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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022007586
(22)【出願日】2022-01-21
(65)【公開番号】P2023106700
(43)【公開日】2023-08-02
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 倫也
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
【審査官】永田 美佐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086613(JP,A)
【文献】特開2020-010838(JP,A)
【文献】特開2014-014404(JP,A)
【文献】特開2010-069110(JP,A)
【文献】特開2015-002790(JP,A)
【文献】特開2018-042603(JP,A)
【文献】特開2013-039202(JP,A)
【文献】特開2019-126645(JP,A)
【文献】特開2020-031836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の選択肢が示される選択前状態の後、当該選択前状態にて示されたいずれか一種の前記選択肢が選択されたことを示す選択後状態に移行する選択演出として、
前記選択前状態にて示される複数種の前記選択肢のうちの一種を遊技者が任意に選択できる任意選択演出と、
前記選択前状態にて示される複数種の前記選択肢のうちいずれかが前記任意選択演出と同種のものとされ、他が前記任意選択演出と異種のものとされる演出であって、複数種の前記選択肢のうちの一種が自動で選択される自動選択演出と、
が実行可能であり、
前記任意選択演出が発生した場合よりも、前記自動選択演出が発生した場合の方が、演出終了後に遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が高いことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記自動選択演出の前記選択前状態にて示される複数種の前記選択肢のうちの一つは、前記任意選択演出の前記選択前状態にて示されることがない特殊選択肢であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記自動選択演出は、前記特殊選択肢が自動で選択されるものであることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記任意選択演出および前記自動選択演出は、前記選択前状態にて前記選択肢が一つずつ示されていくものであり、
前記自動選択演出が実行される場合であっても、少なくとも最初に示される前記選択肢が前記特殊選択肢となることはなく、前記特殊選択肢が示されるまでは実行されている演出が前記任意選択演出であるか前記自動選択演出であるかが判別できないことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種の選択肢のうちのいずれかが選択される選択演出が実行可能な遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-177992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、面白みのある選択演出を実行することが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、複数種の選択肢が示される選択演出として、複数種の前記選択肢のうちの一種を遊技者が任意に選択できる任意選択演出と、複数種の前記選択肢のうちの少なくともいずれかが前記任意選択演出と同種のものとされる演出であって、複数種の前記選択肢のうちの一種が自動で選択される自動選択演出と、が実行可能であり、前記任意選択演出が発生した場合よりも、前記自動選択演出が発生した場合の方が、演出終了後に遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が高いことを特徴とする遊技機。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機は、面白みのある選択演出を実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示領域に表示された装飾図柄および保留図柄を示した図である。
図3】遊技状態(遊技状態の移行)を説明するための図である。
図4】合算演出の基本的態様(概要)を説明するための図である。
図5】合算演出を大当たり遊技にて得られた利益(賞球数)の表示に用いた例を示した図である。
図6】具体例1-2を説明するための図である。
図7】具体例1-3を説明するための図である。
図8】具体例1-4を説明するための図である。
図9】具体例1-5を説明するための図である。
図10】具体例1-6を説明するための図である。
図11】選択演出(任意選択演出、自動選択演出)を説明するための図である。
図12】選択演出後に実行されるバトル演出を説明するための図である。
図13】具体例2-2を説明するための図である。
図14】具体例2-4を説明するための図である。
図15】具体例2-5を説明するための図である。
図16】(a)は各設定の大当たり確率を示した図、(b)は不揮発性メモリに記憶される特定情報(特定情報が記憶、消去される条件)を説明するための概念図、(c)は特定演出を説明するための図である。
図17】記憶状態での特定抽選(記憶状態用テーブル)、非記憶状態での特定抽選(非記憶状態用テーブル)を説明するための図である。
図18】具体例3-1(a)、具体例3-2(b)を説明するための図である。
図19】具体例3-3を説明するための図である。
図20】具体例3-4を説明するための図である。
図21】対象情報の書き込み処理(異常が発生しない場合)を説明するための図である。
図22】対象情報の書き込み処理(異常が発生した場合)を説明するための図である。
図23】具体例4-1を説明するための図(その一)である。
図24】具体例4-1を説明するための図(その二)である。
図25】具体例4-3を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において画像というときは、静止画だけでなく、動画を含むものとする。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、メインの表示装置である第一表示装置11、始動領域904、大入賞領域906、アウト口などが設けられている。第一表示装置11の第一表示領域111は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否抽選手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否抽選情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否抽選結果の報知が開始されることとなるが、未だ当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が存在する場合には、新たに取得された当否抽選情報は保留情報(厳密には後述する変動前保留情報)として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄70として、当否抽選結果を報知する変動中演出(装飾図柄80(装飾図柄群80g)の変動開始から、当否抽選結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう。以下単に「変動」や「回転」と称することもある)は開始されているものの、当否抽選結果の報知は完了していない当否抽選情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否抽選結果を報知する変動中演出が開始されていない当否抽選情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示されるが、両者の基本的な形態は同じである。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄71が表示されない構成としてもよい。なお、変動前保留図柄72に対応する当否抽選結果の報知が完了する順番(いわゆる保留「消化順」)は、右に位置するものほど早い。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(図2参照)。変動前保留図柄72は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する通常遊技状態)であれば第一変動前保留情報(特図1保留)が変動前保留図柄72として表示され、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する特別遊技状態)であれば第二変動前保留情報(特図2保留)が変動前保留図柄72として表示されるように設定されている。遊技状態によらず、記憶手段に記憶されている第一変動前保留情報および第二変動前保留情報のいずれにも対応する変動前保留図柄72が表示される(最大八つの変動前保留図柄72が表示される)構成としてもよい。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、第一表示装置11の第一表示領域111に表示される装飾図柄80(図2参照)の組み合わせによって当否抽選結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄群80g(左装飾図柄群80gL、中装飾図柄群80gC、右装飾図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各装飾図柄群80gから一の装飾図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各装飾図柄群80gから選択されて停止した装飾図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ装飾図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。装飾図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0017】
なお、第一表示領域111の外縁近傍に、目立たないように各種情報を示す画像(いわゆる「小図柄」等)が表示されるようにしてもよい(各図においては当該画像の図示を省略する)。遊技者は、この種の画像を意識せずに遊技を楽しむことが可能となっている。つまり、基本的には、装飾図柄80を見て当否抽選結果を把握することが可能である。
【0018】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている(図3参照)。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。
【0019】
本実施形態では、全ての大当たり遊技終了後に特別遊技状態に移行する。特別遊技状態は、所定回数(例えば100回)連続して当否抽選結果がはずれとなることをもって終了する。特別遊技状態が終了した場合には通常遊技状態に移行する。特別遊技状態に移行してから所定回数連続してはずれとなる前に大当たりに当選した場合には再び特別遊技状態に移行する(所定回数のカウントがリセットされる)ことになる。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、特別遊技状態に移行してから所定回数連続してはずれとなる前に大当たりに当選することが連チャンの条件となるいわゆるST機である。なお、以下の説明において特に明示した場合を除き、当該遊技性(スペック)とすることはあくまで一例である。例えば、いわゆる確変ループ機であってもよい。また、V確変機であってもよい。また、いわゆる小当たりが搭載され、当該小当たり当選時に所定の領域に遊技球が進入することで大当たりが獲得できる遊技機(一種・二種混合機)であってもよい。また、上記通常遊技状態や特別遊技状態とは異なる遊技状態、例えば、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)とされる遊技状態が設定された構成としてもよい。
【0020】
当否抽選結果が大当たりとなったときには大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、所定の閉鎖条件成立まで大入賞領域906(図1参照;大入賞領域906は常態において閉鎖されたものである)が開放される単位遊技を一または複数回繰り返すものである。閉鎖条件は、大入賞領域906が開放されてから所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞すること(入賞条件)および大入賞領域906が開放されてから所定時間経過すること(時間条件)のいずれか一方の成立をもって成立するものとされる。本実施形態では、大当たり遊技にて継続的に大入賞領域906に向かって遊技球を発射していれば、時間条件が成立する前に入賞条件が成立するものとされている。すなわち、一の単位遊技にて10個の遊技球が大入賞領域906に入賞する。単位遊技は、ラウンド(遊技)等とも称される。大当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)は適宜設定することができる。本実施形態では、全ての大当たりが10ラウンド大当たりとされている。
【0021】
2)合算演出
本実施形態にかかる遊技機1は、装飾図柄80が表示されるメインの表示装置である第一表示領域111を有する第一表示装置11に加え、第二表示領域121を有する第二表示装置12を備える(図1参照)。第一表示装置11(第一表示領域111)と第二表示装置12(第二表示領域121)は物理的に分離した表示装置である。なお、本実施形態では、第一表示装置11および第二表示装置12のいずれも液晶表示装置(表示可能な画像の態様が無限である表示装置)である。ただし、詳細を後述する合算演出に用いることを前提とすれば、複数の「数字」を表示することができるものであればよい。特に、本実施形態では、第一表示装置11は、装飾図柄80が表示されたり、各種演出が実行されたりするメインの表示装置であるため、表示可能な画像の態様が無限である表示装置とすることが好ましいが、第二表示装置12はこのようなメインの表示装置ではないため、「数字」のみを表示することができる表示装置とすることもできる。例えば、第二表示装置12を「7セグメント」表示装置(一の数字を7セグメントにより表すもの)とすることができる。なお、合算演出を説明するための図面以外の図面においては、第二表示装置12の図示を省略する。
【0022】
本実施形態では、第一表示装置11は所定位置に動かないように固定された表示装置である一方、第二表示装置12は所定の範囲を動作可能に設けられたものである。具体的には、第二表示装置12は、原位置と進出位置との間を往復動作することが可能なものである。当該第二表示装置12を動作させるための駆動機構はどのようなものであってもよいから説明を省略する。常態では第二表示装置12は原位置(図1に示す位置)に位置する。
【0023】
原位置に位置する第二表示装置12は、第一表示装置11(第一表示領域111)の下側縁に沿うように位置し、第二表示領域121の全部またはその大部分が遊技盤90に覆われた状態にある(図1参照)。進出位置は、特定位置よりも上方の位置である(特定位置から真っ直ぐ上方に変位(スライド)することで進出位置に到達する)。原位置と進出位置との間の位置は、待機位置とされている。つまり、待機位置は、進出位置よりも下であり、かつ、原位置よりも上である位置である。
【0024】
待機位置に位置する第二表示装置12は、遊技盤に形成された開口を通じて第二表示領域121(第二表示領域121に表示される画像)が視認可能な状態にある。同様に、進出位置に位置する第二表示装置12も、遊技盤に形成された開口を通じて第二表示領域121(第二表示領域121に表示される画像)が視認可能な状態にある。待機位置や進出位置に位置する第二表示装置12は、第一表示装置11(第一表示領域111)の手前に重なる。よって、第二表示装置12が待機位置や進出位置に位置した状態においては、第一表示領域111における第二表示装置12に覆われる範囲が正面視で隠された状態となる。上述した通り、待機位置よりも進出位置の方が上方であるため、第二表示装置12が待機位置にあるときに当該第二表示装置12に第一表示領域111が覆われる範囲よりも、第二表示装置12が進出位置にあるときに当該第二表示装置12に第一表示領域111が覆われる範囲の方が上である。
【0025】
本実施形態にかかる遊技機1は、このような第一表示装置11および第二表示装置12を備えることを前提とした合算演出(図4参照)を実行することが可能である。合算演出は、合算前の数値である第一数値N1と第二数値N2を表示した後、当該第一数値N1と第二数値N2を合算した合算数値Ntを表示することを基本的態様とするものである。よって、合算演出は、大きく、合算前の状態である第一数値N1と第二数値N2が表示された状態(合算前状態)と、当該状態の後である合算数値Ntが表示された状態(合算後状態)に分けられる。
【0026】
合算前状態(図4(a)参照)においては、第一表示装置11の第一表示領域111に第一数値N1が、第二表示装置12の第二表示領域121に第二数値N2が表示される。第二表示装置12は待機位置に位置しており、当該待機位置に位置した第二表示装置12の第二表示領域121に第二数値N2が表示される。一方、第一表示領域111における待機位置に位置した第二表示装置12に覆われていない領域に第一数値N1が表示される。本実施形態では、待機位置に位置した第二表示装置12の上側に第一数値N1が表示される。よって、遊技者視点(正面視)では、第一数値N1と第二数値N2が上下に並ぶように表示された状態にある(第一数値N1が上、第二数値N2が下、である)。
【0027】
合算前状態の後、合算後状態に至るよりも前に、途中状態(図4(b)参照)となる。具体的には、第二数値N2が表示された状態にある第二表示装置12が待機位置から進出位置まで変位する。ここで、進出位置に位置した第二表示装置12は、第一表示装置11(第一表示領域111)に表示された第一数値N1の少なくとも一部を覆う(第一数値N1がどのような値であってもその少なくとも一部が第二表示装置12に覆われる)。本実施形態では、第一数値N1の全体が第二表示装置12に覆われる。よって、正面視で第一数値N1は視認できない状態となる。なお、第一表示装置11(第一表示領域111)に表示される第一数値N1は、合算前状態から途中状態にかけて変位しない。つまり、合算前状態にて第一数値N1が表示される領域は、第二表示装置12が進出位置に位置していたとすれば当該第二表示装置12に覆われる領域である(第二表示装置12が待機位置に位置しているから露出する領域である)。
【0028】
第二表示装置12が進出位置に位置した途中状態となった後、当該第二表示装置12(第二表示領域121)に合算数値Ntが表示される合算後状態(図4(c)参照)に移行する。つまり、第二表示装置12が進出位置に到達した後、当該第二表示装置12には第二数値N2に代えて合算数値Ntが表示される。合算数値Ntは、第一数値N1と第二数値N2を合算した値(第一数値N1+第二数値N2)である。
【0029】
このように、本実施形態における合算演出は、
(1)第一表示装置11に第一数値N1が、第二表示装置12(待機位置)に第二数値N2が表示される(合算前状態;図4(a)参照)
(2)第二表示装置12が待機位置から進出位置まで変位して、第一数値N1が覆われる(途中状態;図4(b)参照)
(3)第一数値N1を覆った第二表示装置12に合算数値Nt(第一数値N1+第二数値N2)が表示される(合算後状態;図4(c)参照)
というように進行することを基本的態様とするものである。
(1)にて第一数値N1と第二数値N2が示された後、(2)にて第二数値N2が表示された第二表示装置12が第一数値N1を覆った上で、(3)にて当該第一数値N1と第二数値N2が合算された合算数値Ntが第二表示装置12に表示されるものであるから、第一数値N1と第二数値N2が足し合わされたものが第二表示装置12に表示されたということを分かりやすく示すことができる。特に、(2)の途中状態を経るようにすることで、第一数値N1が第二表示装置12にあたかも「吸収」された(「吸収」の結果、第二数値N2と合算された)かのように見える演出形態となる。
【0030】
合算演出の利用方法は種々考えられる。基本的には、二つの数値を合算して表示する場面であればよい。本実施形態では、当否抽選結果が大当たりとなったときに実行される大当たり遊技にて遊技者が得られた利益を示す際に利用される。当該利益は、大当たり遊技にて開放される大入賞領域906に進入(入賞)することで得られた遊技球の数(賞球数)を表すものである。本実施形態では、一の遊技球が大入賞領域906に入賞することで払い出される賞球数は15であるため、一の遊技球が入賞する度に上記数値が15ずつ増加することになる。また、本実施形態では、大入賞領域906以外の入賞領域(以下、別入賞領域18と称する)に遊技球が進入することで払い出された賞球も利益に含まれるものされる。具体的には、大入賞領域906を狙って遊技球を発射していれば(本実施形態では右打ちしていれば)遊技球が入賞する可能性のある一または複数の別入賞領域18(図1参照)が設けられており、当該別入賞領域18に遊技球が進入することで払い出された賞球数も上記利益に含まれるものとされる。本実施形態では、別入賞領域18に遊技球が入賞することで払い出される賞球数は3であるため、別入賞領域18に遊技球が入賞する度に上記数値が3ずつ増加することになる。なお、賞球数ではなく、純増数(賞球数から発射された遊技球の数を差し引いた数)としてもよい。
【0031】
第一数値N1および第二数値N2の一方は単一利益を表すものとされ、他方は総利益を表すものとされる。本実施形態では、第一数値N1が単一利益を、第二数値N2が総利益を表すものとされる。単一利益は、合算演出が実行される前の直近の一回の大当たり遊技(以下、直近大当たり遊技と称することもある)にて得られた利益を表すものである。総利益は、所定条件成立後、直近大当たり遊技よりも前に実行された一または二回以上の大当たり遊技のそれぞれにて得られた利益を合算したものである。本実施形態では、通常遊技状態にて大当たりに当選して特別遊技状態に移行すること(いわゆる初当たりを獲得すること)が所定条件の成立とされる。具体的には、特別遊技状態に移行してから大当たりに当選することによって得られた利益、いわゆる連荘中の利益を合算したものが総利益である。なお、上記初当たりにて得られた利益が総利益に含まれるものとしてもよいし、含まれないものとしてもよい。本実施形態では、総利益は初当たりにて得られた利益を含むものとされる。当該総利益は、通常遊技状態に移行すること(いわゆる連荘終了)を契機としてリセットされる。
【0032】
合算演出は、特別遊技状態にて当選した大当たり遊技の最終の単位遊技(最終ラウンド)が終了した後の結末期間(エンディング期間)中に実行される。合算演出が開始される前の大当たり遊技中は、第一表示領域111における第二表示装置12に覆われていない範囲で大当たり遊技用の演出(大当たり用演出)が実行される(図5(a)参照)。すなわち、遊技球が大入賞領域906等に入賞する度に、当該大当たり遊技にて得られた賞球数を示す経過値Np(将来的に第一数値N1となる値)が増加していく。なお、本実施形態では、合算演出が開始される前の大当たり遊技中(ラウンド中)にて第二表示装置12は進出位置に位置した状態にある(第二数値N2が表示された状態にある)が、原位置に位置する構成(大当たり遊技中は第二数値Nが表示されない構成)としてもよい。
【0033】
最終ラウンドが終了して合算演出が開始される。合算演出の冒頭(合算前状態)においては、最終ラウンドが終了したばかりの大当たり遊技(直近大当たり遊技)にて得られた単一利益が第一数値N1として第一表示装置11(第一表示領域111)に表示された状態にある。また、初当たり後、直近大当たりよりも前に特別遊技状態にて獲得した一または二回以上の大当たり遊技にて得られた利益を合わせた総利益が第二数値N2として待機位置に位置した第二表示装置12(第二表示領域121)に表示された状態にある(図5(b)参照)。なお、本実施形態では、当該第二数値N2は合算演出が開始される前から表示された状態にある。つまり、直近大当たり遊技中であって合算演出が開始される前の状態においても、総利益(第二数値N2)を遊技者は把握可能である。
【0034】
その後、第二表示装置12が進出位置まで移動して第一数値N1を覆う途中状態(図5(c)参照)となり、さらにその後、第二表示装置12(第二表示領域121)に第二数値N2に代えて合算数値Ntが表示された合算後状態となる(図5(d)参照)。合算数値Ntは、今回の大当たり(直近大当たり)にて得られた利益(第一数値N1)を、それまでの連荘中に得られた利益(第二数値N2)に足し合わせたものであるということである。このように、合算演出は、新たな大当たり遊技にて得られた利益(単一利益)が加えられた結果、総利益が増えていく様子を分かりやすく示すことに好適に用いることができる。
【0035】
本実施形態では、合算状態にて、第二表示装置12(第二表示領域121)に表示される合算数値Ntを説明するための画像(説明画像15)が、第一表示領域111に表示される。例えば、合算数値Ntが今まで(連荘中)のトータルの利益(賞球数)を表したものであることを示す文字(例えば「トータル」の文字)を含むものが説明画像15として第一表示領域111に表示される(図5(d)参照)。可動式の表示装置である第二表示領域121は比較的小さい(表示領域に余裕が無い)ものとなるため、この種の説明画像15は第一表示領域111における第二表示装置12の近傍(正面視での近傍)に表示されるようにすればよい。その他、数値の単位(例えば「pt(ポイント)」)を用いるのであれば、当該単位を表すものが説明画像15として第一表示領域111に表示されるようにしてもよい(図5(d)参照)。このようにすることで、(第二表示領域121に合算数値Ntの説明がなくても)合算数値Ntが表す内容を把握することが容易になる。
【0036】
以下、上記合算演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0037】
〇具体例1-1
上記実施形態にて説明した第一表示装置11と第二表示装置12の関係を逆にした構成とすることもできる。例えば、上記実施形態では、第一表示装置11(第一表示領域111)に表示される第一数値N1は単一利益を表し、第二表示装置12(第二表示領域121)に表示される第二数値N2は総利益を表すものとされることを説明したが、第一数値N1が総利益を表し、第二数値N2が単一利益を表すものとすることもできる。
【0038】
〇具体例1-2
上記実施形態における合算演出では、第二表示装置12(第二表示領域121)に合算数値Ntが表示されることを説明したが、以下のように、第一表示装置11(第一表示領域111)に合算数値Ntが表示される構成とすることもできる。
【0039】
合算前状態(図6(a)参照)から途中状態(図6(b)参照)までは上記実施形態と同様である。途中状態にて第二表示装置12が進出位置に位置した後、当該進出位置から変位する。例えば、進出位置から原位置に向かって変位する。これにより、第一表示領域111における、途中状態にて第二表示装置12に覆われていた部分が露出する。当該露出した領域に、合算数値Ntが表示された合算後状態(図6(c)参照)に至る合算演出とする。つまり、合算前状態(図6(a)参照)では第一数値N1が表示されており、その後第二表示装置12が進出位置に位置することで当該第一数値N1が覆われる(図6(b)参照)ことになるところ、当該第二表示装置12に覆われている期間中に第一数値N1が合算数値Ntに変化するようにする。これにより、第二表示装置12が進出位置から別の位置に移動することで、第一表示領域111に表示された合算数値Ntが露出して遊技者に視認可能な状態(図6(c)参照)になる。
【0040】
〇具体例1-3
途中状態から合算後状態にかけて、第二表示装置12(第二表示領域121)に表示される数値の変化が示されるものとする。途中状態においては、第二表示装置12に第二数値N2が表示される(図7(b)参照)。合算後状態では、第二表示装置12に合算数値Ntが表示される(図7(d)参照)。つまり、途中状態から合算後状態にかけて、第二表示装置12に表示される数値は、第二数値N2から合算数値Ntに変化する。具体的には、第二表示装置12に表示される数値は、第一数値N1分増加する。この第二表示装置12に表示される数値の増加する様子(以下、増加演出と称する)(図7(c)参照)が、遊技者に示されるものとする。
【0041】
増加演出は、第二数値N2が増加した結果、合算数値Ntに至ったということを遊技者が認識できるような態様であればよい。例えば、増加演出の冒頭においては第二数値N2が1ずつゆっくりと増加していき(図7(c)参照)、その増加速度が次第に早まっていくような演出態様としてもよい。つまり、遊技者が把握できないほどの増加速度となることは許容されるものとする(第二数値N2が「増加している」と遊技者が捉えられるような態様であればよい)。本例のようにすることで、合算演出をより分かりやすくする(第二数値N2に対し、第一数値N1が加えられた結果、合算数値Ntに至ったということを分かりやすくする)ことができる。
【0042】
〇具体例1-4
上記実施形態では、合算前状態から合算後状態に至るよりも前に、第二表示装置12が変位することを説明したが、このような第二表示装置12の変位が生じないものとしてもよい。つまり、第一表示装置11(第一表示領域111)に第一数値N1が、第二表示装置12(第二表示領域121)に第二数値N2が表示された合算前状態(図8(a)参照)の後、(第二表示装置12が変位せずに)第一表示装置11および第二表示装置12の一方に合算数値Ntが表示された合算後状態(図8(c)参照)に移行する演出形態としてもよい。なお、本例のようにする場合、第二表示装置12はその位置を変化させることができない固定されたものとすることもできる。また、第二表示装置12は、第一表示領域111に重ならないような位置に位置するものとすることもできる。
【0043】
本例のようにする場合、第一数値N1が第二数値N2に加算されることを強調(示唆)する演出(強調演出)が発生するようにするとよい。例えば、第一表示領域111に表示される第一数値N1が第二表示装置12(第二表示領域121)側に変位していく(第一数値N1が第二表示装置12に吸い込まれていくかのように見える)表示がなされ(図8(b)参照)、その後第二表示装置12に合算数値Ntが表示された合算後状態となる(図8(c)参照)構成とする。このようにすることで、第一数値N1が第二数値N2に加えられたということをより分かりやすく示すことができる。
【0044】
〇具体例1-5
上記実施形態では、合算前状態にて待機位置に位置していた第二表示装置12が進出位置まで変位して第一数値N1を覆う途中状態となることを説明したが、第二表示装置12が待機位置(図9(a)参照)から進出位置(図9(b)参照)まで変位しても第一数値N1が覆われない(露出したままである)構成としてもよい。このようにしても、第二表示装置12が変位するから、遊技者は合算数値Ntが表示される(図9(d)参照)よりも前に第二表示装置12に注目することになる(合算数値Ntの表示を遊技者が見落としてしまうことが防止される)。
【0045】
本例のようにする場合、上記具体例1-4にて説明したような強調演出が発生するようにすることもできる。つまり、第二表示装置12が進出位置に変位した(図9(b)参照)後、第一表示領域111に表示される第一数値N1が第二表示装置12(第二表示領域121)側に変位していく(第一数値N1が第二表示装置12に吸い込まれていくかのように見える)表示がなされ(図9(c)参照)、その後第二表示装置12に合算数値Ntが表示された合算後状態(図9(d)参照)となる構成とする。このようにすることで、第一数値N1が第二数値N2に加えられたということをより分かりやすく示すことができる。
【0046】
〇具体例1-6
第一数値N1、第二数値N2、合算数値Ntを表す「数字」の基本的態様を異ならせる。当該基本的態様を構成する要素としては、文字の色やフォント等を例示することができる。例えば、第一数値N1を「黒」、第二数値N2を「白」、合算数値Ntを「赤」とする(図10(a)参照)といったように、各数値の文字色を異ならせることで、各数値が異なる意味を持つものであることが強調されるようにする。
【0047】
合算前の数値と合算後の数値とで、基本的態様を異ならせるものとしてもよい。すなわち、第一数値N1と第二数値N2の基本的態様と、合算数値Ntの基本的態様を異ならせる(第一数値N1と第二数値N2の基本的態様は同じとする)。例えば、第一数値N1および第二数値N2を「黒」、合算数値Ntを「赤」とする(図10(b)参照)といったようにする。このようにすることで、合算前の数値と合算後の数値の違いを強調することができる。
【0048】
〇具体例1-7
合算前状態にて原位置(常態における位置)に位置する第二表示装置12(第二表示領域121)に第二数値N2が表示されるものとしてもよい。第二表示装置12の原位置を、第二表示領域121に表示される数値を視認可能な位置とするのであれば、第二表示装置12が原位置に位置したまま合算演出が開始されるものとしてもよい。
【0049】
3)選択演出
本実施形態にかかる遊技機1は、選択演出(図11参照)を実行することが可能である。本実施形態では、当該選択演出は、変動中演出を構成する演出として発生しうるものである。ただし、大当たり遊技中等にて発生しうるものとしてもよい。
【0050】
選択演出は、複数種の選択肢が提示された上で、最終的にいずれかの選択肢が選択されるものである。本実施形態では、当該選択肢を示す画像(選択肢画像20)が第一表示領域111に表示される(図11(b-1)、(b-2)参照)。すなわち、複数種の選択肢画像20が表示された上で、最終的にいずれか一つの選択肢画像20が選択されることになる。本実施形態では、選択演出にて表示されることがある選択肢画像20として、四種の選択肢画像20が設けられている。このうちの三種は通常選択肢画像(第一通常選択肢画像21~第三通常選択肢画像23)であり、残りの一種は特殊選択肢画像20sである。通常選択肢画像(通常選択肢)と特殊選択肢画像20s(特殊選択肢)の特性等については後述する。
【0051】
本実施形態では、選択演出は、リーチ演出(スーパーリーチ演出)の導入演出として発生しうるものである。リーチ演出は、選択演出の後実行されるものであるから、選択演出の事後演出であるといえる。リーチ演出は、その結末の内容により当否抽選結果を示すものである。本実施形態では、選択演出後に、当該リーチ演出であるバトル演出が発生する。バトル演出(図11(d-1)(d-2)、図12参照)は、遊技者側のキャラクタ(味方キャラクタ)とそれに対峙する敵キャラクタ(図面においては「敵」の文字を付して示す)が戦うものである。バトル演出を含む変動中演出に対応する当否抽選結果(以下、対象当否抽選結果と称することもある)が大当たりである場合には味方キャラクタが勝利する勝利結末(一旦敗北したかのように見せかけるいわゆる逆転パターンを含む)(図12(c-1)参照)に至り、はずれである場合には味方キャラクタが敗北する(敵キャラクタが勝利する)敗北結末(図12(c-2)参照)に至るものとされる。
【0052】
当該バトル演出として複数種の演出が発生しうる。本実施形態では、敵キャラクタと戦う味方キャラクタの種類が異なる複数種のバトル演出が発生しうる。なお、一の変動中演出にて発生しうるバトル演出は一種のみである(一変動にて二種以上のバトル演出が発生することはない)。本実施形態では、味方キャラクタA(図面においては「A」の文字を付して示す)が敵キャラクタと戦うバトル演出A、味方キャラクタB(図面においては「B」の文字を付して示す)が敵キャラクタと戦うバトル演出B、味方キャラクタC(図面においては「C」の文字を付して示す)が敵キャラクタと戦うバトル演出C、味方キャラクタS(図面においては「S」の文字を付して示す)が敵キャラクタと戦うバトル演出Sが発生しうる(図11(d-1)(d-2)、図12(a)参照)。各種バトル演出が成功結末に至る蓋然性、すなわち対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(いわゆる(大当たり)信頼度)は、バトル演出Aとバトル演出Bとバトル演出Cは同じである。すなわち、バトル演出A~Cのいずれが発生した場合であっても大当たり信頼度は変わらないから、遊技者が得られる利益(出玉に繋がる直接的な利益)はいずれの演出が発生した場合でも同じであるということである。一方、当該バトル演出A~Cよりも、バトル演出Sの方が大当たり信頼度は高いものとされる。その点についてみれば、バトル演出A~Cは通常の演出であり、バトル演出Sは特殊な(特別な)演出である(いわゆるチャンスアップ(演出)である)ということができる。
【0053】
選択演出にて表示される第一通常選択肢画像21はキャラクタAを、第二通常選択肢画像22はキャラクタBを、第三通常選択肢画像23はキャラクタCを、特殊選択肢画像20sはキャラクタSを表した部分を含むものとされる(図11(b-1)(b-2)参照)。いずれかのバトル演出が開始されるよりも前に選択演出が実行されるところ、どの種のバトル演出が実行されるかは選択演出の結果(図11(c-1)(c-2)参照)に応じて決まる。第一通常選択肢画像21が選択された場合にはバトル演出Aが、第二通常選択肢画像22が選択された場合にはバトル演出Bが、第三通常選択肢画像23が選択された場合にはバトル演出Cが、特殊選択肢画像20sが選択された場合にはバトル演出Sが実行される。
【0054】
選択演出は、任意選択演出(図11(b-1)参照)と自動選択演出(図11(b-2)参照)とに区分けされる。任意選択演出は、提示された複数種の選択肢(選択肢画像20)のうちの一種を遊技者が任意に選択できるものである。つまり、遊技者が好みの選択肢を選択することができるものである。これに対し、自動選択演出は、複数種の選択肢(選択肢画像20)のうちの一種が自動で選択される(遊技者が任意に選択することができない)ものである。
【0055】
一の変動中演出にて選択演出が発生する場合、発生するのは任意選択演出と自動選択演出の一方であり、両方が発生することはない。具体的には、選択演出が発生する条件(以下、発生条件と称する)は予め定められており、当該発生条件が成立した場合には任意選択演出と自動選択演出の一方が発生することになる。発生条件の成立時点を「分岐点」とすれば、当該分岐点に到達することを契機として任意選択演出と自動選択演出の一方が発生するということになる(分岐点の到達時点では、遊技者にはどちらの選択演出が発生するか分からない)。本実施形態では、当該発生条件(分岐点)は、所定の画像(導入画像25)が表示される(図11(a)参照)こととされている。
【0056】
任意選択演出では、複数種の選択肢として通常選択肢画像が表示されるものの、特殊選択肢画像20sが表示されることはない。本実施形態では、第一通常選択肢画像21~第三通常選択肢画像23の三つが選択肢として表示され(図11(b-1)参照)、遊技者は好みの選択肢画像20を選択することができる。任意選択演出における選択方法はどのようなものであってもよい。本実施形態では、遊技者が操作可能な操作手段として、押ボタンと十字キーが設けられており、これらの操作により好みの選択肢画像20を選択することができるものとされる。具体的には、いずれか一つの選択肢画像20が他の選択肢画像20よりも強調された強調状態となっている際に決定操作を行うと、当該強調状態とされた選択肢画像20が選択されたものとされる。押ボタンの操作が決定操作とされ、十字キーの操作により強調状態とされる選択肢画像20を変化させることができる。任意選択演出においては、好みの選択肢画像20を選択するための当該操作手段の操作方法が併せて第一表示領域111に表示される。なお、所定の操作有効時間(選択時間)が経過したときには、当該時間の終了時点にて強調状態とされている選択肢画像20が選択されたものとされる。いずれか一つの選択肢画像20の選択肢画像20を他の選択肢画像20よりも強調された強調状態とする手法は種々考えられる。本実施形態では、いずれか一つの選択肢画像20にカーソルが合わせられることで、当該選択肢画像20が強調状態とされる。その他、強調状態にある選択肢画像20の明度を他の選択肢画像20よりも高くする、強調状態にある選択肢画像20をカラーで、他の選択肢画像20をモノクロで表示するといった手法が考えられる。
【0057】
任意選択演出後、当該任意選択演出にて任意選択された通常選択肢画像(第一通常選択肢画像21~第三通常選択肢画像23のいずれか)(図11(c-1)参照)に対応するバトル演出が実行される(図11(d-1)参照)。つまり、第一通常選択肢画像21が選択された場合にはバトル演出Aが、第二通常選択肢画像22が選択された場合にはバトル演出Bが、第三通常選択肢画像23が選択された場合にはバトル演出Cが実行される(図11には、第二通常選択肢画像22が任意選択された例を示す)。各選択肢画像20は対応する味方キャラクタ(キャラクタA~Cのいずれか)を表した部分を含むものであるから、任意選択演出はこれから戦う味方キャラクタを遊技者が任意に決定する演出であるといえる。
【0058】
これに対し、自動選択演出において表示される選択肢画像20は、第一通常選択肢画像21~第三通常選択肢画像23のうちの二つと、特殊選択肢画像20sの一つである(図11(b-2)参照)。すなわち、任意選択演出と同様に計三つの選択肢画像20が表示されるものであるが、そのうちの一つが任意選択演出にて表示されることがない特殊選択肢画像20sとなるというものである。当該自動選択演出が発生した場合、特殊選択肢画像20sが自動的に選択される。自動選択演出にて、特殊選択肢画像20sではない通常選択肢画像が選択されることはない。本実施形態では、強調状態とされる選択肢画像20の種類が高速で切り替わる(例えば、カーソルが高速で変位する)状態(図11(b-2)参照)を経て、特殊選択肢画像20sが強調状態とされて(特殊選択肢画像20sでカーソルが自動的に停止して)当該特殊選択肢画像20sが選択されたことが示される(図11(c-2)参照)。なお、自動選択演出は、遊技者に対し、必ず特殊選択肢画像20sが選択されることが明示されるわけではない。事前知識なしで自動選択演出に接した遊技者は、二つの通常選択肢画像が選択される可能性もあるように見える(二つの通常選択肢画像のいずれかが選択される結果に至る可能性が排除されていることが遊技者に明示されるわけではない)。
【0059】
自動選択演出後、当該任意選択演出にて自動的に選択された特殊選択肢画像20s(キャラクタS)に対応するバトル演出Sが実行される(図11(d-2)参照)。つまり、自動選択演出では必然的に特殊選択肢画像20sが選択されるのであるから、ある変動にて自動選択演出が発生した後は当該変動にて必然的に味方キャラクタSが敵キャラクタと戦うバトル演出Sが実行されることになる(自動選択演出が発生した変動にてバトル演出A~Cが実行されることはない)。
【0060】
上述した通り、対象当否抽選結果の大当たり信頼度は、バトル演出A~Cが実行された場合よりも、バトル演出Sが実行された場合の方が高い。よって、演出後にバトル演出A~Cのいずれかが実行されることになる任意選択演出が発生した場合よりも、バトル演出Sが実行されることになる自動選択演出が発生した場合の方が、大当たりという遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が高いという遊技性となる(図11(d-1)(d-2)参照)。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、発生条件の成立を契機として、複数種の選択肢(選択肢画像20)のうちのいずれかが選択される選択演出が発生することになるところ、当該選択演出が任意選択演出となるか自動選択演出となるかによって、その後遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が異なるという面白みのある遊技性となる。
【0061】
また、自動選択演出では、任意選択演出にて表示されることがない特殊選択肢画像20sが表示されるから、任意選択演出と自動選択演出の違いがより明確になる。
【0062】
また、自動選択演出では、いわゆるチャンスアップとして示される特殊選択肢画像20sが強制的に自動選択されるものであるから、特殊選択肢画像20sが表示されていることに遊技者が気付かないといったことはない。
【0063】
以下、上記選択演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0064】
〇具体例2-1
任意選択演出にて提示される通常選択肢画像の組み合わせが毎回変化しうるものとしてもよい。上記実施形態のように、三種の選択肢が提示されるのであれば、四種以上の通常選択肢画像(およびそれぞれに対応する異なる種類のバトル演出(事後演出))が用意されたものとして、そのうちの三種が提示されるようにすればよい。ただし、いずれの通常選択肢画像が選択された場合であっても、対象当否抽選結果の大当たり信頼度(遊技者に有利な事象が発生する蓋然性)は同じであるとする。
【0065】
〇具体例2-2
自動選択演出にて表示されうる特殊選択肢画像20sとして、二種以上の特殊選択肢画像20sが用意されたものとしてもよい。例えば、第一特殊選択肢画像21s(キャラクタS1)および第二特殊選択肢画像22s(キャラクタS2)が設けられ、それぞれに対応する異なる種類のバトル演出(事後演出)が設けられたものとする。
【0066】
このような二種以上の特殊選択肢画像20sが用意されたものとする場合であっても、一回の自動選択演出にて表示される特殊選択肢画像20sは一種のみとすることが好ましい。上記のように第一特殊選択肢画像21sおよび第二特殊選択肢画像22sが用意されたものとするのであれば、自動選択演出として、複数種の選択肢画像20のうちの一種が第一特殊選択肢画像21sでありその他は通常選択肢画像である第一自動選択演出(図13(a)参照)、および、複数種の選択肢画像20のうちの一種が第二特殊選択肢画像22sでありその他は通常選択肢画像である第二自動選択演出(図13(b)参照)のいずれか発生する構成となる。
【0067】
なお、自動選択演出にて第一特殊選択肢画像21sが選択された場合の大当たり信頼度と、自動選択演出にて第二特殊選択肢画像22sが選択された場合の大当たり信頼度は異なるものであってもよいし、同じであってもよい。ただし、いずれの大当たり信頼度も、任意選択演出にていずれかの通常選択肢画像が任意選択された場合の大当たり信頼度よりも高いものとされる。第一特殊選択肢画像21sが選択された場合の大当たり信頼度と、自動選択演出にて第二特殊選択肢画像22sが選択された場合の大当たり信頼度が異なる設定とするのであれば、選択演出が発生した場合、遊技者はその選択演出が自動選択演出となること(特殊選択肢画像20sが表示されること)を願いつつ、さらに自動選択演出となった場合にはどの種類の特殊選択肢画像20sが表示されるのかにも注目するであろう遊技性が実現される。
【0068】
〇具体例2-3
上記実施形態にて説明した選択演出後に発生する事後演出は、リーチ演出(バトル演出)であることを説明したが、それに限られるものではない。ただし、任意選択演出であるか自動選択演出であるかによらず、選択演出後に実行される事後演出は、選択演出にて選択された選択肢画像20に対応するものとされる。つまり、事後演出として、選択演出にて表示されうる複数種の選択肢画像20のそれぞれに対応する異なる種類の演出を用意しておく。
【0069】
また、上記実施形態では、選択演出として任意選択演出が発生した場合よりも自動選択演出が発生した場合の方が、対象当否抽選結果の大当たり信頼度が高まるものであること、すなわち選択演出の種類によって発生する蓋然性の高低が示唆される、遊技者にとって有利な事象が「大当たり」であることを説明したが、「大当たり」以外の事象が示唆対象の事象とされたものとしてもよい。例えば、大当たりとして、第一大当たりおよび第二大当たりが設けられており、第一大当たり遊技終了後の遊技状態よりも、第二大当たり遊技終了後の遊技状態の方が、遊技者にとって有利な遊技状態である設定とする(その一例として、第一大当たり遊技終了後の遊技状態は大当たり確率が相対的に低い低確率状態であり、第二大当たり遊技終了後の遊技状態は大当たり確率が相対的に高い高確率状態となるような設定が考えられる)。選択演出が大当たり遊技中(第一大当たりであるか第二大当たりであるか分からない状態)に発生し、当該選択演出が任意選択演出となった場合よりも、自動選択演出となった場合の方が、第二大当たりである蓋然性が高まる構成とする。つまり、示唆対象となる事象が「有利な大当たりであることの報知」である構成とすることもできる。
【0070】
〇具体例2-4
任意選択演出および自動選択演出のいずれも、選択肢が一つずつ示されていくものとする(図14参照)。すなわち、選択肢画像20が一つずつ表示され、全ての選択肢画像20が表示された後、そのうちの一つが選択(任意選択or自動選択)されるものとする。例えば、上記実施形態のように、任意選択演出および自動選択演出のいずれにおいても三つの選択肢画像20が表示されるのであれば、新たに一つの選択肢画像20が表示されることが経時的に三回発生するという演出形態となる。
【0071】
これを前提とし、自動選択演出が実行される場合であっても、少なくとも最初に示される選択肢画像20は、特殊選択肢画像20sとならない(通常選択肢画像となる)ものとする(図14(b)参照)。上述した通り、自動選択演出は、任意選択演出では表示されることがない特殊選択肢画像20sが表示されるものである。よって、そのことを知っている遊技者は、特殊選択肢画像20sが表示された時点で自動選択演出であることを把握できるところ、本例のようにすることで最初の選択肢画像20が表示された時点ですぐに自動選択演出であることが分かってしまうことがなくなる(すぐに自動選択演出であることが分かってしまうことによる趣向性の低下が抑制される)。
【0072】
好ましくは、自動選択演出が実行される場合、特殊選択肢画像20sは最後に表示されるものとすることが好ましい。上記実施形態のように三つの選択肢画像20が表示されるのであれば、任意選択演出および自動選択演出のいずれにおいても一番目、二番目に表示されるのは通常選択肢画像であり(図14(b)(c)参照)、三番目に表示されるのが任意選択演出であれば通常選択肢画像となり(図14(d-1)参照)、自動選択演出であれば特殊選択肢画像20sとなる(図14(d-2)参照)ようにする。このようにすることで、最後の選択肢画像20が表示されるまで、自動選択演出であるのかどうかが把握できないものとなる。
【0073】
〇具体例2-5
任意選択演出においても、選択肢として特殊選択肢画像20sが表示されることがある(図15(a)参照)構成とする。任意選択演出であるから、特殊選択肢画像20sが表示された場合には、当該特殊選択肢画像20sを選択することも可能である。特殊選択肢画像20sが選択された場合(図15(b)参照)には、事後演出としてバトル演出S(特殊選択肢画像20sに対応する事後演出)が実行される(図15(c)参照)ものとする。ただし、任意選択演出を経て発生するバトル演出Sの大当たり信頼度は、バトル演出A~Cの大当たり信頼度と同じであるものとする。つまり、任意選択演出にて、特殊選択肢画像20sが選択された場合の大当たり信頼度は、通常選択肢画像のいずれかが選択された場合の大当たり信頼度と変わらないものとする(遊技者の任意の選択により信頼度を異ならせることは不可能)。一方、自動選択演出にて特殊選択肢画像20sが選択された上で発生するバトル演出Sは、任意選択演出を経て発生するバトル演出Sよりも高信頼度であるとする。このように、任意選択演出であるか自動選択演出であるかによらず特殊選択肢画像20sが選択されることはあるものの、自動選択演出での選択でなければいわゆるチャンスアップとして機能しない構成とする。
【0074】
上記実施形態のように、任意選択演出において特殊選択肢画像20sは表示されず、自動選択演出において特殊選択肢画像20sが表示される構成とすると、それを知っている遊技者であれば、特殊選択肢画像20sが表示されるかどうかで任意選択演出および自動選択演出のいずれが発生したのか把握できてしまうことになる。本例のようにすれば、任意選択演出および自動選択演出のいずれにおいても特殊選択肢画像20sが表示されうるのであるから、特殊選択肢画像20sが表示されるかどうかで任意選択演出および自動選択演出のいずれが発生したのか把握することはできない遊技性となる。つまり、任意選択が促されることか自動選択がなされることが実際に発生するまで、現在実行されている選択演出が任意選択演出および自動選択演出のいずれであるのか把握することはできないことになる。
【0075】
4)特定抽選
4-1)設定
本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆる「設定付ぱちんこ」である。ここでいう「設定」とは、遊技者にとって有利な度合が異なるように複数段階に区分けされたもののそれぞれをいう。「有利な度合」に差をつける手法としては種々考えられる。本実施形態では、低確率状態にて当否抽選に当選する確率、すなわち大当たり確率に差をつけている。本実施形態では、候補設定1~6の六種類が設けられている。候補設定1から順に低確率状態における大当たり確率が高くなる。本実施形態における大当たり確率は、候補設定1が約1/219、候補設定2が約1/195、候補設定3が約1/185、候補設定4が約1/175、候補設定5が約1/165、候補設定6が約1/149とされている(図16(a)参照)。当然ではあるが、大当たり確率が高いほど大当たりに当選しやすいということであるため、「設定1」が遊技者にとって最も不利な設定(最低設定)であり、「設定6」が遊技者にとって最も有利な設定(最高設定)であるといえる。当該候補設定1~6のいずれかが現状の設定(以下、現状設定と称する)として遊技店員によりセットされ、遊技店において遊技者に供されることになる(遊技者は現状設定を変更することはできない)。当該現状設定のセット・変更のための構造はどのようなものであってもよいから詳細な説明を省略する。例えば、遊技機1内部に設定キーを挿入することが可能な鍵穴を設け、当該設定キーを操作することで、現状設定をセット・変更することができるようにすることが考えられる。
【0076】
なお、「有利な度合」に差をつける手法は、通常遊技状態(低確率状態)での大当たり確率に限られない。遊技者の利益(出玉の期待値)に影響を及ぼす確率であれば、その他の確率が対象とされていてもよい。例えば、特別遊技状態(高確率状態)での大当たり確率が対象とされていてもよい。
【0077】
4-2)不揮発性メモリ
本実施形態にかかる遊技機1は、記憶手段として、情報の書き換えが可能であり、遊技機1の電源がOFFとされても記憶された情報が消えない不揮発性の記憶手段(不揮発性メモリ;例えばFRAM(登録商標))を備える。遊技者が行うことができない特定操作がなされた場合には、不揮発性メモリ(以下、後述する第二不揮発性メモリ32と区別するため第一不揮発性メモリ31と称する)に特定情報が記憶される(図16(b-1)→(b-2))。本実施形態では、現状設定の変更を行う設定変更操作が特定操作とされている。つまり、特定情報は「設定を変更した」という情報である。なお、設定変更操作には、例えば「設定1」から「設定1」に変更するといったような同じ設定の打ち直しを含むものとする。
【0078】
上述した通り、第一不揮発性メモリ31に記憶された特定情報は遊技機1の電源がOFFとされても残存するものである。当該特定情報が消去されるのは、消去条件が成立したときである。消去条件は、予め定められた規定回数(N)の特定抽選(詳細は後述)が実行されることをもって成立するものである。本実施形態では規定回数(N)=1回とされている。つまり、1回の特定抽選が実行されることを契機として第一不揮発性メモリ31から特定情報が消去される(図16(b-2)→(b-1))。
【0079】
なお、以下の説明においては、第一不揮発性メモリ31に特定情報が記憶された状態(図16(b-2)の状態)を記憶状態と、第一不揮発性メモリ31に特定情報が記憶されていない状態(図16(b-1)の状態)を非記憶状態と称することもある。
【0080】
4-3)特定演出
本実施形態にかかる遊技機1は、特定演出を実行することが可能である。本実施形態における特定演出は、現状設定を示唆するいわゆる「設定示唆演出」である。特定演出は、特定条件成立時に発生しうる。当該特定条件の成立(特定演出が発生しうるタイミング)はどのようなものであってもよい。変動中演出中であってもよいし、大当たり遊技中であってもよい(その両方であってもよい)。本実施形態では、大当たり遊技のオープニング期間(最初の単位遊技が開始される前の期間)に特定演出が発生する(図16(c)参照)。換言すれば、大当たりに当選することが特定条件の成立とされているということである。
【0081】
特定演出としてどのような内容の演出が実行されるかは、現状設定に基づいて実行される特定抽選により決まる。本実施形態では、発生しうる特定演出として、特定演出A~特定演出Dの四種類が設けられている。各種特定演出の具体的態様は、遊技者が演出の違いを把握できるものであればどのようなものであってもよい。本実施形態では、特定演出AはキャラクタAが、特定演出BはキャラクタBが、特定演出CはキャラクタCが、特定演出DはキャラクタDが表示される演出とされている。上述した通り、特定演出は大当たり遊技のオープニング期間にて実行されるところ、大入賞領域906を狙って遊技球を発射すべきであることを指示する(右打ちを指示する)キャラクタが当該特定演出として表示されるキャラクタとされている(図16(c)参照)。
【0082】
4-4)特定抽選
特定条件が成立したときに、どの種類の特定演出を実行するかは、特定抽選により決定される。つまり、特定抽選は、特定演出の内容を決めるための抽選である。上述した通り、特定演出は「設定示唆演出」であるから、その内容を決めるための抽選である特定抽選は現状設定に基づくものとなる。なお、特定抽選の実行には、確率が100%である抽選や、確率が0%である抽選の実行も含まれるものとする。
【0083】
また、特定抽選の態様は、第一不揮発性メモリ31に特定情報が記憶された記憶状態にある場合と、第一不揮発性メモリ31に特定情報が記憶されていない非記憶状態にある場合とで異なる。具体的には、特定演出の内容を決定するための抽選テーブルとして、記憶状態にあるときに用いられる記憶状態用テーブル(図17(a)参照)と、非記憶状態にあるときに用いられる非記憶状態用テーブル(記憶状態用テーブルとは異なるテーブル)(図17(b)参照)が存在する。
【0084】
上述した通り、記憶状態にあるのは、特定操作(設定変更操作)後であって、消去条件が成立していない(特定抽選が実行されていない)ときである。よって、記憶状態用テーブルを用いた特定抽選が実行されるのは、設定変更後初めての特定条件が成立したときであるといえる。また、本実施形態では、規定回数=1回とされているため、記憶状態用テーブルを用いた特定抽選が実行された後は、第一不揮発性メモリ31から特定情報が消去されて非記憶状態に移行する。よって、記憶状態用テーブルを用いた特定抽選が実行された以降、すなわち設定変更後最初の特定演出が実行された以降は、(次の設定変更操作がなされるまでは)非記憶状態用テーブルを用いた特定抽選が実行されることになる。
【0085】
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、特定演出の内容を決定するための特定抽選が、設定変更後とそれ以降とで異なるという面白みのある遊技性が実現される。
【0086】
特に、本実施形態では、設定変更がなされたことを示す情報である特定情報は第一不揮発性メモリ31に記憶されるから、電源OFFによっても消去されない。よって、例えば設定変更操作後に遊技機1の電源のOFF→ON操作がなされた場合であっても、最初の特定成立時には記憶状態用テーブルによる特定抽選が実行されることになる。
【0087】
なお、当然ではあるが、非記憶状態にて遊技機1の電源のOFF→ON操作がなされた場合には、そのまま非記憶状態が維持される。よって、設定変更がなされない限り、遊技機1の電源OFF→ONがなされても記憶状態用テーブルが用いられることはない。
【0088】
図17から分かるように、本実施形態における特定抽選(特定演出)は以下のような特性を有するものである。
【0089】
特定演出Aは、記憶状態および非記憶状態のいずれであっても高設定ほど発生する確率が低い演出である。よって、特定演出Aが発生することは、遊技者にとって喜ばしくはない事象であるといえる。ただし、「設定4」~「設定6」については、記憶状態と非記憶状態とで特定演出Aが発生する確率は異なる。
【0090】
特定演出B、Cは、記憶状態および非記憶状態のいずれであっても高設定ほど発生する確率が高い演出である。よって、特定演出B、Cが発生することは、遊技者にとって喜ばしい事象であるといえる。なお、「設定1」~「設定6」のいずれであっても、記憶状態と非記憶状態とで特定演出B、Cの発生確率に違いはないものとされている。
【0091】
特定演出Dは、最高設定から数えた一部の設定が現状設定とされている場合しか発生しないものとされている。本実施形態では、現状設定が「設定4」~「設定6」である場合でしか発生することがないものとされている。つまり、特定演出は(「設定1」を除く)「設定○」以上が確定する演出である。
【0092】
また、この特定演出Dは、記憶状態での特定抽選が実行された場合には発生しうるものの、非記憶状態での特定抽選が実行された場合には発生しないものである。つまり、設定変更後の最初の特定演出として特定演出Dが発生する可能性はあるものの、それ以降の特定演出として特定演出Dが発生する可能性はないということである。このように、記憶状態での特定抽選が実行された場合には発生しうるものの、非記憶状態での特定抽選が実行された場合には発生することがない種類の特定演出(特定演出D)が設けられた構成とすることで、当該種類の特定演出が発生した場合には設定変更がなされたことが確定するということになる。遊技者視点でいえば、記憶状態での特定抽選が実行されることにより、設定変更がなされたかどうかを知ることができる可能性があるということになる。
【0093】
また、特定演出Dが発生した場合には、「設定○以上」(本実施形態では「設定4」以上)であることが確定するところ、当該特定演出Dに接することができるのは記憶状態に限られることになる。つまり、記憶状態での特定抽選を受けたことの特典として「設定○以上」であることが確定する可能性があるという遊技性とされている。
【0094】
以下、上記特定抽選に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0095】
〇具体例3-1
上記実施形態では、記憶状態にて一回の特定抽選が実行されることが消去条件の成立とされている(規定回数(N)=1回である)ことを説明したが、規定回数(N)が2回以上とされたものとしてもよい(図18(a)参照)。このようにすることで、設定変更がなされた後は、N回の特定抽選が実行されなければ非記憶状態に移行しないことになるから、記憶状態用テーブルでの特定抽選がN回以上実行されるという遊技性となる。
【0096】
〇具体例3-2
規定回数(N)の値が不定である構成とする。具体的には、設定変更がなされることを契機として、規定回数(N)の値を決定するための回数決定抽選が実行されるものとする。すなわち、Nの値の候補として複数の値が設けられており(例えば、候補として「1」、「2」、「3」の三つの値が設けられており)、当該値が回数決定抽選により決定されるものとする(図18(b)参照)。ただし、当該回数決定抽選により決定された規定回数(N)の値は、遊技者に示されるものではない(遊技者は把握不可能である)。
【0097】
このようにすることで、設定変更がなされた後、記憶状態用テーブルでの特定抽選が実行される回数が不定になる(非記憶状態に移行するタイミングが遊技者には分からなくなる)から、特定演出による設定推測がより困難になるという遊技性が実現される。
【0098】
〇具体例3-3
特定抽選は、特定演出を実行するか否かの抽選であってもよい。つまり、所定条件成立時に特定抽選が実行され、当該特定抽選に当選した場合に特定抽選が実行されるものとする。例えば、上記実施形態のように、大当たり遊技にて特定演出が発生しうるものとするのであれば、大当たり当選時に特定抽選が実行され、それに当選した場合に限り、当該大当たり遊技にて特定演出が発生するものとする。そして、その特定抽選の当選確率が、現状設定に応じて異なるものとする。つまり、特定演出の内容(発生する特定演出の種類)により現状設定が示唆されるのではなく、特定演出が発生するかどうか(特定抽選の実行回数あたりの特定演出の発生確率)により現状設定が示唆されるものとする。そして、当該特定抽選の態様が、記憶状態と非記憶状態とで異なるものとする。つまり、記憶状態にて用いられる記憶状態用の抽選テーブルと、非記憶状態にて用いられる抽選テーブルとが異なるようにする。このようにすることで、特定演出が実行されるか否かを決定するための特定抽選が、設定変更後とそれ以降とで異なるという面白みのある遊技性が実現される。
【0099】
図19に示した例では、記憶状態の方が非記憶状態よりも特定演出の発生確率(特定抽選の当選確率)が高い(トータルの発生確率が高い)ものであるから、設定変更後は設定示唆の恩恵を受けやすいという特徴がある。特に、図19に示した例は、現状設定が「設定1」~「設定6」のいずれであっても記憶状態の方が非記憶状態よりも特定演出が発生する確率が高いから、設定に関係なく設定変更後は設定示唆の恩恵を受けやすいといえる。
【0100】
また、図19に示した例では、設定毎の特定演出の発生確率の差が、記憶状態の方が非記憶状態よりも大きい(記憶状態は10%であり、非記憶状態は5%である)から、記憶状態にて特定抽選が実行された場合の方が、非記憶状態にて特定抽選が実行された場合よりも、設定差が表れやすいという特徴もある。
【0101】
なお、特定抽選を、特定演出を実行するか否かの抽選(上記実施形態のような構成)であり、かつ、特定演出の内容を決定するための抽選(本例のような構成)であるものとしてもよい。つまり、特定演出が実行されるか否か、および、特定演出の内容を決定するための抽選の態様が、記憶状態と非記憶状態とで異なるものとしてもよい。
【0102】
〇具体例3-4
上記実施形態では、特定演出は現状設定を示唆する設定示唆演出であることを説明したが、その他の示唆として用いることもできる。例えば、いわゆる「天井」(遊タイム等とも称されている)機能を備えている遊技機1のリセット操作の示唆(「天井」までの遠近の示唆)として用いることもできる。具体的には以下の通りである。
【0103】
天井機能それ自体は公知であるため、簡単に説明する。遊技者が大当たりの獲得を目指して遊技する遊技状態が、ある遊技状態(以下、基準遊技状態と称する)からそれよりも有利な遊技状態(以下、有利遊技状態と称する)に移行することは、基本的には大当たり当選を契機として発生しうるものであるが、天井機能が発動した結果として発生することもある遊技性が知られている。なお、基準遊技状態と有利遊技状態の有利さの度合の違いを設定する方法はどのようなものであってもよい。基準遊技状態がいわゆる低ベース状態であり、有利遊技状態がいわゆる高ベース状態(低ベース状態よりも当否抽選を受けやすい状態)である設定としてもよいし、基準遊技状態が低確率状態であり、有利遊技状態が高確率状態(低確率状態よりも大当たりを獲得しやすい状態)である設定としてもよい。また、それらを組み合わせて有利さの度合に差を設定してもよい。
【0104】
天井機能は、所定のリセット条件が成立した後、基準遊技状態にて当否抽選結果が所定回数(いわゆる天井回数(天井までの回転数)。例えば所定回数=1000回とされる)連続してはずれとなることで発動する。ここで、リセット条件は、「基準遊技状態に移行することになる大当たり遊技の終了」および「リセット操作」のどちらか一方が発生することで成立するものとされる。リセット操作は、遊技機内部が開放されなければ行うことができない操作であり、遊技者が行うことができない操作である(遊技店員が行うことができる操作である)。よって、遊技店の開店直後の状態(いわゆる朝一状態)では、リセット操作がなされているか否かを遊技者が明確に知ることはできない。リセット操作がなされていれば天井機能が発動するまでに必要なはずれ回数、すなわち天井までの回転数は上記所定回数(1000回)となる一方、リセット操作がなされていなければ天井機能が発動するまでに必要な天井までの回転数は上記所定回数以下である(前営業日の回転数を引き継いでいる)可能性がある。
【0105】
上記リセット操作を、特定操作とする。つまり、リセット操作がなされた場合には、第一不揮発性メモリ31に特定情報(リセット操作がなされたという情報)が記憶されるものとする(図20(a)参照)。リセット操作がなされた後、遊技機1の電源のOFF→ONがなされても、特定情報が記憶されたままである。特定情報は、上記実施形態にて説明した通り、規定回数(例えば1回)の特定抽選が実行されることを契機として消去される。
【0106】
特定演出は、リセット操作がなされたか否か、および、リセット操作がなされてからの連続するはずれ回数(以下、連続はずれ回数と称する。連続はずれ回数が多いほど、天井到達までの残りのはずれ回数(残回数)が少なくなるため、当該連続はずれ回数の示唆は残回数の示唆であるともいえる)の少なくともいずれか一方を示唆するものとする(前者を「リセット示唆」、後者を「回転数示唆」と称する)。
【0107】
特定演出を「リセット示唆」として用いるのであれば、例えば、記憶状態にて特定条件が成立して特定抽選が実行された場合には100%の確率で特定演出が発生し、非記憶状態にて特定条件が成立して特定抽選が実行された場合には特定演出が発生しない(発生確率0%)ような構成とする(図20(b)参照)ことが考えられる。つまり、リセット操作後は特定条件成立時に特定演出が発生する一方、リセット操作後でなければ(リセット操作後少なくとも一回の特定抽選が実行された場合には)特定演出が発生することはないものとする。このようにすることで、特定演出が発生するか否かにより、天井までのはずれ回数がリセットされているかどうかを把握することができる。
【0108】
特定演出を「回転数示唆」として用いるのであれば、例えば、連続はずれ回数が500回以上であれば特定演出が発生しうるようにすることが考えられる。つまり、特定演出は、連続はずれ回数が500回以上であれば(天井まで比較的近ければ)発生しうるものの、連続はずれ回数が500回未満であれば(天井まで比較的遠ければ)発生しないものとする。そして、連続はずれ回数が500回以上である状態かつ記憶状態にて特定条件が成立して特定抽選が実行された場合には、10%の確率で特定演出が発生する一方、連続はずれ回数が500回以上である状態かつ非記憶状態にて特定条件が成立して特定抽選が実行された場合には、50%の確率で特定演出が発生するようにする。つまり、天井まで比較的近いことを示す特定演出は、記憶状態にあるときよりも非記憶状態にあるときの方が発生しやすいものとする。記憶状態にあるときよりも非記憶状態にあるときの方が、連続はずれ回数が比較的多くなりやすいから、非記憶状態にて天井までの回転数が少ないことを示唆する特定演出が発生しやすくするようにすることが好ましい。
【0109】
なお、本例のようなリセット操作の示唆(「天井」までの遠近の示唆)として特定演出が発生しうる構成とする場合、特定抽選を行う契機となる特定条件は、上記実施形態のように大当たりの当選を契機として成立する条件ではないものとされる。大当たりに当選した場合、「天井」到達までに必要なはずれ回数がリセットされるのであるから、大当たりに当選した際に当該示唆を行う意味はないからである。例えば、所定条件を満たす変動中演出(ある特別な演出を含む変動中演出)が実行されることが、特定条件の成立とされ、当該特定条件の成立を契機として実行される特定抽選に当選した場合には、当該変動中演出中に特定演出が実行されるようにすることが考えられる。
【0110】
本例のようにすることで、天井までの回転数がリセットされるリセット操作がなされてから未だ特定抽選が実行されていない記憶状態である場合と、非記憶状態である場合とでは、リセット操作がなされたかや天井までの遠近を示唆する特定演出の作用の享受のしやすさが異なるという遊技性が実現される。
【0111】
5)対象情報の記憶
本実施形態にかかる遊技機1は、情報の書き換えが可能であり、所定の情報(以下、対象情報と称する)が記憶される記憶手段を備える。本実施形態では、当該記憶手段として電源がOFFとされても情報が消えない不揮発性メモリ(図21参照。上述した第一不揮発性メモリ31と区別するため以下第二不揮発性メモリ32と称する。ただし、第一不揮発性メモリ31と第二不揮発性メモリ32が別のものであってもよいし、同一のものであってもよい)を用いている。
【0112】
対象情報は、遊技の進行に伴って内容が変化しうるものである。本実施形態では、対象情報として、所定条件成立後に実行された変動中演出の回数である変動回数(回転数)が第二不揮発性メモリ32に記憶される(以下、当該変動回数の情報を回数情報と称する)。所定条件は、「電源のOFF→ON」、「大当たり遊技の終了」、「設定変更」の少なくともいずれかが発生したときに成立するものとされる。すなわち、これらの事象のうちのいずれかが発生したときには第二不揮発性メモリ32に記憶された回数情報はリセット(「0」とされ)され、その後再び回数情報のカウントが開始されることになる。「大当たり」に当選した場合には変動回数はリセットされるのであるから、第二不揮発性メモリ32に記憶される回数情報は、はずれの連続回数であるということになる。
【0113】
対象情報は、更新条件成立時に第二不揮発性メモリ32に記憶される。具体的には、更新条件成立時点における新たな対象情報に更新する処理が行われる。本実施形態における対象情報は回数情報であるため、一の変動中演出が実行される(終了する)度に、更新条件が成立して、新たな回数情報が第二不揮発性メモリ32に記憶される(図21参照。図面においては当該回数情報(変動回数)を「数字」で示す)。具体的には、図示しない主制御回路から変動中演出が終了した信号が出力されることを契機として、第二不揮発性メモリ32への書き込み処理が行われる。当然、変動回数は1ずつ増加していくものであるため、新たな更新条件が成立したときには、「前回の更新条件成立時の変動回数+1」の値が回数情報として記憶されることになる。
【0114】
第二不揮発性メモリ32は、複数の記憶領域を有する。本実施形態では、第一記憶領域321および第二記憶領域322を有する(図21参照)。第一記憶領域321および第二記憶領域322のそれぞれは、主領域およびチェック領域を有する。以下では、第一記憶領域321の主領域およびチェック領域を、それぞれ第一主領域321aおよび第一チェック領域321bと、第二記憶領域322の主領域およびチェック領域を、それぞれ第二主領域322aおよび第二チェック領域322bと称する。回数情報は主領域に記憶される(書き込まれる)。詳細を後述する処理情報はチェック領域に記憶される(書き込まれる)。
【0115】
対象情報である回数情報は、前回の更新条件成立時に記憶された記憶領域とは異なる記憶領域に記憶される。前回の更新条件成立時に回数情報が第一記憶領域321(第一主領域321a)に記憶されていた場合(図21(a)参照)には、次の更新条件成立時には回数情報が第二記憶領域322(第二主領域322a)に記憶される(図21(b-2)参照)。前回の更新条件成立時に回数情報が第二記憶領域322(第二主領域322a)に記憶されていた場合(図21(b-2)参照)には、次の更新条件成立時には回数情報が第一記憶領域321(第一主領域321a)に記憶される(図21(c-2)参照)。つまり、最新の回数情報は、第一記憶領域321(第一主領域321a)と第二記憶領域322(第二主領域322a)に交互に記憶されていく。なお、本実施形態では、各記憶領域において最新の回数情報が「上書き」される。例えば、第一記憶領域321(第一主領域321a)に最新の回数情報を記憶させる際(図21(c-2)参照)には、その二つ前の回数情報が既に第一記憶領域321(第一主領域321a)に記憶されている(図21(a)参照)ところ、最新の回数情報が書き込まれることで、二つ前の回数情報は消去される。
【0116】
対象情報である回数情報が記憶領域に記憶されるに際し、処理情報が同じ記憶領域のチェック領域に併せて記憶される(図21(b-3)、(c-3)参照)。上述した通り、回数情報は第一記憶領域321と第二記憶領域322に交互に記憶されるのであるから、処理情報も第一記憶領域321と第二記憶領域322に交互に記憶される。処理情報は、回数情報の各記憶領域に対する書き込み処理が正常に行われたどうかを判断するためのものである。
【0117】
具体的には、回数情報を対応する記憶領域に書き込む際に際し、第一の処理情報として「異常」を示す情報(異常情報)を書き込んだ後(図21(b-1)、(c-1)参照)、回数情報を書き込み(図21(b-2)、(c-2)参照)、その後第二の処理情報として「正常」を示す情報(正常情報)を第一の処理情報(異常情報)に上書きして書き込む(図21(b-3)、(c-3)参照)。つまり、当該書き込み処理が最後まで行われる場合には、「異常情報」→「回数情報」→「正常情報」の順で書き込まれることになり、正常情報まで書き込まれた場合には異常情報が存在しないことになる。つまり、書き込み処理が正常に行われた場合には、第一記憶領域321および第二記憶領域322の一方に回数情報とともに正常情報が書き込まれた状態になる(図21(b-3)、(c-3)参照)。
【0118】
図示しないが、本実施形態では、回数情報に基づく変動回数が第一表示領域111に表示される。当該回数情報は常時表示されるようにしてもよいし、遊技者が所定の操作を行った場合に表示されるようにしてもよい。また、第一表示領域111(メインの表示領域)とは別の表示領域(別の表示装置)に表示されるようにしてもよい。回数情報を第一表示領域111に表示するに際しては、第二不揮発性メモリ32に書き込まれた回数情報を読み出して出力することになる。読み出す対象の記憶領域は、基本的には、最新(最近)の更新条件成立時に回数情報が書き込まれた領域である。
【0119】
このような書き込み処理の途中で何らかの異常(例えば、書き込み処理の途中で一時的な停電等)が発生する可能性がある。異常が発生した場合には、チェック領域に対する正常情報の書き込み処理が完了せず、チェック領域に異常情報が残った状態となる。つまり、正常情報が記憶されていない状態にある場合には、回数情報の書き込み処理が完了していない可能性(書き込み処理が異常である可能性)がある(図22参照)。
【0120】
例えば、最新の更新条件成立時には、第一記憶領域321(第一主領域321a)に対する回数情報の書き込み処理が実行されたとする。この場合、最新の回数情報を読み出す際には、第一記憶領域321(第一チェック領域321b)に正常情報が記憶されているかどうかを判断する。第一記憶領域321(第一チェック領域321b)に正常情報が存在する場合、すなわち最後まで正常に書き込み処理が行われた場合(図21(c)参照)には、当該第一記憶領域321(第一主領域321a)に記憶されている回数情報を読み出して出力する(当該回数情報に基づく変動回数を表示する)(図21(c-1)参照)。
【0121】
これに対し、書き込み処理の途中で異常が発生した場合には、第一記憶領域321(第一チェック領域321b)に正常情報が記憶されないことになる(異常情報が残ることになる)(図22(b)参照)。この場合には、当該第一記憶領域321(第一主領域321a)に回数情報が正確に書き込まれなかった可能性があるから第一記憶領域321(第一主領域321a)に記憶された情報を読み出さない。本実施形態では、その代わりに、最新の更新条件の一つ前に成立した更新条件成立時(前々回の更新条件成立時)に記憶された回数情報を読み出す。つまり、第二記憶領域322(第二チェック領域322b)に正常情報が記憶されているかどうかを判断し、正常情報が記憶されていると判断された場合には、当該第二記憶領域322(第二主領域322a)に記憶された回数情報を読み出して出力する(当該回数情報に基づく変動回数を表示する)(図22(b-3)参照)。
【0122】
なお、図示しないが、第二記憶領域322(第二チェック領域322b)にも正常情報が記憶されていない場合には、第一記憶領域321(第一主領域321a)および第二記憶領域322(第二主領域322a)のいずれにも正確な回数情報が記憶されていない可能性があるということであるから、回数情報は出力されない(エラーとして取り扱われる)。ただし、このような状況は二回連続で回数情報の書き込みの際に異常が発生しなければ生じないものであって、現実的に起こりえないような事象であるから、基本的には第二記憶領域322(第二主領域322a)に記憶された回数情報の書き込みは正常に行われているはずである。
【0123】
最新の更新条件成立時に第二記憶領域322(第二主領域322a)に回数情報が書き込まれた場合も同様である。第二記憶領域322(第二チェック領域322b)に正常情報が記憶されているかどうかを判断し、正常情報が記憶されている場合には、当該第二記憶領域322(第二主領域322a)に記憶されている回数情報を読み出して出力する一方、正常情報が記憶されていない場合には、第一記憶領域321(第一チェック領域321b)に正常情報が記憶されているかどうかを確認して、正常情報が記憶されている場合には当該第一記憶領域321(第一主領域321a)に記憶された回数情報を読み出して出力する。
【0124】
以上の通り、本実施形態にかかる遊技機1では、対象情報(回数情報)を記憶させる記憶領域を二つ(第一記憶領域321、第二記憶領域322)設け、更新条件成立の度に、交互に別の記憶領域(主領域)に記憶させるようにしている。したがって、ある記憶領域に対象情報を書き込んでいる際に異常が発生して当該書き込みが完了しなかった場合であっても、もう一方の記憶領域に記憶させた回数情報を読み出せばよい。
【0125】
最新の更新条件成立時の書き込みが正常に行われなかった場合には、その一つ前の更新条件成立時の対象情報(一回前に書き込んだ情報)が読み出して出力されるため、厳密にはその対象情報は正確なものであるとはいえない(図22(b-3)参照)。ただ、その対象情報は、最新の更新条件成立時の一つ前の更新条件成立時に記憶されたものであってそれほど誤差が大きいものとはいえない。特に、本実施形態にて対象情報とされる回数情報は変動回数を示すものであるところ、表示される変動回数にわずか「1」の誤差が生じることを遊技者はそれほど気にしない(「1」の誤差が生じていることに遊技者が気づかない)と考えられる。このように、本実施形態にかかる遊技機1は、対象情報の書き込みの際に異常が発生しても誤差を最小限に留めて対象情報を復元することができるものである。
【0126】
以下、上記対象情報の記憶に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0127】
〇具体例4-1
上記実施形態では、第二不揮発性メモリ32に二つの記憶領域(第一記憶領域321、第二記憶領域322)が設けられ、更新条件成立の度に交互に対象情報(回数情報)が記憶されていくことを説明したが、三つ以上の記憶領域が設けられ、更新条件の成立の度に前回とは異なる記憶領域(主領域)に対象情報が記憶されるよう、所定の順で当該対象情報が記憶されるようにする。例えば、第一記憶領域321(第一主領域321a)~第三記憶領域323(第三主領域323a)の三つが設けられ、更新条件成立の度に、第一記憶領域321(図23(a)参照)→第二記憶領域322(図23(b)参照)→第三記憶領域323(図23(c)参照)→第一記憶領域321(図23(d)参照)・・・という順で対象情報が記憶されるようにする。
【0128】
最新の回数情報を読み出す際に、最新の更新条件成立時にある記憶領域に対する書き込み処理が正常に行われなかったと判断された場合(チェック領域に正常情報が記憶されていない場合)には、それよりも前の更新条件成立時に当該ある記憶領域とは別の記憶領域に対する書き込み処理が正常に行われたかどうかを正常情報(処理情報)の有無に基づき判断し、書き込み処理が正常に行われたもののうち、最近の対象情報を読み出して出力するようにする。例えば、最新の更新条件成立時に書き込み処理された記憶領域が第三記憶領域323であり、当該第三記憶領域323に対する書き込み処理が正常に行われなかったと判断された場合(第三チェック領域323bに正常情報が記憶されていない場合)、まずはその一つ前の更新条件成立時における第二記憶領域322に対する書き込み処理が正常に行われたかどうか(第二チェック領域322bに正常情報が記憶されているかどうか)を判断する。第二記憶領域322に対する書き込み処理が正常に行われていた場合には当該第二記憶領域322(第二主領域322a)に記憶された対象情報を読み出して出力する(図24参照)。図示しないが、仮に、第二記憶領域322(第二主領域322a)に対する書き込み処理が正常に行われていなかった場合(第二チェック領域に正常情報が記憶されていなかった場合)には、さらにその一つ前の更新条件成立時における第一記憶領域321(第一主領域321a)に対する書き込み処理が正常に行われたかどうか(第一チェック領域321bに正常情報が記憶されているかどうか)を判断する。第一記憶領域321(第一主領域321a)に対する書き込み処理が正常に行われていた場合には当該第一記憶領域321(第一主領域321a)に記憶された対象情報を読み出して出力する。第一記憶領域321に対する書き込み処理が正常に行われていなかった場合には、エラーとして取り扱う(対象情報を出力しない)。
【0129】
このように、三つの記憶領域を設けた場合には、当該三つの記憶領域の全てに対する書き込み処理、すなわち直近の連続する三回の書き込み処理の全てが異常であった場合に限りエラーとなるものである。つまり、記憶領域の数を増やすほど、エラーとなる蓋然性が低くなるという利点がある。
【0130】
〇具体例4-2
上記実施形態における対象情報は、回数情報(変動回数)であることを説明したが、遊技の進行に伴って内容が変化しうる情報であれば、これに加え、または、これに代えて、異なる情報を対象情報とすることもできる。例えば、大当たり回数等を対象情報とすることもできる。
【0131】
〇具体例4-3
上記実施形態にて説明したように、最新の更新条件成立時における対象情報の書き込み処理が正常に行われなかった場合には、その一つ前の更新条件成立時における対象情報の書き込み処理が正常に行われていれば当該対象情報(一つ前の対象情報)が出力されることになる。上記実施形態では、当該一つ前の対象情報がそのまま出力されることを説明したが、当該対象情報が正しい情報となるように変更が加えられた上で出力されるものとする。例えば、上記実施形態のように、対象情報が回数情報(変動回数)であれば、一つ前の回数情報は「正確な変動回数の値-1」であるということになるため、当該一つ前の回数情報の値に「1」を加えたもの(+1としたもの)を出力する(図25(b)参照)。つまり、対象情報が「更新条件成立の度に1ずつ増加する値」に相当するものであれば、一つ前の対象情報は正しい対象情報から「1」少ない情報であるということになるため、当該一つ前の対象情報を用いる場合には「1」加えたものが実際に出力(表示)されるようにする。
【0132】
このようにすることで、最新の更新条件成立時における書き込み処理が正常に行われなかった場合であっても、正確な対象情報(回数情報)が出力されることになる。
【0133】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0134】
上記実施形態にて説明した事項は、ぱちんこ遊技機特有の構成を利用した点を除いて、回胴式遊技機等その他の遊技機にも適用することが可能である。
【0135】
上記実施形態では、当否抽選結果の態様として大当たりおよびはずれが設定され、大当たりとなることで大当たりが獲得される(大当たり遊技が実行される)ものであるが、いわゆる小当たり経由により大当たりが獲得できるものとしてもよい。このように小当たり経由で大当たりが獲得できる遊技性(いわゆる「二種遊技機」の遊技性)を備えたもの自体は周知であるため詳細な説明を省略するが、例えば小当たりに当選した場合、(遊技機の故障や遊技者が指示通り遊技を行わない等のイレギュラーな事象が発生した場合を除き)それが大当たりの獲得に繋がるという設定(実質的に小当たり当選と大当たり当選が同一視できる設定)である設定とするのであれば、上記実施形態にて説明した大当たりの当選とは、小当たりに当選することを含むものとする。
【0136】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0137】
・手段1-1
第一表示装置および当該第一表示装置とは異なる第二表示装置を備えた遊技機であって、前記第一表示装置に第一数値が、前記第二表示装置に第二数値が表示された状態の後、前記第一数値と前記第二数値を合算した合算数値が前記第一表示装置と前記第二表示装置の一方に表示された状態となる合算演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、合算数値が第一数値と第二数値を合算したものであることを分かりやすく示すことができる。
【0138】
・手段1-2
前記第二表示装置は、待機位置および進出位置に位置することが可能であり、前記第二数値が表示された状態にある前記第二表示装置が前記待機位置から前記進出位置まで変位した後、当該進出位置に位置した前記第二表示装置に前記合算数値が表示されることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
第二表示装置に合算数値が表示された状態となる前に第二表示装置を変位させることで、合算数値が表示されるよりも前に第二表示装置に遊技者が注目することになる(合算数値の表示を遊技者が見落としてしまうことが防止される)。
【0139】
・手段1-3
前記待機位置に位置する前記第二表示装置に覆われずに露出していた前記第一表示装置に表示される前記第一数値の少なくとも一部が、前記進出位置まで変位した前記第二表示装置に覆われた後、当該進出位置に位置した前記第二表示装置に前記合算数値が表示されることを特徴とする手段1-2に記載の遊技機。
このようにすることで、第一数値が第二数値に加えられた結果、第二表示装置に合算数値が表示されたということをより分かりやすく示すことができる。
【0140】
・手段1-4
前記第一数値および前記第二数値は、当否抽選結果が当たりとなったときに実行される当たり遊技にて遊技者が得られた利益を示すものであり、前記第一数値および前記第二数値の一方は、前記合算演出が実行される前の直近の一回の前記当たり遊技である直近当たり遊技にて得られた単一利益を示すものであり、前記第一数値および前記第二数値の他方は、所定条件成立後、前記直近当たり遊技よりも前に実行された一または二回以上の前記当たり遊技のそれぞれにて得られた利益を合わせた総利益を示すものであることを特徴とする手段1-1から手段1-3のいずれかに記載の遊技機。
このように、合算演出は、直近当たり遊技にて得られた利益を加算していった総利益を示すものとして用いることができる。
【0141】
・手段2-1
複数種の選択肢が示される選択演出として、複数種の前記選択肢のうちの一種を遊技者が任意に選択できる任意選択演出と、複数種の前記選択肢のうちの少なくともいずれかが前記任意選択演出と同種のものとされる演出であって、複数種の前記選択肢のうちの一種が自動で選択される自動選択演出と、が実行可能であり、前記任意選択演出が発生した場合よりも、前記自動選択演出が発生した場合の方が、演出終了後に遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が高いことを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、選択演出における選択が、任意選択であるか自動選択であるかで有利な事象が発生する蓋然性が示唆されるという面白みのある遊技性が実現される。
【0142】
・手段2-2
前記自動選択演出にて示される複数種の前記選択肢のうちの一つは、前記任意選択演出にて示されることがない特殊選択肢であることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、任意選択演出と自動選択演出の違いが明確になる。
【0143】
・手段2-3
前記自動選択演出は、前記特殊選択肢が自動で選択されるものであることを特徴とする手段2-に記載の遊技機。
このようにすることで、いわゆるチャンスアップである特殊選択肢の存在に遊技者が気付かない状況となることが防止される。
【0144】
・手段2-4
前記任意選択演出および前記自動選択演出は、前記選択肢が一つずつ示されていくものであり、前記自動選択演出が実行される場合であっても、少なくとも最初に示される前記選択肢が前記特殊選択肢となることはなく、前記特殊選択肢が示されるまでは実行されている演出が前記任意選択演出であるか前記自動選択演出であるかが判別できないことを特徴とする手段2-2または手段2-3に記載の遊技機。
このようにすることで、最初の選択肢が示された時点で、任意選択演出および自動選択演出のいずれが発生したのか判別することができなくなる。
【0145】
・手段3-1
遊技者が行うことができない特定操作がなされた場合に特定情報が記憶されるものであって、当該特定情報が記憶された状態で電源がOFFとされても当該特定情報が消去されない不揮発性の記憶手段と、前記記憶手段に前記特定情報が記憶された状態で、所定の消去条件が成立することを契機として当該記憶手段から当該特定情報を消去する制御手段と、を備え、特定演出を実行するか否かおよび特定演出の内容の少なくともいずれか一方を決める特定抽選は、前記記憶手段に前記特定情報が記憶されている記憶状態にある場合と、前記記憶手段に前記特定情報が記憶されていない非記憶状態にある場合とでは異なる態様とされることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、特定操作がなされたことを示す特定情報が電源のOFF→ONでも消去されないから、電源のOFF→ONがなされた場合であっても特定操作がなされたかどうかで特定抽選の態様を異ならせることができる。
【0146】
・手段3-2
前記消去条件は、規定回数の前記特定抽選が実行されることを契機として成立するものであることを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
このようにすることで、特定操作がなされた場合には、規定回数の特定抽選が実行されるまでと、それ以降とで特定抽選の態様が異なる遊技性が実現される。
【0147】
・手段3-3
複数の候補設定のうちのいずれを現状設定として設定するかに応じ、遊技者にとって有利な度合が異なるものであり、前記特定操作は、前記現状設定を変更する操作であり、前記特定演出は、前記現状設定を示唆する演出であることを特徴とする手段3-1または手段3-2に記載の遊技機。
このようにすることで、設定変更操作がなされたかどうかに応じて、特定抽選の態様を異ならせることができる。
【0148】
・手段3-4
当否抽選結果が当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、基準遊技状態および当該基準遊技状態よりも遊技者に有利な有利遊技状態が設けられており、前記基準遊技状態にて、リセット操作がなされてから連続して当否抽選結果がはずれとなった回数である連続はずれ回数が所定回数に到達した場合には、当否抽選結果が当たりとならなくても前記有利遊技状態に移行するものであり、前記特定操作は、前記リセット操作であり、前記特定演出は、前記リセット操作がなされたか否か、および、前記連続はずれ回数の少なくともいずれか一方を示唆する演出であることを特徴とする手段3-1または手段3-2に記載の遊技機。
このようにすることで、いわゆる天井までの回転数のリセット操作がなされたかどうかに応じて、特定抽選の態様を異ならせることができる。
【0149】
・手段4-1
情報の書き換えが可能である複数の記憶領域が設けられた記憶手段と、遊技の進行に伴って内容が変化しうる対象情報を、更新条件成立時に前記記憶手段に記憶させる制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記更新条件成立時に当該時点における前記対象情報を、前回の前記更新条件成立時に前記対象情報を記憶させた前記記憶領域とは異なる前記記憶領域に記憶させることを特徴とする遊技機。
このようにすることで、最新の更新条件成立時に対象情報の記憶(書き込み)が正常に行われなかった場合であっても、その前の記憶領域に記憶された対象情報が残存している蓋然性が高いため、その対象情報を反映させることができる。
【0150】
・手段4-2
前記更新条件成立時に前記対象情報を前記記憶領域のいずれかに記憶させるに際し、当該記憶領域に対する書き込み処理が正常に行われたかどうかを示す処理情報が併せて前記記憶手段に記憶され、前記記憶手段に記憶された前記対象情報を読み出す際に、最新の前記更新条件成立時にある記憶領域に対する書き込み処理が正常に行われなかったと前記処理情報に基づき判断された場合には、それよりも前の前記更新条件成立時に当該ある記憶領域とは異なる別の記憶領域に対する書き込み処理が正常に行われたかどうかを前記処理情報に基づき判断し、書き込み処理が正常に行われたもののうち最近の前記対象情報を読み出すことを特徴とする手段4-1に記載の遊技機。
このようにすることで、最新の更新条件成立時に対象情報の書き込みが正常に行われなかった場合には、その前の更新条件成立時に正常に書き込みがなされたもののうち、最も新しい対象情報を読み出すことができる。
【0151】
・手段4-3
当否抽選結果を示す装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果を示す態様で停止するまでの変動中演出を実行するものであり、前記対象情報は、所定条件成立後に実行された前記変動中演出の回数である回数情報を含み、前記変動中演出が実行される毎に、前記更新条件が成立することを特徴とする手段4-1または手段4-2に記載の遊技機。
変動中演出の回数(変動回数)として正確な値が出力されなくても(「1」少ない値が出力されても)それほど遊技者は気にしない蓋然性が高い。したがって、回数情報を対象情報として上記制御を行うことが好適である。
【符号の説明】
【0152】
1 遊技機
11 第一表示装置
111 第一表示領域
12 第二表示装置
121 第二表示領域
N1 第一数値
N2 第二数値
Nt 合算数値
20 選択肢画像(21~23 第一通常選択肢画像~第三通常選択肢画像、20s 特殊選択肢画像)
31 第一不揮発性メモリ
32 第二不揮発性メモリ
321 第一記憶領域(321a 第一主領域、321b 第一チェック領域)
322 第二記憶領域(322a 第二主領域、322b 第二チェック領域)
323 第三記憶領域(323a 第三主領域、323b 第三チェック領域)
70 保留図柄
80 装飾図柄
904 始動領域(904a 第一始動領域 904b 第二始動領域)
906 大入賞領域
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