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特許7491999ニキビ痕の治療に使用するためのトロポエラスチン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ニキビ痕の治療に使用するためのトロポエラスチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20240521BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240521BHJP
   C07K 14/78 20060101ALN20240521BHJP
【FI】
A61K38/17
A61P17/10
A61K47/36
A61K9/08
C07K14/78 ZNA
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022512322
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2020073516
(87)【国際公開番号】W WO2021037733
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】62/891,232
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520330593
【氏名又は名称】アラガン ファーマスーティカルズ インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルズ、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ、キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ジョン セント クレア
(72)【発明者】
【氏名】ウエストウォーター、ジョン
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/102337(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/044314(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/150332(WO,A1)
【文献】J. Burn Care Res., 2017, Vol.38, No.5, pp.e859-e867,doi: 10.1097/BCR.0000000000000507
【文献】A Study to Evaluate the Efficacy of ELAPR002f in Females and Males With Atrophic Acne Scars,NCT03056235, ClinicalTraials.gov, ,U.S. National Institutes of Health,2018年09月28日,[retrieved on 2023.10.02], retrieved from the internet:<URL: https://clinicaltrials.gov/study/NCT03056235?tab=history&a=5>
【文献】Acta Biomaterialia, 2017, Vol.52, pp.33-40,doi: 10.1016/j.actbio.2016.11.054
【文献】Advanced Healthcare Materials, 2015, Vol.4, pp.577-584,DOI: 10.1002/adhm.201400571
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニキビ痕を有する皮膚の領域を治療して、治療を必要とする患者の皮膚の領域において、外観、ニキビ痕の深さの減少、患部面積の減少、及び体積の減少のうちの1つ以上を改善するための、約0.5%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋された30mg/mlのトロポエラスチンを含む医薬組成物であって、該組成物が逆行性線形スレッディングを使用して瘢痕の下に形成された真皮ポケットに投与されるものである、上記医薬組成物。
【請求項2】
キビ痕が、アイスピック瘢痕、ボックスカー瘢痕、又はローリング萎縮性瘢痕として下位分類される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
任意選択で、ニキビ痕が約0.1mm~約5mmの深さを有し、任意選択でニキビ痕が約0.05mm~約400mmの患部面積を有し、任意選択でニキビ痕が約0.01mm~2,000mmの体積を有する、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
組成物が、ニキビ痕の下に注射として、任意選択でインプラント/注射あたり約10μL~約100μLの体積で投与され、任意選択で投与される組成物の最大体積が約100μL~約5mLである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
組成物が、ニキビ痕の下に注射として投与され、投与される組成物の最大体積が2cm×2cmの皮膚の領域あたり約0.5mLである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
組成物が、0日目、28±3日目、及び56±3日目に投与される、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
組成物の投与が繰り返され、瘢痕への1回以上のボーラス注射が投与される、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
それを必要とする患者が、I、II、III、IV、V又はVIのフィッツパトリックのスキンタイプ尺度上の皮膚型を有し、任意選択で瘢痕が1、2、3、4又は5の等級を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
組成物の投与後に、ニキビ痕の深さ、患部面積及び/又は体積が減少し、任意選択で治療が、皮膚のリモデリング及び成熟段階における萎縮性瘢痕の修復をサポートして、ニキビ痕の外観を低減する、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
治療が、ニキビ痕面積を少なくとも約10%だけ減少させる、治療が、ニキビ痕体積を少なくとも約10%だけ減少させる、及び/又は治療が、ニキビ痕深さを少なくとも約10%だけ減少させる、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
治療が、ニキビ痕を有する皮膚の領域における皮膚輪郭の陥没体積及び面積を少なくとも約10%だけ減少させる、任意選択で治療が、ニキビ痕の皮膚色をさらに改善する、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
治療が、ニキビ痕を有する皮膚の領域における皮膚輪郭の隆起の体積及び面積を少なくとも約10%だけ増加させる、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ヒアルロン酸は、1‐エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド(EDC)及び/又はN-ヒドロキシ-スクシンイミド(NHS)を添加することにより活性化及び/又は修飾されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
それを必要とする対象において、ニキビ痕の影響を受けた皮膚輪郭の修復に使用するための、約0.5の誘導体化ヒアルロン酸で架橋された30mg/mlのトロポエラスチンを含む医薬組成物。
【請求項15】
組成物が、瘢痕の下及び/又は瘢痕の縁の周りなど、瘢痕の周りに投与される、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
治療を必要とする患者の皮膚の領域において、ニキビ痕を有する皮膚の領域を治療するための医薬として使用するためのトロポエラスチン及びヒアルロン酸を含む組成物であって、
該組成物が約30mg/mlのトロポエラスチンを含み、
該トロポエラスチンが約0.5%の誘導体化ヒアルロン酸(HA)で架橋されている、
上記組成物。
【請求項17】
組成物が、ニキビ痕の下に注射として投与され、投与される組成物の最大体積が0日目、28±3日目、及び56±3日目に2cm×2cmの皮膚の領域あたり約0.5mLである、請求項16に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トロポエラスチンを含む組成物を用いて、陥没、アイスピック瘢痕、ローリング萎縮性ニキビ痕及びボックスカー瘢痕などのニキビ痕の外観を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書における先行技術への言及は、この先行技術がいかなる管轄区域においても一般常識の一部を形成していることを承認又は示唆するものではなく、またこの先行技術が当業者によって理解され、関連性があるとみなされ、及び/又は先行技術の他の断片と組み合わせられることが合理的に期待できることを承認又は示唆するものでもない。
【0003】
ニキビ痕は、過剰な油、死んだ皮膚細胞及び細菌で充血した詰まった皮膚の毛穴によって引き起こされる感染した傷の結果である可能性がある。毛穴は膨張し、毛包壁の破損を引き起こす。浅い病変は通常軽微で、すぐに治ることもある。しかし、毛穴の壁に深い切れ目があると、感染した物質が周囲の組織に流出し、より深い病変が生じることがある。したがって、皮膚は新しいコラーゲン線維を形成することによって、これらの病変を修復しようとすることがある。場合によっては、顔、首、胸などの目立つ場所に目に見える瘢痕ができ、それが人の悩みの種となることがある。瘢痕の厚みや色合いなど、瘢痕の重症度に影響する変数が複数ある。これらの修復は、元の皮膚のように滑らかで完璧なものではないかもしれない。さらに、治癒によって瘢痕内の皮膚に好ましくない着色が生じる可能性もある。
【0004】
ニキビ痕にはいくつかの型がある。限定するわけではないが、肥厚性瘢痕、アイスピック瘢痕、ボックスカー型瘢痕、ローリング萎縮性瘢痕、陥没瘢痕がある。場合によっては、瘢痕が皮膚の変色を引き起こし、紫外線への曝露により瘢痕が黒ずみ、その隆起が増大し、瘢痕の繊維組織が銀色を呈することがある。
【0005】
ニキビの予防や治療には、いくつかの種類の治療法が紹介されているが、管理が難しく制御が手ごわいのは、残ってしまった瘢痕の方である。例えば、皮膚に対する一般的な治療法には、ニキビによって残された茶色、赤色又は紫色の変色を薄くするための局所レチノイドの使用、レーザー治療、皮膚剥離及びパンチグラフィティングが含まれる。そのため、見苦しい瘢痕を治療し、見た目を良くしたいというニーズがある。また、ニキビによって引き起こされ得る陥没の深さ、患部面積、体積を減らしたいという要望もある。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、一般に、トロポエラスチンを含む組成物、及びニキビ痕(例えば、線維性ニキビ痕)の処置のためにそのような組成物を使用する方法に関する。本方法は、トロポエラスチンを含む組成物を、ニキビ痕を有する皮膚の領域に投与することを含んでよい。実施形態において、本方法は、それを必要とする患者の皮膚の領域において、色及び/又は外観を改善し、及び/又はニキビ痕の深さ、患部面積、及び/又は体積を減少させるために、ニキビ痕を有する皮膚の領域を治療することを含む。本明細書に開示される治療方法は、それを必要とする患者の皮膚の領域におけるニキビ痕の色及び/又は外観を改善することができる。加えて又は代替的に、本治療方法は、それを必要とする患者の皮膚の領域におけるニキビ痕の深さ、患部面積及び/又は体積を減少させることができる。
【0007】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、約1mg/ml~約400mg/mlのトロポエラスチンを含む。前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、約1mg/ml、約5mg/ml、約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、約40mg/ml、約50mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約110mg/ml、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/ml、約150mg/ml、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、約200mg/ml、約210mg/ml、約220mg/ml、約230mg/ml、約240mg/ml、約250mg/ml、約260mg/ml、約270mg/ml、約280mg/ml、約290mg/ml、約300mg/ml、約310mg/ml、約320mg/ml、約330mg/ml、約340mg/ml、約350mg/ml、約360mg/ml、約370mg/ml、約380mg/ml、約390mg/ml又は約400mg/mlのトロポエラスチン、又は任意の二つの前記値で定義される範囲の間の任意の量のトロポエラスチンを含む。
【0008】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、約1mg/ml~約300mg/mlのトロポエラスチンを含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、約1mg/ml~約250mg/mlのトロポエラスチンを含む。上記又は下記の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、約1mg/ml~約200mg/mlのトロポエラスチンを含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、約1mg/ml~約150mg/mlのトロポエラスチンを含む。上記又は下記の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、約1mg/ml~約100mg/mlのトロポエラスチンを含む。
【0009】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施態様において、トロポエラスチンは、約0.1%~約10%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋される。前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、約0.4%~約1%の誘導体化ヒアルロン酸(HA)で架橋された約1mg/ml~約100mg/mlのトロポエラスチンを含む。前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、約0.5%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋された約30mg/mlの組換えヒトトロポエラスチンを含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)をさらに含む。
【0010】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、トロポエラスチンを含む組成物は、瘢痕の下及び/又は瘢痕の縁の周囲など、瘢痕の周囲に投与される。
【0011】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、アイスピック瘢痕、ボックスカー瘢痕又はローリング萎縮性瘢痕に下位分類される。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕はアイスピック瘢痕である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施態様において、ニキビ痕はボックス瘢痕である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、瘢痕は、ローリング萎縮性ニキビ痕である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、瘢痕は肥厚性瘢痕である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、瘢痕は、瘢痕の縁部又は底部の周囲に線維性組織を含む。
【0012】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、約0.1mm~約5mmの深さを有する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、約0.1mm、約0.5mm、約1.0mm、約1.5mm、約2mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5mm、約5mmの深さ、又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の任意の深さを有する。
【0013】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、約0.05mm~約400mmの患部面積を有する。前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、ニキビ痕は、約0.05mm、約0.50mm、1.0mm、約5mm、約10mm、約15mm、約20mm、約25mm、約30mm、約35mm、約40mm、約45mm、約50mm、約55mm、約60mm、約65mm、約70mm、約75mm、約80mm、約85mm、約90mm、約95mm、約100mm、約125mm、約150mm、約175mm、約200mm、約225mm、約250mm、約275mm、約300mm、約325mm、約350mm、約375mm、又は約400mm又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の任意の値の患部面積を有する。
【0014】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、約0.01mm~約2,000mmの体積を有する。前述又は後述の実施形態の各々又は何れかのいくつかの実施形態では、ニキビ痕は、約0.01mm、1mm、約10mm、約20mm、約30mm、約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm、約90mm、約100mm、約125mm、約150mm、約175mm、約200mm、約225mm、約250mm、約275mm、約300mm、約325mm、約350mm、約375mm、約400mm、約425mm、約450mm、約475mm、約500mm、約525mm、約550mm、約575mm、約600mm、約625mm、約650mm、約675mm、約700mm、約725mm、約750mm、約775mm、約800mm、約825mm、約850mm、約875mm、約900mm、約925mm、約950mm、975mm、約1,000mm、約1,100mm、約1,200mm、約1,300mm、約1,400mm、約1,500mm、約1,600mm、約1,700mm、約1,800mm、約1,900mm又は約2,000mmの体積、又は前述の任意の2つの値の範囲内の任意の体積を有する。
【0015】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、ニキビ痕の下の線維性ストランドを破壊するステップを更に含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、破壊することは、必要とする患者への組成物の投与前に行われる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、線維性ストランドを破壊するステップは、ニキビ痕の下に真皮ポケットを形成する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、破壊することは、18G、21G、23G、25G、27G、29G又は30G針などの、18~32G針で実行される。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、投与は、組成物を真皮ポケットに注入することを含む。前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態において、トロポエラスチンを含む組成物は、瘢痕の下及び瘢痕の縁の周りなど、瘢痕の周りにも配置される。瘢痕を囲む真皮全体にわたって瘢痕の周りにトロポエラスチンを含む組成物を均等に配置することにより、トロポエラスチン製品が瘢痕領域の周りにあることが保証され得る。
【0016】
上記又は下記の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、ニキビ痕の下に注射として投与される。前述又は後述の実施形態の各々又は何れかのいくつかの実施態様において、組成物は、インプラント/注射当たり約10μL~約100μLの体積で投与される。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、約10μL、約20μL、約30μL、約40μL、約50μL、約60μL、約70μL、約80μL、約90μL、又は約100μLの体積で、又は任意の二つの前述の値によって定義される範囲内の体積で投与される。いくつかの実施形態では、複数の注射がニキビ痕に行われ、総投与体積は、約200μL、約300μL、約400μL、又は約500μLである。
【0017】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、注射は、ニキビ痕内のあらゆる線維性ストランドが確実に破壊されるように、クロスハッチング配置の逆行性線形スレッディング(糸入れ)技術を使用して行われる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、針は、皮膚と平行に約30°の角度で挿入され、針は、ベベルを構成し、ベベルは、上向きである。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、針は、繊維性ストランドを分断し、真皮ポケットを形成するために、複数回挿入される。前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、針が真皮ポケットから引き抜かれると同時に、組成物を注入するために均等な圧力が加えられる。
【0018】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物の投与は繰り返され、瘢痕への1回以上のボーラス注射が投与される。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、治療として与えられる組成物の最大体積は、約100μL~約5mLの間である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、治療として与えられる組成物の最大体積は、約100μL、約500μL、約1ml、約1.5ml、約2ml、約2.5ml、約3ml、約3.5ml、約4.0ml、約4.5ml、約5ml又は任意の二つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の量である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、治療として与えられる組成物の最大体積は、1平方cmあたり約100μL~約500μLである。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、治療として与えられる組成物の最大体積は、1平方cmあたり約100μL、1平方cmあたり約150μL、1平方cmあたり約200μL、1平方cmあたり約250μL、1平方cmあたり約300μL、1平方cmあたり約350μL、1平方cmあたり約400μL、1平方cmあたり約450μL、1平方cmあたり500μL又はいずれか二つの前述の値によって定義される範囲の間の任意の量である。
【0019】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、必要としている患者は、I、II、III、IV、V又はVIのフィッツパトリックのスキンタイプ尺度上の皮膚型を有する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、瘢痕は1~5の等級を構成する。瘢痕の等級は、Tan et al.2010(Journal of Cutaneous Medicine and Surgery、Vol14、No4(July/August)、参照することにより本明細書に組み込まれる)によるGlobal Scale for Acne Scar Severity(ニキビ痕重症度のグローバル尺度)(SCAR-S)に記載されているとおりである。
【0020】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、アイスピック瘢痕、ボックスカー瘢痕又はローリング萎縮性瘢痕に下位分類される。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕はアイスピック瘢痕である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕はボックス瘢痕である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、瘢痕は、ローリング萎縮性ニキビ痕である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、瘢痕は肥厚性瘢痕である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、瘢痕の縁部及び/又は瘢痕の底部の周りに線維性組織を含む。
【0021】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、約0.1mm~約5mmの深さを有する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、約0.1mm、約0.5mm、約1.0mm、約1.5mm、約2mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5mm、約5mm又は前述の任意の2値の間の範囲における任意の深さを有する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、約0.05mm~約400mmの患部面積を有する。前述又は後述の実施形態の各々又は何れかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、約0.01mm~約2,000mmの体積を有する。
【0022】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、約0.01mm、1mm、約10mm、約20mm、約30mm、約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm、約90mm、約100mm、約125mm、約150mm、約175mm、約200mm、約225mm、約250mm、約275mm、約300mm、約325mm、約350mm、約375mm、約400mm、約425mm、約450mm、約475mm、約500mm、約525mm、約550mm、約575mm、約600mm、約625mm、約650mm、約675mm、約700mm、約725mm、約750mm、約775mm、約800mm、約825mm、約850mm、約875mm、約900mm、約925mm、約950mm、975mm、約1,000mm、約1,100mm、約1,200mm、約1,300mm、約1,400mm、約1,500mm、約1,600mm、約1,700mm、約1,800mm、約1,900mm又は約2,000mmの体積、又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の任意の体積を有する。
【0023】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、皮膚は、CIE L色座標によって定義される皮膚色を含み、本方法は、Lを更に減少させる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、Lを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ若しくは約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲により定義される任意の量だけ減少させる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、Lを約50%より大きく減少させる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、さらにaを増加させる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、aを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ若しくは約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ増加させる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、aを約50%より大きく増加させる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、瘢痕は、組成物を投与する前に銀色着色を含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物を投与すると、銀色の着色が減少し、瘢痕の赤色の着色及び/又はピンク色の着色が増加する。前述又は後述の実施形態の各々又は何れかのいくつかの実施形態において、本方法は、Lを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ若しくは約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ減少させ、aを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ若しくは約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義され任意の量だけ増加させる。前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、瘢痕は色を含んでおり、その色は患者の自然な皮膚の色調とは異なっており、組成物を投与することによって、瘢痕の色が患者の自然な皮膚の色調に統合するように瘢痕の色が減少又は薄れる結果となる。
【0024】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕は、顔、背中、又は胴体の瘢痕である。上記又は下記の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物の投与後、ニキビ痕の深さ、患部面積及び/又は体積が減少する。
【0025】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、皮膚のリモデリング及び成熟段階における萎縮性瘢痕の修復をサポートして、ニキビ痕の外観を低減させる。
【0026】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の2つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけニキビ痕面積の減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、約90%を超えるニキビ痕面積の減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の2つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけニキビ痕面積の減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本組成物は、約90%より大きいニキビ痕面積の減少を提供する。
【0027】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の2つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけニキビ痕体積の減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、約90%を超えるニキビ痕体積の減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本組成物は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の2つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけ、ニキビ痕体積の減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本組成物は、約90%より大きいニキビ痕体積の減少を提供する。
【0028】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の二つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけニキビ痕深さの減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、約90%を超えるニキビ痕深さの減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本組成物は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の2つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけニキビ痕深さの減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本組成物は、約90%より大きいニキビ痕深さの減少を提供する。
【0029】
必要とする患者が皮膚にニキビ痕の領域を有する、前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、ニキビ痕の領域における皮膚の輪郭の陥没体積及び面積の、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の二つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけ減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、必要としている患者が皮膚にニキビ痕の領域を有する場合、本方法は、ニキビ痕の領域における皮膚輪郭の陥没体積及び面積の、約90%より大きい減少を提供する。前述又は後述の各実施形態又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の2つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけ、ニキビ痕の領域の皮膚の輪郭の落ち込み体積及び面積の減少を提供する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本組成物は、ニキビ痕の領域における皮膚の輪郭の陥没体積及び面積の約90%より大きい減少を提供する。
【0030】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、個人は、本明細書に記載の治療及び方法によってニキビ痕をほぼ完全に除去することができ、ニキビ深さ、体積及び面積が約90%超低減される。
【0031】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法は、皮膚色を改善する。いくつかの実施形態では、皮膚色を改善することは、Lを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ、若しくは約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ減少させ、及び/又はaを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ若しくは約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ増加させることを含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、Lは約50%より大きく減少される。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、aは約50%より大きく増加される。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本組成物は、皮膚色の改善を提供する。
【0032】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法及び組成物は、ニキビ痕の領域における皮膚の輪郭の隆起の体積及び面積を約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の二つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけ増加させる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕の領域における皮膚の輪郭の隆起の体積及び面積は、約90%より大きく増加する。
【0033】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法及び組成物は、ニキビの瘢痕又は陥没を含む治療領域における皮膚の輪郭を平らにする。
【0034】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法及び組成物は、対照処理と比較して、処理部位においてLを黒から白の尺度に減少させる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本方法及び組成物は、対照処理部位と比較して、組成物処理部位におけるaを緑から赤の色尺度に増加させる。
【0035】
本開示は、ニキビ痕の影響を受けた皮膚の輪郭を治療する(例えば、修復する)方法も提供する。本方法は、トロポエラスチンを含む組成物を、ニキビ痕の影響を受けた皮膚の輪郭を有する皮膚の領域に投与することを含んでよい。一実施形態において、本方法は、ニキビ痕によって影響を受けた皮膚の輪郭を有する皮膚の領域を治療して、ニキビ痕の深さ、体積、及び/又は面積を減少させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本開示の例示的な実施形態の様々な特徴を、図面を参照しながら以下に説明する。例示的な実施形態は、本開示を説明することを意図しているが、限定することを意図していない。図面には、以下の図が含まれる。
【0037】
図1図1は、患者の処置のフローチャートを示す。
【0038】
図2図2A図2Dは、スクリーニング及び1日目におけるニキビ痕の臨床的な等級付けを示す。等級付けは、Tan et al.2010(Journal of Cutaneous Medicine and Surgery,Vol 14,No 4(July/August)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなニキビ痕尺度に基づく。尺度:0=目に見えるニキビ痕なし;1=2.5mの距離からほとんど見えないニキビ痕;2=容易に認識できるニキビ痕、患部面積の半分未満が関与;3=容易に認識できるニキビ痕、患部面積の半分超が関与;4=容易に認識できるニキビ痕、全面積が関与;全面積が目立つ萎縮性瘢痕が関与。示されているのは、スクリーニング通院時のTEインプラント側を有する側(0.5%誘導体化ヒアルロン酸で架橋された組換えヒトトロポエラスチン30mg/ml)(図2A)及び生理食塩水対照側(等張生理食塩水の真皮内(i.d.)インプラント)(図2B)である。示されているのは、1日目のTEインプラント側(図2C)及び1日目の生理食塩水対照側(図2D)である。
【0039】
図3図3は、変化のグローバル印象尺度(PAS1)を用いた、瘢痕の盲検第三者審査(BTPR)評価を示す。尺度:-3=かなり悪化;-2=中程度に悪化;-1=わずかに悪化;0=変化なし;1=わずかに改善、2=中程度に改善;3=かなり改善。
【0040】
図4図4は、スクリーニングとベースライン通院の間の相関を示す。
【0041】
図5図5A及び図5Bは、面積と体積に関するすべてのカメラ設定の結果を示しており、カメラからの結果は、重症度スコアの増加とともに増加しており、したがって、カメラが同様の構成要素を測定していることを示唆している。
【0042】
図6図6A及び図6Bは、カメラ設定を変えた場合のGIC(BTPR)と結果の間の関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ニキビは、顔、首、胸、背中の皮膚の毛穴や毛包に細菌がコロニー化することによって生じる可能性のある慢性炎症性疾患である。細菌のコロニー化は、例えばプロピオニバクテリウム・アクネスのような細菌によって引き起こされ得る。また、ニキビは、皮脂分泌の増加、角質の変化、及び炎症によって引き起こされることもある。しかし、時には、ニキビができるきっかけがはっきりしないこともある。
【0044】
ニキビは、思春期初期から成人期にかけて、いくつかのタイプの細菌の増殖及びコロニー化を支援し得る油の産生が増加する時期に始まることがある。増加した油の産生はまた、ホルモン、ストレス、及び食事によってさえ引き起こされるかもしれない。
【0045】
ニキビに伴う問題には、ヒリヒリする痛み、痒み、痛みなどがあり、生活の質にも影響を及ぼす場合がある。ニキビを予防し、治すための利用可能な治療法があるが、人々は、見苦しく、永久的なニキビ痕などのニキビの後遺症を残すことがあり、それも非常に目立つことがある。ニキビは10代前から大人までの年齢層に影響を与えるため、ニキビ痕は10代前だけでなく大人にも影響を与え、自信喪失や、自尊心低下を招く可能性がある。
【0046】
ニキビの結果として生じ得る瘢痕には様々な程度のものがある。瘢痕化には、ローリング萎縮性、アイスピック瘢痕、ボックスカー瘢痕、及びこの皮膚における他のタイプの深い陥没が含まれ得る。ニキビ痕の深さや程度は様々である。これまでの治療法としては、サブシジョン、パンチエクスキジョン、レーザーリサーフェシング、ダーマブレーション、ケミカルピーリングなどが記載されている。また、場合によっては、瘢痕が皮膚の変色の原因となることもある。
【0047】
本明細書に開示されるのは、皮膚の陥没を減少させ、皮膚の変色を減少させ、及び/又は皮膚の輪郭を均一にするのに役立ち得る、ニキビ痕を治療する方法である。
【0048】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0049】
本発明を説明する文脈で(特に以下の特許請求の範囲の文脈で)使用される用語「一つの」(「a」、「an」)、「その」(「the」)及び同様の参照語は、本明細書で特に示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方をカバーするように解釈されるものとする。
【0050】
測定可能な値に言及するときに本明細書で使用する「約」は、特定の値から+20%又は+10%、より好ましくは+5%、さらにより好ましくは+1%、さらにより好ましくは+0.1%の変動を包含することを意味している。
【0051】
本明細書で使用される場合、文脈が他に要求する場合を除き、「含む」(「comprising」、「comprises」及び「comprised」)などの、「含む」(「comprise」)という用語及び該用語の変形は、さらなる添加物、成分、整数又はステップを除外することを意図していない。
【0052】
本明細書で使用される場合、「瘢痕化」、「線維化」、又は「線維化反応」は、損傷又は医療介入に応答した線維性(瘢痕)組織の形成を指す場合がある。
【0053】
本明細書で使用する「瘢痕」(「痕」)は、しみ又はニキビなどの傷が治癒して線維性結合組織が発達した皮膚上又は体組織内に残された跡を指す場合がある。本明細書に記載されるように、瘢痕はニキビの結果である可能性がある。
【0054】
「トロポエラスチン」という用語は、そこからエラスチンが形成されるタンパク質を意味する。トロポエラスチンは、単量体であってもよい。トロポエラスチンは、一般に、共有結合的に又はその他の方法で架橋されていない。トロポエラスチンは、可逆的にコアセルベーションを形成してもよい。したがって、エラスチンは、可逆的にコアセルベーションすることができない共有結合で架橋されたトロポエラスチンからなるので、トロポエラスチンは、エラスチンと区別される。トロポエラスチンは、ヒトのトロポエラスチンであってもよい。トロポエラスチンは合成であってもよく、例えば組換え発現又は他の合成由来であってもよいし、あるいはブタ大動脈などの天然由来であってもよい。当該技術分野において一般に知られているように、トロポエラスチンは、様々な断片の形態で存在してもよい。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本明細書の方法において提供される組成物は、単量体トロポエラスチンを含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、単量体トロポエラスチンは、HAに架橋される。前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、トロポエラスチンは、配列番号1~15のいずれか1つに示される配列を含む。
【0055】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、本発明の方法は、記載された方法で使用される組成物用を含む本明細書に記載の様々な用途にSHELδ26Aトロポエラスチンアナログ(WO1999/03886)を利用する。SHELδ26Aのアミノ酸配列は、以下の通りである。
【0056】
【化1】
【0057】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、トロポエラスチンのアイソフォームは、SHELアイソフォーム(WO1994/14958;その全体が本明細書に参照することにより含まれる)である:
【化2】

又はSHEL又はSHELδ26Aアイソフォームのプロテアーゼ耐性誘導体(WO2000/04043;参照することによりその全体が本明細書に含まれる)。WO2000/04043に記載されているように、記載されているトロポエラスチンのタンパク質配列は、タンパク質分解による消化に対する感受性の低下又は排除をもたらす変異した配列を有していてもよい。限定するものではないが、トロポエラスチンのアミノ酸配列は、例えば、セリンプロテアーゼ、トロンビン、カリクレイン、メタロプロテアーゼ、ゼラチナーゼA、ゼラチナーゼB、血清タンパク質、トリプシン又はエラスターゼに対する感受性の減少又は排除を有する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、トロポエラスチンは配列番号3(SHELδ26Aアイソフォーム)に示される配列を含む:
【化3】

いくつかの実施形態において、トロポエラスチンは、以下に示される配列(SHELδmodアイソフォーム)を含む。
【化4】
【0058】
トロポエラスチンアナログは、一般に、ヒトトロポエラスチン配列と相同性のある配列を有する。一対の配列間のパーセントの同一性は、BESTFITコンピュータプログラムに実装されたアルゴリズムによって計算され得る。配列の相違を計算する別のアルゴリズムは、迅速なデータベース検索に適応され、BLASTコンピュータプログラムに実装されている。ヒトの配列と比較して、トロポエラスチンポリペプチド配列は、アミノ酸レベルで約60%の同一性、アミノ酸レベルで70%以上の同一性、アミノ酸レベルで80%以上の同一性、アミノ酸レベルで90%以上の同一性、アミノ酸レベルで95%以上の同一性、アミノ酸レベルで97%以上の同一性、又はアミノ酸レベルで99%超の同一性を有していてもよい。
【0059】
保守的なアミノ酸置換(例えば、Glu/Asp、Val/lle、Ser/Thr、Arg/Lys、Gln/Asn)も、これらのアミノ酸残基の組の化学的類似性は、多くの場合、機能的同等性をもたらすと予想されるので、比較を行う際に考慮されてもよい。ポリペプチドの生物学的機能を維持することが期待されるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、側鎖の電荷、又はサイズなどの置換されたアミノ酸残基の化学的属性を維持することになる。
【0060】
トロポエラスチンの組換え体は、WO1999/03886に示されるように製造することができる。これらの配列は以下を含む:
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

及び
【化15】
【0061】
トロポエラスチンは、ヒアルロン酸などの生体高分子などの別の分子に連結(例えば、共有結合)された形態で利用することができる。いくつかの実施形態では、トロポエラスチンは、ヒアルロン酸に架橋される。いくつかの実施形態では、組成物は、単量体トロポエラスチンを含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、トロポエラスチンは、配列番号1~15のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0062】
トロポエラスチンが他の分子に連結されている場合、その連結はトロポエラスチンの連結されていない形態の生物学的特性を妨げたり制限したりしないことが特に好ましい。
【0063】
トロポエラスチンを他の分子と連結する目的は、典型的には、トロポエラスチンがある領域に局在することを可能にし、トロポエラスチンがその領域から拡散又は他の方法で移動する可能性を最小にすることである。
【0064】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、トロポエラスチンは、組成物中のトロポエラスチンの量に関して、組成物中の他のタンパク質又は分子の量と比較して、特定の程度の純度を有する。一実施形態では、トロポエラスチンは、少なくとも75%の純度、好ましくは85%の純度、より好ましくは90%以上又は95%の純度を有する組成物中にある。トロポエラスチンの断片、すなわち、トロポエラスチンの製造を通じて意図せずに生じるトロポエラスチンアイソフォームの切断型は、この文脈では不純物とみなされてもよい。
【0065】
特定の実施形態において、トロポエラスチンは、トロポエラスチン、好ましくはトロポエラスチンの全長アイソフォームからなる、又は本質的になる組成物の形態で提供され得ることがさらに理解されるであろう。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、トロポエラスチンは、関連するトロポエラスチンアイソフォームの長さの少なくとも約65%、全長の約80%超、全長の約90%超又は全長の約95%超であることになる。
【0066】
用語「ヒアルロン酸」又は「HA」は、ヒアルロン酸及びそのヒアルロン酸塩のいずれかを含むことができ、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム(ナトリウム塩)、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、及びヒアルロン酸カルシウムが挙げられる。様々な供給源からのヒアルロン酸を本明細書で使用することができる。例えば、ヒアルロン酸は、動物組織から抽出されるか、細菌発酵の産物として収穫されるか、又はバイオプロセス技術によって商業的な量で生産されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書の方法において提供される組成物は、単量体トロポエラスチンを含む。いくつかの実施形態では、単量体トロポエラスチンは、HAに架橋される。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、トロポエラスチンは、配列番号1~15のいずれか1つに示される配列を含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、トロポエラスチンは、配列番号1に示される配列を含む。
【0067】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、約0.1%~約10%の誘導体化ヒアルロン酸(HA)で架橋された1~100mg/mlのトロポエラスチンを含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、約0.4%~約1%の誘導体化ヒアルロン酸(HA)で架橋された1~100mg/mlのトロポエラスチンを含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、トロポエラスチンは、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.8%、約0.9%又は約1%の誘導体化ヒアルロン酸(HA)と架橋される。いくつかの実施形態では、組成物は、0.5%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋された30mg/mlの組換えヒトトロポエラスチンを含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、組成物は、緩衝剤をさらに含み、緩衝剤は、リン酸緩衝生理食塩水である。いくつかの実施形態では、組成物は、HAがそれ自身及び/又は単量体タンパク質と架橋する程度を制御するために、誘導体化HA又は誘導体化されていないHAを含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、誘導体化HAはTEと架橋する。いくつかの実施形態では、トロポエラスチンは単量体である。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、単量体トロポエラスチンは、組成物から放出される。
【0068】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、HAは、少なくとも1つの連結可能な部分、例えば、少なくとも1つの架橋可能な部分、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミン、チオール、アルコール、アルケン、アルキン、シアノ基、又はアジド、及び/又はそれらの修飾、誘導体又は組合せを含み得る。
【0069】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、HAは、スペーサー基を含んでいてもよく、そのスペーサー基は、同一及び/又は第2の分子、例えば、第2の生体分子又は生体高分子に連結できるようなものである。
【0070】
HAは、約25~約10000の二糖単位又は残基の範囲であってよい。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ヒアルロン酸は、25~7500の二糖単位又は残基の範囲で使用されてもよい。
【0071】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、HAは、低分子量又は高分子量のHAであってもよい。本明細書に記載される高分子量HA(「HMW HA」とも呼ばれる)は、一般に、少なくとも約100万ダルトン(mw≧10又は1MDa)~約4.0MDaの分子量を有するヒアルロン酸を指す。本明細書で用いられる低分子量HA(本明細書では「LMW HA」と呼ぶこともある)は、一般に約1.0MDa未満の分子量を有するヒアルロン酸を指す。
【0072】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、HAは、EDC又はアリルグリシジルエーテルなどの活性化剤、及び/又はNHS、HOBt又は臭素などの修飾剤で活性化及び/又は修飾されてもよい。
【0073】
用語「フィッツパトリック尺度」は、本論文の観点から、その平易かつ通常の意味を与えられ、限定されないが、科学的な皮膚型分類を指す場合がある。フィッツパトリック尺度は、タイプ1~6までのいくつかの異なるタイプを有する。この尺度は、皮膚科医や美容医療従事者が、異なる皮膚型に対してどのような治療が最適かを判断するために使用されている。この尺度は、日光曝露などの紫外線に対して皮膚がどのように反応するかを測定するために開発された。さらに、この知識は、レーザーや他のタイプの治療を行う前に、美容医やレーザー技術者が知っておくために使用することができる。タイプ1‐一般的に明るいアイボリー色の皮膚をしているが、日光に当たると必ず焼けて皮が剥けるが、日焼けはしない。タイプ2‐明るく色白な肌の色を持ち、日光に当たるとすぐに焼けてしまい、ほとんど日焼けしない。タイプ3‐通常ベージュがかった皮膚をしており、日光に当たると火傷することがあるが、日焼けすることがあり得る。タイプ4‐オリーブ色の皮膚、又は明るい褐色の皮膚色で、日光に当たってもそばかすができない。この方は、ほとんどサンバーンをせず、通常は日焼けをする。タイプ5‐ダークブラウン又はブラックの皮膚色で、サンバーンをすることはほとんどなく、日光に当たると必ず日焼けをする。タイプ6‐黒色で、最も暗い皮膚色をしている。この人は決して火傷せず、日光に当たるとすぐに日焼けする。この有用な尺度は、皮膚科医が特定の皮膚の太陽に対する反応を測定し、悪性の可能性のある日焼けしたシミをより迅速に特定する方法として使用することができる。また、美容医師は、異なる皮膚型に対する治療の有効性を判断するために、この尺度を使用することができる。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、ニキビ痕を治療するための方法は、フィッツパトリック尺度のタイプ1~6のいずれか1つの皮膚型分類を有し得る個人に対して使用することができる。
【0074】
「皮内インプラント」という用語は、表皮の下に入る可能性のあるインプラントである。限定するものではないが、これは、例えば、真皮、真皮下、又は皮下層などの皮膚の領域であってよい。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、インプラントは、皮内に配置されてもよい。
【0075】
前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、インプラントは、皮下層内に配置されてもよい。この配置は、インプラントの皮内配置に追加されてもよい。
【0076】
「逆行性線形スレッディング法」は、インプラントの糸を標的組織内に入れるための方法である。まず、針が挿入される。次に、針を引き抜くと同時に注射器のプランジャーを押し下げることによってインプラントを配置する。
【0077】
「クロスハッチング」は、標的組織内に「マット」を作成するパターンでインプラントの糸を配置する方法である。クロスハッチングの配置で線形スレッディング(直線的な糸入れ)を完成させるために組織内で針を動かすと、針の経路又は道筋にある線維性組織が破壊される。
【0078】
本明細書に記載されている「ニキビ」とは、毛包に死んだ皮膚細胞や皮膚からの脂分が詰まることで発生する皮膚疾患のことをいう。それは黒ずみ又は白ずみ、吹き出物及び脂性肌によって特徴付けられることがある。場合によっては、ニキビは瘢痕につながる可能性がある。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、必要としている患者は、ニキビだけでなく、ニキビ痕も有する。
【0079】
本明細書に記載される「ニキビ痕」は、皮膚内の炎症によって引き起こされる場合がある。ニキビ痕は、ニキビによって引き起こされた炎症に続く異常治癒に起因している可能性がある。「萎縮性ニキビ痕」は、治癒反応からのコラーゲンの損失によって引き起こされる可能性があり、ニキビ痕の最も一般的な原因である。
【0080】
ニキビにより引き起こされる「アイスピック瘢痕」は、真皮の中に伸びる狭い深い瘢痕である場合がある。アイスピック瘢痕は、萎縮性ニキビ痕の一種である。
【0081】
「ローリング萎縮性ニキビ痕」とは、皮膚組織の正常な層より下に治癒する凹んだ瘢痕のことである。
【0082】
「ボックスカー瘢痕」は、皮膚へのくぼみとして現れることがあるニキビ痕の一種である。それらは、皮膚にまっすぐ移動することがある鋭いエッジによって定義され、通常、それらが発生したニキビ病変とは異なる大きさである。ボックスカー瘢痕は、萎縮性ニキビ痕の一種である。
【0083】
「色素過剰」とは、メラニンの増加によって引き起こされる皮膚の黒化のことである。限定するわけではないが、色素過剰の原因には、日焼け、炎症、皮膚損傷、及びニキビが含まれる。皮膚は、メラノサイトから産生されるメラニンの過剰産生によって、損傷に反応することがある。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態において、瘢痕は、組成物の投与前に銀色着色を含む。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかの幾つかの実施形態では、組成物を投与することにより、銀色の着色が減少し、瘢痕の暗赤色又はピンク色の着色が増加する。前述又は後述の実施形態の各々又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、Lを1%、5%、10%、15%、20%、25%だけ若しくは50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ減少させ、aを1%、5%、10%、15%、20%、25%だけ若しくは50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ増加させる。本明細書に記載の方法は、ニキビ痕を治療し、ニキビによって引き起こされた皮膚の変色を減少させるために使用することも可能である。
【0084】
「CIELAB色空間」は、トロポエラスチンを含む組成物による皮膚の治療後に生じ得る皮膚の色及び色の変化を定義するために使用される。CIELAB色空間(CIE Lとしても知られ、単に「Lab」色空間と略されることもある)は、1976年に国際照明委員会(CIE)により定義された色空間である。色は3つの値で表現される。Lは黒(0)から白(100)までの明度、aは緑(-)から赤(+)まで、bは青(-)から黄(+)までである。
【0085】
瘢痕を治療する方法
例えば、ニキビ痕の色及び/又は外観を改善することを含む、それを必要とする患者におけるニキビ痕(例えば、線維性ニキビ痕)を治療するための方法が、本明細書に提供される。本方法は、トロポエラスチンを含む組成物を、例えば、瘢痕に隣接して、又は瘢痕に直接若しくはその下に投与することを含む、瘢痕を有する患者の皮膚の領域に投与することを含んでよい。別の実施形態では、トロポエラスチンを含む組成物は、瘢痕の下及び瘢痕の縁の周りなど、瘢痕の周りにも配置される。ニキビ痕の深さ、患部面積及び/又は体積は、組成物の投与後に減少する(生理食塩水対照などのトロポエラスチンを欠く他は同一の組成物と比較しての場合を含む)。追加的に又は代替的に、開示された方法は、(生理食塩水対照のようなトロポエラスチンを欠く他は同一の組成物と比較しての場合を含む)ニキビ痕の領域における皮膚の輪郭の隆起の体積及び面積を増加させることができる。
【0086】
本方法は、瘢痕の下にある線維性ストランド又は要素(例えば、線維性組織)のようなニキビ痕の線維性要素を針で破壊して、皮膚の表面を陥没に深く繋留している線維性ストランドを切断又は解放することを更に含んでいてもよい。実施形態において、線維性要素の破壊は、ニキビ痕の下に真皮ポケットを形成し、組成物は真皮ポケットに投与される。瘢痕組織の破壊後、真皮ポケットは、次に、開示された組成物で満たされ得る。
【0087】
瘢痕の破壊は、18G‐32G針、例えば18G、21G、23G、25G、27G、29G又は30G針で行うことができる。限定するものではないが、線維性要素の破壊は、ローリング萎縮性瘢痕、ボックスカー瘢痕又はアイスピック瘢痕などの瘢痕に対して行われてもよい。投与は、組成物を真皮ポケットに注入することを含む。組成物は、ニキビ痕の下に注射として投与される。トロポエラスチンを含む組成物はまた、瘢痕の下及び/又は瘢痕の縁の周りなど、瘢痕の周りに配置される。瘢痕を囲む真皮全体にトロポエラスチンを含む組成物を瘢痕の周りに均等に又は均一に配置することは、トロポエラスチン製品が瘢痕領域の周りにあることを確実にし、より有効な治療を可能にし得る。組成物は、1回の注入/注射につき約10μL~約100μLの体積で投与される。注射は、ニキビ痕内のあらゆる線維性ストランドが確実に破壊されるように、クロスハッチング配置の逆行性線形スレッディング技術を使用して行われる。
【0088】
いくつかの実施形態において、線維性ストランドの破壊は、萎縮性瘢痕に対して行われる。
【0089】
線維性ストランドの破壊は、線維性ストランドが位置するニキビ痕の下にトロポエラスチン組成物を配置するためのスペースを作るためのポケットを作るために、皮膚をその下の組織につなぎ止め、陥没に寄与し得るストランドを破壊する針を用いて実施されてもよい。したがって、トロポエラスチン組成物は、瘢痕の線維性要素を作り直すであろう製品の中及び周囲で皮膚組織細胞が成長できるように、瘢痕のすぐ周りの該細胞に利用できるようになるであろう。
【0090】
本明細書に開示された方法は、瘢痕を取り囲む線維性要素のリモデリングをもたらす可能性がある。
【0091】
基本的又は古典的なサブシジョンの場合、針は、例えば、18G、通常は21G又は23Gと同じくらい大きくすることができるが、27G又は30G針も、ある程度のサブシジョンを可能にするのに十分小さいが、製品の配置のために、傷の周囲及び真皮層にポケット又は空間を作ることを可能にするので使用することができる。
【0092】
針は、皮膚と平行に約30°の角度で挿入され、針はベベルを含み、ベベルは上向きである。針は、繊維状ストランドを分断し、真皮ポケットを形成するために、複数回挿入される。針が真皮ポケットから引き抜かれるのと同時に、組成物を注入するために均等な圧力が加えられる。組成物の投与は、瘢痕への1回以上のボーラス注射が投与され、繰り返される。
【0093】
本明細書に開示される方法は、有利には、ニキビ痕の深さ、患部表面積、及び/又は体積を減少させることができる。実際、小さな陥没だけでなく大きな陥没も、組成物(例えば、0.5%のdHAで架橋された30mg/mlトロポエラスチン)の投与後168日目に、皮膚の輪郭の滑らかさ及び/又は平滑化の増加とともに改善することが示された。驚くべきことに、これはまた、リモデリングと成熟期の萎縮性瘢痕の修復につながり、瘢痕の外観を減少させることができた。
【0094】
本明細書に開示される方法は、萎縮性ニキビ痕の外観を改善するために使用することができる。本明細書に記載されるように、治療は、0日目、28日目及び56日目に投与されてもよい。そのような治療は、驚くべきことに、ローリング、ボックスカー又はアイスピックタイプのニキビ痕を有する患者を含む複数の患者における皮膚の外観及び色調の改善につながった。瘢痕の色調が銀色を含むいくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、瘢痕の銀色の色調を減少させ、及び/又は瘢痕の赤色の色調若しくはピンク色の色調を増加させる。
【0095】
本明細書に開示される組成物は、約1mg/ml~約400mg/mlのトロポエラスチン(例えば、1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、80mg/ml、90mg/ml、100mg/ml、110mg/ml、120mg/ml、130mg/ml、140mg/ml、150mg/ml、160mg/ml、170mg/ml、180mg/ml、190mg/ml、200mg/ml。210mg/ml、220mg/ml、230mg/ml、240mg/ml、250mg/ml、260mg/ml、270mg/ml、280mg/ml、290mg/ml、300mg/ml、310mg/ml、320mg/ml、330mg/ml、340mg/ml、350mg/ml、360mg/ml、370mg/ml、380mg/ml、390mg/ml又は400mg/mlトロポエラスチン)を含んでもよい。
【0096】
本明細書に開示される組成物はまた、ヒアルロン酸(HA)を含んでもよい。さらなる実施形態では、トロポエラスチンは、約0.1%~約10%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋される。さらなる実施形態では、組成物は、約0.5%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋された約30mg/mlのヒトトロポエラスチン(例えば、組換えヒトトロポエラスチン)を含む。組成物は、リン酸緩衝生理食塩水のような緩衝剤をさらに含んでもよい。
【0097】
また、本明細書では、トロポエラスチンを含む開示された組成物を含む医薬製剤が提供される。
【0098】
投与される本明細書に開示される組成物の最大体積は、約100μL~約5mL(例えば、1平方cm当たり約100μL~約500μL)である。
【0099】
実施形態において、それを必要とする患者は、I、II、III、IV、V、又はVIのフィッツパトリックスキンタイプ尺度上の皮膚型を有する。
【0100】
本明細書に開示される方法によって治療される瘢痕は、Tan et al.2010(Journal of Cutaneous Medicine and Surgery、Vol 14、No 4(July/August)、参照することにより本明細書中に取り込まれる)によるGlobal Scale for Acne Scar Severity(ニキビ痕重症度のグローバル尺度)(SCAR-S)に記載される0、1、2、3、4又は5のいずれか一つの等級を含んでもよい。等級付けは以下の通りである。0:なし;ニキビによる瘢痕が見えない、1:ほぼなし;2.5m離れてもほとんど見えない瘢痕、2:軽度;容易に認識できる;患部面積(例:顔、背中又は胸)の半分未満が関与;3:中程度;患部面積(例:顔、背中又は胸)の半分超が関与;4:重度;全面積が関与、5:非常に重度;全面積が顕著な萎縮性の又は肥大した瘢痕を有する。
【0101】
実施形態において、ニキビ痕は、アイスピック瘢痕、ボックスカー瘢痕、ローリング萎縮性ニキビ痕、膨張性ローリング萎縮性ニキビ痕、又は肥大性瘢痕であってもよい。瘢痕は、被験者の顔、背中、又は胴体にある場合がある。
【0102】
本明細書に開示される方法によって治療されるニキビ痕は、約0.1mm~約5mmの深さ(例えば、約0.1mm、約0.5mm、約1.0mm、約1.5mm、約2mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5mm、約5mmの深さ、又は任意の二つの前述の値の間の範囲内の任意の深さ)を有し得る。
【0103】
本明細書に開示された方法によって治療されるニキビ痕は、約0.05mm~約400mmの患部面積を有し得る。
【0104】
本明細書に開示された方法によって治療されるニキビ痕は、約0.01mm~2,000mmの体積(例えば、.約0.01mm、約1mm、約10mm、約20mm、約30mm、約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm、約90mm、約100mm、約125mm、約150mm、約175mm、約200mm、約225mm、約250mm、約275mm、約300mm、約325mm、約350mm、約375mm、約400mm、約425mm、約450mm、約475mm、約500mm、約525mm、約550mm、約575mm、約600mm、約625mm、約650mm、約675mm、約700mm、約725mm、約750mm、約775v、約800mm、約825mm、約850mm、約875mm、約900mm、約925mm、約950mm、975mm、約1,000mm、約1,100mm、約1,200mm、約1,300mm、約1,400mm、約1,500mm、約1,600mm、約1,700mm、約1,800mm、約1,900mm、約2,000mmの体積又は任意の2つの前述の値の間の範囲内の任意の体積)を有し得る。
【0105】
本明細書に開示される方法によって処理される瘢痕は、CIE L色座標によって定義される皮膚色を減少させることができる(例えば、Lを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ若しくは約50%より大きく、又は任意の二つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ減少させる)。好ましい実施形態において、本明細書に開示される方法は、Lを約50%より大きく減少させる。
【0106】
本明細書に開示される方法は、例えば、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ、又は約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ、aをさらに増加させることができる。好ましい実施形態において、本明細書に開示される方法は、aを約50%より大きく増加させる。
【0107】
実施形態において、瘢痕は、患者の自然な皮膚の色調とは異なる色を含み、本明細書に開示される組成物は、瘢痕の色が患者の自然な皮膚の色調に統合するように、瘢痕の色が色強度においてが減少又は薄れるという結果をもたらす。
【0108】
本明細書に開示される組成物は、瘢痕を有する皮膚の領域に注射された後、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、又は約12ヶ月以内に、瘢痕の外観を改善することができる(例えば、トロポエラスチンを欠く他は同一の組成物又は生理食塩水と比較して、瘢痕の深さ、体積、表面積、及び/又は色を、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%以上減少させる)。
【0109】
以下の実施例、配列表及び図は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、その真の範囲は添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の精神から逸脱することなく、記載された手順に変更を加えることができることが理解される。
【実施例
【0110】
例1.萎縮性ローリングニキビ痕治療用TEインプラントの臨床効果、持続性、組織適合性、及び安全性の評価
試験デザイン及び無作為化
萎縮性ローリングニキビ痕の治療の真皮移植後のTEインプラント(30mg/ml組換えヒトトロポエラスチンを0.5%誘導体化ヒアルロン酸で架橋)の臨床効果、持続性、組織適合性及び安全性を試験及び評価するための試験を実施した。
【0111】
24歳から55歳の男女34名の患者が、ニキビ痕の治療のためのTEインプラント(30mg/ml組み換えヒトトロポエラスチンを0.5%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋したもの;以下「TEインプラント」)の試験に参加した。しかし、34名の患者のうち1名は治療前に同意を撤回した。33名の患者は、顔の各々の側のこめかみと頬骨の周りにある約2cm×2cmの皮膚の領域で試験を受けた。この各々の側には、中程度から重度のローリング膨張性の萎縮性ニキビ痕がそれぞれ2つ以上含まれていた。治療は顔の両側に対して以下のように行われた。
a)0.5%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋した30mg/ml組換えヒトトロポエラスチンのトロポエラスチン皮内(i.d.)インプラント(「TEインプラント」);及び
b)生理食塩水対照(等張生理食塩水の皮内(i.d.)インプラント)(「生理食塩水対照」)。
【0112】
各患者は、自分自身の対照として、TEインプラントを顔の右側又は左側のいずれかに移植し、生理食塩水対照を顔の反対側に移植した。すべての患者は、TEインプラントと生理食塩水対照の治療を3回受けることになった(0日目、28日目、56日目)。各治療通院時に、TEインプラントは0日目と同じ側に投与された(生理食塩水対照は0日目と同じ側に投与された)。各治療は、2cm×2cmの治療部位の皮膚の真皮に、それぞれ約25~50μlのTEインプラントを複数回、別々に直接皮内注射することで構成された。瘢痕内の線維束を確実に破壊するために、クロスハッチング配置で逆行性線形スレッディング技術を用いて注射を行った。さらに、最適な瘢痕反応を確保するために、ローリング萎縮性ニキビ痕の真皮へのボーラス注射を1回以上行うこともある。各治療時点において各治療部位に与えられるTEインプラント又は生理食塩水対照の最大総体積は、約250μlであり、500μlを超えないようにした。
【0113】
インプラント部位の審査は、14日目に行われた。全ての患者は、168日目まで安全性のために追跡された。
【0114】
患者は、TEインプラントと生理食塩水対照が顔又は体のどちら側に移植されたかについて盲検化された。治験責任医師は盲検化されていない。0日目の治療前画像と比較した168日目の治療後画像の第3者臨床評価者は盲検化された。
【0115】
試験の手順と経過観察
スクリーニング
試験装置の初回移植に先立つ最長28日間のスクリーニング期間を設け、患者の適格性とベースラインパラメータを決定した。この間、各患者から書面、署名及び日付入りのインフォームドコンセントを得た。関連する病歴項目が記録され、身体検査が実施され、バイタルサインが記録された。このとき行われた追加検査は以下の通り。12誘導心電図、アルコール使用のための呼気検査、尿薬物検査(アンフェタミン、コカイン、アヘン、大麻、バルビツール酸、ベンゾジアゼピンの使用を網羅)、意図された治療部位の臨床検査、意図された治療部位の2D及び3D写真、ニキビ痕重症度のグローバル尺度(Tan et al、2010、参照によりその全体が本明細書に含まれる)に対する意図された治療部位のスクリーニング、血清妊娠検査、APTT及びPT凝固の血液検査、実験室安全性検査のための血液及び尿の採取、HepB、HepC、及びHIV1及び2の血液検査などである。その後、検査により患者の試験への参加資格を決定し、参加資格を得た患者には試験開始のために再来院してもらった(治療通院1、0日目)。
【0116】
治験デバイスによる治療
通院治療1(0日目)に、対象となる患者は初回デバイスの移植に参加した。埋め込みに先立ち、以下の手順が実施された。
‐適格基準の見直し
‐併用薬変更の記録
‐移植前のバイタルサイン
‐アルコール使用のための呼気検査
‐乱用薬物の尿検査
‐抗トロポエラスチン抗体分析のための採血
‐治療予定部位の臨床検査
‐治療部位のベースライン2D写真撮影
‐治療部位のベースライン3D写真撮影
‐ニキビ痕評価のためのグローバル尺度(Tan et al.2010(Journal of Cutaneous Medicine and Surgery、Vol 14、No 4(July/August),2010;参照により本明細書に組み込まれる)に対する治験責任者による各治療部位の治療前評価。
‐EMLAクリームの局所塗布(TE又は生理食塩水対照インプラントの少なくとも60分前)。
‐妊娠の可能性のある女性のための尿妊娠検査。
【0117】
これらの処置が行われた後、患者は試験用デバイス(TEインプラント又は生理食塩水対照インプラント)を治療部位に移植された。TEインプラント及び生理食塩水対照インプラントの60分後に、注入部位に反応がないか物理的に調べ、治療後の2D写真を撮影した。
【0118】
14日目に、インプラント部位の審査が行われ、臨床スタッフにより以下の手順が実施された。
‐有害事象(AE)日誌カードの審査。
‐治療部位の臨床検査
‐治療部位の2D写真撮影
‐治療部位の3D写真撮影
‐血清抗トロポエラスチン抗体分析のための血液
【0119】
2回目の治療インプラントの通院は28±3日目に行われ、3回目の治療用インプラントの通院は56±3日に行われた。0日目に行ったのと同様の手順が踏まれた。
【0120】
患者には、各試験通院の間に、赤み、腫れ、かゆみ、圧痛などの注射部位の反応を記録するための日記が提供された。
【0121】
経過観察
患者は84±3日目に試験会場に戻り、経過観察のための処置を行った。以下の活動が実施された。
‐併用薬の変更の記録
‐有害事象の記録と治療部位の臨床検査
‐身体検査とバイタルサイン
‐飲酒のための呼気検査
‐乱用薬物の尿検査
‐抗トロポエラスチン抗体分析用採血
‐治療部位の2D写真撮影
‐治療部位の3D写真撮影
‐妊娠の可能性のある女性のための尿妊娠検査
‐患者及び治験責任医師による、変化に関するグローバル印象尺度(Global Impression of Change scale)及び患者によるACNE-Q尺度に対する治療部位の評価
【0122】
168±7日目に追加の経過観察通院が行われ、以下の活動が実施された。
‐併用薬の変更の記録
‐有害事象の記録と治療部位の臨床検査
‐身体検査とバイタルサイン
‐12誘導心電図
‐飲酒のための呼気検査
‐乱用薬物の尿検査
‐抗トロポエラスチン抗体分析用採血
‐治療部位の2D写真撮影
‐治療部位の3D写真撮影
‐妊娠の可能性のある女性のための尿妊娠検査
‐スクリーニング時の血液と尿の実験室安全性検査
‐患者及び治験責任医師による治療部位の変化に関するグローバル印象尺度及び患者によるACNE‐Q尺度に対する評価
【0123】
168日目に、盲検の第三者審査員も、168日目と0日目の写真を比較することにより、変化に関するグローバル印象尺度に対して治療部位を評価した。
【0124】
研究の目的
本研究の第一の目的は、萎縮性ニキビ痕を有する男女におけるTEインプラントの臨床的有効性を確立することであった。
【0125】
本試験の第二の目的は以下の通りであった。
‐萎縮性ニキビ痕に対するTEインプラント(0.5%誘導体化ヒアルロン酸で架橋した30mg/ml組換えヒトトロポエラスチン)の組織学的変化の評価。
‐TEインプラントの局所及び全身におけるAEプロファイルの確認。
【0126】
安全性の目標
本試験の安全性の目的は、TEインプラントの安全性と忍容性を評価することであった。
【0127】
探索的な目的
以下の探索的な目的について検討した。
‐ニキビ痕の臨床的意義を分析した
‐盲検の第三者審査員(BRPR)によって解析されたニキビ痕の分類
‐3Dカメラデータとニキビ痕重症度のグローバル尺度(Global Scale for Acne Scar Severity)、ACNE-Q ニキビ痕スコア及びBTPR治療スコアの相関
【0128】
参加基準
本試験に組み入れることができる患者は、以下の基準をすべて満たしている必要があった。
1.顔の両側のこめかみ又は頬骨に約2cm×2cmの一致した治療部位を持つ女性/男性患者で、それぞれ指の間で伸ばすと膨張可能で、ニキビ痕評価のためのグローバル尺度で中程度から重症と分類される、最低2つのローリング萎縮性ニキビ痕を含む患者。
2.それ以外は正常で健康な皮膚の領域にあるニキビ痕。
3.年齢:18歳~55歳
4.自発的なインフォームドコンセントの提供が可能
5.全身状態が良好であること。
6.性的に活発な女性患者は、長期追跡調査を除き、投与前及び試験期間中の少なくとも30日間は、子供を産む可能性のない人(すなわち、外科的不妊手術又は閉経後)、性交を控える、又は信頼できる避妊方法(例:ホルモン避妊薬、コンドーム、IUD)を使用する。長期追跡調査期間中、妊娠の可能性のある女性患者には避妊法を使用することを勧めるが、強制はしない。
7. フィッツパトリックスキンタイプI、II、III、IV又はV。
【0129】
除外基準
以下の基準のいずれかに該当する患者は、本試験から除外した。
1.顔面(又は、背中及び胴体の部位にも治療を受ける患者については、背中及び胴体)に活動中のニキビ病変がある。
2.フィラー、レーザー、又は真皮に達する深いケミカルピーリングによる萎縮性ニキビ痕の現在又は過去の治療、又は治験責任医師の見解において現在の臨床研究の結果に合理的に影響を与えるとみなされるその他の医学的又は外科的治療を行っている。
3.トロポエラスチン、ヒアルロン酸、又はTEインプラント(0.5%誘導体化ヒアルロン酸で架橋された30mg/ml組換えヒトトロポエラスチン)の他の成分に対して既知の過敏症があること。
4.妊娠検査が陽性の女性患者、試験期間中の十分な避妊と妊娠検査に同意しない女性、又は試験期間中に妊娠を予定している女性。
5.スクリーニング前1ヶ月以内に薬理学的薬剤の臨床試験に参加した者。
6.スクリーニング時に臨床的に重要な血液学的又は生化学的所見を有する者。
7.スクリーニング検査でB型肝炎、C型肝炎、又はHIVの検査が陽性である。
8.出血性疾患、抗凝固剤、血小板減少症、臨床的に有意なAPTT又はPTの延長を有する。
9.アスピリン、その他の非ステロイド性抗炎症薬、又はその他の抗血小板薬を慢性的に使用している。
10.ケロイドの形成の既往歴がある。
11.肉芽腫性疾患又は結合組織性疾患の既往歴がある。
12.過去12週間以内に全身性副腎皮質ステロイドを使用したことがある。
13.現在レチノイド外用剤を使用している、又は過去8週間以内にレチノイド外用剤を使用したことがある。
14.糖尿病又はその他の代謝異常で、治験責任医師が患者の治療への反応に支障をきたすと判断した場合。
15.副腎皮質ホルモンの全身投与を必要とする可能性が高いと治験担当医師が判断した重篤な病状。
16.妊娠中又は授乳中の女性。
17.トロポエラスチンの過去の投与。
18.リドカインに対する既知の過敏症を含むアナフィラキシー又はアレルギー反応の既往歴がある。
19.過去12ヶ月間に、インプラント予定部位に治験薬を使用したことがある。
【0130】
処置
33名の患者がスクリーニングされ、登録され、無作為化され、試験中に少なくとも1回のTEインプラントを受けた。1人の患者(患者ID番号:001-120)が登録されたが、0日目の治療の前に同意を撤回した。5人の患者は、0日目の最初の治療通院の後、インプラント治療を受けなかった。残りの27人の患者は、3つの意図された顔面治療をすべて受けた。33人の無作為化された患者すべてが、解析のために全分析セット(Full Analysis Set)(FAS)及び安全セット(Safety Set)(SS)集団に含められた。3つの意図された顔面治療をすべて受けた27人の患者は、写真分析セット1(PAS1)を形成した。
【0131】
人口統計学的特徴とベースライン特性
患者の年齢は24歳から55歳で、平均年齢は38.0歳(SD=8.71)であった。患者は22人が男性で、11人が女性であった。16人の患者は白人であり、2人は地中海人であり、14人はアジア人であり、1人は「その他」に分類された。11人の女性はすべて妊娠の可能性があり、それぞれスクリーニング通院で実施した妊娠検査が陰性であった。4人の患者がフィッツパトリックスキンタイプII、13人がスキンタイプIII、12人がスキンタイプIV、4人がスキンタイプVであった。
【0132】
ニキビ痕評価のためのグローバル尺度評価を用いた瘢痕の評価
スクリーニング通院時及び0日目において、患者のニキビ痕を、表1に示す以下の尺度を用いて評定し、患者が瘢痕の重症度に関する包含基準を満たすことを確認し、同等の対側治療部位を確保した。この尺度は、Tan et al.2010(Journal of Cutaneous Medicine and Surgery、Vol 14、No 4(July/August)(参照により本明細書に組み込まれる)により開発された。ニキビ痕の臨床医による等級付けを図2A~2Dに示す。
【表1】
【0133】
示されるように、FAS(全分析セット)の6人の患者は、TEインプラントと生理食塩水対照の顔面インプラントを全く受けないか、1回だけ受け、残りの27人は、TEインプラントと生理食塩水対照の3回の顔面インプラントを受けた。
【0134】
FASの場合、1回の通院でTEインプラント1回あたりに注入される平均体積は0.33mLであった。比較のために、インプラント通院あたりに注入された平均対照体積は、0.45mLであった。
すべてのインプラント通院におけるTE累積注入体積は、0.10mLから1.43mLの範囲であった。累積TE注入体積の中央値は0.90mLであった。すべてのインプラント通院における生理食塩水対照の累積注入体積は、0.05mLから1.83mLの範囲であった。生理食塩水対照の累積注入体積の中央値は1.31mLであった。
【0135】
主な効果分析
顔の両側の5つの瘢痕病変のそれぞれについて、3枚の画像に基づき、3D写真分析を用いて治療部位の様々な特性を評価した。一人の患者は、部位によって2つの画像しか撮影・記録されていなかったので、この患者のデータは、その2つの画像のみに基づくものであった。
【0136】
写真によって測定された病変の特徴は次の通りであった。
‐色L
‐色a
‐色b
‐体積(mm
‐面積(mm
‐深さ(mm)
【0137】
体積、面積、深さをそれぞれカメラ設定6.0mmで評価した。報告及び分析のためのサマリー統計値を作成するために、各病変特性についての3つの画像の中央値を使用した。そして、顔の両側の5つの病変の中央値の合計を、患者/側面の解析のためのサマリースコアとして使用した。以下に例を示す。
‐特性=体積;病変jスコア=中央値(画像1特性、画像2特性、画像3特性)、ここでj=1~5;サマリースコア=病変1スコア+病変2スコア+病変3スコア+病変4スコア+病変5スコア。
【0138】
次に、顔の各側のサマリースコアのベースラインからの変化を、168日目の顔のその側のサマリースコアから、0日目の顔のその側のサマリースコアを差し引いたものとして計算した。
【0139】
TEインプラント処理側と生理食塩水対照処理側との間のベースラインから168日目までの変化の差も計算した。
【0140】
サマリースコア及びサマリースコアのベースラインからの変化に関する単純なサマリー統計が、本明細書に提供される。一般に、TEインプラント治療部位及び生理食塩水対照治療部位の両方が、ベースラインからの改善の証拠を示し、TEインプラント治療部位は、生理食塩水対照治療部位と比較して、より大きな改善を示す。
【0141】
病変の寸法データも、回帰分析を用いてモデル化された。ベースラインからの変化を従属変数として使用し、処理側(TEインプラント又は生理食塩水対照インプラント)及びベースライン病変サマリースコアを独立(説明)変数として使用した。結果は、表2(PAS1)にベースラインから168日目までの変化について記載されている。単純サマリー統計の通り、モデルの結果は、TEインプラントと生理食塩水対照インプラントの両方で深さ、体積、面積の有意な減少を示し、生理食塩水対照治療部位と比較してTEインプラント治療部位の深さ、体積、面積測定値のベースラインからの減少は常に大きいことが示された。
【表2】
【0142】
全治療部位(PAN)解析。治療部位の個々の病変に対して行われた測定に加えて、治療部位の全体の輪郭変形に対する治療インプラントの影響を決定するために、以下の特性も治療部位の全体にわたって評価された(以下、PAN分析と呼ぶ)。
【0143】
色画像(先に述べたように、治療部位全体の色の変化は、個々の病変レベルでの色の変化を反映している)。
‐色L(黒から白への尺度)
‐色a(緑から赤への尺度)
‐色b(青から黄への尺度)
【0144】
陥没の測定(治療部位全体の輪郭の変化を検出するために10.0mmのカメラ設定を使用‐この設定では、個々のニキビ痕病変は測定されないことに注意)。
‐治療部位全体の輪郭の陥没の深さ(mm)
‐治療部位全体の輪郭の陥没の面積(mm
‐治療部位全体の輪郭の陥没の体積(mm
【0145】
隆起測定(治療部位全体の輪郭変化を検出するために10.0mmのカメラ設定を使用-この設定では、個々のニキビ痕病変は測定されないことに注意)。
‐治療部位の隆起の高さ(mm)
‐治療部位の隆起の面積(mm
‐治療部位における隆起の体積(mm
【0146】
PAN治療部位のすべてのカメラ測定値を本明細書に記載する。個々の病変データと同様に、スコアは、各特性についての3つの画像に基づいて提供された。各患者/側面のサマリースコアを導出する目的のために、3つの画像スコアの中央値が使用された。そして、各患者/側面のベースラインからの変化は、168日目のスコアの中央値から1日目のスコアの中央値を引いたものとして計算された。測定された色特性のベースラインからの変化は、試験期間中の季節的な変化により影響を受ける可能性がある-これらは太陽にさらされる顔の治療部位であるため、皮膚の色は冬と夏の季節で変化し、逆も同様である。3Dカメラシステムの構造・仕組み上(カメラフードを直接皮膚に当てる)、一定の照明で画像が撮影されるため、写真撮影時の照明の変化が得られた画像に影響を与えることはない。皮膚色の季節変化を考慮し、ベースラインと168日目の両方で、インプラント治療側と生理食塩水対照治療側の差を算出した。この差の変化は、PAN治療部位分析において、色L、色a、色bの有効性指標として使用された。以下に簡単なサマリー統計を示す(安全性セットのうちデータがある全患者)。
【0147】
病変分析と同様に、ベースラインからの変化(又はベースラインからの差の変化)を従属変数とし、処理側(TEインプラント又は生理食塩水対照)及びベースライン値(又はベースライン値における差)を独立(説明)変数として用いる回帰モデリングを行った。ベースラインから168日目までの変化量の解析結果を以下の表に示す。
【0148】
この結果は、生理食塩水対照と比較して、TEインプラントのPAN処理部位において、L黒から白への色尺度が有意に減少し、a緑から赤への色尺度が有意に増加することを示している。さらに、生理食塩水対照と比較して、TEインプラントについて、PAN処理部位全体における、より大きな輪郭の皮膚陥没体積及び面積の有意な減少、並びに対応する隆起体積及び面積の増加もまた、見られる。
【表3】
【0149】
変化に関するグローバル印象(Global Impression of Change)尺度による瘢痕の評価。
盲検化された第三者審査員(BTPR)が、変化に関するグローバル印象(GIC)尺度に対する治療部位の外観の変化を評価するために、168日目と0日目の写真を盲検化して審査するよう依頼された。BTPRでは、治療部位と顔のすぐ周囲の領域のみが写真で審査され、患者の詳細は提供されず、患者は治療のパターンが識別できないように無作為化された。使用された尺度は以下の通りである。
【表4】
【0150】
PAS1のBRPR評価の結果は、本明細書に記載され、図3(BTPR評価)に表示されている。
【0151】
PAS1集団では、BTPRは、検査した治療部位の70%で168日目にTEインプラント部位に改善が見られ、検査した治療部位の41%で生理食塩水対照部位に改善が見られたことを指摘した。
【0152】
さらに2つの分析が行われた。最初の分析は、BTPRがTEインプラント治療部位で何らかの改善を指摘した治療部位の割合を生理食塩水対照治療部位と比較したものである。パーセンテージの差が計算され、パーセンテージの差がゼロに等しいかどうかのテストが実施された。結果は表5に示されている。盲検審査員がTEインプラント部位の改善を指摘した治療部位の数は、168日目に生理食塩水対照部位と比較して26%の差があった(p=0.033)。
【0153】
第2の分析は、生理食塩水対照治療側に対するTEインプラント治療側からのGICスコア(-3~+3の範囲)のペアt検定比較を使用した。これらの結果は、表6において以下に示される。168日目のBTPRによって評価された、生理食塩水対照部位におけるトロポエラスチンインプラント間のGICスコアの平均差は、0.48(95%CI -0.04~1.00、p=0.068)であった。
【表5】
【0154】
GICスコアは、-3から+3まで測定される。+1から+3までのスコアは改善としてグループ化され、-3から0までのスコアは悪化/改善なしとしてグループ化される。この表は、評価された総数(N)に対して、改善と評価された患者の数(n)を示している。差は、TEインプラント部位で改善を示す割合から、生理食塩水対照部位で改善を示す割合を引いたものである。p値は、パーセンテージの差(TEインプラント-生理食塩水対照)がゼロであるかどうかを検定するものである。
【表6】
【0155】
GICスコアは、-3から+3まで測定される。+1から+3までのスコアは改善としてグループ化され、-3から0までのスコアは悪化/改善なしとしてグループ化される。この表は、GICの対の差(TEインプラント-生理食塩水対照)をまとめたものである。正の差は、生理食塩水対照部位と比較して、TEインプラント部位のGICが高いことを示す。p値は、対の差(TEインプラント-生理食塩水対照)がゼロであるかどうかを検定するものである。
【0156】
AcneQアンケート
ベースライン(1日目)及び84日目、168日目、336日目に、患者にAcne-Qアンケートを実施するよう求めた。このアンケートは、ニキビ痕がどの程度気になるかという患者の認識に関する10の質問からなる。各質問は4点満点で評価された。1=全くない、2=少しある、3=かなり多い、4=非常に多い、質問された10の質問は以下の通りである。
1. ニキビ痕が離れたところからどのように見えるか、どの程度気になりますか?
2. これまでのニキビ痕の治り方(自分が望んでいたよりも盛り上がりやへこみが多い)が気になりますか?
3. ニキビ痕の大きさはどの程度気になりますか?
4. 写真に写ったニキビ痕の印象はどの程度気になりますか?
5. ニキビ痕の量はどの程度気になりますか?
6. ニキビ痕の色と皮膚色の違いはどの程度気になりますか?
7. 明るい光の下でのニキビ痕の見え方は、どの程度気になりますか?
8. に映ったニキビ痕の見え方は、どの程度気になりますか?
9. ニキビ痕の目立ち方はどの程度気になりますか?
10.ニキビ痕が間近に見えることがどの程度気になりますか?
【0157】
尺度は、Klassen et al.(Acne‐Q(著作権)、A Guide for Researchers and Clinicians、Users Guide Version 1.0、September 2018、McMaster University;参照することにより本明細書に取り込まれる)により記載されている。
【0158】
PAS1集団のニキビ痕尺度に関するサマリー統計値を本明細書に示す。
【0159】
ニキビ痕尺度は、合計が高いほど患者の観点から「より良い」結果を表すように採点される。ベースラインでは、PAS1集団の顔の両側の患者の採点に統計的に有意な差はなく、TEインプラント治療部位の平均スコアは36.7、生理食塩水対照治療部位の平均スコアは35.4であった。168日目には、PAS1集団の患者は、TEインプラント治療部位(57.4点)を生理食塩水対照治療部位(52.0点)よりも高く採点し、その差、5.370点は、ゼロから統計的に著しく異なっていた(p=0.014)。
168日目までに、ベースライン採点からの変化量は、TEインプラント治療部位と生理食塩水対照治療部位の両方で、ゼロから統計的に有意に高くなった。生理食塩水対照部位と比較すると、TEインプラント部位の変化は概して平均的により大きかったが、2つの治療部位の間の差はゼロから統計的に有意な差ではなかった(PAS1集団では、その差は4.074、p=0.120)。
【表7】
【0160】
Acne‐Qの瘢痕のスコアが高いほど、患者からの反応が「良い」ことを表す。Acne‐Q瘢痕スコアのベースラインからの正の変化は、患者がアンケート項目に基づいて改善を指摘したことを示す。
【0161】
副次的目的分析
また、盲検化された第三者審査員には、瘢痕を以下のように分類するよう求めた。
【0162】
・膨張性ローリング萎縮性ニキビ痕:指の間に伸ばせば見えなくなるようなもの。
【0163】
・ボックスカー又はボックスカー様瘢痕:古典的なボックスカー瘢痕及び指の間で伸ばしても見えるような特徴的な線維性エッジを有する瘢痕。
【0164】
・アイスピック瘢痕:古典的なアイスピックのニキビ痕。
【0165】
全体として、ベースライン時に、BTPRによって臨床的に最も重要であると識別された瘢痕の61%及び69%が、TEインプラント及び生理食塩水対照治療側でそれぞれボックスカー型瘢痕として分類された。BTPRで臨床的に最も重要と判定された瘢痕の37%と26%というより低い割合は、TEインプラント側と生理食塩水対照側でそれぞれローリングタイプの瘢痕に分類された。このことは、ボックスカー瘢痕が臨床的に最も重要な瘢痕タイプとして提示される可能性が高いことを示している可能性がある。残りのTEインプラント側2%、生理食塩水対照治療側5%はアイスピックタイプに分類された。
【0166】
瘢痕のタイプ別にニキビ痕を分析するために、一次有効性分析に使用したものと同じ手順に従った。これらの分析は、6.0mmカメラ横サイズ設定での体積、深さ及び影響測定に限定された。BTPRによって最も臨床的に関連する3つのニキビ痕の1つとして識別された各病変に対して、各病変特性に対する3つの画像の中央値が使用された。しかし、患者は識別された病変の数が異なる可能性があるため、顔の各側で識別された病変の中央値の平均は、合計ではなく、患者/側面の分析のためのサマリースコアとして使用された。
【0167】
次に、顔の各側のサマリースコアについてのベースラインからの変化を、168日目の顔のその側のサマリースコアから0日目の顔のその側のサマリースコアを差し引いたものとして計算した。
【0168】
TEインプラント治療側と生理食塩水対照治療側との間の、ベースラインから168日目までの変化の差も計算された。先に述べたように、いくつかの事例において、BTPRは、顔の片側でその最も臨床的に関連する3つのニキビ痕の中に1つの瘢痕タイプが存在し、他は存在しないことを確認したので、全ての患者がこの分析に含まれる両側のデータを有するわけではなかった。このことは、本分析における差異を解釈する際に考慮されるべきである。解析は、ボックスカー型病変とローリング型病変について別々に行われた。
【0169】
サマリースコアとサマリースコアのベースラインからの変化に関する単純なサマリー統計が、ボックスカー型の病変について(PAS1)、及びローリング型の病変について(PAS1)提供された。
【0170】
ボックスカー型及びローリング型のニキビ痕のBTPR病変データも、一次効果解析と同様に回帰分析を用いてモデリングした。結果は、PAS1ボックスカー型及びPAS1ローリング型のカメラ設定6.0mmにおけるベースラインから168日目までの変化について提供される。モデルの結果、TEインプラント治療部位では、生理食塩水対照治療部位と比較して、深さ、体積、面積の測定値がベースラインから一貫して大きく減少していることが示された。
【0171】
表8のボックスカー型病変について、以下に結果を繰り返す(168日目までの変化)。BTPRにより同定されたボックスカー型病変については、所見は概ね一次効果解析の所見と一致したが、この場合、TEインプラントと生理食塩水対照治療部位との差において、統計的有意又はそれに近い所見がより多く、線維性組織を含む瘢痕に対して生理食塩水対照と比較してTEが驚くほど大きな効果を持っていることが示された。
【表8】
【0172】
3Dカメラデータとニキビ痕重症度のグローバル尺度との相関性
試験の一部として、6点のニキビ痕重症度のグローバル尺度(Global Scale for Acne Scar Severity)(GSASS又はSCAR‐S、Tan et al 2010;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)が、スクリーニング及び0日目に、試験への参加基準として顔の治療部位の左側及び右側の両方について、治験責任医師によって提供された。尺度は、表9の通りであった。
【表9】
【0173】
0日目のGSASSスコアと、Day )画像から得られた瘢痕病変の写真測定値との相関を評価した。0日目のGSASSスコアの大部分は、カテゴリー3又は4(>90%)の症例であり、したがって、この変数のデータの広がりは、GSASSと連続写真測定値との間の真の相関の適切な推定値を提供しないかもしれない。
【0174】
写真測定値(従属変数)とGSASS(独立変数)の間の線形関係の傾きを推定するために、単純な線形回帰モデルを実行した。GSASSの1単位の変化(カテゴリーXからカテゴリーX+1への変化)は、傾き推定値に等しい写真測定の変化をもたらすという、傾き推定値の解釈は通常通りである。つまり、GSASSが増加すると、写真測定も増加するので、傾き推定値は正になることが予想された。これは、以下の表10に示すように、実際にそうである。
【表10】
【0175】
p値は、傾き推定値がゼロに等しいかどうかを検定するもので、ピアソンの相関係数がゼロである場合のp値と等価である。R2乗はピアソンの相関係数を2乗したものである。
【0176】
すべての場合において、傾き推定値は正であり、カメラ設定による写真測定のそれぞれについて有意であり、体積及び面積測定(試験した各カメラ設定において)から最大の統計的有意性が観察された。最も高いR2乗の値は、各カメラソフトの設定において面積と体積で観察された。これは、GSASSが遠距離からの瘢痕の見え方の評価であることを考えると、驚くには当たらないことである。単純な線形回帰モデルは患者による相関を必ずしも説明するものではないことは留意すべきである。つまり、各患者は分析のために左側と右側の両方の値を提供しており、これらは互いに独立していない可能性があり、通常の最小二乗回帰の基本的な仮定の一つである。前述したように、X軸のデータの大部分(GSASS)は2つの値の周辺に集まっており、これも結果の「一般化」に影響を与える可能性がある。
【0177】
3Dカメラデータと第三者盲検審査員による治療前/治療後のスコアの相関性。
【0178】
盲検化された第三者審査員(BTPR)が、GIC尺度に対する治療部位の外観の変化を評価するために、盲検化された方法で168日目と0日目の写真を審査するよう依頼された。BTPRのために、審査した写真では、治療部位と顔のすぐ近くの領域だけが見えるようにした。患者の詳細は提供されず、患者は無作為に割り振られたため、治療のパターンは識別できなかった。BTPRはまた、提供されたベースライン写真に基づいて、臨床的に最も意味のある3つのニキビ痕を識別するよう求められたが、順位付けは行われなかった。追加の探索的分析の一部として、BTPR GICスコアと、3Dカメラソフトウェアを用いて測定されたBTPR同定病変のベースラインからの変化との相関が調べられた。
【0179】
以前のデータ探査と同様に、写真測定のベースラインからの変化を従属変数とし、BTPR GIC スコアを独立変数として、一連の単純な線形回帰モデルを開発した。より高いGICスコアは視覚的検査による改善を示すので、直線の期待される傾きは負となり、GICスコアの単位当たりの増加は、傾きの推定値に等しい測定パラメータの低下をもたらすことを示す。これは、以下の表11に見られるように、調査した各カメラ設定において、すべての写真測定パラメータについて、実際にそうなっている。いずれの場合も、p値は<0.05であった。傾き推定値は、体積、面積、深さにおける臨床的に関連する変化の初期推定値を表している可能性がある。
【表11】
【0180】
pP値は傾き推定値がゼロに等しく、ピアソンの相関係数がゼロである場合のp値と等価であるかどうかを検定する。R2乗はピアソンの相関係数を2乗したものである。
【0181】
ディスカッション
【0182】
TEインプラントは、3D写真分析に基づいて、治療された顔の萎縮性ニキビ痕の体積、面積及び深さを減少させ、盲検化された第三者審査員のフィードバックに基づいてその外観を改善することが見出された。
【0183】
TEインプラントは、56日間の期間にわたって3回インプラントを受けた顔の萎縮性ニキビ痕を有する男女においても、安全で忍容性があることが判明した。
【0184】
顔面治療部位の3D写真評価は、色、深さ、面積及び体積のニキビ病変及び治療部位全体の特徴を測定する様々なカメラソフトウェア設定を用いて、ベースライン及び168日目に実施された。3D写真評価は、個々のニキビ痕を包含するレベル(カメラ横サイズ設定6.0mm)、及び全体的な皮膚輪郭のレベル(カメラ横サイズ設定10.0mm、より小さな陥没は検出されない)での皮膚特性の評価を含んでいた。
【0185】
結果のモデリングは、分析された測定(6.0mm設定)におけるTEインプラントによる治療後に、瘢痕体積、面積及び深さが経時的に統計的に有意に減少することを示した。注目すべきは、生理食塩水対照に対するTEインプラントの最大の差異が、個々のニキビ痕の陥没及び全体的な皮膚輪郭を包含するカメラソフトウェア設定において見られたことである。
【0186】
TEインプラントで治療した顔面ニキビ病変は、PAS1集団において以下の変化を示した。
‐ベースラインから168日目までのニキビ病変の深さの減少は、6.0mmカメラソフトウェア設定を用いて-0.43mm(95%CIは-0.56mm~-0.30mm、p<0.001)‐これはベースラインからの21%の減少に相当した。この減少は、生理食塩水対照部位で観察されたニキビ病変の減少よりも統計的に有意に大きかった(p=0.029)。
‐ベースラインから168日目までのニキビ病変の面積の減少は、6.0mmカメラソフトウェア設定で-19.10mm(95%CI:-23.76mm~-14.44mm、p<0.001)-これはベースラインからの24%の減少に相当した。この減少は、生理食塩水対照部位で観察されたニキビ病変の減少よりも統計的に有意に大きかった(p<0.001)。
‐ベースラインから168日目までのニキビ病変の体積の減少は、6.0mmカメラソフトウェアの設定で-6.83mm(95%CI:-8.91mm~-4.75mm、p<0.001)-これはベースラインから30%の減少に相当した。この減少は、生理食塩水対照部位で観察されたニキビ病変の減少よりも統計的に有意に大きかった(p=0.010)。
【0187】
モデリングはまた、色彩特性及び治療部位全体の皮膚輪郭の改善において、それぞれTEインプラント部位に有利な統計的に有意な差を示した。色分析は、顔の皮膚の色に対する季節的な影響により、TEインプラント治療部位と生理食塩水対照治療部位との間の差のベースラインからの変化を用いて実施された。主な結果は以下の通りであった。
‐ベースラインから168日目までのTEインプラント部位と生理食塩水対照部位の間の色L特性の差の変化 -1.11(95%CI:-1.69~-0.54、p<0.001)。
‐ベースラインから168日目までのTEインプラント部位と生理食塩水対照部位の間の色a特性の差の変化 +0.79(95%CI:+0.33~+1.27、p=0.002)
‐ベースラインから168日目までのTEインプラント部位と生理食塩水対照部位の間の色b特性の差の変化 -0.63(95%CI:-0.92~-0.34、p<0.001)
【0188】
モデリングはまた、より大きな10.0mmカメラ横サイズ設定によって測定された、治療部位全体の皮膚輪郭の統計的に有意な改善を示した。PAS1セットからのここでの主要な結果は以下の通りであった。
‐TEインプラント治療部位でベースラインから168日目までの皮膚輪郭陥没面積の減少 -50.12mm(95%CI:-66.02mm~-34.21mm、p<0.001、ベースライン値から47%減少を表す)。これは、生理食塩水対照治療部位で観察された減少量と統計的に有意な差があった(p<0.001)。(表3)。
‐TEインプラント治療部位でベースラインから168日目までの輪郭陥没体積の減少 -22.15mm(95%CI:-30.82mm~-13.48mm、p<0.001、ベースライン値からの50%減少を表す)。この減少量は、生理食塩水対照治療部位で観察された減少量よりも統計的に有意に大きかった(p=0.014)。(表3)
‐TEインプラント治療部位でベースラインから168日目までの皮膚輪郭隆起面積の増加 +53.75mm(95%CI:+40.50mm~+67.01mm、p<0.001、ベースライン値からの28%増加を表す)。これは、生理食塩水対照治療部位で観察された減少量と統計的に有意な差があった(p<0.001)。(表3)。
‐TEインプラント治療部位でベースラインから168日目までの皮膚輪郭隆起体積の増加 +23.82mm(95%CI:+14.84mm~+32.80mm、p<0.001、ベースライン値からの27%増加を表す)。これは、生理食塩水対照治療部位で観察された減少量と統計的に有意な差があった(p<0.001)。(表3)。
‐輪郭陥没深さ又は輪郭隆起高さのいずれかについては、いずれの治療法も有意な影響を与えなかった。
【0189】
また、変化に関するグローバル印象尺度を介した盲検の第三者審査員に基づく評価を用いて、TEインプラント治療部位と生理食塩水対照治療部位の間に(TEインプラント側に有利な)統計的有意差が存在した。PAS1集団では、168日目に、
‐BTPRによる評価では、70%がTEインプラント治療部位で、41%が生理食塩水対照治療部位で改善を認めた(パーセンテージの差、30%、p=0.033)。(表5)。
‐BTPRによるGIC評価の平均差は0.48であり、TEインプラントに有利であった(p=0.068)(表6)。
【0190】
ACNE‐Qアンケートのニキビ痕尺度は、著者の指示(Klassen et al;参照により本明細書に組み込まれる)に従って導出した。患者の回答に基づき、ベースラインでは、顔の左側と右側の両方について、ニキビ痕尺度スコアが類似していた。168日目までに、TEインプラント治療を受けた側の顔のニキビ痕尺度スコアは、生理食塩水対照側のスコアよりも有意に高かった(差=5.438ポイント、p=0.005。また、ニキビ痕尺度のベースラインからの変化も算出した。168日目には、TEインプラント部位、生理食塩水対照部位ともにベースライン値から有意な改善を示した(両側ともp<0.001)。ACNE‐Qアンケートは、現時点では、ベースラインからの変化については検証されていないことに留意されたい。
【0191】
3Dカメラデータから得られた測定値の臨床的意義を評価するために、3Dカメラで測定したニキビ痕の大きさの相関を、0日目のGSASSとAcne‐Q瘢痕尺度に対して評価し、3Dカメラで測定したニキビ痕の大きさの変化をBTPRから提供されたGICスコアに対して評価した。
【0192】
6.0mmカメラ設定を用いて0日目に行われた深さ、体積、面積測定値に対する0日目に行われたGSASS評価の関係を分析したところ、以下のように3つの測定値すべてに相関があることが明らかになった。
‐GSASSが1単位進むと、測定した5つの病変の瘢痕深さが0.36mm増加した(95%CI:0.08mm~0.64mm、p=0.014)。(表10)。
‐GSASSが1単位進むと、測定した5つの病変の瘢痕面積は25.83mm増加した(95%CI:9.68mm~41.98mm、p=0.002)(表10)。
‐GSASSが1単位進むと、測定した5つの病変の瘢痕体積は10.11mm増加した(95%CI:3.44mm~16.78mm、p=0.004)(表10)。
【0193】
3Dカメラから得られたニキビ痕の測定値と3つすべての臨床評価ツールとの上記の相関は、3Dカメラの測定値が臨床的に有意義であることを明確に示しており、このような相関は将来の臨床研究のサンプルサイズを計算する際に有用であると考えられる。また、このデータは、GICの平均的なステップアップを導き出すために使用することができる。カメラ6.0設定でのニキビ痕の面積測定を用いると、以下のような変化が観察された。
168日目:TEインプラント群はベースラインから平均-19.0mmの減少を示した。これはGICの約3.7ステップの変化(ステップ値-5.2mmに基づく)に相当し、生理食塩水対照群はベースラインから-4.2mmの減少を示し、これはGICの約0.8ステップの変化を意味する。
【0194】
解析の結果、ニキビ痕面積の測定では、カメラの設定を6.0mmにすると、TEインプラント治療部位と生理食塩水治療部位の間に臨床的に意味のある差が出ることがわかった。6.0mm設定で行われた体積測定もまた、TEインプラント治療部位と生理食塩水対照治療部位との間で臨床的に意味のある差を示した。
【0195】
BTPRによる評価の70%がTEインプラント治療部位で改善を認め、41%が生理食塩水対照治療部位で改善を認めた(パーセントの差、31%、p=0.012)。
【0196】
患者の回答に基づき、ACNE-Qアンケートからのニキビ痕尺度スコアは、ベースライン時の顔の左側と右側の両方について類似していた。168日目までに、顔のTEインプラント治療側のニキビ痕尺度スコアは、生理食塩水対照側のそれよりも有意に高かった(差=5.438ポイント、p=0.005)。また、ニキビ痕尺度のベースラインからの変化も算出した。TEインプラント部位、生理食塩水対照部位ともにベースライン値から有意な改善が見られた(両側ともp<0.001)。
【0197】
例2:ニキビ痕に対するTEインプラントの使用
ニキビ痕の治療のために、生体材料マトリックスを形成するために誘導体化ヒアルロン酸で架橋されたrHトロポエラスチンを含む組成物(0.5%のdHAで架橋された30mg/ml TE)が使用された。この組成物は、リモデリングと成熟段階における萎縮性瘢痕の修復をサポートし、瘢痕の外観を減少させることが示された。
【0198】
患者を、少なくとも2つのローリング萎縮性瘢痕を含む2cm×2cmの大きさの領域で治療した。組成物は、0日目、28日目及び56日目に、1回の処置につき0.5 mlsの総体積で投与された。その後、7日目、84日目、168日目に経過観察が行われた。この試験は、18歳から55歳の男女を対象に行われた。有効性の評価は、Antera(登録商標)3Dカメラで行われた。
【0199】
患者はまた、TE組成物を受けていない皮膚の別の領域に生理食塩水対照を用いて、彼ら自身の対照として機能した。
【0200】
治療の前に、患者は自分の瘢痕を見直し、ニキビ痕の自己評価を行った。治療後、患者は、さらに、彼らのニキビ痕の外観を評価した。治療終了時の比較を行うために、0日目に瘢痕評価スコアを取得した。
【0201】
Miravex Antera3Dカメラシステムを使用し、治療部位にわたる、及び病巣単位での陥没、隆起、色の解析を可能とした。事前スクリーニング通院で評価された治療部位は、両側等価な治療部位が選択され得ることを確実にするよう実施された。
【0202】
試験に示されるように、この組成物は、ニキビ痕部分の深さと大きさの減少、並びに皮膚の色調の改善という驚くべき結果を導いた。例えば、患者は、より滑らかで、凹みが少なく、質感が改善され、また、瘢痕の縁が改善されたことに気づいた。
【0203】
3Dカメラで測定された驚くべき結果は、対照と比較して、ニキビ痕の面積を168日目までに24%、336日目までに21%減少させることを含んでいた。TEインプラントはまた、対照と比較して、治療後336日目まで、輪郭陥没体積の45~50%の減少及び皮膚の色の改善を達成した。
【0204】
皮膚の色調については、168日目及び336日目の両方において、対照治療部位と比較してTEインプラント治療部位のL黒から白への色調尺度に有意な減少が見られ、168日目及び336日目の両方において対照治療部位と比較してTEインプラント治療部位のa緑から赤の色調尺度に有意な増加が見られた。
【0205】
さらなる考察
いくつかの実施形態において、本明細書のいずれかの項は、独立項のいずれか1つ又は従属項のいずれか1つに依存してもよい。一態様において、項のいずれか(例えば、従属項又は独立項)は、他の任意の1つ以上の項(例えば、従属項又は独立項)と組み合わされてもよい。一態様において、請求項は、項、文、句又は段落に記載された語句(例えば、ステップ、操作、手段又は構成要素)の一部又は全部を含んでもよい。一態様では、請求項は、1つ又は複数の項、文、句又は段落に記載された語句の一部又は全部を含んでもよい。一態様では、項、文、句又は段落の各々における語句の一部が削除されてもよい。一態様では、追加の語句又は要素が、項、文、句又は段落に追加されてもよい。一態様において、主題技術は、本明細書に記載された構成要素、要素、機能又は操作の一部を利用することなく実施されてもよい。一態様では、主題技術は、追加の構成要素、要素、機能又は操作を利用して実施されてもよい。
【0206】
主題技術は、例えば、以下に説明される様々な態様に従って、例示される。主題技術の態様の様々な例は、便宜上、番号付けされた項(1、2、3など)として説明される。これらは、例として提供されるものであり、主題技術を限定するものではない。従属項のいずれかを任意の組み合わせで組み合わせることができ、それぞれの独立項、例えば、第1項又は第20項に入れることができることに留意されたい。他の項も同様の方法で提示することができる。
【0207】
第1項 ニキビ痕を有する皮膚の領域を治療して、治療を必要とする患者の皮膚の領域において、色及び/又は外観を改善し、及び/又はニキビ痕の深さ、患部面積、及び/又は体積を減少させる方法であって、トロポエラスチンを含む組成物を、ニキビ痕を有する皮膚の領域に投与することを含む、上記方法。
【0208】
第2項 組成物が、約1mg/ml~約400mg/mlのトロポエラスチンを含む、第1項に記載の方法。
【0209】
第3項 組成物が、1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、80mg/ml、90mg/ml、100mg/ml、110mg/ml、120mg/ml、130mg/ml、140mg/ml、150mg/ml、160mg/ml、170mg/ml、180mg/ml、190mg/ml、200mg/ml、210mg/ml、220mg/ml、230mg/ml、240mg/ml、250mg/ml、260mg/ml、270mg/ml、280mg/ml、290mg/ml、300mg/ml、310mg/ml、320mg/ml、330mg/ml、340mg/ml、350mg/ml、360mg/ml、370mg/ml、380mg/ml、390mg/ml又は400mg/mlトロポエラスチン、又は前述の任意の2つの値により定義される範囲の間の任意のトロポエラスチンの量を含む、第1又は2項に記載の方法。
【0210】
第4項 組成物が約1mg/ml~約300mg/mlのトロポエラスチンを含む、第1~3項のいずれか1項に記載の方法。
【0211】
第5項 組成物が約1mg/ml~約250mg/mlのトロポエラスチンを含む、第1~4項のいずれか1項に記載の方法。
【0212】
第6項 組成物が約1mg/ml~約200mg/mlのトロポエラスチンを含む、第1~5項のいずれか1項に記載の方法。
【0213】
第7項 組成物が約1mg/ml~約150mg/mlのトロポエラスチンを含む、第1~6項のいずれか1項に記載の方法。
【0214】
第8項 組成物が約1mg/ml~約100mg/mlのトロポエラスチンを含む、第1~7項のいずれか1項に記載の方法。
【0215】
第9項 トロポエラスチンが、約0.1%~約10%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋される、第1~8項のいずれか1項に記載の方法。
【0216】
第10項 組成物が、約0.4%~約1%の誘導体化ヒアルロン酸(HA)で架橋された約1~約100mg/mlのトロポエラスチンを含む、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。
【0217】
第11項 組成物が、0.5%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋された30mg/mlの組換えヒトトロポエラスチンを含む、第1~9項のいずれか1項に記載の方法。
【0218】
第12項 組成物が、リン酸緩衝生理食塩水をさらに含む、第1~11項のいずれか1項に記載の方法。
【0219】
第13項 トロポエラスチンを含む組成物が、瘢痕の下及び/又は瘢痕の縁の周りなど、瘢痕の周りに投与される、第1~12項のいずれか一項に記載の方法。
【0220】
第14項 ニキビ痕が、アイスピック瘢痕、ボックスカー瘢痕、又はローリング萎縮性瘢痕として下位分類される、第1~13項のいずれか1項に記載の方法。
【0221】
第15項 ニキビ痕がアイスピック瘢痕である、第1~14項のいずれか1項に記載の方法。
【0222】
第16項 ニキビ痕がボックス瘢痕である、第1~14項のいずれか1項に記載の方法。
【0223】
第17項 瘢痕がローリング萎縮性ニキビ痕である、第1~14項のいずれか1項に記載の方法。
【0224】
第18項 瘢痕が肥厚性瘢痕である、第1~14項のいずれか1項に記載の方法。
【0225】
第19項 瘢痕が、瘢痕の縁の周り又は下に線維性組織を含む、項1~18項のいずれか1項に記載の方法。
【0226】
第20項 ニキビ痕が約0.1mm~約5mmの深さを有する、第1~19項のいずれか1項に記載の方法。
【0227】
第21項 ニキビ痕が約0.05mm~約400mmの患部面積を有する、第1~20項のいずれか1項に記載の方法。
【0228】
第22項 ニキビ痕が約0.01mm~2,000mmの体積を有する、第1~21項のいずれか1項に記載の方法。
【0229】
第23項 方法が、ニキビ痕の下の線維性ストランドを破壊するステップをさらに含む、第1~22項のいずれか1項に記載の方法。
【0230】
第24項 破壊するステップが、トロポエラスチンを含む組成物の、それを必要とする患者への投与の前に行われる、第23項に記載の方法。
【0231】
第25項 線維性ストランドを破壊するステップが、ニキビ痕の下に真皮ポケットを形成する、第23又は24項に記載の方法。
【0232】
第26項 破壊するステップが、18G、21G、23G、25G、27G、29G又は30Gの針で実行される、第25項に記載の方法。
【0233】
第27項 投与することが、組成物を真皮ポケットに注入することを含む、第25又は26項に記載の方法。
【0234】
第28項 組成物が、ニキビ痕の下に注射として投与される、第1~27項のいずれか1項に記載の方法。
【0235】
第29項 組成物が、インプラント/注射あたり約10μL~約100μLの体積で投与される、第1~13項のいずれか1項に記載の方法。
【0236】
第30項 注射が、ニキビ痕内の線維性ストランドを破壊するために、クロスハッチング配置で逆行性線形スレッディング法を用いて与えられる、第28~29項のいずれか1項に記載の方法。
【0237】
第31項 針が、皮膚と平行に約30°の角度でニキビ痕を有する皮膚の領域に挿入され、針がベベルを含み、ベベルが上向きである、第30項に記載の方法。
【0238】
第32項 針が、ニキビ痕を有する皮膚の領域に複数回挿入され、繊維性ストランドを分解し、真皮ポケットを形成する、第31項に記載の方法。
【0239】
第33項 針が真皮ポケットから引き抜かれるのと同時に、組成物を注入するために均等な圧力が加えられる、第32項に記載の方法。
【0240】
第34項 組成物の投与が繰り返され、瘢痕への1回以上のボーラス注射が投与される、第1~33項のいずれか1項に記載の方法。
【0241】
第35項 投与される組成物の最大体積が約100μL~約5mLである、第1~34項のいずれか1項に記載の方法。
【0242】
第36項 投与される組成物の最大体積が、1平方センチメートル当たり約100μL~約500μLである、第1~35項のいずれか1項に記載の方法。
【0243】
第37項 それを必要とする患者が、I、II、III、IV、V又はVIのフィッツパトリックのスキンタイプ尺度上の皮膚型を有する、第1~35項のいずれか1項に記載の方法。
【0244】
第38項 瘢痕が1、2、3、4又は5の等級を含む、第1~37項のいずれか1項に記載の方法。
【0245】
第39項 皮膚が、CIE L色座標によって定義される皮膚色を含み、方法がさらにLを減少させる、第1~38項のいずれか一項に記載の方法。
【0246】
第40項 方法が、Lを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ若しくは約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ減少させる、第39項に記載の方法。
【0247】
第41項 aをさらに増加させる、第39又は40項に記載の方法。
【0248】
第42項 aを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ若しくは約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ増加させる、第41項に記載の方法。
【0249】
第43項 瘢痕が、組成物を投与する前に銀色着色を含む、第1~42項のいずれか1項に記載の方法。
【0250】
第44項 組成物を投与することにより、銀色着色を減少させ、瘢痕の赤色着色又はピンク色着色を増加させる、第43項に記載の方法。
【0251】
第45項 Lを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ若しくは約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ減少させ、aを約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%だけ若しくは約50%より大きく、又は任意の2つの前述の値の間の範囲によって定義される任意の量だけ増大する、第44項に記載の方法。
【0252】
第46項 瘢痕が色を含み、その色が患者の自然な皮膚の色調とは異なり、組成物を投与することにより、瘢痕の色が患者の自然な皮膚の色調に統合されるように瘢痕の色が色強度において減少又は薄れる、第1~45項のいずれか一項に記載の方法。
【0253】
第47項 ニキビ痕が、顔、背中、又は胴体の瘢痕である、第1~46項のいずれか1項に記載の方法。
【0254】
第48項 組成物の投与後に、ニキビ痕の深さ、患部面積及び/又は体積が減少する、第1~47項のいずれか1項に記載の方法。
【0255】
第49項 治療が、皮膚のリモデリング及び成熟段階における萎縮性瘢痕の修復をサポートして、ニキビ痕の外観を低減する、第1~48項のいずれか一項に記載の方法。
【0256】
第50項 治療が、ニキビ痕面積を約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の2つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけ減少させる、項1~49項のいずれか1項に記載の方法。
【0257】
第51項 治療が、ニキビ痕体積を約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の2つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけ減少させる、項1~50項のいずれか一項に記載の方法。
【0258】
第52項 治療が、ニキビ痕深さを約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の2つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけ減少させる、第1~51項のいずれか1項に記載の方法。
【0259】
第53項 治療が、ニキビ痕を有する皮膚の領域における皮膚輪郭の陥没体積及び面積を約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の2つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけ減少させる、項1~52項のいずれか一項に記載の方法。
【0260】
第54項 治療が、ニキビ痕の皮膚色をさらに改善する、第1~53項のいずれか1項に記載の方法。
【0261】
第55項 治療が、ニキビ痕を有する皮膚の領域における皮膚輪郭の隆起の体積及び面積を、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%だけ若しくは約90%より大きく、又は任意の二つの前述の値によって記述される範囲の間の任意の量だけ増加させる、第1~54項のいずれか一項に記載の方法。
【0262】
第56項 治療が、ニキビ痕を有する皮膚の領域における皮膚輪郭を平らにする、第53~55項のいずれか1項に記載の方法。
【0263】
第57項 治療が、対照治療と比較して、ニキビ痕を有する皮膚の領域におけるL黒から白への尺度を減少させる、第1~56項のいずれか一項に記載の方法。
【0264】
第58項 それを必要とする対象において、ニキビ痕の影響を受けた皮膚の輪郭を修復する方法であって、トロポエラスチンを含む組成物を、ニキビ痕の影響を受けた皮膚の輪郭を有する皮膚の領域に投与することを含む、上記方法。
【0265】
第59項 組成物が約1mg/ml~約400mg/mlのトロポエラスチンを含む、第58項に記載の方法。
【0266】
第60項 組成物が、1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、80mg/ml、90mg/ml、100mg/ml、110mg/ml、120mg/ml、130mg/ml、140mg/ml、150mg/ml、160mg/ml、170mg/ml、180mg/ml、190mg/ml、200mg/ml、210mg/ml、220mg/ml、230mg/ml、240mg/ml、250mg/ml、260mg/ml、270mg/ml、280mg/ml、290mg/ml、300mg/ml、310mg/ml、320mg/ml、330mg/ml、340mg/ml、350mg/ml、360mg/ml、370mg/ml、380mg/ml、390mg/ml又は400mg/mlのトロポエラスチン、又は前記の任意の2つの値で定義される範囲の間のいずれかの量のトロポエラスチンを含む、第58又は59項に記載の方法。
【0267】
第61項 組成物が、約1mg/ml~約300mg/mlのトロポエラスチンを含む、第58~60項のいずれか1項に記載の方法。
【0268】
第62項 組成物が、約1mg/ml~約250mg/mlのトロポエラスチンを含む、第58~61項のいずれか1項に記載の方法。
【0269】
第63項 組成物が、約1mg/ml~約200mg/mlのトロポエラスチンを含む、第58~62項のいずれか1項に記載の方法。
【0270】
第64項 組成物が約1mg/ml~約150mg/mlのトロポエラスチンを含む、第58~63項のいずれか一項に記載の方法。
【0271】
第65項 組成物が、約1mg/ml~約100mg/mlのトロポエラスチンを含む、第58~64項のいずれか1項に記載の方法。
【0272】
第66項 トロポエラスチンが、約0.1%~約10%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋される、第58~65項のいずれか一項に記載の方法。
【0273】
第67項 組成物が、約0.4%~約1%の誘導体化ヒアルロン酸(HA)で架橋された約1~約100mg/mlのトロポエラスチンを含む、第58~66項のいずれか一項に記載の方法。
【0274】
第68項 組成物が、0.5%の誘導体化ヒアルロン酸で架橋された30mg/ml組換えヒトトロポエラスチンを含む、第58~67項のいずれか一項に記載の方法。
【0275】
第69項 組成物が、瘢痕の下及び/又は瘢痕の縁の周りなど、瘢痕の周りに投与される、項58~68項のいずれか1項に記載の方法。
【0276】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載された様々な構成を実践することを可能にするために提供される。主題技術は、様々な図及び構成を参照して特に説明されてきたが、これらは説明のためだけのものであり、主題技術の範囲を限定するものとして捉えられるべきではないことが理解されるべきである。
【0277】
主題の技術を実施するための他の多くの方法があり得る。本明細書に記載された様々な機能及び要素は、主題技術の範囲から逸脱することなく、示されたものとは異なるように仕切られることができる。これらの構成に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の構成に適用されてもよい。したがって、当業者であれば、主題技術の範囲から逸脱することなく、主題技術に対して多くの変更及び修正を行うことができる。
【0278】
開示されたプロセスにおけるステップの特定の順序又は階層は、例示的なアプローチの例示であることが理解される。設計の好みに基づいて、プロセスにおけるステップの特定の順序又は階層は、再配置され得ることが理解される。ステップのいくつかは、同時に実行されてもよい。添付の方法の請求項は、サンプル順序で様々なステップの要素を提示し、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意図していない。
【0279】
本明細書で使用されるように、一連の項目の前にある「少なくとも1つの」という句は、項目のいずれかを区切る「及び」又は「又は」という用語とともに、リストの各メンバー(すなわち各項目)ではなく、リストを全体として修飾している。「少なくとも1つの」という句は、リストされた各項目の少なくとも1つを選択することを要求するものではなく、むしろ、この句は、項目のうちの任意の1つの少なくとも1つ、及び/又は項目のうちの任意の組み合わせの少なくとも1つ、及び/又は項目のうちのそれぞれの少なくとも1つを含む意味を許容している。例として、「A、B、及びCの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCの少なくとも1つ」という句はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、又はCのみ;A、B、及びCの任意の組み合わせ;及び/又はA、B、及びCのそれぞれの少なくとも1つを指す。
【0280】
本開示で使用される「上」、「下」、「前」、「後」などの用語は、通常の重力基準フレームではなく、任意の基準フレームを指すものとして理解されるべきである。したがって、上面、下面、前面、及び後面は、重力フレームにおいて、上方、下方、斜め、又は水平に延びていてもよい。
【0281】
さらに、「含む」(include)、「有する」(have)等の用語が本明細書又は特許請求の範囲で使用されている限り、かかる用語は、「含む」(comprise)という用語が請求項において経過的な単語として採用される場合に「含む」(comprise)が解釈されるのと同様の方法で包括的であることを意図している。
【0282】
本明細書では、「例示的」という単語は、「例、実例、又は説明として機能する」という意味で使用される。本明細書において「例示的」として説明される任意の実施形態は、必ずしも、いくつかの実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈される必要はない。
【0283】
単数形の要素への言及は、特に明記しない限り、「1つであって1つだけ」を意味するのではなく、「1つ以上」を意味することを意図している。男性名詞の代名詞(例えば、彼)は、女性名詞及び中性名詞(例えば、彼女及びその)を含み、その逆もまた同様である。「いくつかの」という用語は1つ又は複数を意味する。下線付き及び/又は斜体の見出しと小見出しは、便宜上のみ使用され、主題技術を限定するものではなく、主題技術の説明の解釈に関連して参照されるものではない。当業者に既知であるか、又は後に既知となる、本開示を通じて説明される様々な構成の要素に対する全ての構造的及び機能的等価物は、参照することにより本明細書に明示的に組み込まれ、主題技術に包含されることを意図している。さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が上記の説明で明示的に述べられているか否かにかかわらず、公共に捧げられることを意図していない。
【配列表フリーテキスト】
【0284】
配列番号1 <223> SHELdelta26A
配列番号2 <223> SHELアイソフォーム
配列番号3 <223> SHELdelta26Aアイソフォーム
配列番号4 <223> SHELdeltamodアイソフォーム
配列番号5~15 <223> 合成配列
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
【配列表】
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