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  • 特許-容器搬送装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】容器搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/30 20060101AFI20240522BHJP
   B65G 15/12 20060101ALN20240522BHJP
【FI】
B65G47/30 L
B65G15/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020163574
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055884
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】辻 浩樹
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-312835(JP,A)
【文献】特開2007-269423(JP,A)
【文献】特開2015-107875(JP,A)
【文献】特開平06-107313(JP,A)
【文献】米国特許第04489820(US,A)
【文献】実開昭53-148486(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/30
B65G 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の供給側から排出側へ隣接して平行に設けられる複数の搬送コンベヤと、
容器の供給側から排出側に亘って前記複数の搬送コンベヤに対して斜めに交差して設けられ、前記搬送コンベヤ上の容器と接触するガイド部材とを備え、
排出側の搬送コンベヤの搬送速度が、供給側の搬送コンベヤの搬送速度よりも速く設定され、容器の胴部外周面を前記ガイド部材に接触させつつ、このガイド部材に沿って供給側の搬送コンベヤから排出側の搬送コンベヤへ移送する容器搬送装置において、
前記容器は、略長方形状の胴部断面を有するとともに、胴部外周面に沿って凹部が形成されており、
前記ガイド部材が、前記凹部と接触可能であり、前記容器は前記ガイド部材に沿って供給側の搬送コンベヤから排出側の搬送コンベヤへ移送される
ことを特徴とする容器搬送装置。
【請求項2】
前記ガイド部材の上下少なくとも一方に、第2ガイド部材が平行に配置され、前記ガイド部材と前記第2ガイド部材の少なくとも一方が相対的に進退可能であり、前記ガイド部材を前記第2ガイド部材よりも突出させて前記容器の凹部を前記ガイド部材に接触させつつ搬送する第1モードと、前記第2ガイド部材を前記ガイド部材よりも突出させて略円形状もしくは略正方形状の胴部断面を有する第2容器の胴部を前記第2ガイド部材に接触させつつ搬送する第2モードとの間でモードを切り替え可能であることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドに沿って容器を搬送する容器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ランダムに複数列で搬送されてくる容器を、一列に直列させた後排出する容器搬送装置が知られている(特許文献1)。同容器搬送装置は、搬送速度が一方から他方に向けて順次速くなる多数のコンベヤを隣り合わせに配置した多列コンベヤを備え、搬送面上には、低速側のコンベヤの上流側から高速側のコンベヤの下流側へと向けて多列コンベヤを斜めに横切るガイド部材が配置される。ランダムに複数列で供給された容器のうち、より低速側のコンベヤを搬送される容器は、ガイド部材により順次より高速側へ案内され、最も高速なコンベヤまで移動される間に一列に直列される。多列コンベヤ上を搬送される容器は、側面にガイド部材と接触することによる抵抗を受けるとともに、より低速なコンベヤからより高速なコンベヤに乗り移る際、容器の底面にコンベヤの速度差による回転力を受けることにより、ガイド部材下流側に向けて回転するような回転力が働く。したがって、略長方形状の胴部断面を有する容器を搬送する場合、容器は、長辺側面をガイド部材に沿わせる向きに揃えられて一列に直列される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2794618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、容量が大きく(例えば、1.5~2リットル)略長方形状の胴部断面を有する容器や、長方形状の角に丸みを持たせた容器を特許文献1の容器搬送装置で搬送すると、容器に大きな回転力が働き、一旦長辺側面がガイド部材に沿う体勢になっても更に回転してしまうことがある。そのため、多列コンベヤの出口において、短辺を搬送方向に向けた容器に、長辺を搬送方向に向けた容器が混ざることがあり、下流側において排出コンベヤの両側に配置された一対のガイド部材の間に容器が噛み込まれる問題が発生する。
【0005】
本発明は、略長方形状の胴部断面を有する容器の向きを揃えて搬送可能な容器搬送装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である容器搬送装置は、容器の供給側から排出側へ隣接して平行に設けられる複数の搬送コンベヤと、容器の供給側から排出側に亘って前記複数の搬送コンベヤに対して斜めに交差して設けられ、前記搬送コンベヤ上の容器と接触するガイド部材とを備え、排出側の搬送コンベヤの搬送速度が、供給側の搬送コンベヤの搬送速度よりも速く設定され、容器の胴部外周面を前記ガイド部材に接触させつつ、このガイド部材に沿って供給側の搬送コンベヤから排出側の搬送コンベヤへ移送する容器搬送装置において、前記容器は、略長方形状の胴部断面を有するとともに、胴部外周面に沿って凹部が形成されており、前記ガイド部材が、前記凹部と接触可能であり、前記容器は前記ガイド部材に沿って供給側の搬送コンベヤから排出側の搬送コンベヤへ移送されることを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である容器搬送装置は、第1の発明において、前記ガイド部材の上下少なくとも一方に、第2ガイド部材が平行に配置され、前記ガイド部材と前記第2ガイド部材の少なくとも一方が相対的に進退可能であり、前記ガイド部材を前記第2ガイド部材よりも突出させて前記容器の凹部を前記ガイド部材に接触させつつ搬送する第1モードと、前記第2ガイド部材を前記ガイド部材よりも突出させて略円形状もしくは略正方形状の胴部断面を有する第2容器の胴部を前記第2ガイド部材に接触させつつ搬送する第2モードとの間でモードを切り替え可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、略長方形状の胴部断面を有する容器の向きを揃えて搬送可能な容器搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態である容器搬送装置の配置を示す平面図である。
図2】第1モードにおけるガイドの部分的な一部切断平面図、縦断面図、および矢印A方向からの矢視図である。
図3】第2モードにおけるガイドの縦断面図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である容器搬送装置の配置を示す平面図である。
【0011】
本実施形態の容器搬送装置10は、隣接して平行に配置される複数搬送コンベヤ、例えば第1~第4搬送コンベヤ12A、12B、12C、12Dからなる多列コンベヤ12と、多列コンベヤ12の搬送面上を斜めに横切るガイド14とを備える。第1~第4搬送コンベヤ12A~12Dは、それぞれ搬送速度V1~V4で駆動され、各搬送速度は、V1<V2<V3<V4となるように設定されている。すなわち、多列コンベヤ12の第1~第4搬送コンベヤ12A~12Dの搬送速度は、この順で速くなる。
【0012】
ガイド14の上流端は、第1搬送コンベヤ12A側の外側の側辺、すなわち、第2搬送コンベヤ12Bとは反対側の第1搬送コンベヤ12Aの側辺に位置する。ガイド14は、第2、第3搬送コンベヤ12B、12Cを下流側に向けて斜めに横断し、第4搬送コンベヤ12Dの第3搬送コンベヤ12C側の側辺に沿って、第4搬送コンベヤ12Dの下流端まで延在する。
【0013】
第4搬送コンベヤ12Dの下流端の下流側には、隣接して排出コンベヤ16が配置される。排出コンベヤ16は、第4搬送コンベヤ12Dと略同じ幅を有し、その両側には、側辺に沿って一対のガイド16Aが配置される。なお、一対のガイド16Aの間の間隔は、搬送される容器Cの胴部の幅に合わせて設定されており、例えば胴部断面が長方形の場合、短辺の横幅よりも僅かに広い間隔で設定される。
【0014】
本実施形態において、容器Cは胴部の断面が略長方形状であり、一対の長辺と一対の短辺を有している容量が2.0リットルの樹脂製容器である。また、容器Cの胴部には外周に沿って凹部Crが形成されている。(図2(b)参照)容器Cは、第1搬送コンベヤ(供給側搬送コンベヤ)12Aの上流から供給される。第1搬送コンベヤ12A上を搬送される容器Cは、ガイド14に係合した後ガイド14に沿って、第2搬送コンベヤ12B、第3搬送コンベヤ12C、第4搬送コンベヤ12Dへと順に移動され、最終的に第4搬送コンベヤ(排出側搬送コンベヤ)12Dから排出コンベヤ16へ排出される。この間に、胴部の短辺をガイド14に接触させる容器Cは前方(図1では時計回り)に回転され、長辺をガイド14に接触させた姿勢とされる。その後、同姿勢を維持したまま容器Cは、第4搬送コンベヤ12Dへと移動され短辺を前後に整列される。
【0015】
図2図3は、本実施形態のガイド14の構造を説明する図である。図2(a)は第1モードにおけるガイド14の部分的な一部切断平面図であり、図2(b)は第1モードにおけるガイド14の縦断面図、図2(c)は、図2(b)の矢印A方向からの矢視図である。また、図3は、第2モードにおけるガイド14の縦断面図である。
【0016】
図2(b)、図3の縦断面図に示されるように、本実施形態においてガイド14は、断面が尖頭状で、その先端が容器Cの胴部に形成された凹部Crと当接する1つの第1ガイド部材14A(請求項1に記載のガイド部材)と、ガイド部が平面状(ガイド面)で、ガイド面が略正方形状もしくは略円形状の胴部断面を有する第2容器C’の胴部と当接する3つの第2ガイド部材14Bを備える。なお、第2容器C’は略正方形状もしくは略円形状の胴部断面を有する容量が500ミリリットルの樹脂製容器である。第1、第2ガイド部材14A、14Bは、ガイド14の全長に亘って略平行に配置される。本実施形態では、一番上に第2ガイド部材14B、その下に第1ガイド部材14A、更にその下に2つの第2ガイド部材14Bが配置される。3つの第2ガイド部材14Bは、ガイド長手方向に沿って一定間隔で垂直に配置される複数の支持部材18によって一体的にガイド面(案内する第2容器C’の胴部に対面する面)の裏側から支持される。なお、各第2ガイド部材14Bのガイド面は、1つの垂直面を形成するように支持部材18により支持される。
【0017】
支持部材18は、ヒンジ20を介してシリンダなどの第1直動機構22により保持される。すなわち、第1直動機構22の進退を調整することで、第2ガイド部材14Bは、第2ガイド部材14Bのガイド面の略法線方向に移動される。また、支持部材18には、ブラケット24の一端が取り付けられブラケット24の他端にはシリンダなどの第2直動機構26が取り付けられる。第2直動機構26の進退方向は、同位置での第2ガイド部材のガイド面の法線方向に略一致し、第2直動機構26の先端には、支持部材28を介して第1ガイド部材14Aが第2直動機構26の軸方向に垂直に取り付けられる。すなわち、第1ガイド部材14Aは、第2直動機構26により第2ガイド部材14Bに平行に保持される。
【0018】
ヒンジ20は垂直軸周りに回転自在であり、第1直動機構22の進退に応じて回転し、第1ガイド部材14Aおよび第2ガイド部材14Bの向きを適正な方向に維持する。したがって、第1直動機構22の進退(位置)を調整することにより、多列コンベヤ12を横切るガイド14の軌道が調整可能である。一方、第2直動機構26の進退(位置)を調整することにより、第1ガイド部材14Aを第2ガイド部材14Bにガイド面よりも外側に突出させ、あるいは第2ガイド部材14Bのガイド面内側に退避させることができる。
【0019】
第1モードは、図2(a)、図2(c)に示されるように、第2直動機構26により第1ガイド部材14Aを、第2ガイド部材14Bのガイド面よりも外側に突出させるモードであり、略長方形状の胴部断面を有するとともに、胴部の外周に沿って凹部Crが形成された容器Cの搬送を行うときに採用される。
【0020】
図2(b)に示されるように、第1ガイド部材14Aは、容器Cの凹部Crに対応する所定の高さに配置され、第1モードにおいて、第1ガイド部材14Aは、その先端が凹部Crの底部に当接するとともに、これにより第2ガイド部材14Bのガイド面が容器Cの胴部側面に接触しない距離まで第2直動機構26により第2ガイド部材14Bのガイド面よりも外側に突出される。
【0021】
以上の構成により、第1モードにおいて容器Cは、凹部Crと係合する第1ガイド部材14Aにより案内されるため、ガイド14と容器Cの接触は略線接触となり、摩擦が低減される。すなわち、速度の高いコンベヤへ乗り移る際、容器Cの底面にはコンベヤの速度差による回転力を受けることになるが、ガイド14から容器Cに付与される抵抗が低減され、回転力を受けても容器Cは長辺が第1ガイド部材14Aを滑りながら搬送されることになり、第1ガイド部材14Aと接触する胴部を支点として回転されることが防止される。これにより容器Cは図1に示されるように、長辺側面をガイド14(第1ガイド部材14A)に摺接させながら最終的に案内され、短辺を前後とする向きに揃えられ一列に整列される。なお、第1モードでは、第1ガイド部材14Aのみで容器Cをガイドされるものの、搬送時において容器Cは前後左右に振れるため、第1ガイド部材14Aの上下に第2ガイド部材14Bを配置して、容器Cが振れた際には第2ガイド部材14Bによって容器Cをガイドすることが好ましい。
【0022】
容器Cの短辺が第1ガイド部材14Aと接触しながら搬送される場合、より低い速度のコンベヤからより高い速度のコンベヤへ乗り移る際には、長辺が第1ガイド部材14Aと接触する場合と比較して、第1ガイド部材14Aが接触する辺と対抗する辺までの長さが長い。そのため、より強い回転力が容器Cに付与されることになり、第1ガイド部材14Aから受ける抵抗が小さくても容器Cは回転することになる。
【0023】
一方、胴部側面に凹部Crが設けられていない第2容器C’を搬送する場合には、図3に示されるように、容器搬送装置10は、第2直動機構26により第1ガイド部材14Aが第2ガイド部材14Bのガイド面よりも内側に配置される第2モードに設定される。これにより第2容器C’の胴部側面は、3つの第2ガイド部材14Bにより安定した状態で案内される。
【0024】
以上のように、本実施形態によれば、側面に凹部を備える容器であれば、その胴部断面形状が扁平で、かつ容量が大きくとも、容器の向きを揃えて搬送可能である。これにより、例えば排出コンベヤのガイドへの容器の噛み込みが防止される。
【0025】
本実施形態では、3つの第2ガイド部材を用いたが、第2ガイド部材の数は1つ以上であればよい。また、第1ガイド部材の先端は、容器の凹部に挿入されて、凹部底部に低摩擦で当接する形状であればよく、丸みを帯びた形状でも平面形状でもよい。また、本実施形態では、容器Cの容量が2.0リットル、第2容器C’の容量が500ミリリットルであったが、この容量に限るものではない。
【符号の説明】
【0026】
10 容器搬送装置
12 多列コンベヤ
12A~12D 第1~第4搬送コンベヤ
14 ガイド
14A 第1ガイド部材
14B 第2ガイド部材
16 排出コンベヤ
22 第1直動機構
26 第2直動機構
C 容器
Cr 凹部
図1
図2
図3