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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】四足動物用車椅子
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/02 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
A01K15/02 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024506218
(86)(22)【出願日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2023025409
【審査請求日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2022127452
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022198932
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】718001252
【氏名又は名称】是枝 洋明
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】是枝 洋明
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/024967(WO,A1)
【文献】特開2015-70816(JP,A)
【文献】特開2008-35708(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3130224(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 15/02
A61G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四足動物に用いられる四足動物用車椅子であって、
前記四足動物の健常肢側胴体に装着される健常肢側ホルダーと、
前記四足動物の障害肢側胴体に装着されるとともに、車輪を回転可能に支持する障害肢側ホルダーと、
前記健常肢側ホルダーと前記障害肢側ホルダーとを前記四足動物の左右位置においてそれぞれ連結する一対の連結部材と、
を有し、
前記一対の連結部材は、互いに独立に前後方向の長さが伸縮可能に構成されており、
前記一対の連結部材は、二枚以上のプレートがヒンジピンによってジグザグ状に連結された丁番構造を有しているとともに、前記ヒンジピンが略鉛直方向に沿うように設けられている、四足動物用車椅子。
【請求項2】
前記一対の連結部材は、自然長より伸長された場合または自然長より短縮された場合、弾性力によって自然長に復元するように構成されている、請求項1に記載の四足動物用車椅子。
【請求項3】
前記四足動物の正面視において、胴体に捻れが生じている場合、前記一対の連結部材は、前記捻れを相殺するように、捻れ方向とは逆方向に前記プレートをずらして連結されている、請求項に記載の四足動物用車椅子。
【請求項4】
前記四足動物の平面視において、胴体に湾曲が生じている場合、前記一対の連結部材は、装着時の前記健常肢側ホルダーと前記障害肢側ホルダーとが略直線状となるように、湾曲部内側の自然長よりも湾曲部外側の自然長が短く構成されている、請求項またはに記載の四足動物用車椅子。
【請求項5】
四足動物に用いられる四足動物用車椅子であって、
前記四足動物の健常肢側胴体に装着される健常肢側ホルダーと、
前記四足動物の障害肢側胴体に装着されるとともに、車輪を回転可能に支持する障害肢側ホルダーと、
前記健常肢側ホルダーと前記障害肢側ホルダーとを前記四足動物の左右位置においてそれぞれ連結する一対の連結部材と、
前記四足動物が起立状態から横臥位状態になったことを検知する転倒センサー、または前記四足動物が水中にいることを検知するフロートスイッチと、
前記四足動物用車椅子における所定の接続部分における接続状態をロックするロック機構と、
を有しており、
前記転倒センサーが前記四足動物の横臥位状態を検知したとき、または前記フロートスイッチが前記四足動物が水中にいることを検知したとき、前記ロック機構によるロックを解除する、四足動物用車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病気や事故による麻痺や切除等によって前肢または後肢の運動機能が不十分となり、歩行が困難となった四足動物のための四足動物用車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
病気や事故による麻痺や切除等によって前肢または後肢の一方に障害を有する四足動物は、筋力や体型などの個体差はあるものの、障害肢を引きずりながら、健常肢だけで歩こうとする個体が多い。このため、従来、そのような障害を持った四足動物のための四足動物用車椅子が提案されている。
【0003】
例えば、特開2015-70816号公報には、四足動物の肩部に装着される牽引部と、四足動物の後肢側を載置して支持する支持部と、支持部に取り付けられた一対の車輪と、牽引部と支持部を連結する連結棒とを備え、左右方向に回動可能な四足動物用車椅子が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-70816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の四足動物用車椅子においては、牽引部と支持部が、四足動物の背骨方向に沿う一本の連結棒のみによって連結されている。このため、牽引部と支持部との連結状態が不安定であり、歩行時のバランスが取りにくいという問題がある。また、連結棒が一本であるため、その両端における結合部に荷重が集中し易く、簡単に破損してしまうおそれもある。
【0006】
さらに、特許文献1では、連結棒や左右方向に回動可能とするための部材(第1の結合部、第2の結合部)等が、四足動物の胴体から上方に大きくはみ出している。このため、四足動物に対する装着や取り扱いが難しい上、四足動物用の衣服やレインコート等を上から被せる時などは、デザイン性が低下し見た目が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、歩行時の安定性やバランスを向上するとともに、装着や取り扱いが容易でデザイン性を損なわない丈夫な構造でありながら、自由に胴体を左右方向に湾曲させることができる四足動物用車椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る四足動物用車椅子は、歩行時の安定性やバランスを向上するとともに、装着や取り扱いが容易でデザイン性を損なわない丈夫な構造でありながら、自由に胴体を左右方向に湾曲させるという課題を解決するために、四足動物に用いられる四足動物用車椅子であって、前記四足動物の健常肢側胴体に装着される健常肢側ホルダーと、前記四足動物の障害肢側胴体に装着されるとともに、車輪を回転可能に支持する障害肢側ホルダーと、前記健常肢側ホルダーと前記障害肢側ホルダーとを前記四足動物の左右位置においてそれぞれ連結する一対の連結部材と、を有し、前記一対の連結部材は、互いに独立に前後方向の長さが伸縮可能に構成されている。
【0009】
また、本発明の一態様として、上下軸周りの可動性を許容する一方、前後軸および左右軸周りの可動性を制限することにより、左右方向への動きやすさを確保するとともに転倒を抑制するという課題を解決するために、前記一対の連結部材は、二枚以上のプレートがヒンジピンによってジグザグ状に連結された丁番構造を有しているとともに、前記ヒンジピンが略鉛直方向に沿うように設けられていてもよい。
【0010】
さらに、本発明の一態様として、健常肢側ホルダーと障害肢側ホルダーとを左右方向にブレ難くして走行安定性を向上するとともに、胴体が前後方向に伸長したままとなることを抑制し、身体的な負担を軽減するという課題を解決するために、前記一対の連結部材は、自然長より伸長された場合または自然長より短縮された場合、弾性力によって自然長に復元するように構成されていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様として、バランスを崩さない程度に前後軸に関する胴体の捻れを矯正するという課題を解決するために、前記四足動物の正面視において、胴体に捻れが生じている場合、前記一対の連結部材は、前記捻れを相殺するように、捻れ方向とは逆方向に前記プレートをずらして連結されていてもよい。
【0012】
さらに、本発明の一態様として、バランスを崩さない程度に上下軸に関する胴体の湾曲を矯正するという課題を解決するために、前記四足動物の平面視において、胴体に湾曲が生じている場合、前記一対の連結部材は、装着時の前記健常肢側ホルダーと前記障害肢側ホルダーとが略直線状となるように、湾曲部内側の自然長よりも湾曲部外側の自然長が短く構成されていてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様として、四足動物が四足動物用車椅子を装着したまま転倒した際に、藻掻いて怪我をしたり、水際で溺れてしまう等の事故を防止するという課題を解決するために、前記四足動物が起立状態から横臥位状態になったことを検知する転倒センサー、または前記四足動物が水中にいることを検知するフロートスイッチと、前記四足動物用車椅子における所定の接続部分における接続状態をロックするロック機構と、を有しており、前記転倒センサーが前記四足動物の横臥位状態を検知したとき、または前記フロートスイッチが前記四足動物が水中にいることを検知したとき、前記ロック機構によるロックを解除してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、歩行時の安定性やバランスを向上するとともに、装着や取り扱いが容易でデザイン性を損なわない丈夫な構造でありながら、自由に胴体を左右方向に湾曲させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る四足動物用車椅子の第1実施形態を装着した四足動物を示す図である。
図2】第1実施形態において、(a)健常肢側ホルダーと障害肢側ホルダーとを分離した状態、(b)障害肢側ホルダーと車輪支持機構および障害肢カバーとを分離した状態を示す図である。
図3】第1実施形態の(a)連結部材を示す図、および(b)連結部材の他の例における、短縮状態、自然長および伸長状態を示す図である。
図4】(a)復元部材の他の配置例、および(b)他の復元部材の配置例を示す図である。
図5】第1実施形態において、正面視において胴体に捻れが生じている場合の連結部材を示す図である。
図6】第1実施形態において、平面視において胴体に湾曲が生じている場合の連結部材を示す図である。
図7】(a)本発明に係る四足動物用車椅子の第2実施形態を装着した四足動物を示す図、および(b)第2実施形態の四足動物用車椅子を示す分解図である。
図8】本発明に係る四足動物用車椅子の第3実施形態におけるロック機構を示す図である。
図9】第3実施形態の四足動物用車椅子から抜け出した状態の四足動物を示す図である。
図10】正面視における捻れを相殺する連結部材の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る四足動物用車椅子の第1実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
本第1実施形態の四足動物用車椅子1Aは、図1に示すように、後肢が障害肢の四足動物に用いられるものである。なお、本第1実施形態では、四足動物として犬を図示しながら説明するが、これに限定されるものではなく、本発明は四足で歩行することのある全ての四足動物に適用可能である。また、以下の説明では、図1に示すように、四足動物の前後方向、左右方向および上下方向を用いて方向を示すこととする。
【0018】
本第1実施形態の四足動物用車椅子1Aは、図1および図2(a)に示すように、主として、四足動物の健常肢側胴体に装着される健常肢側ホルダー2と、四足動物の障害肢側胴体に装着される障害肢側ホルダー3と、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを連結する一対の連結部材4,4と、を有している。以下、各構成について説明する。
【0019】
健常肢側ホルダー2は、四足動物の健常肢側胴体に装着されるものであり、金属パイプ等の棒状素材によって構成されている。具体的には、健常肢側ホルダー2は、図1および図2(a)に示すように、四足動物の首周りに配置されるアーチ状の首周り部21と、この首周り部21の左右後方に一対で設けられ、健常肢(前肢)の付け根周りに配置されるアーチ状の肢周り部22と、この肢周り部22の後方に設けられ、胴体周りに配置されるアーチ状の胴周り部23とを有している。
【0020】
なお、本第1実施形態では、図2(a)に示すように、首周り部21と各肢周り部22との接続部分、および各肢周り部22と胴周り部23との接続部分のそれぞれを左右方向に連結する胸部ベルト24が設けられている。この胸部ベルト24は、面ファスナー等によって長さを調節でき、健常肢側ホルダー2を健常肢側胴体にフィットさせるようになっている。
【0021】
障害肢側ホルダー3は、四足動物の障害肢側胴体に装着されるものであり、健常肢側ホルダー2と同様の棒状素材によって構成されている。具体的には、障害肢側ホルダー3は、図1および図2(a)に示すように、四足動物の胴体の両側面に沿って略垂直方向に設けられる一対の垂直部31と、各垂直部31の下端部から後方に延設されて腹部を支持する一対の腹部支持部32と、各腹部支持部32の後端部に設けられ、尻尾周りに配置されるアーチ状の尻尾周り部33とを有している。
【0022】
本第1実施形態において、各垂直部31には、図1および図2(a)に示すように、その上端同士を左右方向に連結する腰部ベルト34が設けられている。この腰部ベルト34を四足動物の腰部に架け渡すことにより、歩行時の揺れや随意運動または不随意運動による腰部の跳ね上がりが防止され、ひいては胴体が障害肢側ホルダー3から脱落することが防止される。
【0023】
また、本第1実施形態では、図2(a)に示すように、腹部支持部32にはクッション材料等によって形成されたサドル部材35が被覆されており、腹部にかかる衝撃や痛みを軽減するようになっている。なお、サドル部材35は、陰部が圧迫されないように、左右方向に所定の隙間を隔てて設けられているが、この形状に限定されるものではない。さらに、本第1実施形態では、図2(b)に示すように、一対の腹部支持部32を架け渡すように、支持プレート36が設けられている。この支持プレート36には、車輪支持機構5および障害肢カバー6が固定されるようになっている。
【0024】
車輪支持機構5は、健常肢側ホルダー2と同様の棒状素材によって構成されている。具体的には、車輪支持機構5は、図2(b)に示すように、抑えプレート51によって支持プレート36にネジ固定される略U字形状の固定部52と、この固定部52から左右後方に延出されて車輪53を回転可能に支持する一対の脚部54とを有している。各脚部54の長さは、アジャスター55によって伸縮調整可能に構成されている。
【0025】
障害肢カバー6は、プラスチック等の軽量で柔軟性を有する素材によって形成されている。具体的には、障害肢カバー6は、図1および図2(b)に示すように、緩やかにカーブさせた半円筒形状に形成されており、障害肢を包み込むように保持する。また、障害肢カバー6の上端部には、支持プレート36にネジ固定するためのL字プレート61が設けられており、障害肢カバー6の下端部には、地面の起伏等で障害肢カバー6が擦れるのを防止するための補助輪62が回転可能に設けられている。
【0026】
さらに、障害肢カバー6には、図2(a),(b)に示すように、後方側の端縁部同士を左右方向に連結する障害肢ベルト63が設けられている。この障害肢ベルト63を四足動物の障害肢に架け渡すことにより、歩行時の揺れ等によって障害肢が障害肢カバー6から脱落することが防止される。
【0027】
なお、本第1実施形態では、車輪支持機構5を用いて障害肢側ホルダー3に車輪53を回転可能に支持させているが、この構成に限定されるものではない。例えば、車輪支持機構5を設けることなく、障害肢カバー6に直接車輪53を回転可能に支持させるようにしてもよい。
【0028】
連結部材4は、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを連結するものである。本第1実施形態において、連結部材4は、図2(a)に示すように、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを四足動物の左右位置においてそれぞれ連結するように一対で設けられている。また、各連結部材4は、四足動物が自由に胴体を左右方向に湾曲させられるように、互いに独立に前後方向の長さが伸縮可能に構成されている。
【0029】
具体的には、連結部材4は、図1から図3に示すように、ジグザグ状に連結された二枚以上のプレート41と、前端部のプレート41を健常肢側ホルダー2に取り付ける前方取付部材42と、後端部のプレート41を障害肢側ホルダー3に取り付ける後方取付部材43とを有している。
【0030】
前方取付部材42は、健常肢側ホルダー2の胴周り部23のうち、左右位置における略垂直方向の部分に着脱自在に設けられ、前端部のプレート41を取り付ける。また、後方取付部材43は、障害肢側ホルダー3における左右一対の垂直部31に着脱自在に設けられ、後端部のプレート41を取り付ける。
【0031】
各プレート41は、図3(a),(b)に示すように、横断面が略平行四辺形状に形成されており、ヒンジピン44によってジクザグ状に連結された丁番構造を有している。そして、連結部材4は、各ヒンジピン44が略鉛直方向に沿うように、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3との間に設けられている。また、各ヒンジピン44は、互いに連結されるプレート41の連結面における略中央位置に配置されている。
【0032】
また、本第1実施形態において、各ヒンジピン44の両脇には、弾性力を有する復元部材45が、互いに向かい合う連結面に設けられている。このため、図3(b)に示すように、連結部材4が自然長より短縮された場合、屈曲部内側の復元部材45が圧縮されるとともに、屈曲部外側の復元部材45が伸長されるため、自然長に復元される。また、連結部材4が自然長より伸長された場合、屈曲部内側の復元部材45が伸長されるとともに、屈曲部外側の復元部材45が圧縮されるため、自然長に復元される。
【0033】
すなわち、一対の連結部材4は、自然長より伸長された場合または自然長より短縮された場合、復元部材45の弾性力によって自然長に復元するようになっている。なお、本第1実施形態において、復元部材45は、図3(a)に示すように、互いに連結されるプレート41の連結面のそれぞれに設けられているが、図3(b)に示すように、互いに連結されるプレート41の連結面を架け渡すように固着されていてもよい。
【0034】
また、復元部材45はゴムによって構成されているが、この構成に限定されるものではなく、コイルバネ等のように圧縮および伸長可能なものであればよい。さらに、復元部材45の配置についても、図4(a)に示すように、プレート41の屈曲部内面側に設けてもよく、図4(b)に示すように、ヒンジピン44周りにコイルバネ46を設けてもよい。
【0035】
また、連結部材4は、上述した丁番構造に限定されるものではなく、互いに独立に前後方向の長さが伸縮可能に構成されていればよい。例えば、連結部材4自体が、コイルバネやゴム部材等によって構成されてもよく、蛇腹構造やマジックハンド等に用いられるラチス構造等のように、各種の伸縮機構を用いてもよい。また、プレート41の素材としては、軽量なプラスチック材料や、可撓性のあるゴム材料等が用いられる。
【0036】
ここで、連結部材4が、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを連結する際に必要とされる機能や、可動性および可撓性について考察する。なお、以下の説明では、図1に示すように、四足動物の左右方向に沿う左右軸、前後方向に沿う前後軸および上下方向に沿う上下軸のそれぞれに関して説明する。
【0037】
(1)一般的機能について
一般的に、障害肢のある四足動物が、車椅子を装着した状態で歩行する場合、健常肢でスリップすることなく地面を蹴るために、ある程度の体重が健常肢に加わる必要がある。このため、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを連結する連結部材4には、車輪53の接地点を支点とし障害肢側の重量を健常肢側に伝達する機能を有することが好ましい。
【0038】
(2)左右軸について
後肢に麻痺障害等を有する四足動物は、不随意運動により海老の様に後肢を腹部側に引き付ける動作や揺動癖を持つ個体が多い。このため、連結部材4が左右軸に関して可動域が広かったり可撓性が強過ぎると、車輪53の接地点が前方に寄り過ぎて尻もちを着くように後ろに転倒する場合がある。よって、左右軸における可動性や可撓性は、連結部材4にそれほど必要ではなく、歩行時の振動を吸収する程度のわずかな可動域で足りる。
【0039】
(3)前後軸における可動性について
脚部54に麻痺障害があったり欠損している四足動物の中には、脚部54や尻の筋肉が硬直し、生活スタイルによっては起立状態での姿勢が左右対称ではない個体が存在する。このような個体は、四足動物の顔面側から見た正面視において、胴体に捻れ(前後軸に関する捻れ)が生じている。このため、連結部材4の前後軸における可動域が狭すぎたり可撓性が弱過ぎると、車椅子と胴体がフィットせず隙間ができてしまう場合がある。
【0040】
一方、連結部材4の前後軸における可動域が広過ぎたり可撓性が強過ぎると、胴体の捻れに応じて、車輪53の向きが前後方向に対して若干斜め方向にずれる可能性がある。よって、前後軸に関して捻じれが生じている個体には、走行バランスを崩さない程度の状態に戻すため、当該捻れを相殺するように、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを連結できることが好ましい。一方、前後軸に関して胴体に捻じれがない個体の場合、前後軸における可動域や可撓性はそれほど必要ではなく、振動を吸収するくらいのわずかな可動域で足りる。
【0041】
(4)上下軸における可動性について
四足動物の平面視において、胴体が湾曲していない場合、すなわち、上下軸に関して胴体に湾曲が生じていない場合、当該上下軸における可動域は広くても転倒の危険はなく、むしろ方向転換し易くなる。ただし、四足動物の左右位置に一対で連結部材4を設置する場合、前後方向の長さが左右で別々に変化するため、前後方向への伸縮性が必要になる。
【0042】
一方、四足動物の平面視において、胴体に湾曲が生じている個体や、左右のいずれか一方に偏った揺動癖を持つ個体の場合、平面視において胴体が略L字状に湾曲する。このため、走行バランスを崩さない程度の状態に戻すため、装着時の健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とが略直線状となるように、予め逆向きに湾曲させた状態で連結できることが好ましい。
【0043】
以上より、連結部材4に必要とされる可動性および可撓性をまとめると、胴体に捻れや湾曲等が生じていない個体に対しては、左右軸および前後軸に関する可動性や可撓性は必要ではなく、少なくとも上下軸に関する可動性や可撓性があればよい。一方、胴体に捻れや湾曲が生じている個体に対しては、当該捻れや湾曲を相殺できるように調整できる構成であることが好ましい。
【0044】
以上の点を踏まえて、本第1実施形態では、連結部材4が、少ない部品かつ簡素な構成でありながら、互いに独立に前後方向の長さが伸縮可能であり、さらには、上述した左右軸、前後軸および上下軸において必要とされる可動性、可撓性および調整機能を実現するための構成として、上述した丁番構造を採用した。
【0045】
ただし、図5(a)に示すように、筋硬直や四肢の切断等によって、正面視において胴体に捻れが生じている四足動物が、上記構成の四足動物用車椅子1Aを装着すると、その捻れに伴って健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とが前後軸に関して相対的にズレてしまい、走行バランスを崩すおそれがある。
【0046】
そこで、上記のような捻れが生じている四足動物に対しては、図5(b)に示すように、左右一対の連結部材4が、捻れを相殺するように、捻れ方向とは逆方向にプレート41をずらして連結する。具体的には、ヒンジピン44を挿入する軸管の高さが異なるプレート41を連結する。これにより、バランスを崩さない程度に胴体の捻れが矯正されるため、歩行時の安定性やバランスが向上するとともに、筋硬直等による捻れを改善するためのリハビリテーションにもなる。
【0047】
また、図6(a)に示すように、平面視において胴体に湾曲が生じている四足動物や、左右一方への揺動癖を有する四足動物が、上記構成の四足動物用車椅子1Aを装着すると、湾曲や揺動癖に伴って健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とが平面視において斜めに連結された状態となり、走行バランスを崩すおそれがある。
【0048】
そこで、上記のような湾曲が生じている四足動物に対しては、図6(b)に示すように、左右一対の連結部材4は、装着時の健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とが略直線状となるように、湾曲部内側の自然長よりも湾曲部外側の自然長を短く構成する。これは、プレート41の枚数・大きさ・形状等を左右で異ならせることにより実現される。
【0049】
以上の構成によれば、湾曲部内側の連結部材4は自然長よりも圧縮されるため、伸長方向を外力を付与する。一方、湾曲部外側の連結部材4は自然長よりも伸長されるため、引張方向の外力を付与する。これにより、バランスを崩さない程度に胴体の湾曲が矯正されるため、歩行時の安定性やバランスが向上する。なお、装着時の健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とが略直線状とは、厳密な直線状のみならず、直線状に近い状態を含む概念である。
【0050】
つぎに、本第1実施形態の四足動物用車椅子1Aによる作用について説明する。
【0051】
本第1実施形態の四足動物用車椅子1Aは、図1に示すように、通常の歩行状態では、障害肢側ホルダー3の腹部支持部32が、障害肢側胴体を支持するとともに、障害肢カバー6が障害肢を被覆する。そして、障害肢カバー6が地面等に擦れることがないように、車輪支持機構5が一対の車輪53を回転可能に支持する。これにより、一対の車輪53が障害肢の代わりとなるため、四足動物は健常肢だけでもスムーズに歩行することが可能となる。
【0052】
また、一対の連結部材4が、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを四足動物の左右位置においてそれぞれ連結する。このため、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3との連結状態が安定化し、歩行時のバランスが取り易くなる。また、連結部材4を左右一対とすることにより、歩行時にかかる荷重が分散され、簡単に破損することがない。さらに、各連結部材4は胴体の側面に沿って設けられ、かさばりが少ない。このため、四足動物に対する装着や取り扱いが容易な上、衣服やレインコート等を被せ易くなり、デザイン性も低下させない。
【0053】
また、一対の連結部材4は、互いに独立に前後方向の長さが伸縮可能であるため、四足動物は自由に胴体を左右方向に湾曲させ、スムーズな方向転換が可能となる。これにより、四足動物は、自分の行きたい方向に行ったり、障害物等を避け易くなるため、四足動物用車椅子1Aで歩行する際のストレスが緩和される。さらに、一対の連結部材4は、自然長より伸長された場合または自然長より短縮された場合、自然長に復元する。このため、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とが左右方向にブレ難くなり走行安定性が向上する。また、胴体が前後方向に伸長したままとなることが抑制されるため、身体的な負担が軽減する。
【0054】
また、本第1実施形態において、各連結部材4は、略鉛直方向に沿うヒンジピン44によって連結された丁番構造を有している。この構成により、上下軸周りの可動性が許容されるため、左右方向への動きやすさが確保される。また、前後軸および左右軸周りの可動性が制限されるため、転倒が抑制される。さらに、各連結部材4は、車輪53の接地点を支点とし障害肢側の重量を健常肢側に伝達するため、健常肢が地面を蹴る際にスリップし難くなる。
【0055】
さらに、本第1実施形態では、図5(a)に示すように、正面視において胴体に捻れが生じている四足動物に対しては、図5(b)に示すように、捻れ方向とは逆方向にプレート41をずらして連結された連結部材4が、捻れを相殺する。これにより、バランスを崩さない程度に胴体の捻れが矯正されるため、歩行時の安定性やバランスが向上するとともに、筋硬直等による捻れを改善するためのリハビリテーションにもなる。
【0056】
また、本第1実施形態では、図6(a)に示すように、平面視において胴体に湾曲が生じている四足動物や左右への揺動癖がある四足動物に対しては、図6(b)に示すように、湾曲部内側の自然長よりも湾曲部外側の自然長が短く構成された連結部材4が、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを略直線状とする。これにより、バランスを崩さない程度に胴体の湾曲が矯正されるため、歩行時の安定性やバランスが向上する。また、揺動癖を持つ個体でも、真っ直ぐに歩行できるようになる。
【0057】
以上のような本発明に係る四足動物用車椅子1Aの第1実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1.歩行時の安定性やバランスを向上するとともに、装着や取り扱いが容易でデザイン性を損なわない丈夫な構造でありながら、自由に胴体を左右方向に湾曲させることができる。
2.上下軸周りの可動性を許容する一方、前後軸および左右軸周りの可動性を制限することにより、左右方向への動きやすさを確保するとともに転倒を抑制することができる。
3.健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを左右方向にブレ難くして走行安定性を向上するとともに、胴体が前後方向に伸長したままとなることを抑制し、身体的な負担を軽減することができる。
4.バランスを崩さない程度に前後軸に関する胴体の捻れを矯正することができる。
5.バランスを崩さない程度に上下軸に関する胴体の湾曲を矯正することができる。
【0058】
つぎに、本発明に係る四足動物用車椅子1Bの第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の構成のうち、上述した第1実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0059】
上述した第1実施形態では、後肢が障害肢である四足動物のための四足動物用車椅子1Bについて説明したが、本第2実施形態の特徴は、前肢が障害肢である四足動物のための四足動物用車椅子1Bとして構成した点にある。
【0060】
具体的には、図7(a),(b)に示すように、障害肢側ホルダー3は、上述した第1実施形態の健常肢側ホルダー2と略同形状に形成されており、車輪支持機構5および障害肢カバー6が固定されている。
【0061】
車輪支持機構5は、図7(b)に示すように、四足動物の胸部を支持する胸部カバー56と、この胸部カバー56の底部から左右後方に延出されて車輪53を回転可能に支持する一対の脚部54とを有している。胸部カバー56は、前後左右の4箇所に設けられたバックル等の固定具57によって、障害肢側ホルダー3に着脱可能に取り付けられる。また、障害肢カバー6は、前肢を保持しうる筒状に形成されており、肢周り部22に固定される。
【0062】
健常肢側ホルダー2は、図7(b)に示すように、上述した第1実施形態の障害肢側ホルダー3よりも簡素に構成されており、四足動物の腰部周りに配置されるアーチ状の腰周り部25と、この腰周り部25の下端部から後方に延設されて腹部を支持する一対の腹部支持部32とを有している。各腹部支持部32の後端部は臀部に沿って上方に湾曲され、その先端部は怪我を防止するために球状に形成されている。
【0063】
また、本第2実施形態において、連結部材4の前端部は、前方取付部材42によって、障害肢側ホルダー3の胴周り部23のうち、左右位置における略垂直方向の部分に着脱自在に設けられる。一方、連結部材4の後端部は、後方取付部材43によって、健常肢側ホルダー2の腰周り部25のうち、左右位置における略垂直方向の部分に着脱自在に設けられる。
【0064】
以上のような本発明に係る四足動物用車椅子1Bの第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0065】
つぎに、本発明に係る四足動物用車椅子1Cの第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態の構成のうち、上述した第1実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0066】
本第3実施形態の特徴は、四足動物が転倒した際や水中に落下した際、四足動物用車椅子1Cから自動的に抜け出せるようにするための自動脱出機構7を有する点にある。なお、本第3実施形態では、上述した第1実施形態の四足動物用車椅子1Aに自動脱出機構7を設けたものとして構成されている。
【0067】
障害肢を持つ四足動物の多くは、車椅子を装着していない場合、健常肢を用いて這うように動くことができる。しかしながら、車椅子の装着中に転倒し横臥位状態になると、胸部および腹部をやや上方に向けたまま、ただもがくこととなるため、痛覚がなく筋肉の薄い部分はすぐに皮膚が裂けて怪我をしてしまう場合がある。また、波打ち際などの水際で転倒した場合や、川や池等の水中に落下した場合には、命に関わるおそれがある。このため、予め浮き具を着用させる場合もあるが、胴体が浮きすぎると返って泳ぎにくくなる。
【0068】
そこで、本第3実施形態では、自動脱出機構7として、図8に示すように、四足動物が起立状態から横臥位状態になったことを検知する転倒センサー71a、または四足動物が水中にいることを検知するフロートスイッチ71bと、所定の接続部分における接続状態をロックするロック機構72とを有している。そして、転倒センサー71aが四足動物の横臥位状態を検知したとき、またはフロートスイッチ71bが四足動物が水中にいることを検知したとき、ロック機構72によるロックを解除するようになっている。
【0069】
具体的には、図8に示すように、連結部材4の後端部と障害肢側ホルダー3との接続部分にロック機構72が設けられている。そして、起立状態では、バネ等によって外方に付勢された一対のロックピン73が、プレート41のロック孔74に挿入された状態で、係止爪75によってロックされ接続状態を保持するようになっている。また、障害肢側ホルダー3の垂直部31の上端同士を連結する腰部ベルト34の一端部、および障害肢カバー6の端縁部同士を連結する障害肢ベルト63の一端部においても同様に、ロックピン73が係止爪75によってロックされて接続状態を保持している。
【0070】
一方、転倒センサー71aが転倒を検知すると、またはフロートスイッチ71bが水中にいることを検知すると、電磁スイッチ76がロックピン73に係止されている係止爪75を退避させる(図8の矢印A)。これにより、各ロックピン73がバネによってロック孔74から退避され(図8の矢印B)、連結部材4の後端部と障害肢側ホルダー3との接続状態を解除する。また、ロック孔74から退避したロックピン73のそれぞれは、ワイヤー77を介して腰部ベルト34および障害肢ベルト63をロックしている係止爪75を退避させる(図8の矢印C)。これにより、腰部ベルト34および障害肢ベルト63のそれぞれも接続状態が解除される。
【0071】
そうすると、図9に示すように、障害肢側ホルダー3が健常肢側ホルダー2とは完全に分離されるとともに、障害肢側ホルダー3自体も障害肢から分離される。このため、四足動物は障害肢側胴体がフリーになるため、転倒後には、身体の向きを変えて上半身のみを起こした半起立状態になったり、健常肢によって這うように移動することが可能となる。また、水中に落下した場合には、障害肢側ホルダー3の重みで水中に沈んでしまうことがなく、健常肢によって泳ぐことが可能となる。
【0072】
以上のような本発明に係る四足動物用車椅子1Cの第3実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、四足動物が四足動物用車椅子1Cを装着したまま転倒した際に、藻掻いて怪我をしたり、水際で溺れてしまう等の二次被害を防止することができる。
【0073】
なお、上述した第3実施形態では、連結部材4と障害肢側ホルダー3との接続部分、および腰部ベルト34および障害肢ベルト63の接続部分にロック機構72を適用しているが、この構成に限定されるものではなく、四足動物が自力で四足動物用車椅子1Cから抜け出せる程度に分離されるのであれば、どの接続部分でもよい。
【0074】
また、転倒センサー71aは、傾斜センサーやジャイロセンサー等のように、四足動物が起立状態から横臥位状態になったことを非接触で検知するものや、ボタンが押されたことにより横臥位状態を検知する接触式のセンサ等から適宜選択してよい。さらに、フロートスイッチ71bは、降雨時や水遊び時には誤検知することなく、液体の存在を検知しうるものであればよい。
【0075】
なお、本発明に係る四足動物用車椅子は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0076】
例えば、上述した第1実施形態では、正面視において捻れが生じている四足動物に対しては、連結部材4を構成するプレート41を捻れ方向とは逆方向にずらして捻れを相殺していたが、この構成に限定されるものではなく、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを前後軸周りにずらして連結しうる構成であればよい。例えば、図10に示すように、前方取付部材42および後方取付部材43に対して、両端部のプレート41を傾斜した状態で固定するようにしてもよい。
【0077】
また、上述した各実施形態では、復元部材45としてゴムやコイルバネ等を用いているが、これらの弾力性(可撓性)を調節可能に構成してもよい。例えば、第1実施形態の復元部材45であれば、ヒンジピンの44の両脇に設けられた各ゴムをネジ等で圧縮可能とし、その締め具合によって弾力性を調整してもよい。
【0078】
さらに、健常肢側ホルダー2および障害肢側ホルダー3の形状や素材は、上記構成に限定されるものではなく、健常肢側胴体および障害肢側胴体のそれぞれに装着され、しっかりと保持しうる構成であればよい。また、上述した各実施形態では、連結部材4が丁番構造であるため、四足動物の体毛や胴体が挟まれないように、各連結部材4に蛇腹状等のカバーを被覆してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1A,1B,1C 四足動物用車椅子
2 健常肢側ホルダー
3 障害肢側ホルダー
4 連結部材
5 車輪支持機構
6 障害肢カバー
7 自動脱出機構
21 首周り部
22 肢周り部
23 胴周り部
24 胸部ベルト
25 腰周り部
31 垂直部
32 腹部支持部
33 尻尾周り部
34 腰部ベルト
35 サドル部材
36 支持プレート
41 プレート
42 前方取付部材
43 後方取付部材
44 ヒンジピン
45 復元部材
46 コイルバネ
51 抑えプレート
52 固定部
53 車輪
54 脚部
55 アジャスター
56 胸部カバー
57 固定具
61 L字プレート
62 補助輪
63 障害肢ベルト
71a 転倒センサー
71b フロートスイッチ
72 ロック機構
73 ロックピン
74 ロック孔
75 係止爪
76 電磁スイッチ
77 ワイヤー
【要約】
【課題】 歩行時の安定性やバランスを向上するとともに、装着や取り扱いが容易でデザイン性を損なわない丈夫な構造でありながら、自由に胴体を左右方向に湾曲させることができる四足動物用車椅子を提供する。
【解決手段】 四足動物に用いられる四足動物用車椅子1Aであって、健常肢側胴体に装着される健常肢側ホルダー2と、障害肢側胴体に装着されるとともに車輪53を回転可能に支持する障害肢側ホルダー3と、健常肢側ホルダー2と障害肢側ホルダー3とを四足動物の左右位置においてそれぞれ連結する一対の連結部材4と、を有し、一対の連結部材4は互いに独立に前後方向の長さが伸縮可能に構成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10