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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】カラーマップ・ラッパー及びパケット
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/525 20060101AFI20240522BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B41J2/525
H04N1/60
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2023521363
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 US2020057917
(87)【国際公開番号】W WO2022093228
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ニコルス,ステファン,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】カービー,ジョージ,ヘンリー
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/502290(WO,A1)
【文献】特開2019-135105(JP,A)
【文献】特表2017-523070(JP,A)
【文献】米国特許第10740275(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/525
H04N 1/60
B41J 2/01-2/215
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の色の印刷材料と関連付けられた交換可能なコンポーネント用の集積回路であって、
複数のカラーマップを構築するためのラッパー及びパケットを含む印刷データを格納するメモリと、
プリンタ・コントローラに接続された際に、前記プリンタ・コントローラからの要求に応答して、前記印刷データを前記プリンタ・コントローラに伝えるためのインターフェース・コンタクトとを含み、
前記印刷データは、
複数のカラーマップ・ラッパーであって、異なるカラーマップ・ラッパーが異なるカラーマップに対応し、各カラーマップ・ラッパーは、
カラーマップ用の媒体を示す第1のレベルのタグと、
前記カラーマップを構築するためのカラーマップ・レシピとを含み、そのレシピは、DCT(離散コサイン変換)ラッパー及び残余ラッパーをそれぞれ含む第2のレベルのラッパーを、前記レシピに含まれる少なくとも1つのロケータにより、識別する、複数のカラーマップ・ラッパーと、
複数のDCTラッパーであって、各DCTラッパーは、
前記ロケータに対応する少なくとも1つの第2のレベルのタグを含み、
前記カラーマップのDCTパケットを包み込んでいる、複数のDCTラッパーと、
複数の残余ラッパーであって、各残余ラッパーは、
前記ロケータに対応する少なくとも1つの第2のレベルのタグを含み、
前記カラーマップの残余パケットを包み込んでいる、複数の残余ラッパーとを含み、
各DCTパケットは、前記カラーマップ・レシピを通じて、対応する残余パケットと関連付けられる、集積回路。
【請求項2】
選択されたカラーマップを生成するために、前記DCTパケット及び関連した残余パケットが、復号されることになり、その復号された残余パケットのノードが、復号されたDCTパケットの選択的ノードに追加されることなり、これ故に構築されたテーブルが、前記プリンタコントローラにより、ホストプリンタに格納された基準テーブルのノードに追加されることになる、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記レシピは、前記パケットを定義し且つ当該パケットの場所を見つけ、選択されたカラーマップを、当該パケットを用いて構築する、請求項1又は2に記載の集積回路。
【請求項4】
各ロケータは、前記第2のレベルのラッパーの第2のレベルのタグを参照し、そのロケータは、
前記第1のレベルのラッパーの前記第1のレベルのタグと同じである第2のレベルのタグを有する第2のレベルのラッパーを識別するために、前記第1のレベルのタグ、又は前記第1のレベルのラッパーの前記第1のレベルのタグに対する参照、或いは
第2のレベルのタグを含み、それにより、場所を見つけられた第2のレベルのラッパーは、別のカラーマップと共用される、請求項1~3の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項5】
各ロケータは、個々の第2のレベルのラッパーの場所を見つけるためのパケットタイプ及び/又はカラーチャネルを更に含む、請求項1~4の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項6】
前記第1及び第2のレベルのタグは、前記媒体および/または個々のカラーマップの軸を指定する、請求項1~5の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項7】
前記カラーマップ・ラッパーは、プロパティを含み、当該プロパティは、個々のカラーマップの次元性および/またはカラーチャネルを指定する、請求項1~6の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項8】
少なくとも1つの第2のレベルのラッパー及び対応するパケットが、2つ以上のカラーマップ・ラッパー及びカラーマップと関連付けられる、請求項1~7の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項9】
前記ラッパーはメタデータを含み、ひとたび新たな交換可能なコンポーネントの集積回路が前記プリンタコントローラに接続されれば、プリンタコントローラは、プリミティブ・カラーマップ・データ全部を読み通さずに、前記メタデータから個々のパケットの場所を見つけて、カラーマップを構築し、当該カラーマップを用いて媒体上に印刷することができるようになっている、請求項1~8の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項10】
前記第2のレベルのラッパーは、少なくとも1つのデルタスカラー・ラッパーを含み、各デルタスカラー・ラッパー又は前記デルタスカラー・ラッパーが、ロケータにより、関連したレシピにおいて識別され、
前記デルタスカラー・ラッパー又は各デルタスカラー・ラッパーは、当該ロケータに対応する少なくとも1つの第2のレベルのタグを含み、前記関連したレシピによりリンクされている前記DCTパケット及び/又は残余パケットを復号するために前記プリンタコントローラにより使用されることになるデルタスカラー・パケットを包み込む、請求項1~9の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項11】
前記印刷材料が、ブラックであり及び/又はモノクロ印刷に適しており、
前記第2のレベルのラッパーは複数のCBAT(係数ビット割り当てテーブル)ラッパーを含み、各CBATラッパーがロケータにより、関連したレシピにおいて識別され、
各CBATラッパーは、前記ロケータに対応する少なくとも1つの第2のレベルのタグを含み、CBATパケットと関連付けられた前記DCTパケットを前記レシピにより復号するために、プリンタコントローラにより復号されるように構成された前記CBATパケットを包み込む、請求項1~10の何れか1項に記載の集積回路
【請求項12】
前記パケットは、プリンタでの一組の所定の構築命令に基づいて、プリンタコントローラによりカラーマップを構築するために復号および/または組み合わされることになり、
各レシピは、レシピに対応する前記構築命令を参照する構築演算子を含む、請求項1~11の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項13】
異なるカラーマップと関連付けられるが同じパケットタイプを有する、複数の異なる第2のレベルのラッパー及び関連したパケットが、データの連続したストリングへグループ化され、メモリ構造は、異なるパケットタイプの異なるグループを格納する、請求項1~12の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項14】
前記パケットは、異なるパケットの組み合わせからカラーマップを構築するために別個に復号されることになり、
前記メモリに格納された、前記ラッパー及び前記複数のカラーマップと関連付けられたパケットは、単一のデータコンテナとして圧縮され、データの単一のコンテナとして圧縮解除されることになる、請求項1~13の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項15】
前記ラッパー及びパケットは、単一の辞書を用いて、単一のデータコンテナとして圧縮解除されることになる、請求項1~14の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項16】
第1及び第2のレベルのタグが、テーブルタイプを指定する、請求項1~15の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項17】
前記第2のレベルのラッパーが、カラーチャネルを含むプロパティを含む、請求項1~16の何れか1項に記載の集積回路。
【請求項18】
請求項1~17の何れか1項に記載の集積回路と、
前記カラーマップと関連付けられた印刷材料を収容するリザーバを含む、印刷材料カートリッジ。
【請求項19】
複数のカラーマップを含む単一の圧縮データコンテナを格納する印刷カートリッジ・メモリ構造体であって、そのデータコンテナは、プリンタコントローラにより圧縮解除される際に、
複数の第1のレベルのラッパーであって、各第1のレベルのラッパーが前記複数のカラーマップの1つと関連付けられており、
対応するカラーマップを識別するための少なくとも1つの特性と、
前記カラーマップを構築するためのパケットを定義し且つ当該パケットの場所を見つけるためのレシピとを含み、そのレシピは、前記パケットの1つに関連した各第2のレベルのラッパー用の少なくとも1つのロケータを有する、複数の第1のレベルのラッパーと、
異なるタイプの複数の第2のレベルのラッパーであって、各第2のレベルのラッパーは、
前記ロケータにより場所を見つけられることを容易にするための少なくとも1つのタグを含み、
前記プリンタコントローラにより復号されることになるパケットをラップする、異なるタイプの複数の第2のレベルのラッパーと、
異なるタイプの前記ラップされた複数のパケットとを含み、
異なるタイプのパケットは、前記レシピに基づいて、単一の選択されたカラーマップを得るように組み合わせられることになり、
前記第2のレベルのラッパーは、DCTテーブル・ラッパー及び残余ノードテーブル・ラッパーを含み、それらのラップされたパケットはそれぞれ、DCTテーブル及び残余ノードテーブルを含む、印刷カートリッジ・メモリ構造体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの特性は、次元性、カラーチャネル、媒体、軸タイプ、テーブルタイプ、テーマ及び印刷モードの少なくとも1つを含み、各単一の特性または特性の組み合わせは、異なる印刷出力対同じ入力デジタルイメージという結果になる異なるカラーテーブルに関連する、請求項19に記載の印刷カートリッジ・メモリ構造体。
【請求項21】
前記複数のカラーマップは、単一の圧縮解除辞書を用いて、前記プリンタコントローラにより圧縮解除されることになる、請求項19又は20に記載の印刷カートリッジ・メモリ構造体。
【請求項22】
前記ロケータは、タグ、パケットタイプ及びカラーチャネルの少なくとも1つを含む、請求項19~21の何れか1項に記載の印刷カートリッジ・メモリ構造体。
【請求項23】
前記ラッパーは、メタデータを含み、前記パケットはプリミティブデータを形成する、請求項19~22の何れか1項に記載の印刷カートリッジ・メモリ構造体。
【請求項24】
前記第2のレベルのラッパーは、デルタスカラー・ラッパー及び/又はCBATラッパーを更に含み、それらのラップされたパケットはそれぞれ、デルタスカラー乗数および/またはCBATを含む、請求項19~23の何れか1項に記載の印刷カートリッジ・メモリ構造体。
【請求項25】
請求項19~24の何れか1項に記載の印刷カートリッジ・メモリ構造体を含むホスト印刷装置に接続するための印刷カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
2D及び3D印刷システムは、インクジェット・カートリッジ、トナー・カートリッジ、有機感光体(OPC)ドラム、(2D又は3D)インク補給品、3D印刷薬剤補給品、構築材料補給品などのような、1つ又は複数の交換可能な印刷装置コンポーネント(構成要素)またはカートリッジを含む。これらコンポーネントの幾つかは一般に、カートリッジと呼ばれる場合がある。カートリッジは印刷材料を収容する場合がある。当該印刷材料は、シアン、マゼンタ、イエロー(黄色)、ブラック(黒色)、ホワイト(白色)などのような、特定の色からなる。様々な印刷システムは、当該色に加えて、化学組成、粒子/顔料重量などのような、異なる着色剤特性を有する異なる印刷材料タイプで動作するように設計され得る。
【0002】
印刷システムは、画面色空間からプリンタ色空間へのような、或る色空間から別の色空間へ変換する。色空間の間の色変換の例は、RGBから、多くの印刷システムに共通のCMYKへ、又はRGBからモノクロ(白黒)へである。当該色変換は、カラーマップ又はカラーテーブルとも呼ばれる、CLUT(カラー・ルックアップ・テーブル)を用いて、プリンタにより実行され得る。カラーマップは、印刷材料の色(カラー)、印刷材料のタイプ、印刷媒体タイプ、プリンタモデルなどに応じて、構成され得る。
【0003】
近年、特定の印刷プラットフォームにおいて、カラーマップは、交換可能な印刷コンポーネントに付着されたメモリに格納される。カートリッジが装着されると、カラーマップは、カートリッジのメモリからダウンロードされ得る。一般に、EEPROMの制限された空間は、これらの記憶に使用され、より多くの空間は、ユニット当たりのコストを増大させる。そうした理由から、カラーマップは圧縮される。特定のカートリッジのカラーマップは、チャネルマップと呼ばれ、その理由は、それらが実際には、交換可能なコンポーネント内の印刷材料の特定の色と関連している、部分的なカラーマップ又は1つの単色チャネルのカラーマップであるからである。
【0004】
さて、制限しない例が添付図面に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】集積回路のメモリ構造の一例の図である。
【0006】
図2】集積回路の一例の図である。
【0007】
図3】メモリ構造の一例の図である。
【0008】
図4】プリンタの一例の図である。
【0009】
図5】印刷方法の一例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本開示において引用された他の出願および特許の内容は、参照により組み入れられる。
【0011】
本開示において、単色チャネル用のカラーマップは、チャネルマップ又は部分的なカラーマップとも呼ばれ得る。チャネルマップ又は部分的なカラーマップは、単色カートリッジに使用され得る。プリンタのコントローラ(以降、プリンタ・コントローラと称する)は、色空間の間の色変換用の多次元カラーマップを構築するために、装着された異なるカートリッジのチャネルマップを組み合わせる(結合させる)ことができる。ブラック用のチャネルマップ又は「シェーパ・テーブル」は、それ自体で単一次元のカラーマップを形成することができる。他の例において、特定の圧縮された部分的なカラー(即ち、チャネル)テーブル部分、又は「差分」テーブルは、カートリッジメモリに格納されることができ、それによりベーステーブル又は基準テーブルがプリンタ側のメモリに格納される場合があり、それにより差分テーブル及び基準テーブルが、完全なカラーテーブルを得るために組み合わされることになる。参照により本明細書に組み入れられる、国際特許出願公開第WO2018/009226A1号、国際特許出願公開第WO2018/009235A1号、国際特許出願公開第WO2018/009234A1号および国際特許出願公開第WO2018/009238A1号を参照されたい。従って、部分的なカラーテーブルは、プリンタ側のベース基準テーブルと更に組み合わせるための多次元カラーテーブル、差分テーブル、カートリッジ側チャネルマップ又はカラーマップ、又はそれらの組み合わされる全てまたは何れかのためのチャネルマップを含む場合がある。明確に定義されない限り、カラーマップは、圧縮された書式または圧縮されていない書式で、これらのチャネルマップ、部分的なカラーマップ、或いは任意の1次元または多次元カラーマップの何れかを含む場合がある。
【0012】
国際特許出願公開第WO2016/028272A1号において、変換ラッパーの例が説明されている。これら変換ラッパーは、プリミティブ・データをカートリッジメモリに格納したカラーマップ又はカラーマップ・コンポーネントの場所を見つける。変換ラッパーは、新たなカートリッジが装着される際に、プリンタ・コントローラがタグ、プロパティ及び条件の少なくとも1つを用いて、実行時にチャネルマップの場所を迅速に見つけることができるように、メタデータを包含する。その文献の一実施形態は、高分解能の中立軸、シードノード及びデルタテーブルを含む圧縮された完全チャネルマップに言及している。その文献の更な実施形態は、係る圧縮されたカラーマップを復号するために、プリンタ・コントローラ用のレシピを含む。同種の圧縮されたカラーマップが、米国特許第9621764号においてより詳細に説明されている。これらのカラーマップに関して、ピラミッドベースの圧縮方式が使用される。
【0013】
DCT(Discrete Cosine Transform:離散コサイン変換)タイプのカラーマップ及び色(カラー)変換と呼ばれる、他のカラーマップ及び色変換技術が、上述された国際特許出願公開第WO2018/009226A1号、国際特許出願公開第WO2018/009235A1号、国際特許出願公開第WO2018/009234A1号および国際特許出願公開第WO2018/009238A1号に開示されている。特定の具現化形態において、これらカラーマップは、プリンタ側に格納された基準テーブルを有し、それにより差分テーブルがカートリッジ側に格納される。本開示において、これら圧縮されたDCTタイプの差分カラーテーブルは、DCTカラーマップ又はDCTタイプ・カラーマップと呼ばれ得る。DCTカラーマップは、量子化DCT係数、残余ノード、及びデルタスカラー乗数を含む場合がある。モノクロの印刷カートリッジの場合、CBAT(Coefficient Bit AssignmentTable:係数ビット割り当てテーブル)は、カートリッジ側に含められ得る。
【0014】
本開示は、DCTタイプ(Discrete Cosine Transform:離散コサイン変換)のカラーマップ、又は少なくとも差分テーブルを構築するための代替の(変換)ラッパー及びパケットに対処する。アーキテクチャ及び構造は、新規の層状ラッパー-レシピ-及び-パケット構造を用いて、DCTタイプのカラーマップをカートリッジメモリに容易に格納し且つ当該カートリッジメモリ上で当該カラーマップの場所を容易に見つけるように設計され、それによりカラーマップは、プリンタ・コントローラにより、実行時に迅速に場所を見つけられて構築され得る。
【0015】
図1は、交換可能な印刷コンポーネントに付着される又は別な方法で当該印刷コンポーネントと一体化(集積化)されるような、IC(集積回路)の一部であることができるメモリ構造1を示す。メモリ構造1は、ラッパー5、9A、9Bを含むカラーマップ・データ、及びパケット11A、11Bを含むプリミティブ・データを格納する。ラッパーは、変換ラッパーであることができるが、本明細書において簡単に「ラッパー」と呼ばれ得る。カラーマップ・データは、(必ずしもではないが)印刷コンポーネントにより収容されている印刷材料に関連付けられ得る、又は別な方法で印刷コンポーネント及びメモリ構造1に関連付けられ得る。例えば、カラーマップ・パケットは、印刷材料がシアンであることができる限り、シアンに関係することができる。ここで留意すべきは、特定のカラーマップ・データは、印刷材料の色とは異なる色に関連しているメモリ構造1に格納され得る。例えば、シアンに関係するカラーマップ・パケットは、ブラックのカートリッジのメモリ構造に格納され得る。
【0016】
ラッパーは、レシピ3のロケータ15を用いて、本明細書において第2のレベルのラッパー9A、9B(例えば、DCTラッパー、残余ラッパー)として定義されたより低いレベルのコンポーネントの場所を見つけるために、本明細書において第1のレベルのラッパー5(例えば、カラーマップ・ラッパー)として定義されたより高いレベルのコンポーネントを含む。ラッパー5、9A、9B及びレシピ3は、カラーマップを構築するためのコンポーネントを含む対応するデータパケット11A、11Bの場所を見つけるようになっている。ロケータ15は、レシピ3に設けられる。パケット11A、11Bは、例えば、DCTテーブル及び残余テーブルとして符合化された(図示されたように)及び/又は圧縮されたプリミティブ・データを形成する。パケット11A、11Bの例は、DCTパケット、残余パケット、デルタスカラー・パケット及びCBATパケットを含む。パケット11A、11Bは、第3のより低いレベルに関係すると考えられ得る。
【0017】
カラーマップは、レシピ3により定義されるような、選択されたカラーマップに関係するパケット11A、11Bの組み合わせを用いて、プリンタ・コントローラにより構築されることになる。第1のレベルのラッパー5は、カラーマップ用のパケットを選択すること、及び対応する第2のレベルのラッパー9A、9B及びパケット11A、11Bの場所を見つけることを容易にする。第2のレベルのラッパー9A、9Bは、カラーマップを構築するための復号化および結合(組み合わせ)/分解のための対応するカラーマップ・パケット11A、11Bをラップする(包む)。第2のレベルのラッパー9A、9Bは、パケット11A、11Bの場所を見つけることに役立つように、含められてラップされたパケット11A、11Bのメタデータと考えられ得る。そのプリミティブ・データが第2のレベルのラッパー9A、9Bに挿入されるので、第2のレベルのラッパー9A、9Bは、第1のレベルのラッパー5より大きいデータサイズからなる。レシピ3は、そのロケータ15に基づいて、第2のレベルのラッパー9A、9B及びパケット11A、11Bの場所を見つけることを容易にする。レシピ3は、カラーマップを構築するためにカラーマップの構築ブロック(即ち、パケット)を識別すること、及びこれら構築ブロックの場所を見つけることを含む少なくとも2つの機能を有することができる。幾つかの例において、第2のレベルのラッパー9A又は9B、及びパケット11A又は11Bは、複数の第1のレベルのラッパー5により、共用される場合がある。この例において、ラッパー5、9A、9Bの内容は、パケット11A、11Bの場所を見つけるためのメタデータとして定義される。プリミティブ・データ又はカラーマップ構築命令のような、非メタデータは、ラッパー5、9A、9B及び/又はレシピ3に収容され得る。
【0018】
ロケータ15は、メタデータである。ロケータ15の例は、カラーチャネル、タグ、プロパティ及びパケットタイプであり、より低いラッパー9A、9Bにおける類似したタグなどを参照する。タグは、媒体、軸、テーマ、印刷モード、品質、テーブルタイプ、補給品ファミリID及び/又は対応するカラーマップ用の印刷プラットフォームIDを識別することができる。ラッパーのメタデータは、プリンタの実行時に、カラーマップ・コンポーネントを分解することを容易にする。幾つかの例において、ラッパーは、メタデータのみからなる。パケット11A、11Bは、プリミティブ・データに格納される。
【0019】
パケット11A、11Bはプリミティブ・データ13と考えられる場合があり、その理由は、それらが、プリミティブ・データのような他のデータ・コンポーネントを記述するために使用されるメタデータとは対照的に、カラーマップを構築するための基本構築ブロックを形成するからである。本開示において、メタデータは、パケットのようなプリミティブ・データの場所を見つけるために使用され得る。第1のレベルのラッパー5のような、より高いレベルのメタデータは、第2のレベルのラッパー9A、9Bのような、より低いレベルのメタデータの場所を見つけるために使用され得る。
【0020】
パケット11A、11Bは、DCTパケット及び残余パケットのような異なるタイプからなる。複数のカラーマップ(及びカラーマップ・ラッパー5)は、各タイプ11A及び11Bの等しい複数のパケットと関連付けられ得る。従って、第1のタイプ11A及び異なる第2のタイプ11Bのパケットのサブセットは、レシピ3に基づいて、単一の選択されたカラーマップを得るように結合される(組み合わされる)ことになる。他の例において、3つ又は4つの異なるタイプのパケット11A、11Bが存在する。
【0021】
層状ラッパー-及び-パケット構造は、プリンタ・コントローラによりそのプリンタでのカラーマップ・データの局所記憶(例えば、フラッシュメモリ上)が後続する敏速なダウンロードを容易にし、結果として、実行時にプリンタ・コントローラによりカラーマップ・コンポーネントを即座に分解することを容易にすることができ、この場合、例えばプリンタの電源を入れる又は新たな印刷カートリッジを装着する際に、印刷ジョブ又は印刷システム(もしあれば)に追加される待ち時間は比較的わずかである。新たなカートリッジの装着後、印刷は、新たに装着されたカートリッジの更新されたカラーマップを用いて続けられ、潜在的により良い又は少なくとも更新された色彩管理を得ることができる。開示されたラッパー構造は、「パケット」オブジェクトにおけるカラーテーブル・コンポーネント(例えば、PFD記録)をラップし、(タグ及びプロパティのような)メタデータでパケットを記述し、実行時に分解されるレシピを用いてマルチレベル(多層)のコンポーネント(ラッパー)においてパケットを関係づける(reference:参照する)ことにより、柔軟性と管理(制御)の層を提供する。新規の構造の故に、ラッパー及びプリミティブ・データを含むカラーマップ・データは、データの単一のブロブとして圧縮されることができ、その結果として、それにより、個々のパケットを圧縮することに比べて、より大きなデータ空間の節約が可能になることができる。
【0022】
更に後述されるように、DCTタイプのカラーマップ・パケットは、モノクロ又はグレースケールの色変換のための1Dから1Dへ(それらの例は「シェーパ・テーブル」と呼ばれ得る);RGBからK,RGBへ、C,RGBへ、M,RGBへ、Y,RGBへ、R,RGBへ、G又はRGBへ、Bへのような、3Dからチャネルマップ用の1Dへ;RGBからRGBへのような、3Dからカラーマップ用の3Dへ;及びRGBからCMYKへのような、3Dからカラーマップ用の4Dへのような、色空間の異なる次元性と特性との間の変換を容易にするために使用され得る。異なる次元性(1D、2D、3D)並びに色空間(RGB、CMYK)とチャネル(R、G、B、C、M、Y、K)との間の変換は、本開示において、「次元性」と呼ばれる場合がある。本開示における層状DCTカラーマップ・ラッパーの手法の例は、色変換システムの効率性、精度、柔軟性および/またはモジュール性を向上させることができる。
【0023】
図2は、交換可能な印刷コンポーネント用の集積回路217の一例を示す。交換可能な印刷コンポーネントは、C、Y、M、又はKのような、所定の色の印刷材料を収容するリザーバを含む場合がある。印刷材料は、トナー、インク及び/又は任意の2D又は3D印刷薬剤を含むことができる。集積回路217は、カラーマップ・データを含むデータを格納するためのメモリ201を含み、そのカラーマップ・データは、メタデータ及びプリミティブ・データ213における異なる対応するパケット211A、211Bを含む第1及び第2のレベルのラッパー205、209A、209Bを含む。ラッパー205、209A、209B及びパケット211A、211Bは、一緒に圧縮され得る。各パケット211A、211Bは、差分テーブルを、量子化DCT係数テーブル(DCTパケット)、エラー閾値の外側のDCTテーブルの選択的ノードに加えるための残余ノード(残余パケット211B)、及び特定の例において、デルタスカラー乗数(デルタスカラー・パケット、図3を参照)へ分解することにより、別個に符合化または圧縮されている場合がある。印刷に関して、各パケット211A、211Bは、カラーマップを構築する前に、別個に復号されることになる。
【0024】
集積回路217は、装着された際にプリンタ・コントローラからの要求に応答して、カラーマップ・データのようなコンポーネントに関連したデータをプリンタ・コントローラに伝えるためのインターフェース・コンタクト219を含む場合がある。コンタクト219は、集積回路217、及び/又はプリンタ・コントローラのインターフェース・バス(例えば、I2Cシリアル・インターフェース・バス)に接触するための印刷コンポーネントの外部に設けられ得る。
【0025】
集積回路のメモリ201は、印刷材料の色、及び/又は交換可能なコンポーネントの製品ID及び/又は製造番号を含む印刷コンポーネントの特性のような、カラーマップ・データ以外の印刷データ225を格納することができる。印刷データ225は、液滴の数、ページ数、センサ情報、及び/又はトナー転写コンポーネントのローラのサイクルのような他の(例えば、周期的な)情報に基づいて、プリンタ・コントローラにより更新され得る、コンポーネント内の印刷材料のレベルを含む場合がある。印刷データは、摩耗情報を含む場合がある。印刷データは、インクのプライム事象の頻度または履歴、或いは履歴的な使用情報のようなサービス情報を含む場合がある。印刷データは、製造日、最初の装着日などを含む場合がある。印刷データは、プリンタ、プリンタ群またはプリンタ・プラットフォーム、或いはカートリッジが装着される及び/又は以前に装着された多数の異なるプリンタに関するプリンタ情報を含む場合がある。印刷データは、製品および/またはカートリッジID、OEM商標情報、デジタル署名などを含む場合がある。一例において、印刷データの少なくとも一部は、デジタル的に署名され得る。集積回路217は、プリンタ・コントローラと集積回路217との間の通信の暗号化認証、及び/又は他の安全な認証特徴のためのCPU225、認証ハードウェア220及びファームウェア223を含む、セキュア・マイクロコントローラのようなマイクロコントローラであることができる。交換可能な印刷コンポーネントがプリンタに装着される際、認証セッションが開始され得る。肯定的な認証後、プリンタ・コントローラ1は、印刷するためにプリンタを承認することができる。認証後、集積回路217は、認証された要求に応答して、カラーマップ・データを含むそのデータを、プリンタの内部メモリに伝達することができる。
【0026】
異なるカラーマップは、異なる媒体、品質、印刷モード、次元性などに関して設計されている。複数の異なるカラーマップ・ラッパー205から、対応する複数のカラーマップは、第2のレベルのラッパー209A、209Bにラップされた、復号されたパケット211A、211Bを結合することにより構築され得る。カラーマップ・ラッパー205は、所望のカラーマップの1つ又は複数の特性を表わすタグ227を含む。タグ227又は特性の一例は、媒体(例えば、光沢紙または普通紙)であり、その理由は、異なるカラーマップが異なる媒体タイプに使用され得るからである。印刷品質、軸、テーブルタイプ、印刷モード及びテーマは、他の例のタグ227である。プリンタ・コントローラは、1つ又は複数のタグ227及び/又は他の特性に基づいて、カラーマップを選択することができる。カラーマップ・ラッパーは、第1のレベルのラッパーであり、そのタグ227は、第1のレベルのタグ227と呼ばれ得る。第2のレベルのラッパー209A及び209Bは、それら自体の第2のレベルのタグ233A、233Bを設けられ得る。例示的な例において、第2のレベルのラッパーは、それぞれが対応するDCTパケット211A及び残余パケット211Bを包み込むDCTラッパー209A及び残余ラッパー209Bを含む。
【0027】
各カラーマップ・ラッパー205は、カラーマップを構築するためのコンポーネントがどれかを示すためのカラーマップ・レシピ203を含むことができる。この例において、レシピ203は、ロケータ221A、221Bにより、第2のレベルのラッパー209A、209Bを識別する。ロケータ221A、221Bは、第2のレベルのラッパー209A、209Bの第2のレベルのタグ233Aを識別することができる。ロケータ221A、221Bは、例えば、第1又は第2のレベルのタグを参照することにより、又はそれらを含むことにより、第1のレベルのタグ227及び/又は第2のレベルのタグ233A、233Bを識別することができる。例えば、レシピ203は、第1のレベルのタグ227を列挙することにより、又はその第1のレベルのタグ227に参照を設けることにより、少なくとも1つの第2のレベルのラッパー209A又は209Bを識別することができ、その結果、プリンタ・コントローラは、第1のレベルのタグ227と同じである第2のレベルのタグ233A、233Bを有する第2のレベルのラッパー209A、209Bを識別することができる。第1のレベルのタグ227に対する参照を含むロケータ221A、221Bの一例は、「parent_tag」として符合化され得る。これは、プリンタ・コントローラが第1のレベルのタグ227を参照するロケータ221A、221Bを読み出し、次いで対応するパケット211A、211Bを見出すために第1のレベルのタグ227と同じである第2のレベルのタグ233A、233Bの場所を見つけることを容易にする。例えば、カラーマップ・ラッパー205は、「光沢紙」媒体に関連し、レシピ203によりリンクされるような、第2のレベルのラッパー209A、209Bも光沢紙媒体に関連する。次いで、第1及び第2のレベルのラッパー205、209A、209Bはそれぞれ、同じ第1及び第2のレベルのタグ227、233A、233Bを有することができる。言及されるように、適切に機能するためのメタデータに関して、ラッパー205、209A、209Bは、部分的に一致するタグ、プロパティ及び他の特性を有することができる。ラッパー構造の特定例に関するこの態様は、単一の圧縮されたデータ・コンテナとしてのラッパー及びパケットの圧縮が追加の効率性であることができ、即ち「冗長な」データは、より高い圧縮率につながることができることを容易にすることができる。
【0028】
別の例において、ロケータ221A、221B(又は1つだけのロケータ221)は、同じカラーマップ・ラッパー205の第1のレベルのタグ237A、237Bと異なる第2のレベルのタグ233A、233Bを含むことができ、例えばこの場合、場所を見つけられたラッパー209A、209B/パケット211A、211Bは、別のカラーマップ・ラッパー及びカラーマップと共用される。例えば、カラーマップは、光沢紙媒体用であることができ、それによりカラーマップ・ラッパー205の特性も、光沢紙媒体に関連する。レシピ203は、例えば他の媒体用の他のカラーマップの第2のレベルのタグ233A、233Bをそのレシピ203内のロケータ221A、221Bとして部分的に又は完全にコピーすることを含むことにより、別の媒体(例えば、普通紙)用の別のカラーマップに関連する第2のレベルのラッパー209A、209Bの場所を見つけることを選択することができる。係る例において、第1のレベルのタグは、光沢紙に関連することができるが、第2のレベルのタグは、普通紙媒体に関連する。このように、個々の第2のレベルのラッパー209A又は209B及びパケット211A、211B、或いは第2のレベルのラッパー209Aと209B及びパケット211A、211Bの組み合わせは、複数のレシピ203及びカラーマップ・ラッパー205により共用され得る。また、これは、メモリ201に格納される必要があるパケットをより少なくすることも容易にすることができる。
【0029】
第2のレベルのラッパー209A、209Bは、複数のDCTラッパー209Aを含み、各DCTラッパー209Aは、関連したDCTパケット211Aの特性を表わす第2のレベルのタグ233Aを含む。関連したDCTデータ・パケット211Aは、DCTラッパー209Aによりラップされ得る。DCTラッパー209A及び関連したパケット211Aは、そのレシピ203においてDCTラッパー209Aを識別するカラーマップ・ラッパー205に対応するカラーマップを構築するように構成され得る。第2のレベルのタグ233Aは、第1のレベルのレシピ203のロケータ221Aにより識別され得る。DCTラッパー211Aは、後に続くラッパーを介して、プリンタ・コントローラがパケット211Aを直接的にフェッチすることができるようにデータ・パケット211Aをラップする。同様に、第2のレベルのラッパーは、複数の残余ラッパー209Bを含み、各残余ラッパー209Bは、第2のレベルのタグ233Bを含み、関連した残余パケット211Bをラップする。プリミティブ・データは、DCTラッパー209A及び残余ラッパー209Bにより場所を見つけることができるように、複数の符合化されたDCTパケット211A及び残余パケット211Bを格納する。より高いレベルのレシピ203は、対応する第2のレベルのラッパー209A、209Bを介して、DCTパケット211Aをその関連した残余パケット211Bにリンクする。
【0030】
例えば、選択された媒体または他の選択された特性に基づいて、プリンタ・コントローラにより選択されるカラーマップを生成するために、プリンタ・コントローラは、メモリ201からデータをダウンロードして圧縮解除した後、タグ227及び/又は他の特性に基づいて、対応するカラーマップ・ラッパー205の場所を見つける。次いで、関連したDCTパケット211A及び残余パケット211Bの場所は、ラッパーの構造を通じて見つけられ、各パケット211A、211Bが復号される。復号された残余パケットのノードが、復号されたDCTパケットの選択的ノードに追加され、これ故に構築されたテーブルがホスト・プリンタに格納された基準テーブルのノードに追加されることになり、それによりカラーマップが得られる。開示されたラッパー構造は、実行中に速い場所を提供し、プリンタ・コントローラによるカラーテーブル・コンポーネントを分解するが、個々のパケット・レベルでの適応および組み合わせ(結合)を容易にする。開示されたラッパー構造は、広範な及び比較的多種多様なカラーテーブル次元および印刷材料の使用を容易にする。また、開示されたラッパー構造は、例えば、印刷材料の変更、プリンタ・プラットフォームのハードウェアの変更、顧客の要求、ソフトウェアの変更、アップグレードなどに応じて、連続的に更新されたカラーマップを印刷コンポーネントに追加するために、敏速な適応も容易にする。カラーマップのアップグレードは、新たな媒体タイプ、新たな色変換次元性または色空間、新たな印刷材料組成または色、新規なプリントヘッド、新規なトナー転写コンポーネント、新規な交換可能な印刷コンポーネントなどを追加することを含むことができる。現時点で開示された例は、プリンタ又は交換可能なコンポーネントのSKU(最小在庫管理単位)が同じ状態のままである場合でさえも、カラーマップを即座に更新することを容易にすることができる。本開示のカラーマップ・パケット及び変換ラッパーは、トナーベース及びインクベースの印刷プラットフォームの双方に対してのように、同じDCT圧縮、パケット構造、及び異なるプリンタ及びプリンタ補給品プラットフォームの比較的広範囲にわたるプリンタ・ファームウェアを用いて容易にし、それは印刷業界で史上初かもしれない。
【0031】
場合によっては、DCTタイプのカラーマップ及び新規の「パケット」方式は、喪失(損失)、精度および柔軟性の観点から、ピラミッドベースの圧縮方式(中立軸、シードノード及びデルタテーブルを有する)を用いる前述のカラーマップのような他の圧縮タイプに比べて、より柔軟性を促進する。例えば、DCTベースの圧縮は、必要に応じて許容可能なデータサイズを有して、圧縮中に色精度の低い喪失または喪失のない状態で、比較的精密にすることができる。また、DCTカラーマップは、他のカラーマップ・タイプより小さいデータサイズからなることができ、それは、それらを格納するために使用されるマイクロコントローラの比較的小さいフラッシュ又はEEPROM型メモリに好都合である。より小さいサイズに関する理由は、基準テーブルがプリンタ側に格納され、カートリッジのみがその基準テーブルと組み合わせられるべき差分テーブルを格納するからである場合がある。
【0032】
本開示の異なる例のラッパー構造は、別個に符合化されたパケットを含む全てのコンポーネントが一緒に圧縮され得ることを容易にし、その理由は、ラッパーにより、コンポーネントが圧縮解除後に場所を見つけられることを可能にするからである。パケット全てを一緒に圧縮することは、別個の圧縮(例えば、変換ラッパーのないカラーマップ・コンポーネントの)よりも高い圧縮率を提供する場合があり、その理由は、パケット間の冗長性がより効率的に圧縮され得るからである。異なるラッパーにわたる固有の冗長性(タグ、プロパティ、又は他の特性)は、ラッパーが単一の圧縮されたコンテナのデータサイズにそんなに追加しないことを条件とする場合がある。更に、単一(例えば、zlib)の圧縮辞書が、各圧縮された記録に関する辞書とは対照的に、ラッパー及びパケットの全パックに関して作成され得る。次いで、低減されたデータサイズは、より多くのカラーマップを格納すること、より安価なメモリ構造を使用すること、及び/又は他のデータ特徴要素に利用可能なより多くの空間の少なくとも1つという結果になることができる。また、低減されたデータサイズは、異なるサプライヤー又はOEM(相手先商標製品製造)のような、何のIC又はメモリ記憶ハードウェアをカートリッジに使用するかに関して、より多くの柔軟性も与えることができる。
【0033】
図3は、カラーマップ・データを含む印刷データを格納するためのメモリ構造301の別の例を示す。メモリ構造は、第1及び第2のレベルのラッパー305、309A~309Dを含み、当該第1のレベルのラッパー305は、カラーマップを構築するためのパケット311A~311Dを収容する第2のレベルのパケット・ラッパー309A~309Dを識別するためのレシピ303を含む。ラッパーは、対応する第2のレベルのラッパー309A~309Dにより、それぞれが場所を見つけることが可能な所望のパケット311A~311Dの速い場所を容易にするためのメタデータからなる。ラッパー205、309A~309D及びパケット311A~311Dの組み合わせは、単一の圧縮解除辞書を用いて一緒に圧縮解除されるために、1つの圧縮ファイルとして格納され得る。
【0034】
第1のレベルのカラーマップ・ラッパー305は、プロパティ及び/又は第1のレベルのタグ327を含む場合がある。プロパティはカラーマップのタイプに特有である場合がある。例えば、プロパティは、個々のカラーマップの次元性329及びカラーチャネル328の少なくとも1つを識別する。次元性329は、変換のための入力および出力色空間次元性を意味する場合があり、それらの例は上記で与えられている。再度、次元性329の一例は、3Dから1Dへ(例えば、RGBからC、Y、M、又はKへ)変換するカラーマップである。次元性329の別の例は、例えば、ブラック(K)の印刷材料を用いるモノクロ印刷のための、1Dから1Dへである。単一色印刷材料に関連するカラーマップは、CMYK出力の色空間への変換のために完全なマルチカラーマップを構築するための残りの3つの印刷材料のチャネルマップとの更なる組み合わせのためのチャネルマップであることができ、従って、3Dから1Dへの次元性である。カラーチャネル328のプロパティは、C、Y、M、又はKのような、個々のカラーマップに関連する色(カラー)を指定することができる。
【0035】
第1及び/又は第2のレベルのタグ327、333A、333Bは、それらがカラーマップ・コンポーネントの場所を見つけて分解することに役立つ個々のカラーマップ又はパケット311A~311Dの特定の特性により定義され得る。第1及び/又は第2のレベルのタグ327、333A~333Dの例は、印刷媒体、テーマ、軸、印刷システム・プラットフォーム、印刷コンポーネント(例えば、カートリッジ又は補給品)ファミリ、テーブルタイプ、媒体タイプ、及び印刷品質である。印刷媒体の例は、光沢紙、普通紙、絹目紙、及びコート紙(例えば、紙)である。印刷品質の例は、最高、標準、及び下書きである。軸の例は、プロセス中立およびブラック中立であり、それらは色空間において中立軸に対する色分解を意味する。プロセス中立は、無彩色がCMYKからなることを意味することができる。ブラック中立は、無彩色がK着色剤のみを使用することを意味することができる。テーブルタイプは、「媒体マップ」クラス(例えば、バックエンド・マップ)、「全範囲(gamut)マップ」クラス(例えば、フロントエンド・マップ用)、又は交換可能な電子写真用定着ユニットのメモリのカラーマップ用の定着器データテーブル(又は「定着器ブロブ」)のような、カラーマップのクラスを意味することができる。例えば、テーマのタグは、「RGBオフィス」又は「RGBヴィヴィド」又は「RGBアドビ」などのような、特定のテーマにカスタマイズされたカラーマップに使用され得る。テーマのタグは、全範囲マップのテーブルタイプと組み合わせて使用され得る。
【0036】
レシピ303は、カラーマップを構築するためにパケット311A~311Dの場所を見つけるように、異なる第2のレベルのラッパー309A~309Dを識別する。レシピ303は、タグロケータ321A~321D又は単純タグを含むロケータを含む。タグロケータ321A~321Dは、前述されたように、それらの第2のレベルのタグ333A~333Dに基づいて第2のレベルのラッパーの場所を見つけるために、第1のレベルのタグ327A~327Dを含む又は意味する、或いは第2のレベルのタグ333A~333Dを含む。レシピ303は、パケットタイプ337A~337D及び/又はカラーチャネル339A~339Dにより、各第2のレベルのラッパー309A~309Dを更に識別する。レシピ303のカラーチャネル339A~339Dは、第2のレベルのラッパー309A~309Dのプロパティを意味することができる。レシピ303のカラーチャネル339A~339Dは、必ずしもでないが、後に場所を見つけられるパケットに応じて、カラーマップ・ラッパー305のカラーチャネル・プロパティ328に対応することができる。レシピ303のカラーチャネル339A~339Dは、個々のパケット311A~311Dのカラーチャネル・プロパティ及び対応するカラーマップを意味することができる。第2のレベルのラッパー309A~309Dには、プロパティ(図示せず)が設けられ、当該プロパティは、カラーチャネル(レシピ303のカラーチャネル339A~339Dを用いて第2のレベルのラッパーの場所を見つけるために再び使用され得る)を含むことができる。これらプロパティは、第2のレベルのタグ333A~333D及びパケット311A~311Dと一緒に第2のレベルのラッパーに含められ得る。
【0037】
図示された例示的なラッパー構造は、4つのパケットタイプ337A~337D、即ち、レシピ303のパケットタイプ337A~337Dにより、それに応じて識別されて場所を見つけられるDCTパケット311A、残余パケット311B、デルタスカラー・パケット311C及びCBATパケット311Dを含む。モノクロのカラーチャネル(例えば、ブラックの印刷色)のラッパー構造は、4つのラッパー及びパケットタイプ337A~337D全てを含むことができる。他の次元性またはカラーチャネル用の他のカラーマップ・データは、3つのラッパー及びパケットタイプ337A~337Cを有する場合があり、それによりCBATラッパー309D及びパケット311Bは、交換可能なコンポーネントのメモリ構造301の代わりに、ホストプリンタに格納され得る。
【0038】
異なるタイプの第2のレベルのラッパー309A~309Dは、前記第2のレベルのタグ333A~333Dを含む場合がある。第2のレベルのラッパー309A~309Dは、関連したパケット311A~311Dを包み込むことができる。
【0039】
第2のレベルのラッパーは、デルタスカラー乗数のパケット311Cを包み込む、少なくとも1つのデルタスカラー・ラッパー309Cを含む。デルタスカラーと簡単に呼ばれ得る、デルタスカラー乗数は、復号/圧縮解除されたDCTデータの範囲を変更するために使用される値である。デルタスカラーは事実上は、量子化ステップのサイズ及びDCT計算に起因する結果としての圧縮エラーを変更するための圧縮率を含む。デルタスカラー乗数の選択は、個々のカラーマップ及びコンポーネントの圧縮に影響を与える。デルタスカラー乗数は、逆DCT操作が差分テーブル、及びその後のカラーテーブルを作成するために実行され得るように、解凍(即ち、復号)されたDCT値を適切な範囲へ戻すために使用される。例えば、デルタスカラーは、先の国際特許出願公開第WO2018/009226A1号、国際特許出願公開第WO2018/009235A1号、国際特許出願公開第WO2018/009234A1号および国際特許出願公開第WO2018/009238A1号において言及されたステップサイズを含む、又は当該ステップサイズである。デルタスカラー乗数は、関連したレシピによりリンクされる復号されたDCT及び/又は残余パケットを変更するために、印刷コントローラにより使用されることになる。
【0040】
各デルタスカラー・ラッパー309Cは、例えば個々のタグ・ロケータ321C及びデルタスカラー・パケットタイプ337C及び/又はプロパティを通じて、レシピ303により識別される。デルタスカラー・ラッパー309C又は各デルタスカラー・ラッパー309Cは、第2のレベルのタグ327C及びデルタスカラー・パケット311Cを含む。デルタスカラー・ラッパー309Cは、プロパティを含む場合がある。一例において、1つのデルタスカラー・ラッパー309C及び/又はデルタスカラー・パケット311Cは、異なるカラーマップ・ラッパー305により共用される。例えば、これら異なるカラーマップ・ラッパー305は、異なるプロパティを有するが、レシピ303において同じデルタスカラー・ロケータ321Cを有することができる。例えば、同じデルタスカラーは、異なる特性を有する異なるカラーマップを構築するために使用され得る。
【0041】
別の例において、メモリ構造が取り付けられる又は取り付けられることになるコンポーネントの印刷材料は、ブラックである、及び/又はモノクロ印刷に適している。第2のレベルのラッパー309A~309Dは、複数のCBATラッパー309Dを含む場合がある。やはり、各CBATラッパーは、例えば、タグロケータ321D及びCBATタイプ337D、及び/又はプロパティを通じて、関連したレシピ303により識別される。各CBATラッパー309Dは、第2のレベルのタグ333Dを含み、対応するCBATパケット311Dを包み込むことができる。プリミティブ・データは、複数のデルタスカラー・ラッパー309Dと関連付けられた複数のCBATパケット311Dを含む。各CBATパケット311Dの内容は、関連したレシピ303によりCBATパケット311DにリンクされたDCTパケット311Aを読み出す/復号する/構文解析する/分解するために、プリンタ・コントローラにより復号されるように構成され得る。
【0042】
メモリ構造301に格納されるようなパケット311A~311Dは、プリンタ・コントローラによるカラーマップの復元のために、プリンタ・コントローラにより場所を見つけられ、復号され且つ組み合わされることになる。レシピ303により定義されたフェッチされたパケット311A~311Dを用いて、カラーマップをプリンタ・コントローラに構築させる命令は、構築命令と呼ばれ得る。一例において、構築命令は、プリンタ側に格納される。同じ構築命令は、複数の異なるレシピ303に対応する場合があり、又は異なる構築命令は、異なるカラーマップを復元するためにプリンタ・コントローラにより格納されて使用され得る。一例において、レシピ303は、レシピ303及びレシピ303により識別されるパケット311A~311Dに対応する構築命令を意味する構築演算子326含み、構築命令は接続可能なホストプリンタのメモリに格納され、構築演算子326は、プリンタ・コントローラにより読み出される際に、プリンタ・コントローラが、そのプリンタのファームウェアにおいてレシピ303に対応する構築命令の場所を見つけることを容易にする。構築演算子326は、レシピ303において、場所を見つけられたパケット311A~311Dと関連付けられる。
【0043】
また、図3に示された更なる例において、同じパケットタイプ337Cに関連した異なる第2のレベルのラッパーは、グループ化され、各グループは、グループ・ヘッダにより識別される。例えば、圧縮解除された際、ラッパー構造は、DCTラッパー309Aのストリング、残余ラッパーのストリング、及びデルタスカラーのストリングを含むことができ、各ストリングは、単一のタイプに関連する第2のレベルのラッパーの別個のグループを形成する。各グループは、各グループ309A、309B、309C又は309Dの第2のレベルのラッパーによりラップされたような、単一のタイプのパケット311A、311B、311C又は311Dを含む。ブラック印刷材料カートリッジのような、モノクロ印刷用のカートリッジのメモリは、CBATラッパーのストリング及び第2のレベルのラッパーの別個のグループを形成するパケットを更に含むことができる。各ストリングは、途切れない連続データを含むことができる。ストリング又はグループは、圧縮解除後のグループとして構成される。各グループは、複数のカラーマップにまたがることができ、カラーマップは、異なるグループ(即ち、パケットタイプ)のパケットからなることができる。圧縮解除状態において、各グループは、単一のグループ・ヘッダによりヘッダを取り付けられることができ、又は第2のレベルのラッパー309A~309D及びパケット311A~311Dが関係するパケットタイプを示すラベルを含むことができる。パケットタイプの例は、DCT、残余、デルタスカラー及び/又はCBATである。一例において、レシピ303のパケットタイプ337A~337Dは、プリンタ・コントローラがグループにより第2のレベルのラッパー309A~309Dの場所を見つけることを容易にし、その理由は、グループがパケットタイプ又は当該パケットタイプにより、ラベル付けされ得るからである。幾つかの例において、グループ(単数)は、1つのデルタスカラー・ラッパーのみ、及び/又は1つのCBATラッパーのみを含む。
【0044】
明確化だけのために、図4は、プリンタ側のインターフェース、及び本開示のラッパー及びパケット構造と相互作用するためのロジックを示す。プリンタ451は、プリンタ・コントローラ453及びファームウェア構築命令455及びメモリ457を含む場合がある。プリンタのインターフェース・コンタクト459は、交換可能なコンポーネントの集積回路と接続/接続して機能するために設けられ得る。メモリ457は、パケットを復号するためのCBAT409、及び最終のカラーテーブルを復元するために差分テーブルに追加されるべき基準テーブル461を含むことができる。差分テーブルは、前述したDCTパケット、残余パケット及びデルタスカラー・パケットを用いて構築される。CBATは、交換可能なコンポーネントの集積回路のメモリに格納されることができ、そのメモリに最初に格納されたCBATはカラーテーブルを復元するために使用され得る。更に、プリンタコントローラ453用の辞書465が、ラッパー及びパケットの圧縮データ・コンテナを圧縮解除するために、プリンタに格納され得る。
【0045】
カラーマップを復元するための構築命令455は、(i)選択された/所望のカラーマップ用のカラーマップ・ラッパーの場所を見つけるための命令、(ii)ラッパーに基づいてパケットの場所を見つけるための命令、(iii)場所を見つけられたパケットを、例えばCBATを用いて復号するための命令、及び(iv)復号されたパケットを用いて、デルタスカラー及び基準テーブルを用いてカラーマップを復元するための命令の少なくとも1つを含むことができる。
【0046】
図5は、本開示の特定の例による、更新された色変換を用いる印刷の方法を示す。ブロック500において、交換可能なコンポーネントが装着される。交換可能なコンポーネントには、本開示の例のうちの1つの集積回路および/またはメモリ構造が設けられ得る。ブロック510において、圧縮メタデータ(ラッパー)及びプリミティブ・データが、例えばプリンタ・コントローラによる読み出し要求に基づいて、I2Cプロトコルに従って、メモリからプリンタへ伝達される。データセットは、プリンタの内部メモリ(例えば、プリンタ・コントローラにより容易にアクセス可能なフラッシュメモリ)に格納され得る。
【0047】
完全なカラーマップのデータセットは、圧縮された複数のラッパー及びパケットを含むことができ、単一の辞書を用いてプリンタ・コントローラにより圧縮解除され得る(ブロック515)。ラッパー及びパケットは、圧縮解除された書式でプリンタのメモリに格納され得る。
【0048】
ブロック520において、プリンタ(例えば、事前選択、自動選択、又はデフォルトモードに基づいた)及び/又はユーザ(例えば、手動で選択される場合)は、印刷モード(例えば、グレースケール対カラー、下書き対最高モードなど)、色空間(単数または複数)、印刷媒体、テーマ、軸、テーブルタイプなどのような、印刷色特性を識別することができる。これら特性は、どのカラーマップを選択するかを決定することができる。当該特性は、どのカラーマップが選択されて分解され得るかに基づいて、ラッパーの特定のタグ又はプロパティに対応することができる。従って、ブロック530において、プリンタ・コントローラは、第1及び第2のレベルのラッパー及びレシピを用いて、データセット全部を閲覧する必要なしに、当該特性に対応するパケットの場所を見つけることができる。ブロック540において、場所を見つけられたパケットは、対応するCBAT及びデルタスカラー乗数を用いて復号され得る。カラーマップの復元プロセスが開始され得る。ブロック550において、残余ノードが、復号されたCBATマップの選択的ノードに追加されて、差分テーブルが作成されることができ、当該差分テーブルがプリンタ側のメモリの基準テーブルに追加されて、構築(復元)されたカラーマップが得られることができる。ブロック560において、プリンタ・コントローラは、当該構築されたカラーマップに基づいて、原始デジタル・イメージデータを物理イメージ・カラーデータに変換し、当該物理イメージ・カラーデータに基づいて、媒体上へイメージを印刷するようにイメージ転写コンポーネント(トナー転写コンポーネント、プリントヘッドなど)に命令することができる。
【0049】
本開示のプリミティブ・データは、異なる媒体タイプ、次元性などに対応するように、複数のカラーマップ(例えば、10個より多い又は20個より多いカラーマップ)を構築するための複数のパケットを含むことができる。パケットはそれぞれ、異なるカラーマップの別個の復元のために別個に符合化されるが、ラッパー及びプリミティブ・データは、単一の圧縮コンテナとして圧縮され得る。例えば、本開示の特定の例を用いて、異なるパッケージ(DCT、残余、デルタスカラー)が単一のカラーマップとして一緒に圧縮されるために使用された場合、及びこれら複数の個別に圧縮されたカラーマップがメモリに格納された場合、複数のカラーマップ・パケットは、一緒に圧縮されることができ、それにより圧縮解除された書式において、パケットは、異なるカラーマップにわたるタイプにより、グループ化される。
【0050】
本開示の幾つかの例において、プリミティブ・データを含むパケット及びメタデータを含むラッパーの全データセットが圧縮される。従って、圧縮されたセットは、プリンタ・コントローラ(ファームウェア)が個々のコンポーネントを復号することができる前に、圧縮解除される必要がある。一例において、zlibが、単一のエンティティとしてデータセットを圧縮するために使用され得る。zlibライブラリは、当該圧縮を改善するために、プリンタに格納され且つプリンタにより使用され得る。本開示の観点から、復号は、コンバージョン、デシリアライゼーション(オブジェクトが一連のバイトから作成される場合)、解凍(圧縮の形態、例えば、2つの4ビット値が単一のバイトで格納される場合)、又は変換(一連のバイトが、DCTを用いてのような、アルゴリズム又は公式を通じて、別の一連のバイトにコンバートされる場合)を含む、多数の動作を意味する。また、復号は、構文解釈および/または分解の動作も含む場合がある。圧縮解除は、復号の一部である必要がなく、即ち、ラッパー又はパケットのあらゆるコンポーネントは、全データセットが既に圧縮されているので、圧縮される必要はないが、或る種の復号は、カラーマップを構築することができるために含意される。カラーマップ・データの圧縮および符合化は、最初のOEM(相手先商標製品製造)カラーマップ生成段階で生じている場合がある。そこから、生成され、符合化され且つ圧縮されたカラーマップ・データは、様々なメモリにコピーされ得る。理解されるように、同じOEMにより又はサード・パーティによりコピーされた、前記生成され、符合化され且つ圧縮されたカラーマップ・データのコピーも、たとえそのデータの生成が、既に生成され、符合化され且つ圧縮されたカラーマップ・データ又はその一部をコピーするという動作のみを含む場合であっても、生成され、圧縮され且つ符合化されたカラーマップ・データであるとみなされる。同じことは、コピーのコピーなどに適用される。
【0051】
また、留意すべきは、新規のテーブル・タイプ及び次元性は、新たなラッパー及びDCTパケット構造によりサポートされる、例えば、RGB->RGB(3D->3Dカラーマップ)、CMYK->CMYK(4D->4Dカラーマップ)、及びCMYK->C又はM又はY又はK(4D->1Dチャネル・マップ)である。
【0052】
本開示の幾つかの例示的なラッパー-及び-パケット構造は、比較的より小さいデータ空間に格納される、より大きい数のカスタマイズされたカラーマップという結果になることができる。ラッパー-及び-パケット構造は、以前に使用されていない次元性および機能性を追加することができ、その結果、色変換およびカラー印刷は、これらの新たな入力出力色空間に関して改善され得る。最終的に、圧縮された例示的なラッパー-及び-パケット構造は、印刷材料または印刷技術に特有な継続的に更新可能なカラーマップを通じて、広範囲の印刷材料および印刷技術(例えば、インクジェット対レーザ・トナー)に関して、媒体上に物理的に印刷される色に影響を与える又は当該色を改善することができる。
【0053】
また、留意すべきは、格納されたパケットのカラーチャネルは、必ずしもカートリッジに収容される印刷材料に関連する必要はない。例えば、異なるカラーチャネル・パケットは、印刷材料を収容していない(例えば、定着成分)印刷コンポーネント、カラーチャネルとは異なる印刷材料(例えば、シアンのカラーチャネル・パケットと関連付けられたブラック印刷材料)を収容する印刷コンポーネントに格納される場合があり、或いはカラーマップ又はパケットは、印刷材料がサードパーティ製(例えば、詰め替えられた)であるという理由で、特定の印刷材料のためにカスタマイズされていない。理解されるように、本開示のラッパー-及び-パケット構造のカスタマイズされたカラーマップ・データは、一度だけ作成される必要があり、カラーマップ・データが開発された又はカラーマップ・データが特に開発されていない印刷コンポーネントに対して、その後に繰り返してコピーされる。当初に生成された(例えば、圧縮された)カラーマップ・データ及びコピーされたカラーマップ・データの双方は、本開示の範囲内に含まれる。
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