(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】ビリルビンオキシダーゼの活性向上方法、およびビリルビンオキシダーゼ製品
(51)【国際特許分類】
C12N 9/04 20060101AFI20240522BHJP
C12N 9/96 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
C12N9/04 Z
C12N9/96
(21)【出願番号】P 2020559994
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 JP2019047551
(87)【国際公開番号】W WO2020116547
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2018228207
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000204686
【氏名又は名称】大関株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】加戸 悠
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】坪井 宏和
(72)【発明者】
【氏名】坊垣 隆之
(72)【発明者】
【氏名】幸田 明生
(72)【発明者】
【氏名】辻野 義雄
【審査官】鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-042869(JP,A)
【文献】特開平06-284886(JP,A)
【文献】特開2006-042757(JP,A)
【文献】特開昭60-151561(JP,A)
【文献】国際公開第2018/141017(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 9/00-9/99
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビリルビンオキシダーゼおよび活性向上剤を含むビリルビンオキシダーゼ溶液を、脱酸素雰囲気下において放置すること
によってビリルビンオキシダーゼの活性を向上させる工程を含む、ビリルビンオキシダーゼの活性向上方法:
ここで、上記活性向上剤は、
尿酸、グリオキシル酸、麦芽エキス、魚エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、ペプトン、大豆粉、亜硫酸ナトリウム、グルタチオン(還元型)、L-システイン塩酸塩、N-アセチル-L-システイン、L-アスコルビン酸および6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸からなる群から選択される少なくとも一つ以上の物質である。
【請求項2】
上記ビリルビンオキシダーゼ溶液を、10℃以上の温度環境下にて放置することを特徴とする、請求項1に記載のビリルビンオキシダーゼの活性向上方法。
【請求項3】
ビリルビンオキシダーゼおよび活性向上剤を含むビリルビンオキシダーゼ溶液を、脱酸素雰囲気下において放置する
ことによってビリルビンオキシダーゼの活性を向上させる工程を含む、高活性型ビリルビンオキシダーゼの製造方法:
ここで、上記活性向上剤は、
尿酸、グリオキシル酸、麦芽エキス、魚エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、ペプトン、大豆粉、亜硫酸ナトリウム、グルタチオン(還元型)、L-システイン塩酸塩、N-アセチル-L-システイン、L-アスコルビン酸および6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸からなる群から選択される少なくとも一つ以上の物質である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビリルビンオキシダーゼの活性を向上する方法(以下、「活性向上方法」と称する)に関する。また本発明は、ビリルビンオキシダーゼの活性を向上するためのビリルビンオキシダーゼ製品に関する。また本発明は、高活性型ビリルビンオキシダーゼの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビリルビンオキシダーゼ(以下、適宜「BOD」と略記する。)は、ビリルビンをビリベルジンに酸化させる反応を触媒する酵素である。BODは、例えば、臨床検査の分野において、生体試料中のビリルビンの濃度を測定するために用いられている。またBODは、インドール類縁体を酸化する性質を有することから、染毛剤への応用が期待されている。
【0003】
現在商業的に供給されているBOD製品は、BODに加えて、(a)酵素反応に好適なpHを与える緩衝剤、並びに、必要に応じて、(b)(b-1)界面活性剤等の反応条件を制御する成分、および、(b-2)糖類および/または不活性タンパク質などの一般的な賦形剤、などを含む。現在商業的に供給されているBOD製品は、BODに加えて、上述した成分を一緒に凍結乾燥させた状態で流通している。乾燥状態のBODは、使用時に界面活性剤および/または緩衝剤を含む所定の溶媒に溶解して使用される。製品に含まれるBODは乾燥状態では比較的安定であるが、いったん溶解した溶液状態では失活しやすいという問題点がある。たとえば、市販されているBOD試薬を、Tris-H2SO4(pH8.5)緩衝液中、5℃で保存した場合、96時間安定であるに過ぎない。
【0004】
また乾燥状態のBODは、使用の度に必要量を溶解する操作が必要であるため、使用時の工程数の増加、および、使用時にBODの粉体が飛散することによる作業者へのBODの暴露、などの問題点もある。またBOD製品は、流通コストの観点から常温で流通されることが望ましい。
【0005】
上記の事情に鑑み、BOD製品(特に溶液状態)のBODを安定的に保存する方法が検討されている。例えば、特許文献1では、還元剤(チオ硫酸ナトリウム)を用いたBODの安定化方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-42869号公報(1998年2月17日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のごとくBODは、産業上の利用が大いに期待される酵素である。本発明者らは、BODの活性を簡便に向上させるという技術的課題を独自に設定し、その解決手段を検討することにした。すなわち、本発明の一実施形態に係る目的は、BODの活性を向上させることができる手段を提供することにある。具体的には、本発明の一実施形態は、BODの活性を向上させる方法、BODの活性を向上させることができるBOD製品、および高活性型ビリルビンオキシダーゼの製造方法を提供する。
【0008】
なお、特許文献1に記載された技術は、BODを安定的に保存するという技術的課題を解決するための技術であり、BODの活性を向上させるという技術的課題を解決するための発明ではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、BODおよび特定の物質(後述する「活性向上剤」)を含むBOD溶液を、脱酸素雰囲気下において放置することによって、上述した課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の一実施形態は、ビリルビンオキシダーゼおよび活性向上剤を含むビリルビンオキシダーゼ溶液を、脱酸素雰囲気下において放置することを特徴とする、ビリルビンオキシダーゼの活性向上方法である:ここで、上記活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)が0.10%以上であり、かつ、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が10.00%以下である。
【0011】
また、本発明の別の一実施形態は、容器内にビリルビンオキシダーゼおよび活性向上剤が含まれ、上記容器内は脱酸素雰囲気であり、上記活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)が0.10%以上であり、かつ、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が10.00%以下であることを特徴とする、ビリルビンオキシダーゼ製品である。
【0012】
また、本発明の別の一実施形態は、ビリルビンオキシダーゼおよび活性向上剤を含むビリルビンオキシダーゼ溶液を、脱酸素雰囲気下において放置する工程を含むことを特徴とする、高活性型ビリルビンオキシダーゼの製造方法である:ここで、上記活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)が0.10%以上であり、かつ、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が10.00%以下である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によれば、BODの活性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る活性向上剤を無添加のBOD溶液、または本発明の一実施形態に係る活性向上剤を含むBOD溶液を、特定の温度環境下に一定期間放置した場合の、BODの活性の変化を示すグラフである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る活性向上剤または比較物質によるABTS初発吸光度(A
436)減少率(%)を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る活性向上剤または比較物質によるDMBQ初発吸光度(A
256)減少率(%)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。また、本明細書中に記載された特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
【0016】
本明細書中において、本発明の一実施形態に係るX(Xは任意の固有名詞、例えば活性向上方法、酵素溶液、BOD、活性向上剤、高活性型BODの製造方法など)を、単に「本X」と称する場合もある。
【0017】
〔1.本発明の一実施形態の技術的思想〕
本発明者らはBODの酵素活性を向上させる方法について、鋭意検討した。その結果、本発明者らは、驚くべきことに、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)およびDMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が特定の範囲内である物質を使用し、かつ、脱酸素雰囲気下にすることによって、BODの活性(以下、BOD活性と称する場合もある。)を向上させることができるという新規知見を見出し、本発明を完成させた。
【0018】
〔2.活性向上方法〕
本活性向上方法は、BODおよび活性向上剤を含むBOD溶液を、脱酸素雰囲気下において放置する方法である。ここで、上記活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)が0.10%以上であり、かつ、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が10.00%以下である物質である。
【0019】
本活性向上方法は上記活性向上剤を利用することにより、BODの活性を簡便に向上させることができるという利点を有する。
【0020】
本明細書において特に言及しない限り「BOD溶液」は、少なくともBODおよび活性向上剤を含んでいる溶液を意図する。なお、BOD溶液には、BODおよび活性向上剤以外の物質が含まれていてもよい。
【0021】
本明細書において、「BODの活性を向上させる」とは、BODおよび活性向上剤を含むBOD溶液を脱酸素雰囲気下で放置する前のBOD活性に比して、BODおよび活性向上剤を含むBOD溶液を脱酸素雰囲気下で放置した後のBOD活性を向上させることをいう。
【0022】
なお、BODの活性は、当該BODの質量に対する活性(活性/質量)で表されることが多く、それ故に、活性を「比活性」と称する場合もある。すなわち、活性向上方法は比活性向上方法ともいい、活性向上剤は比活性向上剤ともいう。
【0023】
比活性は、以下のようにして算出することができる。BODのみを含むBOD溶液の波長280nmにおける吸光度(A280)を分子吸光係数115,000で除した値に、BODの分子量66,000を乗じ、得られた値をBOD溶液中のBODタンパク質濃度(mg/mL)とする。後述する方法にてBODの酵素活性(U/mL)を測定し、当該酵素活性を上記BODタンパク質濃度で除した値が、比活性(U/mg)である。
【0024】
本活性向上方法では、BODの活性を大きく向上させるほど好ましい。本活性向上方法では、BODを放置する前のBODの活性を100%としたとき、BODを放置する前と比較して、BODの活性を105%以上向上させることが好ましく、120%以上向上させることがより好ましく、150%以上向上させることがさらに好ましく、200%以上向上させることが特に好ましい。
【0025】
本活性向上方法では、BODおよび活性向上剤を含むBOD溶液を放置する期間は、特に限定されず、少なくともBODの活性が向上するまで放置すればよい。本活性向上方法では、生産効率の観点から、BODの活性を向上させるために必要とされる、BOD溶液の放置期間が短いほど好ましい。本活性向上方法では、BOD溶液の放置期間が、例えば、50日以下であることが好ましく、40日以下であることが好ましく、30日以下であることが好ましい。
【0026】
本活性向上方法では、BOD溶液を放置する温度は、特に限定されず、少なくともBODの活性が向上する温度であればよい。本活性向上方法では、生産効率の観点から、BOD溶液を、10℃以上の温度環境下にて放置することが好ましい。本活性向上方法では、BOD溶液を放置する温度が、例えば、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることが好ましい。上記構成であれば、BODの活性をより向上させることができ、かつ、BODの活性を短期間で向上させることができる、という利点を有する。本活性向上方法において、BOD溶液を放置する温度の上限は、BODが失活しない温度であることが好ましく、例えば、60℃以下の温度環境下でBOD溶液を放置することが好ましい。
【0027】
本明細書において、BODの活性は、簡潔には、以下のように評価する。ABTS基質を含む溶液に対してBODを添加した後、得られた溶液を37℃で反応させる。当該反応中、当該溶液の波長436nmにおける吸光度の増加量を経時的に測定することによって、BODの活性を評価する。BODの活性の具体的な測定方法および評価方法は後述する試験例において説明する。
【0028】
(2-1)BOD
本活性向上方法を適用可能なBODとしては、(1)任意の生物から得られる、公知のすべてのBOD(非組換えBOD)、(2)任意の生物に由来するBODをコードする遺伝子を、任意の生物体内または試験管内で発現させて得ることができる組換えBOD、(3)任意の生物に由来するBODのアミノ酸配列の置換、挿入および欠失等の変異によって得られる変異BOD、ならびに(4)BODの安定化およびBODの酵素活性の向上を目的とした、任意の担体で修飾したBOD、などを挙げることができる。上記生物としては、例えば、ミロセシウム属(例えばミロセシウム・ベルカリア)、ペニシリウム・ジャンシネラム、バチルス・リフェニフォルミス、コリネバクテリウム・グルタミカム、エシェリヒア・コリ、アガリカスビスポラス菌茸、スエヒロタケ、エビタケ、キク科植物、アルファルファ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ピキア・パストリス、およびアスペルギルス属、などが挙げられるが、これらに限定されない。また、BODをコードする遺伝子の由来となる生物と、BODを得るために当該遺伝子を導入し、発現させる生物とは、同一であってもよく異なっていてもよい。
【0029】
BODは、(1)ミロセシウム属から得られるBOD(非組換えBOD)であってもよく、(2)ミロセシウム属に由来するBODのアミノ酸配列の置換、挿入および欠失等の変異によって得られる変異BODであってもよく、(3)ミロセシウム属に由来するBODをコードする遺伝子を、任意の生物体内または試験管内で発現させて得られた組換えBODであってもよく、(4)ミロセシウム属に由来するBODをコードする遺伝子を、任意の生物の遺伝子配列に合わせてコドンの最適化を行った後、当該生物に導入し、当該生物体内で発現させて得られた組換えBODであってもよい。例えば、組換えBODは、(1)任意の生物に由来するBODをコードする遺伝子をアスペルギルス属に導入し、アスペルギルス属にて発現させて得られたBODであってもよく、(2)任意の生物に由来するBODをコードする遺伝子を、アスペルギルス属の遺伝子配列に合わせてコドンの最適化を行った後、アスペルギルス属に導入し、アスペルギルス属にて発現させて得られたBODであってもよい。より具体的には、組換えBODは、(1)ミロセシウム属に由来するBODをコードする遺伝子を、アスペルギルス属に導入し、アスペルギルス属にて、発現させて得られたBODであることが好ましく、(2)ミロセシウム属に由来するBODをコードする遺伝子を、アスペルギルス属の遺伝子配列に合わせてコドンの最適化を行った後、アスペルギルス属に導入し、アスペルギルス属にて、発現させて得られたBODであることがより好ましい。
【0030】
本活性向上方法において用いられるBODの濃度は、特に限定されず、当該BODの用途に応じて適宜設定され得る。
【0031】
(2-2)活性向上剤
本活性向上剤は、BODと共に脱酸素雰囲気下にて放置することによって、BODの活性を向上させることができる物質であり、活性向上助剤ともいえる。本活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%=波長436nmの吸光度の1分間あたりの減少率)が0.10%以上であり、かつ、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%=波長256nmの吸光度の1分間あたりの減少率)が10.00%以下である物質である限り、特に限定されるものではない。本活性向上剤としては、任意の化合物、混合物、または組成物などを使用可能である。
【0032】
本活性向上剤としては、天然由来の、無機塩類、有機化合物、炭水化物、アミノ酸、ビタミン、脂肪酸、脂質、タンパク質、およびペプチドなどからなる群から選択される少なくとも一つ以上の物質であることが好ましい。また、本活性向上剤は、上述した群に列挙された物質の任意の組み合わせであってもよい。
【0033】
このような活性向上剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、(a)亜硫酸ナトリウム、尿酸、グリオキシル酸、N-アセチル-L-システイン、L-システイン塩酸塩、L-アスコルビン酸、トコフェロール、トコフェロール誘導体、Troloxなどの無機物、および(b)ペプトン類(カゼインペプトン、獣肉ペプトン、心筋ペプトン、ゼラチンペプトン、および大豆ペプトンなど)、エキス類(肉エキス、魚エキス、植物エキス、麦芽エキス、および酵母エキス)、オリゴペプチド、グルタチオン(還元型)、コーンスティープリカー、大豆粉、小麦ふすまなどの有機物、からなる群から選択される少なくとも一つ以上の物質が挙げられる。
【0034】
上記無機物としては、例えば和光純薬社などから入手したものを使用できる。また、上記有機物としては、例えば、極東製薬工業社製麦芽エキス、極東製薬工業社製魚粉末エキス、極東製薬工業社製粉末酵母エキス、極東製薬工業社製極東ペプトン、極東製薬工業社製ペプトンA、極東製薬工業社製パティケース、極東製薬工業製ポテトペプトンCP、アサヒグループ食品社製の酵母エキス(例えばミーストP1GおよびイーストックS-Pd)、オリエンタル酵母工業社製のコーンスティープリカー(略して「CSL」とも称する)、日本製薬社製のHipolypepton、不二製油社製の大豆オリゴペプチドであるハイニュートAM、昭和産業社製の大豆粉88、日本BD社製のTryptone、および日本BD社製Yeast Extract、などからなる群から選択される少なくとも一つ以上の物質が挙げられるが、これらに限定されない。本活性向上剤が上述した群から選択される少なくとも一つである場合には、本活性向上方法は、BODの活性をより向上させることができる。本明細書中で列挙した種々の活性向上剤は、1種を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
また、本活性向上方法において、BOD溶液に含まれる活性向上剤の最適な濃度は、BOD溶液中のBODの濃度、活性向上剤の種類等によって変動し得る。このため、BOD溶液に含まれる活性向上剤の最終濃度は、本発明の一実施形態に係る効果が得られる範囲で適宜設定すればよい。
【0036】
(2-3)脱酸素雰囲気
本活性向上方法においては、BODの酸化を防止する為に、BODが存在する雰囲気中にできるだけ酸素が存在しない状態(すなわち脱酸素雰囲気)であることが好ましい。このため、本活性向上方法においては、BODおよび活性向上剤を含むBOD溶液が「脱酸素雰囲気」で放置される。本活性向上方法において「脱酸素雰囲気」とは、BOD溶液が放置される雰囲気における酸素濃度が、自然状態(換言すれば常温および常圧)で存在する酸素濃度よりも低い状態を意図する。
【0037】
本活性向上方法では、脱酸素雰囲気下においてBOD溶液を放置することによって、BODの活性を容易に向上させることができるという利点を有する。
【0038】
本活性向上方法では、BODの活性を容易に向上させる観点から、BOD溶液が放置される雰囲気における酸素濃度が、0.5体積%未満であることが好ましく、0.1体積%未満が特に好ましい。
【0039】
本活性向上方法では、脱酸素雰囲気を達成するための方法は特に限定されない。例えば、本活性向上方法では、(1)BOD溶液を格納する容器に脱酸素剤を設置することによって脱酸素雰囲気を達成してもよいし、(2)脱酸素剤の成分を有する材質から作製された容器中にBOD溶液を格納することによって脱酸素雰囲気を達成してもよいし、(3)容器中の酸素を不活性気体(窒素ガスおよびアルゴン等の希ガス)で置換することによって脱酸素雰囲気を達成してもよいし、(4)真空または減圧条件下でBOD溶液を放置することにより脱酸素雰囲気を達成してもよい。これら脱酸素雰囲気を達成するための方法は、1つの方法を単独で使用してもよく、複数の方法を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
簡便さの観点からは上記(1)の方法が好ましい。上記(1)で用いられる脱酸素剤としては、例えば、三菱ガス化学社製エージレス(登録商標)、三菱ガス化学社製エージレスオーマック(登録商標)、三菱ガス化学社製アネロパック(登録商標)、鳥繁産業社製エバーフレッシュ、パウダーテック社製ワンダーキープ(登録商標)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
なお、本活性向上方法では、BODの活性をさらに容易に向上させる観点から、BODを含むBOD溶液を脱酸素雰囲気下で放置することに加え、BOD溶液中の溶存酸素濃度を低溶存酸素状態(好ましくは0.2mg/L未満であり、特に好ましくは0.04mg/L未満)にすることが好ましい。BOD溶液中の溶存酸素濃度は、BOD溶液が保存される雰囲気における上述した好ましい酸素濃度下での、溶液における飽和酸素濃度以下であることがより好ましい。なお、溶液における飽和酸素濃度は溶液の温度に依存して変動し得る。例えば、空気雰囲気の酸素濃度が0.5体積%の場合、溶液における飽和酸素濃度は、25℃で0.2mg/Lであり、0℃で0.35mg/Lである。BOD溶液中の溶存酸素濃度の好ましい態様(低溶存酸素状態)は、BOD溶液に対して公知の脱気操作を行うことにより達成される。
【0042】
(2-4)ABTS初発吸光度減少率
本明細書において、ABTSを含む溶液(ABTS溶液)の波長436nmにおける吸光度を、ABTS初発吸光度(A436)とする。本明細書において、活性向上剤のABTS初発吸光度(A436)減少率(%)とは、上記ABTS溶液および上記活性向上剤を含む混合液の波長436nmにおける吸光度の、ABTS初発吸光度(A436)(100%)に対する1分間当たりの減少率(%)と定義する。なお、上記ABTS溶液は、光路長1.0cmにて、波長436nmにおける吸光度(A436)が約1.3となるように、ABTSの濃度が調整された溶液とする。ここで、値「約1.3」とは、小数点以下第2位を四捨五入して得られた値が1.3となる範囲の値を意図する。ABTS溶液の波長436nmにおける吸光度(A436)、および、活性向上剤のABTS初発吸光度(A436)減少率(%)の具体的な測定方法は、後述する試験例において説明する。ABTSは、2,2’-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)の略称である。
【0043】
本活性向上方法において、上記活性向上剤のABTS初発吸光度(A436)減少率(%)を測定する際の、測定用のABTS溶液中の活性向上剤の濃度は、(a)活性向上剤が単一の化合物からなるような、活性向上剤の分子量が明らかである場合、1mMとし、(b)活性向上剤が、分子量が不明の組成物からなるような物質である場合、窒素元素含有量を基準とし、測定用のABTS溶液100mL中における活性向上剤由来の窒素元素量が0.011gとなる濃度とする。なお、上記(b)において、ABTS溶液中の活性向上剤由来の窒素含有量は、ケルダール法により算定した値とする。
【0044】
本活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)が、0.10%以上であればよい。上記ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)は、0.25%以上であることが好ましく、0.50%以上であることがより好ましく、1.00%以上であることがさらに好ましく、3.00%以上であることが特に好ましい。上記構成によれば、BODの活性をより容易に向上させることができるという利点を有する。
【0045】
(2-5)DMBQ初発吸光度(A256)減少率
本明細書において、DMBQを含む溶液(DMBQ溶液)に活性向上剤を添加直後の混合液の波長256nmにおける吸光度を、DMBQ初発吸光度(A256)とする。本明細書において、活性向上剤のDMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)とは、上記DMBQ溶液および上記活性向上剤を含む混合液の波長256nmにおける吸光度の、DMBQ初発吸光度(A256)(100%)に対する1分間当たりの減少率(%)と定義する。なお、上記DMBQ溶液は、光路長1.0cmにて、波長256nmにおける吸光度(A256)が約1.8となるように、DMBQの濃度が調整された溶液とする。ここで、値「約1.8」とは、小数点以下第2位を四捨五入して得られた値が1.8となる範囲の値を意図する。DMBQ溶液の波長256nmにおける吸光度(A256)、および、活性向上剤のDMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)の具体的な測定方法は、後述する試験例において説明する。DMBQは、2,5-ジメチル-1,4-ベンゾキノンの略称である。
【0046】
本活性向上方法において、上記活性向上剤のDMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)を測定する際の、測定用のDMBQ溶液中の活性向上剤の濃度は、(a)活性向上剤が単一の化合物からなるような、活性向上剤の分子量が明らかである場合、0.1mMとし、(b)活性向上剤が、分子量が不明の組成物からなるような物質である場合、窒素元素含有量を基準とし、測定用のDMBQ溶液100mL中における活性向上剤由来の窒素元素量が0.0011gとなる濃度とする。なお、上記(b)において、DMBQ溶液中の活性向上剤由来の窒素含有量は、上記(2-4)の項と同様の方法で算定した値とする。
【0047】
本活性向上剤は、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が、10.00%以下であればよい。上記DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)は、7.00%以下であることが好ましく、5.00%以下であることがより好ましく、4.00%以下であることがさらに好ましく、1.00%以下であることがさらに好ましく、本明細書における測定方法において0.00%以下、すなわち検出限界以下であることが特に好ましい。上記構成によれば、BODの活性をより容易に向上させることができるという利点を有する。
【0048】
(2-6)溶媒
本活性向上方法では、BODは活性向上剤とともに溶液中に含まれる。BOD溶液を形成するための溶媒としては、本BODおよび本活性向上剤を溶解できるものであれば特に限定されず、従来公知の溶媒を使用することができる。本溶媒は、本BODおよび本活性向上剤を容易に溶解できる点から好ましくは水(例えば蒸留水)である。
【0049】
本BOD溶液は、本BOD溶液を用いる用途に合わせて、任意のpHを有してもよい。本BOD溶液は、当該BOD溶液中に含有されるBODの立体構造を安定に保つために、pH6~10のpHを有することが好ましい。本BOD溶液は、所望のpHを有するために、緩衝剤を含むことが好ましい。上記緩衝剤としては、従来公知の緩衝剤を使用可能である。また、本BOD溶液は、所望のpHを有するために、従来公知の酸またはアルカリを用いて従来公知の方法でpHが調整され得る。
【0050】
(2-7)その他
本BOD溶液は、BODの活性を向上させることができる限り、BOD、活性向上剤、および溶媒以外の任意の物質を含んでいてもよい。本BOD溶液は、例えば、緩衝剤、酸、塩基、無機塩、有機塩、金属塩、糖類、アミノ酸、不活性タンパク質、ペプチド、脂肪酸、脂質、界面活性剤、および樹脂などを含んでいてもよい。
【0051】
(2-8)用途
本活性向上方法に基づき放置され、BODの活性が向上された後のBOD溶液は、任意の用途に用いられ得る。本活性向上方法によりBODの活性が向上された後のBOD溶液は、例えば、染毛、生体試料中のビリルビンの濃度の測定、生体試料中のビリルビンの除去、化粧品、食品加工、酵素燃料電池(例えば、酵素バイオ電池、酵素電池、等)、およびタンパク質の架橋などに用いることができる。
【0052】
〔3.BOD製品〕
本発明の別の一実施形態は、容器内にBODおよび活性向上剤が含まれ、上記容器内は脱酸素雰囲気であり、上記活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)が0.10%以上であり、かつ、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が10.00%以下である、BOD製品を提供する。
【0053】
本BOD製品は上記構成を有することにより、BOD製品に含まれるBODの活性を向上させることができるという利点を有する。
【0054】
本BOD製品に含まれる、BODおよび活性向上剤は粉末等の固体状であってもよいが、適切な溶媒によって溶解された溶液(つまりBOD溶液)であることが好ましい。BODは溶液の状態で不安定であるが、本BOD製品によればBODが溶液状態であってもBODの活性を向上させることができる。
【0055】
本BOD製品に含まれる、BODおよび活性向上剤が溶液状態である場合、(a)使用の度にBODおよび活性向上剤を溶解する操作が必要とされることなく、かつ、(b)使用時にBODの粉体が飛散することによる作業者へのBODの暴露の虞もない、という利点を有する。
【0056】
なお、本BOD製品に含まれる、BOD、活性向上剤、および溶媒等の説明は上記〔2.活性向上方法〕の項の説明を援用することができる。また、本BOD製品は、上記(2-7)その他の項で説明した任意の物質をさらに含んでいてもよい。また、本BOD製品において、容器内の脱酸素雰囲気は、上記(2-3)脱酸素雰囲気の項で説明した脱酸素雰囲気を形成するための方法によって達成され得る。
【0057】
(3-1)容器
本BOD製品において用いられ得る容器は、少なくともBODおよび活性向上剤を格納することができる容器であれば、容器の材質、形状、大きさ等は限定されるものではない。容器は、当該容器内の脱酸素状態を一定期間保つことができる容器であってもよく、当該容器内を脱酸素雰囲気にすることができる容器であってもよい。容器の材質はガラス製であっても、樹脂製であってもよい。また容器の形状は、瓶状であっても、袋状であってもよい。袋状の容器としてはファスナー付き樹脂製袋(例えばジップロック(登録商標)等)が利用可能である。容器の大きさは、格納されるBODおよび活性向上剤、またはBOD溶液の体積に応じて適宜、設計すればよい。
【0058】
本容器は、脱酸素状態を容易にかつ長期間保つために、酸素を透過しない材料(または透過しにくい材料)から構成された容器であることが好ましい。また、本容器は、脱酸素剤の性質を有する成分を含む材料から構成されていてもよい。また、本容器は、BODの活性をより向上させることを可能とするために、半密閉容器であることが好ましく、あらゆる物質を透過させることがない密閉容器であることがより好ましい。
【0059】
本BOD製品では、BODおよび活性向上剤を含む容器に、溶媒を加えることにより、BODおよび活性向上剤を溶解して、BOD溶液としてもよい。それ故に、本BOD製品における容器は、上記溶媒に対して耐性を有する容器であることが好ましい。
【0060】
(3-2)本BOD製品の具体的態様の一例
本BOD製品の態様は特に限定されるものではないが、例えば容器が開閉可能な蓋を有する瓶形状であり、蓋部の内側にパッケージングされた脱酸素剤を備えており、容器内部にBODおよび活性向上剤が格納されているという態様(態様A)であり得る。態様Aの場合、容器内部に格納されるBODおよび活性向上剤は液体状であってもよく、固体状であってもよい。固体状のBODおよび活性向上剤が態様Aで容器内部に格納される場合には、容器に溶媒を加えてBODおよび活性向上剤を溶解することによりBOD溶液とした後であっても、BODおよび活性向上剤を格納していた容器と同じ容器を用いて、引き続きBOD溶液を脱酸素雰囲気下で放置し、BODの活性を向上させることができる。
【0061】
BODおよび活性向上剤が粉末等の固体状の場合は、パッケージングされた脱酸素剤は蓋部に備えられている必要はなく、BODおよび活性向上剤と共に容器内に同封されていればよい。容器内の脱酸素剤によって、容器内部が脱酸素雰囲気となる。さらに、容器内の空気は窒素等の不活性気体に置換されていてもよい。
【0062】
またファスナー付き樹脂製袋内に、BOD、活性向上剤、パッケージングされた脱酸素剤が格納される態様であってもよい。
【0063】
(3-3)用途
本BOD製品は、任意の用途に用いられ得る。本BOD製品は、例えば、染毛、生体試料中のビリルビンの濃度の測定、生体試料中のビリルビンの除去、化粧品、食品加工、酵素燃料電池(例えば、酵素バイオ電池、酵素電池、等)、およびタンパク質の架橋などに用いることができる。
【0064】
〔4.高活性型BODの製造方法〕
本発明の別の一実施形態に係る高活性型BODの製造方法は、BODおよび活性向上剤を含むBOD溶液を、脱酸素雰囲気下において放置する工程を含む方法である。ここで、上記活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)が0.10%以上であり、かつ、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が10.00%以下である物質である。
【0065】
本発明の別の一実施形態に係る高活性型BODの製造方法は、上記構成を有することにより、BODの活性が向上した、高活性型BODを提供できるという利点を有する。高活性型BODとは、当該製造方法を実施する前のBODと比較して、当該製造方法を実施することにより、比活性が上昇したBODである。
【0066】
本発明の別の一実施形態に係る高活性型BODの製造方法を、単に本製造方法、とも称する。
【0067】
本製造方法における、BOD、活性向上剤、および溶媒等の説明は上記〔2.活性向上方法〕の項の説明を援用することができる。また、本製造方法では、上記(2-7)その他の項で説明した任意の物質をさらに使用してもよい。また、本製造方法において、脱酸素雰囲気下を形成するための方法は、上記(2-3)脱酸素雰囲気の項で説明した脱酸素雰囲気を形成するための方法によって達成され得る。
【0068】
本製造方法は、放置する工程の後に、さらに、BOD溶液を凍結乾燥し、固体(粉末)状のBODを得る工程を含んでいてもよい。本製造方法が固体状のBODを得る工程を含む場合には、本製造方法は、高活性型BODを固体として提供できる。
【0069】
本製造方法によって得られた高活性型BODは、上記(2-8)用途の項で説明したように、様々な用途に用いることができる。
【0070】
なお、本発明は、本発明の一実施形態に係る高活性型BODの製造方法により製造されたBOD(高活性型BOD)をも包含するものである。
【0071】
本発明の一実施形態は、以下の様な構成であってもよい。
【0072】
〔1〕ビリルビンオキシダーゼおよび活性向上剤を含むビリルビンオキシダーゼ溶液を、脱酸素雰囲気下において放置することを特徴とする、ビリルビンオキシダーゼの活性向上方法:ここで、上記活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)が0.10%以上であり、かつ、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が10.00%以下である。
【0073】
〔2〕上記ビリルビンオキシダーゼ溶液を、10℃以上の温度環境下にて放置することを特徴とする、〔1〕に記載のビリルビンオキシダーゼの活性向上方法。
【0074】
〔3〕容器内にビリルビンオキシダーゼおよび活性向上剤が含まれ、上記容器内は脱酸素雰囲気であり、上記活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)が0.10%以上であり、かつ、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が10.00%以下であることを特徴とする、ビリルビンオキシダーゼ製品。
【0075】
〔4〕上記ビリルビンオキシダーゼおよび活性向上剤は溶液状態である、〔3〕に記載のビリルビンオキシダーゼ製品。
【0076】
〔5〕ビリルビンオキシダーゼおよび活性向上剤を含むビリルビンオキシダーゼ溶液を、脱酸素雰囲気下において放置する工程を含むことを特徴とする、高活性型ビリルビンオキシダーゼの製造方法:ここで、上記活性向上剤は、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)が0.10%以上であり、かつ、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)が10.00%以下である。
【実施例】
【0077】
以下、実施例によって本発明の一実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例(試験例)に限定されるものではない。
【0078】
本実施例で使用した本活性向上剤、およびその他の物質(以下、比較物質と称する。)は以下の通りである。なお、グリオキシル酸のみ、水酸化カリウム溶液を用いて、pH7.0に調整し、本実施例にて使用した。
【0079】
(活性向上剤)
・尿酸(和光純薬社製)
・グリオキシル酸(和光純薬社製)
・粉末麦芽エキス(極東製薬工業社製)
・粉末魚エキス(極東製薬工業社製)
・粉末酵母エキス(極東製薬工業社製)
・CSL ソルリス095E(オリエンタル酵母工業社製)(表1、3、7および8、ならびに
図2および3ではCSLと表記)
・ミーストP1G(アサヒグループ食品社製)
・ペプトンA(極東製薬工業社製)
・大豆粉88(昭和産業社製)
・Yeast Extract(日本BD社製)
・パティケース(極東製薬工業社製)
・Hipolypepton(日本製薬社製)
・ペプトン(極東製薬工業社製)
・亜硫酸ナトリウム(和光純薬社製)
・グルタチオン(還元型)(和光純薬社製)
・L-システイン塩酸塩(和光純薬社製)
・N-アセチル-L-システイン(和光純薬社製)
・L-アスコルビン酸(和光純薬社製)
・Trolox(シグマアルドリッチ社製)
(比較物質)
・尿素(和光純薬社製)
・硫酸アンモニウム(ナカライテスク社製)
・ジチオスレイトール(DTT)(和光純薬社製)
・チオグリコール酸アンモニウム(佐々木化学社製)
・システアミン塩酸塩(佐々木化学社製)
・グリセリルモノチオグリコレート(表1、2、7および8、ならびに
図2および3ではGMTと表記)(佐々木化学社製)。
【0080】
(試験例1)本活性向上方法によるBODの活性の向上
BODと、本活性向上剤または比較物質と、を含むBOD溶液を一定期間、脱酸素雰囲気下かつ30℃の温度環境下にて放置した。放置後、BODの活性を測定することにより、本活性向上方法によるBODの活性の向上について評価した。
【0081】
試験例1では、BODとして、ミロセシウム・ベルカリアMT-1由来のBOD遺伝子(GenBankアクセッションナンバー:D12579.1)をアスペルギルス属に導入した後、当該アスペルギルス属で発現させた遺伝子組換えBOD(以下、単にBODとも称する)を、公知の技術を用いて精製した後、使用した。ミロセシウム・ベルカリアMT-1由来のBOD遺伝子は、アスペルギルス属の遺伝子配列に合わせてコドンの最適化を行った後、アスペルギルス属に導入した。また、精製したBODは、当該BODの濃度が1.0mg/mLとなるように50mMグリシン-KOH(pH8.5)緩衝液に溶解し、BOD酵素溶液として使用した。
【0082】
BODの酵素活性は以下のように測定した。50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)1780μLに20mMのABTS基質溶液200μLを加えて混合溶液(1980μL)を作製し、当該混合溶液を37℃で1分間インキュベートした。その後、混合溶液にBODを含む溶液(具体的には後述する評価用BOD溶液)を20μL添加して、得られた混合溶液(2mL)を37℃でインキュベートした。混合溶液のインキュベートとともに、評価用BOD溶液の添加直後(0秒)を含めて20秒間ごとに、当該混合溶液の波長436nmにおける吸光度を測定した。評価用BOD溶液の添加直後の混合溶液の波長436nmにおける吸光度、および評価用BOD溶液の添加から1分間経過後の混合溶液の波長436nmにおける吸光度から、評価用BOD溶液の添加後1分間あたりの、混合溶液の波長436nmにおける吸光度の増加率を算定した。当該増加率から、評価用BOD溶液におけるBODの活性(ユニット)を算出した。本明細書において、1分間あたり1μmolのABTSを酸化する酵素量を1ユニットと定義した。
【0083】
試験例1の具体的な試験方法は以下の通りである。BODを含むBOD酵素溶液に、上述した本活性向上剤のうち1種を添加し、BOD溶液(本発明の一実施形態に係るBOD溶液である)を作製した。また、上記BOD酵素溶液に、上述した比較物質のうち1種を添加し、BOD溶液を作製した。さらに、上記BOD酵素溶液に活性向上剤または比較物質の代わりに蒸留水を添加したBOD溶液を作製し、コントロールのBOD溶液(表1~表3では無添加と表記)とした。各BOD溶液における活性向上剤または比較物質の最終濃度を、「mM」または「百分率(%)」(BOD溶液100mLに対する活性向上剤または比較物質の量(g))として表1に示した。
【0084】
【表1】
その後、これらBOD溶液の各々と脱酸素剤(三菱ガス化学社製アネロパック)とを一つの容器内に封入した後、容器を密閉し、BOD容器を作製した。当該BOD容器を、脱酸素雰囲気下かつ30℃の温度環境下にて、47日間(表2)または14日間(表3)放置した。放置後、BOD容器からBOD溶液を採取し評価用BOD溶液とした。
【0085】
評価用BOD溶液におけるBODの活性(ユニット)を上述する方法で測定した。BODの活性について、放置開始時(0日目)のBODの活性(ユニット)を100%としたときの、所定の日数放置後のBODの活性(ユニット)の相対値を活性(%)として算出した。47日間放置した場合の結果を表2に、14日間放置した場合の結果を表3に、それぞれ示した。
【表2】
【0086】
【表3】
表2および表3から、本活性向上剤を含むBOD溶液を脱酸素雰囲気下にて放置した場合には、放置後のBOD溶液中のBODは、放置前のBOD溶液中のBODと比較して、より高い酵素活性を有していることが分かった。すなわち、本活性向上方法は、BODの活性を向上させることができることが分かった。一方、コントロールについて、放置後のBOD溶液中のBODは、放置前のBOD溶液中のBODと比較して、低い酵素活性を有していることが分かった。また、比較物質を含むBOD溶液を放置した場合には、たとえ脱酸素雰囲気下で放置した場合であっても、放置後、BOD溶液中のBODは、(1)放置前のBOD溶液中のBODよりも低い酵素活性を示し、かつ(2)コントロールとほぼ同じか、コントロールよりも低い酵素活性を示すことが分かった。すなわち、比較物質は、BODの活性を向上させることができないことが分かった。
【0087】
試験例1において、(a)(a-1)BODを含むBOD酵素溶液、および(a-2)本活性向上剤のうち1種、を含むBOD溶液と、(b)脱酸素剤とを一つの容器内に封入した後、容器を密閉して得られたBOD容器は、本発明の一実施形態におけるBOD製品ともいえる。また、本活性向上剤を含むBOD溶液を脱酸素雰囲気下にて放置した後に得られたBODは、放置前のBODと比較して比活性が上昇していることから、高活性型BODともいえる。すなわち試験例1は、本活性向上方法の実施でもあり、本BOD製品の製造ともいえ、本発明の一実施形態に係る高活性型ビリルビンオキシダーゼの製造方法の実施ともいえる。
【0088】
(試験例2)本活性向上方法におけるBOD溶液を放置するときの温度環境の検討
BODと本活性向上剤とを含むBOD溶液を脱酸素雰囲気下にて放置するときの、温度環境を検討した。
【0089】
試験例2の具体的な試験方法は以下の通りである。試験例1と同様の手順によって、活性向上剤を含むBOD溶液を作製した。また、活性向上剤を含まない(無添加の)BOD溶液を作製し、コントロールとした。試験例2では、活性向上剤としてL-アスコルビン酸または尿酸を使用し、BOD溶液における最終濃度は、L-アスコルビン酸を4mM、尿酸を20mMとした。また、試験例2では、BOD酵素溶液におけるBODの濃度は3.0mg/mLとした。
【0090】
上記BOD溶液の各々と脱酸素剤(三菱ガス化学社製アネロパック・ケンキ)とを酸素を透過しない一つの容器(パウチ)内に封入した後、容器を密閉し、BOD容器を作製した。当該BOD容器を、室温(約25℃)にて約2時間放置することにより、容器内を脱酸素雰囲気とした。その後、BOD容器を、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、または50℃に設定した恒温室内に、一定期間放置した。ここで、(a)無添加のBOD溶液については、1日間、3日間、7日間、14日間、または29日間放置し、(b)L-アスコルビン酸を含むBOD溶液については、1日間、3日間、7日間、または14日間放置し、(c)尿酸を含むBOD溶液については、1日間、3日間、8日間、14日間、または28日間放置した。各条件に付き、3つのサンプル(BOD容器)を用意した。放置後、各BOD容器からBOD溶液を採取し、評価用BOD溶液とした。
【0091】
評価用BOD溶液におけるBODの活性(ユニット)を上述する方法で測定した。BODの活性について、放置開始時(0日目)のBODの活性(ユニット)を100%としたときの、所定の日数放置後のBODの活性(ユニット)の相対値を活性(%)として算出した。3つのサンプルの平均値を表4~6に示した。表4にはコントロールの結果を、表5には活性向上剤としてL-アスコルビン酸を用いた場合の結果を、表6には活性向上剤として尿酸を用いた場合の結果を、それぞれ示した。また、3つのサンプルの平均値および標準誤差を
図1に示した。
【表4】
【表5】
【0092】
【表6】
図1は、本発明の一実施形態に係る活性向上剤を無添加のBOD溶液、または本発明の一実施形態に係る活性向上剤を含むBOD溶液を、特定の温度環境下に一定期間放置した場合の、BODの活性の変化を示すグラフである。
図1の(a)は、本活性向上剤を無添加のBOD溶液の結果を示しており、表4をグラフとして示している。
図1の(b)は、本活性向上剤としてL-アスコルビン酸を含むBOD溶液の結果を示しており、表5をグラフとして示している。
図1の(c)は、本活性向上剤として尿酸を含むBOD溶液の結果を示しており、表6をグラフとして示している。表4~6、および
図1より、コントロールでは、いずれの条件においても、BOD容器の放置により、BODの活性は減少し、BODの活性の向上は認められなかった。一方、本活性向上剤を用いた場合には、多くの条件において、放置前のBODの活性と比較して、BOD容器の放置により、BODの活性の向上が認められた。
【0093】
L-アスコルビン酸を用いた場合について具体的に説明する。この場合、40℃以上の温度環境下にBOD容器を放置した場合1日後に、30℃の温度環境下にBOD容器を放置した場合3日後に、および20℃の温度環境下にBOD容器を放置した場合7日後に、それぞれ、放置前のBODの活性と比較して、BODの活性は約2倍以上向上した。
【0094】
尿酸を用いた場合について具体的に説明する。この場合、40℃以上の温度環境下にBOD容器を放置した場合1日後に、放置前のBODの活性と比較してBODの活性は約1.8または約2倍向上した。また、30℃の温度環境下にBOD容器を放置した場合3日後に、および20℃の温度環境下にBOD容器を放置した場合8日後に、それぞれ、放置前のBODの活性と比較して、BODの活性は約1.8倍向上した。
【0095】
L-アスコルビン酸を用いた場合、および尿酸を用いた場合、どちらの場合においても、5℃の温度環境下にBOD容器を放置した場合には、10℃以上の温度環境下にBOD容器を放置した場合に達成されるほどのBODの活性の向上は認められなかった。
【0096】
以上の結果より、本活性向上方法において、BOD溶液を、10℃以上の温度環境下で放置することが好ましく、BOD溶液をより高い温度環境下で放置する場合には、BODの活性を短期間で向上させることができることが示唆された。
【0097】
試験例1と同様に、試験例2もまた、本活性向上方法の実施でもあり、本BOD製品の製造ともいえ、本発明の一実施形態に係る高活性型ビリルビンオキシダーゼの製造方法の実施ともいえる。
【0098】
(試験例3)活性向上剤のABTS初発吸光度(A436)減少率の評価
試験例1で用いた本活性向上剤および比較物質について、ABTS初発吸光度(A436)減少率(%)を評価した。
【0099】
具体的な評価方法は、以下の通りである。ABTSとしてはロシュ・ダイアグノティックス社製ABTSを用いた。ABTSの濃度が20mMとなるように、ABTSを50mMグリシン-KOH緩衝液(pH8.5)に溶解し、ABTS溶液を調製した。ABTS溶液の波長436nmにおける吸光度(ABTS初発吸光度(A436))を、分子吸光度計SpectraMax Plus384(日本モレキュラーデバイス社製)を用いて、光路長1.0cmにて測定したところ、吸光度は約1.3であった。次に、活性向上剤溶液または比較物質溶液5μLを、ABTS溶液195μLに対して添加し、ABTS評価用反応溶液(以下、「反応溶液A」とも称する)を作製した。ここで、反応溶液A中の各活性向上剤または比較物質の量は、(a)活性向上剤もしくは比較物質が単一の化合物からなるような、活性向上剤もしくは比較物質の分子量が明らかである場合、反応溶液A中、活性向上剤もしくは比較物質が1mMとなる量とし、(b)活性向上剤もしくは比較物質が、分子量が不明の組成物からなるような物質である場合、反応溶液A100mL中、活性向上剤もしくは比較物質由来の窒素元素量が0.011gとなる量とした。反応溶液Aにおける活性向上剤または比較物質の最終濃度を、(a)分子量が明らかである活性向上剤または比較物質については「mM」で、(b)分子量が不明である活性向上剤または比較物質については「百分率(%)」(反応溶液A100mLに対する活性向上剤または比較物質の量(g))で、表7に示した。
【0100】
続いて、反応溶液A作製直後、すなわちABTS溶液に対して活性向上剤溶液または比較物質溶液の添加直後に、反応溶液Aを25℃で1分間反応させた。その後直ちに、反応溶液Aの波長436nmにおける吸光度を、ABTS溶液の吸光度測定に使用した際と同型の分子吸光度計を用いて測定した。また、活性向上剤溶液または比較物質溶液の代わりに蒸留水5μLを、ABTS溶液195μLに対して添加し、活性向上剤または比較物質を含まない反応溶液Aを作製し、コントロール(表2および
図2では無添加と表記)とした。コントロールについても、反応溶液Aを25℃で1分間反応させた後、反応溶液Aの波長436nmにおける吸光度を、上記分子吸光度計を用いて測定した。以上のようにして得られた、ABTS初発吸光度(A
436)と、反応溶液Aの波長436nmにおける吸光度とを比較した。ABTS初発吸光度(A
436)(100%)に対する、反応溶液Aの活性向上剤または比較物質を添加後の1分間当たりの吸光度減少率(%)を算定し、ABTS初発吸光度(A
436)減少率(%)とした。結果を表7および
図2に示した。
【0101】
【表7】
表7は、ABTS溶液の波長436nmにおける吸光度(ABTS初発吸光度(A
436))に対する、本発明の一実施形態に係る活性向上剤または比較物質を添加後の反応溶液Aの波長436nmにおける吸光度の1分間当たりの減少率(ABTS初発吸光度(A
436)減少率(%))を示している。
図2は、本発明の一実施形態に係る活性向上剤または比較物質によるABTS初発吸光度(A
436)減少率(%)、を示す図であり、具体的には、表7の結果をグラフとして示している。
【0102】
図2において、無添加の反応溶液A、および尿素または硫酸アンモニウムを含む反応溶液Aでは、ABTS初発吸光度が変化しないことが分かった。一方、本活性向上剤を含む反応溶液Aは、ABTS初発吸光度減少率が0.10%以上であることが分かった。
【0103】
(試験例4)活性向上剤のDMBQ初発吸光度(A256)減少率の評価
試験例1で用いた本活性向上剤および比較物質について、DMBQ初発吸光度(A256)減少率(%)を評価した。試験例4で用いた活性向上剤および比較物質は、後述する表8に記載の各物質である。
【0104】
具体的な評価方法は、以下の通りである。DMBQとしては東京化成工業社製DMBQを用いた。まず、1mMのDMBQ溶液を作製した。1mMのDMBQ溶液の波長256nmにおける吸光度(A
256)を、紫外可視分光光度計UV-160A(島津製作所社製)を用いて、光路長1.0cmにて測定したところ、吸光度は約1.8であった。次に、蒸留水890μLに、(a)1mMのDMBQ溶液を100μL、および、(b)活性向上剤溶液または比較物質溶液を10μL、添加し、DMBQ評価用反応溶液(以下、反応溶液Dとも称する)を作製した。ここで、反応溶液D中の各活性向上剤または比較物質の量は、(a)活性向上剤もしくは比較物質が単一の化合物からなるような、活性向上剤もしくは比較物質の分子量が明らかである場合、反応溶液D中、活性向上剤もしくは比較物質が0.1mMとなる量とし、(b)活性向上剤もしくは比較物質が、分子量が不明の組成物からなるような物質である場合、反応溶液D100mL中、活性向上剤もしくは比較物質由来の窒素元素量が0.0011gとなる量とした。反応溶液Dにおける活性向上剤または比較物質の最終濃度を、(a)分子量が明らかである活性向上剤または比較物質については「mM」で、(b)分子量が不明である活性向上剤または比較物質については「百分率(%)」(反応溶液D100mLに対する活性向上剤または比較物質の量(g))で、表8に示した。また、活性向上剤溶液または比較物質溶液の代わりに、蒸留水を10μL用いた反応溶液Dを作製し、コントロール(
図3では無添加と表記)とした。
【0105】
【表8】
反応溶液Dの波長256nmにおける吸光度を、(a)反応溶液Dの作製直後(すなわち、試験開始直後であり、
図3の(a)では0分と表記)、および(b)反応溶液Dを25℃に放置した後10秒経過ごと、に紫外可視分光光度計UV-160Aを用いて、測定した。ここで、作製直後の反応溶液Dの波長256nmにおける吸光度をDMBQ初発吸光度(A
256)とした。測定結果から、DMBQ初発吸光度(A
256)(100%)に対する、反応溶液Dの活性向上剤または比較物質を添加後(試験開始後)の1分間当たりの吸光度減少率(%)を算定し、DMBQ初発吸光度(A
256)減少率(%)とした。結果を
図3に示した。
【0106】
図3は、本発明の一実施形態に係る活性向上剤または比較物質によるDMBQ初発吸光度(A
256)減少率(%)、を示す図である。具体的には、
図3の(a)は、反応溶液Dの波長256nmにおける吸光度について、試験開始直後(0分)の吸光度を100%とした場合の、本発明の一実施形態に係る活性向上剤または比較物質の添加後(試験開始後)の吸光度の相対的減少率(%)、を示す図である。
図3の(b)は、反応溶液Dの波長256nmにおける吸光度について、試験開始直後(0分)の吸光度に対する、本発明の一実施形態に係る活性向上剤または比較物質の添加後(試験開始後)の1分間当たりの吸光度減少率(%)(DMBQ初発吸光度(A
256)減少率(%))、を示す図である。
【0107】
なお、試験例4で用いた粉末麦芽エキス、粉末魚エキス、粉末酵母エキス、CSL、ミーストP1G、ペプトンA、大豆粉88、Yeast Extract、パティケース、Hipolypeptonおよびペプトンは、(1)反応溶液Dの波長256nmにおける吸光度の相対的減少率(%)(
図3(a))が100%から変化せず、かつ(2)DMBQ初発吸光度(A
256)減少率(%)が0.00%(すなわち検出限界以下)であり、
図3には図示していない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の一実施形態によれば、BODの活性を向上させることができる。従って、本発明は、染毛の分野、臨床検査の分野、化粧品の分野、酵素燃料電池(例えば、酵素バイオ電池、酵素電池、等)分野、および食品加工分野等BODを利用する広範な分野において好適に利用することができる。