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特許7492130冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置
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  • 特許-冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置 図1
  • 特許-冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置 図2
  • 特許-冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置 図3
  • 特許-冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置 図4
  • 特許-冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置 図5
  • 特許-冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置 図6
  • 特許-冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置 図7
  • 特許-冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置 図8
  • 特許-冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20240522BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
C09K5/04 F
C09K5/04 E
C09K5/04 C
F25B1/00 396Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020125387
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021660
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩阪 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智行
(72)【発明者】
【氏名】大久保 瞬
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 結香
(72)【発明者】
【氏名】高倉 陽平
(72)【発明者】
【氏名】吉村 崇
(72)【発明者】
【氏名】臼井 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕子
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/157765(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/123120(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/115252(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/182030(WO,A1)
【文献】特表2013-526633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K5/04
F25B1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、
トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E));
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf);を含有し、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1234yfの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234yfをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A1(60, 39, 1)、
点B1(55, 1, 44)、
点C1(26, 73, 1)、及び
点D1(18, 1, 81)
の4点を、夫々結ぶ直線A1-B1、直線B1-D1、線分D1-C1、及び直線C1-A1で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A1-B1及び線分D1-C1上にあり、
前記線分D1-C1は、
(x, -1.75x2 + 86x - 980, 100-x-y)で表わされ
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1234yfの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である、組成物。
【請求項2】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、
トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E));
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
ジフルオロメタン(HFC-32);を含有し、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFC-32の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFC-32をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A2(60, 39, 1)、
点B2(65, 1, 34)、
点C2(24, 75, 1)、
点D2(1, 77, 22)、
点E2(1, 25, 74)、及び
点F2(25, 1, 74)
の6点を、夫々結ぶ直線A2-B2、直線B2-F2、直線F2-E2、直線E2-D2、線分D2-C2、及び直線C2-A2で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A2-B2、直線F2-E2、及び線分D2-C2上にあり、
前記線分D2-C2は、
座標(x, -0.0079x2 + 0.1107x + 76.897, 100-x-y)で表わされ
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFC-32の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である、組成物。
【請求項3】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、
トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E));
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
トリフルオロヨードメタン(CF3I);を含有し、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びCF3Iの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びCF3Iをz質量%とする時、 当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A3(60, 39, 1)、
点B3(50, 1, 49)、
点C3(26, 73, 1)、及び
点D3(20, 1, 79)
の4点を、夫々結ぶ直線A3-B3、直線B3-D3、線分D3-C3、及び直線C3-A3で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A3-B3及び線分D3-C3上にあり、
前記線分D3-C3は、
座標(x, 5.1429x2 - 224.57x + 2435.3, 100-x-y)で表わされ
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記CF 3 Iの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である、組成物。
【請求項4】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、
トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E));
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E));を含有し、 HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1234ze(E)の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234ze(E)をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A4(60, 39, 1)、
点B4(55, 1, 44)、
点C4(26, 73, 1)、及び
点D4(28, 1, 71)
の4点を、夫々結ぶ直線A4-B4、直線B4-D4、線分D4-C4、及び直線C4-A4で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A4-B4及び線分D4-C4上にあり、
前記線分D4-C4は、
座標(x, 17x2 - 954x + 13385, 100-x-y)で表わされ
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1234ze(E)の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である、組成物。
【請求項5】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、
トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E));
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
ヘキサフルオロプロペン(HFO-1216);を含有し、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1216の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1216をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A5(60, 39, 1)、
点B5(55, 1, 44)、
点C5(26, 73, 1)、及び
点D5(13, 1, 86)
の4点を、夫々結ぶ直線A5-B5、直線B5-D5、線分D5-C5、及び直線C5-A5で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A5-B5及び線分D5-C5上にあり、
前記線分D5-C5は、
座標(x, -0.0531x2 + 7.6099x - 88.952, 100-x-y)で表わされ
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1216の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である、組成物。
【請求項6】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、
トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E));
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
トリフルオロエチレン(HFO-1123);を含有し、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1123の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1123をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A6(59, 40, 1)、
点B6(1, 40, 59)、
点C6(25, 74, 1)、及び
点D6(1, 75, 24)
の4点を、夫々結ぶ直線A6-B6、直線B6-D6、線分D6-C6、及び直線C6-A6で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A6-B6及び線分D6-C6上にあり、
前記線分D6-C6は、
座標(x, -0.0032x2 + 0.0417x + 74.962, 100-x-y)で表わされ
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1123の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である、組成物。
【請求項7】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、
トリフルオロエチレン(HFO-1123);
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf);を含有し、
HFO-1123、HFO-1243zf及びHFO-1234yfの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234yfをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A7(60, 39, 1)、
点B7(55, 1, 44)、
点C7(24, 75, 1)、及び
点D7(17, 1, 82)
の4点を、夫々結ぶ直線A7-B7、直線B7-D7、線分D7-C7、及び直線C7-A7で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A7-B7及び線分D7-C7上にあり、
前記線分D7-C7は、
座標(x, -0.7738x2 + 42.298x - 494.43, 100-x-y)で表わされ
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1123、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1234yfの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である、組成物。
【請求項8】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、
トリフルオロエチレン(HFO-1123);
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
ジフルオロメタン(HFC-32);を含有し、
HFO-1123、HFO-1243zf及びHFC-32の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFC-32をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A8(60, 39, 1)、
点B8(65, 1, 34)、
点C8(23, 76, 1)、
点D8(1, 86, 13)、
点E8(1, 25, 74)、及び
点F8(25, 1, 74)
の6点を、夫々結ぶ直線A8-B8、直線B8-F8、直線F8-E8、直線E8-D8、線分D8-C8、及び直線C8-A8で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A8-B8、直線F8-E8、及び線分D8-C8上にあり、
前記線分D8-C8は、
座標(x, -0.0034x2 - 0.3909x + 86.794, 100-x-y)で表わされ
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1123、前記HFO-1243zf、及び前記HFC-32の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である、組成物。
【請求項9】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、
トリフルオロエチレン(HFO-1123);
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
トリフルオロヨードメタン(CF3I);を含有し、
HFO-1123、HFO-1243zf及びCF3Iの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びCF3Iをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A9(60, 39, 1)、
点B9(50, 1, 49)、
点C9(24, 75, 1)、及び
点D9(10, 1, 89)
の4点を、夫々結ぶ直線A9-B9、直線B9-D9、線分D9-C9、及び直線C9-A9で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A9-B9及び線分D9-C9上にあり、
前記線分D9-C9は、
座標(x, -0.254x2 + 13.921x - 112.81, 100-x-y)で表わされ
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1123、前記HFO-1243zf、及び前記CF 3 Iの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である、組成物。
【請求項10】
水、トレーサー、紫外線蛍光染料、安定剤、及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
更に、冷凍機油を含有し、冷凍装置用作動流体として用いられる、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記冷凍機油は、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)、及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物を用いて、冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物を用いて、冷凍サイクルを運転する冷凍装置の運転方法。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物を作動流体として含む、冷凍装置。
【請求項16】
空調機器、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、車載用空調機器、ターボ冷凍機、又はスクリュー冷凍機である、請求項15に記載の冷凍装置。
【請求項17】
不均化抑制剤を用いて、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の不均化反応を抑制する方法であって、
不均化抑制剤は、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)を含む、方法。
【請求項18】
前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素は、トリフルオロエチレン(HFO-1123)、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、及びテトラフルオロエチレン(FO-1114)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒を含有する組成物、その組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)を含む組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】Patnet No.:米国特許第 8,961,811 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、地球温暖化係数(Global Warming Potential:GWP)は低く、成績係数(Coefficient of Performance:COP)及び冷凍能力(Refrigeration Capacity、Cooling Capacity、或はCapacity)は優れ、不均化反応が抑制された冷媒を含有する組成物を提供することを目的とする。
【0005】
本開示は、また、前記組成物を用いた不均化反応を抑制する方法、その組成物を保存する方法、及び、その組成物を輸送する方法、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法、及び冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
【0007】
項1.
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1243zfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合は24質量%~60質量%であり、
HFO-1243zfの含有割合は76質量%~40質量%であり、
前記冷媒は、蒸発温度が-50℃~-5℃である冷凍サイクルを運転する為に用いられる冷媒である、組成物。
【0008】
項2.
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒は、
第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素;
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
トリフルオロヨードメタン(CF3I)、ジフルオロメタン(HFC-32)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))、ヘキサフルオロプロペン(FO-1216)、パーフルオロメタン(PFC-14)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、フルオロエタン(HFC-161)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、シス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(Z))、トランス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(E))、CF3SCF3、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、イソブテン、イソブタン、及び第二の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素(但し、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素とは異なる二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素とする)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の第三成分;
を含有する組成物。
【0009】
項3.
前記第一及び第二の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素は、トリフルオロエチレン(HFO-1123)、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、及びテトラフルオロエチレン(FO-1114)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分である、前記項2に記載の組成物。
【0010】
項4.
前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、
前記第三成分としてHFO-1234yfを含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1234yfの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234yfをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A1(60, 39, 1)、
点B1(55, 1, 44)、
点C1(26, 73, 1)、及び
点D1(18, 1, 81)
の4点を、夫々結ぶ直線A1-B1、直線B1-D1、線分D1-C1、及び直線C1-A1で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A1-B1及び線分D1-C1上にあり、
前記線分D1-C1は、
(x, -1.75x2 + 86x - 980, 100-x-y)で表わされる、
前記項2に記載の組成物。
【0011】
項5.
前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、
前記第三成分としてHFC-32を含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFC-32の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFC-32をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A2(60, 39, 1)、
点B2(65, 1, 34)、
点C2(24, 75, 1)、
点D2(1, 77, 22)、
点E2(1, 25, 74)、及び
点F2(25, 1, 74)
の6点を、夫々結ぶ直線A2-B2、直線B2-F2、直線F2-E2、直線E2-D2、線分D2-C2、及び直線C2-A2で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A2-B2、直線F2-E2、及び線分D2-C2上にあり、
前記線分D2-C2は、
座標(x, -0.0079x2 + 0.1107x + 76.897, 100-x-y)で表わされる、
前記項2に記載の組成物。
【0012】
項6.
前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、
前記第三成分としてCF3Iを含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びCF3Iの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びCF3Iをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A3(60, 39, 1)、
点B3(50, 1, 49)、
点C3(26, 73, 1)、及び
点D3(20, 1, 79)
の4点を、夫々結ぶ直線A3-B3、直線B3-D3、線分D3-C3、及び直線C3-A3で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A3-B3及び線分D3-C3上にあり、
前記線分D3-C3は、
座標(x, 5.1429x2 - 224.57x + 2435.3, 100-x-y)で表わされる、
前記項2に記載の組成物。
【0013】
項7.
前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、
前記第三成分としてHFO-1234ze(E)を含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1234ze(E)の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234ze(E)をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A4(60, 39, 1)、
点B4(55, 1, 44)、
点C4(26, 73, 1)、及び
点D4(28, 1, 71)
の4点を、夫々結ぶ直線A4-B4、直線B4-D4、線分D4-C4、及び直線C4-A4で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A4-B4及び線分D4-C4上にあり、
前記線分D4-C4は、
座標(x, 17x2 - 954x + 13385, 100-x-y)で表わされる、
前記項2に記載の組成物。
【0014】
項8.
前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、
前記第三成分としてHFO-1216を含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1216の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1216をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A5(60, 39, 1)、
点B5(55, 1, 44)、
点C5(26, 73, 1)、及び
点D5(13, 1, 86)
の4点を、夫々結ぶ直線A5-B5、直線B5-D5、線分D5-C5、及び直線C5-A5で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A5-B5及び線分D5-C5上にあり、
前記線分D5-C5は、
座標(x, -0.0531x2 + 7.6099x - 88.952, 100-x-y)で表わされる、
前記項2に記載の組成物。
【0015】
項9.
前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、
前記第三成分の前記第二の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1123の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1123をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A6(59, 40, 1)、
点B6(1, 40, 59)、
点C6(25, 74, 1)、及び
点D6(1, 75, 24)
の4点を、夫々結ぶ直線A6-B6、直線B6-D6、線分D6-C6、及び直線C6-A6で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A6-B6及び線分D6-C6上にあり、
前記線分D6-C6は、
座標(x, -0.0032x2 + 0.0417x + 74.962, 100-x-y)で表わされる、
請求項2に記載の組成物。
【0016】
項10.
前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、
前記第三成分としてHFO-1234yfを含み、
HFO-1123、HFO-1243zf及びHFO-1234yfの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234yfをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A7(60, 39, 1)、
点B7(55, 1, 44)、
点C7(24, 75, 1)、及び
点D7(17, 1, 82)
の4点を、夫々結ぶ直線A7-B7、直線B7-D7、線分D7-C7、及び直線C7-A7で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A7-B7及び線分D7-C7上にあり、
前記線分D7-C7は、
座標(x, -0.7738x2 + 42.298x - 494.43, 100-x-y)で表わされる、
前記項2に記載の組成物。
【0017】
項11.
前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、
前記第三成分としてHFC-32を含み、
HFO-1123、HFO-1243zf及びHFC-32の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFC-32をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A8(60, 39, 1)、
点B8(65, 1, 34)、
点C8(23, 76, 1)、
点D8(1, 86, 13)、
点E8(1, 25, 74)、及び
点F8(25, 1, 74)
の6点を、夫々結ぶ直線A8-B8、直線B8-F8、直線F8-E8、直線E8-D8、線分D8-C8、及び直線C8-A8で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A8-B8、直線F8-E8、及び線分D8-C8上にあり、
前記線分D8-C8は、、
座標(x, -0.0034x2 - 0.3909x + 86.794, 100-x-y)で表わされる、
前記項2に記載の組成物。
【0018】
項12.
前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、
前記第三成分としてCF3Iを含み、
HFO-1123、HFO-1243zf及びCF3Iの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びCF3Iをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A9(60, 39, 1)、
点B9(50, 1, 49)、
点C9(24, 75, 1)、及び
点D9(10, 1, 89)
の4点を、夫々結ぶ直線A9-B9、直線B9-D9、線分D9-C9、及び直線C9-A9で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A9-B9及び線分D9-C9上にあり、
前記線分D9-C9は、
座標(x, -0.254x2 + 13.921x - 112.81, 100-x-y)で表わされる、
前記項2に記載の組成物。
【0019】
項13.
水、トレーサー、紫外線蛍光染料、安定剤、及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含有する、前記項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【0020】
項14.
更に、冷凍機油を含有し、冷凍装置用作動流体として用いられる、前記項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【0021】
項15.
前記冷凍機油は、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)、及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含有する、前記項14に記載の組成物。
【0022】
項16.
前記項1~15のいずれか1項に記載の組成物を用いて、冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法。
【0023】
項17.
前記項1~15のいずれか1項に記載の組成物を用いて、冷凍サイクルを運転する冷凍装置の運転方法。
【0024】
項18.
前記項1~15のいずれか1項に記載の組成物を作動流体として含む、冷凍装置。
【0025】
項19.
空調機器、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、車載用空調機器、ターボ冷凍機、又はスクリュー冷凍機である、前記項18に記載の冷凍装置。
【0026】
項20.
不均化抑制剤を用いて、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の不均化反応を抑制する方法であって、
不均化抑制剤は、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)を含む、方法。
【0027】
項21.
二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を保存する方法であって、
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)の存在下で保存する、方法。
【0028】
項22.
二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を輸送する方法であって、
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)の存在下で輸送する、方法。
【0029】
前記組成物は、好ましくは、R12、R22、R134a、R404A、R407A、R407C、R407F、R407H、R410A、R413A、R417A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R427A、R430A、R434A、R437A、R438A、R448A、R449A、R449B、R449C、R452A、R452B、R454A、R454B、R454C、R455A、R465A、R502、R507、R513A、R1234yf又はR1234zeの代替冷媒として用いられる。
【発明の効果】
【0030】
本開示の冷媒を含有する組成物は、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制される、という特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示の冷媒を含有する組成物のうち、冷媒はHFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1234yfであり、HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1234yfの三成分の総濃度は100質量%であり、それら三成分の冷媒の質量比を、三成分を各頂点とする三角成分組成図において規定する点(A1~D1)及びそれら点で囲まれた領域を示す図である。
図2】本開示の冷媒を含有する組成物のうち、冷媒はHFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-HFC-32であり、HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFC-32の三成分の総濃度は100質量%であり、それら三成分の冷媒の質量比を、三成分を各頂点とする三角成分組成図において規定する点(A2~F2)及びそれら点で囲まれた領域を示す図である。
図3】本開示の冷媒を含有する組成物のうち、冷媒はHFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びCF3Iであり、HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びCF3Iの三成分の総濃度は100質量%であり、それら三成分の冷媒の質量比を、三成分を各頂点とする三角成分組成図において規定する点(A3~D3)及びそれら点で囲まれた領域を示す図である。
図4】本開示の冷媒を含有する組成物のうち、冷媒はHFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1234ze(E)であり、HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1234ze(E)の三成分の総濃度は100質量%であり、それら三成分の冷媒の質量比を、三成分を各頂点とする三角成分組成図において規定する点(A4~D4)及びそれら点で囲まれた領域を示す図である。
図5】本開示の冷媒を含有する組成物のうち、冷媒はHFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びFO-1216であり、HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びFO-1216の三成分の総濃度は100質量%であり、それら三成分の冷媒の質量比を、三成分を各頂点とする三角成分組成図において規定する点(A5~D5)及びそれら点で囲まれた領域を示す図である。
図6】本開示の冷媒を含有する組成物のうち、冷媒はHFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1123であり、HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1123の三成分の総濃度は100質量%であり、それら三成分の冷媒の質量比を、三成分を各頂点とする三角成分組成図において規定する点(A6~D6)及びそれら点で囲まれた領域を示す図である。
図7】本開示の冷媒を含有する組成物のうち、冷媒はHFO-1123、HFO-1243zf、及びHFO-1234yfであり、HFO-1123、HFO-1243zf、及びHFO-1234yfの三成分の総濃度は100質量%であり、それら三成分の冷媒の質量比を、三成分を各頂点とする三角成分組成図において規定する点(A7~D7)及びそれら点で囲まれた領域を示す図である。
図8】本開示の冷媒を含有する組成物のうち、冷媒はHFO-1123、HFO-1243zf、及びHFO-HFC-32であり、HFO-1123、HFO-1243zf、及びHFC-32の三成分の総濃度は100質量%であり、それら三成分の冷媒の質量比を、三成分を各頂点とする三角成分組成図において規定する点(A8~F8)及びそれら点で囲まれた領域を示す図である。
図9】本開示の冷媒を含有する組成物のうち、冷媒はHFO-1123、HFO-1243zf、及びCF3Iであり、HFO-1123、HFO-1243zf、及びCF3Iの三成分の総濃度は100質量%であり、それら三成分の冷媒の質量比を、三成分を各頂点とする三角成分組成図において規定する点(A9~D9)及びそれら点で囲まれた領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、冷媒は、例えば、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)を含有する組成物が、上記特性を有していることを見出した。
【0033】
本開示は、かかる知見に基づき、更に研究を重ねた結果完成されたものである。本発明は、以下の実施形態を含む。
【0034】
<用語の定義>
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を夫々最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0035】
本明細書中、語句「含有」及び語句「含む」は、語句「実質的にからなる」及び語句「のみからなる」という概念を包含する。
【0036】
本明細書において用語「冷媒」には、ISO817(国際標準化機構)で定められた、冷媒の種類を表すRで始まる冷媒番号(ASHRAE番号)が付された化合物が少なくとも含まれ、更に冷媒番号が未だ付されていないとしても、それらと同等の冷媒としての特性を有するものが含まれる。
【0037】
冷媒は、化合物の構造の面で、「フルオロカーボン系化合物」と「非フルオロカーボン系化合物」とに大別される。
【0038】
「フルオロカーボン系化合物」には、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、フルオロオレフィン(FO)、パーフルオロカーボン(PFC)等が含まれる。
【0039】
「非フルオロカーボン系化合物」としては、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、二酸化炭素(R744)及びアンモニア(R717)等が含まれる。
【0040】
本明細書において、用語「冷媒を含有する組成物」には、
(1)冷媒そのもの(冷媒の混合物、即ち「混合冷媒」を含む)と、
(2)その他の成分を更に含み、少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍装置用作動流体を得る為に用いることのできる組成物と、
(3)冷凍機油を含有する冷凍装置用作動流体と、が少なくとも含まれる。
【0041】
本明細書においては、これら三態様のうち、(2)の組成物のことを、冷媒そのもの(混合冷媒を含む)と区別して「冷媒組成物」とも表記する。
【0042】
本明細書においては、これら三態様のうち、(3)の冷凍装置用作動流体のことを「冷媒組成物」と区別して「冷凍機油含有作動流体」とも表記する。
【0043】
本明細書において、用語「代替」は、第一の冷媒を第二の冷媒で「代替」するという文脈で用いられる場合、第一の類型として、第一の冷媒を使用して運転する為に設計された機器において、必要に応じて僅かな部品(冷凍機油、ガスケット、パッキン、膨張弁、ドライヤその他の部品のうち少なくとも一種)の変更及び機器調整のみを経るだけで、第二の冷媒を使用して、最適条件下で運転することができることを意味する。即ち、この類型は、同一の機器を、冷媒を「代替」して運転することを指す。
【0044】
この類型の「代替」の態様としては、第二の冷媒への置き換えの際に必要とされる変更乃至調整の度合いが小さい順に、「ドロップイン(drop in)代替」、「ニアリー・ドロップイン(nealy drop in)代替」及び「レトロフィット(retrofit)」があり得る。
【0045】
第二の類型として、第二の冷媒を用いて運転するために設計された機器を、第一の冷媒の既存用途と同一の用途のために、第二の冷媒を搭載して用いることも、用語「代替」に含まれる。この類型は、同一の用途を、冷媒を「代替」して提供することを指す。
【0046】
本明細書において用語「冷凍装置」とは、物或は空間の熱を奪い去ることにより、周囲の外気よりも低い温度にし、且つこの低温を維持する装置全般のことをいう。言い換えれば、広義には、冷凍装置は温度の低い方から高い方へ熱を移動させる為に、外部からエネルギーを得て仕事を行いエネルギー変換する変換装置のことをいう。本開示において、冷凍装置はヒートポンプと同義である。
【0047】
本明細書では、冷凍サイクルにおける蒸発温度とは、冷凍サイクルの蒸発工程において、冷媒液が熱を吸収して蒸気になる際の温度を意味する。冷凍サイクルにおける蒸発温度は、蒸発器入口及び/又は蒸発器出口の温度を測定することにより決定することができる。単体冷媒及び共沸冷媒の場合、蒸発温度は一定であるが、非共沸冷媒の場合、蒸発温度は蒸発器入口の温度と露点温度との平均値となる。即ち、非共沸冷媒の場合、「蒸発温度=(蒸発器入口温度+露点温度)/2」と計算することができる。
【0048】
1.組成物
(1)2元系組成物
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、前記冷媒として、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)を含有し、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は24質量%~60質量%であり、HFO-1243zfの含有割合は76質量%~40質量%であり、前記冷媒は、蒸発温度が-50℃~-5℃である冷凍サイクルを運転する為に用いられる冷媒である。
【0049】
本開示の冷媒を含有する組成物は、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は24質量%~60質量%であり、HFO-1243zfの含有割合は76質量%~40質量%であることで、冷凍能力は、プロパンの冷凍能力に対し、70%以上を達成でき、飽和圧力3MPa(絶対圧力)で不均化反応が抑制される。
【0050】
本開示の冷媒を含有する組成物は、特に、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は24質量%以上であり、HFO-1243zfの含有割合は76質量%以下であることで、冷凍能力は、プロパンの冷凍能力に対し、70%以上を達成できる。
【0051】
本開示の冷媒を含有する組成物は、特に、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は60質量%以下であり、HFO-1243zfの含有割合は40質量%以上であることで、飽和圧力3MPa(絶対圧力)で不均化反応が抑制される。
【0052】
本開示の冷媒を含有する組成物は、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfの全質量に対して、好ましくは、HFO-1132(E)の含有割合は45質量%~60質量%であり、HFO-1243zfの含有割合は55質量%~40質量%であり、より好ましくは、HFO-1132(E)の含有割合は56質量%~60質量%であり、HFO-1243zfの含有割合は44質量%~40質量%である。
【0053】
本開示の冷媒を含有する組成物は、その特性を損なわない範囲内で、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfに加えて、更に他の追加的な冷媒を含有していても良い。
【0054】
本開示の冷媒を含有する組成物は、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfをこれらの濃度の総和で、組成物全体に対して、好ましくは、99.5質量%以上含有し、より好ましくは、99.7質量%以上含有し、更に好ましくは、99.8質量%以上含有し、更に好ましくは、99.9質量%以上含有する。
【0055】
本開示の冷媒を含有する組成物全体における他の追加的な冷媒の含有割合は、組成物全体に対して、好ましくは、0.5質量%以下であり、より好ましくは、0.3質量%以下であり、更に好ましくは、0.2質量%以下であり、更に好ましくは、0.1質量%以下である。
【0056】
他の追加的な冷媒としては、特に限定されず、この分野で広く使用されている公知の冷媒の中から幅広く選択できる。本開示の冷媒を含有する組成物は、他の冷媒を単独で含んでいても良いし、他の冷媒を2種以上含んでいても良い。
【0057】
本開示の冷媒を含有する組成物において、他の追加的な冷媒は、例えば、HFO-1132(E)、HFO-1243zf等に含まれる、合成過程等で生じる超微量の副生成物を含む。本開示の冷媒を含有する組成物は、それら他の追加的な冷媒を排除しない。
【0058】
本開示の冷媒を含有する組成物は、前記冷媒は、好ましくは、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfのみからなる。換言すると、本開示の冷媒を含有する組成物は、組成物全体におけるHFO-1132(E)及びHFO-1243zfの総濃度が100質量%であることが特に好ましい。本開示の冷媒を含有する組成物は、前記「HFO-1132(E)及びHFO-1243zfのみからなる」場合でも、例えば、HFO-1132(E)、HFO-1243zf等の合成過程等で生じる超微量の副生成物を排除しない。
【0059】
本開示の冷媒を含有する組成物は、上述の構成を有することによって、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制される、という特性を有する。
【0060】
本開示の冷媒を含有する組成物は、特に、HFO-1132(E)を含むことにより、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、例えば、冷凍能力は、プロパンの冷凍能力に対し、70%以上を達成でき、好ましくは90%以上を達成できる。本開示の冷媒を含有する組成物は、プロパンに対する冷凍サイクルで消費された動力に対する冷凍能力の比(成績係数(COP))は、70%以上であり、好ましくは90%以上であることから、エネルギー消費効率が優れている。本開示の冷媒を含有する組成物は、GWPが100以下であることによって、地球温暖化の観点から他の汎用冷媒と比べて顕著に環境負荷を抑えることができる。
【0061】
本開示の冷媒を含有する組成物は、HFO-1243zfを含むことにより、そのHFO-1132(E)の不均化反応を抑制される。本開示の冷媒を含有する組成物は、例えば、飽和温度150℃、及び飽和圧力1 MPa以上7MPa以下の範囲(「1 MPa~7MPa」とも記す、例として、3MPa)において、不均化反応が抑制される。
【0062】
本開示において、不均化反応を抑制する圧力条件は、絶対圧力を表す。
【0063】
不均化とは、同一種類の化学種(HFO-1132(E))が2個以上互いに反応して、2種類以上の異なる種類の生成物を与える化学反応のことである。
【0064】
本開示において、冷媒を含有する組成物は、蒸発温度が-50℃~-5℃である冷凍サイクルを運転する為に用いられる。本開示の冷媒を含有する組成物は、蒸発温度が-50℃~-5℃である冷凍サイクルを運転する為に用いることにより、優れた冷凍能力を発揮する。
【0065】
本開示の冷媒を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度が-5℃以下であると、圧縮比が4以上となり、冷凍サイクルとしての効率が良くなる。本開示の冷媒を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度が-50℃以上であると、蒸発圧力が0.04MPa以上となり、圧縮機への冷媒の吸入に関する負荷が低減される。なお、圧縮比は、次式により求めることができる。
圧縮比=凝縮圧力(Mpa)/蒸発圧力(Mpa)
【0066】
本開示の冷媒を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は、好ましくは、-7.5℃以下であり、より好ましくは、-10℃以下であり、更に好ましくは、-15℃以下である。本開示の冷媒を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は、好ましくは、-45℃以上であり、より好ましくは、-40℃以上であり、更に好ましくは、-35℃以上である。
【0067】
本開示の冷媒を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、圧縮機への冷媒の吸入に関する負荷を低減させる観点から、蒸発圧力は、好ましくは、0.04MPa以上であり、より好ましくは、0.05MPa以上であり、更に好ましくは、0.06MPa以上であり、特に好ましくは、0.07MPa以上である。
【0068】
本開示の冷媒を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、冷凍サイクルの効率を向上させる観点から、蒸発圧力は、好ましくは、1MPa以下であり、より好ましくは、0.8MPa以下であり、更に好ましくは、0.6MPa以下であり、特に好ましくは、0.4MPa以下である。
【0069】
本開示の冷媒を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、冷凍サイクルの効率を向上させる観点から、凝縮圧力は、好ましくは、1MPa以上であり、より好ましくは、1.2MPa以上であり、更に好ましくは、1.4MPa以上であり、特に好ましくは、1.6MPa以上である。
【0070】
本開示の冷媒を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、冷凍サイクルに必要十分な凝縮潜熱を確保する観点から、凝縮圧力は、好ましくは、4.5MPa以下であり、より好ましくは、4MPa以下であり、更に好ましくは、3.5MPa以下であり、特に好ましくは、3MPa以下である。
【0071】
本開示の冷媒を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、冷凍サイクルとしての効率を向上させる観点から、圧縮比は、好ましくは、4.0以上であり、より好ましくは、4.5以上であり、更に好ましくは、5.0以上であり、特に好ましくは、5.5以上である。
【0072】
本開示の冷媒を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、冷凍サイクルとしての効率を向上させる観点から、圧縮比は、好ましくは、200以下であり、より好ましくは、150以下であり、更に好ましくは、100以下であり、特に好ましくは、50以下である。
【0073】
(2)3元系組成物
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、前記冷媒として、
第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素;
3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf);及び
トリフルオロヨードメタン(CF3I)、ジフルオロメタン(HFC-32)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))、ヘキサフルオロプロペン(FO-1216)、パーフルオロメタン(PFC-14)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、フルオロエタン(HFC-161)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、シス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(Z))、トランス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(E))、CF3SCF3、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、イソブテン、イソブタン、及び第二の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素(但し、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素とは異なる二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素とする)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の第三成分;を含有する。
【0074】
本開示の冷媒を含有する組成物は、前記第一及び第二の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素は、好ましくは、トリフルオロエチレン(HFO-1123)、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、及びテトラフルオロエチレン(FO-1114)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分である。
【0075】
本開示の冷媒を含有する組成物は、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素、前記HFO-1243zf、及び前記第三の成分の全質量に対して、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の含有割合は1質量%以上であり、前記HFO-1243zfの含有割合は1質量%以上であり、前記第三成分の含有割合は1質量%以上である。
【0076】
本開示の冷媒を含有する組成物は、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素はHFO-1132(E)であり、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf及び前記第三の成分(HFO-1132(E)とは異なる成分)の全質量に対して、前記HFO-1132(E)の含有割合は30質量%~60質量%であり、前記HFO-1243zfの含有割合は10質量%~39質量%であり、前記第三成分の含有割合は1質量%以上である。
【0077】
本開示の冷媒を含有する組成物は、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素はHFO-1123であり、前記HFO-1123、前記HFO-1243zf及び前記第三の成分(HFO-1123とは異なる成分)の全質量に対して、前記HFO-1123の含有割合は30質量%~60質量%であり、前記HFO-1243zfの含有割合は10質量%~39質量%であり、前記第三成分の含有割合は1質量%以上である。
【0078】
(2-1)HFO-1132(E) / HFO-1243zf / HFO-1234yf(図1
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、前記第三成分としてHFO-1234yfを含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1234yfの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234yfをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A1(60, 39, 1)、
点B1(55, 1, 44)、
点C1(26, 73, 1)、及び
点D1(18, 1, 81)
の4点を、夫々結ぶ直線A1-B1、直線B1-D1、線分D1-C1、及び直線C1-A1で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A1-B1及び線分D1-C1上にあり、
前記線分D1-C1は、(x, -1.75x2+ 86x - 980, 100-x-y)で表わされる。
【0079】
本開示の冷媒を含有する組成物は、好ましくは、前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1234yfの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0080】
点A1とB1とを結ぶ線
点A1及びB1は、いずれも直線a1上にある。即ち、直線A1-B1は直線a1の一部である。直線a1は、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す直線である。直線a1よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、不均化反応が起こり得る。
【0081】
図1において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1234yfの質量%=zとする時、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0082】
3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分
点A1及び点B1の二点を結ぶ直線a1の一部(図1の直線A1-B1)
y=8x-440
z=100-x-y
55≦x≦60
【0083】
点B1とD1とを結ぶ線
点B1及びD1は、いずれも直線b1上にある。即ち、直線B1-D1は直線b1の一部である。直線b1は、HFO-1243zfの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線b1よりも三角組成図の頂点HFO-1243zf側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1243zfの濃度が1質量%を超える。
【0084】
図1において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1234yfの質量%=zとする時、HFO-1243zfの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0085】
HFO-1243zfが1質量%である質量比を示す線分
点B1及び点D1の二点を結ぶ直線b1の一部(図1の直線B1-D1)
y=1
z=100-x-y
18≦x≦55
【0086】
点C1とD1とを結ぶ線
点C1及びD1は、いずれも曲線c1上にある。曲線c1は、冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線である。曲線c1よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、三成分の混合冷媒の冷凍能力がプロパンに対して90%を超える。
【0087】
曲線c1は次のようにして求められる。
【0088】
表1は、HFO-1132(E)=18、20、又は26質量%(mass%)である時に、対プロパンとの冷凍能力比が90%である3点を示す。曲線c1は、この3点を結ぶ線で示され、ここでHFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1234yfの質量%=zとする時、曲線c1は最小二乗法により表1の式で近似される。
【0089】
冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線
【0090】
【表1】
【0091】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1234yfの総和を基準として、HFO-1132(E)の質量%をx、HFO-1243zfの質量%をy、及びHFO-1234yfの質量%をzとする時、線分D1-C1(曲線c1)は、座標(x, -1.75x2 + 86x - 980, 100-x-y)の軌跡である。
【0092】
HFO-1132(E)の質量%(x)は、好ましくは、18質量%以上、26質量%以下、つまり、18≦x≦26である。
【0093】
点A1とC1とを結ぶ線
点A1及びC1は、いずれも直線d1上にある。即ち、直線A1-C1は直線d1の一部である。直線d1は、HFO-1234yfの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線d1よりも三角組成図の頂点HFO-1234yf側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1234yfの濃度が1質量%を超える。
【0094】
図1において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1234yfの質量%=y及びHFO-1234yfの質量%=zとする時、HFO-1234yfの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0095】
HFO-1234yfが1質量%である質量比を示す線分
点A1及び点C1の二点を結ぶ直線d1の一部(図1の直線A1-C1)
y=1.0
z=100-x-y
26≦x≦60
【0096】
(2-2)HFO-1132(E) /HFO-1243zf / HFC-32(図2
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、前記第三成分としてHFC-32を含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFC-32の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々x HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFC-32をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A2(60, 39, 1)、
点B2(65, 1, 34)、
点C2(24, 75, 1)、
点D2(1, 77, 22)、
点E2(1, 25, 74)、及び
点F2(25, 1, 74)
の6点を、夫々結ぶ直線A2-B2、直線B2-F2、直線F2-E2、直線E2-D2、線分D2-C2、及び直線C2-A2で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A2-B2、直線F2-E2、及び線分D2-C2上にあり、
前記線分D2-C2は、
座標(x, -0.0079x2 + 0.1107x + 76.897, 100-x-y)で表わされる。
【0097】
本開示の冷媒を含有する組成物は、好ましくは、前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFC-32の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0098】
点A2とB2とを結ぶ線
点A2及びB2は、いずれも直線a2上にある。即ち、直線A2-B2は直線a2の一部である。直線a2は、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す直線である。直線a2よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、不均化反応が起こり得る。
【0099】
図2において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとする時、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0100】
3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分
点A2及び点B2の二点を結ぶ直線a2の一部(図2の直線A2-B2)
y=-8x-520
z=100-x-y
60≦x≦65
【0101】
点B2とF2とを結ぶ線
点B2及びF2は、いずれも直線b2上にある。即ち、直線B2-F2は直線b2の一部である。直線b2は、HFO-1243zfの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線b2よりも三角組成図の頂点HFO-1243zf側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1243zfの濃度が1質量%を超える。
【0102】
図2において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとする時、HFO-1243zfの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0103】
HFO-1243zfが1質量%である質量比を示す線分
点B2及び点F2の二点を結ぶ直線b2の一部(図2の直線B2-F2)
y=1
z=100-x-y
25≦x≦65
【0104】
点E2とF2とを結ぶ線
点E2及びF2は、いずれも直線c2上にある。即ち、直線E2-F2は直線c2の一部である。直線c2は、GWP=500を示す直線である。直線cよりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側及び、頂点HFO-1243zf側の領域では、GWPが500よりも小さい。
【0105】
図2において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとする時、GWP=500を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0106】
GWP=500を示す線分
点E2及び点F2の二点を結ぶ直線c2の一部(図2の直線E2-F2)
y=-x-26
z=100-x-y
1≦x≦25
【0107】
点D2とE2とを結ぶ線
点D2及びE2は、いずれも直線d2上にある。即ち、直線D2-E2は直線d2の一部である。直線d2は、HFO-1132(E)の濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線d2よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1132(E)の濃度が1質量%を超える。
【0108】
図2において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとする時、HFO-1132(E)の濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0109】
HFO-1132(E)が1質量%である質量比を示す線分
点D2及び点E2の二点を結ぶ直線d2の一部(図2の直線D2-E2)
x=1
z=100-x-y
25≦y≦78
【0110】
点C2とD2とを結ぶ線
点C2及びD2は、いずれも曲線c2上にある。曲線c2は、冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線である。曲線c2よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側及び、頂点HFC-32側の領域では、三成分の混合冷媒の冷凍能力がプロパンに対して90%を超える。
【0111】
曲線c2は次のようにして求められる。
【0112】
表2は、HFO-1132(E)=1、13、又は24質量%(mass%)である時に、対プロパンとの冷凍能力比が90%である3点を示す。曲線c2はこの3点を結ぶ線で示され、ここでHFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとした場合、曲線c2は最小二乗法により表2の式で近似される。
【0113】
冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線
【0114】
【表2】
【0115】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFC-32の総和を基準として、HFO-1132(E)の質量%をx、HFO-1243zfの質量%をy、及びHFC-32の質量%をzとする時、線分D2-C2(曲線c2)は、座標(x, -0.0079x2 + 0.1107x + 76.897, 100-x-y)の軌跡である。
【0116】
HFO-1132(E)の質量%(x)は、好ましくは、1質量%以上、24質量%以下、つまり、1≦x≦24である。
【0117】
点A2とC2とを結ぶ線
点A2及びC2は、いずれも直線f2上にある。即ち、直線A2-C2は直線f2の一部である。直線f2は、HFC-32の濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線f2よりも三角組成図の頂点HFC-32側の領域では、三成分の混合冷媒のHFC-32の濃度が1質量%を超える。
【0118】
図2において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1234yfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとする時、HFC-32の濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0119】
HFC-32が1質量%である質量比を示す線分
点A2及び点C2の二点を結ぶ直線f2の一部(図2の直線A2-C2)
y=100-x-z
z=1
24≦x≦60
【0120】
(2-3)HFO-1132(E) / HFO-1243zf / CF 3 I(図3
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、前記第三成分としてCF3Iを含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びCF3Iの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びCF3Iをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A3(60, 39, 1)、
点B3(50, 1, 49)、
点C3(26, 73, 1)、及び
点D3(20, 1, 79)
の4点を、夫々結ぶ直線A3-B3、直線B3-D3、線分D3-C3、及び直線C3-A3で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A3-B3及び線分D3-C3上にあり、
前記線分D3-C3は、
座標(x, 5.1429x2 - 224.57x + 2435.3, 100-x-y)で表わされる。
【0121】
本開示の冷媒を含有する組成物は、好ましくは、前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記CF3Iの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0122】
点A3とB3とを結ぶ線
点A3及びB3は、いずれも直線a3上にある。即ち、直線A3-B3は直線a3の一部である。直線a3は、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す直線である。直線a3よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、不均化反応が起こり得る。
【0123】
図3において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びCF3Iの質量%=zとする時、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0124】
3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分
点A3及び点B3の二点を結ぶ直線a3の一部(図3の直線A3-B3)
y=4x-200
z=100-x-y
50≦x≦60
【0125】
点B3とD3とを結ぶ線
点B3及びD3は、いずれも直線b3上にある。即ち、直線B3-D3は直線b3の一部である。直線b3は、HFO-1243zfの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線b3よりも三角組成図の頂点HFO-1243zf側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1243zfの濃度が1質量%を超える。
【0126】
図3において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びCF3Iの質量%=zとする時、HFO-1243zfの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0127】
HFO-1243zfが1質量%である質量比を示す線分
点B3及び点D3の二点を結ぶ直線b3の一部(図3の直線B3-D3)
y=1
z=100-x-y
20≦x≦50
【0128】
点C3とD3とを結ぶ線
点C3及びD3は、いずれも曲線c3上にある。曲線c3は、冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線である。曲線c3よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、三成分の混合冷媒の冷凍能力がプロパンに対して90%を超える。
【0129】
曲線c3は次のようにして求められる。
【0130】
表3は、HFO-1132(E)=19、20、又は26質量%(mass%)である時に、対プロパンとの冷凍能力比が90%である3点を示す。曲線c3はこの3点を結ぶ線で示され、ここでHFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びCF3Iの質量%=zとした場合、曲線c3は最小二乗法により表3の式で近似される。
【0131】
冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線
【0132】
【表3】
【0133】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びCF3Iの総和を基準として、HFO-1132(E)の質量%をx、HFO-1243zfの質量%をy、及びCF3Iの質量%をzとする時、線分D3-C3(曲線c3)は、座標(x, 5.1429x2 - 224.57x + 2435.3, 100-x-y)の軌跡である。
【0134】
HFO-1132(E)の質量%(x)は、好ましくは、19質量%以上、26質量%以下、つまり、19≦x≦26である。
【0135】
点A3とC3とを結ぶ線
点A3及びC3は、いずれも直線d3上にある。即ち、直線A3-C3は直線d3の一部である。直線d3は、CF3Iの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線d3よりも三角組成図の頂点CF3I側の領域では、三成分の混合冷媒のCF3Iの濃度が1質量%を超える。
【0136】
図3において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1234yfの質量%=y及びCF3Iの質量%=zとする時、CF3Iの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0137】
CF 3 Iが1質量%である質量比を示す線分
点A3及び点C3の二点を結ぶ直線d3の一部(図3の直線A3-C3)
y=1.0
z=100-x-y
26≦x≦60
【0138】
(2-4)HFO-1132(E) / HFO-1243zf / HFO-1234ze(E)(図4
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、前記第三成分としてHFO-1234ze(E)を含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1234ze(E)の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234ze(E)をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A4(60, 39, 1)、
点B4(55, 1, 44)、
点C4(26, 73, 1)、及び
点D4(28, 1, 71)
の4点を、夫々結ぶ直線A4-B4、直線B4-D4、線分D4-C4、及び直線C4-A4で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A4-B4及び線分D4-C4上にあり、
前記線分D4-C4は、
座標(x, 17x2 - 954x + 13385, 100-x-y)で表わされる。
【0139】
本開示の冷媒を含有する組成物は、好ましくは、前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1234ze(E)の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0140】
点A4とB4とを結ぶ線
点A4及びB4は、いずれも直線a4上にある。即ち、直線A4-B4は直線a4の一部である。直線a4は、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す直線である。直線a4よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、不均化反応が起こり得る。
【0141】
図4において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1234ze(E)の質量%=zとする時、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0142】
3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分
点A4及び点B4の二点を結ぶ直線a4の一部(図4の直線A4-B4)
y=8x-440
z=100-x-y
55≦x≦60
【0143】
点B4とD4とを結ぶ線
点B4及びD4は、いずれも直線b4上にある。即ち、直線B4-D4は直線b4の一部である。直線b4は、HFO-1243zfの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線b4よりも三角組成図の頂点HFO-1243zf側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1243zfの濃度が1質量%を超える。
【0144】
図4において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1234ze(E)の質量%=zとする時、HFO-1243zfの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0145】
HFO-1243zfが1質量%である質量比を示す線分
点B4及び点D4の二点を結ぶ直線b4の一部(図4の直線B4-D4)
y=1
z=100-x-y
28≦x≦55
【0146】
点C4とD4とを結ぶ線
点C4及びD4は、いずれも曲線c4上にある。曲線c4は、冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線である。曲線c4よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、三成分の混合冷媒の冷凍能力がプロパンに対して90%を超える。
【0147】
曲線c4は次のようにして求められる。
【0148】
表4は、HFO-1132(E)=26、27、又は28質量%(mass%)である時に、対プロパンとの冷凍能力比が90%である3点を示す。曲線c4はこの3点を結ぶ線で示され、ここでHFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1234ze(E)の質量%=zとした場合、曲線c4は最小二乗法により表4の式で近似される。
【0149】
冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線
【0150】
【表4】
【0151】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1234ze(E)の総和を基準として、HFO-1132(E)の質量%をx、HFO-1243zfの質量%をy、及びHFO-1234ze(E)の質量%をzとする時、線分D4-C4(曲線c4)は、座標(x, 17x2 - 954x + 13385, 100-x-y)の軌跡である。
【0152】
HFO-1132(E)の質量%(x)は、好ましくは、26質量%以上、28質量%以下、つまり、26≦x≦28である。
【0153】
点A4とC4とを結ぶ線
点A4及びC4は、いずれも直線d4上にある。即ち、直線A4-C4は直線d4の一部である。直線d4は、HFO-1234ze(E)の濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線d4よりも三角組成図の頂点HFO-1234ze(E)側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1234ze(E)の濃度が1質量%を超える。
【0154】
図4において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1234yfの質量%=y及びHFO-1234ze(E)の質量%=zとする時、HFO-1234ze(E)の濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0155】
HFO-1234ze(E)が1質量%である質量比を示す線分
点A4及び点C4の二点を結ぶ直線d4の一部(図4の直線A4-C4)
y=1.0
z=100-x-y
26≦x≦60
【0156】
(2-5)HFO-1132(E) / HFO-1243zf / FO-1216(図5
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E) を含み、前記第三成分としてHFO-1216を含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1216の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1216をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A5(60, 39, 1)、
点B5(55, 1, 44)、
点C5(26, 73, 1)、及び
点D5(13, 1, 86)
の4点を、夫々結ぶ直線A5-B5、直線B5-D5、線分D5-C5、及び直線C5-A5で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A5-B5及び線分D5-C5上にあり、
前記線分D5-C5は、
座標(x, -0.0531x2 + 7.6099x - 88.952, 100-x-y)で表わされる。
【0157】
本開示の冷媒を含有する組成物は、好ましくは、前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1216の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0158】
点A5とB5とを結ぶ線
点A5及びB5は、いずれも直線a5上にある。即ち、直線A5-B5は直線a5の一部である。直線a5は、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す直線である。直線a5よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、不均化反応が起こり得る。
【0159】
図5において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びFO-1216の質量%=zとする時、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0160】
3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分
点A5及び点B5の二点を結ぶ直線a5の一部(図5の直線A5-B5)
y=8x-440
z=100-x-y
55≦x≦60
【0161】
点B5とD5とを結ぶ線
点B5及びD5は、いずれも直線b5上にある。即ち、直線B5-D5は直線b5の一部である。直線b5は、HFO-1243zfの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線b5よりも三角組成図の頂点HFO-1243zf側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1243zfの濃度が1質量%を超える。
【0162】
図5において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びFO-1216の質量%=zとする時、HFO-1243zfの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0163】
HFO-1243zfが1質量%である質量比を示す線分
点B5及び点D5の二点を結ぶ直線b5の一部(図5の直線B5-D5)
y=1
z=100-x-y
13≦x≦55
【0164】
点C5とD5とを結ぶ線
点C5及びD5は、いずれも曲線c5上にある。曲線c5は、冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線である。曲線c5よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、三成分の混合冷媒の冷凍能力がプロパンに対して90%を超える。
【0165】
曲線c5は次のようにして求められる。
【0166】
表5は、HFO-1132(E)=13、20、又は26質量%(mass%)である時に、対プロパンとの冷凍能力比が90%である3点を示す。曲線c5はこの3点を結ぶ線で示され、ここでHFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びFO-1216の質量%=zとした場合、曲線c5は最小二乗法により表5の式で近似される。
【0167】
冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線
【0168】
【表5】
【0169】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1216の総和を基準として、HFO-1132(E)の質量%をx、HFO-1243zfの質量%をy、及びFO-1216の質量%をzとする時、線分D5-C5(曲線c5)は、座標(x, -0.0531x2 + 7.6099x - 88.952, 100-x-y)の軌跡である。
【0170】
HFO-1132(E)の質量%(x)は、好ましくは、13質量%以上、26質量%以下、つまり、13≦x≦26である。
【0171】
点A5とC5とを結ぶ線
点A5及びC5は、いずれも直線d5上にある。即ち、直線A5-C5は直線d5の一部である。直線d5は、FO-1216の濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線d5よりも三角組成図の頂点FO-1216側の領域では、三成分の混合冷媒のFO-1216の濃度が1質量%を超える。
【0172】
図5において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1234yfの質量%=y及びFO-1216の質量%=zとする時、FO-1216の濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0173】
FO-1216が1質量%である質量比を示す線分
点A5及び点C5の二点を結ぶ直線d5の一部(図5の直線A5-C5)
y=1.0
z=100-x-y
26≦x≦60
【0174】
(2-6)HFO-1132(E) / HFO-1243zf /HFO-1123(図6
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素はとしてHFO-1132(E)を含み、前記第三成分の前記第二の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1123の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1123をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A6(59, 40, 1)、
点B6(1, 40, 59)、
点C6(25, 74, 1)、及び
点D6(1, 75, 24)
の4点を、夫々結ぶ直線A6-B6、直線B6-D6、線分D6-C6、及び直線C6-A6で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A6-B6及び線分D6-C6上にあり、
前記線分D6-C6は、
座標(x, -0.0032x2 + 0.0417x + 74.962, 100-x-y)で表わされる。
【0175】
本開示の冷媒を含有する組成物は、好ましくは、前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1123の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0176】
点A6とB6とを結ぶ線
点A6及びB6は、いずれも直線a6上にある。即ち、直線A6-B6は直線a6の一部である。直線a6は、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す直線である。直線a6よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側及び、HFO-1123側の領域では、不均化反応が起こり得る。
【0177】
図6において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1123の質量%=zとする時、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0178】
3MPaで不均化反応が抑制されるいことを示す線分
点A6及び点B6の二点を結ぶ直線a6の一部(図6の直線A6-B6)
y=40
z=100-x-y
1≦x≦25
【0179】
点B6とD6とを結ぶ線
点B6及びD6は、いずれも直線b6上にある。即ち、線分B6-D6は直線b6の一部である。直線b6は、HFO-1132(E)の濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線b6よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1132(E)の濃度が1質量%を超える。
【0180】
図6において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1123の質量%=zとする時、HFO-1132(E)の濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0181】
HFO-1132(E)が1質量%である質量比を示す線分
点B6及び点D6の二点を結ぶ直線b6の一部(図6の直線B6-D6)
x=1
z=100-x-y
40≦y≦75
【0182】
点C6とD6とを結ぶ線
点C6及びD6は、いずれも曲線c6上にある。曲線c6は、冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線である。曲線c6よりも三角組成図の頂点HFO-1132(E)側の領域では、三成分の混合冷媒の冷凍能力がプロパンに対して90%を超える。
【0183】
曲線c6は次のようにして求められる。
【0184】
表6は、HFO-1132(E)=1、12、又は25質量%(mass%)である時に、対プロパンとの冷凍能力比が90%である3点を示す。曲線c6はこの3点を結ぶ線で示され、ここでHFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1123の質量%=zとした場合、曲線c6は最小二乗法により表6の式で近似される。
【0185】
冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線
【0186】
【表6】
【0187】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1123の総和を基準として、HFO-1132(E)の質量%をx、HFO-1243zfの質量%をy、及びHFO-1123の質量%をzとする時、線分D6-C6(曲線c6)は、座標(x, -0.0032x2 + 0.0417x + 74.962, 100-x-y)の軌跡である。
【0188】
HFO-1132(E)の質量%(x)は、好ましくは、1質量%以上、25質量%以下、つまり、1≦x≦25である。
【0189】
点A6とC6とを結ぶ線
点A6及びC6は、いずれも直線d6上にある。即ち、直線A6-C6は直線d6の一部である。直線d6は、FO-1216の濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線d6よりも三角組成図の頂点HFO-1123側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1123の濃度が1質量%を超える。
【0190】
図6において、HFO-1132(E)の質量%=x、HFO-1234yfの質量%=y及びHFO-1123の質量%=zとする時、HFO-1123の濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0191】
HFO-1123が1質量%である質量比を示す線分
点A6及び点C6の二点を結ぶ直線d6の一部(図6の直線A6-C6)
y=1.0
z=100-x-y
25≦x≦59
【0192】
(2-7)HFO-1123 / HFO-1243zf / HFO-1234yf(図7
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、前記第三成分としてHFO-1234yfを含み
HFO-1123、HFO-1243zf及びHFO-1234yfの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234yfをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A7(60, 39, 1)、
点B7(55, 1, 44)、
点C7(24, 75, 1)、及び
点D7(17, 1, 82)
の4点を、夫々結ぶ直線A7-B7、直線B7-D7、線分D7-C7、及び直線C7-A7で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A7-B7及び線分D7-C7上にあり、
前記線分D7-C7は、
座標(x, -0.7738x2 + 42.298x - 494.43, 100-x-y)で表わされる。
【0193】
本開示の冷媒を含有する組成物は、好ましくは、、前記冷媒全体に対して、前記HFO-1123、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1234yfの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0194】
点A7とB7とを結ぶ線
点A7及びB7は、いずれも直線a7上にある。即ち、直線A7-B7は直線a7の一部である。直線a7は、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す直線である。直線a7よりも三角組成図の頂点HFO-1123側の領域では、不均化反応が起こり得る。
【0195】
図7において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1234yfの質量%=zとする時、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0196】
3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分
点A7及び点B7の二点を結ぶ直線a7の一部(図7の直線A7-B7)
y=8x-440
z=100-x-y
55≦x≦60
【0197】
点B7とD7とを結ぶ線
点B7及びD7は、いずれも直線b7上にある。即ち、直線B7-D7は直線b7の一部である。直線b7は、HFO-1243zfの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線b7よりも三角組成図の頂点HFO-1243zf側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1243zfの濃度が1質量%を超える。
【0198】
図7において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1234yfの質量%=zとする時、HFO-1243zfの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0199】
HFO-1243zfが1質量%である質量比を示す線分
点B7及び点D7の二点を結ぶ直線b7の一部(図7の直線B7-D7)
y=1
z=100-x-y
17≦x≦55
【0200】
点C7とD7とを結ぶ線
点C7及びD7は、いずれも曲線c7上にある。曲線c7は、冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線である。曲線c7よりも三角組成図の頂点HFO-1123側の領域では、三成分の混合冷媒の冷凍能力がプロパンに対して90%を超える。
【0201】
曲線c7は次のようにして求められる。
【0202】
表7は、HFO-1123=17、20、又は24質量%(mass%)である時に、対プロパンとの冷凍能力比が90%である3点を示す。曲線c7はこの3点を結ぶ線で示され、ここでHFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFO-1234yfの質量%=zとした場合、曲線c7は最小二乗法により表7の式で近似される。
【0203】
冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線
【0204】
【表7】
【0205】
HFO-1123、HFO-1243zf及びHFO-1234yfの総和を基準として、HFO-1123の質量%をx、HFO-1243zfの質量%をy、及びHFO-1234yfの質量%をzとする時、線分D7-C7(曲線c7)は、座標(x, -0.7738x2 + 42.298x - 494.43, 100-x-y)の軌跡である。
【0206】
HFO-1132(E)の質量%(x)は、好ましくは、17質量%以上、24質量%以下、つまり、17≦x≦24である。
【0207】
点A7とC7とを結ぶ線
点A7及びC7は、いずれも直線d7上にある。即ち、直線A7-C7は直線d7の一部である。直線d7は、HFO-1234yfの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線d7よりも三角組成図の頂点HFO-1234yf側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1234yfの濃度が1質量%を超える。
【0208】
図7において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1234yfの質量%=y及びHFO-1234yfの質量%=zとする時、HFO-1234yfの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0209】
HFO-1234yfが1質量%である質量比を示す線分
点A7及び点C7の二点を結ぶ直線d7の一部(図7の直線A7-C7)
y=1.0
z=100-x-y
24≦x≦60
【0210】
(2-8)HFO-1123 /HFO-1243zf / HFC-32(図8
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、前記第三成分としてHFC-32を含み、
HFO-1123、HFO-1243zf及びHFC-32の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFC-32をz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A8(60, 39, 1)、
点B8(65, 1, 34)、
点C8(23, 76, 1)、
点D8(1, 86, 13)、
点E8(1, 25, 74)、及び
点F8(25, 1, 74)
の6点を、夫々結ぶ直線A8-B8、直線B8-F8、直線F8-E8、直線E8-D8、線分D8-C8、及び直線C8-A8で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A8-B8、直線F8-E8、及び線分D8-C8上にあり、
前記線分D8-C8は、、
座標(x, -0.0034x2 - 0.3909x + 86.794, 100-x-y)で表わされる。
【0211】
本開示の冷媒を含有する組成物は、好ましくは、前記冷媒全体に対して、前記HFO-1123、前記HFO-1243zf、及び前記HFC-32の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0212】
点A8とB8とを結ぶ線
点A8及びB8は、いずれも直線a8上にある。即ち、直線A8-B8は直線a8の一部である。直線a8は、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す直線である。直線a8よりも三角組成図の頂点HFO-1123側の領域では、不均化反応が起こり得る。
【0213】
図8において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとする時、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0214】
3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分
点A8及び点B8の二点を結ぶ直線a8の一部(図8の直線A8-B8)
y=-8x-520
z=100-x-y
60≦x≦65
【0215】
点B8とF8とを結ぶ線
点B8及びF8は、いずれも直線b8上にある。即ち、直線B8-F8は直線b8の一部である。直線b8は、HFO-1243zfの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線b8よりも三角組成図の頂点HFO-1243zf側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1243zfの濃度が1質量%を超える。
【0216】
図8において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとする時、HFO-1243zfの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0217】
HFO-1243zfが1質量%である質量比を示す線分
点B8及び点F8の二点を結ぶ直線b8の一部(図8の直線B8-D8)
y=1
z=100-x-y
25≦x≦65
【0218】
点E8とF8とを結ぶ線
点E8及びF8は、いずれも直線c8上にある。即ち、直線E8-F8は直線c8の一部である。直線c8は、GWP=500を示す直線である。直線c8よりも三角組成図の頂点HFO-1123側及び、頂点HFO-1243zf側の領域では、GWPが500よりも小さい。
【0219】
図8において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとする時、GWP=500を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0220】
GWP=500を示す線分
点E8及び点F8の二点を結ぶ直線c8の一部(図8の直線E8-F8)
y=-x+26
z=100-x-y
1≦x≦25
【0221】
点D8とE8とを結ぶ線
点D8及びE8は、いずれも直線d8上にある。即ち、直線D8-E8は直線d8の一部である。直線d8は、HFO-1123の濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線d8よりも三角組成図の頂点HFO-1123側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1123の濃度が1質量%を超える。
【0222】
図8において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとする時、HFO-1123の濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0223】
HFO-1123が1質量%である質量比を示す線分
点D8及び点E8の二点を結ぶ直線d8の一部(図8の直線D8-E8)
x=1
z=100-x-y
25≦y≦86
【0224】
点C8とD8とを結ぶ線
点C8及びD8は、いずれも曲線c8上にある。曲線c8は、冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線である。曲線c8よりも三角組成図の頂点HFO-1123側及び、頂点HFC-32側の領域では、三成分の混合冷媒の冷凍能力がプロパンに対して90%を超える。
【0225】
曲線c8は次のようにして求められる。
【0226】
表8は、HFO-1123=1、9、又は23質量%(mass%)である時に、対プロパンとの冷凍能力比が90%である3点を示す。曲線c8はこの3点を結ぶ線で示され、ここでHFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとした場合、曲線c8は最小二乗法により表8の式で近似される。
【0227】
冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線
【0228】
【表8】
【0229】
HFO-1123、HFO-1243zf及びHFC-32の総和を基準として、HFO-1123の質量%をx、HFO-1243zfの質量%をy、及びHFC-32の質量%をzとする時、線分D8-C8(曲線c8)は、座標(x, -0.0034x2 - 0.3909x + 86.794, 100-x-y)の軌跡である。
【0230】
HFO-1132(E)の質量%(x)は、好ましくは、1質量%以上、23質量%以下、つまり、1≦x≦23である。
【0231】
点A8とC8とを結ぶ線
点A8及びC8は、いずれも直線f8上にある。即ち、直線A8-C8は直線f8の一部である。直線f8は、HFC-32の濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線f8よりも三角組成図の頂点HFC-32側の領域では、三成分の混合冷媒のHFC-32の濃度が1質量%を超える。
【0232】
図8において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1234yfの質量%=y及びHFC-32の質量%=zとする時、HFC-32の濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0233】
HFC-32が1質量%である質量比を示す線分
点A8及び点C8の二点を結ぶ直線f8の一部(図8の直線A8-C8)
y=100-x-z
z=1
23≦x≦60
【0234】
(2-9)HFO-1123 / HFO-1243zf / CF 3 I(図9
本開示の冷媒を含有する組成物は、1つの態様として、HFO-1243zfを含み、好ましくは、前記第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、前記第三成分としてCF3Iを含み、
HFO-1123、HFO-1243zf及びCF3Iの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びCF3Iをz質量%とする時、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A9(60, 39, 1)、
点B9(50, 1, 49)、
点C9(24, 75, 1)、及び
点D9(10, 1, 89)
の4点を、夫々結ぶ直線A9-B9、直線B9-D9、線分D9-C9、及び直線C9-A9で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A9-B9及び線分D9-C9上にあり、
前記線分D9-C9は、
座標(x, -0.254x2 + 13.921x - 112.81, 100-x-y)で表わされる。
【0235】
本開示の冷媒を含有する組成物は、好ましくは、前記冷媒全体に対して、前記HFO-1123、前記HFO-1243zf、及び前記CF3Iの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0236】
点A9とB9とを結ぶ線
点A9及びB9は、いずれも直線a9上にある。即ち、直線A9-B9は直線a9の一部である。直線a9は、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す直線である。直線a9よりも三角組成図の頂点HFO-1123側の領域では、不均化反応が起こり得る。
【0237】
図9において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びCF3Iの質量%=zとする時、3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0238】
3MPaで不均化反応が抑制されることを示す線分
点A9及び点B9の二点を結ぶ直線a9の一部(図9の直線A9-B9)
y=4x-200
z=100-x-y
50≦x≦60
【0239】
点B9とD9とを結ぶ線
点B9及びD9は、いずれも直線b9上にある。即ち、直線BDは直線b9の一部である。直線b9は、HFO-1243zfの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線bよりも三角組成図の頂点HFO-1243zf側の領域では、三成分の混合冷媒のHFO-1243zfの濃度が1質量%を超える。
【0240】
図9において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びCF3Iの質量%=zとする時、HFO-1243zfの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0241】
HFO-1243zfが1質量%である質量比を示す線分
点B9及び点D9の二点を結ぶ直線b9の一部(図9の直線B9-D9)
y=1
z=100-x-y
10≦x≦50
【0242】
点C9とD9とを結ぶ線
点C9及びD9は、いずれも曲線c9上にある。曲線c9は、冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線である。曲線c9よりも三角組成図の頂点HFO-1123側の領域では、三成分の混合冷媒の冷凍能力がプロパンに対して90%を超える。
【0243】
曲線c9は次のようにして求められる。
【0244】
表9は、HFO-1123=10、19、又は24質量%(mass%)である時に、対プロパンとの冷凍能力比が90%である3点を示す。曲線c9はこの3点を結ぶ線で示され、ここでHFO-1123の質量%=x、HFO-1243zfの質量%=y及びCF3Iの質量%=zとした場合、曲線cは最小二乗法により表9の式で近似される。
【0245】
冷凍能力がプロパンに対して90%である質量比を示す曲線
【0246】
【表9】
【0247】
HFO-1123、HFO-1243zf及びCF3Iの総和を基準として、HFO-1123の質量%をx、HFO-1243zfの質量%をy、及びCF3Iの質量%をzとする時、線分D9-C9(曲線c9)は、座標(x, -0.254x2 + 13.921x - 112.81, 100-x-y)の軌跡である。
【0248】
HFO-1132(E)の質量%(x)は、好ましくは、10質量%以上、24質量%以下、つまり、18≦x≦26である。
【0249】
点A9とC9とを結ぶ線
点A9及びC9は、いずれも直線d9上にある。即ち、直線A9-C9は直線d9の一部である。直線d9は、CF3Iの濃度(質量%)が1質量%である質量比を示す直線である。直線d9よりも三角組成図の頂点CF3I側の領域では、三成分の混合冷媒のCF3Iの濃度が1質量%を超える。
【0250】
図9において、HFO-1123の質量%=x、HFO-1234yfの質量%=y及びCF3Iの質量%=zとする時、CF3Iの濃度が1質量%である質量比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
【0251】
CF 3 Iが1質量%である質量比を示す線分
点A9及び点C9の二点を結ぶ直線d9の一部(図9の直線A9-C9)
y=1.0
z=100-x-y
24≦x≦60
【0252】
本開示の冷媒を含有する組成物は、上述の構成を有することによって、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制される、という特性を有する。
【0253】
本開示の冷媒を含有する組成物は、特に、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素、例えば、HFO-1123、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1132a、FO-1114等の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を含むことにより、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、例えば、冷凍能力は、プロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できる。本開示の冷媒を含有する組成物は、プロパンに対する冷凍サイクルで消費された動力に対する冷凍能力の比(成績係数(COP))は、好ましくは、90%以上であることから、エネルギー消費効率が優れている。本開示の冷媒を含有する組成物は、GWPが500以下であることによって、地球温暖化の観点から他の汎用冷媒と比べて顕著に環境負荷を抑えることができる。
【0254】
本開示の冷媒を含有する組成物は、HFO-1243zfを含むことにより、その二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素、例えば、HFO-1123、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1132a、FO-1114等の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の不均化反応を抑制される。本開示の冷媒を含有する組成物は、例えば、飽和温度150℃及び飽和圧力1 MPa~7MPa(例として、3MPa)において、不均化反応が抑制される。
【0255】
不均化とは、同一種類の化学種(二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の夫々の成分)が2個以上互いに反応して、2種類以上の異なる種類の生成物を与える化学反応のことである。
【0256】
本開示において、不均化反応を抑制する圧力条件は、絶対圧力を表す。
【0257】
本開示において、冷媒を含有する組成物は、蒸発温度が-75~-5℃である冷凍サイクルを運転する為に用いられる。本開示の冷媒を含有する組成物は、蒸発温度が-75~-5℃である冷凍サイクルを運転する為に用いることにより、優れた冷凍能力を発揮する。
【0258】
(3)代替冷媒
本開示の冷媒を含有する組成物は、好ましくは、R12、R22、R134a、R404A、R407A、R407C、R407F、R407H、R410A、R413A、R417A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R427A、R430A、R434A、R437A、R438A、R448A、R449A、R449B、R449C、R452A、R452B、R454A、R454B、R454C、R455A、R465A、R502、R507、R513A、R1234yf又はR1234zeの代替冷媒として用いられる。
【0259】
2.その他の成分
本開示の冷媒を含有する組成物(冷媒組成物)は、本開示の冷媒に加えて、好ましくは、更に少なくとも1種のその他の成分を含有する。本開示の冷媒組成物は、必要に応じて、以下のその他の成分のうち少なくとも1種を含有していても良い。
【0260】
本開示の冷媒を含有する組成物は、本開示の冷媒を少なくとも含み、更に、水、トレーサー、紫外線蛍光染料、安定剤、及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含有し、本開示の冷媒を含有する組成物と同じ用途の為に使用することができる。
【0261】
本開示の冷媒組成物は、更に、少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍装置用作動流体を得る為に用いることができる。
【0262】
本開示の冷媒組成物を、冷凍装置における作動流体として使用するに際しては、通常、少なくとも冷凍機油と混合して用いられる。
【0263】
ここで、本開示の冷媒組成物は、好ましくは冷凍機油を実質的に含まない。具体的には、本開示の冷媒組成物は、冷媒組成物全体に対する冷凍機油の含有量が好ましくは0質量%~1質量%であり、より好ましくは0質量%~0.5質量%であり、更に好ましくは0質量%~0.25質量%であり、特に好ましくは0質量%~0.1質量%である。
【0264】
(1)水
本開示の冷媒を含有する組成物は、更に、水、トレーサー、紫外線蛍光染料、安定剤、及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含有しても良い。
【0265】
本開示の冷媒を含有する組成物は、微量の水を含んでも良い。
【0266】
本開示の冷媒を含有する組成物における含水割合は、冷媒全体に対して、0質量%~0.1質量%であることが好ましく、0質量%~0.075質量%であることがより好ましく、0質量%~0.05質量%であることが更に好ましく、0質量%~0.025質量%であることが特に好ましい。
【0267】
本開示の冷媒を含有する組成物が微量の水分を含むことにより、冷媒中に含まれ得る不飽和のフルオロカーボン系化合物の分子内二重結合が安定化され、また、不飽和のフルオロカーボン系化合物の酸化も起こり難くなるため、冷媒組成物の安定性が向上する。水分を含むことによる上記効果を得る観点では、含水割合の下限値は0.001質量%程度である。例えば、0.001質量%~0.1質量%、0.001質量%~0.075質量%、0.001質量%~0.05質量%、0.001質量%~0.025質量%の範囲で含水割合を調整することができる。
【0268】
(2)トレーサー
トレーサーは、本開示の冷媒組成物が希釈、汚染、その他何らかの変更があった場合、その変更を追跡できるように検出可能な濃度で本開示の冷媒組成物に添加される。
【0269】
本開示の冷媒組成物は、上記トレーサーを1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0270】
上記トレーサーとしては、特に限定されず、一般に用いられるトレーサーの中から適宜選択することができる。好ましくは、本開示の冷媒に不可避的に混入する不純物とはなり得ない化合物をトレーサーとして選択する。
【0271】
上記トレーサーとしては、例えば、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン、重水素化炭化水素、重水素化ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(N2O)等が挙げられる。これらの中でも、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン及びフルオロエーテルが好ましい。
【0272】
上記トレーサーとしては、具体的には、以下の化合物(以下、トレーサー化合物とも称する)がより好ましい。
FC-14(テトラフルオロメタン、CF4
HCC-40(クロロメタン、CH3Cl)
HFC-23(トリフルオロメタン、CHF3
HFC-41(フルオロメタン、CH3F)
HFC-125(ペンタフルオロエタン、CF3CHF2
HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン、CF3CH2F)
HFC-134(1,1,2,2-テトラフルオロエタン、CHF2CHF2
HFC-143a(1,1,1-トリフルオロエタン、CF3CH3
HFC-143(1,1,2-トリフルオロエタン、CHF2CH2F)
HFC-152a(1,1-ジフルオロエタン、CHF2CH3
HFC-152(1,2-ジフルオロエタン、CH2FCH2F)
HFC-161(フルオロエタン、CH3CH2F)
HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、CF3CH2CHF2
HFC-236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF3CH2CF3
HFC-236ea(1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF3CHFCHF2
HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、CF3CHFCF3)
HCFC-22(クロロジフルオロメタン、CHClF2
HCFC-31(クロロフルオロメタン、CH2ClF)
CFC-1113(クロロトリフルオロエチレン、CF2=CClF)
HFE-125(トリフルオロメチル-ジフルオロメチルエーテル、CF3OCHF2
HFE-134a(トリフルオロメチル-フルオロメチルエーテル、CF3OCH2F)
HFE-143a(トリフルオロメチル-メチルエーテル、CF3OCH3
HFE-227ea(トリフルオロメチル-テトラフルオロエチルエーテル、CF3OCHFCF3
HFE-236fa(トリフルオロメチル-トリフルオロエチルエーテル、CF3OCH2CF3
【0273】
上記トレーサー化合物は、10質量百万分率(ppm)~1000ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在し得る。上記トレーサー化合物は30ppm~500ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在することが好ましく、50ppm~300ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在することがより好ましく、75ppm~250ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在することが更に好ましく、100ppm~200ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在することが特に好ましい。
【0274】
(3)紫外線蛍光染料
本開示の冷媒組成物は、紫外線蛍光染料を1種単独で含有しても良いし、2種以上を含有しても良い。
【0275】
上記紫外線蛍光染料としては、特に限定されず、一般に用いられる紫外線蛍光染料の中から適宜選択することができる。
【0276】
上記紫外線蛍光染料としては、例えば、ナフタルイミド、クマリン、アントラセン、フェナントレン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン及びフルオレセイン、並びにこれらの誘導体が挙げられる。これらの中でも、ナフタルイミド及びクマリンが好ましい。
【0277】
上記紫外線蛍光染料の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01質量%~5質量%であり、0.05質量%~3質量%が好ましく、0.1質量%~2質量%がより好ましく、0.25質量%~1.5質量%が更に好ましく、0.5質量%~1質量%が特に好ましい。
【0278】
(4)安定剤
本開示の冷媒組成物は、安定剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0279】
上記安定剤としては、特に限定されず、一般に用いられる安定剤の中から適宜選択することができる。
【0280】
上記安定剤としては、例えば、ニトロ化合物、エーテル類、アミン類等が挙げられる。
【0281】
ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン等の脂肪族ニトロ化合物、及びニトロベンゼン、ニトロスチレン等の芳香族ニトロ化合物等が挙げられる。
【0282】
エーテル類としては、例えば、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
【0283】
アミン類としては、例えば、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0284】
上記安定剤としては、上記ニトロ化合物、エーテル類及びアミン類以外にも、ブチルヒドロキシキシレン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0285】
上記安定剤の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01質量%~5質量%であり、0.05質量%~3質量%が好ましく、0.1質量%~2質量%がより好ましく、0.25質量%~1.5質量%が更に好ましく、0.5質量%~1質量%が特に好ましい。
【0286】
本開示の冷媒組成物の安定性の評価方法は、特に限定されず、一般的に用いられる手法で評価することができる。その様な手法の一例として、ASHRAE標準97-2007に従って遊離フッ素イオンの量を指標として評価する方法等が挙げられる。その他にも、全酸価(total acid number)を指標として評価する方法等も挙げられる。この方法は、例えば、ASTM D 974-06に従って行うことができる。
【0287】
(5)重合禁止剤
本開示の冷媒組成物は、重合禁止剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0288】
上記重合禁止剤としては、特に限定されず、一般に用いられる重合禁止剤の中から適宜選択することができる。
【0289】
上記重合禁止剤としては、例えば、4-メトキシ-1-ナフトール、ヒドロキノン、ヒドロキノンメチルエーテル、ジメチル-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0290】
上記重合禁止剤の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01質量%~5質量%であり、0.05質量%~3質量%が好ましく、0.1質量%~2質量%がより好ましく、0.25質量%~1.5質量%が更に好ましく、0.5質量%~1質量%が特に好ましい。
【0291】
(6)冷媒組成物に含み得るその他の成分
本開示の冷媒組成物は、以下の成分も含み得るものとして挙げられる。
【0292】
例えば、前述の冷媒とは異なるフッ素化炭化水素を含有することができる。他の成分としてのフッ素化炭化水素は特に限定されず、HCFC-1122及びHCFC-124、CFC-1113からなる群より選択される少なくとも一種のフッ素化炭化水素が挙げられる。
【0293】
また、その他の成分としては、例えば、式(A):CmHnXp[式中、Xはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又は臭素原子を表し、mは1又は2であり、2m+2≧n+pであり、p≧1である。]で表される少なくとも一種のハロゲン化有機化合物を含有することができる。上記ハロゲン化有機化合物は特に限定されず、例えば、ジフルオロクロロメタン、クロロメタン、2-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン、2-クロロ-1,1-ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン等が好ましい。
【0294】
また、その他の成分としては、例えば、式(B):CmHnXp[式中、Xはそれぞれ独立してハロゲン原子ではない原子を表し、mは1又は2であり、2m+2≧n+pであり、p≧1である。]で表される少なくとも一種の有機化合物を含有することができる。上記有機化合物は特に限定されず、例えば、プロパン、イソブタン等が好ましい。
【0295】
これらのフッ素化炭化水素、式(A)で表わされるハロゲン化有機化合物、及び式(B)で表わされる有機化合物の含有量は限定的ではないが、これらの合計量として、冷媒組成物の全量に対して0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。
【0296】
3.冷凍機油含有作動流体
本開示の冷媒を含有する組成物は、更に、冷凍機油を含有し、冷凍装置用作動流体として用いられる。前記冷凍機油は、好ましくは、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)、及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含有する。
【0297】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、本開示の冷媒又は冷媒組成物と、冷凍機油とを少なくとも含み、冷凍装置における作動流体として用いられる。具体的には、本開示の冷凍機油含有作動流体は、冷凍装置の圧縮機において使用される冷凍機油と、冷媒又は冷媒組成物とが互いに混じり合うことにより得られる。
【0298】
上記冷凍機油の含有割合は、特に限定されず、冷凍機油含有作動流体全体に対して、通常、10質量%~50質量%であり、12.5質量%~45質量%が好ましく、15質量%~40質量%がより好ましく、17.5質量%~35質量%が更に好ましく、20質量%~30質量%が特に好ましい。
【0299】
(1)冷凍機油
本開示の組成物は、冷凍機油を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0300】
上記冷凍機油としては、特に限定されず、一般に用いられる冷凍機油の中から適宜選択することができる。その際には、必要に応じて、本開示の冷媒の混合物(本開示の混合冷媒)との相溶性(miscibility)及び本開示の混合冷媒の安定性等を向上する作用等の点でより優れている冷凍機油を適宜選択することができる。
【0301】
上記冷凍機油の基油としては、例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0302】
上記冷凍機油は、上記基油に加えて、更に添加剤を含んでいてもよい。
【0303】
上記添加剤は、酸化防止剤、極圧剤、酸捕捉剤、酸素捕捉剤、銅不活性化剤、防錆剤、油性剤及び消泡剤からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
【0304】
上記冷凍機油としては、潤滑の点から、40℃における動粘度が5cSt~400cStであるものが好ましい。
【0305】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、必要に応じて、更に少なくとも1種の添加剤を含んでもよい。添加剤としては例えば以下の相溶化剤等が挙げられる。
【0306】
(2)相溶化剤
本開示の冷凍機油含有作動流体は、相溶化剤を一種単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0307】
上記相溶化剤としては、特に限定されず、一般に用いられる相溶化剤の中から適宜選択することができる。
【0308】
上記相溶化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテル、1,1,1-トリフルオロアルカン等が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシアルキレングリコールエーテルが好ましい。
【0309】
(3)冷凍装置
本開示の冷凍装置は、作動流体として、本開示の冷媒又は冷媒組成物と、冷凍機油とを少なくとも含む(冷凍機油含有作動流体)。
【0310】
前記冷凍装置は、好ましくは、空調機器、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、車載用空調機器、ターボ冷凍機、又はスクリュー冷凍機である。
【0311】
4.冷凍機の運転方法
本開示の冷凍機の運転方法は、本開示の冷媒を含有する組成物を用いて冷凍機を運転する方法である。本開示の冷凍機の運転方法は、本開示の冷媒を含有する組成物を用いて、冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法である。
【0312】
具体的には、本開示の冷凍機の運転方法は、本開示の冷媒を冷凍機において循環させる工程を含む。本開示の冷凍機の運転方法は、本開示の冷媒を冷凍機において冷凍サイクルを運転する冷凍装置の運転方法である。
【0313】
5.不均化反応を抑制する方法
本開示の不均化反応を抑制する方法は、不均化抑制剤を用いて、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の不均化反応を抑制する方法であり、不均化抑制剤は、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)を含む。
【0314】
本開示の不均化反応を抑制する方法は、好ましくは、冷凍サイクルで使用する、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を含む冷媒を含有する組成物に適用する。
【0315】
前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素は、好ましくは、トリフルオロエチレン(HFO-1123)、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、及びテトラフルオロエチレン(FO-1114)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分であり、より好ましくは、HFO-1123、及びHFO-1132(E)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分である。
【0316】
本開示の不均化反応を抑制する方法では、前記不均化抑制剤(HFO-1243zfを含む)、及び前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素に加えて、トリフルオロヨードメタン(CF3I)、ジフルオロメタン(HFC-32)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))、ヘキサフルオロプロペン(FO-1216)、パーフルオロメタン(PFC-14)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、フルオロエタン(HFC-161)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、シス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(Z))、トランス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(E))、CF3SCF3、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、イソブテン、及びイソブタンからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分を含んでも良い。
【0317】
本開示の不均化反応を抑制する方法は、上述の構成を有することによって、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素、例えば、HFO-1123、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1132a、FO-1114等の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素(又は、これを含む冷媒組成物)の不均化反応を抑制する、という特性を有する。
【0318】
本開示の不均化反応を抑制する方法は、特に、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素、例えば、HFO-1123、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1132a、FO-1114等の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素等の冷媒を含有する組成物に、不均化抑制剤として、HFO-1243zfを添加することで、前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の不均化反応を抑制することが可能となる。
【0319】
本開示の不均化反応を抑制する方法は、例えば、飽和温度150℃及び飽和圧力1 MPa~7MPa(例として、3MPa)(絶対圧力)において、不均化反応が抑制された冷媒を含有する組成物を提供できる。
【0320】
不均化とは、同一種類の化学種(HFO-1132(E)等の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の夫々の成分)が2個以上互いに反応して、2種類以上の異なる種類の生成物を与える化学反応のことである。
【0321】
6.保存する方法
本開示の保存する方法は、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を保存する方法であり、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)の存在下で保存する方法である。
【0322】
本開示の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を保存する方法(そのままの状態に保っておくこと)は、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を貯蔵する方法(蓄えておくこと、溜めておくこと等)を含む。
【0323】
本開示の保存する方法では、HFO-1243zfの量は、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の不均化を抑制するのに十分な量であれば良い。
【0324】
本開示の保存する方法は、好ましくは、冷凍サイクルで使用する、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を含む冷媒を含有する組成物に適用する。
【0325】
前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素は、前記不均化反応を抑制する方法と同じく、好ましくは、HFO-1123、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1132a、及びFO-1114からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分であり、より好ましくは、HFO-1123、及びHFO-1132(E)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分である。
【0326】
本開示の保存する方法では、前記不均化抑制剤(HFO-1243zfを含む)、及び前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素に加えて、前記不均化反応を抑制する方法と同じく、CF3I、HFC-32、HFO-1234yf、HFO-1234ze(E)、FO-1216、PFC-14、HFC-125、HFC-134、HFC-134a、HFC-143a、HFC-152a、HFC-161、HFC-227ea、HFO-1225ye(Z)、HFO-1225ye(E)、CF3SCF3、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、イソブテン、及びイソブタンからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分を含んでも良い。
【0327】
本開示の保存する方法は、上述の構成を有することによって、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素、例えば、HFO-1123、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1132a、FO-1114等の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素(又は、これを含む冷媒組成物)を保存する際に、前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素(又は、これを含む冷媒組成物)の不均化反応を抑制する、という特性を有する。
【0328】
本開示の保存する方法は、特に、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素、例えば、HFO-1123、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1132a、FO-1114等の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素等の冷媒を含有する組成物を保存する際に、十分な量のHFO-1243zfを添加し、存在させることで、前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の不均化反応を抑制することが可能となる。
【0329】
使用する保存(貯蔵を含む)用容器は、好ましくは、前記冷媒を含有する組成物を保存又は貯蔵できる容器であり、密閉されたものであれば特に制限されない。
【0330】
保存容器は、陸上輸送用容器、海上輸送用コンテナ等の輸送に伴う容器であっても良い。保存容器は、例えば、好ましくは、サービス缶、5L~1,000Lボンベ、ISOコンテナ、ローリータンク、定置式貯槽等の密閉容器等である。また、前記冷媒組成物が既に貯蔵されている状態では、更に、好ましくは、定置式貯槽等の密閉容器や、冷暖房機器、冷凍庫、冷蔵庫、給湯機器等の機器であっても良い。
【0331】
使用する保存容器は、小型密閉容器としては、好ましく、サービス缶、NRC容器(再充填禁止容器)、回転容器(5L~1,000L)等を用いる。
【0332】
使用する保存容器は、大型密閉容器としては、好ましく、ISOコンテナや貯槽等を用いる。
【0333】
本開示の保存する方法により、前記冷媒を含有する組成物を保存した後に、例えば、飽和温度150℃及び飽和圧力1 MPa~7MPa(例として、3MPa)(絶対圧力)において、不均化反応が抑制された、冷媒を含有する組成物を提供できる。
【0334】
7.輸送する方法
本開示の輸送する方法は、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を輸送する方法であり、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)の存在下で輸送する方法である。
【0335】
本開示の輸送する方法は、陸上輸送用容器、海上輸送用コンテナ等の輸送用容器で、HFO-1243zfの存在下で、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を輸送する方法である。
【0336】
本開示の輸送する方法では、HFO-1243zfの量は、輸送時に、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の不均化を抑制するのに十分な量であれば良い。
【0337】
本開示の輸送する方法は、好ましくは、冷凍サイクルで使用する、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素を含む冷媒を含有する組成物に適用する。
【0338】
前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素は、前記不均化反応を抑制する方法と同じく、好ましくは、HFO-1123、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1132a、及びFO-1114からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分であり、より好ましくは、HFO-1123、及びHFO-1132(E)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分である。
【0339】
本開示の輸送する方法では、前記不均化抑制剤(HFO-1243zfを含む)、及び前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素に加えて、前記不均化反応を抑制する方法と同じく、CF3I、HFC-32、HFO-1234yf、HFO-1234ze(E)、FO-1216、PFC-14、HFC-125、HFC-134、HFC-134a、HFC-143a、HFC-152a、HFC-161、HFC-227ea、HFO-1225ye(Z)、HFO-1225ye(E)、CF3SCF3、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、イソブテン、及びイソブタンからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の成分を含んでも良い。
【0340】
本開示の輸送する方法は、上述の構成を有することによって、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素、例えば、HFO-1123、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1132a、FO-1114等の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素(又は、これを含む冷媒組成物)を輸送する際に、前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素(又は、これを含む冷媒組成物)の不均化反応を抑制する、という特性を有する。
【0341】
本開示の輸送する方法は、特に、二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素、例えば、HFO-1123、HFO-1132(E)、HFO-1132(Z)、HFO-1132a、FO-1114等の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素等の冷媒を含有する組成物を輸送する際に、十分な量のHFO-1243zfを添加し、存在させることで、前記二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素の不均化反応を抑制することが可能となる。
【0342】
使用する輸送用容器は、好ましくは、前記冷媒を含有する組成物を貯蔵でき、輸送する為の陸上輸送用容器、海上輸送用コンテナ等であり、密閉されたものであれば特に制限されない。輸送用容器は、例えば、好ましくは、サービス缶、5L~1,000Lボンベ、ISOコンテナ、ローリータンク、定置式貯槽等の密閉容器等である。また、前記冷媒組成物が既に貯蔵されている状態では、更に、好ましくは、定置式貯槽等の密閉容器や、冷暖房機器、冷凍庫、冷蔵庫、給湯機器等の機器であっても良い。
【0343】
使用する輸送用容器は、小型密閉容器としては、好ましく、サービス缶、NRC容器(再充填禁止容器)、回転容器(5L~1,000L)等を用いる。
【0344】
使用する輸送用容器は、大型密閉容器としては、好ましく、ISOコンテナや貯槽等を用いる。
【0345】
本開示の輸送する方法により、前記冷媒を含有する組成物を輸送した後に、例えば、飽和温度150℃及び飽和圧力1 MPa~7MPa(例として、3MPa)(絶対圧力)において、不均化反応が抑制された、冷媒を含有する組成物を提供できる。
【0346】
8.不均化反応を抑制する方法、保存する方法、及び輸送する方法で使用する組成物
本開示の5.不均化反応を抑制する方法6.保存する方法、及び7.輸送する方法で使用する組成物は、前記各方法の項目で説明した組成物に加えて、1.組成物((1)2元系組成物、(2)3元系組成物等)2.その他の成分、及び3.冷凍機油含有作動流体の項目で説明した組成物を使用することができる。
【0347】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【実施例
【0348】
以下に、実施例を挙げて更に詳細に説明する。ただし、本開示は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0349】
(1)試験の手順
冷媒を含有する組成物に含まれる各成分(冷媒)を、これらの総和を基準として、各表に夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。
【0350】
各表の冷媒を含有する組成物のGWPは、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第4次報告書(AR4)の値に基づいて評価した。HFO-1132(E)のGWPは1と想定し、HFO-1132aのGWPは1以下と想定し、HFO-1123のGWPは0.3と想定した。
【0351】
各表の各冷媒を含有する組成物(混合冷媒)について、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数[Coefficient of Performance(COP)]比、及び冷凍能力比を夫々求めた。つまり、「COP比」及び「冷凍能力比」は、プロパンに対する割合(%)を示す。
【0352】
混合冷媒のCOP、冷凍能力、圧縮効率(凝縮圧力/蒸発圧力)は、Refprop 10.0(National Institute of Science and Technology(NIST)製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
【0353】
「蒸発温度」は、冷凍装置が備える蒸発器における混合冷媒の蒸発温度である。
【0354】
「凝縮温度」は、冷凍装置が備える凝縮器における混合冷媒の凝縮温度である。
【0355】
圧縮効率(圧縮比)=凝縮圧力(Mpa)/蒸発圧力(Mpa)
成績係数(COP)=(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
【0356】
<不均化反応の有無を調べる試験>
次の試験方法及び試験条件において、不均化反応の有無を調べた。
【0357】
試験方法
試験容器に、試験する冷媒組成物を移充填し、150℃まで加熱した後、容器内のPt線に電圧を印可して溶断させることで、冷媒組成物に30Jのエネルギーを与えた。不均化反応の有無は装置内の急激な圧力上昇及び温度上昇によって判定した。
【0358】
試験条件
試験容器:38cc SUS製容器
試験温度:150℃
圧力:1 MPa ~7 MPa
電圧:30 V
電流:40 A
Pt線直径:0.3 mm
Pt線長さ:50 mm
【0359】
判定基準
「不爆」:Pt線溶断後の温度又は圧力が2倍未満であり、急激な不均化反応が起こっていない。
「爆発」:Pt線溶断後の温度又は圧力が2倍以上に達し、急激な不均化反応が起こった。
【0360】
(2)2元系組成物:HFO-1132(E) / HFO-1243zf
HFO-1132(E)及びHFO-1243zfを、これらの総和を基準(100質量%)として、夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。各混合冷媒について、GWP、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数(COP)比、及び冷凍能力比を、夫々表した。
【0361】
<冷凍サイクル理論計算条件>
蒸発温度 5℃(表10)、-5℃(表11)、-50℃(表12)及び-60℃(表13)
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮効率 0.7(70%)
【0362】
表11(蒸発温度-5℃)及び表12(蒸発温度-50℃)の結果から、冷媒を含有する組成物において、前記冷媒がHFO-1132(E)及びHFO-1243zfを含有する時、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は24質量%~60質量%であり、HFO-1243zfの含有割合は76質量%~40質量%である場合、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制されると判る。この冷媒を含有する組成物は、蒸発温度が-50℃~-5℃である冷凍サイクルを運転する為に用いられる冷媒として有用であると判る。
【0363】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加することにより、このHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制する、不均化抑制剤として働いていると判る。この冷媒を含有する組成物は、冷媒の不均化反応を抑制する方法として有用であると判る。
【0364】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加すると、このHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制するので、冷媒を含有する組成物を保存する方法、或は輸送する方法として有用であると判る。
【0365】
この冷媒を含有する組成物は、使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度が-5℃以下であると、圧縮比が4以上となり、冷凍サイクルとしての効率が良くなると判る。この冷媒を含有する組成物は、使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度が-50℃以上であると、蒸発圧力が0.04MPa以上となり、圧縮機への冷媒の吸入に関する負荷が低減されると判る。
【0366】
この冷媒を含有する組成物は、特に、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は24質量%以上であり、HFO-1243zfの含有割合は76質量%以下であることで、冷凍能力は、プロパンの冷凍能力に対し、70%以上を達成できると判る。
【0367】
この冷媒を含有する組成物は、特に、HFO-1132(E)及びHFO-1243zfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は60質量%以下であり、HFO-1243zfの含有割合は40質量%以上であることで、飽和圧力3MPa(絶対圧力)で不均化反応が抑制されると判る。
【0368】
表10(蒸発温度5℃)の比較例の結果から、蒸発温度が5℃であると、圧縮比が4未満であると判る。
【0369】
表13(蒸発温度-60℃)の比較例の結果から、蒸発温度が-60℃であると、蒸発圧力が0.04MPa未満であると判る。
【0370】
【表10】
【0371】
【表11】
【0372】
【表12】
【0373】
【表13】
【0374】
(3)3元系組成物:HFO-1132(E) / HFO-1243zf / HFO-1234yf
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1234yfを、これらの総和を基準(100質量%)として、夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。各混合冷媒について、GWP、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数(COP)比、及び冷凍能力比を、夫々表した。
【0375】
<冷凍サイクル理論計算条件>
蒸発温度 5℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮効率 0.7(70%)
【0376】
表14及び図1の結果から、冷媒を含有する組成物において、前記冷媒が、HFO-1243zfを含み、第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、第三成分としてHFO-1234yfを含有する時、HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1234yfの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234yfをz質量%とし、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A1(60, 39, 1)、
点B1(55, 1, 44)、
点C1(26, 73, 1)、及び
点D1(18, 1, 81)
の4点を、夫々結ぶ直線A1-B1、直線B1-D1、線分D1-C1、及び直線C1-A1で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A1-B1及び線分D1-C1上にあり、前記線分D1-C1は、(x, -1.75x2+ 86x - 980, 100-x-y)で表わされる場合、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制されると判る。
【0377】
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1234yfの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0378】
この冷媒を含有する組成物は、特に、不均化反応が抑制され、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成でき、蒸発圧力が高いと判る。
【0379】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加することにより、HFO-1234yf(第三成分)を含んでも、このHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制する、不均化抑制剤として働いていると判る。この冷媒を含有する組成物は、冷媒の不均化反応を抑制する方法として有用であると判る。
【0380】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加すると、HFO-1234yf(第三成分)を含んでも、そのHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制するので、冷媒を含有する組成物を保存する方法、或は輸送する方法として有用であると判る。
【0381】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1234yfの三成分の質量比が、前記4点(A1、B1、C1及びD1)を通る図形で囲まれた領域の範囲内にないと、不均化反応を起こしたり、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できなかったり、蒸発圧力が低かったりすると判る。
【0382】
【表14】
【0383】
(4)3元系組成物:HFO-1132(E) / HFO-1243zf / HFC-32
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFC-32を、これらの総和を基準(100質量%)として、夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。各混合冷媒について、GWP、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数(COP)比、及び冷凍能力比を、夫々表した。
【0384】
<冷凍サイクル理論計算条件>
蒸発温度 5℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮効率 0.7(70%)
【0385】
表15及び図2の結果から、冷媒を含有する組成物において、前記冷媒が、HFO-1243zfを含み、第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、第三成分としてHFC-32を含有する時、HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFC-32の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFC-32をz質量%とし、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A2(60, 39, 1)、
点B2(65, 1, 34)、
点C2(24, 75, 1)、
点D2(1, 77, 22)、
点E2(1, 25, 74)、及び
点F2(25, 1, 74)
の6点を、夫々結ぶ直線A2-B2、直線B2-F2、直線F2-E2、直線E2-D2、線分D2-C2、及び直線C2-A2で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A2-B2、直線F2-E2、及び線分D2-C2上にあり、前記線分D2-C2は、座標(x, -0.0079x2 + 0.1107x + 76.897, 100-x-y)で表わされる場合、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制されると判る。
【0386】
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFC-32の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0387】
この冷媒を含有する組成物は、特に、不均化反応が抑制され、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成でき、GWP(地球温暖化係数)が500を超えないと判る。
【0388】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加することにより、HFC-32(第三成分)を含んでも、このHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制する、不均化抑制剤として働いていると判る。この冷媒を含有する組成物は、冷媒の不均化反応を抑制する方法として有用であると判る。
【0389】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加すると、HFC-32(第三成分)を含んでも、そのHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制するので、冷媒を含有する組成物を保存する方法、或は輸送する方法として有用であると判る。
【0390】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFC-32の三成分の質量比が、前記6点(A2、B2、C2、D2、E2及びF2)を通る図形で囲まれた領域の範囲内にないと、不均化反応を起こしたり、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できなかったり、GWP(地球温暖化係数)が500を超えたりすると判る。
【0391】
【表15】
【0392】
(5)3元系組成物:HFO-1132(E) / HFO-1243zf / CF 3 I
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びCF3Iを、これらの総和を基準(100質量%)として、夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。各混合冷媒について、GWP、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数(COP)比、及び冷凍能力比を、夫々表した。
【0393】
<冷凍サイクル理論計算条件>
蒸発温度 5℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮効率 0.7(70%)
【0394】
表16及び図3の結果から、冷媒を含有する組成物において、前記冷媒が、HFO-1243zfを含み、第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、第三成分としてCF3Iを含有する時、HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びCF3Iの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びCF3Iをz質量%とし、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A3(60, 39, 1)、
点B3(50, 1, 49)、
点C3(26, 73, 1)、及び
点D3(20, 1, 79)
の4点を、夫々結ぶ直線A3-B3、直線B3-D3、線分D3-C3、及び直線C3-A3で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A3-B3及び線分D3-C3上にあり、前記線分D3-C3は、座標(x, 5.1429x2 - 224.57x + 2435.3, 100-x-y)で表わされる場合、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制されると判る。
【0395】
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記CF3Iの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0396】
この冷媒を含有する組成物は、特に、不均化反応が抑制され、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できると判る。
【0397】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加することにより、CF3I(第三成分)を含んでも、このHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制する、不均化抑制剤として働いていると判る。この冷媒を含有する組成物は、冷媒の不均化反応を抑制する方法として有用であると判る。
【0398】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加すると、CF3I(第三成分)を含んでも、そのHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制するので、冷媒を含有する組成物を保存する方法、或は輸送する方法として有用であると判る。
【0399】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びCF3Iの三成分の質量比が、前記4点(A3、B3、C3及びD3)を通る図形で囲まれた領域の範囲内にないと、不均化反応を起こしたり、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できなかったりすると判る。
【0400】
【表16】
【0401】
(6)3元系組成物:HFO-1132(E) / HFO-1243zf / HFO-1234ze(E)
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1234ze(E)を、これらの総和を基準(100質量%)として、夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。各混合冷媒について、GWP、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数(COP)比、及び冷凍能力比を、夫々表した。
【0402】
<冷凍サイクル理論計算条件>
蒸発温度 5℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮効率 0.7(70%)
【0403】
表17及び図4の結果から、冷媒を含有する組成物において、前記冷媒が、HFO-1243zfを含み、第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、第三成分としてHFO-1234ze(E)を含有する時、HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1234ze(E)の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234ze(E)をz質量%とし、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A4(60, 39, 1)、
点B4(55, 1, 44)、
点C4(26, 73, 1)、及び
点D4(28, 1, 71)
の4点を、夫々結ぶ直線A4-B4、直線B4-D4、線分D4-C4、及び直線C4-A4で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A4-B4及び線分D4-C4上にあり、前記線分D4-C4は、座標(x, 17x2 - 954x + 13385, 100-x-y)で表わされる、場合、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制されると判る。
【0404】
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1234ze(E)の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0405】
この冷媒を含有する組成物は、特に、不均化反応が抑制され、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できると判る。
【0406】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加することにより、HFO-1234ze(E)(第三成分)を含んでも、このHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制する、不均化抑制剤として働いていると判る。この冷媒を含有する組成物は、冷媒の不均化反応を抑制する方法として有用であると判る。
【0407】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加すると、HFO-1234ze(E)(第三成分)を含んでも、そのHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制するので、冷媒を含有する組成物を保存する方法、或は輸送する方法として有用であると判る。
【0408】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1234ze(E)の三成分の質量比が、前記4点(A4、B4、C4及びD4)を通る図形で囲まれた領域の範囲内にないと、不均化反応を起こしたり、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できなかったりすると判る。
【0409】
【表17】
【0410】
(7)3元系組成物:HFO-1132(E) / HFO-1243zf / FO-1216
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びFO-1216を、これらの総和を基準(100質量%)として、夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。各混合冷媒について、GWP、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数(COP)比、及び冷凍能力比を、夫々表した。
【0411】
<冷凍サイクル理論計算条件>
蒸発温度 5℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮効率 0.7(70%)
【0412】
表18及び図5の結果から、冷媒を含有する組成物において、前記冷媒が、HFO-1243zfを含み、第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、第三成分としてHFO-1216を含有する時、HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1216の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1216をz質量%とし、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A5(60, 39, 1)、
点B5(55, 1, 44)、
点C5(26, 73, 1)、及び
点D5(13, 1, 86)
の4点を、夫々結ぶ直線A5-B5、直線B5-D5、線分D5-C5、及び直線C5-A5で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A5-B5及び線分D5-C5上にあり、前記線分D5-C5は、座標(x, -0.0531x2 + 7.6099x - 88.952, 100-x-y)で表わされる場合、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制されると判る。
【0413】
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記FO-1216の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0414】
この冷媒を含有する組成物は、特に、不均化反応が抑制され、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できると判る。
【0415】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加することにより、FO-1216(第三成分)を含んでも、このHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制する、不均化抑制剤として働いていると判る。この冷媒を含有する組成物は、冷媒の不均化反応を抑制する方法として有用であると判る。
【0416】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加すると、FO-1216(第三成分)を含んでも、そのHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制するので、冷媒を含有する組成物を保存する方法、或は輸送する方法として有用であると判る。
【0417】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びFO-1216の三成分の質量比が、前記4点(A5、B5、C5及びD5)を通る図形で囲まれた領域の範囲内にないと、不均化反応を起こしたり、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できなかったりすると判る。
【0418】
【表18】
【0419】
(8)3元系組成物:HFO-1132(E) / HFO-1243zf / HFO-1123
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1123を、これらの総和を基準(100質量%)として、夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。各混合冷媒について、GWP、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数(COP)比、及び冷凍能力比を、夫々表した。
【0420】
<冷凍サイクル理論計算条件>
蒸発温度 5℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮効率 0.7(70%)
【0421】
上記表19及び図6の結果から、冷媒を含有する組成物において、前記冷媒が、HFO-1243zfを含み、第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1132(E)を含み、第三成分の前記第二の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含有する時、HFO-1132(E)、HFO-1243zf及びHFO-1123の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1132(E)をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1123をz質量%とし、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A6(59, 40, 1)、
点B6(1, 40, 59)、
点C6(25, 74, 1)、及び
点D6(1, 75, 24)
の4点を、夫々結ぶ直線A6-B6、直線B6-D6、線分D6-C6、及び直線C6-A6で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A6-B6及び線分D6-C6上にあり、前記線分D6-C6は、座標(x, -0.0032x2 + 0.0417x + 74.962, 100-x-y)で表わされる場合、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制されると判る。
【0422】
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1132(E)、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1123の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0423】
この冷媒を含有する組成物は、特に、不均化反応が抑制さえ、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成でき、圧縮比は高く、蒸発圧力が高いと判る。
【0424】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加することにより、HFO-1123(第三成分)を含んでも、このHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制する、不均化抑制剤として働いていると判る。この冷媒を含有する組成物は、冷媒の不均化反応を抑制する方法として有用であると判る。
【0425】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1132(E)を含有する組成物にHFO-1243zfを添加すると、HFO-1123(第三成分)を含んでも、そのHFO-1243zfがHFO-1132(E)の不均化反応を抑制するので、冷媒を含有する組成物を保存する方法、或は輸送する方法として有用であると判る。
【0426】
HFO-1132(E)、HFO-1243zf、及びHFO-1123の三成分の質量比が、前記4点(A6、B6、C6及びD6)を通る図形で囲まれた領域の範囲内にないと、不均化反応を起こしたり、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できなかったり、圧縮比が低かったり、蒸発圧力が低かったりすると判る。
【0427】
【表19】
【0428】
(9)3元系組成物:HFO-1123/HFO-1243zf/HFO-1234yf
HFO-1123、HFO-1243zf、及びHFO-1234yfを、これらの総和を基準(100質量%)として、夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。各混合冷媒について、GWP、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数(COP)比、及び冷凍能力比を、夫々表した。
【0429】
<冷凍サイクル理論計算条件>
蒸発温度 5℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮効率 0.7(70%)
【0430】
表20及び図7の結果から、冷媒を含有する組成物において、前記冷媒が、HFO-1243zfを含み、第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、前記第三成分としてHFO-1234yfを含有する時、HFO-1123、HFO-1243zf及びHFO-1234yfの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFO-1234yfをz質量%し、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A7(60, 39, 1)、
点B7(55, 1, 44)、
点C7(24, 75, 1)、及び
点D7(17, 1, 82)
の4点を、夫々結ぶ直線A7-B7、直線B7-D7、線分D7-C7、及び直線C7-A7で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A7-B7及び線分D7-C7上にあり、前記線分D7-C7は、座標(x, -0.7738x2 + 42.298x - 494.43, 100-x-y)で表わされる場合、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制されると判る。
【0431】
前記冷媒全体に対して、HFO-1123、前記HFO-1243zf、及び前記HFO-1234yfの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0432】
この冷媒を含有する組成物は、特に、不均化反応が抑制され、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できると判る。
【0433】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1123を含有する組成物にHFO-1243zfを添加することにより、HFO-1234yf(第三成分)を含んでも、このHFO-1243zfがHFO-1123の不均化反応を抑制する、不均化抑制剤として働いていると判る。この冷媒を含有する組成物は、冷媒の不均化反応を抑制する方法として有用であると判る。
【0434】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1123を含有する組成物にHFO-1243zfを添加すると、HFO-1234yf(第三成分)を含んでも、そのHFO-1243zfがHFO-1123の不均化反応を抑制するので、冷媒を含有する組成物を保存する方法、或は輸送する方法として有用であると判る。
【0435】
HFO-1123、HFO-1243zf、及びHFO-1234yfの三成分の質量比が、前記4点(A7、B7、C7及びD7)を通る図形で囲まれた領域の範囲内にないと、不均化反応を起こしたり、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できなかったりすると判る。
【0436】
【表20】
【0437】
(10)3元系組成物:HFO-1123/HFO-1243zf/HFC-32
HFO-1123、HFO-1243zf、及びHFC-32を、これらの総和を基準(100質量%)として、夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。各混合冷媒について、GWP、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数(COP)比、及び冷凍能力比を、夫々表した。
【0438】
<冷凍サイクル理論計算条件>
蒸発温度 5℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮効率 0.7(70%)
【0439】
表21及び図8の結果から、冷媒を含有する組成物において、前記冷媒が、HFO-1243zfを含み、第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、第三成分としてHFC-32を含有する時、HFO-1123、HFO-1243zf及びHFC-32の総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びHFC-32をz質量%とし、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A8(60, 39, 1)、
点B8(65, 1, 34)、
点C8(23, 76, 1)、
点D8(1, 86, 13)、
点E8(1, 25, 74)、及び
点F8(25, 1, 74)
の6点を、夫々結ぶ直線A8-B8、直線B8-F8、直線F8-E8、直線E8-D8、線分D8-C8、及び直線C8-A8で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A8-B8、直線F8-E8、及び線分D8-C8上にあり、前記線分D8-C8は、座標(x, -0.0034x2 - 0.3909x + 86.794, 100-x-y)で表わされる場合、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制されると判る。
【0440】
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1123、前記HFO-1243zf、及び前記HFC-32の三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0441】
この冷媒を含有する組成物は、特に、不均化反応が抑制され、GWP(地球温暖化係数)が500を超えないと判る。
【0442】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1123を含有する組成物にHFO-1243zfを添加することにより、HFC-32(第三成分)を含んでも、このHFO-1243zfがHFO-1123の不均化反応を抑制する、不均化抑制剤として働いていると判る。この冷媒を含有する組成物は、冷媒の不均化反応を抑制する方法として有用であると判る。
【0443】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1123を含有する組成物にHFO-1243zfを添加すると、HFC-32(第三成分)を含んでも、そのHFO-1243zfがHFO-1123の不均化反応を抑制するので、冷媒を含有する組成物を保存する方法、或は輸送する方法として有用であると判る。
【0444】
HFO-1123、HFO-1243zf、及びHFC-32の三成分の質量比が、前記6点(A8、B8、C8、D8、E8、及びF8)を通る図形で囲まれた領域の範囲内にないと、不均化反応を起こしたり、GWP(地球温暖化係数)が500を超えたりすると判る。
【0445】
【表21】
【0446】
(11)3元系組成物:HFO-1123/HFO-1243zf/CF 3 I
HFO-1123、HFO-1243zf、及びCF3Iを、これらの総和を基準(100質量%)として、夫々示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。各混合冷媒について、GWP、プロパン(Propane)を基準(100%)とする成績係数(COP)比、及び冷凍能力比を、夫々表した。
【0447】
<冷凍サイクル理論計算条件>
蒸発温度 5℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮効率 0.7(70%)
【0448】
表22及び図9の結果から、冷媒を含有する組成物において、前記冷媒が、HFO-1243zfを含み、第一の二重結合を有するエチレン系フッ素化炭化水素としてHFO-1123を含み、第三成分としてCF3Iを含有する時、HFO-1123、HFO-1243zf及びCF3Iの総和を基準として、各成分の質量%を、夫々HFO-1123をx質量%、HFO-1243zfをy質量%、及びCF3Iをz質量%とし、
当該三成分を各頂点とする三角組成図において、座標(x, y, z)が、
点A9(60, 39, 1)、
点B9(50, 1, 49)、
点C9(24, 75, 1)、及び
点D9(10, 1, 89)
の4点を、夫々結ぶ直線A9-B9、直線B9-D9、線分D9-C9、及び直線C9-A9で囲まれる図形の範囲内又は前記直線A9-B9及び線分D9-C9上にあり、前記線分D9-C9は、座標(x, -0.254x2 + 13.921x - 112.81, 100-x-y)で表わされる場合、GWPは低く、COP及び冷凍能力は優れ、不均化反応が抑制されると判る。
【0449】
前記冷媒全体に対して、前記HFO-1123、前記HFO-1243zf、及び前記CF3Iの三成分の総濃度は、99.5質量%以上である。
【0450】
この冷媒を含有する組成物は、特に、不均化反応が抑制され、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できると判る。
【0451】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1123を含有する組成物にHFO-1243zfを添加することにより、CF3I(第三成分)を含んでも、このHFO-1243zfがHFO-1123の不均化反応を抑制する、不均化抑制剤として働いていると判る。この冷媒を含有する組成物は、冷媒の不均化反応を抑制する方法として有用であると判る。
【0452】
この冷媒を含有する組成物では、冷媒としてHFO-1123を含有する組成物にHFO-1243zfを添加すると、CF3I(第三成分)を含んでも、そのHFO-1243zfがHFO-1123の不均化反応を抑制するので、冷媒を含有する組成物を保存する方法、或は輸送する方法として有用であると判る。
【0453】
HFO-1123、HFO-1243zf、及びCF3Iの三成分の質量比が、前記4点(A9、B9、C9及びD9)を通る図形で囲まれた領域の範囲内にないと、不均化反応を起こしたり、冷凍能力がプロパンの冷凍能力に対し、90%以上を達成できなかったりすると判る。
【0454】
【表22】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9