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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】販売システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20240522BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20240522BHJP
   G07F 7/02 20060101ALI20240522BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20240522BHJP
   G16Y 10/45 20200101ALI20240522BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20240522BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20240522BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06Q20/32 300
G07F7/02 Z
G06F21/32
G16Y10/45
G16Y20/40
G16Y40/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020149353
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043860
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 文彦
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/203605(WO,A1)
【文献】特開2008-084227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07F 7/02
G06F 21/32
G16Y 10/45
G16Y 20/40
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、
品を販売するための販売装置と、
を備え、
前記販売装置は、
無線通信を実行可能な第1の通信インターフェースと、
前記販売装置を利用するユーザの身体的特徴を示す第1の特徴情報を取得するための特徴取得部と、
前記商品の販売完了を報知する報知動作を実行する動作実行部であって、前記報知動作は、前記商品を排出する動作を含む、前記動作実行部と、
を備え、
前記携帯端末は、
前記第1の通信インターフェースとの前記無線通信を実行可能な第2の通信インターフェースと、
前記携帯端末を利用するユーザの身体的特徴を示す第2の特徴情報を記憶するメモリと、
を備え、
前記販売装置は、
前記第1の通信インターフェースを介して、前記販売装置を利用するユーザの身体的特徴のうちの一部を示す、前記特徴取得部によって取得された前記第1の特徴情報を外部にブロードキャストに送信し、
前記携帯端末は、
前記第2の通信インターフェースを介して、前記販売装置から前記第1の特徴情報が受信される場合に、前記第2の通信インターフェースを介して、前記販売装置を利用するユーザの身体的特徴のうちの残りの部分を示す、前記特徴取得部によって取得された残りの特徴情報を要求する要求情報を前記販売装置に送信し、
前記販売装置は、
前記第1の通信インターフェースを介して、前記携帯端末から前記要求情報が受信される場合に、前記第1の通信インターフェースを介して、前記残りの特徴情報をユニキャストに前記携帯端末に送信し、
前記第1の通信インターフェースを介して、前記商品の代金を前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末は、
前記第2の通信インターフェースを介して、前記販売装置から前記残りの特徴情報を受信し、
前記第2の通信インターフェースを介して、前記販売装置から前記代金を受信し、
受信済みの前記第1の特徴情報と、受信済みの残りの特徴情報と、前記メモリ内の前記第2の特徴情報と、を利用した認証処理を実行し、
前記認証処理において、前記販売装置を利用するユーザの認証が成功する場合に、受信済みの前記代金を決済するための決済処理を実行し、
前記決済処理が実行された後に、前記第2の通信インターフェースを介して、前記代金の決済の完了を示す通知を前記販売装置に送信し、
前記販売装置は、
前記第1の通信インターフェースを介して、前記携帯端末から前記通知が受信される場合に、前記報知動作を前記動作実行部に実行させる、
販売システム。
【請求項2】
前記第1の特徴情報は、前記販売装置を利用するユーザの指紋を示す情報である、請求項1に記載の販売システム。
【請求項3】
前記販売装置は、さらに、
前記商品を指定するためのボタンを備え、
前記特徴取得部は、前記ボタンが押し下げられるのと同時に前記第1の特徴情報を取得するように構成されている、請求項1又は2に記載の販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、携帯端末と販売装置とを備える販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポータブルデバイスと非接触決済トランザクション端末とを備えるシステムが開示されている。ポータブルデバイスは、ユーザの指紋を読み取る指紋センサを備える。ポータブルデバイスは、登録済みの指紋と指紋センサにより読み取られた指紋が一致する場合に、非接触決済トランザクション端末との近距離無線通信を許可する。当該近距離無線通信より決済が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-514828号公報
【文献】特表2008-217187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、決済を実行するために、ユーザは、ポータブルデバイスの指紋センサをタッチする必要がある。このため、ユーザは、ポータブルデバイスをかばん等から取り出す必要がある。ユーザは、ポータブルデバイスを取り出す動作を煩わしく感じ得る。
【0005】
また、指紋認証を実行する他の技術が、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2のシステムは、ネットワーク上のサーバと、指紋画像を入力可能な情報端末と、を備える。サーバは、個人IDと対応付けて指紋画像を記憶する。そして、サーバは、情報端末から入力済みの指紋画像を取得する場合に、取得済みの指紋画像とサーバ内の指紋画像を照合して、個人IDを特定する。
【0006】
特許文献2の技術では、ユーザの指紋画像をネットワーク上のサーバに記憶する必要がある。そのため、サーバを厳重に管理する必要があり、当該技術の導入の妨げとなっていた。
【0007】
本明細書では、携帯端末と販売装置とを備える販売システムにおいて、ユーザの特徴情報を外部で管理することなく、ユーザの利便性を向上させるための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書が開示する販売システムは、携帯端末と、商品又はサービスを販売するための販売装置と、を備え、前記販売装置は、無線通信を実行可能な第1の通信インターフェースと、前記販売装置を利用するユーザの身体的特徴を示す第1の特徴情報を取得するための特徴取得部と、前記商品又は前記サービスの販売完了を報知する報知動作を実行する動作実行部と、を備え、前記携帯端末は、前記第1の通信インターフェースとの前記無線通信を実行可能な第2の通信インターフェースと、前記携帯端末を利用するユーザの身体的特徴を示す第2の特徴情報を記憶するメモリと、を備え、前記販売装置は、前記第1の通信インターフェースを介して、前記特徴取得部によって取得された前記第1の特徴情報を前記携帯端末に送信し、前記第1の通信インターフェースを介して、前記商品又は前記サービスの代金を前記携帯端末に送信し、前記携帯端末は、前記第2の通信インターフェースを介して、前記販売装置から前記第1の特徴情報を受信し、前記第2の通信インターフェースを介して、前記販売装置から前記代金を受信し、受信済みの前記第1の特徴情報と、前記メモリ内の前記第2の特徴情報と、を利用した認証処理を実行し、前記認証処理において、前記販売装置を利用するユーザの認証が成功する場合に、受信済みの前記代金を決済するための決済処理を実行し、前記決済処理が実行された後に、前記第2の通信インターフェースを介して、前記代金の決済の完了を示す通知を前記販売装置に送信し、前記販売装置は、前記第1の通信インターフェースを介して、前記携帯端末から前記通知が受信される場合に、前記報知動作を前記動作実行部に実行させる。
【0009】
このような構成によれば、販売装置の特徴取得部によって取得された第1の特徴情報が、販売装置から携帯端末に送信され、当該第1の特徴情報を利用した認証処理が携帯端末によって実行され、代金が決済される。即ち、代金の決済は、携帯端末が販売装置から特徴情報を受信することをトリガとして実行され、ユーザは、携帯端末をかばん等から取り出す必要がない。ユーザの利便性が向上する。さらに、携帯端末を利用するユーザの第2の特徴情報は、携帯端末とは異なる外部の装置(例えばサーバ)ではなく、携帯端末のメモリに記憶される。即ち、ユーザの第2の特徴情報を外部で管理する必要がない。このため、ユーザの利便性を向上させるための技術を簡易に実現することができる。ここで、「第1の特徴情報」は、例えば、販売装置を利用するユーザの指紋を示す指紋情報である。また、他の例では、「第1の特徴情報」は、販売装置を利用するユーザの顔、虹彩、静脈パターン、声紋等の特徴を示す情報であってもよい。
【0010】
前記販売装置は、さらに、前記商品又は前記サービスを指定するためのボタンを備え、前記特徴取得部は、前記ボタンが押し下げられるのと同時に前記第1の特徴情報を取得するように構成されていてもよい。
【0011】
例えば、商品又はサービスを指定するボタンを押し下げる動作とは別の動作をトリガとして特徴情報が取得される比較例が構成される。この比較例では、ユーザは、上記のボタンを押す動作とは別の動作を行う必要がある。これに対して、上記の構成によれば、ユーザが上記のボタンを押す動作を行えば、特徴情報が特徴取得部によって取得される。ユーザの利便性が向上する。
【0012】
前記販売装置は、前記第1の通信インターフェースを介して、前記第1の特徴情報を外部にブロードキャストに送信することによって、前記第1の特徴情報を前記携帯端末に送信してもよい。
【0013】
このような構成によれば、販売装置は、携帯端末の宛先を知らなくても、特徴情報を携帯端末に送信することができる。
【0014】
前記販売装置は、前記第1の通信インターフェースを介して、前記販売装置を利用するユーザの身体的特徴のうちの一部を示す前記第1の特徴情報を外部にブロードキャストに送信し、前記携帯端末は、前記第2の通信インターフェースを介して、前記販売装置から前記第1の特徴情報が受信される場合に、前記第2の通信インターフェースを介して、前記販売装置を利用するユーザの身体的特徴のうちの残りの部分を示す残りの特徴情報を要求する要求情報を前記販売装置に送信し、前記販売装置は、前記第1の通信インターフェースを介して、前記携帯端末から前記要求情報が受信される場合に、前記第1の通信インターフェースを介して、前記残りの特徴情報をユニキャストに前記携帯端末に送信し、前記携帯端末は、前記第2の通信インターフェースを介して、前記販売装置から前記残りの特徴情報を受信し、前記第1の特徴情報と前記残りの特徴情報とを利用した前記認証処理を実行してもよい。
【0015】
例えば、身体的特徴の全てを示す情報を外部にブロードキャストに送信する比較例が想定される。この比較例では、身体的特徴の全てを示す情報が販売装置のユーザ以外の他のユーザの携帯端末にも送信され得る。即ち、第三者が販売装置のユーザの特徴情報の全てを知り得る。これに対して、上記の構成によれば、身体的特徴のうちの残りの部分を示す残りの特徴情報はユニキャストに携帯端末に送信されるので、販売装置のユーザの身体的特徴の全てが第三者に知られることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】販売システムの概略図を示す。
図2】自動販売機と携帯端末のブロック図を示す。
図3】販売システムにおいて購入対象の代金を決済するための処理のシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(販売システム2の構成;図1
本実施例に係る販売システム2は、携帯端末10と、自動販売機100と、決済サーバ200と、を備える。携帯端末10は、スマートフォン、タブレットPC等の端末である。自動販売機100は、清涼飲料水等の商品を販売する装置である。決済サーバ200は、購入対象の代金を決済するサーバである。決済サーバ200は、例えば、ユーザを識別する個人IDと対応付けて、当該個人IDによって識別されるユーザの決済情報(例えば、クレジットカード情報、ポイント情報)を記憶する。決済サーバ200は、当該決済情報を利用して購入対象の代金を決済する。決済サーバ200は、決済サーバ200のサービスを提供する事業者によってインターネット8上に設置される。
【0018】
(携帯端末10の構成;図1図2
携帯端末10は、無線通信インターフェース12と、ネットワークインターフェース14と、制御部30と、を備える。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0019】
無線通信I/F12は、所定の通信方式に従った無線通信を実行するためのI/Fである。ここで、所定の通信方式は、例えば、WLAN(wireless Local Area Networkの略)、Bluetooth(登録商標)等の通信方式である。
【0020】
ネットワークI/F14は、サーバ(例えば200)とのインターネット8を介した通信を実行するためのI/Fである。ネットワークI/F14は、インターネット8に接続されている。
【0021】
制御部30は、CPU32と、メモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム40、42に従って、様々な処理を実行する。メモリ34は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。OSプログラム40は、携帯端末10の基本的な処理を実行するためのプログラムである。アプリケーションプログラム42(以下では、「アプリ42」と記載)は、自動販売機100との通信及び決済を実行するためのプログラムである。アプリ42は、様々なアプリを提供するアプリサーバ(図示省略)から携帯端末10にインストールされる。アプリ42は、携帯端末10の事業者とは異なる事業者(例えば自動販売機100の事業者)によってアプリサーバにアップロードされる。
【0022】
メモリ34は、さらに、ユーザ指紋情報と、個人IDと、を対応付けて記憶する。ユーザ指紋情報は、携帯端末10のユーザの特定の指(例えば人差し指)の指紋を示す情報である。ユーザ指紋情報は、当該ユーザによってメモリ34に登録される(記憶される)。
【0023】
(自動販売機100の構成;図1図2
自動販売機100は、無線通信I/F112と、商品ボタン120と、指紋取得部122と、操作部124と、排出機構126と、制御部130と、を備える。無線通信I/F112は、携帯端末10の無線通信I/F12と同様である。操作部124は、ユーザの操作を受け付けるための部位である。操作部124は、例えば、硬貨投入口、ICカードリーダ等を備える。排出機構126は、購入対象の商品を排出するための機構である。
【0024】
商品ボタン120は、自動販売機100によって販売されている複数個の商品のうちの1個の商品を指定するためのボタンである。なお、自動販売機100は、複数個の商品に対応する複数個の商品ボタン120を備えている。図1では、複数個の商品ボタン120のうちの1個の商品ボタン120にのみ符号が付されており、他の商品ボタン120の符号を省略している。また、図2では、複数個の商品ボタン120のうちの1個の商品ボタン120のみを記載し、他の商品ボタン120の記載を省略している。
【0025】
指紋取得部122は、自動販売機100のユーザの指紋を示す指紋情報を取得するための装置である。指紋取得部122は、例えば、静電容量式のセンサである。なお、変形例では、指紋取得部122は、光学式のセンサ、超音波式のセンサ等であってもよい。
【0026】
指紋取得部122は、複数個の商品ボタン120のそれぞれに内蔵されている。このため、購入対象の商品に対応する1個の商品ボタン120がユーザの特定の指によって押下げられると、当該1個の商品ボタン120に内蔵されている指紋取得部122によって当該特定の指の指紋を示す指紋情報が取得される。なお、図1では、1個の商品ボタン120に対応する1個の指紋取得部122にのみ符号が付されており、他の指紋取得部122の符号を省略している。図2では、1個の商品ボタン120に対応する1個の指紋取得部122のみを記載し、他の商品ボタン120に対応する他の指紋取得部122の記載を省略している。
【0027】
例えば、指紋取得部122が操作部124に内蔵されている比較例が想定される。この比較例では、ユーザは、操作部124内の指紋取得部122をタッチする動作と、商品ボタン120を押し下げる動作と、を行う必要がある。これに対して、本実施例の構成によれば、ユーザが商品ボタン120を押し下げる動作を行えば、指紋情報が指紋取得部122によって取得される。ユーザの利便性が向上する。
【0028】
なお、変形例として、指紋取得部122が操作部124に内蔵されている比較例の構成が採用されてもよい。この比較例では、複数個の商品ボタン120のそれぞれに指紋取得部122を内蔵する必要がない。即ち、1個の指紋取得部122を操作部124に内蔵すればよい。自動販売機100の構造を簡易にすることができる。
【0029】
制御部130は、CPU132と、メモリ134と、を備える。CPU132は、メモリ134に記憶されているプログラム140に従って、様々な処理を実行する。
【0030】
(購入対象の代金を決済するための処理;図3
図3を参照して、販売システム2において購入対象の代金を決済するための処理について説明する。なお、以下では、特に言及しない限り、携帯端末10及び自動販売機100のCPU32、132が実行する処理について、理解の容易さの観点から、各CPU32、132を主体として記載せずに、携帯端末10及び自動販売機100を主体として記載する。
【0031】
T10では、携帯端末10のユーザは、自動販売機100の1個の商品ボタン120を押し下げる。本ケースでは、携帯端末10のユーザは、自動販売機100のユーザでもある。
【0032】
自動販売機100は、T10において、1個の商品ボタン120が押下げられると、T12において、当該1個の商品ボタン120に対応する指紋取得部122から、当該1個の商品ボタン120を押し下げた特定の指の指紋を示す指紋情報を取得する。
【0033】
T14では、自動販売機100は、所定の規則に従って、T12で取得された指紋情報を複数個の部分情報に分割する。例えば、自動販売機100は、指紋情報を8個の部分情報に分割する。
【0034】
T20では、自動販売機100は、無線通信I/F112を介して、T12で取得された指紋情報のうちの第1の部分情報と、T10で押し下げられた商品ボタン120に対応する商品(即ち購入対象)の代金と、を外部にブロードキャストに送信する。例えば、ブロードキャストの送信には、WLANのWi-Fi(登録商標)規格のうちの所定の方式(例えばTCP/IP)が利用される。
【0035】
携帯端末10は、第1の部分情報と代金とがブロードキャストに送信されことにより、T20において、無線通信I/F12を介して、自動販売機100から第1の部分情報と代金とを受信する。
【0036】
T22では、携帯端末10は、T14と同じ所定の規則に従って、メモリ34内のユーザ指紋情報を複数個の部分情報に分割する。そして、携帯端末10は、T20で受信した第1の部分情報と、当該第1の部分情報に対応するユーザ指紋情報の第1の部分情報と、が一致するのか否かを判断する。本ケースでは、2個の第1の部分情報は一致すると判断される。携帯端末10は、2個の第1の部分情報が一致すると判断すると、T24以降の処理を実行する。なお、2個の第1の部分情報が一致しないと判断する場合には、T24以降の処理がスキップされ、図3の処理が終了する。即ち、購入対象の代金の決済が失敗する。
【0037】
T24では、携帯端末10は、所定のハッシュ関数を利用して、ユーザ指紋情報のうちの第2の部分情報からハッシュ値を算出する。
【0038】
T26では、携帯端末10は、無線通信I/F12を介して、T24で算出済みのハッシュ値と、携帯端末10のIPアドレスと、をT20の受信に対する応答として自動販売機100に送信する。
【0039】
自動販売機100は、T26において、無線通信I/F112を介して、携帯端末10からハッシュ値とIPアドレスとを受信すると、T30において、T24と同じ所定のハッシュ関数を利用して、T12で取得された指紋情報のうち、T26で受信したハッシュ値に対応する第2の部分情報からハッシュ値を算出する。
【0040】
T32では、自動販売機100は、T26で受信したハッシュ値と、T30で算出されたハッシュ値と、が一致するのか否かを判断する。本ケースでは、2個のハッシュ値は一致すると判断される。携帯端末10は、2個のハッシュ値が一致すると判断すると、T40以降の処理を実行する。なお、2個のハッシュ値が一致しないと判断する場合には、T40以降の処理がスキップされ、図3の処理が終了する。即ち、購入対象の代金の決済が失敗する。
【0041】
T40では、自動販売機100は、無線通信I/F112を介して、T26で受信したIPアドレスを宛先として、T12で取得された指紋情報のうちの第2の部分情報を携帯端末10にユニキャストに送信する。
【0042】
携帯端末10は、T40において、無線通信I/F12を介して、自動販売機100から第2の部分情報を受信すると、T44の処理を実行する。T44は、ユーザ指紋情報のうちの第3の部分情報が利用される点を除いて、T24と同様である。続くT46は、T44で算出されたハッシュ値が送信され、IPアドレスが送信されない点を除いて、T26と同様である。続くT50、T52は、T46のハッシュ値及びT12で取得された指紋情報のうちの第3の部分情報が利用される点を除いて、T30、T32と同様である。
【0043】
自動販売機100及び携帯端末10は、T14で分割された複数個の部分情報のうちの最後の部分情報が携帯端末10に送信されるまで、T40~T52と同様の処理を繰り返す。
【0044】
携帯端末10は、T100において、無線通信I/F12を介して、自動販売機100から最後の部分情報を受信すると、T102において、自動販売機100から受信した全ての部分情報を結合する。これにより、携帯端末10は、T14で取得された指紋情報を取得する。
【0045】
T104では、携帯端末10は、T102で取得された指紋情報を利用して、メモリ34から個人IDを特定することを試みる。本ケースでは、T102で取得された指紋情報が、メモリ134内のユーザ指紋情報と一致する。このため、個人IDの特定が成功する。即ち、自動販売機100のユーザの認証が成功する。なお、T102で取得された指紋情報が、メモリ134内のユーザ指紋情報と一致しないことに起因して個人IDの特定が失敗する場合には、T106以降の処理がスキップされ、図3の処理が終了する。即ち、購入対象の代金の決済が失敗する。
【0046】
携帯端末10は、個人IDの特定が成功する場合に、T106において、ネットワークI/F14及びインターネット8を介して、T104で特定された個人IDと、T20で受信した代金と、を決済サーバ200に送信する。
【0047】
決済サーバ200は、T106において、携帯端末10から個人IDと代金とを受信すると、T108において、購入対象の代金を決済する。具体的には、決済サーバ200は、携帯端末10から受信した個人IDに対応付けて記憶されている決済情報(例えばクレジットカード情報)を呼び出す。そして、決済サーバ200は、呼び出し済みの決済情報を利用して、携帯端末10から受信した代金を決済する。
【0048】
T110では、決済サーバ200は、インターネット8を介して、代金の決済が完了したことを示す決済完了通知を携帯端末10に送信する。携帯端末10は、T110において、ネットワークI/F14及びインターネット8を介して、決済サーバ200から決済完了通知を受信すると、T112において、無線通信I/F12を介して、当該決済完了通知を自動販売機100に送信する。
【0049】
自動販売機100は、T112において、無線通信I/F112を介して、携帯端末10から決済完了通知を受信すると、T114において、購入対象の商品を排出機構126に排出させる。これにより、自動販売機100のユーザは、購入対象の商品を受け取ることができる。
【0050】
(本実施例の効果)
例えば、携帯端末10の指紋取得部(図示省略)によって取得された指紋情報を利用してユーザの認証を実行する比較例が想定される。この比較例では、ユーザは、かばん等から携帯端末10を取り出す必要がある。これに対して、本実施例の構成によれば、自動販売機100は、指紋取得部122によって取得された指紋情報の部分情報を、携帯端末10に順次に送信する(図3のT20、T40、T100)。そして、携帯端末10は、自動販売機100から受信した指紋情報を利用して、メモリ34から個人IDを特定し(T104)、個人IDと購入対象の代金とを決済サーバ200に送信する(T106)。これにより、決済サーバ200により代金が決済される。即ち、代金の決済は、携帯端末10が自動販売機100から指紋情報の第1の部分情報を受信することをトリガとして実行され、ユーザは、携帯端末10をかばん等から取り出す必要がない。ユーザの利便性が向上する。
【0051】
また、決済サーバ200が、個人IDに対応付けて、ユーザ指紋情報を記憶する比較例が想定される。この比較例では、携帯端末10は、自動販売機100から、指紋取得部122によって取得された指紋情報を受信すると、当該指紋情報を決済サーバ200に送信する。そして、決済サーバ200は、携帯端末10から受信した指紋情報と決済サーバ200内のユーザ指紋情報が一致する場合に、自身のメモリから個人IDを特定する。この比較例では、携帯端末10とは異なる外部の決済サーバ200でユーザ指紋情報を管理する必要がある。そのため、サーバを厳重に管理する必要がある。これに対して、本実施例の構成では、携帯端末10のユーザのユーザ指紋情報を携帯端末10自身で管理すればよい。当該ユーザの指紋情報を外部で管理する必要がなく、ユーザの利便性を向上させるための技術を簡易に実現することができる。
【0052】
また、本実施例によれば、自動販売機100は、指紋取得部122によって取得された指紋情報の第1の部分情報を外部にブロードキャストに送信する(図3のT20)。即ち、自動販売機100は、携帯端末10の宛先を知らなくても、指紋情報の第1の部分情報を携帯端末10に送信することができる。
【0053】
例えば、図3のT20に代えて、指紋取得部122によって取得された指紋情報の全てを外部にブロードキャストに送信する比較例が想定される。この比較例では、指紋情報の全てが自動販売機100のユーザ以外の他のユーザの携帯端末にも送信され得る。即ち、第三者が自動販売機100のユーザの指紋情報の全てを知り得る。これに対して、上記の構成によれば、指紋情報のうちの残りの部分情報はユニキャストに携帯端末10に送信される(図3のT40、T100)。これにより、自動販売機100のユーザの指紋情報の全てが第三者に知られることを抑制することができる。なお、変形例では、上記の比較例の構成が採用されてもよい。
【0054】
(対応関係)
販売システム2、携帯端末10、自動販売機100が、それぞれ、「販売システム」、「携帯端末」、「販売装置」の一例である。自動販売機100の無線通信I/F112、商品ボタン120、指紋取得部122、排出機構126が、それぞれ、「第1の通信インターフェース」、「ボタン」、「特徴取得部」、「動作実行部」の一例である。購入対象の商品を排出することが、「報知動作」の一例である。携帯端末10の無線通信I/F12が、「第2の通信インターフェース」の一例である。図3のT20の第1の部分情報が、「第1の特徴情報」の一例である。T40、T100の第2の部分情報、最後の部分情報が、「残りの特徴情報」の一例である。メモリ34、ユーザ指紋情報が、それぞれ、「メモリ」、「第2の特徴情報」の一例である。T26のハッシュ値が、「要求情報」の一例である。T104の処理が、「認証処理」の一例である。T106の処理が、「決済処理」の一例である。T112の決済完了通知が、「通知」の一例である。
【0055】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0056】
(変形例1)「販売装置」は、自動販売機100に限らず、例えば、コンビニエンスストアの店頭端末等であってもよい。「販売装置」が店頭端末である場合には、例えば、コンサートチケットの発券、各種料金の支払い等のサービスがユーザに提供されてもよい。「販売装置」がサービスを提供する場合には、「報知動作」は、例えば、当該サービスの提供を証明するレシートの排出、サービスの提供が完了したことを報知する画面の表示であってもよい。
【0057】
(変形例2)上記の実施例では、携帯端末10は、個人IDと代金を決済サーバ200に送信することによって代金の決済を実行する。これに代えて、携帯端末10は、携帯端末10の所定の記憶領域に記憶されている金額(即ちチャージされている金額)から代金を差し引いて代金の決済を実行してもよい。本変形例では、決済サーバ200を省略可能であり、チャージされている金額から代金を差し引くことが、「決済処理」の一例である。
【0058】
(変形例3)上記の実施例では、自動販売機100は、第1の部分情報を外部にブロードキャストに送信する(図3のT20)。これに代えて、自動販売機100は、第1の部分情報(又は指紋情報の全て)をユニキャストに携帯端末10に送信してもよい。
【0059】
(変形例4)上記の実施例では、携帯端末10は、自動販売機100から第1の部分情報を受信した後に、ユーザ指紋情報の第2の部分情報のハッシュ値を自動販売機100に送信する(図3のT40等)。これに代えて、携帯端末10は、自動販売機100から指紋取得部122によって取得された指紋情報の第2の部分情報を要求する信号を自動販売機100に送信してもよい。そして、携帯端末10は、自動販売機100から受信した第2の部分情報と、ユーザ指紋情報のうち、当該第2の部分情報に対応する第2の部分情報と、が一致するのか否かを判断してもよい。本変形例では、第2の部分情報を要求する信号が、「要求情報」の一例である。
【0060】
(変形例5)代金が携帯端末10に送信されるタイミングは、図3のT20のタイミングに限らず、例えば、T40又はT100のタイミングであってもよい。即ち、代金は、T106の処理(「決済処理」に対応)の前に携帯端末10に送信されればよい。
【0061】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0062】
2 :販売システム
8 :インターネット
10 :携帯端末
12 :無線通信I/F
14 :ネットワークI/F
16 :ネットワークI/F
30 :制御部
32 :CPU
34 :メモリ
40 :OSプログラム
42 :アプリ
100 :自動販売機
112 :無線通信I/F
120 :商品ボタン
122 :指紋取得部
124 :操作部
126 :排出機構
130 :制御部
132 :CPU
134 :メモリ
140 :プログラム
200 :決済サーバ
図1
図2
図3