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特許7491997体動センサー、プログラム、情報提示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】体動センサー、プログラム、情報提示システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240521BHJP
   G01P 15/00 20060101ALN20240521BHJP
【FI】
A61B5/11 200
G01P15/00 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022508175
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2021007643
(87)【国際公開番号】W WO2021187066
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2020045056
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519120950
【氏名又は名称】icuco株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 陽一
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-012072(JP,A)
【文献】特開2005-270546(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0035356(US,A1)
【文献】特開2016-067811(JP,A)
【文献】特開2016-152859(JP,A)
【文献】特開2002-243677(JP,A)
【文献】特開2004-344411(JP,A)
【文献】米国特許第10424035(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/0538
A61B 5/06 - 5/398
G01P 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の身体に接触する状態に装着可能な筐体部に配置され、装着者の身体状況を検知可能な1又は複数の検出部と、
前記検出部の検出信号に基づいて情報送信の制御が可能な制御部と、
を備え、
前記検出部として少なくとも光学式センサーを有し、
前記制御部は、
装着者に対する第1の観察者が使用可能な第1の端末装置、及び装着者に対する第2の観察者が使用可能な第2の端末装置に、前記検出部の検出信号に基づく装着者の身体状況に応じた情報提示を可能とする情報を送信し、
前記検出部が検知した装着者の身体状況に基づいて装着者の異常を検知した場合に、前記光学式センサーの検出信号により前記筐体部と装着者の身体との接触状態を判定し、
前記筐体部と装着者の身体が接触していると判定すると、装着者の異常を示すアラート情報を前記第2の端末装置に送信し、
前記筐体部と装着者の身体が接触していないと判定すると、非接触情報を前記第2の端末装置に送信する
体動センサー。
【請求項2】
装着者の身体に接触する状態に装着可能な筐体部に配置され、装着者の身体状況を検知可能な1又は複数の検出部の検出信号を取得する処理と、
装着者に対する第1の観察者が使用可能な第1の端末装置、及び装着者に対する第2の観察者が使用可能な第2の端末装置に、前記検出部の検出信号に基づく装着者の身体状況に応じた情報提示を可能とする情報を送信する処理と、
前記検出部が検知した装着者の身体状況に基づいて装着者の異常を検知した場合に、前記検出部の1つである光学式センサーの検出信号により前記筐体部と装着者の身体との接触状態を判定し、前記筐体部と装着者の身体が接触していると判定すると、装着者の異常を示すアラート情報を前記第2の端末装置に送信し、前記筐体部と装着者の身体が接触していないと判定すると、非接触情報を前記第2の端末装置に送信する処理と、
を演算処理装置に実行させるプログラム。
【請求項3】
装着者の身体に接触する状態に装着可能な筐体部に配置され、装着者の身体状況を検知可能な1又は複数の検出部と、前記検出部の検出信号に基づいて情報送信の制御が可能な制御部とを有するとともに、前記検出部として少なくとも光学式センサーを有する体動センサーと、
前記体動センサーの検出情報に基づいて装着者の身体状況に応じた情報提示を行う、装着者に対する第1の観察者が使用可能な第1の端末装置と、
前記体動センサーの検出情報に基づいて装着者の身体状況に応じた情報提示を行う、装着者に対する第2の観察者が使用可能な第2の端末装置と、
を備え、
前記検出部により検知した装着者の身体状況に基づいて装着者の異常が検知されると、前記光学式センサーの検出信号による、前記筐体部と装着者の身体との接触状態の判定結果に応じて、
前記筐体部と装着者の身体とが接触していると判定された場合に、装着者の異常を示すアラート情報を前記第2の端末装置に提示させ、
前記筐体部と装着者の身体とが接触していないと判定された場合に、非接触情報を前記第2の端末装置に提示させる
情報提示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体動センサー、及び体動センサーに関する処理を行うプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
身体に装着するセンサーに関しては、下記特許文献に開示の技術が背景技術として挙げられる。
【0003】
特許文献1には、脈波情報及び体動情報を蓄積し、脈波情報の変化情報及び体動情報の変化情報を用いることで、ユーザの睡眠状態を適切に判定する生体情報検出システムが記載されている。
また特許文献2には、操作対象機器を操作するユーザの生体情報から推定された心的状態情報と、ユーザが操作する操作対象機器の作業状況情報とに基づいて、操作対象機器を制御する生体情報処理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-067811号公報
【文献】特開2016-152859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保育士やベビーシッター、或いは父母においては、乳幼児の世話の負担が大きい。
例えば乳幼児の昼寝中などであっても、目を離すことは難しい。このため保育士等の業務負担、或いは父母の育児負担は極めて大きくなっている。
【0006】
近年、負担軽減の一つの手法として、乳幼児に体動センサーを装着し、乳幼児の異常、例えば脈拍の異常、体温の異常、あるいは身体の動きが無い状態などを検知できるようにすることが行われている。この場合、体動センサーが乳幼児の異常を検知することに応じてアラートを出力することで、保育士等が異常に気づくことができるようにすることで、常時乳幼児のそばに居なくても大丈夫なようにしている。
【0007】
しかしながら、体動センサーが正確に装着されていない、或いは乳幼児の動きなどにより体動センサーの装着状態が検知に適切な状態ではなくなるようなことにより、アラートが出力されてしまうことがある。
【0008】
この場合、乳幼児が正常な状態であるにもかかわらず、保育士が駆けつけて様子を確認しなければならないということになる。特に、昼寝中の乳幼児の寝返りや、遊戯中の活動などにより体動センサーの装着ずれ等は多く、これによってアラートが頻発し、かえって業務負担が増大してしまうといった問題も生じている。
【0009】
そこで、本発明はこのような問題に鑑みて、体動センサーの装着状態に応じて適切なアラート出力を行うことを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る体動センサーは、装着者の身体に接触する状態に装着可能な筐体部に配置され、装着者の身体状況を検知可能な1又は複数の検出部と、前記検出部の検出信号に基づいて外部装置に情報送信の制御が可能な制御部と、を備え、前記検出部として少なくとも光学式センサーを有し、前記制御部は、前記光学式センサーの検出信号により、前記筐体部と装着者の身体との接触状態を判定し、判定結果に応じて前記検出部の検出信号に基づいて外部装置に送信する情報内容を決定する。
これにより、装着者の身体状況のみならず、検出部を有する筐体部と装着者の身体との接触状態を加味して外部装置に送信する情報内容が決定される。
【0011】
上記した体動センサーにおいて、前記制御部は、前記検出部が検知した装着者の身体状況に基づいて装着者の異常を検知した場合に、前記筐体部と装着者の身体との接触状態を判定し、前記筐体部と装着者の身体が接触していると判定すると、装着者の異常を示すアラート情報を外部装置に送信し、前記筐体部と装着者の身体が接触していないと判定すると、非接触状態を示す通知信号を外部装置に送信する。
これにより、装着者の異常が検知された場合であっても、筐体部の接触状態によってアラート情報が外部装置に送信されないことがある。
【0012】
本発明に係るプログラムは、装着者の身体に接触する状態に装着可能な筐体部に配置され、装着者の身体状況を検知可能な1又は複数の検出部の検出信号を取得する処理と、前記検出部の1つである光学式センサーの検出信号により、前記筐体部と装着者の身体との接触状態を判定し、判定結果に応じて、前記検出部の検出信号に基づいて出力する情報内容を決定する処理と、を演算処理装置に実行させるプログラムである。
即ちこの演算処理装置は、体動センサー内の制御装置や、体動センサーと連携する端末装置内の制御装置などとして構成される。
【0013】
本発明に係る情報提示システムは、上記した体動センサーと、前記体動センサーから送信される情報に基づいて情報提示を行う端末装置と、を備える。体動センサーと端末装置が互いに通信を行うことで上記の情報提示システムが実現される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、誤検知によるアラートの誤出力を解消し、適切なアラート出力により保育士等の業務負担や保護者の育児負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態における情報提示システム構成の説明図である。
図2】実施の形態における留め具の装着状態の説明図である。
図3】実施の形態における端末装置の画面例の説明図である。
図4】実施の形態における端末装置の画面例の説明図である。
図5】実施の形態における体動センサーの構成のブロック図である。
図6】実施の形態における体動センサーの処理のフローチャートである。
図7】実施の形態における体動センサーの処理のフローチャートである。
図8】実施の形態における体動センサーで得られる情報の説明図である。
図9】実施の形態における他のシステム構成例の説明図である。
図10】実施の形態における他のシステム構成例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態を図1から図10を参照して説明する。
なお、本実施の形態の説明にあたり参照する図面に記載された構成は、本実施の形態を実現するにあたり必要な要部及びその周辺の構成を抽出して示している。また図面は模式的なものであり、図面に記載された各構造の厚みと平面寸法の関係、比率等は一例に過ぎない。従って、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲であれば設計などに応じて種々な変更が可能である。
【0017】
<1.情報提示システムの概要>
本実施の形態における情報提示システム100の概要について図1を参照して説明する。
図1は、体動センサー1を用いたサービスを実現する情報提示システム100の構成を示している。
【0018】
情報提示システム100は、体動センサー1、スマートフォン等の携帯端末2,3、及びクラウドサーバ4を有している。体動センサー1は、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)等の近距離無線通信により携帯端末2と通信が可能とされる。また携帯端末2,3は、Wi-Fi(Wireless Fidelity:登録商標)、LTE(Long Term Evolution:登録商標)などの通信により、クラウドサーバ4との通信が可能とされる。
【0019】
体動センサー1は乳幼児Hmの衣服等に装着される。
体動センサー1は、筐体部10に1又は複数の検出部11を備えている。具体的には検出部11として、後述する光学式脈拍センサー111、3軸加速度センサー112、温度センサー113等のセンサーを搭載しており、筐体部10の裏面がセンシング面とされる。
体動センサー1を図2のように乳幼児Hmの衣服の布地200に挟み込んで装着することで、筐体部10の裏面が乳幼児Hmの肌に接触し、脈拍、体動、体温をセンシングすることができる。
【0020】
図1に戻り、体動センサー1は、保育士、シッター等(以下、保育士を例に挙げ説明する。)が所持するスマートフォン等の携帯端末2と通信を行う。特に体動センサー1は、脈拍、体動、体温等の乳幼児Hmの身体状況を示すセンシング情報の検出に基づいて乳幼児Hmの体調の異常を検出し、携帯端末2にアラート情報を送信することができる。ここでの乳幼児Hmの異常とは、例えば呼吸、心拍、体動、寝姿勢、体温などの異常のことである。
【0021】
携帯端末2には、体動センサー1に対応するアプリケーションプログラムがインストールされており、体動センサー1からのアラート情報に応じて画像、音、振動などによりアラートを発する。
これにより保育士は、睡眠中の乳幼児Hmに対して常時そばにいなくとも、アラートにより乳幼児Hmに異常な状態が生じたことを知ることができる。
【0022】
なお、体動センサー1は、脈拍、体動、体温等のセンシング情報を携帯端末2に送信してもよい。その場合、携帯端末2において、各センシング情報から乳幼児Hmの異常を検出することで、画面、音、振動などによりアラートを発するようにすることができる。
【0023】
図3は、保育士が使用する携帯端末2に表示される画面例を示している。
携帯端末2の画面の領域21には、保育士が保護者から預かっている各乳幼児Hmの状態や、各乳幼児Hmに装着されている体動センサー1の電池残量などが表示される。例えば携帯端末2には、各乳幼児Hmの時間帯ごとの寝姿勢(身体の向き)の履歴が表示されている。なお図示しないが、乳幼児Hmの呼吸、心拍、体動、体温などの各種情報を携帯端末2に表示することもできる。
【0024】
また携帯端末2の画面の領域22には、乳幼児Hmの異常を通知するアラートや、乳幼児Hmから体動センサー1が外れている旨の通知が表示される。
保育士は、携帯端末2の表示画面を確認することで、各乳幼児Hmの状態を容易に確認することができる。
【0025】
図1の説明に戻る。アプリケーションプログラムによって動作する携帯端末2は、クラウドサーバ4と通信を行い、乳幼児Hmのセンシング情報、即ち体動センサー1で取得した脈拍、体動、体温等や、それらに基づいた判定情報などを、クラウドサーバ4にアップロードできる。
【0026】
携帯端末3は乳幼児Hmの両親等の保護者が所持する情報処理装置である。例えば専用の保護者用のアプリケーションプログラムがインストールされている。
保護者は所持する携帯端末3から当該アプリケーションプログラムにより提供されるサービスにログインすることで、クラウドサーバ4を介して自分の子供(対象となる乳幼児Hm)の様子を画面で確認できる。
【0027】
クラウドサーバ4は対象の乳幼児Hmのセンシング情報から、その乳幼児Hmの身体の状況を分析し、それに応じた保護者への提示情報を生成して、携帯端末3に提供する。
なお、クラウドサーバ4は、体動センサー1によるセンシング情報や携帯端末2による分析情報を中継するのみで、携帯端末3のアプリケーションプログラムにより、それらの情報から乳幼児Hmの身体の状況を分析し、それに応じた保護者への提示情報を生成して表示してもよい。
【0028】
図4は、保護者が使用する携帯端末3における画面表示例を示している。
携帯端末3の画面の領域31には、例えば保護者の乳幼児Hmを担当する保育士の一覧が表示され、領域32にはその保育士のうち乳幼児Hmの近くにいる保育士が別途表示される。また領域33には、乳幼児Hmの呼吸、心拍、体動、体温などの各種情報も表示される。図4では、一例として乳幼児Hmの脈拍がリアルタイムで表示されている。
保護者は、携帯端末3の表示画面を確認することで、離れていても乳幼児Hmの状態をリアルタイムで確認することができる。
【0029】
<2.体動センサーの構成>
本実施の形態における体動センサー1の構成例について図5を参照して説明する。
図5は、体動センサー1の構成例を示すブロック図である。
体動センサー1は、検出部11、制御部12、充電端子13、充電回路14、バッテリー15、電源回路16、ブザー17、フルカラーLED(Light Emitting Diode)18、及びプッシュスイッチ19を有している。
【0030】
検出部11は、例えば光学式脈拍センサー111、3軸加速度センサー112、温度センサー113を有している。
【0031】
光学式脈拍センサー111は、乳幼児Hmの脈拍(心拍)や、体動センサー1と乳幼児Hmの接触状態などを検出するために用いられる。光学式脈拍センサー111は、LED等の発光部とフォトダイオード等の受光部を有し、発光部からの光が乳幼児Hmで反射した反射光などを受光部で検出する。
なお光学式脈拍センサー111には、例えばパルスオキシメーターといった血中酸素濃度の測定装置や、赤外線温度計(非接触温度計)としての光学式センサーなども含まれる。
【0032】
3軸加速度センサー112は、乳幼児Hmの体動、例えば呼吸や寝姿勢などを検出するために用いられる。また温度センサー113は、乳幼児Hmの体温などを検出するために用いられる。
【0033】
制御部12は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)が搭載され、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータを備えて構成される。制御部12は、1又は複数のマイクロコンピュータにより実現される。
この制御部12は、バッテリー15から電源回路16を介して供給される電力で動作する。充電端子13は充電回路14と接続され、充電回路14を介して内蔵するバッテリー15に充電が可能とされている。
【0034】
また制御部12は充電回路14の動作制御、ブザー17の鳴動制御、フルカラーLED18の発光制御を行う。さらに制御部12は、プッシュスイッチ19の操作を検知することで、体動センサー1の電源オン/オフ制御を行う。
【0035】
また制御部12は、光学式脈拍センサー111、3軸加速度センサー112、温度センサー113の検出信号を常時監視し、それに応じた処理を行う。
例えば制御部12は、これら各センサーの検出信号を、そのまま携帯端末2に送信しても良いし、各センサーの検出信号を分析して得た情報を携帯端末2に送信してもよい。
【0036】
本実施の形態では、上述の各構成を有する体動センサー1において、制御部12が誤検知によるアラート防止のための処理を実現する。
【0037】
従来の3軸加速度センサー112を用いた午睡センサー(体動センサー)は、装着者の体から離れる(外れる)と体動を検知出来ず誤作動を起こしやすい。また、3軸加速度センサー112だけでは装着者の体から離れた場合に検知することができない。
午睡センサーを導入する保育園でお昼寝(午睡)中に乳幼児Hmを見守る保育士は、誤作動が頻発すると安心して見守りが出来無いだけでなく業務の妨げにもなってしまう。
【0038】
なお、ここでいう誤作動とは、本来は体動が無い時に発するアラート(音や光、画像の表示等)を間違って発動することなど、乳幼児Hmが異常状態でもないのにアラートが発生されてしまうことである。
【0039】
そこで本実施の形態の体動センサー1では、3軸加速度センサー112と脈拍などを計測する光学式脈拍センサー111を用いて乳幼児Hmのセンシング情報を検出するとともに、光学式脈拍センサー111の受光強度から乳幼児Hmの身体との距離を判定する。受光強度が弱い場合には離れている(体動センサー1が外れている)と判定し、アラートではなく「体動センサー外れのお知らせ」を図3に示すような携帯端末2の画面に通知する。
【0040】
<3.本実施の形態の処理例>
本実施の形態において、上述の制御部12が実行する処理例を図6から図8を参照して説明する。
図6は、制御部12の処理例及び保育士の行動の実施の形態を従来例と共に示している。
【0041】
従来は、図6の左側に示すように、例えばステップS1において3軸加速度センサー112の検出値が設定値より小さくなると乳幼児Hmの異常を検知し、ステップS2においてアラートを発動する。携帯端末2からのアラートを確認した保育士は、ステップS3として乳幼児Hmの体動を直接確認し、乳幼児Hmが異常状態であればステップS4として救助処置を行い、乳幼児Hmに異常が無ければステップS5で誤動作としてアラートを止めるということになる。
【0042】
一方、本実施の形態では図6の右側に示すように、制御部12は、例えばステップS11において3軸加速度センサー112の検出値が設定値より小さくなった場合、ステップS12で光学式脈拍センサー111の光強度を判定し、デバイス(体動センサー1自体)が乳幼児Hmの肌から外れているか否かの判定を行う。
【0043】
そして外れていると判定したときは、アラート発動ではなく、ステップS13において体動センサー1の外れの通知(非接触情報)を携帯端末2に送信する。この場合携帯端末2では、体動センサー1の装着異常を画面表示や音声出力、振動などにより通知する。これにより保育士は、ステップS14で慌てずに乳幼児Hmの体動センサー1の外れを確認し、装着状態を直すことができる。
【0044】
また制御部12は、3軸加速度センサー112の検出値が設定値より小さくなったことを検知し、かつ体動センサー1の外れとは判定されない場合に、ステップS15において、アラート発動として、アラートの通知を携帯端末2に送信する。また、図5で示したブザー17やフルカラーLED18により体動センサー1自身もアラート出力を行う。
【0045】
携帯端末2では、画面表示や音声出力、振動などによりアラートが行われることで、保育士に異常状態が通知される。これにより保育士は、ステップS16で即座に乳幼児Hmを確認し、必要に応じて救助処置を行うことができる。
【0046】
続いて本実施の形態の制御部12の処理例の詳細について図7を参照して説明する。
まず制御部12は、ステップS101において、検出部11(光学式脈拍センサー111、3軸加速度センサー112、及び温度センサー113)から検出信号(センシング情報)を取得する。
【0047】
そして制御部12は、ステップS102において、取得したセンシング情報に基づいて乳幼児Hmが異常であるか否かを判定する。
例えば図8に示すように、制御部12は、乳幼児Hmの呼吸の異常を3軸加速度センサー112から取得した検出信号(センシング情報)により検知する。具体的に制御部12は、加速度の検出値の最大値及び最小値、及び当該検出値のFFT(Fast Fourier Transform)の値に基づいて乳幼児Hmの呼吸の有無を検知する。制御部12は、例えば上記の検出値とFFTの値のそれぞれが所定の値以下であることをもって、乳幼児Hmが異常な状態であることを検知する。
【0048】
図示しないが、制御部12は加速度の検出値に基づいて乳幼児Hmの寝姿勢、例えばうつぶせ寝になっているか否かを検知する。制御部12は、乳幼児Hmがうつぶせ寝になっていることをもって、乳幼児Hmが異常な状態であることを検知することもできる。
【0049】
また制御部12は、乳幼児Hmの脈拍(心拍)の異常を光学式脈拍センサー111から取得した検出信号(センシング情報)により検知する。具体的に制御部12は、光強度、及び当該光強度のFFTの値に基づいて乳幼児Hmの呼吸の有無を検知する。制御部12は、例えば上記の光強度とFFTの値のそれぞれが所定の値の範囲外であることをもって、乳幼児Hmが異常な状態であることを検知する。
【0050】
なお、図示しないが、制御部12は、乳幼児Hmの体温を温度センサー113から取得し、例えば当該体温が所定の値の範囲外であることをもって、乳幼児Hmが異常な状態であると検知することもできる。
以上のように各センサーからのセンシング情報に基づいて、乳幼児Hmの異常が検知される。
【0051】
また乳幼児Hmの異常を判定するにあたり、体動センサー1が乳幼児Hmの衣服から外れてしまうことにより、加速度の検出値とそのFFTの値や、光強度の値とFFTの値が、乳幼児Hmの異常が想定されるような値となることがある。このような場合、制御部12は、乳幼児Hmが異常であると便宜的に判定することもできる。
【0052】
上記のステップS102の処理により乳幼児Hmの異常が検知されない場合、制御部12は図8の処理を終了する。即ち、乳幼児Hmは正常な状態であるため、携帯端末2に、アラートや体動センサー1の外れの通知がされることはない。
【0053】
一方、ステップS102で乳幼児Hmの異常が検知された場合、制御部12はステップS104に処理を進め、接触状態判定処理を実行する。
【0054】
接触状態判定処理において、制御部12は、光学式脈拍センサー111の検出信号(光強度)に基づいて、筐体部10の乳幼児Hmの肌との接触状態を判定する。
このとき筐体部10と乳幼児Hmの身体が接触していない(非接触状態である)と判定すると、制御部12は、ステップS105,S106の順に処理を進め、体動センサー1の外れの通知(非接触情報)を携帯端末2に送信する。この場合携帯端末2では、体動センサー1の装着異常が画面表示や音声出力、振動などにより通知される。
上記ステップS106の処理の後、制御部12は図7の処理を終了する。
【0055】
一方、筐体部10と乳幼児Hmの肌が接触していると判定すると、制御部12は、ステップS105,S107の順に処理を進め、乳幼児Hmの異常を示すアラート情報を携帯端末2に送信する。携帯端末2では、画面表示や音声出力、振動などによりアラートが行われることで、保育士に異常状態が通知される。
またこのとき制御部12は、ブザー17やフルカラーLED18のアラート出力のための動作制御も行う。
上記ステップS107の処理の後、制御部12は図7の処理を終了する。
【0056】
なお、上記では体動センサー1の外れの判定を乳幼児Hmの異常が検知されたことを条件に実行する例を挙げたが、体動センサー1の判定を行う条件はこれに限定されない。例えば、一定周期で体動センサー1の外れの判定を行い、体動センサー1の外れと判定した場合に体動センサー1の外れの通知を行うとすることなども考えられる(図8の項目B参照)。
また、体動センサー1の接触状態判定処理と乳幼児の異常の判定処理は並列に実行されてもよい。このとき体動センサー1の外れと乳幼児の異常の両方が同時に検知された場合、乳幼児Hmの異常を示すアラート情報の通知処理を優先的に実行することとしてもよい(図8の項目FからI参照)。
【0057】
また図7に相当する処理を、携帯端末2又は携帯端末3において実行してもよい。
例えば体動センサー1は、光学式脈拍センサー111や3軸加速度センサー112などからの検出値を定期的(例えば数秒間隔など)で携帯端末2に送信する。携帯端末2のCPUは、体動センサー1から当該検出値を取得することに応じて、図7の処理を行い、アラートを行うか、あるいは体動センサー1の外れを通知するかを決定し、提示する。これによっても上記同様の効果を得ることができる。
【0058】
つまり、身体に接触する状態に装着可能な筐体部10に配置され、身体状況を検知可能な1又は複数の検出部11の検出信号を取得する処理と、検出部11の1つである光学式脈拍センサー111の検出信号により、筐体部10の乳幼児Hmの身体との接触状態を判定し、判定結果に応じて、検出部11の検出信号に基づいて出力する情報内容を決定する処理と、を演算処理装置(CPU等)に実行させるアプリケーションプログラムが、携帯端末2にインストールされていることで、このような処理が実現できる。携帯端末3についても同様である。
【0059】
<4.システム構成の変形例>
本実施の形態における情報提示システム100の他の構成例について、図9及び図10を参照して説明する。
本実施の形態の情報提示システム100においては、図9に示すように体動センサー1が、Wi-Fi、LTEなどの通信により、クラウドサーバ4と直接通信することとしてもよい。また図10に示すように、体動センサー1が、ゲートウェイ5を介してクラウドサーバ4と通信することも考えられる。
【0060】
また体動センサー1で取得するセンシング情報をクラウドサーバ4で集計して学習することで、乳幼児Hmごとの個別判定が可能になる。これにより、乳幼児Hmごとにそれぞれ設定された判定基準に基づいて異常判定を行うことが可能となり、乳幼児Hmの異常の検知精度を向上させることができる。
【0061】
<5.まとめ>
以上の本実施の形態における体動センサー1は、装着者(乳幼児Hm)の身体に接触する状態に装着可能な筐体部10に配置され、乳幼児Hmの身体状況(センシング情報)を検知可能な1又は複数の検出部11と、検出部11の検出信号に基づいて外部装置(例えば携帯端末2)に情報送信の制御が可能な制御部12と、を備える(図5参照)。
【0062】
また検出部11として少なくとも光学式センサー(光学式脈拍センサー111)を有し、制御部12は、光学式脈拍センサー111の検出信号により、筐体部10と乳幼児Hmの身体との接触状態を判定し、判定結果に応じて検出部11の検出信号に基づいて例えば携帯端末2に送信する情報内容を決定する(図7のS104からS107参照)。
【0063】
これにより、乳幼児Hmの身体状況のみならず、検出部11を有する筐体部10と乳幼児Hmの身体との接触状態を加味して携帯端末2に送信する情報内容が決定される。
即ち、検出されたセンシング情報から乳幼児Hmの呼吸、脈拍、体動、寝姿勢、体温等の異常を検知した場合であっても、このような異常が、体動センサー1が乳幼児Hmの身体から外れたことに起因する誤検知であるか否かを判定することができる。よって、誤検知と判定した場合には、保育士やシッターの使用する携帯端末2に、アラート情報を送信しないようにすることができる。
従って、誤検知を解消し、適切なアラート情報の出力により保育士等の業務負担や保護者の育児負担を低減することができる。
【0064】
また本実施の形態の体動センサー1において、制御部12は、検出部11が検知した乳幼児Hmの身体状況に基づいて乳幼児Hmの異常を検知した場合に、筐体部10と乳幼児Hmの身体との接触状態を判定する(図7のS104参照)。
【0065】
制御部12は、筐体部10と乳幼児Hmの身体が接触していると判定すると、乳幼児Hmの異常を示すアラート情報を携帯端末2に送信し、筐体部10と乳幼児Hmの身体が接触していないと判定すると、非接触状態を示す通知信号を携帯端末2に送信する(図7のS105からS107参照)。
【0066】
これにより、乳幼児Hmの異常が検知された場合であっても、非接触状態であればアラート情報が携帯端末2に送信されなくなる。
従って、乳幼児Hmが正常な状態であるにもかかわらず、保育士等が駆けつけて様子を確認しなければならないケースが減少し、保育士等の業務負担や精神的負担を低減することができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、体動センサー1を装着する対象を乳幼児Hmの衣服として説明したが、体動センサー1は、乳幼児Hm以外にも成人、老人の衣服や動物の衣服、部屋のカーテンなど、布地などの厚みを有するものであれば様々な対象に装着することができる。
【0068】
最後に、本開示に記載された効果は例示であって限定されるものではなく、他の効果を奏するものであってもよいし、本開示に記載された効果の一部を奏するものであってもよい。また本開示に記載された実施の形態はあくまでも一例であり、本発明が上述の実施の形態に限定されない。従って、上述した実施の形態以外であっても本発明の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能なことはもちろんである。なお、実施の形態で説明されている構成の組み合わせの全てが課題の解決に必須であるとは限らない。
【符号の説明】
【0069】
1 体動センサー
2 携帯端末
3 携帯端末
4 クラウドサーバ
10 筐体部
11 検出部
12 制御部
100 情報提示システム
111 光学式脈拍センサー
112 3軸加速度センサー
Hm 乳幼児
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10