(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】圧力センサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20240521BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01L9/00 303A
H01L29/84 A
H01L29/84
(21)【出願番号】P 2022576472
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 US2021021519
(87)【国際公開番号】W WO2021257137
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515231553
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイアー、ニコラス エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ロモ、マーク ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン、エリック ポール
(72)【発明者】
【氏名】ローザンヌ、ティモシー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヒルマン、デイヴィッド ジョナサン
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09878904(US,B1)
【文献】米国特許第09212054(US,B1)
【文献】特表2018-536150(JP,A)
【文献】特開平08-240494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0006092(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲支持領域の間に延在し、前記周囲支持領域に対して厚さが薄いセンサダイアフラムを含む導電性の感知層と、
前記感知層の上面に接合された底面を有する導電性の裏打ち層と、
前記裏打ち層の上面に接合された底面を有する電気絶縁層と、
前記センサダイアフラムの第1の側の第1の圧力と、前記第1の側とは反対側の前記センサダイアフラムの第2の側の第2の圧力との間の圧力差に応答して、前記センサダイアフラムの撓みに基づいて変化する電気パラメータを有するセンサ素子と、
前記電気絶縁層の上面に接合された底面を含むペデスタルと、
ヘッダキャビティを有する導電性のヘッダと、
を含む圧力センサを備え、
前記ペデスタルは、前記ヘッダキャビティ内の前記ヘッダに取り付けられ、前記電気絶縁層は、前記感知層を前記ペデスタル及び前記ヘッダから電気的に絶縁
し、
前記ペデスタルが導電性材料で形成されている、
圧力センサアセンブリ。
【請求項2】
前記センサ素子が歪みゲージを含む、請求項1に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項3】
前記センサ素子に結合され、前記電気パラメータに基づいて圧力値を決定するように構成された測定回路をさらに含む、請求項1に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項4】
前記圧力センサは、前記電気絶縁層及び導電性の前記裏打ち層を通って、前記センサダイアフラムの第1の面に露出された前記感知層内のセンサキャビティへと延在する第1の経路を含み、
前記感知層と前記裏打ち層との間の接合、及び前記裏打ち層と前記電気絶縁層との間の接合は、前記電気絶縁層から前記センサキャビティへの前記第1の経路を密閉する、請求項1に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項5】
前記接合が、フリット接合、熱圧縮接合、融着、または陽極接合からなる群から選択される、請求項4に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項6】
前記圧力センサアセンブリは、周囲空気への通気口を含み、
前記ペデスタルは、前記第1の経路に接続された第2の経路を含み、
前記ヘッダは、前記第2の経路と前記通気口に接続された第3の経路を含む、請求項4に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項7】
前記電気絶縁層は、導電性の前記裏打ち層の熱膨張係数と実質的に一致する熱膨張係数を有する材料を含む、請求項4に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項8】
導電性の前記感知層と導電性の前記裏打ち層は、それぞれ結晶シリコンを含み、
前記電気絶縁層の材料は、ガラス、セラミック、ホウケイ酸ガラス、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムセラミックからなる群から選択される、請求項7に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項9】
前記ペデスタルの底面と前記電気絶縁層の上面が実質的に平坦な表面である、請求項
8に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項10】
導電性の裏打ち層の上面を電気絶縁層の底面に接合し、
周辺支持領域の間に延在し、前記周辺支持領域に対して厚さが低減されているセンサダイアフラムを含む導電性の感知層を提供し、
前記感知層の上面を前記裏打ち層の底面に接合し、
前記センサダイアフラムの第1の側の第1の圧力と、前記第1の側とは反対側の前記センサダイアフラムの第2の側の第2の圧力との間の圧力差に応答して、前記センサダイアフラムの撓みに基づいて変化する電気パラメータを有するセンサ素子を形成することを含む、圧力センサを形成する工程と、
ペデスタルの底面を前記電気絶縁層の上面に接合することを含む、前記圧力センサを前記ペデスタルに取り付ける工程と、
前記ペデスタルをヘッダキャビティ内の導電性のヘッダに取り付ける工程と、を備え、
前記電気絶縁層は、前記圧力センサを前記ペデスタル及び前記ヘッダから電気的に絶縁
し、
前記ペデスタルが導電性材料で形成されている、圧力センサアセンブリを製造する方法。
【請求項11】
前記センサ素子は、前記センサダイアフラムに取り付けられ、ひずみゲージを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記圧力センサは、前記電気絶縁層及び導電性の前記裏打ち層を通って、前記センサダイアフラムの第1の面に露出された前記感知層内のセンサキャビティへと延在する第1の経路を含み、
前記裏打ち層の前記上面を前記電気絶縁層の前記底面に接合し、前記感知層の前記上面を前記裏打ち層の前記底面に接合することが、前記電気絶縁層からセンサキャビティへの第1の経路を気密封止することを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
導電性の前記裏打ち層の上面を前記電気絶縁層の底面に接合し、前記感知層の上面を前記裏打ち層の底面に接合することは、それぞれ、フリット接合、熱圧縮接合、融着接合、または陽極接合からなる群から選択される接合を形成することを
さらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記電気絶縁層が、導電性の前記裏打ち層の熱膨張係数と実質的に一致する熱膨張係数を有する材料を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
導電性の前記感知層と導電性の前記裏打ち層は、それぞれ結晶シリコンを含み、
前記電気絶縁層の材料は、ガラス、セラミック、ホウケイ酸ガラス、窒化ケイ素、窒化アルミニウムセラミックからなる群から選択される、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
周囲支持領域の間に延在し、前記周囲支持領域に対して厚さが薄いセンサダイアフラムを含む導電性の感知層と、
第1の電気絶縁接合を通じて前記感知層の上面に接合された底面を有する第1の裏打ち層を含む1つ以上の導電性の裏打ち層を備えた裏打ち層アセンブリと、
前記センサダイアフラムの第1の側の第1の圧力と、第1の側とは反対側の前記センサダイアフラムの第2の側の第2の圧力との間の圧力差に応答して前記センサダイアフラムの撓みに基づいて変化する電気パラメータを有するセンサ素子と、
前記感知層と前記裏打ち層アセンブリのうちの少なくとも1つの露出した非絶縁側に形成され、圧力センサの導電性側縁の間の電圧アーク放電からの電気絶縁を提供する、当該導電性側縁の間のギャップを画定する、切り欠きと、
前記裏打ち層アセンブリの上面に接合された底面を含むペデスタルと、
ヘッダキャビティを有する導電性のヘッダと、を含む前記圧力センサを備え、
前記第1の電気絶縁接合は、前記感知層を前記ペデスタル及び前記ヘッダから電気的に絶縁する、圧力センサアセンブリ。
【請求項17】
前記第1の電気絶縁接合は、前記第1の裏打ち層の底面と前記感知層の上面との間に電気絶縁材料のコーティングを含む、請求項
16に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項18】
前記圧力センサは、電気絶縁層と導電性の前記裏打ち層とを通って、前記センサダイアフラムの第1の面に露出された前記感知層のセンサキャビティへと延在する第1の経路を含み、
前記ペデスタルは、前記第1の経路に接続された第2の経路を含み、
導電性の前記ヘッダは、前記第2の経路に接続された第3の経路と、周囲空気への通気口とを含む請求項
17に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項19】
前記切り欠きが前記第1の裏打ち層に形成されている、請求項
18に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項20】
前記切り欠きは、前記感知層及び前記第1の裏打ち層に形成され、前記第1の電気絶縁接合にまたがる、請求項
18に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項21】
前記感知層と前記1つ以上の裏打ち層は、それぞれ結晶シリコンを含む、請求項
18に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項22】
前記裏打ち層アセンブリの前記1つ以上の導電性の裏打ち層が、第2の電気絶縁接合を通じて前記第1の裏打ち層の上面に接合された底面を有する第2の裏打ち層を含む、請求項
16に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項23】
前記第1及び第2の電気絶縁接合の各々は、前記第1の裏打ち層の上面と前記感知層の下面との間に電気絶縁材料のコーティングを含む、請求項
22に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項24】
前記第1の電気絶縁接合及び前記第2の電気絶縁接合の各々は、密閉され、フリット接合、熱圧縮接合、溶融接合、又は陽極接合からなる群から選択される、請求項
23に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項25】
前記切り欠きが前記第1の裏打ち層に形成されている、請求項
22に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項26】
前記切り欠きは、前記感知層及び前記第1の裏打ち層に形成され、前記第1の電気絶縁接合にまたがる、請求項
22に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項27】
前記圧力センサは、前記感知層に応力絶縁を提供する、前記第1の裏打ち層又は前記第2の裏打ち層に形成された1つ以上のペデスタル構造を含み、
前記1つ以上のペデスタル構造が前記第1の裏打ち層に形成される場合、各ペデスタル構造は前記第1の裏打ち層の上面を含み、
前記1つ以上のペデスタル構造が前記第2の裏打ち層に形成される場合、各ペデスタル構造は第2の裏打ち層の底面を含む、請求項
22に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項28】
前記1つ以上のペデスタル構造が、前記第1の裏打ち層または前記第2の裏打ち層に形成された壁を含み、前記壁が、第1の経路の内部空洞の境界を画定する、請求項
27に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項29】
前記1つ以上のペデスタル構造が、第1の経路の開口部を取り囲む第1の壁を含む、請求項
27に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項30】
前記1つ以上のペデスタル構造が、前記第1の壁を取り囲む第2の壁を含む、請求項
29に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項31】
前記センサ素子が歪みゲージを含む、請求項
16に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項32】
前記センサ素子に結合され、前記電気パラメータに基づいて圧力値を決定するように構成された測定回路をさらに含む、請求項
16に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項33】
前記ペデスタルが導電性である、請求項
16に記載の圧力センサアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、工業プロセス送信機に関し、より詳細には、そのような送信機で使用するための圧力センサアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス送信機などの工業プロセスフィールド装置は、工業プロセス制御および監視システムで使用され、工業プロセス変数を監視し、プロセス変数の測定値を、例えば、化学、石油、ガス、医薬品、または別の流体処理プラントの制御室に伝達する。用語「プロセス変数」は、物質の物理的または化学的状態、またはエネルギの変換を指す。プロセス変数の例には、圧力、温度、流量、導電率、pH、及び他の特性が含まれる。
【0003】
圧力送信機、および他の圧力感知フィールド装置または機器は、プロセス流体の圧力などの圧力を感知する圧力センサを含む。圧力センサは、検知された圧力を示す電気出力を提供する。感知された圧力は、圧力送信機の回路によって処理され、かつ/または外部制御ユニットに伝達されてもよい。
【0004】
いくつかのタイプの圧力センサは、送信機の本体からの電気的絶縁を必要とする。また、プロセス圧力を圧力センサに伝達するオイル充填隔離ユニットを確実に封止する必要がある場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、概して、圧力センサアセンブリ、および圧力センサアセンブリを製造する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
圧力センサアセンブリの一実施形態は、圧力センサと、ペデスタルと、ヘッダキャビティを有する導電性ヘッダとを含む。圧力センサは、周辺支持領域の間に延在するセンサダイアフラムを有する導電性感知層を含み、センサダイアフラムは、周辺支持領域に対して厚さが低減されている。また、圧力センサは、感知層の上面に接合された底面を有する導電性裏打ち層と、裏打ち層の上面に接合された底面を有する電気絶縁層と、センサダイアフラムの第1の側の第1の圧力と、第1の側とは反対側のセンサダイアフラムの第2の側の第2の圧力との間の圧力差に応答してセンサダイアフラムの撓みに基づいて変化する電気パラメータを有するセンサ素子と、を含む。ペデスタルは、電気絶縁層の上面に接合された底面を含む。ペデスタルは、ヘッダキャビティ内のヘッダに取り付けられ、電気絶縁層は、感知層をペデスタル及びヘッダから電気的に絶縁する。
【0007】
圧力センサアセンブリを製造する方法の一例では、圧力センサは、導電性裏打ち層の上面を電気絶縁層の底面に接合することによって形成される。周辺支持領域の間に延在するセンサダイアフラムを含む導電性感知層が提供される。センサダイアフラムは、周辺支持領域と比べて厚さが薄い。感知層の上面は、裏打ち層の底面に接合される。センサダイアフラムの第1の側の第1の圧力と、第1の側とは反対側のセンサダイアフラムの第2の側の第2の圧力との間の圧力差に応答してセンサダイアフラムの撓みに基づいて変化する電気パラメータを有するセンサ素子が形成される。圧力センサは、ペデスタルの底面を電気絶縁層の上面に接合することによってペデスタルに取り付けられる。ペデスタルは、ヘッダキャビティ内の導電性ヘッダに取り付けられる。電気絶縁層は、圧力センサをペデスタル及びヘッダから電気的に絶縁する。
【0008】
圧力センサアセンブリの別の実施形態は、圧力センサと、ペデスタルと、ヘッダキャビティを有する導電性ヘッダとを含む。圧力センサは、周辺支持領域の間に延在するセンサダイアフラムを含む導電性感知層を含む。センサダイアフラムは、周辺支持領域と比べて厚さが薄い。また、圧力センサは、第1の電気絶縁接合を介して感知層の上面に接合された底面を有する第1の裏打ち層と、センサダイアフラムの第1の側の第1の圧力と、第1の側とは反対側のセンサダイアフラムの第2の側の第2の圧力との間の圧力差に応答してセンサダイアフラムの撓みに基づいて変化する電気パラメータを有するセンサ素子と、を含む1以上の導電性裏打ち層を有する裏打ち層アセンブリを含む。切り欠きが、感知層及び裏打ち層アセンブリのうちの少なくとも1つの露出した非絶縁側に形成される。切り欠きは、圧力センサの導電性側縁の間にギャップを画定し、このギャップは、導電性側縁の間の電圧アーク放電からの電気絶縁を提供する。ペデスタルは、裏打ち層アセンブリの上面に接合された底面を含む。第1の電気絶縁層は、感知層をペデスタル及びヘッダから電気的に絶縁する。
【0009】
この概要は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに説明する概念の選択肢を簡略化した形で紹介するために提供される。この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴又は本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の助けとして使用されることを意図するものでもない。特許請求される主題は、「背景技術」で言及された任意のまたはすべての欠点を解決する実装形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るプロセス制御又は測定システムにおける圧力送信機の一例を示す部分断面図である。
【
図2】本発明の実施形態による、
図1の圧力送信機の一部の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態による、圧力センサアセンブリの一部の単純化した断面図である。
【
図4A】本発明の実施形態による、圧力センサおよび圧力センサアセンブリを製造する方法のステップを示す単純化された側面断面図である。
【
図4B】本発明の実施形態による、圧力センサおよび圧力センサアセンブリを製造する方法のステップを示す単純化された側面断面図である。
【
図4C】本発明の実施形態による、圧力センサおよび圧力センサアセンブリを製造する方法のステップを示す単純化された側面断面図である。
【
図4D】本発明の実施形態による、圧力センサおよび圧力センサアセンブリを製造する方法のステップを示す単純化された側面断面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、圧力センサ及び圧力センサアセンブリの一例の単純化された断面図である。
【
図6】本発明の実施形態による電気絶縁接合の一例を示す、
図5の一部の拡大図である。
【
図7】本発明の実施形態による、圧力センサアセンブリおよび圧力センサの単純化された断面図である。
【
図8】本発明の実施形態による、圧力センサアセンブリおよび圧力センサの単純化された断面図である。
【
図9】本発明の実施形態による、圧力センサアセンブリおよび圧力センサの単純化された断面図である。
【
図10】本発明の実施形態による、圧力センサアセンブリおよび圧力センサの単純化された断面図である。
【
図11】本発明の実施形態による、圧力センサアセンブリおよび圧力センサの単純化された断面図である。
【
図12】本発明の実施形態によるセンサアセンブリの断面図である。
【
図13】本発明の実施形態による、
図12のセンサアセンブリの裏打ち層の底面図である。
【
図14】本発明の実施形態による、
図12の圧力センサアセンブリの断面図である。
【
図15】本発明の実施形態による、
図12の圧力センサアセンブリの裏打ち層の底面図である。
【
図16】本発明の実施形態によるセンサアセンブリの単純化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態をより詳細に説明する。また、同一又は類似の符号を用いて識別される要素は、同一又は類似の要素を示すものとする。また、図示を分かり易くするために、各図に示す構成要素の一部を省略している場合がある。
【0012】
本開示の様々な実施形態は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書で説明される特定の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が完全かつ完全となり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
【0013】
図1は、本発明の実施形態による、圧力送信機102を含むプロセス制御又は測定システム100の一例の部分断面図である。
図2は、
図1の送信機102の一部の断面図である。システム100は、材料(例えば、プロセス媒体)の処理に使用されて、材料をより価値の低い状態から、石油、化学品、紙、食品などのより価値があり有用な製品に変換することができる。例えば、システム100は、原油をガソリン、燃料油、及び他の石油化学製品に加工することができる工業プロセスを実施する石油精製所で使用することができる。
【0014】
圧力送信機102は、プロセスカップリング108を介して産業プロセス106に結合され得るハウジング104を含み得る。ハウジング104及びプロセスカップリング108は、ステンレス鋼又は他の適切な材料で形成することができる。送信機102は、ハウジング104に取り付けられ、かつ/またはハウジング104内に収納された圧力センサアセンブリ110を含む。アセンブリ110は、プロセスの圧力を測定するために、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態に従って形成された圧力センサまたは圧力センサダイ112(以下、「圧力センサ」)を含む。圧力センサアセンブリ110は、
図2に最もよく示されるように、ヘッダ114と、圧力センサ112をヘッダ114に接続するペデスタル116とを含むことができる。
【0015】
プロセスカップリング108は、プロセス106に接続され、圧力センサ112によって測定されるべき圧力Pのプロセス材料(例えば、流体)を含むパイプ118に接続することができる。プロセスカップリング108は、
図1に示されるように、圧力センサ112をプロセス材料に曝すことなく圧力Pを圧力センサ112に伝達する際に使用するための隔離ダイアフラム120を含むことができる。隔離ダイアフラム120は、ヘッダ114を通って圧力センサ112を含むキャビティ144まで延びる流体経路122の端部をシールする。圧力Pがプロセス材料から印加されると、隔離ダイアフラム120は、流体経路122に含まれる充填流体に対して圧力を及ぼし、その結果、圧力Pは、充填流体を通じて測定のために圧力センサ112に伝達される。
【0016】
圧力センサ112は、印加された圧力Pを示す電気パラメータを有するセンサ素子を含む。測定回路124は、適切な電気接続126を通じてセンサ素子の電気パラメータを検知し、処理して、検知された圧力Pの値を確立することができる。測定回路124は、
図1に示されるように、プロセス制御ループ132を通じて、検知された圧力Pの値など、検知された圧力Pに関する情報を外部のコンピュータ化された制御ユニット130に通信するための通信回路128を有する送信機102の端子ブロック127に接続することができる。
【0017】
圧力送信機102は、
図2に示されるように、ハウジング104内の通気口135などを通じて、センサ112を周囲圧力又は空気に接続するための経路134を含むことができる。この経路は、ペデスタル116を通って延びることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、プロセス制御ループ132は、
図1に示されるように、2線式制御ループなどの物理通信リンク、および/または無線通信リンクを含む。制御ユニット130、または別の外部コンピューティング装置と圧力送信機102との間の通信は、従来のアナログおよび/またはデジタル通信プロトコルに従って、制御ループ132を介して実行され得る。いくつかの実施形態では、2線式制御ループ132は、4~20ミリアンペアの制御ループを含み、測定された圧力値は、2線式制御ループ132を通って流れるループ電流のレベルによって表すことができる。例示的なデジタル通信プロトコルは、HART(登録商標)通信規格などに従った、2線式制御ループ132のアナログ電流レベルへのデジタル信号の変調を含む。FieldBusおよびProfibus通信プロトコルを含む他の純粋にデジタルの技法を使用することもできる。
【0019】
プロセス制御ループ132の例示的なワイヤレスバージョンは、例えば、WirelessHART(登録商標)(IEC 62591)もしくはISA 100.11a(IEC 62734)などのワイヤレスメッシュネットワークプロトコル、またはWiFi、LoRa、Sigfox、BLE、もしくは任意の他の適切なプロトコルなどの別のワイヤレス通信プロトコルを含む。
【0020】
電力は、任意の適切な電源から圧力送信機102に供給することができる。例えば、圧力送信機102は、制御ループ132を流れる電流によって完全に電力供給されてもよい。また、1つまたは複数の電源を利用して、内部バッテリまたは外部バッテリなどの圧力送信機102に電力を供給することができる。また、発電機(例えば、ソーラーパネル、風力発電機など)を用いて圧力送信機に電力を供給したり、圧力送信機102が用いる電源を充電したりすることもできる。
【0021】
図3は、本発明の実施形態による、ゲージ圧力アセンブリなどの圧力センサアセンブリ110の一部の単純化した断面図である。圧力センサアセンブリ110は、本発明の実施形態に従って形成された圧力センサ112を含み、この圧力センサ112は、ペデスタル116を通じて導電性ヘッダ114(例えば、ステンレス鋼)に取り付けられる。圧力センサ112の上面136は、ペデスタル116の底面138に取り付けられ、ペデスタル116の上面140は、ヘッダ114のキャビティ144内などのヘッダ114の表面142に取り付けられる。
【0022】
圧力センサ112を保護し、適切な動作を確保するために、導電性であってもよいヘッダ114、ハウジング140、及びプロセスカップリング108から圧力センサ112を電気的に絶縁する必要がある。圧力センサ112をこのように電気的に絶縁する従来の技術では、一般に、ヘッダ114からの電荷及び電流が圧力センサ112に到達するのを阻止する電気絶縁ペデスタル116を使用する必要がある。例えば、ペデスタル116は、圧力センサ112をヘッダ114から電気的に絶縁するセラミック又は別の電気絶縁材料で形成された少なくとも一部を含むことができる。しかし、このような構成では、材料の熱膨張係数が実質的に不整合であるため、電気絶縁性ペデスタル116と圧力センサ112の接合部に高い応力が生じる可能性がある。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、一体化された電気的絶縁特徴を有する改善された圧力センサ設計に関する。電気的絶縁特徴のいくつかは、ウェハスタックアセンブリステージで実装されてもよく、その結果、コストおよび複雑さが大幅に削減され、一方で品質が改善される。いくつかの実施形態のさらなる利点は、高められた応力隔離を提供する圧力センサ形状、および他の利点を含む。
【0024】
圧力センサ112の一実施形態は、
図3に示されるように、導電性感知層150、導電性裏打ち層152、及び電気絶縁層154を含む。いくつかの実施形態では、導電性感知層150および導電性裏打ち層152は、それぞれ結晶シリコンを含み、別々のウェハ内に形成することができる。電気絶縁層154は、感知層150をペデスタル116及びヘッダ114から電気的に絶縁する。電気絶縁層154は、例えば、ガラス、セラミック、ホウケイ酸ガラス、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、又は窒化アルミニウムセラミックから形成されてもよいし、これらを含んでもよく、また、ウェハ内に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、層150、152、および154のそれぞれは、12.5ミルなど、20ミル未満とすることができる圧力センサの軸156に沿って測定される厚さを有する。
【0025】
圧力センサ112に組み込まれた電気的絶縁のために、ペデスタル116が従来のペデスタル116に従って電気的絶縁機能を提供する必要はない。いくつかの実施形態は、これを利用して、ペデスタル116とヘッダ114との間の接合部、及びペデスタル116と圧力センサ112との間の接合部における応力を低減する。いくつかの実施形態では、ペデスタル116は、Kovar(登録商標)または他の適切な導電性材料などの導電性材料で形成され、
図3に示されるように、電気絶縁層154の実質的に平坦な表面136に接合される実質的に平坦な表面138を含む。好ましくは、電気絶縁層154は、ペデスタル116を形成する材料と同様の熱膨張係数を有する上述のような材料で形成され、それらの接合部で顕著な応力が発生する可能性をさらに低減する。いくつかの実施形態では、電気絶縁層154の表面136とペデスタル116の表面138との間の接合157は、はんだ接合または別の適切な接合によって形成することができる。ペデスタル116とヘッダ114との間の接合部158は、ろう付け接合部、又は別の適切な接合部を含むことができる。
【0026】
導電性裏打ち層152は、接合164によって感知層150の上面162に接合された底面160を有し、電気絶縁層154は、接合170によって裏打ち層152の上面168に接合された底面166を有する。接合164及び170は、ガラスフリット接合を含むことができ、ガラスフリット接合は、接合される表面上に電気絶縁材料(例えば、熱成長二酸化シリコン)を含むことができ、ペデスタル116及びヘッダ114からの感知層150の電気的絶縁を高めることができる。あるいは、接合部164および170は、熱圧縮接合部、融着接合部、陽極接合部、または別の適切な接合部を含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、裏打ち層152と電気絶縁層154との間の接合部170は、電気絶縁層154と裏打ち層152の経路174を通る経路172の接合部を封止(例えば、密封)する。さらに、電気絶縁層154とペデスタル116との間の接合部157(例えば、はんだ接合部)は、ペデスタル116を通る流体経路134と、電気絶縁層154を通る流体経路172との接合部も封止(例えば、気密封止)する。
【0028】
感知層150は、周辺支持領域178の間に延在するセンサダイアフラム176を使用して圧力Pを感知するように構成される。センサダイアフラム176は、周辺支持領域178に対してセンサ112の軸156に沿って測定した厚さが薄い。キャビティ180が、周辺支持領域178とセンサダイアフラム176との間の感知層150に形成されている。裏打ち層152と感知層150との間の接合部164は、経路174をキャビティ180に封止(例えば、気密封止)する。したがって、キャビティ180は、経路134を通じて周囲圧力に曝され、一方、センサダイアフラム176の反対側のキャビティ144は、流体経路122を通じて充填流体によって連通されるプロセス圧力Pに曝される(
図1)。
【0029】
センサダイアフラム176は、キャビティ144内の圧力Pとキャビティ180内の圧力との圧力差に応答して収縮する又は撓む。圧力Pの測定には、ダイアフラム176の撓みと圧力Pとの既知の関係が用いられる。
【0030】
一実施形態では、センサ素子182は、センサダイアフラム176の撓みを検知し、それによって圧力Pを検知するために使用される。
図3に示されるように、センサ素子182は、感知層150の表面184上など、センサダイアフラム176内又はセンサダイアフラム176上に搭載されてもよく、センサダイアフラム176のたわみに基づいて変化する電気パラメータを有する。測定回路124は、電気接続126を通じてセンサ素子182の電気パラメータの測定値を検出又は受信することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、センサ素子182は、1つまたは複数の歪みゲージを含むことができる。センサダイアフラム176がキャビティ180内のプロセス圧力Pに応答して撓むと、歪みゲージの電気パラメータ(例えば、抵抗)が変化し、プロセス圧力Pを表す。
【0032】
図4A~
図4Dは、本発明の実施形態による、圧力センサ112及び圧力センサアセンブリ110を製造する方法の一例を示す単純化された側面断面図である。いくつかの実施形態では、感知層150、裏打ち層152、および電気絶縁層154は、仮想線で示されるように、それぞれのウェハ内にそれぞれ形成されてもよい。さらに、センサの大量生産を可能にするために、感知層150、裏打ち層152、および電気絶縁層154の複数の形成を各ウェハに形成することができる。層150、152、154の特徴は、従来のエッチング、または他の適切な技法を使用してウェハに形成することができる。
【0033】
図4Aに示されるように、裏打ち層152及び電気絶縁層154は、裏打ち層152の経路174を電気絶縁層154の経路172と整列させて設けることができる。次いで、裏打ち層152の表面168は、
図4Bに示されるように、接合部170によって電気絶縁層154の表面166に接合される。上述したように、接合170は、裏打ち層152の経路174と電気絶縁層154の経路172との間の接合部を封止する。
【0034】
感知層150は、
図4Cに示されるように、キャビティ180が裏打ち層152の経路174と位置合わせされるように配置されてもよい。次いで、接着剤164を使用して、感知層150の表面162を裏打ち層152の表面160に接着して、
図4Dに示される圧力センサ112を形成する。いくつかの実施形態では、接合部164は、裏打ち層152の経路174とキャビティ180との間の接合部を封止する。
【0035】
本方法の実施形態は、上記の特定の順序に限定されない。例えば、感知層150は、裏打ち層152を電気絶縁層154に接合する前に、裏打ち層152に接合することができる。他の調整を行ってもよい。
【0036】
本方法のいくつかの実施形態では、
図4Dに示されるように、金属層186が電気絶縁層154の表面136上に形成される。金属層186は、
図3に示されるように、電気絶縁層154の表面136をペデスタル116の表面138に取り付けるためのはんだを含むことができる。次いで、圧力センサアセンブリ110(
図3)は、ペデスタル116の表面140とヘッダ114の表面142との間に接合(例えば、ろう付け接合)158を形成することなどによって、ペデスタル116をヘッダ114に接続することによって完了することができる。
【0037】
図4Dに示される圧力センサ112が、ウェハのスタックに形成された複数の圧力センサのうちの1つである場合、圧力センサ112の各々は、ライン188に沿って切断して個々の圧力センサ112をウェハのスタックから分離する適切なダイ切断プロセスを使用して、ウェハのスタックから切断することができる。
【0038】
図5は、本発明の実施形態による、圧力センサ112と圧力センサアセンブリ110の別の例の単純化した断面図である。圧力センサ112は、上記の1つ以上の特徴を含み得る導電性感知層150と、裏打ち層152A及び152Bなどの1つ以上の導電性裏打ち層152を含む裏打ち層アセンブリ190を含む。上記で論じたように、これらの層は結晶シリコンを含むことができ、別々のウェハ内に形成することができる。さらに、上述のように、ウェハの積み重ね及び接合を通じて複数の圧力センサ112を同時に形成することができる。
【0039】
経路192は、裏打ち層アセンブリ190を通って延在し、キャビティ180と接続する。
図5の例において, 裏打ち層アセンブリを通る経路192は、導電性裏打ち層152Aを通る経路192Aと、導電性裏打ち層152Bの経路192Bとを含む。経路192に沿った接合部は、層を互いに接続する接合部194及び196によって封止することができる。
【0040】
導電性裏打ち層152Aの上面などの裏打ち層アセンブリ190の表面198は、任意の適切な技法を使用してペデスタル116に接続するように構成することができる。一実施形態では、はんだの層などの金属層186が、裏打ち層アセンブリ190の表面198上に形成され、
図5に示されるように、圧力センサ112をペデスタル116に取り付けるために使用される。次いで、圧力センサ112に関して説明したように、ペデスタル116をヘッダ114(
図3)に取り付けることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、圧力センサ112は、感知層150及び/又はセンサ素子182の電気的絶縁のために、圧力センサ112の層154(
図3)などの電気絶縁層に依存しない。 むしろ、感知層150又はセンサ素子182の電気的絶縁は、感知層150と裏打ち層アセンブリ190との間に形成された接合194、及び/又は裏打ち層152Aと裏打ち層152Bとの間の接合196などの裏打ち層アセンブリ190の層間の接合によってもたらされる。
【0042】
図6は、
図5の部分200の拡大図であり、本発明の実施形態による電気絶縁接合194の一例を示す。一実施形態では、電気絶縁性接合194は、感知層150の表面162及び裏打ち層152Bの表面206上の熱成長二酸化ケイ素などの電気絶縁材料の層又はコーティング202と、コーティング202と表面162及び206との接合(例えば、ガラスフリット接合)を形成するためのコーティング202間のガラス層208と、を含む。ガラスフリット接合194を使用して、ガラス層208をコーティング202に融着し、経路192Bとキャビティ180の接合部を封止することができる。同様の技法を使用して、裏打ち層152Aと152Bの間に接合部196を形成することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、コーティング202は、それぞれ、圧力センサ112の軸156に沿って測定された約0.1ミルの厚さ210を有し、ガラス層208は、約0.6ミルの厚さ212を有することができる。したがって、電気絶縁接合194または196の厚さは、約0.8ミルとすることができる。
【0044】
1つまたは複数の電気絶縁接合は、電荷がペデスタル116から感知層150またはセンサ素子182に伝導されるのを阻止することができるが、各電気絶縁接合194、196の厚さは、
図5の矢印216によって示されるように、センサ112がウェハスタックからダイカットされた後などに、圧力センサ112の非絶縁側面214と露出側面214の間に十分なギャップを提供しないことで、接合の周りの電気アーク放電(高電位故障)を防止することができる。ヘッダ114及びペデスタル116から圧力センサ112に印加することができる典型的な電圧では、このような電気的アーク放電を防止するために、導電性表面214の間に約5ミルのギャップが必要である。したがって、電気絶縁接合194および196は、高電位故障からの感知層150またはセンサ素子182の十分な保護を提供しない可能性がある。
【0045】
図7~
図11は、本発明の実施形態による、圧力センサ112の非絶縁側部214間の電気アーク放電を防止するための特徴を含む圧力センサアセンブリ110および圧力センサ112の単純化された断面図である。いくつかの実施形態では、溝又は切り欠き220が、感知層150及び/又は裏打ち層アセンブリ190の露出及び非絶縁側面又は表面214に形成される。切り欠き220は、圧力センサ112の周囲を取り囲んで延在し、導電性側面214間の電気アーク放電を防止するのに十分な軸156に沿って延在するギャップ222を画定する。例えば、ギャップ222は、
図8~12に示されるように、8ミル又は10ミルなど、5ミルよりも長い距離だけ軸に沿って延びることができる。
【0046】
切り欠き220は、水酸化カリウム(KOH)ウェットエッチングプロセスなどの任意の適切な技法を使用して、感知層150、および/または裏打ち層アセンブリ190の裏打ち層152の1つまたは複数に形成することができる。例えば、切り欠き220は、
図7に示されるように、裏打ち層アセンブリの隣接する裏打ち層152A及び152Bに形成することができる。これは、裏打ち層152が、例えば、12.5ミルなどの20ミル未満の厚さを有するウェハなどの比較的薄いウェハで形成される場合、切り欠きの好ましい位置となり得る。
【0047】
図8~
図10は、切り欠き220が裏打ち層アセンブリ190の単一の裏打ち層152A又は152Bに形成される圧力センサ112の例を示す。いくつかの実施形態では、切り欠き220を含む裏打ち層150は、例えば20ミル又は35ミルなど、12.5ミルを超える厚さを有する。
図9、10に示されるように、ペデスタル116に付着した下裏打ち層152Aに切り欠きが形成され、
図11に示されるように、 切り欠き220が、感知層150に付着する上側裏打ち層152Bに形成される。
【0048】
いくつかの実施形態では、裏打ち層152Aと152Bの間の絶縁接合196は、
図8に示されるように、裏打ち層152Bの底面224などの隣接面のうちのより大きい方を横切って延在してもよい。あるいは、接合部196は、隣接する表面のうちの短い方を横切って延在してもよく、隣接する表面のうちの大きい方を超えて延在しない。例えば、接合部196は、
図9に示されるように、裏打ち層152Aの表面226、又は
図10に示されるように、裏打ち層152Bの表面224を覆って延在してもよい。
【0049】
図11は、感知層150と裏打ち層アセンブリ190との間に延在する切り欠き220を有する圧力センサ112を含む圧力センサアセンブリ110の単純化した断面図である。ここで、裏打ち層アセンブリ190は、単一の導電性裏打ち層152を含む。電気絶縁接合194が、感知層150の底面162を裏打ち層152の表面206に接合する。感知層150の厚さ、及び軸156に沿って測定される裏打ち層152の厚さは、例えば、12.5ミルなどの約10~15ミルとすることができる。
【0050】
本発明のさらなる実施形態は、電気絶縁層(例えば、
図3の圧力センサの層154)、または導電性裏打ち層(例えば、層152Aまたは152B)など、圧力センサ112の1つまたは複数の層内のペデスタル構造に関する。ペデスタル構造は、圧力センサ112の隣接する層間の接触面積を縮小することによって、感知層150に応力絶縁をもたらす。これにより、感知層150の動作に悪影響を及ぼす可能性のある有害な応力が感知層150に到達する可能性が低減される。また、各ペデスタル構造は、ウェットエッチング法などを用いて形成してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、層内のペデスタル構造は、圧力センサ112の軸156と、層を通って延在する経路の開口部とを取り囲み、経路の空洞を画定する壁を含む。この壁は、圧力センサ112の隣接する層の間の接触面積を縮小し、感知層150への応力分離の提供を助ける。
【0052】
この壁の特徴の一例が、
図8、
図9の圧力センサ112に示されている。
図8、9では、裏打ち層152Aは、軸156に沿って上面198から裏打ち層152Aの底面226まで垂直に延在する壁230を含む。壁230は軸156を取り囲み、裏打ち層152Aを通る経路192Aのキャビティ234の境界を画定する内面232を含む。壁230の外面236は、切り欠き220の内面を画定することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、表面238は、壁230から経路192Aの開口部240まで延在する。壁230には接触領域242が形成されており、この接触領域242は、この例では裏打ち層152Bである圧力センサ112の隣接層と、対応する接合部196を介して係合又は接合されている。接合196を介した裏打ち層152Aと裏打ち層152Bとの間の小さな接触領域242は、ペデスタル116への取り付けによって裏打ち層152Aに生じ得る応力を隔離し、感知層150へのそれらの応力の伝達を低減する。
【0054】
壁特徴のさらなる例を
図10に示す。
図10では、壁230は裏打ち層152Bに形成され、小接触面242は表面224に形成される。
【0055】
図12及び
図13は、それぞれ、本発明の実施形態による、圧力センサアセンブリ110の断面図と、
図12のアセンブリ110の裏打ち層152Aの底面図である。 ここで、切り欠き230は、
図7に示される例よりも、軸156側へ向かう距離だけ裏打ち層152Aの側面214を貫通している。その結果、上述した壁と同様に作動する壁230が形成される。例えば、壁230は、表面198から裏打ち層152Aの表面196まで延在し、表面196は、
図8に示される例と比べて、電気的に絶縁性の接合であってもよい接合196を通じて、隣接する裏打ち層152Bの表面224との接触面積が縮小されている。
【0056】
図14及び
図15は、それぞれ、本発明の実施形態による、圧力センサアセンブリ110の断面図、及び
図14のアセンブリ110の裏打ち層152Aの底面図である。 この例では、裏打ち層152Aは、壁230A及び230Bなどの複数の壁230を含む。壁230の各々は、裏打ち層152Aを通じて軸156及び流体キャビティ192Aを取り囲み、壁230Aは壁230Bを取り囲む。壁230Aおよび230Bは、
図7に示される例と比べて、隣接する裏打ち層152Bとの接触面積を縮小し、感知層150を裏打ち層152A内の応力から隔離する。壁230Aは、接合196を通じて裏打ち層152Bの表面224と接触するか又は取り付けられる表面226の接触領域242Aを有し、壁230Bは、接合196を通じて裏打ち層152Bの表面224と接触するか又は取り付けられる上面226の接触領域242Bを有する。上述したように、接合196は、電気的に絶縁性の接合とすることができる。壁230Aの外面236Aは、切り欠き220の内面を形成することができ、壁230Aの内面232Aは、内部空洞244の境界を画定することができる。内部キャビティ244は、経路192とセンサ外部の両方からシールすることができ、これにより、裏打ち層152Aの剛性を低下させることによって、センサマウントからダイアフラム176に引き起こされる応力を低減又は最小限に抑えることができる。壁230Bの外面236Bは、キャビティ244の境界を画定することができ、壁230Bの内面232Bは、裏打ち層152Aを通る経路192Aのキャビティ234の境界を画定することができる。
【0057】
図16は、本発明の実施形態による圧力センサアセンブリ110の単純化した断面図である。
図16に示す圧力センサアセンブリ110の例では、圧力センサ112の層256は、例えば
図3の圧力センサアセンブリ110に対して短いペデスタル116を可能にする。ここで、圧力センサ112の層256は、
図3の圧力センサ112の層154などの電気絶縁層、又は
図5の層152のような導電性裏打ち層の形態をとってもよい。
【0058】
図16に示されるように、層256は、層256とヘッダ114との間にギャップ258を維持するようにそのウェハ形状(破線)に対して成形され、一方、層256の表面260は、
図3に示されるように、ヘッダ114の肩部262の下ではなく、ヘッダ114の肩部262の上で軸156に沿って配置されることを可能にする。これにより、ヘッダ114の肩部262から軸156に沿って測定される圧力センサ112の高さ264を、
図3に示されるような他の構成と比べて縮小することができる。さらに、ペデスタル116をより短く形成し、ペデスタルの表面138をヘッダ114の肩部262の上方に位置させることができる。その結果、圧力センサアセンブリ110は、
図3に示されるような他の圧力センサアセンブリ設計よりもコンパクトに形成することができる。さらに、ヘッダ114のベース142(
図3)からキャビティ180への短い流体経路122は、圧力センサアセンブリ110によって使用される充填流体容積の減少を可能にする。
【0059】
上記のように、いくつかの実施形態では、金属層186(
図4D、
図5)、例えばはんだなど、が圧力センサ112の頂部に塗布され、圧力センサ112のペデスタル116への取り付けを容易にする。本発明のいくつかの実施形態は、金属層186が適用されると、適用された金属で圧力センサ112及びキャビティ180を通る経路が汚染される可能性を低減する特徴を含む。
【0060】
一例では、1つまたは複数の制限270が、
図4D,
図5に示されるように、圧力センサ112の経路内に生成される。一実施形態では、各制限部270は、
図4Dに示される圧力センサ112の層152や、
図4Dに示される圧力センサ112の層152A、152Bに設けられるような、経路のテーパ状セクションによって形成される。各制限部270は、裏打ち層152Aの表面198への金属層186の適用中に、圧力センサ112及びキャビティ180を通る経路の潜在的な汚染に対する部分的なブロックを提供する。このような制限部270は、
図4Dの圧力センサ112の電気絶縁層154に形成されていてもよい。
【0061】
本発明の実施形態を好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更を行うことができることを認識するであろう。本開示の実施形態は、本明細書で説明される実施形態のうちの1つまたは複数の組み合わせを含む。例えば、センサ素子は、容量性電極と基準電極との間で測定され、プロセス圧力Pを示すキャパシタンスを有する容量性電極を備えてもよい。