(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
B41J2/14
(21)【出願番号】P 2020131018
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】鐘ヶ江 貴公
(72)【発明者】
【氏名】大久保 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】萩原 寛之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸朗
(72)【発明者】
【氏名】勝家 隼
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-507037(JP,A)
【文献】特開2016-196169(JP,A)
【文献】特開2020-049874(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0231661(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長尺で且つ第2方向に短尺であり、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に液体を噴射する液体噴射ヘッドであって、
外部から液体を導入するための第1導入部と、
外部から液体を導入するための第2導入部と、
第1フィルターを内部に有する第1フィルター室および
前記第1フィルターとは別の第2フィルターを内部に有する第2フィルター室を有する第1フィルター室群と、
第3フィルターを内部に有する第3フィルター室および
前記第3フィルターとは別の第4フィルターを内部に有する第4フィルター室を有する第2フィルター室群と、
前記第1導入部から前記第1フィルター室群へ液体を供給する第1供給流路と、
前記第2導入部から前記第2フィルター室群へ液体を供給する第2供給流路と、
を備え、
前記第1導入部、前記第2導入部、前記第1フィルター室群および前記第2フィルター室群が、この順で前記第1方向に向かって並んで配置されている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記第1供給流路および前記第2供給流路のそれぞれは、内部にフィルターを有さない、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記第1フィルター室群および前記第2フィルター室群は、前記第1方向において前記第1導入部と第2導入部との間に配置されない、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記第1導入部および前記第2導入部は、前記第1フィルター室群の前記第1方向の領域および前記第2フィルター室群の前記第1方向の領域に対して、前記第1方向とは反対方向に配置されている、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記第1導入部および前記第2導入部と、前記第1フィルター室群の前記第1方向の領域および前記第2フィルター室群の前記第1方向の領域とは、前記第1方向において間隔を空けて配置される、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記第1供給流路は、第1分岐位置で分岐されて前記第1フィルター室と前記第2フィルター室とに液体を分配させ、
前記第2供給流路は、第2分岐位置で分岐されて前記第3フィルター室と前記第4フィルター室とに液体を分配させ、
前記第1分岐位置は、前記第3方向に見た平面視で前記第1フィルター室と前記第2フィルター室との間に配置され、
前記第2分岐位置は、前記平面視で前記第3フィルター室と前記第4フィルター室との間に配置されている
ことを特徴とする請求項1
~5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記第1フィルター室と前記第2フィルター室とは、前記第2方向に間隔を空けて配置され、
前記第3フィルター室と前記第4フィルター室とは、前記第2方向に間隔を空けて配置されている
ことを特徴とする請求項1
~6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項8】
前記第3フィルター室は、前記第1フィルター室に対して前記第1方向に並設され、
前記第4フィルター室は、前記第2フィルター室に対して前記第1方向に並設されている
ことを特徴とする請求項
7に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項9】
第1方向に長尺で且つ第2方向に短尺であり、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に液体を噴射する液体噴射ヘッドであって、
外部から液体を導入するための第1導入部と、
外部から液体を導入するための第2導入部と、
第1フィルター室および第2フィルター室を有する第1フィルター室群と、
第3フィルター室および第4フィルター室を有する第2フィルター室群と、
前記第1導入部から前記第1フィルター室群へ液体を供給する第1供給流路と、
前記第2導入部から前記第2フィルター室群へ液体を供給する第2供給流路と、
を備え、
前記第1導入部、前記第2導入部、前記第1フィルター室群および前記第2フィルター室群が、この順で前記第1方向に向かって並んで配置され、
前記第1フィルター室と前記第2フィルター室とは、前記第2方向に間隔を空けて配置され、
前記第3フィルター室と前記第4フィルター室とは、前記第2方向に間隔を空けて配置され、
前記第3フィルター室は、前記第1フィルター室に対して前記第1方向に並設され、
前記第4フィルター室は、前記第2フィルター室に対して前記第1方向に並設され、
前記第1フィルター室は、液体を流出させる第1流出口を有し、
前記第3フィルター室は、液体を流出させる第3流出口を有し、
液体を噴射する第1ノズル列および第3ノズル列を有する第1ヘッドチップを備え、
前記第1ヘッドチップは、
前記第1流出口から流出されると共に前記第1ノズル列へ供給される液体を導入するための第1導入口と、
前記第3流出口から流出されると共に前記第3ノズル列へ供給される液体を導入するための第3導入口と、
を有し、
前記第3方向に見た平面視で、前記第1流出口と前記第3流出口とを結ぶ線分と、前記第1導入口と前記第3導入口とを結ぶ線分とが重なる
ことを特徴とす
る液体噴射ヘッド。
【請求項10】
前記第1流出口および前記第3流出口は、前記第1方向に並設され、
前記第1導入口および前記第3導入口は、前記第2方向に並設され、
前記平面視において、前記第1流出口と前記第3流出口との中心位置と、前記第1導入口と前記第3導入口との中心位置とが略一致する
ことを特徴とする請求項
9に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項11】
前記第1フィルター室及び前記第3フィルター室は、前記第2方向に長尺であることを特徴とする請求項
9又は
10に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項12】
前記第3方向に見た平面視における前記液体噴射ヘッドの形状は、第1部分と、前記第1部分と隣接するとともに前記第1部分から前記第1方向とは反対方向に突出する第2部分と、を有し、
前記第2部分の前記第2方向における寸法は、前記第1部分の前記第2方向における寸法よりも小さく、
前記第2部分は、前記第2方向又は前記第2方向とは反対方向に偏って配置され、
前記第1導入部および前記第2導入部は、前記平面視で前記第2部分に重複するように配置され、
前記第1フィルター室群及び前記第2フィルター室群は、前記平面視で前記第1部分に重複するように配置されている
ことを特徴とする請求項1~
11の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項13】
第1方向に長尺で且つ第2方向に短尺であり、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に液体を噴射する液体噴射ヘッドであって、
外部から液体を導入するための第1導入部と、
外部から液体を導入するための第2導入部と、
第1フィルター室および第2フィルター室を有する第1フィルター室群と、
第3フィルター室および第4フィルター室を有する第2フィルター室群と、
前記第1導入部から前記第1フィルター室群へ液体を供給する第1供給流路と、
前記第2導入部から前記第2フィルター室群へ液体を供給する第2供給流路と、
を備え、
前記第1導入部、前記第2導入部、前記第1フィルター室群および前記第2フィルター室群が、この順で前記第1方向に向かって並んで配置され、
前記第1フィルター室と前記第2フィルター室とは、前記第2方向に間隔を空けて配置され、
前記第3フィルター室と前記第4フィルター室とは、前記第2方向に間隔を空けて配置され、
前記第3フィルター室は、前記第1フィルター室に対して前記第1方向に並設され、
前記第4フィルター室は、前記第2フィルター室に対して前記第1方向に並設され、
前記第3方向に見た平面視における前記液体噴射ヘッドの形状は、第1部分と、前記第1部分と隣接するとともに前記第1部分から前記第1方向とは反対方向に突出する第2部分と、を有し、
前記第2部分の前記第2方向における寸法は、前記第1部分の前記第2方向における寸法よりも小さく、
前記第2部分は、前記第2方向又は前記第2方向とは反対方向に偏って配置され、
前記第1導入部および前記第2導入部は、前記平面視で前記第2部分に重複するように配置され、
前記第1フィルター室群及び前記第2フィルター室群は、前記平面視で前記第1部分に重複するように配置されている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項14】
前記第2部分の前記第2方向における寸法は、前記第1部分の前記第2方向における寸法の半分未満であり、
前記第2部分は、前記第2方向における前記第1部分の中心よりも、前記第2方向又は前記第2方向とは反対方向に配置されている
ことを特徴とする請求項
12又は13に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項15】
前記第1導入部および前記第2導入部の前記第2方向における各寸法は、前記第2部分の前記第2方向における寸法の半分以上である
ことを特徴とする請求項
12~14の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項16】
請求項1~
15の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドと、
媒体を搬送する搬送部と、
を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを噴射するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式プリンターやプロッター等のインクジェット式記録装置に代表される液体噴射装置は、カートリッジやタンク等に貯留されたインクなどの液体を液滴として噴射可能な液体噴射ヘッドを具備する。
【0003】
このような液体噴射ヘッドは、単体でノズルの長尺化(多ノズル化)や高密度化を行うのは、液体噴射ヘッドが大型化して歩留まりが低下すると共に、製造コストが高価になってしまうため困難である。このため、液体を噴射するヘッドチップを共通の流路部材に複数固定することでノズルを長尺化した液体噴射ヘッドが提案されている。
【0004】
液体噴射ヘッドは、例えば、X方向に延在するノズル列が、Y方向に並設されており、各色の液体に対して2つのノズル列が設けられ、流路部材には、各ノズル列に対応して1つのフィルター室が設けられている。そして、流路部材の1つの接続部から導入されたインクは接続部の直下で分岐されて2つのフィルター室に分配された構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、液体噴射ヘッドは、ヘッドチップがノズル列の延在方向にずれて配置され、各ヘッドチップに対応してフィルター室が設けられている。また、液体噴射ヘッドの長手方向において中央側に配置された電気的要素を避けるようにして端部に液体を供給する供給ポートが設けられている構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-196169号公報
【文献】特開2020-49874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の液体噴射ヘッドでは、液体が供給される接続部の位置から各フィルター室までの流路長に差があるため、ヘッドチップの同系列のノズル列同士の間で圧力損失にばらつきが生じ、液滴の吐出特性にばらつきが生じてしまい、印刷品質が低下する虞があるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2のように、液体噴射ヘッドの長手方向に液体が供給される複数の供給ポートを配置することで、複数のフィルター室が設けられている領域から外れた位置に複数の供給ポートが設けられた構成では、ヘッドチップの同系列のノズル列同士の間で圧力損失がさらにばらつきが生じやすく、液滴の吐出特性にばらつきが生じてしまい、印刷品質が低下する虞があるという問題がある。
【0009】
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の態様は、第1方向に長尺で且つ第2方向に短尺であり、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に液体を噴射する液体噴射ヘッドであって、外部から液体を導入するための第1導入部と、外部から液体を導入するための第2導入部と、第1フィルター室および第2フィルター室を有する第1フィルター室群と、第3フィルター室および第4フィルター室を有する第2フィルター室群と、前記第1導入部から前記第1フィルター室群へ液体を供給する第1供給流路と、前記第2導入部から前記第2フィルター室群へ液体を供給する第2供給流路と、を備え、前記第1導入部、前記第2導入部、前記第1フィルター室群および前記第2フィルター室群が、この順で前記第1方向に向かって並んで配置されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0011】
また、本発明の他の態様は、上記態様に記載の液体噴射ヘッドと、媒体を搬送する搬送部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置にある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】記録装置の概略構成を模式的に示す図である。
【
図5】記録ヘッドを+Z方向に見た分解斜視図である。
【
図6】記録ヘッドを-Z方向に見た分解斜視図である。
【
図7】記録ヘッドの形状を説明する+Z方向に見た平面図である。
【
図10】ヘッドチップの流路を模式的に示す図である。
【
図14】第1供給路及び第2供給路を抽出した平面図である。
【
図15】第1供給路及び第2供給路を抽出した側面図ある。
【
図16】第1フィルター室群及び第2フィルター室群の平面図である。
【
図17】第1フィルター室群を抽出した平面図である。
【
図18】第1排出路及び第2排出路を抽出した平面図である。
【
図19】第1排出路及び第2排出路の側面図である。
【
図20】第1フィルター室群の変形例を示す平面図である。
【
図21】第1フィルター室群の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、及びZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。また、Z方向は、鉛直方向を示し、+Z方向は鉛直下向き、-Z方向は鉛直上向きを示す。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。また、以下の実施形態1では、一例として「第1方向」を+X方向、「第2方向」を+Y方向、「第3方向」を+Z方向としている。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る「液体噴射装置」の一例であるインクジェット式記録装置1の概略構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置1は、液体の一種であるインクをインク滴として印刷用紙等の媒体Sに噴射・着弾させて、当該媒体Sに形成されるドットの配列により画像等の印刷を行う印刷装置である。なお、媒体Sとしては、記録用紙の他、樹脂フィルムや布等の任意の材質を用いることができる。
【0016】
インクジェット式記録装置1は、「液体噴射ヘッド」の一例であるインクジェット式記録ヘッド10(以下、単に記録ヘッド10とも称する)を具備するヘッドモジュール100と、液体容器2と、制御部である制御ユニット3と、媒体Sを送り出す搬送機構4と、移動機構6と、を具備する。
【0017】
液体容器2は、ヘッドモジュール100から噴射される複数種類(例えば、複数色)のインクを個別に貯留する。液体容器2としては、例えば、インクジェット式記録装置1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクを補充可能なインクタンクなどが挙げられる。また、特に図示していないが、液体容器2には、色や種類の異なる複数種類のインクが貯留されている。
【0018】
制御ユニット3は、特に図示していないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の制御装置と半導体メモリ等の記憶装置とを含んで構成される。制御ユニット3は、記憶装置に記憶されたプログラムを制御装置が実行することでインクジェット式記録装置1の各要素、すなわち、搬送機構4、移動機構6、ヘッドモジュール100等を統括的に制御する。
【0019】
搬送機構4は、制御ユニット3によって制御されて媒体Sを-X方向又は+X方向に搬送する「搬送部」の一例であり、例えば、搬送ローラー4aを有する。なお、媒体Sを搬送する搬送機構4は、搬送ローラー4aに限らず、ベルトやドラムによって媒体Sを搬送するものであってもよい。
【0020】
移動機構6は、制御ユニット3によって制御されてヘッドモジュール100をY軸に沿って+Y方向及び-Y方向に往復させる。移動機構6によってヘッドモジュール100が往復する+Y方向及び-Y方向は、媒体Sが搬送される-X方向又は+X方向に交差する方向である。
【0021】
本実施形態の移動機構6は、搬送体7と搬送ベルト8とを具備する。搬送体7は、ヘッドモジュール100を収容する略箱形の構造体、所謂、キャリッジであり、搬送ベルト8に固定される。搬送ベルト8は、Y軸に沿って架設された無端ベルトである。制御ユニット3による制御のもとで搬送ベルト8が回転することでヘッドモジュール100が搬送体7と共にY軸に沿って+Y方向及び-Y方向に往復移動する。なお、液体容器2をヘッドモジュール100と共に搬送体7に搭載することも可能である。
【0022】
本実施形態では、液体容器2は2個設けられており、1個の記録ヘッド10に対して2個の液体容器2からインクが供給される。なお、
図1では、複数の液体容器2は、纏めて一つに図示している。1個の記録ヘッド10に対応する2個の液体容器2をそれぞれ液体容器2A、液体容器2Bとする。液体容器2Aには供給チューブTAin及び排出チューブTAoutが接続されている。液体容器2Bには、供給チューブTBin及び排出チューブTBoutが接続されている。供給チューブTAin、排出チューブTAout、供給チューブTBin及び排出チューブTBoutを纏めてチューブとも称する。
【0023】
供給チューブTAin及び供給チューブTBinは、ポンプ200によって所定圧力にされた液体容器2A及び液体容器2Bのインクを記録ヘッド10へ供給するチューブである。排出チューブTAout及び排出チューブTBoutは、記録ヘッド10から排出されたインクを液体容器2A及び液体容器2Bへ排出するチューブである。
【0024】
このような液体容器2A、液体容器2B、上記チューブが記録ヘッド10ごとに設けられている。
【0025】
記録ヘッド10は、液体容器2から供給されたインクを制御ユニット3による制御のもとで媒体Sに液滴であるインク滴として噴射する。なお、記録ヘッド10からのインク滴の噴射は、+Z方向に向かって行われる。そして、搬送機構4によって媒体Sが-X方向又は+X方向に搬送されると共に移動機構6によって記録ヘッド10がY軸に沿って搬送される際に、記録ヘッド10が媒体Sにインク滴を噴射することで、媒体Sには所望の画像が形成される。
【0026】
ヘッドモジュール100について、
図2及び
図3を参照して詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係るヘッドモジュール100の分解斜視図である。
図3は、ヘッドモジュール100の平面図である。
【0027】
ヘッドモジュール100は、支持体101と複数の記録ヘッド10とを具備する。支持体101は、複数の記録ヘッド10を支持する板状部材である。支持体101には、各記録ヘッド10を保持するための支持孔102が設けられている。支持孔102は、本実施形態では、記録ヘッド10毎に独立して設けられている。もちろん、支持孔102は、複数の記録ヘッド10に亘って連続して設けるようにしてもよい。
【0028】
記録ヘッド10は、支持孔102に挿通され、後述する記録ヘッド10のフランジ部35(
図4参照)が支持孔102の周縁部に支持されている。記録ヘッド10のヘッドチップ44(
図6参照)側が支持体101の+Z方向側の面から突出している。
【0029】
各記録ヘッド10には、+X方向及び-X方向の両端部に、固定口103が設けられている。支持体101には、各記録ヘッド10を固定するためのネジ穴104が設けられている。ネジ105が固定口103を挿通してネジ穴104に螺合されることで、各記録ヘッド10が支持体101に固定されている。
【0030】
本実施形態では、記録ヘッド10は、X軸に沿って2個、Y軸に沿って4個、合計8個が支持体101に固定されている。各記録ヘッド10は、後述するノズルNの並設方向がX軸と一致するように配置されている。
【0031】
ここで本実施形態の記録ヘッド10について
図4~
図8を参照して説明する。なお、
図4は、記録ヘッド10の斜視図である。
図5は、記録ヘッド10を+Z方向に見た分解斜視図である。
図6は、記録ヘッド10を-Z方向に見た分解斜視図である。
図7は、記録ヘッド10の形状を説明する平面図である。
図8は、記録ヘッド10に設けられたヘッドチップ44を+Z方向に見た平面図である。
【0032】
図5~
図8に示すように、記録ヘッド10は、+X方向に長尺で、+Y方向に短尺な形状を有する。ここで記録ヘッド10が+X方向に長尺で、+Y方向に短尺であるとは、記録ヘッド10を+Z方向に見て、記録ヘッド10を内包する最小面積の長方形をRとしたとき、長辺E1が+X方向に沿って配置されており、短辺E2が+Y方向に沿って配置されていることを言う。
【0033】
このような記録ヘッド10は、インク滴を吐出するノズルNが設けられた複数のヘッドチップ44と、ヘッドチップ44を保持するホルダー30と、ヘッドチップ44にインクを供給する流路部材60と、ヘッドチップ44に制御信号等を送受信するための配線が接続されるコネクター75と、流路部材60を内部に収容するカバー部材65と、を備えている。本実施形態では、1つの記録ヘッド10は、2つのヘッドチップ44を備えている。なお、詳しくは後述するが、2つのヘッドチップ44は、+X方向に異なる位置に配置されている。このため、本実施形態では、2つのヘッドチップ44について、+X方向側に配置されたヘッドチップ44を第1ヘッドチップ44Aと称し、-X方向側に配置されたヘッドチップ44を第2ヘッドチップ44Bと称する。
【0034】
ここで、本実施形態のヘッドチップ44についてさらに
図9及び
図10を参照して説明する。なお、
図9はヘッドチップ44の断面図である。
図10は第1ヘッドチップ44Aの流路を模式的に表した図である。また、ヘッドチップ44の各方向について、記録ヘッド10に用いられた際の方向、すなわち、X方向、Y方向、Z方向に基づいて説明する。また、以下、第1ヘッドチップ44A及び第2ヘッドチップ44Bに共通する構成の説明では、ヘッドチップ44と記載して説明するが、第1ヘッドチップ44A及び第2ヘッドチップ44Bのそれぞれの特有の構成については第1ヘッドチップ44A又は第2ヘッドチップ44Bと記載して説明する。
【0035】
図9及び
図10に示すように、本実施形態のヘッドチップ44は、圧力室基板482と振動板483と圧電アクチュエーター484と筐体部485と保護基板486とが流路形成基板481の一方側である-Z方向に配置されると共に、流路形成基板481の他方側である+Z方向側にノズルプレート487および緩衝板488が配置された構造体である。
【0036】
流路形成基板481と圧力室基板482とノズルプレート487とは例えばシリコンの平板材で形成され、筐体部485は例えば樹脂材料の射出成形で形成される。複数のノズルNはノズルプレート487に形成される。ノズルプレート487のうち流路形成基板481とは反対側の表面がノズル面となっている。
【0037】
流路形成基板481には、開口部481Aと絞り流路である個別流路481Bと連通流路481Cとが形成されている。個別流路481Bおよび連通流路481CはノズルN毎に形成された貫通孔であり、開口部481Aは複数のノズルNに亘って連続する開口である。緩衝板488は、流路形成基板481のうち圧力室基板482とは反対側の表面に設置されて開口部481Aを閉塞する平板材からなるコンプライアンス基板である。開口部481A内の圧力変動は緩衝板488が可撓変形することによって吸収される。
【0038】
筐体部485には、流路形成基板481の開口部481Aに連通する共通液室であるマニホールドSRが形成される。マニホールドSRは、複数のノズルNに供給されるインクを貯留する空間であり、複数のノズルNに亘って連続して設けられている。また、筐体部485には、
図10に示すように、マニホールドSRにインクが上流側から供給される導入口Rinと、マニホールドSRからインクが下流側に排出される排出口Routと、が設けられている。なお、
図10において導入口Rinは「入」、排出口Routは「出」で示している。導入口Rinは、詳しくは後述するが、流路部材60の供給管PAin、PBinに第1供給路Sa、第2供給路Sbを介して接続され、排出口Routは、流路部材60の排出管PAout、PBoutに第1排出路Da、第2排出路Dbを介して接続されている。
【0039】
また、本実施形態では、
図8及び
図10に示すように、ヘッドチップ44には、ノズルNが第1方向である+X方向に沿って並設されたノズル列が設けられている。また、ヘッドチップ44には、ノズルNが+X方向に並設されたノズル列が+Y方向に複数列、本実施形態では、2列設けられている。本実施形態では、1つのヘッドチップ44に設けられた2列のノズル列のうち、-Y方向に配置された一方をノズル列Laと称し、+Y方向に配置された他方をノズル列Lbと称する。そして、本実施形態では、ノズル列Laとノズル列Lbとを合わせてノズル列Lと総称する。これら2列のノズル列La及びノズル列Lbは、それぞれのノズルNの位置が、+X方向に同じ位置、つまり、+Y方向に見て重なる位置に配置されていてもよく、一方のノズル列Laに対して他方のノズル列Lbが、+X方向にノズルNの半ピッチ分ずれて配置されていてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、第1ヘッドチップ44Aの2列のノズル列La及びノズル列Lbを第1ノズル列La1及び第3ノズル列Lb1と称する。そして、第1ヘッドチップ44Aの2つの導入口Rinのうち、第1ノズル列La1に連通する導入口Rinを第1導入口Rin1と称し、第3ノズル列Lb1に連通する導入口Rinを第3導入口Rin3と称する。
【0041】
また、第2ヘッドチップ44Bの2列のノズル列La及びノズル列Lbを第2ノズル列La2及び第4ノズル列Lb2と称する。そして、第2ヘッドチップ44Bの2つの導入口Rinのうち、第2ノズル列La2に連通する導入口Rinを第2導入口Rin2と称し、第4ノズル列Lb2に連通する導入口Rinを第4導入口Rin4と称する。
【0042】
図10に示すように、第1ヘッドチップ44Aの導入口Rinは、ノズルNの並設方向に対して、マニホールドSRの一端側、本実施形態では-X方向側に配置され、排出口RoutはノズルNの並設方向に対してマニホールドSRの他端側、本実施形態では+X方向側に配置されている。そして、導入口RinからマニホールドSR内に供給されたインクは、排出口RoutからマニホールドSRの外部に排出される。すなわち、マニホールドSR内をインクが循環している。つまり、一つのヘッドチップ44には、導入口Rin、一つのノズル列Lに連なるマニホールドSR、排出口Routに至るインクの循環流路が2つ形成されている。
【0043】
また、
図8に示すように、第2ヘッドチップ44Bの導入口Rinは、ノズルNの並設方向に対して、マニホールドSRの他端側、すなわち+X方向側に配置され、排出口RoutはノズルNの並設方向に対してマニホールドSRの一端側、すなわち-X方向側に配置されている。
【0044】
つまり、第1ヘッドチップ44Aと第2ヘッドチップ44Bとは、導入口Rin及び排出口Routの位置が+X方向において逆転した配置となっている。
【0045】
ヘッドチップ44の圧力室基板482には、ノズルN毎に開口部482Aが形成されている。振動板483は、圧力室基板482のうち流路形成基板481とは反対側の表面に設置された弾性変形可能な平板材である。圧力室基板482の各開口部482Aの内側で振動板483と流路形成基板481とに挟まれた空間は、マニホールドSRから個別流路481Bを介して供給されるインクが充填される圧力室SCとして機能する。各圧力室SCは、流路形成基板481の連通流路481Cを介してノズルNに連通する。
【0046】
振動板483の圧力室基板482とは反対側の表面には、ノズルN毎に圧電アクチュエーター484が形成される。各圧電アクチュエーター484は、圧電素子とも言い相互に対向する電極間に圧電体を介在させた駆動素子である。圧電アクチュエーター484は、駆動信号に基づいて変形することで振動板483を振動させて、圧力室SC内のインクの圧力を変動させることで、圧力室SC内のインクがノズルNから噴射される。また、保護基板486は、複数の圧電アクチュエーター484を保護する。
【0047】
なお、圧電アクチュエーター484に替えて、流路内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルNからインク滴を吐出させるものや、振動板483と電極との間に静電気力を発生させて、静電気力によって振動板483を変形させてノズルNからインク滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
【0048】
このようなヘッドチップ44は、ノズルNの並設方向である+X方向に長尺に設けられている。ここでヘッドチップ44が+X方向に長尺とは、ヘッドチップ44を+Z方向に見て、ヘッドチップ44を内包する最小面積の長方形の長辺が、+X方向に沿って配置されていることを言う。また、ヘッドチップ44は、+Y方向に短尺に設けられている。すなわち、ヘッドチップ44を+Z方向に見て、ヘッドチップ44を内包する最小面積の長方形の短辺は、+Y方向に沿って配置されている。このようにヘッドチップ44は、ノズルNの並設方向に長尺に設けることで、ノズルNの並設されたノズル列Lの長さを確保することができると共に、+Y方向に大型化するのを抑制することができる。
【0049】
図5~
図8等に示すように、このようなヘッドチップ44が、1つの記録ヘッド10に複数、本実施形態では、2つ設けられている。具体的には、2つのヘッドチップ44は、記録ヘッド10の共通するホルダー30に保持されている。
【0050】
ホルダー30は、+Z方向側の面に開口する凹部33が設けられ、凹部33の底面、すなわち、凹部33内の-Z方向側の面には凹形状の収容部31が設けられている。凹部33は、固定板36が嵌め込まれて固定される大きさ、形状の開口を有する。また、収容部31は、ヘッドチップ44を収容する程度の大きさ、形状の開口を有する。
【0051】
ホルダー30には、ヘッドチップ44と流路部材60との間でインクを流通させる複数の連通路34が設けられている。連通路34は、一端が収容部31の底面、すなわち、収容部31内の-Z方向の面に開口して、ヘッドチップ44の2つの導入口Rin及び2つの排出口Routのそれぞれに連通する。このため、連通路34は、一つのヘッドチップ44につき4個設けられている。また、連通路34の他端は、ホルダー30の-Z方向側の面に開口して、詳しくは後述する流路部材60の第1供給路Sa、第2供給路Sb、第1排出路Da、第2排出路Dbと連通する。
【0052】
また、ホルダー30には、ヘッドチップ44と中継基板73とを接続する不図示の配線が挿通される複数の配線挿通孔39が設けられている。配線挿通孔39は、収容部31の底面、すなわち、収容部31内の-Z方向側の面に開口すると共に、ホルダー30の-Z方向側の面に開口して設けられている。
【0053】
ホルダー30の-Z方向側には、+X方向及び-X方向にそれぞれ突出する一対のフランジ部35が設けられている。このフランジ部35に、上述したネジ105が挿通される固定口103が+Z方向に貫通して設けられている。
【0054】
各ヘッドチップ44は、固定板36に固定されている。具体的には、固定板36は、凹部33に収容される形状に形成されており、所定の場所に露出開口部37が形成されている。そして、各ヘッドチップ44は、緩衝板488が固定板36に覆われ、露出開口部37からノズルN、つまり、ノズルプレート487が露出するように、固定板36に接着剤等で固定されている。このようにして固定板36に固定されたヘッドチップ44は、ノズルプレート487側が+Z方向側となるように収容部31に収容されている。固定板36は凹部33に接着剤等で固定されている。また、ヘッドチップ44の-Z方向側の面は、収容部31の底部、すなわち、収容部31の内面の-Z方向側の面に接着剤で接着されている。
【0055】
すなわち、収容部31と固定板36とによって形成された空間内にヘッドチップ44が収容され、露出開口部37からノズルNが露出している。なお、収容部31は、複数のヘッドチップ44に亘って共通して設けられていてもよい。
【0056】
図6に示すように、ホルダー30に保持された複数のヘッドチップ44は、X軸及びY軸により定めるXY平面における位置が互いに異なる位置となるように配置されている。すなわち、+Z方向に見た平面視において、2つのヘッドチップ44は、互いに重ならない位置に設けられている。つまり、第1ノズル列La1と第2ノズル列La2とは、+X方向及び+Y方向の双方に異なる位置にずれて配置されている。なお、2つのヘッドチップ44がXY平面において互いに異なる位置に配置されているとは、ヘッドチップ44のノズル面同士が互いに異なる位置に設けられていることを言う。このため、複数のヘッドチップ44のノズル面以外の部分が+Z方向に見て重なる位置に設けられていてもよい。本実施形態では、
図8に示すように、+X方向側に第1ヘッドチップ44Aを配置し、-X方向側に第2ヘッドチップ44Bを配置している。
【0057】
そして、本実施形態では、
図8に示すように、2つのヘッドチップ44のノズル列Lを+X方向で互いに部分的に重複させる位置に配置して、+X方向に亘って連続したノズルNの列を形成している。つまり、第1ヘッドチップ44Aの第1ノズル列La1と、第2ヘッドチップ44Bの第2ノズル列La2とを、+Y方向に見て互いの一部が重なるように配置することで、第1ノズル列La1と第2ノズル列La2とで+X方向に沿って連続したノズルNの列を形成することができる。なお、「第1ヘッドチップ44Aの第1ノズル列La1と、第2ヘッドチップ44Bの第2ノズル列La2とを、+Y方向に見て互いの一部が重なるように配置する」とは、第1ヘッドチップ44Aの第1ノズル列La1が+X方向に存在する範囲、換言すれば第1ノズル列La1の最も+X方向に配置されたノズルNから最も-X方向に配置されたノズルNまでの範囲が、+Y方向に見て、第2ヘッドチップ44Bの第2ノズル列La2が+X方向に存在する範囲、換言すれば第2ノズル列La2の最も+X方向に配置されたノズルNから最も-X方向に配置されたノズルNまでの範囲と重複していることを含んでもよい。つまり、必ずしも、第1ヘッドチップ44Aの第1ノズル列La1を構成するノズルNと、第2ヘッドチップ44Bの第2ノズル列La2を構成するノズルNとが、+X方向において同じ位置に位置している構成には限定されない。
【0058】
同様に、第1ヘッドチップ44Aの第3ノズル列Lb1と、第2ヘッドチップ44Bの第4ノズル列Lb2とを、+Y方向に見て互いに重複する位置に配置して、第3ノズル列Lb1と第4ノズル列Lb2とで+X方向に沿って連続したノズルNの列を形成することができる。なお、「第1ヘッドチップ44Aの第3ノズル列Lb1と、第2ヘッドチップ44Bの第4ノズル列Lb2とを、+Y方向に見て互いの一部が重なるように配置する」の定義は、前述の「第1ヘッドチップ44Aの第1ノズル列La1と、第2ヘッドチップ44Bの第2ノズル列La2とを、+Y方向に見て互いの一部が重なるように配置する」の定義と同様であるため重複する説明は省略する。
【0059】
このように、第1ヘッドチップ44Aの第1導入口Rin1を第1ヘッドチップ44Aの-X方向側に配置し、第2ヘッドチップ44Bの第2導入口Rin2を第2ヘッドチップ44Bの+X方向側に配置することで、第1導入口Rin1と第2導入口Rin2とを+X方向に比較的近い位置に配置することができる。しかしながら、第1ノズル列La1と第2ノズル列La2とを+Y方向に見て互いの一部が重複するように配置することで、第1ノズル列La1に連通する第1導入口Rin1と第2ノズル列La2に連通する第2導入口Rin2とが、互いに+X方向にずれて配置される。
【0060】
同様に、第1ヘッドチップ44Aの第3導入口Rin3を第1ヘッドチップ44Aの-X方向側に配置し、第2ヘッドチップ44Bの第4導入口Rin4を第2ヘッドチップ44Bの+X方向側に配置することで、第3導入口Rin3と第4導入口Rin4とを+X方向に比較的近い位置に配置することができる。しかしながら、第3ノズル列Lb1と第4ノズル列Lb2とを+Y方向に見て互いの一部が重複するように配置することで、第3ノズル列Lb1に連通する第3導入口Rin3と第4ノズル列Lb2に連通する第4導入口Rin4とが、互いに+X方向にずれて配置される。本実施形態では、第1導入口Rin1及び第3導入口Rin3は、第2導入口Rin2及び第4導入口Rin4に対して、-X方向側にずれた位置に配置されている。
【0061】
ここで、
図7を用いて+Z方向に見た平面視における記録ヘッド10の形状について説明する。記録ヘッド10は、第1部分P1(
図7のハッチで示す部分)と、第2部分P2と、第3部分P3と、を備える。
【0062】
記録ヘッド10を内包する最小面積の長方形をRとしたとき、長方形Rの長辺E1はホルダー30の+X方向に沿う辺に重なり、長方形Rの短辺E2はホルダー30の+Y方向に沿う辺に重なる。このような仮想的な長方形Rの長辺E1に平行な中心線をL1とする。
【0063】
第1部分P1は、中心線L1が通過する矩形状の部分である。
【0064】
第2部分P2は、第1部分P1から+X方向とは反対方向である-X方向に突出する矩形状の部分である。また、第2部分P2は、+Y方向の寸法W2が、第1部分P1の+Y方向の寸法W1よりも小さい。さらに、第2部分P2は、第1部分P1に対して+Y方向、又は+Y方向とは反対方向である-Y方向に偏って配置されている。なお、第2部分P2が、第1部分P1に対して+Y方向又は-Y方向に偏って配置されているとは、第1部分P1の中心線L1に対して、第2部分P2の中心線L2の位置が一致せず、中心線L2が中心線L1に対して+Y方向又は-Y方向にずれていることを言う。なお、第1部分P1と第2部分P2との側面が直線上に連続していることが好ましい。もちろん、これに限定されず、第1部分P1と第2部分P2との側面が直線上に連続していなくてもよい。
【0065】
また、第2部分P2は、+Y方向の寸法W2は、第1部分P1の+Y方向の寸法W1の半分未満(W2<W1/2)であり、第2部分P2は、第1部分P1の中心よりも+Y方向、又は+Y方向とは反対方向である-Y方向に配置されていることが好ましい。つまり、第2部分P2は、第1部分P1の中心を示す中心線L1が通過しないような+Y方向の寸法及び位置で配置されている。これにより、記録ヘッド10を+Y方向にさらに小型化することができるため、複数の記録ヘッド10を支持体101に配置し易くなり、ヘッドモジュール100を+Y方向に小型化することができる。また、記録ヘッド10のノズル列同士を+X方向で重複させながら+X方向に並べることができる。もちろん、第2部分P2は、中心線L1が通過するような+Y方向の寸法W2を有するものであってもよく、また、第2部分P2を中心線L1が通過するように+Y方向の偏った位置に配置されていてもよい。
【0066】
第3部分P3は、第1部分P1から+X方向に突出する矩形状の部分である。また、第3部分P3は、+Y方向の寸法が、第1部分P1の+Y方向の寸法よりも小さい。さらに、第3部分P3は、第1部分P1に対して+Y方向、又は+Y方向とは反対方向である-Y方向に偏って配置されている。なお、第3部分P3が、第1部分P1に対して+Y方向又は-Y方向に偏って配置されているとは、第1部分P1の中心線L1に対して、第3部分P3の中心線L3の位置が一致せず、中心線L3が中心線L1に対して+Y方向又は-Y方向にずれていることを言う。
【0067】
本実施形態の第3部分P3は、中心線L1が通過しないような、+Y方向の幅で、第1部分P1に対して-Y方向に偏って配置されている。もちろん、第3部分P3は、中心線L1が通過するような+Y方向の幅を有するものであってもよく、また、第3部分P3を中心線L1が通過するように-Y方向の偏った位置に配置されていてもよい。
【0068】
このような第1部分P1、第2部分P2及び第3部分P3にヘッドチップ44のノズル面が+X方向及び+Y方向に異なる位置で配置されている。そして、
図8に示すように、記録ヘッド10を+X方向に並設してヘッドモジュール100とした場合に、一方の記録ヘッド10(
図8では+X方向に配置された記録ヘッド10)の第2部分P2と、他方の記録ヘッド10(
図8では-X方向に配置された記録ヘッド10)の第3部分P3とが+Y方向で対向するように配置することで、+X方向で互いに隣り合う記録ヘッド10のノズルNを+X方向で部分的に重複させて、+X方向に亘って連続したノズルNの列を形成することができる。また、記録ヘッド10を+X方向に並設した際に、第2部分P2及び第3部分P3を設けることで、+Y方向に小型化することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、記録ヘッド10に第3部分P3を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第3部分P3を設けなくてもよい。つまり、記録ヘッド10を+X方向に並設してヘッドモジュール100とした場合に、一方の記録ヘッド10の第2部分P2と、他方の記録ヘッド10の第2部分P2とが+Y方向で対向するように配置することで、+X方向で互いに隣り合う記録ヘッド10のノズルNを+X方向で部分的に重複させて、+X方向に亘って連続したノズルNの列を形成することができる。ただし、記録ヘッド10を+X方向に3つ以上並設する場合には、記録ヘッド10には第3部分P3を設けた方が、+X方向に亘って連続したノズルNを容易に形成することができると共に、+Y方向に小型化することができる。
【0070】
ここで、流路部材60についてさらに
図11を参照して説明する。なお、
図11は、流路を説明する概略図である。
【0071】
図5及び
図11に示すように、流路部材60は、ヘッドチップ44にインクを供給する流路が形成された部材である。本実施形態の流路部材60には、インクをヘッドチップ44に供給するための第1供給路Sa及び第2供給路Sbと、ヘッドチップ44からインクを排出するための第1排出路Da及び第2排出路Dbと、が形成されている。上述したように、本実施形態のヘッドチップ44には2つのマニホールドSRと、マニホールドSRの各々に導入口Rin及び排出口Routが設けられているため、ヘッドチップ44には、2種類のインクが供給及び排出されて循環する。したがって、流路部材60には、異なるヘッドチップ44に設けられた2つの導入口Rinのそれぞれに連通する第1供給路Sa、異なるヘッドチップ44に設けられた2つの導入口Rinのそれぞれに連通する第2供給路Sbと、異なるヘッドチップ44に設けられた2つの排出口Routのそれぞれに連通する第1排出路Da、及び、異なるヘッドチップ44に設けられた2つの排出口Routのそれぞれに連通する第2排出路Dbとが設けられている。
【0072】
また、流路部材60の-Z方向側の面には、-Z方向に突出した円筒状の供給管PAin、供給管PBin、排出管PAout、排出管PBoutが設けられている。
図7に示すように、供給管PAinの内部には第1供給路Saの一部である第1導入部Sa1が設けられ、供給管PBinの内部には第2供給路Sbの一部である第2導入部Sb1が設けられている。また、排出管PAoutの内部には第1排出路Daの一部である第1排出部Da3が設けられ、排出管PBoutの内部には第2排出路Dbの一部である第2排出部Db3が設けられている。
【0073】
各供給管PAin、PBin及び排出管PAout、PBoutには、チューブが接続され、または、チューブを取り外すことができるようになっている。供給管PAinには供給チューブTAinが接続され、供給管PBinには供給チューブTBinが接続される。また、排出管PAoutには排出チューブTAoutが接続され、排出管PBoutには排出チューブTBoutが接続される。
【0074】
第1供給路Saは、詳しくは後述するが、流路部材60内で2つに分岐している。分岐したそれぞれの流路は、ホルダー30に形成された連通路34(
図5参照)に連通している。同様に、第2供給路Sbは、流路部材60内で2つに分岐している。分岐したそれぞれの流路は、ホルダー30に形成された連通路34(
図5参照)に連通している。
【0075】
第1排出路Daは、流路部材60内で2つに分岐している。分岐したそれぞれの流路は、ホルダー30に形成された連通路34(
図5参照)に連通している。同様に、第2排出路Dbは、流路部材60内で2つに分岐している。分岐したそれぞれの流路は、ホルダー30に形成された連通路34(
図5参照)に連通している。
【0076】
液体容器2Aのインクは、ポンプ200により所定圧力に昇圧されて供給チューブTAin、供給管PAinを経由して第1供給路Saに供給される。そして、インクは、第1供給路Saで分岐して、ホルダー30の連通路34を経由し、2つのヘッドチップ44の一方の導入口Rinに供給される。具体的には、第1供給路Saに供給されたインクは、第1ヘッドチップ44Aの第1導入口Rin1と、第2ヘッドチップ44Bの第2導入口Rin2とに供給される。また、第2供給路Sbから供給されたインクは、第1ヘッドチップ44Aの第3導入口Rin3と、第2ヘッドチップ44Bの第4導入口Rin4とに供給される。また、2つのヘッドチップ44の排出口Routから排出されたインクは、ホルダー30の連通路34を経由し、第1排出路Daで合流し、排出管PAout、排出チューブTAoutを経由して液体容器2Aに戻される。液体容器2Aや供給チューブTAin、供給管PAin、排出管PAout、排出チューブTAoutは、第1ヘッドチップ44A、第2ヘッドチップ44Bの各々のノズルNを所定範囲の負圧に保持する構成が取られる。
【0077】
液体容器2Bのインクは、ポンプ200により所定圧力に昇圧されて供給チューブTBin、供給管PBinを経由して第2供給路Sbに供給される。そして、インクは、第2供給路Sbで分岐して、連通路34を経由し、2つのヘッドチップ44の他方の導入口Rinに供給される。2つのヘッドチップ44の排出口Routから排出されたインクは、連通路34を経由し、第2排出路Dbで合流し、排出管PBout、排出チューブTBoutを経由して液体容器2Bに戻される。液体容器2Bや供給チューブTBin、供給管PBin、排出管PBout、排出チューブTBoutも、液体容器2Aと同様に、第1ヘッドチップ44A、第2ヘッドチップ44Bの各々のノズルNを所定範囲の負圧に保持する構成が取られる。
【0078】
なお、上述したように、ホルダー30にはインクが流通する連通路34が設けられており、ホルダー30は流路部材としても機能している。
【0079】
このような流路部材60は、
図5に示すように、ホルダー30の-Z側に固定されたカバー部材65内に収容されている。
【0080】
また、カバー部材65には、-Z方向側の面に、4つの貫通孔67が設けられており、これらの4つの貫通孔67から、供給管PAin、供給管PBin、排出管PAout、排出管PBoutが外部に露出している。
【0081】
また、
図4及び
図5に示すように、カバー部材65の内部には、コネクター75を有する中継基板73が収容されている。中継基板73に設けられたコネクター75は、カバー部材65の-Z方向側の面に設けられた貫通孔である接続開口部63から外部に露出されており、コネクター75に外部の制御ユニット3に接続するための図示しない配線が接続される。
【0082】
また、上述した供給管PAin及び供給管PBin、すなわち、詳しくは後述する第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1は、記録ヘッド10の第2部分P2に設けられている。また、排出管PAout及び排出管PBout、すなわち、詳しくは後述する第1排出部Da3及び第2排出部Db3は、記録ヘッド10の第3部分P3に設けられている。また、本実施形態の電気的要素であるコネクター75は、記録ヘッド10の第1部分P1に設けられている。本実施形態では、第1導入部Sa1が設けられた供給管PAin及び第2導入部Sb1が設けられた供給管PBinは、この順で+X方向に向かって配置されている。つまり、第1導入部Sa1と第2導入部Sb1とは、+Y方向の位置が同じ位置で、+X方向に異なる位置に配置されており、第1導入部Sa1を基準として、第1導入部Sa1よりも+X方向側に第2導入部Sb1が配置されている。なお、本実施形態では、第1導入部Sa1と第2導入部Sb1とは、+Y方向の位置が同じ位置となるように配置したが、もちろん、これに限定されず、第1導入部Sa1と第2導入部Sb1とは、+Y方向の位置が異なる位置にはいちされていてもよい。また、2つの排出管PAout及びPBoutについても同様に、この順に+X方向に向かって並んで配置されている。
【0083】
このように第2部分P2及び第3部分P3に、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1、第1排出部Da3及び第2排出部Db3を設けることで、流路部材60に第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1、第1排出部Da3及び第2排出部Db3を設けるスペースを第1部分P1、第2部分P2、第3部分P3よりも外側に設ける必要がなく、流路部材60が大型化するのを抑制することができる。また、第2部分P2及び第3部分P3に、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1、第1排出部Da3及び第2排出部Db3を設けることで、第1部分P1にコネクター75を設けることができ、スペースを有効活用して流路部材60の小型化を図ることができる。さらに、第2部分P2及び第3部分P3に、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1、第1排出部Da3及び第2排出部Db3を設けることで、第1部分P1に設けられたコネクター75から離れた位置に供給管PAin及び供給管PBin、排出管PAout及び排出管PBoutを設けることができる。したがって、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1、第1排出部Da3及び第2排出部Db3が設けられた供給管PAin及び供給管PBin、排出管PAout及び排出管PBoutの各々にチューブを着脱する際に漏出したインクがコネクター75に付着し難く、インクがコネクター75に付着することによる電気的な不具合を抑制することができる。
【0084】
なお、第1導入部Sa1の+Y方向の寸法W3は、第2部分P2の+Y方向の寸法W2の半分以上であることが好ましい(W3≧W2/2)。また、第2導入部Sb1の+Y方向の寸法W4は、第2部分P2の+Y方向の寸法W2の半分以上であることが好ましい(W4≧W2/2)。このように、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1のそれぞれの寸法W3、W4を第2部分P2の寸法W2の半分以上とすることで、第1導入部Sa1、第2導入部Sb1を大きくして供給性能を向上させることができる。また、第2部分P2の+Y方向における寸法W2を小さくするために第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を+X方向にずらして配置したとしても、詳しくは後述する、第1導入部Sa1、第2導入部Sb1、第1フィルター室群Fa、第2フィルター室群Fbをこの順に+X方向に向かって配置することで、第1導入部Sa1と第1フィルター室群Faとを接続する第1供給流路Sa2と、第2導入部Sb1と第2フィルター室群Fbとを接続する第2供給流路Sb2との流路長のばらつきを低減することができる。したがって、第1供給流路Sa2と第2供給流路Sb2との圧力損失のばらつきを低減することができる。
【0085】
ここで、流路部材60及びホルダー30に設けられた流路についてさらに
図12~
図20を参照して説明する。
図12は主に流路部材60の内部に形成された流路の斜視図である。
図13は、主に流路部材60の内部に形成された流路の平面図である。
図14は、第1供給路Sa及び第2供給路Sbを抽出した平面図である。
図15は、第1供給路Sa及び第2供給路Sbを抽出した側面図である。
図16は、第1フィルター室群Fa及び第2フィルター室群Fbの平面図である。
図17は、第1フィルター室群Faを抽出した平面図である。
図18は、第1排出路Da及び第2排出路Dbを抽出した平面図である。
図19は、第1排出路Da及び第2排出路Dbを抽出した側面図である。
【0086】
図5に示すように、本実施形態の流路部材60は、Z軸に積層された複数の流路基板、本実施形態では、5枚の流路基板を具備する。本実施形態では、Z軸に積層された5枚の流路基板を-Z方向側から+Z方向側に向かって順番に第1流路基板81、第2流路基板82、第3流路基板83、第4流路基板84、第5流路基板85と称する。
【0087】
このような流路部材60に、
図12に示すように、第1供給路Sa及び第2供給路Sbと、第1排出路Da及び第2排出路Dbとが設けられている。そして、流路部材60には、第1供給路Sa及び第2供給路Sbとのそれぞれに種類の異なるインクが供給される。本実施形態では、2つのインクをそれぞれインクIa、インクIbと称する。
【0088】
ここで、第1供給路Saは、
図12~
図15等に示すように、上流側から下流側に向かって第1導入部Sa1と、第1供給流路Sa2と、第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2を有する第1フィルター室群Faと、第1流出流路Sa3と、第2流出流路Sa4と、を具備する。
【0089】
第1導入部Sa1は、流路部材60内に外部からインクIaを導入するためのものであり、第1流路基板81の-Z方向に突出する供給管PAin内から第1流路基板81及び第2流路基板82をZ軸に亘って貫通して設けられている。
【0090】
第1供給流路Sa2は、一端が第1導入部Sa1に接続され、途中で分岐されて分岐された2つの他端が第1フィルター室群Faを構成する第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2にそれぞれ接続されている。具体的には、第1供給流路Sa2は、上流側から下流側に向かって第1供給部Sa21と、第1貫通部Sa22と、第1連結部Sa23と、第1接続部Sa24と、第1分岐部Sa25と、を具備する。
【0091】
第1供給部Sa21は、第2流路基板82と第3流路基板83とが互いに固定された界面に、X軸及びY軸を含むXY平面の面内方向に沿って延設されたものである。第1供給部Sa21は、一端が第1導入部Sa1に接続されている。
【0092】
第1貫通部Sa22は、一端が第1供給部Sa21の他端に接続されると共に、他端が第2流路基板82の-Z方向側の面に開口するように、第2流路基板82をZ軸に貫通して設けられている。
【0093】
第1連結部Sa23は、第1流路基板81と第2流路基板82とが互いに固定された界面に、XY平面の面内方向に沿って延設されたものである。第1連結部Sa23は、一端が第1貫通部Sa22の第2流路基板82の-Z方向側の面に開口する他端に接続されている。
【0094】
第1接続部Sa24は、一端が第1連結部Sa23の他端に接続されると共に、他端が第2流路基板82の+Z方向側の面に開口するように第2流路基板82をZ軸に貫通して設けられている。
【0095】
第1分岐部Sa25は、「分岐流路」に相当するものであり、第2流路基板82と第3流路基板83とが互いに固定された界面に、XY平面の面内方向に沿って延設されたものである。第1分岐部Sa25の途中が、第1接続部Sa24の第2流路基板82の+Z方向側の面に開口する他端に接続されている。この第1接続部Sa24と第1分岐部Sa25とが接続された部分が、第1供給流路Sa2が分岐されて第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とに液体であるインクを分配させる第1分岐位置Sc1となっている。
【0096】
また、第1分岐部Sa25は、一端が第1フィルター室Fa1に接続され、他端が第2フィルター室Fa2に接続されている。
【0097】
なお、上述した第1供給部Sa21、第1連結部Sa23、第1分岐部Sa25等の流路は、一方の基板に凹部を形成し、この凹部を他方の基板によって蓋をすることで形成されていてもよく、両方の基板に凹部を形成し、両方の凹部の開口同士を合わせることで形成されていてもよい。
【0098】
ここで、第1フィルター室Fa1は、第2流路基板82と第3流路基板83とが互いに固定された界面に設けられている。この第1フィルター室Fa1は、第2流路基板82に設けられた凹部と、第3流路基板83に設けられた凹部との開口同士を合わせることで形成されている。また、第1フィルター室Fa1内には、フィルターFが設けられている。フィルターFは、第2流路基板82と第3流路基板83とが互いに固定された界面に設けられており、第1フィルター室Fa1を上流側の第1上流フィルター室Fa11と下流側の第1下流フィルター室Fa12とに区切っている。つまり、第2流路基板82に設けられた凹部が第1上流フィルター室Fa11となり、第3流路基板83に設けられた凹部が第1下流フィルター室Fa12となっている。このような第1フィルター室Fa1に設けられたフィルターFは、インクに含まれる気泡やゴミなどの異物を補足してインクを濾過するものであり、例えば、金属や樹脂等の繊維を細かく織る又は編むことで複数の微細孔が形成されたシート状のものや、金属や樹脂等の板状部材に複数の微細孔を貫通させたものなどを用いることができる。また、フィルターFは、例えば、金属や樹脂等の不織布を用いてもよい。
【0099】
このような第1フィルター室Fa1は、
図16及び
図17に示すように、+Y方向に長尺となる形状となっている。本実施形態の第1フィルター室Fa1は、+Z方向に見て、+Y方向に沿った辺を長辺、+X方向に沿った辺を短辺とした長方形を基本として、長方形の角を丸めた形状となっている。このように第1フィルター室Fa1は、+Z方向から長方形の角を丸めた形状とすることで、インクに含まれる気泡が角部に滞留し難く、気泡の排出性を向上することができる。なお、第1フィルター室Fa1の形状は、特にこれに限定されず、+Y方向を長軸とする楕円形であってもよく、多角形、正方形、+X方向に長尺となる形状であってもよい。つまり、第1フィルター室Fa1が+Y方向に長尺となっているとは、第1フィルター室Fa1を+Z方向に見て、第1フィルター室Fa1を内包する最小面積の長方形の長辺が+Y方向に沿って配されていることを言う。
【0100】
この第1フィルター室Fa1に第1供給流路Sa2の第1分岐部Sa25の一端が接続されている。ここで、第1供給流路Sa2が第1フィルター室Fa1に連通しているとは、第1供給流路Sa2が、第1フィルター室Fa1のフィルターFよりも上流側である第1上流フィルター室Fa11に連通していることを言う。つまり、第1供給流路Sa2の第1分岐部Sa25の一端は、第1上流フィルター室Fa11の内壁面に開口して設けられている。本実施形態では、第1フィルター室Fa1の内面に開口する第1分岐部Sa25の開口を第1流入口Fa1_inと称する。
【0101】
また、第1フィルター室Fa1は、インクを流出させる第1流出口Fa1_outを有する。ここで、第1フィルター室Fa1が第1流出口Fa1_outを有するとは、第1流出口Fa1_outが、第1フィルター室Fa1のフィルターFによって区分けされた下流側、すなわち、第1下流フィルター室Fa12に設けられていることを言う。この第1流出口Fa1_outは、第1フィルター室Fa1の内壁に開口する第1流出流路Sa3の開口のことである。
【0102】
また、第1流出流路Sa3は、第1流出貫通部Sa31と、第1流出部Sa32と、第1流出接続部Sa33と、を具備する。
【0103】
第1流出貫通部Sa31は、一端が第1下流フィルター室Fa12の+Z方向側の面に開口し、他端が第3流路基板83の+Z方向側の面に開口するように第3流路基板83をZ軸に貫通して設けられている。
【0104】
第1流出部Sa32は、第3流路基板83と第4流路基板84とが互いに固定された界面に、XY平面の面内方向に沿って延設されたものである。第1流出部Sa32は、一端が第1流出貫通部Sa31に接続されている。なお、第1流出部Sa32は、第3流路基板83と第4流路基板84との何れか一方に凹部を設け、他方によって蓋をすることで形成されていてもよく、第3流路基板83と第4流路基板84との両方に凹部を形成し、両方の凹部の開口同士を合わせることで形成されていてもよい。
【0105】
第1流出接続部Sa33は、一端が第1流出部Sa32に接続され、他端が第4流路基板84の+Z方向側の面に開口するように第4流路基板84をZ軸に貫通して設けられている。この第1流出接続部Sa33の第4流路基板84の+Z方向側の面に開口する他端が、ホルダー30の連通路34を介して、第1ヘッドチップ44Aの第1導入口Rin1に接続されている。
【0106】
一方、第2フィルター室Fa2は、第2流路基板82と第3流路基板83とが互いに固定された界面に設けられている。すなわち、本実施形態の第2フィルター室Fa2は、第1フィルター室Fa1と同じ界面に設けられている。この第2フィルター室Fa2は、第2流路基板82に設けられた凹部と、第3流路基板83に設けられた凹部との開口同士を合わせることで形成されている。また、第2フィルター室Fa2内には、フィルターFが設けられている。フィルターFは、第2流路基板82と第3流路基板83とが互いに固定される界面に設けられており、第2フィルター室Fa2を上流側の第2上流フィルター室Fa21と下流側の第2下流フィルター室Fa22とに区切っている。なお、第2フィルター室Fa2内に設けられるフィルターFは、第1フィルター室Fa1内に配置されるフィルターFと同様のものを用いることができる。
【0107】
このような第2フィルター室Fa2は、+Y方向に長尺となる形状となっている。本実施形態の第2フィルター室Fa2は、+Z方向に見て、+Y方向に沿った辺を長辺、+X方向に沿った辺を短辺とした長方形を基本として、長方形の角を丸めた形状となっている。このように第2フィルター室Fa2は、+Z方向から長方形の角を丸めた形状とすることで、インクに含まれる気泡が角部に滞留し難く、気泡の排出性を向上することができる。なお、第2フィルター室Fa2の形状は、特にこれに限定されず、前述で例示した第1フィルター室Fa1の形状の何れかと同じであってもよい。本実施形態では、第2フィルター室Fa2は、+Z方向に見て第1フィルター室Fa1と同じ形状を有する。このように、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とを同じ形状で形成することで、それぞれに設けられたフィルターFの有効面積のばらつきを低減して、フィルターFの有効面積のばらつきによる圧力損失のばらつきを低減することができる。
【0108】
この第2フィルター室Fa2に第1供給流路Sa2の第1分岐部Sa25の他端が接続されている。ここで、第1供給流路Sa2が第2フィルター室Fa2に連通しているとは、第1供給流路Sa2が、第2フィルター室Fa2のフィルターFよりも上流側である第2上流フィルター室Fa21に連通していることを言う。つまり、第1供給流路Sa2の第1分岐部Sa25の他端は、第2上流フィルター室Fa21の内壁面に開口して設けられている。本実施形態では、第2フィルター室Fa2の内面に開口する第1分岐部Sa25の開口を第2流入口Fa2_inと称する。
【0109】
また、第2フィルター室Fa2は、インクを流出させる第2流出口Fa2_outを有する。ここで、第2フィルター室Fa2が第2流出口Fa2_outを有するとは、第2流出口Fa2_outが、第2フィルター室Fa2のフィルターFによって区分けされた下流側、すなわち、第2下流フィルター室Fa22に設けられていることを言う。この第2流出口Fa2_outは、第2フィルター室Fa2の内壁に開口する第2流出流路Sa4の開口のことである。
【0110】
また、第2流出流路Sa4は、第2流出貫通部Sa41と、第2流出部Sa42と、第2流出接続部Sa43と、を具備する。
【0111】
第2流出貫通部Sa41は、一端が第2下流フィルター室Fa22の+Z方向側の面に開口し、他端が第3流路基板83の+Z方向側の面に開口するように第3流路基板83をZ軸に貫通して設けられている。
【0112】
第2流出部Sa42は、第3流路基板83と第4流路基板84とが互いに固定された界面に、XY平面の面内方向に沿って延設されたものである。第2流出部Sa42は、一端が第2流出貫通部Sa41に接続されている。なお、第2流出部Sa42は、第3流路基板83と第4流路基板84との何れか一方に凹部を設け、他方によって蓋をすることで形成されていてもよく、第3流路基板83と第4流路基板84との両方に凹部を形成し、両方の凹部の開口同士を合わせることで形成されていてもよい。
【0113】
第2流出接続部Sa43は、一端が第2流出部Sa42に接続され、他端が第4流路基板84の+Z方向側の面に開口するように第4流路基板84をZ軸に貫通して設けられている。この第2流出接続部Sa43の第4流路基板84の+Z方向側の面に開口する他端が、ホルダー30の連通路34を介して第2ヘッドチップ44Bの第2導入口Rin2に接続されている。
【0114】
このような第1供給路Saを構成する第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とを有する第1フィルター室群Faは、
図7に示す第1部分P1に形成されている。このように第1フィルター室群Faを第1部分P1に設けることで、第1フィルター室群Faを設けるスペースを確保して、比較的広い面積のフィルターFを設けることができ、フィルターFによる圧力損失を低減して、供給不良が生じるのを抑制することができる。
【0115】
また、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、同じ界面である第2流路基板82と第3流路基板83との界面に設けられている。また、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、+Y方向に間隔を空けて配置されている。すなわち、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、+X方向に見て、重ならない位置に配置されている。
【0116】
また、
図17に示すように、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、+Y方向に見て互いに少なくとも一部が重なる位置に配置されている。なお、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、+Y方向に見て互いに完全に重なる位置に配置されていてもよい。本実施形態では、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、+Y方向に見て一部が重なるように+X方向にずれて配置されている。本実施形態では、第1フィルター室Fa1に対して、第2フィルター室Fa2は+X方向にずらした位置に配置されている。つまり、第1フィルター室Fa1の-X方向側の一部と、第2フィルター室Fa2の+X方向側の一部とが、+Y方向に見て重なるように配置されている。このように第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、+Y方向に見て一部が重なるように+X方向にずれて配置することで、ノズル列同士がずれて配置される記録ヘッド10において、2つの導入口Rinが+X方向にずれている場合であっても、第1フィルター室Fa1と導入口Rinとの距離及び第2フィルター室Fa2と導入口Rinとの距離を短くすることができる。したがって、2つの導入口Rinに供給されるインクの圧力損失のばらつきを低減することができる。すなわち、第1フィルター室Fa1からインクが供給される第1ヘッドチップ44Aの第1導入口Rin1と、第2フィルター室Fa2からインクが供給される第2ヘッドチップ44Bの第2導入口Rin2とが、互いに+X方向にずれて配置されている場合であっても、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とを+X方向にずらして配置することで、第1フィルター室Fa1から第1ヘッドチップ44Aの第1導入口Rin1までの距離と、第2フィルター室Fa2から第2ヘッドチップ44Bの第2導入口Rin2までの距離と、を短くすることができる。したがって、第1流出流路Sa3と第2流出流路Sa4との圧力損失のばらつきを低減することができる。したがって、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との+X方向のずれ量は、第1導入口Rin1と第2導入口Rin2との+X方向のずれ量と同程度とするのが好ましい。このように、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との+X方向のずれ量を、第1導入口Rin1と第2導入口Rin2との+X方向のずれ量と同程度とすることで、第1フィルター室Fa1から第1ヘッドチップ44Aの第1導入口Rin1までの流路長と、第2フィルター室Fa2から第2ヘッドチップ44Bの第2導入口Rin2までの流路長とのばらつきを抑制して、第1導入口Rin1に連通する第1ノズル列La1と第2導入口Rin2に連通する第2ノズル列La2とから吐出されるインク滴の吐出特性のばらつきを低減することができる。
【0117】
また、第1フィルター室Fa1と導入口Rinとの距離及び第2フィルター室Fa2と導入口Rinとの距離を短くすることができるので、不図示のメンテナンス機構によって吸引クリーニングを行うことで記録ヘッド10のフィルターFよりも下流に滞留している気泡をノズルNから排出する際に廃棄するインクの量を低減することができる。なお、不図示のメンテナンス機構とは、少なくとも、ノズルNが形成されたノズル面を封止可能なキャップと、キャップに連通する廃液流路と、ノズル面を封止している状態でキャップ内を負圧にするためのポンプ等の負圧発生手段と、を有する。
【0118】
また、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とが+Y方向に見て重なる部分の+X方向における幅W5は、第1フィルター室Fa1の+X方向における幅W6の半分よりも小さいことが好ましい(W5<W6/2)。このように第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とが重なる幅W5を、第1フィルター室Fa1の幅W6の半分よりも小さくすることで、第1流入口Fa1_inを第1フィルター室Fa1の端部に配置しても、また、第2流入口Fa2_inを第2フィルター室Fa2の端部に配置しても第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とを+Y方向に近づけ易くすることができる。そして、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とを+Y方向に近づけることで、記録ヘッド10を+Y方向に小型化することができる。また、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とを+Y方向に近づけることで、+Y方向に並設されたヘッドチップ44を互いに+Y方向に近づけることができ、異なるヘッドチップ44から吐出されるインク滴の吐出タイミングの差を低減することができる。したがって、インク滴の媒体Sへの着弾位置ズレを抑制することができる。
【0119】
そして、第1接続部Sa24と第1分岐部Sa25とが連通する第1分岐位置Sc1は、+Z方向に見た平面視において、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との間に設けられている。
【0120】
ここで、第1分岐位置Sc1が、+Z方向の平面視において第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との間に配置されているとは、
図17にハッチングで示す第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とに挟まれた領域S1の範囲内にあることを言う。なお、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とに挟まれた領域S1は、言い換えると、+Z方向に見て、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との双方に接する-X方向の接線S1aと、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との双方に接する+X方向の接線S1bとの間において、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とに挟まれた領域のことである。
【0121】
ちなみに、第1分岐位置Sc1は、第1分岐部Sa25に開口する第1接続部Sa24の開口の中心位置Sa24cを言う。したがって、第1分岐位置Sc1の中心位置Sa24cが、領域S1の範囲内にあれば、その他の部分は、領域S1の範囲外にあってもよい。
【0122】
このように、第1分岐位置Sc1を第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との間に配置することで、第1分岐位置Sc1から第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2までの第1分岐部Sa25の流路長を短くして、分岐される前の第1導入部Sa1から第1分岐位置Sc1までの共通する流路の流路長を長くすることができる。したがって、第1分岐部Sa25の流路長が長くなる場合に比べて、第1供給流路Sa2のレイアウトを簡素化することができる。
【0123】
また、第1フィルター室Fa1に第1供給流路Sa2からインクが流入する第1流入口Fa1_inと第2フィルター室Fa2に第1供給流路Sa2からインクが流入する第2流入口Fa2_inとは、+Y方向に見て、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とが重なる部分、すなわち、
図17に示すS2の範囲内に配置されている。
【0124】
このように、第1流入口Fa1_inと第2流入口Fa2_inとを、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とが重なる部分の領域S3の範囲内に配置することで、第1分岐位置Sc1から第1流入口Fa1_inまでの第1分岐部Sa25の流路長と、第1分岐位置Sc1から第2流入口Fa2_inまでの第1分岐部Sa25の流路長を比較的短くすることができる。したがって、第1分岐位置Sc1から第1流入口Fa1_inまでの第1分岐部Sa25と、第1分岐位置Sc1から第2流入口Fa2_inまでの第1分岐部Sa25との圧力損失のばらつきをさらに低減することができる。ちなみに、第1流入口Fa1_inと第2流入口Fa2_inとを、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とが重なる部分の領域S2の範囲外に配置すると、第1分岐位置Sc1から第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inまでの流路長が長くなり、流路長に比例する圧力損失のばらつきも大きくなってしまう。
【0125】
また、第1流入口Fa1_inは、第1フィルター室Fa1の第2フィルター室Fa2に対して対向する面に配置され、第2流入口Fa2_inは、第2フィルター室Fa2の第1フィルター室Fa1に対して対向する面に配置されている。すなわち、第1流入口Fa1_inは、第1フィルター室Fa1の+Y方向の面に配置され、第2流入口Fa2_inは、第2フィルター室Fa2の-Y方向の面に配置されている。このように第1流入口Fa1_inを、第1フィルター室Fa1の第2フィルター室Fa2に対して対向する面に配置し、第2流入口Fa2_inを、第2フィルター室Fa2の第1フィルター室Fa1に対して対向する面に配置することで、第1分岐位置Sc1を第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2の直前に配置することができる。もちろん、第1流入口Fa1_inは、第1フィルター室Fa1の+Y方向の面以外の面、つまり、+Z方向の面、-Z方向の面、+X方向の面、-X方向の面、-Y方向の面に配置してもよい。ただし、第1流入口Fa1_inを+Y方向の面以外の面に配置した場合には、第1流入口Fa1_inを+Y方向の面に設けた場合に比べて、第1分岐位置Sc1を第1フィルター室Fa1の直前に配置することができなくなると共に第1分岐部Sa25の流路長が長くなるため、第1分岐部Sa25の圧力損失にばらつきが生じてしまう。第1流入口Fa1_inを、第1フィルター室Fa1の第2フィルター室Fa2に対して対向する面に配置することで、第1分岐位置Sc1を第1フィルター室Fa1の直前に配置して、第1分岐部Sa25の流路長を短くして、第1分岐部Sa25の圧力損失のばらつきを低減することができる。なお、第2流入口Fa2_inについても同様である。
【0126】
また、第1流入口Fa1_inの+X方向の幅W7及び第2流入口Fa2_inの+X方向の幅W8は、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とが+Y方向に見て重なる部分の+X方向における幅W5よりも小さい(W7<W5、W8<W5)。このように、第1流入口Fa1_inの幅W7及び第2流入口Fa2_inの幅W8を、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とが+Y方向に見て重なる部分の+X方向における幅W5よりも小さくすることで、第1フィルター室Fa1、第2フィルター室Fa2に流入するインクの流速を速くすることができ、第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2内のインクに含まれる気泡を下流側に排出する、いわゆる気泡排出性を向上することができる。
【0127】
また、第1分岐部Sa25は、第1流入口Fa1_inと第2流入口Fa2_inとを結ぶ直線上に形成されている。また、第1分岐部Sa25は、+X方向及び+Y方向に対して傾斜して配置されている。本実施形態では、第1流入口Fa1_inは、第1フィルター室Fa1の+X方向側の端部に設けられ、第2流入口Fa2_inは、第2フィルター室Fa2の-X方向側の端部に設けられている。そして、上述したように、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、+Y方向に見て互いの一部が重なるようにして+X方向にずれて配置されている。このため、第1流入口Fa1_inに対して、第2流入口Fa2_inは、-X方向側に配置されている。したがって、第1分岐部Sa25は、第1流入口Fa1_inから第2流入口Fa2_inに向かって-X方向及び+Y方向の成分を有するベクトル方向に沿って形成されている。
【0128】
また、第1分岐部Sa25の一部と第1フィルター室Fa1の内壁の一部とは、+Z方向に見た平面視で+Y方向に沿って連続して設けられている。すなわち、第1分岐部Sa25の+X方向の内壁Sa25aは、第1フィルター室Fa1の+X方向の内壁Fa1aと、+Y方向に沿った直線上に連続して設けられている。つまり、第1分岐部Sa25の内壁Sa25aと、第1フィルター室Fa1の内壁Fa1aとは、面一となるように設けられている。
【0129】
このように第1分岐部Sa25の内壁Sa25aと第1フィルター室Fa1の内壁Fa1aとを+Y方向に沿って連続して設けることで、第1分岐部Sa25からのインクは、内壁Sa25a及びFa1aに沿って第1流入口Fa1_inから第1フィルター室Fa1に流入する。したがって、第1フィルター室Fa1に流入する際にインクの流速が低下するのを抑制して、第1フィルター室Fa1内のインクに含まれる気泡の排出性、いわゆる気泡排出性を向上することができる。
【0130】
同様に、第1分岐部Sa25の一部と第2フィルター室Fa2の内壁の一部とは、+Z方向に見た平面視で+Y方向に沿って連続して設けられている。すなわち、第1分岐部Sa25の-X方向の内壁Sa25bは、第2フィルター室Fa2の-X方向の内壁Fa2aと、+Y方向に沿った直線上に連続して設けられている。つまり、第1分岐部Sa25の内壁Sa25bと、第2フィルター室Fa2の内壁Fa2aとは、面一となるように設けられている。
【0131】
このように第1分岐部Sa25の内壁Sa25bと第2フィルター室Fa2の内壁Fa2aとを+Y方向に沿って連続して設けることで、第1分岐部Sa25からのインクは、内壁Sa25b及びFa2aに沿って第2流入口Fa2_inから第2フィルター室Fa2に流入する。したがって、第2フィルター室Fa2に流入する際にインクの流速が低下するのを抑制して、第2フィルター室Fa2内のインクに含まれる気泡の排出性、いわゆる気泡排出性を向上することができる。
【0132】
また、第1分岐部Sa25のうち、第1分岐位置Sc1から第1流入口Fa1_inまでの間には、第1流入口Fa1_inの+X方向における幅W7よりも、+X方向における幅が小さい部分が設けられている。本実施形態では、第1分岐部Sa25は、-X方向の内壁と第1フィルター室Fa1の+Y方向の内壁とを湾曲した曲面、所謂R面で接続することで、第1分岐部Sa25は、第1流入口Fa1_inの直前に、+X方向の幅が、第1流入口Fa1_inよりも小さい第1絞り部Sa25cが設けられている。第1絞り部Sa25cの幅Wa1は、第1流入口Fa1_inの幅W7よりも小さい(Wa1<W7)。
【0133】
このように、第1分岐部Sa25に、第1絞り部Sa25cを設けることで、第1分岐部Sa25から第1フィルター室Fa1に流入するインクの流速を速くすることができ、第1フィルター室Fa1内のインクに含まれる気泡の排出性を向上することができる。
【0134】
同様に、第1分岐部Sa25のうち、第1分岐位置Sc1から第2流入口Fa2_inまでの間には、第2流入口Fa2_inの+X方向における幅W8よりも、+X方向における幅が小さい部分が設けられている。本実施形態では、第1分岐部Sa25は、+X方向の内壁と第2フィルター室Fa2の-Y方向の内壁とを湾曲した曲面、所謂R面で接続することで、第1分岐部Sa25は、第2流入口Fa2_inの直前に、+X方向の幅が、第2流入口Fa2_inよりも小さい第2絞り部Sa25dが設けられている。第2絞り部Sa25dの幅Wa2は、第2流入口Fa2_inの幅W8よりも小さい(Wa2<W8)。
【0135】
このように、第1分岐部Sa25に、第2絞り部Sa25dを設けることで、第1分岐部Sa25から第2フィルター室Fa2に流入するインクの流速を速くすることができ、第2フィルター室Fa2内のインクに含まれる気泡の排出性を向上することができる。
【0136】
また、本実施形態では、上述したように第1分岐部Sa25、第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inは、+Z方向において同じ位置に配置されている。このように第1分岐部Sa25を第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inと+Z方向に同じ位置に設けることで、第1分岐位置Sc1を第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inと+Z方向に同じ位置に配置することができる。そして、第1分岐位置Sc1を第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inと+Z方向に同じ位置に配置することで、第1分岐位置Sc1を第1フィルター室群FaのZ軸における上方、すなわち-Z方向や、下方、すなわち+Z方向などに配置する構成に比べて、第1分岐位置Sc1を第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2の直前に配置することができる。したがって、第1供給路Saの第1分岐位置Sc1よりも前の共通部分の流路長を長くすることができ、第1供給路Saのレイアウトを簡素化することができる。
【0137】
もちろん、第1分岐部Sa25は、特にこれに限定されず、第1分岐部Sa25の一部が第1流入口Fa1_in、第2流入口Fa2_inと+Z方向に異なる位置に配置されていてもよい。また、第1分岐位置Sc1を、第1流入口Fa1_in、第2流入口Fa2_inと+Z方向に異なる位置に配置してもよい。さらに、第1分岐位置Sc1を、第1流入口Fa1_in、第2流入口Fa2_inと+Z方向に同じ位置に配置し、第1分岐部Sa25の一部を、第1流入口Fa1_in、第2流入口Fa2_inと+Z方向で異なる位置に配置してもよい。
【0138】
また、第1流出口Fa1_outは、+Y方向に見て、第2フィルター室Fa2に重ならない部分で、且つ+Y方向において、第1フィルター室Fa1の中心Fa1cに対して第2フィルター室Fa2から遠くに配置されている。つまり、第1流出口Fa1_outは、+X方向において領域S2の外側、すなわち、領域S2よりも-X方向側で、且つ+Y方向における第1フィルター室Fa1の中心Fa1cよりも-Y方向側の領域S3に配置されている。すなわち、第1フィルター室Fa1を+Z方向に見て、第1フィルター室Fa1を内包する最小面積の長方形において、対角となる一方の角部、+X方向及び+Y方向の角部に第1流入口Fa1_inが設けられ、対角となる他方の角部、すなわち、-X方向及び-Y方向の角部近傍に第1流出口Fa1_outが設けられている。このため、第1流出口Fa1_outを第1流入口Fa1_inから離して配置することができ、第1フィルター室Fa1内を流れるインクに淀みが生じるのを抑制することができる。つまり、第1フィルター室Fa1内のインクは、第1流入口Fa1_inと第1流出口Fa1_outとを結ぶ直線上に最も速く流れ、この直線上から離れるに従って遅く流れる。このため、第1流入口Fa1_inと第1流出口Fa1_outとを結ぶ直線を第1フィルター室Fa1の対角線上において離れた位置に配置することで、第1フィルター室Fa1内でインクに淀みが生じるのを低減することができる。
【0139】
なお、第2流出口Fa2_outについても、第1流出口Fa1_outと同様に、+Y方向に見て、第1フィルター室Fa1に重ならない部分で、且つ+Y方向において、第2フィルター室Fa2の中心Fa2cに対して第1フィルター室Fa1から遠くに配置されている。つまり、第2流出口Fa2_outは、+X方向において領域S2の外側、すなわち、領域S2よりも+X方向側で、且つ+Y方向における第2フィルター室Fa2の中心Fa2cよりも+Y方向側の領域S4に配置されている。このため、第2流出口Fa2_outを第2流入口Fa2_inから離して配置することができ、第2フィルター室Fa2内を流れるインクに淀みが生じるのを低減することができる。
【0140】
つまり、第1流入口Fa1_in及び第1流出口Fa1_outと、第2流入口Fa2_in及び第2流出口Fa2_outとを、第1分岐位置Sc1を中心として点対称となる位置に配置することができる。
【0141】
また、第1流入口Fa1_inから第1流出口Fa1_outへ向かうインクの流れと、第2流入口Fa2_inから第2流出口Fa2_outへ向かうインクの流れと、を逆方向にすることができる。したがって、第1流出口Fa1_outと第2流出口Fa2_outとの位置を、第1分岐位置Sc1を中心とした点対称となる位置に配置することができる。このため、第1ノズル列La1と第2ノズル列La2とが+X方向にずれていると、各ノズル列Lに連通する導入口Rin、すなわち、第1導入口Rin1と第2導入口Rin2とも+X方向にずれてしまうが、第1導入口Rin1と第2導入口Rin2との+X方向のズレに合わせて、第1流出口Fa1_outと第2流出口Fa2_outとの位置をずらすことができる。よって、第1流出口Fa1_outから第1導入口Rin1までの距離、及び、第2流出口Fa2_outから第2導入口Rin2までの距離を短くできると共に、短い流路長によって圧力損失のばらつきを抑制することができる。
【0142】
第2供給路Sbは、第1供給路Saと同様の構成を有する。すなわち、第2供給路Sbは、
図12~
図15等に示すように、上流側から下流側に向かって第2導入部Sb1と、第2供給流路Sb2と、第3フィルター室Fb1及び第4フィルター室Fb2を有する第2フィルター室群Fbと、第3流出流路Sb3と、第4流出流路Sb4と、を具備する。
【0143】
第2導入部Sb1は、流路部材60内に外部からインクIbを導入するためのものであり、第1流路基板81の-Z方向に突出する供給管PBin内から第1流路基板81、第2流路基板82及び及び第3流路基板83をZ軸に亘って貫通して設けられている。
【0144】
第2供給流路Sb2は、一端が第2導入部Sb1に接続され、途中で分岐されて分岐された2つの他端が第2フィルター室群Fbを構成する第3フィルター室Fb1及び第4フィルター室Fb2にそれぞれ接続されている。具体的には、第2供給流路Sb2は、上流側から下流側に向かって第2供給部Sb21と、第2貫通部Sb22と、第2連結部Sb23と、第2接続部Sb24と、第2分岐部Sb25と、を具備する。
【0145】
なお、第2供給流路Sb2の第2供給部Sb21、第2貫通部Sb22、第2連結部Sb23、第2接続部Sb24、第2分岐部Sb25は、それぞれ第1供給流路Sa2の第1供給部Sa21、第1貫通部Sa22、第1連結部Sa23、第1接続部Sa24、第1分岐部Sa25に対応するものであり、ほぼ同様の構成を有するため重複する説明は省略する。ちなみに、第2分岐部Sb25が「分岐流路」に相当する。つまり、第2分岐部Sb25の途中が、第2接続部Sb24の第2流路基板82の+Z方向側の面に開口する他端に接続されている。この第2接続部Sb24と第2分岐部Sb25とが接続された部分が、第2供給流路Sb2が分岐されて第3フィルター室Fb1と第4フィルター室Fb2とに液体であるインクを分配させる第2分岐位置Sc2となっている。
【0146】
第3フィルター室Fb1は、第2流路基板82と第3流路基板83とが互いに固定された界面に設けられている。この第3フィルター室Fb1は、第2流路基板82に設けられた凹部と、第3流路基板83に設けられた凹部との開口同士を合わせることで形成されている。また、第3フィルター室Fb1内には、フィルターFが設けられている。フィルターFは、第2流路基板82と第3流路基板83とが互いに固定された界面に設けられており、第3フィルター室Fb1を上流側の第3上流フィルター室Fb11と下流側の第3下流フィルター室Fb12とに区切っている。つまり、第2流路基板82に設けられた凹部が第3上流フィルター室Fb11となり、第3流路基板83に設けられた凹部が第3下流フィルター室Fb12となっている。なお、第3フィルター室Fb1内に設けられるフィルターFは、第1フィルター室Fa1内に配置されるフィルターFと同様のものを用いることができる。
【0147】
このような第3フィルター室Fb1は、
図16に示すように、第1フィルター室Fa1と同様に+Y方向に長尺となる形状となっている。本実施形態では、第3フィルター室Fb1は、+Z方向に見て第1フィルター室Fa1と同じ形状を有する。このように、第1フィルター室Fa1と第3フィルター室Fb1とを同じ形状で形成することで、それぞれに設けられたフィルターFの有効面積のばらつきを低減して、フィルターFの有効面積のばらつきによる圧力損失のばらつきを低減することができる。もちろん、第3フィルター室Fb1の形状は、特にこれに限定されず、前述で例示した第1フィルター室Fa1の形状の何れかと同じであってもよい。。
【0148】
この第3フィルター室Fb1に第2供給流路Sb2の第2分岐部Sb25の一端が接続されている。ここで、第2供給流路Sb2が第3フィルター室Fb1に連通しているとは、第2供給流路Sb2が、第3フィルター室Fb1のフィルターFよりも上流側である第3上流フィルター室Fb11に連通していることを言う。つまり、第2供給流路Sb2の第2分岐部Sb25の一端は、第3上流フィルター室Fb11の内壁面に開口して設けられている。本実施形態では、第3フィルター室Fb1の内面に開口する第2分岐部Sb25の開口を第3流入口Fb1_inと称する。
【0149】
また、第3フィルター室Fb1は、インクを流出させる第3流出口Fb1_outを有する。ここで、第3フィルター室Fb1が第3流出口Fb1_outを有するとは、第3流出口Fb1_outが、第3フィルター室Fb1のフィルターFによって区分けされた下流側、すなわち、第3下流フィルター室Fb12に設けられていることを言う。この第3流出口Fb1_outは、第3フィルター室Fb1の内壁に開口する第3流出流路Sb3の開口のことである。
【0150】
また、第3流出流路Sb3は、第3流出貫通部Sb31と、第3流出部Sb32と、第3流出接続部Sb33と、を具備する。これら第3流出流路Sb3を構成する第3流出貫通部Sb31、第3流出部Sb32、第3流出接続部Sb33は、それぞれ第1流出流路Sa1を構成する第1流出貫通部Sa31、第1流出部Sa32、第1流出接続部Sa33とほぼ同様であるため重複する説明は省略する。
【0151】
この第3流出流路Sb3の第3流出接続部Sb33の第4流路基板の+Z方向側の面に開口する他端が、ホルダー30の連通路34を介して、第1ヘッドチップ44Aの第3導入口Rin3に接続されている。
【0152】
第4フィルター室Fb2は、第2流路基板82と第3流路基板83とが互いに固定された界面に設けられている。この第4フィルター室Fb2は、第2流路基板82に設けられた凹部と、第3流路基板83に設けられた凹部との開口同士を合わせることで形成されている。また、第4フィルター室Fb2内には、フィルターFが設けられている。フィルターFは、第2流路基板82と第3流路基板83とが互いに固定される界面に設けられており、第4フィルター室Fb2を上流側の第4上流フィルター室Fb21と下流側の第4下流フィルター室Fb22とに区切っている。なお、第4フィルター室Fb2内に設けられるフィルターFは、第1フィルター室Fa1内に配置されるフィルターFと同様のものを用いることができる。
【0153】
このような第4フィルター室Fb2は、第1フィルター室Fa1と同様に、+Y方向に長尺となる形状となっている。本実施形態では、第4フィルター室Fb2は、+Z方向に見て第3フィルター室Fb1と同じ形状を有する。このように、第3フィルター室Fb1と第4フィルター室Fb2とを同じ形状で形成することで、それぞれに設けられたフィルターFの有効面積のばらつきを低減して、フィルターFの有効面積のばらつきによる圧力損失のばらつきを低減することができる。もちろん、第4フィルター室Fb2の形状は、特にこれに限定されず、前述で例示した第1フィルター室Fa1の形状の何れかと同じであってもよい。
【0154】
この第4フィルター室Fb2に第2供給流路Sb2の第2分岐部Sb25の他端が接続されている。ここで、第2供給流路Sb2が第4フィルター室Fb2に連通しているとは、第2供給流路Sb2が、第4フィルター室Fb2のフィルターFよりも上流側である第4上流フィルター室Fb21に連通していることを言う。つまり、第2供給流路Sb2の第2分岐部Sb25の他端は、第4上流フィルター室Fb21の内壁面に開口して設けられている。本実施形態では、第4フィルター室Fb2の内面に開口する第2分岐部Sb25の開口を第4流入口Fb2_inと称する。
【0155】
また、第4フィルター室Fb2は、インクを流出させる第4流出口Fb2_outを有する。ここで、第4フィルター室Fb2が第4流出口Fb2_outを有するとは、第4流出口Fb2_outが、第4フィルター室Fb2のフィルターFによって区分けされた下流側、すなわち、第4下流フィルター室Fb22に設けられていることを言う。この第4流出口Fb2_outは、第4フィルター室Fb2の内壁に開口する第4流出流路Sb4の開口のことである。
【0156】
また、第4流出流路Sb4は、第4流出貫通部Sb41と、第4流出部Sb42と、第4流出接続部Sb43と、を具備する。これら第4流出流路Sb4を構成する第4流出貫通部Sb41、第4流出部Sb42、第4流出接続部Sb43は、それぞれ第2流出流路Sa4を構成する第2流出貫通部Sa41、第2流出部Sa42、第2流出接続部Sa43とほぼ同様であるため重複する説明は省略する。
【0157】
この第4流出流路Sb4の第4流出接続部Sb43の第4流路基板84の+Z方向側の面に開口する他端が、ホルダー30の連通路34を介して、第2ヘッドチップ44Bの第4導入口Rin4に接続されている。
【0158】
このような第3フィルター室Fb1と第4フィルター室Fb2との関係は、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fb2との関係と同じであるため、重複する説明は省略する。すなわち、第1フィルター室Fa1が第3フィルター室Fb1に相当し、第2フィルター室Fa2が、第3フィルター室Fb2に相当する。したがって、上述した第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との関係を、第3フィルター室Fb1と第4フィルター室Fb2とに当てはめることができる。また、第3フィルター室Fb1の第3流入口Fb1_in及び第3流出口Fb1_outは、第1フィルター室Fa1のええFa1_in及び第1流出口Fa1_outと同様であるため重複する説明は省略する。同様に、第4フィルター室Fb2の第4流入口Fb2_in及び第3流出口Fb2_outは、第2フィルター室Fa2の第2流入口Fa2_in及び第2流出口Fa2_outと同様であるため重複する説明は省略する。
【0159】
そして、本実施形態では、
図12~
図15等に示すように、第1導入部Sa1、第2導入部Sb1、第1フィルター室群Fa及び第2フィルター室群Fbは、この順で+X方向に向かって配置されている。
【0160】
つまり、最も-X方向側に位置する第1導入部Sa1を基準として、第2導入部Sb1が第1導入部Sa1よりも+X方向側に位置し、第1フィルター室群Faが第2導入部Sb1よりも+X方向側に位置し、第2フィルター室群Fbが第1フィルター室群Faよりも+X方向側に位置する。なお、第1フィルター室群Faと第2フィルター室群Fbとが、この順で+X方向に向かって配置されているとは、第1フィルター室群Faを構成する第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2を含む+X方向の領域S10の中心C1に比べて、第2フィルター室群Fbを構成する第3フィルター室Fb1及び第4フィルター室Fb2を含む+X方向の領域S11の中心C2が、+X方向に位置することを言う。このため、例えば、第2フィルター室Fa2と第3フィルター室Fb1とが、+Y方向に見て重なる位置に配置されていてもよい。
【0161】
このように第1導入部Sa1、第2導入部Sb1、第1フィルター室群Fa及び第2フィルター室群Fbがこの順に+X方向に配置されていることで、第1導入部Sa1と第1フィルター室群Faとを接続する第1供給流路Sa2と、第2導入部Sb1と第2フィルター室群Fbとを接続する第2供給流路Sb2との流路長のばらつきを抑制することができる。したがって、第1供給流路Sa2と第2供給流路Sb2との圧力損失のばらつきを低減して、各ヘッドチップ44にインクを供給する供給圧力のばらつきを低減することができる。したがって、各ヘッドチップ44において、第1供給流路Sa2から供給されたインクを吐出する吐出特性と、第2供給流路Sb2から供給されたインクを吐出する吐出特性とのばらつきを低減することができる。すなわち、第1供給流路Sa2と第2供給流路Sb2とで供給経路が異なるインクを吐出するノズル列間でのインク滴の吐出特性のばらつきを低減することができ、印刷品質を向上することができる。
【0162】
また、本実施形態では、
図16に示すように、第3フィルター室Fb1は、第1フィルター室Fa1に対して+X方向に隣り合うように配置されている。本実施形態では、第1フィルター室Fa1と第3フィルター室Fb1とは、+Y方向の位置が同じ位置となるように、+X方向に並設されている。つまり、第1フィルター室Fa1と第3フィルター室Fb1とは、+X方向に見て一部、本実施形態では、全部が重なる位置に配置されている。
【0163】
同様に、第4フィルター室Fb2は、第2フィルター室Fa2に対して+X方向に隣り合うように配置されている。本実施形態では、第2フィルター室Fa2と第4フィルター室Fb2とは、+Y方向の位置が同じ位置となるように、+X方向に並設されている。つまり、第2フィルター室Fa2と第4フィルター室Fb2とは、+X方向に見て一部、本実施形態では、全部が重なる位置に配置されている。
【0164】
また、本実施形態の第2フィルター室Fa2と第3フィルター室Fb1とは、+Y方向に見て互いの一部が重なるように配置されている。このように第2フィルター室Fa2と第3フィルター室Fb1とを+Y方向に見て一部が重なるように配置することで、第1フィルター室群Fa及び第2フィルター室群Fbを+X方向に近接して配置することができる。したがって、記録ヘッド10を+X方向に小型化することができる。
【0165】
なお、本実施形態では、第1フィルター室群Faでは第2フィルター室Fa2を第1フィルター室Fa1に対して+X方向にずらした位置に配置し、第2フィルター室群Fbでは第4フィルター室Fb2を第3フィルター室Fb1に対して+X方向にずらした位置に配置したため、第2フィルター室Fa2と第3フィルター室Fb1とを+Y方向に見て互いの一部が重なるように配置したが、特にこれに限定されない。例えば、第1フィルター室群Faでは第2フィルター室Fa2を第1フィルター室Fa1に対して-X方向にずらした位置に配置し、第2フィルター室群Fbでは第4フィルター室Fb2を第3フィルター室Fb1に対して-X方向にずらした位置に配置してもよい。この場合には、第1フィルター室Fa1と第4フィルター室Fb2とが+Y方向に見て一部が重なるように配置することができる。
【0166】
また、
図16に示すように、+Z方向に見た平面視で、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとを結ぶ線分Ls1と、第1導入口Rin1と第3導入口Rin3とを結ぶ線分Ls2とが重なるように配置されている。なお、線分Ls1とは、第1流出口Fa1_outの中心と第3流出口Fb1_outの中心とを結ぶ線分のことである。また、線分Ls2とは、第1導入口Rin1の中心と第3導入口Rin3の中心とを結ぶ線分のことである。そして+Z方向に見た平面視において線分Ls1と線分Ls2とが重なるとは、線分Ls1と線分Ls2とが互いに交差することも、完全に一致することも含むものである。このように、線分Ls1と線分Ls2とが重なるように第1流出口Fa1_out、第3流出口Fb1_out、第1導入口Rin1、第3導入口Rin3を配置することで、第1フィルター室Fa1の下流の第1流出流路Sa3と、第3フィルター室Fb1の下流の第3流出流路Sb3との流路長のばらつきを低減することができ、第1流出流路Sa3と第3流出流路Sb3との圧力損失のばらつきを低減することができる。したがって、第1導入口Rin1に連通する第1ノズル列La1から吐出されるインクIaのインク滴と、第3導入口Rin3に連通する第3ノズル列Lb1から吐出されるインクIbのインク滴との吐出特性のばらつきを低減して印刷品質を向上することができる。
【0167】
なお、第2流出口Fa2_out、第4流出口Fb2_out、第2導入口Rin2、第4導入口Rin4についても同様である。つまり、+Z方向に見た平面視で、第2流出口Fa2_outと第4流出口Fb2_outとを結ぶ線分Ls3と、第2導入口Rin2と第4導入口Rin4とを結ぶ線分Ls4とが重なるように配置されている。なお、線分Ls3とは、第2流出口Fa2_outの中心と第4流出口Fb2_outの中心とを結ぶ線分のことである。また、線分Ls4とは、第2導入口Rin2の中心と第4導入口Rin4の中心とを結ぶ線分のことである。そして+Z方向に見た平面視において線分Ls3と線分Ls4とが重なるとは、線分Ls3と線分Ls4とが互いに交差することも、完全に一致することも含むものである。このように、線分Ls3と線分Ls4とが重なるように第2流出口Fa2_out、第4流出口Fb2_out、第2導入口Rin2、第4導入口Rin4を配置することで、第2フィルター室Fa2の下流の第2流出流路Sa4と、第4フィルター室Fb2の下流の第4流出流路Sb4との流路長のばらつきを低減することができ、第2流出流路Sa4と第4流出流路Sb4との圧力損失のばらつきを低減することができる。したがって、第2導入口Rin2に連通する第2ノズル列La2から吐出されるインクIaのインク滴と、第4導入口Rin4に連通する第4ノズル列Lb2から吐出されるインクIbのインク滴との吐出特性のばらつきを低減して印刷品質を向上することができる。
【0168】
また、第1流出口Fa1_outおよび第3流出口Fb1_outは、+X方向に並設され、第1導入口Rin1および第2導入口Rin2は、+Y方向に並設されている。そして、+Z方向に見た平面視において、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとの中心位置と第1導入口Rin1と第3導入口Rin3との中心位置が略一致する。ここで、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとの中心位置と第1導入口Rin1と第3導入口Rin3との中心位置が略一致するとは、+Z方向に見て第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとの中心に配置した仮想の流出口V_outと、第1導入口Rin1と第3導入口Rin3との中心に配置した仮想の導入口V_inとの少なくとも一部が重なることを言う。
【0169】
仮想の流出口V_outは、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとを結ぶ線分Ls1の中心にその中心が配置されたものである。また、仮想の流出口V_outの大きさは、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとにおいてどちらか大きい方の開口と同じ大きさである。
【0170】
仮想の導入口V_inとは、第1導入口Rin1と第3導入口Rin3とを結ぶ線分Ls2の中心にその中心が配置されたものである。また、仮想の導入口V_inの大きさは、第1導入口Rin1と第3導入口Rin3とにおいてどちらか大きい方の開口と同じ大きさである。
【0171】
そして、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとの中心位置と第1導入口Rin1と第3導入口Rin3との中心位置が略一致するとは、仮想の流出口V_outと仮想の導入口V_inとが、+Z方向に見て少なくとも一部が重なっていることを含む。このように第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとの中心位置と第1導入口Rin1と第3導入口Rin3との中心位置を略一致させることにより、第1フィルター室Fa1の下流の第1流出流路Sa3と、第3フィルター室Fb1の下流の第3流出流路Sb3との流路長のばらつきを低減することができ、第1流出流路Sa3と第3流出流路Sb3との圧力損失のばらつきを低減することができる。したがって、第1導入口Rin1に連通する第1ノズル列La1から吐出されるインクIaのインク滴の吐出特性と、第3導入口Rin3に連通する第3ノズル列Lb1から吐出されるインクIbのインク滴の吐出特性のばらつきを低減して印刷品質を向上することができる。
【0172】
なお、仮想の流出口V_outと仮想の導入口V_inとは、+Z方向に見て完全に重なるのがさらに好適である。ちなみに、仮想の流出口V_outと仮想の導入口V_inとが、+Z方向に見て完全に重なるとは、例えば、仮想の流出口V_outと仮想の導入口V_inとの何れか一方が他方に比べて大きな開口面積を有する場合には、他方の開口が一方の開口に完全に重なっていることを言う。また、仮想の流出口V_outの中心と、仮想の導入口V_inの中心とが+Z方向に見て同じ位置に配置されているのがさらに好適である。これにより、さらに第1流出流路Sa3と第3流出流路Sb3との流路長のばらつきを低減することができ、第1流出流路Sa3と第3流出流路Sb3との圧力損失のばらつきを低減することができる。
【0173】
なお、本実施形態では、上述のように第1フィルター室Fa1と第3フィルター室Fb1とは、+X方向に隣り合うように配置されると共に、+Z方向に見て+Y方向に長尺となる形状を有する。このため、第1フィルター室Fa1及び第3フィルター室Fb1の形状及び配置によっても第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとを近づけて配置することができる。したがって、第1流出口Fa1_outから第1導入口Rin1までの流路である第1流出流路Sa3と、第3流出口Fb1_outから第3導入口Rin3までの流路である第3流出流路Sb3との流路長を短くすることができ、第1流出流路Sa3と第3流出流路Sb3との圧力損失のばらつきを低減することができる。
【0174】
なお、第2流出口Fa2_outおよび第4流出口Fb2_outと第2導入口Rin2および第4導入口Rin4についても、第1流出口Fa1_outおよび第3流出口Fb1_outと第1導入口Rin1および第4導入口Rin4と同じ関係となっている。つまり、
図16に示すように、第2流出口Fa2_outおよび第4流出口Fb2_outと+X方向に並設され、第2導入口Rin2および第4導入口Rin4は、+Y方向に並設されている。そして、+Z方向に見た平面視において、第2流出口Fa2_outと第4流出口Fb2_outとの中心位置と第2導入口Rin2と第4導入口Rin4との中心位置が略一致する。この第2流出口Fa2_outと第4流出口Fb2_outとの中心位置と第2導入口Rin2と第4導入口Rin4との中心位置が略一致するとは、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとの中心位置と第1導入口Rin1と第3導入口Rin3との中心位置との関係と同じであるため重複する説明は省略する。このように、第2流出口Fa2_outと第4流出口Fb2_outとの中心位置と第2導入口Rin2と第4導入口Rin4との中心位置を略一致させることにより、第2フィルター室Fa2の下流の第2流出流路Sa4と、第4フィルター室Fb2の下流の第4流出流路Sb4との流路長のばらつきを低減することができ、第2流出流路Sa4と第4流出流路Sb4との圧力損失のばらつきを低減することができる。したがって、第2導入口Rin2に連通する第2ノズル列La2から吐出されるインクIaのインク滴の吐出特性と、第4導入口Rin4に連通する第4ノズル列Lb2から吐出されるインクIbのインク滴の吐出特性のばらつきを低減して印刷品質を向上することができる。
【0175】
なお、本実施形態では、第1流出口Fa1_out、第3流出口Fb1_out、第1導入口Rin1及び第3導入口Rin3と、第2流出口Fa2_out、第4流出口Fb2_out、第2導入口Rin2及び第4導入口Rin4とは、略点対称となるように配置されている。このため、第1流出流路Sa3及び第3流出流路Sb3と、第2流出流路Sa4及び第4流出流路Sb4との流路長のばらつきを抑制して、圧力損失のばらつきを低減することができる。したがって、第2流出流路Sa4及び第4流出流路Sb4との圧力損失のばらつきを低減することで、第1ノズル列La1、第3ノズル列Lb1、第2ノズル列La2、第4ノズル列Lb2から吐出されるインク滴の吐出特性を揃えて、印刷品質を向上することができる。
【0176】
また、本実施形態の流路部材60には、さらに第1排出路Daと第2排出路Dbとが設けられている。
【0177】
図12、
図13、
図18、
図19に示すように、第1排出路Daは、上流から下流に向かって2つの第1排出貫通部Da1と、第1排出分岐部Da2と、第1排出部Da3と、を具備する。
【0178】
第1排出貫通部Da1は、一端が第5流路基板85の+Z方向側の面に開口するように、第4流路基板84をZ軸に亘って貫通して設けられている。このような第1排出貫通部Da1は、本実施形態では、2つ設けられている。すなわち、2つの第1排出貫通部Da1は、第1ヘッドチップ44Aの一方の排出口Routと、第2ヘッドチップ44Bの一方の排出口Routとのそれぞれに対応するホルダー30の連通路34に連通する位置に設けられている。
【0179】
第1排出分岐部Da2は、第4流路基板84と第5流路基板85とが互いに固定された界面に設けられたものであり、XY平面の面内方向に沿って延設されたものである。第1排出分岐部Da2は、両端のそれぞれで第1排出貫通部Da1の第4流路基板84の-Z方向側の面に開口する他端に連通する。
【0180】
第1排出部Da3は、流路部材60内から外部にインクを排出するためのものであり、第1流路基板81の-Z方向に突出する排出管PAout内から第1流路基板81、第2流路基板82、第3流路基板83及び第4流路基板84をZ軸に亘って貫通して設けられている。第1排出部Da3は、一端が第1排出分岐部Da2の途中に連通して設けられている。本実施形態では、第1排出部Da3は、第1排出分岐部Da2の+X方向の一端部側に連通して設けられている。
【0181】
このような第1排出路Daでは、2つのヘッドチップ44のそれぞれの排出口Routから排出されたインクIaは、ホルダー30の連通路34、第1排出貫通部Da1を経て第1排出分岐部Da2で合流し、第1排出部Da3、排出チューブTAoutを経由して液体容器2Aに戻される。
【0182】
第2排出路Dbは、上流側から下流側に向かって第2排出貫通部Db1と、第2排出分岐部Db2と、第2排出部Db3と、を具備する。
【0183】
第2排出貫通部Db1は、一端が第4流路基板84の+Z方向側の面に開口するように、第4流路基板84と第5流路基板85とをZ軸に亘って貫通して設けられている。このような第2排出貫通部Db1は、本実施形態では、2つ設けられている。すなわち、2つの第2排出貫通部Db1は、第2ヘッドチップ44Bの他方の排出口Routと、第2ヘッドチップ44Bの他方の排出口Routとのそれぞれに対応するホルダー30の連通路34に連通する位置に設けられている。
【0184】
第2排出分岐部Db2は、第3流路基板83と第4流路基板84とが互いに固定された界面に設けられたものであり、XY平面の面内方向に沿って延設されたものである。第2排出分岐部Db2は、両端のそれぞれで第2排出貫通部Db1の第3流路基板83の-Z方向側の面に開口する他端に連通する。
【0185】
第2排出部Db3は、流路部材60内から外部にインクを排出するためのものであり、第1流路基板71の-Z方向に突出する排出管PBout内から第1流路基板81、第2流路基板82及び第3流路基板83をZ軸に亘って貫通して設けられている。第2排出部Db3は、一端が第2排出分岐部Db2の途中に連通して設けられている。本実施形態では、第2排出部Db3は、第2排出分岐部Db2の+X方向の一端部側に連通して設けられている。
【0186】
このような第2排出路Dbでは、2つのヘッドチップ44のそれぞれの排出口Routから排出されたインクIbは、ホルダー30の連通路34、第2排出貫通部Db1を経て第2排出分岐部Db2で合流し、第2排出部Db3、排出チューブTBoutを経由して液体容器2Bに戻される。
【0187】
上述した構成の記録ヘッド10は、液体容器2から流路部材60を介してヘッドチップ44にインクが供給されるとともに、制御ユニット3から中継基板73等を介してヘッドチップ44に印刷信号等が送信され、印刷信号等に基づいてヘッドチップ44内の圧電アクチュエーター484が駆動することによってノズルNからインク滴を噴射する。
【0188】
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ヘッドであるインクジェット式記録ヘッド10では、第1方向である+X方向に長尺で第2方向である+Y方向に短尺なインクジェット式記録ヘッドであり、+X方向及び+Y方向に直交する第3方向である+Z方向に液体であるインクを噴射する。また、インクジェット式記録ヘッド10は、外部からインクを導入するための第1導入部Sa1と、外部からインクを導入するための第2導入部Sb1と、第1フィルター室Fa1および第2フィルター室Fa2を有する第1フィルター室群Faと、第3フィルター室Fb1および第4フィルター室Fb2を有する第2フィルター室群Fbと、第1導入部Sa1から第1フィルター室群Faへ液体を供給する第1供給流路Sa2と、第2導入部Sb1から前記第2フィルター室群Fbへ液体を供給する第2供給流路Sb2と、を具備する。また、第1導入部Sa1、第2導入部Sb1、第1フィルター室群Faおよび第2フィルター室群Fbが、この順で+X方向に向かって並んで配置されている。
【0189】
このように第1導入部Sa1、第2導入部Sb1、第1フィルター室群Fa及び第2フィルター室群Fbをこの順で+X方向に向かって並んで配置することで、第1供給流路Sa2と第2供給流路Sb2との流路長のばらつきを低減することができる。したがって、第1供給流路Sa2と第2供給流路Sb2との圧力損失のばらつきを低減して、ヘッドチップ44へインクを供給する供給圧力のばらつきを低減することができる。したがって、ヘッドチップ44において、第1供給流路Sa2から供給されたインクを吐出する吐出特性と、第2供給流路Sb2から供給されたインクを吐出する吐出特性とのばらつきを低減して、印刷品質を向上することができる。
【0190】
また、本実施形態の記録ヘッド10では、第1供給流路Sa2は、第1分岐位置Sc1で分岐されて第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とに液体であるインクを分配させる。また、第2供給流路Sb2は、第2分岐位置Sc2で分岐されて前記第3フィルター室Fb1と前記第4フィルター室Fb2とにインクを分配させる。そして、第1分岐位置Sc1は、第3方向である+Z方向に見た平面視で第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との間に配置され、第2分岐位置Sc2は、平面視で第3フィルター室Fb1と第4フィルター室Fb2との間に配置されていることが好ましい。このように第1分岐位置Sc1を第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2の間に配置することで、第1分岐位置Sc1から第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2までの第1分岐部Sa25の流路長を短くして、分岐される前の第1導入部Sa1から第1分岐位置Sc1までの共通する流路の流路長を長くすることができる。したがって、第1分岐部Sa25の流路長が長くなる場合に比べて、第1供給流路Sa2のレイアウトを簡素化することができる。同様に、第2分岐位置Sc2を第3フィルター室Fb1及び第4フィルター室Fb2の間に配置することで、第2分岐位置Sc2から第3フィルター室Fb1及び第4フィルター室Fb2までの第2分岐部Sb25の流路長を短くして、分岐される前の第2導入部Sb1から第2分岐位置Sc2までの共通する流路の流路長を長くすることができる。したがって、第2分岐部Sb25の流路長が長くなる場合に比べて、第2供給流路Sb2のレイアウトを簡素化することができる。
【0191】
また、本実施形態の記録ヘッド10では、第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、第2方向である+Y方向に間隔を空けて配置され、第3フィルター室Fb1と第4フィルター室Fb2とは、+Y方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。このように第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とを+Y方向に間隔を空けて配置すると共に、第3フィルター室Fb1と第4フィルター室Fb2とを+Y方向に間隔を空けて配置することで、第1フィルター室Fa1、第2フィルター室Fa2、第3フィルター室Fb1及び第4フィルター室Fb2を第1方向である+X方向に並設する場合に比べて、第1分岐位置Sc1と第2分岐位置Sc2との距離を短くすることができる。このように第1分岐位置Sc1と第2分岐位置Sc2との距離を短くすることができるため、第1分岐位置Sc1から第1導入部Sa1までの流路長と、第2分岐位置Sc2から第2導入部Sb1までの流路長とを揃えるために、第1導入部Sa1と第2導入部Sb1とを近接して配置することができる。したがって、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を比較的近接して配置することで、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1のそれぞれに装着されるチューブを纏めることができ、チューブの取り回しに必要なスペースを減少させてチューブが他の部材と干渉するのを低減することができる。また、コネクター75等と第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1とが互いに干渉するのを抑制することができ、コネクター75を配置するスペースを確保することができる。また、コネクター75と第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を比較的離れた位置に配置することができるため、コネクター75への配線の着脱や、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1へのチューブの着脱を容易に行うことができる。また、コネクター75と第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を比較的離れた位置に配置することができるため、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1にチューブを着脱した際にインクが漏出したとしても、コネクター75にインクが付着するのを抑制して、コネクター75にインクが付着することによる電気的な不具合が発生するのを抑制することができる。
【0192】
また、本実施形態の記録ヘッド10では、第3フィルター室Fb1は、第1フィルター室Fa1に対して第1方向である+X方向に並設され、第4フィルター室Fb2は、第2フィルター室Fa2に対して+X方向に並設されていることが好ましい。
【0193】
また、本実施形態の記録ヘッド10では、第1フィルター室Fa1は、液体であるインクを流出させる第1流出口Fa1_outを有し、第3フィルター室Fb1は、インクを流出させる第3流出口Fb1_outを有し、インクを噴射する第1ノズル列La1および第3ノズル列Lb1を有する第1ヘッドチップ44Aを備える。また、第1ヘッドチップ44Aは、第1流出口Fa1_outから流出されると共に第1ノズル列La1へ供給されるインクを導入するための第1導入口Rin1と、第3流出口Fb1から流出されると共に第3ノズル列Lb2へ供給されるインクを導入するための第3導入口Rin3と、を有する。そして、第3方向である+Z方向に見た平面視で、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとを結ぶ線分Ls1と、第1導入口Rin1と第3導入口Rin3とを結ぶ線分Ls2とが重なることが好ましい。このように、線分Ls1と線分Ls2とが重なるように第1流出口Fa1_out、第3流出口Fb1_out、第1導入口Rin1、第3導入口Rin3を配置することで、第1フィルター室Fa1の下流の第1流出流路Sa3と、第3フィルター室Fb1の下流の第3流出流路Sb3との流路長のばらつきを低減することができ、第1流出流路Sa3と第3流出流路Sb3との圧力損失のばらつきを低減することができる。したがって、第1導入口Rin1に連通する第1ノズル列La1から吐出されるインク滴の吐出特性と、第3導入口Rin3に連通する第3ノズル列Lb2から吐出されるインク滴の吐出特性のばらつきを低減して印刷品質を向上することができる。
【0194】
また、本実施形態の記録ヘッド10では、第1流出口Fa1_outおよび第3流出口Fb1_outは、第1方向である+X方向に並設され、第1導入口Rin1および第3導入口Rin3は、第2方向である+Y方向に並設され、第3方向である+Z方向に見た平面視において、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとの中心位置と、第1導入口Rin1と第3導入口Rin3との中心位置とが略一致することが好ましい。このように、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとの中心位置と、第1導入口Rin1と第3導入口Rin3との中心位置とを略一致させる位置に配置することで、第1流出口Fa1_outから第1導入口Rin1までの流路である第1流出流路Sa3と、第3流出口Fb1_outから第3導入口Rin3までの流路である第3流出流路Sb3との流路長のばらつきを低減することができ、第1流出流路Sa3と第3流出流路Sb3との圧力損失のばらつきを低減することができる。
【0195】
また、本実施形態の記録ヘッド10では、第1フィルター室Fa1及び第3フィルター室Fb1は、第2方向である+Y方向に長尺であることが好ましい。このように第1フィルター室Fa1及び第3フィルター室Fb1を+Y方向に長尺とすることで、第1流出口Fa1_outと第3流出口Fb1_outとを近づけて配置することができる。したがって、第1流出口Fa1_outから第1導入口Rin1までの流路である第1流出流路Sa3と、第3流出口Fb1_outから第3導入口Rin3までの流路である第3流出流路Sb3との流路長を短くすることができ、第1流出流路Sa3と第3流出流路Sb3との圧力損失のばらつきを低減することができる。
【0196】
また、本実施形態の記録ヘッド10では、第3方向である+Z方向に見た平面視における記録ヘッド10の形状は、第1部分P1と、第1部分P1と隣接するとともに第1部分P1から第1方向である+X方向とは反対方向に突出する第2部分P2と、を有する。また、第2部分P2の第2方向である+Y方向における寸法W2は、第1部分P1の+Y方向における寸法W1よりも小さく、第2部分P2は、+Y方向又は+Y方向とは反対方向である-Y方向に偏って配置されている。また、第1導入部Sa1および第2導入部Sb1は、+Z方向に見た平面視で第2部分P2に重複するように配置され、第1フィルター室群Fa及び第2フィルター室群Fbは、+Z方向に見た平面視で第1部分P1に重複するように配置されていることが好ましい。本実施形態では、第2部分P2は、第1部分P1に対して+Y方向に偏って配置されている。
【0197】
このように、第2部分P2を設けることにより、複数の記録ヘッド10を+Y方向に並設した際に、+X方向で互いに隣り合う記録ヘッド10のノズルNを+X方向で部分的に重複させて、+X方向に亘って連続したノズルNの列を形成することができる。また、複数の記録ヘッド10を+X方向に並設した際に、第2部分P2を設けることで、+Y方向に小型化することができる。また、第2部分P2に第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を設けることで、記録ヘッド10に第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を設けるスペースを第1部分P1及び第2部分P2よりも外側に設ける必要がなく、記録ヘッド10が大型化するのを抑制することができる。また、第2部分P2に、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を設けることで、第1部分P1に第1フィルター室群Fa及び第2フィルター室群Fbを設けるスペースを確保することができ、比較的広い面積のフィルターFを設けて、フィルターFによる圧力損失を低減することができる。また、第2部分P2に、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を設けることで、第1部分P1に電気的要素であるコネクター75を設けることができ、スペースを有効活用して記録ヘッド10の小型化を図ることができる。さらに、第2部分P2に第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を設けることで、第1部分P1に設けられたコネクター75から離れた位置に第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を設けることができる。したがって、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1が設けられた供給管PAin及び供給管PBinの各々にチューブを着脱する際に漏出したインクが電気的要素であるコネクター75に付着し難く、インクがコネクター75に付着することによる電気的な不具合を抑制することができる。
【0198】
また、本実施形態の記録ヘッド10では、第2部分P2の第2方向である+Y方向における寸法W2は、第1部分P1の+Y方向における寸法W1の半分未満であり、第2部分P2は、+Y方向における第1部分P1の中心を示す中心線L1よりも、+Y方向又は-Y方向に配置されていることが好ましい。これにより、記録ヘッド10を第2方向である+Y方向にさらに小型化することができるため、複数の記録ヘッド10を支持体101に配置し易くなり、ヘッドモジュール100を+Y方向に小型化することができる。また、+X方向に隣り合う記録ヘッド10のノズル列同士を+X方向で重複させながら+X方向に並べることができる。
【0199】
また、本実施形態の記録ヘッド10では、第1導入部Sa1および第2導入部Sb1の第2方向である+Y方向における各寸法W3、W4は、第2部分P2の+Y方向における寸法W2の半分以上であることが好ましい。このように、第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1のそれぞれの寸法W3、W4を第2部分P2の寸法W2の半分以上とすることで、第1導入部Sa1、第2導入部Sb1を大きくして供給性能を向上させることができる。また、第2部分P2の+Y方向における寸法W2を小さくするために第1導入部Sa1及び第2導入部Sb1を+X方向にずらして配置したとしても、第1導入部Sa1、第2導入部Sb1、第1フィルター室群Fa、第2フィルター室群Fbをこの順に+X方向に向かって配置することで、第1導入部Sa1と第1フィルター室群Faとを接続する第1供給流路Sa2と、第2導入部Sb1と第2フィルター室群Fbとを接続する第2供給流路Sb2との流路長のばらつきを低減して、圧力損失のばらつきを低減することができる。
【0200】
また、本実施形態の液体噴射装置であるインクジェット式記録装置1では、上述した記録ヘッド10と、媒体Sを搬送する搬送部である搬送機構4と、を備える。このようなインクジェット式記録装置1では、記録ヘッド10から吐出されるインクの吐出特性のばらつきを低減して、印刷品質を向上することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
【0201】
例えば、上述した実施形態1では、第2フィルター室Fa2が第1フィルター室Fa1に対して+X方向にずれた位置に配置された構成を例示したが、特にこれに限定されず、第2フィルター室Fa2が第1フィルター室Fa1に対して-X方向にずれた位置に配置されていてもよい。第3フィルター室Fb1及び第4フィルター室Fb2についても同様に、第4フィルター室Fb2が第3フィルター室Fb1に対して+-X方向にずれた位置に配置されていてもよい。
【0202】
また、上述した実施形態1では、第1供給路Saと第2供給路Sbとに異なる色のインクIa、インクIbを供給するようにしたが、特にこれに限定されず、第1供給路Saと第2供給路Sbとに同じ色のインクを供給するようにしてもよい。
【0203】
また、上述した実施形態1では、第1ノズル列La1と第2ノズル列La2とは、+Y方向に見て一部が重なる位置に配置された構成を例示したが、特にこれに限定されず、第1ノズル列La1と第2ノズル列La2とは、+Y方向に見て重ならない位置に配置されていてもよい。第3ノズル列Lb1と第4ノズル列Lb2についても同様である。
【0204】
また、上述した実施形態1では、第1フィルター室群Faを構成する第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、+Y方向に見て互いの一部が重なるようにして+X方向にずれて配置されるようにしたが、特にこれに限定されない。ここで、第1フィルター室群Faの変形例を
図20及び
図21に示す。なお、
図20及び
図21は、第1フィルター室群Faの変形例を示す平面図である。
【0205】
図20及び
図21に示すように、第1フィルター室群Faを構成する第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2とは、+Y方向に見て完全に重なるように、+X方向に同じ位置に配置されている。
【0206】
また、
図20に示すように、第1フィルター室Fa1にインクが流入する第1流入口Fa1_inと、第2フィルター室Fa2にインクが流入する第2流入口Fa2_inとは、第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2のX軸において同じ側、本実施形態では、-X方向の端部に設けられていてもよい。
【0207】
また、第1流出口Fa1_outは、X軸において第1流入口Fa1_inとは反対側である+X方向の端部であって、+Y方向における第1フィルター室Fa1の中心Fa1cよりも-Y方向側の領域S3に配置されていことが好ましい。これにより、第1流入口Fa1_inと第1流出口Fa1_outとを第1フィルター室Fa1の対角線上の離れた位置近傍に配置することができ、第1フィルター室Fa1内でインクの淀みが生じるのを抑制することができる。
【0208】
第2流出口Fa2_outは、X軸において第2流入口Fa2_inとは反対側である+X方向の端部であって、+Y方向における第2フィルター室Fa2の中心Fa2cよりも+Y方向側の領域S4に配置されていることが好ましい。これにより、第2流入口Fa2_inと第2流出口Fa2_outとを第2フィルター室Fa2の対角線上の離れた位置近傍に配置することができ、第2フィルター室Fa2内でインクの淀みが生じるのを抑制することができる。
【0209】
また、第1流入口Fa1_inと第1流出口Fa1_outとは、第1フィルター室Fa1の対角線上及びこの周辺に配置されていなくてもよい。すなわち、
図21に示すように、第1流入口Fa1_in及び第1流出口Fa1_outは、第1フィルター室Fa1の+X方向において中央部に配置されていてもよい。なお、第1流出口Fa1_outは、+Y方向における第1フィルター室Fa1の中心Fa1cよりも-Y方向側の領域S3に配置されていることが好ましい。第2流出口Fa2_outは、+Y方向における第2フィルター室Fa2の中心Fa2cよりも+Y方向側の領域S4に配置されていることが好ましい。このように、第1流入口Fa1_in、第1流出口Fa1_out、第2流入口Fa2_in、第2流出口Fa2_outを第1フィルター室Fa1、第2フィルター室Fa2の+X方向の中央部に配置した場合、上述した実施形態1及び
図20に比べて第1フィルター室Fa1及び第2フィルター室Fa2内でインクの淀みが生じ易い。よって、上述した実施形態1及び
図20に示すように、第1流入口Fa1_inと第1流出口Fa1_outとは、第1フィルター室Fa1の対角線上及びこの周辺に配置されているのが好ましい。同様に、第2流入口Fa2_inと第2流出口Fa2_outとは、第2フィルター室Fa2の対角線上及びこの周辺に配置されているのが好ましい。
【0210】
なお、第2フィルター室群Fbについても
図20及び
図21と同様の構成とすることが可能である。
【0211】
また、上述した実施形態1では、第1分岐部Sa25、第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inは、+Z方向において同じ位置に配置されているが特にこれに限定されない。ここで、第1供給路Saの変形例を
図22に示す。なお、
図22は、第1供給路Saの一部を示す斜視図である。
【0212】
第1分岐部Sa25は、第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inに接続された一対の第1流路部Sa251と、一対の第1流路部Sa251に接続された一対の第2流路部Sa252と、一対の第2流路部Sa252と第1接続部Sa24を接続する第3流路部Sa253と、を具備する。
【0213】
一対の第1流路部Sa251は、第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inと+Z方向に同じ位置に設けられおり、第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inとそれぞれ一端が連通する。この一対の第1流路部Sa251は、X軸に沿って設けられている。
【0214】
一対の第2流路部Sa252は、Z軸に沿って設けられた部分であり、一方の第2流路部Sa252は、一方の第1流路部Sa251の他端と、第3流路部Sa253の一端とを接続する。また、他方の第2流路部Sa252は、他方の第1流路部Sa251の他端と、第3流路部Sa253の他端とを接続する。
【0215】
第3流路部Sa253は、第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inと+Z方向に異なる位置、本実施形態では、第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inよりも-Z方向側に配置されている。この第3流路部Sa253の途中に第1接続部Sa24が接続されている。すなわち、第1分岐位置Sc1は、第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inと+Z方向に異なる位置に配置されている。
【0216】
このような構成では、第1分岐位置Sc1は、上述した実施形態1と同様に、+Z方向に見た平面視において第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との間に配置されている。このため、
図22に示すように、第1分岐部Sa25の一部が、第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inと+Z方向に異なる位置に配置されていたとしても、第1分岐位置Sc1を第1フィルター室Fa1と第2フィルター室Fa2との間の領域S1に配置することで、第1分岐位置Sc1を領域S1以外に配置する場合に比べて第1分岐部Sa25の流路長を比較的短くすることができる。もちろん、上述した実施形態1のように、第1分岐部Sa25を、第1流入口Fa1_in及び第2流入口Fa2_inと+Z方向に同じ位置に配置されていた方が、第1分岐部Sa25の流路長を短くして、圧力損失のばらつきを抑制することができる。
【0217】
また、上述した実施形態1では、第1供給路Sa、第2供給路Sbの2つの供給路を有する記録ヘッド10を例示したが、特にこれに限定されず、3つ以上の供給路を有する記録ヘッド10であってもよい。3つの供給路を第1供給路、第2供給路、第3供給路とし、それぞれの供給路の導入部とフィルター室群とが設けられているとすると、第1供給路の導入部及びフィルター室群を特許請求の範囲に記載の「第1導入部」及び「第1フィルター室群」とし、第2供給路の導入部及びフィルター室群を特許請求の範囲に記載の「第2導入部」及び「第2フィルター室群」として、特許請求の範囲に記載の構成が適用されればよい。また、第2供給路の導入部及びフィルター室群を特許請求の範囲に記載の「第1導入部」及び「第1フィルター室群」とし、第3供給路の導入部及びフィルター室群を特許請求の範囲に記載の「第2導入部」及び「第2フィルター室群」として、第2供給路と第3供給路との間でも特許請求の範囲に記載の構成を適用すればよい。もちろん、供給路が4つ以上であっても、上述した構成と同様の構成を適用することができる。これにより、3つ以上の複数の供給路においても、流路長のばらつきを低減して、圧力損失のばらつきを低減し、インク滴の吐出特性のばらつきを抑制することができる。
【符号の説明】
【0218】
1…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、2、2A、2B…液体容器、3…制御ユニット、4…搬送機構、4a…搬送ローラー、6…移動機構、7…搬送体、8…搬送ベルト、10…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、30…ホルダー、31…収容部、33…凹部、34…連通路、35…フランジ部、36…固定板、37…露出開口部、39…配線挿通孔、44…ヘッドチップ、44A…第1ヘッドチップ、44B…第2ヘッドチップ、60…流路部材、63…接続開口部、65…カバー部材、67…貫通孔、71…第1流路基板、72…第2流路基板、73…中継基板、75…コネクター、81…第1流路基板、82…第2流路基板、83…第3流路基板、84…第4流路基板、85…第5流路基板、100…ヘッドモジュール、101…支持体、102…支持孔、103…固定口、104…ネジ穴、105…ネジ、200…ポンプ、481…流路形成基板、481A…開口部、481B…個別流路、481C…連通流路、482…圧力室基板、482A…開口部、483…振動板、484…圧電アクチュエーター、485…筐体部、486…保護基板、487…ノズルプレート、488…緩衝板、Da…第1排出路、Da1…第1排出貫通部、Da2…第1排出分岐部、Da3…第1排出部、Db…第2排出路、Db1…第2排出貫通部、Db2…第2排出分岐部、Db3…第2排出部、F…フィルター、Fa…第1フィルター室群、Fa1…第1フィルター室、Fa1a…内壁、Fa11…第1上流フィルター室、Fa12…第1下流フィルター室、Fa1_in…第1流入口、Fa1_out…第1流出口、Fa2…第2フィルター室、Fa2a…内壁、Fa21…第2上流フィルター室、Fa22…第2下流フィルター室、Fa2_in…第2流入口、Fa2_out…第2流出口、Fb…第2フィルター室群、Fb1…第3フィルター室、Fb1a…内壁、Fb11…第3上流フィルター室、Fb12…第3下流フィルター室、Fb1_in…第3流入口、Fb1_out…第3流出口、Fb2…第4フィルター室、Fb2a…内壁、Fb21…第4上流フィルター室、Fb22…第4下流フィルター室、Fb2_in…第4流入口、Fb2_out…第4流出口、I…インク、L、La、Lb…ノズル列、La1…第1ノズル列、La2…第2ノズル列、Lb1…第3ノズル列、Lb2…第4ノズル列、N…ノズル、P1…第1部分、P2…第2部分、P3…第3部分、PAin…供給管、PAout…排出管、PBin…供給管、PBout…排出管、Rin…導入口、Rin1…第1導入口、Rin2…第2導入口、Rin3…第3導入口、Rin4…第4導入口、Rout…排出口、S…媒体、Sa…第1供給路、Sa1…第1導入部、Sa2…第1供給流路、Sa21…第1供給部、Sa22…第1貫通部、Sa23…第1連結部、Sa24…第1接続部、Sa25…第1分岐部、Sa25a、Sa25b…内壁、Sa25c…第1絞り部、Sa25d…第2絞り部、Sa251…第1流路部、Sa252…第2流路部、Sa253…第3流路部、Sa3…第1流出流路、Sa31…第1流出貫通部、Sa32…第1流出部、Sa33…第1流出接続部、Sa4…第2流出流路、Sa41…第2流出貫通部、Sa42…第2流出部、Sa43…第2流出接続部、Sb…第2供給路、Sb1…第2導入部、Sb2…第2供給流路、Sb21…第2供給部、Sb22…第2貫通部、Sb23…第2連結部、Sb24…第2接続部、Sb25…第2分岐部、Sb25a、Sb25b…内壁、Sb25c…第3絞り部、Sb25d…第4絞り部、Sb3…第3流出流路、Sb31…第3流出貫通部、Sb32…第3流出部、Sb33…第3流出接続部、Sb4…第4流出流路、Sb41…第4流出貫通部、Sb42…第4流出部、Sb43…第4流出接続部、Sc1…第1分岐位置、Sc2…第2分岐位置、SC…圧力室、SR…マニホールド、TAin…供給チューブ、TAout…排出チューブ、TBin…供給チューブ、TBout…排出チューブ、V_out…仮想の流出口、V_in…仮想の導入口