(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】処理装置及び送風機
(51)【国際特許分類】
F27B 9/10 20060101AFI20240522BHJP
F27B 9/30 20060101ALI20240522BHJP
F27D 7/06 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
F27B9/10
F27B9/30
F27D7/06 B
(21)【出願番号】P 2019163808
(22)【出願日】2019-09-09
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000214939
【氏名又は名称】直本工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392035352
【氏名又は名称】株式会社豊電子工業
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】長 伸朗
(72)【発明者】
【氏名】大塚 啓志
(72)【発明者】
【氏名】金岡 明男
(72)【発明者】
【氏名】今村 幸伯
(72)【発明者】
【氏名】上林 丈仁
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-004013(JP,A)
【文献】実開昭49-139312(JP,U)
【文献】特開2001-198671(JP,A)
【文献】特開2014-012099(JP,A)
【文献】特開2005-341834(JP,A)
【文献】特開平5-296663(JP,A)
【文献】特開平10-205496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/10
F27B 9/30
F27D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、
前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、
前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、
気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、
前記処理室の内部に配置されたガイド部材であって、前記送風機の前記排気口から吹き出された気体を、前記搬送経路に沿った方向と水平方向に交差する方向に導きながら前記送風機の前記吸気口に導くための複数の流路を有するガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材は、前記搬送経路に沿った方向に並んで配置された複数の隔壁部を有し、
前記複数の流路の各々は、前記複数の隔壁部の隣り合う一対の隔壁部の間に形成されている
処理装置。
【請求項2】
前記複数の流路は、
各々が前記送風機の前記排気口から吹き出された気体を、前記搬送経路に沿った方向と前記水平方向に交差する第1の方向、及び、前記第1の方向と反対方向である第2の方向に分流する複数の分流路と、
前記複数の分流路とそれぞれ連通され、前記複数の分流路により前記第1の方向に分流
された気体をそれぞれ前記送風機の前記吸気口に導く複数の第1のガイド流路と、
前記複数の分流路とそれぞれ連通され、前記複数の分流路により前記第2の方向に分流された気体をそれぞれ前記送風機の前記吸気口に導く複数の第2のガイド流路と、を有する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記複数の分流路の各々は、前記処理領域に対して前記送風機の前記排気口と反対側に配置され、前記排気口に向けて凸状に形成されている
請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記処理装置は、さらに、
有圧気体を供給する有圧気体供給源と、
前記送風機の前記排気口と前記処理室の前記開口部との間に配置され、前記有圧気体供給源からの有圧気体を前記処理領域に向けて噴射するノズルと、を備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記処理室は、前記送風機の前記排気口と前記処理室の前記開口部との間において、前記搬送経路に対向して配置されたガイド壁部を有し、
前記ガイド壁部は、前記搬送経路から離れる方向に凹状に形成され、且つ、前記排気口から吹き出された気体を
前記搬送経路から離れる方向に導くガイド面を有する
請求項1~4のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記ガイド壁部は、前記ガイド面の上流側端部に形成され、前記送風機の前記排気口から吹き出されて前記ガイド面に誘い込まれる気体に乱流を生じさせるための複数の突部を有する
請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記処理装置は、さらに、
前記処理室の前記開口部の上端部から吊り下げられた第1のチェーンカーテンと、
前記処理室の前記開口部の前記上端部から吊り下げられた第2のチェーンカーテンであって、前記第1のチェーンカーテンと重なるように配置され、前記第1のチェーンカーテンよりも長さの短い第2のチェーンカーテンと、を備える
請求項1~6のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記送風機は、さらに、
前記吸気口と前記排気口とを連通するダクト流路が内部に形成され、前記吸気口と前記排気口との間で、前記ダクト流路の断面積を前記吸気口側から前記排気口側に向けて絞る絞り部を有するダクトと、
前記ダクトの内部に配置され、前記絞り部と前記排気口との間における前記ダクト流路を格子状に仕切る仕切り板と、を有する
請求項1~7のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項9】
被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、
前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、
前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、
気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、
有圧気体を供給する有圧気体供給源と、
前記送風機の前記排気口と前記処理室の前記開口部との間に配置され、前記有圧気体供給源からの有圧気体を前記処理領域に向けて噴射するノズルと、を備える
処理装置。
【請求項10】
被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、
前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、
前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、
気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、を備え、
前記処理室は、前記送風機の前記排気口と前記処理室の前記開口部との間において、前記搬送経路に対向して配置されたガイド壁部を有し、
前記ガイド壁部は、前記搬送経路から離れる方向に凹状に形成され、且つ、前記排気口から吹き出された気体を
前記搬送経路から離れる方向に導くガイド面を有する
処理装置。
【請求項11】
被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、
前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、
前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、
気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、を備え、
前記処理室は、前記送風機の前記排気口と前記処理室の前記開口部との間において、前記搬送経路に対向して配置されたガイド壁部を有し、
前記ガイド壁部は、
前記排気口から吹き出された気体を
前記搬送経路から離れる方向に導くガイド面と、
前記ガイド面の上流側端部に形成され、前記排気口から吹き出されて前記ガイド面に誘い込まれる気体に乱流を生じさせるための複数の突部と、を有する
処理装置。
【請求項12】
被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、
前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、
前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、
気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、
前記処理室の前記開口部の上端部から吊り下げられた第1のチェーンカーテンと、
前記処理室の前記開口部の前記上端部から吊り下げられた第2のチェーンカーテンであって、前記第1のチェーンカーテンと重なるように配置され、前記第1のチェーンカーテンよりも長さの短い
且つ下端部が前記被処理物の上面に接触しない長さである第2のチェーンカーテンと、を備え
、
前記第2のチェーンカーテンは、前記被処理物の搬送方向に見て、前記第1のチェーンカーテンよりも手前側に配置され、
前記第2のチェーンカーテンは、前記被処理物が前記処理室の前記開口部を通過する際に、前記被処理物により前記第1のチェーンカーテンが押し広げられることにより生じる前記第1のチェーンカーテンの隙間を閉塞する
処理装置。
【請求項13】
被処理物に気体を吹き付けるための送風機であって、
気体を吸い込む吸気口と、
前記吸気口から吸い込んだ気体を吹き出す排気口と、
前記吸気口と前記排気口とを連通するダクト流路が内部に形成され、前記吸気口と前記排気口との間で、前記ダクト流路の断面積を前記吸気口側から前記排気口側に向けて絞る絞り部を有するダクトと、
前記ダクトの内部に配置され、前記絞り部と前記排気口との間における前記ダクト流路を格子状に仕切る仕切り板と、を備える
送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物に気体を吹き付けることにより、被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置に関する。また、本発明は、被処理物に気体を吹き付けるための送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
被加熱物に過熱水蒸気を吹き付けることにより、被加熱物に対して加熱処理を施すための加熱処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。従来の加熱処理装置は、搬入口及び搬出口を有する処理室と、被加熱物を処理室の搬入口から搬出口へ搬送するコンベアと、過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部と、コンベア上の被加熱物に向けて過熱水蒸気生成部からの過熱水蒸気を吹き出すノズルとを備えている。
【0003】
処理室の内部において、ノズルからの過熱水蒸気がコンベア上の被加熱物に吹き付けられることにより、被加熱物が例えば200℃~300℃程度まで加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の加熱処理装置では、ノズルから吹き出された過熱水蒸気が、処理室の搬入口及び搬出口から処理室の外部に漏洩してしまう。そのため、被加熱物の加熱効率が低下するとともに、加熱処理装置を操作する作業者等が搬入口及び搬出口から漏洩した過熱水蒸気に触れるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、気体が処理室の開口部から処理室の外部に漏洩するのを抑制することができる処理装置及び送風機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る処理装置は、被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、前記処理室の内部に配置されたガイド部材であって、前記送風機の前記排気口から吹き出された気体を、前記搬送経路に沿った方向と交差する方向に導きながら前記送風機の前記吸気口に導くための複数の流路を有するガイド部材と、を備え、前記ガイド部材は、前記搬送経路に沿った方向に並んで配置された複数の隔壁部を有し、前記複数の流路の各々は、前記複数の隔壁部の隣り合う一対の隔壁部の間に形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る処理装置によれば、気体が処理室の開口部から処理室の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る処理装置の全体構成を示す断面図である。
【
図2】実施の形態に係る処理装置におけるコンベア、送風機、ガイド部材及び噴射機構を抜き出して示す斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る処理装置におけるガイド部材を抜き出して示す斜視図である。
【
図7】実施の形態に係る処理装置における噴射機構及びガイド壁部を拡大して示す斜視図である。
【
図8A】実施の形態に係る処理装置におけるガイド壁部に形成された複数の突部を拡大して示す斜視図である。
【
図8B】実施の形態に係る処理装置におけるガイド壁部に形成された複数の突部を拡大して示す斜視図である。
【
図9】実施の形態に係る処理装置における遮熱用チェーンカーテンを拡大して示す図である。
【
図11】比較例に係る遮熱用チェーンカーテンの使用例を示す図である。
【
図12】実施の形態に係る処理装置における遮熱用チェーンカーテンの使用例を示す図である。
【
図13】変形例に係る処理装置における複数の送風機及びガイド部材を抜き出して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様に係る処理装置は、被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、前記処理室の内部に配置されたガイド部材であって、前記送風機の前記排気口から吹き出された気体を、前記搬送経路に沿った方向と交差する方向に導きながら前記送風機の前記吸気口に導くための複数の流路を有するガイド部材と、を備え、前記ガイド部材は、前記搬送経路に沿った方向に並んで配置された複数の隔壁部を有し、前記複数の流路の各々は、前記複数の隔壁部の隣り合う一対の隔壁部の間に形成されている。
【0011】
本態様によれば、ガイド部材の複数の流路は、送風機の排気口から吹き出された気体を、搬送経路に沿った方向と交差する方向に導きながら送風機の吸気口に導く。この時、複数の流路の各々は、複数の隔壁部により搬送経路に沿った方向に仕切られているので、送風機の排気口から吹き出された気体が搬送経路に沿った方向に広がりながら流れるのを抑制することができ、送風機の排気口から吹き出された気体を、送風機の吸気口に効率良く導くことができる。その結果、送風機の排気口から吹き出された気体が、処理室の開口部から処理室の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0012】
例えば、前記複数の流路は、各々が前記送風機の前記排気口から吹き出された気体を、前記搬送経路に沿った方向と交差する第1の方向、及び、前記第1の方向と反対方向である第2の方向に分流する複数の分流路と、前記複数の分流路とそれぞれ連通され、前記複数の分流路により前記第1の方向に分流された気体をそれぞれ前記送風機の前記吸気口に導く複数の第1のガイド流路と、前記複数の分流路とそれぞれ連通され、前記複数の分流路により前記第2の方向に分流された気体をそれぞれ前記送風機の前記吸気口に導く複数の第2のガイド流路と、を有するように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、送風機の排気口から吹き出された気体を、搬送経路に沿った方向と交差する第1の方向及び第2の方向に分流しながら送風機の吸気口に効率良く導くことができる。
【0014】
例えば、前記複数の分流路の各々は、前記処理領域に対して前記送風機の前記排気口と反対側に配置され、前記排気口に向けて凸状に形成されているように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、複数の分流路の各々は、送風機の排気口に向けて凸状に形成されているので、送風機の排気口から吹き出された気体を効率良く分流することができる。
【0016】
例えば、前記処理装置は、さらに、有圧気体を供給する有圧気体供給源と、前記送風機の前記排気口と前記処理室の前記開口部との間に配置され、前記有圧気体供給源からの有圧気体を前記処理領域に向けて噴射するノズルと、を備えるように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、ノズルは、有圧気体供給源からの有圧気体を処理領域に向けて噴射するので、送風機の排気口と処理室の開口部との間には、有圧気体によるエアーカーテンが形成される。これにより、送風機の排気口から吹き出された気体が、処理室の開口部に向けて流れるのを抑制することができる。さらに、ノズルから噴射された有圧気体の圧力により処理室の内部の圧力が正圧に保持されるので、外気が処理室の開口部から処理室の内部に流入するのを抑制することができる。
【0018】
例えば、前記処理室は、前記送風機の前記排気口と前記処理室の前記開口部との間において、前記搬送経路に対向して配置されたガイド壁部を有し、前記ガイド壁部は、前記搬送経路から離れる方向に凹状に形成され、且つ、前記排気口から吹き出された気体を所定の方向に導くガイド面を有するように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、ガイド壁部は、搬送経路から離れる方向に凹状に形成されたガイド面を有するので、ガイド面に誘い込まれた気体は、コアンダ効果によりガイド面に沿って流れるようになる。これにより、ガイド面に沿って流れる気体に作用する通風抵抗が増大し、気体の流速が低下する。さらに、気体がガイド面に沿って流れることにより、気体の通過面積が増大する。この時、いわゆる連続の方程式(連続の式)により、気体の通過面積が増大するのに従って、気体の流速が低下する。その結果、ガイド面に沿って流れる気体は、処理室の開口部まで到達し難くなるため、気体が処理室の開口部から処理室の外部に漏洩するのを効果的に抑制することができる。
【0020】
例えば、前記ガイド壁部は、前記ガイド面の上流側端部に形成され、前記送風機の前記排気口から吹き出されて前記ガイド面に誘い込まれる気体に乱流を生じさせるための複数の突部を有するように構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、ガイド壁部は複数の突部を有するので、処理室の開口部に向けて流れる気体は、複数の突部のうち隣り合う一対の突部の間の隙間を流れるようになる。この時、隙間には、気体による小さな渦が発生する。これにより、処理室の開口部に向けて流れる気体の主流が上記の小さな渦に巻き込まれるので、気体の主流をガイド面に効率良く誘い込むことができる。
【0022】
例えば、前記処理装置は、さらに、前記処理室の前記開口部の上端部から吊り下げられた第1のチェーンカーテンと、前記処理室の前記開口部の前記上端部から吊り下げられた第2のチェーンカーテンであって、前記第1のチェーンカーテンと重なるように配置され、前記第1のチェーンカーテンよりも長さの短い第2のチェーンカーテンと、を備えるように構成してもよい。
【0023】
本態様によれば、処理室の開口部の上端部には、第1のチェーンカーテンと、第1のチェーンカーテンと重なるように配置された第2のチェーンカーテンとが吊り下げられている。これにより、被処理物は、処理室の開口部を通過する際に、第1のチェーンカーテンを左右方向及び後ろ方向に押し広げる。この時、左右方向及び後ろ方向に押し広げられた第1のチェーンカーテンに隙間が生じるが、この隙間は第2のチェーンカーテンにより閉塞されるようになる。そのため、処理室の内部の気体が上記隙間から処理室の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0024】
例えば、前記送風機は、さらに、前記吸気口と前記排気口とを連通するダクト流路が内部に形成され、前記吸気口と前記排気口との間で、前記ダクト流路の断面積を前記吸気口側から前記排気口側に向けて絞る絞り部を有するダクトと、前記ダクトの内部に配置され、前記絞り部と前記排気口との間における前記ダクト流路を格子状に仕切る仕切り板と、を有するように構成してもよい。
【0025】
本態様によれば、送風機のダクトには、吸気口と排気口との間で、ダクト流路の断面積を吸気口側から排気口側に向けて絞る絞り部が形成されているので、吸気口から吸い込まれた気体が絞り部の内部を通過した際に、気体の流速分布はほぼ均一となる。さらに、ダクトの内部には、絞り部と排気口との間におけるダクト流路を格子状に仕切る仕切り板が配置されているので、絞り部の内部を通過した気体は、ダクトの内部において仕切り板により形成された複数の分割流路の各々にほぼ均等に分配される。これにより、複数の分割流路の各々を流れる気体の流速はほぼ等しくなるため、排気口から吹き出される気体の流速分布はほぼ均一となる。その結果、排気口から吹き出された気体は被処理物の表面にほぼ均一に吹き付けられるので、被処理物に対して所定の処理をムラなく施すことができる。
【0026】
本発明の一態様に係る処理装置は、被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、有圧気体を供給する有圧気体供給源と、前記送風機の前記排気口と前記処理室の前記開口部との間に配置され、前記有圧気体供給源からの有圧気体を前記処理領域に向けて噴射するノズルと、を備える。
【0027】
本態様によれば、ノズルは、有圧気体供給源からの有圧気体を処理領域に向けて噴射するので、送風機の排気口と処理室の開口部との間には、有圧気体によるエアーカーテンが形成される。これにより、送風機の排気口から吹き出された気体が、処理室の開口部に向けて流れるのを抑制することができる。さらに、ノズルから噴射された有圧気体の圧力により処理室の内部の圧力が正圧に保持されるので、外気が処理室の開口部から処理室の内部に流入するのを抑制することができる。
【0028】
本発明の一態様に係る処理装置は、被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、を備え、前記処理室は、前記送風機の前記排気口と前記処理室の前記開口部との間において、前記搬送経路に対向して配置されたガイド壁部を有し、前記ガイド壁部は、前記搬送経路から離れる方向に凹状に形成され、且つ、前記排気口から吹き出された気体を所定の方向に導くガイド面を有する。
【0029】
本態様によれば、ガイド壁部は、搬送経路から離れる方向に凹状に形成されたガイド面を有するので、ガイド面に誘い込まれた気体は、コアンダ効果によりガイド面に沿って流れるようになる。これにより、ガイド面に沿って流れる気体に作用する通風抵抗が増大し、気体の流速が低下する。さらに、気体がガイド面に沿って流れることにより、気体の通過面積が増大する。この時、いわゆる連続の方程式により、気体の通過面積が増大するのに従って、気体の流速が低下する。その結果、ガイド面に沿って流れる気体は、処理室の開口部まで到達し難くなるため、気体が処理室の開口部から処理室の外部に漏洩するのを効果的に抑制することができる。
【0030】
本発明の一態様に係る処理装置は、被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、を備え、前記処理室は、前記送風機の前記排気口と前記処理室の前記開口部との間において、前記搬送経路に対向して配置されたガイド壁部を有し、前記ガイド壁部は、前記排気口から吹き出された気体を所定の方向に導くガイド面と、前記ガイド面の上流側端部に形成され、前記排気口から吹き出されて前記ガイド面に誘い込まれる気体に乱流を生じさせるための複数の突部と、を有する。
【0031】
本態様によれば、ガイド壁部は複数の突部を有するので、処理室の開口部に向けて流れる気体は、複数の突部のうち隣り合う一対の突部の間の隙間を流れるようになる。この時、隙間には、気体による小さな渦が発生する。これにより、処理室の開口部に向けて流れる気体の主流が上記の小さな渦に巻き込まれるので、気体の主流をガイド面に効率良く誘い込むことができる。
【0032】
本発明の一態様に係る処理装置は、被処理物に気体を吹き付けることにより、前記被処理物に対して所定の処理を施すための処理装置であって、前記被処理物を内部に搬入又は外部に搬出するための開口部を有し、前記被処理物に対して前記所定の処理を施すための処理領域が内部に配置された処理室と、前記処理室の内部に配置され、前記被処理物を前記処理室の前記開口部と前記処理領域との間で搬送するための搬送経路と、気体を吸い込む吸気口、及び、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記処理領域に向けて吹き出す排気口を有する送風機と、前記処理室の前記開口部の上端部から吊り下げられた第1のチェーンカーテンと、前記処理室の前記開口部の前記上端部から吊り下げられた第2のチェーンカーテンであって、前記第1のチェーンカーテンと重なるように配置され、前記第1のチェーンカーテンよりも長さの短い第2のチェーンカーテンと、を備える。
【0033】
本態様によれば、処理室の開口部の上端部には、第1のチェーンカーテンと、第1のチェーンカーテンと重なるように配置された第2のチェーンカーテンとが吊り下げられている。これにより、被処理物は、処理室の開口部を通過する際に、第1のチェーンカーテンを左右方向及び後ろ方向に押し広げる。この時、左右方向及び後ろ方向に押し広げられた第1のチェーンカーテンに隙間が生じるが、この隙間は第2のチェーンカーテンにより閉塞されるようになる。そのため、処理室の内部の気体が上記隙間から処理室の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0034】
本発明の一態様に係る送風機は、被処理物に気体を吹き付けるための送風機であって、気体を吸い込む吸気口と、前記吸気口から吸い込んだ気体を吹き出す排気口と、前記吸気口と前記排気口とを連通するダクト流路が内部に形成され、前記吸気口と前記排気口との間で、前記ダクト流路の断面積を前記吸気口側から前記排気口側に向けて絞る絞り部を有するダクトと、前記ダクトの内部に配置され、前記絞り部と前記排気口との間における前記ダクト流路を格子状に仕切る仕切り板と、を備える。
【0035】
本態様によれば、ダクトには、吸気口と排気口との間で、ダクト流路の断面積を吸気口側から排気口側に向けて絞る絞り部が形成されているので、吸気口から吸い込まれた気体が絞り部の内部を通過した際に、気体の流速分布はほぼ均一となる。さらに、ダクトの内部には、絞り部と排気口との間におけるダクト流路を格子状に仕切る仕切り板が配置されているので、絞り部の内部を通過した気体は、ダクトの内部において仕切り板により形成された複数の分割流路の各々にほぼ均等に分配される。これにより、複数の分割流路の各々を流れる気体の流速はほぼ等しくなるため、排気口から吹き出される気体の流速分布はほぼ均一となる。その結果、排気口から吹き出された気体を被処理物の表面にほぼ均一に吹き付けることができる。
【0036】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0037】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、特許請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0038】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0039】
(実施の形態)
以下、
図1~
図12を参照しながら、実施の形態について説明する。なお、
図1~
図12において、処理室6の幅方向をX軸、処理室6の奥行き方向(被加熱物4の搬送方向)をY軸、処理室6の高さ方向をZ軸とする。
【0040】
[1.処理装置の全体構成]
まず、
図1を参照しながら、実施の形態に係る処理装置2の全体構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る処理装置2の全体構成を示す断面図である。
【0041】
処理装置2は、被加熱物4(被処理物の一例)に過熱水蒸気(気体の一例)を吹き付けることにより、被加熱物4に対して加熱処理(所定の処理の一例)を施すための加熱処理装置である。なお、過熱水蒸気とは、常圧で100℃の飽和水蒸気をさらに加熱することにより得られる、無色透明の気体(H2Oガス)を意味する。
【0042】
被加熱物4は、例えば常温の金属、又は、炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の常温の樹脂で形成されている。被加熱物4の高さは、例えば数十cm程度である。処理装置2は、例えば被加熱物4を200℃~500℃程度まで加熱するための連続式の加熱処理装置として用いられる。
【0043】
図1に示すように、処理装置2は、処理室6と、過熱水蒸気発生部8と、ヒータ群10a,10bと、コンベア12と、送風機14と、ガイド部材16と、噴射機構18と、遮熱用チェーンカーテン20a,20bとを備えている。
【0044】
処理室6は、被加熱物4に対して加熱処理を施すための加熱炉である。処理室6は、ハウジング部27と、ガイド壁部28a,28bとを有している。ハウジング部27の内部には、被加熱物4に対して加熱処理を施すための処理領域26が配置されている。また、ハウジング部27の内部において、処理領域26の上方には、送風機14の排気口42(後述する)が対向して配置されている。
【0045】
ガイド壁部28aは、ハウジング部27の奥行き方向における手前側(Y軸のマイナス側)に配置されている。ガイド壁部28aの端部には、被加熱物4を処理室6の内部に搬入するための搬入口22(開口部の一例)が形成されている。また、ガイド壁部28bは、ハウジング部27の奥行き方向における奥側(Y軸のプラス側)に配置されている。ガイド壁部28bの端部には、被加熱物4を処理室6の外部に搬出するための搬出口24(開口部の一例)が形成されている。
【0046】
過熱水蒸気発生部8は、過熱水蒸気を発生するためのものであり、例えば処理室6の外部に配置されている。過熱水蒸気発生部8は、ボイラ(図示せず)と、加熱部(図示せず)とを有している。ボイラは、飽和水蒸気を生成し、生成した飽和水蒸気を加熱部に供給する。なお、飽和水蒸気とは、常圧で100℃の水蒸気(無色透明の気体)を意味する。加熱部は、例えば電熱ヒータ又はガスバーナ等で構成されており、ボイラから供給されてきた飽和水蒸気を常圧で100℃以上に加熱することにより、過熱水蒸気を生成する。なお、過熱水蒸気の温度は、例えば常圧で200℃~500℃である。加熱部により生成された過熱水蒸気は、処理室6の内部に供給される。
【0047】
ヒータ群10a,10bの各々は、処理室6の内部を加熱するためのものであり、処理室6のハウジング部27の内部に配置されている。ヒータ群10a,10bはそれぞれ、複数の電熱ヒータ30a,30bを有している。複数の電熱ヒータ30a,30bの各々は、例えば直線状に形成されたシーズヒータで構成されている。
図1に示すように、複数の電熱ヒータ30aは、送風機14をハウジング部27の奥行き方向(Y軸方向)から囲むように配置されている。複数の電熱ヒータ30aは、ハウジング部27の幅方向(X軸方向)に延びており、ハウジング部27の高さ方向(Z軸方向)に間隔を置いて配置されている。また、複数の電熱ヒータ30bは、送風機14をハウジング部27の幅方向から囲むように配置されている。なお、説明の都合上、
図1では、送風機14よりも手前側(X軸のプラス側)に配置された複数の電熱ヒータ30bの図示を省略してある。複数の電熱ヒータ30bは、ハウジング部27の奥行き方向に延びており、ハウジング部27の高さ方向に間隔を置いて配置されている。複数の電熱ヒータ30a,30bの各々は、通電されることにより発熱し、処理室6の内部を例えば200℃~500℃に加熱する。
【0048】
コンベア12は、被加熱物4を、処理室6の搬入口22から処理領域26を通過して搬出口24へ搬送するためのベルトコンベアである。コンベア12は、例えば通気性を有するメッシュコンベアで構成されている。処理室6の内部におけるコンベア12上には、コンベア12の長手方向(Y軸方向)に沿って、処理室6の搬入口22から処理領域26を経て搬出口24まで直線状に延びる搬送経路32が形成されている。
【0049】
送風機14は、過熱水蒸気発生部8から処理室6の内部に供給された過熱水蒸気を吸い込み、吸い込んだ過熱水蒸気を処理領域26に向けて下方に吹き出すための送風ファンである。送風機14は、処理室6のハウジング部27の内部において、処理領域26の上方に配置されている。
【0050】
被加熱物4がコンベア12により処理室6の搬入口22から処理領域26まで搬送されてきた際に、送風機14は、処理領域26上の被加熱物4に過熱水蒸気を吹き付ける。これにより、被加熱物4は、過熱水蒸気の熱によって例えば200℃~500℃程度まで加熱される。この時、被加熱物4を比較的短時間(例えば数秒~3分程度)で加熱するためには、送風機14から吹き出される過熱水蒸気の平均流速は10m/秒以上が好ましく、20m/秒以上がより好ましい。
【0051】
なお、送風機14から吹き出された過熱水蒸気は、ヒータ群10a,10bにより加熱された後に送風機14に再度吸い込まれる。これにより、過熱水蒸気は、送風機14によって処理室6の内部を循環するようになる。
【0052】
ガイド部材16は、送風機14の排気口42から下方に吹き出された過熱水蒸気を、搬送経路32に沿った方向(Y軸方向)と交差する2方向(X軸のプラス側及びマイナス側)に分流しながら送風機14の吸気口36(後述する)に向けて上方に導くための部材である。ガイド部材16は、処理室6のハウジング部27の内部に配置されている。
【0053】
噴射機構18は、有圧過熱水蒸気(有圧気体の一例)を処理領域26に向けて噴射するための機構であり、処理室6の内部に配置されている。なお、有圧過熱水蒸気とは、常圧の過熱水蒸気を膨張加圧することにより得られる無色透明の気体(H2Oガス)、すなわち圧送された過熱水蒸気を意味する。
【0054】
遮熱用チェーンカーテン20a,20bはそれぞれ、処理室6の搬入口22及び搬出口24から漏洩する過熱水蒸気の熱を遮蔽するためのものである。遮熱用チェーンカーテン20a,20bはそれぞれ、処理室6の搬入口22及び搬出口24に配置されている。
【0055】
以下、実施の形態に係る処理装置2の上記各構成要素のうち、特徴的なものについて詳細に説明する。
【0056】
[2.送風機の構成]
図2~
図4を参照しながら、送風機14の構成について説明する。
図2は、実施の形態に係る処理装置2におけるコンベア12、送風機14、ガイド部材16及び噴射機構18を抜き出して示す斜視図である。
図3は、
図2のIII-III線断面図である。
図4は、
図3のIV-IV線断面図である。なお、説明の都合上、
図3では、噴射機構18の図示を省略してある。
【0057】
図2及び
図3に示すように、送風機14は、ダクト34と、吸気口36と、シロッコファン38と、モータ40と、排気口42とを有している。
【0058】
ダクト34は、吸気部44と、絞り部46と、排気部48とを有している。ダクト34の内部には、吸気口36と排気口42とを連通するダクト流路50が形成されている。
【0059】
吸気部44は中空状の略円柱状に形成され、吸気部44の内部にはシロッコファン38が配置されている。吸気部44の一方の側面には、シロッコファン38と連通する吸気口36が形成されている。吸気部44の他方の側面には、シロッコファン38を駆動するためのモータ40が支持されている。シロッコファン38が回転することにより、処理室6の内部の過熱水蒸気が吸気口36から吸気部44の内部に吸い込まれる。
【0060】
絞り部46は、吸気部44と排気部48との間に形成された、中空状のくびれ部分である。
図2及び
図3に示すように、この絞り部46では、ダクト流路50の断面積(XY平面における断面積)が吸気口36側から排気口42側に向けて絞られている。すなわち、ダクト流路50の断面積は、吸気部44から絞り部46にかけて縮小した後に一定となり、排気部48で拡大する。
【0061】
排気部48は、絞り部46から吸気部44と反対方向に延び、中空状のブーツ状に形成されている。排気部48の下端面には、吸気口36から吸い込まれた過熱水蒸気を吹き出すための排気口42が形成されている。
図2及び
図3に示すように、排気口42は、処理領域26の上方に対向して配置されている。この排気部48では、絞り部46から排気口42に向かう方向に、ダクト流路50の断面積が拡大している。
【0062】
また、
図3及び
図4に示すように、排気部48の内部には、仕切り板52が配置されている。仕切り板52は、複数の板状部材が格子状に組み合わされることにより構成されている。
図4に示すように、絞り部46と排気口42との間におけるダクト流路50は、XY平面視において仕切り板52により格子状に仕切られている。すなわち、絞り部46と排気口42との間におけるダクト流路50は、XY平面視において、仕切り板52によりほぼ等しい大きさの複数の分割流路54に分割される。なお、本実施の形態では、XY平面視における複数の分割流路54の各断面形状を矩形状に形成したが、これに限定されず、例えば多角形状、円形状又は楕円形状等に形成してもよい。
【0063】
図3に示すように、吸気口36から吸い込まれた過熱水蒸気は、吸気部44の内部から絞り部46の内部を通過して排気部48の内部へと流れる。この時、絞り部46では、ダクト流路50の断面積が吸気口36側から排気口42側に向けて絞られているので、過熱水蒸気が絞り部46の内部を通過した際に、過熱水蒸気の流速分布はほぼ均一となる。さらに、絞り部46の内部を通過した過熱水蒸気は、排気部48の内部において仕切り板52により形成された複数の分割流路54の各々にほぼ均等に分配される。これにより、複数の分割流路54の各々を流れる過熱水蒸気の流速はほぼ等しくなるため、排気口42から吹き出される過熱水蒸気の流速分布はほぼ均一となる。その結果、排気口42から吹き出された過熱水蒸気は被加熱物4の表面にほぼ均一に吹き付けられるので、被加熱物4をムラなくほぼ均一に加熱することができる。
【0064】
[3.ガイド部材の構成]
図2、
図3、
図5及び
図6を参照しながら、ガイド部材16の構成について説明する。
図5は、実施の形態に係る処理装置2におけるガイド部材16を抜き出して示す斜視図である。
図6は、
図2のVI-VI線断面図である。なお、説明の都合上、
図6では、ダクト34の排気部48を一点鎖線で簡略化して図示してある。
【0065】
図5に示すように、ガイド部材16は、分流部56と、第1のガイド部58と、第2のガイド部60とを有している。ガイド部材16の内面(処理領域26に対向する側の面)には、搬送経路32に沿った方向(Y軸方向)に並んで配置された複数の隔壁部61が形成されている。複数の隔壁部61の各々は、例えばXZ側面視で略W字状に形成されている。
【0066】
図2及び
図3に示すように、分流部56は、処理領域26に対して送風機14の排気口42と反対側に配置されている。すなわち、分流部56は、処理領域26の下方に対向して配置されている。
図5に示すように、分流部56の内面(処理領域26に対向する側の面)には、溝状の複数の分流路62(複数の流路の一例)が形成されている。複数の分流路62の各々は、分流部56における複数の隔壁部61の隣り合う一対の隔壁部61の間に形成されている。すなわち、複数の分流路62の各々は、複数の隔壁部61により、搬送経路32に沿った方向に仕切られている。複数の分流路62は、搬送経路32に沿った方向に並んで配置されている。また、複数の分流路62の各々は、送風機14の排気口42に向けて凸状に形成されている。これにより、複数の分流路62の各々は、その頂部から、搬送経路32に沿った方向と交差する第1の方向(X軸のプラス側)に斜め下方に延びるとともに、第1の方向と反対方向である第2の方向(X軸のマイナス側)に斜め下方に延びている。
【0067】
図2及び
図3に示すように、第1のガイド部58は、分流部56の一方の端部から送風機14の吸気口36に向けて上方に延びている。
図5に示すように、第1のガイド部58の内面(処理領域26に対向する側の面)には、溝状の複数の第1のガイド流路64(複数の流路の一例)が形成されている。複数の第1のガイド流路64の各々は、第1のガイド部58における複数の隔壁部61の隣り合う一対の隔壁部61の間に形成されている。すなわち、複数の第1のガイド流路64の各々は、複数の隔壁部61により、搬送経路32に沿った方向に仕切られている。複数の第1のガイド流路64は、搬送経路32に沿った方向に並んで配置されている。また、複数の第1のガイド流路64はそれぞれ、分流部56に形成された複数の分流路62と連通されるとともに、送風機14の吸気口36に向けて上方に直線状に延びている。なお、複数の第1のガイド流路64の各端部(分流路62と反対側の端部)は、開口されている。
【0068】
図2及び
図3に示すように、第2のガイド部60は、分流部56の他方の端部から送風機14の吸気口36に向けて上方に延びており、第1のガイド部58に対向して配置されている。
図5に示すように、第2のガイド部60の内面(処理領域26に対向する側の面)には、溝状の複数の第2のガイド流路66(複数の流路の一例)が形成されている。複数の第2のガイド流路66の各々は、第2のガイド部60における複数の隔壁部61の隣り合う一対の隔壁部61の間に形成されている。すなわち、複数の第2のガイド流路66の各々は、複数の隔壁部61により、搬送経路32に沿った方向に仕切られている。複数の第2のガイド流路66は、搬送経路32に沿った方向に並んで配置されている。また、複数の第2のガイド流路66はそれぞれ、分流部56に形成された複数の分流路62と連通されるとともに、送風機14の吸気口36に向けて上方に直線状に延びている。なお、複数の第2のガイド流路66の各端部(分流路62と反対側の端部)は、開口されている。
【0069】
図3に示すように、送風機14の排気口42から下方に吹き出された過熱水蒸気は、コンベア12を通過して下方へと流れる。この時、
図3及び
図6に示すように、下方へと流れる過熱水蒸気は、分流部56の複数の分流路62により、第1の方向及び第2の方向に分流される。複数の分流路62により第1の方向に分流された過熱水蒸気は、複数の第1のガイド流路64に沿って上方に流れ、送風機14の吸気口36に導かれる。また、複数の分流路62により第2の方向に分流された過熱水蒸気は、複数の第2のガイド流路66に沿って上方に流れ、送風機14の吸気口36に導かれる。
【0070】
この時、複数の分流路62、複数の第1のガイド流路64及び複数の第2のガイド流路66の各々は、複数の隔壁部61により搬送経路32に沿った方向に仕切られているので、送風機14の排気口42から吹き出された過熱水蒸気が搬送経路32に沿った方向に広がりながら流れるのを抑制することができ、送風機14の排気口42から吹き出された過熱水蒸気を、送風機14の吸気口36に効率良く導くことができる。その結果、送風機14の排気口42から吹き出された過熱水蒸気が、処理室6の搬入口22及び搬出口24から処理室6の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0071】
[4.噴射機構の構成]
図2、
図6及び
図7を参照しながら、噴射機構18の構成について説明する。
図7は、実施の形態に係る処理装置2における噴射機構18及びガイド壁部28a,28bを拡大して示す斜視図である。なお、説明の都合上、
図7では、ガイド部材16及び遮熱用チェーンカーテン20a,20b等の図示を省略してある。
【0072】
図2及び
図6に示すように、噴射機構18は、第1の有圧過熱水蒸気供給源68(有圧気体供給源の一例)と、第1の接続管70と、複数の第1のノズル72(ノズルの一例)と、第2の有圧過熱水蒸気供給源74(有圧気体供給源の一例)と、第2の接続管76と、複数の第2のノズル78(ノズルの一例)とを有している。
【0073】
第1の有圧過熱水蒸気供給源68は、有圧過熱水蒸気を供給するためのものであり、ガイド部材16の第1のガイド部58の外面に対向して配置されている。
【0074】
第1の接続管70は、第1の有圧過熱水蒸気供給源68と複数の第1のノズル72の各々とを連通するための接続管であり、略L字状に形成されている。
【0075】
複数の第1のノズル72の各々は、第1の有圧過熱水蒸気供給源68からの有圧過熱水蒸気を処理領域26に向けて噴射するためのノズルであり、直線状に延びている。複数の第1のノズル72は、送風機14の排気口42と処理室6の搬入口22との間において、搬送経路32の上方に対向して配置されている。また、複数の第1のノズル72は、搬送経路32に沿った方向に並んで配置されている。なお、複数の第1のノズル72の各々からの有圧過熱水蒸気の噴射方向は、例えば搬送経路32に沿った方向に対して斜め下方である。
【0076】
第2の有圧過熱水蒸気供給源74は、有圧過熱水蒸気を供給するためのものであり、ガイド部材16の第2のガイド部60の外面に対向して配置されている。
【0077】
第2の接続管76は、第2の有圧過熱水蒸気供給源74と複数の第2のノズル78の各々とを連通するための接続管であり、略L字状に形成されている。
【0078】
複数の第2のノズル78の各々は、第2の有圧過熱水蒸気供給源74からの有圧過熱水蒸気を処理領域26に向けて噴射するためのノズルであり、直線状に延びている。複数の第2のノズル78は、送風機14の排気口42と処理室6の搬出口24との間において、搬送経路32の上方に対向して配置されている。また、複数の第2のノズル78は、搬送経路32に沿った方向に並んで配置されている。なお、複数の第2のノズル78の各々からの有圧過熱水蒸気の噴射方向は、例えば搬送経路32に沿った方向に対して斜め下方である。
【0079】
図7に示すように、送風機14の排気口42から下方に吹き出された過熱水蒸気は、被加熱物4又はコンベア12に衝突して、略水平方向に放射状に広がりながら流れるようになる。この時、複数の第1のノズル72及び複数の第2のノズル78は、互いに反対方向から有圧過熱水蒸気を処理領域26に向けて斜め下方に噴射する。これにより、送風機14の排気口42と処理室6の搬入口22との間には、複数の第1のノズル72から噴射された有圧過熱水蒸気によるエアーカーテンが形成される。また、送風機14の排気口42と処理室6の搬出口24との間には、複数の第2のノズル78から噴射された有圧過熱水蒸気によるエアーカーテンが形成される。これにより、送風機14の排気口42から吹き出された過熱水蒸気が、処理室6の搬入口22及び搬出口24に向けて流れるのを抑制することができる。
【0080】
さらに、複数の第1のノズル72及び複数の第2のノズル78から噴射された有圧過熱水蒸気の圧力によって、処理室6の内部の圧力が正圧に保持される。これにより、外気が処理室6の搬入口22及び搬出口24から処理室6の内部に流入するのを抑制することができる。
【0081】
[5.ガイド壁部の構成]
図7、
図8A及び
図8Bを参照しながら、ガイド壁部28a,28bの構成について説明する。
図8Aは、実施の形態に係る処理装置2におけるガイド壁部28aに形成された複数の突部90を拡大して示す斜視図である。
図8Bは、実施の形態に係る処理装置2におけるガイド壁部28bに形成された複数の突部102を拡大して示す斜視図である。
【0082】
図7に示すように、ガイド壁部28aは、送風機14の排気口42と処理室6の搬入口22との間において、搬送経路32の上方に対向して配置されている。ガイド壁部28aは、水平壁部80と、垂直壁部82と、水平壁部84と、垂直壁部86とを有している。
【0083】
水平壁部80は、ハウジング部27(
図1参照)の奥行き方向における手前側(Y軸のマイナス側)から略水平方向に延びて配置されている。垂直壁部82は、水平壁部80の端部から鉛直上方に延びて配置されている。水平壁部84は、垂直壁部82の上端部から略水平方向に延びて配置されている。垂直壁部86は、水平壁部84の端部から鉛直下方に延び、垂直壁部82に対向して配置されている。
【0084】
垂直壁部82、水平壁部84及び垂直壁部86の各内面には、送風機14から吹き出された過熱水蒸気を搬入口22に向かう方向(所定の方向の一例)に導くためのガイド面88が形成されている。ガイド面88は、搬送経路32から離れる方向に凹状に形成されている。
【0085】
図8Aに示すように、ガイド面88の上流側端部、すなわち、水平壁部80と垂直壁部82との境界部分(角部分)には、鉛直下方に延びる複数の突部90が形成されている。複数の突部90は、搬送経路32に沿った方向と直交する方向(X軸方向)に間隔を置いて配置されている。複数の突部90は、送風機14の排気口42から吹き出されてガイド面88に誘い込まれる過熱水蒸気に乱流を生じさせる、いわゆるボルテックスジェネレータとして機能する。
【0086】
図7に示すように、ガイド壁部28bは、送風機14の排気口42と処理室6の搬出口24との間において、搬送経路32の上方に対向して配置されている。ガイド壁部28bは、水平壁部92と、垂直壁部94と、水平壁部96と、垂直壁部98とを有している。
【0087】
水平壁部92は、ハウジング部27の奥行き方向における奥側(Y軸のプラス側)から略水平方向に延びて配置されている。垂直壁部94は、水平壁部92の端部から鉛直上方に延びて配置されている。水平壁部96は、垂直壁部94の上端部から略水平方向に延びて配置されている。垂直壁部98は、水平壁部96の端部から鉛直下方に延び、垂直壁部94に対向して配置されている。
【0088】
垂直壁部94、水平壁部96及び垂直壁部98の各内面には、送風機14から吹き出された過熱水蒸気を搬出口24に向かう方向(所定の方向の一例)に導くためのガイド面100が形成されている。ガイド面100は、搬送経路32から離れる方向に凹状に形成されている。
【0089】
図8Bに示すように、ガイド面100の上流側端部、すなわち、水平壁部92と垂直壁部94との境界部分(角部分)には、鉛直下方に延びる複数の突部102が形成されている。複数の突部102は、搬送経路32に沿った方向と直交する方向に間隔を置いて配置されている。複数の突部102は、送風機14の排気口42から吹き出されてガイド面100に誘い込まれる過熱水蒸気に乱流を生じさせる、いわゆるボルテックスジェネレータとして機能する。
【0090】
上述した通り、
図7に示すように、送風機14の排気口42から下方に吹き出された過熱水蒸気は、被加熱物4又はコンベア12に衝突して、略水平方向に放射状に広がりながら流れるようになる。この時、略水平方向に流れる過熱水蒸気の一部は、噴射機構18により形成された有圧過熱水蒸気によるエアーカーテンをくぐり抜けて、処理室6の搬入口22及び搬出口24に向けて流れるようになる。
【0091】
図8Aに示すように、処理室6の搬入口22に向けて流れる過熱水蒸気は、複数の突部90のうち隣り合う一対の突部90の間の隙間104を流れるようになる。この時、複数の隙間104の各々には、過熱水蒸気による小さな渦が発生する。これにより、処理室6の搬入口22に向けて流れる過熱水蒸気の主流が複数の小さな渦に巻き込まれるので、過熱水蒸気の主流をガイド面88に効率良く誘い込むことができる。
【0092】
同様に、
図8Bに示すように、処理室6の搬出口24に向けて流れる過熱水蒸気は、複数の突部102のうち隣り合う一対の突部102の間の隙間106を流れるようになる。この時、複数の隙間106の各々には、過熱水蒸気による小さな渦が発生する。これにより、処理室6の搬出口24に向けて流れる過熱水蒸気の主流が複数の小さな渦に巻き込まれるので、過熱水蒸気の主流をガイド面100に効率良く誘い込むことができる。
【0093】
また、
図7に示すように、ガイド面88,100に誘い込まれた過熱水蒸気は、コアンダ効果によりガイド面88,100に沿って流れるようになる。この場合における過熱水蒸気の移動距離は、過熱水蒸気が搬送経路32に沿って流れる場合における過熱水蒸気の移動距離よりも長くなる。これにより、ガイド面88,100に沿って流れる過熱水蒸気に作用する通風抵抗が増大し、過熱水蒸気の流速が低下する。
【0094】
さらに、過熱水蒸気がガイド面88,100に沿って流れることにより、過熱水蒸気の通過面積が増大する。この時、いわゆる連続の方程式により、過熱水蒸気の通過面積が増大するのに従って、過熱水蒸気の流速が低下する。
【0095】
その結果、ガイド面88,100に沿って流れる過熱水蒸気は、処理室6の搬入口22及び搬出口24まで到達し難くなるため、過熱水蒸気が処理室6の搬入口22及び搬出口24から処理室6の外部に漏洩するのを効果的に抑制することができる。
【0096】
なお、本実施の形態では、ガイド壁部28a,28bを搬送経路32の上方に対向して配置したが、これに限定されず、例えばガイド壁部28a,28bを搬送経路32の下方に対向して配置してもよいし、ガイド壁部28a,28bを搬送経路32の側方(左側方及び/又は右側方)に対向して配置してもよい。あるいは、ガイド壁部28a,28bを搬送経路32の全周方向に亘って対向するように配置してもよい。
【0097】
[6.遮熱用チェーンカーテンの構成]
図1及び
図9及び
図10を参照しながら、遮熱用チェーンカーテン20a,20bの構成について説明する。
図9は、実施の形態に係る処理装置2における遮熱用チェーンカーテン20aを拡大して示す図である。
図10は、
図9のX-X線断面図である。
【0098】
図1に示すように、遮熱用チェーンカーテン20aは、第1のチェーンカーテン108と、第2のチェーンカーテン110とを有している。また、遮熱用チェーンカーテン20bは、第1のチェーンカーテン112と、第2のチェーンカーテン114とを有している。
【0099】
なお、
図1に示すように、遮熱用チェーンカーテン20aにおいて、第1のチェーンカーテン108は、被加熱物4の搬送方向における奥側(Y軸のプラス側)に配置され、第2のチェーンカーテン110は、被加熱物4の搬送方向における手前側(Y軸のマイナス側)に配置されている。また、遮熱用チェーンカーテン20bにおいて、第1のチェーンカーテン112は、被加熱物4の搬送方向における奥側に配置され、第2のチェーンカーテン114は、被加熱物4の搬送方向における手前側に配置されている。
【0100】
遮熱用チェーンカーテン20a,20bは同一の構成を有しているため、以下、遮熱用チェーンカーテン20aの構成についてのみ説明する。
【0101】
図9及び
図10に示すように、第1のチェーンカーテン108及び第2のチェーンカーテン110の各々は、搬送経路32に沿った方向と直交する方向(X軸方向)に並んだ複数の金属チェーンで構成されており、処理室6の搬入口22の上端部から吊り下げられている。第2のチェーンカーテン110は、第1のチェーンカーテン108と重なるように配置され、第2のチェーンカーテン110の長さL2は、第1のチェーンカーテン108の長さL1よりも短い。すなわち、遮熱用チェーンカーテン20aでは、長さの異なる第1のチェーンカーテン108及び第2のチェーンカーテン110の二重構造となっている。なお、第2のチェーンカーテン110の長さL2は、第2のチェーンカーテン110の下端部が被加熱物4の上面に接触しない程度の長さであるのが好ましい。
【0102】
ここで、
図11及び
図12を参照しながら、本実施の形態に係る遮熱用チェーンカーテン20aの機能について説明する。
図11は、比較例に係る遮熱用チェーンカーテン116の使用例を示す図である。
図12は、実施の形態に係る処理装置2における遮熱用チェーンカーテン20aの使用例を示す図である。
【0103】
まず、比較例に係る遮熱用チェーンカーテン116について説明する。
図11に示すように、比較例に係る遮熱用チェーンカーテン116は、一重構造のチェーンカーテンである。被加熱物4は、コンベア12で搬送されながら処理室6の搬入口22を通過する際に、遮熱用チェーンカーテン116を左右方向(X軸方向)及び後ろ方向(Y軸方向のプラス側)に押し広げる。この時、左右方向及び後ろ方向に押し広げられた遮熱用チェーンカーテン116に隙間118が生じ、処理室6の内部の過熱水蒸気がこの隙間118から処理室6の外部に漏洩するおそれがある。
【0104】
これに対して、本実施の形態に係る遮熱用チェーンカーテン20aは、上述したように、長さの異なる第1のチェーンカーテン108及び第2のチェーンカーテン110の二重構造である。被加熱物4は、コンベア12で搬送されながら処理室6の搬入口22を通過する際に、第1のチェーンカーテン108を左右方向(X軸方向)及び後ろ方向(Y軸方向のプラス側)に押し広げる。この時、左右方向及び後ろ方向に押し広げられた第1のチェーンカーテン108に隙間120が生じるが、この隙間120は第2のチェーンカーテン110により閉塞されるようになる。その結果、処理室6の内部の過熱水蒸気が上記隙間120から処理室6の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0105】
なお、被加熱物4は、コンベア12で搬送されながら処理室6の搬出口24を通過する際には、上述と同様に、遮熱用チェーンカーテン20bの第1のチェーンカーテン112を左右方向(X軸方向)及び後ろ方向(Y軸方向のプラス側)に押し広げる。この場合にも、上述と同様に、左右方向及び後ろ方向に押し広げられた第1のチェーンカーテン112に隙間(図示せず)が生じるが、この隙間は第2のチェーンカーテン114により閉塞されるようになる。その結果、処理室6の内部の過熱水蒸気が上記隙間から処理室6の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0106】
[7.効果]
本実施の形態の処理装置2では、ガイド部材16が設けられているので、送風機14の排気口42から吹き出された過熱水蒸気が搬送経路32に沿った方向に広がりながら流れるのを抑制することができ、送風機14の排気口42から吹き出された過熱水蒸気を、送風機14の吸気口36に効率良く導くことができる。その結果、送風機14の排気口42から吹き出された過熱水蒸気が、処理室6の搬入口22及び搬出口24から処理室6の外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0107】
また、本実施の形態の送風機14では、ダクト34にはダクト流路50の断面積が吸気口36側から排気口42側に向けて絞られた絞り部46が形成されているので、過熱水蒸気が絞り部46の内部を通過した際に、過熱水蒸気の流速分布はほぼ均一となる。さらに、絞り部46と排気口42との間におけるダクト流路50が仕切り板52により格子状に仕切られているので、仕切り板52により形成された複数の分割流路54の各々を流れる過熱水蒸気の流速はほぼ等しくなり、排気口42から吹き出される過熱水蒸気の流速分布はほぼ均一となる。その結果、排気口42から吹き出された過熱水蒸気は被加熱物4の表面にほぼ均一に吹き付けられるので、被加熱物4をムラなくほぼ均一に加熱することができる。
【0108】
[8.変形例]
本実施の形態では、処理装置2が1つの送風機14を備えるように構成したが、これに限定されず、複数の送風機14を備えるように構成してもよい。
【0109】
図13は、変形例に係る処理装置2Aにおける複数の送風機14及びガイド部材16を抜き出して示す斜視図である。なお、説明の都合上、
図13では、コンベア12及び噴射機構18等の図示を省略してある。
【0110】
図13に示すように、変形例に係る処理装置2Aは、例えば4つの送風機14を備えている。また、4つの送風機14に対応して1つのガイド部材16が配置されている。
【0111】
これにより、ガイド部材16は、4つの送風機14の各々の排気口42から下方に吹き出された過熱水蒸気を、搬送経路32(
図1参照)に沿った方向(Y軸方向)と交差する2方向(X軸のプラス側及びマイナス側)に分流しながら4つの送風機14の各々の吸気口36に向けて上方に導く。この時、複数の分流路62、複数の第1のガイド流路64及び複数の第2のガイド流路66の各々は、複数の隔壁部61により搬送経路32に沿った方向に仕切られているので、本変形例においても、上述と同様の効果を得ることができる。
【0112】
(他の変形例等)
以上、本発明の1つ又は複数の態様に係る処理装置及び送風機について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0113】
上記実施の形態では、処理装置2,2Aは、被加熱物4に対して加熱処理を施すための加熱処理装置であるとしたが、これに限定されず、例えば被冷却物(被処理物の一例)に冷却ガス(気体の一例)を吹き付けることにより、被冷却物に対して冷却処理(所定の処理の一例)を施すための冷却処理装置であってもよい。
【0114】
また、上記実施の形態では、気体が過熱水蒸気であるとしたが、これに限定されず、例えば200℃~500℃程度の高温空気又は不活性ガス等であってもよい。
【0115】
また、上記実施の形態では、ガイド部材16は、送風機14の排気口42から吹き出された過熱水蒸気を、搬送経路32に沿った方向と交差する2方向に分流したが、これに限定されず、3方向以上に分流してもよい。
【0116】
また、上記実施の形態では、送風機14を処理室6の内部に配置したが、これに限定されず、処理室6の外部に配置してもよい。
【0117】
また、上記実施の形態では、処理室6が搬入口22及び搬出口24を有するようにしたが、これに限定されず、処理室6が1つの開口部のみを有するようにしてもよい。この場合には、コンベア12を省略し、被加熱物4を、処理室6の開口部と処理領域26との間の搬送経路32に沿って手作業等により搬送してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明に係る処理装置は、例えば金属又は樹脂等で形成された被加熱物に対して加熱処理を施すための加熱処理装置等として適用することができる。
【符号の説明】
【0119】
2,2A 処理装置
4 被加熱物
6 処理室
8 過熱水蒸気発生部
10a,10b ヒータ群
12 コンベア
14 送風機
16 ガイド部材
18 噴射機構
20a,20b,116 遮熱用チェーンカーテン
22 搬入口
24 搬出口
26 処理領域
27 ハウジング部
28a,28b ガイド壁部
30a,30b 電熱ヒータ
32 搬送経路
34 ダクト
36 吸気口
38 シロッコファン
40 モータ
42 排気口
44 吸気部
46 絞り部
48 排気部
50 ダクト流路
52 仕切り板
54 分割流路
56 分流部
58 第1のガイド部
60 第2のガイド部
61 隔壁部
62 分流路
64 第1のガイド流路
66 第2のガイド流路
68 第1の有圧過熱水蒸気供給源
70 第1の接続管
72 第1のノズル
74 第2の有圧過熱水蒸気供給源
76 第2の接続管
78 第2のノズル
80,84,92,96 水平壁部
82,86,94,98 垂直壁部
88,100 ガイド面
90,102 突部
104,106,118,120 隙間
108,112 第1のチェーンカーテン
110,114 第2のチェーンカーテン