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特許7492007電池、電力消費装置、電池の製造方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】電池、電力消費装置、電池の製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20240521BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240521BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/342 101
H01M50/367
H01M50/35 201
H01M50/505
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/209
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022534434
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 CN2021115300
(87)【国際公開番号】W WO2023028748
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】柯 ▲劍▼煌
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】蒲 玉杰
(72)【発明者】
【氏名】金 秋
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第213584016(CN,U)
【文献】国際公開第2020/134051(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20- 50/298
H01M 50/30- 50/392
H01M 50/50- 50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(100)であって、
放圧機構(213)が設置される電池セル(20)であって、前記放圧機構(213)は、前記電池セル(20)の第1壁に設置され、前記電池セル(20)の内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで前記内部圧力を解放することに用いられる電池セル(20)と、
前記電池セル(20)に電気的に接続するためのバスバー(12)と、
前記電池セル(20)及び前記バスバー(12)を収容するための電気キャビティ(11a)と、
前記放圧機構(213)が作動するときに前記電池セル(20)からの排出物を収集するための収集キャビティ(11b)と、
前記電気キャビティ(11a)と前記収集キャビティ(11b)とを隔離するための隔離部材(13)と、
前記電気キャビティ(11a)を複数の収容キャビティ(11c)に仕切るための仕切りビーム(44)と、
前記放圧機構(213)と前記電気キャビティ(11a)の壁との間に形成された気流通路に設置され、前記放圧機構(213)が作動するときに前記排出物が前記バスバー(12)に到達することを阻止するためのシール構造(215)と、を含み、
前記シール構造(215)は前記第1壁と前記隔離部材(13)との間に設置された第1シール部材(215a)を含み、
前記シール構造(215)は、前記収容キャビティ(11c)の側壁と前記電池セル(20)の第2壁との間に設置された第2シール部材(215b)をさらに含み、前記第2壁は前記第1壁と交差して設置される電池(100)。
【請求項2】
前記シール構造(215)は少なくとも前記放圧機構(213)の外周を取り囲んで設置されることで、前記放圧機構(213)が作動するときに前記排出物が前記バスバー(12)に到達することを阻止する請求項1に記載の電池(100)。
【請求項3】
記隔離部材(13)は前記電気キャビティ(11a)と前記収集キャビティ(11b)とが共有する壁として構成される請求項1又は2に記載の電池(100)。
【請求項4】
記第1シール部材(215a)は前記放圧機構(213)に対応する位置に貫通穴を有し、前記放圧機構(213)が作動するときに前記排出物が前記貫通穴を通って前記隔離部材(13)を通過して前記収集キャビティ(11b)に入る請求項3に記載の電池(100)。
【請求項5】
前記第1シール部材(215a)は1つの貫通穴を有するフレーム型構造であり、前記電池セル(20)は複数設置され、前記1つの貫通穴は複数の前記電池セルの放圧機構(213)に対応する請求項4に記載の電池(100)。
【請求項6】
前記第1シール部材(215a)は複数の貫通穴を有する格子構造であり、前記電池セル(20)は複数設置され、前記複数の貫通穴は複数の前記電池セルの放圧機構(213)に1対1で対応する請求項4に記載の電池(100)。
【請求項7】
前記第1シール部材(215a)はガスケット又はシーラントであり、及び/又は前記第2シール部材(215b)はガスケット又はシーラントである請求項に記載の電池(100)。
【請求項8】
前記収容キャビティ(11c)の側壁には、前記シーラントを注入するための接着剤注入穴が設置される請求項に記載の電池(100)。
【請求項9】
前記ガスケットの表面には融点が前記排出物の温度よりも高い材料が被覆又は吹き付け塗装される請求項に記載の電池(100)。
【請求項10】
前記第1シール部材(215a)と前記第2シール部材(215b)とは一体成形される請求項に記載の電池(100)。
【請求項11】
前記シール構造(215)の融点は前記排出物の温度よりも高い請求項1~10のいずれか1項に記載の電池(100)。
【請求項12】
電力消費装置であって、請求項1~11のいずれか1項に記載の電池(100)を含み、前記電池(100)は前記電力消費装置に電気エネルギーを提供することに用いられる電力消費装置。
【請求項13】
電池(100)の製造方法であって、
放圧機構(213)が設置される電池セル(20)を提供するステップであって、前記放圧機構(213)は、前記電池セル(20)の第1壁に設置され、前記電池セル(20)の内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで前記内部圧力を解放することに用いられるステップと、
前記電池セル(20)に電気的に接続するためのバスバー(12)を提供するステップと、
前記電池セル(20)及び前記バスバー(12)を収容するための電気キャビティ(11a)を提供するステップと、
前記放圧機構(213)が作動するときに前記電池セル(20)からの排出物を収集するための収集キャビティ(11b)を提供するステップと、
前記電気キャビティ(11a)と前記収集キャビティ(11b)とを隔離するための隔離部材(13)を提供するステップと、
前記電気キャビティ(11a)を複数の収容キャビティ(11c)に仕切るための仕切りビーム(44)を提供するステップと、
前記放圧機構(213)と前記電気キャビティ(11a)の壁との間に形成された気流通路に設置され、前記放圧機構(213)が作動するときに前記排出物が前記バスバー(12)に到達することを阻止するためのシール構造(215)を提供するステップと、を含み、
前記シール構造(215)は前記第1壁と前記隔離部材(13)との間に設置された第1シール部材(215a)を含み、
前記シール構造(215)は、前記収容キャビティ(11c)の側壁と前記電池セル(20)の第2壁との間に設置された第2シール部材(215b)をさらに含み、前記第2壁は前記第1壁と交差して設置される電池(100)の製造方法。
【請求項14】
電池(100)の製造装置であって、
放圧機構(213)が設置される電池セル(20)を提供することであって、前記放圧機構(213)は、前記電池セル(20)の第1壁に設置され、前記電池セル(20)の内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで前記内部圧力を解放することに用いられることと、
前記電池セル(20)に電気的に接続するためのバスバー(12)を提供することと、
前記電池セル(20)及び前記バスバー(12)を収容するための電気キャビティ(11a)を提供することと、
前記放圧機構(213)が作動するときに前記電池セル(20)からの排出物を収集するための収集キャビティ(11b)を提供することと、
前記電気キャビティ(11a)と前記収集キャビティ(11b)とを隔離するための隔離部材(13)を提供するステップと、
前記電気キャビティ(11a)を複数の収容キャビティ(11c)に仕切るための仕切りビーム(44)を提供するステップと、
前記放圧機構(213)と前記電気キャビティ(11a)の壁との間に形成された気流通路に設置され、前記放圧機構(213)が作動するときに前記排出物が前記バスバー(12)に到達することを阻止するためのシール構造(215)を提供することと、に用いられる提供モジュールを含み、
前記シール構造(215)は前記第1壁と前記隔離部材(13)との間に設置された第1シール部材(215a)を含み、
前記シール構造(215)は、前記収容キャビティ(11c)の側壁と前記電池セル(20)の第2壁との間に設置された第2シール部材(215b)をさらに含み、前記第2壁は前記第1壁と交差して設置される電池(100)の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の技術分野に関し、特に電池、電力消費装置、電池の製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ及び排出削減は自動車産業の持続可能な発展の重要なポイントである。この場合、電動車両は、省エネであり、環境に優しいという優位性のため、自動車産業の持続可能な発展の重要な部分となっている。電動車両にとって、電池技術はその発展の重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展において、電池の性能の向上に加えて、安全上の問題も無視できない問題である。電池の安全を確保できなければ、該電池は使用できない。従って、如何に電池の安全性を高めるかは、電池技術において解決すべき技術的問題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は電池、電力消費装置、電池の製造方法及び装置を提供し、電池の安全性を高めることができる。
【0005】
第1態様では、電池を提供し、放圧機構が設置される電池セルであって、該放圧機構は該電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで該内部圧力を解放することに用いられる電池セルと、該電池セルに電気的に接続するためのバスバーと、該電池セル及び該バスバーを収容するための電気キャビティと、該放圧機構が作動するときに該電池セルからの排出物を収集するための収集キャビティと、該放圧機構と該電気キャビティの壁との間に形成された気流通路に設置され、該放圧機構が作動するときに該排出物が該バスバーに到達することを阻止するためのシール構造と、を含む。
【0006】
放圧機構と電気キャビティの壁との間に形成された気流通路にシール構造を提供することによって、放圧機構が作動するときに、電池セルの排出物が電気キャビティに入ることを止め、絶縁保護のトラブルリスクを低減させ、高圧点火の発生可能性を減らすことができ、それにより電池の安全性を向上させる。また、該シール構造の存在によって、高リスク領域での高温粒子状物質の集中を防止し、局所的な温度上昇によるトラブルモードの発生可能性を減らすことができる。
【0007】
可能な実施形態では、該シール構造は少なくとも該放圧機構の外周を取り囲んで設置されることで、該放圧機構が作動するときに該排出物が該バスバーに到達することを阻止する。
【0008】
可能な実施形態では、該電池は、該電気キャビティと該収集キャビティを隔離するための隔離部材をさらに含み、且つ該隔離部材は該電気キャビティと該収集キャビティが共有する壁として構成される。
【0009】
隔離部材を利用して電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティとを分離し、放圧機構が作動するときに、電池セルの排出物が収集キャビティに入り、電気キャビティに入らず、又は少量で電気キャビティに入り、それにより電気キャビティ内の絶縁保護のトラブルによる短絡を防止し、従って、電池の安全性を高めることができる。同時に、電池セルが制御不能になった後に生じた排出物を収集キャビティに排出した後、放圧領域を通して電池の外部に排出し、排出物の排出経路を延長させることによって、排出物の温度を効果的に下げ、排出物による電池の外部環境への影響を減少させることができ、それにより電池の安全性をさらに高める。
【0010】
可能な実施形態では、該放圧機構は該電池セルの第1壁に設置され、該シール構造は該第1壁と該隔離部材との間に設置された第1シール部材を含み、該第1シール部材は該放圧機構に対応する位置に貫通穴を有し、該放圧機構が作動するときに該排出物が該貫通穴を通って該隔離部材を通過して該収集キャビティに入る。
【0011】
放圧機構の外周に第1シール部材が設置され、且つ該第1シール部材が放圧機構に対応する位置に貫通穴を有し、それによって、放圧機構が作動するときに排出物が横方向に電気キャビティに拡散できず、縦方向に収集キャビティに拡散することしかできず、それにより排出物とバスバーを隔離することができ、電池の安全性能を高める。
【0012】
可能な実施形態では、該第1シール部材は1つの貫通穴を有するフレーム型構造であり、該電池セルは複数設置され、該1つの貫通穴は複数の該電池セルの放圧機構に対応する。
【0013】
1つの貫通穴を有するフレーム型構造をシール構造として用いることによって、加工の困難性が低い。
【0014】
可能な実施形態では、該第1シール部材は複数の貫通穴を有する格子構造であり、該電池セルは複数設置され、該複数の貫通穴は複数の該電池セルの放圧機構に1対1で対応する。
【0015】
複数の貫通穴を有する格子構造をシール構造として用いることによって、シール効果を向上させることができる。
【0016】
可能な実施形態では、該電池は、該電気キャビティを複数の収容キャビティに仕切るための仕切りビームをさらに含み、該シール構造は、該収容キャビティの側壁と該電池セルの第2壁との間に設置された第2シール部材をさらに含み、該第2壁は該第1壁と交差して設置される。
【0017】
収容キャビティの側壁と電池セルの第2壁との間に第2シール部材を設置することで、放圧機構が作動するときに排出物が縦方向に電気キャビティに拡散できず、縦方向に収集キャビティに拡散することしかできず、それにより排出物とバスバーを隔離することができ、電池の安全性能を高める。
【0018】
可能な実施形態では、該第1シール部材はガスケット又はシーラントであり、及び/又は該第2シール部材はガスケット又はシーラントである。
【0019】
通常のシーラント又はガスケットをシール構造として用いることによって、実現しやすい。
【0020】
可能な実施形態では、該収容キャビティの側壁には、該シーラントを注入するための接着剤注入穴が設置される。
【0021】
シーラントが使用時に一定の流動性を有し、一定の時間後に徐々に硬化するため、接着剤注入穴からシーラントを注入することによって、シーラントをより容易に配置することができる。
【0022】
可能な実施形態では、該第1シール部材と該第2シール部材は一体成形される。
【0023】
一体成形されたシール構造を用いることによって、より優れたシール効果を有する。
【0024】
可能な実施形態では、該ガスケットの表面には融点が該排出物の温度よりも高い材料が被覆又は吹き付け塗装される。
【0025】
可能な実施形態では、該シール構造の融点は該排出物の温度よりも高い。
【0026】
ガスケットの表面に融点が排出物の温度よりも高い材料を被覆又は吹き付け塗装し、又は融点が排出物の温度よりも高いシール構造を用いることによって、耐熱性及び耐スタンピングの要件を満たすことができる。
【0027】
第2態様では、電力消費装置を提供し、第1態様の電池を含み、該電池は電気エネルギーを提供することに用いられる。
【0028】
第3態様では、電池の製造方法を提供し、放圧機構が設置される電池セルを提供するステップであって、該放圧機構は該電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで該内部圧力を解放することに用いられるステップと、該電池セルに電気的に接続するためのバスバーを提供するステップと、該電池セル及び該バスバーを収容するための電気キャビティを提供するステップと、該放圧機構が作動するときに該電池セルからの排出物を収集するための収集キャビティを提供するステップと、該放圧機構と該電気キャビティの壁との間に形成された気流通路に設置され、該放圧機構が作動するときに該排出物が該バスバーに到達することを阻止するためのシール構造を提供するステップと、を含む。
【0029】
第4態様では、電池の製造装置を提供し、放圧機構が設置される電池セルを提供することであって、該放圧機構は該電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで該内部圧力を解放することに用いられることと、該電池セルに電気的に接続するためのバスバーを提供することと、該電池セル及び該バスバーを収容するための電気キャビティを提供することと、該放圧機構が作動するときに該電池セルからの排出物を収集するための収集キャビティを提供することと、該放圧機構と該電気キャビティの壁との間に形成された気流通路に設置され、該放圧機構が作動するときに該排出物が該バスバーに到達することを阻止するためのシール構造を提供することと、に用いられる提供モジュールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される必要がある図面を簡単に紹介し、明らかなように、以下に説明される図面は単に本願のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働を必要とせずに、図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0031】
図1】本願の一実施例に開示される車両の構造模式図である。
図2】本願の一実施例に開示される電池の構造模式図である。
図3】本願の一実施例に開示される電池セルの構造模式図である。
図4】本願の一実施例に開示される電池の構造模式図である。
図5a】本願の一実施例に開示される電池の平面模式図である。
図5b】本願の一実施例に開示される電池の断面模式図である。
図5c】本願の一実施例に開示される図5bの電池におけるB箇所の拡大模式図である。
図6a】本願の一実施例に開示される第1シール部材の構造模式図である。
図6b】本願の別の実施例に開示される第1シール部材の構造模式図である。
図6c】本願の実施例に提供される図6aの第1シール部材を含む電池の分解模式図である。
図6d】本願の実施例に提供される図6bの第1シール部材を含む電池の分解模式図である。
図7a】本願の別の実施例に開示される電池の断面模式図である。
図7b】本願の一実施例に開示される図7aの電池におけるC箇所の拡大模式図である。
図7c】本願の実施例に開示される第2シール部材の構造模式図である。
図7d】本願の実施例に提供される図7cの第2シール部材を含む電池の分解模式図である。
図8a】本願のさらに別の実施例に開示される電池の断面模式図である。
図8b】本願の一実施例に開示される図8aの電池におけるD箇所の拡大模式図である。
図8c】本願の一実施例に開示される図8aの電池におけるE箇所の拡大模式図である。
図8d】本願の実施例に開示される底部完全被覆型のシール構造の構造模式図である。
図8e】本願の実施例に提供される図8dのシール構造を含む電池の分解模式図である。
図9】本願の一実施例に係る電池の製造方法の模式的なブロック図である。
図10】本願の一実施例に係る電池の製造装置の模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面では、図面は実際の縮尺で描かれていない。
【0033】
発明を実施するための形態
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術的解決手段を明確に説明し、明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに取得するすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0034】
特に定義しない限り、本願に使用されるすべての技術用語及び科学用語は当業者が一般的に理解する意味と同じであり、本願の明細書に使用される用語は具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限するためのものではなく、本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の簡単な説明における「含む」及び「有する」という用語及びそれらの任意の変形は、非排他的な包括をカバーすることを意味する。本願の明細書、特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、及び「第2」等の用語は異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序又は主従関係を説明するためのものではない。
【0035】
下記の説明に記載の方位詞はいずれも図面に示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するためのものではない。本願の説明では、さらに説明する必要がある点としては、明確に規定及び限定されない限り、「取り付ける」、「連結」、及び「接続」という用語は広い意味を持つべきである。例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続され、又は一体的に接続されてもよい。直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に基づいて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0036】
本願の「実施例」の記載は、実施例を参照して説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の様々な位置での該「実施例」の出現は、必ずしも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互排他的である独立した実施例又は代替の実施例でもない。当業者が明示的及び暗黙的に理解できるように、本願に説明される実施例は他の実施例と組み合わせてもよい。
【0037】
本願の「及び/又は」という用語は、関連対象を説明する関連関係に過ぎず、3つの関係が存在することを示す。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、及びBが単独で存在することの3つの状況を示すことができる。また、本願の文字「/」は一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0038】
本願に記載の「複数」とは2つ以上(2つを含む)を指し、同様に、「複数グループ」とは2グループ以上(2グループを含む)を指し、「複数枚」とは2枚以上(2枚を含む)を指す。
【0039】
本願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含んでもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池セルは円筒体、偏平体、直方体又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれも限定しない。電池セルは包装方法に応じて、一般的に円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれも限定しない。
【0040】
本願の実施例に記載の電池とは、1つ又は複数の電池セルを含むことでより高い電圧及び容量を提供する単一の物理モジュールを指す。例えば、本願に記載の電池は電池モジュール又は電池パック等を含んでもよい。電池は一般的に、1つ又は複数の電池セルを包装するための筐体を含む。筐体は液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0041】
電池セルは電極組立体及び電解液を含み、電極組立体は正極板、負極板及びセパレータからなる。電池セルは主に金属イオンが正極板と負極板との間で移動することによって動作する。正極板は正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極タブとされる。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極板は負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとされる。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はカーボン又はシリコン等であってもよい。大電流が流れても溶断しないことを確保するために、正極タブは複数あり且つ一体に積層され、負極タブは複数あり且つ一体に積層される。セパレータの材質はPP又はPE等であってもよい。また、電極組立体は巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本願の実施例はこれに制限されない。電池技術の発展は、様々な設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レート等の性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0042】
電池セルにとって、主な安全上の危険は充電及び放電過程からであり、同時に適切な環境温度の設計は重要であり、不要な損失を効果的に回避するために、電池セルに対して、一般的に、少なくとも3つの保護対策がある。具体的に、保護対策は少なくともスイッチ素子、適当なセパレータ材料の選択、及び放圧機構を含む。スイッチ素子とは、電池セル内の温度又は抵抗が所定の閾値に達するときに電池の充電又は放電を停止させることができる素子を指す。セパレータは正極板と負極板を隔離することに用いられ、温度が所定の数値に上昇するときに、それに付着したミクロンレベル(ひいてはナノレベル)の微細孔を自動的に溶解でき、それにより金属イオンがセパレータを通過できず、電池セルの内部反応を終了する。
【0043】
放圧機構とは電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達するときに作動することで内部圧力又は温度を解放する素子又は部材を指す。該閾値設計は異なる設計ニーズに応じて異なる。前記閾値は電池セルの正極板、負極板、電解液及びセパレータのうちの1つ又は複数の材料により決まる可能性がある。放圧機構については、例えば防爆弁、空気弁、リリーフ弁又は安全弁等の形態を用いることができ、具体的に感圧又は感温の素子又は構造を用いることができ、即ち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達するときに、放圧機構が作動し又は放圧機構に設けられた弱い構造が破壊され、それにより内部圧力又は温度を解放するための開口又は通路が形成される。
【0044】
本願に記載の「作動」とは放圧機構が動作し又は所定の状態にアクティブ化されることを指し、それにより電池セルの内部圧力及び温度を解放する。放圧機構の動作は、放圧機構の少なくとも一部が破損し、破砕し、引き裂かれ又は開くこと等を含んでもよいが、それらに制限されない。放圧機構が作動するときに、電池セルの内部の高温高圧物質は排出物として作動部位から外へ排出される。この方式によって圧力又は温度が制御可能な状況下で電池セルを放圧させることができ、それにより、潜んでいるより深刻な事故を回避する。
【0045】
本願に記載の電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分割された正負極板、セパレータの破片、反応に生じた高温高圧気体、炎等を含むが、それらに制限されない。
【0046】
電池セルの放圧機構は電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、短絡、過充電等の現象が発生するときに、電池セルの内部に熱暴走が発生して圧力又は温度が急に上昇するおそれがある。この場合、放圧機構の作動によって内部圧力及び温度を外へ解放することができ、それによって、電池セルの爆発及び発火を防止する。
【0047】
従来の放圧機構の設計案では、主な焦点は、電池セルの内部の高圧及び高熱を解放し、即ち、前記排出物を電池セルの外部に排出することである。しかし、電池の出力電圧又は電流を確保するために、しばしば複数の電池セルを必要とし、且つ複数の電池セルの間はバスバーを介して電気的に接続される。電池セルの内部から排出された排出物は他の電池セルの短絡現象を引き起こすおそれがあり、例えば、排出された金属屑が2つのバスバーを電気的に接続するときに電池の短絡を引き起こし、従って、安全上の危険が存在する。且つ、高温高圧の排出物は電池セルの放圧機構が設置された方向に向かって排出され、より具体的に、放圧機構が作動する領域に向かう方向に沿って排出され、この排出物の威力及び破壊力は強い可能性があり、ひいては、該方向における1つ又は複数の構造を破るのに十分である可能性があり、さらなる安全上の問題をもたらす。
【0048】
これに鑑みて、本願の実施例は1つの技術的解決手段を提供し、隔離部材を利用して電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティとを分離し、放圧機構が作動するときに、電池セルの排出物が収集キャビティに入り、電気キャビティに入らず、又は少量で電気キャビティに入り、それにより電気キャビティ内の絶縁保護のトラブルによる短絡を防止し、従って、電池の安全性を高めることができる。同時に、電池セルが制御不能になった後に生じた排出物を収集キャビティに排出した後、放圧領域を通して電池の外部に排出し、排出物の排出経路を延長させることによって、排出物の温度を効果的に下げ、排出物による電池の外部環境への影響を減少させることができ、それにより電池の安全性をさらに高める。
【0049】
ここで、所謂「隔離」とは分離を指し、必ずしもシールされているとは限らない。通常、隔離部材は、電気キャビティと収集キャビティを分離することに加えて、流体を収容して複数の電池セルに対して温度調節を行うことに用いられ、即ち、隔離部材は熱管理部材と呼ばれてもよい。熱管理部材に収容される流体は液体又はガスであってもよく、温度調節とは複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却又は降温する場合、該熱管理部材は冷却流体を収容して複数の電池セルの温度を下げることに用いられ、このとき、熱管理部材は冷却部材、冷却システム又は冷却板等と呼ばれてもよく、それに収容される流体は冷却媒体又は冷却流体と呼ばれてもよく、より具体的に、クーラント又は冷却ガスと呼ばれてもよい。また、熱管理部材は加熱して複数の電池セルを昇温することに用いられてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。選択的に、上記流体は循環するものであってもよく、それによって、よりよい温度調節効果を達成する。選択的に、流体は水、水とエチレングリコールの混合液又は空気等であってもよい。
【0050】
本願に記載の電気キャビティは複数の電池セル及びバスバーを収容することに用いることができる。電気キャビティはシール又は非シールのものであってもよい。電気キャビティは電池セル及びバスバーの取付空間を提供する。いくつかの実施例では、電気キャビティに電池セルを固定するための構造がさらに設置されてもよい。電気キャビティの形状は収容される電池セル及びバスバーの数及び形状によって決定できる。いくつかの実施例では、電気キャビティは角形であってもよく、6つの壁を有する。電気キャビティ内の電池セルが電気的接続によって高い電圧出力を形成するため、電気キャビティは「高圧キャビティ」と呼ばれてもよい。
【0051】
本願に記載のバスバーは複数の電池セル間の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。バスバーは電池セルの電極端子を接続することによって電池セル間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例では、バスバーは溶接によって電池セルの電極端子に固定されてもよい。「高圧キャビティ」に対応して、バスバーによって形成された電気的接続は「高圧接続」と呼ばれてもよい。
【0052】
本願に記載の収集キャビティは排出物を収集することに用いられ、シール又は非シールのものであってもよい。いくつかの実施例では、前記収集キャビティ内に空気、又は他のガスが含まれてもよい。選択的に、前記収集キャビティ内には、冷却媒体等の液体が含まれてもよく、又は、該液体を収容する部材が設置されてもよく、それによって、収集キャビティに入った排出物をさらに降温させる。さらに選択的に、収集キャビティ内のガス又は液体は循環するものである。収集キャビティ内には電圧出力に接続される電気的接続がなく、「高圧キャビティ」に対応して、収集キャビティは「低圧キャビティ」と呼ばれてもよい。
【0053】
電気キャビティと収集キャビティを隔離部材によって分離して設置することで、放圧機構が作動するときに、電池セルの排出物を収集キャビティに入れることができるが、実際の応用では、依然として少量の排出物が電気キャビティに入り、電気キャビティ内の絶縁保護がトラブルになって短絡し、それにより電池の安全性能を低下させる。
【0054】
これに鑑みて、本願の実施例は上記実施例に基づき、シール構造をさらに追加し、放圧機構と電気キャビティの壁との間に形成された気流通路に設置され、放圧機構が作動するときに電池セルの排出物がバスバーに到達することを阻止することに用いられ、換言すれば、排出物と高圧接続をさらに分離し、絶縁保護のトラブルリスクを低減させ、高圧点火の発生可能性を減らし、電池の安全性を向上させる。また、高リスク領域での高温粒子状物質の集中を防止し、局所的な異常温度上昇によるトラブルモードの発生可能性を減らす。
【0055】
本願の実施例で説明される技術的解決手段はいずれも、電池を使用する様々な装置、例えば、携帯電話、ポータブル機器、ノートパソコン、電気自動車、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙船等に適用でき、例えば、宇宙船は飛行機、ロケット、スペースシャトル及びスペースシップ等を含む。
【0056】
理解されるように、本願の実施例で説明される技術的解決手段は、上記に説明された機器に適用できるだけでなく、電池を使用するすべての機器にも適用でき、しかし、説明を簡潔にするために、下記の実施例はいずれも電動車両を例として説明する。
【0057】
例えば、図1に示すように、本願の一実施例の車両1の構造模式図であり、車両1は燃料自動車、ガス車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又は航続距離延長型電気自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ80、コントローラ60及び電池100が設置されてもよく、コントローラ60は電池100がモータ80へ給電することを制御することに用いられる。例えば、車両1の底部又は車両の前部又は後部に電池100が設置されてもよい。電池100は車両1の給電に用いることができ、例えば、電池100は車両1の操作電源として機能でき、車両1の回路システムに用いられ、例えば、車両1のブート、ナビゲーション及び運転時の動作電気ニーズに用いられる。本願の別の実施例では、電池100は車両1の操作電源だけでなく、車両1の駆動電源として機能でき、燃料又は天然ガスを替代し又は部分的に替代して車両1に駆動動力を提供する。
【0058】
異なる電気使用ニーズを満たすために、電池は複数の電池セルを含んでもよく、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは直列接続と並列接続の混合を指す。電池は電池パックと呼ばれてもよい。選択的に、先ず、複数の電池セルは直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、次に、複数の電池モジュールは直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池を構成するようにしてもよい。つまり、複数の電池セルは直接電池を構成してもよく、先ず電池モジュールを構成し、次に電池モジュールが電池を構成するようにしてもよい。
【0059】
例えば、図2に示すように、本願の一実施例に係る電池100の構造模式図であり、電池100は複数の電池セル20を含んでもよい。電池100は筐体(又はキャップと呼ばれる)をさらに含んでもよく、筐体の内部は中空構造であり、複数の電池セル20は筐体内に収容される。図2に示すように、筐体は2つの部分を含んでもよく、ここで、それぞれ第1部分111及び第2部分112と呼ばれ、第1部分111と第2部分112は一体に係合される。第1部分111及び第2部分112の形状は複数の電池セル20の組み合わせの形状によって決定でき、第1部分111及び第2部分112はいずれも1つの開口を有してもよい。例えば、第1部分111及び第2部分112はいずれも中空の直方体であってもよく且つそれぞれは1つのみの面が開口面であり、第1部分111の開口と第2部分112の開口とは対向して設置され、且つ第1部分111と第2部分112は互いに係合して密閉チャンバを有する筐体を形成する。複数の電池セル20は、互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続して組み合わせられた後に、第1部分111と第2部分112を係合して形成した筐体内に置かれる。
【0060】
選択的に、電池100は他の構造をさらに含んでもよく、ここで繰り返して説明しない。例えば、該電池100はバスバーをさらに含んでもよく、バスバーは複数の電池セル20間の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。具体的に、バスバーは電池セル20の電極端子を接続することによって電池セル20間の電気的接続を実現することができる。さらに、バスバーは溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーはさらに導電性機構を介して筐体を通して引き出すことができる。選択的に、導電性機構はバスバーに属してもよい。
【0061】
異なる電力ニーズに応じて、電池セル20の数は任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続することで大きい容量又はパワーを実現することができる。各電池100に含まれる電池セル20の数が多い可能性があるため、取り付けやすくするために、電池セル20をグループ化して設置することができ、各グループの電池セル20は電池モジュールを構成する。電池モジュールに含まれる電池セル20の数は制限されず、ニーズに応じて設定されてもよい。
【0062】
図3に示すように、本願の一実施例に係る電池セル20の構造模式図であり、電池セル20は1つ又は複数の電極組立体22、ケース211及びカバープレート212を含む。ケース211の壁及びカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれる。ケース211の形状は1つ又は複数の電極組立体22を組み合わせた後の形状によって決定され、例えば、ケース211は中空の直方体又は立方体又は円筒体であってもよく、ケース211の1つの面は開口を有し、それによって1つ又は複数の電極組立体22をケース211内に置くことができる。例えば、ケース211が中空の直方体又は立方体であるときに、ケース211の1つの平面は開口面であり、即ち、該平面は壁体を有さず、ケース211の内外を連通する。ケース211が中空の円筒体であるときに、ケース211の端面は開口面であり、即ち、該端面は壁体を有さず、ケース211の内外を連通する。カバープレート212は開口を被覆してケース211に接続することで、電極組立体22を置く密閉キャビティを形成する。ケース211内に電解質、例えば電解液が充填されている。
【0063】
該電池セル20は2つの電極端子214をさらに含んでもよく、2つの電極端子214はカバープレート212に設置されてもよい。カバープレート212は通常、平板形状であり、2つの電極端子214はカバープレート212の平板面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正電極端子214a及び負電極端子214bである。各電極端子214のそれぞれに1つの接続部材23が対応して設置され、又は集電部材23と呼ばれてもよく、それはカバープレート212と電極組立体22との間に位置し、電極組立体22と電極端子214の電気的接続を実現することに用いられる。
【0064】
図3に示すように、各電極組立体22は第1タブ221a及び第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は反対である。例えば、第1タブ221aは正極タブであるときに、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極組立体22の第1タブ221aは一方の接続部材23を介して一方の電極端子に接続され、1つ又は複数の電極組立体22の第2タブ22aは他方の接続部材23を介して他方の電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは一方の接続部材23を介して正極タブに接続され、負電極端子214bは他方の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0065】
該電池セル20では、実際の使用ニーズに応じて、電極組立体22は1つ又は複数設置されてもよく、図3に示すように、電池セル20内に4つの独立した電極組立体22が設置される。
【0066】
例示として、電池セル20の1つの壁、例えば図3に示される第1壁21aに放圧機構213がさらに設置されてもよい。容易に示すために、図3では第1壁21aとケース211を分離するが、ケース211の底側に開口を有することを限定しない。放圧機構213は電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0067】
該放圧機構213は第1壁21aの一部であってもよく、第1壁21aとはスプリット式構造であってもよく、例えば、溶接の方式で第1壁21aに固定される。放圧機構213が第1壁21aの一部であるときに、例えば、放圧機構213は第1壁21aにスコアを設置する方式で形成されてもよく、該スコアに対応する第1壁21aの厚さは放圧機構213のスコアを除く他の領域の厚さよりも小さい。スコアは放圧機構213の最も弱い位置である。電池セル20に生じたガスが多すぎてケース211の内部圧力が高くなって閾値に達し又は電池セル20の内部反応が熱量を発生させて電池セル20の内部温度が高くなって閾値に達するときに、放圧機構213はスコアで破裂でき、ケース211の内外を連通し、ガス圧力及び温度は放圧機構213の破裂によって外へ解放され、さらに電池セル20の爆発を回避する。
【0068】
選択的に、本願の一実施例では、図3に示すように、放圧機構213が電池セル20の第1壁21aに設置される場合、電池セル20の他の壁に電極端子214が設置され、他の壁は第1壁21aとは異なる。
【0069】
選択的に、電極端子214の壁と第1壁21aは対向して設置される。例えば、第1壁21aは電池セル20の底壁であってもよく、電極端子214の壁は電池セル20の頂壁であってもよく、即ちカバープレート212である。
【0070】
選択的に、図3に示すように、該電池セル20はスペーサー24をさらに含んでもよく、該スペーサー24は電極組立体22とケース211の底壁との間に位置し、電極組立体22に対して支持役割を果たすことができ、さらに、電極組立体22とケース211の底壁四周のフィレットとの干渉を効果的に防止することができる。また、該スペーサー24に1つ又は複数の貫通穴が設置されてもよく、例えば、均一に配列される複数の貫通穴が設置されてもよく、又は、放圧機構213がケース211の底壁に設置されるときに、該放圧機構213に対応する位置に貫通穴が設置されてもよく、それによって導液及び導気を容易にし、具体的に、このようにスペーサー24の上下面の空間を連通でき、電池セル20の内部に生じたガス及び電解液はスペーサー24を自在に貫通できる。
【0071】
放圧機構213と電極端子214を電池セル20の異なる壁に設置することで、放圧機構213が作動するときに、電池セル20の排出物はさらに電極端子214から離れ、それにより排出物による電極端子214及びバスバーへの影響を減少させ、従って、電池の安全性を高めることができる。
【0072】
さらに、電極端子214が電池セル20のカバープレート212に設置されるときに、放圧機構213を電池セル20の底壁に設置することで、放圧機構213が作動するときに、電池セル20の排出物は電池100の底部に排出される。このように、一方では、電池100の底部の熱管理部材等を利用して排出物の危険性を低下させることができ、他方では、電池100の底部は、通常、ユーザから離れ、それによりユーザの被害を減らすことができる。
【0073】
放圧機構213は様々な可能な放圧構造であってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。例えば、放圧機構213は感温放圧機構であってもよく、感温放圧機構は放圧機構213が設けられた電池セル20の内部温度が閾値に達するときに熔融できるように構成され、及び/又は、放圧機構213は感圧放圧機構であってもよく、感圧放圧機構は放圧機構213が設けられた電池セル20の内部気圧が閾値に達するときに破裂できるように構成される。
【0074】
図4は本願の実施例に係る1つの電池100の模式図を示す。図4に示すように、電池100は複数の電池セル20を含み、複数の電池セル20のうちの少なくとも1つの電池セル20に放圧機構213が設置され、放圧機構213は、放圧機構213が設けられた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで内部圧力を解放することに用いられる。一実施例では、該複数の電池セル20のうちの各電池セル20にはいずれも放圧機構213が設けられる。別の実施例では、該複数の電池セル20のうちの一部の電池セルのうちの各電池セル20に放圧機構213が設けられ、該複数の電池セル20のうちの他の一部の電池セルのうちの各電池セル20にはいずれも放圧機構213が設置されない。
【0075】
電池100は、電池セル20に電気的に接続するためのバスバー12をさらに含み、換言すれば、バスバー12は複数の電池セル20間の電気的接続を実現することに用いられる。選択的に、該バスバー12は電池セル20の電極端子214を接続することによって電池セル20間の電気的接続を実現することができる。
【0076】
電池100は電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bをさらに含み、電気キャビティ11aは複数の電池セル20及びバスバー12を収容することに用いられ、電気キャビティ11aは電池セル20及びバスバー12の収容空間を提供し、電気キャビティ11aの形状は複数の電池セル20及びバスバー12によって決定できる。収集キャビティ11bは放圧機構213が作動するときに電池セル20からの排出物を収集することに用いられる。
【0077】
本願の一実施例では、電気キャビティ11aは密閉キャビティであるが、収集キャビティ11bは半密閉キャビティであり、外部と連通する開口を有し、電気キャビティ11aの壁は該開口を蓋合し、キャビティを形成し、即ち、収集キャビティ11bである。つまり、電気キャビティ11aの収集キャビティ11bの開口を蓋合するための壁は電気キャビティ11aと収集キャビティ11bが共有する壁であり、該共有する壁によって電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを分離して設置する。本願の別の実施例では、収集キャビティ11bは密閉キャビティであるが、電気キャビティ11aは半密閉キャビティであり、外部と連通する開口を有し、収集キャビティ11bの壁は該開口を蓋合し、キャビティを形成し、即ち、電気キャビティ11aである。つまり、収集キャビティ11bの電気キャビティ11aの開口を蓋合するための壁は電気キャビティ11aと収集キャビティ11bが共有する壁であり、該共有する壁によって電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを分離して設置する。本願の別の実施例では、電気キャビティ11aは密閉キャビティであり、収集キャビティ11bも密閉キャビティであり、電気キャビティ11aの1つの壁と収集キャビティ11bの1つの壁は一体に装着でき、それによって隣接する2つの独立したキャビティを形成し、一体に装着された2つの壁は電気キャビティ11aと収集キャビティ11bが共有する壁とされてもよく、該共有する壁によって電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを分離して設置する。
【0078】
選択的に、本願の実施例では、電池100は隔離部材13をさらに含んでもよく、該隔離部材13は電気キャビティ11aと収集キャビティ11bが共有する壁を有する。隔離部材13は同時に電気キャビティ11aの1つの壁及び収集キャビティ11bの1つの壁であってもよい。つまり、隔離部材13(又はその一部)は直接電気キャビティ11aと収集キャビティ11bが共有する壁とされてもよく、このように、電池セル20の排出物は隔離部材13を通過して収集キャビティ11bに入ることができる。
【0079】
上記の各実施例では、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bが共有する壁が存在するため、該排出物を最大限に隔離することができ、それにより排出物の危険性を低下させ、電池の安全性を高める。
【0080】
さらに、電池100はシール構造215をさらに含み、それは、放圧機構213と電気キャビティ11aの壁との間に形成された気流通路に設置され、放圧機構213が作動するときに排出物がバスバー12に到達することを阻止することに用いられる。
【0081】
電気キャビティ11aと収集キャビティ11bとの間に共有する壁が存在して両者を隔離するが、実際の応用では、依然として少量の排出物が電気キャビティ11aに入り、本願の実施例では、放圧機構213と電気キャビティ11aの壁との間に形成された気流通路にシール構造215を提供することによって、放圧機構213が作動するときに、電池セル20の排出物が電気キャビティ11aに入ることを止め、絶縁保護のトラブルリスクを低減させ、高圧点火の発生可能性を減らすことができ、それにより電池の安全性を向上させる。また、該シール構造215の存在によって、高リスク領域での高温粒子状物質の集中を防止し、局所的な温度上昇によるトラブルモードの発生可能性を減らすことができる。
【0082】
説明する必要がある点としては、放圧機構213と電気キャビティ11aの壁との間に形成された気流通路は、前記電気キャビティ11aにおける放圧機構213が位置する平面に平行な気流通路を含むだけでなく、前記電気キャビティ11aにおける放圧機構213が位置する平面に垂直な気流通路をさらに含む。
【0083】
理解できるように、図4は例示に過ぎず、シール構造215の一実施形態の断面模式図を示し、本願の保護範囲を限定するものではない。本願の実施例に提供されるシール構造215は、図4に示される実施例に加えて、他の形態であってもよく、及び/又は、シール構造215の設置位置は、放圧機構213が作動するときに排出物がバスバー12に到達することを阻止することに用いられることを目的とし、本願の実施例はシール構造215の形態及び位置を具体的に限定しない。
【0084】
選択的に、図4に示すように、該シール構造215は少なくとも放圧機構213の外周を取り囲んで設置されることで、放圧機構213が作動するときに前記排出物がバスバー12に到達することを阻止する。
【0085】
以下、シール構造215が放圧機構213の外周を取り囲んで設置される具体的な実施例を詳細に説明し、説明の便宜上、本実施例に係る電池セル20とは、放圧機構213が設けられた電池セル20を指し、例えば、電池セル20は図3の電池セル20であってもよい。
【0086】
図5aは本願の実施例に係る1つの電池100の平面模式図である。図5bは本願の実施例に係る電池100のA-A’方向に沿った断面図であり、図5cは図5bにおけるB箇所に対応する局所的な細部図である。
【0087】
図5a~図5cに示すように、本願の実施例のシール構造215は放圧機構213の外周を取り囲んで設置される第1シール部材215aを含む。具体的に、放圧機構213は電池セル20の第1壁21に設置され、該第1シール部材215aは第1壁21と隔離部材13との間に設置される。つまり、第1シール部材215aは電池セル20の放圧構造213が設けられた壁と隔離部材13との間に設置される。該第1シール部材215aは放圧機構213に対応する位置に貫通穴を有し、前記放圧機構213が作動するときに前記排出物は前記貫通穴を通って前記隔離部材13を通過して収集キャビティ11bに入る。
【0088】
放圧機構213の外周に第1シール部材215aが設置され、且つ該第1シール部材215aが放圧機構213に対応する位置に貫通穴を有し、それによって、放圧機構213が作動するときに排出物が横方向に電気キャビティ11aに拡散できず、縦方向に収集キャビティ11bに拡散することしかできず、それにより排出物とバスバー12を隔離することができ、電池の安全性能を高める。
【0089】
図6aは1つの第1シール部材215aの構造模式図を示す。図6bは別の第1シール部材215aの構造模式図を示す。図6cは図6aの第1シール部材215aを含む電池100の分解図である。図6dは図6bの第1シール部材215aを含む電池100の分解図である。
【0090】
図6aに示すように、該第1シール部材215aは1つの貫通穴を有するフレーム型構造であってもよく、つまり、1つの貫通穴は複数の電池セル20の放圧機構213に対応する。
【0091】
図6bに示すように、該第1シール部材215aは複数の貫通穴を有する格子構造であってもよく、該複数の貫通穴は複数の電池セル20の放圧機構213に1対1で対応し、つまり、該複数の貫通穴のうちの各貫通穴はいずれも1つの電池セル20の放圧機構213に対応する。
【0092】
具体的に、図6c及び6dに示すように、電池100は複数の電池セル20を含み、該複数の電池セル20は少なくとも1つの電池モジュール30に分けられてもよく、又は電池モジュール又は電池パックと呼ばれてもよい。電池100はバスバー12をさらに含み、バスバー12は複数の電池セル20間の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。バスバー12は電池セル20の電極端子214を接続することによって電池セル20間の電気的接続を実現することができる。電池100は、一般的に、該複数の電池セル20を包装するための筐体をさらに含み、筐体は、2つの端板と2つの側板を首尾接続することにより囲まれた囲壁41、筐体の上カバー42及び筐体の下カバー43を含んでもよく、筐体の上カバー42及び筐体の下カバー43はそれぞれ囲壁41の両側開口を蓋合して、チャンバを形成する。電池100は隔離部材13をさらに含み、該隔離部材13は筐体40に形成されたチャンバを電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに仕切ることができ、電気キャビティ11aは該複数の電池セル20及びバスバー12を収容することに用いられ、収集キャビティ11bは放圧機構213が作動するときに電池セル20からの排出物を収集することに用いられる。
【0093】
図6cに示すように、複数の電池セル20は積んで設置される。該第1シール部材215aは1つの貫通穴を含むフレーム型構造であり、該1つの貫通穴は同一方向に積んで設置された複数の電池セル20の放圧機構213に対応する。つまり、該同一方向に積んで設置された複数の電池セル20の放圧機構を一体構造とすることができ、該第1シール部材215aは該一体構造の外周を取り囲んで設置される。選択的に、該第1シール部材215aの1つの貫通穴はさらに、2つの方向に積んで設置された1つの電池セルアレイの放圧機構213に対応してもよく、つまり、該1つの電池セルアレイの放圧機構213を一体構造とすることができ、該第1シール部材215aは該一体構造の外周を取り囲んで設置される。
【0094】
説明する必要がある点としては、図6cの第1シール部材215aにより取り囲まれた一体構造において、一部の電池セル20に放圧機構213が設置され、他の一部の電池セル20に放圧機構が設置されないようにしてもよい。
【0095】
1つの貫通穴を有するフレーム型構造をシール構造として用いることによって、加工の困難性が低い。
【0096】
図6dに示すように、複数の電池セル20は積んで設置される。該第1シール部材215aは複数の貫通穴を含む格子構造であり、該複数の貫通穴は同一方向に積んで設置された複数の電池セル20の放圧機構213に1対1で対応してもよい。つまり、該第1シール部材215aは同一方向に積んで設置された複数の電池セル20のうちの各電池セル20の放圧機構213の外周を取り囲んで設置される。選択的に、該第1シール部材215aの複数の貫通穴はさらに、2つの方向に積んで設置された1つの電池セルアレイの放圧機構213に1対1で対応してもよく、つまり、該第1シール部材215aは該電池セルアレイのうちの各電池セル20の放圧機構213の外周を取り囲んで設置される。
【0097】
複数の貫通穴を有する格子構造をシール構造として用いることによって、シール効果を向上させることができる。
【0098】
選択的に、本願の実施例では、電池100の一部の電池セル20に放圧機構213が設けられるが、他の一部の電池セル20に放圧機構213が設けられないため、各放圧機構213の外周に第1シール部材215aを設置することができ、即ち、第1シール部材215aは1つの貫通穴を有する口字型構造であり、該1つの貫通穴は1つの放圧機構213に対応し、シール効果を向上させることができるだけでなく、加工困難性を低減させることができる。
【0099】
選択的に、本願の実施例では、電池100は上記のフレーム型構造の第1シール部材215a、格子構造の第1シール部材215a及び口字型構造の第1シール部材215aのうちの少なくとも2つを含んでもよい。
【0100】
図7aは図5aに示される電池100のA-A’方向に沿った別の断面図であり、図7bは図7aにおけるC箇所に対応する局所的な細部図である。
【0101】
図7a及び図7bに示すように、該電池100は仕切りビーム44をさらに含み、該仕切りビーム44は電気キャビティ11aを複数の収容キャビティ11cに仕切ることに用いられ、該シール構造215は収容キャビティ11cの側壁と電池セル20の第2壁との間に設置される第2シール部材215bを含み、該第2壁は上記実施例の第1壁と交差して設置される。該電池セル20は収容キャビティ11cにおける最外周に位置する電池セル20である。該電池セル20に放圧機構213が設置されてもよく、放圧機構213が設置されなくてもよい。
【0102】
選択的に、本願の実施例では、該第2シール部材215bは、図7a及び7bに示すように、電池セル20の第2壁全体を被覆してもよく、電池セル20の第2壁の一部を被覆してもよく、本願の実施例は第2シール部材215bの高さを限定しない。
【0103】
収容キャビティ11cの側壁と電池セル20の第2壁との間に第2シール部材215bを設置することで、放圧機構213が作動するときに排出物が縦方向に電気キャビティ11aに拡散できず、縦方向に収集キャビティ11bに拡散することしかできず、それにより排出物とバスバー12を隔離することができ、電池の安全性能を高める。
【0104】
図7cは本願の実施例に提供される第2シール部材215bの模式的な構造図を示す。図7dは第2シール部材215bを含む電池100の分解図を示す。図7c及び7dに示すように、該第2シール部材215bはフレーム型構造であり、収容キャビティ11cにおける最外周に位置する電池セル20の第2壁を取り囲んで設置され、該最外周の電池セル20の第2壁と収容キャビティ11cの側壁との間の隙間をシールすることに用いられ、それによって、収容キャビティ11c内の放圧機構213が作動するときに排出物がバスバー12に到達することを阻止する。
【0105】
選択的に、本願の実施例では、該電池100は第1シール部材215a及び第2シール部材215bを含んでもよく、つまり、放圧機構213が設けられた電池セル20の第1壁と隔離部材13との間に第1シール部材215aを設置することができ、第1シール部材215aは放圧機構213に対応する位置に貫通穴を有し、放圧機構213が作動するときに排出物が該貫通穴を通って隔離部材12を通過して収集キャビティ11bに入る。また、収容キャビティ11cの側壁と収容キャビティ11cの最外周に位置する電池セル20の第2壁との間に第2シール部材215bを設置することもでき、収容キャビティ11cの側壁と該最外周の電池セル20の第2壁との間の隙間をシールすることに用いられ、それにより、収容キャビティ11c内部の放圧機構213が作動するときに排出物がバスバー12に到達することを阻止する。電池セル20の第1壁と第2壁は交差して設置される。
【0106】
第1シール部材215a及び第2シール部材215bを設置することによって、放圧機構213とバスバー12との間に形成された気流通路を全方位的にシールすることができ、それにより、放圧機構213が作動するときに排出物がバスバー12に到達することをよりよく阻止することができる。
【0107】
選択的に、本願の実施例では、該第1シール部材215aはガスケット又はシーラントであってもよい。該第2シール部材215bもガスケット又はシーラントであってもよい。
【0108】
選択的に、本願の実施例では、該第1シール部材215aは圧縮可能なシール材料であってもよく、通常、シリコーンゴム又はエアロゲルフェルト等である。該第2シール部材215bも圧縮可能なシール材料であってもよく、通常、シリコーンゴム又はエアロゲルフェルト等である。
【0109】
可能な実施形態では、該第1シール部材215a又は該第2シール部材215bはガスケットを用いるとすれば、その表面には融点が排出物の温度よりも高い材料が被覆又は吹き付け塗装されてもよく、それにより、耐熱性及び耐スタンピングの要件を満たす。
【0110】
別の可能な実施形態では、該第1シール部材215a及び/又は該第2シール部材215bの融点は排出物の温度よりも高く、同様に、耐熱性及び耐スタンピングの要件を満たすことができる。
【0111】
選択的に、本願の実施例では、第2シール部材215bはシーラントを用いるとすれば、収容キャビティ11cの側壁には、該シーラントを注入するための接着剤注入穴が設置されてもよい。シーラントが使用時に一定の流動性を有し、一定の時間後に徐々に硬化するため、接着剤注入穴からシーラントを注入することによって、シーラントをより容易に配置することができ、それにより、硬化後に第2シール部材215bを形成する。
【0112】
選択的に、本願の実施例では、該電池100は同時に第1シール部材215a及び第2シール部材215bを含み、該第1シール部材215aはガスケットであってもよく、該第2シール部材215bはシーラントであってもよく、シーラントとガスケットを同時に使用することで、電池100がより優れたシール効果を有することを確保する。
【0113】
選択的に、本願の実施例では、該電池100は第1シール部材215a及び第2シール部材215bを含み、該第1シール部材215a及び該第2シール部材215bは一体成形されたシール構造215であってもよい。具体的に、シール構造215は底部完全被覆型のガスケットを用いる。
【0114】
以下、シール構造215が底部完全被覆型のガスケットである具体的な実施例を詳細に紹介する。
【0115】
図8aは図5aに示される電池100のA-A’方向に沿った別の断面図であり、図8bは図8aにおけるD箇所に対応する局所的な細部図である。図8cは図8aにおけるE箇所に対応する局所的な細部図である。図8dは底部完全被覆型のシール構造215の構造図である。図8eは図8dに示される底部完全被覆型のシール構造215を含む電池100の分解図である。
【0116】
図8a~図8eに示すように、シール構造215は底部完全被覆型の構造である。図8a~図8eに示すように、該シール構造215は、電池セル20の第1壁と隔離部材13との間に設置された第1シール部材215a、及び収容キャビティ11cにおける最外周の電池セル20の第2壁と収容キャビティ11cの側壁との間に位置する第2シール部材215bを含み、第1シール部材215は電池セル20の第1壁における放圧機構213を除くすべての位置を被覆し、つまり、該第1シール部材215は電池セル20の放圧機構213に対応する位置に貫通穴を有し、即ち、電池セル20の放圧機構213の外周を取り囲んで設置される。且つ該第1シール部材215aと第2シール部材215bは、電池セル20の第1壁と第2壁が交差する位置で接続される。
【0117】
底部完全被覆型のシール構造215を用いることで、シール効果を向上させることができる。
【0118】
理解されるように、上記は、いくつかのシール構造215の設置位置、形状及び用いる材料を例示的に挙げるものに過ぎず、実際の応用では、実際の状況に基づいて、適切な設置位置、適切な形状及び適切な材料を選択することができ、本願はこれを限定しない。
【0119】
本願の一実施例は電力消費装置をさらに提供し、該電力消費装置は上記各実施例の電池100を含んでもよく、該電池100は電気エネルギーを提供することに用いられる。
【0120】
選択的に、電力消費装置は車両1、船舶又は宇宙船であってもよい。
【0121】
上記は本願の実施例に係る電池及び電力消費装置を説明し、以下、本願の実施例に係る電池の製造方法及び装置を説明し、詳細に説明していない部分は上記の各実施例を参照すればよい。
【0122】
図9は本願の一実施例に係る電池の製造方法300の模式的なフローチャートを示す。該電池は上記の各実施例に提供される電池100であってもよく、図9に示すように、該方法300は以下のS310~S350を含んでもよい。
【0123】
S310、電池セル20を提供する。
【0124】
一実施例では、該電池セル20の数は複数であってもよく、且つ該複数の電池セル20のうちの少なくとも1つの電池セル20に放圧機構213が設置され、該放圧機構213は、放圧機構213が設けられた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで内部圧力を解放することに用いられる。
【0125】
S320、バスバー12を提供する。
【0126】
一実施例では、該バスバー12は複数の電池セル20の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。バスバーは電池セルの電極端子を接続することによって電池セル間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例では、バスバーは溶接によって電池セルの電極端子に固定されてもよい。
【0127】
S330、電気キャビティ11aを提供する。
【0128】
一実施例では、電気キャビティ11aは複数の電池セル20及びバスバー12を収容することに用いられる。つまり、電気キャビティ11aは電池セル20及びバスバー12の取付空間を提供する。
【0129】
S340、収集キャビティ11bを提供する。
【0130】
一実施例では、収集キャビティ11bは放圧機構213が作動するときに電池セル20からの排出物を収集することに用いられる。
【0131】
S350、シール構造215を提供する。
【0132】
一実施例では、該シール構造215は、放圧機構213と電気キャビティ11aの壁との間に形成された気流通路に設置され、放圧機構213が作動するときに排出物がバスバー12に到達することを阻止することに用いられる。
【0133】
選択的に、本願の実施例では、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを隔離するための隔離部材13をさらに提供してもよく、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを該隔離部材13の両側に設置し、且つ該隔離部材13は電気キャビティ11aと収集キャビティ11bが共有する壁として構成される。
【0134】
選択的に、本願の実施例では、該シール構造215は電池セル20の第1壁と隔離部材13との間に設置された第1シール部材215aを含み、且つ該第1シール部材215aは放圧機構213に対応する位置に貫通穴を有し、放圧機構213が作動するときに排出物は該貫通穴を通って隔離部材13を通過して収集キャビティ11bに入る。
【0135】
選択的に、本願の実施例では、該電池100は、電気キャビティ11aを複数の収容キャビティ11cに仕切るための仕切りビーム44をさらに含み、該シール構造215は、収容キャビティ11cの側壁と電池セル20の第2壁との間に設置された第2シール部材215bを含み、電池セル20の第1壁と第2壁は交差して設置される。
【0136】
選択的に、本願の実施例では、第2シール部材215bはシーラントであり、シール構造215を提供するステップは、具体的に、収容キャビティ11cの側壁の接着剤注入穴内にシーラントを注入することによって、前記シーラントが硬化した後に第2シール部材215bを形成するステップを含む。
【0137】
図10は本願の一実施例に係る電池の製造装置400の模式的なブロック図を示す。該電池は上記の各実施例に提供される電池100であってもよく、図10に示すように、電池の製造装置400は提供モジュール410を含んでもよい。
【0138】
該提供モジュール410は電池セル20を提供することに用いられ、該電池セル20に放圧機構213が設置され、該放圧機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達するときに作動することで内部圧力を解放することに用いられる。
【0139】
該提供モジュール410はさらに、電池セル20に電気的に接続するためのバスバー12を提供することに用いられる。
【0140】
該提供モジュール410はさらに、電池セル20及びバスバー12を収容するための電気キャビティ11aを提供することに用いられる。
【0141】
該提供モジュール410はさらに、放圧機構213が作動するときに電池セル20からの排出物を収集するための収集キャビティ11bを提供することに用いられる。
【0142】
該提供モジュール410はさらに、放圧機構213と電気キャビティ11aの壁との間に形成された気流通路に設置され、放圧機構213が作動するときに排出物がバスバー12に到達することを阻止するためのシール構造215を提供することに用いられる。
【0143】
好適な実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改良を行うことができ、等価なものでその中の部材を交換することができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に記載の各技術的特徴を任意の方式で組み合わせることができる。本願は明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内に属するすべての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0144】
1 車両
11 電気キャビティ
12 バスバー
13 隔離部材
20 電池セル
21 第1壁
22 電極組立体
221a 第1タブ
222a 第2タブ
23 接続部材
24 スペーサー
30 電池モジュール
40 筐体
41 囲壁
42 筐体の上カバー
43 筐体の下カバー
44 仕切りビーム
60 コントローラ
80 モータ
100 電池
111 第1部分
112 第2部分
211 ケース
212 カバープレート
213 放圧機構
214 電極端子
214a 正電極端子
214b 負電極端子
215 シール構造
215a 第1シール部材
215b 第2シール部材
215 は底部完全被覆型のシール構造
400 電池の製造装置
410 提供モジュール
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図9
図10