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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】センサモジュール
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/57 20230101AFI20240521BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240521BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240521BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H04N23/57
H01L27/146 D
H04N23/50
H05K9/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022501838
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2021005010
(87)【国際公開番号】W WO2021166768
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2020026041
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大脇 浩史
(72)【発明者】
【氏名】阿川 知典
(72)【発明者】
【氏名】栂野 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博雄
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-166012(JP,A)
【文献】登録実用新案第3012356(JP,U)
【文献】特開2007-258404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/57
H01L 27/146
H04N 23/50
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
センサ素子を有し、前記ハウジング内に配置されるセンサ基板と、
前記ハウジングに設けられる外部コネクタと、
前記センサ基板と前記外部コネクタとの間を電気的に接続し、信号線とグランド線とを有するフレキシブル配線基板と、
前記フレキシブル配線基板と前記外部コネクタとの間に配置された底部と、前記センサ基板の周囲を覆う周面部とを有する金属製のシールドケースと
を具備し、
前記外部コネクタは、前記信号線と接続される第1の接続ピンと、前記グランド線と接続される第2の接続ピンと、前記シールドケースの前記底部と接続される第3の接続ピンとを有し、
前記底部は、前記第1の接続ピンが貫通する第1の孔部と、前記第2の接続ピンが貫通する第2の孔部と、前記第3の接続ピンが貫通する第3の孔部と、前記第3の孔部の周囲に設けられ前記第3の接続ピンを前記底部に接合するはんだ材料で被覆される蓄熱部とを有する
センサモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサモジュールであって、
前記フレキシブル配線基板は、前記信号線および前記グランド線を支持し前記底部に配置される基材端部をさらに有し、
前記基材端部は、前記第3の接続ピンが貫通し前記第3の孔部の開口面積よりも大きな開口面積を有する開口部を有し、
前記蓄熱部は、前記開口部と対向する領域に設けられる
センサモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサモジュールであって、
前記蓄熱部は、前記第3の孔部の周囲に環状に形成された複数のスリット部を含む
センサモジュール。
【請求項4】
請求項2に記載のセンサモジュールであって、
前記蓄熱部は、前記第3の孔部の周囲に環状に形成された凹部を含む
センサモジュール。
【請求項5】
請求項2に記載のセンサモジュールであって、
前記蓄熱部は、前記底部を構成する金属材料よりも熱伝導性の高い伝熱層を含む
センサモジュール。
【請求項6】
請求項2に記載のセンサモジュールであって、
前記第3の接続ピンは、前記開口部の中心からオフセットした位置に配置される
センサモジュール。
【請求項7】
請求項2に記載のセンサモジュールであって、
前記開口部は円形状または楕円形状に形成される
センサモジュール。
【請求項8】
請求項に記載のセンサモジュールであって、
前記第3の接続ピンは、複数の接続ピンを含み、
前記開口部は、前記複数の接続ピンに対応して設けられた複数の開口部を含む
センサモジュール。
【請求項9】
請求項8に記載のセンサモジュールであって、
前記複数の接続ピンは、前記第1の接続ピンに関して対称な位置に設けられる
センサモジュール。
【請求項10】
請求項1に記載のセンサモジュールであって、
前記センサ素子は、固体撮像素子である
センサモジュール。
【請求項11】
請求項1に記載のセンサモジュールであって、
前記センサモジュールは、車両に取り付け可能に構成される
センサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、例えば車両に搭載されるセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の利便性や安全性を向上させるために、車両にカメラ装置を搭載し、コクピット近傍に設置されたモニタ装置によって視認するためのカメラ装置が提供されている。この種のカメラ装置は、撮像レンズ、撮像素子、外部コネクタ等が組み込まれた略矩形状のハウジングを有し、このハウジングが車両本体のリア扉やサイドミラー、フロントスポイラー等に、撮像レンズを外部に臨ませるようにして内蔵あるいは装着される。このようなカメラ装置によれば、ドライバーの死角となる車両周辺を映し出すことができ、安全性や利便性を向上させることができる。
【0003】
この種のカメラ装置においては、撮像素子から高品質な画像信号を取得するために、ハウジング内における撮像素子の位置決め、撮像素子を搭載した基板と外部コネクタとの安定した電気的接続が必要とされる。例えば特許文献1には、ハウジング内部にEMC(Electromagnetic Compatibility)対策のためのシールドケースを備え、このシールドケースが、撮像素子を搭載した基板と外部コネクタとの間を接続するフレキシブル配線基板のグランドパターンに接続されたカメラ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5413231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、センサモジュールは、EMC対策の更なる向上が求められている。EMC対策としては、シールドケースを外部コネクタのグランド線に安定に接続することが必要とされる。しかしながら、シールドケースは金属材料で構成されているため、シールドケースをグランド線にはんだ接合する際、シールドケースに熱が逃げてしまい、良好な作業性と安定した接続信頼性を確保することが難しいという問題がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、シールドケースのグランド線へのはんだ付け作業性とその接続信頼性を高めることができるセンサモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一形態に係るセンサモジュールは、ハウジングと、センサ基板と、外部コネクタと、フレキシブル配線基板と、金属製のシールドケースとを具備する。
前記センサ基板は、センサ素子を有し、前記ハウジング内に配置される。
前記外部コネクタは、前記ハウジングに設けられる。
前記フレキシブル配線基板は、前記センサ基板と前記外部コネクタとの間を電気的に接続し、信号線とグランド線とを有する。
前記シールドケースは、前記フレキシブル配線基板と前記外部コネクタとの間に配置された底部と、前記センサ基板の周囲を覆う周面部とを有する。
前記外部コネクタは、前記信号線と接続される第1の接続ピンと、前記グランド線と接続される第2の接続ピンと、前記シールドケースの前記底部と接続される第3の接続ピンとを有する。
前記底部は、前記第1の接続ピンが貫通する第1の孔部と、前記第2の接続ピンが貫通する第2の孔部と、前記第3の接続ピンが貫通する第3の孔部と、前記第3の孔部の周囲に設けられ前記第3の接続ピンを前記底部に接合するはんだ材料で被覆される蓄熱部とを有する。
【0008】
上記センサモジュールは、シールドケースの底部に上記蓄熱部が設けられているため、シールドケースと外部コネクタのグランドとの間のはんだ付けが容易となり、作業性および接続信頼性を高めることができる。
【0009】
前記フレキシブル配線基板は、前記信号線および前記グランド線を支持し前記底部に配置される基材端部をさらに有してもよい。この場合、前記基材端部は、前記第3の接続ピンが貫通し前記第3の孔部の開口面積よりも大きな開口面積を有する開口部を有し、前記蓄熱部は、前記開口部と対向する領域に設けられる。
【0010】
前記蓄熱部は、前記第3の孔部の周囲に環状に形成された複数のスリット部を含んでもよい。
【0011】
前記蓄熱部は、前記第3の孔部の周囲に環状に形成された凹部を含んでもよい。
【0012】
前記蓄熱部は、前記底部を構成する金属材料よりも熱伝導性の高い伝熱層を含んでもよい。
【0013】
前記第3の接続ピンは、前記開口部の中心からオフセットした位置に配置されてもよい。
【0014】
前記開口部は、円形状または楕円形状に形成されてもよい。
【0015】
前記開口部は、前記複数の接続ピンに対応して設けられた複数の開口部を含んでもよい。
【0016】
前記センサ素子は、固体撮像素子であってもよい。
【0017】
前記センサモジュールは、車両に取り付け可能に構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本技術の一実施形態に係るセンサモジュールの構成を示す分解斜視図である。
図2】上記センサモジュールにおけるハウジング内部の要部の概略平面図である。
図3図2におけるA-A線断面図である。
図4】前記センサモジュールにおけるフレキシブル配線基板の要部の概略平面図である。
図5】上記センサモジュールにおけるシールドケースの平面図である。
図6】上記シールドケースの他の実施形態を示す概略平面図である。
図7】上記シールドケースのさらに他の実施形態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
[センサモジュールの全体構成]
図1は、本技術の一実施形態に係るセンサモジュールの構成を示す分解斜視図である。本実施形態のセンサモジュール100は、車載用途のカメラモジュールとして構成される。まず、図1を参照してセンサモジュール100の全体構成について説明する。
【0021】
センサモジュール100は、車両に取り付け可能に構成される。センサモジュール100は、例えば、図示しない車体(取付対象物)の外部に配置され、取付位置に応じて車両の前方、後方あるいは側方を撮像する。
例えば、車体の前方部(例:フロントグリル)に取り付けられたセンサモジュール100は、車両の前方の環境を撮像する。また、後部(例:ナンバープレートの上)に取り付けられたセンサモジュール100は、車両の後方の環境を撮像する。また、車両の側方(例:ピラー(Aピラー、Bピラー、車両最後部のピラー(Cピラー、Dピラー))の上部や、サイドミラー)に取り付けられたセンサモジュール100は、車両の横方向の環境を撮像する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のセンサモジュール100は、ハウジング10と、センサ基板20と、外部コネクタ30と、フレキシブル配線基板40と、シールドケース50とを備える。
【0023】
(ハウジング)
ハウジング10は、フロントケース11とリアケース12とを光軸Z方向に組み合わせて構成される。フロントケース11およびリアケース12は、典型的には、合成樹脂材料の射出成形体で構成される。
【0024】
フロントケース11は、前後方向(Z方向)に略垂直に形成される前面部111と、前面部111の周縁からリアケース12に向けて延在した側面部112とを有する。本実施形態では、光軸Z方向から見た前面部111の形状が略矩形状となっている。フロントケース11は中空状であり、前面部111と側面部112とに囲まれる領域には、センサ基板20等を収容する空間部が形成される。
【0025】
フロントケース11の前面部111の中央部には貫通孔113が形成され、その貫通孔113に鏡筒部材61がシールリング62を介して挿通される。鏡筒部材61は光軸Zを有する撮影レンズを支持し、シールド板63、クッション部材64等を介して、フロントケース11とセンサ基板20との間に支持される。
【0026】
フロントケース11は、側面部112のリアケース12側の端部に、リアケース12に溶着される開口端部114を有する。開口端部114は、前面部111の外形に対応する略矩形状に形成される。なお、前面部111および開口端部114の形状は、矩形に限られず、円形、三角形などの他の形状に形成されてもよい。
【0027】
リアケース12は、前後方向に略垂直に形成される底面部121と、底面部121の周縁からフロントケース11に向けて延在した側面部122とを有する概略矩形の浅皿形状に形成される。底面部121と側面部122との間に囲まれる領域には、シールドケース50等を収容する空間部が形成される。底面部121と側面部122の外周面側との間には略矩形の段部123が形成されている。この段部123にフロントケース11の開口端部114が溶着されることで、フロントケース11とリアケース12とが相互に一体化される。溶着方法は特に限定されず、超音波溶着法、レーザー溶着法等が適用可能である。
【0028】
(センサ基板)
センサ基板20は、フロントケース11の前面部111に対向するフロント基板21と、リアケース12の底面部121に対向するリア基板22と、フロント基板21とリア基板22との間に配置されたスペーサ23とを有する。フロント基板21およびリア基板22は、ガラスエポキシ基板等のリジッド性を有する両面配線基板で構成され、スペーサ23によって各基板間の対向距離が規定される。フロント基板21およびリア基板22は、図示しない基板コネクタ(BtoBコネクタ)を介して機械的かつ電気的に接続される。センサ基板20は、フロント基板21およびリア基板22の2枚の基板で構成される例に限られず、1枚の基板で構成されてもよい。
【0029】
フロント基板21には、センサ素子として固体撮像素子24が搭載される。固体撮像素子24は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサである。フロント基板21は鏡筒部材61に接合され、固体撮像素子24は、鏡筒部材61の焦点位置上に配置される。そして、リア基板22は、フレキシブル配線基板40を介してリアケース12の底面部121に設けられた外部コネクタ30と電気的に接続される。
【0030】
(外部コネクタ)
外部コネクタ30は、リアケース12に設けられる。外部コネクタ30は、センサ基板20と車体側とを電気的に接続するためのものであり、外部コネクタ30を介して、車体側からセンサ基板20へ電力が供給され、および、センサ基板20から車体側へ画像信号(固体撮像素子24の出力信号)が送信される。
【0031】
図2は、リアケース12側の要部の内部構造を示す概略平面図、図3は、図2におけるA-A線断面図である。
【0032】
外部コネクタ30は、図3に示すように、リアケース12の底面部121に設けられた信号端子31と、その信号端子31と同心的に形成された筒状のシールド端子32と、信号端子31とシールド端子32との間に配置された絶縁部材33とを有する。信号端子31およびシールド端子32はそれぞれ金属材料で構成され、図示しない同軸ケーブルに接続可能に構成される。
【0033】
リアケース12の底面部121には、外部コネクタ30と同心的な筒状部124が設けられる。筒状部124は、信号端子31およびシールド端子32を外部から保護するためのものであり、外部コネクタ30の外側に外部コネクタ30と同心的に形成される。
【0034】
外部コネクタ30はさらに、第1の接続ピン301と、第2の接続ピン302と、第3の接続ピン303とを有する。第1の接続ピン301は、リアケース12の底面部121を貫通し、信号端子31の一端に一体的に形成される。第2の接続ピン302および第3の接続ピン303は、リアケース12の底面部121を貫通し、シールド端子32の一端に一体的に形成される。
【0035】
第2の接続ピン302および第3の接続ピン303は複数本ずつ形成され、例えば図2に示すようにそれぞれ2本ずつ形成される。本実施形態では、第2の接続ピン302および第3の接続ピン303は、第1の接続ピン301を中心とする仮想的な四角形の各頂点に配置される。このとき、各第2の接続ピン302は、第1の接続ピン301に関して対称な位置(対角位置)に配置され、各第3の接続ピン303も同様に、第1の接続ピン301に関して対称な位置(対角位置)に配置される。
【0036】
(フレキシブル配線基板)
フレキシブル配線基板40は、センサ基板20と外部コネクタ30との間を電気的に接続する。フレキシブル配線基板40は、ポリイミド等のフレキシブル性を有する基材上に信号線およびグランド線が引き回された配線基板である。上記信号線は、センサ基板20からの画像信号を伝送する配線部であり、グランド線はセンサ基板20のグランドラインに接続される配線部である。センサ基板20と外部コネクタ30との間をフレキシブル配線基板40で接続することで、センサ基板20と外部コネクタ30との間の距離のばらつき(公差)を吸収し、これらの間の安定した電気的接続信頼性を確保することができる。
【0037】
フレキシブル配線基板40は、センサ基板20(リア基板22)に接続される第1の基材端部41と、外部コネクタ30に接続される第2の基材端部42とを有する。第1の基材端部41は、例えばコネクタ部材43を介してリア基板22に接続される。第2の基材端部42は、はんだ付けにより外部コネクタ30に接続される。
【0038】
図4は、フレキシブル配線基板40の第2の基材端部42の概略平面図である。第2の基材端部42は、信号線401と、グランド線402を支持する。これら信号線401およびグランド線402は、外部コネクタ30と電気的に接続されるランド部をそれぞれ有する。
【0039】
例えば、信号線401は、第1の接続ピン301が貫通する貫通孔とその周囲に形成された環状の導体部を含む第1のランド部401aを有する。第1の接続ピン301は、第1のランド部401aにはんだ付けされることで、信号線401と電気的に接続される。
【0040】
また、グランド線402は、第2の接続ピン302が貫通する貫通孔とその周囲に形成された環状の導体部を含む第2のランド部402aを有する。ランド部402aは、第2の接続ピン302の数および位置に対応して設けられ、本実施形態では2か所に設けられる。第2の接続ピン302は、第2のランド部402aにはんだ付けされることで、グランド線402と電気的に接続される。
【0041】
フレキブル配線基板40の第2の基材端部42にはさらに、外部コネクタ30の第3の接続ピン303が貫通する開口部403を有する。開口部403は、第3の接続ピン303の数および位置に対応して設けられ、本実施形態では2か所に設けられる。開口部403は、第1および第2のランド部401a,402aを構成する貫通孔よりも大きな開口面積を有する。
【0042】
開口部403は、後述するように、第3の接続ピン303をシールドケース50に接合するはんだ材料の溜まり部を形成する領域である。開口部403の形状は特に限定されないが、はんだ材料の濡れ性等に鑑み、開口部403の形状は角部を含まない形状、例えば、図示するような長円形状や楕円形状、円形状であることが好ましい。
【0043】
(シールドケース)
シールドケース50は、センサ基板20を電磁ノイズから保護するEMC対策部品のひとつであって、フロントケース11側の一端が開口する略矩形の箱体で構成される。シールドケース50は、典型的には、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属材料で構成される。
【0044】
シールドケース50は、リアケース12の底面部121と側面部122とにより形成される空間部に配置される。シールドケース50は、リアケース12の底面部121上に配置された底部51と、センサ基板20の周囲を覆う周面部52とを有する。周面部52は、底部51の周縁部からフロントケース11側に向かって延び、センサ基板20を収容する空間部を形成する。周面部52の端部は鏡筒部材61の周縁部に弾性的に接触する。
【0045】
シールドケース50の底部51は、図3に示すように、フレキシブル配線基板40の第2の基材端部42と外部コネクタ30との間に配置される。底部51は、リアケース12の底面部121に平行な略矩形の平板部である。
【0046】
図5は、シールドケース50の底部51を示す平面図である。シールドケース50の底部51は、外部コネクタ30の各接続ピンが貫通する複数の孔部を有する。すなわち、底部51は、第1の接続ピン301が貫通する第1の孔部501と、第2の接続ピン302が貫通する第2の孔部502と、第3の接続ピン303が貫通する第3の孔部503とを有する。第2の孔部502および第3の孔部503はそれぞれ、第2の接続ピン302および第3の接続ピン303の数および位置に対応して設けられ、本実施形態ではそれぞれ2か所に設けられる。
【0047】
シールドケース50の底部51は、外部コネクタ30の第3の接続ピン303にはんだ付けされることで、外部コネクタ30のシールド端子32と電気的に接続される。はんだ材料の濡れ性を高めるため、底部51の表面に、はんだめっき等が施されてもよい。
【0048】
シールドケース50の底部51は、第3の孔部503の周囲に設けられた蓄熱部510を有する。蓄熱部510は、第3の接続ピン303を底部51に接合するはんだ材料で被覆される領域である。蓄熱部510は、フレキシブル配線基板40の第2の基材端部42に形成された開口部403と対向する領域に設けられる。開口部403は、第3の孔部503の開口面積よりも大きな開口面積を有し、少なくとも開口部403を介して外部へ露出する底部51の領域に蓄熱部510が設けられる。
【0049】
蓄熱部510は、第3の接続ピン303とシールドケース50の接合時において、はんだ付けに必要な熱を開口部403内に蓄える機能を有する。これにより、第3の接続ピン303のはんだ付け性が高まり、シールドケース50と外部コネクタ30との間のはんだ付け作業性、接続信頼性を高めることができる。
【0050】
このような蓄熱部510の機能を得るため、本実施形態における蓄熱部510は、第3の孔部503の周囲に環状に形成された複数のスリット部511を含む。複数のスリット部511は、フレキシブル配線基板40の開口部403から露出するシールドケース50の領域を囲うように環状に配列される。このように蓄熱部510を複数のスリット部511で区画することにより、蓄熱部510からその外側への熱の拡散が抑えられる。
【0051】
各スリット部511の形状は特に限定されず、図5に示すように直線的な形状のスリット部や曲線的な形状のスリット部を含んでもよい。複数のスリット部511は、典型的には、開口部403の開口形状に対応する形状に開口縁部に沿って形成される。複数のスリット部511は、開口部403の開口縁部の内側に設けられてもよいが、上記開口縁部の外側に設けることで、蓄熱部510の面積を大きくすることができる。各スリット部511の幅や配列間隔は特に限定されず、蓄熱部510における蓄熱量、シールドケース50の底部51の強度等に応じて任意に設定可能である。
【0052】
開口部403における第3の孔部503の位置も特に限定されず、開口部403の中心でもよいし、その中心部からオフセットした位置であってもよい。本実施形態では図5に示すように、第3の孔部503が開口部403の中心からオフセットした位置に設けられる。これにより、第3の接続ピン303のはんだ付け時において、はんだ溜まりの領域が確保されやすくなり、はんだ付け作業性および接続信頼性のさらなる向上を図ることができる。
【0053】
シールドケース50の底部51にはさらに、リアケース12の底面部121との位置決め孔部504を有する。位置決め孔部504は複数個所に設けられ、リアケース12の底面部121に設けられた突起部125とそれぞれ嵌合する。位置決め孔部504の形状は特に限定されず、典型的には円形であるが、少なくとも一部に長円形あるいは楕円形のものが含まれてもよい。これにより公差等による組付け誤差を吸収できるため、組み立て性が向上する。また、突起部125は、すべての位置決め孔部504に対応する位置に設けられる必要はなく、少なくとも2つの位置決め孔部504に対応する位置に設けられていればよい。
【0054】
[センサモジュール製造方法]
続いて、以上のように構成されるセンサモジュール100の製造方法について説明する。
【0055】
本実施形態におけるセンサモジュール100の製造方法は、センサ基板20をフロントケース11に収容する工程と、シールドケース50をリアケース12に収容する工程と、センサ基板20と外部コネクタ30との間をフレキシブル配線基板40によって接続する工程と、シールドケース50と外部コネクタ30のシールド端子32とを電気的に接続する工程と、フロントケース11とリアケース12とを相互に溶着してハウジング10を形成する工程とを有する。以下、外部コネクタ30に対するフレキシブル配線基板40およびシールドケース50の接続工程について説明する。
【0056】
図2に示すように、リアケース12に収容されたシールドケース50の底部51にフレキシブル配線基板40の第2の基材端部42が配置される。第2の基材端部42は、両面テープ等を用いてシールドケース50の底部51に仮止めされてもよい。
【0057】
図3に示すように、外部コネクタ30の第1の接続ピン301は、シールドケース50の第1の孔部501およびフレキシブル配線基板40の第1のランド部401aを貫通する。外部コネクタ30の第2の接続ピン302は、シールドケース50の第2の孔部502およびフレキシブル配線基板40の第2のランド部402aを貫通する。そして、外部コネクタ30の第3の接続ピン303は、シールドケース50の第3の孔部503およびフレキシブル配線基板40の開口部403を貫通する。
【0058】
続いて、第1の接続ピン301と第1のランド部401aとの間、第2の接続ピン302と第2のランド部402aとの間、および、第3の接続ピン303とシールドケース50の底部51との間が、それぞれはんだ接合される。はんだ付け方法として、本実施形態ではレーザーはんだ付け法が採用される。なおこれに限られず、はんだ鏝を用いたはんだ付け法が採用されてもよい。
【0059】
レーザーはんだ付け法は、第1~第3の接続ピン301~303を、所定波長のレーザー光の照射により加熱する。そして、はんだ材料の線材を第1~第3の接続ピン301~303に接触させて溶融させ、溶融したはんだ材で第1~第3の接続ピン301~303の周囲を覆うフィレットを形成する。第1~第3の接続ピン301~303のはんだ付けは、個別に行われるが、同時に行ってもよい。
【0060】
所定波長のレーザー光としては、例えば、波長800nm~1000nmの赤外レーザーを用いることができる。レーザー光は、連続光でもよいし、パルス光であってもよい。はんだ材料は、フラックスを含有していてもよい。はんだ溶融時にフラックスが接合対象物の表面に生成した酸化物等を除去し、良好なはんだ付け性を確保することができる。
【0061】
本実施形態によれば、第3の接続ピン303が貫通する第3の孔部503の周囲に複数のスリット部511を有する蓄熱部510が設けられているため、第3の接続ピン303とシールドケース50へのはんだ付けにおいて、第3の接続ピン303へのレーザー光の照射により発生した熱がシールドケース50の底部51に広く拡散することが抑制される。これにより、第3の接続ピン303のはんだ付け作業性が高められる。また、蓄熱部510を外部へ露出させるフレキシブル配線基板40の開口部が楕円あるいは長円形状に形成されているため、溶融したはんだ材が開口部403の全域に濡れ広がる。これにより、所望とする接合強度を有するはんだ接合部を安定に形成することができる。
【0062】
また本実施形態によれば、外部コネクタ30のシールド端子32をシールドケース50に電気的に接続する第3の接続ピン303が複数本設けられているため、シールドケース50をグランド電位に安定に接続でき、これにより所望とするシールド効果を得ることができる。
【0063】
さらに、第3の接続ピン303が第1の接続ピン301に関して対称な位置に設けられているため、第3の接続ピン303のはんだ付けの際にシールドケース50の熱分布の均一化を図ることができる。これにより第1の接続ピン301(信号線)に作用する熱負荷を軽減することができる。
【0064】
<その他の実施形態>
以上の実施形態では、シールドケース50の第3の孔部503の周囲に複数のスリット部511を設けることによって所定の蓄熱機能を有する蓄熱部510を形成するようにしたが、これに限られない。例えば図6に示すように、第3の孔部503の周囲に環状に形成された凹部512によって蓄熱部510を形成するようにしてもよい。凹部512によってシールドケース50の底部に薄肉部が局所的に形成されるため、凹部512の内周側から外周側への熱の拡散を抑制することができる。
【0065】
また、図7に示すように、第3の孔部503の周囲に局所的に設けられた伝熱層513によって蓄熱部510が形成されてもよい。伝熱部513は、シールドケース50の底部51を構成する金属材料よりも熱伝導性の高い材料で構成される。これにより上述と同様の作用効果を得ることができる。伝熱層513は特に限定されず、金属シートや金属めっき層などであってもよい。
【0066】
<変形例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載されるセンサモジュールとして実現されてもよい。
【0067】
また、以上の実施形態では、センサモジュール100としてカメラモジュールを例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、センサ素子として、LIDAR(Light Detection and Ranging)やTOF(Time of Flight)等の測距センサが搭載されたセンサモジュールにも、本技術は採用可能である。
【0068】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1) ハウジングと、
センサ素子を有し、前記ハウジング内に配置されるセンサ基板と、
前記ハウジングに設けられる外部コネクタと、
前記センサ基板と前記外部コネクタとの間を電気的に接続し、信号線とグランド線とを有するフレキシブル配線基板と、
前記フレキシブル配線基板と前記外部コネクタとの間に配置された底部と、前記センサ基板の周囲を覆う周面部とを有する金属製のシールドケースと
を具備し、
前記外部コネクタは、前記信号線と接続される第1の接続ピンと、前記グランド線と接続される第2の接続ピンと、前記シールドケースの前記底部と接続される第3の接続ピンとを有し、
前記底部は、前記第1の接続ピンが貫通する第1の孔部と、前記第2の接続ピンが貫通する第2の孔部と、前記第3の接続ピンが貫通する第3の孔部と、前記第3の孔部の周囲に設けられ前記第3の接続ピンを前記底部に接合するはんだ材料で被覆される蓄熱部とを有する
センサモジュール。
(2)上記(1)に記載のセンサモジュールであって、
前記フレキシブル配線基板は、前記信号線および前記グランド線を支持し前記底部に配置される基材端部をさらに有し、
前記基材端部は、前記第3の接続ピンが貫通し前記第3の孔部の開口面積よりも大きな開口面積を有する開口部を有し、
前記蓄熱部は、前記開口部と対向する領域に設けられる
センサモジュール。
(3)上記(2)に記載のセンサモジュールであって、
前記蓄熱部は、前記第3の孔部の周囲に環状に形成された複数のスリット部を含む
センサモジュール。
(4)上記(2)に記載のセンサモジュールであって、
前記蓄熱部は、前記第3の孔部の周囲に環状に形成された凹部を含む
センサモジュール。
(5)上記(2)に記載のセンサモジュールであって、
前記蓄熱部は、前記底部を構成する金属材料よりも熱伝導性の高い伝熱層を含む
センサモジュール。
(6)上記(2)~(5)のいずれか1つに記載のセンサモジュールであって、
前記第3の接続ピンは、前記開口部の中心からオフセットした位置に配置される
センサモジュール。
(7)上記(2)~(6)のいずれか1つに記載のセンサモジュールであって、
前記開口部は円形状または楕円形状に形成される
センサモジュール。
(8)上記(1)~(7)のいずれか1つに記載のセンサモジュールであって、
前記第3の接続ピンは、複数の接続ピンを含み、
前記開口部は、前記複数の接続ピンに対応して設けられた複数の開口部を含む
センサモジュール。
(9)上記(8)に記載のセンサモジュールであって、
前記複数の接続ピンは、前記第1の接続ピンに関して対称な位置に設けられる
センサモジュール。
(10)上記(1)~(9)のいずれか1つに記載のセンサモジュールであって、
前記センサ素子は、固体撮像素子である
センサモジュール。
(11)上記(1)~(10)のいずれか1つに記載のセンサモジュールであって、
前記センサモジュールは、車両に取り付け可能に構成される
センサモジュール。
【符号の説明】
【0069】
10…ハウジング
11…フロントケース
12…リアケース
20…センサ基板
24…固体撮像素子(センサ素子)
30…外部コネクタ
31…信号端子
32…グランド端子
40…フレキシブル配線基板
41,42…基材端部
50…シールドケース
51…底部
52…周面部
100…センサモジュール
301…第1の接続ピン
302…第2の接続ピン
303…第3の接続ピン
310…蓄熱部
311…スリット部
312…凹部
313…伝熱層
401…信号線
402…グランド線
501…第1の孔部
502…第2の孔部
503…第3の孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7