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特許7491998HDR画像センサ用の適応的画像データ線形化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】HDR画像センサ用の適応的画像データ線形化
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240521BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20240521BHJP
   G06T 5/92 20240101ALI20240521BHJP
   H04N 5/20 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/54
G06T5/92
H04N5/20
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022508749
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 US2020045821
(87)【国際公開番号】W WO2021030375
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】19191257.5
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/885,458
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】マケルエイン,ジョン スコット
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0007356(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0257551(US,A1)
【文献】特開2003-046859(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0226547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/54
G06T 5/92
H04N 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応的画像データ線形化を含む高ダイナミックレンジ(HDR)カメラモジュールであって、
シーンの階調圧縮後HDR画像を生成し、アクティブ画素データおよびメタデータを含むそれぞれのフレームとして前記階調圧縮後HDR画像を出力するように構成されたHDR画像センサと、
前記HDR画像センサの外部のプロセッサと、
前記HDR画像センサの外部であり、前記プロセッサによって実行されると、
(a)前記HDR画像センサによって生成された第1の階調圧縮後HDR画像のフレームから、(i)前記フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(ii)前記フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出するステップと、
(b)前記階調圧縮後画素強度および前記ヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出するステップと、
(c)前記対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像の前記アクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成するステップであって、前記第2の階調圧縮後HDR画像は、前記第1の階調圧縮後HDR画像および後続する階調圧縮後HDR画像からなる群から選択される、ステップと、
を実施するように前記プロセッサを制御する機械可読命令を記憶するメモリと、
を備え、
前記機械可読命令は、前記導出するステップが、
前記階調圧縮後画素強度の第1の累積分布関数を生成することと、
前記ヒストグラムの第2の累積分布関数を生成することと、
階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対応する対のそれぞれに対して、前記階調圧縮後画素強度で評価された前記第1の累積分布関数が、前記階調圧縮前画素強度で評価された前記第2の累積分布関数に等しいよう前記対応関係を決定することと、
を含むように構成され、
さらに、前記機械可読命令は、前記決定するステップが、
前記階調圧縮後画素強度の関数として前記階調圧縮前画素強度を指定する多項式関数として前記対応関係を決定することと、
前記多項式関数のパラメータを前記メモリに記憶することと、
を含むように構成されている、HDRカメラモジュール。
【請求項2】
適応的画像データ線形化を含む高ダイナミックレンジ(HDR)カメラモジュールであって、
シーンの階調圧縮後HDR画像を生成し、アクティブ画素データおよびメタデータを含むそれぞれのフレームとして前記階調圧縮後HDR画像を出力するように構成されたHDR画像センサと、
前記HDR画像センサの外部のプロセッサと、
前記HDR画像センサの外部であり、前記プロセッサによって実行されると、
(a)前記HDR画像センサによって生成された第1の階調圧縮後HDR画像のフレームから、(i)前記フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(ii)前記フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出するステップと、
(b)前記階調圧縮後画素強度および前記ヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出するステップと、
(c)前記対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像の前記アクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成するステップであって、前記第2の階調圧縮後HDR画像は、前記第1の階調圧縮後HDR画像および後続する階調圧縮後HDR画像からなる群から選択される、ステップと、
を実施するように前記プロセッサを制御する機械可読命令を記憶するメモリと、
を備え、
前記機械可読命令は、前記導出するステップが、
前記階調圧縮後画素強度の第1の累積分布関数を生成することと、
前記ヒストグラムの第2の累積分布関数を生成することと、
階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対応する対のそれぞれに対して、前記階調圧縮後画素強度で評価された前記第1の累積分布関数が、前記階調圧縮前画素強度で評価された前記第2の累積分布関数に等しいよう前記対応関係を決定することと、
を含むように構成され、
さらに、前記機械可読命令は、前記決定するステップが、
前記階調圧縮後画素強度の関数として前記階調圧縮前画素強度を指定するスプライン表現として前記対応関係を決定することと、
前記スプライン表現のパラメータを前記メモリに記憶することと、
を含むように構成されている、HDRカメラモジュール。
【請求項3】
前記プロセッサおよび前記メモリは、デジタル信号プロセッサに実装され、前記HDRカメラモジュールは、前記デジタル信号プロセッサによって前記線形化HDR画像を更に処理するために前記デジタル信号プロセッサに通信可能に接続された画像信号プロセッサを更に備える、請求項1または2に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項4】
前記画像信号プロセッサは、前記線形化HDR画像に、ホワイトバランス処理、色補正、ガンマ補正、デモザイク処理、ノイズ除去および画像鮮明化からなる群から選択された1つ以上の手順を適用するように構成されている、請求項3に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項5】
前記第1の階調圧縮後HDR画像および前記第2の階調圧縮後HDR画像は、前記HDR画像センサによって出力されるHDRビデオストリームの2つの連続的な画像である、請求項1または2に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項6】
前記プロセッサおよび前記メモリは、デジタル信号プロセッサに実装され、前記デジタル信号プロセッサはバッファを含み、前記機械可読命令は、前記バッファに連続的に記憶された前記第2の階調圧縮後HDR画像の前記アクティブ画素データのサブセットに対して前記線形化するステップを実施するように前記プロセッサを制御するように更に構成されている、請求項5に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項7】
前記第1の階調圧縮後HDR画像および前記第2の階調圧縮後HDR画像は、同じ静止画像であり、前記機械可読命令は、少なくとも前記線形化するステップの完了まで、前記静止画像の前記アクティブ画素データを画像記憶装置に記憶するように前記プロセッサを制御するように更に構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項8】
前記HDR画像センサは、出力ビット深度に制限される出力インターフェースを含み、前記HDR画像センサは、(i)前記出力ビット深度を超える第1のビット深度で線形HDR画像を生成し、(ii)前記線形HDR画像を階調圧縮して、前記出力ビット深度で前記階調圧縮後HDR画像を生成するように構成され、前記機械可読命令は、前記線形化するステップにおいて、前記アクティブ画素データを前記出力ビット深度から前記第1のビット深度にマッピングするように前記プロセッサを制御するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項9】
前記機械可読命令は、
前記決定するステップが、前記対応する対を列挙するルックアップテーブルを前記メモリに記憶することを含み、
前記線形化するステップが、前記第2の階調圧縮後HDR画像の前記アクティブ画素データの階調圧縮後画素強度が、前記ルックアップテーブルに列挙された階調圧縮後画素強度に等しくないとき、前記ルックアップテーブルにおけるエントリー間を補間することを含むように構成されている、請求項1に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項10】
前記HDR画像センサはカラー画像センサであり、前記ヒストグラムは輝度ヒストグラムであり、前記機械可読命令は、
前記階調圧縮後画素強度を抽出するステップが、
(a)階調圧縮後色固有画素強度の複数のセットを抽出することであって、前記セットのそれぞれがそれぞれの色に固有であることと、
(b)前記セットを結合して、前記階調圧縮後画素強度のそれぞれがそれぞれの画素輝度を表すように前記階調圧縮後画素強度を形成することと、
を含み、
前記線形化するステップが、前記対応関係に従って前記第2の階調圧縮後HDR画像の前記アクティブ画素データの各色を別個に線形化することを含むように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項11】
適応的画像データ線形化を含む高ダイナミックレンジ(HDR)カメラモジュールであって、
シーンの階調圧縮後HDR画像を生成し、アクティブ画素データおよびメタデータを含むそれぞれのフレームとして前記階調圧縮後HDR画像を出力するように構成されたHDR画像センサと、
前記HDR画像センサの外部のプロセッサと、
前記HDR画像センサの外部であり、前記プロセッサによって実行されると、
(a)前記HDR画像センサによって生成された第1の階調圧縮後HDR画像のフレ
ームから、(i)前記フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(ii)前記フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出するステップと、
(b)前記階調圧縮後画素強度および前記ヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出するステップと、
(c)前記対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像の前記アクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成するステップであって、前記第2の階調圧縮後HDR画像は、前記第1の階調圧縮後HDR画像および後続する階調圧縮後HDR画像からなる群から選択される、ステップと、
を実施するように前記プロセッサを制御する機械可読命令を記憶するメモリと、
を備え、
前記機械可読命令は、前記導出するステップが、
前記階調圧縮後画素強度の第1の累積分布関数を生成することと、
前記ヒストグラムの第2の累積分布関数を生成することと、
階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対応する対のそれぞれに対して、前記階調圧縮後画素強度で評価された前記第1の累積分布関数が、前記階調圧縮前画素強度で評価された前記第2の累積分布関数に等しいよう前記対応関係を決定することと、
を含むように構成され、
さらに、前記機械可読命令は、前記対応関係を決定するステップが、
前記階調圧縮後画素強度の最上位範囲を除外する階調圧縮後画素強度の部分範囲に対して、前記部分範囲に関連する前記階調圧縮後画素強度および前記階調圧縮前画素強度の前記対応する対に対して、前記階調圧縮後画素強度で評価された前記第1の累積分布関数が前記階調圧縮前画素強度で評価された前記第2の累積分布関数と等しいよう、前記階調圧縮後画素強度と前記階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた対応関係を決定することと、
前記最上位範囲を通して、前記直接マッチングされた対応関係を補外して、前記対応関係を生成することと、
を含むように構成されている、HDRカメラモジュール。
【請求項12】
前記機械可読命令は、前記対応関係を決定する前記ステップが、
前記第1の階調圧縮後HDR画像および前記第1の累積分布関数のうちの少なくとも一方を評価して、飽和した階調圧縮後画素強度を除外するカットオフ階調圧縮後画素強度を決定することと、
前記カットオフ階調圧縮後画素強度以下の階調圧縮後画素強度の範囲として前記部分範囲を定義することと、
を更に含むように構成されている、請求項11に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項13】
前記ヒストグラムは、階調圧縮の前に前記第1の階調圧縮後HDR画像のフルダイナミックレンジの下位サブセットを形成する部分ダイナミックレンジのみを表す部分ヒストグラムであり、前記機械可読命令は、前記対応関係を決定するステップが、
前記ヒストグラムを評価して、カットオフ階調圧縮前画素強度を決定することと、
前記カットオフ階調圧縮前画素強度以下の階調圧縮前画素強度の数に等しい数の最低階調圧縮後画素強度として前記部分範囲を定義することと、
を更に含むように構成されている、請求項11に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項14】
前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記第1の階調圧縮後HDR画像および前記第2の階調圧縮後HDR画像のそれぞれを複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンに分離し、
前記複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンのそれぞれに対して、前記階調圧縮後画素強度を抽出するステップと、前記第1の累積分布関数を生成するステップと、前記ヒストグラムを抽出するステップと、前記第2の累積分布関数を生成するステップと、前記対応関係を決定するステップと、線形化するステップとを実施することを繰り返すように前記プロセッサを制御するように構成されている、請求項9または10に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項15】
適応的画像データ線形化を含む高ダイナミックレンジ(HDR)カメラモジュールであって、
シーンの階調圧縮後HDR画像を生成し、アクティブ画素データおよびメタデータを含むそれぞれのフレームとして前記階調圧縮後HDR画像を出力するように構成されたHDR画像センサと、
前記HDR画像センサの外部のプロセッサと、
前記HDR画像センサの外部であり、前記プロセッサによって実行されると、
(a)前記HDR画像センサによって生成された第1の階調圧縮後HDR画像のフレームから、(i)前記フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(ii)前記フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出するステップと、
(b)前記階調圧縮後画素強度および前記ヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出するステップと、
(c)前記対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像の前記アクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成するステップであって、前記第2の階調圧縮後HDR画像は、前記第1の階調圧縮後HDR画像および後続する階調圧縮後HDR画像からなる群から選択される、ステップと、
を実施するように前記プロセッサを制御する機械可読命令を記憶するメモリと、
を備え、
前記機械可読命令は、前記導出するステップが、
前記階調圧縮後画素強度の第1の累積分布関数を生成することと、
前記ヒストグラムの第2の累積分布関数を生成することと、
階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対応する対のそれぞれに対して、前記階調圧縮後画素強度で評価された前記第1の累積分布関数が、前記階調圧縮前画素強度で評価された前記第2の累積分布関数に等しいよう前記対応関係を決定することと、
を含むように構成され、
さらに、前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記第1の階調圧縮後HDR画像および前記第2の階調圧縮後HDR画像のそれぞれを複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンに分離し、
前記複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンのそれぞれに対して、前記階調圧縮後画素強度を抽出するステップと、前記第1の累積分布関数を生成するステップと、前記ヒストグラムを抽出するステップと、前記第2の累積分布関数を生成するステップと、前記対応関係を決定するステップと、線形化するステップとを実施することを繰り返すように前記プロセッサを制御するように構成され、
さらに、前記機械可読命令は、前記線形化するステップが、少なくとも、前記複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンの異なるものの間の境界の閾値距離内の各画素に対して、前記画素の位置に基づき前記複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンの前記異なるものに対して決定された前記対応関係を空間的に補間することを含むように構成されている、HDRカメラモジュール。
【請求項16】
適応的画像データ線形化を含む高ダイナミックレンジ(HDR)カメラモジュールであって、
シーンの階調圧縮後HDR画像を生成し、アクティブ画素データおよびメタデータを含むそれぞれのフレームとして前記階調圧縮後HDR画像を出力するように構成されたHD
R画像センサと、
前記HDR画像センサの外部のプロセッサと、
前記HDR画像センサの外部であり、前記プロセッサによって実行されると、
(a)前記HDR画像センサによって生成された第1の階調圧縮後HDR画像のフレームから、(i)前記フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(ii)前記フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出するステップと、
(b)前記階調圧縮後画素強度および前記ヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出するステップと、
(c)前記対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像の前記アクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成するステップであって、前記第2の階調圧縮後HDR画像は、前記第1の階調圧縮後HDR画像および後続する階調圧縮後HDR画像からなる群から選択される、ステップと、
を実施するように前記プロセッサを制御する機械可読命令を記憶するメモリと、
を備え、
前記機械可読命令は、前記導出するステップが、
前記階調圧縮後画素強度の第1の累積分布関数を生成することと、
前記ヒストグラムの第2の累積分布関数を生成することと、
階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対応する対のそれぞれに対して、前記階調圧縮後画素強度で評価された前記第1の累積分布関数が、前記階調圧縮前画素強度で評価された前記第2の累積分布関数に等しいよう前記対応関係を決定することと、
を含むように構成され、
さらに、前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記第1の階調圧縮後HDR画像および前記第2の階調圧縮後HDR画像のそれぞれを複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンに分離し、
前記複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンのそれぞれに対して、前記階調圧縮後画素強度を抽出するステップと、前記第1の累積分布関数を生成するステップと、前記ヒストグラムを抽出するステップと、前記第2の累積分布関数を生成するステップと、前記対応関係を決定するステップと、線形化するステップとを実施することを繰り返すように前記プロセッサを制御するように構成され、
前記複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンのそれぞれはそれぞれの中心位置を有し、前記機械可読命令は、前記線形化するステップが、各画素に対しかつ前記画素の位置に基づき、前記画素に最も近いそれぞれの中心位置を有する4つの空間画像ゾーンに対して決定された前記対応関係を空間的に補間することを含むように構成されている、HDRカメラモジュール。
【請求項17】
前記HDR画像センサは、階調圧縮前画素強度のヒストグラムを含むアクティブ画素データおよびメタデータを含むそれぞれのフレームとして前記階調圧縮後HDR画像を出力するように構成されている、請求項1から16のいずれか一項に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項18】
前記HDR画像センサによって生成される前記第1の階調圧縮後HDR画像から抽出された階調圧縮前画素強度の前記ヒストグラムは、前記第1の階調圧縮後HDR画像の前記フレームの前記メタデータに提供される、請求項1から17のいずれか一項に記載のHDRカメラモジュール。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載のHDRカメラモジュールを備える電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年8月12日に出願された米国仮特許出願第62/885,458号および2019年8月12日に出願された欧州特許出願第19191257.5号の優先権を主張し、これら両方を参考のため本願において援用する。
【0002】
本出願は、高ダイナミックレンジ(HDR:high dynamic range)画像センサ、HDR画像センサによって生成された画像データの処理、並びにモバイルデバイスにおけるHDR画像センサおよび関連処理の実装に関する。
【背景技術】
【0003】
過去数十年にわたり、高ダイナミックレンジ(HDR)画像取込みのための多くの方法が開発されてきた。主に専門分野および科学分野で見られるハイエンドカメラシステムは、通常、高ビット深度のアナログデジタル変換回路とともに大きいセンサ画素を採用する。各センサ画素が大きいことにより、各センサ画素は、本質的に高いダイナミックレンジを有する。したがって、こうしたハイエンドHDRカメラシステムによって取り込まれたロー(raw)画像は、センサの単一露光でHDRイメージを提供し得る。CCD設計およびCMOS設計の両方において、こうしたシステムの性能の向上を更に促進することで、読出しノイズレベルが劇的に低減し、それにより、ハイエンドHDRカメラシステムにおいて14Fストップを超える単一露光取込みダイナミックレンジが可能になる。
【0004】
しかしながら、最も広く使用されているHDRカメラは、コストおよびスペース両方の制約を受け、それにより、大きいセンサ画素および高ビット深度のアナログデジタル変換回路を備えた画像センサを搭載することができない。代わりに、モバイルデバイスに搭載されたもの等の大部分のHDRカメラは、時間多重化または空間多重化を利用して、同じシーンの2つ以上の画像をそれぞれ2つ以上の異なる露光設定で取り込む。2つの異なる露光設定の場合、低露光画像は、シーンの明るい部分に対して最適な画像データを提供し、一方で、高露光画像は、シーンの暗い部分に対して最適な画像データを提供する。低露光画像および高露光画像は、取込み後、合成されて、低露光画像および高露光画像のいずれよりも高いダイナミックレンジにわたるHDR画像が生成される。
【0005】
時間多重化HDR撮像では、画素アレイ全体は2回露光される(1回は長い露光時間および/または高いゲインで、1回は短い露光時間および/または低いゲインで)。時間多重化HDR撮像は、3つ以上の異なる露光設定を利用して、ダイナミックレンジを更に拡大してもよい。時間多重化HDR撮像は、従来の非HDR画像センサを用いて実施することができる。
【0006】
一方、空間多重化HDR撮像は、HDR固有の画素アレイを利用する。画素アレイの異なるサブセットは、画素アレイによって取り込まれた各フレームが異なる露光設定で取り込まれた画像を含むように、異なるそれぞれの露光設定で動作するように構成されている。例えば、「ジグザグ(zig-zag)HDR」構成では、画素アレイレイアウトは、ジグザグ線状の画素からなり、レイアウトは低露光ジグザグ線と高露光ジグザグ線とが交互になっている。このレイアウトは、従来のベイヤーカラーフィルタ配列の上に重ね合わされる。「クアッド(quad)HDR」構成では、従来のベイヤーカラーフィルタ配列が拡張され、各カラーフィルタが(単一画素の上ではなく)2×2画素群の上に位置し、各2×2画素群が1つの低露光画素、2つの中間露光画素および1つの高露光画素からなるようになっている。
【発明の概要】
【0007】
一実施の形態において、適応的画像データ線形化を含む高ダイナミックレンジ(HDR)カメラモジュールが、シーンの階調圧縮後HDR画像を生成し、アクティブ画素データおよびメタデータを含むそれぞれのフレームとして前記階調圧縮後HDR画像を出力するように構成されたHDR画像センサを備える。該HDRカメラモジュールは、前記HDR画像センサの外部のプロセッサと、前記HDR画像センサの外部のメモリとを更に備える。前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、(a)前記HDR画像センサによって生成された第1の階調圧縮後HDR画像のフレームから、(i)前記フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(ii)前記フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出するステップと、(b)前記階調圧縮後画素強度および前記ヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出するステップと、(c)前記対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像の前記アクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成するステップであって、前記第2の階調圧縮後HDR画像は、前記第1の階調圧縮後HDR画像および後続する階調圧縮後HDR画像からなる群から選択される、ステップとを実施するように前記プロセッサを制御する機械可読命令を記憶する。
【0008】
一実施の形態において、階調圧縮後高ダイナミックレンジ(HDR)画像を線形化する適応的方法が、(i)HDR画像センサから、第1の階調圧縮後HDR画像のフレームを受信することと、(ii)前記フレームから、(a)該フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(b)前記フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出することと、(iii)前記階調圧縮後画素強度および前記ヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出することと、(iv)前記HDR画像センサから、第2の階調圧縮後HDR画像のフレームを受信することと、(v)前記対応関係に従って、前記第2の階調圧縮後HDR画像の前記フレームのアクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成することとを含む。前記第2の階調圧縮後HDR画像は、前記第1の階調圧縮後HDR画像と後続する階調圧縮後HDR画像とからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による、適応的画像データ線形化を含む高ダイナミックレンジ(HDR)カメラモジュールを例示的な使用シナリオで示す図である。
図2図1のHDRカメラモジュールを更に詳細に示す図である。
図3】一実施形態による、階調圧縮後HDR画像のフレームを示す図である。
図4】一実施形態による、階調圧縮後HDR画像を線形化する適応的方法を示す図である。
図5】一実施形態による、階調圧縮後HDRビデオストリームの適応的に線形化する線形化器を示す図である。
図6】一実施形態による、階調圧縮後HDR画像を線形化する別の適応的方法を示す図である。
図7】一実施形態による、階調圧縮後HDR画像自体に基づいて、図7のHDRカメラモジュールの画像センサによって生成された各階調圧縮後HDR画像を線形化するように構成されたHDRカメラモジュールを示す図である。
図8】一実施形態による、適応的画像データ線形化の機械可読命令を含むHDRカメラモジュールを示す図である。
図9】一実施形態による、階調圧縮後HDR画像を線形化する更に別の適応的方法を示す図である。
図10】一実施形態による、階調圧縮後HDR画像を累積分布関数に基づいて線形化する適応的方法のフローチャートである。
図11図10の方法の或る特定の要素の例示的な図である。
図12図10の方法の或る特定の要素の例示的な図である。
図13図10の方法の或る特定の要素の例示的な図である。
図14図10の方法の対応関係導出ステップの別の例の視覚的図である。
図15図10の方法の対応関係導出ステップの別の例の視覚的図である。
図16】一実施形態による、輝度に基づいて階調圧縮後HDRカラー画像を線形化する適応的方法を示す図である。
図17】一実施形態による、階調圧縮前輝度と階調圧縮後HDRカラー画像の単一色成分とに基づいて、階調圧縮後HDRカラー画像を線形化する適応的方法を示す図である。
図18】一実施形態による、各色成分を別個に考慮することに基づいて階調圧縮後HDRカラー画像を線形化する適応的方法を示す図である。
図19】一実施形態による、単一色成分の階調圧縮前画素強度に一部基づいて階調圧縮後HDRカラー画像を線形化する適応的方法を示す図である。
図20】一実施形態による、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた部分対応関係を導出し、次いで、直接マッチングされた対応関係を補外することにより、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を決定する適応的方法のフローチャートである。
図21図20の方法の或る特定の要素を示す例示的な図である。
図22】一実施形態による、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた部分対応関係の導出の範囲を決定する方法を示す図である。
図23】一実施形態による、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との空間的に変化する対応関係に従って階調圧縮後HDR画像を線形化する適応的方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、適応的画像データ線形化を含む1つの高ダイナミックレンジ(HDR)カメラモジュール100を、一例示的なシナリオで示す。HDRカメラモジュール100は、携帯電話またはタブレット等のモバイルデバイス102に実装され得る。より一般的には、カメラモジュール100は、電子デバイスに実装され得る。HDRカメラモジュール100を実装することができる例示的な電子デバイスとしては、(携帯電話およびタブレット等のモバイルデバイスに加えて)カメラデバイス、ディスプレイデバイス、メディアプレイヤ、ゲーミングデバイス、ラップトップおよびデスクトップコンピュータが挙げられる。電子デバイスは、ハウジングを備えることができ、そのハウジング内にHDRカメラモジュール100が配置される。HDRカメラモジュール100は、HDR画像センサ110および線形化器120を含む。HDRカメラモジュール100は、シーンのHDRイメージを生成するように構成されている。HDRイメージは、HDRビデオストリームまたは1つ以上のHDR静止画像であり得る。HDR画像センサ110は、モノクロ画像センサまたはカラー画像センサであり得る。HDR画像センサ110がカラー画像センサであるとき、HDR画像センサ110によって取り込まれた各HDR画像は、複数の色成分、例えば赤色、緑色および青色を含む。
【0011】
図1に示す例示的なシナリオでは、HDRカメラモジュール100は、明るい領域(例えば、太陽196によって照らされる風景)と暗い領域(例えば、太陽196によって背面から照らされた人々192の顔194、および同様に太陽196によって背面から照らされた看板198に書かれた文字)との両方を含むシーン190のHDRイメージを生成する。例えば、8ビットまたは10ビットのビット深度を有する、従来の非HDRカメラのダイナミックレンジは、シーン190の明るい領域および暗い領域の両方を取り込むには不十分である可能性が高い。したがって、シーン190の非HDR画像は、顔194および看板198に書かれたものが露光不足となり、かつ/またはシーン190の風景が露光過多となる可能性が高い。HDRカメラモジュール100は、シーン190等のHDRシーンをより適切に取り込むために拡大されたダイナミックレンジでHDR画像を取り込むように構成されている。
【0012】
図2は、HDRカメラモジュール100を更に詳細に示す。HDR画像センサ110は、初期HDRビット深度でHDR画像282を生成するように構成されている。しかしながら、HDR画像センサ110の出力は、例えば、デバイス通信プロトコルとの互換性のために、初期HDRビット深度よりも低い出力ビット深度に制限される。したがって、HDR画像センサ110は、階調圧縮後HDR画像284を出力する。各階調圧縮後HDR画像284の画素強度は、出力ビット深度にマッピングされたHDR画像282の画素強度である。概して、階調圧縮後HDR画像284の画素強度は、階調圧縮プロセスを通して画像情報を最適に保持するように、実際のシーン強度に非線形的に関連する。線形化器120が、各階調圧縮後HDR画像284を再線形化して、少なくともおよそ線形的に実際のシーン強度に関連する画素強度を有する線形化HDR画像286を生成するように構成されている。線形化器120は、線形化HDR画像286のビット深度が階調圧縮後HDR画像284のビット深度を超えるように、階調圧縮後HDR画像284の画素強度をより高いビット深度、例えば第1のビット深度にマッピングすることもできる。線形化HDR画像286のビット深度は、階調圧縮前HDR画像282のビット深度に等しい場合がある。
【0013】
線形化器120は、階調圧縮前HDR画像282から階調圧縮後HDR画像284を生成するために、HDR画像センサ110によって使用される階調圧縮関数の先験的知識を必要としない。こうした先験的知識は、入手可能でないことが多い。代わりに、線形化器120は、階調圧縮後HDR画像284のフレームから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出する。したがって、線形化器120は、HDR画像センサ110によって使用される階調圧縮関数の変化に適応し得る。1つのシナリオでは、HDR画像センサ110は、シーンの特性および/または取込み設定に従って階調圧縮関数を動的に調整する。線形化器120は、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、本明細書で考察するように階調圧縮後HDR画像284を線形化するようにプロセッサを制御する機械可読命令を符号化した非一時的メモリとを含むことができる。線形化器120は、デジタル信号プロセッサ(DSP)に実装され得る。
【0014】
図3は、1つの階調圧縮後HDR画像284のフレーム300を示す。フレーム300は、アクティブ画素データ310およびメタデータ320を含む。アクティブ画素データ310は、画素強度の行312を含むことができ、各行312は、階調圧縮後HDR画像284の画素行に対応する。メタデータ320は、階調圧縮前情報322、すなわち、階調圧縮前画像282の画素強度に関係する情報を含む。階調圧縮前情報322は、階調圧縮前HDR画像282の画素強度の1つ以上の完全なヒストグラムまたは部分的なヒストグラム等、統計的情報であり得る。メタデータ320に含まれる情報のタイプは、HDR画像センサ110への関数呼出しを介して構成可能であり得る。
【0015】
本明細書で用いる場合の画像の「ヒストグラム」という用語は、複数の「ビン」にわたる画像内の1つ以上の色成分の画素値の分布を示す。例えば、ビンの数Nは、画素の全てのあり得る値に等しい可能性があり(例えば、N=2bitdepth)、ここで、bitdepthは、画素精度(例えば、8ビット、10ビット等)を示す。いくつかの実施形態において、ビンの数は、N未満であり得る。例えば、限定なしに、N個のビンとPs(i)個の画素値を有する画像とを考慮すると、画像のヒストグラムhist[]は、以下のように計算することができ、
for(b=0;b<N;b++)
hist[b]=0;
for(i=0;i<P;i++)

temp=fN(s[i]);
hist[temp]=hist[temp]+1;

ここで、fN(x)は、xの値をN個のビンのうちの1つにマッピングする関数を示す。例えば、N=2bitdepth、fN(x)=xであるとき、または任意のNに対して、
【数1】
である。
【0016】
一実施形態において、或る画像に対するヒストグラムhist[]を考慮すると、その画像の累積分布関数(CDF)は、以下のように計算することができる。
CDF[0]=hist[0];
for(b=1;b<N;b++)
CDF[b]=CDF[b-1]+hist[b];
【0017】
再び図2を参照して、線形化器120は、1つの階調圧縮後HDR画像284のフレーム300を処理し、階調圧縮前情報322をアクティブ画素データ310の画素強度と比較して、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を決定する。そして、線形化器120は、この対応関係を、同じフレーム300、または後続する階調圧縮後HDR画像284に関連する別のフレーム300のいずれかのアクティブ画素データ310の階調圧縮後画素強度に適用して、アクティブ画素データ310の階調圧縮後画素強度を線形化する。結果としての線形化画素強度は、線形化HDR画像286において出力される。
【0018】
HDRカメラモジュール100は、メタデータ320が階調圧縮前情報322を含むように、メタデータ320に含まれる情報のタイプを定義するマスターコントローラ240を含むことができる。マスターコントローラ240は、HDR画像センサ110による画像取込みを更に制御してもよい。
【0019】
図2は、HDR画像センサ110の1つの例示的な実施態様を示す。この実施態様では、HDR画像センサ110は、画素アレイ210、アナログデジタル変換器(ADC)212、HDR合成器214、階調圧縮器216およびインターフェース218を含む。画素アレイ210の各露光に対して、ADC212は、画素アレイ210からのアナログ信号をデジタル画像データ281に変換する。1つの例では、画素アレイ210は空間多重化され、画素アレイ210の各露光により、2つ以上の異なる露光設定でそれぞれ取り込まれるシーンの2つ以上の画像が生成される。本明細書において、「露光設定」は、露光時間、利得、またはそれらの組合せを指す。この例では、画素アレイ210は、ジグザグHDR画素アレイまたはクアッドHDR画素アレイであり得る。別の例では、HDR画像センサ110は、時間多重化され、画素アレイ210を2つ以上の異なる露光設定でそれぞれ2回以上露光するように構成されている。HDR画像センサ110が空間多重化を利用するか時間多重化を利用するかに関わらず、HDR合成器214は、2つ以上の異なる露光設定でそれぞれ取り込まれたシーンの2つ以上の画像を合成することにより、デジタル画像データ281から各階調圧縮前HDR画像282を生成する。階調圧縮器216は、各HDR画像282を階調圧縮して、階調圧縮後HDR画像284を生成する。インターフェース218は、階調圧縮後HDR画像284を出力する。
【0020】
1つの実施態様では、デジタル画像データ281のビット深度は、8ビットまたは10ビットであり、各HDR画像282のビット深度は14ビットまたは16ビットであり、一方で、インターフェース218は、出力ビット深度が10ビットに制限されるモバイルインダストリーパラレルインターフェース(MIPI:Mobile Industry Parallel Interface)標準規格に準拠する。この実施態様では、階調圧縮器216は、ビット深度を14ビットまたは16ビットから10ビットに圧縮する。
【0021】
HDRカメラモジュール100は、画像信号プロセッサ(ISP)230を更に含んでもよい。ISP230は、線形化HDR画像286を処理して、処理済みHDR画像288を生成する。ISP230は、線形化HDR画像286に対して、ホワイトバランス処理、色補正、ガンマ補正、デモザイク処理、ノイズ除去および画像鮮明化からなる群から選択された1つ以上の手順を適用し得る。
【0022】
階調圧縮後HDR画像284は、階調圧縮後画素強度とシーン強度との概して非線形の関係により、特に階調圧縮がシーンに依存する場合、表示には適していない。線形化器120によって生成された線形化HDR画像286は、すぐ表示できるか、または少なくともISP230によって処理される用意ができている。多くのカメラモジュールは、画像センサによって出力される画像を処理するISPを含むが、これらのISPは、(a)シーン線形画素強度(すなわち、少なくともおよそ線形的にシーン強度に関連する画素強度)を処理するように構成され、(b)階調圧縮がシーン依存である階調圧縮後画素強度を線形化するように構成されていない。ISP230を含むHDRカメラモジュール100の実施形態において、線形化器120は、ISP230による処理の前に画素強度を線形化する必要なプリプロセッサとして機能する。
【0023】
あり得る代替的な解決法では、HDR画像センサ110は、HDR合成器214によるHDR合成の前に、デジタル画像データ281を出力して、HDR画像センサ110の外部でHDR合成を実施するように構成される。しかしながら、非常にハイエンドなシステムを除き、典型的なモバイルデバイスには、こうしたオフセンサHDR合成機能がなく、したがって、そうしたモバイルデバイスは、HDR画像センサに搭載された階調圧縮に頼らなければならない。したがって、このあり得る代替解決法は、通常、少なくともモバイルデバイスの場合、実現可能な解決法ではない。
【0024】
或る特定の利点を要約すると、線形化器120は、以下のようなカメラモジュールにおいて、階調圧縮後画素強度を線形化することができる。すなわち、(a)オフセンサHDR合成機能がなく、したがって、HDR画像センサに搭載されたHDR合成に頼らなければならず、かつ(b)階調圧縮が必要であるように、HDRビット深度よりも低いHDR画像センサの出力のビット深度に制限を課す、カメラモジュールである。線形化器120によって実施される線形化は、HDR画像センサに搭載された適用される階調圧縮機能の先験的知識を必要としない。代わりに、線形化器120は、HDR画像センサによって出力される階調圧縮後HDR画像フレームから必要な情報を導出する。線形化器120のこの特徴により、線形化器120は、HDR画像センサに搭載された適用される階調圧縮機能の動的変化に適応することができる。
【0025】
本明細書の範囲から逸脱することなく、線形化器120は、サードパーティによって提供されるHDR画像センサ110とともに、任意選択的に、サードパーティによって提供されるISP230および/またはマスターコントローラ240とともに、カメラモジュールに実装されるように構成された独立型製品として提供され得る。
【0026】
図4は、階調圧縮後HDR画像を線形化する1つの適応的方法400を示す。方法400は、線形化器120によって実施され得る。方法400は、ステップ410、420、430および440を含む。
【0027】
ステップ410は、HDR画像センサから第1の階調圧縮後HDR画像のフレームを受信する。ステップ410の1つの例では、線形化器120は、HDR画像センサ110から第1の階調圧縮後画像284のフレーム300を受信する。
【0028】
ステップ420は、フレームのアクティブ画素データとフレームのメタデータにおける階調圧縮前画素強度情報との比較から、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出する。ステップ420の1つの例では、線形化器120は、第1の階調圧縮後画像284のフレーム300のアクティブ画素データ310と階調圧縮前情報322とを比較する。この比較から、線形化器120は、第1の階調圧縮後画像284の階調圧縮後画素強度と階調圧縮前HDR画像282の階調圧縮前画素強度との対応関係を導出する。ステップ420で実施される比較は、第1の階調圧縮後画像の全ての階調圧縮後画素強度を考慮してもよい。
【0029】
ステップ430は、HDR画像センサから後続する階調圧縮後HDR画像のフレームを受信する。この後続する階調圧縮後HDR画像は、ステップ410において受信された第1の階調圧縮後HDR画像の後に取り込まれる。ステップ430の1つの例では、線形化器120は、ステップ410において受信された階調圧縮後画像284に関連する階調圧縮前HDR画像282に続いてHDR画像センサ110によって取り込まれた階調圧縮前HDR画像282に基づく、別の階調圧縮後画像284のフレーム300を受信する。
【0030】
ステップ440は、ステップ420において導出された対応関係に従って、ステップ430において受信された、後続する階調圧縮後HDR画像を線形化する。ステップ440の1つの例では、線形化器120は、ステップ420において導出された対応関係に従って、ステップ430において受信された、後続する階調圧縮後HDR画像284の階調圧縮後画素強度を線形化して、線形化HDR画像286を生成する。ステップ440は、第2の階調圧縮後HDR画像を、階調圧縮前ビット深度に(または、第1の階調圧縮後HDR画像のビット深度を超える別のビット深度に)マッピングするステップ442を含むことができる。
【0031】
方法400は、各フレームの処理に対して利用可能な時間および/またはメモリが限られている階調圧縮後HDRビデオストリームの線形化に、特によく適している。階調圧縮後HDRビデオストリームを線形化するために使用される場合、方法400は、ビデオストリームの各階調圧縮後HDR画像に適用され、ビデオストリームの先行する階調圧縮後HDR画像に対して決定された対応関係に従って、ビデオストリームの各階調圧縮後HDR画像を線形化し得る。ビデオ処理は、全ての処理を取込みフレームレートに一致するフレームレートで行わなければならないという時間制約を受けることが多い。
【0032】
1つの例示的なシナリオでは、線形化器120は、階調圧縮後HDRビデオストリームの各階調圧縮後画像284のフレーム300を「オンザフライ」で線形化する。このシナリオにおける各フレーム300に対して、線形化器120は、(a)階調圧縮後HDRビデオストリームの直前のフレーム300から導出された対応関係に従ってフレーム300の異なるサブセットを逐次的に受信するとともに線形化し、それと同時に、(b)異なるサブセットのそれぞれから、アクティブ画素データ310の階調圧縮後画素強度を逐次的に抽出する。この逐次処理が完了したとき、線形化器は、ステップ420を実施するためのデータを収集しており、続けて、階調圧縮後HDRビデオストリームの次のフレーム300に適用される対応関係を決定する。ステップ420を実施するために収集される階調圧縮後画素強度は、より低い解像度で収集され得ることが理解される。1つの例では、階調圧縮後画素強度は、事前規定されたヒストグラムビンにビニングされて、線形化器120が、各画素に対して正確な階調圧縮後画素強度を記憶するのではなく、各ビンにおける画素の数をカウントするだけでよいようにする。
【0033】
図5は、階調圧縮後HDRビデオストリームを適応的に線形化する1つの線形化器520を示す。線形化器520は、方法400の一実施形態を実施するように構成されている。線形化器520は、階調圧縮後HDR画像284のフレーム300の階調圧縮後画素強度の行312を記憶することができるバッファ524を含む。各階調圧縮後HDR画像284に対して、線形化器520は、N個の行312の全てをバッファ524に次々に逐次的に記憶する。各行312は、先行する階調圧縮後HDR画像284から導出された対応関係522に基づいてステップ440に従って、かつ後続する階調圧縮後HDR画像284を線形化するのに役立つ方法400の反復においてステップ420に対してデータを収集するように、処理される。全ての行312を処理した後、線形化器520は、メタデータ320から階調圧縮前情報322を抽出し、ステップ420を完了して対応関係522を更新する。
【0034】
本明細書の範囲から逸脱することなく、バッファ524は、いくつかの行312のブロックを記憶して、線形化器520が個々の行312を逐次的に処理する代わりに行312のブロックを逐次的に処理するようにすることができてもよい。
【0035】
図6は、階調圧縮後HDR画像を線形化する別の適応的方法600を示す。方法600は、線形化器120によって実施され得る。方法600は、最初に、図4に関連して上述したように、ステップ410および420を実施する。ステップ420において第1の階調圧縮後画像に基づいて対応関係を決定した後、ステップ640は、対応関係に従って第1の階調圧縮後画像を線形化する。ステップ640は、ステップ640が、対応関係が導出されたものと同じ階調圧縮後HDR画像の線形化に対して対応関係を適用することを除き、ステップ440と同様である。ステップ640は、第1の階調圧縮後HDR画像を階調圧縮前ビット深度に(または、第1の階調圧縮後HDR画像のビット深度を超える別のビット深度に)マッピングするステップ642を含むことができる。方法600は、階調圧縮後HDR静止画像の処理に特に適している。静止画像処理は、通常、ビデオストリーム処理よりも時間制約が少なく、したがって、各フレームのサブセット(例えば、行)のオンザフライ逐次処理ではなくフルフレームの処理が可能である。
【0036】
図7は、階調圧縮後HDR画像自体に基づき、HDRカメラモジュール700の画像センサによって生成された、各階調圧縮後HDR画像を線形化するように構成された、1つのHDRカメラモジュール700を示す。HDRカメラモジュール700は、HDR画像センサ110および線形化器720を含む。HDRカメラモジュール700は、ISP230およびマスターコントローラ240のうちの一方または両方を更に含んでもよい。HDRカメラモジュール700は、HDRカメラモジュール100の一実施形態であり、線形化器720は、線形化器120の一実施形態である。
【0037】
線形化器720は、方法600の一実施形態を実施するように構成されている。線形化器720は、階調圧縮後HDR画像284のフレーム300のアクティブ画素データ310のフルフレーム724を記憶することができる画像記憶装置770と、通信可能に接続されている。動作時、線形化器720は、方法600のステップ410においてフレーム300を受信し、画像記憶装置770にフレーム300の全てのアクティブ画素データ310をフルフレーム724として記憶する。方法600のステップ420において、線形化器720は、フレーム300から対応関係522を導出する。次に、方法600のステップ640において、線形化器720は、画像記憶装置770からフルフレーム724を取り出し、対応関係522に従ってその階調圧縮後画素データを線形化する。線形化器720は、線形化HDR画像286を出力する前に、線形化HDR画像286の全ての一部を記憶するために画像記憶装置770を利用してもよい。
【0038】
HDRカメラモジュール700は、画像記憶装置770とともにモバイルデバイス702に実装され得る。1つの例では、モバイルデバイス702は、HDRカメラモジュール700の外部にメモリを有し、このメモリが画像記憶装置770としての役割を果たすことを含むいくつかの機能を有する、携帯電話またはタブレットである。このメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはソリッドステートドライブ(SSD)であり得る。本明細書の範囲から逸脱することなく、画像記憶装置770は、代わりに、HDRカメラモジュール700上に搭載されて実装され得る。HDRカメラモジュール700は、より一般的には、画像記憶装置770とともに(例えば、図1に関連して考察したタイプのうちの任意のものの)電子デバイスに実装され得る。
【0039】
図8は、適応的画像データ線形化の機械可読命令を含む1つのHDRカメラモジュール800を示す。HDRカメラモジュール800は、プロセッサ810、非一時的メモリ820、インターフェース890およびHDR画像センサ110を含む。HDRカメラモジュール800は、HDRカメラモジュール100の一実施形態であり、ISP230およびマスターコントローラ240のうちの一方または両方を含み得る。プロセッサ810およびメモリ820は、協働して線形化器120の一実施形態を形成する。メモリ820は、機械可読命令830を含む。プロセッサ810およびメモリ820は、デジタル信号プロセッサに実装され得る。機械可読命令830は、データ抽出命令832、対応関係導出命令834および線形化命令836を含む。
【0040】
プロセッサ810によって実行されると、データ抽出命令832は、インターフェース890を介してHDR画像センサ110から受信された階調圧縮後HDR画像284のフレーム300からデータを抽出するように、プロセッサ810を制御する。具体的には、プロセッサ810は、(a)アクティブ画素データ310から階調圧縮後画素強度を抽出し、メタデータ320から階調圧縮前画素情報322を抽出する。1つの実施形態において、例えば図5に関して上述したように、メモリ820はバッファ524を含み、プロセッサ810は、アクティブ画素データ310の行312を記憶するためにバッファ524を利用する。図8には示さない別の実施形態において、例えば図7に関して上述したように、HDRカメラモジュール800は、インターフェース890を介して画像記憶装置770と通信可能に接続され、プロセッサ810は、アクティブ画素データ310を記憶するために画像記憶装置770を利用する。更に別の実施形態において、メモリ820は動的データ記憶装置860を含み、プロセッサ810は、アクティブ画素データ310および/または階調圧縮前情報322を記憶するために動的データ記憶装置860を利用する。
【0041】
プロセッサ810によって実行されると、対応関係導出命令834は、アクティブ画素データ310と階調圧縮前情報322との比較から対応関係522を導出するように、プロセッサ810を制御する。プロセッサ810は、対応関係522を動的データ記憶装置860に記憶し得る。
【0042】
プロセッサ810によって実行されると、線形化命令836は、階調圧縮後HDR画像284を線形化して線形化HDR画像286を生成するように、プロセッサ810を制御する。線形化命令836は、インターフェース890を介して線形化HDR画像286を出力するように、プロセッサ810を制御し得る。プロセッサ810は、線形化命令863の実行中、階調圧縮後および/または線形化画素強度を記憶するために、バッファ524、動的データ記憶装置860および/または画像記憶装置770(図8には図示せず)を利用し得る。
【0043】
図9は、階調圧縮後HDR画像を線形化する更に別の適応的方法900を示す。方法900は、ステップ910、920、930および950を含む。方法900は、HDRカメラモジュール800によって実施され得る。
【0044】
ステップ910は、HDR画像センサから、第1の階調圧縮後HDR画像のフレームを受信する。ステップ910の1つの例では、プロセッサ810は、HDR画像センサ110からインターフェース890を介して階調圧縮後HDR画像284のフレーム300を受信する。
【0045】
ステップ920は、ステップ410において受信されたフレームから、(a)フレームのアクティブ画素データから階調圧縮後画素強度を抽出し、(b)フレームのメタデータに提供された階調圧縮前画素強度のヒストグラムを抽出する。ステップ920の1つの例では、プロセッサ810は、データ抽出命令832を実行して、(a)アクティブ画素データ310から階調圧縮後画素を抽出し、(b)メタデータ320から階調圧縮前ヒストグラム864(図8を参照)を抽出する。階調圧縮前ヒストグラム864は、階調圧縮前情報322の一例であり、または階調圧縮前情報322に含まれる。階調圧縮前ヒストグラム864は、階調圧縮前HDR画像282の画素強度のヒストグラムである。階調圧縮前ヒストグラム864は、階調圧縮前HDR画像282の全ての画素、または階調圧縮前HDR画像282の画素のサブセットを表し得る。HDRカラー画像の場合、階調圧縮前ヒストグラム864は輝度ヒストグラムであり得る。
【0046】
ステップ930は、階調圧縮後画素強度および階調圧縮前ヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出する。ステップ930の1つの例では、プロセッサ810は、対応関係導出命令834を実行して対応関係522を決定する。
【0047】
ステップ950は、ステップ930において導出された対応関係に従って第2の階調圧縮後HDR画像のフレームのアクティブ画素データの少なくとも一部を線形化し、それにより、線形化HDR画像を生成する。ステップ940の1つの例では、プロセッサ810は、線形化命令836を実行して、対応関係522に従って階調圧縮後HDR画像284を線形化し、それにより、線形化HDR画像286を生成する。第2の階調圧縮後HDR画像は、(a)第1の階調圧縮後HDR画像、または(b)ステップ910において受信された第1の階調圧縮後HDR画像の取込みの後にHDR画像センサによって取り込まれた後続する階調圧縮後HDR画像のいずれかである。第1の階調圧縮後HDR画像および後続する階調圧縮後HDR画像は、階調圧縮後HDRビデオストリームの連続的な画像であり得る。
【0048】
階調圧縮後HDRビデオストリームを線形化するために使用される場合、方法900は、ステップ930において決定された対応関係において、ビデオストリームを通して、時間的変動を制限するステップ(図9には図示せず)を更に含むことができる。こうしたステップは、線形化ビデオストリームにおいてフレーム間の視覚的に明らかな離散的変化を防止する役割を果たし得る。ビデオストリームの各階調圧縮後HDR画像に対してステップ930とステップ950との間で実施される1つの実施態様では、方法900は、(a)現在処理されている第1の階調圧縮後HDR画像に対してステップ930において決定された対応関係と、(b)直前の第1の階調圧縮後HDR画像に対してステップ930において決定された対応関係との偏差を評価する。偏差が閾値を超える場合、現在処理されている第1の階調圧縮後HDR画像に対する対応関係は、偏差が閾値を超えないように、直前の第1の階調圧縮後HDR画像に対する対応関係により近くなるように修正される。閾値は、階調圧縮後画素強度の各値に対する、(a)現在処理されている第1の階調圧縮後HDR画像に対する対応関係による階調圧縮前画像強度と、(b)直前の第1の階調圧縮後HDR画像に対する対応関係による階調圧縮前画素強度との間の最大許容相対差として定義され得る。この最大許容相対差は、例えば、1%~10%の範囲である。
【0049】
1つの実施形態では、ステップ950は、ステップ930において第1の階調圧縮後HDR画像の全ての階調圧縮後画素強度を考慮することから導出される対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像の全ての階調圧縮後画素強度を線形化する。別の実施形態において、ステップ950は、第2の階調圧縮後HDR画像の空間的部分領域における画素強度を、ステップ930において第1の階調圧縮後HDR画像のその同じ空間的部分領域の階調圧縮後画素強度を考慮することから導出された対応関係に従って線形化する。
【0050】
ステップ950が第1の階調圧縮後HDR画像を線形化する実施形態において、ステップ910、920、930および950は、協働して方法600の一実施形態を形成する。ステップ950が後続する階調圧縮後HDR画像を線形化する実施形態において、方法900はステップ940を更に含み、ステップ910、920、930、940および950は、協働して方法400の一実施形態を形成する。ステップ940は、HDR画像センサから、後続する階調圧縮後HDR画像のフレームを受信する。ステップ940の1つの例では、プロセッサ810は、HDR画像センサ110からインターフェース890を介して後続する階調圧縮後HDR画像284のフレーム300を受信し、後続する階調圧縮後HDR画像284は、第1の階調圧縮後HDR画像284の後に取り込まれている。
【0051】
或る特定の実施形態において、方法900は、ステップ902、904および906を更に含み、それらのそれぞれは、HDR画像センサ110等のHDR画像センサによって実施され得る。ステップ902は、取込みビット深度でロー画像データを取り込む。ステップ902の1つの例では、画素アレイ210は(ADC212と協働して)デジタル画像データ281を取り込む。ステップ904は、ロー画像データを合成して、階調圧縮前ビット深度でHDR画像を形成する。ステップ904の1つの例では、HDR合成器214は、2つ以上の異なる露光設定で得られたデジタル画像データ281を合成して、階調圧縮前HDR画像282を形成する。ステップ906は、ステップ904において形成されたHDR画像を、階調圧縮前ビット深度よりも低い圧縮後ビット深度に階調圧縮する。ステップ906の1つの例では、階調圧縮器216が、階調圧縮前HDR画像282を階調圧縮して、階調圧縮後HDR画像284を生成する。
【0052】
方法900は、ステップ950において生成された線形化HDR画像を後処理するステップ960を更に含み得る。ステップ960は、線形化HDR画像に対して1つ以上のプロセス、例えば、ホワイトバランス処理、色補正、ガンマ補正、デモザイク処理、ノイズ除去および画像鮮明化のうちの1つ以上を適用し得る。ステップ960の1つの例では、ISP230は、線形化HDR画像286を処理する。
【0053】
ステップ902、904、906および960のいずれも含まない方法900の実施形態は、例えばプロセッサ810およびメモリ820として実装される線形化器120により実施され得る。
【0054】
図10図13は、累積分布関数(CDF)に基づいて階調圧縮後HDR画像を線形化する1つの適応的方法1000を示す。図10は、方法1000のフローチャートであり、図11図13は、方法1000の或る特定の要素の例示的な図である。図10図13は、以下の説明において合わせて見るのが最適である。
【0055】
方法1000は、方法900(図9を参照)の部分901の一実施形態である。方法1000は、例えばプロセッサ810およびメモリ820として実装される線形化器120によって実施され得る。方法1000は、ステップ1010、1020、1030および1050を含む。ステップ1010、1020および1030は、協働して方法900のステップ930の一実施形態を形成し、これは、対応関係導出命令834に符号化され得る。ステップ1050は、方法900のステップ950の一実施形態であり、線形化命令836に符号化されてもよい。
【0056】
ステップ1010は、ステップ920において得られた階調圧縮後画素強度の第1のCDFを生成する。ステップ1010の1つの例では、ステップ1010は、アクティブ画素データ310の階調圧縮後画素強度のCDF1210(図12を参照)を生成する。CDF1210は、アクティブ画素データ310の全ての階調圧縮後画素強度、またはアクティブ画素データ310の階調圧縮後画素強度のサブセットに基づき得る。第1のCDFは、(a)階調圧縮後画素強度をN個のビンBC,iにビニングし(i=0,1,…,N-1であり、各ビンBC,iは、階調圧縮後画素強度VC,iに対応し、カウントf(VC,i)を有する)、(b)第1のCDFを以下のように計算する。
【数2】
(式中、j=0,1,…,N'-1であり、N'は、Nと同じであるか、またはN'は非ゼロカウントを有する最高ビンBC,iに対応する)ことによって生成されてもよい。VC,iは、ビンBC,iに割り当てられた階調圧縮後画素の範囲の中心値、またはビンBC,iに割り当てられた階調圧縮後画素に対する上限値を示し得る。1つの実施態様では、CDF(VC,j)の第1の値は、式CDF(VC,0)=f(VC,0)に従って第1のビンBC,0に対して最初に計算され、その後、CDF(VC,j)の各後続する値は、以下のように計算される。
【数3】
【0057】
ステップ1020は、ステップ920において得られた階調圧縮前画素強度のヒストグラムの第2のCDFを生成する。図11は、HDR画像センサ110が、階調圧縮前HDR画像282の階調圧縮前画素強度をビン1110にビニングした、1つのヒストグラム例1100を示す。図12は、ヒストグラム1100のCDF1220を(概略的に)示す。ステップ1020は、ステップ1010に関して上述したように、階調圧縮後画素強度のヒストグラムからの第1のCDFの計算と同様の様式で、階調圧縮前画素強度のヒストグラムから第2のCDFであるCDFを計算し得る。
【0058】
ステップ1030は、階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対応する対のそれぞれに対して、階調圧縮後画素強度で評価された第1のCDFが階調圧縮前画素強度で評価された第2のCDFに等しいような、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を決定する。言い換えれば、階調圧縮後画素強度の任意のインスタンスu(i)に対して、対応する階調圧縮前画素強度vは、以下の式を満たす階調圧縮前画素強度として決定される。
【数4】
ステップ1030によって決定された対応関係は、対応関係522の一例である。
【0059】
図12は、CDF1210および1220から決定された、この対応関係の視覚的ダイアグラム例1200を提供する。複数の階調圧縮後画素強度のそれぞれに対して、ステップ1030は、同じCDF値に関連する階調圧縮前画素強度を決定しようとする。ダイアグラム1200は、階調圧縮後HDR画像284の階調圧縮後画素強度1212を考慮する。階調圧縮後画素強度1212でのCDF1210の値は、CDF値1224である。CDF値1224を知ることにより、ダイアグラム1200から破線矢印を辿ることによって、CDF1220がCDF値1224に達することに対応する階調圧縮前HDR画像282の階調圧縮前画素強度1222を、読み取ることができる。一例として、階調圧縮後画素強度1212が、574番目に明るい階調圧縮後画素強度である場合、階調圧縮前画素強度1222は、少なくともおよそ574番目に明るい階調圧縮前画素強度である。ヒストグラム1100における有限ビニング分解能により、階調圧縮後画素強度1212と階調圧縮前画素強度1222との正確な一致から逸脱がもたらされる可能性がある。ダイアグラム1200は説明を目的とするように意図されていることと、ステップ1030は図を視覚的に読み取ることなく数値的に実施することができることとが理解される。CDF1210および/またはCDF1220が、平滑な方式とは対照的に段階的な方式で増加する可能性があることが更に理解される。例えば、CDF1220は、各ビン1110に対して1つのステップを有し得る。こうした場合、例えば図15に関して後述するように、CDF1220の隣接するステップ間の補間を使用して、階調圧縮前画素強度1222を決定してもよい。引き続き視覚的例としてダイアグラム1200を用い、ステップ1030は、いくつかの異なる階調圧縮後画素強度1212を考慮し、対応する階調圧縮前画素強度1222を見つける。
【0060】
方法1000がモノクロ画像処理に使用される場合、方法1000を通して画素強度はグレースケール強度である。方法1000がカラー画像処理に使用される場合、方法1000で処理される画素強度は、(a)色固有の画素強度(例えば、赤色、緑色および青色の画素強度)、(b)異なるタイプの色固有の画素強度を結合することによって形成される輝度、または(c)色固有の画素強度および輝度の組合せであり得る。1つの例では、CDF1210および1220はともに、輝度を表す。別の例では、CDF1210および1220は、同じ単一の色成分(例えば、緑色)に対して色固有の画素強度を表す。更に別の例では、CDF1210は、単一の色成分に対する色固有の画素強度を表し、一方で、CDF1220は輝度を表す。特にカラー画像処理に特化された方法1000の或る特定の実施形態について、図16図19に関して後述する。
【0061】
図13は、階調圧縮後画素強度の関数として階調圧縮前画素強度を示す、ステップ1030において決定された例示的な対応関係1310の図1300である。この例では、階調圧縮前画素強度は、階調圧縮後画素強度よりも概して大きく、対応関係1310は、破線1330によって示す約1:1の対応関係を超える。
【0062】
ステップ1030は、ステップ1032、1034および1036のうちの1つを含むことができる。ステップ1032は、対応関係をルックアップテーブルとして生成する。ルックアップテーブルは、対応する階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対、例えば、同じCDF値に対応する階調圧縮後画素強度1212および階調圧縮前画素強度1222の対を列挙する。ステップ1034は、対応関係を多項式関数として生成する。ステップ1034は、対応する階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対にフィッティングすることにより、この多項式関数を決定してもよい。ステップ1036は、対応関係を複数の多項式セグメントを有するスプライン表現として生成する。多項式セグメントは、2次関数または3次関数であり得る。ステップ1036は、対応する階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対の間のスプライン補間により、このスプライン表現を決定してもよい。
【0063】
ステップ1050は、ステップ1030において決定された対応関係に従って、第1の階調圧縮後HDR画像または後続する階調圧縮後HDR画像のフレームのアクティブ画素データの少なくとも一部を線形化する。ステップ1050は、第1の階調圧縮後HDR画像または後続する階調圧縮後HDR画像を、階調圧縮前ビット深度に(または、階調圧縮前ビット深度を超える別のビット深度に)マッピングするステップ1052を含むことができる。
【0064】
ステップ1032を含む方法1000の実施形態において、ステップ1050はステップ1054を含む。ステップ1054は、第1の階調圧縮後HDR画像または後続する階調圧縮後HDR画像の各階調圧縮後画素強度についてルックアップテーブルを検索し、対応する階調圧縮前画素強度を読み出し、それにより、画素強度を少なくともほぼ再線形化する。ステップ1054は、第1の後続する階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの階調圧縮後画素強度が、ルックアップテーブルに列挙された階調圧縮後画素強度に等しくないとき、ルックアップテーブルにおけるエントリー間を補間するステップ1056を含むことができる。
【0065】
ステップ1034を含む方法1000の実施形態において、ステップ1050は、階調圧縮後画素強度に多項式関数を適用するステップ1058を含む。ステップ1050は、それにより、対応する階調圧縮前画素強度を決定し、したがって、画素強度を少なくともほぼ再線形化する。ステップ1036を含む方法1000の実施形態において、ステップ1050は、階調圧縮後画素強度にスプライン表現を適用するステップ1059を含む。ステップ1050は、それにより、対応する階調圧縮前画素強度を決定し、したがって、画素強度を少なくともほぼ再線形化する。
【0066】
図14および図15は、方法1000のステップ1030の別の例の視覚的図である。図14および図15は、以下の説明において合わせて見るのが最適である。この例では、ステップ920において得られた階調圧縮前画素強度のヒストグラムは、各ビンがlog(v)に対応する(vは階調圧縮前画素強度である)ように、対数的にビニングされる。図14は、対数ビン1410を用いた例示的なヒストグラム1400を示す。ヒストグラム1400は、14ビットのビット深度を有するHDR画像282に対応する14個のビンを有する。図15は、対数的にビニングされたヒストグラム1400に部分的に基づくことを除き、ダイアグラム1200に概念的に類似しているダイアグラム1500である。ダイアグラム1500は、(a)階調圧縮後HDR画像284のアクティブ画素データ310の階調圧縮後画素強度のCDF1510と、(b)ヒストグラム1400のCDF1520とをプロットしている。CDF1520は、ヒストグラム1400の対数ビニングに起因する明白なステップ状の挙動を有する。階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の対応する対は、図12に関して上述したものと同様の様式で決定し得る。所与の階調圧縮後画素強度1512は、CDF1510のCDF値1524に対応する。
【0067】
対応する階調圧縮前画素強度1522は、CDF値1524を横切るCDF1520の1つのステップの範囲1526内の階調圧縮前画素強度として決定され得る。対応する階調圧縮前画素強度1522は、例えば、範囲1526の中心値に設定される。代替例では、範囲1526内の階調圧縮前画素強度の分布は、線1528によって示すように線形であると想定され、対応する階調圧縮前画素強度1522は、線1528がCDF値1524に一致する階調圧縮前画素強度として決定される。1つの実施態様では、こうした線形補間を使用して、CDF値1524を括るCDF1520の最も近いノード1530および1532が見つけられる。下側のノード1530は、座標(vP,0,CDF(P,0)を有し、上側のノード1532は座標(vP,1,CDF(P,1)を有する。そして、階調圧縮後画素強度1512u(i)に対応する階調圧縮前画素強度vは、以下の式に従って補間され得る。
【数5】
【0068】
図16は、輝度に基づいて階調圧縮後HDRカラー画像を線形化する1つの適応的方法1600を示す。方法1600は、方法1000の一実施形態である。方法1600は、ステップ1610、1612、1620、1630および1650を含む。ステップ1610、1612、1620および1630は、協働して方法900のステップ930の一実施形態を形成し、これは、対応関係導出命令834に符号化され得る。ステップ1650は、方法900のステップ950の一実施形態であり、線形化命令836に符号化されてもよい。
【0069】
ステップ1610は、階調圧縮後HDRカラー画像の階調圧縮後色固有画素強度を結合して、輝度を表す階調圧縮後画素強度を形成する。ステップ1610の1つの例では、階調圧縮後HDR画像284の赤色、緑色および青色の画素強度が結合されて、階調圧縮後HDR輝度画像に対応する輝度値が形成される。
【0070】
ステップ1612は、ステップ1610において生成された輝度値を入力とし、輝度を表す階調圧縮後画素強度を用いて方法1000のステップ1010を実施して、第1のCDFを形成する。ステップ1612の1つの例では、ステップ1610において生成された輝度画素値は、CDF1210の輝度に基づくバージョンを生成するように処理される。
【0071】
ステップ1620は、輝度ヒストグラムの第2のCDFを生成する。ステップ1620の1つの例では、HDR画像センサ110は、階調圧縮前ヒストグラム864を輝度ヒストグラムとして出力するように構成され、ステップ1620は、この輝度ヒストグラムのCDF1220を形成する。ステップ1620の別の例では、HDR画像センサ110は、HDR画像センサ110のいくつかの色成分のそれぞれに対して階調圧縮前ヒストグラム864を出力するように構成され、ステップ1620は、これらの色固有のヒストグラムを結合して、輝度ヒストグラムのCDF1220を形成する前に輝度ヒストグラムを形成する。
【0072】
ステップ1630は、ステップ1612および1620において生成されたCDFを入力とし、輝度を表す画素強度を用いて方法1000のステップ1030を実施する。ステップ1630は、それにより、階調圧縮後輝度と階調圧縮前輝度との対応関係(例えば、対応関係522)を生成する。ステップ1650は、各色に対して同じ対応関係を用いて、各色に対して別個に方法1000のステップ1050を実施する。言い換えれば、階調圧縮後輝度と階調圧縮前輝度との対応関係は、階調圧縮後HDRカラー画像の各色固有の画素強度に適用される。ステップ1650の1つの例では、(a)階調圧縮後HDR画像284の階調圧縮後赤色画素強度uは、以下の式に従って線形化赤色画素強度vを生成するようにスケーリングされ、
【数6】
式中、Lは、階調圧縮後輝度であり、Lは、ステップ1630において決定された対応関係による対応する階調圧縮前輝度であり、(b)階調圧縮後HDR画像284の階調圧縮後緑色画素強度uは、以下の式に従って線形化緑色画素強度vを生成するようにスケーリングされ、
【数7】
(c)階調圧縮後HDR画像284の階調圧縮後青色画素強度uは、以下の式に従って線形化青色画素強度vを生成するようにスケーリングされる。
【数8】
図10を参照して、ステップ1032において生成されたルックアップテーブル(例えば、対応関係522)は、Lの関数として比L/Lをテーブル化する。
【0073】
図17は、階調圧縮前輝度と階調圧縮後HDRカラー画像の単一色成分とに基づいて階調圧縮後HDRカラー画像を線形化する1つの適応的方法1700を示す。方法1700は、方法1000の一実施形態である。方法1700は、ステップ1710、1620、1730および1650を含む。方法1700は、ステップ1610および1612並びに1650を含む。方法1700は、ステップ1610および1612がステップ1710に差し替えられ、ステップ1630がステップ1730に差し替えられることを除き、方法1600と同様である。
【0074】
ステップ1710は、階調圧縮後HDRカラー画像の単一色成分を表す色固有の画素強度である階調圧縮後画素強度を用いて、方法1000のステップ1010を実施して、第1のCDFを形成する。ステップ1710の1つの例では、階調圧縮後HDR画像284のアクティブ画素データ310の緑色画素強度が、CDF1210の単一色バージョンを生成するように処理される。
【0075】
ステップ1730は、ステップ1710および1620において生成されたCDFを入力とし、単一色を表す階調圧縮後画素強度と輝度を表す階調圧縮前画素強度とを用いて、方法1000のステップ1030を実施する。ステップ1730は、それにより、(a)単一色成分に対する色固有の階調圧縮後画素強度と(b)階調圧縮前輝度との対応関係(例えば、対応関係522)を生成する。方法1700において、ステップ1650は、対応関係が、階調圧縮後HDRカラー画像の単一色成分に基づいて決定されていても、階調圧縮後HDRカラー画像の全ての色成分に対して同じ対応関係を適用する。
【0076】
図18は、各色成分を別個に考慮することに基づいて、階調圧縮後HDRカラー画像を線形化する1つの適応的方法1800を示す。方法1800は、方法1000の一実施形態である。方法1800は、機械可読命令830に符号化され得る。方法1800は、ステップ1810の3つのインスタンスを含む。ステップ1810の各インスタンスは、階調圧縮後HDRカラー画像のそれぞれの色成分を、その色成分に関連する画像データから排他的に導出された対応関係に従って線形化する。
【0077】
ステップ1810(1)は、第1の色、例えば赤色に対して、第1の色の階調圧縮後画素強度と、階調圧縮前画素強度の第1の色のヒストグラムとに基づいて方法1000を実施する。ステップ1810(2)は、第2の色、例えば緑色に対して、第2の色の階調圧縮後画素強度と、階調圧縮前画素強度の第2の色のヒストグラムとに基づいて方法1000を実施する。ステップ1810(3)は、第3の色、例えば青色に対して、第3の色の階調圧縮後画素強度と、階調圧縮前画素強度の第3の色のヒストグラムとに基づいて方法1000を実施する。方法1800は、HDR画像センサが各色成分に対して階調圧縮前ヒストグラム864を提供することに依拠する。
【0078】
図19は、単一色成分の階調圧縮前画素強度に一部基づいて階調圧縮後HDRカラー画像を線形化する1つの適応的方法1900を示す。方法1900は、方法1000の一実施形態である。方法1900は、ステップ1710、1920、1930および1650を含む。方法1900は、ステップ1620がステップ1920に差し替えられ、ステップ1730がステップ1930に差し替えられることを除き、方法1700と同様である。ステップ1920は、単一色成分、例えば緑色に固有である階調圧縮前ヒストグラムに基づくことを除き、ステップ1620と同様である。ステップ1930は、ステップ1710および1920において生成されたCDFを入力とし、単一色を表す階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度を用いて方法1000のステップ1030を実施する。
【0079】
図20および図21は、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた部分的対応関係を導出し、次いで、直接マッチングされた対応関係を補外することにより、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を決定する1つの適応的方法2000を示す。方法2000は、方法1000のステップ1030の一実施形態であり、線形化命令836に符号化され得る。図20は、方法2000のフローチャートであり、図21は、方法2000の或る特定の要素を示す例示的な図である。図20および図21は、以下の説明において合わせて見るのが最適である。
【0080】
方法2000は、例えば、HDR画像センサが階調圧縮前画素強度の部分ヒストグラムのみを提供する状況において、および/または相対的に高い画素強度が飽和により影響を受け、したがって対応関係導出に適していない状況において、有利に採用し得る。方法2000は、ステップ2010および2020を含む。ステップ2010は、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた部分対応関係を決定し、ステップ2020は、その直接マッチングされた部分対応関係を補外する。
【0081】
階調圧縮後画素強度の最上位範囲を除外する、階調圧縮後HDR画像の階調圧縮後画素強度の部分範囲に対して、ステップ2010は、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた対応関係を決定する。図21に示す1つの例では、ステップ2010は、階調圧縮後HDR画像284のアクティブ画素データ310の階調圧縮後画素強度のCDF(例えば、CDF1210)と、階調圧縮前ヒストグラム864のCDF(例えば、CDF1220)との直接マッチングされた対応関係2112を決定する。直接マッチングされた対応関係2112は、カットオフ画素強度2120未満の階調圧縮後画素強度に対してのみ決定される。
【0082】
ステップ2020は、最上位範囲を通してステップ2010において決定された直接マッチングされた対応関係を補外して、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との完全対応関係を生成する。図21に示すステップ2020の1つの例では、ステップ2020は、カットオフ画素強度2120を越えて直接マッチングされた対応関係2112を補外して、補外された対応関係2114を決定する。直接マッチングされた対応関係2112と補外された対応関係2114とは、合わせて対応関係2110を形成する。対応関係2110は、階調圧縮後画素強度の全範囲を包含する。ステップ2020は、方法1000のステップ1032および1034のうちのいずれか一方を含むことができる。ステップ2020は、直接マッチングされた対応関係2112、またはカットオフ画素強度2120の近くの直接マッチングされた対応関係2112の一部に対する多項式フィット、またはそうしたもののスプライン表現を使用して、補外された対応関係2114を決定してもよい。
【0083】
1つの実施形態において、ステップ2010は、ステップ2012および2013を含む。ステップ2012は、第1の階調圧縮後画像(例えば、階調圧縮後HDR画像284)および第1の累積分布関数(例えば、CDF1210)のうちの少なくとも一方を評価して、飽和した階調圧縮後画素強度を除外するカットオフ階調圧縮後画素強度(例えば、カットオフ画素強度2120)を決定する。ステップ2013は、カットオフ階調圧縮後画素強度(例えば、カットオフ画素強度2120)以下の階調圧縮後画素強度の範囲として部分範囲を定義する。
【0084】
別の実施形態において、ステップ2010は、ステップ2014および2018を含む。ステップ2014は、フルダイナミックレンジの下位サブセットのみを表す、階調圧縮前画素強度のヒストグラム(例えば、階調圧縮前ヒストグラム864)を評価して、カットオフ階調圧縮前画素強度を決定する。ステップ2018は、ステップ2014において決定されたカットオフ階調圧縮前画素強度以下の階調圧縮前画素強度の数に等しい数の最低階調圧縮後画素強度として、階調圧縮後画素強度の部分範囲を定義する。
【0085】
ステップ2014は、ステップ2015を含むことができる。ステップ2015は、カットオフ階調圧縮前画素強度を、ヒストグラムの最大画素強度(例えば、非ゼロカウントを有する階調圧縮前ヒストグラム864の最上位ビン、または、非ゼロカウントを有するヒストグラム1100または対数ヒストグラム1400の最上位ビン)に設定する。1つの例では、ヒストグラムは、対数であり、N個のビンB、i=0,1,…,N-1を有する。各ビンBは、階調圧縮前画素強度2に対応し、非ゼロカウントを有する最高ビンは、
であり、ここで、Nmaxは、N-1以下の正の整数である。この例では、カットオフ階調圧縮前画素強度は、
に設定される。
【0086】
図22は、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた部分対応関係の導出の範囲を決定する1つの方法2200を示す。方法2200は、方法2000のステップ2010において実施され得る。方法2200は、ヒストグラム1400等の階調圧縮前画素強度の対数ヒストグラムを利用する。方法2200は、ステップ2210、2220、2230および2240を含む。
【0087】
ステップ2210は、階調圧縮後HDR画像(例えば、階調圧縮後HDR画像284)において飽和画素の数NSATをカウントする。ステップ2220は、NSAT個の最上位の階調圧縮前画素強度を含む対数階調圧縮前ヒストグラム(例えば、ヒストグラム1400)のビンを特定する。例えば、対数階調圧縮前ヒストグラムの最高ビンから開始して、ステップ2220は、以下のようにビンを通して下降してもよい。対数階調圧縮前ヒストグラムの各ビンに対して、カウント変数が、NSAT,i=min(NSAT,N)に設定され、ここで、Nはi番目のビンのカウントであり、NSATは、NSAT=NSAT-Nにリセットされる。このプロセスは、NSATがゼロ以下になるまで続く。
【0088】
ステップ2230は、対数階調圧縮前ヒストグラムのビンを入力とし、その平均ビンを計算する。ステップ2230は、ステップ2220において特定されたビンの幾何平均を計算し得る。1つの例では、平均ビンは以下のように計算され、
【数9】
式中、Binは、i番目のビンに対するビン番号である。次いで、ステップ2240は、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた部分対応関係の導出の範囲を、平均ビン以下の対数階調圧縮前ヒストグラムのビンに制限する。
【0089】
図23は、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との空間的に変化する対応関係に従って階調圧縮後HDR画像を線形化する1つの適応的方法2300を示す。方法2300は、方法900のステップ920、930および950の一実施形態であり、HDR画像センサが、階調圧縮前HDR画像282の複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンのそれぞれに対して、別個の階調圧縮前ヒストグラムを出力するように構成されている場合に、採用され得る。方法2300は、機械可読命令830に符号化され得る。
【0090】
方法2300は、図9に関して上述した第1の階調圧縮画像および第2の階調圧縮画像のそれぞれを、複数の非オーバーラップ空間画像ゾーン2310に分離する。図23は、空間画像ゾーン2310の6×6グリッドを示す。空間画像ゾーン2310の形状および/または数は、図23に示すものと異なる場合があることが理解される。次いで、方法2300は、各空間画像ゾーン2310に対して方法900のステップ920、930および950を繰り返して、各空間画像ゾーン2310に対して階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との別個の対応関係を決定する。方法2300は、ステップ930および950を実施しているとき方法1000を実施し得る。
【0091】
或る特定の実施形態において、方法2300は、隣接する空間画像ゾーン2310に対して決定された対応関係の間の移行を平滑化するように構成されている。1つのこうした実施形態において、方法2300は、ステップ950を実施しているとき、少なくとも、隣接する空間画像ゾーン2310の間の境界の閾値距離内の各画素に対して、画素の位置に基づいて隣接する空間画像ゾーンに対して決定された対応関係を空間的に補間することを含む。例えば、空間画像ゾーン2310(1,4)からの距離2330未満である空間画像ゾーン2310(1,3)の領域内の画素に対して、その画素に適用可能な対応関係は、その画素の正確な位置に従って空間画像ゾーン2310(1,3)および2310(1,4)に対して決定された2つの対応関係の間の空間補間によって見つけられ得る。
【0092】
隣接する空間画像ゾーン2310に対して決定された対応関係の間の移行を平滑化するように構成された別の実施形態において、全ての画素に対して空間補間が適用される。この実施形態において、各空間画像ゾーン2310に対して決定された対応関係は、その中心位置2316に割り当てられる。階調圧縮後HDR画像の各画素に対して、方法2300がステップ950を実施するとき、方法2300は、その画素に最も近いそれぞれの中心位置を有する4つの空間画像ゾーンに対して決定された対応関係を空間的に補間する。例えば、画素2320の場合、方法2300は、空間画像ゾーン2310(5,5)、2310(5,6)、2310(6,5)および2310(6,6)に対して決定された4つの対応関係を、中心位置2316から、画素2320の位置に空間的に補間する。
【0093】
特徴の組合せ
上述した特徴とともに後に請求する特徴は、本明細書の範囲から逸脱することなく様々な方法で組み合わせることができる。例えば、本明細書に記載した適応的画像データ線形化を含む1つのシステムまたはその方法の態様は、本明細書に記載した適応的画像データ線形化を含む別のシステムまたは別の方法の特徴を組み込むかまたは入れ替えることができることが理解されよう。以下の例は、上述した実施形態のいくつかのあり得る非限定的な組合せを示す。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書における方法、製品およびシステムに対して多くの他の変形および変更を行うことができることは、明らかなはずである。
【0094】
(A1)1つの適応的画像データ線形化を含む高ダイナミックレンジ(HDR)カメラモジュールは、シーンの階調圧縮後HDR画像を生成し、アクティブ画素データおよびメタデータを含むそれぞれのフレームとして階調圧縮後HDR画像を出力するように構成されたHDR画像センサを備える。HDRカメラモジュールはまた、HDR画像センサの外部のプロセッサと、HDR画像センサの外部のメモリとを備える。メモリは、プロセッサによって実行されると、(a)HDR画像センサによって生成された第1の階調圧縮後HDR画像のフレームから、(i)フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(ii)フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出するステップと、(b)階調圧縮後画素強度およびヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出するステップと、(c)対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成するステップであって、第2の階調圧縮後HDR画像は、第1の階調圧縮後HDR画像および後続する階調圧縮後HDR画像からなる群から選択される、ステップとを実施するようにプロセッサを制御する機械可読命令を記憶する。
【0095】
(A2)(A1)として示すHDRカメラモジュールにおいて、プロセッサおよびメモリは、デジタル信号プロセッサに実装され得、HDRカメラモジュールは、デジタル信号プロセッサによって線形化HDR画像を更に処理するためにデジタル信号プロセッサに通信可能に接続された画像信号プロセッサを更に備えることができる。
【0096】
(A3)(A2)として示すHDRカメラモジュールにおいて、画像信号プロセッサは、線形化HDR画像に、ホワイトバランス処理、色補正、ガンマ補正、デモザイク処理、ノイズ除去および画像鮮明化からなる群から選択された1つ以上の手順を適用するように構成され得る。
【0097】
(A4)(A1)から(A3)として示すHDRカメラモジュールのうちのいずれかにおいて、第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、HDR画像センサによって出力されるHDRビデオストリームの2つの連続的な画像であり得る。
【0098】
(A5)(A4)として示すHDRカメラモジュールにおいて、プロセッサおよびメモリは、バッファを含むデジタル信号プロセッサに実装され得、機械可読命令は、バッファに連続的に記憶された第2の階調圧縮後画像のアクティブ画素データのサブセットに対して線形化するステップを実施するようにプロセッサを制御するように更に構成され得る。
【0099】
(A6)(A1)から(A3)として示すHDRカメラモジュールのうちのいずれかにおいて、第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、同じ静止画像であり得、機械可読命令は、少なくとも線形化するステップの完了まで、静止画像のアクティブ画素データを画像記憶装置に記憶するようにプロセッサを制御するように更に構成され得る。
【0100】
(A7)(A1)から(A6)として示すHDRカメラモジュールのうちのいずれかにおいて、HDR画像センサは、出力ビット深度に制限される出力インターフェースを含むことができ、HDR画像センサは、(i)出力ビット深度を超える第1のビット深度で線形HDR画像を生成し、(ii)線形HDR画像を階調圧縮して、出力ビット深度で階調圧縮後HDR画像を生成するように構成され得、機械可読命令は、線形化するステップにおいて、アクティブ画素データを出力ビット深度から第1のビット深度にマッピングするようにプロセッサを制御するように構成され得る。
【0101】
(A8)(A1)から(A7)として示すHDRカメラモジュールのうちのいずれかにおいて、機械可読命令は、導出するステップが、階調圧縮後画素強度の第1の累積分布関数を生成することと、ヒストグラムの第2の累積分布関数を生成することと、階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対応する対のそれぞれに対して、階調圧縮後画素強度で評価された第1の累積分布関数が、階調圧縮前画素強度で評価された第2の累積分布関数に等しいような、対応関係を決定することとを含むように構成され得る。
【0102】
(A9)(A8)として示すHDRカメラモジュールにおいて、機械可読命令は、決定するステップが、対応する対を列挙するルックアップテーブルをメモリに記憶することを含み、線形化するステップが、第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの階調圧縮後画素強度が、ルックアップテーブルに列挙された階調圧縮後画素強度に等しくないとき、ルックアップテーブルにおけるエントリー間を補間することを含むように構成され得る。
【0103】
(A10)(A8)として示すHDRカメラモジュールにおいて、機械可読命令は、決定するステップが、階調圧縮後画素強度の関数として階調圧縮前画素強度を指定する多項式関数として対応関係を決定することと、多項式関数のパラメータをメモリに記憶することとを含むように構成され得る。
【0104】
(A11)(A8)として示すHDRカメラモジュールにおいて、機械可読命令は、決定するステップが、階調圧縮後画素強度の関数として階調圧縮前画素強度を指定するスプライン表現として対応関係を決定することと、スプライン表現のパラメータをメモリに記憶することとを含むように構成され得る。
【0105】
(A12)(A8)から(A11)として示すHDRカメラモジュールのうちのいずれかにおいて、HDR画像センサはカラー画像センサであり得、ヒストグラムは輝度ヒストグラムであり得、機械可読命令は、(I)階調圧縮後画素強度を抽出するステップが、(a)階調圧縮後色固有画素強度の複数のセットを抽出することであって、セットのそれぞれがそれぞれの色に固有であることと、(b)セットを結合して、階調圧縮後画素強度のそれぞれがそれぞれの画素輝度を表すように階調圧縮後画素強度を形成することとを含み、(II)線形化するステップが、対応関係に従って第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの各色を別個に線形化することを含むように構成されてもよい。
【0106】
(A13)(A8)から(A12)として示すHDRカメラモジュールのうちのいずれかにおいて、機械可読命令は、対応関係を決定するステップが、(a)階調圧縮後画素強度の最上位範囲を除外する階調圧縮後画素強度の部分範囲に対して、部分範囲に関連する階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の対応する対に対して、階調圧縮後画素強度で評価された第1の累積分布関数が階調圧縮前画素強度で評価された第2の累積分布関数と等しいような、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた対応関係を決定することと、(b)最上位範囲を通して、直接マッピングされた対応関係を補外して、対応関係を生成することとを含むように構成され得る。
【0107】
(A14)(A13)として示すHDRカメラモジュールにおいて、機械可読命令は、対応関係を決定するステップが、(a)第1の階調圧縮後画像および第1の累積分布関数のうちの少なくとも一方を評価して、飽和した階調圧縮後画素強度を除外するカットオフ階調圧縮後画素強度を決定することと、(b)カットオフ階調圧縮後画素強度以下の階調圧縮後画素強度の範囲として部分範囲を定義することとを更に含むように構成され得る。
【0108】
(A15)(A13)として示すHDRカメラモジュールにおいて、ヒストグラムは、階調圧縮の前に第1の階調圧縮後HDR画像のフルダイナミックレンジの下位サブセットを形成する部分ダイナミックレンジのみを表す部分ヒストグラムであり得、機械可読命令は、対応関係を決定するステップが、ヒストグラムを評価して、カットオフ階調圧縮前画素強度を決定することと、カットオフ階調圧縮前画素強度以下の階調圧縮前画素強度の数に等しい数の最低階調圧縮後画素強度として部分範囲を定義することとを更に含むように構成され得る。
【0109】
(A16)(A1)から(A15)として示すHDRカメラモジュールのうちのいずれかにおいて、機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、(a)第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像のそれぞれを複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンに分離し、(b)複数の空間画像ゾーンのそれぞれに対して、階調圧縮後画素強度を抽出するステップと、第1の累積分布関数を生成するステップと、ヒストグラムを抽出するステップと、第2の累積分布関数を生成するステップと、対応関係を決定するステップと、線形化するステップとを実施することを繰り返すようにプロセッサを制御するように構成され得る。
【0110】
(A17)(A16)として示すHDRカメラモジュールにおいて、機械可読命令は、線形化するステップが、少なくとも、空間画像ゾーンの異なるものの間の境界の閾値距離内の各画素に対して、画素の位置に基づき空間画像ゾーンの異なるものに対して決定された対応関係を空間的に補間することを含むように構成され得る。
【0111】
(A18)(A16)として示すHDRカメラモジュールにおいて、空間画像ゾーンはそれぞれの中心位置を有することができ、機械可読命令は、線形化するステップが、各画素に対しかつ画素の位置に基づき、画素に最も近いそれぞれの中心位置を有する4つの空間画像ゾーンに対して決定された対応関係を空間的に補間することを含むように構成され得る。
【0112】
(B1)階調圧縮後HDR画像を線形化する1つの適応的方法は、(i)HDR画像センサから、第1の階調圧縮後HDR画像のフレームを受信することと、(ii)フレームから、(a)フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(b)フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出することと、(iii)階調圧縮後画素強度およびヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出することと、(iv)HDR画像センサから、第2の階調圧縮後HDR画像のフレームを受信することであって、第2の階調圧縮後HDR画像は、第1の階調圧縮後HDR画像と後続する階調圧縮後HDR画像とからなる群から選択されることと、(v)対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像のフレームのアクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成することとを含む。
【0113】
(B2)(B1)として示す方法において、第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、HDRビデオストリームの連続的な画像であり得る。
【0114】
(B3)(B2)として示す方法は、線形化するステップの前に、上記対応関係と、HDRビデオストリームの先行して取り込まれた画像の対に対して導出された先行する対応関係との偏差を制限することを更に含むことができる。
【0115】
(B3)(B1)として示す方法において、第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、同じ静止画像であり得る。
【0116】
(B4)(B1)から(B3)として示す方法のうちのいずれかにおいて、階調圧縮後画素強度は、階調圧縮前ビット深度未満である圧縮後ビット深度に制限され得、線形化するステップは、アクティブ画素データを階調圧縮前ビット深度にマッピングすることを含む。
【0117】
(B5)(B1)から(B4)として示す方法のうちのいずれかにおいて、導出するステップは、階調圧縮後画素強度の第1の累積分布関数を生成することと、ヒストグラムの第2の累積分布関数を生成することと、階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対応する対のそれぞれに対して、階調圧縮後画素強度で評価された第1の累積分布関数が、階調圧縮前画素強度で評価された第2の累積分布関数に等しいような、対応関係を決定することとを含むことができる。
【0118】
(B6)(B5)として示す方法は、(a)決定するステップにおいて、対応する対を列挙するルックアップテーブルとして対応関係を生成することと、(b)線形化するステップにおいて、第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの階調圧縮後画素強度がルックアップテーブルに列挙された階調圧縮後画素強度に等しくないとき、ルックアップテーブルにおけるエントリー間を補間することとを含むことができる。
【0119】
(B7)(B5)として示す方法は、決定するステップにおいて、階調圧縮後画素強度の関数として階調圧縮前画素強度を指定する多項式関数として、対応関係を生成することを含むことができる。
【0120】
(B8)(B5)として示す方法は、決定するステップにおいて、階調圧縮後画素強度の関数として階調圧縮前画素強度を指定するスプライン表現として、対応関係を生成することを含むことができる。
【0121】
(B9)(B5)から(B8)として示す方法のうちのいずれかにおいて、第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、カラー画像であり得、ヒストグラムは、輝度ヒストグラムであり得る。
【0122】
(B10)(B9)として示す方法は、(a)階調圧縮後画素強度を抽出するステップにおいて、階調圧縮後色固有画素輝度の複数のセットを抽出することであって、セットのそれぞれはそれぞれの色に固有であることと、(b)上記セットを結合して、階調圧縮後画素強度のそれぞれがそれぞれの画素輝度を表すように階調圧縮後画素強度を形成することと、(c)線形化するステップにおいて、上記対応関係に従って第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの各色を別個に線形化することとを更に含むことができる。
【0123】
(B11)(B9)として示す方法は、(a)階調圧縮後画素強度を抽出するステップにおいて、第1の階調圧縮後HDR画像を構成する複数の色のうちの1つの色である単一色に固有である、階調圧縮後色固有画素強度を抽出することと、(b)生成するステップにおいて、単一色に関するものとして第1の累積分布関数を生成することと、(c)線形化するステップにおいて、上記対応関係に従って第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの各色を別個に線形化することとを更に含むことができる。
【0124】
(B12)(B5)から(B8)として示す方法のうちのいずれかにおいて、第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、カラー画像であり得、本方法は、第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像の各色に対して別個に、階調圧縮後画素強度を抽出するステップと、第1の累積分布関数を生成するステップと、ヒストグラムを抽出するステップと、第2の累積分布関数を生成するステップと、対応関係を決定するステップと、第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの少なくとも一部を線形化するステップとを実施することを含むことができる。
【0125】
(B13)(B5)から(B8)として示す方法のうちのいずれかにおいて、第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、カラー画像であり得、本方法は、(a)階調圧縮後画素強度を抽出するステップにおいて、第1の階調圧縮後HDR画像を構成する複数の色のうちの1つの色である単一色に固有の階調圧縮後色固有画素強度を抽出することと、(b)生成するステップにおいて、単一色に関するものとして第1の累積分布関数を生成することと、(c)ヒストグラムを抽出するステップにおいて、単一色に固有の色固有ヒストグラムを抽出することと、(d)生成するステップにおいて、色固有ヒストグラムに関するものとして第2の累積分布関数を生成することと、(e)線形化するステップにおいて、上記対応関係に従って第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの各色を別個に線形化することとを更に含むことができる。
【0126】
(B14)(B5)から(B13)として示す方法のうちのいずれかにおいて、決定するステップは、(a)階調圧縮後画素強度の最上位範囲を除外する、階調圧縮後画素強度の部分範囲に対して、部分範囲に関連する階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の対応する対に対して、階調圧縮後画素強度で評価された第1の累積分布関数が、階調圧縮前画素強度で評価された第2の累積分布関数に等しいような、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた対応関係を決定することと、(b)最上位範囲を通して、直接マッチングされた対応関係を補外して、対応関係を生成することとを含むことができる。
【0127】
(B15)(B14)として示す方法において、対応関係を決定するステップは、第1の階調圧縮後画像および第1の累積分布関数のうちの少なくとも一方を評価して、飽和した階調圧縮後画素強度を除外するカットオフ階調圧縮後画素強度を決定することと、カットオフ階調圧縮後画素強度以下の階調圧縮後画素強度の範囲として部分範囲を定義することとを更に含むことができる。
【0128】
(B16)(B14)として示す方法において、ヒストグラムは、階調圧縮の前に第1の階調圧縮後HDR画像のフルダイナミックレンジの下位サブセットを形成する部分ダイナミックレンジのみを表す部分ヒストグラムであり得、対応関係を決定するステップは、ヒストグラムを評価してカットオフ階調圧縮前画素強度を決定することと、カットオフ階調圧縮前画素強度以下の階調圧縮前画素強度の数に等しい数の最低階調圧縮後画素強度として部分範囲を定義することとを更に含むことができる。
【0129】
(B17)(B16)として示す方法において、カットオフ階調圧縮前画素強度は、ヒストグラムの最大画素強度であり得る。
【0130】
(B18)(B1)から(B17)として示す方法のうちのいずれかにおいて、ヒストグラムのビンは、対数スケールであり得る。
【0131】
(B19)(B1)から(B18)として示す方法のうちのいずれかは、(a)第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像のそれぞれを複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンに分離することと、(b)複数の空間画像ゾーンのそれぞれに対して、階調圧縮後画素強度を抽出するステップと、第1の累積分布関数を生成するステップと、ヒストグラムを抽出するステップと、第2の累積分布関数を生成するステップと、対応関係を決定するステップと、線形化するステップとを実施することを繰り返すこととを更に含むことができる。
【0132】
(B20)(B19)として示す方法において、線形化するステップは、少なくとも、空間画像ゾーンの異なるものの間の境界の閾値距離内の各画素に対して、画素の位置に基づき空間画像ゾーンの異なるものに対して決定された対応関係を空間的に補間することを含むことができる。
【0133】
(B21)(B19)として示す方法において、空間画像ゾーンのそれぞれは、それぞれの中心位置を有し得、線形化するステップは、各画素に対しかつその画素の位置に基づき、その画素に最も近いそれぞれの中心位置を有する4つの空間画像ゾーンに対して決定された対応関係を空間的に補間することを含むことができる。
【0134】
本明細書の範囲から逸脱することなく、上記システムおよび方法において変更を行うことができる。したがって、上記説明に含まれるとともに添付図面に示される事項は、限定する意味ではなく例示的であるものとして解釈されるべきであることが留意されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載した全体的な特徴および具体的な特徴とともに、言い回しの問題としてそれらの間にあると言える、本システムおよび方法の範囲の全ての記述を包含するように意図されている。
【0135】
本発明の様々な態様は、以下の列挙する例示的な実施形態(EEE)から理解することができる。
【0136】
EEE1.適応的画像データ線形化を含む高ダイナミックレンジ(HDR)カメラモジュールであって、
シーンの階調圧縮後HDR画像を生成し、アクティブ画素データおよびメタデータを含むそれぞれのフレームとして階調圧縮後HDR画像を出力するように構成されたHDR画像センサと、
HDR画像センサの外部のプロセッサと、
HDR画像センサの外部であり、プロセッサによって実行されると、
(a)HDR画像センサによって生成された第1の階調圧縮後HDR画像のフレームから、(i)フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(ii)フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出するステップと、
(b)階調圧縮後画素強度およびヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出するステップと、
(c)対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成するステップであって、第2の階調圧縮後HDR画像は、第1の階調圧縮後HDR画像および後続する階調圧縮後HDR画像からなる群から選択される、ステップと、
を実施するようにプロセッサを制御する機械可読命令を記憶するメモリと、
を備える、HDRカメラモジュール。
【0137】
EEE2.プロセッサおよびメモリは、デジタル信号プロセッサに実装され、HDRカメラモジュールは、デジタル信号プロセッサによって線形化HDR画像を更に処理するためにデジタル信号プロセッサに通信可能に接続された画像信号プロセッサを更に備える、EEE1のHDRカメラモジュール。
【0138】
EEE3.画像信号プロセッサは、線形化HDR画像に、ホワイトバランス処理、色補正、ガンマ補正、デモザイク処理、ノイズ除去および画像鮮明化からなる群から選択された1つ以上の手順を適用するように構成されている、EEE2のHDRカメラモジュール。
【0139】
EEE4.第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、HDR画像センサによって出力されるHDRビデオストリームの2つの連続的な画像である、EEE1のHDRカメラモジュール。
【0140】
EEE5.プロセッサおよびメモリは、デジタル信号プロセッサに実装され、デジタル信号プロセッサはバッファを含み、機械可読命令は、バッファに連続的に記憶された第2の階調圧縮後画像のアクティブ画素データのサブセットに対して線形化するステップを実施するようにプロセッサを制御するように更に構成されている、EEE4のHDRカメラモジュール。
【0141】
EEE6.第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、同じ静止画像であり、機械可読命令は、少なくとも線形化するステップの完了まで、静止画像のアクティブ画素データを画像記憶装置に記憶するようにプロセッサを制御するように更に構成されている、EEE1からEEE5のいずれかのHDRカメラモジュール。
【0142】
EEE7.HDR画像センサは、出力ビット深度に制限される出力インターフェースを含み、HDR画像センサは、(i)出力ビット深度を超える第1のビット深度で線形HDR画像を生成し、(ii)線形HDR画像を階調圧縮して、出力ビット深度で階調圧縮後HDR画像を生成するように構成され、機械可読命令は、線形化するステップにおいて、アクティブ画素データを出力ビット深度から第1のビット深度にマッピングするようにプロセッサを制御するように構成されている、EEE1からEEE6のいずれかのHDRカメラモジュール。
【0143】
EEE8.機械可読命令は、導出するステップが、
階調圧縮後画素強度の第1の累積分布関数を生成することと、
ヒストグラムの第2の累積分布関数を生成することと、
階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対応する対のそれぞれに対して、階調圧縮後画素強度で評価された第1の累積分布関数が、階調圧縮前画素強度で評価された第2の累積分布関数に等しいような、対応関係を決定することと、
を含むように構成されている、EEE1からEEE7のいずれかのHDRカメラモジュール。
【0144】
EEE9.機械可読命令は、
決定するステップが、対応する対を列挙するルックアップテーブルをメモリに記憶することを含み、
線形化するステップが、第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの階調圧縮後画素強度が、ルックアップテーブルに列挙された階調圧縮後画素強度に等しくないとき、ルックアップテーブルにおけるエントリー間を補間することを含む
ように構成されている、EEE8のHDRカメラモジュール。
【0145】
EEE10.機械可読命令は、決定するステップが、
階調圧縮後画素強度の関数として階調圧縮前画素強度を指定する多項式関数として対応関係を決定することと、
多項式関数のパラメータをメモリに記憶することと、
を含むように構成されている、EEE8またはEEE9のHDRカメラモジュール。
【0146】
EEE11.機械可読命令は、決定するステップが、
階調圧縮後画素強度の関数として階調圧縮前画素強度を指定するスプライン表現として対応関係を決定することと、
スプライン表現のパラメータをメモリに記憶することと、
を含むように構成されている、EEE8またはEEE9のHDRカメラモジュール。
【0147】
EEE12.HDR画像センサはカラー画像センサであり、ヒストグラムは輝度ヒストグラムであり、機械可読命令は、
階調圧縮後画素強度を抽出するステップが、
(a)階調圧縮後色固有画素強度の複数のセットを抽出することであって、セットのそれぞれがそれぞれの色に固有であることと、
(b)セットを結合して、階調圧縮後画素強度のそれぞれがそれぞれの画素輝度を表すように階調圧縮後画素強度を形成することと、
を含み、
線形化するステップが、対応関係に従って第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの各色を別個に線形化することを含む
ように構成されている、EEE1からEEE11のいずれかのHDRカメラモジュール。
【0148】
EEE13.機械可読命令は、対応関係を決定するステップが、
階調圧縮後画素強度の最上位範囲を除外する階調圧縮後画素強度の部分範囲に対して、部分範囲に関連する階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の対応する対に対して、階調圧縮後画素強度で評価された第1の累積分布関数が階調圧縮前画素強度で評価された第2の累積分布関数と等しいような、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた対応関係を決定することと、
最上位範囲を通して、直接マッチングされた対応関係を補外して、対応関係を生成することと、
を含むように構成されている、EEE8からEEE12のいずれかのHDRカメラモジュール。
【0149】
EEE14.機械可読命令は、対応関係を決定するステップが、
第1の階調圧縮後画像および第1の累積分布関数のうちの少なくとも一方を評価して、飽和した階調圧縮後画素強度を除外するカットオフ階調圧縮後画素強度を決定することと、
カットオフ階調圧縮後画素強度以下の階調圧縮後画素強度の範囲として部分範囲を決定することと、
を更に含むように構成されている、EEE13のHDRカメラモジュール。
【0150】
EEE15.ヒストグラムは、階調圧縮の前に第1の階調圧縮後HDR画像のフルダイナミックレンジの下位サブセットを形成する部分ダイナミックレンジのみを表す部分ヒストグラムであり、機械可読命令が、対応関係を決定するステップが、
ヒストグラムを評価して、カットオフ階調圧縮前画素強度を決定することと、
カットオフ階調圧縮前画素強度以下の階調圧縮前画素強度の数に等しい数の最低階調圧縮後画素強度として部分範囲を定義することと、
を更に含むように構成されている、EEE13のHDRカメラモジュール。
【0151】
EEE16.機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、
第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像のそれぞれを複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンに分離し、
複数の空間画像ゾーンのそれぞれに対して、階調圧縮後画素強度を抽出するステップと、第1の累積分布関数を生成するステップと、ヒストグラムを抽出するステップと、第2の累積分布関数を生成するステップと、対応関係を決定するステップと、線形化するステップとを実施することを繰り返す
ようにプロセッサを制御するように構成されている、EEE1からEEE15のいずれかのHDRカメラモジュール。
【0152】
EEE17.機械可読命令は、線形化するステップが、少なくとも、空間画像ゾーンの異なるものの間の境界の閾値距離内の各画素に対して、画素の位置に基づき空間画像ゾーンの異なるものに対して決定された対応関係を空間的に補間することを含むように構成されている、EEE16のHDRカメラモジュール。
【0153】
EEE18.空間画像ゾーンはそれぞれの中心位置を有し、機械可読命令は、線形化するステップが、各画素に対しかつ画素の位置に基づき、画素に最も近いそれぞれの中心位置を有する4つの空間画像ゾーンに対して決定された対応関係を空間的に補間することを含むように構成されている、EEE16またはEEE17のHDRカメラモジュール。
【0154】
EEE19.階調圧縮後高ダイナミックレンジ(HDR)画像を線形化する1つの適応的方法であって、
HDR画像センサから、第1の階調圧縮後HDR画像のフレームを受信することと、
フレームから、(a)フレームのアクティブ画素データからの階調圧縮後画素強度と、(b)フレームのメタデータからの階調圧縮前画素強度のヒストグラムとを抽出することと、
階調圧縮後画素強度およびヒストグラムから、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との対応関係を導出することと、
HDR画像センサから、第2の階調圧縮後HDR画像のフレームを受信することであって、第2の階調圧縮後HDR画像は、第1の階調圧縮後HDR画像と後続する階調圧縮後HDR画像とからなる群から選択されることと、
対応関係に従って、第2の階調圧縮後HDR画像のフレームのアクティブ画素データの少なくとも一部を線形化して、線形化HDR画像を生成することと、
を含む、方法。
【0155】
EEE20.第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、HDRビデオストリームの連続的な画像である、EEE19の方法。
【0156】
EEE21.線形化するステップの前に、上記対応関係と、HDRビデオストリームの先行して取り込まれた画像の対に対して導出された先行する対応関係との偏差を制限することを更に含む、EEE20の方法。
【0157】
EEE22.第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、同じ静止画像である、EEE19から21のいずれかの方法。
【0158】
EEE23.階調圧縮後画素強度は、階調圧縮前ビット深度未満である圧縮後ビット深度に制限され、線形化するステップは、アクティブ画素データを階調圧縮前ビット深度にマッピングすることを含む、EEE19からEEE22のいずれかの方法。
【0159】
EEE24.導出するステップが、
階調圧縮後画素強度の第1の累積分布関数を生成することと、
ヒストグラムの第2の累積分布関数を生成することと、
階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の複数の対応する対のそれぞれに対して、階調圧縮後画素強度で評価された第1の累積分布関数が、階調圧縮前画素強度で評価された第2の累積分布関数に等しいような、対応関係を決定することと、
を含む、EEE19からEEE23のいずれかの方法。
【0160】
EEE25.決定するステップにおいて、対応する対を列挙するルックアップテーブルとして対応関係を生成することと、
線形化するステップにおいて、第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの階調圧縮後画素強度がルックアップテーブルに列挙された階調圧縮後画素強度に等しくないとき、ルックアップテーブルにおけるエントリー間を補間することと、
を含む、EEE24の方法。
【0161】
EEE26.決定するステップにおいて、階調圧縮後画素強度の関数として階調圧縮前画素強度を指定する多項式関数として、対応関係を生成することを含む、EEE24またはEEE25の方法。
【0162】
EEE27.決定するステップにおいて、階調圧縮後画素強度の関数として階調圧縮前画素強度を指定するスプライン表現として、対応関係を生成することを含む、EEE24またはEEE25の方法。
【0163】
EEE28.第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、カラー画像であり、ヒストグラムは、輝度ヒストグラムである、EEE24からEEE27のいずれかの方法。
【0164】
EEE29.階調圧縮後画素強度を抽出するステップにおいて、階調圧縮後色固有画素輝度の複数のセットを抽出することであって、セットのそれぞれはそれぞれの色に固有であることと、
上記セットを結合して、階調圧縮後画素強度のそれぞれがそれぞれの画素輝度を表すように階調圧縮後画素強度を形成することと、
線形化するステップにおいて、上記対応関係に従って第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの各色を別個に線形化することと、
を更に含む、EEE19からEEE28のいずれかの方法。
【0165】
EEE30.階調圧縮後画素強度を抽出するステップにおいて、第1の階調圧縮後HDR画像を構成する複数の色のうちの1つの色である単一色に固有である、階調圧縮後色固有画素強度を抽出することと、
生成するステップにおいて、単一色に関するものとして第1の累積分布関数を生成することと、
線形化するステップにおいて、上記対応関係に従って第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの各色を別個に線形化することと、
を更に含む、EEE19からEEE28のいずれかの方法。
【0166】
EEE31.第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、カラー画像であり、本方法は、第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像の各色に対して別個に、階調圧縮後画素強度を抽出するステップと、第1の累積分布関数を生成するステップと、ヒストグラムを抽出するステップと、第2の累積分布関数を生成するステップと、対応関係を決定するステップと、第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの少なくとも一部を線形化するステップとを実施することを含む、EEE24からEEE30のいずれかの方法。
【0167】
EEE32.第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像は、カラー画像であり、本方法は、
階調圧縮後画素強度を抽出するステップにおいて、第1の階調圧縮後HDR画像を構成する複数の色のうちの1つの色である単一色に固有の階調圧縮後色固有画素強度を抽出することと、
生成するステップにおいて、単一色に関するものとして第1の累積分布関数を生成することと、
ヒストグラムを抽出するステップにおいて、単一色に固有の色固有ヒストグラムを抽出することと、
生成するステップにおいて、色固有ヒストグラムに関するものとして第2の累積分布関数を生成することと、
線形化するステップにおいて、上記対応関係に従って第2の階調圧縮後HDR画像のアクティブ画素データの各色を別個に線形化することと、
を更に含む、EEE24からEEE31のいずれかの方法。
【0168】
EEE33.決定するステップは、
階調圧縮後画素強度の最上位範囲を除外する、階調圧縮後画素強度の部分範囲に対して、部分範囲に関連する階調圧縮後画素強度および階調圧縮前画素強度の対応する対に対して、階調圧縮後画素強度で評価された第1の累積分布関数が、階調圧縮前画素強度で評価された第2の累積分布関数に等しいような、階調圧縮後画素強度と階調圧縮前画素強度との直接マッチングされた対応関係を決定することと、
最上位範囲を通して、直接マッチングされた対応関係を補外して、対応関係を生成することと、
を含む、EEE24からEEE32のいずれかの方法。
【0169】
EEE34.対応関係を決定するステップは、
第1の階調圧縮後画像および第1の累積分布巻数のうちの少なくとも一方を評価して、飽和した階調圧縮後画素強度を除外するカットオフ階調圧縮後画素強度を決定することと、
カットオフ階調圧縮後画素強度以下の階調圧縮後画素強度の範囲として部分範囲を定義することと、
を更に含む、EEE33の方法。
【0170】
EEE35.ヒストグラムは、階調圧縮の前に第1の階調圧縮後HDR画像のフルダイナミックレンジの下位サブセットを形成する部分ダイナミックレンジのみを表す部分ヒストグラムであり、対応関係を決定するステップは、
ヒストグラムを評価してカットオフ階調圧縮前画素強度を決定することと、
カットオフ階調圧縮前画素強度以下の階調圧縮前画素強度の数に等しい数の最低階調圧縮後画素強度として部分範囲を定義することと、
を更に含む、EEE33またはEEE34の方法。
【0171】
EEE36.カットオフ階調圧縮前画素強度は、ヒストグラムの最大画素強度である、EEE35の方法。
【0172】
EEE37.ヒストグラムのビンは、対数スケールである、EEE33からEEE36のいずれかの方法。
【0173】
EEE38.第1の階調圧縮後HDR画像および第2の階調圧縮後HDR画像のそれぞれを複数の非オーバーラップ空間画像ゾーンに分離することと、
複数の空間画像ゾーンのそれぞれに対して、階調圧縮後画素強度を抽出するステップと、第1の累積分布関数を生成するステップと、ヒストグラムを抽出するステップと、第2の累積分布関数を生成するステップと、対応関係を決定するステップと、線形化するステップとを実施することを繰り返すことと、
を更に含む、EEE19からEEE37のいずれかの方法。
【0174】
EEE39.線形化するステップが、少なくとも、空間画像ゾーンの異なるものの間の境界の閾値距離内の各画素に対して、画素の位置に基づき空間画像ゾーンの異なるものに対して決定された対応関係を空間的に補間することを含む、EEE38の方法。
【0175】
EEE40.空間画像ゾーンのそれぞれは、それぞれの中心位置を有し、線形化するステップは、各画素に対しかつその画素の位置に基づき、その画素に最も近いそれぞれの中心位置を有する4つの空間画像ゾーンに対して決定された対応関係を空間的に補間することを含む、EEE38またはEEE39の方法。
【0176】
EEE41.HDR画像センサは、階調圧縮前画素強度のヒストグラムを含むアクティブ画素データおよびメタデータを含むそれぞれのフレームとして階調圧縮後HDR画像を出力するように構成されている、EEE1からEEE18のいずれかのHDRカメラモジュール。
【0177】
EEE42.HDR画像センサによって生成される第1の階調圧縮後HDR画像から抽出された階調圧縮前画素強度のヒストグラムは、第1の階調圧縮後HDR画像のフレームのメタデータに提供される、EEE1からEEE18またはEEE41のいずれかのHDRカメラモジュール。
【0178】
EEE43.EEE1からEEE18またはEEE41もしくはEEE42のいずれかのHDRカメラモジュールを備える電子デバイス。
【0179】
EEE44.EEE1からEEE18またはEEE41もしくはEEE42のいずれかのHDRカメラモジュールを備えるモバイルデバイス。
【0180】
EEE45.ハウジングを更に備え、HDRカメラモジュールがハウジング内に配置されている、EEE43の電子デバイスまたはEEE44のモバイルデバイス。
【0181】
EEE46.第1の階調圧縮後HDR画像のフレームから抽出された階調圧縮前画素強度のヒストグラムは、第1の階調圧縮後HDR画像のフレームのメタデータに提供される、EEE19からEEE40のいずれかの方法。
【0182】
EEE47.プロセッサによって実行されると、EEE19からEEE40またはEEE46のいずれかの方法を実施するようにプロセッサを制御する命令が格納される非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23