(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】無線機およびその受信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20240522BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20240522BHJP
【FI】
H04B1/16 Z
H04W52/02 111
(21)【出願番号】P 2020043727
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】大迫 大輔
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-044012(JP,A)
【文献】特開2006-093869(JP,A)
【文献】特開2006-319771(JP,A)
【文献】特開2013-005053(JP,A)
【文献】特開2010-183175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04W 52/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームデータに、少なくとも同期ワードと、送
信すべきデータと、低速付随制御チャネルSACCHに含まれている付随情報とを有するデジタル方式での通信を行う無線機において、
2フレーム目以降は、前記低速付随制御チャネルSACCHを受信すべき期間に、受信手段を休止させる受信制御手段を含むことを特徴とする無線機。
【請求項2】
前記フレームデータには、前記送信すべきデータの種別を表わす情報をさらに含み、
前記受信制御手段は、前記付随情報による判定に代えて、前記データの種別を表わす情報が予め定めるパターンである時に終話であると判定することを特徴とする請求項1記載の無線機。
【請求項3】
前記受信制御手段は、デジタル変復調を行うデジタル・シグナル・プロセッサから成ることを特徴とする請求項1または2記載の無線機。
【請求項4】
前記受信手段は、少なくともロー・ノイズ・アンプおよびフェイズ・ロック・ループを備え、前記受信制御手段で休止させられるのは、該ロー・ノイズ・アンプおよびフェイズ・ロック・ループであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の無線機。
【請求項5】
フレームデータに、少なくとも同期ワードと、送信すべきデータと、低速付随制御チャネルSACCHに含まれている付随情報とを有するデジタル方式での通信を行う無線受信方法において、
2フレーム目以降は、前記低速付随制御チャネルSACCHを受信すべき期間に、受信手段を休止させることを特徴とする無線受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機のパワーセーブのための受信方法に関し、特にデジタル方式の無線機の通信中のパワーセーブのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線機、特に携帯用無線機のようなバッテリで駆動される無線機では、バッテリを長持ちさせるためのパワーセーブのための方法が種々提案されている。典型的には、パワーセーブモードに設定されると、待受け時に、自機宛の信号が送信されていないかを、間欠受信によって検知するものである。そして、所定の間欠周期で、駆動(ON)期間の割合を短くし、休止(OFF)期間の割合を長くすることで、前記パワーセーブの効果は大きくなる。しかしながら、休止(OFF)期間の割合が長くなる程、着呼率、つまり応答性は悪くなる。
【0003】
ところで、アナログの無線機の場合、間欠受信して、通話の途中から受信した場合、多少、頭切れしたとしても、無線機が駆動(ON)したところから通話を受信することが可能であるが、たとえば前記の無線機同士が直接通信を行う携帯用無線機において、デジタル方式では、最初のフレームのプリアンブルから、後続の同期ワードや同期バーストまでの同期シーケンスを受信しなければ、同期が取れず、最悪の場合、着信自体ができない場合がある。特許文献1では、その同期シーケンスを取損ねないように、送信側で受信機が間欠受信を行っていると判定すれば、前記同期シーケンスを長く、具体的には同期ワードおよび同期バーストを繰返し送信することで、確実に受信できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1を始め、上述の従来技術は、いずれも、待受け中のパワーセーブに関するものである。
【0006】
本発明の目的は、デジタル方式での通信を行う無線機において、通信中のパワーセーブを行うことができる無線機およびその受信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無線機は、少なくとも同期ワードと、送信すべきデータと、低速付随制御チャネルSACCHに含まれている付随情報とを有するデジタル方式での通信を行う無線受信方法において、2フレーム目以降は、前記低速付随制御チャネルSACCHを受信すべき期間に、受信手段を休止させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の無線受信方法は、少なくとも同期ワードと、送信すべきデータと、低速付随制御チャネルSACCHに含まれている付随情報とを有するデジタル方式での通信を行う無線受信方法において、2フレーム目以降は、前記低速付随制御チャネルSACCHを受信すべき期間に、受信手段を休止させることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、デジタル変調された音声や他のテキストデータなどの送信すべきデータを送受信するデジタル方式の無線機では、前記送信すべきデータは、所定のデータ長のフレームデータに変換して送信されるので、その送信すべきデータの前には、少なくとも同期ワードが付加され、また該送信すべきデータのメッセージ種別等を表わす付随情報が付加される。たとえば、ARIB STD-T98では、SACCH(低速付随制御チャネル)と称される付随情報が付加されている。この付随情報には、送信すべきデータが前記音声データであるのかテキストデータなどであるのかの識別コードや、ユーザID、機器ID(製造番号)などが含まれている。
【0010】
したがって、前記同期ワードは、フレーム同期のために毎フレーム必要であるが、付随情報としては、2フレーム目以降も、基本的に同じ情報が付加されることになる。そこで本発明では、受信制御手段は、その2フレーム目以降については、前記付随情報を受信すべき期間に、受信手段を休止させる。これによって、受信手段は、通信中であっても、フレーム長をN0、付随情報の長さをN1とするとき、ほぼN1/N0の割合で、たとえば前記ARIB STD-T98では、N0=384ビット、N1=60ビットで、通信時間の1/7程度の時間、受信手段を休止して、パワーセーブを行うことができる。
【0011】
さらにまた、本発明の無線機では、前記フレームデータには、前記送信すべきデータの種別を表わす情報をさらに含み、前記受信制御手段は、前記付随情報による判定に代えて、前記データの種別を表わす情報が予め定めるパターンである時に終話であると判定することを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、前記ARIB STD-T98のSACCH情報には、さらに終話情報が含まれており、送信側がプレストークスイッチを離すことで、最終フレームに、この終話情報を含めて送信される。したがって、上述のように、このSACCH情報を受信しない場合は、前記終話情報も取得できなくなるので、終話は、電波を受信できなくなったことで判定することになる。しかしながら、そうすると、通信中に電波状況が悪くなって、電波が受信できなくなったり、同期が取れなくなった場合との区別が付かない。また、前記のSACCH情報の終話情報を受信すると、ビープ音を鳴動して、ユーザに終話(プレストークスイッチから指が離れたこと)を報知する機能を備えた無線機では、その機能が働かないことになってしまう。
【0013】
そこで、前記フレームデータにおける送信すべきデータの種別を表わす情報、たとえば前記ARIB STD-T98ではRICH(無線情報チャネル)と称される情報に着目する。このRICH情報は、最初のフレームで送信される同期バーストおよびそれに続き前記送信すべきデータを送信するための通信用チャネルの全フレームに配置される情報で、前記同期バーストであるか通信用チャネルであるかの識別情報とともに、通信用チャネルである場合は、送信すべきデータが前記音声データであるのかテキストデータ等の非音声データであるのか、非音声データである場合は誤り訂正を使用しているか否か等を表わす情報で構成されている。そして、前記ARIB STD-T98では、このRICH情報にも、終話のメッセージが、予め定めるパターンで設定されている。
【0014】
したがって、前記受信制御手段は、このRICH情報の前記予め定めるパターンから終話を判定することで、上述のように電波の途切れから判定するような場合には行えなかった終話の際のビープ音を発生し、前記SACCH情報を常時受信している場合と同様の動作を実現することができる。
【0015】
また、本発明の無線機では、前記受信制御手段は、デジタル変復調を行うデジタル・シグナル・プロセッサから成ることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、無線機全体の動作を制御するCPU(中央情報処理装置)は、受信手段を休止および起動させるべきタイミングで、何らかの処理を行っている可能性があり、このCPUで休止および起動のタイミング制御を行うと、他の処理の影響を受けて、休止を開始させるタイミングや終了させるタイミングに遅れを生じる可能性がある。開始タイミングが遅れるとパワーセーブの効果が薄くなり、終了タイミングが遅れると前記送信すべきデータの先頭部分を受信し損なう可能性がある。そこで、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を用いる。これは、該デジタル・シグナル・プロセッサは、処理にリアルタイム性を要求され、また該デジタル・シグナル・プロセッサの復調部は、受信(送信されて来た)データに同期して復調処理を行っているので、タイミングのずれ無く、正確に休止動作を行わせることができるためである。
【0017】
さらにまた、本発明の無線機では、前記受信手段は、少なくともロー・ノイズ・アンプおよびフェイズ・ロック・ループを備え、前記受信制御手段で休止させられるのは、該ロー・ノイズ・アンプおよびフェイズ・ロック・ループであることを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、受信手段において、ロー・ノイズ・アンプ(LNA)は、常時一定(MAX)ゲインで受信信号を増幅し、フェイズ・ロック・ループ(PLL)は、局部発振信号を作成するために高周波発振する。
【0019】
したがって、共に消費電力が大きく、前記付随情報の間にこれらを休止させることで、パワーセーブに効果的である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のデジタル方式の無線機およびその受信方法は、以上のように、音声やテキストデータなどの送信すべきデータをデジタル変復調して送受信するデジタル方式の無線機において、前記送信すべきデータは所定のデータ長のフレームデータに変換して送信され、その送信すべきデータの前に、少なくとも同期ワードが付加されるだけでなく、該送信すべきデータのメッセージ種別等を表わす付随情報も付加されるので、2フレーム目以降も基本的に同じ情報が付加されることになるこの付随情報を受信すべき期間に、受信制御手段は受信手段を休止させる。
【0021】
それゆえ、受信手段は、通信中であっても、付随情報の間は受信を休止して、パワーセーブを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る無線機のブロック図である。
【
図2】前記無線機で使用されるデータの構造および制御動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の実施の一形態の無線機1のブロック図である。この無線機1は、たとえばARIB STD-T98準拠のDCR(デジタル簡易無線)の無線機である。無線機1は、双方向での通話(送受信)が可能であるが、本発明は、受信に関する部分に特徴を有するものであり、
図1では、送信に関する部分および無線機全体の動作を制御するCPUなどは、省略している。
【0024】
この無線機1は、ダブルスーパーヘテロダイン方式の受信機で、アンテナ2で受信された高周波信号(RF)は、ロー・ノイズ・アンプ(以下、LNAと言う)3において、一定(MAX)ゲインで増幅され、混合器4に入力される。混合器4には、フェイズ・ロック・ループ(以下、PLLと言う)IC5からの第1の局部発振信号(1stLO)が入力されており、得られた第1の中間周波信号(1stIF)が、さらに受信IC9に入力され、発振器10からの第2の局部発振信号(2ndLO)と混合される。受信IC9内には、混合器や不要波除去のためのバンド・パス・フィルタ等が設けられている。受信IC9で得られた第2の中間周波信号(2ndIF)は、変復調を行うデジタル・シグナル・プロセッサ(以下、DSPと言う)6に入力される。発振器10は、水晶振動子などから成り、低消費電力で、一定周波数で発振する。
【0025】
DSP6は、図示しないアナログ/デジタル変換器およびデジタル/アナログ変換器および変調部を備え、アナログ送信音声信号から、デジタル方式の変調信号を作成して図示しない送信側の混合器へ出力したり、前記受信IC9からの第2の中間周波信号(2ndIF)から、復調部61において、デジタル復調を行い、アナログ受信音声信号を生成する。復調された音声信号は、低周波アンプ11で増幅され、スピーカ12によって音響化される。また、復調部61において復調されたテキストデータは、図示しない表示部などに表示される。LNA3、PLLIC5、DSP6および低周波アンプ11は、バッテリ7からの電力で付勢される。
【0026】
上述のように構成される無線機1において、注目すべきは、DSP6内の制御部62が、該DSP6内の前記復調部61の復調データをモニターし、音声や他のテキストデータなどの送信すべきデータに付随する付随情報を受信すべき期間に、2フレーム目以降では、受信手段の構成の内、LNA3およびPLLIC5を休止させることである。したがって、前記制御部62は受信制御手段となり、バッテリ7からLNA3およびPLLIC5の間に介在されるスイッチ8をON/OFF制御する。
【0027】
図2は、前記ARIB STD-T98において通信されるデータの構造および前記制御部62の動作を説明するためのタイミングチャートである。無線機1同士の通話においては、前記音声やテキストのデータは、
図2(c)で示すように、所定のデータ長のフレームF1,F2,・・・に分割されて送信される。
図2(a)は、同期バーストおよび通信用チャネルの信号フォーマットであり、プリアンブルPに続く、同期ワードSW、無線情報チャネルRICH、低速付随制御チャネルSACCH、パラメータ情報チャネルPICH、未定義データとを備えて構成される部分が同期バーストであり、それ以降が通信用チャネルである。
【0028】
同期バーストは、通話の最初に送信される。通信用チャネルは、同期バーストが送信された後に送信され、送信側の無線機1のプレストークスイッチが離されるまで繰返し送信される。
図2(a)の通り、P=20ビット、SW=20ビット、RICH=16ビット、SACCH=60ビット、PICH=144ビット、未定義データ=144ビットである。
【0029】
通信用チャネルは、同期バーストとは異なり、送信に先立つプリアンブルPは無く、同期ワードSW、無線情報チャネルRICH、低速付随制御チャネルSACCHと続き、以降は、前記音声やテキストのデータのトラヒックチャネルTCH1,TCH2となる。TCH1,TCH2=144ビット、フレーム長は384ビットである。以降、同様の通信用チャネルが続き、
図2(a)では省略している。
【0030】
そして、無線情報チャネルRICHは、最初のフレームF1で送信される同期バーストおよびそれに続く2フレーム目以降の通信用チャネルのために配置される情報で、前記同期バーストであるのか通信用チャネルであるかの識別情報を含む。さらに、無線情報チャネルRICHは、通信用チャネルである場合は、送信すべきデータが前記音声データであるのかテキストデータ等の非音声データであるのか、非音声データである場合は誤り訂正を使用しているか否か等、送信すべきデータの種別を表わす情報を備えて構成されている。
【0031】
一方、低速付随制御チャネルSACCHには、前記音声データの秘話スクランブルのON/OFFを通知するための通話識別や、ユーザコード、製造者番号などの付随情報が含まれている。したがって、同期ワードSWは、フレーム同期のために毎フレーム必要であるが、注目すべきは、低速付随制御チャネルSACCHについては、2フレーム目以降も、基本的に同じ情報が付加されており、本実施形態では、上述のように、制御部62は、その2フレーム目以降については、低速付随制御チャネルSACCHを受信すべき期間に、LNA3およびPLLIC5を休止させることである。
図2(b)は、制御部62の制御動作、すなわち、スイッチ8のON/OFF動作を示す。
図2(b)では、LNA3およびPLLIC5の動作安定のための立上がり時間τ1および立ち下がり時間τ2のマージンを設定している。
【0032】
これによって、該無線機1は、通信(受信)中であっても、フレーム長をN0、低速付随制御チャネルSACCHの長さをN1とするとき、ほぼN1/N0の割合で、たとえば前記ARIB STD-T98では、
図2(a)で示すように、N0=384ビット、N1=60ビットで、通信時間の1/7程度の時間、前記LNA3およびPLLIC5を休止して、パワーセーブを行うことができる。具体的には、N0=80msecであり、N1=10msec程度、τ1=τ2=1msec程度である。
【0033】
ところで、前記低速付随制御チャネルSACCHにはまた、終話情報が含まれている。具体的には、メッセージ種別で、「11110」となれば、終話を表わす。この終話情報は、送信側がプレストークスイッチを離すことで、最終フレームのみに含めて送信される。たとえば、前記N0=80msecとすると、10秒の通話で、125フレーム目の低速付随制御チャネルSACCHにだけ、前記終話情報が含まれることになる。したがって、何時発生するか分からないこの最終フレームの終話情報を取り逃がさないようにするには、前記パワーセーブを行わず、最終フレーム以外は同じ情報が送信されて来る低速付随制御チャネルSACCHを受信し続けなければならない。
【0034】
或いは、復調部61で、送信電波が取れなくなって、ビット同期が得られないことで、終話判定を行うことができる。しかしながら、前記低速付随制御チャネルSACCHの終話情報を検出すると、制御部62は、スピーカ12から、ビープ音を発生させ、ユーザに知らせるようになっている。これを聞いたユーザは、相手が話し終わったことを認識し、前記プレストークスイッチを押して話し始めることで、通話が衝突しないようにすることができる。
【0035】
そこで本実施形態の無線機1では、無線情報チャネルRICHに着目する。無線情報チャネルRICHには、前記のデータ種別を表わす情報に加えて、終話を表わす情報が含まれる。具体的には、RICH情報において、前記同期バースト(最初のフレーム)であるかまたは通信用チャネル(2フレーム目以降)であるかを表わすF部が「1:通信用チャネル」、データ種別を表わすM部が「101」のアイドルを表わす情報である。したがって、制御部62は、このRICH情報の予め定めるパターン「1」および「101」から終話を判定することで、上述のように電波の途切れから判定するような場合には行えなかった終話の際のビープ音を発生し、前記低速付随制御チャネルSACCHを常時受信している場合と同様の動作を実現することができる。
【0036】
ところで、LNA3およびPLLIC5のON/OFF、つまりスイッチ8のON/OFFは、無線機1の全体の動作を制御する、図示しないCPU(中央情報処理装置)などで行ってもよい。しかしながら、CPUは、全体の動作を制御する関係上、それらをON/OFFさせるべきタイミングで、何らかの処理を行っている可能性があり、このCPUでON/OFFのタイミング制御を行うと、他の処理の影響を受けて、タイミングに遅れを生じる可能性がある。ONタイミングが遅れるとパワーセーブの効果が薄くなり、OFFタイミングが遅れると通信用チャネルTCH1の先頭部分を受信し損なう可能性がある。そこで、DSP6を用いる。そうすることで、該DSP6は、処理にリアルタイム性を要求され、また該DSP6の復調部61は、受信(送信されて来た)データに同期して復調処理を行っているので、タイミングのずれ無く、正確に休止動作を行わせることができる。
【0037】
また、本実施形態の無線機1において、受信手段の構成の内、DSP6の外部で、通信中にスイッチ8によりON/OFF制御されるのは、LNA3およびPLLIC5としている。これは、LNA3は、一定(MAX)ゲインで受信信号を増幅し、PLLIC5は、第1の局部発振信号1stLOを作成するために高周波発振し、共に消費電力が大きく、前記低速付随制御チャネルSACCHの間にこれらを休止させることで、パワーセーブに効果的であるためである。
【符号の説明】
【0038】
1 無線機
2 アンテナ
3 LNA(ロー・ノイズ・アンプ)
4 混合器
5 PLL(フェイズ・ロック・ループ)IC
6 DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)
61 復調部
62 制御部
7 バッテリ
8 スイッチ
9 受信IC
10 発振器
11 低周波アンプ
12 スピーカ