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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】圧縮成形装置及び圧縮成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/58 20060101AFI20240522BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20240522BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20240522BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B29C43/58
B29C43/18
B29C43/34
H01L21/56 R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021104899
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003677
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-024140(JP,A)
【文献】特開2014-222711(JP,A)
【文献】特開2019-145548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/58
B29C 43/18
B29C 43/34
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型もしくは下型の一方に三組のキャビティが設けられ、他方に対応する三組のワーク保持部が設けられた封止金型を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂により封止する圧縮成形装置であって、
前記ワークを準備する準備部と、
前記準備部から前記ワークを搬送する搬送部と、
前記準備部における前記ワークの有無を検知する検知部と、
前記検知部による検知データに基づいて、前記封止金型内に搬送する前記ワークの個数を算定する演算部と、
前記演算部による個数データに基づいて、前記ワーク保持部を選択し、前記搬送部によって前記ワークを搬送して該ワーク保持部に保持させる制御を行う制御部と、を備えること
を特徴とする圧縮成形装置。
【請求項2】
前記制御部は、平面視の前記封止金型におけるキャビティを並べた方向に交差する中心線に対して線対象の配置となる前記ワーク保持部を選択する制御を行うこと
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項3】
前記樹脂を供給するディスペンサをさらに備え、
前記制御部は、選択した前記ワーク保持部に対応する前記キャビティ内に、前記ワークと別に、もしくは、前記ワークと共に、前記ディスペンサから供給された前記樹脂を搬送する制御を行うこと
を特徴とする請求項1または請求項2記載の圧縮成形装置。
【請求項4】
前記搬送部は、一個から三個までの前記ワークを並べて保持可能なローダを有し、
前記制御部は、前記個数データに基づいて、前記ローダにおける保持位置を選択して前記ワークを該ローダに保持させる制御を行うこと
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項5】
前記準備部は、一個から三個までの前記ワークを並べて保持可能な保持部を有し、
前記制御部は、前記個数データに基づいて、前記保持部における保持位置を選択して前記ワークを該保持部に保持させる制御を行うこと
を特徴とする請求項4に記載の圧縮成形装置。
【請求項6】
上型もしくは下型の一方に三組のキャビティが設けられ、他方に対応する三組のワーク保持部が設けられた封止金型を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂により封止する圧縮成形方法であって、
封止対象の前記ワークが有る場合に、該ワークを準備部に準備する準備工程と、
前記準備部に準備された前記ワークの有無を検知する検知工程と、
前記検知工程における検知データに基づいて、前記封止金型内に搬送する前記ワークの個数を算定する演算工程と、
前記演算工程における個数データに基づいて、前記ワーク保持部を選択し、前記準備部から前記ワークを搬送して該ワーク保持部に保持させるワーク搬送保持工程と、を備えること
を特徴とする圧縮成形方法。
【請求項7】
前記ワーク搬送保持工程は、平面視の前記封止金型におけるキャビティを並べた方向に交差する中心線に対して線対象の配置となる前記ワーク保持部を選択する工程を有すること
を特徴とする請求項6記載の圧縮成形方法。
【請求項8】
前記封止金型において、前記キャビティ及び対応する前記ワーク保持部が並列して三組設けられており、
前記ワーク搬送保持工程は、
前記個数データとして前記ワークが三個の場合、全ての前記ワーク保持部にそれぞれ前記ワークを保持し、
前記個数データとして前記ワークが二個の場合、両端二箇所の前記ワーク保持部にそれぞれ前記ワークを保持し、
前記個数データとして前記ワークが一個の場合、中央一箇所の前記ワーク保持部に前記ワークを保持する工程を有すること
を特徴とする請求項6または請求項7記載の圧縮成形方法。
【請求項9】
上型及び下型を有する封止金型を着脱可能な金型取付け部が三箇所並設された圧縮成形装置を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂封止する圧縮成形方法であって、
封止対象の前記ワークが三個の場合に、三組の前記封止金型を三箇所の前記金型取付け部に取付けて三個の前記ワークを一括して樹脂封止する工程を備え、
封止対象の前記ワークが二個の場合に、二組の前記封止金型を両端二箇所の前記金型取付け部に取付けて二個の前記ワークを一括して樹脂封止する工程を備え、
封止対象の前記ワークが一個の場合に、一組の前記封止金型を中央一箇所の前記金型取付け部に取付けて一個の前記ワークを樹脂封止する工程を備えること
を特徴とする圧縮成形方法。
【請求項10】
上型チェイス及び下型チェイスを有する封止金型を着脱可能な金型取付け部が三箇所並設された圧縮成形装置を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂封止する圧縮成形方法であって、
封止対象の前記ワークが三個の場合に、三組の前記封止金型を三箇所の前記金型取付け部に取付けて三個の前記ワークを一括して樹脂封止する工程を備え、
封止対象の前記ワークが二個の場合に、二組の前記封止金型を両端二箇所の前記金型取付け部に取付けて二個の前記ワークを一括して樹脂封止する工程を備え、
封止対象の前記ワークが一個の場合に、一組の前記封止金型を中央一箇所の前記金型取付け部に取付けて一個の前記ワークを樹脂封止する工程を備えること
を特徴とする圧縮成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形装置及び圧縮成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂(以下、単に「樹脂」と称する場合がある)により封止して成形品に加工する封止樹脂装置及び封止樹脂方法の例として、トランスファ成形方式や圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
トランスファ成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる二個の封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給するポットを設け、当該各封止領域に対応する位置にワークをそれぞれ配置して、上型と下型とでクランプしポットからキャビティに樹脂を流し込む操作によって樹脂封止する技術である。また、圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である。一例として、上型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、ワーク上の中心位置に一括して樹脂を供給して成形する技術等が知られている。一方、下型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面をフィルムで覆って均等な厚みで樹脂を供給して成形する技術等が知られている(特許文献1:特開2019-145550号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-145550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のトランスファ成形方式においては、一つの封止金型当たりの成形品の取り個数(成形個数)が決まっていた。例えば、一つの封止金型に二個のワークと当該ワーク間にタブレット樹脂を供給して樹脂封止を行い、二個の成形品を成形する構成が通常であった。そのため、供給するワークが規定数(上記の例では、二個)に満たない場合には、代わりにダミーのワーク(以下、「ダミーワーク」と称する場合がある)を供給して、規定数を充足する状態としたうえで樹脂封止を行っていた。これは、仮にワークが片方無い状態で封止金型の型閉じをした場合に、金型型締時の傾斜が起こり隙間から樹脂漏れを起こす成形不良を防止するためである。その一方で、ダミーワークの供給工程を設けなければならないため、作業工数及びタクトタイムが増加し、部品コストも増加する課題があった。更に成形後のダミーワークの排出工程も必要であった。また、圧縮成形方法において、特許文献1に示されるような一つの封止金型に二個のキャビティが設けられる場合、二個のワークを供給して樹脂封止を行い、二個の成形品を成形する構成が考えられる。この場合も二個のワークが金型に供給されないことで金型クランプ時に傾斜による成形不良の発生を防止するためにダミーワークを供給する必要があった。
【0006】
さらに、成形品の成形面積と取り個数(金型の個数)とプレスの型締力の設定に関しても、その選定を柔軟に行うことができない構成となっていた。そのため、例えば大きな型締力が必要なワークに切替える場合等において、プレスの仕様を大掛かりに変更しなければならず、手間も時間もかかってしまうという課題があった。また、生産量の調整を行いたい場合は、時間当たりの装置稼働速度を調整する程度であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、一つの封止金型当たりの成形品の取り個数を変化させることを可能として、ダミーワークを用いない成形を実現することにより、作業工数、タクトタイム、部品コストの増加を抑制することができると共に、装置の仕様を大掛かりに変更することなく、型締力の変更を容易に行うことができる圧縮成形装置及び圧縮成形方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
本発明に係る圧縮成形装置は、上型もしくは下型の一方に三組のキャビティが設けられ、他方に対応する三組のワーク保持部が設けられた封止金型を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂により封止する圧縮成形装置であって、前記ワークを準備する準備部と、前記準備部から前記ワークを搬送する搬送部と、前記準備部における前記ワークの有無を検知する検知部と、前記検知部による検知データに基づいて、前記封止金型内に搬送する前記ワークの個数を算定する演算部と、前記演算部による個数データに基づいて、前記ワーク保持部を選択し、前記搬送部によって前記ワークを搬送して該ワーク保持部に保持させる制御を行う制御部と、を備えることを要件とする。
【0010】
これによれば、一つの封止金型当たりの成形品の取り個数を変化させることが可能となる。したがって、取り個数を一定にするためのダミーワークを用いる必要がなくなるため、作業工数、タクトタイム、部品コストの増加を抑制することができる。さらに、例えば、封止金型における型締力を大きくする変更が必要となる際に、装置仕様の大掛かりな変更を行うことなく、設定成形個数を減らすだけで簡易に変更を行うことができる。
【0011】
また、前記制御部は、平面視の前記封止金型におけるキャビティを並べた方向に交差する中心線に対して線対象の配置となる前記ワーク保持部を選択する制御を行うことが好ましい。これによれば、封止金型における型締力の偏りを防止でき、バランスのとれた成形を行うことができる。したがって、成形不良の発生防止、成形品質の向上を図ることができる。
【0012】
また、前記樹脂を供給するディスペンサをさらに備え、前記制御部は、選択した前記ワーク保持部に対応する前記キャビティ内に、前記ワークと別に、もしくは、前記ワークと共に、前記ディスペンサから供給された前記樹脂を搬送する制御を行うことが好ましい。これによれば、ワークが保持されるワーク保持部に対応するキャビティにのみ、樹脂を供給することができる。
【0013】
また、前記搬送部は、一個から三個までの前記ワークを並べて保持可能なローダを有し、前記制御部は、前記個数データに基づいて、前記ローダにおける保持位置を選択して前記ワークを該ローダに保持させる制御を行うことが好ましい。これによれば、一個から三個までのワークをローダに保持させる際に、ローダにおける適切な位置に保持させることができ、その保持個数のワークWを一括して封止金型内へ搬送し、封止金型における所定位置のワーク保持部に保持させることができる。このように、ローダから金型にワークを一括して受渡すことができるため、ワークを予備加熱する際にも、ワークごとの温度状態のばらつきをなくすことができる。また、ローダから封止金型にワークを受渡す際の受渡し時間を最短にすることができるため、予備加熱されたワークの温度低下を抑えることができると共に、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【0014】
また、前記準備部は、一個から三個までの前記ワークを並べて保持可能な保持部を有し、前記制御部は、前記個数データに基づいて、前記保持部における保持位置を選択して前記ワークを該保持部に保持させる制御を行うことが好ましい。これによれば、一個から三個までのワークを保持部に保持させる際に、保持部における適切な位置に保持させることができ、その保持個数のワークWを一括して搬送部に受渡すことができる。このように、保持部から搬送部にワークを一括して受渡すことができるため、その際の受渡し時間を最短にすることができ、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【0015】
また、本発明に係る圧縮成形方法は、上型もしくは下型の一方に三組のキャビティが設けられ、他方に対応する三組のワーク保持部が設けられた封止金型を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂により封止する圧縮成形方法であって、封止対象の前記ワークが有る場合に、該ワークを準備部に準備する準備工程と、前記準備部に準備された前記ワークの有無を検知する検知工程と、前記検知工程における検知データに基づいて、前記封止金型内に搬送する前記ワークの個数を算定する演算工程と、前記演算工程における個数データに基づいて、前記ワーク保持部を選択し、前記準備部から前記ワークを搬送して該ワーク保持部に保持させるワーク搬送保持工程と、を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一つの封止金型当たりの成形品の取り個数を変化させることを可能として、ダミーワークを用いない成形を実現することにより、作業工数、タクトタイム、部品コストの増加を抑制することができる。また、封止金型における型締力の変更を行う際に、装置仕様の大掛かりな変更を行うことなく、設定成形個数の増減によって簡易に変更を行う方法が実現でき、生産性の増減も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る圧縮成形装置の例を示す平面図である。
図2図1の圧縮成形装置の型開閉機構の例を示す断面図である。
図3図1の圧縮成形装置の封止金型の例を示す断面図である。
図4図1の圧縮成形装置の搬送具の例を示す平面図である。
図5図1の圧縮成形装置の制御部が行う制御の概要を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る圧縮成形装置の動作説明図である。
図7】本発明の実施形態に係る圧縮成形装置の動作説明図である。
図8】本発明の実施形態に係る圧縮成形装置の動作説明図である。
図9】本発明の実施形態に係る圧縮成形方法の変形例の説明図である。
図10】本発明の実施形態に係る圧縮成形方法の他の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る圧縮成形装置1の例を示す平面図(概略図)である。また、図2は、圧縮成形装置1の型開閉機構250の例を示す正面断面図(概略図)であり、図3は、圧縮成形装置1の封止金型202の例を示す側面断面図(概略図)である。尚、説明の便宜上、図中において矢印により圧縮成形装置1における前後、左右、上下の方向を説明する場合がある。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0019】
本実施形態に係る圧縮成形装置1は、上型204及び下型206を備える封止金型202を用いて、ワーク(被成形品)Wの樹脂封止成形を行う装置である。以下、圧縮成形装置1として、下型206に三組のキャビティ208(208A、208B、208C)が設けられ、上型204に対応する三組のワーク保持部205(205A、205B、205C)が設けられた封止金型202を用いて、三個以下のワークWを一括して樹脂Rにより封止する圧縮成形装置を例に挙げて説明する。
【0020】
先ず、成形対象であるワークWは、基材Waに複数の電子部品Wbが行列状に搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、短冊状に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材(いわゆる、短冊ワーク)が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。尚、基材Waの他の例として、円形状、正方形状等に形成された上記部材を用いる構成としてもよい(不図示)。
【0021】
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装等による搭載方法がある。あるいは、樹脂封止後に成形品から基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
【0022】
一方、樹脂Rの例として、顆粒状(円柱状等を含む)、粉砕状、もしくは粉末状(本願において「粒状」と総称する場合がある)の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等)が用いられる。尚、樹脂Rは、上記の状態に限定されるものではなく、液状、板状、シート状等、他の状態(形状)であってもよく、エポキシ系熱硬化性樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0023】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。本実施形態においては、フィルムFとしてロール状のフィルムが用いられる。尚、変形例として、短冊状のフィルム用いる構成としてもよい(不図示)。
【0024】
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1の概要について説明する。図1に示すように、圧縮成形装置1は、ワークWの供給、及び樹脂封止後の成形品Wpの収納を主に行うワーク処理ユニット100A、ワークWを樹脂封止して成形品Wpへの加工を主に行うプレスユニット100B、フィルムF及び樹脂Rの供給、並びに樹脂封止後の使用済みフィルムFdの収納(廃棄)を主に行うディスペンスユニット100Cを主要構成として備えている。
【0025】
本実施形態においては、ワーク処理ユニット100A、プレスユニット100B、及びディスペンスユニット100Cが、左右方向において、右からその順に並設されている。尚、各ユニット間を跨いで任意の数のガイドレール(不図示)が直線状に設けられており、ワークW及び成形品Wpを搬送する第1ローダ210、並びに、フィルムF及び樹脂Rを搬送する第2ローダ212が、任意のガイドレールに沿って所定のユニット間を移動可能に設けられている。
【0026】
尚、圧縮成形装置1は、ユニットの構成を変えることによって、全体の構成態様を変更することができる。例えば、図1に示す構成は、プレスユニット100Bを二台設置した例であるが、プレスユニット100Bを一台のみ設置する、あるいは三台以上設置する構成等も可能である。また、他のユニットを設置する構成等も可能である(いずれも不図示)。
【0027】
(ワーク処理ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるワーク処理ユニット100Aについて詳しく説明する。
【0028】
ワーク処理ユニット100Aは、樹脂封止前のワークWを準備する準備部101、及び樹脂封止後の成形品Wpを収納する収納部109を備えている。
【0029】
一例として、準備部101は、複数のワークWが収納される供給マガジン102、及び、供給マガジン102の後方に配設されて、供給マガジン102から取出されたワークWが保持(載置)される保持部104を備えている。本実施形態においては、公知のプッシャ等(不図示)を用いて、供給マガジン102から中継レール106を経由して保持部104(具体的には、レール104A、104B、104C)にワークWが供給される。
【0030】
同様に、収納部109は、複数の成形品Wpが収納される収納マガジン112、及び、収納マガジン112の後方に配設されて、収納マガジン112へ取込まれる成形品Wpが保持(載置)される保持部110を備えている。本実施形態においては、公知のプッシャ等(不図示)を用いて、保持部110(具体的には、レール110A、110B、110C)から中継レール(不図示)を経由して収納マガジン112へ成形品Wpが取込まれる。
【0031】
尚、準備部101の供給マガジン102、及び収納部109の収納マガジン112には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。
【0032】
次に、ワーク処理ユニット100Aは、準備部101におけるワークWの有無を検知する検知部114を備えている。検知部114は、一例として、保持部104の下に固定された複数個を有する構成としているが、左右方向に移動可能な一個を有する構成としてもよい(不図示)。これにより、保持部104上に(具体的には、各レール104A~104C上に)保持されたワークWの有無を検知することができる。尚、本実施形態においては、レーザー変位計やカメラを備えて、ワークWの厚みを計測する構成として兼用される。
【0033】
次に、ワーク処理ユニット100Aは、検知部114による検知データに基づいて、封止金型202内へ搬送するワークWの個数を算定する演算部132を備えている。これにより、供給マガジン102内のワークWの個数があらかじめ把握できない場合や、保持部104に保持される前に不良等でワークWが排除された場合等においても、樹脂封止工程に供されるワークWの個数を算定することができる。
【0034】
次に、ワーク処理ユニット100Aは、準備部101からワークWを搬送する搬送部を備えている。搬送部は、一例として、ワークWを封止金型202内へ搬送する第1ローダ210と、準備部101における保持部104(レール104A~104C)に保持(載置)されたワークWを保持して第1ローダ210へ搬送する(受渡す)供給ピックアップ120とを備えて構成されている。
【0035】
一例として、第1ローダ210は、ワークWを保持して、封止金型202(ここでは、上型204)のワーク保持部205A、205B、205C(後述)へ搬送するローダ保持部210A、210B、210Cを備えている。さらに、本実施形態に係る第1ローダ210は、樹脂封止された成形品Wpを保持して、封止金型202から収納ピックアップ122(後述)へ搬送するローダ保持部210D、210E、210Fを備えている。
【0036】
次に、ワーク処理ユニット100Aは、供給ピックアップ120もしくは第1ローダ210によって搬送されるワークWを下面側(基材Wa側)から加熱するワークヒータ116を備えている。一例として、ワークヒータ116には、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が用いられる。これにより、ワークWが封止金型202内に搬入されて加熱される前に予備加熱をしておくことができる。尚、ワークヒータ116を備えない構成としてもよい。
【0037】
次に、ワーク処理ユニット100Aは、第1ローダ210のローダ保持部210D~210Fに保持(載置)された成形品Wpを保持して保持部110へ搬送する(受渡す)収納ピックアップ122を備えている。
【0038】
尚、供給ピックアップ120におけるワークWの保持機構、第1ローダ210におけるワークW及び成形品Wpの保持機構、並びに、収納ピックアップ122における成形品Wpの保持機構には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0039】
次に、ワーク処理ユニット100Aは、演算部132による個数データに基づいて、封止金型202(本実施形態においては、上型204)における適切なワーク保持部205A、205B、205Cを選択し、搬送部(供給ピックアップ120及び第1ローダ210)によってワークWを搬送して当該ワーク保持部205に保持させる制御を行う制御部130を備えている。
【0040】
当該制御の具体例として、制御部130は、個数データとしてワークWが三個の場合、全てのワーク保持部205A、205B、205Cを選択して、当該ワーク保持部にそれぞれワークWを保持させる制御を行う。また、個数データとしてワークWが二個の場合、両端二箇所のワーク保持部205A、205Cを選択して、当該ワーク保持部にそれぞれワークWを保持させる制御を行う。また、個数データとしてワークWが一個の場合、中央一箇所のワーク保持部205Bを選択して、当該ワーク保持部にワークWを保持させる制御を行う。供給する樹脂もワーク位置に合わせて選択供給(後述)されて成形が行われる。換言すれば、制御部130は、個数データに応じて、一個から三個のワークWをワーク保持部205A、205B、205Cに対して選択的に保持できるように、保持させるワーク保持部205A、205B、205Cに対応するローダ保持部210A、210B、210CにワークWを保持させる制御を行うことになる。
【0041】
これによれば、一つの封止金型202当たりの成形品Wpの取り個数を変化させることが可能となる。したがって、取り個数を一定にするためのダミーワークを用いる必要がなくなるため、作業工数、タクトタイム、部品コストの増加を抑制することが可能となる。また、上記のように保持位置を選択することで、型締力の偏りを防止でき、バランスのとれた成形を行うことができる。したがって、成形不良の発生防止、成形品質の向上を図ることができる。
【0042】
以上の点を踏まえて、好適な装置構成について説明する。先ず、第1ローダ210は、一個から三個までのワークWを短手方向で左右方向に並べて載置可能なように、三列のローダ保持部210A、210B、210Cを有する構成が好適である。これにより、第1ローダ210(すなわち、ローダ保持部210A~210C)に、一個から三個までのワークWを保持(載置)させることができ、その保持個数のワークWを一括して封止金型202内へ搬送し、封止金型202(本実施形態においては、上型204)における所定位置のワーク保持部205A~205Cに保持させることができるからである。具体的に、制御部130はワークWが二個の場合は両端二箇所、一個の場合は中央一箇所を選択して保持させる。ただし、第1ローダ210の変形例として、一列のローダ保持部を備えて、ワークWを一個ずつ順番に(最大で三回)封止金型202内へ搬送し、所定位置のワーク保持部205A~205Cに保持させる構成としてもよい(不図示)。
【0043】
同様に、供給ピックアップ120は、一個から三個までのワークWを短手方向で左右方向に並べて載置可能なように、三列の中継保持部120A、120B、120Cを有する構成が好適である。これにより、供給ピックアップ120(すなわち、中継保持部120A~120Cに、一個から三個までのワークWを保持(載置)させることができ、その保持個数のワークWを一括して第1ローダ210へ搬送し(受渡し)、所定位置のローダ保持部210A~210Cに保持させることができるからである。具体的に、制御部130はワークWが二個の場合は両端二箇所、一個の場合は中央一箇所を選択して保持させる。ただし、供給ピックアップ120の変形例として、一列の中継保持部を備えて、ワークWを一個ずつ順番に(最大で三回)第1ローダ210へ搬送し(受渡し)、所定位置のローダ保持部210A~210Cに保持させる構成としてもよい(不図示)。
【0044】
同様に、保持部104は、一個から三個までのワークWを短手方向で左右方向に並べて載置可能なように、前述した三列のレール(テーブル等でもよい)104A、104B、104Cを有する構成が好適である。これにより、保持部104(すなわち、レール104A~104C)に、一個から三個までのワークWを保持(載置)させることができ、その保持個数のワークWを一括して供給ピックアップ120に受渡し、所定位置の中継保持部120A~120Cに保持させることができるからである。具体的に、制御部130はワークWが二個の場合は両端二箇所、一個の場合は中央一箇所を選択して保持させる。ただし、保持部104の変形例として、一列のレールを備えて、ワークWを一個ずつ順番に(最大で三回)供給ピックアップ120に受渡し、所定位置の中継保持部120A~120Cに保持させる構成としてもよい(不図示)。
【0045】
同様に、第1ローダ210は、一個から三個までの成形品Wpを短手方向で左右方向に並べて載置可能なように、三列のローダ保持部210D、210E、210Fを有する構成が好適である。これにより、第1ローダ210(すなわち、ローダ保持部210D~210F)に、一個から三個までの成形品Wpを保持(載置)させることができ、その保持個数の成形品Wpを一括して封止金型202から取出して、収納ピックアップ122へ搬送する(受渡す)ことができるからである。具体的に、制御部130はワークWが二個(よって、成形品Wpが二個)の場合は両端二箇所、一個の場合は中央一箇所を選択して保持させる。ただし、第1ローダ210の変形例として、一列のローダ保持部を備えて、成形品Wpを一個ずつ順番に(最大で三回)封止金型202から取出し、収納ピックアップ122における所定位置の中継保持部122A~122Cに保持させる構成としてもよい(不図示)。
【0046】
同様に、収納ピックアップ122は、一個から三個までの成形品Wpを短手方向で左右方向に並べて載置可能なように、三列の中継保持部122A、122B、122Cを有する構成が好適である。これにより、収納ピックアップ122(すなわち、中継保持部122A~122Cに、一個から三個までの成形品Wpを保持(載置)させることができ、その保持個数の成形品Wpを一括して保持部110へ搬送し(受渡し)、保持部110における所定位置のレール110A~110Cに保持させることができるからである。具体的に、制御部130はワークWが二個(よって、成形品Wpが二個)の場合は両端二箇所、一個の場合は中央一箇所を選択して保持させる。ただし、収納ピックアップ122の変形例として、一列の中継保持部を備えて、成形品Wpを一個ずつ順番に(最大で三回)保持部110へ搬送し(受渡し)、所定位置のレール110A~110Cに保持させる構成としてもよい(不図示)。
【0047】
同様に、保持部110は、一個から三個までのワークWを短手方向で左右方向に並べて載置可能なように、前述した三列のレール(テーブル等でもよい)110A、110B、110Cを有する構成が好適である。これにより、保持部110(すなわち、レール110A~110C)に、一個から三個までの成形品Wpを保持(載置)させることができ、その保持個数のワークWを一括して収納ピックアップ122から受取ることができるからである。具体的に、制御部130はワークWが二個(よって、成形品Wpが二個)の場合は両端二箇所、一個の場合は中央一箇所を選択して保持させる。ただし、保持部110の変形例として、一列のレールを備えて、成形品Wpを一個ずつ順番に(最大で三回)収納ピックアップ122から受取る構成としてもよい(不図示)。
【0048】
(プレスユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるプレスユニット100Bについて詳しく説明する。
【0049】
プレスユニット100Bは、開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有する封止金型202を備えている。本実施形態においては、一対の金型のうち、鉛直方向において上方側の一方の金型を上型204とし、下方側の他方の金型を下型206としている。この封止金型202は、上型204と下型206とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きがなされる。すなわち、鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる。
【0050】
封止金型202は、公知の型開閉機構250によって型開閉が行われる。一例として図2に示すように、型開閉機構250は、一対のプラテン252、254と、一対のプラテン252、254が架設される複数の連結機構256と、プラテン254を可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)260及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)262等を備えて構成されている。尚、封止金型202の型締力すなわち型閉じを行う力(上型204と下型206とでワークWをクランプする力)は、上型204において上プレート224とプラテン252との間に設けられる付勢部材264の付勢力、及び、下型206において下プレート222とクランパ228との間に設けられる付勢部材232の付勢力によって設定される(ただし、クランプするワークWの個数や樹脂Rの量等によって、変動が生じる)。
【0051】
ここで、封止金型202は、当該型開閉機構250における一対のプラテン252、254間に配設されている。本実施形態においては、上型204が固定プラテン(連結機構256に固定されるプラテン)252に組み付けられ、下型206が可動プラテン(連結機構256に沿って昇降するプラテン)254に組み付けられている。ただし、この構成に限定されるものではなく、上型204を可動プラテンに組み付け、下型206を固定プラテンに組み付けてもよく、あるいは、上型204、下型206共に可動プラテンに組み付けてもよい。
【0052】
次に、封止金型202の下型206について詳しく説明する。図3に示すように、下型206は、下プレート222、キャビティ駒226、クランパ228等を備え、これらが組み付けられて構成されている。本実施形態においては、下型206の上面(上型204側の面)にキャビティ208が設けられている。
【0053】
より具体的に、キャビティ駒226は、下プレート222の上面に対して固定して組み付けられる。一方、クランパ228は、キャビティ駒226を囲うように環状に構成されると共に、付勢部材232を介して、下プレート222の上面に対して離間(フローティング)して上下動可能に組み付けられる。このキャビティ駒226がキャビティ208の奥部(底部)を構成し、クランパ228がキャビティ208の側部を構成する。ここで、本実施形態においては、図1に示すように、一つの下型206にキャビティ208が左右方向に三組並設されて(図中の208A、208B、208C)、三個以下のワークWを一括して樹脂封止する構成となっている。
【0054】
ここで、クランパ228に対向する上型204の金型面204aには吸引溝(不図示)が設けられ、これが吸引装置(不図示)に連通している。また、これらを囲うシール構造が設けられることで、吸引装置を駆動させて減圧することにより、型閉じされた状態でキャビティ208内の脱気を行うことが可能となる。
【0055】
また、本実施形態においては、後述のディスペンスユニット100Cから供給されるフィルムF(本実施形態においては、樹脂Rが搭載された状態)を下型206に吸引保持する吸着機構が設けられている。この吸着機構は、一例として、クランパ228を貫通して配設され、吸引装置(不図示)に連通する吸引路230a、230b、及び、下プレート222、キャビティ駒226を貫通して配設され、吸引装置(不図示)に連通する吸引路230cを有している。具体的には、吸引路230a、230b、230cの一端が下型206の金型面206aに通じ、他端が下型206外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路230a、230b、230cからフィルムFを吸引し、キャビティ208の内面を含む金型面206aにフィルムFを吸着させて保持することが可能となる。
【0056】
このように、キャビティ208の内面、及び下型206の金型面206a(一部)を覆うフィルムFを設けることにより、成形品Wpの下面における樹脂Rの部分を容易に剥離させることができるため、成形品Wpを封止金型202(下型206)から容易に取り出すことが可能となる。
【0057】
尚、クランパ228の内周面とキャビティ駒226の外周面との間に設けられる所定寸法の隙間は、上記の吸引路230aの一部を構成する。そのため、当該隙間の所定位置にシール部材234(例えば、Oリング)が配設されて、フィルムFを吸引する際のシール作用をなす。
【0058】
また、本実施形態においては、下型206を所定温度に加熱する下型加熱機構が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等(いずれも不図示)を備えており、制御部130によって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、下プレート222やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に下型206全体及び樹脂Rに熱を加える構成となっている(後述)。これにより、下型206が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0059】
次に、封止金型202の上型204について詳しく説明する。図3に示すように、上型204は、上プレート224、キャビティプレート236等を備え、これらが組み付けられて構成されている。ここで、キャビティプレート236は、上プレート224の下面(下型206側の面)に対して固定して組み付けられている。
【0060】
また、本実施形態においては、ワークWをキャビティプレート236の下面における所定位置に保持するワーク保持部205が設けられている。このワーク保持部205は、一例として、キャビティプレート236及び上プレート224を貫通して配設され、吸引装置(不図示)に連通する吸引路240aを有している。具体的には、吸引路240aの一端が上型204の金型面204aに通じ、他端が上型204外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路240aからワークWを吸引し、金型面204a(ここでは、キャビティプレート236の下面)にワークWを吸着させて保持することが可能となる。さらに、吸引路240aを備える構成と並設して、ワークWの外周を挟持する保持爪を備える構成としてもよい(不図示)。
【0061】
また、本実施形態においては、上型204を所定温度に加熱する上型加熱機構が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等(いずれも不図示)を備えており、制御部130によって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、上プレート224やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に上型204全体及びワークWに熱を加える構成となっている。これにより、上型204が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0062】
ここで、本実施形態においては、前述の下型206の構成、すなわちキャビティ208が左右方向に三組並設される構成(図中の208A、208B、208C)に対応して、一つの上型204にワーク保持部205が左右方向に三組並設される構成(図中の205A、205B、205C)となっている。このワーク保持部205は、一例として、キャビティプレート236及び上プレート224を貫通して配設された吸引路240aを介して吸引装置(不図示)に連通が左右方向に三組並設されて、三個以下のワークWを一括して樹脂封止する構成となっている。なお、上記構成に限定されるものではなく、キャビティが前後方向に三組並設され、対応するワーク保持部も前後方向に三組並設される構成としてもよい(不図示)。
【0063】
ここで、型締時の一個の封止金型202の型締力を考えると、上型204の上プレート224とプラテン252との間に設けられる付勢部材264の付勢力は、ワークWの平面面積と単位面積当たりの所定の樹脂圧とワークWを挟んだときのクランパ228と下型206の下プレート222との間に設けられる付勢部材232の付勢力の合計より導き出される。封止金型202における型締力すなわち型閉じを行う力は、プラテン254を可動(昇降)させる駆動源260や駆動伝達機構262によって加えられ、上型204の上プレート224とプラテン252との間に設けられる付勢部材264の付勢力であり、各封止金型202の個数合計がプレスにおける型締めに必要な最低限の型締力となる。
【0064】
そのため、従来は、成形する対象が変わり、必要な型締力の設定変更が必要となった場合に、駆動源260や駆動伝達機構262等を交換することによって設定変更を行っていた。この作業はきわめて大掛かりで、装置そのものを交換する必要が生じる等、手間と時間がかかってしまうという課題があった。
【0065】
これに対して、本実施形態においては、一つの封止金型202当たりの成形品Wpの取り個数を変化させることが可能となる。したがって、例えば、封止金型202における成形品Wpの品種が変わり成形面積(投影面積)を大きくする変更が必要な品種の場合、設定成形個数を減らすこと(一例として三個を二個又は一個にすること)によって当該変更を行うことができる。このように、封止金型202におけるプレスの型締力の変更を行う際に、装置仕様の大掛かりな変更を行うことなく、設定成形個数(金型個数)の増減によって簡易に変更を行う方法を実現し得る。
【0066】
(ディスペンスユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるディスペンスユニット100Cについて詳しく説明する。
【0067】
ディスペンスユニット100Cは、フィルムFを供給するフィルム供給機構306と、樹脂Rを供給するディスペンサ312とを備えている。ここで、本実施形態においては、フィルムF及び樹脂Rを封止金型202へ搬送する際に、これらを保持して搬送するための治具として搬送具400(後述)が用いられる。
【0068】
一例として、フィルム供給機構306は、巻出し・巻取り機構を有する三つのフィルムロール306A、306B、306Cと、長尺状のフィルムFを切断する切断機構(例えば、公知の固定刃カッター、熱溶融カッター等)とを備えて構成されている。これにより、所定長さの短冊状の枚葉フィルムFを供給することができる。
【0069】
また、ディスペンスユニット100Cは、当該ユニット内において搬送具400(及び、フィルムF、樹脂R)を搬送する搬送具ピックアップ304と、搬送具ピックアップ304から受渡された搬送具400(及び、フィルムF、樹脂R)を封止金型202内へ搬送すると共に、使用済みフィルムFdを封止金型202内から搬送する第2ローダ212とを備えている。
【0070】
一例として、第2ローダ212は、搬送具400を保持して封止金型202内へ搬送し、当該搬送具400に保持されたフィルムF(樹脂Rが載置された状態)を下型206のキャビティ208内(一部、金型面206aを含む)に保持させる搬送具保持部213を備えている。さらに、本実施形態に係る第2ローダ212は、使用済みフィルムFdを保持して、封止金型202内からディスポーザ316へ搬送して廃棄する使用済みフィルム保持部212A~212Cを備えている。尚、搬送具ピックアップ304及び第2ローダ212における搬送具400の保持機構には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。また、第2ローダ212における使用済みフィルムFdの保持機構には、公知の保持機構(例えば、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0071】
また、ディスペンスユニット100Cは、搬送具ピックアップ304によって搬送される搬送具400に保持されたフィルムF上の樹脂Rを加熱する樹脂ヒータ314を備えている。一例として、樹脂ヒータ314には、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が用いられる。これにより、搬送具400に保持されたフィルムF上に載置された粒状の樹脂Rの表面を加熱して溶融もしくは軟化状態とすることができ、搬送中の塵埃(樹脂の微細粉末等)の発生を防止して、製品の成形不良や、装置の動作不良の発生を防止することができる。尚、樹脂ヒータ314を備えない構成としてもよい。
【0072】
次に、本実施形態においてフィルムF及び樹脂Rの搬送に用いられる搬送具400の構成について説明する。図4に示すように、搬送具400は、上面と下面とが平行となる平面に形成された所定厚さの平板状の形状を有すると共に、中央部分にフィルムFを保持する三組のフィルム保持部400A、400B、400Cを有している。また、各フィルム保持部400A、400B、400Cには、各フィルムFに対応する位置(各フィルムFを保持する位置)において、各フィルムFが上面から見て露出するように貫通孔に形成された三組の樹脂投入孔400a、400b、400cを有している。この樹脂投入孔400a、400b、400cは、キャビティ208A、208B、208Cの位置にそれぞれ対応して形成されている。
【0073】
この構成によれば、搬送具400(すなわち、フィルム保持部400A~400Cに保持されるフィルムF上)に、一セット(一群)から三セット(三群)までの樹脂Rを保持(載置)させることができ、その保持セット数の樹脂Rを一括して封止金型202内へ搬送し、封止金型202(本実施形態においては、下型206)における所定位置のキャビティ208A~208C内にフィルムFを介して保持(載置)させることができる。ただし、変形例として、一組のフィルム保持部及び樹脂投入孔を備えて、フィルムF及び樹脂Rを一セットずつ順番に(最大で三セット)封止金型202内へ搬送し、所定位置のキャビティ208A~208C内に保持させる構成としてもよい(不図示)。
【0074】
尚、本実施形態に係る搬送具400には、樹脂投入孔400a~400cの周囲には、吸引力を発生させてフィルムFを保持する複数の吸引孔400dが設けられている。これと共に、搬送具ピックアップ304や第2ローダ212には、当該吸引孔400dと連通して吸引力を作用させる機構(不図示)が設けられている。このような機構によって、搬送具400の下面に二つのフィルムF(樹脂Rを載置させた状態)を左右方向に三組並べて吸着保持させた状態で、当該搬送具400を搬送することが可能となる。
【0075】
ここで、本実施形態に係るディスペンサ312は、搬送具400における三組の樹脂投入孔400a、400b、400cにそれぞれ樹脂Rを投下(供給)する三つのノズル312a、312b、312cを有している。これにより、同時にそれぞれの樹脂投入孔400a、400b、400cに樹脂Rを投下して各フィルムF上に敷き詰めることが可能となる。尚、変形例として、一つのノズルを有して、所定の一経路で三つのフィルムF上に順番に樹脂Rを投下して敷き詰める構成としてもよい(不図示)。
【0076】
また、本実施形態に係る制御部130は、ワークWの個数データに応じて選択するワーク保持部205A~205Cに対応するキャビティ208A~208C内に、ディスペンサ312から供給された樹脂RをフィルムFと共に搬送する制御を行う。
【0077】
当該制御の具体例として、制御部130は、個数データとしてワークWが三個の場合、全てのワーク保持部205A、205B、205Cを選択して、当該ワーク保持部にそれぞれワークWを保持させる制御を行うと共に、全てのキャビティ208A、208B、208Cを選択して、当該キャビティ内にそれぞれフィルムFを介して樹脂Rを保持(載置)させる制御を行う。また、個数データとして前記ワークが二個の場合、両端二箇所のワーク保持部205A、205Cを選択して、当該ワーク保持部にそれぞれワークWを保持させる制御を行うと共に、両端二箇所のキャビティ208A、208Cを選択して、当該キャビティ内にそれぞれフィルムFを介して樹脂Rを保持(載置)させる制御を行う。また、個数データとして前記ワークが一個の場合、中央一箇所のワーク保持部205Bを選択して、当該ワーク保持部にワークWを保持させる制御を行うと共に、中央一箇所のキャビティ208Bを選択して、当該キャビティ内にフィルムFを介して樹脂Rを保持(載置)させる制御を行う。
【0078】
(樹脂封止動作)
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1を用いて樹脂封止を行う動作(すなわち、本実施形態に係る圧縮成形方法)について説明する。ここで、図5に制御部130による制御例のフローチャートを示す。
【0079】
最初に、ワーク処理ユニット100A及びプレスユニット100B側で実施する工程について説明する。
【0080】
先ず、封止対象のワークWが有る場合に、当該ワークを準備部101に準備する準備工程を実施する。例えば、供給マガジン102内に封止対象のワークWが有る場合に、当該ワークを保持部104(具体的には、レール104A~104C)上に保持(載置)する工程として実施する。
【0081】
尚、準備工程と前後して、金型加熱工程を実施する。具体的には、上型加熱機構によって、上型204を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(上型加熱工程)を実施する。また、下型加熱機構によって、下型206を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(下型加熱工程)を実施する。
【0082】
次いで、検知部114によって、保持部104に準備されたワークWの有無を検知する検知工程を実施する。本実施形態においては、保持部104(具体的には、レール104A~104C)上に保持(載置)された状態でワークWの有無を検知しているが、これに限定されるものではない。例えば、中継レール106上におけるワークWの通過数、もしくは供給マガジン102内におけるワークWの在庫数等によって、封止対象となるワークWの有無を検知する構成としてもよい(不図示)。
【0083】
次いで、演算部132によって、上記検知工程における検知データに基づいて、封止金型202内へ搬送するワークWの個数を算定する演算工程を実施する。例えば、二個のワークWを保持部104に準備したところで、供給マガジン102内におけるワークWがなくなったときは、三個目のワークWは保持部104には準備されないので、それを検知して、封止金型202内へ搬送するワークWの個数が二個であると算定する。
【0084】
次いで、制御部130によって、上記演算工程における個数データに基づいて、封止金型202(具体的には、上型204)におけるワーク保持部205A~205Cを選択し、搬送部によって準備部101からワークWを搬送して当該ワーク保持部205A~205Cに保持させるワーク搬送保持工程を実施する。尚、ワーク搬送保持工程の途中において、ワークヒータ116により、搬送中のワークWの予備加熱を行う工程を実施する。
【0085】
ここで、ワーク搬送保持工程において、制御部130は平面視の封止金型202におけるキャビティ208A~208Cを並べた方向に交差する中心線に対して線対象の配置となるワーク保持部205A~205Cを選択して、当該ワーク保持部にワークWを保持させる工程を実施する。以下、具体的に説明する。
【0086】
先ず、個数データとしてワークWが三個の場合には、図6に示すように、全てのレール104A、104B、104Cを選択して、当該レールにそれぞれワークWを保持させる制御を行う。次いで、その保持個数(三個)のワークWを一括して、全ての中継保持部120A、120B、120Cにそれぞれ保持させる制御を行う。次いで、その保持個数(三個)のワークWを一括して、全てのローダ保持部210A、210B、210Cにそれぞれ保持させる制御を行う。次いで、その保持個数(三個)のワークWを一括して、全てのワーク保持部205A、205B、205Cにそれぞれを保持させる制御を行う。尚、図6においてワークWをクロスハッチングで表示し、樹脂Rをドットで表示する(以下の図において同じ)。
【0087】
また、個数データとしてワークWが二個の場合には、図7に示すように、両端二箇所のレール104A、104Cを選択して、当該レールにそれぞれワークWを保持させる制御を行う。次いで、その保持個数(二個)のワークWを一括して、両端二箇所の中継保持部120A、120Cにそれぞれ保持させる制御を行う。次いで、その保持個数(二個)のワークWを一括して、両端二箇所のローダ保持部210A、210Cにそれぞれ保持させる制御を行う。次いで、その保持個数(二個)のワークWを一括して、両端二箇所のワーク保持部205A、205Cにそれぞれを保持させる制御を行う。
【0088】
また、個数データとしてワークWが一個の場合には、図8に示すように、中央一箇所のレール104Bを選択して、当該レールにワークWを保持させる制御を行う。次いで、その保持個数(一個)のワークWを、中央一箇所の中継保持部120Bに保持させる制御を行う。次いで、その保持個数(一個)のワークWを、中央一箇所のローダ保持部210Bに保持させる制御を行う。次いで、その保持個数(一個)のワークWを、中央一箇所のワーク保持部205Bに保持させる制御を行う。ワークWを例に記載したが、樹脂R及びフィルムFも同様に制御される(後述)。
【0089】
尚、変形例として、保持個数のワークWを一括して保持させる制御に代えて、前述のようにワークWを一個ずつ順番に保持させる制御としてもよい。
【0090】
続いて、ディスペンスユニット100C及びプレスユニット100B側で実施する工程について説明する。
【0091】
先ず、搬送具ピックアップ304によって、成形に必要な個数の搬送具400(フィルムF及び樹脂Rを保持させていない状態)をフィルム供給機構306へ搬送する工程を実施する。
【0092】
次いで、フィルム供給機構306により、フィルムロール306A、306B、306Cから成形に必要なフィルムを選択的に繰出して所定長さに切断して、短冊状のフィルムFを供給し、搬送具400の下面に保持させるフィルム供給工程を実施する。
【0093】
次いで、搬送具ピックアップ304によって、成形に必要な搬送具400(フィルムFを保持させた状態)をディスペンサ312のノズル312a~312cの直下となる位置へ搬送する工程を実施する。
【0094】
次いで、ディスペンサ312によって、搬送具400に保持されたフィルムF上に成形に必要な樹脂Rを選択的に投下(供給)する樹脂供給工程を実施する。
【0095】
次いで、樹脂ヒータ314によって、搬送具ピックアップ304による搬送中の樹脂R(搬送具400に保持された状態)の予備加熱を行う工程を実施する。
【0096】
次いで、搬送具400を搬送具ピックアップ304から第2ローダ212(具体的には、搬送具保持部213)に受渡し、搬送具保持部213に保持された搬送具400を封止金型202の内部へ(すなわち、型開きした状態の上型204と下型206との間へ)搬送する。次いで、第2ローダ212(搬送具保持部213)を下方に移動すると共へ搬送具400の吸引孔400dからの吸引を停止する。次いで、吸引路230a~230cからの吸引を開始して、キャビティ208の内面(及び、一部、金型面206a)にフィルムFを吸着させて保持する。このようにして、フィルムFと共にキャビティ208内に樹脂Rを供給する樹脂・フィルム搬送保持工程を実施する。
【0097】
ここで、上記のフィルム供給工程、樹脂供給工程、及び、樹脂・フィルム搬送保持工程において、制御部130が行う制御例を具体的に説明する。
【0098】
先ず、前述の個数データとして前記ワークが三個の場合には、フィルム供給工程において、搬送具400の全てのフィルム保持部400A、400B、400Cを選択して、当該フィルム保持部にそれぞれフィルムFを保持させる制御を行う。次いで、樹脂供給工程において、搬送具400の全ての樹脂投入孔400a、400b、400cに対して、対応する全てのノズル312a、312b、312cからそれぞれ樹脂Rを投下(供給)し、全てのフィルム保持部400A、400B、400Cに保持された各フィルムF上に樹脂Rを載置させる制御を行う。次いで、樹脂・フィルム搬送保持工程において、全てのフィルム保持部400A、400B、400Cに保持された各フィルムF上の樹脂Rを、対応する全てのキャビティ208A、208B、208C内に当該フィルムFを介して保持(載置)させる制御を行う。
【0099】
また、前述の個数データとして前記ワークが二個の場合には、フィルム供給工程において、搬送具400の両端二箇所のフィルム保持部400A、400Cを選択して、当該フィルム保持部にフィルムFをそれぞれ保持させる制御を行う。次いで、樹脂供給工程において、搬送具400の両端二箇所の樹脂投入孔400a、400cに対して、対応する両端二箇所のノズル312a、312cからそれぞれ樹脂Rを投下(供給)し、両端二箇所のフィルム保持部400A、400Cに保持された各フィルムF上に樹脂Rを載置させる制御を行う。次いで、樹脂・フィルム搬送保持工程において、両端二箇所のフィルム保持部400A、400Cに保持された各フィルムF上の樹脂Rを、対応する両端二箇所のキャビティ208A、208C内に当該フィルムFを介して保持(載置)させる制御を行う。
【0100】
また、前述の個数データとして前記ワークが一個の場合には、フィルム供給工程において、搬送具400の中央一箇所のフィルム保持部400Bを選択して、当該フィルム保持部にフィルムFを保持させる制御を行う。次いで、樹脂供給工程において、搬送具400の中央一箇所の樹脂投入孔400bに対して、対応する中央一箇所のノズル312bから樹脂Rを投下(供給)し、中央一箇所のフィルム保持部400Bに保持されたフィルムF上に樹脂Rを載置させる制御を行う。次いで、樹脂・フィルム搬送保持工程において、中央一箇所のフィルム保持部400Bに保持されたフィルムF上の樹脂Rを、対応する中央一箇所のキャビティ208B内に当該フィルムFを介して保持(載置)させる制御を行う。
【0101】
尚、変形例として、複数のフィルムF上に、複数のノズル312a~312cにより同時に樹脂Rを投下(供給)する制御に代えて、前述のように一つのノズルにより順番に樹脂Rを投下(供給)する制御としてもよい。
【0102】
これ以降の工程は、従来の圧縮成形方法と同様であって、封止金型202の型閉じを行い、上型204と下型206とで任意の数のワークWをクランプする工程を実施する。このとき、各キャビティ208において、それぞれキャビティ駒226が相対的に上昇して、ワークWに対して樹脂Rを加熱加圧する(前述の通り、ワーク保持部205A~205Cの幾つかにワークWが保持されていない場合もある)。これにより、樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が完了する。次いで、封止金型202の型開きを行い、成形品Wpと使用済みフィルムFdとを分離する工程を実施する。次いで、第1ローダ210によって、成形品Wpを封止金型202内から取出して収納ピックアップ122へ搬送する工程(成形品取出し工程)を実施する。また、第2ローダ212によって、使用済みフィルムFdを封止金型202内から取出してディスポーザ316へ搬送する工程(使用済みフィルム取出し工程)を実施する。
【0103】
以上が圧縮成形装置1を用いて行う樹脂封止の主要動作である。ただし、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。例えば、本実施形態においては、複数(一例として二台)のプレスユニット100Bを備える構成であるため、上記の動作を並行して実施することで、効率的な成形品形成が可能となる。
【0104】
(変形例)
続いて、本発明の変形例(第一変形例)に係る圧縮成形方法について説明する(図9(a)~図9(c)参照)。
【0105】
この方法は、上型及び下型を有する封止金型を着脱可能な金型取付け部が三箇所並設された圧縮成形装置を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂封止する圧縮成形方法である。上記装置の例として、図9(a)に示すように、三組の封止金型500A~500Cをそれぞれ着脱可能な三組の金型取付け部510A~510Cが左右方向(前後方向でもよい)に並設されている。ここで、封止金型500Aは上型502A及び下型504Aを有している。また、封止金型500Bは上型502B及び下型504Bを有している。また、封止金型500Cは上型502C及び下型504Cを有している。一方、金型取付け部510Aは上型502Aを着脱可能な取付け部512A及び下型504Aを着脱可能な取付け部514Aを有している。また、金型取付け部510Bは上型502Bを着脱可能な取付け部512B及び下型504Bを着脱可能な取付け部514Bを有している。また、金型取付け部510Cは上型502Cを着脱可能な取付け部512C及び下型504Cを着脱可能な取付け部514Cを有している。なお、取付け部512A~512Cは上プレート224に設けられており、取付け部514A~514Cは下プレート222に設けられている。
【0106】
上記装置を用いて実施する本圧縮成形方法の例として、設定(ワークの個数等)に応じて以下の工程のいずれかを選択して実施する。具体的に、封止対象のワークが三個に設定される場合、三組の封止金型500A~500Cを三箇所の金型取付け部510A~510Cにそれぞれ取付けて、三個のワークを一括して樹脂封止する工程を実施する(図9(a)参照)。あるいは、封止対象のワークが二個に設定される場合、二組の封止金型500A、500Cを両端二箇所の金型取付け部510A、510Cにそれぞれ取付けて、二個のワークを一括して樹脂封止する工程を実施する(図9(b)参照)。あるいは、封止対象のワークが一個に設定される場合、一組の封止金型500Bを中央一箇所の金型取付け部510Bに取付けて、一個のワークを樹脂封止する工程を実施する(図9(c)参照)。
【0107】
続いて、本発明の変形例(第二変形例)に係る圧縮成形方法について説明する(図10(a)~図10(c)参照)。
【0108】
この方法は、上型チェイス及び下型チェイスを有する封止金型を着脱可能な金型取付け部が三箇所並設された圧縮成形装置を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂封止する圧縮成形方法である。上記装置の例として、図10(a)に示すように、三組の封止金型600A~600Cをそれぞれ着脱可能な三組の金型取付け部610A~610Cが左右方向(前後方向でもよい)に並設されている。ここで、封止金型600Aは上型チェイス602A及び下型チェイス604Aを有している。また、封止金型600Bは上型チェイス602B及び下型チェイス604Bを有している。また、封止金型600Cは上型チェイス602C及び下型チェイス604Cを有している。一方、金型取付け部610Aは上型チェイス602Aを着脱可能な取付け部612A及び下型チェイス604Aを着脱可能な取付け部614Aを有している。また、金型取付け部610Bは上型チェイス602Bを着脱可能な取付け部612B及び下型チェイス604Bを着脱可能な取付け部614Bを有している。また、金型取付け部610Cは上型チェイス602Cを着脱可能な取付け部612C及び下型チェイス604Cを着脱可能な取付け部614Cを有している。なお、取付け部612A~612Cは上モールドベース620に設けられており、取付け部614A~614Cは下モールドベース622に設けられている。
【0109】
上記装置を用いて実施する本圧縮成形方法の例として、設定(ワークの個数等)に応じて以下の工程のいずれかを選択して実施する。具体的に、封止対象のワークが三個に設定される場合、三組の封止金型600A~600Cを三箇所の金型取付け部610A~610Cにそれぞれ取付けて、三個のワークを一括して樹脂封止する工程を実施する(図10(a)参照)。あるいは、封止対象のワークが二個に設定される場合、二組の封止金型600A、600Cを両端二箇所の金型取付け部610A、610Cにそれぞれ取付けて、二個のワークを一括して樹脂封止する工程を実施する(図10(b)参照)。あるいは、封止対象のワークが一個に設定される場合、一組の封止金型600Bを中央一箇所の金型取付け部610Bに取付けて、一個のワークを樹脂封止する工程を実施する(図10(c)参照)。
【0110】
上記の第一変形例及び第二変形例のいずれによっても、例えば成形される成形品の生産量の調整を行う場合等において、封止対象のワークの個数を設定し、対応する個数(組数)の封止金型を金型取付け部に取付けることによって、生産量を適宜調整して定常生産する方法を実現できる。
【0111】
以上、説明した通り、本発明に係る圧縮成形装置及び圧縮成形方法によれば、一つの封止金型当たりの成形品の取り個数を変化させることを可能として、ダミーワークを用いない成形を実現することにより、作業工数、タクトタイム、部品コストの増加を抑制することができる。また、封止金型における型締力の変更を行う際に、装置仕様の大掛かりな変更を行うことなく、設定成形個数の増減によって簡易に変更を行う方法が実現できる。
【0112】
尚、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0113】
上記の実施形態においては、下型に三組のキャビティが設けられ、上型に対応する三組のワーク保持部が設けられた封止金型を用いて、三個以下のワークWを一括して樹脂Rにより封止する圧縮成形装置を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、下型に所定の複数組のキャビティが設けられ、上型に対応する所定の複数組のワーク保持部が設けられた封止金型を用いて、所定の複数個以下のワークWを一括して樹脂Rにより封止する圧縮成形装置にも適用可能である(ここで、所定の複数は二又は四以上)。その場合、制御部は、ワークの個数データに応じて、平面視の前記封止金型におけるキャビティを並べた方向に交差する中心線に対して線対象の配置となる前記ワーク保持部を選択する制御を行うことが好適となる。これにより、封止金型における型締力の偏りを防止でき、バランスのとれた成形を行うことができる。
【0114】
ただし、上記「所定の複数」は「奇数」に設定することが好適である。その理由として、「偶数」(例えば、二)に設定して、ワークの個数を減じる(例えば、一)場合には、前述した金型型締時の傾斜が起こるため、成形不良の発生を防止するためにダミーワークを供給する必要が生じるからである(不図示)。
【0115】
また、上記の実施形態においては、下型にキャビティを備える圧縮成形装置を例に挙げて説明したが、上型にキャビティを備える圧縮成形装置にも適用可能である。その場合、樹脂の供給に関しては、ワーク処理ユニットにディスペンサを設けて、ワーク上に樹脂を供給し、ワークと共に封止金型内に搬送する公知の構成を採用し得る。また、フィルムの供給に関しては、プレスユニットにフィルム供給機構を設けて、ロール状のフィルムを巻出し部から送り出して封止金型内に供給し、樹脂封止後に使用済みのフィルムFを巻取り部で巻取る公知の構成を採用し得る。
【符号の説明】
【0116】
1 樹脂封止装置
114 検知部
130 制御部
202 封止金型
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10