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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240522BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240522BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20240522BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
G09F9/30 397
G09F9/33
G09F9/302 Z
G09F9/30 349C
G09F9/00 361
G09F9/00 302
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023040955
(22)【出願日】2023-03-15
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】515339147
【氏名又は名称】株式会社ワイズテックファクトリー
(73)【特許権者】
【識別番号】516064699
【氏名又は名称】田中 冬人
(73)【特許権者】
【識別番号】523095543
【氏名又は名称】樋口 吉浩
(74)【代理人】
【識別番号】100185454
【弁理士】
【氏名又は名称】三雲 悟志
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】田中 冬人
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0108516(US,A1)
【文献】特開2016-219266(JP,A)
【文献】登録実用新案第3224770(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0173619(US,A1)
【文献】特開平11-065505(JP,A)
【文献】特開2018-198728(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第03065778(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0159846(US,A1)
【文献】米国特許第08727918(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0261083(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00-47/04
A63B 67/00-67/22
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 19/00-19/06
F21V 23/00-99/00
G09F 9/00-9/46
G09F 19/00-27/00
H01L 27/15
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の殻体と、
前記殻体の内方に配置され、可視光領域の波長の光を発光する発光ダイオードおよび紫外線領域の波長の光を発光する発光ダイオードを含む発光素子と、
前記殻体の内方に配置され、発光データに合わせて発光素子を発光または消灯させる発光回路と、
前記殻体に含まれたハロゲン化銀を含む遮光手段と、
前記殻体の内方に配置され、発光素子の発光データを記憶する記憶装置と、
前記殻体の外方と内方とで少なくとも発光データを通信するための通信装置と、
前記殻体の内方に配置され、発光素子を発光させるための電力を蓄電する蓄電装置と、
前記殻体の外方から内方に電力を供給するための給電装置と、
前記殻体を含む発光体を下方に落下させる落下装置と、
前記発光データの通信および殻体の落下を制御する制御装置と、
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記殻体の内方の記憶装置に記憶される発光データは、単位時間当たりのデータ量が殻体の落下後の経過時間に応じて多くなる請求項の表示装置。
【請求項3】
前記記憶装置に記憶される発光データは、発光体が落下し始めてから落下し終わるまでの複数の表示フレームのデータである請求項の表示装置。
【請求項4】
前記殻体の色が光透過可能な白色または透明を含む請求項1の表示装置。
【請求項5】
落下し終えた前記発光体を前記落下置まで移動させるための搬送装置を備えた請求項の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元表示が可能な表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元表示が可能な表示装置が開発されている。たとえば、下記の非特許文献1には重力方向、水平横方向および水平奥行方向に発光ダイオードを並べた表示装置が開示されている。重力方向に配線が配置され、その配線に等間隔で発光ダイオードが取り付けられている。発光ダイオードが立体的に配置されているため、発光ダイオードの発光方法によって立体的に見せることができる。
【0003】
しかし、非特許文献1は発光していない発光ダイオードが表示の邪魔になっており、画質が低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】https://www.youtube.com/watch?v=B_Xp0ImdLms
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は高画質表示可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、光透過性の殻体と、前記殻体の内方に配置された発光素子と、前記殻体の内方に配置され、発光データに合わせて発光素子を発光または消灯させる発光回路と、前記発光素子の光を遮光可能な遮光手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると近傍の発光素子の光を遮光して黒色を表現でき、従来の発光していない発光ダイオードが黒色で表現されることになる。立体的な表示に奥行き感を出すことも可能であり、三次元物体の再現品質を高くでき、高画質表示になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の表示装置の全体構成を模式的に示す図である。
図2】殻体の内部構成を模式的に示す図である。
図3】発光体を落下させたときの時間と殻体の位置を示す図である。
図4】発光体を固定配置した表示装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の表示装置について図面を用いて説明する。複数の実施形態を説明するが、重複する部分は一の実施形態で説明し、他の実施形態で省略する場合がある。図1などにおけるx方向を水平横方向、y方向を水平奥行方向、-z方向を重力方向として説明する。
【0010】
[実施形態1]
図1および図2に示す表示装置10は、殻体12、その殻体12の内方で発光する発光素子14、発光データを記憶する記憶装置16、発光データに合わせて発光素子を発光させる発光回路18、発光データを通信する通信装置20a、20b、電力を蓄電する蓄電装置22、電力を供給する給電装置24、殻体12を落下させる落下装置26、殻体を運ぶ搬送装置28、および制御装置30を備える。
【0011】
殻体12は内方に空間32を有する。その空間32に発光素子14、記憶装置16、発光回路18などが配置される。殻体12およびその内方に備えられた装置によって1つの発光体34が形成される。複数の発光体34が立体的に配列されながら落下する、またはあらかじめ予測可能な軌道へ初速をもって発射してもよい。その際に各発光体34が発光または消灯(あるいは光遮蔽)することで立体的な表示がされる。1つの発光体34が表示装置10の1画素として機能する。
【0012】
殻体12の外形は球状になっている。殻体12がどの方向を向いて落下しても三次元表示された画像に対する外部からの見え方はいずれの視点方向から参照しても変わらない。殻体12の直径は実装方法により異なるが小型高密度近視表示装置では約10mm以下であり、大型の高輝度パブリック表示装置においては10mm以上である。殻体12は光を透過できるようになっており、殻体12の内方にある発光素子14が発光した際の光が殻体12の全外方に出射される。
【0013】
殻体12は内部の発光素子部品の光が拡散する充填された半透明材質または透明な拡散レンズ構造を備えてもよい。半透明材質の場合はその色が白色(乳白色を含む)になっている。発光素子14が発光されなければ白色あるいは背面の光が透過して見える。殻体12は拡散レンズ機能をもった透明な樹脂または強化ガラスで構成されている。殻体12を複数の層で構成し、その一部の層が上記白色になるようにしても良い。殻体12は少なくとも2つの部品から構成され、殻体12の内方に発光素子14などを収納した後、殻体12の構成部品を接着剤などで接合して製造する。接合した後の殻体12の外周に透明または上記白色の樹脂で覆い、殻体12を強化してもよい。殻体12の内方にある発光素子14から球体表面全方向へ光反射拡散経路を配置したり、球体表面に微細凹凸を設けたりして、光が散乱しやすくしてもよい。
【0014】
発光素子14は発光ダイオードを含む。発光ダイオードは可視光領域の波長の光を発光する発光ダイオードおよび紫外線領域の波長の光を発光する発光ダイオードを含む。さらに可視光領域の波長の光を発光する発光ダイオードは、赤色波長の光を発光する発光ダイオード、緑色波長の光を発光する発光ダイオードおよび青色波長の光を発光する発光ダイオードを含む。
【0015】
殻体12の内方に配置される各装置は基板36などに実装され、その基板36が殻体12の内壁で固定されてもよい。基板36は殻体12の内壁にモールディングされるか接着剤で接合されてもよいし、殻体12の内壁にねじ穴を設け、ねじ止めされてもよい。基板36の形状は方形に限定されず、殻体12の内壁の形状に合わせた形状であってもよい。基板36は光透過性の素材からなる基板を使用してもよい。
【0016】
各波長の光を発光する発光素子14は1つに限定されず、1つの波長の色を発光する発光素子14が1枚の基板36に複数実装されてもよい。光の光量に応じて発光素子14の数を適宜変更してもよい。基板36の一面だけでなく、両面に発光素子14が実装されてもよい。
【0017】
記憶装置16はデータの読み書きが可能な半導体メモリが挙げられる。発光素子14が発光または消灯するための発光データが記憶装置16に記憶される。記憶された発光データは発光回路18が利用する。
【0018】
1つの殻体12の内方の記憶装置16に記憶される発光データは、その殻体12の内方に備えられる発光素子14の発光データである。他の殻体12の発光素子14の発光データは記憶されない。殻体12が落下中に発光素子14を発光させるための発光データのみを記憶装置16に記憶する。
【0019】
発光データは発光体34が落下を開始してから落下終了までの間において、時間経過とともに単位時間当たりのデータ量が多くなる。発光体34が重力方向に自由落下したとき、地球の重力によって発光体34は加速しながら落下する。図3に示すように、時間tごとに発光体34の移動距離が長くなる。重力方向に均一に表示を行おうとすると、落下後の時間経過とともに単位時間当たりのデータ量を多くし、そのデータに応じて発光しないと表示領域全体での表示分解能が均一に表示されないことになる。一般的な平面ディスプレイのリフレッシュレートは一定であり、単位時間当たりのラスタースキャンのデータ消費量は同じである。本発明は発光体34の落下開始から時間経過(つまり三次元表示ピクセルの運動速度)に応じて単位時間当たりのデータ量を多くする(ラスタースキャンのデータ消費量を多くする)。たとえば図3の発光体34を示した位置は重力方向に均等に並べられており、その示された位置で発光素子14の発光または消灯のために1つのデータが使用されるとすると、時間経過とともに単位時間当たりのデータ量が多くなっている(ラスタースキャンのデータ消費量が多くなる)。重力の影響による発光体34の落下速度を考慮して、表示装置全体で均一に発光されるように殻体12に内部のクロック発振器を配置し、その発振器の発振に従い単位時間当たりのデータ量を決定する。たとえば、発光体34の移動距離は時間の二乗に比例するため、データ量は時間の二乗に比例して多くなるようにする。
【0020】
単位時間当たりのデータ量を決定する要素として、重力加速度以外に空気抵抗を含めてもよい。さらに、発光体34が空気から受ける抵抗力と重力(発光体34の質量と重力加速度を掛け合わせた値)とが釣り合った後の発光体34の速度は一定になる。その一定の速度に近づきにしたがって、単位時間当たりのデータ量の増加が少なくなるようにしてもよい。
【0021】
通常の表示装置は1つの画素に対して、1表示フレームごとに書き込みを行うが、本発明は記憶装置16に記憶される発光データは、発光体34が落下し始めてから落下し終わるまでのデータとなる。複数の表示フレームのデータが記憶装置16に記憶される。
【0022】
なお、図1では重力方向に発光体34が均等に並べられているが、表示されるときは均等に発光されるため、説明の便宜上、発光体34を均等に並べている。
【0023】
発光素子14が発光することで表示される画像は、静止画と動画のいずれであってもよい。表示装置10で表示される画像は三次元画像であり、各発光素子14の発光または消灯によって三次元の静止画または動画が表示される。
【0024】
発光回路18はICなどで構成される電子回路である。記憶装置16に記憶された発光データを利用して、発光素子14を発光させる。発光回路18を構成する電子回路が他の回路を含んでもよい。たとえば、上記した発光データの記憶装置16への読み書きの制御を行ってもよい。上記のように発光体34は落下後に重力加速度に応じて落下速度が速くなるため、その落下速度に応じて発光データのデータ量が多くなっており、データ量に応じて発光を制御する。たとえば、殻体12の内部のクロック発振器を配置し、その発振周期を参照し制御する。
【0025】
通信装置20a、20bは殻体12の外方と内方とで通信するための装置である。通信装置20a、20bは殻体12の内方と外方にアンテナおよび電子回路が備えられる。たとえば、殻体12の内方にある通信装置20aのアンテナはコイルアンテナ、パッチアンテナなどの小型アンテナで構成される。殻体12の外方にある通信装置20bのアンテナはデータを無線通信できれば特に限定されない。無線の方式はWiFiまたはBluetooth(登録商標)などの方式を採用することができる。
【0026】
本発明では水平横方向と水平奥行方向に筒体38が並べられており、筒体38の中に発光体34が入れられることで、各発光体34の落下位置が決まり、発光される光の色、光量、発光するタイミングが決まる。そのため、本発明は筒体38の中に入れられた発光体34ごとに通信を行えるように構成する。図1では殻体12の外方にある通信装置20bを1つの箱体で模式的に示しているが、実際は筒体38ごとにアンテナが設けられてもよい。あるいは個々の殻体12に落下位置の設定と個体識別番号を付加し、フレーム情報通信全体の一部を取り込みその殻体12の発光情報として記憶してもよい。
【0027】
蓄電装置22はコンデンサまたは二次電池などが利用できる。蓄電装置22は殻体12の内方に配置され、発光素子14の発光のための電力、発光回路18の駆動などに利用される。
【0028】
給電装置24は殻体12の外方から内方に電力を供給するための装置である。たとえば、非接触充電を行うために、殻体12の内方にある受電コイルと外方に送電コイルを配置し、さらに殻体12の内方に受電制御回路を備えてもよい。殻体12の内方のコイルは通信装置20aのアンテナと共用であってもよい。殻体12の内方に給電された電力は受電制御回路を経由し一旦蓄電装置18に蓄電される。
【0029】
落下装置26は発光体34を下方に落下させるための装置である。水平横方向および水平奥行方向に一定の間隔に配列された複数の発光体34が一斉に落下する。当該落下が一定時間ごとに行われるようにタイミングを調整する。たとえば、上記のように水平横方向および水平奥行方向に筒体38が配列されており、それらの筒体38の下端またはその付近に落下装置26を配置する。たとえば落下装置26として筒体38の下端またはその付近を開閉するシャッターを採用することができる。筒体38を開閉できればシャッターの構成は限定されない。シャッターが駆動することで殻体12が落下する。落下装置26は一定間隔で殻体12を落下できるようにする。発光体34の落下のタイミングを調整するために、制御装置30から落下装置26にタイミング信号を通信されてもよいし、落下装置26の中で発振器を配置し、発振器の信号に合わせて落下のタイミングを調整してもよい。
【0030】
搬送装置28は落下し終えた発光体34を搬送するコンベヤおよびリフトなどである。搬送装置28によって発光体34が循環するようにする。殻体を循環させながら連続して表示を行うことができる。搬送装置28の途中に給電装置24および通信装置20bが配置され、最後に落下装置26が配置される。発光体34の搬送の途中で給電され、その後に通信されるようにする。電力が蓄電装置22に蓄電された状態でないと発光回路18などが駆動できないからである。
【0031】
発光体34が落下した地点に、クッションなどを設置し、発光体34が破損しないようにしてもよい。
【0032】
制御装置30は上記した装置の駆動を制御するためのコンピュータである。たとえば、通信装置20bを制御して通信を行ったり、落下装置26を制御して発光体34を落下させたりする。また、制御装置30で発光データが生成され、制御装置30の記憶装置に記憶されてもよい。
【0033】
紫外線に対して反応し、紫外線の光量によって色が変化する遮光手段(図示省略)を備える。たとえば、遮光手段として殻体12にハロゲン化銀を含ませる。紫外線の光量によって色が変化する。発光素子14が紫外線を発光すると、殻体12が紫外線の光量に応じて黒の濃度が変化する。殻体12が黒色表現に利用される。
【0034】
表示装置10は、音響装置(図示省略)を備えてもよい。表示合わせて音声および音楽などを音響装置から発出する。
【0035】
次に、本発明の表示装置10を用いた表示方法について説明する。(1)発光体34は搬送装置28によって運ばれる。その途中で給電装置24によって殻体12内に非接触で電力が給電され、蓄電装置22に蓄電される。
【0036】
(2)筒体38の中に発光体34が入れられる。各発光体34の位置が決定し、その各発光体34に対して通信装置20a、20bによって発光データを送り、記憶装置16に記憶される。
【0037】
(3)水平横方向と水平奥行方向に並べられた複数の発光体34が落下装置26によって落下する。その落下する間、発光回路18によって発光素子14が発光または消灯される。
【0038】
発光体34の落下は一定の時間間隔で行われる。次から次に発光体34が落下される。複数の発光体34が水平横方向および水平奥行方向に配列された状態になりながら落下する。落下してからの時間が経過すると発光体34の速度が速くなるため、重力方向の下方になるほど発光体34の間隔は空くが、発光素子14の単位時間当たりの発光の変化する回数は多くなる。発光体34が落下する間、発光素子14が発光または消灯される。
【0039】
発光素子14が発光する時、発光時に出射される光の波長によって色が決定される。可視光領域の波長の光が出射されれば、その波長に応じた色になる。紫外線領域の波長の光が出射されれば、紫外線の光量に応じて背面可視光線の通過遮蔽量が変化する。たとえば、調光装置が紫外線によって黒色に変化し、紫外線の光量に応じて黒色の濃度が変化する。紫外線の光量を多くすれば濃い黒となり、少なくすれば薄い黒となり、黒色の濃淡を表現することができる。発光素子14が一切発光しなければ、殻体12の色(たとえば白色)が見えることになる。それらの色を利用して表示を制御する。
【0040】
上記のように紫外線によって黒色を表現することで、物体内部を遮光して三次元表示に奥行を持たせることが可能になっている。
【0041】
(4)落下し終えた発光体34は搬送装置28によって再び落下装置26まで運ばれる。1つの発光体34が何度も循環し、落下中に発光素子14が発光する。発光体34が循環する回数は限定されず、循環する回数で画像の表示時間を調節することができる。
【0042】
以上のように本発明は殻体12の中に発光素子14を配置し、発光体34を落下させることで三次元表示が可能になる。遮光によって黒色を表現することができ、従来の三次元表示よりも三次元物体の再現性が高くなり、画質が良くなる。従来のように重力方向に並べられた発光素子14を物理的、電気的に繋げる必要はない。視点奥行き方向に対して障害物となる配線が不要となり、表示をすっきりさせることができる。
【0043】
[実施形態2]
発光体34が落下装置26に運ばれたとき、通信装置20a、20bによって発光体34ごとに位置情報を送信してもよい。殻体12内の記憶装置16に位置情報が記憶され、位置情報を通信装置20a、20bで通信し、制御装置30は位置情報に合わせた発光データを通信するようにしてもよい。各殻体12の記憶装置16に発光データが記憶されれば、その発光データの付与の方法は限定されない。
【0044】
[実施形態3]
発光するタイミングについて同期を取るように構成してもよい。たとえば、通信装置20a、20bを利用して所定のタイミングで同期を取るための信号を送信し、発光回路18がその信号に基づいて発光するタイミングを制御するようにしてもよい。たとえば、落下装置26が駆動するタイミングに応じて同期信号を送信し、その同期信号に基づいて発光素子14を発光させる。同期信号を受信して直ちに発光素子14を発光させてもよいし、所定時間後に発光させてもよい。
【0045】
[実施形態4]
1つの発光体34は落下し終えると搬送装置28によって落下装置26まで運ばれたが、発光体34の数が多く、各発光体34で1回落下されるだけで十分に画像を表示できるのであれば、搬送装置28を省略してもよい。1つの発光体34は1回落下され、その間に発光素子14が発光して画像を表示される。
【0046】
[実施形態5]
発光体34は水平横方向と水平奥行方向に配置されれば、その配置され方は限定されない。たとえば、水平横方向と水平奥行方向に格子状、千鳥状、放射状、同心円などに配置されてもよい。また、水平横方向と水平奥行方向に正方形に配置されるのではなく、円形に配置されるなど、他の形状に配置されてもよい。
【0047】
[実施形態6]
落下装置26はシャッターに限定されない。発光体34を所定のタイミングで落下させることができれば他の装置であってもよい。たとえば、殻体12を吸引する装置であってもよい。所定のタイミングで吸引を停止することで発光体34が落下する。
【0048】
[実施形態7]
落下装置26によって水平横方向と水平奥行方向に配列された発光体34は、一斉に落下されることに限定されない。落下後に殻体12の内方にある発光素子14が発光して表示装置10として所定の表示を行えるのであれば、発光体34の落下のタイミングは一斉であってもよいし異なっていてもよい。
【0049】
複数の発光体34の内の一部分の発光体34が部分的に落下されてもよい。部分的に落下した発光体34によって画像が表示される。
【0050】
[実施形態8]
落下装置26は発光体34を自由落下させることに限定されない。所定の初速度で発光体34を発射させてもよい。実施形態1では発光体34を自由落下させることを説明したが、初速度を考慮して発光体34の速度および移動距離を求め、発光データのデータ量などを適宜変更する。
【0051】
重力方向に発光体34が落下されるだけでなく、重力方向に対して斜方向または水平方向に発光体34が落下されてもよい。発光体34の落下方向が分かればその軌道もわかり、発光データを決定することができる。重力方向反対の斜方向に発光体34を発射させてもよい。発光体34の軌道が分かれば発光データを決定することができる。
【0052】
[実施形態9]
殻体12の中に設けられる発光素子14、記憶装置16、発光回路18などの電子回路は1つの部品としてまとめられてもよい。たとえば、発光素子14と発光回路18は異なる半導体サブストレートに形成し、発光素子14の端子と発光回路18の端子を低抵抗金属で接合し、その他の部分を接着剤で接合することが考えられる。1つの部品としてまとめられることで、殻体12の大きさを小さくすることができ、表示装置10の解像度を高めることが可能になる。
【0053】
発光回路18を形成した半導体サブストレートの余った部分に通信回路などを形成してもよい。殻体12の中に含まれる複数の素子を1つの部品にまとめることができる。
【0054】
[実施形態10]
給電装置24は電磁波による非接触送電に限定されない。たとえば、殻体12の中に太陽電池を配置し、殻体12の外方に照明装置を配置し、太陽電池に光を照射してもよい。太陽電池が発電し、発電電力を蓄電装置22に蓄電する。太陽電池の電力を所定電力に変換するための回路を殻体12の内方に配置してもよい。
【0055】
[実施形態11]
発光素子14は発光ダイオードに限定されない。たとえば、有機ELのような自発光素子であってもよい。さらに、液晶ディスプレイのようなアレイ基板とカラーフィルター基板を対向させ、それらの間に液晶を配置し、アレイ基板の電極によって液晶の傾きを制御することで光の透過光量を調整する装置であってもよい。アレイ基板の後方に白色発光ダイオード、導光板などを配置し、光がアレイ基板に導かれるようにする。透過光はカラーフィルター基板で所定色に変換される。液晶の傾きによっては光を遮光し、非発光状態にすることもできる。非発光状態は上記の紫外線の発光ダイオードが発光している状態と同じになり、液晶などが遮光手段としても機能する。
【0056】
上記液晶を用いた装置は1つに限定されない。たとえば、2つの装置を利用し、互いの基板の平面の方向が垂直になるようにしてもよい。さらに上記液晶を用いた装置を3つ利用し、相互の基板の平面の方向が垂直になるようにしてもよい。3方向に光を発することができる。液晶を用いた装置を複数利用することで、発光体34を見る角度による光の違いと発光体の回転運動による方向性による光遮蔽誤差を小さくする。
【0057】
さらに発光素子14は電極を有する2枚の基板およびその基板の間に配置されたマイクロカプセルで構成されてもよい。マイクロカプセルの中には正または負に帯電された顔料粒子およびオイルが入れられている。電極に印加する電圧によって顔料粒子の位置が変化する。顔料粒子の位置で色が変化し、発光体34の色を変化させることができる。
【0058】
[実施形態12]
発光素子14の中に紫外線領域の波長の光を発光する発光ダイオードを備えたが、紫外線領域の波長の光を発光する発光ダイオードを省略してもよい。さらに、遮光手段も省略してもよい。単純に光の三原色を利用して画像データを表示する。
【0059】
また、発光する画像が単一色で表現されているのであれば、発光素子14の種類を1種類にして、単一色のみを発光するようにしてもよい。
【0060】
[実施形態13]
殻体12を透明にした場合、発光素子34が発光せず、光遮蔽しない場合は透明であるため、背後にある情報を遮らない。
【0061】
[実施形態14]
発光体34が落下中に風の影響を受けないために、発光体34の落下領域の周囲に光透過性の板体を配置してもよい。その板体は樹脂またはガラスで構成されてもよい。
【0062】
[実施形態15]
発光体34は落下されることに限定されない。図4の照明装置40のように、発光体34が定位置に配置されてもよい。図4は2方向に発光体34が配列されているが、実際は水平奥行方向にも発光体34が配列されてもよい。3方向に発光体34が配列され、重力方向に並んだ発光体34が制御装置30および電源装置42に接続されていてもよい。電源装置42は電源の電力を所定電圧に変換する回路である。重力方向に並んだ発光体34はピアノ線などの線状体または棒状体で相互接続されてもよい。落下装置26および搬送装置28は省略可能である。
【0063】
制御装置30から各発光体34に発光データが送信され、発光回路18は発光データに応じて発光素子14を発光させる。制御装置30と各発光体34は通信装置で接続されてもよい。必要に応じて記憶装置16に発光データを記憶してもよい。上記実施形態のように発光データの無線送信に限定されず、有線通信であってもよい。電源装置42から各発光体34に電力が供給される。電力の供給は非接触送電に限定されず、導体線による送電であってもよい。
【0064】
上記実施形態と同様に殻体12、発光素子14などに遮光手段を設けておいてもよい。上記したように、遮光手段によって発光体34で黒が表現される。立体表示において黒を表現でき、立体的に見せやすくなり、高画質化が可能である。
【0065】
重力方向に並んだ発光体34を接続する線状体を重力方向に上下動させてもよい。発光体34を上下動させることで、水平奥行方向にある複数の発光体34の重なりをなくすことも可能である。
【0066】
発光体34は方形になるように配列されているが、円柱形、球形など任意の形状になるように配列されてもよい。表示させたい形状に合わせて発光体34を配置する。
【0067】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0068】
10、40:表示装置
12:殻体
14:発光素子
16:記憶装置
18:発光回路
20a、20b:通信装置
22:蓄電装置
24:給電装置
26:落下装置
28:搬送装置
30:制御装置
32:殻体の内部空間
34:発光体
36:基板
38:筒体
42:電源装置
【要約】
【課題】高画質表示可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置10は、殻体12、その殻体12の内方で発光する発光素子14、発光データを記憶する記憶装置16、発光データに合わせて発光素子を発光させる発光回路18、発光データを通信する通信装置20a、20b、電力を蓄電する蓄電装置22、電力を供給する給電装置24、殻体を落下させる落下装置26、殻体を運ぶ搬送装置28、および制御装置30を備える。殻体12の落下時に発光素子14が発光および消灯して表示される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4