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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】エアフィルター用濾材
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/14 20060101AFI20240522BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20240522BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20240522BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240522BHJP
   A01N 63/50 20200101ALI20240522BHJP
   A01N 47/12 20060101ALI20240522BHJP
   A01N 25/34 20060101ALI20240522BHJP
   D06M 16/00 20060101ALI20240522BHJP
   D06M 13/425 20060101ALI20240522BHJP
   D06M 13/503 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B01D39/14 G
A61L9/16 F
A01P1/00
A01P3/00
A01N63/50 100
A01N47/12 Z
A01N25/34 A
D06M16/00 Z
D06M13/425
D06M13/503
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020070298
(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公開番号】P2021166950
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000226219
【氏名又は名称】日揮ユニバーサル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 香織
(72)【発明者】
【氏名】成行 あかね
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/141713(WO,A1)
【文献】特開2007-131593(JP,A)
【文献】特開2014-008498(JP,A)
【文献】特開2005-007346(JP,A)
【文献】特開2006-166878(JP,A)
【文献】特開2000-117025(JP,A)
【文献】国際公開第2020/105227(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
A61L 9/00-9/22
A01P 1/00-23/00
A01N 1/00-65/48
D06M 10/00-11/84,16/00,19/00-23/18
D06M 13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
該基材に担持された、酵素を含む抗菌性素材、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを含むカビ抑制剤、並びに亜鉛塩及び希土類塩を含む抗アレルゲン性素材と、を備え
前記酵素がリゾチームであり、
前記亜鉛塩及び前記希土類塩が、グルコン酸亜鉛及び塩化ランタンである、エアフィルター用濾材。
【請求項2】
前記酵素の担持量が、0.01~1.0g/mである、請求項に記載のエアフィルター用濾材。
【請求項3】
前記ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルの担持量が、0.001~0.5g/mである、請求項1又は2に記載のエアフィルター用濾材。
【請求項4】
前記亜鉛塩の担持量が、亜鉛元素換算で0.00005~0.0003mol/mである、請求項1~のいずれか一項に記載のエアフィルター用濾材。
【請求項5】
前記希土類塩の担持量が、希土類元素換算で0.0001~0.0006mol/mである、請求項1~のいずれか一項に記載のエアフィルター用濾材。
【請求項6】
前記亜鉛塩の亜鉛元素と前記希土類塩の希土類元素とのモル比(亜鉛元素:希土類元素)が1:1~1:5である、請求項1~のいずれか一項に記載のエアフィルター用濾材。
【請求項7】
前記基材に担持された難燃剤を更に備える、請求項1~のいずれか一項に記載のエアフィルター用濾材。
【請求項8】
前記難燃剤が臭素系化合物を含む、請求項に記載のエアフィルター用濾材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルター用濾材に関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄機やマスクなどに用いられているエアフィルターは、環境中に存在するダニ、花粉、ハウスダストなどのアレルゲンや、細菌、カビ、ウイルスなどを濾過して捕集する。しかし、エアフィルターに捕集されたアレルゲン、細菌、カビ、ウイルスなどを不活化しないと、濾材上での細菌やカビの増殖や、濾材から再飛散したアレルゲンによるアレルギー性の発現、ウイルスによる感染などを引き起こす懸念がある。これを避けるため、エアフィルターに抗菌性、カビ抑制性、抗アレルゲン性などの機能を付与することが検討されている(例えば、特許文献1~4等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-007345
【文献】特開2005-007346
【文献】特開2010-116450
【文献】特開2011-206683
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような機能を有するエアフィルターを開発するため、抗菌性素材、カビ抑制剤、抗アレルゲン性素材を含む混合溶液を調製し、それをポリエステル不織布に含浸させて添着したのち、抗菌性能、防カビ性能、抗アレルゲン性能を確認した。その結果、用いる原料成分の組み合わせにより抗菌性能が大きく左右されることが判明した。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた抗菌性を発現することができる、エアフィルター用濾材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、鋭意検討した結果、抗菌機能を有する酵素、カビ抑制機能を有するブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、抗アレルゲン機能を有する亜鉛塩及び希土類塩を組み合わせることで、極めて高い水準で抗菌性を発現できると共に、充分な防カビ性及び抗アレルゲン性をも発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、基材と、該基材に担持された、酵素を含む抗菌性素材、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを含むカビ抑制剤、並びに亜鉛塩及び希土類塩を含む抗アレルゲン性素材と、を備えるエアフィルター用濾材を提供する。
【0007】
一態様において、酵素はリゾチームであってよい。
【0008】
一態様において、酵素の担持量は、0.01~1.0g/mであってよい。
【0009】
一態様において、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルの担持量は、0.001~0.5g/mであってよい。
【0010】
一態様において、亜鉛塩の担持量は、亜鉛元素換算で0.00005~0.0003mol/mであってよい。また、希土類塩の担持量は、希土類元素換算で0.0001~0.0006mol/mであってよい。
【0011】
一態様において、亜鉛塩の亜鉛元素と希土類塩の希土類元素とのモル比(亜鉛元素:希土類元素)は1:1~1:5であってよい。
【0012】
エアフィルター用濾材は、基材に担持された難燃剤を更に備えてよい。難燃剤は臭素系化合物を含んでいてよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、優れた抗菌性を発現することができる、エアフィルター用濾材を提供することができる。本発明のエアフィルター用濾材は、充分な防カビ性及び抗アレルゲン性をも有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[エアフィルター用濾材]
エアフィルター用濾材は、基材と、該基材に担持された、酵素を含む抗菌性素材、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを含むカビ抑制剤、並びに亜鉛塩及び希土類塩を含む抗アレルゲン性素材と、を備える。
【0015】
(基材)
基材の材質は有機繊維であっても無機繊維であってもよい。有機繊維としては、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等の繊維が挙げられ、無機繊維としては、ガラス、ケイ酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、アミノシリケート、ジルコニア等の繊維が挙げられる。基材の形態としては、不織布状、濾紙状、ハニカム状、粒状、網状などを採用することができ、特に制限はない。
【0016】
基材には難燃剤が含まれていてもよい。これにより、例えばエアフィルター用濾材をキャビンフィルターとして車両のエアコン内に取り付けて使用する際に、難燃基準への適合性が向上する。難燃剤としては、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系化合物、塩素系化合物、リン酸アンモニウム、リン酸グアニジン、リン酸メラミン等のリン酸系化合物などの有機系難燃剤、アンチモン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物などの無機系難燃剤が挙げられる。これらの中でも特に臭素系化合物が好ましい。
【0017】
(抗菌性素材)
抗菌性素材は酵素を含む。酵素を、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル並びに亜鉛塩及び希土類塩と共に用いることで、優れた抗菌性を発現することができる。酵素としては、リゾチーム、キチナーゼ、プロテアーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルカナーゼ、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ、エンドリシン等が、好ましい溶菌作用を有する酵素として挙げられる。これらの酵素は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル並びに亜鉛塩及び希土類塩と組み合わせた場合の抗菌性の観点から、特にリゾチームが好ましい。抗菌性素材は、エアフィルター用濾材の所期の効果を損なわない範囲で、抗菌性素材として一般に使用される素材を含み得る。そのような素材としては、具体的には、銀、銅、亜鉛等の金属イオンを溶出する無機化合物;銀、銅、亜鉛等の金属微粒子;ヨウ素化合物、フェノール類、第4アンモニウム塩、イミダゾール類、安息香酸類、過酸化水素、クレゾール、クロルヘキシジン、イルガサン、アルデヒド類、ソルビン酸等の薬剤;カテキン類、竹抽出物、ヒノキ抽出物、ワサビ抽出物、からし抽出物等の天然成分抽出物などが挙げられる。
【0018】
酵素の担持量は0.01~1.0g/mであることが好ましい。これにより、防カビ性及び抗アレルゲン性を良好に保ちつつ、優れた抗菌性を発現し易い。この観点から、0.02~0.75g/mであることがより好ましく、0.05~0.5g/mであることがさらに好ましい。なお、「担持量」とは、基材の単位面積(1m)当たりの各成分の量を意味する。
【0019】
(カビ抑制剤)
カビ抑制剤は、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを含む。ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを、酵素並びに亜鉛塩及び希土類塩と共に用いることで、優れた抗菌性を発現することができる。カビ抑制剤は、エアフィルター用濾材の所期の効果を損なわない範囲で、カビ抑制剤として一般に使用される剤を含み得る。
【0020】
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルの担持量は0.001~0.5g/mが好ましい。これにより、抗菌性及び抗アレルゲン性を良好に保ちつつ、優れた防カビ性を発現し易い。この観点から、当該担持量は0.005~0.1g/mがより好ましく、0.01~0.05g/mがさらに好ましい。
【0021】
(抗アレルゲン性素材)
抗アレルゲン性素材は、亜鉛塩及び希土類塩を含む。亜鉛塩及び希土類塩を、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル及び酵素と共に用いることで、優れた抗菌性を発現することができる。抗アレルゲン性素材は、エアフィルター用濾材の所期の効果を損なわない範囲で、抗アレルゲン性素材として一般に使用される素材を含み得る。
【0022】
塩としては、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、有機酸塩等を例示することができる。有機酸塩としては、一価又は二価のカルボン酸塩、ヒドロキシ酸塩等が挙げられる。一価又は二価のカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられる。ヒドロキシ酸としては、グリコール酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルカル酸、乳酸、タルトロン酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、シキミ酸等が挙げられる。
【0023】
亜鉛塩としては、酵素及びブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルと組み合わせた場合の抗菌性の観点から、塩化物塩、ヒドロキシ酸塩が好ましく、グルコン酸塩がより好ましい。
【0024】
希土類塩としては、酵素及びブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルと組み合わせた場合の抗菌性の観点から、塩化物塩、硫酸塩及びヒドロキシ酸塩が好ましく、塩化物塩がより好ましい。希土類塩としては、同様の観点から、ランタン塩、セリウム塩、ガドリニウム塩及びイッテルビウム塩が好ましく、ランタン塩及びセリウム塩がより好ましく、ランタン塩がさらに好ましい。
【0025】
亜鉛塩の担持量は、亜鉛元素換算で0.00005~0.0003mol/mが好ましい。これにより、抗菌性及び防カビ性を良好に保ちつつ、優れた抗アレルゲン性を発現し易い。この観点から、当該担持量は0.00005~0.0002mol/mがより好ましく、0.00005~0.00015mol/mがさらに好ましい。
【0026】
希土類塩の担持量は、希土類元素換算で0.0001~0.0006mol/mが好ましい。これにより、抗菌性及び防カビ性を良好に保ちつつ、優れた抗アレルゲン性を発現し易い。この観点から、当該担持量は0.0001~0.0005mol/mがより好ましく、0.00015~0.00045mol/mがさらに好ましい。
【0027】
亜鉛塩の亜鉛元素と希土類塩の希土類元素とのモル比(亜鉛元素:希土類元素)は、1:1~1:5であることが好ましい。これにより、抗菌性及び防カビ性を良好に保ちつつ、優れた抗アレルゲン性を発現し易い。この観点から、当該モル比は1:1.5~1:4がより好ましく、1:2~1:4がさらに好ましい。
【0028】
(その他の素材)
基材は、上記以外のその他の素材を担持してもよい。そのような素材としては着色剤等が挙げられる。
【0029】
着色剤として用いられる素材としては、公知の顔料や染料が挙げられる。顔料としては、アゾ系、ポリアゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系、イソインドリン系、イソインドリン系、フタロシアニン系、ペリレン系、DPP系、蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック、合成シリカ、酸化クロム、酸化鉄、酸化チタン、焼成顔料、硫化亜鉛等の無機顔料が挙げられる。染料としては、アルコール可溶性染料、油溶性染料、蛍光染料、集光性染料等が挙げられる。
【0030】
その他の素材の担持量は、エアフィルター用濾材の所期の効果を損なわない範囲で適宜調整できるが、例えば0.5~2.0g/mとすることができる。
【0031】
[エアフィルター用濾材の製造方法]
エアフィルター用濾材は、例えば以下のようにして製造することができる。
【0032】
エアフィルター用濾材は、例えば、酵素を含む抗菌性素材、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを含むカビ抑制剤、亜鉛塩及び希土類塩を含む抗アレルゲン性素材、並びに必要に応じその他の素材と、液状成分と、を含む処理液を調製する処理液調製工程と、調製した処理液を基材に接触させる接触工程と、処理液が付着した基材を乾燥する乾燥工程と、を備える製造方法により製造することができる。着色剤等のその他の素材を用いる場合、抗菌性素材、カビ抑制剤及び抗アレルゲン性素材とは分けて、その他の素材を基材に担持させる工程を実施してもよい。
【0033】
処理液調製工程では、上記の各原料成分を液状成分と混合する。液状成分は水系の成分でも、アルコール、アセトン、ヘキサン等の非水系の成分でも、あるいはこれらの混合系の成分でもよい。ただし、各原料成分の分散性の観点からは水系の成分であることが好ましい。液状成分への抗菌性素材等の添加量は、基材への担持量が所望の量となるように適宜調整すればよい。
【0034】
接触工程では、得られた処理液を、ディップ法、スプレー法、グラビア印刷法等を用いて基材と接触させる。いずれの方法を用いるかは、対象とする基材の材質、厚み、表面の濡れ性等に応じて適宜選択することができる。
【0035】
乾燥工程では、処理液が付着した基材を、50~150℃にて乾燥させ、処理液から液状成分を除去する。乾燥には乾燥機や多筒式ドライヤーを用いることができる。
【実施例
【0036】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0037】
<エアフィルター用濾材の作製>
(実施例1)
抗菌性素材としてリゾチーム粉末0.071gと、カビ抑制剤としてブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを0.7質量%含むカビ抑制剤液1.068gと、抗アレルゲン性素材としてグルコン酸亜鉛三水和物を1質量%及び塩化ランタン七水和物を1.5質量%含む抗アレルゲン性素材液を1.779gと、残部として水と、を含む100gの混合液を調製した。当該混合液を目付60g/m、厚さ0.45mmのポリエステル不織布に含浸させ、これを90℃に設定した乾燥機で乾燥した。これにより濾材を得た。乾燥後の濾材における各成分の担持量を表1に示す。
【0038】
(実施例2)
基材として、臭素系化合物を含む難燃剤(ノンネンKS-5)を担持したポリエステル不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により濾材を得た。
【0039】
(実施例3)
リゾチーム粉末の使用量を0.018gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により濾材を得た。
【0040】
(実施例4)
リゾチーム粉末の使用量を0.178gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により濾材を得た。
【0041】
(実施例5)
カビ抑制剤液の使用量を0.534gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により濾材を得た。
【0042】
(実施例6)
カビ抑制剤液の使用量を2.669gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により濾材を得た。
【0043】
(実施例7)
抗アレルゲン性素材液の使用量を0.890gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により濾材を得た。
【0044】
(実施例8)
抗アレルゲン性素材液の使用量を2.669gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により濾材を得た。
【0045】
(比較例1)
抗アレルゲン性素材として塩化ランタン七水和物を3.9質量%含む抗アレルゲン性素材液7.117gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして濾材を得た。
【0046】
(比較例2)
基材として、臭素系化合物を含む難燃剤(ノンネンKS-5)を担持したポリエステル不織布を用いたこと以外は、比較例1と同様にして濾材を得た。
【0047】
(比較例3)
カビ抑制剤液としてジンクピリチオンを1質量%含むカビ抑制剤液0.712gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして濾材を得た。
【0048】
(比較例4)
基材として、臭素系化合物を含む難燃剤(ノンネンKS-5)を担持したポリエステル不織布を用いたこと以外は、比較例3と同様にして濾材を得た。
【0049】
(比較例5)
カビ抑制剤液としてジンクピリチオンを1質量%含むカビ抑制剤液0.712gを用い、抗アレルゲン性素材として塩化ランタン七水和物を3.9質量%含む抗アレルゲン性素材液7.117gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして濾材を得た。
【0050】
(比較例6)
基材として、臭素系化合物を含む難燃剤(ノンネンKS-5)を担持したポリエステル不織布を用いたこと以外は、比較例5と同様にして濾材を得た。
【0051】
(比較例7)
抗菌性素材として銀化合物を3.8質量%含む抗菌性素材0.071gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして濾材を得た。
【0052】
(比較例8)
基材として、臭素系化合物を含む難燃剤(ノンネンKS-5)を担持したポリエステル不織布を用いたこと以外は、比較例7と同様にして濾材を得た。
【0053】
(比較例9)
抗菌性素材として銀化合物を3.8質量%含む抗菌性素材0.071gを用い、抗アレルゲン性素材として塩化ランタンを3.9質量%含む抗アレルゲン性素材液7.117gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして濾材を得た。
【0054】
(比較例10)
基材として、臭素系化合物を含む難燃剤(ノンネンKS-5)を担持したポリエステル不織布を用いたこと以外は、比較例9と同様にして濾材を得た。
【0055】
(比較例11)
抗菌性素材として銀化合物を3.8質量%含む抗菌性素材0.071gと、カビ抑制剤としてジンクピリチオンを1質量%含むカビ抑制剤液0.712gと、抗アレルゲン性素材としてグルコン酸亜鉛を1質量%及び塩化ランタン七水和物を1.5質量%含む抗アレルゲン性素材液を1.779ggと、水と、を混合したところ、白色凝集を生じた。
【0056】
(比較例12)
抗菌性素材として銀化合物を3.8質量%含む抗菌性素材0.071gと、カビ抑制剤としてジンクピリチオンを1質量%含むカビ抑制剤液0.712gと、抗アレルゲン性素材として塩化ランタン七水和物を3.9質量%含む抗アレルゲン性素材液7.117gと、水と、を混合したところ、白色凝集を生じた。
【0057】
<各種評価>
各例で得られたエアフィルター用濾材に対し、以下の試験を行った。
【0058】
(抗菌性試験)
各例で得られたエアフィルター用濾材に対して抗菌性試験を実施した。抗菌性試験として、細菌気相液滴下試験方法を採用した、具体的には、TGY液体培地で培養し、遠心分離・洗浄して調製したM.luteus菌体水溶液(1010CFU/mL)を準備した。これを5×5cmの濾材上に0.3mL滴下した後、バイオセーフティキャビネット内で所定時間自然放置した(未処理濾材)。その後、振動ミキサーを用いて、濾材上の菌をリン酸緩衝液中に抽出した。抽出した原液及び希釈液をトリプトソーヤ寒天個体培地に移植し、30℃で48時間培養後、コロニー数を計測した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
(防カビ性試験)
実施例1のエアフィルター濾材に対して防カビ性試験を実施した。防カビ性試験として、JIS2911(2010)付属書Aプラスチック製品の試験方法Aを採用した。肉眼及び顕微鏡下でカビの発生が認められない場合を合格とした。結果を表2に示す。
【0061】
(抗アレルゲン性試験)
実施例1のエアフィルター濾材に対して抗アレルゲン性試験を実施した。5×5cmにカットした濾材4枚を試験片とし、この試験片を、アレルゲンとしてCry j1(スギ花粉アレルゲン)の15ng/mL溶液及びDer f2(ダニアレルゲン)の940ng/mL溶液に浸した後、取り出した。濾材に付着するアレルゲン(Cry j1及びDer f2)の低減率の程度を、酵素免疫測定法(ELISA法)により測定した。試験の概要を以下に説明する。
(1)アレルゲン測定法(ELISA法)
96穴マイクロプレートの各ウェルに1次抗体を固相し、アレルゲンを捕捉させた。次に予め標識化した2次抗体を反応させ、酵素、基質を順に反応させた。発色した各ウェルの吸光度を測定し、標準曲線から検体の抗原量を求めた。
(2)低減率算出方法
試料を反応させたアレルゲン溶液のアレルゲン濃度を測定し、試料を反応させないアレルゲン溶液の濃度と比較した低減率を下記の式にて求めた。結果を表2に示す。
低減率(%)=(B-A)/B×100
A:試料反応後のアレルゲン溶液中のアレルゲン濃度
B:初期溶液のアレルゲン溶液中のアレルゲン濃度
【0062】
【表2】