IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クラウド チャージ リミテッドの特許一覧

特許7492268電気自動車送電網管理システムおよび方法
<>
  • 特許-電気自動車送電網管理システムおよび方法 図1
  • 特許-電気自動車送電網管理システムおよび方法 図2
  • 特許-電気自動車送電網管理システムおよび方法 図3
  • 特許-電気自動車送電網管理システムおよび方法 図4
  • 特許-電気自動車送電網管理システムおよび方法 図5
  • 特許-電気自動車送電網管理システムおよび方法 図6
  • 特許-電気自動車送電網管理システムおよび方法 図7
  • 特許-電気自動車送電網管理システムおよび方法 図8
  • 特許-電気自動車送電網管理システムおよび方法 図9
  • 特許-電気自動車送電網管理システムおよび方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】電気自動車送電網管理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240522BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240522BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240522BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20240522BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240522BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240522BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240522BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240522BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20240522BHJP
   B60L 53/64 20190101ALI20240522BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20240522BHJP
   B60L 53/68 20190101ALI20240522BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20240522BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240522BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240522BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240522BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240522BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240522BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240522BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240522BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20240522BHJP
【FI】
H02J3/00 130
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J3/14 130
H02J50/10
H02J3/00 170
B60L50/60
B60L53/12
B60L53/14
B60L53/62
B60L53/64
B60L53/67
B60L53/68
B60L55/00
B60L58/12
B60L3/00 S
B60M7/00 X
B60L5/00 B
G06Q50/06
G06Q50/10
G16Y10/40
G16Y20/30
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021536420
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 GB2019052417
(87)【国際公開番号】W WO2020044051
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】1814092.1
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521085939
【氏名又は名称】クラウド チャージ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100123858
【弁理士】
【氏名又は名称】磯田 志郎
(72)【発明者】
【氏名】ポッター,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ポッター,ベン
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/077780(WO,A1)
【文献】特開2012-235545(JP,A)
【文献】特開2012-016185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 7/00
H02J 13/00
H02J 3/14
H02J 50/10
B60L 50/60
B60L 53/12
B60L 53/14
B60L 53/62
B60L 53/64
B60L 53/67
B60L 53/68
B60L 55/00
B60L 58/12
B60L 3/00
B60M 7/00
B60L 5/00
G06Q 50/06
G06Q 50/10
G16Y 10/40
G16Y 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の電気自動車および多数の充電ポイントが接続される送電網のための送電網管理システムであって、各充電ポイントは電力供給装置と前記電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースとを含み、
前記システムは、個々の電気自動車の特性およびそれぞれ接続された個々の充電ポイントの特性を考慮に入れることによって、前記送電網上の負荷を動的に管理するように構成された負荷管理モジュールを含み、
前記負荷管理モジュールは、最小限に抑えた環境影響に基づいて、前記送電網から接続された各自動車に電力を供給する最適な時間および/または期間を計算するようにさらに構成され、前記環境影響はCO2発生を含み、
前記負荷管理モジュールは、電気自動車のモデルまたは製造業者と、充電ポイントの特性との関数として充電パターンまたはモデルを決定するようにさらに構成される、
送電網管理システム。
【請求項2】
前記電気自動車の特性は、自動車の製造業者、モデル、自動車オプション、最高速度、ユーザー行動の履歴、電池特性を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記充電ポイントの特性は、充電ポイントの製造業者、モデル、特徴/機能、電力変調技術、自動車インタフェースの電力のタイプ、前記送電網内の地理的位置、を含む、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記負荷管理モジュールは、各充電ポイントから引き出すことができる最大電力であって、接続された各自動車に供給できる前記最大電力を計算する、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記負荷管理モジュールは、複数の充電ポイントにおいて電力需給をリアルタイムで管理する、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記電力インタフェースはケーブルである、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記電力インタフェースは無線電力インタフェースである、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
電気自動車が充電ポイントにアクセスするとき、前記システムは、前記電気自動車が前記充電ポイントにプラグインしたときの前記電気自動車の特性をリアルタイムで検出する、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記負荷管理モジュールは、次の充電セッションのパラメータを含む、各電気自動車に対するエンドユーザー要求を受信する、請求項1~のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記負荷管理モジュールは、前記エンドユーザー要求を考慮に入れて、電力を前記送電網から前記自動車へ供給する最適な費用効率の期間を計算する、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記負荷管理モジュールは、前記エンドユーザー要求を考慮に入れて、環境影響に基づき、電力を前記送電網から前記自動車へ供給する最適な時間および/または期間を計算する、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記次の充電セッションの前記パラメータは、充電が必要な時間もしくは日付、必要な距離または必要な電力を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記負荷管理モジュールは、ユーザー行動の履歴を受信して記録する、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムはユーザー要求およびユーザー行動を追跡して記録する、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムは、機械学習技術を使用して将来の自動車の使用を予測する、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
接続された装置上で実行しているアプリケーションを介してエンドユーザー要求を受信する、請求項1~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記負荷管理モジュールは、機械学習アルゴリズムを使用して次に予定された走行の環境影響を予測し、前記機械学習アルゴリズムは、過去のユーザー行動のパターンと、現在の気象データおよび気象予測データを含む環境測定とを相関させて、前記次に予定された走行の前記境影響を予測する、請求項1~16のいずれ1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記システムは、予想される費用をエンドユーザーに出力する、請求項1~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムは、予想される環境影響をエンドユーザーに出力する、請求項1~18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムは次に予定または予測された走行のためにエンドユーザーが利用できる、他の利用可能な選択肢を出力する、請求項1~19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、確率モデルに基づいて電気自動車の充電事象を予測するように構成される、請求項1~20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記確率モデルは充電関連データを考慮に入れる、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記確率モデルは、次のプラグインおよびプラグアウト事象を予測するために、電気自動車がプラグインおよびプラグアウトされるたびに追跡して記録する、請求項21または22に記載のシステム。
【請求項24】
前記確率モデルは、プラグインおよびプラグアウト事象において充電状態を追跡して記録する、請求項2123のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記確率モデルは、次の走行のエネルギー必要量を予測する、請求項2124のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記確率モデルは、予測された次の走行と関連付けられた最適化充電プロファイルに対する前記パラメータを出力する、請求項2125のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記確率モデルは、前記多数の電気自動車集合的な行動を予測する、請求項2126のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
多数の電気自動車および多数の充電ポイントが送電網に接続される送電網管理のための方法であって、各充電ポイントは電力供給装置と前記電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースとを含み、
前記方法は、個々の電気自動車の特性およびそれぞれ接続された個々の充電ポイントの特性を考慮に入れることによって、負荷管理モジュールを介して前記送電網上の負荷を動的に管理することを含み、
前記負荷管理モジュールは、最小限に抑えた環境影響に基づいて、前記送電網から接続された各自動車に電力を供給する最適な時間および/または期間を計算するようにさらに構成され、前記環境影響はCO2発生を含み、
前記負荷管理モジュールは、電気自動車のモデルまたは製造業者と、充電ポイントの特性との関数として充電パターンまたはモデルを決定するようにさらに構成される、
送電網管理のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は電気自動車送電網管理システムおよび方法に関する。
【0002】
本特許文書の開示の一部は、著作権保護の対象となる資料を含む。著作権所有者は、その特許文書または特許開示の、それが特許商標局特許ファイルまたは記録に記載されている通り、誰による複写にも異存はないが、それ以外の場合は、何であれ全ての著作権を留保する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車(EV)およびプラグインハイブリッドEVは、ますます普及が進んでいる。それらは、電気をモーターに供給する電池によって電力供給され、定期的に再充電する必要がある。
【0004】
利用可能な数少ないEV送電網負荷管理ソリューションは、接続されていて動作可能な充電器数に基づいて負荷分担を均等に分散する傾向がある。
【0005】
負荷管理システムの変化するパラメータに動的に適合して、接続されていて動作可能な充電器数だけに基づくのではない、効率的な電気自動車送電網管理ソリューションが必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、多数の電気自動車および多数の充電ポイントが接続される送電網のための送電網管理システムであり、各充電ポイントは電力供給装置および電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースを含み、
本システムは、個々の電気自動車の特性および/または接続された個々の充電ポイントの特性を考慮に入れることによって、送電網上の負荷を動的に管理する負荷管理モジュールを含む。
【0007】
一例として、本発明の特徴を示す以下の図面を参照して、例示として本発明の態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、電流および電力パターンのプロファイルを表すプロットを示す図である。
図2図2は、電流および電力パターンのプロファイルを表すプロットを示す図である。
図3図3は、ユーザー選択システムを示すブロック図である。
図4図4は、電気自動車の充電のモデリングおよび予測を説明する図である。
図5図5は、電気自動車の充電のモデリングおよび予測を説明する図である。
図6図6は、主要な予測およびスケジューリング構成要素を示すブロック図である。
図7図7は、テレマティックスなし、およびテレマティックス有りの典型的なワークフローを示すブロック図である。
図8図8は、本システムに接続された装置上で実行するアプリケーションのスクリーンショットである。
図9図9は、本システムに接続された装置上で実行するアプリケーションのスクリーンショットである。
図10図10は、本システムに接続された装置上で実行するアプリケーションのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本発明の実施態様を以下のセクションで説明する:
セクションA:特性化パターン
セクションB:自動車のドライバーの相互作用
セクションC:電気自動車の充電のモデリングおよび予測
セクションD:ユーザーアプリケーション
【0010】
セクションA:特性化パターン-制御能力の範囲の決定
【0011】
電気自動車を送電網負荷管理アプリケーション内の装置として使用できるかどうかは一連の要因によって決まる。総負荷およびその負荷の制御能力は、通常、自動車、充電ポイント、充電ポイントへの給電および自動車を充電ポイントに接続するケーブルによって決まる。
【0012】
製造業者、モデル、自動車オプションおよびドライバーによって適用された自動車設定などの自動車における違いは、電力需要の最大率および潜在的にその電力需要がいつ生じるかに影響を及ぼす。相互接続ケーブルにおける違いは、ケーブルの容量に従って電力需要が制限される可能性がある。
【0013】
充電ポイントの製造業者、モデル、特徴/機能および充電器がIEC 6185規格の実装を通して利用可能な電力を変調するために使用する方式における違いは、電力制御がどのように実行されるかに影響を及ぼす可能性がある。
【0014】
充電ポイントへの給電における違いは、通常、充電ポイントが給電に適用する最大電力需要を制限するために、充電ポイントにおいて構成される。
【0015】
これら全ての相違は、サイト/自動車の重要な特性(引き出すことができる最大電力、需要が上下に変化する観点からの電力引出しの制御能力および制御の分解能)を決定する送電網負荷管理システムの能力に直接影響を及ぼし、従って本システムの有効性は正確に判断できない。
【0016】
さらに、「自動車から送電網へ」機能(自動車および充電ポイント)が使用できるようになると、同じ要因が当てはまるが需要制御および供給制御の両方のシナリオに適用される。
【0017】
我々のシステムはこれら未知の要因に対処するため、送電網負荷管理システムはサイト/自動車の重要な特性を決定でき、本システムは、一連のターゲット(最大需要、需要の時間)に関連して総電力需要を調整しようとする際に装置のネットワーク内の資産の価値を判断できる。
【0018】
電気自動車を充電ポイントまたは他の電力供給ポイント(例えば、自動車は家庭内の電源ソケットに接続するポータブルアダプタケーブルで充電され得る)に接続すると、我々のシステムはテスト制御シーケンスを実行する。テスト制御シーケンスは、システムが自動車電力接続の制御能力(それが、電力需要であれ、または自動車から送電網への適用の場合には需要および供給であれ)を判断できるようにする。この制御能力は、自動車が適用できる最大電力需要、電力需要の観点からの制御の分解能および電力需要を停止して別の時期にスケジューリングする機能を決定する。
【0019】
これは、システムが装置のより幅広いネットワーク内の個々の自動車/サイトの価値をより良く予測するのを可能にし、結果として、システムが全体として制御されているかどうか、およびどれくらいの精度でそれが目標を正確に達成する必要があるかを予測する観点からシステムの精度を向上させる。
【0020】
本システムは、自動車/ケーブル/充電ポイント/供給特性を確認するために使用される電力需要プロファイルに適用できる複数の「パターン」を有する。
【0021】
自動車のタイプおよびその状態、ケーブルのタイプ、ならびに充電器のタイプを判断するために、予め決められた充電パターン、または一連の電力出力値が充電器または自動車に適用される。自動車タイプ、自動車状態、ケーブルタイプおよび充電器タイプの異なる組合せは、予め決められた充電パターンに異なる反応を示すため、これら固有の組合せが識別できる。このようにして、本システムは特定の充電事象の固有の特性を検出して、充電動作を最適化できる。
【0022】
これらのパターンは「谷」または「山」プロファイルのいずれかである。「谷」プロファイルは、現在の電力需要を減少させ、次いで一連のステップで増加させるように要求されている場合であり、そのために本システムは電力需要を減少および増加させるために特定の自動車/ケーブル/充電ポイント/供給の制御能力を測定できる。2つの例が図1および図2に示されている。
【0023】
「山」プロファイルは、現在の電力需要を増加させ、次いで一連のステップで減少させるように要求されている場合であり、そのために本システムは、現在の電力需要が予期される電力需要よりも低く見える場合に電力需要を増加させるために自動車/ケーブル/充電ポイント/供給の制御能力を測定できる(システムは特定の自動車または充電ポイントに対する以前の電力需要をレコード内に保持し、やがてこれを特定の事象における現在のものと相関させようとし得る)。
【0024】
セクションB:自動車のドライバーの相互作用-自動車の充電の要求される状態の確認およびユーザー柔軟性の決定
【0025】
電気自動車を送電網負荷管理アプリケーション内の装置として使用できるかどうかは輸送のための自動車のユーザー要求のプロファイリングによって決まる。他の技法ではユーザーに、充電セッションの後、自動車がいつ必要になるかを定義するように要求するが、我々のソリューションは、ユーザーが、自動車の充電に関する効果または他のパラメータ、例えば、費用、使用電力の排出量、エネルギーミックス、特定のエネルギー供給者から電気を購入する能力など、に関連して、輸送要求を優先させる能力を有するように異なって機能する。
【0026】
自動車が充電される時、ユーザーは、充電の今度のセッションのパラメータおよび、既定もしくは計算された充電スケジュールまたはユーザー定義要求を使用するかどうかを決定するように促される。ユーザー定義の場合、充電セッション後に次に必要な自動車の使用が日付/時刻に関して入力されて、自動車が次に使用される時にその使用を満足するために必要とされるエネルギー量が、ユーザーが質問した時点に対して評価される。ユーザーは、次の充電セッションの前に、実際に必要なエネルギーまたは車で移動する必要のある距離を示すことによって必要なエネルギー量を調整できる。システムは次いで、自動車が次に使用されると予期されるまでの期間および必要なエネルギー量を転送するのにかかる時間を判断して、その期間にわたるエネルギーの費用を分析し、送電網から自動車へエネルギーを供給するために最も費用効率の良い期間を識別することができる。
【0027】
図3はユーザー選択システムを示すブロック図を示す。
ユーザーが次の走行でもっと長い移動を必要とすれば、より多くのエネルギーが送電網から必要とされ、電気の価格は半時間ごとに変動するので、一般に、最も短い時間が最低価格となる(図3を参照)。ユーザーが電気の必要量を増加または減少させると、表示価格が計算されて示され、そのためその次のセッションのためにユーザーによって電気量/価格を選択するための情報を得た上で決定を行うことができる(セクションD-ユーザーアプリケーションを参照)。電気量/価格決定はエネルギーの価格または量のデフォルトとして行うことも、またはユーザーの行動を学習するインテリジェントアルゴリズムによって自動的に調整することもできる。
【0028】
将来の電力価格に関する情報は、特定の市場データ、特定の電力供給者からの価格設定、再生可能発電に関する気象予報データ、電気自動車のユーザー行動データを含むことができ、それらは全て、価格アルゴリズムによって考慮できる。
【0029】
このシステムは、ユーザーに自動車の使用時間を入力するように要求しようとするのではなく(ほとんどのユーザーは、仕事のための移動など、明らかな走行以外に明確で決まった使用パターンを有していないので、本質的に欠陥のあるアプローチ)、自動車上の遠隔測定システムまたは充電ポイント通信のいずれかを通して収集されたデータの組合せを通して自動車の使用およびアイドル時間を追跡することによって動作する。本システムは、一個人に対して収集されたデータを使用し、機械学習アルゴリズムを通して、広範な時系列データセットにわたるユーザー行動のパターンおよび他の既知のユーザー特性を他の環境測定(気候リアルタイムデータ、予測気候変動-自動車パターン利用および再生可能低炭素エネルギーの利用可能性の両方に対して使用される)と共に相関させて、自動車の使用の次のポイントを予測する。
【0030】
ドライバーが自動車の使用を終えるたびに、本システムはドライバーにその自動車を必要とする次回の予測、必要とする予測マイル数、ならびにその次の走行に対して自動車を準備することで予想される費用および環境影響(エネルギー発生を通したCO2生成)を促す。ドライバーは次いで、次の予測より遅かれ早かれ自動車を必要とすること、予測よりも長いかもしくは短い移動を必要とすること、またはそれが自分の輸送要求に対する自動車の有用性に影響を及ぼし得ることに気付いて、自動車の再充電の環境影響のコストを最適化したいというフィードバックをシステムに提供できる(輸送機関が発展するにつれて、自家用車のユーザーは、移動のサービス化または自律走行車などの共有輸送ソリューションおよび車もしくは自転車などの自動車の短期使用に加わるように奨励される可能性が高い)。
【0031】
セクションC:電気自動車の充電のモデリングおよび予測
【0032】
図4および図5は、電気自動車の充電のモデリングおよび予測を示す図である。
【0033】
図6は、主要な予測およびスケジューリング構成要素を示すブロック図である。2つの重要事象:電気自動車がV1GまたはV2G充電器に接続する瞬間(プラグイン)、および電気自動車が接続を外す瞬間(プラグアウト)、が電気自動車充電要求のモデリングおよび予測を推進する。次のプラグイン事象のタイムスタンプTIN、プラグインにおける充電状態SoCIN、それに続く次のプラグアウトのタイムスタンプTOUT、および次のプラグイン事象前の走行の次のセットに対するエネルギー要求ENEXTを予測することは、充電制御システムの動作にとって不可欠である。Crowd Chargeプラットフォームはこれらの変数を予測するためにモデルの行列を使用する。モデル構造のセットMは、各々がパラメータのセットPを使用するように開発される。いくつかのパラメータは各モデル構造に共通であり、いくつかのパラメータは各モデル構造に固有である。1つのモデル構造を1セットのパラメータと組み合わせて完全なモデルMiを形成する。各完全なモデルは電気自動車EVk、ドライバーDm、および充電器Cnの特定の組合せSpの使用動作を表すために使用される、すなわち、SpはEV1、D1、C1を含む。そのため、同じ電気自動車を持つ2人の異なるドライバーは、2つの異なる完全なモデル(すなわち、M1およびM2)によって表される。複数の完全なモデルを使用して、電気自動車、ドライバーおよび充電器の同じ固有の組合せを表すことができ、各モデルの精度および有効性は時間およびパラメータ値と共に変わる。例えば、モデルM11およびM21は両方とも、自動車、ドライバーおよび充電器の同じ組合せS1を表すために使用でき得るが、構造およびパラメータは異なる。そのため、モデルのファミリーが、自動車、ドライバーおよび充電器の各組合せの使用行動を予測するために存在する。
【0034】
Crowd Chargeシステムは、将来の使用行動の最も正確な推定を提供する可能性が最も高いモデルを選択し、この選択は、新しい情報が、テレマティックス、モバイルアプリケーション、または充電器からのデータなどが利用可能になるので、常に更新されている。どのモデルが最も正確な推定を提供する可能性が最も高いかの判断は、リアルタイムでのモデル予測の軌道追跡と組み合わせた履歴データの確率的解析に基づく。
充電事象が特定の自動車および充電器でいつ起こるかを予測するために、リアルタイムパラメータのモデル予測の軌道追跡と組み合わせた履歴データの確率的解析が使用される。例えば、その充電事象の特性にしたがって次に充電事象がいつ起こるかを予測するために、特定のユーザー、自動車および充電器の行動を表すための最有力候補として3つの行動モデルが選択され得る。本システムは、これら3つの行動モデルのどれが最終的に実際の行動を最も厳密に表しているのか判別できない可能性があるため、各モデルのリアルタイムの発生確率を判断するためにこれらのモデルにリンクされた主要パラメータを監視する。時間の経過とともに、これらの確率は、1つのモデルが最も可能性が高くなり、推定値が実際の行動に落ちる(collapse)まで、推移する。各モデルの確率の推移は、経時的に、将来の最も可能性の高い結果を指す、軌道と見なされる。
【0035】
充電器、自動車、またはドライバーのグループの使用プロファイルの予測を提供するために、Crowd Chargeシステムはモデルのセット全部をセットのもっと大きなセット、すなわち、モデルのマトリックスに統合する。モデルのこのマトリックスの各メンバーの影響は、時間、およびパラメータ、および新しい情報の流れと共に変化する。モデルのこのマトリックスは、電気自動車、ドライバーおよび充電器の大きなグループの集合的な行動を判断して予測するために使用される。具体的には、特定の今度の充電事象に対してTIN、SoCINおよびTOUTを決定するために使用される。
【0036】
セクションD:ユーザーアプリケーション
【0037】
図7は、テレマティックスなし、およびテレマティックス有りの典型的なワークフローを示すブロック図である。
【0038】
図8は、本システムに接続された装置上で実行するアプリケーションのスクリーンショットである。エンドユーザーは事前登録されたカードに基づいて車を選択することが可能である。次に、接続されているもの、またはテレマティックス位置に基づいて充電器が選択される。次に、行動に基づいて次の充電が予測されて、エンドユーザーに表示される。代替として、エンドユーザーは次の充電日付および時刻を手動で選択または変更できる。時間当たりの平均費用および発生する平均CO2がエンドユーザーを導く(ガイドする)ために表示される。現在のSOCに基づきマイルを調整するためのスライドも表示される。現在のSOCも表示される。
【0039】
図9は、本システムに接続された装置上で実行するアプリケーションの別の例のスクリーンショットである。
【0040】
図10は、本システムに接続された装置上で実行するアプリケーションのスクリーンショットであり、その中に充電スケジュールが表示されている。次のまたは予定された充電が行動に基づいて予測されてエンドユーザーに表示される。代替として、エンドユーザーは、次のまたは予定された充電のプラグインおよびプラグアウト時間を変更するために更新ができる。費用またはCO2を下げるために充電の最適量を選択する方法を示す色段階目盛りガイドバーも表示されている。このバーの目盛りは以下のいずれか、または組合せに基づいて変更できるが、それらに制限されない:
・プラグインおよびプラグアウトの時間の変更
・関連するエネルギー価格の変更
・総電流も管理されている自動車のグループに対する総電流の変更
【0041】
付属書類-主要な特徴
【0042】
このセクションは、最も重要な高レベルの特徴(A->F)を要約する;本発明の実施態様は、これらの高レベル特徴の1つ以上、またはこれらのいずれかの任意の組合せを含み得る。従って、各高レベル特徴は潜在的に独立した(stand-alone)発明であり、任意の1つ以上の他の高レベル特徴もしくは複数の特徴または「任意選択(optional)」特徴のいずれかと組み合わされ得ることに留意されたい。
【0043】
A.動的負荷管理
【0044】
多数の電気自動車および多数の充電ポイントが接続される送電網のための送電網管理システムであって、各充電ポイントは電力供給装置および電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースを含み、
本システムは、個々の電気自動車の特性および/または接続された個々の充電ポイントの特性を考慮に入れることによって、送電網上の負荷を動的に管理する負荷管理モジュールを含む。
【0045】
多数の電気自動車および多数の充電ポイントが接続される送電網のための送電網管理システムであって、各充電ポイントは電力供給装置および電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースを含み、
本システムは、個々の電気自動車の特性および/または接続された個々の充電ポイントの特性を考慮に入れることによって、電気自動車の送電網に対する価値または有用性を動的に評価する負荷管理モジュールを含む。
【0046】
多数の電気自動車および多数の充電ポイントが接続される送電網のための送電網管理システムであって、各充電ポイントは電力供給装置および電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースを含み、
本システムは、システムが特定の充電ポイントと特定の自動車との間の自動車電力接続の制御能力を判断できるようにするテスト制御シーケンスを実行する負荷管理モジュールを含む。
【0047】
多数の電気自動車および多数の充電ポイントが接続される送電網のための送電網管理システムであって、各充電ポイントは電力供給装置および電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースを含み、
本システムは、充電パターンまたは電力出力値のシーケンスを充電ステーションまたは自動車に適用し、充電ステーションまたは自動車の行動の特性を検出して、将来の充電が最適化されるのを可能にする負荷管理モジュールを含む。
【0048】
任意選択:
・負荷管理モジュールは、充電ポイントにおける電力需給を考慮に入れることによって、送電網上の負荷を動的に管理する
・電気自動車の特性は、自動車の製造業者、モデル、自動車オプション、最高速度、ユーザー行動の履歴、電池特性を含む。
・充電ポイントの特性は、充電ポイントの製造業者、モデル、特徴/機能、電力変調技術、自動車インタフェースの電力のタイプ、送電網内の地理的位置を含む。
・負荷管理モジュールは、各充電ポイントから引き出すことができる最大電力、および自動車に供給できる最大電力を計算する。
・負荷管理モジュールは、複数の充電ポイントにおいて電力需給をリアルタイムで管理する。
・電力インタフェースはケーブルである。
・電力インタフェースは無線電力インタフェースである。
・電気自動車が充電ポイントにアクセスするとき、本システムは、電気自動車の特性をリアルタイムで検出する。
・本システムは、固有の充電パターンまたはモデルを検出された特性の関数として判断する。
・充電ポイントは専用の電気自動車充電ステーション、または家庭内の電源ソケットである。
【0049】
B.次の充電事象のパラメータを含む動的負荷管理
【0050】
多数の電気自動車および多数の充電ポイントが接続される送電網のための送電網管理システムであって、各充電ポイントは電力供給装置および電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースを含み、
本システムは、自動車の準備が整う時間とは別に、または追加で、充電セッションに対するエンドユーザー要求を受信する負荷管理モジュールを含む。
【0051】
多数の電気自動車および多数の充電ポイントが接続される送電網のための送電網管理システムであって、各充電ポイントは電力供給装置および電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースを含み、
本システムは、エンドユーザーが移動したい距離の関数、または必要な電気の量に関連する別のパラメータとして、必要な電気の価格のマトリックスもしくはグリッドもしくはリストをエンドユーザーに提示する負荷管理モジュールを含む。
【0052】
任意選択:
・エンドユーザー要求は、次の1つ以上を含む:費用、使用電力に関連した排出量、使用電力に関連した炭素、エネルギーミックス、異なるエネルギー源またはタイプのセットからの特定のエネルギー源またはタイプ、異なる供給者のセットからの、特定のエネルギー供給者。
・エンドユーザーは、異なるエンドユーザー要求の間で優先順位を設定することが可能である。
・負荷管理モジュールは、エンドユーザー要求を考慮に入れて、電力を送電網から自動車へ供給する最適な費用効率の時間および/または期間を計算する。
・負荷管理モジュールは、エンドユーザー要求を考慮に入れて、環境影響に基づき、電力を送電網から自動車へ供給する最適な時間および/または期間を計算する。
・次の充電セッションのパラメータは、充電が必要な時間もしくは日付、必要な距離または必要な電力を含む。
・負荷管理モジュールは、ユーザー行動の履歴を受信して記録する。
・負荷管理モジュールはユーザー要求およびユーザー行動を追跡して記録する。
・機械学習技術は将来の自動車の使用を予測するために使用される。
・エンドユーザー要求は、接続された装置上で実行しているアプリケーションを介して受信される。
【0053】
C.次の使用の予測
【0054】
多数の電気自動車および多数の充電ポイントが接続される送電網のための送電網管理システムであって、各充電ポイントは電力供給装置および電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースを含み、
本システムは、次の1つ以上:エンドユーザーが次に自動車を必要とする時、彼らが必要とするマイル数ならびにその次の走行に対して自動車を準備することで予想される費用および環境への影響、をエンドユーザーに対して予測する負荷管理モジュールを含む。
【0055】
任意選択:
・環境影響は、現在の気象データおよび気象予測データを考慮に入れる。
・負荷管理は、自動車上の遠隔測定システムまたは充電ポイント通信のいずれかを通して収集されたデータの組合せを通して自動車の使用およびアイドル時間を追跡することによって、そのエンドユーザーが次に自動車を必要とする時期を予測する。
・負荷管理は、広範な時系列データセットにわたる機械学習アルゴリズムによって、そのエンドユーザーが次に自動車を必要とする時期を予測する。
・ドライバーは、以下のフィードバックを本システムに提供する:その自動車を次の予測より遅かれ早かれ必要とすること、予測よりも長いかもしくは短い移動を必要とすること、または自動車の再充電の費用もしくは環境影響を最適化したいこと。
・システムは予想される費用をエンドユーザーに出力する。
・システムは予想される環境影響をエンドユーザーに出力する。
・システムは、共有輸送ソリューション、自転車または公共交通機関などの他の利用可能な選択肢を出力する。
【0056】
D.次の充電事象の予測
【0057】
多数の電気自動車および多数の充電ポイントが接続される送電網のための送電網管理システムであって、各充電ポイントは電力供給装置および電力供給装置を電気自動車に接続する電力インタフェースを含み、
本システムは、電気自動車充電事象を確率モデルに基づいて予測する予測モジュールを含み、確率モデルは履歴充電関連データの分析から導出される。
【0058】
任意選択:
・確率モデルは、モデル予測の軌道追跡を通してリアルタイムで改善される
・充電関連データは、電気自動車特性、エンドユーザープロファイル、および充電ポイント特性を含む。
・予測モジュールは、次のプラグインおよびプラグアウト事象を予測するために、電気自動車がプラグインおよびプラグアウトされるたびに追跡して記録する。
・予測モジュールは、プラグインおよびプラグアウト事象における充電状態を追跡して記録する。
・予測モジュールは次の走行のエネルギー必要量を予測する。
・予測モジュールは予測された次の走行と関連付けられた最適化充電プロファイルのパラメータを出力する。
・予測モジュールは、電気自動車の大きなグループの集合的な行動を予測する。
【0059】
E.固有の充電パターンの格納
【0060】
電気自動車充電パターンを上で定義された通りに格納するデータベース。
【0061】
任意選択:
・データベースは様々なグループに分類され、グループはエンドユーザープロファイル、電気自動車特性および充電ポイント特性に基づく。
【0062】
F.EV特性の自動検出
【0063】
電気自動車がプラグインされると、システムが電気自動車およびその特性を自動的に検出し、エンドユーザーによって必要とされる次の走行を予測して、その予測された走行と関連付けられた最適化された次の充電セッションのパラメータをエンドユーザーに出力する、電気自動車充電システム。
【0064】
任意選択:
・エンドユーザーに対して最適化された次の充電セッションのパラメータは、接続された装置上で実行しているアプリケーションに出力される。
【0065】
注記
上記の構成は、本発明の原理の適用を例示するにすぎないことを理解されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の修正および代替の配置を考案することができる。本発明は、図面で示され、本発明の最も実用的で好ましい例(複数可)であると現在、見なされるものに関連して詳細に十分に前述されているが、本明細書に記載のとおり、本発明の原理および概念から逸脱することなく、多数の修正が行われ得ることが当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10