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▶ 川崎 隆治の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】播種装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 7/02 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
A01C7/02 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024011003
(22)【出願日】2024-01-29
【審査請求日】2024-01-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】713007558
【氏名又は名称】川崎 隆治
(72)【発明者】
【氏名】川崎 隆治
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-039906(JP,A)
【文献】特開2009-247341(JP,A)
【文献】特開昭57-194704(JP,A)
【文献】特開昭57-194703(JP,A)
【文献】実開昭63-061212(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C7/00-7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開口部と前記開口部のそれぞれと連通する複数のポットを規則的に配列した育苗トレイと、前記ポットの開口部と一致する位置突起をそれぞれ形成した播種器から成る播種装置であって、前記育苗トレイと前記播種器を重合することで、前記播種器の突起の先端部が前記育苗トレイの前記ポットの開口部より前記ポット内に挿入する長さに前記突起設定されている播種装置であり、前記播種器の突起は前記突起を支持する支持部により前記播種器に支持されており、前記播種器と前記支持部との間には前記突起にて播種した種子上を覆う覆土を前記ポット内に充填する孔が形成されていることを特徴とする播種装置。
【請求項2】
突起の先端部は、種子を付着させる部分であり、前記育苗トレイのポット
内に充填された培養土の上部近傍に、種子を播種する長さに前記突は設定されている請求項1に記載播種装置。
【請求項3】
播種器と支持部との間には突起にて播種した種子上を覆う覆土をポット内に充填する孔が育苗トレイの開口部と対面する位置に形成されている請求項1に記載播種装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗トレイの複数のポット内の培養土の上部近傍に種子を播種する播種装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
育苗トレイは、種から均一の苗を大量に育苗する資材で、ポットが複数並び設けられており、ポットの内部に充填、鎮圧された培養土の上部に種子を播種し、覆土で上部を覆い、水で冠水して使用するものである。
従来、種子の播種は、手指で種子をポット内の培養土の上部を目標にせ落下させたり、水で濡らせた爪楊枝、棒に種子を付着させ培養土の上部に種子を当接させたり、ピンセットで種子を一粒づつ挟み培養土の上部に置くため、神経的負荷が非常に大きく、作業時間も長時間となり精神的に疲弊する作業である。
前記問題を解決するために考案された特許文献1は、種子を篩うための正円の孔を設けた播種板と、種子を落下させる仕切板を重合した播種器で、育苗トレイのポット上部の仕切板を引き抜くことで、球形の種子がポット内の培養土上部に落下させて播種するものであり、大量の種子を短時間にポット内の培養土上部に播種することができる特徴がある。
しかし、播種板上に種子を投入し全ての透孔内に充填するため刷子で展延し、種子を透孔内に挿入するものであり、-播種する種子の形状は限定的で、均一な大きさの球形である必要があり、大きさが不均一な種子の場合、育苗トレイのポット内の播種に斑が生じ、また球形以外の種子や発芽した種子の播種が出来ない欠点があり、また種子の大きさ別に播種板を揃える必要があり不経済であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-095320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、種子の大きさ形状を限定せず発芽種子であっても、育苗トレイのポット内の培養土の上部近傍に種子が播種でき、覆土で上部を覆い、上部から潅水できる播種装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の播種装置は、複数の開口部と前記開口部のそれぞれと連通する複数のポットを規則的に配列した育苗トレイと、前記ポットの開口部と一致する位置突起をそれぞれ形成した播種器から成る播種装置であって、前記育苗トレイと前記播種器を重合することで、前記播種器の突起の先端部が前記育苗トレイの前記ポットの開口部より前記ポット内に挿入する長さに前記突起設定されている播種装置であり、前記播種器の突起は前記突起を支持する支持部により前記播種器に支持されており、前記播種器と前記支持部との間には前記突起にて播種した種子上を覆う覆土を前記ポット内に充填する孔が前記育苗トレイの前記開口部と対面する位置に形成されていることを特徴とする。
突起の先端部は、種子を付着させる部分であり、前記育苗トレイのポット
内に充填された培養土の上部近傍に、種子を播種する長さに前記突は設 定されているのが望ましい。
播種器と支持部との間には突起にて播種した種子上を覆う覆土をポット内に充填する孔が育苗トレイの開口部と対面する位置に形成されているのが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の播種装置によれば、発芽状態であっても種子の大きさ形状に関係なく、育苗トレイと播種器を重合させるだけで、播種器の突起の先端部に付着させた種子を、育苗トレイのポット内に充填された培養土の上部に播種できるため、播種作業の手間を軽減し作業効率を上げ、時間短縮される効果がある。
【0007】
請求項2記載の発明は、播種器の突起の先端部種子を付着させる部分としているため育苗トレイと突起の先端部に種子を付着させた播種器を重合させ、上部を覆土で覆うことで、簡単に育苗トレイのポット内の培養土上部に播種できる効果がある。
【0008】
請求項3記載の発明は、播種器に覆土を挿入する孔を備えたので、育苗トレイと播種器を重合させた状態で孔より覆土を挿入できるため、播種器の突起の先端部に付着させた種子を育苗トレイのポット内の培養土上部に播種でき、かつ灌水を可能とする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】育苗トレイの斜視図。
図2図1のA部拡大縦断面図。
図3】播種器の斜視図。
図4図3のB部拡大斜視図。
図5】育苗トレイのポット内に、培養土を充填鎮圧された状態の縦断模試図。
図6図5の培養土上部に、播種器の突起の先端部に付着させた種子を配した縦断模試図。
図7図6の培養土上部に、覆土を充填した状態の縦断模試図。
図8図7の状態から播種器を抜き取り、播種完了した縦断模試図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の播種装置1は、育苗トレイ20と播種器10を重合させることにより、ポット25内部の培養土35と覆土30間に種子40を播種する装置で、以下構造について説明する。
【0011】
育苗トレイ20は合成樹脂からなり、図1のように開口部と前記開口部のそれぞれと連通する複数のポット25を規則的に配列した構造で、ポット25は図2の拡大図のように、上部に開口部22、底部に排水口28を備え、内部は図5の縦断模試図のように一定量の培養土30が充填鎮圧している。
【0012】
播種器10は合成樹脂からなり、図3のような育苗トレイ20と重合する構造で、ポット25の開口部22の中央位置と一致する位置に突起15を形成している。
突起15は図4のB部拡大斜視図のように支持部13で立設され、その基部に覆土30を挿入する複数の孔18が設けられている。また突起15の長さは、図6のポット25内の縦断模試図のように培養土30の上部に到達する長さ以上としている。さらに突起15の先端部17は、種子40を吸着させる部分で、静電吸着を有する合成樹脂であってもよい。
【0013】
以下、本発明の播種装置1の使用方法について説明する。
前準備として、育苗トレイ20はポット25の開口部22より適量の培養土30を充填し、上方より鎮圧する。
一方、播種器10は突起15の先端部17を、粘着力を有する水、糖液などが入った容器に浸し、種子40が入った容器に挿入し、種子40を突起15の先端部17付着させる。
また、播種器10は突起15の先端部17を静電吸着を有する合成樹脂にした場合、水、糖液などが入った容器に浸さなくても、種子40の形状状態によっては、突起15の先端部17付着させることが可能である。
【0014】
次に、育苗トレイ20はポット25の開口部22より、播種器10の突起15の先端部17を挿入し重合せる。
重合により、播種器10の突起15の先端部17に付着した種子40は、図6の縦断模試図のように育苗トレイ20のポット25内の培養土30の上部に播種される。
続いて、図4の播種器10の孔18から必要量の覆土35を培養土30の上部に重層することで、図7の縦断模試図のように種器10の突起15の先端部17に付着した種子40が、育苗トレイ20のポット25内の培養土30の上部に埋設される。
さらに、重合状態にある育苗トレイ20の開口部22より播種器10を抜き取ると、図8の縦断模試図のように、播種器10の突起15の先端部17に付着していた種子40が、種子40の上部を覆う覆土35の重みと周囲の重圧で、種子40が、培養土30と覆土35の隣接近傍に留置される。
【0015】
またさらに、図7または図の段階で育苗トレイ20のポット25の開口部22上部より水、液肥で潅水することができる。
【0016】
本発明の播種装置によれば、種子の大きさ、形状を限定せず、発芽種子であっても播種器の突起の先端部に付着していた種子は、育苗トレイと播種器の重合と適度な覆土の上部重層により、育苗トレイの複数のポット内で培養土と覆土の隣接近傍に播種でき、かつ上部からの潅水を可能とし、播種作業の容易、効率化、時間短縮を可能とする。
【0017】
開口部を備えた複数のポットを規則的に配列した前記育苗トレイと、ポットの開口部と一致する位置に突起を複数形成した前記播種器から成る播種装置であって、突起の基部に、突起を固定する支持部とポット内に覆土を挿入する孔を備え、前記育苗トレイと前記播種器を重合することで、前記播種器の突起の先端部が育苗トレイのポットの開口部より挿入し、液体を漬けた突起の先端部に種子を付着させ、ポット内に充填された培養土の上部に種子を播種し、覆土で上部を覆い、上部から水で潅水する。
【符号の説明】
【0018】
1:播種装置
10:播種器
13:支持部
15:突起
17:先端部
18:孔
20:育苗トレイ
22:開口部
25:ポット
28:排水口
30:培養土
35: 覆土
40: 種子





【要約】      (修正有)
【課題】種子の大きさ、形状を限定せず、発芽種子であっても、複数のポット内の培土の上部に播種でき、上部を覆土で覆い潅水できる播種装置を提供する。
【解決手段】開口部を備えた複数のポットを規則的に配列した育苗トレイと、ポットの開口部と一致する位置に突起を複数形成した播種器から成る播種装置であって、突起の基部に、突起を固定する支持部とポット内に覆土を挿入する孔を備え、育苗トレイと播種器を重合することで、播種器の突起の先端部が育苗トレイのポットの開口部より挿入し、突起の先端部に種子を粘液、静電材で付着させ、前記育苗トレイのポット内に充填された培養土の上部に種子を留置し、上部から潅水することができるようにすることで上記課題を解決した。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8