(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】凧
(51)【国際特許分類】
A63H 27/08 20200101AFI20240522BHJP
【FI】
A63H27/08 A
(21)【出願番号】P 2020138990
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】591138005
【氏名又は名称】株式会社ウインドラブ
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 英樹
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-84261(JP,A)
【文献】米国特許第5538204(US,A)
【文献】国際公開第03/089293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートと、
前記シートの裏面に、幅方向に伸びる姿勢で連結してなる横ロッドと、
前記横ロッドに連結されて、前記シートの裏面に上下方向に伸びる姿勢で連結してなる縦ロッドと、
前記シートと前記縦ロッドを脱着自在に連結してなる連結具と、
前記連結具に両端が連結されて、前記シートと前記ロッドを連結する連結糸と、
を備え、
前記連結具は、
前記縦ロッドの下端部に脱着自在に挿入される筒部と、
前記連結糸の一端を脱着自在に連結する係止部を有し、
前記連結糸は、
中間が前記シートに設けてなる糸孔に挿通されて前記シートの前面にU曲部を設けており、
前記縦ロッドは前記連結糸のU曲部の内側であって前記シートの前面に配置され、
前記連結糸の端部が引っ張り状態で前記係止部に連結されて、
前記縦ロッドが前記シートの前面に密着されると共に、
前記シートが張設されて前記縦ロッドに連結されるようにしてなることを特徴とする凧。
【請求項2】
請求項1に記載する凧であって、
前記連結糸の一方の端部が前記縦ロッドと前記筒部との間に挟着されて、
前記連結糸の他方の端部が前記係止部に脱着自在に連結されてなることを特徴とする凧。
【請求項3】
請求項1に記載する凧であって、
前記連結具が、
前記連結糸の端部を脱着自在に連結する複数の前記係止部を有し、
前記連結糸の両方の端部が、前記係止部に別々に脱着自在に連結されてなることを特徴とする凧。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載する凧であって、
前記係止部が、
前記筒部の表面に突出するリブに設けてなるスリットで
前記スリットが前記連結糸の挿入方向に向かって次第に幅が狭くなる挟着スリットであることを特徴とする凧。
【請求項5】
請求項4に記載する凧であって、
前記リブが、複数の前記挟着スリットを形成してなることを特徴とする凧。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載する凧であって、
前記シートが四角形で、
前記横ロッドが、
前記シートの上縁に沿って配置され、
前記縦ロッドが、
前記シートの幅方向の中央部にあって上下方向に伸びる垂直ロッドと、
前記シートの中央部から四角形の隅部に向かって伸びる4本の傾斜ロッドとを備え、
前記連結具が、前記垂直ロッド及び前記傾斜ロッドの下端部を前記シートに連結してなることを特徴とする凧。
【請求項7】
請求項6に記載する凧であって、
前記横ロッドの両端と前記傾斜ロッドの上端とを脱着自在に連結してなる隅部の連結具と、
前記横ロッドの中間と前記垂直ロッドの上端を脱着自在に連結してなるT字状の連結具と、
前記シートの中央部から放射状に伸びる4本の前記傾斜ロッドと前記垂直ロッドとを脱着自在に連結してなる放射状の連結具とを備え、
前記連結具と前記ロッドを分離して、折り畳み自在としてなることを特徴とする凧。
【請求項8】
請求項6または7に記載する凧であって、
前記垂直ロッドが、
2分割されてなる第1のロッド及び第2のロッドと、
前記第1のロッドと第2のロッドを脱着自在に連結してなる中間の連結具とからなり、
前記第1のロッドは、前記第2のロッドよりも長く、
前記第1のロッドの長さが、最長の前記傾斜ロッドにほぼ等しく、あるいは最長の前記傾斜ロッドよりも短いことを特徴とする凧。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートとロッドを連結具で連結してなる凧に関する。
【背景技術】
【0002】
凧は、紙やプラスチック等のシートにロッドを固定して製作される。最も一般的な凧は付着テープを使用して、ロッドをシートに固定しているが、この凧はロッドとシートを脱着できる状態で連結できず、またシートを弛みのない状態に張設してロッドに連結するのが難しい。この欠点を解消するために、本発明者は、シートを弛みなく張設してロッドに連結する凧を開発した。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者が先に開発した凧は、
図10に示すように、連結糸95を引っ張って、シート91を弛まない張り具合いに張設してロッドに連結する凧も開発した。この図の凧は、縦ロッド93をシート91よりも長くして、縦ロッド93の下端をシート91の外側に配置する。縦ロッド93の先端には、筒部97の一端を閉塞した、
図11に示す構造の連結具94Aを挿入している。さらに、縦ロッド93の中間には、シート91の端部に位置して、筒部97の両端を開口した、
図12に示す構造の連結具94Bを挿入している。縦ロッド93の中間に挿入された連結具94Bは、筒部97に設けたフック98をシート91の貫通穴91aに挿入して、挟着隙間99でシート91を挟着して、縦ロッド93とシート91を連結している。さらに、縦ロッド93の先端の連結具94Aと中間の連結具94Bとを、連結糸95で連結している。
【0005】
連結糸95は、縦ロッド93の中間の連結具94Bの内側(凧の中央側)であって、縦ロッド93とシート91の間の隙間に糸の中間を挿通して、両端を縦ロッド93の先端の連結具94Aに連結している。連結糸95は、縦ロッド93の中間の連結具94Bを、
図10の矢印で示すように、縦ロッド93の先端方向に引っ張る状態で、縦ロッド93の先端の連結具94Aに連結している。連結糸95は、シート91を張設した状態で、両端をフック98に巻き付けて、あるいは、一端をあらかじめフック98の根元に結束しておき、他端をフック98に巻き付けて連結することができる。この連結構造は、縦ロッド93の中間の連結具94Bが先端方向に引っ張られるので、この連結具94Bを介してシート91を張設できる。このように、連結糸95でシート91を張設できる凧は、シート91の張り具合いを自由に調節できる。
【0006】
以上の凧は、シートの張り具合いを自由に調節してロッドに連結できるが、縦ロッドに2組の形状が異なる連結具を連結するので、部品コストが高くなる欠点がある。また、シートを連結具の挟着隙間に挿入して連結するので、シートとロッドとを密着して連結できず、またシートの連結に手間がかかる欠点がある。
【0007】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、部品コストを低減しながら、簡単な構造でシートが弛まないように張り具合いを調節できる凧を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の凧は、シートと、シートの裏面に、幅方向に伸びる姿勢で連結している横ロッドと、上下方向に伸びる姿勢で連結している縦ロッドと、シートと縦ロッドを脱着できるように連結している連結具と、連結具に両端を連結して、シートとロッドを連結する連結糸と備える。連結具は、縦ロッドの下端部に脱着できるように挿入している筒部と、連結糸の一端を脱着できるように連結する係止部を備える。連結糸は、中間部分をシートの糸孔に挿通して、シートの前面にU曲部を設けている。縦ロッドは連結糸のU曲部の内側でシートの前面に配置されて、連結糸のU曲部でシートの前面に固定されている。連結糸の端部を引っ張って係止部に連結して、シートを弛まない張り具合いに張設して、シートをロッドに連結している。
【0009】
本発明のある態様の凧は、連結糸の一方の端部を縦ロッドと筒部との間に挟着して、連結糸の他方の端部を係止部に脱着できるように連結することができる。
【0010】
本発明のある態様の凧は、連結具が、連結糸の端部を脱着自在に連結する複数の係止部を有し、連結糸の両方の端部を、係止部に別々に脱着できるように連結することができる。
【0011】
本発明のある態様の凧は、連結具に設けている係止部を、筒部の表面に突出するリブに設けているスリットとして、スリットの形状を、連結糸の挿入方向に向かって次第に幅が狭くする挟着スリットとすることができ、この構造によって連結糸をスムーズに係止部に連結して、確実に連結する構造とすることができる。
【0012】
本発明のある態様の凧は、リブに複数の挟着スリットを設けることができ、この構造によって連結糸をより確実に連結具に連結でき、また連結糸の両端を挟着スリットに連結することもできる。
【0013】
本発明のある態様の凧は、シートを四角形として、横ロッドをシートの上縁に沿って配置し、縦ロッドをシートの幅方向の中央部にあって上下方向に伸びる垂直ロッドと、シートの中央部から四角形の隅部に向かって放射状に伸びる4本の傾斜ロッドとで構成して、連結具でもって、垂直ロッド及び傾斜ロッドの下端部をシートに連結することができる。
【0014】
本発明のある態様の凧は、横ロッドの両端と傾斜ロッドの上端とを脱着自在に連結する隅部の連結具と、横ロッドの中間と垂直ロッドの上端を脱着自在に連結するT字状の連結具と、シートの中央部から放射状に伸びる4本の傾斜ロッドと垂直ロッドとを脱着自在に連結する放射状の連結具とを備える構造として、連結具とロッドを分離して、折り畳み自在とすることができる。
【0015】
本発明のある態様の凧は、垂直ロッドを2分割して第1のロッドと第2のロッドとで構成し、第1のロッドと第2のロッドを脱着自在に連結している中間の連結具を設け、第1のロッドを第2のロッドよりも長くして、第1のロッドの長さを、最長の傾斜ロッドにほぼ等しく、あるいは最長の傾斜ロッドよりも短くすることができる。この構造の凧は、コンパクトに折り畳んで便利に利用できる。
【発明の効果】
【0016】
以上の凧は、簡単な構造で、シートが弛まないように張り具合いを調節してロッドに連結できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例の凧を裏側から見た正面図である。
【
図2】
図1に示す凧の隅部の連結具を示す正面図と斜視図である。
【
図3】
図1に示す凧のT字状の連結具を示す正面図と斜視図である。
【
図4】
図1に示す凧の放射状の連結具を示す正面図と斜視図である。
【
図5】
図1に示す凧の中間の連結具を示す正面図と斜視図である。
【
図6】
図1に示す凧のシートの中央部を垂直ロッドに連結するシートの連結具を示す正面図と斜視図である。
【
図7】
図1に示す凧のシートの両端部を傾斜ロッドに連結するシートの連結具を示す正面図、斜視図、背面斜視図である。
【
図8】シートの連結具の他の一例を示す正面図と斜視図である。
【
図9】シートの連結具の他の一例を示す背面斜視図である。
【
図11】
図10の凧の垂直ロッドの下端に連結する連結具の断面図である。
【
図12】
図10の凧の垂直ロッドの下端から上にずれた位置に連結する連結具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0019】
(実施の形態1)
図1の正面図に示す凧は、シート1と、シート1の裏面にあってシート1の幅方向に連結している横ロッド2と、シート1の裏面にあってシート1の上下方向に連結される縦ロッド3と、シート1と縦ロッド3を脱着自在に連結している連結具4と、連結具4に両端を連結して、シート1とロッドを連結する連結糸5と備えている。
【0020】
(シート1)
シート1は、紙やプラスチックフィルム製で、図の凧はシート1を上下方向に長い四角形としている。紙製のシート1は、好ましくは和紙を使用するが、他の紙も使用できる。和紙は凧のシート1として十分な強度があり、また日本に独特の図柄を印刷して凧独特の風合いを実現する。シート1は、連結糸5を貫通する糸孔6を設けているが、糸孔6を設ける部分に複数枚のシート1を積層して糸孔6の近傍を補強することで、糸孔6から破損するのを防止できる。
【0021】
(横ロッド2)
横ロッド2は、好ましくは、竹ひごが適しているが、弾性変形するプラスチック製のロッドも使用できる。ロッドは断面形状を円形とすることもできるが、好ましくは、断面形状を楕円形ないし面取りした長方形とする。このロッドは、幅の広い面をシート1の裏面に沿うようにシート1に連結して、風によるしなりをよくできる。横ロッド2は、2本のロッド2AをT字状の連結具4Aで連結している。T字状の連結具4Aは、同じ長さである2本のロッド2Aを連結すると共に、垂直ロッド3Aの上端を連結している。
【0022】
(縦ロッド3)
縦ロッド3は、好ましくは横ロッド2と同じ材質と形状のロッドとする。
図1の凧は、縦ロッド3を、シート1の幅方向の中央部にあって上下方向に伸びる垂直ロッド3Aと、シート1の中央部から四角形の隅部に向かって伸びる4本の傾斜ロッド3Bとで構成している。垂直ロッド3Aは、2本に2分割された2本のロッド、すなわち第1のロッド3Adと第2のロッド3Auからなり、第1のロッド3Adと第2のロッド3Auを中間の連結具4Bで連結している。第1のロッド3Adと第2のロッド3Auは、中間の連結具4Bで脱着自在に連結されて分解できる構造としている。第1のロッド3Adは、第2のロッド3Auよりも長く、第1のロッド3Adの長さは、最長の傾斜ロッド3Bにほぼ等しくしている。
【0023】
図1に示す凧は、垂直ロッド3Aの全長が最も長くなるので、垂直ロッド3Aを1本のロッドで構成すると、分解した状態で垂直ロッド3Aの全長が外形を長くして、運搬や取り扱いが不便になる。第1のロッド3Adを第2のロッド3Auよりも長くして、長い第1のロッド3Adを傾斜ロッド3Bと同じ長さとすることで、分解する状態で垂直ロッド3Aが外形を大きくすることがない。
図1の凧は、第1のロッド3Adを傾斜ロッド3Bと同じ長さとしているが、第1のロッド3Adと第2のロッド3Auの両方を最も長いロッド、図の凧にあっては傾斜ロッド3B以下として、分解した状態をコンパクトにして便利に持ち運びできる。したがって、第1のロッド3Adは、最も長いロッドである傾斜ロッド3Bとほぼ同じ長さとし、あるいは傾斜ロッド3Bよりも短くしてコンパクトに折り畳みできる。
【0024】
(連結具4)
図1の凧は、複数の連結具4でロッドを連結し、さらにロッドとシート1を連結している。ロッドを連結する連結具4は、隅部の連結具4Cと、T字状の連結具4Aと、放射状の連結具4Dと中間の連結具4Bとを備える。これ等の連結具4は、ロッドの端部を脱着できるように挿入して、容易に脱落しないように連結する筒部7を備えている。隅部の連結具4Cは、横ロッド2の端部に傾斜ロッド3Bの上端を連結する。T字状の連結具4Aは、横ロッド2の中間を垂直ロッド3Aの上端に連結する。放射状の連結具4Dは、放射状に伸びる4本の傾斜ロッド3Bと垂直ロッド3Aを連結する。さらに連結具4は、シート1の下端部を垂直ロッド3A及び傾斜ロッド3Bの下端に連結して、シート1を弛まない張り具合いに張設してロッドに連結するシートの連結具4Eを備える。
【0025】
(隅部の連結具4C)
隅部の連結具4Cは、
図2の正面図と斜視図に示すように、横ロッド2の両端を挿入する筒部7と、傾斜ロッド3Bの上端を連結する筒部7を可撓性のアーム8で連結している。アーム8は、シート1に垂直な面内に位置する板状で、それ自体が変形して、横ロッド2と傾斜ロッド3Bの連結角度を調整する。図に示すアーム8は、一端を一方の筒部7の底面に、他端を他方の筒部7の側面にそれぞれ連結している。ただ、アームは、両端を筒部の底面に連結することも、両端を筒部の側面に連結することもできる。筒部7は、底面または側面にアーム8を連結して、開口端にロッドを挿入して、横ロッド2と傾斜ロッド3Bとを所定の角度で連結する。
【0026】
(T字状の連結具4A)
図3は、T字状の連結具4Aの正面図と斜視図を示している。これ等の図に示すT字状の連結具4Aは、横ロッド2の端部を挿入する一対の筒部7と、垂直ロッド3Aの上端を連結する筒部7とからなる3組の筒部7をT字状に連結して、両端と下端からロッドを挿入できるように開口している。
図3において、各々の筒部7は、長手方向の半分を上下交互に開口して、一対の金型で成形できる形状としている。T字状の連結具4Aは、横ロッド2を構成する2本のロッドを連結する筒部7と、垂直ロッド3Aを連結する筒部7とをプラスチックで一体的に成形して連結する構造としている。筒部7は、ロッドの端部を脱着自在に挿入して容易に抜けない内形の筒状に成形している。
【0027】
T字状の連結具4Aは、横ロッド2を連結する一対の筒部7を直線状、正確にはわずかに傾斜する姿勢に連結して、両端を開口している。横ロッド2を連結する一対の筒部7は、わずかに傾斜する姿勢に連結されて、横ロッド2の両端部を風下側に後退するように傾斜できる。ただ、横ロッド2は、両端に引っ張り糸(図示せず)を連結して、引っ張り糸で横ロッド2をアーチ状に湾曲することもできるので、一対の筒部7を直線状に連結することもできる。T字状の連結具4Aは、横ロッド2と垂直ロッド3Aを同一平面に配置して直交する姿勢に連結する。
【0028】
(放射状の連結具4D)
放射状の連結具4Dは、
図4に示すように、垂直ロッド3Aの両側に4本の傾斜ロッド3Bを放射状に連結する。
図4に示す放射状の連結具4Dは、同じ形状に成形している上段の連結具4D-1と下段の連結具4D-2からなり、上段の連結具4D-1に2本の傾斜ロッド3Bを連結して、下段の連結具4D-2に2本の傾斜ロッド3Bを連結して、4本の傾斜ロッド3Bを垂直ロッド3Aに連結している。上段の連結具4D-1と下段の連結具4D-2は、垂直ロッド3Aを貫通して連結する筒部7の両側に、アーム8を介して傾斜ロッド3Bを連結する筒部7を連結する形状で、筒部7とアーム8とをプラスチックで一体的に成形している。図に示す放射状の連結具4Dは、上段の連結具4D-1と下段の連結具4D-2とで4本の傾斜ロッド3Bを垂直ロッド3Aに連結しているが、図示しないが、放射状の連結具は、垂直ロッドを挿入するひとつの筒部に、アームを介して4つの筒部を連結して、ひとつの放射状の連結具で4本の傾斜ロッドを垂直ロッドに連結することもできる。
【0029】
(中間の連結具4B)
中間の連結具4Bは、
図1と
図5に示すように、第1のロッド3Adと第2のロッド3Auからなる2本のロッドを連結して1本の垂直ロッド3Aとしている。中間の連結具4Bは、2組の筒部7を上下に直線状に連結する形状に一体的に成形して、第1のロッド3Adと第2のロッド3Auを挿入する開口部を上下に設けている。
【0030】
(シートの連結具4E)
シートの連結具4Eは、シート1の下端縁を3カ所で縦ロッド3の下端に連結する。
図6と
図7に示すシートの連結具4Eは、縦ロッド3の下端部を挿入する筒部7と、連結糸5の端部を脱着できるように連結する係止部9を備える。係止部9は、シート1を弛みなく引っ張る連結糸5の端部を連結して、シート1を弛まない張り具合いに張設して縦ロッド3に連結する。図に示すシートの連結具4Eは、筒部7の表面に突出するリブ10を設け、このリブ10にスリット11を設けて係止部9としている。スリット11は、連結糸5の挿入方向に向かって次第に幅を狭くするV字状の挟着スリット11Aとして、連結糸5を確実に係止する形状としている。V字状の挟着スリット11Aは、開口部の幅を挟着しない連結糸5の太さよりも大きくして、連結糸5をスムーズに案内できるようにしている。V字状の挟着スリット11Aは、連結糸5を開口部からV字状の底部に引き込んで、確実に係止できる。
図6と
図7に示すシートの連結具4Eは、筒部7の底面から一方の側面に跨がってリブ10を成形しており、筒部7の一方の側面側と底面側とにそれぞれスリット11を設けて係止部9としている。この係止部9は、
図6と
図7に示すように、シート1を弛まない張り具合いに張設する連結糸5を、筒部7の底面に設けた挟着スリット11Aに引き込んで係止し、さらに、筒部7の側面に設けている挟着スリット11Aに引き込んで抜けないように連結できる。
【0031】
さらに、シートの連結具4Eは、
図8に示すように、筒部7の底面から両側の側面に跨がってリブ10を成形すると共に、筒部7の両側面と底面とにそれぞれスリット11を設けて係止部9とすることもできる。
図8に示すシートの連結具4Eも、筒部7の両側面と底面とに設けているスリット11をV字状の挟着スリット11Aとしている。このように、筒部7の両側面にスリット11を備えるシートの連結具4Eは、連結糸5の一端を連結する際には、筒部7の両側面に設けたスリット11のいずれか一方を好適に選択して使用でき、あるいは、連結糸5の両端を係止部9に連結する構造として、連結糸5の一端を、一方の側面に設けたスリット11に案内し、連結糸5の他端を、他方の側面に設けたスリット11に案内して連結することもできる。
【0032】
さらに、
図6ないし
図8に示すシートの連結具4Eは、筒部7の側面側に設けているV字状の挟着スリット11Aをリブ10と筒部7との境界部分に設けており、V字状の挟着スリット11Aの一方の開口縁を、筒部7の側面としている。この構造の挟着スリット11Aは、筒部7の側面に沿って連結糸5を摺動させながら連結糸5を案内できるので、筒部7の側面をガイドとして連結糸5を速やかに案内して連結できる特長がある。
【0033】
(連結糸5)
連結糸5は、シート1を弛みなく引っ張って縦ロッド3の下端に連結する。連結糸5は両端をシートの連結具4Eに連結して、シート1を縦ロッド3に連結する。連結糸5は、
図6ないし
図8に示すように、中間をシート1の糸孔6に挿通してシート1の前面にU曲部5Aを設け、U曲部5Aの内側とシート1の前面との間に縦ロッド3を配置し、この状態で引っ張り状態でシートの連結具4Eに連結して、シート1を弛まない張り具合いに張設して縦ロッド3に連結する。
【0034】
図6と
図7の連結糸5は、一方の端部を縦ロッド3とシートの連結具4Eの筒部7との間に挟着し、他方の端部をシートの連結具4Eの係止部9に連結して両端をシートの連結具4Eに連結している。この連結糸5は、一方の端部を筒部7とロッドとの間に挟着して連結する状態で、シート1の糸孔6に挿通してシート1に連結し、この状態で引っ張って、シート1を弛まない張り具合いに張設して、他方の端部を係止部9の挟着スリット11に引き込んで連結する。
【0035】
また、
図8の連結糸5は、両方の端部を複数の係止部9に別々に連結して、両端をシートの連結具4Eに連結している。この連結糸5は、U曲部5Aに縦ロッド3を案内する状態で、連結糸5の両端をシート1の糸孔6に挿通してシート1に連結し、一方の端部を筒部7の底面側に設けた挟着スリット11に引き込んで係止した後、筒部7の一方の側面に設けた挟着スリット11に引き込んで抜けないように係止して連結すると共に、この状態で連結糸5の他方の端部を引っ張って、シート1を弛まない張り具合いに張設し、他方の端部を筒部7の底面側に設けた挟着スリット11に引き込んで係止した後、筒部7の他方の側面に設けている挟着スリット11に引き込んで抜けないように係止して連結する。この連結方法によると、連結糸5の一方の端部を、予め筒部7とロッドとの間に挟着して連結することなく、連結糸5の両端部をシートの連結具4Eの係止部9に別々に連結するので、簡単かつ確実に連結糸5の端部をシートの連結具4Eに連結しながら、シート1が弛まないように張り具合いを調節しながら、シート1を張設できる。さらに、
図9に示すように、両方の連結糸5の端部同士を結束することで、連結糸5が弛むことなく、挟着スリット11に引き込んで係止して連結された状態をより強固に維持できる。
【0036】
以上の凧は、以下の工程でユーザーが組み立てして分解する。
1.凧の組み立て工程
凧の製造工場において、T字状の連結具4Aの筒部7に同じ長さのロッドを直線状に連結して横ロッド2とし、この横ロッド2をシート1の上縁に連結する。横ロッド2とシート1は、たとえばシート1の上縁部を折り返して袋状として横ロッド2を包むようにして連結される。シート1は連結された横ロッド2に巻き付けて包装される。縦ロッド3と連結具4は、横ロッド2とシート1と別に梱包される。
【0037】
ユーザーは、中間の連結具4Bを介して第1のロッド3Adと第2のロッド3Auを連結して垂直ロッド3Aを組み立てる。放射状の連結具4Dを垂直ロッド3Aに挿通し、放射状の連結具4Dの両側に2本、全体で4本の傾斜ロッド3Bを連結して6本のロッドからなる縦ロッド3を組み立てる。シート1を平面状に広げて、縦ロッド3を横ロッド2に連結する。縦ロッド3は、横ロッド2の中央と両端に、連結具4を介して連結される。縦ロッド3は、横ロッド2の両端に隅部の連結具4Cを介して傾斜ロッド3Bが連結され、横ロッド2の中央部にはT字状の連結具4Aを介して垂直ロッド3Aが連結される。
【0038】
縦ロッド3の下端にシートの連結具4Eを介してシート1を連結する。シート1は連結糸5を介して縦ロッド3の下端に連結される。シートの連結具4Eは、連結糸5の一端を挟んで縦ロッド3の下端を筒部7に挿入して、連結糸5の一端を連結する。連結糸5は、
図6と
図7に示すように、シート1の糸孔6を通過してシート1の表面でU曲部5Aを設け、このU曲部5Aに縦ロッド3を挿通する状態で、連結していない端部を牽引して、シート1の下端を下方に引っ張ってシート1を弛まない張り具合いに張設する。この状態で連結糸5の端部を筒部7の係止部9の挟着スリット11に引き込んで筒部7に連結する。この状態で、シート1は引っ張り状態で縦ロッド3に連結される。
【0039】
その後、図示しないが、横ロッド2の両側と、縦ロッド3の上下と、垂直ロッド3Aの中央部に凧糸を連結し、凧糸で引っ張りながら凧上げをする。
【0040】
2.凧の分解工程
連結糸5をシートの連結具4Eの係止部9から外して、シート1の下端部を縦ロッド3の下端部から分離した後、縦ロッド3の上端を横ロッド2から分離して、凧を分解する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の凧は、分解してコンパクトに持ち運びできる凧に便利に使用できる。
【符号の説明】
【0042】
1…シート
2…横ロッド
2A…ロッド
3…縦ロッド
3A…垂直ロッド
3Ad…第1のロッド
3Au…第2のロッド
3B…傾斜ロッド
4…連結具
4A…T字状の連結具
4B…中間の連結具
4C…隅部の連結具
4D…放射状の連結具
4D-1…上段の連結具
4D-2…下段の連結具
4E…シートの連結具
5…連結糸
5A…U曲部
6…糸孔
7…筒部
8…アーム
9…係止部
10…リブ
11…スリット
11A…挟着スリット
91…シート
91a…貫通穴
93…縦ロッド
94A…連結具
94B…連結具
95…連結糸
97…筒部
98…フック
99…挟着隙間