(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】消泡剤及び水系コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
B01D 19/04 20060101AFI20240522BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240522BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240522BHJP
【FI】
B01D19/04 B
C09D201/00
C09D7/63
(21)【出願番号】P 2021562517
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2020041458
(87)【国際公開番号】W WO2021111800
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2019218948
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】北村 匠
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-241354(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136437(WO,A1)
【文献】特開2011-195606(JP,A)
【文献】特開2014-233721(JP,A)
【文献】特開昭63-132935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/04
C09D 7/63
G08G 65/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(A)と一般式(5)で表される化合物(B)とを含有してなり、ポリオキシアルキレン化合物(A)と化合物(B)との重量比{(A):(B)}が
30:70~20:80であることを特徴とする消泡剤。
S
1-G(-P-G-S
2-G)
q-P-G-S
1 (1)
ただし、S
1は一般式(2)で表される基、S
2は一般式(3)で表される基、Gは炭素数10~50のジグリシジルエーテルの反応残基、Pは一般式(4)で表される基、qは0、1又は2を表す。
【化1】
Qは非還元性の二又は三糖類のt個の1級水酸基から水素原子を除いた残基、OAは炭素数2~4のオキシアルキレン基、R
1は炭素数2~15のアルキレン又はアリーレン、Oは酸素原子、Hは水素原子、nは2~30の整数、tは2~4の整数、mは1~20の整数を表し、S
1単位又はS
2単位に含まれるOAの総数はそれぞれ10~50の整数であり、S
1、S
2、G、P、(OA)
n、(OA)
m、Q、n、mは、それぞれ同じでも異なってもよい。
R
2{-(OA)
a-X}
b (5)
R
2は炭素数3~24の活性水素化合物から水素原子を除いた反応残基、Xは水素原子又は炭素数4~23のアシル基、OAは炭素数2~4のオキシアルキレン基、aは1~50の整数、bは1~6の整数であり、X、(OA)
a、a、はそれぞれ同じでも異なってもよい。
【請求項2】
非還元性の二又は三糖類の反応残基(Q)が蔗糖の反応残基である請求項1に記載の消泡剤。
【請求項3】
さらに、疎水性液体(C)を含んでなる請求項1又は2に記載の消泡剤。
【請求項4】
ポリオキシアルキレン化合物(A)及び化合物(B)の合計100重量部に対して、疎水性液体(C)の含有量が20~10000重量部である請求項3に記載の消泡剤。
【請求項5】
水系コーティング材及び請求項1~4のいずれかに記載された消泡剤からなることを特徴とする水系コーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消泡剤及び水系コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
「a)1種以上のグリセリド、b)1種以上の脂肪族炭化水素、及びc)1種以上の、任意に末端キャップされていてよい、C8~24 脂肪アルコールのエチレンオキシド(EO) 及び/ 又はプロピレンオキシド(PO) 付加物を含んでなる、水希釈性塗料系のための消泡剤」が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2007-537849号公報(対応する国際公開:WO2005/113691パンフレット)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された消泡剤を用いた塗料をローラー塗装する場合、十分な消泡性(破泡、抑泡効果)が得られないという問題がある。
本発明の目的は、ローラー塗装する塗料においても、消泡性(破泡、抑泡効果)に優れる消泡剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の消泡剤の特徴は、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(A)と一般式(5)で表される化合物(B)とを含有してなり、ポリオキシアルキレン化合物(A)と化合物(B)との重量比{(A):(B)}が30:70~20:80である点を要旨とする。
【0006】
S1-G(-P-G-S2-G)q-P-G-S1 (1)
【0007】
ただし、S1は一般式(2)で表される基、S2は一般式(3)で表される基、Gは炭素数10~50のジグリシジルエーテルの反応残基、Pは一般式(4)で表される基、qは0、1又は2を表す。
【0008】
【0009】
Qは非還元性の二又は三糖類のt個の1級水酸基から水素原子を除いた残基、OAは炭素数2~4のオキシアルキレン基、R1は炭素数2~15のアルキレン又はアリーレン、Oは酸素原子、Hは水素原子、nは2~30の整数、tは2~4の整数、mは1~20の整数を表し、S1単位又はS2単位に含まれるOAの総数はそれぞれ10~50の整数であり、S1、S2、G、P、(OA)n、(OA)m、Q、n、mは、それぞれ同じでも異なってもよい。
【0010】
R2{-(OA)a-X}b (5)
【0011】
R2は炭素数3~24の活性水素化合物から水素原子を除いた反応残基、Xは水素原子又は炭素数4~23のアシル基、OAは炭素数2~4のオキシアルキレン基、aは1~50の整数、bは1~6の整数であり、X、(OA)a、a、はそれぞれ同じでも異なってもよい。
【0012】
本発明の水系コーティング組成物の特徴は、水系コーティング材及び上記の消泡剤からなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の消泡剤は、ローラー塗装する塗料においても優れた消泡性(破泡、抑泡効果)を発揮する。
【0014】
本発明の水系コーティング組成物は、上記の消泡剤を含むので、ローラー塗装する場合においても優れた消泡性を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般式(1)において、炭素数10~50のジグリシジルエーテルの反応残基(G)としては、炭素数10~50のジグリシジルエーテルのエポキシ基が開環反応した残基が含まれる。
【0016】
このようなジグリシジルエーテルの反応残基としては、2,11-ジヒドロキシ-4,9-ジオキサドデシレン{-CH2CH(OH)CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH(OH)CH2-}、2,6,10-トリヒドロキシ-4,8-ジオキサウンデシレン{-CH2CH(OH)CH2OCH2CH(OH)CH2OCH2CH(OH)CH2-}、2,10-ジヒドロキシ-4,8-ジオキサ-6,6-ジメチルウンデシレン{-CH2CH(OH)CH2OCH2C(CH3)2CH2OCH2CH(OH)CH2-}、2,13-ジヒドロキシ-4,11-ジオキサテトラデシレン{-CH2CH(OH)CH2OCH2CH2CH2CH2CH2CH2OCH2CH(OH)CH2-}、2,10-ジヒドロキシ-4,8-ジオキサ-6-ヒドロキシメチル-6-エチルウンデシレン{-CH2CH(OH)CH2OCH2C(C2H5)(CH2OH)CH2OCH2CH(OH)CH2-}、2,10-ジヒドロキシ-4,8-ジオキサ-6,6-ビスヒドロキシメチルウンデシレン{-CH2CH(OH)CH2OCH2C(CH2OH)2CH2OCH2CH(OH)CH2-}、及びポリオキシアルキレン(グリコール/アルキレンオキシド付加物等、炭素数4~44、アルキレンの炭素数は2~4)ジグリシジルエーテルの反応残基等が挙げられる。
【0017】
一般式(2)及び(3)において、非還元性の二又は三糖類のt個の1級水酸基から水素原子を除いた残基(Q)を構成することができる二又は三糖類としては、蔗糖(サッカロース)、トレハロース、イソトレハロース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース及びプランテオースが含まれる。これらのうち、消泡性の観点から、蔗糖、トレハロース、ゲンチアノース、ラフィノース及びプランテオースが好ましく、さらに好ましくは蔗糖及びラフィノースであり、供給性及びコスト等の観点から特に好ましくは蔗糖である。
【0018】
炭素数2~15のアルキレン又はアリーレン(R1)のうち、アルキレンとしては、炭素数2~9のアルキレン等が用いられ、エチレン、3-オキサペンチレン(-CH2CH2OCH2CH2-)、プロピレン、3-オキサ-2,4-ジメチルペンチレン(-CH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2-)、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、メチレンシクロへキシレンメチレン(-CH2C6H10CH2-)、メチルシクロヘキシレン及びトリメチルシクロヘキシレン等が挙げられる。
【0019】
(R1)のうち、アリーレンとしては、炭素数6~15のアリーレン等が用いられ、フェニレン、メチルフェニレン、エチルフェニレン、テトラメチルフェニレン、キシリレン、ナフチレン、ビフェニリレン、ジメチルビフェニリレン、アントリレン、フェナントリレン、-(ph)-CH2-(ph)-で表される基、-(ph)-C(CH3)2-(ph)-で表される基、-(ph)-CH2CH2-(ph)-で表される基及び-CH2-(ch)-CH2-で表される基等が挙げられる(phはフェニレン基を、chはシクロヘキシレン基を表す)。
【0020】
これらの(R1)のうち、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン及び-(ph)-C(CH3)2-(ph)-で表される基が好ましく、さらに好ましくはプロピレンである。
【0021】
一般式(2)~(4)において、炭素数2~4のオキシアルキレン基(OA)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン及びこれらの混合等が挙げられる。これらのうち、ハジキ抑制の観点から、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましく、さらに好ましくはオキシプロピレンとオキシエチレンとの混合である。また、消泡性の観点から、オキシプロピレン及びオキシブチレンが好ましく、さらに好ましくはオキシプロピレンとオキシブチレンとの混合である。
【0022】
(OA)n又は(OA)m内に複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、これらのオキシアルキレン基の結合順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び含有割合に制限はない。
【0023】
一般式(2)、(3)において、オキシプロピレン及び/又はオキシブチレンと、オキシエチレンとを含む場合、オキシエチレンの含有割合(モル%)は、オキシアルキレン基の全モル数に基づいて、4~10が好ましく、さらに好ましくは4~8である。また、この場合、反応残基(Q)から離れた端部にオキシプロピレン及び/又はオキシブチレンが位置することが好ましい。すなわち、(OA)nにオキシエチレン基を含む場合、反応残基(Q)にオキシエチレン基が直接的に結合していることが好ましい。また、(OA)nに複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、ブロック状又はランダム状のいずれを含んでいても差し支えない。
【0024】
一般式(4)において、オキシプロピレン及び/又はオキシブチレンと、オキシエチレンとを含む場合、オキシエチレンの含有割合(モル%)は、オキシアルキレン基の全モル数に基づいて、5~20が好ましく、さらに好ましくは10~15である。また、この場合、アルキレン又はアリーレン(R1)から離れた端部にオキシエチレンが位置することが好ましい。すなわち、(OA)mにオキシエチレン基を含む場合、(R1)から離れた端部にオキシエチレン基が結合していることが好ましい。また、(OA)mに複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、ブロック状又はランダム状のいずれを含んでいても差し支えない。
【0025】
nは、2~30の整数が好ましく、さらに好ましくは2~18の整数、特に好ましくは5~18の整数、最も好ましくは5~15の整数である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0026】
tは、2~4の整数が好ましく、さらに好ましくは3である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0027】
mは、1~20の整数が好ましく、さらに好ましくは2~18の整数、特に好ましくは4~18の整数、最も好ましくは4~16の整数である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0028】
S1単位又はS2単位に含まれるOAの総数は、それぞれ、10~50の整数が好ましく、さらに好ましくは15~45の整数、特に好ましくは15~40の整数、最も好ましくは20~35の整数である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0029】
一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(A)は公知の方法で製造でき、たとえば、非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部と、炭素数2~4のアルキレンオキシド(a2)10~50モル部の化学反応から化合物(a12)を得る工程(1);
炭素数2~15のグリコール(a3)1モル部と炭素数2~4のアルキレンオキシド(a2)4~40モル部との化学反応から化合物(a32)を得る工程(2);
化合物(a12)1モル部と、化合物(a32)0.5~0.75モル部と、炭素数10~50のジグリシジルエーテル(a4)1~1.5モル部との化学反応からポリオキシアルキレン化合物(A)を得る工程(3)を含む方法が含まれる。すなわち、これらの化学反応により製造されるポリオキシアルキレン化合物(A)は、オキシアルキレン基やn、m、qの数等に分布を生じる場合があり、この場合、厳密には複数種類のポリオキシアルキレン化合物の混合物となり、この混合物の中に、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物が含まれるものである。
【0030】
化合物(a12)を得る工程(1)において、アルキレンオキシド(a2)の使用量(モル部)としては、非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部に対して、10~50が好ましく、さらに好ましくは15~45、特に好ましくは15~40、最も好ましくは20~35である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0031】
化合物(a32)を得る工程(2)において、アルキレンオキシド(a2)の使用量(モル部)としては、炭素数2~15のグリコール(a3)1モル部に対して、4~40モルが好ましく、さらに好ましくは4~36、特に好ましくは8~36、最も好ましくは8~32である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0032】
ポリオキシアルキレン化合物(A)を得る工程(3)において、化合物(a32)の使用量(モル部)としては、化合物(a12)1モル部に対して、0.5~0.75が好ましく、さらに好ましくは0.5~0.7、特に好ましくは0.55~0.7、最も好ましくは0.6~0.7である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。また、ジグリシジルエーテル(a4)の使用量(モル部)としては、化合物(a12)1モル部に対して、1~1.5が好ましく、さらに好ましくは1~1.4、特に好ましくは1.2~1.4、最も好ましくは1.2~1.35である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0033】
非還元性の二又は三糖類(a1)としては、反応残基(Q)を構成することができる二又は三糖類と同じものが使用でき、好ましい範囲も同じである。
【0034】
アルキレンオキシド(a2)としては、炭素数2~4のアルキレンオキシド等が使用でき、エチレンオキシド(以下、EOと略す)、プロピレンオキシド(以下、POと略す)、ブチレンオキシド(以下、BOと略す)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、ハジキ抑制の観点から、EO及びPOが好ましく、さらに好ましくはPOとEOとの混合である。また、消泡性の観点から、PO及びBOが好ましく、さらに好ましくはPOとBOとの混合である。
【0035】
複数種類のアルキレンオキシドを使用する場合、これらのアルキレンオキシドの結合順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び含有割合には制限はない。
【0036】
工程(1)の非還元性の二又は三糖類(a1)及びアルキレンオキシド(a2)の化学反応において、複数種類のアルキレンオキシドを用いる場合、反応させる順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び使用割合には制限ないが、ブロック状又はブロック状とランダム状の組合せを含むことが好ましい。また、EOを含有する場合、EOの使用割合(モル%)は、アルキレンオキシドの全モル数に基づいて、4~10が好ましく、さらに好ましくは4~8である。EOと、PO又は/及びBOとを含む場合、二又は三糖類(a1)とEOとの反応後にPO及び/又はBOを反応させることが好ましい。
【0037】
工程(2)の炭素数2~15のグリコール(a3)とアルキレンオキシド(a2)の化学反応において、複数種類のアルキレンオキシドを用いる場合、反応させる順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び使用割合には制限ないが、ブロック状又はブロック状とランダム状の組合せを含むことが好ましい。EOを使用する場合、EOの使用割合(モル%)は、アルキレンオキシドの全モル数に基づいて、5~20が好ましく、さらに好ましくは10~15である。また、この場合、PO及び/又はBOを反応させてから、EOを反応させることが好ましい。
【0038】
炭素数2~15のグリコール(a3)としては、アルキレンジオール{エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキシルグリコール、メチルシクロヘキシルグリコール、トリメチルヘキシルグリコール及びジ(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等}及びアリーレンジオール{ヒドロキノン、カテコール、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、テトラメチルヒドロキノン、キシリレングリコール、ナフタレングリコール、ビフェニルグリコール、ジメチルビフェニルグリコール、アントラセンビフェニル、フェナントレンビフェニル、ビスフェノールF{HO-C6H4-CH2-C6H4-OH }、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン{HO-C6H4-CH2CH2-C6H4-OH }及びビスフェノールA{HO-C6H4-C(CH3)2-C6H4-OH }等}等が挙げられる。これらのうち、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びビスフェノールAが好ましく、さらに好ましくはプロピレングリコールである。
【0039】
炭素数10~50のジグリシジルエーテル(a4)としては、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル及びペンタエリスリトールジグリシジルエーテル等が挙げられ、さらにポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテル(ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリオキシテトラメチレンエーテルグリコールジグリシジルエーテル等のうち炭素数が10~50のもの)等が挙げられる。これらのうち、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテルが好ましく、さらに好ましくはポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0040】
非還元性の二又は三糖類(a1)及びアルキレンオキシド(a2)の化学反応、並びに炭素数2~15のグリコール(a3)及び(a2)の化学反応は、アニオン重合、カチオン重合又は配位アニオン重合等のいずれの形式で実施してもよい。また、これらの重合形式は単独でも、重合度等に応じて組み合わせて用いてもよい。
【0041】
アルキレンオキシド(a2)との化学反応には反応触媒が使用できる。なお、反応溶媒として以下に説明するアミドを用いる場合、反応触媒を用いる必要がない。
【0042】
反応触媒としては、通常使用されるアルキレンオキシド付加反応用触媒等が使用でき、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ金属のアルコラート(カリウムメチラート及びセシウムエチラート等)、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸セシウム及び炭酸バリウム等)、炭素数3~24の第3級アミン(トリメチルアミン、トリオクチルアミン、トリエチレンジアミン及びテトラメチルエチレンジアミン等)、及びルイス酸(塩化第二錫及びトリフッ化ホウ素等)等が用いられる。これらのうち、アルカリ金属の水酸化物及び第3級アミンが好ましく、さらに好ましくは水酸化カリウム、水酸化セシウム及びトリメチルアミンである。
【0043】
反応触媒を使用する場合、その使用量(重量%)は、非還元性の二又は三糖類(a1)及びアルキレンオキシド(a2)の合計重量、又はグリコール(a3)及びアルキレンオキシド(a2)の合計重量に基づいて、0.05~2が好ましく、さらに好ましくは0.1~1、特に好ましくは0.2~0.6である。
【0044】
反応触媒を使用する場合、反応触媒は反応生成物から除去することが好ましく、その方法としては、合成アルミノシリケート等のアルカリ吸着剤{例えば、商品名:キョーワード700、協和化学工業株式会社、「キョーワード」は同社の登録商標である}を用いる方法(特開昭53-123499号公報等)、キシレン又はトルエン等の溶媒に溶かして水洗する方法(特公昭49-14359号公報、対応する米国出願;US3582491A等)、イオン交換樹脂を用いる方法(特開昭51-23211号公報等)及びアルカリ性触媒を炭酸ガスで中和して生じる炭酸塩を濾過する方法(特公昭52-33000号公報)等が挙げられる。
【0045】
反応触媒の除去の終点としては、CPR(Controlled Polymerization Rate)値が20以下であることが好ましく、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは2以下である。なお、CPRは、JIS K1557-4:2007(対応する国際規格;ISO14899:2001)に準拠して測定される。
【0046】
反応容器としては、加熱、冷却及び撹拌が可能な耐圧性反応容器を用いることが好ましい。反応雰囲気としては、アルキレンオキシド(a2)を反応系に導入する前に反応装置内を真空又は乾燥した不活性気体(アルゴン、窒素及び二酸化炭素等)の雰囲気とすることが好ましい。また、反応温度(℃)としては80~150が好ましく、さらに好ましくは90~130である。反応圧力(ゲージ圧:MPa)は0.8以下が好ましく、さらに好ましくは0.5以下である。
【0047】
反応終点の確認は、次の方法等により行うことができる。すなわち、反応温度を15分間一定に保ったとき、反応圧力(ゲージ圧)の低下が0.001MPa以下となれば反応終点とする。所要反応時間は通常4~12時間である。
【0048】
非還元性の二又は三糖類(a1)及びアルキレンオキシド(a2)の化学反応には、反応溶媒を用いることが好ましい。反応溶媒としては、活性水素を持たないものが好ましく、さらに好ましくは非還元性の二又は三糖類(a1)、アルキレンオキシド(a2)及びこれらの反応により生成する生成物(a12)を溶解するものが好ましい。
【0049】
このような反応溶媒としては、炭素数3~8のアルキルアミド及び炭素数5~7の複素環式アミド等が使用できる。
【0050】
アルキルアミドとしては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-N-プロピルアセトアミド及び2-ジメチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール等が挙げられる。
【0051】
複素環式アミドとしては、N-メチルピロリドン、N-メチル-ε-カプロラクタム及びN,N-ジメチルピロールカルボン酸アミド等が挙げられる。
【0052】
これらのうち、アルキルアミド及びN-メチルピロリドンが好ましく、さらに好ましくはDMF、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン、特に好ましくはDMF及びN-メチルピロリドン、最も好ましくはDMFである。
【0053】
反応溶媒を用いる場合、その使用量(重量%)は、二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との反応により生成する化合物(a12)の重量に基づいて、20~200が好ましく、さらに好ましくは40~180、特に好ましくは60~150である。
【0054】
反応溶媒を用いた場合、反応後に反応溶媒を除去することが好ましい。反応溶媒の残存量(重量%)は、ポリオキシアルキレン化合物(A)の重量に基づいて、0.1以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.01以下である。なお、反応溶媒の残存量は、内部標準物質を用いるガスクロマトグラフィー法にて求めることができる。
【0055】
反応溶媒の除去方法としては、減圧留去及び吸着除去等が適用でき、減圧留去した後さらに吸着除去することが好ましい。
【0056】
減圧留去する条件としては、0.6~27kPaの減圧下にて100~150℃にて留去する条件等が適用できる。吸着除去としては、合成アルミノシリケート等のアルカリ吸着剤{例えば、商品名:キョーワード700、協和化学工業株式会社}を用いて処理する方法等が適用できる。例えば、キョーワード700を用いる場合、アルカリ吸着剤の添加量(重量%)は、化合物(a12)の重量に基づいて、0.1~10程度、処理温度は60~120℃程度、処理時間は0.5~5時間程度である。続いてろ紙又はろ布等を用いてろ別してアルカリ吸着剤を取り除くことにより、反応溶媒の残存量を減少させることができる。
【0057】
工程(3)の化学反応(エポキシ開環反応)には、反応触媒を用いることができ、このような触媒としては、アルキレンオキシド(a2)の付加反応に用いられるものと同一であり、公知の触媒(特開2004-224945号公報等)等が適用できる。
【0058】
化合物(a12)と、化合物(a32)と、ジグリシジルエーテル(a4)との反応は、非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との反応と同じであり、反応装置、触媒及びその除去も同様である。
【0059】
一般式(5)において、炭素数3~24の活性水素化合物から水素原子を除いた反応残基(R2)を構成することができる活性水素化合物としては、水酸基(-OH)、イミノ基(-NH-)、アミノ基(-NH2)及び/又はカルボキシル基(-COOH)を少なくとも1個含む化合物が含まれ、アルコール、アミド、アミン、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸及びアミノカルボン酸が含まれる。
【0060】
アルコールとしては、モノオール(イソプロピルアルコール、ブタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール及びイソステアリルアルコール等)及びポリオール(プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、テトラグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)等が挙げられる。また、これら以外に非還元性の二又は三糖類も含まれる。
【0061】
アミドとしては、モノアミド(プロピオン酸アミド、ブタン酸アミド及びステアリルアミド等)及びポリアミド(マロン酸ジアミド、エチレンビスブチルアミド及びエチレンビスオクチルアミド等)等が挙げられる。
【0062】
アミンとしては、モノアミン(イソプロピルアミン、ジエチルアミン、アニリン及びステアリルアミン等)及びポリアミン(プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン及びトリエチレンテトラミン等)等が挙げられる。
【0063】
カルボン酸としては、モノカルボン酸(プロピオン酸、ブタン酸、ステアリン酸、オレイン酸及び安息香酸等)及びポリカルボン酸(マロン酸、マレイン酸、ヘキサン二酸及びベンゼンジカルボン酸等)等が挙げられる。
【0064】
ヒドロキシカルボン酸としては、3-ヒドロキシプロピオン酸、酒石酸、リンゴ酸及び12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0065】
アミノカルボン酸としては、アラニン、4-アミノ酪酸、6-アミノヘキサン酸及び12-アミノラウリン酸等が挙げられる。
【0066】
水素原子又は炭素数4~23のアシル基(X)のうち、炭素数4~23のアシル基としては、飽和アシル基及び不飽和アシル基が含まれる。
【0067】
飽和アシル基としては、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル、イコサノイル、エイコサノイル、ヘンイコサノイル、ヘンエイコサノイル、ドコサノイル、トリコサノイル、シクロペンタノイル、シクロヘキサノイル、シクロヘプタノイル、メチルシクロペンタノイル、メチルシクロヘキサノイル及びメチルシクロヘプタノイル等が挙げられる。
【0068】
不飽和アシル基としては、クロトノイル、イソクロトノイル、ブテノイル、ブタジエノイル、ペンテノイル、ヘキセノイル、ヘプテノイル、オクテノイル、ノネノイル、デセノイル、ウンデセノイル、ドデセノイル、テトラデセノイル、オレロイル、エライジノイル、シクロペンテノイル、2,4-シクロペンタジエノイル、シクロヘキセノイル、2,4-シクロヘキサジエノイル、シクロヘプテノイル、メチルシクロペンテノイル、メチルシクロヘキセノイル及びメチルシクロヘプテノイル等が挙げられる。
【0069】
これらのうち、炭素数10~20のアシル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数12~18のアシル基である。
【0070】
一般式(5)において、炭素数2~4のオキシアルキレン基(OA)のうち、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましく、さらに好ましくはオキシプロピレンとオキシエチレンとの混合である。
【0071】
(OA)a内に複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、これらのオキシアルキレン基の結合順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び含有割合に制限はないが、ブロック状又はブロック状とランダム状の組合せを含むことが好ましく、さらに好ましくはブロック状を含むことである。
【0072】
aは、1~50の整数であり、好ましくは2~40の整数、さらに好ましくは4~30の整数である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0073】
bは、1~6の整数であり、好ましくは1~4の整数、さらに好ましくは1~3の整数である。
【0074】
一般式(5)で表される化合物(B)は、公知の方法(アルキレンオキシド付加反応及びエステル化反応等)で容易に得ることができる。たとえば、化合物(B)は、炭素数4~24の活性水素化合物と炭素数2~4のアルキレンオキシドとの化学反応により得た化合物と、カルボン酸との化学反応により容易に得ることができる。
【0075】
ポリオキシアルキレン化合物(A)と化合物(B)との重量比{(A):(B)}は50:50~1:99が好ましく、さらに好ましくは40:60~10:90、特に好ましくは30:70~20:80である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0076】
本発明の消泡剤は、疎水性液体(C)を含むことが好ましい。疎水性液体(C)としては、鉱物油、動植物油、シリコーンオイルが含まれる。
【0077】
鉱物油としては、公知の鉱物油が含まれ、スピンドル油、マシン油及び冷凍機油等の他、合成潤滑油{ポリオレフィン油(α―オレフィン油)、ポリグリコール油、ポリブテン油、アルキルベンゼン油(アルキレート油)及びイソパラフィン油等}が挙げられる。
【0078】
鉱物油の動粘度(mm2/s;40℃)は、0.5~140が好ましく、さらに好ましくは1~40、特に好ましくは4~35である。
【0079】
動粘度は、JIS K2283:2000「原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」(対応する国際規格;ISO2909:1981及びISO3104:1994)に準拠して測定できる(以下同じである。)。
【0080】
鉱物油は、市場から容易に入手でき、商品名として(かっこ内の数字は「動粘度(mm2/s、40℃)」を表す。)、コスモSC22(21)、コスモSP10(10)、コスモRCスピンドル油(10)、コスモRBスピンドル油(15)、コスモニュートラル150(32)、コスモピュアスピンG(21)及びコスモピュアスピンE(5)(コスモ石油ルブリカンツ株式会社、「コスモ」は、コスモ石油株式会社の登録商標である。);日石スーパーオイルC(93)、日石スーパーオイルD(141)及び日石スーパーオイルB(54)(新日本石油株式会社);スタノール43N(27)、スタノール52(56)、スタノール69(145)、スタノール35(9)及びスタノールLP35(11)(エッソ石油株式会社);並びにフッコールSHスピン(9)、フッコールNT100(21)、フッコールNT150(28)、フッコールNT200(39)、フッコールNT60(10)及びフッコールSTマシン(9)(富士興産株式会社、「フッコール」は新日本石油株式会社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0081】
動植物油としては公知の動植物油が含まれ、魚油、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、トウモロコシ油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油及びパーム核油等が挙げられる。
【0082】
動植物油は、市場から容易に入手でき、商品名として、ファインオイルN、ファインオイルLR-1、ファインオイルISB-12(ミヨシ油脂株式会社)等が挙げられる。
【0083】
シリコーンとしては、ジメチルシリコーン及びポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。シリコーンの動粘度(mm2/s;25℃)は、10~6万が好ましく、さらに好ましくは100~1万、特に好ましくは500~5千である。
【0084】
変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサンのメチル基の一部をアルコキシポリオキシアルキレンオキシプロピル基(アルコキシの炭素数1~6、アルキレンの炭素数2~3、重合度2~50)や、アルコキシポリオキシアルキレン基(アルコキシの炭素数1~6、アルキレンの炭素数2~3、重合度2~50)等に置き換えたものが含まれる。
【0085】
シリコーンは、市場から容易に入手でき、商品名として(かっこ内の数字は「動粘度(mm2/s、25℃)」を表す。)、KF-96(2500)KF-352A(1600)及びKF-615A(920)(信越化学工業株式会社);DOWSIL SH 8700 Fluid(1300)及びDOWSIL SF 8410 Fluid(2900)(東レ・ダウコーニング株式会社、「DOWSIL」はザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの登録商標である);WACKER SILICONE FLUID AKF100~10000(100~10000)及びWACKER TN(1200)(旭化成ワッカーシリコーン株式会社、「WACKER」はワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフトの登録商標である)等が挙げられる。
【0086】
疎水性液体(C)には、ワックス(酸化ポリエチレン等)、アミド(脂肪酸ポリアミド等)、金属石鹸(脂肪酸アルミニウム等)や疎水シリカ等を含有してもよい。
【0087】
疎水性液体(C)の粘度(25℃、B形粘度、mPa・s、60rpm)は、10~6.5×104が好ましく、さらに好ましくは100~1.0×104である。
【0088】
粘度は、JIS K7117-1:1999「プラスチック-液状,乳濁状又は分散状の樹脂-ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定方法」(対応する国際規格;ISO2555:1990)に準拠して測定できる。
【0089】
疎水性液体を含む場合、疎水性液体(C)の含有量(重量部)は、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(A)と一般式(5)で表される化合物(B)の合計重量100重量部に対して、20~10000が好ましく、さらに好ましくは500~3000、特に好ましくは1000~2000である。
【0090】
本発明の消泡剤には、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(A)と一般式(5)で表される化合物(B)と疎水性液体(C)以外に、公知の添加剤(粘度調整剤、湿潤剤、分散剤、造膜調整剤等)及び/又は溶媒等を含有させることができる。
【0091】
粘度調整剤としては、SNシックナー630及び同612(サンノプコ株式会社)等、湿潤剤としてはSNウエット125、同126、同366、同980及び同984(サンノプコ株式会社)等、分散剤としては、SNディスパーサント9228、カラースパース188A(サンノプコ株式会社)等、造膜調整剤としては、テキサノール(イーストマンケミカル社、「テキサノール」は吉村油化学株式会社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0092】
これらの添加剤を含有する場合、これらの含有量(重量%)は、ポリオキシアルキレン化合物(A)及び化合物(B)の重量に基づいて、0.01~150が好ましい。
【0093】
溶媒としては、水及び水溶性有機溶剤等を用いることができる。水としては、イオン交換水、蒸留水、水道水及び工業用水等が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、炭素数1~3のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)、炭素数3~6のケトン(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、炭素数2~6のエーテル(ジメチルエーテル、エチルセルソルブ及びブチルセルソルブ等)及び炭素数4~6のエーテルエステル(ブチルセルソルブアセテート等)等が挙げられ、これらを併用してもよい。
【0094】
溶媒を含有する場合、この含有量(重量%)は、ポリオキシアルキレン化合物(A)及び化合物(B)の重量に基づいて、1~300重量%が好ましい。
【0095】
本発明の消泡剤は、上記のポリオキシアルキレン化合物(A)及び化合物(B)を含有していれば、製造方法に制限はない。また、疎水性液体(C)、添加剤及び/又は溶媒等を含む場合、これらとポリオキシアルキレン化合物(A)及び化合物(B)とが均一混合できれば製造方法に制限はない。
【0096】
本発明の消泡剤は、塗料用の消泡剤や各種製造工程用の消泡剤として適用できる。これらのうち、塗料用の消泡剤として適しており、さらに水系コーティング組成物用の消泡剤として好適である。
【0097】
本発明の消泡剤を塗料に適用する場合、消泡剤は、(1)顔料分散時及び/又は(2)塗料作成後に添加する方法等が挙げられる。また、各種製造工程に適用する場合、消泡剤は、(1)原料の供給と共に、(2)加熱及び/若しくは減圧処理前に、並びに/又は(3)最終仕上げ工程等に添加する方法のいずれでもよい。
【0098】
本発明の消泡剤の添加量は、適用対象、用途等により適宜決定でき、たとえば、水系コーティング組成物用の消泡剤として使用する場合、上記の消泡剤の含有量(重量%)は、水系コーティング材の重量に基づいて、0.05~5が好ましく、さらに好ましくは0.1~4.5、特に好ましくは0.15~4、最も好ましくは0.2~3である。この範囲であると、消泡性及びハジキの抑制がさらに良好となる。
【0099】
水系コーティング組成物に含まれる水系コーティング材としては、アクリルバインダー、酢酸ビニルバインダー、スチレンバインダー、ハロゲン化オレフィンバインダー、ウレタンバインダー、アクリル-シリコーンバインダー、エポキシバインダー又はフッ素バインダー等が挙げられる。
【0100】
水系コーティング組成物は、通常の方法により被塗装体に塗装することができ、ハケ塗り、ローラー塗装、エアスプレー塗装、エアレス塗装、ロールコーター塗装及びフローコーター塗装等の塗装方法等が適用できるが、特にハケ塗り及びローラー塗装時にその効果が顕著である。
【実施例】
【0101】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0102】
<製造例1>
耐圧反応容器に、精製グラニュー糖{台糖株式会社、蔗糖}342部(1モル部)及びN,N-ジメチルホルムアミド{三菱ガス化学株式会社、DMF、以下同じ}1000部を加えた。次いで窒素ガスを用いて、ゲージ圧で0.4MPaになるまで加圧し0.02MPaになるまで排出する操作を3回繰り返した(以下、「窒素置換」と略す)。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にて(PO)580部(10モル部)を4時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続け残存するPOを完全に反応させた(以下、残存するPO等を完全に反応させる操作の記載を「反応させた」と略す)。次いでオイル拡散式真空ポンプ{MODEL SW-150、佐藤真空株式会社}を用い、120℃にて1.3~13kPaの減圧下にてDMFを除去(以下、「DMFを除去」と略す)し、蔗糖/PO10モル付加物(S1)を得た。
【0103】
<製造例2>
耐圧反応容器に、ラフィノース{試薬特級、富士フイルム和光純薬工業株式会社}504部(1モル部)及びDMF1500部を加えて「窒素置換」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、同温度にて(PO)464部(8モル部)を滴下し、「反応させた」。さらに同温度にて(EO)132部(3モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「DMFを除去」し、ラフィノース/PO8モル/EO3モル付加物(S2’)を得た。
【0104】
耐圧反応容器に、ラフィノース/PO8モル/EO3モル付加物(S2’)1100部(1モル)及び水酸化カリウム{試薬特級、富士フィルム和光純薬工業株式会社、使用量は水分を除いた純分換算量で表示した。以下同じ。}6.0部を加えて「窒素置換」した後、さらに120℃にてオイル拡散式真空ポンプを用いて0.6~1.3kPaの減圧下にて脱水した(以下、「脱水」と略す)。次いで減圧のまま100℃にて、(PO)1972(34モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで90℃にて脱イオン水50部を加えた後、キョーワード700{協和化学工業株式会社}40部を加え、同温度にて1時間攪拌し、同温度にてNo.2濾紙{東洋濾紙株式会社}を用いて濾過してキョーワード700を取り除き、さらに1.3~2.7kPaの減圧下120℃にて1時間脱水(以下、「キョーワード処理」と略する。)して、ラフィノースPO8モル/EO3モル/PO34モル付加物(S2)を得た。
【0105】
<製造例3>
耐圧反応容器に、蔗糖/PO10モル付加物(S1)922部(1モル部)及び水酸化カリウム2.0部を加えて「窒素置換」し、さらに「脱水」した。次いで減圧のまま100℃にて、(PO)290部(5モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、蔗糖/PO15モル付加物(S3)を得た。
【0106】
<製造例4>
耐圧反応容器に、蔗糖/PO10モル付加物(S1)922部(1モル)及び水酸化カリウム3.0部を加えて「窒素置換」し、さらに「脱水」した。次いで減圧のまま100℃にて、(PO)580部(10モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、蔗糖/PO20モル付加物(S4)を得た。
【0107】
<製造例5>
耐圧反応容器に、蔗糖/PO10モル付加物(S1)922部(1モル)及び水酸化カリウム4.0部を加えて「窒素置換」し、さらに「脱水」した。次いで減圧のまま100℃にて、(PO)1160部(20モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、蔗糖/PO30モル付加物(S5)を得た。
【0108】
<製造例6>
耐圧反応容器に、蔗糖/PO10モル付加物(S1)922部(1モル)及び水酸化カリウム5.0部を加えて「窒素置換」し、さらに「脱水」した。次いで減圧のまま100℃にて、(PO)1450部(25モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、蔗糖/PO35モル付加物(S6)を得た。
【0109】
<製造例7>
耐圧反応容器に、精製グラニュー糖342部(1モル部)及びDMF1500部を加えて「窒素置換」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、同温度にて(EO)88部(2モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで同温度にて(PO)1334部(23モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「DMFを除去」し、蔗糖/EO2モル/PO23モル付加物(S7)を得た。
【0110】
<製造例8>
耐圧反応容器に、蔗糖/EO2モル/PO23モル付加物(S7)1764部(1モル)及び水酸化カリウム7.0部を加えて「窒素置換」し、さらに「脱水」した。次いで減圧のまま100℃にて、(PO)1450部(25モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、蔗糖/EO2モル/PO48モル付加物(S8)を得た。
【0111】
<製造例9>
耐圧反応容器に、精製グラニュー糖342部(1モル部)及びDMF1500部を加えて「窒素置換」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、同温度にて(PO)1740部(30モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで同温度にて(BO)360部(5モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「DMFを除去」し、蔗糖/PO30モル/BO5モル付加物(S9)を得た。
【0112】
<製造例10>
耐圧反応容器に、ジエチレングリコール{試薬特級、富士フイルム和光純薬工業株式会社、以下、「deg」と略す}106部(1モル部)及び水酸化カリウム1.0部を投入した後、「窒素置換」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にて(PO)116部(2モル部)を、さらに(BO)144部(2モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、deg/PO2モル/BO2モル付加物(P1)を得た。
【0113】
<製造例11>
耐圧反応容器に、deg106部(1モル部)及び水酸化カリウム3.0部を投入した後、「窒素置換」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にて(PO)1305部(22.5モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで(EO)110部(2.5モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、deg/PO22.5モル/EO2.5モル付加物(P2)を得た。
【0114】
<製造例12>
耐圧反応容器に、ジプロピレングリコール{試薬特級、富士フイルム和光純薬工業株式会社、以下、「dpg」と略す}134部(1モル部)及び水酸化カリウム1.5部を投入した後、「窒素置換」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にて(PO)464部(8モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、dpg/PO8モル付加物(P3)を得た。
【0115】
<製造例13>
耐圧反応容器に、dpg134部(1モル部)及び水酸化カリウム4.0部を投入した後、「窒素置換」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にて(PO)1856部(32モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、dpg/PO32モル付加物(P4)を得た。
【0116】
<製造例14>
耐圧反応容器に、dpg/PO32モル付加物(P4)1990部(1モル部)及び水酸化カリウム5部を投入した後、「窒素置換」し、ついで「脱水」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にて(PO)232部(4モル部)を滴下し、「反応させた」。さらに(EO)176部(4モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、dpg/PO36モル/EO4モル付加物(P5)を得た。
【0117】
<製造例15>
耐圧反応容器に、dpg/PO8モル付加物(P3)598部(1モル部)及び水酸化カリウム2部を投入した後、「窒素置換」し、さらに「脱水」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にて(PO)290部(5モル部)を滴下し、「反応させた」。さらに(EO)88部(2モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、dpg/PO13モル/EO2モル付加物(P6)を得た。
【0118】
<製造例16>
耐圧反応容器に、ヘキサメチレングリコール{試薬特級、富士フイルム和光純薬工業株式会社、以下、「hg」と略す}118部(1モル部)及び水酸化カリウム1.5部を投入した後、「窒素置換」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にて(PO)986部(17モル部)を滴下し、「反応させた」。さらに(EO)132部(3モル部)を滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、hg/PO17モル/EO3モル付加物(P7)を得た。
【0119】
<製造例17>
耐圧反応容器に、ジプロピレングリコール{試薬特級、富士フイルム和光純薬工業株式会社、以下、「dpg」と略す}134部(1モル部)及び水酸化カリウム1.5部を投入した後、「窒素置換」した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にて(PO)464部(8モル部)を滴下し、「反応させた」。さらに(EO)264部(6モル部)を滴下し、「反応させ」、dpg/PO8モル/EO6モル付加物(P9)(EO3モル/PO10モル/EO3モルのプルロニックグリコール)を得た。次いで水酸化カリウム112.2部(2モル部)を50%水溶液として投入した後、脱水した。さらにエピクロルヒドリン{鹿島ケミカル株式会社}189.6部(2.05モル部)を攪拌下40℃にて3時間で滴下した。さらに同温度にて3時間攪拌した後「キョーワード処理」して、プルロニックグリコール(EO3モル/PO10モル/EO3モル)ジグリシジルエーテル(g1)を得た。このジグリシジルエーテル(g1)のエポキシ当量は480(g/eq)であった。なお、エポキシ当量は、JIS K7236:2001(対応する国際規格;ISO3001:1999)に準拠して測定した(以下、同じである。)。
【0120】
<製造例18>
耐圧反応容器に、製造例1で得た蔗糖/PO10モル付加物(S1)2766部(3モル部)、製造例10で得たdeg/PO2モル/BO2モル付加物(P1)732部(2モル部)及び水酸化カリウム7.3部(合計仕込み量のおよそ0.1%量)を仕込み脱水した。その後、製造例17で得たプルロニックグリコール(EO3モル/PO10モル/EO3モル)ジグリシジルエーテル(g1)3840部(4モル部)を加え130℃にて6時間反応させ、次いで「キョーワード処理」してポリオキシアルキレン化合物(A1)を得た。
【0121】
<製造例19~29>
「蔗糖/PO10モル付加物(S1)2766部(3モル部)」、「deg/PO2モル/BO2モル付加物(P1)732部(2モル部)」及び「プルロニックグリコール(EO3モル-PO10モル-EO3モル)ジグリシジルエーテル(g1)3840部(4モル部)」をそれぞれ表1に示した化合物及び使用モル数に変更したこと以外、製造例18と同様にして、ポリオキシアルキレン化合物(A2)~(A12)を得た。
なお、水酸化カリウムの使用量は、合計仕込み量のおよそ0.1%となるように調整した。
また、表中、(a12)が一般式(1)の「S1」及び「S2」を構成し、(a32)が一般式(1)の「P」を構成し、(a4)が一般式(1)の「G」を構成し、qは一般式(1)の「q」に対応する。
【0122】
【0123】
g2は1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル{エポゴーセーHD(M)、四日市合成株式会社、エポキシ当量150g/eq、「エポゴーセー」は同社の登録商標である}、g3はポリオキシプロピレングリコール(7モル)ジグリシジルエーテル{グリシエールPP-300P、三洋化成工業株式会社、エポキシ当量290g/eq、「グリシエール」は同社の登録商標である}であり、各エポキシ当量を2倍した数値をそれぞれの分子量としてモル数を算出した。
【0124】
<製造例30>
耐圧反応容器に、PGL 03P{ポリグリセリン:グリセリンの約3量体、水酸基価1120mgKOH/g:株式会社ダイセル}236部(1.0モル部)及び水酸化ナトリウム4部を投入した後、「脱水」した。次いで減圧のまま160℃にて、(EO)880部(20モル部)を3時間かけて滴下し、「反応させた」。次いで、「キョーワード処理」して、ポリオキシアルキレン化合物(B1’:ポリグリセリンEO20モル付加体)を得た。
【0125】
続いて、耐圧反応容器に、ポリオキシアルキレン化合物(B1’)1116部(1.0モル部)、ルナック L-98{花王株式会社、ラウリン酸(98%以上)、「ルナック」は同社の登録商標である。}800部(4モル部)及びメタンスルホン酸{試薬特級、富士フイルム和光純薬工業株式会社}4部を仕込み、「窒素置換」した後、150℃まで昇温した。次いで真空ポンプにより次第に減圧とし、0.6~1.3kPa、150℃×12時間反応させて、化合物(B1:ポリグリセリン/EO20モル付加体のラウリン酸4モル部分エステル化体)を得た。
【0126】
<製造例31>
「PGL 03P{ポリグリセリン:グリセリンの約3量体}236部(1.0モル部)」を「DG{日油株式会社、グリセリン(98.5%以上)}92部(1.0モル部)」に変更したこと、「(EO)880部(20モル部)」を「(PO)5220部(90モル部)」に変更したこと及び「ルナック L-98{ラウリン酸}800部(4モル部)」を「NAA34{日油株式会社、オレイン酸、「NAA」は同社の登録商標である。}847.5部(3モル部)」に変更したこと以外、製造例30と同様にして、化合物(B2:グリセリン/PO90モル付加体のオレイン酸3モルエステル化体)を得た。
【0127】
<製造例32>
「PGL 03P{ポリグリセリン:グリセリンの約3量体}236部(1.0モル部)」を「DG{日油株式会社、グリセリン(98.5%以上)}92部(1.0モル部)」に変更したこと及び「(EO)880部(20モル部)」を「(PO)2436部(42モル部)」に変更したこと以外、製造例30と同様にして、ポリオキシアルキレン化合物(B3’:グリセリン/PO42モル付加体)を得た後、耐圧反応容器に、ポリオキシアルキレン化合物B3’(グリセリン/PO42モル付加体)2528部(1モル部)及び水酸化ナトリウム6部を投入した後、「脱水」してから、(EO)660部(15モル部)を3時間かけて滴下し、「反応させた」。次いで「キョーワード処理」して、ポリオキシアルキレン化合物(B3’’:グリセリン/PO42モル/EO15モル付加体)を得た。
【0128】
続いて、耐圧反応容器に、ポリオキシアルキレン化合物(B3’’)3188部(1モル部)とNAA34{オレイン酸}847.5部(3モル部)及びメタンスルホン酸8部を仕込み、「窒素置換」したのち、150℃まで昇温した。次いで真空ポンプにより次第に減圧とし、0.6~1.3kPa、150℃×12時間反応させて、化合物(B3:グリセリン/PO42モル/EO15モル付加体のオレイン酸3モルエステル化体)を得た。
【0129】
<製造例33>
耐圧反応容器に、ニューポールPE-61{三洋化成工業株式会社:プルロニックグリコール(EO2.5モル/PO30モル/EO2.5モル)、「ニューポール」は同社の登録商標である。}1960部(1モル部)、ルナック S-98{花王株式会社、ステアリン酸(98%以上)、「ルナック」は同社の登録商標である。}569部(2モル部)及びメタンスルホン酸{試薬特級、富士フイルム和光純薬工業株式会社}5部を仕込み、「窒素置換」したのち、150℃まで昇温した。次いで真空ポンプにより次第に減圧とし、0.6~1.3kPa、150℃×12時間反応させた。次いで「キョーワード処理」して、化合物(B4:プルロニックグリコール(EO2.5モル/PO30モル/EO2.5モル)のステアリン酸2モルエステル化体)を得た。
【0130】
<製造例34>
「ニューポールPE-61{プルロニックグリコール(EO2.5モル/PO30モル/EO2.5モル}1960部(1モル部)」を「ニューポールLB-385{三洋化成工業株式会社:ブタノールのPO25モル付加体、「ニューポール」は同社の登録商標である。}1500部(1.0モル部)」に変更したこと及び「ルナック S-98{ステアリン酸}569部(2モル部)」を「NAA34{オレイン酸}282.5部(1モル部)」に変更したこと以外、製造例33と同様にして、化合物(B5:ブタノール/PO25モル付加体のオレイン酸1モルエステル化体)を得た。
【0131】
<製造例35>
低密度ポリエチレン{EPOLENE E10、酸価17mgKOH/g、ウエストレイク ロングビュー コーポレーション、「EPOLENE」は同社の登録商標である。}70部、コスモニュートラル 150{動粘度32mm2/s、コスモ石油ルブリカンツ株式会社、「コスモ」はコスモエネルギーホールディングス株式会社の登録商標である。}130部を攪拌しつつ100℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合液を得た後、20℃に調節したコスモニュートラル 150の800部を攪拌及び冷却しながら、これに混合液を投入し40℃以下で15分間攪拌した。その後、インペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーにて4000rpmにて15分間攪拌微細化処理して疎水性液体(C1)を得た。
【0132】
<製造例36>
脂肪酸アミド{エチレンビスステアリルアミド、アルフローH-50S、日油株式会社、「アルフロー」は同社の登録商標である。}5部とコスモピュアスピンE{動粘度4.5mm2/s、コスモ石油ルブリカンツ株式会社、「ピュアスピン」はコスモエネルギーホールディングス株式会社の登録商標である。}995部を150℃で均一混合した後、30℃まで撹拌しながら冷却して混合液を得た。その後、インペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーにて4000rpmにて15分間攪拌微細化処理して疎水性液体(C2)を得た。
【0133】
<製造例37>
NIPSIL SS-50{疎水性シリカ、東ソー・シリカ株式会社、M値60、平均粒径(コールターカウンター法}1.5μm、「Nipsil」は同社の登録商標である。}5部とKF-96-500CS{動粘度500mm2/s、ジメチルシリコーンオイル、信越化学工業株式会社}95部を30分間攪拌混合した後、ゴーリンホモジナイザー(マントンゴーリン社)を用いて3500psi(24.1MPa)にて均質化処理して、疎水性液体(C3)を得た。
【0134】
<製造例38>
「KF-96-500CS{ジメチルシリコーンオイル}」を「KF-96-5000CS{動粘度5000mm2/s、ジメチルシリコーンオイル}」に変更したこと以外、製造例37と同様にして、疎水性液体(C4)を得た。
【0135】
<製造例39>
「KF-96-500CS{ジメチルシリコーンオイル}」を「食用大豆油{動粘度32mm2/s、日清オイリオグループ株式会社}」に変更したこと以外、製造例37と同様にして、疎水性液体(C5)を得た。
【0136】
<実施例1>
製造例26で得たポリオキシアルキレン化合物(A9)20部及び製造例31で得た化合物(B2)80部を均一に撹拌混合して、本発明の消泡剤(DF1)を得た。
【0137】
<実施例2~3>
ポリオキシアルキレン化合物(A9)20部及び化合物(B2)80部を、表2に記載した種類及び使用量に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の消泡剤(DF2)~(DF3)を得た。
【0138】
<実施例4>
製造例18で得たポリオキシアルキレン化合物(A1)20部、製造例30で得た化合物(B1)80部及び製造例35で得た疎水性液体(C1)1000部を均一に撹拌混合して、本発明の消泡剤(DF4)を得た。
【0139】
<実施例5~19>
ポリオキシアルキレン化合物(A1)20部、化合物(B1)80部及び疎水性液体(C1)1000部を、表2に記載した種類及び使用量に変更したこと以外、実施例4と同様にして、本発明の消泡剤(DF5)~(DF19)を得た。
【0140】
【0141】
<比較例1>
特許文献1の表1の試料V6aの欄に準拠して比較用の消泡剤(H1)を調製した。
【0142】
実施例1~19及び比較例で得た消泡剤を用いて、以下の方法によりエマルション塗料を調製し、これらのエマルション塗料について、以下の方法により、消泡性及びハジキについて評価した。
【0143】
<評価>
1.エマルションベース塗料の調製
表3に記載した原料組成にて、インペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーを用いて、グラインディング及びレットダウンして、エマルションベース塗料を調製した。
【0144】
【0145】
※ 1 分散剤、サンノプコ株式会社
※ 2 増粘剤、サンノプコ株式会社
※ 3 酸化チタン、石原産業株式会社、「タイペーク」は同社の登録商標であ る。
※ 4 アクリルエマルション、DIC株式会社、「ボンコート」 は同社の登録商標である。
※ 5 防腐剤、サンノプコ株式会社
※ 6 造膜調整剤、イーストマンケミカル社、「テキサノール」は吉村油化学 株式会社の登録商標である。
【0146】
2.エマルション塗料の調製
エマルションベース塗料100部に、消泡剤(DF1)~(DF19)のいずれか又は比較用の消泡剤(H1)を0.2部加えて、コーレス型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーにて25℃、1000rpm、5分間攪拌混合して、各評価用エマルション塗料を得た。
【0147】
3.消泡性の評価
中毛ウールローラー(大塚刷毛製造株式会社)を用いて評価用エマルション塗料を15cm×15cmのブリキ板上にローラー塗装し、15秒後に写真撮影して、ブリキ板の中央部分(1.5cm×1.5cm)に発生した泡を目視で数えて表4に記載した。数が少ない方が消泡性優れることを意味する。
【0148】
4.ハジキの評価
中毛ウールローラー(大塚刷毛製造株式会社)を用いて評価用エマルション塗料を15cm×15cmのブリキ板上にローラー塗装した後、塗膜表面全体を観察し、目視にて、ハジキ痕の個数を数え、表4に記載した。なお、数値の小さい方がハジキが少ないことを意味し好ましい。
【0149】
【0150】
本発明の消泡剤を含有する水系コーティング組成物は、比較用の消泡剤を含有する水系コーティング組成物に比べ、ハジキ及び消泡性に優れ、塗料を塗布して得られた塗膜は、外観を損なうことがなかった。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の消泡剤は、ハジキを抑制し、且つ消泡性が飛躍的に改善できるため、あらゆる用途に用いることができる。特に水性発泡液に含有させると効果的であり、例えば、紙パルプ製造工業(パルプ化工程、抄紙工程及び塗工工程等)、建築工業(抄造工程等)、染料工業、染色工業、発酵工業、合成樹脂製造工業、合成ゴム製造工業、インキ、塗料工業及び繊維加工工業等の各種工程で発生する気泡に対して使用される消泡剤に適用することができる。これらのうち、塗料用消泡剤として適しており、さらに水性塗料(エマルション塗料)用消泡剤として好適である。