
図7】SLD-1とAIM2ヒューマンプロテインの親和力を測定することを示す図である。
図8】SLD-1とAIM2マウスオリジンプロテインの親和力を測定することを示す図である。
図9】いろいろな用量のSLD-1に処理されるHaCat細胞のIL-βトランスクリプションレベルを示す図である。
図10】25uMのSLD-1に処理されるHaCat細胞の形態の変化を示す図である。
図11】25uMのSLD-1に処理されるHaCat細胞のAIM2経路の遺伝子トランスクリプションレベルを示す図である。
図12】25uMのSLD-1に処理されるHaCat細胞のAIM2経路のタンパクのエクスプレッション状況を示す図である。
図13】各処理組のネズミのPASI評価を示す図である。
図14】2.5mg/kgのSLD-1を塗布したネズミの表現形を示す図である。
図15】各処理組のネズミの皮膚の病理学的表現形を示す図である。
図16】各処理組のネズミの皮膚のフローサイトメトリーの結果を示す図である。
図17】2.5mg/kgのSLD-1に処理されるIMQネズミの皮膚のAIM2経路のタンパクのエクスプレッション状況を示す図である。 図6において、矢印が指すことは、AIM2タンパクのアミノ酸の残基に結合されるSLD-1であり、他の部分は他のタンパクのアミノ酸の残基である。 その図面において、D300-0270が指すことは本発明に係る化合物であり、その化合物をSLD-1ともいう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例により本発明の技術的事項を詳細に説明するが、下記実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は下記実施例の構成にのみ限定されない。この技術分野の技術者は本発明の要旨を逸脱しない範囲内において設計の改良、変更等をすることができ、それらがあっても本発明に含まれることは勿論である。
【0019】
この明細書中の事項は、本発明の所定の実施例を説明するものであり、本発明を限定するものでない。特別な説明がない限り、単数(例えば、1つ、1個等)の事項は複数の事項を含むこともできる。この明細書中の「含む」、「具備する」、「有する」という用語は、特徴、数字、操作、モジュール、部品、素子、材料またはそれらの組合せの存在を説明するものである。本発明の明細書に記載されている事項に、1個または複数個の他の特徴、数字、操作、モジュール、部品、素子、材料またはそれらの組合せを添加することができる。特別な説明がない限り、この明細書中の符合「/」は「と」または「或いは」を表すことができる。
【0020】
本発明の目的は、化合物(chemical compound)またはその化合物の薬用デリバティブ(derivative)でAIM2タンパク活性(Protein activity)を抑制する応用を提供することにある。前記化合物を乾癬病(psoriasis)の治療薬品として使用することにより、IMQネズミの皮膚病変(skin lesions)中のCD3TCR dROR γT比例を効率的に低減し、IMQネズミの炎症表現形(Inflammatory phenotype)を効率的に改善することができる。
【0021】
具体的に、前記化合物は下記式Iのとおりである。
【化3】
【0022】
本発明の実施例において、前記化合物またはその化合物の薬用デリバティブでAIM2タンパク活性を抑制する応用を提供する。
【0023】
具体的に、乾癬病の患者とイミキモド(Imiquimod)に誘導される乾癬病ネズミの単細胞(single cell)のトランスクリプトームシーケンシング(Transcriptome sequencing)、ATACシーケンシング、トランスクリプトミクス(transcriptomics)、遺伝学オミックス(genetics Omics)等のマルチオミックス(Multi-omics)の研究によると、AIM2インフマソーム遺伝子(inflammasome gene)のみが乾癬病の皮膚病変(skin lesions)と末梢血(peripheral blood)において効率的に活性化されることが分かることができる。また、AIM2-IL-1β-IL-17信号経路(signaling pathway)に複数の乾癬病の感受性遺伝子(susceptibility gene)が存在し、AIM2経路が乾癬病の発病と加重において重要な役割をし、AIM2経路の活性を調節することによりイミキモドネズミモデルの乾癬病サンプルの炎症表現形を制御できることが分かることができる。AIM2は、経路の上流の起動者であり、乾癬病においてAIM2タンパクをブロックするとともに下流タンパク(Downstream protein)を活性化する機能を有し、経路を効率的にブロックする効果を獲得でき、実行因子IL-17のみを除去するものより効率的でありかつ長期的な治療効果を有している。従来の系統的生物治療において、上流分子(Upstream molecule)をブロックすることにより、その上流分子に係る経路の影響による他のシステム以上を招来するおそれがある。本発明において、BiacoreT200装置を採用しかつアミノ結合法(Amino coupling method)に基づいてタンパクモデル(Protein model)の化合物親和力を測定する。つぎに、コンピュータで親和力のレベルを配列することにより100個のAIM2小分子(Small Molecule)の抑制剤を選び出す。最後に、HaCat細胞モデルにおいて抑制効果を有しておりかつ安全な化合物を選び出す。その化合物は前記Iが示す化合物である。
【0024】
具体的に、前記化合物の薬用デリバティブとは、母核(Mother nucleus)構造を保ち、母核構造以外の化合物の構造を変更することにより獲得する化合物を指す。構造が変更される化合物は、AIM2タンパクの活性を抑制する機能を保つか或いは化合物の活性を向上させるか或いは薬物動態学的特性(Pharmacokinetic properties)等を改善することができる。
【0025】
前記化合物は薬用塩の形式で存在することができる。
【0026】
前記化合物は薬用酸に塩を添加する形式で存在することができるが、他の塩の形式で存在することもできる。
【0027】
本発明の他の実施例において、前記乾癬治療用薬品の製造におけるAIM2タンパク活性の抑制剤の使用を提供する。
【0028】
前記AIM2タンパク活性の抑制は乾癬病の病変組織のAIM2タンパク活性を抑制する薬品である。以上のとおり、前記化合物は、乾癬病のAIM2-IL-1β-IL-17信号経路でAIM2タンパクの活性を抑制することにより乾癬病を治療し、前記化合物は主としてAIM2に影響を与えることにより、生物学的活性(biological activity)を具備しているcaspase-1 p20とIL-1β p17の含量を低減する。以上のとおり、前記化合物は、乾癬病のAIM2-IL-1β-IL-17信号経路にのみ影響を与え、他のシステムに影響を与えず、乾癬病の治療効果がよく、副作用が少ないことが分かることができる。
【0029】
前記化合物は薬用塩の形式で存在することができる。
【0030】
前記化合物は薬用酸に塩を添加する形式で存在することができる。
【0031】
前記AIM2タンパク活性の抑制は、カプセル(capsule)、錠剤(tablet)、経口製剤(oral preparations)、マイクロカプセル製剤(microcapsule preparation)、注射流体(injection fluid)、坐薬(suppository)、噴霧剤または軟膏剤(ointment)であることができる。具体的に、この技術分野の技術者は具体的な薬品供給経路(drug delivery route)と薬品供給対象により所定の剤型を選択することができる。
【0032】
本発明の他の実施例において、乾癬病の治療に用いられる薬物組成物を提供する。その薬物組成物は少なくとも、式Iに示される化合物、薬用キャリア(Medicinal carrier)と/或いは稀釈剤(diluent)を含む。
【化4】
【0033】
薬用キャリアと/或いは稀釈剤を、溶液剤型、カプセル溶液剤型、乳液剤型、懸濁剤型(Suspension dosage form)、気体分散剤型(Gas dispersion dosage form)、粒子分散剤型(Particle dispersion dosage form)、固体分散剤型のうちいずれか一種に用いることができる。
【0034】
前記式Iに示される化合物と他の乾癬病治療薬品を一緒に使用することによりもっとよい治療効果を獲得することができる。例えば、前記化合物と下流分子IL-17またはIL-23に向く生物製剤を一緒に使用することができる。その場合、生物製剤の最低有効用量を低減し、生物製剤が他のシステムに影響を与えることをある程度低減することができる。生物製剤のみを使用する場合と比較してみると、より安定であり、より安全な効果を獲得することができる。
【0035】
具体的に、前記薬物の化合物の有効成分の使用量は2.5mg/kgである。
【0036】
本発明において、AIM2タンパク活性の抑制に応用される化合物は、BiacoreT200装置を採用しかつアミノ結合法に基づいてタンパクモデルの化合物親和力を測定する。つぎに、コンピュータで親和力のレベルを配列することにより100個のAIM2小分子の抑制剤を選び出す。最後に、HaCat細胞モデルにおいて抑制効果を有しておりかつ安全な化合物を選び出す。その過程は具体的に下記ステップを含む。
【0037】
(1)AIM2タンパクの結晶構造を検出する
AIM2タンパク(Interferon-inducibleproteinAIM2,UniProtKB:https://www.uniprot.org/uniprot/O14862)のアミノ酸配列(Amino Acid Sequence、例えばSEQIDNO:1に示すとおり)とタンパク三次元構造により参考用のタンパク結合ドメイン(Protein binding domain)を選び出す。RCSBPDBライブラリーにおいて、AIM2のタンパク三次元結晶構造は下記5種がある。表1に示すとおり、その5種において、レゾリューションがよいものは3VD8と4O7Qである。3VD8の結晶構造が4O7Qアミノ酸配列より多いので、3VD8は先に選択可能な結晶構造に配列される。
【0038】
【表1】
【0039】
(2)結合部位(binding site)の選択
AIM2に向くPYDドメインは下流信号経路の調節において重要な役割をする。PYDドメインのalpha2アミノ酸は特異性を有しており、PYDドメインは6個のhelixで構成され、PYDドメインのalpha2のD19、E20、D23、F27、F28は、AIM2とリガンドタンパク質(Ligand protein)ASCのPYDがPYD-PYD相互作用を確保する重要なアミノ酸である。したがって、結晶構造3VD8を参考とし、D19、E20、D23、F27、F28で構成される結合部位を選択してAIM2タンパクの新型小分子抑制剤のバーチャルスクリーニング(virtual screening)を実施する。
【0040】
(3)コンピュータのバーチャルスクリーニングの流れ、小分子ライブラリーを確定し、ターゲットプロテイン(Target protein)を選択するとともに用意する
コンピュータのバーチャルスクリーニングの流れにおいて、AIM2のD19、E20、D23、F27、F28で構成される結合部位を新型小分子抑制剤のスクリーニング部位にし、AIM2三次元結晶構造(PDBID:3VD8)を参考とし(図1に示すとおり)、バーチャルスクリーニングの計画操作ステップは図2に示すとおりである。
【0041】
小分子化合物ライブラリー:小分子データベースにおいてChemdivを選択する。
ターゲットプロテインを選択するとともに用意する:AIM2の三次元構造(3vd8.pdb)に基づいて、sybyl-X2.1の「PrepareProteinStructure」モジュールでAIM2タンパクを処理する。「RemoveSubstructures」においてすべての水分子を選択する。すなわちすべての水分子を除去する。つぎに、「AnalyzeSelectedStructure」でタンパクを分析するとともに修正することにより、タンパクに水素を添加する操作を実施する。最後に、sybylのprotomolモジュールで、PYDドメインのalpha2のD19、E20、D23、F27、F28を選択し、「Residue」の活性部位の形成方法により小分子抑制剤の結合キャビティファイルを形成する。すなわち、3vd8_H-R-0.50-0.sfxcをターゲットプロテインとして処理した出力ファイルを形成する。
【0042】
(4)バーチャルスクリーニング計算
sybyl-X2.1の「CompoudFiltering」モジュールでデータベース中の化合物を検出する。すなわち下記規則を満たす化合物を検出する。(a)分子量が700以下であること。(b)cLogP(脂質と水の分離係数、lipid-water partition coefficient)が-4~6の間にあること。(c)水素ボンドアクセプター(hydrogen bond acceptor)の数量が15個以下であること。(d)水素ボンドドナー(hydrogen bond donor)の数量が6個以下であること。(e)回転可能なボンドの数量が11個より少ないこと。その項目はsybyl薬物設計プラットフォームの「compoundFiltering」モジュールで小分子データベースのプライマリースクリーニング(primary screening)を実施し、原則として前記五規則を守る。しかしながら、五規則を完全に守ることにより、小分子データベースの化合物の数量を大幅に減少させ、化合物の多様性を大幅に低減するおそれがある。また、コンピュータでバーチャルスクリーニングをする目的は、薬物の選択の範囲を大幅に減少させることにあり、どの化合物が所定の生物活性を有しているかを確定するものでない(実験によりそれを確定する必要がある)。化合物の多様性を増加させるため、一定の生物活性を有しているリード化合物(Lead Compound)の数量を増加させ、バーチャルスクリーニングの過程において「五規則」のパラメータ範囲をある程度拡大する必要がある。例えば、分子量を700に拡大し、clogPで化合物の親水性/疎水性を表し、範囲を拡大し、親水性を親脂性に変更する。水素ボンドのドナーとレシピエント、回転可能なボンドの数量を所定の範囲内において適当に拡大することができる。
【0043】
[1]1回目のバーチャルスクリーニング計算
Sybyl-X2.1ソフトウェア中のSurflexモジュールでスクリーニングを実施する。一部の分子のドッキングパラメータ(Docking parameters)を修正することにより1回目のバーチャルスクリーニングを加速化させ、選択された分子はスコアリングバリュー(Scoring value)がtop1%に位置する小分子化合物である。具体的に、「MaxconformationsperFragment」を黙認の20から10に減少させ、「Maxnumberofrotatablebondspermolecule」を黙認の100から50に減少させる。黙認の「Per-DockMinimization」と「Post-DockMinimization」の選択を取り消す。「Maximumnumberofposesperligand」を黙認の20から3に減少させる。すなわち、前3位の各リガンド分子(Ligand molecule)の分子コンホメーション(molecular conformation)のみを保留し、ドッキングの速度を加速化させることにより、最後にtop1%の化合物を獲得する。
【0044】
[2]2回目のバーチャルスクリーニング計算
Sybyl-X2.1ソフトウェア中のSurflexモジュールで2回目のスクリーニングを実施する。1回目のスクリーニングにより獲得したtop1%のhitsにおいて、黙認パラメータ(すなわち、「MaxconformationsperFragment」は黙認の20であり、「Maxnumberofrotatablebondspermolecule」は黙認のものである。「Per-DockMinimization」と「Post-DockMinimization」の選択肢を黙認の選択肢にし、化合物のドッキング前後のエネルギーの最小化と最適化を実施し、各分子の最初のコンホメーションの数量を4個に増加させる)を回復させ、top500のターゲット中の化合物に対して人工的スクリーニングを実施する。
【0045】
[3]人工的スクリーニングと再検査
2回目のスクリーニングにより獲得した500個のターゲット中の化合物に対して人工的スクリーニングを実施し、それらを総合的に考慮する。前記化合物とAIM2のPYDドメインのalpha2には安定のインタラクション(水素ボンド、疎水、π-π堆積シミュレーション)が形成される。具体的に、前記化合物とAIM2上のArg24、Leu72、Asn73等の複数のアミノ酸は複数の水素ボンドのインタラクションを形成する。また、結合部位に複数の疎水性アミノ酸、例えばPhe27、Phe28、Ala36、Leu40、Leu72が存在することにより疎水性ポケット(Hydrophobic pocket)を形成することができる。ターゲット中の化合物は多数の水素ボンドのドナー(とレシピエント)のグループ、芳香環(Aromatic ring)構造と疎水性置換基(substituent group)を具備する。化合物の構造は所定の剛性を有する必要がある。回転可能なボンドの数量が多すぎるといけない。
【0046】
【表2】
【0047】
(5)HaCat細胞モデルにおいて抑制の効果を具備している化合物を選択する
選択された100種の化合物でOligodA-Tが刺激したHaCat細胞のピロプトシスの保護能力を評価し、その評価の標準は刺激後の細胞中のIL-1βmRNAに対して随時蛍光量PCRを実施する測定である。陽性対照組と比較してみると、100個の小分子抑制剤において抑制の効果が最もよい(p<0.0001)小分子を選択して、それらを理想的な抑制剤にする。本発明において化合物I(SLD-1またはD300-0270ともいう)を使用する。
【0048】
[1]実験組に陽性対照(PC)と陰性対照(NC)を設置する。PC組はLip3000(Lipofectamine(登録商標)3000TransfectionReagent)とOligodA-Tのインクルージョン(OligodA-T:Lip3000:P3000=1:1:25、OligodA-Tの濃度は1ug/mLである)でHaCat細胞をトランスフェクション(transfection)する。各処理組において、Lip3000-OligodA-Tインクルージョンと10uMの小分子抑制剤でHaCat細胞をトランスフェクションし、NC組には同量のトランスフェクション試薬(Lip3000:P3000=1:1)を添加する。
【0049】
[2]各実験組を5%の細胞インキュベーター(Cell incubator)を送入して37℃で24時間の孵化を実施し、収集した細胞を随時蛍光量PCR測定方法で測定する。100個の小分子抑制剤において抑制の効果が最もよい(p<0.0001)小分子を選択して、それらを理想的な抑制剤にする。その結果は図3に示すとおりである。
【0050】
前記方法で選び出した小分子化合物I(SLD-1またはD300-0270ともいう)の名称は、5-[2-[4-[(2-アミノ)メチル]フェノキシ]-1-ヒドロキシエチル]-1,3-ジメチルベンズイミダゾール-2-ケトンであり、分子量は461.27であり、化学式は下記式Iに示すとおりである。
【化5】
【0051】
選択された小分子化合物Iに対してキャラクタライゼーション(characterization)を実施する。その過程は具体的に下記ステップを含む。
(1)小分子化合物Iに対して核磁気キャラクタライゼーション(Nuclear magnetic characterization)を実施し、その結果は図4に示すとおりである。芳香環特性水素(Aromatic characteristic hydrogen)及びシュウヒドライル(oxhydryl)は明確であり、スプリット(split)は明らかであり、化合物の構造は正確である。
【0052】
(2)小分子化合物Iに対してLCMS測定を実施し、その結果は図5に示すとおりである。保持時間は2.11であり、MS+1は化合物の目標分子量であり、フラグメントイオンピーク(Fragment ion peak)444.7は化合物のシュウヒドライルが除去された二重MS+1であり、それは目標化合物の特性に合う。
【0053】
検出された小分子化合物Iの合成流れはつぎのとおりである。
【化6】
【0054】
下記実施例のデータの統計分析方法において、型番がSPSS23.0とRVersion4.0.2であるソフトウェアによりデータの処理と分析を実施する。すべての測定はツーテールテスト(Two-tailed test)であり、P値が0.05より小さいものを統計の意義があるものと見なす。
【0055】
本発明をより詳細に説明するため、以下、具体的な実施例により本発明の事項を詳細に説明するが、本発明は下記実施例にのみ限定されるものでない。
【0056】
<実施例1において、SLD-1とAIM2タンパクのインタラクションモード(Interaction mode)>
SLD-1とAIM2タンパクが結合された後の構造をシミュレーション(simulation)する。まず、Sybyl-X2.1ソフトウェアのSurflexモジュールで二回の結合のシミュレーションをする。つぎに、AIM2上のArg24、Leu72、Asn73等の複数のアミノ酸と形成された複数の水素ボンドのインタラクションにより人工的スクリーニングと再検査を実施する。図6の結果に示されるとおり、SLD-1と複数のアミノ酸、例えばArg24(サイドチェーンの疎水部分)、Lys26(サイドチェーンの疎水部分)、Phe27、Phe28、Leu40、His41、Lys71及びLeu72との間に強烈な疎水シミュレーションが生ずることが分かることができる。また、化合物SLD-1とPhe27及びPhe28との間にπ-π堆積シミュレーションが生ずることが分かることができる。疎水、π-π堆積等のシミュレーションにより化合物SLD-1とタンパクAIM2の結合を維持することができる。
【0057】
<実施例2において、SLD-1とAIM2ヒューマンプロテインが強い親和力を具備していることを測定する>
本発明の実施例において、SLD-1とAIM2ヒューマンプロテイン(Human protein)の親和力を測定する。まず、pET28Aキャリアでヒューマン全長AIM2タンパクをエクスプレッション(expression)するととも純化する。つぎに、Biacoreの表面プラズモンレゾナンス(surface-plasmonresonance、SPR)方法とCM5チップのアミノ結合法で親和力を測定する。測定の結果は図7に示すとおりであり、その結果によると、SLD-1とヒューマンAIM2プロテインは特異結合特性を具備しており、結合常数は1.029E-5Mであり、結合程度が強いことが分かることができる。
【0058】
<実施例3において、SLD-1とAIM2マウスオリジンプロテインが強い親和力を具備していることを測定する>
本発明の実施例において、SLD-1とAIM2マウスオリジンプロテイン(Murine origin protein)の親和力を測定する。まず、pET28Aキャリアでマウスオリジン全長AIM2タンパクをエクスプレッションするととも純化する。つぎに、Biacoreの表面プラズモンレゾナンス(surface-plasmonresonance、SPR)方法とCM5チップのアミノ結合法で親和力を測定する。測定の結果は図8に示すとおりであり、その結果によると、SLD-1とマウスオリジンAIM2プロテインは特異結合特性を具備しており、結合常数は1.033E-5Mであり、結合程度が強いことが分かることができる。
【0059】
<実施例4において、SLD-1がHaCat細胞モデルにおいてAIM2タンパクの活性を効率的に抑制する>
(1)陽性対照(PC)、陰性対照(NC)及び各処理組を設置する。PC組はLip3000(Lipofectamine(登録商標)3000TransfectionReagent)とOligodA-Tのインクルージョン(OligodA-T:Lip3000:P3000=1:1:25、OligodA-Tの濃度は1ug/mLである)でHaCat細胞をトランスフェクションする。NC組には同量のトランスフェクション試薬(transfection reagent)を添加する。各処理組はいろいろなグラジェントドーズ(0.1uM、1uM、5uM、10uM、25uM)のSLD-1に向いてLip3000-OligodA-TインクルージョンでHaCat細胞をトランスフェクションする。
【0060】
(2)前記陽性対照(PC)、陰性対照(NC)及び各処理組を5%のCOの細胞インキュベーターを送入して37℃で24時間の孵化を実施し、収集した細胞を随時蛍光量PCR測定方法で測定することにより異なる用量の抑制剤がHaCat細胞のAIM2経路の活性化に与える影響を測定する。図9の結果に示されるとおり、陽性対照組と比較してみると、25uMのSLD-1が5個のグラジェントドーズにおいてHaCat細胞に対するIL-βトランスクリプションレベル(transcription level)の減少が最も多いことが分かることができる。
【0061】
(3)100倍と400倍の顕微鏡で25uMグラジェント(gradient)の細胞の状態を観察し、その結果は図10に示すとおりである。その組の細胞の状態は陰性対照組の細胞の状態に接近し、透明なピロプトシス(pyroptosis)細胞の比例が非常に少なく、細胞の密度が高く、アタッチメント(attachment)がよいことが分かることができる。
【0062】
(2)と(3)において獲得した結果によると、25uMのSLD-1がHaCat細胞のAIM2活性を抑制できる最適な使用量であることが分かることができる。
【0063】
(4)つぎに、25uMのSLD-1がHaCat細胞モデルのAIM2経路の遺伝子トランスクリプションレベルに与える影響を測定し、その結果は図11に示すとおりである。陽性対照組と比較してみると、AIM2経路の重要な遺伝子のトランスクリプションレベルが大幅に低下することが分かることができる。
【0064】
(5)つぎに、25uMのSLD-1に処理されるHaCat細胞のAIM2下流タンパクのエクスプレッション状況を測定する。図12の結果に示されるとおり、25uMのSLD-1に対する処理は、AIM2下流のprocaspase-1とproIL-1βに影響を与えず、caspase-1p20とIL-1βp17の含量を低減する。それは、SLD-1が活性caspase-1と活性IL-1βのエクスプレッションを効率的に低減することを意味する。
【0065】
<実施例5において、SLD-1が乾癬病動物のモデルにおいてAIM2タンパクの活性を効率的に抑制する>
DMSOでSLD-1粉末を溶解させ、いろいろな使用量に対応する粉末の重量を測定する。つぎに、β-サイクロデキストリン(β-Cyclodextrin)で希釈することによりDMSOの最後の濃度を5%以下にする。SLD-1のドーズグラジェントをそれぞれ、0mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kgに設定する。各ネズミの重量を20gに仮定する場合、各ネズミに0mg、0.05mg、0.1mg、0.2mgの薬品を投げ与える必要がある。
【0066】
年齢が7歳であるC57/BL6ネズミを選択し、SPFレベルの環境においてその飼養とモデリンクを実施し、下記8個の実験組を形成する。
(1)イミキモド(IMQ)と0mg/kgのSLD-1を皮膚に塗布する。
(2)IMQと2.5mg/kgのSLD-1を皮膚に塗布する。
(3)IMQと5mg/kgのSLD-1を皮膚に塗布する。
(4)IMQと10mg/kgのSLD-1を皮膚に塗布する。
(5)ワセリン(Vaseline)と0mg/kgのSLD-1を皮膚に塗布する。
(6)Vaselineと2.5mg/kgのSLD-1を皮膚に塗布する。
(7)Vaselineと5mg/kgのSLD-1を皮膚に塗布する。
(8)Vaselineと10mg/kgのSLD-1を皮膚に塗布する。
【0067】
各組の6匹のネズミにおいて、ネズミの背中の毛を剃ることにより面積が4cmである背中の皮膚を露出させ、実験の開始日付をDay0に設定し、終止日付をDay6に設定する。Day0~Day5において、毎日100マイクロリットルの薬品を取ってネズミの背中に均等に塗布することによりその薬品がネズミの背中に染み込むようにする。Day2~Day5において、毎日SLD-1を塗布してから20分が過ぎると、各ネズミに62.5mgのIMQを塗布する。毎日ネズミの皮膚の状態を評価し、Day5においてネズミの安楽死を実施した後、皮膚組織を取っていろいろな測定を実施する。
【0068】
IMQモデリンクのネズミのPASI評価の結果、皮膚の表現形及び皮膚の病理学的表現形(Pathological phenotype)は、図13図14及び図15に示すとおりである。3つの使用量のSLD-1でIMQネズミの炎症表現形をある程度低減することができる。具体的に、2.5mg/kgのSLD-1による治療の効果が最もよく、5mg/kgのSLD-1と10mg/kgのSLD-1による治療の効果は類似している。
【0069】
つぎに、各組のネズミの皮膚のリンパ細胞(ネズミの皮膚のリンパ細胞中のCD3TCRdRORγTのTリンパ細胞の比例を測定し、そのような細胞は乾癬病においてAIM2経路に誘導される重要な奏効細胞(effector cell)であり、大量のIL-17細胞因子を分泌することより乾癬病がより激しくなる)を取ってフローサイトメトリー(flow cytometry)を実施する。その結果は図16に示すとおりである。SLD-1を使用しないIMQネズミと比較してみると、2.5mg/kgのSLD-1で処理することによりIMQネズミのCD3TCRdRORγT比例を効率的に低減することができる。
【0070】
つぎに、ネズミの皮膚のAIM2経路の遺伝子のトランスクリプションレベルを測定する。各組の間には統計学的差異が存在せず、タンパクレベルは図17に示すとおりである。その結果によると、2.5mg/kgのSLD-1に処理されたネズミの皮膚のAIM2下流のprocaspase-1とproIL-1βに影響を与えず、caspase-1p20とIL-1βp17含量を低減できることが分かることができる。それは、SLD-1が活性caspase-1と活性IL-1βのエクスプレッションを効率的に低減することを意味する。
【0071】
以上、本発明の好適な実施例を説明してきたが、前記実施例は、本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は前記実施例の構成にのみ限定されるものでない。この技術分野の技術者は本発明の要旨を逸脱しない範囲内において設計の変更、改良等をすることができ、それらがあっても本発明の特許請求の範囲が定めた範囲に含まれることは勿論である。
図1
図2
図3
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図10
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【配列表】
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