(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】支持具
(51)【国際特許分類】
B65H 16/06 20060101AFI20240522BHJP
B65H 75/38 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B65H16/06 A
B65H75/38 J
(21)【出願番号】P 2020087943
(22)【出願日】2020-05-20
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】523256074
【氏名又は名称】アスベル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】今井 勤
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109334(JP,A)
【文献】実開昭63-005943(JP,U)
【文献】実開平02-088594(JP,U)
【文献】特開平09-220172(JP,A)
【文献】実開平03-092196(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0165983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/38
B65H 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の幅寸法を有するとともに幅方向の両側に開口する中空部を有する第1ロール紙、および、前記第1の幅寸法よりも大きな第2の幅寸法を有するとともに幅方向の両側に開口する中空部を有する第2ロール紙を支持するための支持具であって、
被取付部に対して正面側から取り付けられる取付部材と、
前記取付部材に着脱可能に係合する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、
2本のアーム部と、
前記2本のアーム部の各々から相手側のアーム部側に延びるとともに前記中空部に挿入されることにより前記第1ロール紙または前記第2ロール紙を支持する2つの支持部と、
前記第1ロール紙を支持するための第1間隔と、前記第2ロール紙を支持するための第2間隔と、の間で前記2本のアーム部が移動可能となるように前記2本のアーム部が取付けられたアーム取付部と、を備え、
前記2つの支持部の少なくとも一方である変形支持部は、他方の前記支持部から離れる方向に弾性変形可能であ
り、
前記アーム取付部は、正面視において左右方向に沿った軸を中心として回転可能となり、かつ、前記軸の下方に前記2つの支持部が配置されるように前記2本のアーム部をそれぞれ保持する一対の保持部を有し、
前記各保持部は、前記軸を中心とする回転方向における所定の第1回転位置において前記アーム部の左右方向の移動を許容する一方、前記第1回転位置以外の回転位置において前記第1間隔に相当する左右方向の位置で他方のアーム部から離れる方向に向けた前記アーム部の左右方向の移動を規制する第1規制部と、前記回転方向における所定の第2回転位置において前記アーム部の左右方向の移動を許容する一方、前記第2回転位置以外の回転位置において前記第2間隔に相当する左右方向の位置で他方のアーム部から離れる方向に向けた前記アーム部の左右方向の移動を規制する第2規制部と、をそれぞれ有し、
前記第1回転位置及び前記第2回転位置は、前記支持部材が前記取付部材に係合した状態において、前記支持部が前記被取付部に対して近接するように前記アーム部が回転したときに配置される回転位置である、支持具。
【請求項2】
前記変形支持部は、
前記アーム部に固定された固定部と、
前記他方の支持部に対して
接近方向及び離反方向に移動可能に前記固定部に設けられた突出部と、
前記突出部を前記固定部に対して前記他方の支持部に近づく方向に付勢する付勢部と、を有する請求項1に記載の支持具。
【請求項3】
前記変形支持部の最大変形量は、前記第1間隔と前記第2間隔との差よりも小さい、請求項1または請求項2に記載の支持具。
【請求項4】
前記アーム取付部は、前記2つの支持部の間の領域を上から覆う被覆部を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の支持具。
【請求項5】
前記支持具は、物品を保持可能な保持部を前記被覆部の上部に有し、
前記被覆部から前記支持部までの距離は、前記保持部の高さよりも小さい、請求項4に記載の支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被取付部に取り付け可能なロール紙の支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、壁等の被取付部に取り付けられた状態でクッキングペーパーやキッチンペーパーと呼ばれるロール紙を支持するための支持具が知られている。このような支持具は、ロール紙を幅方向に挟むことができる間隔で互いに離間する2本のアーム部と、両アーム部から相手側のアーム部に対してそれぞれ延びるとともにロール紙の中空部に対して幅方向の両側から挿入される2つの支持部と、を有する。
【0003】
現在日本国内で用いられているロール紙の幅寸法には、標準的なもの(例えば約240mm)や、広めのもの(例えば約280mm)等がある。特許文献1には、様々な幅寸法のロール紙を支持可能な支持具として、アーム部の間隔を3種類の所定の長さ(例えば5cm)刻みで大まかに調整可能な支持具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、標準的な幅寸法のロール紙および広めの幅寸法のロール紙のいずれも、メーカーによって幅寸法にアーム部の間隔の調整可能な長さよりも小さな寸法のばらつきがある。そのため、特許文献1に開示された支持具では、あるメーカーのロール紙では支障なく使えても、他のメーカーのロール紙ではアーム部の間隔が狭すぎて支持部にロール紙を支持させにくいといった問題が生じる。
【0006】
ここで、アーム部の間隔を無段階に調整可能な支持具であれば、ロール紙の幅寸法によらず支障なく使用することが可能である。しかし、同種類のロール紙を継続して使用する場合であっても、ロール紙を交換するたびにアーム部の間隔の調整が必要であり、手間がかかる。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、アーム部の間隔を段階的に設定可能であるとともに、設定されたアーム部の間隔に対応するロール紙の幅寸法が想定よりも大きい場合であっても容易かつ安定して支持することが可能な支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、種々検討した結果、上記目的は、以下の発明により達成されることを見出した。
【0009】
本発明の一局面に係る支持具は、第1の幅寸法を有するとともに幅方向の両側に開口する中空部を有する第1ロール紙、および、前記第1の幅寸法よりも大きな第2の幅寸法を有するとともに幅方向の両側に開口する中空部を有する第2ロール紙を支持するための支持具であって、被取付部に対して正面側から取り付けられる取付部材と、前記取付部材に着脱可能に係合する支持部材と、を備え、前記支持部材は、2本のアーム部と、前記2本のアーム部の各々から相手側のアーム部側に延びるとともに前記中空部に挿入されることにより前記第1ロール紙または前記第2ロール紙を支持する2つの支持部と、前記第1ロール紙を支持するための第1間隔と、前記第2ロール紙を支持するための第2間隔と、の間で前記2本のアーム部が移動可能となるように前記2本のアーム部が取付けられたアーム取付部と、を備え、前記2つの支持部の少なくとも一方である変形支持部は、他方の前記支持部から離れる方向に弾性変形可能であり、前記アーム取付部は、正面視において左右方向に沿った軸を中心として回転可能となり、かつ、前記軸の下方に前記2つの支持部が配置されるように前記2本のアーム部をそれぞれ保持する一対の保持部を有し、前記各保持部は、前記軸を中心とする回転方向における所定の第1回転位置において前記アーム部の左右方向の移動を許容する一方、前記第1回転位置以外の回転位置において前記第1間隔に相当する左右方向の位置で他方のアーム部から離れる方向に向けた前記アーム部の左右方向の移動を規制する第1規制部と、前記回転方向における所定の第2回転位置において前記アーム部の左右方向の移動を許容する一方、前記第2回転位置以外の回転位置において前記第2間隔に相当する左右方向の位置で他方のアーム部から離れる方向に向けた前記アーム部の左右方向の移動を規制する第2規制部と、をそれぞれ有し、前記第1回転位置及び前記第2回転位置は、前記支持部材が前記取付部材に係合した状態において、前記支持部が前記被取付部に対して近接するように前記アーム部が回転したときに配置される回転位置である。
【0010】
上記の支持具では、使用するロール紙に応じてアーム部の間隔を第1間隔または第2間隔に設定し、アーム部に設けられた支持部を中空部に挿入することによって、幅寸法の異なる第1ロール紙および第2ロール紙を択一的に支持することができる。
【0011】
さらに、上記支持具では、変形支持部が他方の支持部から離れる方向に弾性変形可能であるため、ロール紙の幅寸法が想定より大きい場合であっても、当該ロール紙を容易に支持することができる。具体的に、両アーム部が第1間隔とされた状態で、幅寸法が第1ロール紙よりも大きく第2ロール紙よりも小さなロール紙を用いる場合、変形支持部を弾性変形させた状態でロール紙を両支持部間に挿入し、変形支持部が元の長さに弾性復帰することにより当該ロール紙を支持させることができる。
【0012】
上記の支持具において、前記変形支持部は、前記アーム部に固定された固定部と、前記他方の支持部に対して接近方向及び離反方向に移動可能に前記固定部に設けられた突出部と、前記突出部を前記固定部に対して前記他方の支持部に近づく方向に付勢する付勢部と、を有してもよい。
【0013】
この態様では、突出部を固定部方向に押し付けて付勢部を弾性変形させることで、変形支持部を縮めて支持部同士の間隔を広げることができる。そのため、想定より大きい幅寸法のロール紙を容易に両支持部間に挿入することができる。また、弾性復帰した付勢部によって突出部が固定部から離れる方向に付勢され、変形支持部が元の長さに戻ることにより、当該ロール紙を支持させることができる。
【0014】
上記の支持具において、前記変形支持部の最大変形量は、前記第1間隔と前記第2間隔との差よりも小さくてもよい。
【0015】
この態様では、第1の幅寸法よりも大きく第2の幅寸法よりは小さいロール紙を確実に支持することができる。
【0016】
上記の支持具において、前記アーム取付部は、前記2つの支持部の間の領域を上から覆う被覆部を有してもよい。
【0017】
支持部にロール紙を支持させる際には、ロール紙を傾けて一方の開口に一方の支持部を挿入し、ロール紙の他方の端部を持ち上げてロール紙を水平にして他方の開口に他方の支持部を挿入する。支持具に2つの支持部の間の領域を上から覆う被覆部が設けられている場合、一般的な幅寸法のばらつきの範囲内であっても比較的幅寸法の大きいロール紙や直径の大きいロール紙は、ロール紙を支持部に支持させる際に被覆部に当たって十分に傾けることができず、支持部に支持させるのが困難であることがある。しかし、この態様では、変形支持部を弾性変形させることにより2つの支持部の間隔を広げることができ、ロール紙を大きく傾けなくても支持部に支持させることができるため、被覆部を設けても容易にロール紙を支持部に支持させることができる。
【0018】
上記の支持具は、物品を保持可能な保持部を前記被覆部の上部に有し、前記被覆部から前記支持部までの距離は、前記保持部の高さよりも小さくてもよい。
【0019】
支持具が被覆の上部に保持部を有し、被覆部から支持部までの距離が保持部の高さよりも小さい場合、保持部が支持部に妨げとなりロール紙を支持部の周辺で動かしにくくなるため、ロール紙を支持部に対してより着脱しにくくなる。しかし、この態様では、変形支持部を弾性変形させることにより2つの支持部の間隔を広げることができるため、保持部が設けられている場合であっても容易にロール紙を支持部に対して着脱させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、アーム部の間隔を段階的に設定可能であるとともに、設定されたアーム部の間隔に対応するロール紙の幅寸法が想定よりも大きい場合であっても容易かつ安定して支持することが可能な支持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る支持具の正面図である。
【
図2】
図2は、支持具を構成する支持部材の背面側を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3(a)~(f)は、支持具を構成するアーム取付部のそれぞれ(a)平面図、(b)正面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)
図3(d)のe-e線での断面図、および(f)
図3(d)のf-f線での断面図である。
【
図4】
図4(a)、(b)は支持部の断面図であり、それぞれ(a)弾性復帰した状態、および(b)弾性変形した状態を示す図である。
【
図5】
図5(a)、(b)はアーム取付部にアーム部を取り付ける方法について説明する模式図であり、それぞれ(a)取り付け前の状態、および(b)取付後の状態を示す図である。
【
図6】
図6(a)~(c)は支持具の正面図であり、それぞれアーム部の間隔を(a)最も狭くした状態、(b)第1間隔とした状態、および(c)第2間隔とした状態を示す図である。
【
図7】
図7(a)~(d)は、支持具を構成する保持部のそれぞれ(a)平面図、(b)背面図、(c)底面図および(d)左側面図である。
【
図8】
図8(a)~(c)は、保持部に設けられる仕切り板のそれぞれ(a)正面図、(b)右側面図、(c)底面図である。
【
図9】
図9(a)、(b)は、支持具を構成する取付部材のそれぞれ(a)平面図、および(b)正面図である。
【
図10】
図10(a)~(c)は、第1の実施形態に係る支持部材の取付部材への取付方法を説明する模式図であり、
図7(b)および
図9(b)のX-X線に相当する部分での断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る支持具について、図面に基づいて説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る支持具10は、壁面や柱等の被取付部Wに取り付けられた状態で、2本の支持アーム40によって幅寸法の異なる第1ロール紙Paおよび第2ロール紙Pbを支持することが可能である。第1ロール紙Paは、第1の幅寸法を有するとともに幅方向の両側に開口する中空部Haを有し、第2ロール紙Pbは、第1の幅寸法よりも大きな第2の幅寸法を有するとともに幅方向の両側に開口する中空部Hbを有する。また、支持具10は、保持部20によって、物品を収容し、保持することが可能である。以下では、第1ロール紙Paおよび第2ロール紙Pbを総称して、ロール紙Pともいい、第1ロール紙Paの中空部Haおよび第2ロール紙Pbの中空部Hbを総称して中空部Hともいう。
【0024】
(支持具の構成)
図1に示すように、支持具10は、被取付部Wに着脱可能に取り付けられる取付部材13と、取付部材13に着脱可能に係合する支持部材11と、を有する。支持部材11は、ロール紙を支持可能な2本の支持アーム40と、支持アーム40が取り付けられたアーム取付部30と、アーム取付部30の上部に設けられ、物品を保持可能な保持部20と、を有する。
【0025】
以下では、
図1における上方向を+Z方向、下方向を-Z方向、右方向を+X方向、左側方向を-X方向として説明する。さらに、+X方向および+Z方向に直交する方向のうち
図1の紙面奥行き方向(被取付部に向かう方向)を+Y方向、紙面手前方向を-Y方向として説明する。また、+X方向および-X方向を総称してX方向、+Y方向および-Y方向を総称してY方向、+Z方向および-Z方向を総称してZ方向という。X方向を水平方向、+Z方向を上方向、-Z方向を下方向、Z方向を上下方向ともいう。X方向とY方向とZ方向とはそれぞれ互いに直交する。また、以下の説明において「正面視」とは、対象となる物体を+Y方向に見ることをいう。
【0026】
以下では、まず、支持部材11を構成するアーム取付部30、支持アーム40、および保持部20について順に説明し、次に取付部材13について説明する。
【0027】
(アーム取付部)
アーム取付部30は、第1ロール紙Paを支持するための第1間隔と、第2ロール紙Pbを支持するための第2間隔との間で2本の支持アーム40のアーム部41が移動可能となるように、2本のアーム部41を取り付け可能である。
図1では、第2の間隔のアーム部41は、破線で示されている。
【0028】
アーム取付部30は、
図1~
図3に示すように、各アーム部41をX方向に沿った軸を中心として回転可能にそれぞれ保持するとともにX方向に互いに連結された一対の保持部31A、31Bと、保持部31A、31Bから下に張出し、アーム部41で支持したロール紙Pを引き出す際に空回りするのを抑制するための滑り止め部32と、を有する。
【0029】
両保持部31A、31Bは、X方向に対称に配置されており、同様の構成を有するため+X側に位置する保持部31Aの構成のみについて説明する。保持部31Aは、X方向に延びる基板31dと、基板31dの+X方向の端部上に立設された第1の支持板31aと、第1の支持板31aの-X側の位置で基板31d上に立設された第2の支持板31bと、第2の支持板31bの-X側の位置で基板31d上に立設された第3の支持板31cと、支持板31a~31cの上部を接続する接続板33と、を備えている。
【0030】
各支持板31a~31cには、アーム部41を挿入するための貫通孔31a1~31c1が形成されている。具体的に、各支持板31a~31cの貫通孔31a1~31c1は、アーム部41の断面円形のアーム本体41aを挿入するための円形部31a2~31c2と、アーム部41のアーム本体41aから突出する突起41eを通すために円形部から径方向の外側に延びる切欠部31a3~31c3と、を有する。各支持板31a~31cにおいて、切欠部31a3~31c3の位置は、X方向に沿った軸を中心とする周方向に互いに異なる位置に設定されている。このように構成されていることにより、第1間隔に相当する位置においてアーム部41が+X方向に移動するのを第2の支持板31bによって規制することができる。また、第2間隔に相当する位置においてアーム部41が+X方向に移動するのを第1の支持板31aによって規制することができる。さらに、アーム部41の間隔が最も狭くなる位置においてアーム部41が+X方向に移動するのを第3の支持板31cによって規制することができる(
図5(b)参照)。
【0031】
両保持部31A、31Bは、X方向に対称に配置された状態で互いにX方向に連結されている。具体的に、両保持部31A、31Bの基板31dは、一枚の基板31dによって構成されている。さらに、基板31dは、後述する2つの支持部43の間の領域を上から覆う被覆部に相当する。また、両保持部31A、31Bの接続板33は、互いにX方向に隣接する端部が+Y側の部分において互いに連結されている。
【0032】
滑り止め部32は、下部のロール紙Pに接触する部分に、上下方向に並んで設けられた水平方向に延びる複数の凸条32aを有する。
【0033】
(支持アーム)
2本の支持アーム40は、
図1および
図2に示すように、それぞれ、アーム部41と、アーム部41の先端部に設けられ、アーム部41の各々から相手側のアーム部41側に延びるとともに、ロール紙Pの中空部Hに挿入されることにより、ロール紙Pを支持する支持部43と、を有する。
【0034】
アーム部41は、
図2に示すように、2箇所で折り曲げられた断面円形の棒状のアーム本体41aと、アーム本体41aから径方向に突出する突起41eと、を有する。アーム本体41aは、水平方向に延びた状態で保持部31A、31Bに支持される水平部41bと、水平部41bの保持部31A、31Bと反対側の端部から水平部41bに対して直交する方向に延び、水平部41bを軸として回動する回動部41cと、回動部41cの先端から水平部41bと同じ方向でかつ水平部41bと平行に延び、支持部43が取り付けられる先端部41dと、を有する。突起41eは、水平部41bの基端部に設けられている。
【0035】
支持部43(変形支持部)は、
図2および
図4に示すように、アーム部41の先端部41dに固定された固定部44と、他方の支持部43に対して接離可能に固定部44に設けられた突出部46と、突出部46を固定部44に対して他方の支持部43に近づく方向に付勢する付勢部45と、を有する。
図4には、支持具10の正面視で+X方向側の支持部43を示している。以下では、+X方向側の支持部43について説明する。-X方向側の支持部43についても、アーム部41の先端部41dに取り付けられた方向が異なる以外は同様の構成である。
【0036】
固定部44は、アーム部41の先端部41dを嵌合可能な被嵌合部44dと、被嵌合部44dの周囲を取り囲む周壁44aと、被嵌合部44d及び周壁44aの+X側の端部同士とを接続する底板44bと、を有する。被嵌合部44dは、+X方向に開くとともにアーム部41の先端部41dが圧入される開口44cを有する。周壁44aは、突出部46内に摺動可能な状態で突出部46内に挿入することができる外周面を有する。周壁44aの外周面における周方向の一部には、外周面の他の部分よりも内側に凹む凹部44eが形成され、これにより、周壁44aの-X方向の端部には係合部44fが形成されている。凹部44e内のスペースは、後述する突出部46の誘導突起46cのX方向の移動を許容するために用いられる。また、係合部44fは、誘導突起46cと係合することにより固定部44に対する突出部46を-X方向に抜止めするために用いられる。係合部44fは、-X方向に向けて半径が小さくなるように傾斜する傾斜部44f1と、X方向と直交する基端面44f2と、を有する。
【0037】
付勢部45は、本実施形態では圧縮コイルばねからなる。また、付勢部45は、固定部44の底板44bと後述する突出部46の底板46bとの間に設けられ、固定部44の係合部44fと後述する突出部46の誘導突起とが係合した状態で突出部46を-X方向に付勢可能な長さを有する。
【0038】
突出部46は、水平方向に延びる円筒状の周壁46aと、周壁46aの先端に設けられた底板46bと、周壁46aの内周面に設けられた誘導突起46cと、を有する。誘導突起46cは、-X方向に向けて半径が小さくなるように傾斜する傾斜部46c1と、X方向と直交する先端面46c2と、を有する。
【0039】
支持部43の組み立ては、以下の手順で行う。まず、付勢部45を、固定部44の被嵌合部44dを囲むように配置する。次に、突出部46の誘導突起46cと固定部44の凹部44eの位置を合わせ、突出部46の基端側の開口から、付勢部45および固定部44を先端側から挿入する。このとき、突出部46の誘導突起46cは、固定部44の係合部44fを乗り越え、固定部44の凹部44eに嵌まり、支持部43の組み立てが完了する。その後、固定部44の開口44cから被嵌合部44dにアーム部41の先端部41dを挿入し、支持アーム40が完成する。支持部43を組み立てる前に、固定部44をアーム部41に取り付けてもよい。
【0040】
支持部43は、外部から力を加えない状態では、
図4(a)に示すように、弾性復帰した付勢部45が突出部46を固定部44から離れる方向に付勢する。この状態では、突出部46の誘導突起46cは、固定部44の係合部44fに係合し、突出部46の固定部44からの脱落が抑制されている。
【0041】
本実施形態に係る支持部43は、
図4(b)に示すように、突出部46を固定部44に対して押し込むことができる。突出部46を押し込んだ際に、誘導突起46cは凹部44eに沿って水平方向に摺動する。そのため、誘導突起46cは、突出部46を水平方向に移動するように誘導し、突出部46が固定部44の周りで回転するのを抑制する。
【0042】
(アーム取付部への支持アームの取り付け方法)
アーム取付部30への支持アーム40の取り付け方法について説明する。
【0043】
支持アーム40は、
図5(a)に示すアーム部41を下に下ろした状態から、アーム部41の水平部41bを軸として回転させて、水平部41bに設けられた突起41eの位置をアーム取付部30に設けられた第1の貫通孔31a1、第2の貫通孔31b1および第3の貫通孔31c1の切り欠きに合わせることにより、水平部41bを各貫通孔に通すことができる。これにより、支持アーム40をアーム取付部30に取り付けることができる。
【0044】
支持アーム40によってキッチンペーパーを保持する状態、すなわちアーム部41を下に下ろした状態では、
図5(b)に示すように、突起41eは水平部41bの上側に位置し、アーム取付部30の第1の貫通孔31a1、第2の貫通孔31b1および第3の貫通孔31c1の切り欠きから外れた位置となり、突起41eを各支持板31a~31cと係合させることができるため、いずれの貫通孔からも抜けるのを抑制することができる。
【0045】
図5(b)に示すように、突起41eを、それぞれ、一方の第3の支持板31cの、他方の第3の支持板31cと対向する面側に配置した場合、
図6(a)に示すように、2本のアーム部41の間隔は最も狭くなり、アーム部41の位置を、支持具10を収納、搬送するのに適した位置とすることができる。このとき、支持部43の互いに対向する面同士の間隔L1は、例えば144mmとなる。また、支持部43の互いに対向する面の一方と他方のアーム部41の間隔L2は例えば181mm、2本のアーム部41の間隔L3は例えば218mmとなる。
【0046】
突起41eを、第2の支持板31bの第3の支持板31cと対向する面に係合させた場合、
図6(b)に示すように、2本のアーム部41の間隔は、第1ロール紙Paを支持するための第1間隔となる。第1間隔は、例えば同図に示すようにL3=250mmとすることができる。このとき、支持部43の互いに対向する面同士の間隔L1は、例えば176mm、支持部43の互いに対向する面の一方と他方のアーム部41の間隔L2は、例えば213mmとすることができる。この場合、第1の幅寸法(例えば220~245mm)を有する第1ロール紙Paを保持することができる。
図6(b)には、第1ロール紙Paのうち、比較的幅寸法の小さい第1ロール紙Pa1(幅W=225mm)および比較的幅寸法の大きい第1ロール紙Pa2(幅W=240mm)を示す。
【0047】
突起41eを、第1の支持板31aの第2の支持板31bと対向する面に係合させた場合、
図6(c)に示すように、2本のアーム部41の間隔は、第2ロール紙Pbを支持するための第2間隔となる。第2間隔は、例えば同図に示すようにL3=295mmとすることができる。このとき、支持部43の互いに対向する面同士の間隔L1は、例えば221mm、支持部43の互いに対向する面の一方と他方のアーム部41の間隔L2は、例えば258mmとすることができる。この場合、第1の幅寸法よりも大きな第2の幅寸法(例えば265~290mm)を有する第2ロール紙Pbを保持することができる。
図6(c)には、第2ロール紙Pbのうち、比較的幅寸法の小さい第2ロール紙Pb1(幅W=275mm)および比較的幅寸法の大きい第2ロール紙Pb2(幅W=280mm)を示す。
【0048】
支持具10では、支持部43の最大変形量は、第1間隔と第2間隔との差よりも小さい。例えば、上記のように第1間隔が250mm、第2間隔が295mmである場合、支持部43の最大変形量は、第1間隔と第2間隔との差45mmよりも小さい、12.5mmとすることができる。
【0049】
また、支持アーム40を下に下ろした状態(支持部43を最も低い位置とした状態)において、保持部31A、31Bから支持部43までの距離は、保持部20の高さよりも小さい。
【0050】
さらに、
図6(a)に示す、最も狭い2本のアーム部41の間隔(L3=218mm)を第1間隔と考えてもよい。このとき、
図6(b)に示す第2の支持板31bの第3の支持板31cと対向する面に突起41eを係合させた場合の2本のアーム部41の間隔(L3=250mm)を第2間隔と考えることができる。また、このとき、
図6(c)に示す第1の支持板31aの第2の支持板31bと対向する面に突起41eを係合させた場合の2本のアーム部41の間隔(L3=295mm)を、第2間隔と考えることもできる。
【0051】
第1間隔が218mm、第2間隔が250mmである場合(第1間隔と第2間隔との差が32mm)および、第1間隔が218mm、第2間隔が295mmである場合(第1間隔と第2間隔との差が77mm)のいずれの場合も、上述の支持部43の最大変形量12.5mmは、第1間隔と第2間隔との差よりも小さい。
【0052】
(保持部)
保持部20は、
図2および
図7に示すように、物品を収容可能な本体部21と、本体部21の内部の空間を仕切る仕切り板26と、本体部21の背面に設けられ、後述する取付部材13の2個の被係合部80にそれぞれスライド可能に嵌合する第1のスライダ61および第2のスライダ71と、被係合部80に着脱可能にそれぞれ係合する第1の係合部63および第2の係合部73と、を有する。
【0053】
本体部21は、上方に開口を有する箱状であり、第1の係合部63および第2の係合部73が被係合部80に係合した状態で、シート部15に沿って延びる基板21aと、基板21aの下端から-Y方向に延びる底板21dと、基板21aとともに底板21dを囲む2枚の側壁21bおよび前壁21cと、を有する。また、側壁21bおよび前壁21cの一部は刳り抜かれ、開口21fが設けられている。
【0054】
底板21dには、仕切り板26を取り付け可能な複数のスリット21eが設けられている。スリット21eは、水平方向の幅の広い被挿入部21e1と、被挿入部21e1の+Y方向側に設けられた水平方向の幅の狭い固定部21e2と、底板21dの下面において被挿入部21e1と固定部21e2の周囲を上方向(+Z方向)に掘り込まれた薄肉部21e3と、を有する。
【0055】
図8に示すように、仕切り板26は、スリット21eに挿入される挿入部26cと、挿入部26cの上部に設けられ水平方向に広がる安定部26bと、安定部26bから上方に延びる仕切り部26aと、を有する。挿入部26cは、安定部26bから下方に延びる縦板26c1と、縦板26c1の下端から水平方向に延びる横板26c2とを有する。
【0056】
仕切り板26を底板21dに取り付ける際には、横板26c2を被挿入部21e1に上方から挿入し、仕切り板26を+Y方向にスライドさせる。これにより、縦板26c1を固定部21e2に挿入し、薄肉部21e3を安定部26bと横板26c2とで挟み込んだ状態とし、安定して仕切り板26を底板21dに取り付けることができる。
【0057】
本体部21は、基板21aの下部に、基板21aから+Y方向に突出する3個の下部突出部21gと、下部突出部21gのそれぞれの下部に設けられた被接続部24と、を有する。3個の下部突出部21gは、水平方向に間隔を空けて並んで設けられている。
【0058】
被接続部24は、アーム取付部30の上部に設けられた接続板33と係合可能であり、3つの下部突出部21gのそれぞれの下面から下方に突出しY方向に延びるように設けられている。各被接続部24には、それぞれの互いに向かい合う面にY方向に延びる溝24aが設けられている。溝24aに、接続板33の水平方向両端部33aを嵌め込むことにより、アーム取付部30を保持部20に接続することができる。
【0059】
本体部21は、また、基板21aの上下方向中央部に、水平方向に延び、基板21aから+Y方向に突出する3個の中央突出部21hを有し、基板21aの上部の水平方向中央部に、上下方向に延び、基板21aから+Y方向に突出する1個の上部突出部21jを有する。隣接する中央突出部21h同士の間には開口21iが設けられている。支持具10が被取付部Wに取り付けられた状態において、各中央突出部21hの先端面21h1および上部突出部21jの先端面21j1は、支持部材11において最も被取付部Wに近い位置に配置されている。
【0060】
本体部21は、正面視で取付部材13よりも大きく、第1の係合部63および第2の係合部73が後述する被係合部80に係合した状態で、シート部15は、本体部21によって全体が隠れる。また、第1の係合部63および第2の係合部73が被係合部80に係合した状態で、各中央突出部21hの先端面21h1は、後述するシート部15の第2領域15c4に当たる位置に設けられ、上部突出部21jの先端面21j1は、シート部15の第1領域15c3に当たる位置に設けられている。
【0061】
第1のスライダ61および第1の係合部63、ならびに第2のスライダ71および第2の係合部73は、いずれも基板21aの底板21d等と反対側(+Y方向側)の面に設けられている。第2のスライダ71および第2の係合部73は、第1のスライダ61および第1の係合部63とほぼ同一の構成であるため、第1のスライダ61および第1の係合部63の構成についての説明によって、第2のスライダ71および第2の係合部73の構成の説明に代える。
【0062】
第1のスライダ61は、基板21aに水平方向に間を空けて設けられた上下方向に延びる1対の側壁62と、側壁62の互いに対向する面から水平方向に互いに近づく方向に突出し、被係合部80の溝部82aに上下方向にスライド可能に嵌合する凸部64と、を有している。
【0063】
凸部64は、2個の側壁62の互いに対向する面のそれぞれから互いに近づく方向に突出するとともに、上下方向に延びるように設けられている。2つの凸部64は、下端部において下方に向かうに従って互いの間隔が広がるように傾斜する傾斜部64aが設けられている。
【0064】
第1の係合部63は、水平方向に延びる天板63cと、天板63cの下面から下に延びる板状の係合アーム部63aと、係合アーム部63aの端部に設けられ、基板21aから離れる方向に突出する係合突起63bと、を有している。係合アーム部63aは、基端を支点として基板21aに近づく方向に撓む板ばねとして機能する。係合突起63bは、上方に向かうに従って突出量が増大し、基板21aに対して傾斜する傾斜面を有している。
【0065】
天板63cおよび1対の側壁62は、中央突出部21h同士の間に設けられた開口21iを有する嵌合空間(符号なし)を区画する。具体的には、側壁62はそれぞれ中央突出部21hの開口21i側の縁から基板21aに沿って上方向に延び、天板63cは、側壁62の上端を連結する。2つの側壁62は、下端部において下方に向かうに従って互いの間隔が広がるように傾斜する傾斜部62aが設けられている。
【0066】
第2のスライダ71および第2の係合部73の、天板73c、側壁72、傾斜部72a、係合アーム部73a、係合突起73b、凸部74、および傾斜部74aは、それぞれ第1のスライダ61および第1の係合部63の、天板63c、側壁62、傾斜部72a、係合アーム部63a、係合突起63b、凸部64、および傾斜部64aに対応する。
【0067】
(取付部材)
取付部材13は、
図1、
図9に示すように、シート部15と、シート部15の一方の面に水平方向に間隔を空けて配置された、支持部材11を支持する2つの被係合部80と、を有する。シート部15は、被係合部80と反対側の面で被取付部に密着することにより被取付部に対して剥離可能に取り付けられる。
【0068】
シート部15は、
図9(a)に示すように、シート状の基材15aと、基材15aの一方の面(+Y方向側の面)に設けられ、被取付部に吸着することにより剥離可能に密着する密着層15bと、を有する。基材15aは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムまたは薄板からなる。
図9(a)には、密着層15bの基材15aと反対側の面に保護用の剥離紙16を設けた状態を示している。取付部材13を被取付部Wに取り付ける際には、剥離紙16を剥がして密着層15bを露出させる。
【0069】
密着層15bは、壁面や柱等の被取付部に吸着するものであり、例えばポリエーテルを用いることができる。ポリエーテルは、可塑剤を含まないため、被取付部Wに移行しにくく、被取付部Wから剥がした際にいわゆる糊残りが生じにくい特性を有する。ポリエーテルからなる密着層15bは、例えばUV硬化性の接着剤によって基材15aに固定することができる。
【0070】
被係合部80は、一般的なプラスチック樹脂からなり、基材15aの密着層15bが設けられている面と反対側の面(-Y方向側の面)に固定されている。被係合部80の固定には、例えば紫外線硬化型の接着剤を用いることができる。シート部15は、正面視で、各被係合部80の全周に亘り被係合部80から周囲に張出す張出し部15cを有する。張出し部15cは、各被係合部80から上に張出す上部領域15c1と、下に張出す下部領域15c2と、を有する。上部領域15c1は、下部領域15c2よりも大きな面積を有する。
【0071】
被係合部80は、シート部15に沿って延びる基部81と、支持部材11を上から係合するための1対のレール部82と、レール部82に係合された支持部材11の上方向への移動を規制する被係合突起84と、被係合突起84の下方に設けられ、被係合部80を補強する接続部85と、を有する。
【0072】
1対のレール部82は、基部81の幅方向の両端部に上下方向に延びるように設けられている。レール部82の互いに対向する面と反対側の面には上下方向に延びる溝部82aが設けられている。溝部82aには、支持部材11の第1のスライダ61の凸部64および第2のスライダ71の凸部74を上下方向にスライドさせて嵌め込むことが可能である。また、レール部82は、それぞれ溝部82aに嵌まり込んだ凸部64および凸部74を水平方向およびY方向から囲むため、支持部材11の水平方向両側および手前方向(-Y方向)への移動を規制することができる。さらに、レール部82は、支持部材11を上から着脱可能であり、レール部82の互いに対向する面と反対側の面の上端部には、支持部材11の第1のスライダ61および第2のスライダ71を誘導するため、互いに近づく方向に傾斜した傾斜部82bが設けられている。また、支持部材11を取り付けた状態ではレール部82の上端が支持部材11の天板63cおよび天板73cに突き当たるため、レール部82は、支持部材11の上下方向の位置を規定することができる。
【0073】
被係合突起84は、支持部材11を所定の位置に保持する抜け止めするために、支持部材11の第1の係合部63および第2の係合部73と係合して支持部材11の上方向への移動を規制する。被係合突起84は、レール部82の間において、基部81の上端部に、基部81からシート部15から離れる方向(-Y方向)に突出するように設けられており、基部81の上端から下方に向かうに従って突出量が増大し、基部81に対して傾斜する傾斜面を有している。
【0074】
接続部85は、レール部82の互いに対向する面に架け渡されており、レール部82の下端に架け渡された下端接続部85aと、下端接続部85aの上方に設けられた中間接続部85bと、を有する。接続部85は、基部81の撓みを抑制する。
【0075】
(取付部材に支持部材を取り付ける方法)
取付部材13に、支持部材11を取り付ける方法について
図10を用いて説明する。
図10(a)~(c)は、それぞれ
図7(b)および
図9(b)のX-X線に相当する部分での支持部材および取付部材の断面を示す図である。
【0076】
取付部材13に支持部材11を取り付ける場合、まず、
図10(a)に示すように、被取付部Wに取付部材13を取り付ける。次に取付部材13の上方に支持部材11を配置し、支持部材11を下方に移動させ、開口21iから嵌合空間に被係合部80を挿入する。このとき、支持部材11の第1のスライダ61および第2のスライダ71は、側壁62に設けられた傾斜部62aおよび側壁72に設けられた傾斜部62aによって、レール部82に導かれる。また、第1のスライダ61の凸部64は、傾斜部64aおよび傾斜部82bによって、第2のスライダ71の凸部74は、傾斜部74aおよび傾斜部82bによって、それぞれ溝部82aに導かれ、その後溝部82aをスライドする。
【0077】
図10(b)は、挿入途中で被係合突起84に第1の係合部63の係合突起63bが当たった状態を示す。この状態から、支持部材11をさらに下方に移動させると、被係合突起84と係合突起63bの傾斜面同士が当たり、係合アーム部63aが基板21a方向(-Y方向)に次第に撓む。係合突起63bが被係合突起84を乗り越えると、係合アーム部63aの撓みが復元し、
図10(c)に示すように、係合突起63bと被係合突起84とが係合する。同時に、第2の係合部73の係合突起73bも他方の被係合突起84と係合し、取付部材13への支持部材11の取付けが完了する。また、このとき2個の被係合部80は、それぞれ天板63cおよび2個の側壁62、ならびに天板73cおよび2個の側壁72に嵌合する。
【0078】
取付部材13から支持部材11を取り外す場合、
図10(c)に示す状態から、支持部材11に上方に力を加えると、係合アーム部63aが撓みつつ係合突起63bが被係合突起84を乗り越え、係合突起63bと被係合突起84との係合が解除される。係合突起73bについても同様である。ここで、係合突起63b、係合突起73bおよび被係合突起84の係合面はいずれも略水平面であるため、係合突起63bおよび係合突起73bと被係合突起84との係合を解除するのに必要な力は、係合させる際に必要な力よりも大幅に大きい。そのため、第1の係合部63および第2の係合部73ならびに被係合突起84は、支持部材11を所定の位置に保持する抜け止めとして作用する。
【0079】
(作用、効果)
本実施形態に係る支持具10では、使用するロール紙Pに応じてアーム部41の間隔を第1間隔または第2間隔に設定し、アーム部41に設けられた支持部を中空部に挿入することによって、幅寸法の異なる第1ロール紙Paおよび第2ロール紙Pbを択一的に支持することができる。
【0080】
さらに、支持具10では、支持部43が他方の支持部43から離れる方向に弾性変形可能であるため、ロール紙Pの幅寸法が想定より大きい場合であっても、当該ロール紙Pを容易に支持することができる。具体的に、両アーム部41が第1間隔とされた状態で、幅寸法が第1ロール紙Paよりも大きく第2ロール紙Pbよりも小さなロール紙Pを用いる場合、支持部43を弾性変形させた状態でロール紙Pを両支持部43間に挿入し、その後支持部43が元の長さに弾性復帰することにより当該ロール紙Pを支持させることができる。
【0081】
支持具10では、支持部43を構成する突出部46を固定部44方向に押し付けて付勢部45を弾性変形させることで、支持部43を縮めて支持部43同士の間隔を広げることができる。そのため、想定より大きい幅寸法のロール紙Pを容易に両支持部43間に挿入することができる。また、弾性復帰した付勢部45によって突出部46が固定部44から離れる方向に付勢され、支持部43が元の長さに戻ることにより、当該ロール紙Pを支持させることができる。
【0082】
支持具10では、支持部43の最大変形量は、アーム部41の第1間隔と第2間隔との差よりも小さい。本実施形態に係る支持具10では、第1の幅寸法よりも大きく第2の幅寸法よりは小さいロール紙Pを確実に支持することができる。
【0083】
支持具10において、支持部43にロール紙Pを支持させる際には、ロール紙Pを傾けて中空部Hの一方の開口に一方の支持部43を挿入し、ロール紙Pの他方の端部を持ち上げてロール紙を水平にして他方の開口に他方の支持部を挿入する。支持具に2つの支持部の間の領域を上から覆う被覆部が設けられている場合、一般的な幅寸法のばらつきの範囲内であっても比較的幅寸法の大きいロール紙や直径の大きいロール紙は、ロール紙を支持部に支持させる際に被覆部に当たって十分に傾けることができず、支持部に支持させるのが困難であることがある。しかし、本実施形態に係る支持具10では、支持部43を弾性変形させることにより2つの支持部43の間隔を広げることができ、ロール紙Pを大きく傾けなくても支持部43に支持させることができるため、保持部31A、31B(被覆部)を設けても容易にロール紙Pを支持部43に支持させることができる。
【0084】
支持具が被覆の上部に保持部を有し、被覆部から支持部までの距離が保持部の高さよりも小さい場合、保持部が支持部に妨げとなりロール紙を支持部の周辺で動かしにくくなるため、ロール紙を支持部に対してより着脱しにくくなる。しかし、本実施形態に係る支持具10では、支持部43を弾性変形させることにより2つの支持部43の間隔を広げることができるため、保持部20が設けられている場合であっても容易にロール紙Pを支持部43に対して着脱させることができる。
【0085】
(変型例)
本実施形態に係る支持具10では、支持部43の最大変形量を、第1間隔と第2間隔との差よりも小さいものとしたが、支持部43の最大変形量は、第1間隔と第2間隔との差以上であってもよい。支持部43(変形支持部)は、固定部44と突出部46とを有するものとしたが、弾性変形可能であるものであれば、単にコイルばねのみからなるものや、円柱状のゴムのように弾性体からなるものとしてもよい。また、2つの支持部43の両方とも、弾性変形可能な変形支持部としたが、一方の支持部のみを変形支持部とし、他方の支持部を弾性変形しないものとしてもよい。
【0086】
支持具10では、第1の係合部63および第2の係合部73が後述する被係合部80に係合した状態において、正面視でシート部15は本体部21によって全体が隠れることとしたが、シート部15の一部が本体部21から露出していてもよい。
【0087】
支持具10では、支持アーム40を下に下ろした状態(支持部43を最も低い位置とした状態)において、保持部31A、31Bから支持部43までの距離は、保持部20の高さよりも小さいこととしたが、保持部31A、31Bから支持部43までの距離は、保持部20の高さよりも大きくてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 支持具
20 保持部
30 アーム取付部
31A、31B 保持部(被覆部)
41 アーム部
43 支持部(変形支持部)
44 固定部
45 付勢部
46 突出部
H、Ha、Hb 中空部
P ロール紙
Pa、Pa1、Pa2 第1ロール紙
Pb、Pb1、Pb2 第2ロール紙