(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】肺疾患を治療するための生物学的ペプチドおよびその適用
(51)【国際特許分類】
C07K 7/06 20060101AFI20240521BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240521BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20240521BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240521BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
C12N15/09 Z
A61K38/08
A61P11/06
A61P11/00
(21)【出願番号】P 2022530193
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 CN2020130625
(87)【国際公開番号】W WO2021098854
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】201911151330.X
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911150271.4
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010568266.1
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010568997.6
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522202849
【氏名又は名称】シャンハイ インスティチュート オブ ファーマシューティカル インダストリー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】522202872
【氏名又は名称】チャイナ ステート インスティチュート オブ ファーマシューティカル インダストリー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リウ リー
(72)【発明者】
【氏名】メイ チービョン
(72)【発明者】
【氏名】マ シューメイ
(72)【発明者】
【氏名】リー リャン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ナン
(72)【発明者】
【氏名】グ フォンファ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジアフェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュー ウェンチ
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0284430(US,A1)
【文献】BioDrugs.,2010年,Vol.24, No.1,p.9-21 (p.1-20)
【文献】Chem. Sci.,2016年,Vol.7,p.2492
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
A61K 38/08
A61P 11/06
A61P 11/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩であって、
前記ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、アレルギー性喘息を予防、治療および/または緩和するための活性を有し、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO.:2に示されることを特徴とする、前記ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
SEQ ID NO.:2に示される前記ポリペプチドにおける3~5個のアミノ酸は、D型アミノ酸であることを特徴とする
請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
SEQ ID NO:2に示される前記ポリペプチドにおける5個のアミノ酸は、D型アミノ酸であることを特徴とする
請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
単離された核酸分子であって、
前記核酸分子は、請求項1に記載のポリペプチドをコードすることを特徴とする、前記単離された核酸分子。
【請求項5】
医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、
(a)請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容される担体または賦形剤を含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項6】
アレルギー性喘息の予防、治療および/または緩和において使用するための請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される
塩。
【請求項7】
ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩であって、
前記ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、アレルギー性喘息を予防、治療および/または緩和するための活性を有し、
前記ポリペプチドのN末端からC末端までのアミノ酸配列は、以下の群から選択されるGQT(Glc)YT(Glc)S(Glc)G;
GQT(Glc)YTSG;
GQTYTS(Glc)G;
GQT(Glc)YT(Glc)SG;
GQT(Glc)YTS(Glc)G;
GQTYT(Glc)S(Glc)G
ことを特徴とする、前記ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、
(a)請求項7に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容される担体または賦形剤を含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項9】
アレルギー性喘息の予防、治療および/または緩和において使用するための請求項7に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される
塩。
【請求項10】
前記医薬組成物の剤形が皮下注射剤または筋肉内注射剤であることを特徴とする
請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
(i)炎症の阻害、(ii)IgEレベルの低下、(iii)気道抵抗の低下、(iv)肺コンプライアンスの向上、および/または(v)肺内炎症性細胞浸潤の阻害において使用するための請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩または請求項7に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される
塩。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、生物医学の分野に関し、具体的には、肺疾患を治療するための生物学的ペプチドおよびその適用に関する。
【0002】
[背景技術]
ポリペプチドは、アミノ酸の組成およびその接続方法でタンパク質と同じであるが、空間構造が単純で、免疫原性が低いか全くない、生理学的活性が強い等、いくつかの特性がタンパク質とは異なる物質である。しかし、経口利用率が低い、酵素分解性が高い、および半減期が非常に短い等のポリペプチド物質の固有の特性により、それは、薬物の開発および適用において多くの制限を受ける。ポリペプチド薬の不安定性を引き起こす重要な理由は、ポリペプチドの特別な分子構造である。
【0003】
喘息および慢性閉塞性肺疾患等の肺疾患は、難治性肺疾患であり、既存の臨床薬では、喘息および慢性閉塞性肺疾患を効果的に治療することは困難である。生物医学技術の発展に伴い、喘息および慢性閉塞性肺疾患に対して多くのポリペプチド薬が開発されたが、これらのポリペプチドは、安定性が低く、インビボ半減期が短く、効果的な治療を行うことが困難であるため、治療薬としては非常に限定される。
【0004】
従って、喘息および慢性閉塞性肺疾患等の肺疾患の効果的な治療のために、安定性が強く、インビボでの作用が長く、および治療効果が高い薬物を開発することは、当技術分野において緊急に必要とされる。
【0005】
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
本発明は、7ペプチドに対して構造変化および修飾(例えば、グリコシル化修飾)することにより、その代謝安定性を向上させて、喘息および慢性閉塞性肺疾患等の肺疾患を治療するための薬物として、それを開発および適用することを可能にする。
【0006】
[課題を解決するための手段]
本発明の第1の態様は、式Iに示されるポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を提供し、前記ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、喘息を予防、治療および/または緩和するための活性を有し、
X0-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8(I)
式において、
X0およびX8は、それぞれ独立して、存在しないか、または1~3個のアミノ酸のペプチドセグメントであり、
X1は、Gly、Pro、Alaからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2は、Ser、Thrからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3は、Thr、Serからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4は、Tyr、Trp、Phe、Thr、Serからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5は、Thr、Serからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X6は、Gln、Asnからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X7は、Gly、Pro、Alaからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0007】
別の好ましい例において、X0~X8のうちの一つまたは複数は、D型アミノ酸である。
別の好ましい例において、X0~X8のうちのアミノ酸は、それぞれ独立して、D型アミノ酸またはL型アミノ酸である。
【0008】
別の好ましい例において、X0~X8のうちのアミノ酸は、それぞれ独立して、D型アミノ酸である。
別の好ましい例において、前記式Iに示されるポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、以下からなる群から選択される一つまたは複数の種の特徴を含み、
X0およびX8は、それぞれ独立して、存在せず、
X1は、D-Glyであり、
X2は、D-Seであり、
X3は、D-Thrであり、
X4は、D-Tyrであり、
X5は、D-Thであり、
X6は、D-Glnであり、および/または
X7は、D-Glyである。
【0009】
別の好ましい例において、X0~X8のうちの1~2個、好ましくは3~5個、より好ましくは6~9個は、D型アミノ酸である。
別の好ましい例において、前記ポリペプチドの全長は、≦20個のアミノ酸残基、好ましくは≦13個のアミノ酸残基、好ましくは≦12個のアミノ酸残基、好ましくは≦10個のアミノ酸残基、より好ましくは≦8個のアミノ酸残基、より好ましくは≦7個のアミノ酸残基、最も好ましくは7個のアミノ酸残基である。
【0010】
別の好ましい例において、前記X0およびX8の両方は、存在しないか、または1~3個のアミノ酸のペプチドセグメントである。
別の好ましい例において、前記X0およびX8の両方は、存在しない。
【0011】
別の好ましい例において、前記ポリペプチドは、
(a)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を有し、長さが5~20個のアミノ酸(好ましくは8~12個のアミノ酸)でありポリペプチド、
(b)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を1~2個のアミノ酸残基の置換、欠失または添加によって形成され、喘息を予防、治療および/または緩和する機能を有する(a)から派生されるポリペプチドからなる群から選択される。
【0012】
別の好ましい例において、前記派生されたポリペプチドは、SEQ ID NO:2に示されるポリペプチドの喘息を予防、治療および/または緩和する活性の≧70%、好ましくは80%、より好ましくは85%、最も好ましくは90%または95%以上を保持する。
【0013】
別の好ましい例において、前記派生されたポリペプチドとSEQ ID NO:2との相同性は、≧80%、好ましくは≧90%、より好ましくは≧95%である。
【0014】
別の好ましい例において、前記ポリペプチドは、SEQ ID NO.:2に示されるポリペプチドからの1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個のアミノ酸の置換によって、および/または
1~3個、好ましくは1~2個のアミノ酸の欠失によって、および/または
前記ポリペプチドの両端は、それぞれ1~3個、より好ましくは1~2個のアミノ酸の添加によって形成される。
【0015】
別の好ましい例において、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2に示されたとおりである。
別の好ましい例において、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2に示されたとおりであり、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列中のすべてのアミノ酸は、D型アミノ酸である。
【0016】
別の好ましい例において、前記喘息は、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、遅発性喘息、気流制限型喘息、肥満型喘息、ホルモン抵抗性喘息を含む。
【0017】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸分子を提供する。
本発明の第3の態様は、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、
(a)本発明の第1の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
【0018】
別の好ましい例において、前記成分(a)は、前記医薬組成物の総重量の0.1~99.9wt%、好ましくは10~99.9wt%、より好ましくは70%~99.9wt%を占める。
【0019】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、液体、固体、または半固体である。
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、経口剤形、注射剤、スプレー剤、エアロゾル剤または外部用の医薬剤形である。
【0020】
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、錠剤、顆粒剤、カプセル、経口液、または注射剤を含む。
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、液体組成物である。
【0021】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、経口製剤である。
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、皮下注射剤または筋肉内注射剤である。
【0022】
別の好ましい例において、前記薬学的に許容される担体は、注入剤担体および/または注射剤担体からなる群から選択され、好ましくは、前記担体は、生理食塩水、デキストロース食塩水、またはその組み合わせからなる群から選択される一つまたは複数の種の担体である。
【0023】
別の好ましい例において、前記薬学的に許容される担体は、ナノ材料を含む担体であり得る。
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、徐放性剤形である。
【0024】
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、凍結乾燥粉末である。
別の好ましい例において、前記凍結乾燥粉末は、凍結乾燥保護剤を含む。
【0025】
別の好ましい例において、前記凍結乾燥保護剤は、グルコース、スクロース、マンニトール、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、吸入剤である。
別の好ましい例において、前記吸入剤は、凍結乾燥粉末を含む。
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、液体製剤である。
【0027】
別の好ましい例において、前記液体製剤は、本発明の第1の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩、浸透圧調節剤および水を含む。
【0028】
別の好ましい例において、前記浸透圧調節剤は、塩および/または糖類を含む。
別の好ましい例において、前記塩は、塩化ナトリウムを含む。
【0029】
別の好ましい例において、前記糖は、グルコースを含む。
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、スプレー剤である。
【0030】
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、エアロゾル剤である。
別の好ましい例において、前記エアロゾル剤は、本発明の第1の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩および推進剤を含む。
【0031】
別の好ましい例において、前記推進剤は、圧縮二酸化炭素、圧縮窒素ガス、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、プロパン、n-ブタン、イソブタンである。
【0032】
別の好ましい例において、前記圧縮二酸化炭素は、液体二酸化炭素である。
別の好ましい例において、前記圧縮窒素ガスは、液体窒素ガスである。別の好ましい例において、前記医薬組成物は、喘息を予防、治療および/または緩和する適用において、単独で、または併用して使用することができる。
【0033】
別の好ましい例において、前記併用使用は、喘息を予防、治療および/または緩和するための他の薬物との併用使用を含む。
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、喘息を予防、治療および/または緩和するための他の薬物をさらに含む。
【0034】
別の好ましい例において、前記喘息を予防、治療および/または緩和するための他の薬物は、糖質コルチコイド、β2受容体アゴニスト、抗コリン作用薬、高分子生物学的標的薬、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0035】
別の好ましい例において、前記糖質コルチコイドは、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0036】
別の好ましい例において、前記β2受容体アゴニストは、アルブテロール、テルブタリン、サルメテロール、ホルモテロール、またはその組み合わせを含む。
【0037】
別の好ましい例において、前記抗コリン作用薬は、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、またはその組み合わせを含む。
別の好ましい例において、前記高分子生物学的標的薬は、IgEモノクローナル抗体、IL-4/IL-4Rモノクローナル抗体、IL-5/IL-5Rモノクローナル抗体、TSLPモノクローナル抗体、またはその組み合わせを含む。
【0038】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の用途を提供し、薬物の調製に使用され、前記薬物は、喘息を予防、治療および/または緩和するために使用される。
【0039】
別の好ましい例において、前記喘息は、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、遅発性喘息、気流制限型喘息、肥満型喘息、ホルモン抵抗性喘息を含む。
【0040】
別の好ましい例において、前記アレルギー性喘息は、OVA、アジュバント水酸化アルミニウム、またはその組み合わせからなる群から選択されるアレルギー剤によって引き起こされる喘息を含む。
【0041】
別の好ましい例において、前記喘息は、(1)炎症性因子によって引き起こされる喘息を含む。
別の好ましい例において、前記炎症性因子によって引き起こされる喘息は、炎症性因子の分泌または発現の増加によって引き起こされる喘息および/または炎症性因子の活性の増強によって引き起こされる喘息を含む。
【0042】
別の好ましい例において、前記分泌は、脾臓リンパ球によって、好ましくは、Th2細胞によって分泌される。
別の好ましい例において、前記発現は、タンパク質発現、mRNA発現、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0043】
別の好ましい例において、前記炎症性因子は、インターロイキンを含む。
別の好ましい例において、前記インターロイキンは、IL-4、IL-5、IL-13、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0044】
別の好ましい例において、前記喘息の予防、治療および/または緩和は、
(i)炎症性因子の阻害、
(ii)IgEレベルの低下、
(iii)気道抵抗の低下、
(iv)肺コンプライアンスの向上、および/または
(v)肺における炎症性細胞浸潤の阻害を含む。
【0045】
別の好ましい例において、前記炎症性因子は、インターロイキンを含む。
別の好ましい例において、前記インターロイキンは、IL-4、IL-5、IL-13、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0046】
別の好ましい例において、炎症性因子の阻害は、炎症性因子の分泌または発現および/または活性の阻害を含む。
別の好ましい例において、前記IgEレベルは、血清、全血または血漿中のIgEレベルである。
【0047】
本発明の第5の態様は、本発明の第1の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の用途を提供し、薬物の調製に使用され、前記薬物は、(i)炎症の阻害、(ii)IgEレベルの低下、(iii)気道抵抗の低下、(iv)肺コンプライアンスの向上、および/または(v)肺内炎症性細胞浸潤の阻害に使用される。
【0048】
別の好ましい例において、前記炎症は、炎症性因子によって引き起こされる炎症である。
別の好ましい例において、前記炎症性因子は、インターロイキンを含む。
【0049】
別の好ましい例において、前記インターロイキンは、IL-4、IL-5、IL-13、またはその組み合わせからなる群から選択される。
本発明の第6の態様は、必要とする対象に本発明の第1の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、哺乳動物の喘息を予防、治療および/または緩和するための方法を提供する。
【0050】
別の好ましい例において、前記哺乳動物は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を含む。
別の好ましい例において、前記非ヒト哺乳動物は、齧歯類動物(例えば、ラット、マウス)、霊長類動物(例えば、サル)を含む。
【0051】
別の好ましい例において、前記喘息は、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、遅発性喘息、気流制限型喘息、肥満型喘息、ホルモン抵抗性喘息、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0052】
別の好ましい例において、前記喘息は、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、遅発性喘息、気流制限型喘息、肥満型喘息、ホルモン抵抗性喘息を含む。
【0053】
別の好ましい例において、前記投与は、経口、経鼻吸入、筋肉内注射、または静脈内注射を含む。
本発明の第7の態様は、式IIに示されるポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を提供し、前記ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、(a)慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和し、および/または(b)喘息を予防、治療および/または緩和するための活性を有し、
X0-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8(II)
式において、
X0およびX8は、存在しないか、または1~3個のアミノ酸のペプチドセグメントであり、
X1は、Gly、Pro、Alaからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2は、Gln、Asnからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3は、Thr、Serからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4は、Tyr、Trp、Phe、Thr、Serからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5は、Thr、Serからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X6は、Ser、Thrからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X7は、Gly、Pro、Alaからなる群から選択されるアミノ酸であり、
ここで、X0~X8のうちの一つまたは複数は、それぞれ独立して、グリコシル化によって修飾されたアミノ酸である。
【0054】
別の好ましい例において、前記グリコシル化によって修飾されたアミノ酸は、モノグリコシル化によって修飾されたアミノ酸またはダブルグリコシル化によって修飾されたアミノ酸である。
【0055】
別の好ましい例において、前記単糖は、L型単糖またはD型単糖である。
別の好ましい例において、前記単糖は、ペントースまたはヘキソースである。
【0056】
別の好ましい例において、前記単糖は、ピラノースまたはフラノースである。
別の好ましい例において、前記単糖は、グリセルアルデヒド、エリトロース、ツロース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、グルコース、マンノース、フルクトースまたはガラクトースである。
【0057】
別の好ましい例において、前記グルコース基は、L型グルコース基またはD型グルコース基である。
別の好ましい例において、前記二糖は、フルクトース、ラクトースからなる群から選択される。
【0058】
別の好ましい例において、前記一つまたは複数のグリコシル化によって修飾されたアミノ酸は、それぞれ独立して、グリコシド化によって修飾されたアミノ酸、ガラクトシル化によって修飾されたアミノ酸からなる群から選択される。
【0059】
別の好ましい例において、前記グリコシル化によって修飾されたアミノ酸は、グリコシド化によって修飾されたアミノ酸である。
別の好ましい例において、前記グリコシル化によって修飾されたアミノ酸は、糖がグリコシド結合を介してアミノ酸に接続されることを指す。
【0060】
別の好ましい例において、前記グリコシド化によって修飾されたアミノ酸は、グルコースがグリコシド結合を介してアミノ酸に接続されることを指す。
【0061】
別の好ましい例において、前記グリコシド結合は、-O-グリコシド結合、-N-グリコシド結合、リポグリコシド結合またはグリコペプチド結合である。
【0062】
別の好ましい例において、グリコシル化によって修飾されたアミノ酸において、前記糖は、-O-グリコシド結合、-N-グリコシド結合、リポグリコシド結合またはグリコペプチド結合を介してアミノ酸に接続される。
【0063】
別の好ましい例において、X0~X8のうちのアミノ酸は、それぞれ独立して、D型アミノ酸またはL型アミノ酸である。
別の好ましい例において、X0~X8のうちのアミノ酸は、それぞれ独立して、D型アミノ酸である。
【0064】
別の好ましい例において、X0~X8のうちの6~9個、好ましくは3~5個、より好ましくは1~2個は、グリコシル化によって修飾されたアミノ酸である。
【0065】
別の好ましい例において、X1~X7のうちの二つは、グリコシル化によって修飾されたアミノ酸であり、二つのグリコシル化によって修飾されたアミノ酸は、隣接するアミノ酸である。
【0066】
別の好ましい例において、前記X0は、存在しないか、またはグリコシル化修飾のないアミノ酸である。
別の好ましい例において、前記X1は、グリコシル化修飾のないアミノ酸である。
【0067】
別の好ましい例において、前記X2は、グリコシル化修飾のないアミノ酸である。
別の好ましい例において、前記X3は、グリコシル化によって修飾されたアミノ酸である。
【0068】
別の好ましい例において、前記X4は、グリコシル化修飾のないアミノ酸である。
別の好ましい例において、前記X5は、グリコシル化によって修飾されたアミノ酸である。
【0069】
別の好ましい例において、前記X6は、グリコシル化によって修飾されたアミノ酸である。
別の好ましい例において、前記X7は、グリコシル化修飾のないアミノ酸である。
【0070】
別の好ましい例において、前記X8は、存在しないか、またはグリコシル化修飾のないアミノ酸である。
別の好ましい例において、前記ポリペプチドは、SIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9、SIPI-G10、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0071】
別の好ましい例において、前記ポリペプチドは、SIPI-G5、SIPI-G9、またはその組み合わせからなる群から選択される。
別の好ましい例において、前記ポリペプチドは、SIPI-G9として選択される。
【0072】
別の好ましい例において、前記ポリペプチドの全長は、≦20個のアミノ酸残基、好ましくは≦13個のアミノ酸残基、好ましくは≦12個のアミノ酸残基、好ましくは≦10個のアミノ酸残基、より好ましくは≦8個のアミノ酸残基、より好ましくは≦7個のアミノ酸残基、最も好ましくは7個のアミノ酸残基である。
【0073】
別の好ましい例において、前記X0およびX8は、存在しないか、または1~3個のアミノ酸のペプチドセグメントである。
別の好ましい例において、前記ポリペプチドは、
(a)SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を有し、長さが5~20個のアミノ酸(好ましくは8~12個のアミノ酸)であるポリペプチド、
(b)SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を1~2個のアミノ酸残基の置換、欠失または添加によって形成され、慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和し、および/または喘息を予防、治療および/または緩和する機能を有する(a)から派生されるポリペプチドからなる群から選択される。
【0074】
別の好ましい例において、前記派生されたポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示されるポリペプチドの(a)慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和し、および/または(b)喘息を予防、治療および/または緩和する活性の≧70%、好ましくは80%、より好ましくは85%、最も好ましくは90%または95%以上を保持する。
【0075】
別の好ましい例において、前記派生されたポリペプチドとSEQ ID NO:1との相同性は、≧80%、好ましくは≧90%、より好ましくは≧95%である。
【0076】
別の好ましい例において、前記ポリペプチドは、SEQ ID NO.:1に示されるポリペプチドからの1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個のアミノ酸の置換によって、および/または
1~3個、好ましくは1~2個のアミノ酸の欠失によって、および/または
前記ポリペプチドの両端は、それぞれ1~3個、より好ましくは1~2個のアミノ酸の添加によって形成される。
【0077】
別の好ましい例において、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示されたとおりである。
別の好ましい例において、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列中の二つまたは三つのアミノ酸は、グリコシル化によって修飾されたアミノ酸である。
【0078】
別の好ましい例において、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列中のすべてのアミノ酸は、グリコシル化によって修飾されたアミノ酸である。
【0079】
本発明の第8の態様は、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、
(a)本発明の第7の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
【0080】
別の好ましい例において、前記成分(a)は、前記医薬組成物の総重量の0.1~99.9wt%、好ましくは10~99.9wt%、より好ましくは70%~99.9wt%を占める。
【0081】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、液体、固体、または半固体である。
別の好ましい例において、前記医薬組成物的剤形は、経口剤形、注射剤、または外部用の医薬剤形である。
【0082】
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、皮下注射剤または筋肉内注射剤である。
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、錠剤、顆粒剤、カプセル、経口液、または注射剤を含む。
【0083】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、液体組成物である。
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、経口製剤である。
別の好ましい例において、前記薬学的に許容される担体は、注入剤担体および/または注射剤担体からなる群から選択され、好ましくは、前記担体は、生理食塩水、デキストロース食塩水、またはその組み合わせからなる群から選択される一つまたは複数の種の担体である。
【0084】
別の好ましい例において、前記薬学的に許容される担体は、ナノ材料を含む担体であり得る。
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、徐放性剤形である。
【0085】
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、凍結乾燥粉末である。
別の好ましい例において、前記凍結乾燥粉末は、凍結乾燥保護剤を含む。
【0086】
別の好ましい例において、前記凍結乾燥保護剤は、グルコース、スクロース、マンニトール、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0087】
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、吸入剤である。
別の好ましい例において、前記吸入剤は、凍結乾燥粉末を含む。
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、液体製剤である。
【0088】
別の好ましい例において、前記液体製剤は、本発明の第7の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩、浸透圧調節剤および水を含む。
【0089】
別の好ましい例において、前記浸透圧調節剤は、塩および/または糖を含む。
別の好ましい例において、前記塩は、塩化ナトリウムを含む。
【0090】
別の好ましい例において、前記糖は、グルコースを含む。
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、スプレー剤である。
【0091】
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、エアロゾル剤である。
別の好ましい例において、前記エアロゾル剤は、本発明の第7の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩および推進剤を含む。
【0092】
別の好ましい例において、前記推進剤は、圧縮二酸化炭素、圧縮窒素ガス、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、プロパン、n-ブタン、イソブタンである。
【0093】
別の好ましい例において、前記圧縮二酸化炭素は、液体二酸化炭素である。
別の好ましい例において、前記圧縮窒素ガスは、液体窒素ガスである。
【0094】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和する適用において、単独で、または併用して使用することができる。
【0095】
別の好ましい例において、前記併用使用は、慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和するための他の薬物との併用使用を含む。
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和するための他の薬物をさらに含む。
【0096】
別の好ましい例において、前記慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和するための他の薬物は、糖質コルチコイド、β2受容体アゴニスト、抗コリン作用薬または高分子生物学的標的薬からなる群から選択される。
【0097】
別の好ましい例において、前記糖質コルチコイドは、フルチカゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0098】
別の好ましい例において、前記β2受容体アゴニストは、ホルモテロール、オロダテロール、サルメテロール、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0099】
別の好ましい例において、前記抗コリン作用薬は、臭化アクリジニウム、臭化グリコピロニウム、臭化チオトロピウム、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0100】
別の好ましい例において、前記高分子生物学的標的薬は、IgEモノクローナル抗体、IL-4/IL-4Rモノクローナル抗体、IL-5/IL-5Rモノクローナル抗体、TSLPモノクローナル抗体、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0101】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、喘息を予防、治療および/または緩和するための薬物を含む。
別の好ましい例において、前記喘息を予防、治療および/または緩和するための他の薬物は、糖質コルチコイド、β2受容体アゴニスト、抗コリン作用薬、高分子生物学的標的薬、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0102】
別の好ましい例において、前記糖質コルチコイドは、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0103】
別の好ましい例において、前記β2受容体アゴニストは、アルブテロール、テルブタリン、サルメテロール、ホルモテロール、またはその組み合わせを含む。
【0104】
別の好ましい例において、前記抗コリン作用薬は、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、またはその組み合わせを含む。
別の好ましい例において、前記高分子生物学的標的薬は、IgEモノクローナル抗体、IL-4/IL-4Rモノクローナル抗体、IL-5/IL-5Rモノクローナル抗体、TSLPモノクローナル抗体、またはその組み合わせを含む。
【0105】
本発明の第9の態様は、本発明の第7の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の用途を提供し、薬物の調製に使用され、前記薬物は、(a)慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和し、および/または(b)喘息を予防、治療および/または緩和するために使用される。
【0106】
別の好ましい例において、前記薬物は、皮下注射剤または筋肉内注射剤である。
別の好ましい例において、前記慢性閉塞性肺疾患は、慢性閉塞性気管支炎、肺気腫、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0107】
別の好ましい例において、前記喘息は、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、遅発性喘息、気流制限型喘息、肥満型喘息、ホルモン抵抗性喘息を含む。
【0108】
別の好ましい例において、前記アレルギー性喘息は、OVA、アジュバント水酸化アルミニウム、またはその組み合わせからなる群から選択されるアレルギー剤によって匹個々される喘息を含む。
【0109】
別の好ましい例において、前記喘息は、(1)炎症性因子によって引き起こされる喘息を含む。
別の好ましい例において、前記炎症性因子によって引き起こされる喘息は、炎症性因子の分泌または発現の増加によって引き起こされる喘息および/または炎症性因子の活性の増強によって引き起こされる喘息を含む。
【0110】
別の好ましい例において、前記分泌は、脾臓リンパ球によって、好ましくは、Th2細胞によって分泌される。
別の好ましい例において、前記発現は、タンパク質発現、mRNA発現、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0111】
別の好ましい例において、前記炎症性因子は、インターロイキンを含む。
別の好ましい例において、前記インターロイキンは、IL-4、IL-5、IL-13、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0112】
好ましい例において、前記慢性閉塞性肺疾患の予防、治療および/または緩和は、
(i)炎症性因子の阻害、
(ii)IgEレベルの低下、
(iii)気道抵抗の低下、
(iv)肺コンプライアンスの向上、および/または
(v)肺における炎症性細胞浸潤の阻害を含む。
【0113】
別の好ましい例において、前記喘息の予防、治療および/または緩和は、
(i)炎症性因子の阻害、
(ii)IgEレベルの低下、
(iii)気道抵抗の低下、
(iv)肺コンプライアンスの向上、および/または
(v)肺における炎症性細胞浸潤の阻害を含む。
【0114】
別の好ましい例において、前記炎症性因子は、インターロイキンを含む。
別の好ましい例において、前記インターロイキンは、IL-4、IL-5、IL-13、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0115】
別の好ましい例において、炎症性因子の阻害は、炎症性因子の分泌または発現および/または活性の阻害を含む。
別の好ましい例において、前記IgEレベルは、血清、全血または血漿中のIgEレベルである。
【0116】
本発明の第10の態様は、本発明の第7の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の用途を提供し、薬物の調製に使用され、前記薬物は、(i)炎症の阻害、(ii)IgEレベルの低下、(iii)気道抵抗の低下、(iv)肺コンプライアンスの向上、および/または(v)肺内炎症性細胞浸潤の阻害に使用される。
【0117】
別の好ましい例において、前記炎症は、炎症性因子によって引き起こされる炎症である。
別の好ましい例において、前記炎症性因子は、インターロイキンを含む。
【0118】
別の好ましい例において、前記インターロイキンは、IL-4、IL-5、IL-13、またはその組み合わせからなる群から選択される。
本発明の第11の態様は、必要とする対象に本発明の第7の態様に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、哺乳動物の慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和し、および/または喘息を予防、治療および/または緩和するための方法を提供する。
【0119】
別の好ましい例において、前記哺乳動物は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を含む。
別の好ましい例において、前記非ヒト哺乳動物は、齧歯類動物(例えば、ラット、マウス)、霊長類動物(例えば、サル)を含む。
【0120】
別の好ましい例において、前記慢性閉塞性肺疾患は、慢性閉塞性気管支炎、肺気腫、またはその組み合わせからなる群から選択される。
別の好ましい例において、前記投与は、経口、経鼻吸入、筋肉内注射、または静脈内注射を含む。
【0121】
[発明の効果]
本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴との間を、互いに組み合わせることにより、新しいまたは好ましい技術的解決策を構成することができることに理解されたい。スペースに限りがあるため、ここでは繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【
図1】SPペプチドおよび誘導体SIPI-D00の合成経路を示す図である。
【
図2】SDラットにSP(10mg/kg)を単回皮下注射した後の血中濃度-時間変化の曲線図である。
【
図3】SDラットにSIPI-D00(5mg/kg)を単回皮下注射した後の血中濃度-時間変化の曲線図である。
【
図4】OVAによって誘導された喘息モデルマウスの肺の病理に対する様々なグループの影響(4x)である。
【
図5】OVAによって誘導された喘息モデルマウスの肺の病理に対する様々なグループの影響(20x)である。
【
図6】グリコシル化ポリペプチドSIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9、SIPI-G10の合成経路である。
【
図7】SDラットにSIPI-G9(1mg/kg)を単回静脈内注射した後の様々な時点での血漿薬物濃度である。
【
図8】SDラットにSIPI-G9(5mg/kg)を単回皮下注射した後の様々な時点での血漿薬物濃度である。
【
図9】喫煙によって誘導されたCOPDラットの肺の病理のHE染色結果である。
【
図10】喫煙によって誘導されたCOPDラットの肺の病理のMasson染色結果である。
【
図11】OVAによって誘導された喘息モデルマウスの肺の病理に対する様々なグループの影響(4x)である。
【
図12】OVAによって誘導された喘息モデルマウスの肺の病理に対する様々なグループの影響(20x)である。
【発明を実施するための形態】
【0123】
本発明者らは、広範囲にわたる詳細な研究および大量のスクリーニングの後、喘息和または慢性閉塞性肺機能を予防、治療および/または緩和し、長さがわずか7~20である小分子ポリペプチド(例えば、7個のD型アミノ酸によって形成された小さなペプチドSIPI-D00、または7個のアミノ酸によって形成された小さなペプチド、ここで、1個、2個、3個、4個は、グリコシル化によって修飾されたアミノ酸である)を初めて開発した。具体的には、本発明において、適切な部位で化学的に修飾されたポリペプチド分子は、安定性が増加し、インビボでの作用時間が延長され、生物学的活性芽保持される。これに基づいて、本発明を完成させた。
【0124】
用語
ポリペプチド
本明細書で使用されるように、本発明のポリペプチドとは、本発明の第1の態様に記載の式Iの構造のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩および/または本発明の第7の態様に記載の式IIの構造のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を指す。
【0125】
本明細書で使用されるように、「SIPI-D00ポリペプチド」、「SIPI-D00ペプチド」、「SIPI-D00」、および「D00」という用語は、交換可能に使用され、喘息を予防、治療および/または緩和し、かつ本発明の第1の態様に記載の式Iの構造を有するポリペプチドを指す。
【0126】
本明細書で使用されるように、「SPポリペプチド」、「SPペプチド」および「SP」という用語は、交換可能に使用され、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指し、N末端からC末端まで、SPペプチドのアミノ酸配列は、GQTYTSGである。
【0127】
本明細書で使用されるように、「D型アミノ酸」および「D-アミノ酸」という用語は、交換可能に使用される。代表的には、「D型トリプトファン」、「D-トリプトファン」および「D-Ser」は、交換可能に使用され、他のアミノ酸は類似している。
【0128】
本明細書で使用されるように、「SIPI-G4ポリペプチド」、「SIPI-G4ペプチド」、「SIPI-G-4」および「SP-G4」という用語は、交換可能に使用され、N末端からC末端まで、SIPI-G4ペプチドのアミノ酸配列は、GQT(Glc)YT(Glc)S(Glc)Gである。
【0129】
本明細書で使用されるように、「SIPI-G5ポリペプチド」、「SIPI-G5ペプチド」、「SIPI-G-5」および「SP-G5」という用語は、交換可能に使用され、N末端からC末端まで、SIPI-G5ペプチドのアミノ酸配列は、GQTYT(Glc)SGである。
【0130】
本明細書で使用されるように、「SIPI-G6ポリペプチド」、「SIPI-G6ペプチド」、「SIPI-G-6」および「SP-G6」という用語は、交換可能に使用され、N末端からC末端まで、SIPI-G6ペプチドのアミノ酸配列は、GQT(Glc)YTSGである。
【0131】
本明細書で使用されるように、「SIPI-G7ポリペプチド」、「SIPI-G7ペプチド」、「SIPI-G-7」および「SP-G7」という用語は、交換可能に使用され、N末端からC末端まで、SIPI-G7ペプチドのアミノ酸配列は、GQTYTS(Glc)Gである。
【0132】
本明細書で使用されるように、「SIPI-G8ポリペプチド」、「SIPI-G8ペプチド」、「SIPI-G-8」および「SP-G8」という用語は、交換可能に使用され、N末端からC末端まで、SIPI-G8ペプチドのアミノ酸配列は、GQT(Glc)YT(Glc)SGである。
【0133】
本明細書で使用されるように、「SIPI-G9ポリペプチド」、「SIPI-G9ペプチド」、「SIPI-G-9」および「SP-G9」という用語は、交換可能に使用され、N末端からC末端まで、SIPI-G9ペプチドのアミノ酸配列は、GQT(Glc)YTS(Glc)Gである。
【0134】
本明細書で使用されるように、「SIPI-G10ポリペプチド」、「SIPI-G10ペプチド」、「SIPI-G-10」および「SP-G10」という用語は、交換可能に使用され、N末端からC末端まで、SIPI-G10ペプチドのアミノ酸配列は、GQTYT(Glc)S(Glc)Gである。
【0135】
本明細書で使用されるように、「D型アミノ酸」および「D-アミノ酸」という用語は、交換可能に使用される。代表的には、「D型トリプトファン」、「D-トリプトファン」および「D-Ser」は、交換可能に使用され、他のアミノ酸は、類似している。
【0136】
本明細書で使用されるように、「L型アミノ酸」および「L-アミノ酸」という用語は、交換可能に使用される。代表的には、「L型トリプトファン」、「L-トリプトファン」および「L-Ser」は、交換可能に使用され、他のアミノ酸は、類似している。
【0137】
好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、SPペプチド誘導体SIPI-D00であり、前記SIPI-D00は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を有し、N末端からC末端まで、SPペプチド誘導体のアミノ酸配列は、GSTYTQGである。より好ましくは、SIPI-D00ポリペプチドのすべてのアミノ酸残基は、D型アミノ酸残基である。
【0138】
より好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を有し、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列中の1~2個、好ましくは3~5個、より好ましくは6~7個は、D型アミノ酸である。
【0139】
より好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を有し、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列中のすべてのアミノ酸は、D型アミノ酸である。
【0140】
本明細書で使用されるように、「SPペプチドグリコシル化誘導体」、「グリコシル化ポリペプチド」または「グリコシル化SPペプチド」という用語は、交換可能に使用され、慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和し、および/または喘息を予防、治療および/または緩和するための活性を有するアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)のグリコシル化タンパク質またはポリペプチド(例えば、SIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9、SIPI-G10、好ましくは、SIPI-G5、SIPI-G9である)を指す。
【0141】
さらに、前記「ポリペプチド」という用語は、その変異形態(好ましくは、グリコシル化修飾)を含む。これらの変異形態は、1~5個(通常は、1~4個、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個、最も好ましくは1個である)のアミノ酸の欠失、挿入および/または置換、ならびにC末端および/またはN末端への一つまたは複数(通常は、5個以内、好ましくは3個以内、より好ましくは2個以内である)のアミノ酸の添加を含む(これらに限定されない)。例えば、当技術分野において、性能が近いまたは類似なアミノ酸で置換される場合、通常は、タンパク質の機能を変化させない。例えば、C末端および/またはN末端への一つまたは複数のアミノ酸の転嫁は、通常、タンパク質の構造および機能も変化させない。
【0142】
本発明は、本発明のポリペプチドの活性フラグメント、誘導体および類似体を含む。本明細書で使用されるように、「フラグメント」、「誘導体」および「類似体」という用語は、喘息を予防、治療および/または緩和する機能または活性を実質的に保持するポリペプチドを指す。本発明のポリペプチドフラグメント、誘導体または類似体は、(i)一つまたは複数の保存的または非保存的アミノ酸残基(好ましくは、保存的アミノ酸残基)が置換されたポリペプチド、または(ii)一つまたは複数のアミノ酸残基に置換基を有するポリペプチド、または(iii)本発明のポリペプチドと別の化合物(例えば、ポリエチレングリコール等のポリペプチドの半減期を延長する化合物)との融合によって形成されるポリペプチド、または(iv)追加のアミノ酸配列をこのポリペプチド配列に融合することによって形成されるポリペプチド(リーダー配列、分泌配列または6His等のタグ配列と融合することによって形成される後続のタンパク質)であり得る。本明細書の教示に基づいて、これらのフラグメント、誘導体および類似体は、当業者によく知られている範囲内である。
【0143】
好ましいクラスの活性誘導体とは、式Iまたは式IIのアミノ酸配列と比較して、最大で5個、好ましくは最大で3個、より好ましくは最大で2個、最も好ましくは1個のアミノ酸が類似または近い性質を有するアミノ酸によって置き換えられてポリペプチドを形成することを指す。これらの保存的変異ポリペプチドは、好ましくは、表Aによるアミノ酸の置き換えによって生成される。
【0144】
【0145】
本発明は、本発明のポリペプチドの類似体をさらに提供する。これらの類似体と本発明のポリペプチドとの違いは、アミノ酸配列の違いであり得、配列に影響を及ぼさない修飾形態上の違いでもあり得、または両方であり得る。類似体は、天然のL-アミノ酸とは異なる残基(例えば、D-アミノ酸)を有する類似体、ならびに非天然または合成アミノ酸(例えば、β、γ-アミノ酸)を有する類似体をさらに含む。本発明のポリペプチドは、上記で例示された代表的なポリペプチドに限定されないことを理解されたい。
【0146】
修飾(通常は一次構造を変更しない)形態は、インビボまたはインビトロでのポリペプチドのアセチル化またはカルボキシル化等の化学的派生形態を含む。修飾は、ポリペプチドの合成およびプロセシングまたはさらなるプロセシング段階におけるグリコシル化修飾によって生成されるそれらのポリペプチド等のグリコシル化をさらに含む。このような修飾は、ポリペプチドを、グリコシル化される酵素(例えば、哺乳動物のグリコシラーゼまたはデグリコシラーゼ)に曝露することによって達成されることができる。修飾形態は、リン酸化アミノ酸残基(例えば、ホスホチロシン、ホスホセリン、ホスホスレオニン)を有する配列をさらに含む。修飾されることにより、そのタンパク質加水分解に対する性能を向上させるか、または溶解性能を最適化するポリペプチドをさらに含む。
【0147】
本発明のポリペプチドは、薬学的にまたは生理学的に許容される酸または塩基派生される塩の形態で使用されることができる。これらの塩は、与如下酸形成的塩:塩酸、臭化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはイセチオン酸等の酸と形成された塩を含む(これらに限定されない)。他の塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム)で形成された塩、およびエステル、カルバメートまたは他の従来の「プロドラッグ」の形態を含む。
【0148】
調製方法
本発明のポリペプチドは、化学的に創生されることができる。対応的に、本発明のポリペプチドは、従来の方法によって人工的に合成されることができる。
【0149】
好ましい方法は、液相合成技術、またはBoc固相法、Fmoc固相法または両方の方法の併用使用等の固相合成技術を使用することである。固相合成によりサンプルを迅速に得ることができ、標的ペプチドの配列特徴に応じて適切な樹脂担体および合成システムを選択することができる。例えば、Fmocシステムで好ましい固相担体は、ペプチドのC末端アミノ酸に接続されたWang樹脂であり、Wang樹脂構造は、ポリスチレンであり、アミノ酸間のアームは、4-アルコキシベンジルアルコールであり、25%ヘキサヒドロピリジン/ジメチルホルムアミドで室温下で20分間処理して、保護基Fmocを除去し、所与されたアミノ酸配列に従ってC末端からN末端に一つずつ伸長する。合成完了後、合成されたプロインスリン関連ペプチドを4%p-グレゾールを含むトリフルオロ酢酸で樹脂から切断し、かつ保護基を除去し、樹脂をろ過した後にエーテル沈殿により粗ペプチドを得ることができる。得られた生成物溶液を凍結乾燥した後、ゲルろ過および逆相高圧液体クロマトグラフィーによって所望のペプチドを精製する。固相合成にBocシステムが使用される場合、好ましい樹脂は、ペプチドのC末端アミノ酸に接続されたPAM樹脂であり、PAM樹脂構造は、ポリスチレンであり、アミノ酸間のアームは、4-ヒドロキシメチルフェニルアセトアミドであり、Boc合成システムにおいて、脱保護、中和、カップリングのサイクルにおいて、TFA/ジクロロメタン(DCM)で保護基Bocを除去し、かつジイソプロピルエチルアミン(DIEA)/ジクロロメタンで中和する。ペプチド鎖の凝縮完了後、p-クレゾール(5-10%)を含むフッ化水素(HF)を使用して、0℃下で1時間処理し、ペプチド鎖を樹脂から切断し、同時に保護基を除去する。50~80%酢酸(少量のメルカプトエタノールを含む)でペプチドを抽出し、溶液を凍結乾燥した後にさらにモレキュラーシーブSephadexG10またはTsk-40fで分離および精製し、その後高圧液相で生成して、所望のペプチドを得る。ペプチド化学の分野で知られている様々なカップリング剤およびカップリング方法を使用して、各アミノ酸残基をカップリングすることができ、例えば、ジイソプロピルカルボニルジイミド(DIC)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)または1,1,3,3-テトラ尿素ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)を使用して直接カップリングすることができる。合成された短いペプチドの純度および構造は、逆相高速液体クロマトグラフィーおよび質量分析によって確認できる。
【0150】
好ましい例において、本発明のポリペプチドは、その配列に従って固相合成の方法によって調製され、高速液体クロマトグラフィーによって精製され、標的ペプチドの高純度凍結乾燥粉末を得、-20℃で保存する。
【0151】
慢性閉塞性肺疾患
「COPD」と呼ばれる慢性閉塞性肺病は、気流閉塞を特徴とする慢性気管支炎および(または)肺気腫の一般的な慢性疾患であり、肺性心および呼吸不全にさらに進化する可能性がある。通常は、有毒な粒子またはガスへの重大な曝露による気道および/または肺胞の異常によって引き起こされる。
【0152】
典型的には、前記慢性閉塞性肺疾患は、慢性閉塞性気管支炎、肺気腫、またはその組み合わせからなる群から選択される。
喘息
喘息は、複雑な発病メカニズムを伴う気道の慢性炎症性疾患であり、一般に、遺伝的要因および環境的要因の組み合わせによって引き起こされると考えられる。当該病気の主要な特徴は、気道過敏反応、可逆性の気流閉塞、気管支平滑筋の痙攣、ならびに気道の炎症であり、一般的な症状は、喘息、呼吸困難、咳、胸部圧迫感等を含む。
【0153】
好ましい例において、前記喘息は、(1)炎症性因子によって引き起こされる喘息を含む。
別の好ましい例において、前記炎症性因子によって引き起こされる喘息は、炎症性因子の分泌または発現の増加によって引き起こされる喘息、および/または炎症性因子の活性の増強によって引き起こされる喘息を含む。
【0154】
別の好ましい例において、前記分泌は、脾臓リンパ球によって、好ましくは、Th2細胞によって分泌される。
別の好ましい例において、前記発現は、タンパク質発現、mRNA発現、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0155】
別の好ましい例において、前記炎症性因子は、インターロイキンを含む。
別の好ましい例において、前記インターロイキンは、IL-4、IL-5、IL-13、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0156】
典型的には、前記喘息は、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、遅発性喘息、気流制限型喘息、肥満型喘息、ホルモン抵抗性喘息を含む。
代表的には、前記喘息は、アレルギー性喘息である。
【0157】
好ましい例において、前記アレルギー性喘息は、OVA、アジュバント水酸化アルミニウム、またはその組み合わせからなる群から選択されるアレルギー剤によって引き起こされる喘息を含む。
【0158】
用途
本発明のポリペプチドは、喘息および/または慢性閉塞性肺疾患を予防、治療および/または緩和するために使用されることができる。
【0159】
本発明において、「予防」という用語は、疾患および/またはそれに付随する症状の発作予防する方法、または対象が疾患に罹患されないように防ぐ方法を指す。本明細書で使用される「予防」は、疾患および/またはそれに付随する症状の発作を遅らせること、ならびに対象における疾患に罹患されるリスクを低減することを含む。
【0160】
本発明に記載の「治療」は、疾患の進行の遅らせおよび終了、または疾患の排除を含み、100%の阻害、排除および逆転を必要としない。
一実施形態において、本発明に記載のポリペプチドの組成物、キット、食品ボックスまたは栄養補助食品ボックス、有効成分の組み合わせが存在しない場合のレベルと比較して、本発明に記載の組成物または医薬組成物は、喘息および/または慢性閉塞性肺疾患を、少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、または少なくとも約80%軽減、阻害および/または逆転させる。
【0161】
好ましい例において、前記慢性閉塞性肺疾患の予防、治療および/または緩和は、
(i)炎症性因子の阻害、
(ii)IgEレベルの低下、
(iii)気道抵抗の低下、
(iv)肺コンプライアンスの向上、および/または
(v)肺における炎症性細胞浸潤の阻害を含む。
【0162】
好ましい例において、前記喘息の予防、治療および/または緩和は、
(i)炎症性因子の阻害、
(ii)IgEレベルの低下、
(iii)気道抵抗の低下、
(iv)肺コンプライアンスの向上、および/または
(v)肺における炎症性細胞浸潤の阻害を含む。
【0163】
別の好ましい例において、前記炎症性因子は、インターロイキンを含む。
別の好ましい例において、前記インターロイキンは、IL-4、IL-5、IL-13、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0164】
別の好ましい例において、炎症性因子の阻害は、炎症性因子の分泌または発現および/または活性の阻害を含む。
別の好ましい例において、前記IgEレベルは、血清、全血または血漿中のIgEレベルである。
【0165】
本発明は、本発明に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩をさらに提供する。(i)炎症の阻害、(ii)IgEレベルの低下、(iii)気道抵抗の低下、(iv)肺コンプライアンスの向上、および/または(v)肺における炎症性細胞浸潤の阻害に使用される。
【0166】
別の好ましい例において、前記炎症は、炎症性因子によって引き起こされる炎症である。
別の好ましい例において、前記炎症性因子は、インターロイキンを含む。
【0167】
別の好ましい例において、前記インターロイキンは、IL-4、IL-5、IL-13、またはその組み合わせからなる群から選択される。
医薬組成物
本発明は、有効量(例えば、0.1~99.9wt%、好ましくは10~99.9wt%、より好ましくは70~99.9wt%)の本発明のポリペプチド(特にポリペプチドSIPI-D00、SIPI-G9、SIPI-G5)、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0168】
通常、本発明のポリペプチドを、非毒性で、不活性で、薬学的に許容される水性担体媒体中で調製することができ、ここで、pHは、通常、約5~8、好ましくは、約6~8である。
【0169】
本明細書で使用されるように、「有効量」または「有効用量」という用語は、ヒトおよび/または動物において機能または活性を生じ、かつヒトおよび/または動物に許容される量を指す。
【0170】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容される」の成分は、過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激およびアレルギー反応)なしにヒトおよび/または哺乳動物での使用に適し、即ち、合理的な利益/リスク比を有する物質である。「薬学的に許容される担体」という用語は、様々な賦形剤および希釈剤を含む、治療剤の投与のための担体を指す。
【0171】
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効量の本発明のポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む。このような担体は、食塩水、緩衝液、グルコース、水、グリセロール、エタノール、およびその組み合わせを含む(これらに限定されない)。通常、薬物製剤は、投与方法と一致する必要があり、本発明の医薬組成物は、注射の形態で、例えば、生理食塩水またはグルコースおよび他のアジュバントを含む水溶液を用いて従来の方法によって調製されることができる。前記医薬組成物は、好ましくは、無菌条件下で製造される。有効成分の投与量は、治療有効量である。本発明の薬物製剤は、徐放性製剤に調製されることもできる。
【0172】
別の好ましい例において、前記医薬組成物の剤形は、スプレー剤、注射剤(例えば、筋肉内または静脈内注射液)である。
本発明に記載のタンパク質の有効量は、投与モードおよび治療される疾患の重症度等によって変化されることができる。好ましい有効量の選択は、様々な要因に基づいて(例えば、臨床試験を通じて)当業者によって決定されることができる。前記要因は、バイオアベイラビリティ、代謝、半減期等の前記薬物動態パラメーター、治療を必要とする患者の疾患の重症度、患者の体重、患者の免疫状況、投与経路を含むがこれらに限定されない。通常、本発明のポリペプチドを一日約0.1~1mg/kgの動物体重(好ましくは0.3~0.6mg/kgの動物体重)の投与量で投与されると、満足のいく結果が得られることができる。例えば、治療状況の緊急性により、いくつかの分割された容量が毎日投与されることができるか、投与量を比率に従って減少されることができる。
【0173】
本発明の主な利点は、次のとおりである。
(1)本発明のポリペプチドは、喘息および/または慢性閉塞性肺疾患に対して効果的な治療効果を有する。
【0174】
(2)本発明のポリペプチドは、優れた薬物動態を有し、皮下注射は、血流への優れた吸収特性を有し、バイオアベイラビリティが顕著に増加し、インビボでの半減期が長いため、より長い時間その効果を発揮することができる。
【0175】
(3)本発明のポリペプチドは、分離量が小さく、生産コストが低く、免疫原性が低く、毒性および副作用が低く、水溶性が良好であり、エアロゾル剤に開発させることができる。
【0176】
以下、本発明は、具体的実施例と併せてさらに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例における具体的な条件を示さない実験方法は、通常、一般的な条件、例えば、(SambrookおよびRussellら,分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning-A Laboratory Manual)(第3版)(2001)CSHL出版社)に記載の条件、メーカーよって提案された条件に従う。特に明記されない限り、パーセンテージと部数とは、重量で計算される。以下の実施例で使用される実験材料および試薬は、特に明記しない限り、商業チャネルから入手することができる。
【0177】
実施例
材料および方法
SPペプチドおよびSPペプチド誘導体の一般的な合成方法
図1に示されるように、ポリペプチドとしてSPペプチド(SPと呼ばれる)およびSPペプチド誘導体SIPI-D00の固相合成法は、固相担体として2-Clトリフェニル樹脂を使用し、凝縮系としてヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)/ジイソプロピルカルボニルジイミド(DIC)を使用し、脱保護基Fmoc条件として20%ピペリジンのDMF溶液を使用し、切断試薬を使用して、ポリペプチドを樹脂から分離し、アイスエーテルで沈殿して粗ペプチドを得、粗ペプチドは、分取HPLCによって精製し、純粋な生成物は、高分解能質量分析を使用して分子量および分子式をマッチングおよび同定する。
【0178】
SPペプチド(SP)およびSPペプチド誘導体D00(SIPI-D00)の合成
SPペプチド(N末端からC末端まで、SPペプチドのアミノ酸配列は、GQTYTSGであり、SPペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1である)およびSIPI-D00(N末端からC末端まで、SIPI-D00のアミノ酸配列は、GSTYTQGであり、SIPI-D00ペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2である)を合成するための具体的な段階は、次に示されたとおりであり、
(1)樹脂の膨潤:500mgの2-Clトリフェニル樹脂をポリペプチド合成チューブに量り取り、室温条件下で5~10mLのDCMを加えて樹脂を少なくとも15分間完全に浸漬し、その後ダイアフラムポンプを使用して溶媒DCMを抽出および分離する。注:ポリペプチド合成チューブ壁の樹脂をDCMで完全に浸漬することができない場合、DMFを使用してポリペプチド合成チューブ壁にある樹脂をポリペプチド合成チューブの底部にすすぎ、DCMを加えて浸漬し、各樹脂が完全に膨潤するようにする。
【0179】
(2)樹脂の洗浄:5~10mLのDMFを使用して、壁に取り付けられた樹脂をポリペプチド合成チューブの底部にすすぎ、DMFをろ過および除去する。その後5~10mLのDCMを加え、1分間よく混合し、DCMをろ過および除去し、この操作を3回繰り返す。最後に、5~10mLのDMFを加え、1分間よく混合し、DMFをろ過および初虚子、この操作を3回繰り返す。注:DMFが壁に取り付けられた壁に取り付けられた樹脂を完全にすすぐことができない場合、外力を利用してポリペプチド合成チューブの底部にこすり落として、反応液がすべての樹脂を完全に浸漬する必要がある。
【0180】
(3)最初のアミノ酸の凝縮:Fmoc-AA-OH(3eq)を量り取って10mLの遠心分離管に加え、5mLのDMFを量り取ってアミノ酸を溶解し、DIPEA(8eq)を量り取って遠心分離管で振とうおよび混合し、室温条件下で1~2分間活性化する。活性化されたアミノ酸をポリペプチド合成チューブに注ぎ、二機能エアバス恒温発振器に入れ、35℃条件下で1時間振とうした後に洗浄する。注:SPペプチドの最初のアミノ酸は、Fmoc-Gly-OHであり、SIPI-D00の最初のアミノ酸は、Fmoc-D-Gly-OHであり、アミノ酸を溶解するためのDMFの用量は、樹脂を完全に浸漬できるかどうかに基づいており、通常は3~8mLを必要とする。
【0181】
(4)ポリペプチド樹脂複合体の洗浄:5~10mLのDCMを加えて1分間よく混合し、DCMをろ過および除去し、この操作を3回繰り返す。最後に5~10mLのDMFを加えて1分間よく混合し、DMFをろ過および除去し、この操作を3回繰り返す。注:DMFが壁に取り付けられた樹脂を完全にすすぐことができない場合、外力を利用してポリペプチド合成チューブの底部にこすり落として、反応液がすべての樹脂を完全に浸漬する必要がある。
【0182】
(5)樹脂空ウェルのブロッキング:上記のポリペプチド合成チューブに5mLのメタノールを加えて二機能エアバス恒温発振器に入れ、35℃条件下で20分間振とうして反応させ、ブロッキング液メタノールをろ過および除去する。この操作を2回繰り返す。(4)ポリペプチド樹脂複合体を洗浄する操作を繰り返す。注:ブロッキング液メタノールの用量は、ポリペプチド樹脂複合体の完全な浸漬に基づく。
【0183】
(6)保護基Fmocの除去:上記のポリペプチド合成チューブに5mLの20%ピペリジン/DMF溶液を加え、二機能エアバス恒温発振器に入れ、35℃条件下で10分間振とうして反応させ、反応液を濾過および除去し、この操作を2回繰り返す。(4)ポリペプチド樹脂複合体を洗浄する操作を繰り返す。注:20%ピペリジン/DMF溶液は、ポリペプチド樹脂複合体の完全な浸漬に基づき、20%ピペリジン/DMF(20mLのピペリジン:80mLのDMF)。
【0184】
(7)脱保護されたFmocの検出:保護基Fmocを除去する反応には、反応プロセスをモニターリングするためにKaiser試薬(ニンヒドリンの定性的な発色)を使用する必要があり、キャピラリードロッパーを使用して少量の樹脂を2mLの遠心分離管に入れ、3滴の5%ニンヒドリンのエタノール溶液および1滴の80%フェノールのエタノール溶液を滴下し、よく混合した後に200℃条件下で1分間加熱煮沸し、各樹脂が青色の場合、アミノ末端が完全に露出され、保護基Fmocが完全に除去されていることを意味し、いくつかの樹脂が無色の場合、アミノ末端の保護基Fmocが反応によって除去されていないことを意味し、保護基Fmocを除去する上記の段階を1回繰り返す必要がある。注:Kaiser試薬(5%ニンヒドリンのエタノール溶液:80%フェノールのエタノール溶液(3:1、v/v))、検出で使用される樹脂は、検出される樹脂が代表的なものであることを確認するために、可能な限り異なる方向から採取する必要がある。
【0185】
(8)2番目のアミノ酸の凝縮:それぞれFmoc-AA-OH(3eq)およびHOBT(3.6eq)を量り取って10mL遠心分離管に加え、6mLのDMFを加えて振とうおよび混合した後、DIC(8eq)を量り取って遠心分離管で振とうしてよく混合し、室温条件下で1~2分間活性化する。活性化されたアミノ酸をポリペプチド合成チューブに加え、ポリペプチド合成チューブを二機能エアバス恒温発振器に入れ、35℃条件下で2時間反応させる。(4)ポリペプチド樹脂複合体を洗浄する操作を繰り返す。注:SPペプチドの2番目のアミノ酸は、Fmoc-Ser-OHであり、SIPI-D00の2番目のアミノ酸は、Fmoc-D-Gln-OHである。
【0186】
(9)アミノ酸凝縮後の検出:アミノ酸凝縮反応後、Kaiser試薬(ニンヒドリンの定性的な発色)を使用して反応プロセスをモニターリングし、即ち、キャピラリードロッパーを使用して少量の樹脂を2mLの遠心分離管に入れ、3滴の5%ニンヒドリンのエタノール溶液および1滴の80%フェノールのエタノール溶液を滴下し、よく混合した後に200℃条件下で1分間加熱煮沸し、樹脂が無色の場合、アミノ末端は完全に凝縮したことを意味し、青色または青紫の場合、アミノ末端は完全に凝縮されていないことを意味し、2番目のアミノ酸を凝縮する上記の段階を繰り返す。
【0187】
(10)残りのアミノ酸の凝縮:(6)保護基Fmocの除去、(7)脱保護されたFmocの検出、(8)2番目のアミノ酸の凝縮、(9)アミノ酸凝縮後の検出等の段階を、ポリペプチド配列に従ってアミノ酸を樹脂に凝縮させる段階を順次に繰り返す。最後に(6)保護基Fmocの除去、(7)脱保護されたFmocの検出を繰り返す。
【0188】
(11)ポリペプチドおよび樹脂の分離:洗浄したポリペプチド樹脂複合体をDCMで3回すすいだ後、エーテルを使用してポリペプチド樹脂複合体を3回洗浄し、ダイアフラムポンプを使用して樹脂を吸引および乾燥させ(ポリペプチド樹脂複合体は、緩い砂の形を示す)、50mLの遠心分離管に注ぎ、20mLの切断試薬のB試薬を量り取って50mLの遠心分離管に加え(ポリペプチド樹脂複合体を含む)、密封し、35℃条件下で4時間激しく振とうして反応させる。反応終了後ろ過し、樹脂および切断液(ポリペプチドを含む)を分離し、ろ液を50mLの遠心分離管に移し、5mLのB試薬で樹脂をすすぎ、得られた溶離液を50mLの遠心分離管に移し、ろ液(ポリペプチドを含む)を窒素ガスバブリングで濃縮する。40mLのアイスエーテルを加え、沈殿物を振とうし、遠心分離機で遠心分離し、上清液を注ぎ出し、エーテルを加えて洗浄し、上記の遠心分離およびエーテル洗浄の操作を3回繰り返し、窒素ガスブローによって乾燥させて粗ペプチドを得る。注:B試薬の比率(88%のTFA:5%のフェノール:5%の水:2%のTIPs)、遠心分離機の遠心分離時間は、5分間に設定され、回転速度は、3500r/minに設定される。
(12)分析、精製および同定:高速液体クロマトグラフィーで粗ペプチドを分析し、液相を調製して粗ペプチドを精製し、質量分析計で同定する。
【0189】
1)高速液体クロマトグラフィーの分析条件:重水素ランプをオンにして二波長を検出し、波長は、それぞれ214nmおよび254nmに設定され、流速は、1.0mL/minに設定され、注入量は、5μLに設定される。グラジエント溶出法を使用して溶出し、グラジエント溶出高速液体クロマトグラフィープログラムは、移動相Bに基づいて(0分-開始、0分-90%移動相B、2分-90%移動相B、20分-20%移動相B、30分-0%移動相B、60分-終了)に設定される。ここで、移動相Aは、分析用純粋なアセトニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)であり、移動相Bは、精製水(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)である。分析カラムは、Diamonsil C18 5μm 250×4.6mMである。
【0190】
2)分取カラムクロマトグラフィー条件:重水素ランプをオンにして二波長を検出し、波長は、それぞれ214nmおよび254nmであり、流速は、10mL/minに設定され、注入量は、10mLに設定される。グラジエント溶出法を使用して溶出および精製し、グラジエント溶出プログラムは、移動相Bに基づいて(0分-開始、0分-90%移動相B、5分-90%移動相B、40分-20%移動相B、60分-0%移動相B、60分-終了)に設定される。ここで、移動相Aは、分析用純粋なアセトニトリル(0.1%酢酸を含む)であり、移動相Bは、精製水(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)である。分取カラムは、Ryoung Tech Led C18-RPS 12nm 10μm 20×250mMである。グラジエント溶出は、標的ピーク溶液を収集し、標的ピーク溶液を液体窒素に入れて凍結させ、凍結乾燥機で乾燥させ、生成物をHPLC分析によって生成物の純度を確認し、質量分析計を使用して、生成物の分子式および分子量が理論値と一致するかどうかを同定する。
【0191】
注:注入前に5%移動相Aを使用してカラムを5分以上すすぎ、明らかな不純物ピークがなくなった後に90%移動相Bを使用してカラムを5~10分間平衡化すると、明らかな平衡ピークが確認されることができる。
【0192】
合成されたSPペプチド(SEQ ID NO:1)のすべてのアミノ酸残基は、L-アミノ酸であり、合成されたSIPIペプチド誘導体SIPI-D00(SEQ ID NO:2)のすべてのアミノ酸残基は、すべてD-アミノ酸である。
【0193】
SPペプチド誘導体(グリコシル化SPペプチド)の一般的な合成方法
SPペプチド(N末端からC末端まで、SPペプチドのアミノ酸配列は、GQTYTSG、SEQ ID NO:1である)グリコシル化誘導体におけるSIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9、SIPI-G10の合成策略は、ポリペプチド固相合成法であり(例えば、
図6に示される)、固相担体として2-Clトリフェニル樹脂を使用し、凝縮系としてヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)/ジイソプロピルカルボニルジイミド(DIC)を使用し、脱保護基Fmoc条件として20%ピペリジンのDMF溶液を使用し、B切断試薬を用いてポリペプチドを樹脂から分離し、アイスエーテルで沈殿させて、粗ペプチドを得、粗ペプチドを分取HPLCによって精製し、純粋な生成物を高分解能質量分析によって分子量および分子式のマッチングを同定する。最後に、5%ヒドラジン水和物を使用してアセチル保護基を除去し、分取液相を使用して生成し、精製されたグリコシル化SPペプチドを高分解能質量分析によって分子量および分子式のマッチングを同定する。
【0194】
七つのグリコシル化ポリペプチドの合成
SIPI-G4ペプチド、SIPI-G5ペプチド、SIPI-G6ペプチド、SIPI-G7ペプチド、SIPI-G8ペプチド、SIPI-G9ペプチド、SIPI-G10ペプチドは、SPペプチドのグルコース(Glc)化誘導体である。
【0195】
SIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9、SIPI-G10を合成するための具体的な段階は、次のとおりである。
【0196】
1)樹脂の膨潤:500mgの2-Clトリフェニル樹脂をポリペプチド合成チューブに量り取り、室温条件下で5~10mLのDCMを加えて樹脂を少なくとも15分間完全に浸漬し、その後ダイアフラムポンプを使用して溶媒DCMを抽出および分離する。注:ポリペプチド合成チューブ壁の樹脂をDCMで完全に浸漬することができない場合、DMFを使用してポリペプチド合成チューブ壁にある樹脂をポリペプチド合成チューブの底部にすすぎ、DCMを加えて浸漬し、各樹脂が完全に膨潤するようにする。
【0197】
2)樹脂の洗浄:5~10mLのDMFを使用して、壁に取り付けられた樹脂をポリペプチド合成チューブの底部にすすぎ、DMFをろ過および除去する。その後5~10mLのDCMを加えて1分間よく混合し、DCMをろ過および除去し、この操作を3回繰り返す。最後に5~10mLのDMFを加えて1分間よく混合し、DMFをろ過および除去し、この操作を3回繰り返す。注:DMFが壁に取り付けられた樹脂を完全にすすぐことができない場合、外力を利用してポリペプチド合成チューブの底部にこすり落とす必要がある。
【0198】
3)最初のアミノ酸の凝縮:Fmoc-AA-OH(3eq)を量り取って10mLの遠心分離管に加え、5mLのDMFを量り取ってアミノ酸を溶解し、DIPEA(8eq)を量り取って遠心分離管で振とうおよび混合し、室温条件下で1~2分間活性化する。活性化されたアミノ酸をポリペプチド合成チューブに加え、二機能エアバス恒温発振器に入れ、35℃条件下で1時間振とうして反応させる。注:最初のアミノ酸は、Fmoc-Gly-OHであり、アミノ酸を溶解するためのDMFの用量は、樹脂を完全に浸漬できるかどうかに基づき、通常は、3~8mLを必要とする。
【0199】
4)ポリペプチド樹脂複合体の洗浄:5~10mLのDCMを加えて1分間よく混合し、DCMをろ過および除去し、この操作を3回繰り返す。最後に5~10mLのDMFを加えて1分間よく混合し、DMFをろ過および除去し、この操作を3回繰り返す。注:DMFが壁に取り付けられた樹脂を完全にすすぐことができない場合、外力を利用してポリペプチド合成チューブの底部にこすり落とす必要がある。
【0200】
5)樹脂空ウェルのブロッキング:上記のポリペプチド合成チューブに5mLのメタノールを加えて二機能エアバス恒温発振器に入れ、35℃条件下で20分間振とうして反応させ、ブロッキング液メタノールをろ過および除去する。この操作を2回繰り返す。(4)ポリペプチド樹脂複合体を洗浄する操作を繰り返す。注:ブロッキング液メタノールの用量は、ポリペプチド樹脂複合体の完全な浸漬に基づく。
【0201】
6)保護基Fmocの除去:上記のポリペプチド合成チューブに5mLの20%ピペリジン/DMF溶液を加え、二機能エアバス恒温発振器に入れ、35℃条件下で10分間振とうして反応させ、反応液を濾過および除去し、この操作を2回繰り返す。(4)ポリペプチド樹脂複合体を洗浄する操作を繰り返す。注:20%ピペリジン/DMF溶液は、ポリペプチド樹脂複合体の完全な浸漬に基づき、通常は、3~8mLを必要とする。
【0202】
7)脱保護されたFmocの検出:保護基Fmocを除去する反応には、反応プロセスをモニターリングするためにKaiser試薬(ニンヒドリンの定性的な発色)を使用する必要があり、キャピラリードロッパーを使用して少量の樹脂を2mLの遠心分離管に入れ、3滴の5%ニンヒドリンのエタノール溶液および1滴の80%フェノールのエタノール溶液を滴下し、よく混合した後に200℃条件下で1分間加熱煮沸し、各樹脂が青色の場合、アミノ末端が完全に露出され、保護基Fmocが完全に除去されていることを意味し、樹脂が無色の場合、アミノ末端の保護基Fmocが反応によって除去されていないことを意味し、保護基Fmocを除去する上記の段階を1回繰り返す必要がある。注:Kaiser試薬(5%ニンヒドリンのエタノール溶液:80%フェノールのエタノール溶液(3:1、v/v))、検出で使用される樹脂は、採取される樹脂が代表的なものであることを確認するために、可能な限り異なる方向から採取する必要がある。
【0203】
8)2番目のアミノ酸の凝縮:a)一般的なアミノ酸の凝縮:Fmoc-Ser-OH(3eq)およびHOBT(3.6eq)を量り取って10mLの遠心分離管に加え、5mLのDMFを量り取ってアミノ酸およびHOBTを溶解し、DIC(8eq)を量り取って遠心分離管で振とうしてよく混合し、室温条件下で1~2分間活性化する。活性化されたアミノ酸をポリペプチド合成チューブに加え、二機能エアバス恒温発振器に入れ、35℃条件下で1時間振とうして反応させる。(4)ポリペプチド樹脂複合体を洗浄する操作を繰り返す。b)糖アミノ酸の凝縮:それぞれFmoc-Ser[GlcNAc(Ac4)-OH](1.5eq.)およびHOAT(1.5eq)を量り取って10mLの遠心分離管に加え、4mLのDMFを加えて糖アミノ酸およびHOBTを溶解し、DIC(8eq)を量り取って遠心分離管で振とうしてよく混合し、室温条件下で1~2分間活性化する。活性化されたアミノ酸をポリペプチド合成チューブに加え、二機能エアバス恒温発振器に入れ、35℃条件下で1時間振とうして反応させる。(4)ポリペプチド樹脂複合体を洗浄する操作を繰り返す。注:SIPI-G4、SIPI-G7、SIPI-G9およびSIPI-G10の2番目のアミノ酸は、Fmoc-Ser[GlcNAc(Ac4)-OH]であり、SIPI-G5、SIPI-G6およびSIPI-G8の2番目のアミノ酸は、Fmoc-Ser-OHである。
【0204】
9)アミノ酸凝縮後の検出:アミノ酸凝縮反応後、Kaiser試薬(ニンヒドリンの定性的な発色)を使用して反応プロセスをモニターリングし、即ち、キャピラリードロッパーを使用して少量の樹脂を2mLの遠心分離管に入れ、3滴の5%ニンヒドリンのエタノール溶液および1滴の80%フェノールのエタノール溶液を滴下し、よく混合した後に200℃条件下で1分間加熱煮沸し、樹脂が無色の場合、アミノ末端は完全に凝縮したことを意味し、青色または青紫の場合、アミノ末端は完全に凝縮されていないことを意味し、2番目のアミノ酸を凝縮する上記の段階を繰り返す。
【0205】
10)残りのアミノ酸の凝縮:(6)保護基Fmocの除去、(7)脱保護されたFmocの検出、(8)2番目のアミノ酸の凝縮、(9)アミノ酸凝縮後の検出等の段階を、ポリペプチド配列に従ってアミノ酸を樹脂に凝縮させる段階を順次に繰り返す。最後に(6)保護基Fmocの除去、(7)脱保護されたFmocの検出を繰り返す。注:SIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G8およびSIPI-G10の3番目のアミノ酸は、Fmoc-Thr[GlcNAc(Ac4)-OH]であり、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G9の3番目のアミノ酸は、Fmoc-Thr-OHであり、SIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9、SIPI-G10の4番目のアミノ酸は、Fmoc-Tyr-OHであり、SIPI-G4、SIPI-G6、SIPI-G8およびSIPI-G9の5番目のアミノ酸は、Fmoc-Thr[GlcNAc(Ac4)-OH]であり、SIPI-G5、SIPI-G7およびSIPI-G10の5番目のアミノ酸は、Fmoc-Thr-OHであり、SIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9、SIPI-G10の6番目のアミノ酸は、Fmoc-Gln-OHであり、SIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9、SIPI-G10の7番目のアミノ酸は、Fmoc-Gly-OHである。
【0206】
11)ポリペプチドおよび樹脂の分離:洗浄したポリペプチド樹脂複合体をDCMで3回すすいだ後、エーテルを使用してポリペプチド樹脂複合体を3回洗浄し、ダイアフラムポンプを使用して樹脂を吸引および乾燥させ(ポリペプチド樹脂複合体は、緩い砂の形を示す)、50mLの遠心分離管に注ぎ、20mLの切断試薬のB試薬を量り取って50mLの遠心分離管に加え(ポリペプチド樹脂複合体を含む)、密封し、35℃条件下で4時間激しく振とうして反応させる。反応終了後ろ過し、樹脂および切断液(ポリペプチドを含む)を分離し、ろ液を50mLの遠心分離管に移し、5mLのB試薬で樹脂をすすぎ、得られた溶離液を50mLの遠心分離管に移し、ろ液(ポリペプチドを含む)を窒素ガスバブリングで濃縮する。その後当該遠心分離管に、40mLのアイスエーテルを加え、沈殿物を振とうし、遠心分離機で遠心分離し、上清液を注ぎ出し、エーテルを加えて洗浄し、上記の遠心分離およびエーテル洗浄の操作を3回繰り返し、窒素ガスブローによって乾燥させて粗ペプチドを得る。注:B試薬の配合比率(88%のTFA:5%のフェノール:5%の水:2%のTIPs)、遠心分離機の遠心分離時間は、5分間に設定され、回転速度は、3500r/minに設定される。
【0207】
12)分析、精製および同定:高速液体クロマトグラフィーで粗ペプチドを分析し、液相を調製して粗ペプチドを精製し、質量分析計で同定する。
【0208】
高速液体クロマトグラフィーの分析条件:重水素ランプをオンにして二波長を検出し、波長は、それぞれ214nmおよび254nmであり、流速は、1.0mL/minに設定され、注入量は、5μLに設定される。グラジエント溶出法を使用して溶出および分析し、グラジエント溶出高速液体クロマトグラフィープログラムは、移動相Bに基づいて(0分-開始、0分-90%移動相B、2分-90%移動相B、20分-20%移動相B、30分-0%移動相B、60分-終了)に設定される。ここで、移動相Aは、分析用純粋なアセトニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)であり、移動相Bは、精製水(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)である。分析カラムは、Diamonsil C18 5μm 250×4.6mMである。
【0209】
分取カラムクロマトグラフィー条件:重水素ランプをオンにして二波長を検出し、波長は、それぞれ214nmおよび254nmであり、流速は、10mL/minに設定され、注入量は、10mLに設定される。グラジエント溶出法を使用して溶出および精製し、グラジエント溶出プログラムは、移動相Bに基づいて(0分-開始、0分-90%移動相B、5分-90%移動相B、40分-20%移動相B、60分-0%移動相B、60分-終了)に設定される。ここで、移動相Aは、分析用純粋なアセトニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)であり、移動相Bは、精製水(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)である。分取カラムは、Ryoung Tech Led C18-RPS 12nm 10μm 20×250mMである。グラジエント溶出は、標的ピーク溶液を収集し、標的ピーク溶液を液体窒素に入れて凍結させ、凍結乾燥機で乾燥させ、生成物をHPLC分析によって生成物の純度を確認し、質量分析計を使用して、生成物の分子式および分子量が理論値と一致するかどうかを同定する。
【0210】
注:注入前に5%移動相Aを使用してカラムを5分以上すすぎ、明らかな不純物ピークがなくなった後に90%移動相Bを使用してカラムを5~10分間平衡化すると、明らかな平衡ピークが確認されることができる。
【0211】
13)脱アセチル化:精製されたペルアセチル保護糖ペプチドを5%ヒドラジン水和物に溶解し、2時間攪拌して反応させ、HPLCによって反応プロセスをモニターリングする。
【0212】
14)分析、精製および同定:高速液体クロマトグラフィーを使用して、反応液を分析し、液相を調製して反応液を精製し、質量分析計で同定する。
【0213】
高速液体クロマトグラフィーの分析条件:重水素ランプをオンにして二波長を検出し、波長は、それぞれ214nmおよび254nmであり、流速は、1.0mL/minに設定され、注入量は、5μLに設定される。グラジエント溶出法を使用して溶出および分析し、グラジエント溶出高速液体クロマトグラフィープログラムは、移動相Bに基づいて(0分-開始、0分-99%移動相B、2分-99%移動相B、20分-50%移動相B、30分-20%移動相B、60分-終了)に設定される。ここで、移動相Aは、分析用純粋なアセトニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)であり、移動相Bは、精製水(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)である。分析カラムは、Diamonsil C18 5μm 250×4.6mMである。
【0214】
分取カラムクロマトグラフィー条件:重水素ランプをオンにして二波長を検出し、波長は、それぞれ214nmおよび254nmであり、流速は、10mL/minに設定され、注入量は、10mLに設定される。グラジエント溶出法を使用して溶出および精製し、グラジエント溶出プログラムは、移動相Bに基づいて(0分-開始、0分-99%移動相B、5分-99%移動相B、40分-40%移動相B、60分-0%移動相B、60分-終了)に設定される。ここで、移動相Aは、分析用純粋なアセトニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)であり、移動相Bは、精製水(0.1%トリフルオロ酢酸を含む)である。分取カラムは、Ryoung Tech Led C18-RPS 12nm 10μm 20×250mMである。グラジエント溶出は、標的ピーク溶液を収集し、標的ピーク溶液を液体窒素に入れて凍結させ、凍結乾燥機で乾燥させ、生成物をHPLC分析によって生成物の純度を確認し、質量分析計を使用して、生成物の分子式および分子量が理論値と一致するかどうかを同定する。
【0215】
N末端からC末端まで、SIPI-G4ペプチドのアミノ酸配列は、GQT(Glc)YT(Glc)S(Glc)Gである。
N末端からC末端まで、SIPI-G5ペプチドのアミノ酸配列は、GQTYT(Glc)SGである。
【0216】
N末端からC末端まで、SIPI-G6ペプチドのアミノ酸配列は、GQT(Glc)YTSGである。
N末端からC末端まで、SIPI-G7ペプチドのアミノ酸配列は、GQTYTS(Glc)Gである。
【0217】
N末端からC末端まで、SIPI-G8ペプチドのアミノ酸配列は、GQT(Glc)YT(Glc)SGである。
N末端からC末端まで、SIPI-G9ペプチドのアミノ酸配列は、GQT(Glc)YTS(Glc)Gである。
【0218】
N末端からC末端まで、SIPI-G10ペプチドのアミノ酸配列は、GQTYT(Glc)S(Glc)Gである。
SPペプチド、SIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9、SIPI-G10のアミノ酸は、すべてL型アミノ酸である。
【0219】
実施例1.ラット全血中の各7ペプチド化合物の安定性
1.1.実験手順およびインキュベーション条件
被験品の調製:SPおよびSIPI-D00を0.1%ギ酸を含む適切な量の50%アセトニトリル水で溶解および希釈して、濃度が200μg/mLである作業溶液を得る。安定性研究試薬の使用状況は、表1のとおりである。
【0220】
【0221】
1)新鮮なラット全血をEPチューブに加えて、穏やかに浸透して混合し、
2)EPチューブを37℃の水浴で5分間プレインキュベートし、
3)それそれ各化合物を加えて反応を開始させ、37℃でインキュベートし続け、
4)サンプルチューブからそれぞれ0、2分、5分、10分、30分、60分で50μLをストップチューブに取り、50μLの氷冷7%過塩素酸を加え、振とうし、反応を停止し、
5)13000r/minで10分間遠心分離し、75μLの上清を吸引し、60μLの1.25%アンモニア水を加えてよく混合し、0.22μMのミクロポーラスメンブレンでろ過した後、20μLを取ってLC-MS/MS分析を実施する。
【0222】
各サンプルは、二重配管を使用し、結果は、表2に示されたとおりである。
【0223】
【0224】
表2からわかるように、全血におけるSIPI-D00ポリペプチドの安定性は、SPペプチドの安定性よりも有意に高く、60分間全血インキュベートした後、回収率は、依然として100%に達し、これは、SIPI-D00は、全血において優れた安定性を有し、それにより、SIPI-D00は、創薬可能性の薬物動態要件を満たすようにすることが分かる(半減期>30分)
実施例2.SDラットにおけるSPペプチドまたはSIPI-D00ペプチドの単回皮下注射後の様々な時点での血漿薬物濃度
1.材料
SPペプチド(アミノ酸酸配列SEQ ID NO:1)
SIPI-D00ポリペプチド(アミノ酸酸配列SEQ ID NO:2)
2.実験動物
体重約200gの雄性SDラット、飼育条件:一定温度のエアコン付きの部屋で飼育し、室温20~24℃、湿度40~70%、照明12時間、飲食を制限しない。
【0225】
3.実験方法
3.1.投与方法
経路:背中への単回皮下注射、
薬物の投与量:生理食塩水を使用して、それぞれSPペプチドおよびSIPI-D00ポリペプチドを3.33mg/mLの溶液に調製し、背中に皮下注射されたSPペプチドの投与量は、10mg/kg体重であり、背中に皮下注射されたSIPI-D00ペプチドの投与量は、5mg/kg体重である。
【0226】
3.2.投与および血液サンプルの採取
雄性SDラットは、投与前に12時間絶食させ、水を自由に摂取させる。被験物SPペプチドまたはSIPI-G9ポリペプチドを皮下注射により投与する。それぞれ投与前および投与後の時点で眼窩血液を採取する。採取された全血を1%ヘパリンで抗凝固処理し、8000rpmで4分間遠心分離した後に50μLの血漿を1.5mLのポリプロピレンチューブに取り、-70℃の冷蔵庫に入れ、試験する。高濃度サンプルは、空白血漿で希釈する。
【0227】
3.3.測定方法
高速液体クロマトグラフィー-質量分析(HPLC-MS)を併用してSIPI-G9ポリペプチドの血中濃度を測定する。
【0228】
3.3.1.HPLC-MS条件
HPLCシステム:ExionLC ACシステム、AB会社。
MSシステム:Triple Quad 5500型タンデム四重極質量分析計、AB会社。
【0229】
データの収集:Analyst(1.7)、AB会社。
HPLCクロマトグラフィー条件:
クロマトグラフィーカラム:SHIM-PACK GISS C18(2.1×100mm、1.9μm)、注入体積:20μL、移動相:A相:0.2%酢酸水溶液、B相:メタノール、グラジエント溶出(詳細は、表3を参照する)。
【0230】
【0231】
3.3.2.質量分析条件
イオン源は、エレクトロスプレーイオン化源(ESI)であり、乾燥ガス(N2)温度は、550℃であり、エレクトロスプレー電圧は、5500Vであり、検出方式は、陽イオン検出であり、スキャン方式は、選択的反応モニターリング(MRM)方式であり、スキャン時間は、0.15秒である。質量分析検出パラメーターは、表4に示されたとおりである。
【0232】
【0233】
3.4.サンプル処理
50μLの血漿を取り、5μLの内部標準溶液(DX07(His-Leu-Glu-Thr-Glu-Leu-His)100ng/mL)を加えた後、150μLのメタノールを加えてタンパク質を沈殿させ、13000rpmで5分間遠心分離し、160μLの上清を取り、40℃のN2で乾燥させた後、75μLの0.1%ギ酸水溶液で再構成し、20μLをHPLC-MSに注入し、SIPI-G9の血中濃度を測定する。
【0234】
3.5.データ処理
DAS2.0ソフトウェアの非コンパートメントモデルを使用して、薬物動態パラメーターを計算する。CmaxおよびTmaxは、すべて測定値であり、AUC、T1/2、CLおよびVzは、DAS2.0によって計算される。
【0235】
4.実験結果
SDラットにSPペプチド(10mg/kg)を単回皮下注射した後の様々な時点での血漿薬物濃度は、
図2に示されたとおりであり、その薬物動態パラメーターは、表5に示されたとおりであり、様々な時点での血中濃度は、表6に示されたとおりである。
【0236】
【0237】
【0238】
SDラットにSIPI-D00ペプチド(5mg/kg)を単回皮下注射した後の様々な時点での血漿薬物濃度は、
図3に示されたとおりであり、その薬物動態パラメーターは、表7に示されたとおりであり、様々な時点での血中濃度は、表8に示されたとおりである。
【0239】
【0240】
【0241】
表5~8および
図2~3からわかるように、SPと比較して、SIPI-D00ペプチドのAUCは、有意に向上され、SIPI-D00は、皮下注射により優れた血液に吸収される特性を示し、バイオアベイラビリティが有意に増加され、インビボでの半減期は、1.5時間に達することにより、長時間有効に薬物効果を有効に発揮することができ、従って、SIPI-D00ペプチドは、優れた薬物動態特性を有することが分かる。
【0242】
実施例3.ConA(コンカナバリンA)によって刺激されたマウス脾細胞からのIL-4の分泌に対するSPペプチドおよびSIPI-D00ペプチドの影響
喘息疾患は、主にTh2細胞によって媒介される炎症性疾患である。疾患の発展過程において、Th2細胞は、IL-4、IL-5、IL-13を分泌し、これらのサイトカインは、好酸球、肥満細胞、気道構造細胞等に作用し、気管支粘膜上皮における炎症性細胞の蓄積およびリモデリングを促進する。従って、IL-4の分泌に対するSPペプチドおよびSIPI-D00ペプチドの効果を調べることによって、喘息に対するその治療効果を評価する。
【0243】
1.実験方法
3匹のBALB/Cマウスを、麻酔後の頸椎脱臼によって犠牲にする。75%エタノールに5分間浸漬する。解剖し、脾臓を取り、脾臓リンパ球を調製し、カウントした後、96ウェルプレートに2×105個/ウェルを加え、SPペプチドおよびSIPI-D00ペプチドは、それぞれ異なる濃度群に設定され、異なる濃度のCsA(シクロスポリンA)を陽性対照群として使用する。各ウェルに異なる濃度の被験物を加え、各濃度をダブルデュープリケートウェルとして設定し、ConA最終濃度は、5μg/mLである。37℃の5%CO2インキュベーターで24時間インキュベートし、各ウェルの薬物含有細胞懸濁液を吸引し、4℃下で、200gで15分間遠心分離し、上清を取り、マウスIL-4Elisaキット(mouse IL-4 Elisa kit)を使用して、IL-4の含有量を検出する。
【0244】
2.実験結果
ConAによって刺激されたマウス脾細胞によるIL-4の分泌に対する異なる濃度のSPペプチドおよびSIPI-D00ペプチドの影響は、表9に示されたとおりであり、IL-4の分泌の阻害率は、表10に示されたとおりである。
【0245】
【0246】
【0247】
表9および表10からわかるように、SPペプチドと比較して、SIPI-D00ペプチドは、ConAによって刺激されたマウス脾臓リンパ球によるIL-4の分泌を有意に阻害することにより、II型サイトカイン優勢喘息に対して優れた治療効果を有する。
【0248】
実施例4.薬力学的検出
1.材料および機器
SIPI-D00ペプチド:凍結乾燥粉末、後で使用するために-20℃で保存する。
【0249】
陽性対照薬:デキサメタゾンリン酸ナトリウム注射液、仕様:5mg/ml、1ml/個、外観および物理的と化学的性質:無色液体、保存条件:遮光、密封、涼しい場所で保管し、メーカー:国薬グループ栄生製薬株式会社。
【0250】
ニワトリタンパク質アルブミン(ニワトリ卵白からのアルブミン(Albumin from chicken egg white))(OVA):バッチ番号:SLBK6445V、メーカー:SIGMA-ALDRICH。
【0251】
水酸化アルミニウムアジュバント:名称:Imject Alum、バッチ番号:TJ271907A、仕様:50mL/ボトル、メーカー:Thermo scientific。
【0252】
ELISAキット:Mouse IgE ELISA Kit、バッチ番号:GR3246691-4、メーカー:abcam。
ネブライザー:モデル:403C型家庭用空気圧縮式ネブライザー、メーカー:魚躍医療。
【0253】
動物の肺機能分析システム:モデル:AniRes2005。メーカー:北京貝蘭博科学技術株式会社。
2.実験動物
SPF雌性BALB/cマウスに標準的な滅菌マウス飼料を使用し、動物の飲料水は、飲料水ボトルから供給され、動物は、水を自由に飲むことができ、飼育温度は、20℃~22℃であり、湿度は、40%~70%であり、照明は、明暗を12時間相互に行う。
【0254】
3.実験方法
3.1.動物のグループ化
SPF雌性BALB/cマウスは、二つのバッチに分けて実験され、一つは、血清IgEおよび肺の病理の検出に使用され、もう一つは、肺機能の検出に使用される。
【0255】
最初のバッチ:マウスをグループに分け、各グループに10匹のマウス、即ち、空白対照群(生理食塩水)、モデル群(OVA、20ug/匹)、SPペプチド群(投与量は、それぞれ175μg/kg体重/日、350μg/kg体重/日である)、SIPI-D00ペプチド群(投与量は、175μg/kg体重/日、350μg/kg体重/日である)、デキサメタゾン群(投与量は、2mg/kg体重/日である)。
【0256】
2番目のバッチ:マウスをグループに分け、各グループに10匹のマウス、即ち、空白対照群(生理食塩水)、モデル群(OVA、用量は、20ug/匹である)、SPペプチド群(投与量は、それぞれ87.5μg/kg体重/日、175μg/kg体重/日、350μg/kg体重/日である)、SIPI-D00ペプチド群(投与量は、87.5μg/kg体重/日、175μg/kg体重/日、350μg/kg体重/日である)、デキサメタゾン群(投与量は、2mg/kg体重/日である)。
【0257】
3.2.アレルギー性喘息型モデル動物の構築および投与
3.2.1.薬物の調製および投与経路
3.2.1.1.OVAの調製および投与方法
3.2.1.1.1.感作(Sensitization)用OVA:
感作用OVAを滅菌PBS溶液に溶解し、最終濃度は、0.2mg/mlであり、等量の水酸化アルミニウムアジュバントを加え、30分間振とうした後、マウスにマウスあたり0.2ml(20μgのOVA/匹)を腹腔内注射する。
【0258】
3.2.1.1.2.チャレンジ(challenge)用OVA:
滅菌PBSで2%OVA溶液を調製する。2%OVAをネブライザーで噴霧し、マウスをネブライザー吸入ボックスに1日30分間入れる。
【0259】
3.2.1.1.3.デキサメタゾン:
デキサメタゾンリン酸ナトリウム注射液を生理食塩水で希釈した後に腹腔内注射により投与し、投与量は、2mg/kgである。
【0260】
3.2.1.1.4.免疫7ペプチドおよびその誘導体:
投与量に応じて、それぞれSPペプチドおよびSIPI-D00を生理食塩水に溶解し、動物の体重に応じて背中に皮下投与する。
【0261】
3.2.2.アレルギー性喘息型モデル動物の構築および投与方法
モデル群、SPペプチド群、SIPI-D00ペプチド群およびデキサメタゾン群のマウスは、0、7、14日目にOVAの腹腔内注射によって感作(20μgOVA/mice)された後、21~25日目に、エアロゾル投与によりOVA(5日間連続で1日1回)にチャレンジし、喘息型モデル動物を構築する。モデル群のマウスには、21~28日目に生理食塩水を投与し、異なる用量のSPペプチド群およびSIPI-D00ペプチド群のマウスに、それぞれ19~28日目に異なる用量のSPおよびSIPI-D00を皮下注射し、デキサメタゾン群のマウスに、21~28日目に2mg/kg/日のデキサメタゾンを腹腔内注射する。同時に、空白対照群の10匹のマウスは、処置なしで0~28日目まで通常とおりに飲食が投与され、空白対照として生理食塩水が投与される。
【0262】
4.実験結果
4.1.血清中のIgEレベルの測定
28日目が終了後、マウスの眼内眦から採血し、血清を取り、ELISAキットで血清中のIgEレベルを測定し、結果は、表11に示されたとおりである。
【0263】
【0264】
表11からわかるように、アジュバント水酸化アルミニウム感作と併用したOVAによって引き起こされるアレルギー性喘息マウスモデル群の血清中のIgEレベルは、有意に増加し(p<0.01)、モデル群およびSPペプチド群と比較して、SIPI-D00ペプチド治療投与の血清中のIgEレベルは、有意に低下し、SIPI-D00ペプチドがアレルギー性喘息マウスモデル群の血清中のIgEレベルを有意に低下させることができることを示す。
【0265】
4.2.肺機能の測定
28日目に、マウスに麻酔した後に気管挿管および頸静脈挿管を行い、各動物群で吸気気道抵抗および肺コンプライアンスを測定する。各動物は、頸静脈を介して、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg等の倍数で増加したメタコリンが投与される。各用量を投与した後に肺コンプライアンス曲線を5分間継続して記録し、吸気気道抵抗および肺コンプライアンスを計算し、結果は、表12および表13に示されたとおりである。
【0266】
【0267】
【0268】
表12および表13からわかるように、モデル群のマウスの吸気相抵抗は、有意に増加し、肺コンプライアンスは、有意に低下する。モデル群と比較して、デキサメタゾン群のマウスの吸気相抵抗は、有意に低下し、肺コンプライアンスは、有意に増加し、モデル群と比較して、SIPI-D00の高、中、低用量群のマウスの吸気相抵抗は、有意に低下し、肺コンプライアンスは、有意に増加し、SIPI-D00ペプチドがマウスの吸気相抵抗を有意に低下し、肺コンプライアンスを有意に増加することができることを示す。
【0269】
4.3.肺の病理学的観察
28日目が終了後、マウスの肺組織を取り出し、4%のホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、切片化し、H&E染色後に病理学的観察を行い、結果は、
図4および
図5に示されたとおりである。
【0270】
図4および5からわかるように、空白対照群のマウスの肺には、炎症性細胞の浸潤がなく、肺胞腔は透明である。モデル群のマウスの肺には、多数の炎症性細胞が浸潤し、炎症性細胞は、主に好酸球および単核細胞であり、肺胞腔は、ひどく損傷し、気道上皮は、損傷して脱落し、気道壁が肥厚であり、粘膜が浮腫であり、気道滲出物が増加し、粘液が貯留し、気道平滑筋が肥厚であることが分かる。陽性対照群のマウスの肺には、少量の炎症性細胞が浸潤しているが、肺胞腔は、ひどく損傷された。
【0271】
SP低用量群および高用量群のマウス気道粘膜に一部の炎症性細胞浸潤が観察され、気道壁が肥厚であり、粘膜が浮腫であり、気道滲出物が増加し、粘液が貯留し、気道平滑筋が肥厚である。SIPI-D00低用量群のマウスの肺には、多くの炎症性細胞が浸潤し、炎症性細胞は、主に好酸球および単核細胞であり、肺胞腔は、透明である。SIPI-D00高用量群のマウスの肺には、少量の炎症性細胞が浸潤し、肺胞腔は、透明であり、気道上皮は、比較的無傷であり、気道壁の厚さは正常で、粘膜の浮腫および滲出はなく、気道平滑筋は、正常である。
【0272】
図4および
図5からわかるように、SIPI-D00ペプチドがマウスの肺の炎症性細胞の浸潤を有意に低下させることができる。
要約すると、SIPI-D00ペプチドは、炎症性因子を効果的に阻害し、IgEレベルを低下させ、吸気気道抵抗を低下させ、肺コンプライアンスを向上させ、肺の炎症性細胞の浸潤を阻害することにより、アレルギー性喘息に対して効果的な治療効果を有することが分かる。
【0273】
実施例5.ラット全血中の各7ペプチド化合物の安定性
1.1.実験手順およびインキュベーション条件
被験品の調製:SP、SIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9およびSIPI-G10を0.1%ギ酸を含む適切な量の50%アセトニトリル水で溶解および希釈し、濃度が200μg/mLである作業溶液を得る。安定性研究試薬の使用状況は、表14のとおりである。
【0274】
【0275】
1)新鮮なラット全血をEPチューブに加えて、穏やかに浸透して混合し、
2)EPチューブを37℃の水浴で5分間プレインキュベートし、
3)それそれ各化合物を加えて反応を開始させ、37℃でインキュベートし続け、
4)サンプルチューブからそれぞれ0、2分、5分、10分、30分、60分で50μLをストップチューブに取り、50μLの氷冷7%過塩素酸を加え、振とうし、反応を停止し、
5)13000r/minで10分間遠心分離し、75μLの上清を吸引し、60μLの1.25%アンモニア水を加えてよく混合し、0.22μMのミクロポーラスメンブレンでろ過した後、20μLを取ってLC-MS/MS分析を実施する。
【0276】
各サンプルは、二重配管を使用し、結果は、表15に示されたとおりである。
【0277】
【0278】
表15からわかるように、全血におけるSIPI-G4、SIPI-G5、SIPI-G6、SIPI-G7、SIPI-G8、SIPI-G9およびSIPI-G10ポリペプチドの安定性は、SPポリペプチドの安定性、特にSIPI-G9ポリペプチドの安定性よりも有意に高く、60分間全血インキュベートした後、回収率は、依然として90%以上に達し、これは、SIPI-G9は、全血において優れた安定性を有し、それにより、創薬可能性の薬物動態要件を満たすようにすることが分かる。
【0279】
実施例6.SDラットにおけるSIPI-G9の単回皮下注射後の様々な時点での血漿薬物濃度
1.材料
SIPI-G9ポリペプチド。
【0280】
2.実験動物
体重約200gの雄性SDラット、飼育条件:一定温度のエアコン付きの部屋で飼育し、室温20~24℃、湿度40~70%、照明12時間、飲食を制限しない。
【0281】
3.実験方法
3.1.投与方法
経路:背中への単回皮下注射およびテールへの単回静脈内注射、
薬物の投与量:生理食塩水を使用して、SIPI-G9を溶液に調製し、背中に皮下注射されたSIPI-G9の投与量は、5mg/kg体重であり、静脈内注射されたSIPI-G9の投与量は、1mg/kg体重である。
【0282】
3.2.投与および血液サンプルの採取
雄性SDラットは、投与前に12時間絶食させ、水を自由に摂取させる。被験物SIPI-G9ポリペプチドを皮下注射により投与する。それぞれ投与前および投与後の様々な時点で眼窩血液を採取する。採取された全血を1%ヘパリンで抗凝固処理し、8000rpmで4分間遠心分離した後に50μLの血漿を1.5mLのポリプロピレンチューブに取り、-70℃の冷蔵庫に入れ、試験する。高濃度サンプルは、空白血漿で希釈する。
【0283】
3.3.測定方法
高速液体クロマトグラフィー-質量分析(HPLC-MS)を併用してSIPI-G9ポリペプチドの血中濃度を測定する。
【0284】
3.3.1.HPLC-MS条件
HPLCシステム:ExionLC ACシステム、AB会社。
MSシステム:Triple Quad 5500型タンデム四重極質量分析計、AB会社。
【0285】
データの収集:Analyst(1.7)、AB会社。
HPLCクロマトグラフィー条件:
クロマトグラフィーカラム:SHIM-PACK GISS C18(2.1×100mm、1.9μm)、注入体積:20μL、移動相:A相:0.2%酢酸水溶液、B相:メタノール、グラジエント溶出(詳細は、表16を参照する)。
【0286】
【0287】
3.3.2.MS条件
イオン源は、エレクトロスプレーイオン化源(ESI)であり、乾燥ガス(N2)温度は、550℃であり、エレクトロスプレー電圧は、5500Vであり、検出方式は、陽イオン検出であり、スキャン方式は、選択的反応モニターリング(MRM)方式であり、スキャン時間は、0.15秒であり、質量分析検出パラメーターは、表17に示されたとおりである。
【0288】
【0289】
3.4.サンプル処理
50μLの血漿を取り、5μLの内部標準溶液(DX07(His-Leu-Glu-Thr-Glu-Leu-His)100ng/mL)を加えた後、150μLのメタノールを加えてタンパク質を沈殿させ、13000rpmで5分間遠心分離し、160μLの上清を取り、40℃のN2で乾燥させた後、75μLの0.1%ギ酸水溶液で再構成し、20μLをHPLC-MSに注入し、SIPI-G9の血中濃度を測定する。
【0290】
3.5.データ処理
DAS2.0ソフトウェアの非コンパートメントモデルを使用して、薬物動態パラメーターを計算する。CmaxおよびTmaxは、すべて測定値であり、AUC、T1/2、CLおよびVzは、DAS2.0によって計算される。
【0291】
絶対バイオアベイラビリティは、式Fa=(AUC0-t)T/(AUC0-t)R ×DR/DT×100%に従って計算され、ここで、(AUC0-t)Tは、背中にSIPI-G9を皮下注射してから0-t時間内の薬物-時間曲線下の面積であり、DTは、背中にSIPI-G9を皮下注射した投与量(5mg/kg体重)であり、(AUC0-t)Rは、SIPI-G9を静脈内注射した0-t時間内の薬物-時間曲線下の面積であり、DRは、SIPI-G9を静脈内注射した投与量(1mg/kg体重)である。
【0292】
4.実験結果
SDラットにSIPI-G9(1mg/kg)を単回静脈内注射した後の様々な時点での血漿薬物濃度は、表18および
図7に示されたとおりであり、その薬物動態パラメーターは、表19に示されたとおりである。
【0293】
【0294】
【0295】
SDラットにSIPI-G9(5mg/kg)を単回皮下注射した後の様々な時点での血漿薬物濃度は、表20および
図8に示されたとおりであり、その薬物動態パラメーターは、表21に示されたとおりである。
【0296】
【0297】
【0298】
表18~21および
図7~8からわかるように、SIPI-G9ポリペプチドは、皮下注射でも静脈内注射でも、特に皮下注射で優れた薬物動態を有し、インビボでの半減期は、27.1分に達し、これは、長期間有効に発揮できることを示し、同時に、静脈内注射と比較して、皮下注射の絶対バイオアベイラビリティは、86.2%と高く、これは、SIPI-G9が皮下注射によってほとんどまたは実質的にすべてを静脈血に入れることができることを示し、SIPI-G9の皮下注射は、血液への優れた吸収特性を有し、SIPI-G9の皮下注射による吸收は、実質的に静脈内注射と同様であり、従って、SIPI-G9の皮下注射は、静脈内投与を置き換えることができ、同様の効果を有し、静脈内注射による投与に比較して、皮下注射は、簡単で、便宜で、コストが低く、安全性が高く、患者のコンプライアンスが強い等の利点を有する。
【0299】
実施例7.ConA(コンカナバリンA)によって刺激されたマウス脾細胞からのIL-4の分泌に対するSIPI-G9の影響
慢性閉塞性肺疾患は、主にTh2細胞によって媒介される炎症性疾患である。疾患の発展過程において、Th2細胞は、IL-4、IL-5、IL-13を分泌し、これらのサイトカインは、好酸球、肥満細胞、気道構造細胞等に作用し、気管支粘膜上皮における炎症性細胞の蓄積およびリモデリングを促進する。従って、IL-4の分泌に対するSP、SIPI-G5、SIPI-G9の影響を調べることによって、慢性閉塞性肺疾患に対するその治療効果を評価する。
【0300】
1.実験方法
3匹のBALB/Cマウスを、麻酔後の頸椎脱臼によって犠牲にする。75%エタノールに5分間浸漬する。解剖し、脾臓を取り、脾臓リンパ球を調製し、カウントした後、96ウェルプレートに2×105個/ウェルを加え、SP、SIPI-G5およびSIPI-G9は、それぞれ異なる濃度群に設定され、異なる濃度のCsA(シクロスポリンA)を陽性対照群として使用する。各ウェルに異なる濃度の被験物を加え、各濃度を三つのデュープリケートウェルとして設定し、ConAの最終濃度は、5μg/mLである。37℃の5%CO2インキュベーターで24時間インキュベートし、各ウェルの薬物含有細胞懸濁液を吸引し、4℃下で、200gで15分間遠心分離し、上清を取り、マウスIL-4Elisaキット(mouse IL-4 Elisa kit)を使用して、IL-4の含有量を検出する。
【0301】
2.実験結果
ConAによって刺激されたマウス脾細胞によるIL-4の分泌に対する異なる濃度のSP、SIPI-G5、SIPI-G9およびCsAの影響は、表22に示されたとおりであり、IL-4の分泌の阻害率は、表23に示されたとおりである。
【0302】
【0303】
【0304】
表22および表23からわかるように、異なる濃度のSIPI-G9は、ConAによって刺激されたマウス脾臓リンパ球によるIL-4の分泌を有意に阻害することにより、慢性閉塞性肺疾患に対して優れた治療効果を有する。
【0305】
実施例8.薬力学的検出1
1.材料および機器
SIPI-G9ポリペプチド:凍結乾燥粉末、後で使用するために-20℃で保存する。
【0306】
陽性対照薬:吸入用ブデソニド懸濁液、仕様:2ml:0.5mg、バッチ番号:1603220、外観および物理的と化学的性質:微粒子懸濁液、メーカー:AstraZeneca Pty Ltd、オーストラリア。
【0307】
リポ多糖(lipopolysaccharide)(LPS)、バッチ番号:011M4001V、仕様:1mg、メーカー:Sigma。
ネブライザー:モデル:403C型家庭用空気圧縮式ネブライザー、メーカー:魚躍医療。
【0308】
動物の肺機能分析システム:モデル:AniRes2005、メーカー:北京貝蘭博科学技術株式会社。
2.実験動物
SPF雄性SDラットに標準的な滅菌マウス飼料を使用し、動物の飲料水は、飲料水ボトルから供給され、動物は、水を自由に飲むことができ、飼育温度は、20℃~22℃であり、湿度は、40%~70%であり、照明は、明暗を12時間相互に行う。
【0309】
3.実験方法
3.1.動物のグループ化
40匹のSPF級雄性SDラットを四つのグループに分け、各グループに10匹のラット、即ち、空白対照群(生理食塩水)、モデル群(喫煙+LPS)、SIPI-G9群(投与量350μg/kg体重/日)、ブデソニド群(投与量5mg/kg体重/日)。
【0310】
3.2.慢性閉塞性肺疾患モデルの構築および投与
健康な雄性SDラットを自作の有機ガラス気密喫煙ボックス(85cm×85cm×45cm)にバッチで入れ、週6日、1日40分、2バッチで喫煙し、その間に10分休憩し、各バッチに24本のたばこを与え、煙の量は、400~500ppmである。200μgのLPS(生理食塩水で1g/Lの溶液に調製する)を2週間の時間間隔で1回気道に注入する。このサイクルを12週間続けて、モデル動物を構築する。
【0311】
13週目から、構築されたモデル動物をモデル群、SIPI-G9群およびブデソニド群に分け、各グループに10匹のラットに配置し、モデル群のラットは、上記の方法従ってモデリングし続け、SIPI-G9群は、上記の方法に従ってモデリングプロセス中にSIPI-G9を投与し続け(エアロゾル投与、1日1回投与、合計4週間の投与)、ブデソニド群は、上記の方法に従ってモデリングプロセス中にブデソニドを投与し続け(エアロゾル投与、1日1回投与、合計4週間の投与)、16週目に終了する。
【0312】
同時に、空白対照群の10匹のラットに、処理なしで0~16週間まで正常に飲食させ、空白対照として生理食塩水を投与する。
3.3.肺機能の測定
実験終了後、麻酔後のラットに気管挿管および頸静脈挿管を行い、各群の動物に気道抵抗および肺コンプライアンスの測定を行う。各動物は、頸静脈を介して、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kgの倍数で増加したメタコリンが投与される。各用量を投与した後に肺コンプライアンス曲線を5分間継続して記録し、様々なグループのラットの肺換気量および換気率は、表24および表25に示されたとおりである。
【0313】
【0314】
【0315】
表24および表25からわかるように、モデル群ラットの200ms肺換気量および肺換気率が有意に低下する。モデル群と比較して、ブデソニド群ラットの200ms肺換気量は、有意に増加し、肺換気率は、有意に増加し、SIPI-G9群マウスの200ms肺換気量は、有意に増加し、肺換気率は、有意に増加する。これは、SIPI-G9治療群がラットの吸気相抵抗を有意に増加および低下させ、肺換気量および肺換気率を増加させると、肺コンプライアンスを増加させることを示す。
【0316】
3.4.肺の病理学的観察
16週目が終了後、ラットの肺組織を取り出し、4%のホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、切片化し、H&EおよびMasson染色後に病理学的観察を行い、染色は、
図9および
図10に示されたとおりである。
【0317】
図9からわかるように、空白対照群のラットの肺には、炎症性細胞浸潤がなく、肺胞腔は透明である。モデル群のラットの肺には、多数の炎症性細胞が浸潤しており、炎症性細胞は、主に好酸球および単核細胞であり、肺胞腔は、ひどく損傷される。ブデソニド群のラットの肺には、少量の炎症性細胞が浸潤しているが、肺胞腔は、ひどく損傷してない。SIPI-G9群のラットの肺には、炎症性細胞の浸潤がより少なく、肺胞腔は透明である。
【0318】
図10からわかるように、空白対照群のラットの肺には、コラーゲン沈着がほとんどなく、モデル群のラットの肺には、大量のコラーゲン沈着があり、ブデソニド群のラットの肺には、少量のコラーゲン沈着が見られることができ、SIPI-G9群のラットの肺には、コラーゲン沈着がほとんどない。
【0319】
要約すると、SIPI-G9は、ラットの吸気相抵抗を有意に低下させ、肺換気量および肺換気率を増加させると、肺コンプライアンスを増加させ、肺炎症性細胞浸潤およびコラーゲン沈着を減少させることにより、慢性閉塞性肺疾患モデルに対して優れた治療効果を有する。
【0320】
実施例9.薬力学的検出2
1.材料および機器
SIPI-G5ペプチドおよびSIPI-G9ペプチド:凍結乾燥粉末、後で使用するために-20℃で保存する。
【0321】
陽性対照薬:デキサメタゾンリン酸ナトリウム注射液、仕様:5mg/ml、1ml/個、外観および物理的と化学的性質:無色液体、保存条件:遮光、密封、涼しい場所で保管し、メーカー:国薬グループ栄生製薬株式会社。
【0322】
ニワトリタンパク質アルブミン(ニワトリ卵白からのアルブミン(Albumin from chicken egg white))(OVA):バッチ番号:SLBK6445V、メーカー:SIGMA-ALDRICH。
【0323】
水酸化アルミニウムアジュバント:名称:Imject Alum、バッチ番号:TJ271907A、仕様:50mL/ボトル、メーカー:Thermo scientific。
【0324】
ELISAキット:Mouse IgE ELISA Kit、バッチ番号:GR3246691-4、メーカー:abcam。
ネブライザー:モデル:403C型家庭用空気圧縮式ネブライザー、メーカー:魚躍医療。
【0325】
動物の肺機能分析システム:モデル:AniRes2005。メーカー:北京貝蘭博科学技術株式会社。
2.実験動物
SPF雌性BALB/cマウスに標準的な滅菌マウス飼料を使用し、動物の飲料水は、飲料水ボトルから供給され、動物は、水を自由に飲むことができ、飼育温度は、20℃~22℃であり、湿度は、40%~70%であり、照明は、明暗を12時間相互に行う。
【0326】
3.実験方法
3.1.動物のグループ化
SPF雌性BALB/cマウスは、二つのバッチに分けて実験され、一つは、血清IgEおよび肺の病理の検出に使用され、もう一つは、肺機能の検出に使用される。
【0327】
最初のバッチ:マウスをグループに分け、各グループに10匹のマウス、即ち、空白対照群(生理食塩水)、モデル群(OVA、20ug/匹)、SPペプチド群(投与量は、それぞれ175μg/kg体重/日、350μg/kg体重/日である)、SIPI-G5ペプチド群(投与量は、175μg/kg体重/日、350μg/kg体重/日である)、SIPI-G9ペプチド群(投与量は、175μg/kg体重/日、350μg/kg体重/日である)、デキサメタゾン群(投与量は、2mg/kg体重/日である)。
【0328】
2番目のバッチ:マウスをグループに分け、各グループに10匹のマウス、即ち、空白対照群(生理食塩水)、モデル群(OVA、用量は、20ug/匹である)、SPペプチド群(投与量は、それぞれ87.5μg/kg体重/日、175μg/kg体重/日、350μg/kg体重/日である)、G9ペプチド群(投与量は、87.5μg/kg体重/日、175μg/kg体重/日、350μg/kg体重/日である)、デキサメタゾン群(投与量は、2mg/kg体重/日である)。
【0329】
3.2.アレルギー性喘息型モデル動物の構築および投与
3.2.1.薬物の調製および投与経路
3.2.1.1.OVAの調製および投与方法
3.2.1.1.1.感作(Sensitization)用OVA:
感作用OVAを滅菌PBS溶液に溶解し、最終濃度は、0.2mg/mlであり、等量の水酸化アルミニウムアジュバントを加え、30分間振とうした後、マウスにマウスあたり0.2ml(20μgのOVA/匹)を腹腔内注射する。
【0330】
3.2.1.1.2.チャレンジ(challenge)用OVA:
滅菌PBSで2%OVA溶液を調製する。2%OVAをネブライザーで噴霧し、マウスをネブライザー吸入ボックスに1日30分間入れる。
【0331】
3.2.1.1.3.デキサメタゾン:
デキサメタゾンリン酸ナトリウム注射液を生理食塩水で希釈した後に腹腔内注射により投与し、投与量は、2mg/kgである。
【0332】
3.2.1.1.4.免疫7ペプチドおよびその誘導体:
投与量に応じて、それぞれSPペプチド、SIPI-G5ペプチド、SIPI-G9を生理食塩水に溶解し、動物の体重に応じて背中に皮下投与する。
【0333】
3.2.2.アレルギー性喘息型モデル動物の構築および投与方法
モデル群、SPペプチド群、SIPI-G5ペプチド群、SIPI-G9ペプチド群およびデキサメタゾン群のマウス于は、0、7、14日目にOVAの腹腔内注射によって感作(20μgOVA/mice)された後、21~25日目に、エアロゾル投与によりOVA(5日間連続で1日1回)にチャレンジし、喘息型モデル動物を構築する。モデル群のマウスには、21~28日目に生理食塩水を投与し、異なる用量のSPペプチド、SIPI-G5ペプチド、SIPI-G9ペプチド群のマウスに、それぞれ19~28日目に異なる用量のSPペプチド、SIPI-G5ペプチド、SIPI-G9ペプチドを皮下注射し、デキサメタゾン群のマウスに、21~28日目に2mg/kg/日のデキサメタゾンを腹腔内注射する。同時に、空白対照群の10匹のマウスは、処置なしで0~28日目まで通常とおりに飲食が投与され、空白対照として生理食塩水が投与される。
【0334】
4.実験結果
4.1.血清中のIgEレベルの測定
28日目が終了後、マウスの眼内眦から採血し、血清を取り、ELISAキットで血清中のIgEレベルを測定し、結果は、表26に示されたとおりである。
【0335】
【0336】
表26からわかるように、アジュバント水酸化アルミニウム感作と併用したOVAによって引き起こされるアレルギー性喘息マウスモデル群の血清中のIgEレベルは、有意に増加し(p<0.01)、モデル群およびSPペプチド群と比較して、SIPI-G9ペプチド治療投与の血清中のIgEレベルは、有意に低下し、SIPI-G9ペプチドがアレルギー性喘息マウスモデル群の血清中のIgEレベルを有意に低下させることができることを示す。
【0337】
4.2.肺機能の測定
28日目に、マウスに麻酔した後に気管挿管および頸静脈挿管を行い、各動物群で吸気気道抵抗および肺コンプライアンスを測定する。各動物は、頸静脈を介して、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg等の倍数で増加したメタコリンが投与される。各用量を投与した後に肺コンプライアンス曲線を5分間継続して記録し、吸気気道抵抗および肺コンプライアンスを計算し、結果は、表27および表28に示されたとおりである。
【0338】
【0339】
【0340】
表27および表28からわかるように、モデル群のマウスの吸気相抵抗は、有意に増加し、肺コンプライアンスは、有意に低下する。モデル群と比較して、デキサメタゾン群のマウスの吸気相抵抗は、有意に低下し、肺コンプライアンスは、有意に増加し、モデル群と比較して、SIPI-G9高、中、低用量群のマウスの吸気相抵抗は、有意に低下し、肺コンプライアンスは、有意に増加し、SIPI-G9ペプチドがマウスの吸気相抵抗を有意に低下し、肺コンプライアンスを有に増加することができることを示す。
【0341】
4.3.肺の病理学的観察
28日目が終了後、マウスの肺組織を取り出し、4%のホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、切片化し、H&E染色後に病理学的観察を行い、結果は、
図11および
図12に示されたとおりである。
【0342】
図11および
図12からわかるように、空白対照群のマウスの肺には、炎症性細胞の浸潤がなく、肺胞腔は透明である。モデル群のマウスの肺には、多数の炎症性細胞が浸潤し、炎症性細胞は、主に好酸球および単核細胞であり、肺胞腔は、ひどく損傷し、気道上皮は、損傷して脱落し、気道壁が肥厚であり、粘膜が浮腫であり、気道滲出物が増加し、粘液が貯留し、気道平滑筋が肥厚であることが分かる。陽性対照群のマウスの肺には、少量の炎症性細胞が浸潤しているが、肺胞腔は、ひどく損傷された。
【0343】
SP低用量群および高用量群のマウス気道粘膜に一部の炎症性細胞浸潤が観察され、気道壁が肥厚であり、粘膜が浮腫であり、気道滲出物が増加し、粘液が貯留し、気道平滑筋が肥厚であることが分かる。
【0344】
SIPI-G5低用量群のマウスの気道粘膜に多数の炎症性細胞が浸潤し、高用量群のマウスの気道粘膜には、一部の炎症細胞が浸潤し、低用量群および高用量群のマウスの両方は、気道壁が肥厚であり、粘膜が浮腫であり、気道滲出物が増加し、粘液が貯留し、気道平滑筋が肥厚であることが分かる。
【0345】
SIPI-G5群と同じ用量下で、SIPI-G9群のマウスの肺には、炎症性細胞浸潤が比較的少なく、肺胞腔は透明であり、気道上皮は、比較的無傷であり、気道壁の厚さは正常で、粘膜の浮腫および滲出はなく、気道平滑筋は、正常である。
【0346】
図11および
図12からわかるように、SIPI-G9ペプチドがマウスの肺の炎症性細胞の浸潤を有意に低下させることができることが分かる。
【0347】
要約すると、SIPI-G9ペプチドは、炎症性因子を効果的に阻害し、IgEレベルを低下させ、吸気気道抵抗を低下させ、肺コンプライアンスを向上させ、肺の炎症性細胞の浸潤を阻害することにより、アレルギー性喘息に対して効果的な治療効果を有することが分かる。
【0348】
本発明で言及されたすべての文書は、あたかも各文書が個別に参照として引用されたかのように、本出願における参照として引用される。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も、本出願の添付の請求範囲によって定義される範囲に含まれる。
【配列表】