(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】プリンタ、プログラム、および、情報処理システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/32 20060101AFI20240522BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20240522BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240522BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B41J2/32 Z
B41J3/36
B41J29/38 801
G06F3/12 303
G06F3/12 329
(21)【出願番号】P 2018244793
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-07-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 和幸
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】殿川 雅也
【審判官】門 良成
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-203012(JP,A)
【文献】特開2016-147710(JP,A)
【文献】特開2014-73884(JP,A)
【文献】特開2014-168939(JP,A)
【文献】特開平10-207585(JP,A)
【文献】特開平11-339771(JP,A)
【文献】特開2004-195806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/315 - 2/38
B41J 2/42 - 2/425
B41J 2/475 - 2/48
B41J 29/00 - 29/70
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印字媒体
が連続的に設けられた連続紙を収容し、各印字媒体を発行するプリンタであって、
前記プリンタに内蔵され、前記プリンタに電源を供給する充放電可能なバッテリと、
前記
連続紙を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラを駆動するモータと、
各印字媒体に所定の情報を印字する印字部と、
現在の前記バッテリの充電残量によって前記印字部が印字可能な印字媒体の発行可能枚数を特定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、稼動期間内において前記発行可能枚数を特定する前に得られる第1期間内の前記印字媒体の発行枚数を
、前記第1期間内の前記モータの回転数
と、前記連続紙において隣接する印字媒体ごとの基準位置の間における前記モータの回転数と、に基づいて算出し、前記第1期間内の前記印字媒体の発行枚数及び前記第1期間内の前記バッテリの充電残量の変動量に応じて、前記稼動期間内における前記バッテリの充電残量の低下率を算出し、当該低下率に基づいて前記発行可能枚数を特定し、
前記稼動期間は、前記バッテリが充電器に接続されていない期間、又は前記バッテリが充電器から取り外され、所定の操作入力が行われた期間を含む、プリンタ。
【請求項2】
前記印字部は、前記制御部によって特定された前記発行可能枚数に関する情報を前記印字媒体に印字する、
請求項
1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記制御部によって特定された前記発行可能枚数に関する情報を表示する表示部をさらに備えた、
請求項1
又は2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記制御部によって特定された前記発行可能枚数に関する情報を外部装置に送信する通信部をさらに備えた、
請求項1から
3のいずれか1項に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記バッテリを管理するバッテリ管理部を備え、
前記制御部は、前記バッテリの充電回数に関する情報、前記バッテリの容量回復率に関する情報、及び、現在までの前記バッテリの最高温度に関する情報のうち少なくともいずれか1つの情報を前記バッテリ管理部から取得し、
前記印字部は、前記制御部が取得した前記少なくともいずれか1つの情報と、前記制御部が特定した前記発行可能枚数に関する情報と、を前記印字媒体に印字する、
請求項1から
4のいずれか1項に記載されたプリンタ。
【請求項6】
複数の印字媒体
が連続的に設けられた連続紙を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを駆動するモータと、
前記プリンタに内蔵されて前記プリンタに電源を供給する充放電可能なバッテリ
と、を備えたプリンタ、において実行されるプログラムであって、
コンピュータを、
前記印字媒体への所定の情報の印字を指示する印字指示手段と、
現在の前記バッテリの充電残量によって前記プリンタが印字可能な印字媒体の発行可能枚数を特定する特定手段、
として機能させるためのプログラムであって、
前記特定手段は、稼動期間内において前記発行可能枚数を特定する前に得られる第1期間内の前記印字媒体の発行枚数を
、前記第1期間内の前記モータの回転数
と、前記連続紙において隣接する印字媒体ごとの基準位置の間における前記モータの回転数と、に基づいて算出し、前記第1期間内の前記印字媒体の発行枚数及び前記第1期間内の前記バッテリの充電残量の変動量に応じて、前記稼動期間内における前記バッテリの充電残量の低下率を算出し、当該低下率に基づいて前記発行可能枚数を特定し、
前記稼動期間は、前記バッテリが充電器に接続されていない期間、又は前記バッテリが充電器から取り外され、所定の操作入力が行われた期間を含む、プログラム。
【請求項7】
サーバと、前記サーバと通信可能であって
複数の印字媒体
が連続的に設けられた連続紙を収容し、各印字媒体を発行するプリンタと、を含む情報処理システムであって、
前記プリンタは、
前記プリンタに内蔵され、前記プリンタに電源を供給する充放電可能なバッテリと、
前記
連続紙を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラを駆動するモータと、
各印字媒体に所定の情報を印字する印字部と、
現在の前記バッテリの充電残量と、前記プリンタの稼働期間内において現在の前記バッテリの充電残量によって前記印字部が印字可能な印字媒体の発行可能枚数が特定される前に得られる第1期間内の前記印字媒体の発行枚数を
、前記第1期間内の前記モータの回転数
と、前記連続紙において隣接する印字媒体ごとの基準位置の間における前記モータの回転数と、に基づいて算出し、前記第1期間内の前記印字媒体の発行枚数、及び前記第1期間内の前記バッテリの充電残量の変動量に関する情報を、前記サーバに送信する第1通信部と、を備え、
前記サーバは、
前記情報に基づいて、前記稼動期間内における前記バッテリの充電残量の低下率を算出し、当該低下率に基づいて前記発行可能枚数を特定する制御部と、
前記特定された発行可能枚数に関する情報を前記プリンタに送信する第2通信部と、を備え、
前記稼動期間は、前記バッテリが充電器に接続されていない期間、又は前記バッテリが充電器から取り外され、所定の操作入力が行われた期間を含む、情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プログラム、および、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池等の充放電可能なバッテリ(二次電池ともいう。)が比較的小型のプリンタに使用されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充放電可能なバッテリを備えたプリンタをユーザが携帯して外出先で使用する場合、プリンタによりラベル等の印字媒体を発行すればするほどバッテリの電力を消費する。そのため、ユーザは、バッテリの充電残量が低くなり過ぎて、印字媒体の印字品質に支障を来たす、あるいは印字媒体を発行できない等の不具合が生ずることを外出先で心配する場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、充放電可能なバッテリを備えたプリンタにおいて、発行可能な印字媒体の枚数に関する情報を、事前にユーザに通知可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、複数の印字媒体が連続的に設けられた連続紙を収容し、各印字媒体を発行するプリンタであって、前記プリンタに内蔵され、前記プリンタに電源を供給する充放電可能なバッテリと、前記連続紙を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを駆動するモータと、前記印字媒体に所定の情報を印字する印字部と、現在の前記バッテリの充電残量によって前記印字部が印字可能な印字媒体の発行可能枚数を特定する制御部と、を備えたプリンタである。前記制御部は、稼動期間内において前記発行可能枚数を特定する前に得られる第1期間内の前記印字媒体の発行枚数を、前記第1期間内の前記モータの回転数と、前記連続紙において隣接する印字媒体ごとの基準位置の間における前記モータの回転数と、に基づいて算出し、前記第1期間内の前記印字媒体の発行枚数及び前記第1期間内の前記バッテリの充電残量の変動量に応じて、前記稼動期間内における前記バッテリの充電残量の低下率を算出し、当該低下率に基づいて前記発行可能枚数を特定する。前記稼動期間は、前記バッテリが充電器に接続されていない期間、又は前記バッテリが充電器から取り外され、所定の操作入力が行われた期間を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、充放電可能なバッテリを備えたプリンタにおいて、印字媒体の発行可能な枚数に関する情報をユーザに通知可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態のプリンタにおいてカバーを閉鎖している状態の斜視図である。
【
図2】第1の実施形態のプリンタにおいてカバーを開放している状態の斜視図である。
【
図3】第1の実施形態のプリンタの通紙ルートを説明するための部分断面図である。
【
図4】第1の実施形態のプリンタの内部構成を示すブロック図である。
【
図5】発行可能枚数の算出方法を説明する図である。
【
図6】第1の実施形態のプリンタによる処理を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態のプリンタによる印字例を示す図である。
【
図8】第2の実施形態の情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図9】第2の実施形態の情報処理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図10】第2の実施形態の情報処理システムにおいてプリンタデータベースのデータ構成例を示す図である。
【
図11】第2の実施形態の情報処理システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、「充電残量」とは、例えば、充電率、又はSOC(State Of Charge)と実質的に同じ意味であり、満充電時を100%、完全放電時を0%とする値である。
「印字媒体の発行枚数に対するバッテリの充電残量の変動に関する情報」とは、例えば、所定枚数(例えば、1枚又は10枚)の印字媒体を発行することによって変動又は低下するバッテリの充電残量の変動量の情報であってもよいし、印字媒体の発行枚数に対するバッテリの充電残量の低下率の情報であってもよい。
【0010】
(1)第1の実施形態
(1-1)実施形態のプリンタの概略構成
先ず、本実施形態の例示的なプリンタ2の概略構成について、
図1~
図3を参照して説明する。
図1は、カバーを閉鎖している状態のプリンタ2の斜視図である。
図2は、カバーを開放している状態のプリンタ2の斜視図である。なお、
図2には、プリンタ2に収容されるロール紙Rも例示している。
図3は、プリンタ2の通紙ルートを説明するためのプリンタ2の部分断面図である。
【0011】
プリンタ2は、例えば、携帯可能な小型のプリンタであり、バッテリによる電源によって動作する。バッテリは、例えばリチウムイオン電池等の二次電池である。
プリンタ2は、
図1に示すように、例えば扁平な直方体形状に形成された携帯プリンタである。ユーザはプリンタ2を横置きで使用することもできるし、図示しないベルトフックやショルダーベルトに装着した状態でプリンタ2を使用することもできる。プリンタ2の限定しない用途としては、ユーザである荷物の配達者が荷物の配達先において領収書や不在通知などの帳票をプリンタ2によって印字して発行する場合等が挙げられる。
【0012】
プリンタ2を動作させる期間として、ユーザがプリンタ2を充電器から外して携帯し、断続的に印字媒体としての帳票を発行する稼動期間と、ユーザがプリンタ2を充電器に接続した状態とし、帳票の発行を行わない非稼動期間と、が想定される。例えば、上記用途の例では、ユーザである荷物の配達者が、配送センターに出勤してプリンタ2を充電器から取り外し、プリンタ2を携帯して荷物の配達を開始してから、荷物の配達が完了して配送センターに戻り、プリンタ2を充電器に接続させるまでの期間が「稼動期間」に相当する。プリンタ2が充電器に接続されている期間、すなわち、稼動期間以外の期間が「非稼動期間」に相当する。この場合、非稼動期間においてプリンタ2のバッテリに対する充電が行われる。
【0013】
図1および
図2に示す例示的なプリンタ2は、本体ケース201とカバー202とを備える。
図2に示すように、カバー202の一端は本体ケース201にヒンジにより軸支されており、カバー202の当該一端は、カバー202が本体ケース201に対して離間および接近する方向に揺動可能なように構成されている。ボタン204を押下することによりカバー202が開放し、収容室SPが開放状態となる。収容室SPは、例えば、
図2に示すロール紙Rを収容する空間である。
【0014】
ロール紙Rは、帯状の連続紙CPがロール状に巻かれたものであり、プリンタ2のカバー202が開放状態のときに収容室SPにドロップイン方式で収容(装填)される。本実施形態の例では、ロール紙Rに芯材がなく、帯状の連続紙CPが所定の径の円筒状の中空部を有するように巻かれることでロール紙Rが形成されている。
連続紙CPには、その長手方向に沿って予め決められた間隔毎に帳票が設けられている。連続紙CPにおいて隣接する帳票同士は、ミシン目で区切られている。
連続紙CPの印字面には、予め決められた温度領域に達すると特定の色に発色する感熱発色層が形成されている。
連続紙CPの印字面の裏面には、長手方向に沿って、各帳票の印字基準位置を示す位置検出マークMが形成されている。位置検出マークMは、連続紙CPの印字面の裏面に黒色で印刷された矩形状のマークであり、等間隔で配置されている。
【0015】
本体ケース201の一方の側面には、バッテリカバー203が開閉可能な状態で取り付けられている。このバッテリカバー203は、バッテリB(
図4に図示)が収容されるバッテリハウジングを開放または閉鎖するためのカバーである。
【0016】
カバー202の先端には、プラテンローラ25が順方向または逆方向に回動可能な状態で軸支されている。プラテンローラ25は、ロール紙Rから繰り出される連続紙CPを搬送する搬送ローラであり、連続紙CPの幅方向に沿って延在した状態で形成されている。プラテンローラ25は、ギア等を介してモータ24(
図4に図示)により駆動される。
【0017】
図2に示すように、プラテンローラ25の近傍のカバー202の部分(より具体的には、カバー202が閉鎖状態のときに通紙ルートに対向する面)には、センサ205が設置されている。センサ205は、帳票の基準位置(すなわち、連続紙CPの位置検出マークM)を検出するセンサであり、反射型の光センサにより構成されている。
【0018】
図3では、連続紙CPが反時計回りに巻かれた状態でロール紙Rがプリンタ2の収容室SPに挿入された場合の通紙ルートを太線で示している。
図3に示すように、カバー202が閉鎖状態であるときには、カバー202の一部と搬送ガイド部207の一部とが僅かな間隙をもって対向配置される。この間隙は、ロール紙Rから繰り出される連続紙CPが収容室SPからプラテンローラ25へ向かう通紙ルートとなっている。なお、通紙ルートに対して、カバー202に設けられたセンサ205が対向配置され、通紙ルートを通過する連続紙CPの位置検出マークMの検出を行う。
プリンタ2は、プラテンローラ25とサーマルヘッド27の間で連続紙CPを挟持しながら各帳票に印字を行う。このとき、各帳票に対する印字は、例えばセンサ205によって検出される位置検出マークMに基づいて印字タイミングを図りながら行われる。
【0019】
(1-2)実施形態のプリンタの内部構成
次に、
図4を参照して、プリンタ2の内部構成について説明する。
図4は、プリンタ2の内部構成を示すブロック図である。
図4に示すように、プリンタ2は、例えば、制御部21、ストレージ22、駆動回路23、プラテンローラ25に機械的に連結されたモータ24、サーマルヘッド27を駆動するヘッドユニット26、バッテリ管理部28、通信インタフェース(I/F)29、センサ205、および、バッテリBを含む。通信インタフェース29(通信部および第1通信部の例)は、外部装置との通信を行うための通信回路を含む。
バッテリ管理部28は、バッテリBと一体構成としてもよい。なお、ヘッドユニット26およびサーマルヘッド27は、印字部を構成する。
【0020】
制御部21は、マイクロコンピュータおよびメモリ(RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory))を含み、プリンタ2の動作を制御する。マイクロコンピュータは、プリンタ2の起動時にROMに記憶されているファームウェアを読み出して実行する。
ファームウェアを実行することによって制御部21は、帳票に所定の情報を印字するように指示する印字指示手段として機能する。
ファームウェアを実行することによって制御部21は、帳票の発行枚数に対するバッテリBの充電残量の変動に関する情報に基づいて、現在のバッテリBの充電残量による帳票の発行可能枚数を特定する特定手段として機能する。
ストレージ22は、例えばSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。ストレージ22には、各帳票に印字すべきデータである印字データのほか、各帳票に情報を印字するときの印字フォーマットの情報を格納してもよい。また、ストレージ22には、プラテンローラ25の回転数(プラテンローラ回転数)の積算値が格納される。プラテンローラ回転数の積算値は、制御部21によって逐次更新される。
【0021】
駆動回路23は、制御部21からの搬送要求に応じて、プラテンローラ25の回転を制御するモータ24を駆動する回路である。モータ24は、例えばステッピングモータである。搬送要求には、例えば、搬送方向(順方向あるいは逆方向)および搬送量(例えばステップ数)の情報が含まれる。
【0022】
ヘッドユニット26は、制御部21から送られる印字データのラインごとのデータであるラインデータに基づいて、サーマルヘッド27に含まれる複数の発熱素子の各々に選択的に電流を流す回路を含む。電流により発熱した発熱素子がプラテンローラ25によって搬送された連続紙CPに押し当てられると、発熱素子に押し当てられた連続紙の部分が発色することで連続紙CPに情報が印字される。
【0023】
バッテリ管理部28は、例えば、電圧センサ、電流センサ、及び、温度センサと、これらのセンサの検出信号を処理してバッテリBの状態情報を算出および記録する制御回路とを含む。電圧センサは、バッテリBの端子間電圧を検出する。温度センサはバッテリBに取り付けられるか、又はバッテリBの近傍に配置され、バッテリBの温度を検出する。電流センサは、バッテリBの一端に接続されたライン上に設けられており、当該ラインを流れる電流(つまり、バッテリBを流れる電流)の量を検出する。
バッテリ管理部28は、制御部21からの指示に応じて、あるいは所定のタイミングで、バッテリBの状態情報を制御部21に送る。
【0024】
バッテリ管理部28によって管理されるバッテリBの状態情報(バッテリ状態情報)は、例えば、以下の情報である。
・バッテリBの充電回数(急速充電回数および低速充電回数)
・バッテリBの温度履歴
・バッテリBのSOC(充電率)、SOP(State Of Power;充放電可能電力)、SOH(State Of Health;健康度;バッテリの劣化状態を示す値)、容量回復率、内部抵抗のいずれかの推定値、又は2以上の推定値の組合せ
【0025】
バッテリBは、ユーザがプリンタ2のバッテリBの両端子を充電器BCに接続させることによって充電可能となる。充電器BCは、例えば商用電源(100Vの交流電源等)に接続され、当該商用電源によってバッテリBを充電する。
【0026】
制御部21においてファームウェアを実行することによって実現される機能は、少なくとも以下の(i)~(iv)の機能を含む。
(i) バッテリBの状態情報を取得すること
(ii) プラテンローラ回転数の積算値を更新すること
(iii) 1帳票当たりのプラテンローラ回転数を特定すること
(iv) バッテリBの充電残量による帳票の発行可能枚数を算出すること
【0027】
(1-3)発行可能枚数の算出原理
次に、
図5を参照して、本実施形態のプリンタ2によって、あるタイミングでの充電残量による帳票の発行可能枚数の算出原理について説明する。
図5は、発行可能枚数の算出方法を説明する図である。
【0028】
図5は、プリンタ2において、プリンタ2による帳票の発行枚数と、バッテリBの充電率(%)(つまり、充電残量)との関係を示している。
図5に示すように、プリンタ2のバッテリBの充電残量はプリンタ2により帳票を発行する度に電力を消費して低下し、各々の時点でのバッテリBの充電残量による帳票の発行可能枚数は時々刻々と変化(低下)する。なお、
図5では、帳票の発行可能枚数とバッテリBの充電率との関係は線形であるとして近似している。
【0029】
例えばプリンタ2が稼動期間中である等、プリンタ2が充電中でない期間(例えば、前述した稼動期間)において、バッテリBのある時刻t1(「測定開始タイミング」という。)から時刻t2(「測定終了タイミング」という。)までの期間が設定される。時刻t2は、帳票の発行可能枚数を算出するタイミングでもある。
プリンタ2の制御部21は、時刻t1から時刻t2までの間のバッテリBの充電残量の低下量と、時刻t1から時刻t2までの間に発行された帳票の枚数とに基づいて、帳票の発行枚数に対するバッテリBの充電残量の低下率を算出する。すなわち、制御部21は、帳票を1枚発行するときのバッテリBの充電残量の低下量を算出する。
【0030】
図5において、時刻t1における充電率もしくは充電量をCR1とし、時刻t2における充電率もしくは充電量をCR2とする。そして、バッテリBの充電率の下限の閾値をTH1とする。バッテリBの充電率が閾値TH1まで低下した場合には、バッテリBを充電器BCにより充電する必要がある。閾値TH1は、ユーザが任意に設定してよく、例えばバッテリBの長寿命化の観点から40~50%程度に設定してもよい。
【0031】
時刻t1から時刻t2までの間に発行された帳票の枚数を算出する方法として、例えばプリンタ2に使われているモータがステッピングモータである場合、以下の方法が考えられる。
先ず、プラテンローラ25の直径Dは既知である。また、プラテンローラ25の一回転当たりのステッピングモータのパルス数n1により、実際に印字に使われたパルス数n2を除算することで、帳票を搬送したときのステッピングモータの回転数(n2/n1)がわかる。つまり、印字による帳票の搬送量は、πD×(n2/n1)として求められる。
しかしながら、印字による帳票の搬送量は算出できるが、連続発行の場合には、発行された帳票の枚数のカウントできない。
そこで、連続紙CPの裏面には、予め決められた間隔毎に帳票の位置を示す位置検出マークMが形成されており(
図2参照)、センサ205は、この位置検出マークMを検出したことを示す検出信号を制御部21に送信する。他方、隣接する位置検出マークMの間のステッピングモータのパルス数n3が検出できることから、実際に印字に使われたパルス数n2をn3で除算することにより、帳票の発行枚数(n2/n3)をカウントすることが可能となる。
時刻t1から時刻t2までの間による帳票の発行枚数とバッテリの充電率もしくは充電量から、バッテリの低下率(量)(帳票を1枚発行するときのバッテリBの充電残量の低下量)がわかる。
なお、プラテンローラは、使用により摩耗して直径が低下するため、ステッピングモータの1パルスで、連続紙CPが搬送される量が減少する。そのため、プラテンローラの使用直後と使用後期とで、算出される帳票の発行枚数に僅かな変動が生ずるが、切捨て等の端数処理等によって当該変動を抑制することが可能である。
【0032】
図5の場合では、帳票の発行枚数に対するバッテリBの充電残量の低下率Rbは、例えば、以下の式(1)で求められる。式(1)において(CR1-CR2)の値は、充電残量の変動量である。
【数1】
【0033】
さらに、充電率が時刻t2における値であるCR2から閾値TH1に達するまでの間の発行可能枚数PLnは、例えば、以下の式(2)で求められる。
【数2】
【0034】
以上のようにして帳票の発行可能枚数を算出することができる。
なお、本実施形態において、測定終了タイミングt2、すなわち、帳票の発行可能枚数を算出するタイミングは限定しない。例えば、帳票の発行可能枚数を算出するタイミングは、プリンタ2の稼動期間中にユーザがプリンタ2に対して所定の操作入力を行ったタイミングでもよい。
また、本実施形態において測定開始タイミングt1についても限定しない。例えば、測定開始タイミングt1は、プリンタ2の稼動期間を開始するためにプリンタ2が充電器BCから外されたタイミングでもよいし、プリンタ2の稼動期間中にユーザがプリンタ2に対して所定の操作入力を行ったタイミングでもよい。
【0035】
上述したように、制御部21は、プリンタ2が充電器BCに接続されていない期間(稼動期間)のうち所定の測定開始タイミングから測定終了タイミングまでの期間の充電率の変動を基に当該期間の充電率の低下率を算出する。次いで制御部21は、当該低下率に基づいて現在時刻のバッテリBの充電残量による帳票の発行可能枚数を算出する。
なお、測定終了タイミングと現在時刻(すなわち、発行可能枚数を算出するタイミング)とは必ずしも一致していなくてもよい。稼動期間内の測定終了タイミングが経過して充電率の低下率が算出されれば、測定終了タイミングの後の任意のタイミングで発行可能枚数を算出することができる。
【0036】
(1-4)実施形態のプリンタの動作例
次に、
図6および
図7を参照して、本実施形態のプリンタ2の動作例について説明する。
図6は、プリンタ2による処理を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、主としてプリンタ2の制御部21によって実行される。
図7は、プリンタ2による印字例を示す図である。
【0037】
図6のフローチャートにおいて、制御部21は、測定開始タイミングになると(ステップS10:YES)、バッテリ管理部28からバッテリBの状態情報を取得し(ステップS12)、取得したバッテリBの状態情報と、プラテンローラ回転数の積算値とを、例えばRAMに記録する(ステップS14)。バッテリBの状態情報には、少なくともバッテリBの充電率の情報が含まれる。
次いで制御部21は、センサ205の検出結果に基づいて、帳票を1枚発行するときのプラテンローラ25の回転数を特定する(ステップS16)。
【0038】
制御部21は、測定終了タイミングになると(ステップS18:YES)、バッテリ管理部28からバッテリBの状態情報を取得する(ステップS20)。バッテリBの状態情報には、少なくともバッテリBの充電率の情報が含まれる。
次いで制御部21は、上記式(2)にしたがって帳票の発行可能枚数を算出する(ステップS22)。すなわち、制御部21は、ステップS14で記録されたバッテリBの充電率(
図5のCR1に相当)とプラテンローラ回転数の積算値を読み出す。制御部21は、この読み出されたデータと、ステップS20で取得したバッテリBの充電率(
図5のCR2に相当)と現時点のプラテンローラ回転数の積算値のデータと、固定のパラメータ値である閾値(
図5のTH1に相当)とに基づいて、上記式(2)にしたがって発行可能枚数を算出する。
【0039】
本実施形態の一例では、制御部21は、帳票の発行可能枚数の情報を印字する(ステップS24)。その印字例が
図7に示される。
図7では、好ましい例として、印字領域A2に発行可能枚数の情報が印字されることに加え、印字領域A1において、バッテリBの情報が印字される例が示される。
図7の例において、印字領域A2に印字される「85」は、ステップS22で算出された発行可能枚数の値である。
【0040】
図7の例において、印字領域A1では、バッテリ充電回数、バッテリ健康度、バッテリ最高温度履歴、ログ係数、バッテリ総合安心度、および、バッテリBの現在のコメントの各項目の情報が含まれる。なお、印字領域A1には、上記すべての項目の情報が含まれる必要はなく、この中の少なくともいずれかの項目の情報が含まれていてもよい。
各項目は以下の情報である。
【0041】
・バッテリ充電回数…バッテリの通算の充電回数を示す情報であり、急速充電と低速(ゆっくり)充電の回数もカウントしている場合には、それぞれの充電回数を示す。この場合、バッテリの充電回数は、バッテリ管理部28によって充電が行われる度にカウントが行われる。充電回数が多いほどバッテリの劣化が進むため、充電回数はバッテリの劣化度合の目安となる。
・バッテリ健康度…バッテリのSOHであり、バッテリの健康状態(あるいは健全性)を示すファクタである。SOHは、例えば、現時点のバッテリの容量の初期容量に対する比率、あるいは現時点のバッテリの内部抵抗値の初期内部抵抗値に対する比率で表される。
図7では、SOHの値に応じて3つのレベル(「good」(良好)、「caution」(注意)、「swap」(要交換))のいずれに該当するかを矢印で示している。
・バッテリ最高温度履歴…バッテリの現在までの最高温度を矢印で示す。バッテリ管理部28では、バッテリの温度履歴を記録しており、この温度履歴のデータから最高温度のデータが制御部21に送られる。
・ログ係数…バッテリの容量回復率の逆数である。ログ係数が大きいほどバッテリの劣化が進んでいることを示している。
・バッテリ総合安心度…バッテリの充電回数を横軸にして健康度(SOH)を縦軸にしたグラフ上にバッテリの状態を示す情報である。
・バッテリの現在のコメント…上記の各項目の情報に基づき一定の基準にしたがって決定された、バッテリの状態に関するテキストの情報である。
【0042】
ステップS24において、
図7の印字領域A1に含まれる情報を印字するためには、制御部21は、ステップS20において、バッテリのSOC(充電率)だけでなく、バッテリの充電回数、バッテリBの温度履歴、SOH、容量回復率、抵抗値の情報をバッテリ管理部28から取得する。
図7の印字領域A1に例示したようにバッテリの情報を印字することで、ユーザは現在のバッテリBの状態を把握することができる。
【0043】
図6および
図7に示す例では、帳票の発行可能枚数の情報を印字する場合について説明したが、その限りではない。プリンタ2が表示部を備えている場合には、制御部21は、表示部に発行可能枚数の情報を表示することによってユーザに通知してもよい。
また、プリンタ2が、例えばハンディターミナル等の表示部を備えた他の情報端末(外部装置の例)と通信可能である場合には、制御部21は、通信インタフェース29を介して、算出した発行可能枚数の情報を当該情報端末に送信し、当該情報端末が発行可能枚数の情報を表示するように構成してもよい。
【0044】
前述したように、測定開始タイミングと測定終了タイミングは限定するものではないが、一例として、
図6に示すように、測定開始タイミングと測定終了タイミングをそれぞれ、プリンタ2の稼動期間の始期と終期に設定してもよい。
例えば、ユーザが配送センターに出勤してプリンタ2を充電器BCから取り外し、プリンタ2を所持して外出する場合が測定開始タイミングに相当する。この場合、プリンタ2の制御部21は、測定開始タイミングを、バッテリBと充電器BCとの接続が解除されたことを検出することで認識する。また、ユーザが配送センターに戻り、プリンタ2を充電器BCに接続させて退勤する場合が測定終了タイミングに相当する。この場合、プリンタ2の制御部21は、測定終了タイミングを、バッテリBと充電器BCとの接続が行われたことを検出することで認識する。
この例では、ユーザが配送センターに戻り、プリンタ2を充電器BCに接続させた時点で、プリンタ2による帳票の発行可能枚数をユーザが把握することができるため、発行可能枚数によっては無駄な充電を行わないようにすることができる。
【0045】
別の例では、測定開始タイミングと測定終了タイミングをそれぞれ、稼動期間の始期と、ユーザが所定の操作入力を行ったタイミングとに設定してもよい。
例えば、ユーザが外出してプリンタ2を使用中に任意のタイミングでプリンタ2に所定の操作を行うことで、プリンタ2の制御部21が測定終了タイミングを認識し、帳票の発行可能枚数を印字、又は表示する。この例では、ユーザはプリンタ2を使用中の(つまり、稼動期間中の)所望のタイミングで帳票の発行可能枚数を認識することができるため、必要な処置(例えば、発行可能枚数が少ない場合に配送センターに戻ってプリンタ2あるいはバッテリを取り替える等)を講ずることができる。
【0046】
(2)第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態に係る情報処理システムについて、
図8~
図11を参照して説明する。
【0047】
第2の実施形態の情報処理システムでは、複数のプリンタがネットワークを介してサーバに接続されており、プリンタの情報がサーバにおいて一元的に管理される。第1の実施形態では、発行可能枚数の算出をプリンタ2自身が行う場合について説明したが、第2の実施形態では、サーバが各プリンタの発行可能枚数を算出して各プリンタに通知する。
【0048】
(2-1)情報処理システムの構成
図8は、本実施形態の情報処理システム1の概略構成を示す図である。
図9は、本実施形態の情報処理システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。
図10は、本実施形態の情報処理システム1においてプリンタデータベースのデータ構成例を示す図である。
図8に示すように、本実施形態の情報処理システム1は、複数のプリンタ2A,2B,2Cと、サーバ5と、を含み、各プリンタは、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワークNWを介してサーバ5と通信可能に構成されている。複数のプリンタ2A,2B,2Cは、それぞれ第1の実施形態のプリンタ2と同一の構成を備えたプリンタであり、以下の説明において共通の事項に言及するときには「プリンタ2」と総称する。なお、
図8に示す例示的な構成は、サーバ5において一元的に管理されるプリンタを同一の構成のプリンタのみに限定することを意図していない。
【0049】
図9において、プリンタ2の構成は、
図4に示したものと同じであるため重複説明は省略する。
図9に示すように、サーバ5は、制御部51、ストレージ52、および、通信インタフェース53を備える。通信インタフェース(通信I/F)53(第2通信部の例)は、プリンタ2との通信を行うための通信回路を含む。
【0050】
制御部51は、マイクロコンピュータおよびメモリ(RAM,ROM)を含み、サーバ5の動作を制御する。マイクロコンピュータは、サーバ5の起動時にROMに記憶されているプログラムを読み出して実行する。
ストレージ52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置である。ストレージ52は、サーバ5に接続される複数のプリンタ2を一元的に管理するために、
図10に例示するプリンタデータベースを記憶する。
【0051】
図10に示すように、プリンタデータベースは、プリンタ2を特定するプリンタIDごとに、プラテンローラ回転数の積算値の情報およびバッテリ状態情報を含む。
プリンタIDは、プリンタ2を識別するための情報であり、例えばシリアル番号、製造番号等である。本実施形態の例では、プリンタID:A001,B002,C003のプリンタがそれぞれ、プリンタ2A,2B,2Cに対応する。
プラテンローラ回転数の情報およびバッテリ状態情報は、それぞれ最新値と前回値を有する。制御部51は、プラテンローラ回転数の情報およびバッテリ状態情報を各プリンタ2から受信すると、プリンタデータベースの最新値のレコードを前回値のレコードとして書き込み、受信したデータを新たに最新値のレコードとして書き込む。
【0052】
制御部51においてプログラムを実行することによって実現される機能は、少なくとも以下の(i)~(iii)の機能を含む。
(i) 各プリンタ2から、バッテリBの状態情報、プラテンローラ回転数の積算値の情報、および、1帳票当たりのプラテンローラ回転数の情報(総称して「プリンタ情報」という。)を取得すること
(ii) プリンタデータベースを更新すること
(iii) 各プリンタ2のバッテリBの充電残量による帳票の発行可能枚数を算出して、各プリンタ2に通知すること
【0053】
(2-2)情報処理システムの動作
次に、
図11を参照して、本実施形態の情報処理システム1の動作例について説明する。
図11は、本実施形態の情報処理システム1の動作例を示すシーケンスチャートである。
図11において、プリンタ2による処理は制御部21を主体として実行され、サーバ5による処理は制御部51を主体として実行される。
図11に示す例では、プリンタ2は、充電器BCに接続されていない稼動期間の所定のタイミング、若しくは任意のタイミングで、プリンタ2自身の情報をサーバ5に通知する。サーバ5は、通知された情報を基にプリンタデータベースを更新するとともに、プリンタ2による発行可能枚数の情報をプリンタ2に返す。
【0054】
図11において、プリンタ2は常に、1帳票当たりのプラテンローラ回転数を特定している(ステップS30)。1帳票当たりのプラテンローラ回転数は、ロール紙Rの種別を変更しない限り一定であるため、稼動期間中に少なくとも1回特定すればよい。
サーバ5にプリンタ情報を通知するタイミングになると(ステップS32:YES)、プリンタ2は、バッテリ管理部28からバッテリBの状態情報を取得し(ステップS34)、プラテンローラ回転数の積算値の情報を取得する(ステップS36)。プラテンローラ回転数の情報は、逐次ストレージ22に記録されており、制御部21がストレージ22からプラテンローラ回転数の情報を取得する。
プリンタ2は、ステップS30~S32で得られたプリンタ情報をサーバ5に送信する(ステップS38)。
【0055】
サーバ5は、ステップS38で受信した情報が最新値となるようにして、対応するプリンタ2のレコードを更新するとともに、それまで最新値であったレコードを前回値のレコードとなるように、プリンタデータベースを更新する(ステップS40)。次いでサーバ5は、プリンタデータベースの最新値と前回値のレコード、および、ステップS38で受信した1帳票当たりのプラテンローラ回転数のデータに基づいて、対応するプリンタ2による発行可能枚数を算出する(ステップS42)。
【0056】
発行可能枚数の算出方法は、第1の実施形態において説明したとおりである。なお、本実施形態では、上記式(2)において、プリンタデータベースにおける前回値の充電率がCR1であり、最新値の充電率がCR2であり、バッテリBの充電率の下限の閾値TH1はサーバ5において既知であるとする。プラテンローラ回転数Nは、プラテンローラ回転数の最新値と前回値の差分である。
【0057】
サーバ5は、ステップS42で算出した発行可能枚数の情報をプリンタ2に送信し(ステップS44)、プリンタ2は、受信した発行可能枚数の情報を印字する(ステップS46)。なお、プリンタ2が表示部を備えている場合には、ステップS44で受信した発行可能枚数の情報を表示部に表示してもよい。
なお、ステップS46では、
図7に示したように、発行可能枚数の情報に加えて、ステップS34で取得したバッテリBの情報状態を印字してもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
例えば、第1の実施形態では、
図5に示したように、発行枚数と充電率の関係が線形の関係にあると仮定して発行可能枚数を算出したが、その限りではない。発行枚数と充電率の関係をより実際の場合に則した非線形の関係として規定し、当該非線形の関係に基づいて発行可能枚数を算出するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、帳票の発行枚数に対するバッテリの充電残量の低下率をその都度算出する場合について説明したが、その限りではない。より簡易的に、当該低下率を予め測定しておき、測定によって得られた値を固定値として発行可能枚数を算出してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…情報処理システム
2…プリンタ
21…制御部
22…ストレージ
23…駆動回路
24…モータ
25…プラテンローラ
26…ヘッドユニット
27…サーマルヘッド
28…バッテリ管理部
29…通信インタフェース
201…本体ケース
202…カバー
203…バッテリカバー
204…ボタン
205…センサ
207…搬送ガイド部
5…サーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信インタフェース
B…バッテリ
BC…充電器
M…位置検出マーク
CP…連続紙
R…ロール紙
SP…収容室
NW…ネットワーク