(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】監視装置及び監視方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240522BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240522BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
G08G1/16 C
H04N7/18 J
B60R11/02 C
(21)【出願番号】P 2023057055
(22)【出願日】2023-03-31
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】522390870
【氏名又は名称】株式会社CCT
(74)【代理人】
【識別番号】100132517
【氏名又は名称】山下 聡
(72)【発明者】
【氏名】手塚 新作
(72)【発明者】
【氏名】手塚 新一
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-118912(JP,A)
【文献】特開2011-034273(JP,A)
【文献】特開2012-074929(JP,A)
【文献】特開2015-153318(JP,A)
【文献】特開2017-074871(JP,A)
【文献】特開2021-174054(JP,A)
【文献】国際公開第2016/174977(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
H04N 7/18
B60R 9/00-11/06
B60R 21/00-21/13
B60R 21/34-21/38
E02F 9/00- 9/18
E02F 9/24- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用車両の周囲の画像を撮像する撮像部と、
前記作業用車両の運転席において前記作業用車両を運転する運転手の前方に設けられた表示部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記画像の画像データに基づいて作業者が前記作業用車両に対して所定範囲内に接近したことを検出したとき、前記表示
部を介して、当該接近を前記運転手に告知
し、
更に、記憶部を備え、
前記制御部は、前記接近を検出した後、前記運転手により前記告知が解除されるまでの間、前記撮像部により撮像された前記画像を前記記憶部に記憶し、
前記制御部は、報告書作成用の画像として前記画像を前記記憶部に記憶する
監視装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記運転席から見て前記作業者が接近する方向に応じて赤く表示する表示領域を含む
請求項1記載の監視装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記作業用車両に対する作業者の距離に応じて大きさが変化する中央表示領域を含む
請求項1記載の監視装置。
【請求項4】
更に、無線通信部を備え、
前記制御部は、前記接近を表す接近通知信号を、前記無線通信部を介して、安全管理者及び/又は前記作業者が保持する告知装置へ無線で送信して告知する
請求項1記載の監視装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記接近を検出したとき、前記接近を検出する前と比較して前記作業用車両のエンジンパワーを低下させる
請求項1記載の監視装置。
【請求項6】
監視装置における監視方法であって、
作業用車両の周囲の画像を撮像するステップと、
前記画像の画像データに基づいて作業者が前記作業用車両に対して所定範囲内に接近したことを検出したとき、表示部を介して、当該接近を運転手に告知するステップと、
前記接近を検出した後、前記運転手により前記告知が解除されるまでの間、撮像された前記画像を記憶部に記憶するステップと、を備え、
前記記憶するステップは、報告書作成用の画像として前記画像を前記記憶部に記憶するステップを含み、
前記表示部は、前記作業用車両の運転席において前記作業用車両を運転する前記運転手の前方に設けられる
監視方法。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶部に記憶した前記画像を含む報告書データを作成し、当該報告書データを前記記憶部に記憶する、及び当該報告書データを外部サーバへ送信することのいずれかを行う
請求項1記載の監視装置。
【請求項8】
前記記憶部に記憶した前記画像を含む報告書データを作成し、当該報告書データを前記記憶部に記憶する、及び当該報告書データを外部サーバへ送信することのいずれかを行うステップを、更に有する
請求項6記載の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フォークリフト等の荷役車両に適用される車両後方確認装置がある。車両後方確認装置は、車両の後方の接近者や障害物を検知器により検知すると、第一警告器及び第二警告器を作動させ、第一警告器の作動により、運転席にいる運転手が後方の接近者や障害物があることを確認でき、第二警告器の作動により、接近者が車両の存在を確認することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、接近者や障害物は、車両の後方だけではなく、車両の左右にいる場合もある。このような場合、上述した車両後方確認装置では、検知器により接近者や障害物を検知することができず、運転手が接近者や障害物に気づかない場合もある。特に、バックホーなど、運転席側にショベル(又はバケット)が取り付けられた車両の場合、運転手は前方に注意を向けており、左右の接近者などに気づかない場合もある。また、バックホーの種類によっては、運転席の隣にショベル(又はバケット)が取り付けられて、当該ショベル(又はバケット)が取り付けられた方向(例えば、運転手の右(又は左)方向)を確認できない場合もある。
【0005】
そこで、本開示は、作業用車両の運転手に対する支援を可能にした監視装置及び監視方法を提供することにある。また、本開示は、作業用車両の周囲で作業をしている作業者の安全を確保できるようにした監視装置及び監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、監視装置である。監視装置は、作業用車両の周囲の画像を撮像する撮像部と、作業用車両の運転席において作業用車両を運転する運転手の前方に設けられた表示部と、制御部と、を備え、制御部は、画像の画像データに基づいて作業者が作業用車両に対して所定範囲内に接近したことを検出したとき、表示部を介して、当該接近を運転手に告知する。
【0007】
また、本開示の一態様は、監視装置における監視方法である。監視方法は、作業用車両の周囲の画像を撮像するステップと、画像に基づいて作業者が作業用車両に対して所定範囲内に接近したことを検出したとき、表示部を介して、当該接近を運転手に告知するステップと、を有し、表示部は、作業用車両の運転席において作業用車両を運転する運転手の前方に設けられる。
【発明の効果】
【0008】
一開示によれば、作業用車両の運転手に対する支援を可能にした監視装置及び監視方法を提供することができる。また、一開示によれば、作業用車両の周囲で作業をしている作業者の安全を確保できるようにした監視装置及び監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る作業用車両の例を表す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る監視装置の構成例を表す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る表示部の例を表す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る作業用車両の例を表す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る動作例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一又は類似を付すことにより重複説明が省略され得る。
【0011】
[第1実施形態]
最初に、第1実施形態について説明する。
【0012】
上述したように、作業用車両を運転する運転手は、作業用車両の後方を確認するだけではなく、左右方向を確認することが必要になる場合がある。また、運転手は、作業用車両の前方にいる作業員などを確認するため、作業用車両の前方を確認することが必要になる場合がある。すなわち、運転手は、作業用車両の全方向に対する安全を確認する場合がある。その場合、どの方向が安全であり、どの方向が危険であるかを確認する場合がある。
【0013】
特に、バックホーやブルドーザ、クレーン車などの重機を運転する運転手は、その騒音により、周囲の作業者の会話などを聞くこともできず、周囲に作業者がいるのか否か分からない場合がある。
【0014】
また、作業現場では、作業用車両の安全を確認する保安員がいない場合もある。
【0015】
更に、作業用車両を運転するに際して、運転手に対して安全教育を行っても、ヒューマンエラーによって、作業用車両周囲の作業員の確認を怠ってしまう場合もある。
【0016】
そこで、第1実施形態では、作業用車両の運転手に対する支援を可能にすることを目的としている。また、第1実施形態では、作業用車両の周囲で作業をしている作業者の安全を確保できるようにすることを目的としている。
【0017】
(作業用車両の例)
次に、第1実施形態に係る作業用車両の例について説明する。
【0018】
図1は、作業用車両10の例を表す図である。第1実施形態に係る監視装置は、作業用車両10に設けられている。
【0019】
作業用車両は、建設作業の現場や土木作業の現場で用いられる作業用の車両であってもよい。具体的には、作業用車両は、特殊自動車であってもよい。特殊自動車とは、例えば、特殊な用途のために特殊な形状構造をした自動車をいう。或いは、特殊自動車は、作業機を取り付けた車両で、走行や運搬よりも、作業機を使用することを目的とする自動車であってもよい。
【0020】
作業用車両は、ショベルローダでもよい。ショベルローダは、例えば、前方にシャベルのついた建設機械であって二輪駆動の車両である。
【0021】
作業用車両は、ホイールローダでもよい。ホイールローダは、例えば、前方にバケットのついた建設機器であって、油圧リンクにより上下させて作業する四輪駆動の中折れ式車両である。
【0022】
作業用車両は、タイヤローラやロードローラでもよい。タイヤローラやロードローラは、例えば、道路の転圧に使用される建設機械である。
【0023】
作業用車両は、モーターグレーダーでもよい。モーターグレーダーは、例えば、路面の整地や除雪に使用される建設機械である。
【0024】
作業用車両は、除雪車(又はロータリー除雪自動車)でもよい。除雪車は、例えば、雪を飛ばして道路の走行幅を拡げる車両である。
【0025】
作業用車両は、ダンパ(又はダンプ、或いは重ダンプトラック)でよい。ダンパは、例えば、不整地運搬車のことであり、公道外を走行し、大量の土砂や岩石等を運搬できる車両である。
【0026】
作業用車両は、フォークリフトでもよい。フォークリフトは、例えば、油圧を利用して昇降及び傾斜が可能な荷役自動車である。
【0027】
作業用車両は、フォークローダでもよい。フォークローダは、例えば、前方にフォークのついた建設機械であって、リフトアームによって上下させて木材等の荷役を行う二輪駆動の車両である。
【0028】
作業用車両は、ホイールクレーン(又はクレーン車)であってもよい。ホイールクレーンは、移動式のクレーンを有し、自走可能な車輪のついた車両である。
【0029】
作業用車両は、農耕用の特殊自動車であってもよい。農耕用の特殊自動車として、例えば、農耕トラクタ、刈取脱穀作業車、田植機、農耕作業用トレーラなどがある。
【0030】
作業用車両は、大型特殊自動車でもよいし、小型特殊自動車でもよい。大型特殊自動車及び小型特殊自動車は、道路運送車両法に規定する区分による車両であってもよいし、道路交通法に規定する区分による車両であってもよい。
【0031】
作業用車両は、工事用車両であってもよい。工事用車両としては、バックホーや、ローラー、ブルドーザ、クレーン車などがある。バックホー(又はバックホウ)は、例えば、バケット(又はショベル)が運転手側の方向に取り付けられた建設機器又は重機のことである。
図1では、作業用車両として、バックホーの例を表している。ローラーは、例えば、上述したタイヤローラやロードローラであってもよい。ブルドーザは、土砂のかきおこし、盛土、又は整地に用いる建設機械のことである。
【0032】
図1に示すように、作業用車両10には、運転席11が設けられている。運転手は、運転席11において、作業用車両10の操作を行うことができる。
【0033】
また、
図1に示すように、作業用車両10には、カメラ110が設けられている。カメラ110は、作業用車両10の周囲(すなわち、全方向)を撮像することができる。
【0034】
図1の例では、4台のカメラ110が運転席11の上部に設けられている例を表している。すなわち、カメラ110は、運転席上部の前方に設けられた前方カメラ110-1と、運転席上部の後方に設けられた後方カメラ110-2と、運転席上部の右側に設けられた右側カメラ110-3と、運転席上部の左側に設けられた左側カメラ110-4とを含む。前方カメラ110-1で、運転席前方(又は作業用車両10の前方)が撮像される。また、後方カメラ110-2で、運転席後方(または作業用車両の後方)が撮像される。更に、右側カメラ110-3で、運転席右側(又は作業用車両の右側)が撮影される。更に、左側カメラ110-4で、運転席左側(又は作業用車両10の左側)が撮像される。
【0035】
なお、カメラ110の設置台数は、1台でもよいし、2台でもよく、4台以上でもよい。1台のカメラの場合、1台のカメラにより全方向が撮像される。2台のカメラの場合、運転席11上部の前方と後方とに1台ずつ設けられてもよい。この場合、左右方向から前方が前方のカメラで撮像され、左右方向から後方が後方のカメラで撮像される。
【0036】
更に、カメラ110は、3次元カメラであってもよい。3次元カメラは、例えば、縦横の情報だけではなく、奥行き(又は深度)の情報(すなわち、(x、y、z)の3次元情報)を得ることが可能なカメラである。
【0037】
なお、カメラ110は、撮像部の一例である。また、カメラ110は、作業用車両10に設けられた監視装置に含まれてもよい。
【0038】
(監視装置の構成例)
次に、監視装置の構成例について説明する。上述したように、監視装置は、作業用車両10内に設けられている。
【0039】
【0040】
図2に示すように、監視装置100は、カメラ110と、表示部120と、無線通信部140と、記憶部150と、制御部160とを有する。
【0041】
カメラ110は、上述したように、4台のカメラ110-1乃至110-4により、作業用車両10の全方向を撮像することが可能である。カメラ110の台数は、1台でもよいし、複数台でもよい。カメラ110は、制御部160による制御の下、作業用車両10の周囲を撮像し、撮像した画像の画像データを出力する。
【0042】
表示部120は、制御部160による制御の下、カメラ110から出力された画像データを受け取り、当該画像データにより表された画像を表示する。また、表示部120は、制御部160による制御の下、各種表示を行うことも可能である。表示部120は、例えば、運転手が運転席11に座った場合の運転手の前方に設けられている。運転手は、表示部120に表示された画像(又は映像)を見ながら作業を行うことも可能である。表示部120は、例えば、タッチパネル方式となっている。運転手は、表示部120に表示された画面を見ながら、作業用車両10の周囲の安全を確認するとともに、作業用車両10を用いた所定の作業を行うことが可能となる。
【0043】
図3は、表示部120に表示された画面の例を表す図である。
図3に示すように、表示部120は、第1表示領域120aと、第2表示領域120cと、第3表示領域120dと、第4表示領域120eと、中央表示領域120eの5つの表示領域を含む。
【0044】
第1表示領域120aは、作業用車両10(又は運転席11)の前方の画像を表示する表示領域である。第1表示領域120aは、例えば、前方カメラ110-1で撮像された画像の全部又は一部を表示する。
【0045】
第2表示領域120bは、作業用車両10(又は運転席11)の後方の画像を表示する表示領域である。第2表示領域120bは、例えば、後方カメラ110-2で撮像された画像の全部又は一部を表示する。
【0046】
第3表示領域120cは、作業用車両10(又は運転席11)の右側の画像を表示する表示領域である。第3表示領域120cは、例えば、右側カメラ110-3で撮像された画像の全部又は一部を表示する。
【0047】
第4表示領域120dは、作業用車両10(又は運転席11)の左側の画像を表示する表示領域である。第4表示領域120dは、例えば、左側カメラ110-4で撮像された画像の全部又は一部を表示する。
【0048】
第1表示領域120a乃至第4表示領域120dにより、運転席11から見て作業者が作業用車両10に接近する方向に応じた告知を行うことが可能である。例えば、第1表示領域120aが赤く表示されることにより、運転席11の前方に作業者がいることを告知することができる。また、例えば、第2表示領域120bが赤く表示されることにより、運転席11の後方に作業者がいることを告知することができる。更に、例えば、第3表示領域120cが赤く表示されることにより、運転席11の右側に作業者がいることを告知できる。更に、例えば、第4表示領域120dが赤く表示されることで、運転席11の左側に作業者がいることを告知できる。このように、表示部120は、第1表示領域120a乃至第4表示領域120dにより、運転席11から見てどの方向に作業者がいるか(又は運転席11から見てどの方向に当該作業者が作業用車両10に接近しているか)を告知することができる。
【0049】
中央表示領域120eは、作業用車両10に対する作業者の距離に応じて大きさが変化する。制御部160による制御により、例えば、作業者が作業用車両10に接近すればするほど、中央表示領域120eの大きさが大きくなり、作業者が作業用車両10から離れれば離れるほど、中央表示領域120eの大きさが小さくなる。中央表示領域120eの大きさには上限と下限があってもよい。中央表示領域120eの大きさは、下限の大きさとなっている場合は、作業者が作業用車両10から所定範囲よりも離れているため、安全であることを表してもよい。この場合、中央表示領域120eの色は白であってもよい。中央表示領域120eの大きさは、作業者の接近とともに大きくなるとともに、色表示が白から黄色へと変化してもよい。そして、作業者が作業用車両10から所定範囲内に近づいた場合、中央表示領域120eの大きさが上限となってもよい。この場合、中央表示領域120eの色は赤となってもよい。
【0050】
このように、監視装置100では、例えば、作業者が接近する方向に応じて、第1表示領域120a乃至第4表示領域120eを介して告知し、作業者の作業用車両10に対する距離に応じて、中央表示領域120eを介して告知する。これにより、運転手は、どの方向にどれくらいの距離で作業者が接近しているのかを容易に把握することができ、また、どの方向が安全なのかも容易に把握することができる。そのため、監視装置100は、運転手に対して、作業用車両10の運転手に対する支援を行うことが可能となる。また、運転手は、どの方向にどれくらいの距離、接近者が接近しているのかが容易に把握できるため、当該方向を把握できない場合と比較して、ヒューマンエラーが発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0051】
なお、
図1に示すように、作業用車両10は、その上部が、軸Zを中心に、回転可能に設けられている場合がある。このような場合、運転席11も回転することになるが、回転したとしても、運転席11から見て前方方向について、第1表示領域120aにより告知が行われ、運転席11から見て後方方向について、第2表示領域120bにより告知が行われる。また、運転席11から見て、右側方向については、第3表示領域120cにより、左側方向については、第4表示領域120dにより夫々告知が行われる。これにより、運転手は、運転席11を中心にした方向において、作業者の接近を把握することができるため、運転席11が回転しても、作業者が接近する方向を見失うこともなくなる。このような告知によっても、監視装置100は、運転手に対する支援を行うことが可能となる。
【0052】
告知方法は、運転手への告知が確実に行われることが可能であれば、制御部160による制御の下、どのような方法で告知してもよい。第1表示領域120a乃至第4表示領域120dは、赤色表示により、告知を行ってもよい。或いは、第1表示領域120a乃至第4表示領域120dは、赤色点滅により、告知を行ってもよい。或いは、第1表示領域120a乃至第4表示領域120dは、作業用車両10に対する作業者の接近度合に応じて、異なる色表示(例えば、作業者が作業用車両10にd1(m)以内に接近した場合は黄色表示、作業者が作業用車両10にd2(m)(d1>d2)以内に接近した場合は赤色表示など)で告知を行ってもよい。
【0053】
また、中央表示領域120eは、例えば、作業者と作業用車両10との距離をdとすると以下のようにして大きさを変化させてもよい。すなわち、距離dがd1(m)よりも長い場合(すなわち、d>d1の場合)は、中央表示領域120eは、下限の大きさとなる。また、距離dがd2(m)(d1>d2)よりも長く、かつ、d1(m)以下の場合(すなわち、d1≧d>d2の場合)は、中央表示領域120eは、作業者が作業用車両10に接近すればするほど上限の大きさへ向けて大きくなる。更に、距離dがd2(m)以下の場合(すなわち、d≦d2の場合)、中央表示領域120eは、上限の大きさとなる。中央表示領域120eの表示領域の変化は、この逆でもよい。
【0054】
なお、制御部160は、表示部120に対する告知を行う際に、「安全確認を行ってください。」などの文字表示を含む安全確認画面を表示させるようにしてもよい。制御部160は、表示部120においてスピーカーが設けられている場合、スピーカーから、「安全確認を行ってください。」など、安全確認を促す音声出力を行われるようにしてもよい。
【0055】
なお、表示部1200は、運転手により告知を解除することができる。例えば、運転手は、タッチパネル方式となっている表示部120上で、所定の操作を行うことで、表示部120による告知を解除することができる。例えば、表示部120は、安全確認画面を表示後、暫く経過すると、「安全確認を行いましたか?」等の安全実行画面が表示される。運転手は、当該表示において、表示部120上で、所定の操作を行うことで、告知を解除してもよい。
【0056】
図2に戻り、無線通信部140は、制御部160による制御の下、無線通信を行う。第1実施形態では、無線通信部140は、作業者に備え付けられた告知装置と無線通信を行う。無線通信部140は、作業者が作業用車両10に対して所定範囲内に接近すると、当該接近を表す接近通知信号を告知装置へ無線で送信する。
【0057】
図4は、告知装置200の装着例を表す図である。
図4の例では、告知装置200は、作業者のヘルメットに取り付けられている。告知装置200は、振動モータを有してもよい。告知装置200は、接近通知信号を受信したことに応じて、振動モータを振動させることで、作業者に対して作業用車両10から所定範囲内に接近したことを告知してもよい。また、告知装置200は、スピーカーを有してもよい。告知装置200は、接近通知信号を受信したことに応じて、スピーカーから、所定の音を出力することで、作業者に対して作業用車両10から所定範囲内に接近したことを告知してもよい。所定の音は、作業者が作業用車両10の近くで作業をしていることを考慮して、所定の大きさの音よりも大きい音であってもよい。所定の音は、例えば、踏切における列車接近を知らせる警報音の大きさであってもよい。告知装置200では、作業者の耳に近い場所にスピーカーが設けられてもよい。告知装置200は、振動モータとスピーカーとの双方により、告知装置200を振動させるとともに、告知装置200から所定の音を出力することで、告知してもよい。
【0058】
このような告知により、作業者は、作業用車両10に接近していることを把握することができ、作業用車両10から離れるなど、作業用車両10における作業の安全を確保することができる。特に、作業者が作業用車両10の方向を見ていない場合、当該車両10が接近していることを把握することができない場合もあり、そのような場合でも、作業者に対して、振動や音により、作業用車両10に対する接近を通知することが可能となる。
【0059】
なお、告知装置200は、作業を管理する監督者が保持してもよい。作業者が保持する場合と同様に、告知装置200は、監視装置100から送信された接近通知信号を受信したことに応じて、作業用車両10に作業者が接近したことを、監督者に告知してもよい。
【0060】
図2に戻り、記憶部150は、制御部160による制御の下、各種情報や各種データなどを記憶する。第1実施形態では、記憶部150は、作業者による作業用車両10に対して接近したことを制御部160が検出した後、運転手により告知が解除されるまでの間、カメラ110で撮像された画像の画像データを記憶する。或いは、記憶部150は、表示部120や告知装置200において告知が行われた後、当該告知が解除されるまでの間、カメラ110で撮像された画像の画像データを記憶(又は録画)する。記憶部150に記憶された画像の画像データは、ヒヤリハットなどの各種報告書における資料となってもよい。或いは、制御部160が、当該報告書のデータに、当該画像の画像データを含める(又は当該報告書のデータに当該画像の画像データを紐づける)ようにして、当該報告書を自動的に作成し、作成した当該報告書のデータを記憶部150に記憶してもよい。当該報告書のデータは、制御部160の制御の下で、記憶部150から、適宜読み出されてもよい。
【0061】
制御部160は、監視装置100の各部を制御する。第1実施形態において、制御部160は、カメラ110で撮像された画像の画像データに基づいて、作業者が作業用車両10に対して所定範囲内に接近したか否かを検出する。制御部160では、以下のようにして作業者の有無を判定してもよい。
【0062】
すなわち、制御部160は、撮像された画像のうち、各カメラ110-1乃至110-4で撮像された各方向の画像の画像データに基づいて、各方向の画像内において、作業者がいるか否かを判定してもよい。
【0063】
或いは、制御部160は、複数のカメラ110で撮像された画像を1つにまとめて全方向の画像とし、当該画像を4方向に分割して、作業者の有無を判定してもよい。
【0064】
各画像における作業者の有無は、機械学習により判定されてもよい。例えば、記憶部150には作業者の画像データに関する教師データが記憶され、制御部160は、教師データと、各画像の画像データとを比較して、一致度(又はスコア)が閾値内であれば、作業者であると判定し、そうでない場合に、作業者ではないと判定してもよい。
【0065】
或いは、各画像における作業者の有無は、各画像の画像データ(又は画素値)に基づいて判定されてもよい。例えば、記憶部150には、作業者であると判定可能な作業者用の画素値が記憶され、制御部160は、隣接する各画像の画素値から、各画像のエッジ(境界部分)を判定し、エッジ内の領域における画素値の合計値が、作業者用の画素値に対して一定の範囲内であれば、作業者であると判定し、そうでない場合は、作業者ではないと判定してもよい。
【0066】
そして、制御部160は、作業者がいると判定した場合、各画像に映っている作業用車両10と作業者との距離を測定する。各画像は、3次元カメラで撮像されているため、作業車の3次元情報(例えば、(x1、y1、z1)座標)と、作業用車両10の3次元情報(例えば、(x2、y2、z2)座標)とを有する。制御部160は、3次元座標に基づいて、作業用車両10と作業者との距離を計算する。制御部160は、計算した距離が所定範囲(例えば、2m)内であれば、作業者が所定範囲内に接近したと判定し、計算した距離が所定範囲外であれば、作業者が所定範囲内には接近していないと判定する。
【0067】
制御部160は、以上のようにして、作業者が作業用車両10に対して所定範囲内に接近したことを検出したとき、表示部120を介して、当該接近を運転手に告知する。制御部160は、上述したように、運転席11から見て作業者のいる方向に応じて表示部120の第1表示領域120a乃至第4表示領域120dのいずれかの表示領域を赤く表示させるようにしてもよい。また、制御部160は、作業用車両10に対する作業者の距離に応じて、表示部120における中央表示領域120eの大きさを変化させてもよい。告知方法は、上述したように、当該接近を運転手に告知可能であれば任意の方法で告知してもよい。当該告知の際、制御部160は、上述したように、安全確認画面を表示部120に表示させるようにしてもよい。制御部160は、運転手による告知解除を検出してもよい。例えば、制御部160は、表示部120において、運転手による所定の操作が行われたことを検出したことに応じて告知解除を検出してもよい。制御部160は、作業者が作業用車両10に対して所定範囲内に接近したことを検出したときから、告知が解除されるまでの間、カメラ110で撮像された画像を記憶部150に記憶する。制御部160は、当該画像を、報告書作成用の画像として記憶部150に記憶してもよい。上述したように、制御部160は、ヒヤリハットなどの報告書を自動的に作成する機能を有し、報告書のデータに、当該画像の画像データを含めるようにして、当該報告書のデータとして、記憶部150に記憶してもよい。制御部160は、記憶部150に記憶した画像の画像データを、無線通信部140を介して、外部のサーバ(例えばクラウドサーバ)へ送信してもよい。或いは、制御部160は、当該画像データを含む報告書のデータを、無線通信部140を介して、外部のサーバ(例えばクラウドサーバ)へ送信してもよい。これにより、例えば、報告書自体が自動的に作成されるため、報告書作成の手間を省くことができる。また、報告書のデータがサーバに一か所に集められているため、作業者などが、スマートフォンやタブレット端末などの端末装置を利用して、サーバにアクセスすることで、報告書をいつでも確認することが可能となる。
【0068】
(第1実施形態に係る動作例)
次に、第1実施形態に係る動作例について説明する。
【0069】
図5は、動作例を表す図である。
図5に示す動作例は、主に、監視装置100の制御部160において行われる。
【0070】
図5に示すように、ステップS10において、制御部160は、処理を開始する。
【0071】
ステップS11において、制御部160は、カメラ110で撮像した画像の画像データに基づいて、作業者が作業用車両10に対して所定範囲内に接近したか否かを判定する。上述したように、例えば、制御部160は、画像データに基づいて、機械学習や画素値を利用して、当該画像内に作業者がいることを確認する。そして、制御部160は、作業者が画像にいることを確認すると、3次元情報に基づいて、作業者と作業用車両10との距離を計算することで、所定範囲内に作業者が接近したか否かを判定する。制御部160は作業者が作業用車両10に対して所定範囲内に接近したことを検出すると(ステップS11でYES)、処理はステップS12へ移行する。一方、制御部160は作業者が作業用車両10に対して所定範囲内に接近していないことを検出すると(ステップS11でNO)、作業者が所定範囲内に接近するまで処理を繰り返す(ステップS11のループ)。
【0072】
ステップS12において、制御部160は、カメラ110で撮像された画像の画像データを、記憶部150に記憶することを開始する(すなわち、録画を開始する)。
【0073】
ステップS13において、制御部160は、作業者がいる方向に応じて、例えば、第1表示領域120a乃至第4表示領域120dのいずれかを赤く表示させる。また、制御部160は、作業者の作業用車両10への距離に応じて、、中央表示領域120eの大きさを変化させることで告知する。
【0074】
ステップS14において、制御部160は、当該接近を表す接近通知信号を生成し、生成した接近通知信号を、無線通信部140を介して、告知装置200へ送信する。
【0075】
ステップS15において、制御部160は、当該接近を検出する前と比較して、作業用車両10のエンジンパワーを低下させる。これにより、例えば、作業用車両10の作業が、当該接近を検出する前と比較して遅くなるため、作業者に対する安全を確保することも可能となる。
【0076】
なお、ステップS12からステップS15の順番は任意でもよいし、ステップS12からステップS15までの処理は同時に行われてもよい。
【0077】
ステップS16において、制御部160は、運転手が告知解除を行ったか否かを検出する。上述したように、例えば、制御部160は、運転手が、タッチパネル方式の表示部120に対して所定の操作を行ったことを示す信号を、表示部120から受け取ったことに応じて、告知解除を行ったことを検出してもよい。
【0078】
運転手が告知解除を行った場合、すなわち、制御部160が告知解除を検出した場合、(ステップS16でYES)、処理はステップS17へ移行する。一方、運転手が告知解除を行わなかった場合、すなわち、制御部160が告知解除を検出しなかった場合(ステップS16でNO)、処理はステップS12へ移行し、制御部160は上述した処理を繰り返す。
【0079】
ステップS17において、制御部160は、表示部120への告知表示を停止させるとともに、告知装置200への接近通知信号の送信を停止する。例えば、表示部120の第1表示領域120a乃至第4表示領域120dは、赤い告知表示ではなく、通常の画像を表示する。また、例えば、表示部120の中央表示領域120eは、下限の大きさにする。
【0080】
ステップS18において、制御部160は、一連の処理を終了する。
【0081】
以上説明したように、第1実施形態では、第1に、作業用車両10の周囲の画像を撮像する。第2に、当該画像に基づいて作業者が作業用車両10に対して所定範囲内に接近したことを検出したとき、表示部120を介して、当該接近を運転手に告知する。
【0082】
このように、例えば、第1実施形態では、作業用車両10の周囲の接近者(又は作業員)を運転手に告知するようにしているため、作業用車両10の運転手に対する支援が可能となる。また、例えば、運転手は、接近者を把握することができるため、作業用車両の動作を停止させる等の対策を講じることも可能となる。そのため、第1実施形態では、作業用車両10の周囲で作業をしている作業者の安全を確保することが可能となる。
【0083】
(第1実施形態に係る他の動作例1)
第1実施形態では、カメラ110の設置位置は、作業用車両10に設けられることについて説明した。例えば、作業用車両10がクレーン車の場合、カメラ110は、クレーンの先端部分に設けられてもよい。これにより、例えば、クレーン車のクレーン部分周囲の画像を上空から撮像することができ、制御部160では、当該画像に基づいて、クレーン車の周囲だけではなく、クレーンの移動する範囲内において作業者が接近するか否かを検出することが可能となる。制御部160は、第1実施形態と同様に、機械学習や画素値を利用して、画像データから作業者の有無を検知し、作業者を検知した場合に、クレーンの移動範囲から作業者までの距離を計算することで、作業者がクレーンの移動範囲から所定範囲内に接近したか否かを検出してもよい。
【0084】
(第1実施形態に係る他の動作例2)
第1実施形態では、告知装置200が作業者のヘルメットに設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、告知装置200は、作業着の腰部分や作業着のポケット部分などに、取り外し可能に設けられてもよい。
【0085】
或いは、告知装置200は、第1実施形態で説明した専用の装置ではなく、作業者(又は作業者が所属する会社)が所有するスマートフォン、又はタブレット端末などの端末装置であってもよい。例えば、端末装置において、告知機能を実現するためのアプリケーションプログラムがインストールされ、当該プログラムを実行することで、第1実施形態で説明した振動や音による告知を実現してもよい。
【0086】
[その他の実施形態]
例えば、本明細書において説明した装置の1つ以上の構成要素の動作を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。このような記録媒体の一例として、上述した記憶部150がある。
【0087】
また、監視装置100(又は制御部160)が行う各処理を実行する回路を集積化し、監視装置100の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0088】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、矛盾しない範囲で、各実施形態、各処理、各ステップの全部又は一部を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 :作業用車両 11 :運転席
100 :監視装置 110 :カメラ
120 :表示部 140 :無線通信部
150 :記憶部 160 :制御部
200 :告知装置
【要約】
【課題】作業用車両の運転手に対する支援を可能にした監視装置及び監視方法を提供する。また、作業用車両の周囲で作業をしている作業者の安全を確保できるようにした監視装置及び監視方法を提供す。
【解決手段】監視装置は、作業用車両の周囲の画像を撮像する撮像部と、作業用車両の運転席において作業用車両を運転する運転手の前方に設けられた表示部と、制御部と、を備え、制御部は、画像の画像データに基づいて作業者が作業用車両に対して所定範囲内に接近したことを検出したとき、表示部を介して、当該接近を運転手に告知する。
【選択図】
図2