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特許7492220情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240522BHJP
【FI】
G06Q10/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023548221
(86)(22)【出願日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 JP2023029017
【審査請求日】2023-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】早川 将和
(72)【発明者】
【氏名】藤武 将人
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-140442(JP,A)
【文献】国際公開第2022/102039(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の事務処理と、該特定の事務処理に必要な項目と、を関連付けた項目情報を記憶する記憶部と、
処理の対象とする書類の電子データである書類データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記書類データと、前記記憶部が記憶する前記項目情報と、に基づいて特定の事務処理の観点に応じた要約データであって、前記書類データに含まれる情報から前記項目情報が示す前記特定の事務処理に必要な項目を抽出して生成されるデータである要約データを生成する要約データ生成部と、
前記要約データ生成部が生成した特定の事務処理の観点に応じた要約データから特徴量を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した特徴量を、前記特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、前記取得部が取得した前記書類データに前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記取得部が取得した前記書類データにおいて前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていないと判定された場合、前記抽出部が抽出した特徴量と、前記特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、不足している情報を補完する情報の候補を表示させる表示制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部が取得した前記書類データから前記特定の事務処理の観点に応じた要約データを生成する要約データ生成部をさらに有し、
前記抽出部は前記要約データ生成部が生成した前記要約データから特徴量を抽出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
過去に取得した、特定の事務処理の対象となる書類から抽出した特徴量である比較特徴量情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記判定部は、前記要約データから抽出した特徴量を、前記比較特徴量情報と比較することにより、前記取得部が取得した前記書類データに前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部によって前記取得部が取得した前記書類データに前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていると判定された場合、前記観点に応じて定まる後続処理を実行するよう前記取得部が取得した前記書類データを出力する出力部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部によって前記取得部が取得した前記書類データにおいて前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていないと判定された場合、情報が不足していることを示すメッセージを表示させる表示制御部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記要約データから抽出した特徴量を、比較特徴量情報と比較することにより、前記書類データに含まれる情報に異常値が含まれるか否かを判定し、
前記情報処理装置は、前記判定部が前記書類データに含まれる情報に異常値が含まれると判定する場合、異常値が含まれることを示すメッセージを表示させる表示制御部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、書類データに含まれる情報とは異なる情報であって、要約データに付加する情報である付加情報と、書類データに含まれる情報に基づいて当該付加情報を生成するための生成方法と、を関連付けた付加情報テーブルをさらに記憶し、
前記要約データ生成部は、前記書類データに含まれる情報に基づいて前記付加情報を生成し、前記付加情報をさらに含む前記要約データを生成する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
特定の事務を処理するために必要な書類である所定の書類の電子データである書類データを取得するステップと、
記憶部が記憶する、特定の事務処理と、該特定の事務処理に必要な項目と、を関連付けた項目情報を参照し、前記取得するステップにおいて取得された前記書類データと、前記項目情報と、に基づいて特定の事務処理の観点に応じた要約データであって、前記書類データに含まれる情報から前記項目情報が示す前記特定の事務処理に必要な項目を抽出して生成されるデータである要約データを生成するステップと、
前記生成するステップにおいて生成された特定の事務処理の観点に応じた要約データから特徴量を抽出するステップと、
前記要約データから抽出した特徴量を、前記特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、前記取得するステップにおいて取得された前記書類データにおいて前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて、前記書類データにおいて前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていないと判定された場合、前記抽出するステップにおいて抽出された特徴量と、前記特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、不足している情報を補完する情報の候補を表示させるステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
特定の事務を処理するために必要な書類である所定の書類の電子データである書類データを取得するステップと、
記憶部が記憶する、特定の事務処理と、該特定の事務処理に必要な項目と、を関連付けた項目情報を参照し、前記取得するステップにおいて取得された前記書類データと、前記項目情報と、に基づいて特定の事務処理の観点に応じた要約データであって、前記書類データに含まれる情報から前記項目情報が示す前記特定の事務処理に必要な項目を抽出して生成されるデータである要約データを生成するステップと、
前記生成するステップにおいて生成された特定の事務処理の観点に応じた要約データから特徴量を抽出するステップと、
前記要約データから抽出した特徴量を、前記特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、前記取得するステップにおいて取得された前記書類データにおいて前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて、前記書類データにおいて前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていないと判定された場合、前記抽出するステップにおいて抽出された特徴量と、前記特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、不足している情報を補完する情報の候補を表示させるステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
証憑の確認作業を簡素化するための技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-29341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
企業においては様々な事務処理が行われ、取り扱われるデータは多岐にわたり、個々の業務を効率化するシステムを個々の業務ごとに用意することは高コストとなる問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、取得したデータに基づいて後続する事務処理を実行可能か否かを判断できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、処理の対象とする書類の電子データである書類データを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記書類データに基づいて生成された特定の事務処理の観点に応じた要約データから特徴量を抽出する抽出部と、前記抽出部が抽出した特徴量を、前記特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、前記取得部が取得した前記書類データに前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定する判定部と、を有する。
【0007】
前記取得部が取得した前記書類データから前記特定の事務処理の観点に応じた要約データを生成する要約データ生成部をさらに有し、
前記抽出部は、前記要約データ生成部が生成した前記要約データから特徴量を抽出してもよい。
【0008】
過去に取得した、特定の事務処理の対象となる書類から抽出した特徴量である比較特徴量情報を記憶する記憶部をさらに有し、前記判定部は、前記要約データから抽出した特徴量を、前記比較特徴量情報と比較することにより、前記取得部が取得した前記書類データに前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定してもよい。
【0009】
前記判定部によって前記取得部が取得した前記書類データに前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていると判定された場合、前記観点に応じて定まる後続処理を実行するよう前記取得部が取得した前記書類データを出力する出力部をさらに有してもよい。
【0010】
前記判定部によって前記取得部が取得した前記書類データにおいて前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていないと判定された場合、不足している情報を補完する情報の候補を表示させる表示制御部をさらに有してもよい。
【0011】
前記判定部によって前記取得部が取得した前記書類データにおいて前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていないと判定された場合、情報が不足していることを示すメッセージを表示させる表示制御部をさらに有してもよい。
【0012】
前記判定部は、前記要約データから抽出した特徴量を、比較特徴量情報と比較することにより、前記書類データに含まれる情報に異常値が含まれるか否かを判定し、
前記情報処理装置は、前記判定部が前記書類データに含まれる情報に異常値が含まれると判定する場合、異常値が含まれることを示すメッセージを表示させる表示制御部をさらに有する、
【0013】
前記要約データ生成部は、前記書類データに含まれる情報とは異なる情報であって、前記書類データに含まれる情報に基づいて生成される前記特定の事務処理に必要な情報を含む前記要約データを生成してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、特定の事務を処理するために必要な書類である所定の書類の電子データである書類データを取得するステップと、前記取得するステップにおいて取得された前記書類データに基づいて生成された特定の事務処理の観点に応じた要約データから特徴量を抽出するステップと、前記要約データから抽出した特徴量を、前記特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、前記取得するステップにおいて取得された前記書類データにおいて前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定するステップと、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、特定の事務を処理するために必要な書類である所定の書類の電子データである書類データを取得するステップと、前記取得するステップにおいて取得された前記書類データに基づいて生成された特定の事務処理する事務の観点に応じた要約データから特徴量を抽出するステップと、前記要約データから抽出した特徴量を、前記特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、前記取得するステップにおいて取得された前記書類データにおいて前記特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、取得したデータに基づいて後続する事務処理を実行可能か否かを判断することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】情報処理システムSの概要を説明するための図である。
図2】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
図3】要約データ生成部132の処理の一例を示す図である。
図4】記憶部12が記憶する項目情報のデータ構造の一例を示す図である。
図5】記憶部12が記憶する付加情報テーブルのでータ構造の一例を示す図である。
図6】記憶部12が記憶する補完情報のデータ構造の一例を示す図である。
図7】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、事務処理を支援するためのシステムである。情報処理システムSは、情報処理装置1及び情報端末2を有する。
【0019】
情報処理装置1は、取得した書類データに事務処理に必要な情報が含まれているか否かを判定し、判定結果に応じた処理をする。情報処理装置1は、例えばサーバである。
【0020】
情報端末2は、情報処理システムSのユーザが使用する端末である。情報端末2は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレットである。情報処理システムSのユーザは、事業者において経理等の業務に携わる担当者である。
【0021】
情報処理システムSにおける処理について説明する。情報処理装置1は、書類データを取得する(図1における(1))。書類データは、事業において作成、授受される書類であって、特定の事務処理において処理対象の書類の電子データである。書類データは、例えば、請求書、契約書、納品書、領収書等である。書類データは、特定の事務処理において参照又は加工される情報を含む。情報処理装置1は、情報端末2から書類データを取得してもよいし、不図示の外部装置から書類データを取得してもよい。
【0022】
情報処理装置1は、書類データに基づいて要約データを生成する(図1における(2))。詳細は後述するが、情報処理装置1は、書類データを大規模言語モデル((Large Language Models、LLM))に入力することで、要約データを生成する。要約データは、書類データに含まれる情報のうち、特定の事務処理の観点に必要な情報を抽出して生成されるデータである。
【0023】
情報処理装置1は、生成した要約データから特徴量を抽出する(図1における(3))。特徴量は、要約データに含まれる情報を、コンピュータによる演算に適した形式に変換した情報である。特徴量は、例えば要約データに含まれる情報の特徴を示す特徴ベクトルである。情報処理装置1は、抽出した特徴量に基づいて、書類データに特定の事務処理をするために必要な情報が含まれているかを判定する(図1における(4))。
【0024】
情報処理装置1は、判定結果に基づいて情報を出力する(図1における(5))。書類データに特定の事務処理をするために必要な情報が含まれていると判定する場合、情報処理装置1は、後続処理が実行されるよう書類データを出力する。一例として、情報処理装置1は、後続する処理を実行する外部装置に書類データを出力する。書類データに特定の事務処理をするために必要な情報が含まれていないと判定する場合、情報処理装置1は、例えば書類データに必要な情報が含まれていないことを示すメッセージを情報端末2に表示させる。
【0025】
情報処理システムSがこのように構成されることで、取得したデータに基づいて後続する事務処理を実行可能か否かを判断することができるという効果を奏する。
【0026】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、取得部131、要約データ生成部132、抽出部133、判定部134、出力部135及び表示制御部136を有する。
【0027】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0028】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、要約データ生成部132、抽出部133、判定部134、出力部135及び表示制御部136として機能する。
【0029】
図3を用いて、要約データ生成部132が要約データを生成する処理について説明する。取得部131は、処理の対象とする書類の電子データである書類データD1を取得する。図3においては、書類データD1は、請求書である。
【0030】
抽出部133は、取得部131が取得した書類データに基づいて生成された特定の事務処理の観点に応じた要約データから特徴量を抽出する。より具体的には、要約データ生成部132は、取得部131が取得した書類データから、特定の事務処理の観点に応じた要約データを生成する。一例として、記憶部12は、特定の事務処理と、該特定の事務処理に必要な項目と、を関連付けた項目情報を記憶する。図4は、項目情報のデータ構造の一例を示す図である。項目情報においては、「記載項目」と、「抽出対象」とを含む。記載項目は、入力される書類データに含まれうる情報を示す。「抽出対象」は、当該記載項目が要約データにおいて抽出される対象であるか否かを示す。「抽出対象」においては、事務処理の観点毎に抽出対象であるか否かが関連付けられている。図4に示す例では、情報処理装置1において処理される事務処理の観点として、「税額計算」、「妥当性確認」、「仕訳」、「インボイス」、「支払業務」等の事務処理それぞれについて、記載項目それぞれが抽出対象であるか否かが関連付けられている。図4に示す例においては、「抽出対象」が「〇」であれば、当該記載項目が要約データにおいて抽出される項目であることを示す。
【0031】
図3に戻り、要約データは、書類データに含まれる情報のうち処理対象の特定の事務処理に必要な情報を含む。要約データ生成部132は、既知の大規模言語モデルに取得部131が取得した書類データと、所定の項目を抽出する指示(プロンプト)と、を入力することにより要約データを生成する。
【0032】
要約データを生成する目的となる事務処理(以下、「対象事務処理」と言う)は、予め定められていてもよいし、受付部(不図示)が情報端末2から対象事務処理を示す情報を受付けてもよい。要約データ生成部132は、予め設定された事務処理又は情報端末2から受付けた情報に基づいて、対象事務処理を特定する。要約データ生成部132は、項目情報を参照し、特定した対象事務処理において抽出対象である項目を特定する。要約データ生成部132は、取得部131が取得した書類データと、特定した抽出対象の項目を抽出する指示と、を大規模言語モデルに入力し、要約データを生成する。図3に示す例において、対象事務処理が「税務」である場合、要約データ生成部132は、項目情報において「税務」に関連付けられた記載項目を抽出した要約データD2を生成する。また、対象事務処理が「支払」である場合、要約データ生成部132は、項目情報において「支払」に関連付けられた記載項目を抽出した要約データD3を生成する。
【0033】
抽出部133は、要約データから特徴量を抽出する。抽出部133は、抽出した特徴量を対象事務処理と関連付けて記憶部12に記憶させてもよい。
【0034】
判定部134は、抽出部133が抽出した特徴量を、特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、取得部131が取得した書類データに特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定する。一例として、判定部134は、抽出した特徴量を、所定の特徴量と比較する。所定の特徴量は、過去に生成した要約データから抽出した特徴量(以下、「比較特徴量」と言う)であってもよいし、異常がある書類データ又は異常がない書類データから抽出した特徴量であってもよい。判定部134は、一例として、抽出した特徴量と、所定の特徴量と、の距離又は類似度を算出し、算出した距離又は類似度に基づいて、書類データに特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定する。判定部134は、算出した距離又は類似度が所定の閾値以下である場合に、書類データに特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていると判定する。なお、抽出部133が抽出した特徴量と、異常がある書類データから抽出した特徴量とを比較する場合、判定部134は、算出した距離又は類似度が所定の閾値以下である場合に、書類データに特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていないと判定する。
【0035】
一例として、記憶部12は、比較特徴量情報を記憶する。比較特徴量情報は、過去に取得した特定の事務処理の対象となる書類から抽出した特徴量である。より具体的には、比較特徴量情報は、過去に取得した書類データに基づいて生成された要約データから抽出された特徴量である。一例として、記憶部12は、抽出部133が抽出した特徴量を、該特徴量の対象事務処理と関連付けて記憶している。判定部134は、要約データから抽出した特徴量を、比較特徴量情報と比較することにより、取得部131が取得した書類データに特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定する。
【0036】
情報処理装置1がこのように構成されることで、取得したデータに基づいて後続する事務処理を実行可能か否かを判断することができるという効果を奏する。
【0037】
書類データに含まれる情報から導出される情報をさらに含む要約データを生成するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0038】
要約データ生成部132は、書類データを大規模言語モデルに入力することにより、付加情報をさらに含む要約データを生成する。付加情報は、取得部131が取得した書類データに含まれる情報とは異なる情報であって、書類データに含まれる情報に基づいて生成される特定の事務処理に必要な情報である。この場合、要約データ生成部132は、付加情報を生成する指示を大規模言語モデルにさらに入力する。
【0039】
一例として、記憶部12は、付加情報テーブルを記憶する。図5は、記憶部12が記憶する付加情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図5に示す付加情報テーブルにおいては、「付加情報」と、「対象業務」と、「生成方法」と、が関連付けられている。図5における「付加情報」は生成すべき付加情報を示す。「対象業務」は、当該付加情報を生成する対象の対象業務を示す。「生成方法」は、当該付加情報を生成するために参照する情報及び生成する工程を示す。要約データ生成部132は、対象事務処理と、付加情報テーブルに含まれる事務処理と、が一致する場合、対象事務処理と一致した事務処理に付加情報テーブルにおいて対応する付加情報を、取得部131が取得した書類データに含まれる情報に基づいて生成する。要約データ生成部132は、生成した付加情報をさらに含む要約データを生成する。
【0040】
付加情報は一例として、請求書に含まれる請求額又は小計額と、請求対象期間と、に基づいて算出される、請求額又は小計額についての月別の費用配賦である。例えば、請求書である書類データに含まれる対象期間が4月25日から5月24日であり、請求額が1万円である場合、要約データ生成部132は、4月分及び5月分の配賦額をそれぞれ、2千円及び8千円であることを示す付加情報を生成する。
【0041】
また、別の例では、付加情報は、契約書の記載事項から導出される契約の始期及び終期である。例えば、契約書である書類データにおいて、契約日及び契約期間がそれぞれ2023年5月1日及び1年間という情報が含まれており、かつ、契約の開始時期を示す情報が含まれない場合、要約データ生成部132は、契約の始期及び終期をそれぞれ2023年5月1日及び2024年4月30日とする付加情報を生成する。
【0042】
また、別の例では、付加情報は、請求書に含まれる源泉所得税額である。要約データ生成部132は、書類データに含まれる明細に請求対象の項目のうち、源泉所得税の課税対象項目と、非課税項目と、が含まれる場合に、源泉所得税の課税対象項目の請求額の合計値と源泉所得税率との積を算出し、算出した積を付加情報として生成する。
【0043】
情報処理装置1がこのように構成されることで、例えば取得した書類データに事務処理に必要な情報が一部不足するような場合に、不足する情報を補うことができ、その後の事務処理を円滑に進めることができる。
【0044】
判定部134の判定結果に基づいて、後続する事務処理を実行するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0045】
判定部134によって取得部131が取得した書類データに特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていると判定された場合、出力部135は、観点に応じて定まる後続処理を実行するよう取得部131が取得した書類データを出力する。一例として、記憶部12は、対象事務処理と、該対象事務処理における書類データの出力先と、を関連付けた情報を記憶している。判定部134によって取得部131が取得した書類データに特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていると判定した場合、出力部135は、対象事務処理に応じた出力先に書類データを出力する。一例として、対象事務処理が「仕訳」である場合、出力部135は、仕訳処理を実行する会計処理装置(不図示)に書類データを出力する。なお、情報処理装置1が仕訳処理、支払処理等の後続処理を実行する機能部を有し、出力部135は、対象事務処理に対応する機能部に書類データを出力してもよい。また、出力部135は、書類データに加えて又は代えて、要約データ生成部132が生成した要約データを出力してもよい。
【0046】
情報処理装置1がこのように構成されることで、書類データに問題がない場合に後続処理を自動化することができる。
【0047】
[補完処理]
取得した書類データに不足する情報がある場合に、他の情報に基づいて不足する情報を補完するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0048】
表示制御部136は、判定部134によって取得部131が取得した書類データにおいて特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていないと判定された場合、不足している情報を補完するための情報の候補を表示させる。一例として、取得部131が取得した書類データにおいて特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていないと判定した場合、判定部134は、不足する項目を特定する。例えば、判定部134は抽出部133が抽出した特徴量と、比較特徴量とを比較し、抽出部133が抽出した特徴量のみにおいて値が欠損している次元に対応する項目を不足している項目として特定する。
【0049】
表示制御部136は、判定部134が特定した不足している項目を補完するためのデータを取得する。一例として、記憶部12においては、補完情報を記憶している。図6は、記憶部12が記憶する補完情報のデータ構造の一例を示す図である。補完情報においては、「補完項目」と、「参照データ」と、「補完方法」と、が関連付けられている。「補完項目」は、補完対象の項目を示す。「参照データ」は、当該「補完項目」を補完するために参照するデータを示す。補完方法は、当該「補完項目」の情報を生成するための工程を示す。
【0050】
表示制御部136は、記憶部12が記憶する補完情報を参照し、書類データにおいて不足する情報を補完するために参照するデータを特定する。表示制御部136は、特定したデータを参照し、取得したデータを補完する情報の候補として情報端末2に表示させる。情報端末2において、表示された情報で補完するための操作がされた場合、出力部135は、要約データ生成部132が生成した要約情報と、表示制御部136が補完するための情報として取得した情報を対象事務処理に応じた出力先に出力する。
【0051】
取得した請求書データにおいて支払先の口座番号が含まれていない場合を例に補完処理を説明する。一例として、補完情報においては、「支払業務」において、「支払先口座番号」が含まれていない場合に、記憶部12が記憶する「支払先マスタ」を参照すべきことが含まれる。「支払先マスタ」は、支払先と、該支払先の口座番号と、を関連付けた情報である。表示制御部136は、判定部134が書類データにおいて支払先口座番号が不足していると判定する場合、書類データに含まれる支払先の名称及び住所に支払先マスタにおいて対応する支払先口座番号を取得する。表示制御部136は、取得した支払先口座番号を補完する情報の候補として、情報端末2に表示させる。
【0052】
なお、記憶部12は、対象事務処理と、該対象事務処理における要約データに基づいて必要な情報が含まれていないと判定部134が判定する場合に、補完するための情報の候補と、を関連付けたテーブルを記憶していてもよく、表示制御部136は、当該テーブルを参照し、不足している情報を補完するための情報の候補を表示させてもよい。
【0053】
情報処理装置1がこのように構成されることで、取得した書類データに不足する情報がある場合においても事務処理を遂行できるようにするという効果を奏する。
【0054】
書類データにおいて事務処理に必要な情報が不足している場合にメッセージを表示するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0055】
表示制御部136は、判定部134によって取得部131が取得した書類データにおいて特定の事務を処理するために必要な情報が含まれていないと判定された場合、情報が不足していることを示すメッセージを表示させる。表示制御部136は、情報が不足していることを示すメッセージを情報端末2に表示させてもよいし、不図示の外部装置に表示させるように出力してもよい。表示制御部136は、情報が不足していることを示すメッセージとともに不足している情報の内容をさらに表示させてもよい。
【0056】
判定部134は、要約データから抽出した特徴量を、比較特徴量情報と比較することにより、書類データに含まれる情報に異常値が含まれるか否かを判定してもよい。一例として、請求書である書類データにおいて、請求金額に対応する特徴量と、比較特徴量において請求金額に対応する特徴量と、が所定の閾値以上乖離している場合に判定部134は、書類データに異常値が含まれていると判定する。表示制御部136は、判定部134が書類データに異常値が含まれていると判定した場合、所定のメッセージを不図示の外部装置に表示させる。一例として、表示制御部136は、判定部134が書類データに異常値が含まれていると判定した場合、取得した書類データに異常値が含まれることを示すメッセージを表示させる。
【0057】
情報処理装置1がこのように構成されることで、後続処理を実行可能か否かを判断できる情報を提示できるという効果を奏する。
【0058】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図7は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。図7におけるフローチャートは、書類データを取得する時点から開始している。
【0059】
取得部131は、書類データを取得する(S01)。要約データ生成部132は、対象事務処理を特定する(S02)。一例として、要約データ生成部132は、情報端末2から受付けた情報に基づいて、対象事務処理を特定する。要約データ生成部132は、書類データと対象事務処理に基づいて要約データを生成する(S03)。抽出部133は、生成された要約データから特徴量を抽出する(S04)。
【0060】
判定部134は、抽出部133が抽出した特徴量に基づいて、要約データに事務処理に必要な情報が含まれているか否かを判定する(S05)。判定部134が要約データに事務処理に必要な情報が含まれていると判定する場合(S05におけるYES)、出力部135は、書類データを対象事務処理に応じた出力先に出力し(S06)、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0061】
判定部134が要約データに事務処理に必要な情報が含まれていないと判定する場合(S05におけるNO)、表示制御部136は、要約データに不足する項目を補完可能か否かを判定する(S07)。一例として、表示制御部136は、書類データにおいて不足する項目が、記憶部12が記憶する補完情報に含まれる項目と一致する場合に補完可能と判定する。
【0062】
要約データに不足する項目を補完可能である場合(S07におけるYES)、表示制御部136は、補完する情報の候補を情報端末2に表示させる(S08)。表示された情報で補完することを示す操作が情報端末2においてされた場合、情報処理装置1は、処理をS06に進める。
【0063】
要約データに不足する項目を補完可能ではない場合(S07におけるNO)、表示制御部136は、情報が不足していることを示すメッセージを出力させ(S09)、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0064】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、取得したデータに基づいて後続する事務処理を実行可能か否かを判断することができるという効果を奏する。
【0065】
以上、実施の形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0066】
1 情報処理装置
2 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 要約データ生成部
133 抽出部
134 判定部
135 出力部
136 表示制御部
【要約】
処理の対象とする書類の電子データである書類データを取得する取得部131と、取得部131が取得した書類データから、特定の事務処理の観点に応じた要約データを生成する要約データ生成部132と、要約データから特徴量を抽出する抽出部133と、抽出部133が抽出した特徴量を、特定の事務処理の観点に応じた所定の特徴量と比較することにより、取得部131が取得した書類データに特定の事務を処理するために必要な情報が含まれているか否かを判定する判定部134と、を有する情報処理装置1である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7