(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】レーザの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/12 20210101AFI20240521BHJP
【FI】
H01S5/12
(21)【出願番号】P 2023519294
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 CN2021125767
(87)【国際公開番号】W WO2022089325
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】202011158751.8
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523108603
【氏名又は名称】中興光電子技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHONGXING PHOTONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Floor 23 Building 2,No.30,Fengzhan Road,Yuhuatai District Nanjing,Jiangsu 210012 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】▲トン▼秋芳
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102377109(CN,A)
【文献】特開平05-095165(JP,A)
【文献】特開2009-289993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板において、第1分布フィードバックDFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画するステップと、
前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するステップと、
前記領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、前記チューニング領域及び前記領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、前記チューニング領域の多重量子井戸層の組成が前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにするステップと、
前記領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除くステップと、を含
み、
前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する前記ステップは、
前記第1DFB領域に、第1方向に並べて順次設けられた第1領域選択的媒質マスクストリップと第2領域選択的媒質マスクストリップが製造された、第1領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するステップと、
前記第2DFB領域に、第1方向に並べて順次設けられた第3領域選択的媒質マスクストリップと第4領域選択的媒質マスクストリップが製造された、第2領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するステップと、
前記第1領域選択的媒質マスクストリップ、前記第2領域選択的媒質マスクストリップ、前記第3領域選択的媒質マスクストリップ及び前記第4領域選択的媒質マスクストリップの前記チューニング領域に近い一端を狭めていく形状にするステップと、を含む、レーザの製造方法。
【請求項2】
前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する前記ステップ
では
、
前記第1領域選択的媒質マスクストリップペアと第2領域選択的媒質マスクストリップペアは第2方向に沿って製造され、前記第1方向は第2方向に垂直である請求項1に記載のレーザの製造方法。
【請求項3】
前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する前記ステップは、
前記第1領域選択的媒質マスクストリップと前記第3領域選択的媒質マスクストリップを鏡像対称に設けるステップと、
前記第2領域選択的媒質マスクストリップと前記第4領域選択的媒質マスクストリップを鏡像対称に設けるステップと、をさらに含む請求項2に記載のレーザの製造方法。
【請求項4】
基板において、第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画する前記ステップの後に、
基板上に格子層及び被覆層を順次製造するステップをさらに含む請求項1に記載のレーザの製造方法。
【請求項5】
前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する前記ステップは、
前記被覆層における前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するステップを含む請求項
4に記載のレーザの製造方法。
【請求項6】
前記領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除く前記ステップの後に、
前記上部分離・閉じ込め層上に格子層を製造するステップをさらに含む請求項1に記載のレーザの製造方法。
【請求項7】
基板において、第1分布フィードバックDFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画するステップと、
前記チューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するステップと、
前記第1DFB領域、前記領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された前記チューニング領域及び前記第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、前記チューニング領域の多重量子井戸層の組成が前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにするステップと、
前記領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除くステップと、を含
み、
前記チューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する前記ステップは、
前記領域選択的媒質マスクストリップペアの前記第1DFB領域に近い一端を狭めていく形状にするステップと、
前記領域選択的媒質マスクストリップペアの前記第2DFB領域に近い一端を狭めていく形状にするステップと、を含むレーザの製造方法。
【請求項8】
前記第1DFB領域、前記領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された前記チューニング領域及び前記第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させる前記ステップは、
前記チューニング領域に前記領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された前記基板上に緩衝層を成長させるステップと、
前記緩衝層上に下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次成長させるステップと、を含む請求項
7に記載のレーザの製造方法。
【請求項9】
前記基板において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画するステップの後に、
基板上に格子層及び被覆層を順次製造するステップをさらに含む請求項
7に記載のレーザの製造方法。
【請求項10】
チューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する前記ステップは、
前記被覆層における前記チューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するステップを含む請求項
9に記載のレーザの製造方法。
【請求項11】
前記領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除く前記ステップの後に、
前記上部分離・閉じ込め層上に格子層を製造するステップをさらに含む請求項
7に記載のレーザの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は出願番号が202011158751.8、出願日が2020年10月26日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願のすべての内容はここで参照として本願に組み込まれている。
【0002】
本願の実施例は通信分野に関するが、これに限定されるものではなく、特にレーザの製造方法及びレーザに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、光通信分野における情報伝送量の急増に伴い、通信容量を効果的に拡張できる波長分割多重(WDM)システムは急速に発展し、より効果的な通信システムの構築に用いることができる波長可変半導体レーザは広く注目される。波長安定性が良く、波長可変範囲が大きく、構造がコンパクトで、消費電力が低く、高速動作の半導体レーザは、光通信分野で重要な意義を持っている。
【0004】
現在、波長可変半導体レーザは主に分布ブラッグ反射鏡(DBR:Distributed Bragg Reflection)レーザと分布フィードバック(DFB:Distributed Feedback)レーザの2種類がある。このうち、構造がコンパクトな波長可変DFBレーザは、相領域に電流を注入することで励起波長を変化させることができるが、このような構造のDFB集積レーザは、中間の相領域がバットジョイント成長させたバルク材料(格子を含まない)であり、両側のDFB領域の格子端面の初期位相が格子形状によって決定されるため、モードホッピングが生じやすく、形状の再現性が悪いために励起波長が大きく変化する。また、相領域のバットジョイント界面に結晶欠陥が発生する恐れがあり、その結果として、レーザの信頼性が低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例の主要な目的はレーザの製造方法及びレーザを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様では、本願の実施例は、レーザの製造方法を提供する。前記レーザの製造方法は、基板において、第1分布フィードバックDFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画するステップと、前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するステップと、前記領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、前記チューニング領域及び前記領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、前記チューニング領域の多重量子井戸層の組成が前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにするステップと、前記領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除くステップと、を含む。
【0007】
第2態様では、本願の実施例は、レーザの製造方法を提供する。前記レーザの製造方法は、基板において、第1分布フィードバックDFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画するステップと、前記チューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するステップと、前記第1DFB領域、前記領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された前記チューニング領域及び前記第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、前記チューニング領域の多重量子井戸層の組成が前記第1DFB領域及び前記第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにするステップと、前記領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除くステップと、を含む。
【0008】
第3態様では、本願の実施例はまた、上記の第1態様の製造方法で製造された、又は、上記の第2態様の製造方法で製造されたレーザを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願の一実施例によるレーザの製造方法のフローチャートである。
【
図2】本願の別の実施例によるレーザの製造方法のフローチャートである。
【
図3】本願の別の実施例によるレーザの製造方法のフローチャートである。
【
図4】本願の別の実施例によるレーザの製造方法のフローチャートである。
【
図5】本願の別の実施例によるレーザの製造方法のフローチャートである。
【
図6】本願の別の実施例によるレーザの製造方法のフローチャートである。
【
図7】本願の一実施例によるレーザの上面図である。
【
図8】本願の別の実施例によるレーザの上面図である。
【
図9】本願の実施例1のレーザの製造過程の第1概略図である。
【
図10】本願の実施例1のレーザの製造過程の第2概略図である。
【
図11】本願の実施例1のレーザの製造過程の第3概略図である。
【
図12】本願の実施例1のレーザの製造過程の第4概略図である。
【
図13】本願の実施例1のレーザの製造過程の第5概略図である。
【
図15】本願の実施例3のレーザの製造過程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、図面及び実施例を参照して、本願をさらに詳細に説明する。ここで説明する特定実施例は本願を解釈するために過ぎず、本願を限定するものではない。
【0011】
なお、装置概略図において機能モジュールが区分されており、フローチャートにおいて論理順序が示されているが、場合によっては、装置のモジュールと異なるように区分されてもよいし、又は、示される又は説明されるステップがフローチャートにおける順序と異なる順序で実行されてもよい。
【0012】
本実施例はレーザの製造方法及びレーザを提供する。レーザの製造方法は、基板において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画するステップと、第1DFB領域及び第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するか、又はチューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するステップと、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、チューニング領域及び領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域、又は第1DFB領域、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造されたチューニング領域及び第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、チューニング領域の多重量子井戸層の組成が第1DFB領域及び第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにするステップと、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除くステップと、を含む。該製造方法では、レーザを第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域に区画し、下部分離・閉じ込め層を成長させる前に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造し、チューニング領域の多重量子井戸層の組成が第1DFB領域及び第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにし、そして、上部分離・閉じ込め層を成長させた後に、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除くことができる。該製造方法で製造されたレーザは、信頼性が高く、レーザ波長可変範囲の拡大が可能である。
【0013】
以下、図面を参照して、本願の実施例についてさらに説明する。
【0014】
一実施例では、
図1に示すように、
図1は本願の実施例によるレーザの製造方法のフローチャートであり、一実施例では、レーザの製造方法は、ステップS110~ステップS140を含むが、これらに限定されない。
【0015】
ステップS110:基板において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画する。
【0016】
一実施例では、基板のエピタキシャル成長面において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画してもよい。レーザの製造においては、基板に基づくエピタキシャル成長は区画後の3つの領域に応じて行われる。
【0017】
ステップS120:第1DFB領域及び第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する。
【0018】
一実施例では、下部分離・閉じ込め層をエピタキシャル成長させる前に、第1DFB領域及び第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよい。
【0019】
なお、領域選択的媒質マスクストリップの幅、間隔及び形状は製造されるレーザの要件に応じて設定され、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0020】
一実施例では、第1DFB領域に、第1方向に並べて順次設けられた第1領域選択的媒質マスクストリップと第2領域選択的媒質マスクストリップが製造された、第1領域選択的媒質マスクストリップペアを製造し、第2DFB領域に、第1方向に並べて順次設けられた第3領域選択的媒質マスクストリップと第4領域選択的媒質マスクストリップが製造された、第2領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよい。第1領域選択的媒質マスクストリップペアと第2領域選択的媒質マスクストリップペアは、第2方向に沿って製造される。第1方向は、第2方向に垂直である。
【0021】
例えば、第1DFB領域に第1領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよく、第1領域選択的媒質マスクストリップペアは、第1方向に設けられる、サイズが同じで形状が同じかつ平行する2つの直方体であってもよい。第2DFB領域に第2領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよく、第2領域選択的媒質マスクストリップペアは、第1方向に設けられる、サイズが同じで形状が同じかつ間隔が存在し、平行する2つの直方体であってもよい。また、第1領域選択的媒質マスクストリップペアと第2領域選択的媒質マスクストリップペアは第2方向に設けられる。
【0022】
一実施例では、上記の実施例に基づいて、第1領域選択的媒質マスクストリップと第3領域選択的媒質マスクストリップを鏡像対称に設けるようにしてもよく、第2領域選択的媒質マスクストリップと第4領域選択的媒質マスクストリップを鏡像対称に設けるようにしてもよい。
【0023】
なお、第1領域選択的媒質マスクストリップペアと第2領域選択的媒質マスクストリップペアは鏡像対称に設けられてもよいが、本実施例はこれにのみ限定しない。
【0024】
一実施例では、上記の実施例に基づいて、第1領域選択的媒質マスクストリップ、第2領域選択的媒質マスクストリップ、第3領域選択的媒質マスクストリップ及び第4領域選択的媒質マスクストリップのチューニング領域に近い一端を狭めていく形状にしてもよい。これにより、エピタキシャル材料を成長させた後に、DFB領域とチューニング領域との界面が滑らかに移行し、界面に欠陥が生じるリスクが低減し、界面欠陥による信頼性の課題が回避できる。
【0025】
例えば、第1領域選択的媒質マスクストリップ、第2領域選択的媒質マスクストリップ、第3領域選択的媒質マスクストリップ及び第4領域選択的媒質マスクストリップのチューニング領域に近い一端を直角三角形の形状にしてもよい。
【0026】
なお、領域選択的媒質マスクストリップペアの材料はシリカや酸窒化シリコンであってもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0027】
ステップS130:領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、チューニング領域及び領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、チューニング領域の多重量子井戸層の組成が第1DFB領域及び第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにする。
【0028】
一実施例では、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造が完了した後に、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、チューニング領域及び領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させてもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの作用により、エピタキシャル成長に際しては、材料が異なると、成長源分子のその表面での核形成特性が異なり、これによって、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の組成が変わり、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の励起波長では、大面積領域(すなわち、領域選択的媒質マスクストリップペア以外に対応する領域)に対して赤方偏移現象が現れる。このため、1回エピタキシャル成長させるだけで、チューニング領域とDFB領域(第1DFB領域と第2DFB領域を含む)の活性層のバンドギャップ波長がずれ、チューニング領域の境界電流がDFB領域の閾値電流よりも大きくなり、レーザの波長可変範囲が広がる。
【0029】
ステップS140:領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除く。
【0030】
一実施例では、上部分離・閉じ込め層の成長が完了した後に、すなわち、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の組成が変わった後に、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除き、次にエピタキシャル成長を持続してもよい。
【0031】
なお、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除くプロセスとしては、ウェットエッチングプロセスであっても、ドライエッチングプロセスであってもよく、本実施はこれについて特に限定しない。
【0032】
一実施例では、上記のステップS110~ステップS140を用いることによって、基板のエピタキシャル成長面において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画し、第1DFB領域及び第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの製造が完了した後に、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、チューニング領域及び領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させ、その後に、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除いてもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの作用により、エピタキシャル成長に際しては、材料が異なると、成長源分子のその表面での核形成特性が異なり、これによって、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の組成が変わり、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の励起波長では、領域選択的媒質マスクストリップペア以外に対応する領域に対して赤方偏移現象が現れる。このため、1回エピタキシャル成長させるだけで、チューニング領域とDFB領域の活性層のバンドギャップ波長がずれ、チューニング領域の境界電流がDFB領域の閾値電流よりも大きくなり、レーザの波長可変範囲が広がる。領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状を合理的に設計することにより、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、また、DFB領域の活性層とチューニング領域の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。レーザ全体の製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0033】
なお、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除いた後に、上部分離・閉じ込め層上にエピタキシャル成長を持続し、成長を完了した後に電極を設け、レーザを製造するようにしてもよい。成長させ続ける層数や種類については、本実施例は特に限定しない。例えば、上部分離・閉じ込め層上に被覆層及び接触層をさらにエピタキシャル成長させ、その後に、一般的な半導体レーザ用のプロセスによって後続のプロセスを完了し、溝エッチング又はイオン注入によって、DFB領域と波長可変領域とを電気的に絶縁してもよい。
【0034】
なお、レーザを製造する材料系はインジウムガリウムヒ素リン/リン化インジウム材料系であってもよいし、インジウムガリウムアルミニウムヒ素/リン化インジウム材料系であってもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0035】
なお、領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状は実際の製造に応じて決定されてもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0036】
なお、領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状によって、レーザのチューニング領域の材料のゲインピークがDFB領域の材料のゲインピークから30~80nmずれるようにしてもよい。ゲインピークの偏移量が大きすぎると、材料の成長品質が悪影響を受け、また、移行界面のなだらかさが不十分になり、レーザの信頼性が影響を受ける。ゲインピークの偏移量が小さすぎると、ブラッグ励起波長とチューニング領域のPLピーク値波長の偏移量が小さすぎ、チューニング領域の活性層の境界電流と2つのDFB部分の活性層の閾値電流との差が小さく、レーザのチューニング範囲を十分に広げることができない。
【0037】
図2に示すように、一実施例では、
図1の実施例のレーザの製造方法を基にして拡張し、製造方法は、ステップS210~ステップS250を含むが、これらに限定されない。
【0038】
ステップS210:基板において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画する。
【0039】
ステップS220:基板上に格子層及び被覆層を順次製造する。
【0040】
ステップS230:被覆層における第1DFB領域及び第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する。
【0041】
ステップS240:領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、チューニング領域及び領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、チューニング領域の多重量子井戸層の組成が第1DFB領域及び第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにする。
【0042】
ステップS250:領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除く。
【0043】
一実施例では、上記のステップS210~ステップS250を用いることによって、基板のエピタキシャル成長面において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画し、基板上に格子層及び被覆層を順次製造し、被覆層の第1DFB領域及び第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの製造が完了した後に、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、チューニング領域及び領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させ、その後に、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除いてもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの作用により、エピタキシャル成長に際しては、材料が異なると、成長源分子のその表面での核形成特性が異なり、これによって、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の組成が変わり、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の励起波長では、領域選択的媒質マスクストリップペア以外に対応する領域に対して赤方偏移現象が現れる。このため、1回エピタキシャル成長させるだけで、チューニング領域とDFB領域の活性層のバンドギャップ波長がずれ、チューニング領域の境界電流がDFB領域の閾値電流よりも大きくなり、レーザの波長可変範囲が広がる。領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状を合理的に設計することにより、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、また、DFB領域の活性層とチューニング領域の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。レーザ全体の製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0044】
なお、格子層の格子の周期をΛ、レーザのブラッグ励起波長をλ=2neffΛとして表してもよく、ここで、neffは導波路有効屈折率、Λは格子周期である。格子周期Λと有効屈折率neffの両方により決定される励起波長は2つのDFB領域の活性層のゲインピークのピーク値に設計され、この場合、チューニング領域の活性層のゲインピークとブラッグ励起波長とには所定の偏移量があり、これにより、チューニング領域の境界電流を増大することができる。
【0045】
なお、格子はホログラフィック露光によって製造されてもよく、電子ビーム直接描画方式によって製造されてもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0046】
なお、格子は均一格子でも位相シフト格子でもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0047】
図3に示すように、一実施例では、
図1の実施例のレーザの製造方法を基にして拡張し、レーザの製造方法は、ステップS310~ステップS350を含むが、これらに限定されない。
【0048】
ステップS310:基板において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画する。
【0049】
ステップS320:基板における第1DFB領域及び第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する。
【0050】
ステップS330:領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、チューニング領域及び領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、チューニング領域の多重量子井戸層の組成が第1DFB領域及び第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにする。
【0051】
ステップS340:領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除く。
【0052】
ステップS350:上部分離・閉じ込め層上に格子層を製造する。
【0053】
一実施例では、上記のステップS310~ステップS350を用いることによって、基板のエピタキシャル成長面において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画し、基板における第1DFB領域及び第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの製造が完了した後に、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、チューニング領域及び領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させ、その後に、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除き、上部分離・閉じ込め層上に格子を製造してもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの作用により、エピタキシャル成長に際しては、材料が異なると、成長源分子のその表面での核形成特性が異なり、これによって、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の組成が変わり、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の励起波長では、領域選択的媒質マスクストリップペア以外に対応する領域に対して赤方偏移現象が現れる。このため、1回エピタキシャル成長させるだけで、チューニング領域とDFB領域の活性層のバンドギャップ波長がずれ、チューニング領域の境界電流がDFB領域の閾値電流よりも大きくなり、レーザの波長可変範囲が広がる。領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状を合理的に設計することにより、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、また、DFB領域の活性層とチューニング領域の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。レーザの製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0054】
なお、上部分離・閉じ込め層上への格子層の製造は、上部分離・閉じ込め層上に格子を直接製造してもよく、上部分離・閉じ込め層上に格子層を成長させ、格子層上に格子を製造してもよい。
【0055】
なお、格子層の格子の周期をΛ、レーザのブラッグ励起波長をλ=2neffΛとして表してもよく、ここで、neffは導波路有効屈折率、Λは格子周期である。格子周期Λと有効屈折率neffの両方により決定される励起波長は2つのDFB領域の活性層のゲインピークのピーク値に設計され、この場合、チューニング領域の活性層のゲインピークとブラッグ励起波長とには所定の偏移量があり、これにより、チューニング領域の境界電流を増大することができる。
【0056】
なお、格子はホログラフィック露光によって製造されてもよく、電子ビーム直接描画方式によって製造されてもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0057】
なお、格子は均一格子でも位相シフト格子でもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0058】
図4に示すように、一実施例では、レーザの製造方法は、ステップS410~ステップS440を含むが、これらに限定されない。
【0059】
ステップS410:基板において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画する。
【0060】
ステップS420:チューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する。
【0061】
一実施例では、領域選択的媒質マスクストリップペアは、幅が同じで形状が同じかつ間隔が存在し、平行に設けられた2つの直方体であってもよい。
【0062】
一実施例では、領域選択的媒質マスクストリップペアの第1DFB領域に近い一端を狭めていく形状にし、領域選択的媒質マスクストリップペアの第2DFB領域に近い一端を狭めていく形状にする。これにより、エピタキシャル材料を成長させた後に、DFB領域とチューニング領域との界面が滑らかに移行し、界面に欠陥が生じるリスクが低減し、界面欠陥による信頼性の課題が回避できる。
【0063】
なお、領域選択的媒質マスクストリップの幅、間隔及び形状は製造されるレーザの要件に応じて設定され、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0064】
ステップS430:第1DFB領域、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造されたチューニング領域及び第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、チューニング領域の多重量子井戸層の組成が第1DFB領域及び第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにする。
【0065】
ステップS440:領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除く。
【0066】
一実施例では、上記のステップS410~ステップS440を用いることによって、基板のエピタキシャル成長面において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画し、チューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの製造が完了した後に、基板における第1DFB領域、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造されたチューニング領域及び第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させ、その後に、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除いてもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの作用により、エピタキシャル成長に際しては、材料が異なると、成長源分子のその表面での核形成特性が異なり、これによって、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の組成が変わり、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の励起波長では、領域選択的媒質マスクストリップペア以外に対応する領域に対して赤方偏移現象が現れる。このため、1回エピタキシャル成長させるだけで、チューニング領域とDFB領域の活性層のバンドギャップ波長がずれ、チューニング領域の境界電流がDFB領域の閾値電流よりも大きくなり、レーザの波長可変範囲が広がる。領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状を合理的に設計することにより、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、また、DFB領域の活性層とチューニング領域の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。レーザ全体の製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0067】
なお、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除いた後に、上部分離・閉じ込め層上に成長を持続し、成長を完了した後に電極を設け、レーザを製造するようにしてもよい。成長させ続ける層数や種類については、本実施例は特に限定しない。
【0068】
なお、レーザを製造する材料系はインジウムガリウムヒ素リン/リン化インジウム材料系であってもよいし、インジウムガリウムアルミニウムヒ素/リン化インジウム材料系であってもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0069】
なお、領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状は実際の製造に応じて決定されてもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0070】
なお、領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状によって、レーザのチューニング領域の材料のゲインピークがDFB領域の材料のゲインピークから30~80nmずれるようにしてもよい。ゲインピークの偏移量が多すぎると、材料の成長品質が悪影響を受け、また、移行界面のなだらかさが不十分になり、レーザの信頼性が影響を受ける。ゲインピークの偏移量が小さすぎると、ブラッグ励起波長とチューニング領域のPLピーク値波長の偏移量が小さすぎ、チューニング領域の活性層の境界電流と2つのDFB部分の活性層の閾値電流との差が小さく、レーザのチューニング範囲を十分に広げることができない。
【0071】
図5に示すように、一実施例では、
図4の実施例のレーザの製造方法を基にして拡張し、レーザの製造方法は、ステップS510~ステップS550を含むが、これらに限定されない。
【0072】
ステップS510:基板において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画する。
【0073】
ステップS520:基板上に格子層及び被覆層を順次製造する。
【0074】
ステップS530:被覆層におけるチューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する。
【0075】
ステップS540:第1DFB領域、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造されたチューニング領域及び第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、チューニング領域の多重量子井戸層の組成が第1DFB領域及び第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにする。
【0076】
ステップS550:領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除く。
【0077】
一実施例では、上記のステップS510~ステップS550を用いることによって、基板のエピタキシャル成長面において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画し、基板上に格子層及び被覆層を順次製造し、被覆層におけるチューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの製造が完了した後に、第1DFB領域、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造されたチューニング領域及び第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させ、その後に、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除いてもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの作用により、エピタキシャル成長に際しては、材料が異なると、成長源分子のその表面での核形成特性が異なり、これによって、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の組成が変わり、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の励起波長では、領域選択的媒質マスクストリップペア以外に対応する領域に対して赤方偏移現象が現れる。このため、1回エピタキシャル成長させるだけで、チューニング領域とDFB領域の活性層のバンドギャップ波長がずれ、チューニング領域の境界電流がDFB領域の閾値電流よりも大きくなり、レーザの波長可変範囲が広がる。領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状を合理的に設計することにより、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、また、DFB領域の活性層とチューニング領域の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。レーザ全体の製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0078】
なお、格子層の格子の周期をΛ、レーザのブラッグ励起波長をλ=2neffΛとして表してもよく、ここで、neffは導波路有効屈折率、Λは格子周期である。格子周期Λと有効屈折率neffの両方により決定される励起波長は2つのDFB領域の活性層のゲインピークのピーク値に設計され、この場合、チューニング領域の活性層のゲインピークとブラッグ励起波長とには所定の偏移量があり、これにより、チューニング領域の境界電流を増大することができる。
【0079】
なお、格子はホログラフィック露光によって製造されてもよく、電子ビーム直接描画方式によって製造されてもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0080】
なお、格子は均一格子でも位相シフト格子でもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0081】
図6に示すように、一実施例では、
図4の実施例のレーザの製造方法を基にして拡張し、レーザの製造方法は、ステップS610~ステップS660を含むが、これらに限定されない。
【0082】
ステップS610:基板において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画する。
【0083】
ステップS620:基板におけるチューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する。
【0084】
ステップS630:チューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された基板上に緩衝層を成長させる。
【0085】
ステップS640:緩衝層上に下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次成長させて、チューニング領域の多重量子井戸層の組成が第1DFB領域及び第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにする。
【0086】
ステップS650:領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除く。
【0087】
ステップS660:上部分離・閉じ込め層上に格子層を製造する。
【0088】
一実施例では、上記のステップS610~ステップS660を用いることによって、基板のエピタキシャル成長面において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画し、基板のチューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの製造が完了した後に、チューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された基板における、第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域に緩衝層、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させ、その後に、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除き、上部分離・閉じ込め層上に格子を製造してもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアの作用により、エピタキシャル成長に際しては、材料が異なると、成長源分子のその表面での核形成特性が異なり、これによって、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の組成が変わり、領域選択的媒質マスクストリップペアに対応する領域での材料の励起波長では、領域選択的媒質マスクストリップペア以外に対応する領域に対して赤方偏移現象が現れる。このため、1回エピタキシャル成長させるだけで、チューニング領域とDFB領域の活性層のバンドギャップ波長がずれ、チューニング領域の境界電流がDFB領域の閾値電流よりも大きくなり、レーザの波長可変範囲が広がる。領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状を合理的に設計することにより、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、また、DFB領域の活性層とチューニング領域の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。レーザ全体の製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0089】
なお、格子層の格子の周期をΛ、レーザのブラッグ励起波長をλ=2neffΛとして表してもよく、ここで、neffは導波路有効屈折率、Λは格子周期である。格子周期Λと有効屈折率neffの両方により決定される励起波長は2つのDFB領域の活性層のゲインピークのピーク値に設計され、この場合、チューニング領域の活性層のゲインピークとブラッグ励起波長とには所定の偏移量があり、これにより、チューニング領域の境界電流を増大することができる。
【0090】
なお、格子はホログラフィック露光によって製造されてもよく、電子ビーム直接描画方式によって製造されてもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0091】
なお、格子は均一格子でも位相シフト格子でもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0092】
上記の実施例におけるレーザの製造方法の詳細については、以下、具体的に例を挙げて説明する。
【0093】
実施例1
図7に示すように、
図7はレーザの上面図であり、一実施例では、レーザを3つの領域(第1DFB領域A1、第2DFB領域A2及びチューニング領域T1を含む)に区画してもよい。第1DFB領域A1と第2DFB領域A2をレーザの両側に離間して設け、チューニング領域T1を第1DFB領域A1と第2DFB領域A2の中間に設けてもよい。基板910の第1DFB領域A1及び第2DFB領域A2にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造してもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアは第1領域選択的媒質マスクストリップペアと第2領域選択的媒質マスクストリップペアを含む。第1領域選択的媒質マスクストリップペアにおいては、第1方向に並べて第1媒質マスクストリップ710と第2媒質マスクストリップ720が製造されている。第2DFB領域に第2領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する。第2領域選択的媒質マスクストリップペアにおいては、第1方向に並べて第3媒質マスクストリップ730と第4媒質マスクストリップ740が製造されている。第1領域選択的媒質マスクストリップペアと第2領域選択的媒質マスクストリップペアは第2方向に沿って製造される。第1方向は、第2方向に垂直であってもよい。レーザの製造においては、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された基板の第1DFB領域A1、チューニング領域T1及び第2DFB領域A2に活性層(下部分離・閉じ込め層930、多重量子井戸層940及び上部分離・閉じ込め層950を含む)を1回エピタキシャル成長させてもよい。領域選択的媒質マスクストリップペアを合理的に製造することによって、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、また、DFB領域の活性層とチューニング領域T1の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。半導体レーザ全体の製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0094】
なお、第1媒質マスクストリップ710と第3媒質マスクストリップ730を鏡像対称に製造し、第2媒質マスクストリップ720と第4媒質マスクストリップ740とを鏡像対称に製造してもよい。
【0095】
なお、
図8に示すうように、第1媒質マスクストリップ710、第2媒質マスクストリップ720、第3媒質マスクストリップ730及び第4媒質マスクストリップ740のチューニング領域に近い一端を狭めていく形状にしてもよい。領域選択的媒質マスクストリップペア上にエピタキシャル成長を1回行うことにより、第1DFB領域A1とチューニング領域T1との界面をさらに滑らかに移行させ、また、第2DFB領域A2とチューニング領域T1との界面をさらに滑らかに移行させることができ、界面での欠陥の発生をより効果的に減少させ、界面欠陥による信頼性に関する問題を減少させることができる。
【0096】
図9に示すように、上記の
図7に示す構造に基づいて、一実施例では、基板910の第1DFB領域A1及び第2DFB領域A2に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造した後に、エピウエハを洗浄する。次に、有機金属化合物化学蒸着(MOCVD:Metal-organic Chemical Vapor Deposition)装置にて1回目のエピタキシャル成長を行う。領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された基板910上に緩衝層920、下部分離・閉じ込め層930、多重量子井戸層940及び上部分離・閉じ込め層950を順次エピタキシャル成長させてもよい。基板910はInP(リン化インジウム)であってもよく、分離・閉じ込め層(下部分離・閉じ込め層930と上部分離・閉じ込め層950)及び多重量子井戸層940はInGaAsP四元材料である。媒質マスクストリップの作用により、領域選択的媒質マスクストリップペアが位置する成長窓のInGaAsP四元材料は、厚さの増加及びインジウム富化の両方の作用により波長の赤方偏移現象を生じさせる。すなわち、領域選択的媒質マスクストリップペアが影響を与える領域の材料が自発的に放射する波長は大面積領域の波長よりも大きくなる。本実施例の構造では、第1DFB領域A1と第2DFB領域A2が自発的に放射する波長は中央のチューニング領域の波長よりも大きい。レーザのブラッグ励起波長がDFB領域の材料のフォトルミネセンス(PL:PhotoLuminescence)ピーク値の波長に対応する場合、チューニング領域のPLピーク値波長は必ずブラッグ励起波長とは所定の偏移がある。このため、チューニング領域T1の活性層の境界電流は第1DFB領域A1及び第2DFB領域A2部分における各活性層の閾値電流よりも大きくなり、レーザのチューニング範囲が広がる。第1DFB領域A1及び第2DFB領域A2の活性層とチューニング領域T1の活性層とのバンドギャップ波長の偏移量は媒質マスクストリップのパターンのサイズ(媒質マスクストリップの間隔と媒質マスクストリップの幅を含む)によって決定される。媒質マスクストリップペアのサイズを合理的に設計することによって、第1DFB領域A1及び第2DFB領域A2とチューニング領域T1とのバンドギャップ波長の偏移量は30nm~80nmの間に制御されてもよい。バンドギャップ波長の偏移量が大きすぎると、材料の成長品質が悪影響を受け、また、移行界面がなだらかではなく、デバイスの信頼性が影響を受ける。バンドギャップ波長の偏移量が小さすぎると、ブラッグ励起波長とチューニング領域のPLピーク値波長との偏移量が小さすぎ、チューニング領域の活性層の境界電流と2つのDFB部分の活性層の閾値電流との差が小さく、レーザのチューニング範囲を十分に広げることができない。
【0097】
図10に示すように、エピタキシャル成長させた後に、上部分離・閉じ込め層950上に周期をΛとする格子1010を製造する。レーザのブラッグ励起波長をλ=2neffΛとして表してもよく、ここで、neffは導波路有効屈折率、Λは格子1010の周期である。格子1010の周期と有効屈折率の両方により決定される励起波長は第1DFB領域A1と第2DFB領域A2の活性層のゲインピークのピーク値に設計され、この場合、チューニング領域T1の活性層のゲインピークとブラッグ励起波長とには所定の偏移量があり、これにより、チューニング領域の境界電流を増大することができる。
【0098】
なお、上部分離・閉じ込め層上に格子を直接製造してもよく、上部分離・閉じ込め層上に格子層を成長させ、格子層に格子を製造してもよく、本実施例はこれについて特に限定しない。
【0099】
図11に示すように、格子1010の製造を完了した後に、P型被覆層1110及び接触層1120をさらにエピタキシャル成長させてもよい。次に、一般的なレーザのプロセスの流れに従って、導波路構造を製造し、絶縁媒質層を成長させて、窓を開けてP面金属を製造してもよい。
【0100】
図12に示すように、第1DFB領域A1、第2DFB領域A2及びチューニング領域T1のそれぞれに電極1210が1つ製造されており、また、3つの領域の間にある高濃度ドープ接触層はエッチングにより除去されて、これらは互いに電気的に隔離される。作動に際しては、第1DFB領域A1及び第2DFB領域A2の電極1210を接続してバイアス電流を印加し、チューニング領域T1の上方にある電極1210にチューニング電流を単独に印加してもよい。このようにして、レーザのチップが薄くなる。
図13に示すように、基板910の下にN面の電極1310を製造し、レーザを製造してもよい。
【0101】
実施例2
図14に示すように、領域選択的媒質マスクストリップペア1410は中央のチューニング領域に製造されていてもよい。
図10に示すように、このような場合、エピタキシャル成長に際しては、多重量子井戸層940における井戸の個数、厚さ及び成分パラメータは大面積領域以外の領域内(第1DFB領域A1と第2DFB領域A2)のDFBレーザ材料の構造に対する要件に応じて成長させる。媒質マスクストリップの厚さの増加及びインジウム富化の両方の作用により、多重量子井戸層940におけるチューニング領域の材料組成は多重量子井戸層940における第1DFB領域A1及び第2DFB領域A2における材料組成と異なり、チューニング領域が自発的に放射する波長はDFB領域の波長よりも大きい。ブラッグ励起波長がDFB領域の活性層のPLピークのピーク値に設定される場合、波長可変領域の活性層のPLピークのピーク値と励起波長とには所定の偏移量があり、このような場合においても、チューニング領域の活性層の境界電流をDFB領域の活性層の閾値電流よりも大きくする目的が達成され得る。残りの成長や製造のステップは実施例1と同じであるため、ここでは詳しく説明しない。領域選択的媒質マスクストリップペア1410を合理的に製造することによって、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、DFB領域の活性層とチューニング領域T1の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。半導体レーザ全体の製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0102】
実施例3
図15に示すように、領域選択的媒質マスクストリップペアは第1DFB領域A1及び第2DFB領域A2に製造されてもよく、格子はN面格子1510として製造され、N面格子1510は活性層の下方に製造されてもよい。この場合、レーザの製造方法は以下のステップを含んでもよい。レーザを3つの領域(第1DFB領域A1、第2DFB領域A2及びチューニング領域T1)に区画してもよい。第1DFB領域A1と第2DFB領域A2をレーザの両側に離間して設け、チューニング領域T1を第1DFB領域A1と第2DFB領域A2の中間に設けてもよい。基板910上に格子層及びInP被覆層を成長させ、次に、特定周期のN面格子1510を製造する。さらに、N面格子1510が製造されたエピウエハの第1DFB領域A1及び第2DFB領域A2に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造する。さらに、下部分離・閉じ込め層930、多重量子井戸層940、上部分離・閉じ込め層950及びP型InP被覆層と高濃度ドープ接触層をエピタキシャル成長させる。残りの成長や製造のステップは実施例1と同じであるため、ここでは詳しく説明しない。領域選択的媒質マスクストリップペアを合理的に製造することによって、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、また、DFB領域の活性層とチューニング領域T1の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。半導体レーザ全体の製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0103】
実施例4
領域選択的媒質マスクストリップペアはチューニング領域T1に製造されてもよく、格子はN面格子1510として製造される。本実施例のレーザの製造方法では、N面格子1510は活性層の下方に製造され(実施例3におけるN面格子1510のレーザの製造方法と同じであるので、ここでは詳しく説明しない)、領域選択的媒質マスクストリップペアは中央のチューニング領域に製造されてもよく(実施例2におけるレーザの領域選択的媒質マスクストリップペアの製造方法と同じであるので、ここでは詳しく説明しない)、残りのエピタキシャル成長及びデバイスの製造方法は実施例1と同じであるので、ここでは詳しく説明しない。領域選択的媒質マスクストリップペアを合理的に製造することによって、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、また、DFB領域の活性層とチューニング領域T1の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。半導体レーザ全体の製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0104】
本願の別の実施例はまた、上記の実施例における製造方法で製造されたレーザを提供する。領域選択的媒質マスクストリップペアの幅、間隔及び形状を合理的に設計することにより、バンドギャップ波長の偏移量を制御し、また、DFB領域の活性層とチューニング領域の活性層との滑らかな移行を確保し、信頼性に関する問題をもたらす可能性のある界面欠陥を回避することができる。レーザ全体の製造方法が簡単であり、領域選択的媒質マスクストリップペアの製造だけを追加し、レーザの製造コストをうまく抑えることができる。
【0105】
本願の実施例によるレーザの製造方法及びレーザでは、レーザの製造方法は、基板において第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域を順次区画するステップと、第1DFB領域及び第2DFB領域にそれぞれ領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するか、又はチューニング領域に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造するステップと、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第1DFB領域、チューニング領域及び領域選択的媒質マスクストリップペアが製造された第2DFB領域に、又は第1DFB領域、領域選択的媒質マスクストリップペアが製造されたチューニング領域及び第2DFB領域に、下部分離・閉じ込め層、多重量子井戸層及び上部分離・閉じ込め層を順次エピタキシャル成長させて、チューニング領域の多重量子井戸層の組成が第1DFB領域及び第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにするステップと、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除くステップと、を含む。該製造方法では、レーザを第1DFB領域、チューニング領域及び第2DFB領域に区画し、下部分離・閉じ込め層を成長させる前に領域選択的媒質マスクストリップペアを製造し、チューニング領域の多重量子井戸層の組成が第1DFB領域及び第2DFB領域のそれぞれの多重量子井戸層の組成からずれるようにし、そして、上部分離・閉じ込め層を成長させた後に、領域選択的媒質マスクストリップペアを取り除くことができる。該製造方法で製造されたレーザは、信頼性が高く、レーザ波長可変範囲の拡大が可能である。
【0106】
当業者であれば、上記で開示された方法におけるステップの全部又は一部、システムは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びこれらの適切な組み合わせとして実装されてもよいことを理解する。物理的構成要素の一部又はすべては、中央処理装置、デジタル信号処理装置やマイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、又はハードウェアとして、又は特定用途向け集積回路などの集積回路として実装されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的媒体)及び通信媒体(又は一時的媒体)を含んでもよいコンピュータ読み取り可能な媒体に配布してもよい。当業者に周知のように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなど)を記憶するための任意の方法又は技術において実施される、揮発性及び不揮発性の、取り外し可能な、及び取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光ディスク記憶装置、磁気カートリッジ、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、通信媒体は、通常、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は搬送波や他の送信機構のような変調データ信号中の他のデータを含み、また、任意の情報配信媒体を含み得ることが当業者には周知である。
【0107】
以上は、本願のいくつかの実施例を具体的に説明したが、本願は上記の実施形態に限定されるものではなく、当業者は、本願の範囲に反することなく、様々な均等な変形又は置換を行うことができ、これらの均等な変形又は置換は、本願の請求項によって定められる範囲内に含まれる。