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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】熱電発電装置および蒸気システム
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
H02N11/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023534368
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2022040977
(87)【国際公開番号】W WO2023145185
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2022010151
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(72)【発明者】
【氏名】杉江 悠一
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0058483(KR,A)
【文献】特開2013-002661(JP,A)
【文献】特開2019-204809(JP,A)
【文献】特開2008-010764(JP,A)
【文献】特開2019-110251(JP,A)
【文献】特開2017-041620(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0111654(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第111521923(CN,A)
【文献】特開2013-211470(JP,A)
【文献】特開2000-050661(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0012146(US,A1)
【文献】米国特許第05818131(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに上下方向に対向する下側の第1面および上側の第2面を有し、前記第1面と前記第2面との温度差に応じて熱電発電を行う熱電変換モジュールと、
前記第1面の下方において前記第1面と接して設けられ且つ蒸気が供給される容器状の加熱用本体を有し、前記加熱用本体の蒸気によって前記第1面を加熱する加熱熱交換器と、
前記第2面の上方において前記第2面と接して設けられ且つ冷却液が供給される容器状の冷却用本体を有し、前記冷却用本体の冷却液によって前記第2面を冷却する冷却熱交換器とを備え、
前記熱電変換モジュールおよび前記冷却用本体は、上下動自在に設けられ、
前記冷却用本体の上方に設けられ、前記冷却用本体を下方へ付勢する弾性部材をさらに備え、
上下方向と直交する板状に形成され、前記冷却用本体と前記弾性部材との間において上下動自在に設けられ、前記弾性部材の付勢力を前記冷却用本体に伝達する可動板をさらに備え、
前記可動板は、平面視で前記冷却用本体の上面を覆う大きさに形成されており、
前記加熱用本体は、水平に延びる半円柱形の容器状に形成されており、円弧が下方へ向かって突出し平面な上面が前記第1面と接する状態で設けられている
ことを特徴とする熱電発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱電発電装置において、
前記加熱用本体の内部および前記冷却用本体の内部の少なくとも一方は、単一空間で形成されている
ことを特徴とする熱電発電装置
【請求項3】
請求項1に記載の熱電発電装置において、
前記可動板の上下動をガイドするガイド部をさらに備えている
ことを特徴とする熱電発電装置
【請求項4】
蒸気が供給され、前記供給された蒸気を使用する蒸気使用機器と、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱電発電装置とを備え、
前記加熱用本体には、前記蒸気使用機器に供給される蒸気の一部が供給される
ことを特徴とする蒸気システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、熱電発電装置およびそれを備えた蒸気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱電変換素子を用いて熱電発電を行う熱電発電装置が知られている。例えば特許文献1に開示されている熱電発電装置では、排ガスが流通する内筒と、放熱フィンとの間に熱電変換素子が設けられている。この熱電発電装置では、熱電変換素子の高温面が排ガスによって加熱され、熱電変換素子の低温面が放熱フィンによって冷却される。これにより、高温面と低温面との間に温度差が生じて熱電発電が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-234194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1の熱電発電装置では、発電量をそれ程稼ぐことができないという問題がある。即ち、熱電変換素子の低温面は放熱フィンによって自然冷却されるため、高温面と低温面との温度差をそれ程稼ぐことができない。そのため、発電量を稼ぐことができない。
【0005】
本開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、発電量を増大させることができる熱電発電装置およびそれを備えた蒸気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の熱電発電装置は、熱電変換モジュールと、加熱熱交換器と、冷却熱交換器とを備えている。前記熱電変換モジュールは、互いに上下方向に対向する下側の第1面および上側の第2面を有し、前記第1面と前記第2面との温度差に応じて熱電発電を行う。前記加熱熱交換器は、前記第1面の下方において前記第1面と接して設けられ且つ蒸気が供給される容器状の加熱用本体を有し、前記加熱用本体の蒸気によって前記第1面を加熱する。前記冷却熱交換器は、前記第2面の上方において前記第2面と接して設けられ且つ冷却液が供給される容器状の冷却用本体を有し、前記冷却用本体の冷却液によって前記第2面を冷却する。
【0007】
また、本開示の蒸気システムは、蒸気が供給され、前記供給された蒸気を使用する蒸気使用機器と、前記の熱電発電装置とを備えている。前記加熱用本体には、前記蒸気使用機器に供給される蒸気の一部が供給される。
【発明の効果】
【0008】
前記の熱電発電装置によれば、発電量を増大させることができる。
【0009】
前記の蒸気システムによれば、熱電発電装置による発電量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、複数の熱電発電装置が組まれた発電ユニットの概略構成を示す正面図である。
図2図2は、熱電発電装置の概略構成を示す正面図である。
図3図3は、熱電発電装置の概略構成を示す背面図である。
図4図4は、熱電発電装置の概略構成を示す左側面図である。
図5図5は、熱電発電装置の概略構成を示す右側面図である。
図6図6は、熱電発電装置を前方から視て示す分解斜視図である。
図7図7は、熱電発電装置が設けられた熱回収システムの概略構成を示す配管系統図である。
図8図8は、気液分離部の概略構成図である。
図9図9は、液体圧送装置の概略構成を示す断面図である。
図10図10は、切換弁の概略構成を示す断面図である。
図11図11は、切換弁の一状態を示す図10相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、複数の熱電発電装置8が組まれた発電ユニットUの概略構成を示す正面図である。発電ユニットUは、複数の熱電発電装置8が組まれることで形成されている。この例の発電ユニットUでは、3つの熱電発電装置8が組まれている。具体的に、3つの熱電発電装置8は、上下方向に積み重ねられて一体形成されている。なお、この発電ユニットUでは、熱電発電装置8の天板88は、その直上に位置する熱電発電装置8の底板81を兼ねている。
【0013】
図2は、熱電発電装置8の概略構成を示す正面図である。図3は、熱電発電装置8の概略構成を示す背面図である。図4は、熱電発電装置8の概略構成を示す左側面図である。図5は、熱電発電装置8の概略構成を示す右側面図である。図6は、熱電発電装置8を前方から視て示す分解斜視図である。
【0014】
本実施形態の熱電発電装置8は、熱電変換モジュール84を用いて熱電発電を行う。熱電発電は、熱エネルギを電気エネルギに変換する発電である。具体的に、熱電発電装置8は、底板81と、加熱熱交換器82と、熱電変換モジュール84と、冷却熱交換器85と、可動板86と、板バネ87と、天板88とを備えている。熱電発電装置8では、下から順に、底板81、加熱熱交換器82、熱電変換モジュール84、冷却熱交換器85、可動板86、板バネ87および天板24が設けられている。
【0015】
この例では、上下方向は、鉛直方向と一致している。この例において、左右方向とは、図2図3における左右方向を示し、前後方向とは、図4図5における左右方向を示す。
【0016】
底板81は、水平に延びる板状に形成されている。この例では、底板81は、平面視が長方形となっている。
【0017】
熱電変換モジュール84は、互いに上下方向に対向する下側の第1面84aおよび上側の第2面84bを有している。熱電変換モジュール84は、第1面84aと第2面84bとの温度差に応じて熱電発電を行う。即ち、第1面84aは高温面であり、第2面84bは低温面である。
【0018】
具体的に、熱電変換モジュール84は、水平に延びる板状に形成されている。熱電変換モジュール84は、多数の熱電変換素子が板状に組み合わされて形成されている。熱電変換素子は、熱エネルギを電気エネルギに変換するデバイスであり、ゼーベック素子とも呼ばれる。こうして、板状に組み合わされた多数の熱電変換素子の一方の面が第1面84aとして形成され、他方の面が第2面84bとして形成されている。第1面84aおよび第2面84bはそれぞれ、水平に延びる平面に形成されている。
【0019】
この例では、熱電変換モジュール84は複数設けられており、より詳しくは、4つの熱電変換モジュール84が設けられている。そして、複数の熱電変換モジュール84は、左右方向に並んでいる。
【0020】
加熱熱交換器82は、熱電変換モジュール84の第1面84aの下方において第1面84aと接して設けられ且つ蒸気が供給される容器状の本体821を有し、本体821の蒸気によって第1面84aを加熱する。つまり、加熱熱交換器82は、熱電変換モジュール84の第1面84aを加熱するための加熱源である。
【0021】
具体的に、加熱熱交換器82は、本体821と、流入口822と、流出口823とを有している。本体821は、水平に延びる半円柱形の容器状に形成されている。より詳しくは、本体821は、左右方向に延びている。本体821は、円弧が下方へ向かって突出する状態で設けられている。本体821は、加熱用本体の一例である。流入口822は、本体821の左側面821aに設けられ、流出口823は、本体821の右側面821bに設けられている。本体821の上面821cは、水平に延びる平面に形成されている。本体821は、上面821cが複数の熱電変換モジュール84の第1面84aと接する状態で設けられている。
【0022】
加熱熱交換器82では、蒸気が、流入口822から本体821に流入する。本体821に流入した蒸気は、本体821の内部を流通しながら、第1面84aと熱交換する。より詳しくは、本体821内の蒸気は、上面821cを介して第1面84aに放熱する。これにより、第1面84aが加熱される。本体821内の蒸気は、第1面84aと熱交換することで、凝縮してドレンとなる。本体821内のドレンは、流出口823から流出する。
【0023】
本体821内で凝縮したドレンは、本体821内の底部に一時的に溜まる。そのため、凝縮したドレンによって第1面84aの加熱が阻害されることはない。つまり、加熱熱交換器82は、第1面84aの下方、即ち熱電変換モジュール84の下方に設けられているため、第1面84aと接する上面821cから離れた位置にドレンを溜めることができる。これにより、加熱熱交換器82の加熱効率が向上する。
【0024】
加熱熱交換器82は、スペーサ83aを介して底板81に支持されている。スペーサ83aは、上下方向に延びる棒状に形成され、底板81と加熱熱交換器82の本体821との間に設けられている。この例では、スペーサ83aは、底板81の4つの角部に位置している。
【0025】
冷却熱交換器85は、熱電変換モジュール84の第2面84bの上方において第2面84bと接して設けられ且つ冷却液が供給される容器状の本体851を有し、本体851の冷却液によって第2面84bを冷却する。つまり、冷却熱交換器85は、熱電変換モジュール84の第2面84bを冷却するための冷却源である。
【0026】
具体的に、冷却熱交換器85は、本体851と、流入口852と、流出口853とを有している。本体851は、直方体の容器状に形成されている。より詳しくは、本体851は、直方体の長手方向が水平方向と一致し且つ左右方向と一致する状態で設けられている。本体851は、冷却用本体の一例である。流入口852および流出口853は、本体851の前面851aに設けられている。より詳しくは、流入口852は、前面851aにおいて左端部に設けられ、流出口853は、前面851aにおいて右端部に設けられている。
【0027】
本体851の上面851bおよび下面851cは、水平に延びる平面に形成されている。本体851は、下面851cが複数の熱電変換モジュール84の第2面84bと接する状態で設けられている。また、本体851は、上面851bが後述する可動板86と接する状態で設けられている。
【0028】
冷却熱交換器85では、冷却液が、流入口852から本体851に流入する。本体851に流入した冷却液は、本体851の内部を流通しながら、第2面84bと熱交換する。より詳しくは、本体851内の冷却液は、下面851cを介して第2面84bから吸熱する。これにより、第2面84bが冷却される。本体851内において第2面84bと熱交換した冷却液は、流出口853から流出する。
【0029】
こうして、第1面84aが加熱され且つ第2面84bが冷却されることで、第1面84aと第2面84bとの間に温度差が生じる。そのため、熱電変換モジュール84では、第1面84aおよび第2面84bの温度差に応じて熱電発電が行われる。しかも、第1面84aは加熱熱交換器82によって積極的に加熱され、第2面84bは冷却熱交換器85によって積極的に冷却されるので、第1面84aおよび第2面84bの温度差を稼ぐことができる。そのため、熱電変換モジュール84による発電量が増大する。また、前述したように加熱熱交換器82における加熱効率が向上するため、熱電変換モジュール84による発電量がより増大する。
【0030】
また、加熱熱交換器82の本体821の内部および冷却熱交換器85の本体851の内部の少なくとも一方は、単一空間で形成されている。この例では、両方の本体821,851の内部が、単一空間で形成されている。そのため、本体821,851の内部において温度が均一となる。そのため、加熱熱交換器82の本体821では、複数の熱電変換モジュール84の第1面84aが満遍なく加熱される。冷却熱交換器85の本体851では、複数の熱電変換モジュール84の第2面84bが満遍なく冷却される。これにより、熱電変換モジュール84における発電効率が向上する。
【0031】
また、熱電変換モジュール84および冷却熱交換器85の本体851は、上下動自在に設けられている。加熱熱交換器82では、蒸気の熱や圧力によって本体821が膨張する場合がある。仮に熱電変換モジュール84および冷却熱交換器85の本体851が固定されている場合、加熱熱交換器82の本体821が膨張変形すると、熱電変換モジュール84が損傷する虞がある。本実施形態では、熱電変換モジュール84および冷却熱交換器85の本体851が上下動自在に設けられているため、加熱熱交換器82の本体821の膨張変形に伴って、熱電変換モジュール84および本体851が上方へ変位する。つまり、加熱熱交換器82の本体821の膨張変形を吸収することができる。そのため、加熱熱交換器82の本体821の膨張変形に起因する熱電変換モジュール84の損傷が防止される。
【0032】
板バネ87は、冷却熱交換器85の本体851の上方に設けられ、本体851を下方へ付勢する弾性部材の一例である。この例では、板バネ87は、板部材が非対称のU字状に曲げられてなっている。この例では、板バネ87は、複数設けられており、より詳しくは、2つの板バネ87が設けられている。2つの板バネ87は、左右方向に並んでいる。
【0033】
板バネ87は、上下方向に弾性を有するように設けられている。具体的に、板バネ87は、板バネ87の上方に設けられている天板88に固定されている。板バネ87は、非対象である2つの直線部のうち長い方の直線部がボルト87aによって天板88に締結されることで固定されている。つまり、板バネ87は、非対象である2つの直線部のうち短い方の直線部が自由端となっている。
【0034】
天板88は、水平に延びる板状に形成されている。天板88は、底板81と同様、平面視が長方形となっている。天板88は、スペーサ83bを介して加熱熱交換器82の本体821の上面821cに支持されている。スペーサ83bは、上下方向に延びる棒状に形成され、天板88と上面821cとの間に設けられている。この例では、スペーサ83bは、天板88の4つの角部に位置している。
【0035】
可動板86は、上下方向と直交する板状に形成され、冷却熱交換器85の本体851と板バネ87との間において上下動自在に設けられ、板バネ87の付勢力を本体851に伝達する。
【0036】
具体的に、可動板86は、水平に延びる板状に形成されている。可動板86は、下面が冷却熱交換器85の本体851の上面851bと接する状態で設けられている。また、可動板86は、上面が板バネ87と接する状態で設けられている。より詳しくは、可動板86の上面は、板バネ87の2つの直線部のうち短い方の直線部と接している。可動板86は、平面視で冷却熱交換器85の本体851の上面851bを覆う大きさに形成されている。可動板86は、板バネ87の付勢力を本体851の上面851bに伝達する。つまり、板バネ87は、可動板86を介して冷却熱交換器85の本体851を下方へ付勢する。
【0037】
こうして、板バネ87が冷却熱交換器85の本体851を下方へ付勢することで、熱電変換モジュール84の第2面84bと本体851との密着度、および熱電変換モジュール84の第1面84aと本体821との密着度が高まる。そのため、熱電変換モジュール84と加熱熱交換器82および冷却熱交換器85との熱交換の効率が向上する。そのため、第1面84aと第2面84bとの温度差をより稼ぐことができる。
【0038】
しかも、板バネ87は可動板86を介して冷却熱交換器85の本体851を下方へ付勢するため、板バネ87の付勢力が本体851の全体に対して満遍なく作用する。そのため、第2面84bと本体851との密着度、および第1面84aと本体821との密着度を満遍なく高めることができる。
【0039】
また、加熱熱交換器82の本体821が膨張変形した場合には、熱電変換モジュール84、冷却熱交換器85の本体851および可動板86が、板バネ87の付勢力に抗して上方へ変位する。つまり、加熱熱交換器82の本体821の膨張変形を吸収することができる。このように、板バネ87を設けることで、加熱熱交換器82の本体821の膨張変形に起因する熱電変換モジュール84の損傷を防止しつつ、熱電変換モジュール84と本体821,851との密着度を高めることができる。
【0040】
さらに、熱電発電装置8は、ガイド棒89a,89bをさらに備えている。ガイド棒89aは、可動板86の上下動をガイドするガイド部の一例である。ガイド棒89aは、上下方向に延びている。ガイド棒89aは、底板81と天板88との間に亘って設けられている。この例では、ガイド棒89aは、複数設けられており、より詳しくは、4本のガイド棒89aが設けられている。
【0041】
可動板86には、ガイド棒89aが貫通する貫通孔86aが形成されている。この構成により、可動板86は、ガイド棒89aに沿って上下動する。なお、可動板86の4つの角部には、スペーサ83bとの接触を回避するために切欠き86bが設けられている。
【0042】
ガイド棒89bは、冷却熱交換器85の本体851の上下動をガイドするガイド部の一例である。ガイド棒89bは、上下方向に延びている。ガイド棒89aは、上端が可動板86に固定されることで設けられている。つまり、ガイド棒89bは、可動板86から下方へ向かって延びている。ガイド棒89bは、可動板86と共に上下動する。この例では、ガイド棒89bは、複数設けられており、より詳しくは、4本のガイド棒89bが設けられている。ガイド棒89bは、冷却熱交換器85の本体851の外方に位置している。この構成により、本体851は、ガイド棒89bに沿って上下動する。そのため、本体851は、熱電変換モジュール84および可動板86に対してずれることなく上下動する。
【0043】
次に、前述した発電ユニットU(即ち、3つの熱電発電装置8)が設けられた熱回収システム100について説明する。図7は、熱電発電装置8が設けられた熱回収システム100の概略構成を示す配管系統図である。なお、図7では、説明の便宜上、1つの熱電発電装置8について概略的に示している。
【0044】
熱回収システム100は、熱回収システム100外に設けられている蒸気使用機器において蒸気が凝縮して発生したドレンおよびそのドレンのフラッシュ蒸気(湯気等)を回収する。つまり、熱回収システム100は、高温ドレンの熱およびフラッシュ蒸気の熱を回収する。熱回収システム100は、蒸気システムの一例である。
【0045】
熱回収システム100は、気液分離部1と、ヘッダタンク2と、熱交換器4と、液体圧送装置5と、経路切換部6と、発電ユニットUとを備えている。
【0046】
気液分離部1は、蒸気使用機器(図示省略)から送られてきたドレンおよびそのフラッシュ蒸気を分離する。気液分離部1は、回収管10と、液管11と、ガス管12とを有している。
【0047】
回収管10には、蒸気使用機器で発生したドレンおよびそのフラッシュ蒸気が流入してくる。液管11およびガス管12は、回収管10が2つに分岐した分岐管である。回収管10に流入したドレンおよびフラッシュ蒸気のうち、ドレンは液管11に流入し、フラッシュ蒸気はガス管12に流入する。ガス管12は、回収管10の端部から鉛直上方へ向かって延びる直管である。ガス管12は、熱交換器4に接続されており、フラッシュ蒸気を熱交換器4に供給する。液管11は、回収管10の端部から下方へ向かって延びている。液管11は、ヘッダタンク2に接続されており、ドレンをヘッダタンク2に流入させる。
【0048】
図8にも示すように、液管11は、U字状に屈曲する、いわゆるU字管である。具体的に、液管11は、第1管11a、第2管11b、第3管11cおよび第4管11dを有している。第1管11aは、回収管10の端部から鉛直下方へ延びる直管である。第2管11bは、第1管11aの下端から水平方向に延びる直管であり、U字の底部に相当する部分である。第3管11cは、第2管11bの端部から鉛直上方へ延びる直管である。つまり、第1管11aおよび第3管11cは、互いに鉛直方向へ平行に延びている。第4管11dは、第3管11cの上端から水平方向に延びる直管である。第4管11dは、ヘッダタンク2(より詳しくは、タンク本体21)の側部に接続されている。
【0049】
このように構成された液管11では、第1管11a、第2管11bおよび第3管11cにドレンが滞留し、その滞留ドレンによって水封される。より詳しくは、第3管11cでは、ドレンが上端まで滞留する一方、第1管11aでは、ドレンの水頭が第3管11cのドレンの水頭よりも低い。つまり、第1管11aと第3管11cとでは、ドレンの水頭差Hが生じる。この水頭差Hは、熱交換器4における圧力損失によって生じる。こうして水頭差Hが生じることにより、熱交換器4の圧力損失が相殺される。第1管11aおよび第3管11cは、熱交換器4の圧力損失に相当する水頭差Hを確保し得る十分な高さに設定されている。そのため、熱交換器4の圧力損失を確実に相殺することができる。これにより、ガス管12から熱交換器4にフラッシュ蒸気が容易に流入させることができる。
【0050】
ヘッダタンク2は、蒸気使用機器で発生したドレンが流入して貯留される水封式のヘッダタンクである。具体的に、ヘッダタンク2は、容器状のタンク本体21と、オーバーフロー管24とを有している。
【0051】
タンク本体21は、内部空間が、ドレンの液相部22と蒸気の気相部23とに分かれている。タンク本体21には、液管11(第4管11d)、流出管13および流入管16aが接続されている。液管11は、気相部23に開口している。流出管13は、タンク本体21の頂部に接続され、気相部23に開口している。流入管16aは、液相部22に開口している。タンク本体21では、液管11からドレンが流入して貯留される。また、タンク本体21では、熱交換器4からのドレンが流出管13を介して流入し貯留される。また、タンク本体21では、液相部22のドレンが流入管16aを介して液体圧送装置5に流入する。オーバーフロー管24は、流入端である一端が液相部22に開口し、流出端である他端がタンク本体21の上部の側壁を貫通して大気に開口している。
【0052】
タンク本体21の内部空間は、水封トラップ3の水封によって密閉されている。具体的に、水封トラップ3は、接続管15aおよび流出管15bによってタンク本体21と接続されている。接続管15aは、流入端である一端がタンク本体21の気相部23に開口し、流出端である他端が水封トラップ3の封水に開口している。つまり、接続管15aの他端は水封されている。流出管15bは、流入端である一端が水封トラップ3に接続され、流出端である他端がタンク本体21の液相部22に開口している。水封トラップ3は、通常時は、タンク本体21の蒸気が漏れ出ることを水封によって阻止する一方、タンク本体21が異常高圧となる非常時には、水封が破られてタンク本体21の蒸気を大気に逃がす。また、水封トラップ3では、蒸気の凝縮によって発生した余剰のドレンは流出管15bを介してタンク本体21に流入して貯留される。
【0053】
熱交換器4は、内部流路である第1流路41および第2流路42を有している。第1流路41は、蒸気使用機器からヘッダタンク2に流入するドレンのフラッシュ蒸気を流入させて第2流路42の対象物(例えば、水)と熱交換させるである。より詳しくは、第1流路41の流入端にはガス管12が接続され、第1流路41の流出端には流出管13が接続されている。第2流路42には、水を供給する流入管14aと、第2流路42から水が流出する流出管14bとが接続されている。熱交換器4では、第1流路41のフラッシュ蒸気が第2流路42の水と熱交換し、水が加熱される。フラッシュ蒸気は、凝縮してドレンとなり、流出管13を介してヘッダタンク2に流入する。こうして、フラッシュ蒸気の熱が回収される。
【0054】
図9に示すように、液体圧送装置5は、ドレンの貯留室51および蒸気の排気口55が形成されたケーシング50を有し、貯留室51の蒸気を排気口55から排出することによってヘッダタンク2のドレンを貯留室51に流入させて貯留する流入動作と、貯留室51に蒸気を導入することによって貯留室51のドレンを圧送する圧送動作とを行う。
【0055】
具体的に、液体圧送装置5は、流入動作と圧送動作とを交互に行う。圧送動作の際、貯留室51に導入する蒸気は、作動気体であり、高温高圧の蒸気である。液体圧送装置5は、密閉容器であるケーシング50と、給気弁56および排気弁57と、弁作動機構58とを備えている。液体圧送装置5は、熱回収システム100が備える蒸気使用機器の一例である。
【0056】
ケーシング50は、本体部50aと蓋部50bとがボルトによって結合され、内部にドレンの貯留室51が形成されている。蓋部50bには、ドレンが流入する流入口52と、ドレンが圧送される圧送口53と、作動気体が供給される給気口54と、作動気体が排出される排気口55とが設けられている。これら流入口52等は何れも、蓋部50bに設けられており、貯留室51と連通している。流入口52には流入管16aが接続され、圧送口53には圧送管16bが接続され、給気口54には給気管16cが接続され、排気口55には排気管16dが接続されている。給気管16cは、蒸気システム内の例えばボイラで生成された高圧の蒸気を給気口54に供給する。圧送管16bは、圧送口53からのドレンを所定の利用箇所へ供給する。これにより、高温ドレンの熱が回収される。
【0057】
給気弁56は、給気口54に設けられており、給気口54を開閉する。排気弁57は、排気口55に設けられており、排気口55を開閉する。排気弁57の下部には、弁操作棒57aが連結されている。弁操作棒57aには、給気弁56の下方領域まで延びる連設板57bが取り付けられている。この構成によれば、弁操作棒57aが上昇すると、給気弁56が給気口54を開放する一方、排気弁57が排気口55を閉鎖する。弁操作棒57aが下降すると、給気弁56が給気口54を閉鎖する一方、排気弁57が排気口55を開放する。
【0058】
弁作動機構58は、ケーシング50内に設けられ、弁操作棒57aを上下動させて給気弁56および排気弁57を作動させる。弁作動機構58は、フロート581およびスナップ機構59を有する。
【0059】
フロート581は、球形に形成され、レバー582が取り付けられている。レバー582は、ブラケット584に設けられた軸583に回転可能に支持されている。レバー582には、フロート581側とは反対側の端部に軸585が設けられている。スナップ機構59は、フロートアーム591、副アーム592、コイルバネ593、2つの受け部材594a,594bを有する。フロートアーム591の一端部は、ブラケット597に設けられた軸596に回転可能に支持されている。フロートアーム591の他端部は、溝591aが形成されており、その溝591aにレバー582の軸585が嵌っている。この構成により、フロートアーム591はフロート581の浮き沈みに伴い軸596を中心として揺動する。
【0060】
また、フロートアーム591には軸595aが設けられている。副アーム592は、上端部が軸596に回転可能に支持され、下端部に軸595bが設けられている。受け部材594aはフロートアーム591の軸595aに回転可能に支持され、受け部材594bは副アーム592の軸595bに回転可能に支持されている。両受け部材594a,594bの間には、圧縮状態のコイルバネ593が取り付けられている。また、副アーム592には軸598が設けられ、その軸598に弁操作棒57aの下端部が連結されている。
【0061】
液体圧送装置5では、貯留室51にドレンが溜まっていない場合、フロート581は貯留室51の底部に位置する。この状態において、弁操作棒57aは下降しており、給気弁56は閉弁し排気弁57は開弁している。そして、ドレンが流入口52から流入し貯留室51に溜まっていくに従って、フロート581が浮上する。一方、貯留室51では、ドレンが溜まっていくにつれて蒸気が排気口55から排出される。こうして、流入動作が行われる。つまり、流入動作ではドレンと蒸気とが置換される。そして、貯留室51におけるドレンの水位が所定高水位に達すると、スナップ機構59によって弁操作棒57aが上昇する。これにより、給気弁56が開弁すると共に排気弁57が閉弁する。
【0062】
給気弁56が開弁すると、蒸気(高圧蒸気)が給気口54から供給されて貯留室51の上部(ドレンの上方空間)に導入される。そうすると、貯留室51に溜まっているドレンは、導入された蒸気の圧力によって下方へ押されて圧送口53から圧送される。こうして、圧送動作が行われる。この圧送動作によって貯留室51のドレン水位が低下すると、フロート581が下降する。そして、貯留室51におけるドレンの水位が所定低水位に達すると、スナップ機構59によって弁操作棒57aが下降する。これにより、給気弁56が閉弁すると共に排気弁57が開弁する。
【0063】
経路切換部6は、排気口55から排出された蒸気を、ヘッダタンク2へ供給する第1経路およびヘッダタンク2とは別の熱交換器4の第1流路41へ供給する第2経路を有し、液体圧送装置5の流入動作の際、排気口55から排出された蒸気の圧力である排気圧力に応じて第1経路と第2経路とを選択切換する。つまり、経路切換部6は、液体圧送装置5の流入動作の際、排気口55から排出された蒸気の経路を切り換える。具体的に、経路切換部6は、液体圧送装置5の流入動作の際、排気圧力が所定値未満の場合は第1経路に切り換え、排気圧力が前記所定値以上の場合は第2経路に切り換える。
【0064】
より具体的に、経路切換部6は、切換弁60と、連通管71と、大気開放管74と、逆止弁75とを有している。
【0065】
切換弁60は、排気管16dに接続されている。連通管71は、切換弁60とヘッダタンク2とに接続されている。より詳しくは、連通管71は、流入端である一端が切換弁60の第1流出路64に連通し、流出端である他端がヘッダタンク2の気層部23に連通している。大気開放管74は、流入端である一端が切換弁60の第2流出路65に連通し、流出端である他端が大気に開放されている。この例では、第1経路は、連通管71によって形成され、第2経路は、大気開放管74によって形成されている。逆止弁75は、大気開放管74に設けられている。逆止弁75は、切換弁60から大気に向かう蒸気の流れのみを許容する。
【0066】
切換弁60は、排気圧力に応じて第1経路と第2経路とを選択切換する。つまり、切換弁60は、流入してきた蒸気を排気圧力に応じて連通管71または大気開放管74に流出させることにより、蒸気の供給場所をヘッダタンク2と大気とに切り換える。図10に示すように、切換弁60は、排気口55から排出された蒸気が流入する流入路62と、第1経路が接続された第1流出路64と、第2経路が接続された第2流出路65と、第1流出路64を開閉する弁体671と、弁体671を開弁方向に付勢するバネ676とを有し、排気圧力が所定値以上になると、排気圧力によって弁体671がバネ676の付勢力に抗して閉弁する。バネ676は、付勢部材の一例である。
【0067】
具体的に、切換弁60は、ケーシング61と、スクリーン66と、弁機構67とを有している。
【0068】
ケーシング61には、流体の流路が形成されている。具体的に、流路は、流入路62、捕捉路63および2つの流出路64,65(即ち、第1流出路64および第2流出路65)によって形成されている。流路は、流入してきた蒸気をヘッダタンク2側に流出させるための第1流路と、流入してきた蒸気を熱交換器4側に流出させるための第2流路とを有している。第1流路は、流入路62、捕捉路63および第1流出路64によって形成されている。第2流路は、流入路62、捕捉路63および第2流出路65によって形成されている。
【0069】
流入路62には、排気管16dが接続されている。つまり、流入路62は、排気管16dから蒸気が流入してくる流路である。第1流出路64は、蒸気が連通管71に流出していく流路であり、第2流出路65は、蒸気が大気開放管74に流出していく流路である。流入路62および第2流出路65は、互いに対向しており、水平に延びる共通の軸心X1を有している。
【0070】
捕捉路63は、流入路62と第2流出路65とに接続され、スクリーン66が設けられる流路である。つまり、流入路62と第2流出路65とは、捕捉路63を介して連通している。より詳しくは、捕捉路63は、流入路62から斜め下方に延びており、捕捉路63の側部が第2流出路65に接続されている。つまり、捕捉路63の軸心X2は、第2流出路65側にいくに従って軸心X1に対し下方に傾いている。
【0071】
第1流出路64は、捕捉路63の下方に位置して捕捉路63と連通している。第1流出路64は、弁機構67の弁室も構成している。より詳しくは、第1流出路64は、上下方向に延びている。つまり、第1流出路64は、流入路62および第2流出路65に対しては垂直となる方向に延びており、捕捉路63に対しては傾斜する方向に延びている。ケーシング61には、捕捉路63と第1流出路64とを仕切る仕切壁641が設けられている。仕切壁641には、捕捉路63と第1流出路64とを連通させる連通孔642が設けられている。こうして構成された第1流出路64には、捕捉路63から蒸気が連通孔642を通じて流入する。
【0072】
スクリーン66は、流入路62から第1流出路64および第2流出路65に流れる蒸気中の異物を捕捉する。スクリーン66は、捕捉路63の軸心X2と同軸に延びる円筒状に形成されている。スクリーン66の一端は、流入路62に向かって開口している。捕捉路63では、流入路62からの蒸気が、スクリーン66の内部に流入し、スクリーン66の周壁を通過して第1流出路64または第2流出路65に流入する。こうして蒸気がスクリーン66を通過する際、蒸気中の異物が捕捉される。
【0073】
弁機構67は、第1流出路64に設けられ、第1流出路64(即ち、第1流路)を開閉する。具体的に、弁機構67は、第1流出路64を開放することにより、蒸気を連通管71に流出させる。また、弁機構67は、第1流出路64を閉鎖することにより、蒸気を第2流出路65から大気開放管74に流出させる。弁機構67は、弁体671、弁座673、バネ676および邪魔板677を有している。
【0074】
第1流出路64には、弁孔675が設けられている。弁体671は、円板状に形成されている。弁体671は、軸心が上下方向に延びる状態で第1流出路64に収容されている。弁体671は、上下動自在に設けられている。弁体671は、弁孔675の上方に配置され、上下動することによって弁孔675を開閉する。弁座673は、第1流出路64の下部に設けられている。弁座673には、弁孔675が形成されている。弁孔675は、第1流出路64において上下方向に開口している。弁孔675は、第1流出路64と連通管71とを連通させている。
【0075】
バネ676は、弁体671を開弁方向に付勢するコイルバネにより構成されている。バネ676は、第1流出路64における弁体671の下方に設けられ、弁体671を上方へ付勢している。つまり、バネ676は、弁体671と弁座673との間に設けられている。
【0076】
バネ676は、一端が弁体671の下面に接続されて弁体671を支持している。より詳しくは、バネ676の一端は、弁体671の下面に形成された環状の凹部672に嵌め込まれて接続されている。バネ676の他端は、弁座673によって支持されている。より詳しくは、バネ676の他端は、弁座673の上流側端面における弁孔675の周囲に形成された環状の凹部674に嵌め込まれている。
【0077】
邪魔板677は、捕捉路63から第1流出路64に流入する蒸気が弁体671の上面に当たるのを阻止する。邪魔板677は、第1流出路64における弁体671の上方に設けられている。邪魔板677は、略円錐面状に形成され、円錐面の頂点が上側に位置する状態で設けられている。弁体671は、開弁時にはバネ676の付勢力によって邪魔板677に押し付けられている。
【0078】
そして、弁機構67では、第1流出路64の圧力(即ち、排気圧力)が所定値未満になると、バネ676の付勢力によって弁体671が上昇して弁座673から離座し、弁孔675が開放される(図10に示す状態)。また、弁機構67では、第1流出路64の圧力(即ち、排気圧力)が所定値以上になると、その圧力によって弁体671がバネ676の付勢力に抗して下降し弁座673に着座する(図11に示す状態)。これにより、弁孔675が閉鎖される。こうして、弁孔675が開閉されることにより、第1流出路64が開閉される。前述の第1流出路64の圧力は、流入路62や第1流出路64に流入した蒸気の圧力に相当する。前述の所定値は、液体圧送装置5の流入動作の際、水封トラップ3の水封が破られる排気圧力の値に設定される。
【0079】
このように構成された経路切換部6では、液体圧送装置5の流入動作の際、排気口55から排出されて切換弁66に流入した蒸気の圧力(即ち、排気圧力)が所定値以上の場合は、切換弁60において第1流出路64が閉鎖される。そのため、連通管71(即ち、第1経路)が遮断されるので、排気管16dから切換弁60に流入した蒸気は第2流出路65から大気開放管74介して大気に放出される。つまり、経路切換部6では、所定値以上の高圧の蒸気がヘッダタンク2に供給されることを阻止すると共に、その蒸気の熱を大気に放出する。
【0080】
また、経路切換部6では、液体圧送装置5の流入動作の際、排気口55から排出されて切換弁66に流入した蒸気の圧力(即ち、排気圧力)が所定値未満に低下すると、切換弁60において第1流出路64が開放される。そのため、連通管71(即ち、第1経路)が開放されるので、排気管16dから切換弁60に流入した蒸気は第1流出路64から連通管71を介してヘッダタンク2に流入する。これにより、タンク本体21と貯留室51とが均圧し両者の間で気液置換(即ち、ドレンと蒸気との置換)が行われる。そのため、ヘッダタンク2から液体圧送装置5へのドレンの流入がスムーズに行われる。
【0081】
また、図7に示すように、熱回収システム100では、発電ユニットU(熱電発電装置8)に、流入管17a,18aおよび流出管17b,18bが接続されている。
【0082】
具体的に、流入管17aは、流入端である一端が給気管16cの途中に接続されており、流出端である他端が熱電発電装置8に接続されている。詳しくは、流入管17aは、加熱熱交換器82の流入口822に接続されている。この構成によれば、給気管16cを流れる蒸気の一部が、流入管17aを介して加熱熱交換器82の本体821に供給される。流出管17bは、流入端である一端が熱電発電装置8に接続されており、流出端である他端がガス管12の途中に接続されている。詳しくは、流出管17bは、加熱熱交換器82の流出口823に接続されている。この構成によれば、加熱熱交換器82の本体821内のドレンが、流出管17bを介してガス管12に流出する。なお、流出管17bの他端は、ガス管12ではなく、回収管10または液管11に接続されていてもよい。
【0083】
流入管18aは、流入端である一端が流入管14aの途中に接続されており、流出端である他端が熱電発電装置8に接続されている。詳しくは、流入管18aは、冷却熱交換器85の流入口852に接続されている。この構成によれば、流入管14aを流れる水が、流入管18aを介して冷却熱交換器85の本体851に供給される。つまり、冷却熱交換器85の本体851では、水が冷却液として供給される。流出管18bは、流入端である一端が熱電発電装置8に接続されており、流出端である他端が流入管14aにおける流入管18aよりも下流側に接続されている。詳しくは、流出管18bは、冷却熱交換器85の流出口853に接続されている。この構成によれば、冷却熱交換器85の本体851内の水が、流出管18bを介して流入管14aに流出する。
【0084】
こうして、加熱熱交換器82に蒸気が供給され且つ冷却熱交換器85に水が供給されることで、熱電変換モジュール84において第1面84aが加熱され且つ第2面84bが冷却される。これにより、熱電発電装置8において熱電発電が行われる。
【0085】
以上のように、前記実施形態の熱電発電装置8は、熱電変換モジュール84と、加熱熱交換器82と、冷却熱交換器85とを備えている。熱電変換モジュール84は、互いに上下方向に対向する下側の第1面84aおよび上側の第2面84bを有し、第1面84aと第2面84bとの温度差に応じて熱電発電を行う。加熱熱交換器82は、第1面84aの下方において第1面84aと接して設けられ且つ蒸気が供給される容器状の本体821を有し、本体821の蒸気によって第1面84aを加熱する。冷却熱交換器85は、第2面84bの上方において第2面84bと接して設けられ且つ冷却液が供給される容器状の本体851を有し、本体851の冷却液によって第2面84bを冷却する。
【0086】
また、前記実施形態の熱回収システム100は、蒸気が供給され、前記供給された蒸気を使用する液体圧送装置5と、熱電発電装置8とを備えている。本体821には、液体圧送装置5に供給される蒸気の一部が供給される。
【0087】
これらの構成によれば、第1面84aが加熱熱交換器82によって積極的に加熱され、第2面84bが冷却熱交換器85によって積極的に冷却されるので、第1面84aおよび第2面84bの温度差を稼ぐことができる。そのため、熱電変換モジュール84による発電量を増大させることができる。
【0088】
また、加熱熱交換器82は、第1面84aの下方、即ち熱電変換モジュール84の下方に設けられているため、本体821内で蒸気の凝縮によって発生したドレンを、第1面84aと接する部分(即ち、上面821c)から離れた位置に溜めることができる。そのため、凝縮したドレンによって第1面84aの加熱が阻害されることはない。これにより、加熱熱交換器82の加熱効率が向上する。そのため、熱電変換モジュール84による発電量がより増大する。
【0089】
また、前記実施形態の熱電発電装置8において、熱電変換モジュール84および冷却熱交換器85の本体851は、上下動自在に設けられている。
【0090】
この構成によれば、加熱熱交換器82の本体821が蒸気の熱や圧力によって熱膨張変形した場合、その膨張変形に伴って、熱電変換モジュール84および冷却熱交換器85の本体851が上方へ変位する。つまり、加熱熱交換器82の本体821の膨張変形を吸収することができる。そのため、加熱熱交換器82の本体821の膨張変形に起因する熱電変換モジュール84の損傷を防止することができる。
【0091】
また、前記実施形態の熱電発電装置8は、本体851の上方に設けられ、本体851を下方へ付勢する板バネ87をさらに備えている。
【0092】
この構成によれば、板バネ87が冷却熱交換器85の本体851を下方へ付勢することで、熱電変換モジュール84の第2面84bと本体851との密着度、および熱電変換モジュール84の第1面84aと本体821との密着度が高まる。そのため、熱電変換モジュール84と加熱熱交換器82および冷却熱交換器85との熱交換の効率が向上する。そのため、第1面84aと第2面84bとの温度差をより稼ぐことができる。
【0093】
また、加熱熱交換器82の本体821が膨張変形した場合には、熱電変換モジュール84および冷却熱交換器85の本体851が、板バネ87の付勢力に抗して上方へ変位する。つまり、加熱熱交換器82の本体821の膨張変形を吸収することができる。このように、板バネ87を設けることで、加熱熱交換器82の本体821の膨張変形に起因する熱電変換モジュール84の損傷を防止しつつ、熱電変換モジュール84と本体821,851との密着度を高めることができる。
【0094】
また、前記実施形態の熱電発電装置8は、上下方向と直交する板状に形成され、本体851と板バネ87との間において上下動自在に設けられ、板バネ87の付勢力を本体851に伝達する可動板86をさらに備えている。
【0095】
この構成によれば、板バネ87が可動板86を介して冷却熱交換器85の本体851を下方へ付勢するため、板バネ87の付勢力が本体851の全体に対して満遍なく作用する。そのため、第2面84bと本体851との密着度、および第1面84aと本体821との密着度を満遍なく高めることができる。
【0096】
また、前記実施形態の熱電発電装置8は、可動板86の上下動をガイドするガイド棒89aをさらに備えている。
【0097】
この構成によれば、可動板86がガイド棒89aに沿って上下動する。そのため、可動板86が板バネ87および冷却熱交換器85の本体851からずれることを防止することができる。
【0098】
また、前記実施形態の熱電発電装置8において、本体821の内部および本体851の内部の両方は、単一空間で形成されている。
【0099】
この構成によれば、本体821,851の内部における温度を均一化させることができる。そのため、加熱熱交換器82の本体821では、熱電変換モジュール84の第1面84aが満遍なく加熱される。冷却熱交換器85の本体851では、熱電変換モジュール84の第2面84bが満遍なく冷却される。これにより、熱電変換モジュール84における発電効率が向上する。
【0100】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0101】
例えば、加熱熱交換器82の本体821および冷却熱交換器85の本体851の形状は、前述した形状に限られず、第1面84aおよび第2面84bと適切に熱交換を行うことができる形状であれば如何なるものであってもよい。
【0102】
また、可動板86を省略するようにしてもよい。つまり、板バネ87は、冷却熱交換器85の本体851に直接に接して、本体851を下方へ付勢するようにしてもよい。
【0103】
また、加熱熱交換器82の本体821および冷却熱交換器85の本体851のいずれか一方が、単一空間で形成されてもよい。
【0104】
また、加熱熱交換器82の本体821および冷却熱交換器85の本体851のいずれもが、単一空間で形成されていなくてもよい。例えば、本体821,851の内部には、蒸気や冷却液の通路が形成されていてもよい。
【0105】
また、冷却熱交換器85の本体851には、冷却液として、水以外の液体が供給されてもよい。
【0106】
また、弾性部材としては、板バネ87に代えて、例えばコイルバネを用いるようにしてもよい。この場合も、コイルバネは、上下方向に弾性を有するように設けられる。
【0107】
また、熱電発電装置8は、熱回収システム100以外の蒸気システムに設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上説明したように、本開示の技術は、熱電発電装置および蒸気システムについて有用である。
【符号の説明】
【0109】
100 熱回収システム(蒸気システム)
5 液体圧送装置(蒸気使用機器)
8 熱電発電装置
82 加熱熱交換器
821 本体(加熱用本体)
84 熱電変換モジュール
84a 第1面
84b 第2面
85 冷却熱交換器
851 本体(冷却用本体)
86 可動板
87 板バネ(弾性部材)
89a ガイド棒(ガイド部)

図1
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