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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240522BHJP
   A47L 9/20 20060101ALI20240522BHJP
   A47L 9/16 20060101ALI20240522BHJP
   A47L 9/10 20060101ALI20240522BHJP
   A47L 9/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
A47L9/28 A
A47L9/20 J
A47L9/28 U
A47L9/16
A47L9/10 D
A47L9/00 101
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019105121
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2020195710
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-02-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】生沼 重徳
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102010017213(DE,A1)
【文献】特開2013-247986(JP,A)
【文献】特開2016-026858(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0031744(US,A1)
【文献】特開平03-140131(JP,A)
【文献】特開2011-062307(JP,A)
【文献】特開2009-201825(JP,A)
【文献】特公昭61-17490(JP,B2)
【文献】特表2018-511387(JP,A)
【文献】特開2016-034484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 9/20
A47L 9/16
A47L 9/10
A47L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気風路を有した本体ケースと、
前記本体ケース内に設けられた電動送風機と、
電気掃除機における風の流れ経路に着脱可能に配置されるとともに、少なくとも一部が水洗い可能な構造体と、
前記風の流れ経路において、前記電気掃除機を用いて掃除が行われる使用状態である第1状態での風の流れ方向で前記構造体よりも下流側に配置された回路基板と、
前記回路基板の少なくとも一部としてまたは前記回路基板とは別に設けられ、乾燥運転を行うための所定条件が満たされた場合に、前記第1状態に対して前記電動送風機を逆回転させることで、少なくとも前記構造体と前記回路基板との間における前記風の流れ方向を前記第1状態から変更し、外部の大気中から空気を導入してその空気を前記構造体を通過させた後に前記回路基板とは異なる方向に向かわせて外部の大気中に排出させる第2状態で前記電動送風機を駆動する前記乾燥運転を行う制御部と、
を備え、
前記第1状態では、前記本体ケースの外部から前記吸気風路を通じて前記構造体に至る風路を、空気が前記構造体に向けて流れ、
前記第2状態では、前記第1状態とは逆向きに前記風路を空気が流れ、
前記風路の開口面積は、前記第1状態と、前記第2状態とで同一である、
電気掃除機。
【請求項2】
前記構造体は、フィルタを含む、
請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記本体ケース内に設けられた二次電池をさらに備え、
前記制御部は、前記所定条件が満たされた場合に、前記二次電池の充電または放電を行いながら前記第1状態に対して前記電動送風機を逆回転させることで、前記二次電池により温められた風を前記構造体に向けて送る、
請求項1または請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
本体ケースと、
前記本体ケース内に設けられた電動送風機と、
電気掃除機における風の流れ経路に着脱可能に配置されるとともに、少なくとも一部が水洗い可能な構造体と、
前記風の流れ経路において、前記電気掃除機を用いて掃除が行われる使用状態である第1状態での風の流れ方向で前記構造体よりも下流側に配置された回路基板と、
前記回路基板の少なくとも一部としてまたは前記回路基板とは別に設けられ、乾燥運転を行うための所定条件が満たされた場合に、前記風の流れ経路で前記構造体と前記回路基板との間に配置された風路変更部材を制御することで、少なくとも前記構造体と前記回路基板との間における前記風の流れ経路を前記第1状態から変更し、外部の大気中から空気を導入してその空気を前記構造体を通過させた後に前記回路基板とは異なる方向に向かわせて外部の大気中に排出させる第2状態で前記電動送風機を駆動する前記乾燥運転を行う制御部と、
を備え、
前記風路変更部材は、前記第1状態では、前記回路基板に向かう風の流れ方向を許容し、前記第2状態では、前記回路基板に向かう風の流れ方向を規制する、
電気掃除機。
【請求項5】
前記構造体または前記構造体に含まれるフィルタが前記風の流れ経路に配置されたことを検出可能な状態検出部をさらに備え、
前記所定条件は、前記風の流れ経路から取り外された前記構造体または前記フィルタが前記風の流れ経路に配置されたことが前記状態検出部により検出されることを含む、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記風の流れ経路を通る空気の湿度を検出する湿度検出部をさらに備え、
前記所定条件は、前記湿度検出部により検出された湿度に関する値が閾値以上であることを含む、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
ユーザの操作を受け付ける操作受付部をさらに備え、
前記所定条件は、特定モードを選択するユーザの操作が前記操作受付部により受け付けられることを含む、
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記本体ケース内に設けられた二次電池をさらに備え、
前記制御部は、前記所定条件が満たされた場合、前記二次電池の充電時に、少なくとも前記構造体と前記回路基板との間における前記風の流れ方向または前記風の流れ経路を前記第1状態から前記第2状態に変更して前記電動送風機を駆動する、
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
細塵捕集用のフィルタなど水洗い可能な構造体を有した電気掃除機が知られている。このような電気掃除機は、水洗いされた構造体が十分に乾燥されないまま運転された場合、不具合が生じる可能性がある。このため、電気掃除機は、信頼性のさらなる向上の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公昭61-17490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の向上を図ることができる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電気掃除機は、本体ケースと、電動送風機と、構造体と、回路基板と、制御部とを持つ。前記本体ケースは、吸気風路を有する。前記電動送風機は、前記本体ケース内に設けられている。前記構造体は、電気掃除機における風の流れ経路に着脱可能に配置されるとともに、少なくとも一部が水洗い可能である。前記回路基板は、前記風の流れ経路において、前記電気掃除機を用いて掃除が行われる使用状態である第1状態での風の流れ方向で前記構造体よりも下流側に配置されている。前記制御部は、前記回路基板の少なくとも一部としてまたは前記回路基板とは別に設けられ、乾燥運転を行うための所定条件が満たされた場合に、前記第1状態に対して前記電動送風機を逆回転させることで、少なくとも前記構造体と前記回路基板との間における前記風の流れ方向を前記第1状態から変更し、外部の大気中から空気を導入してその空気を前記構造体を通過させた後に前記回路基板とは異なる方向に向かわせて外部の大気中に排出させる第2状態で前記電動送風機を駆動する前記乾燥運転を行う。前記第1状態では、前記本体ケースの外部から前記吸気風路を通じて前記構造体に至る風路を、空気が前記構造体に向けて流れる。前記第2状態では、前記第1状態とは逆向きに前記風路を空気が流れる。前記風路の開口面積は、前記第1状態と、前記第2状態とで同一である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の電気掃除機を含む電気掃除装置を示す斜視図。
図2】第1の実施形態の集塵装置を一部分解して示す斜視図。
図3】第1の実施形態のフィルタを示す断面図。
図4】第1の実施形態の回路基板を示す斜視図。
図5】第1の実施形態の掃除機本体を示す断面図。
図6】第1の実施形態の掃除機本体を後方から見た斜視図。
図7】第1の実施形態の電気掃除機の使用時の電気接続関係を示すブロック図。
図8】第1の実施形態の電気掃除機の充電時の電気接続関係を示すブロック図。
図9】第1の実施形態の乾燥運転における風の流れを示す断面図。
図10】第1の実施形態の充電装置の別の例を示す斜視図。
図11】第1の実施形態の第1変形例の掃除機本体を示す断面図。
図12】第1の実施形態の第2変形例の集塵装置を一部分解して示す斜視図。
図13】第1の実施形態の第2変形例の電気掃除機の電気接続関係を示すブロック図。
図14】第1の実施形態の第3変形例の掃除機本体を示す断面図。
図15】第1の実施形態の第4変形例の掃除機本体を示す断面図。
図16】第2の実施形態の掃除機本体(風ガイドが退避位置)を示す断面図。
図17】第2の実施形態の掃除機本体(風ガイドが突出位置)を示す断面図。
図18】第2の実施形態の風ガイドと回路基板との位置関係を示す正面図。
図19】第3の実施形態の電動送風機の入力電力の電流値の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電気掃除機を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0008】
本明細書では、電気掃除機を使用するユーザを基準に前後、左右、上下を定義する。本明細書で「通常の使用状態」とは、電気掃除機を用いて掃除が行われる場合の電気掃除機の使用状態を意味する。また電動送風機の回転方向に関して、通常の使用状態における電動送風機の回転を「順回転」、順回転とは逆方向の回転を「逆回転」と称する。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、図1から図9を参照し、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、本体ケースから一度取り外された集塵装置が本体ケースに再装着されたことが検出された場合に、電動送風機を逆回転させることで集塵装置に含まれるフィルタを乾燥させる乾燥運転が実施される例である。以下、このような第1の実施形態について詳しく説明する。
【0010】
<1.全体構成>
図1は、第1の実施形態の電気掃除機10を含む電気掃除装置1を示す斜視図である。電気掃除装置1は、例えば、電気掃除機10と、非使用時の電気掃除機10が取り付けられる充電装置(支持装置)20とを備えている。
【0011】
<1.1 電気掃除機>
まず、電気掃除機10について説明する。電気掃除機10は、例えば、いわゆるスティック型の電気掃除機であり、二次電池ユニット160が内蔵されたコードレスタイプの電気掃除機である。ただし、電気掃除機10は、上記例に限定されず、車輪を含む掃除機本体を有したキャニスタ型や、その他の形式の電気掃除機でもよい。
【0012】
電気掃除機10は、例えば、掃除機本体100、延長管200、および吸込口体(床ブラシ)300を備えている。掃除機本体100は、例えば、本体ケース110、把持部120、集塵装置130、接触センサ140、電動送風機150、二次電池ユニット160、および回路基板170を有する。
【0013】
本体ケース110は、掃除機本体100の外郭を形成している。本体ケース110は、電動送風機150、二次電池ユニット160、および回路基板170を収容している。また、本体ケース110は、後述する延長管200の一端が接続される延長管接続部111を有する。
【0014】
把持部120は、本体ケース110の上後端部に設けられている。把持部120は、電気掃除機10を用いて床面(被掃除面)を掃除する際に、ユーザにより把持される部位である。把持部120は、電気掃除機10の運転に関するユーザの操作を受け付ける操作受付部121を有する。操作受付部121は、例えば、複数の操作ボタン121aを含む。
【0015】
操作ボタン121aは、電気掃除機10の電源をON/OFFするための電源ボタン、電気掃除機10の駆動モード(運転モード)を切り替えるための1つ以上のモード選択ボタンなどを含む。電気掃除機10の駆動モードは、例えば、後述する電動送風機150を低速回転させる「弱モード」、および電動送風機150を高速回転させる「強モード」などを含む。また、電気掃除機10の駆動モードは、後述する回転ブラシ303を回転させる「ブラシ回転モード」、および回転ブラシ303を回転させない「ブラシ停止モード」などを含む。
【0016】
集塵装置130は、本体ケース110に着脱可能に装着されている。集塵装置130は、後述する電動送風機150の働きにより掃除機本体100に吸い込まれた空気に含まれる塵埃を分離する装置である。なお、集塵装置130については、詳しく後述する。
【0017】
接触センサ140は、本体ケース110のなかで集塵装置130に向かい合う部分に設けられ、集塵装置130に接する。例えば、接触センサ140は、本体ケース110に集塵装置130が取り付けられた場合に集塵装置130に接し、集塵装置130の存在を検出する。接触センサ140の検出結果は、後述する制御部177に送られる。
【0018】
電動送風機150は、ファンモータまたはメインモータと呼ばれるモータと、モータにより回転されるインペラとを含み、駆動されることで負圧を発生させる。電動送風機150は、発生させた負圧により後述する吸込口体300の吸込口301aなどから集塵装置130へ含塵空気を吸い込み、集塵装置130で塵埃が分離された空気を電気掃除機10の外部に排気する。電動送風機150のモータは、例えば、直流モータであるが、これに限定されない。
【0019】
二次電池ユニット160は、電気掃除機10が動作するために必要な電力を電気掃除機10に供給する。例えば、二次電池ユニット160は、電動送風機150、後述するブラシモータ304、および回路基板170などに電力を供給する。本実施形態では、二次電池ユニット160は、本体ケース110の後端部に配置されている。二次電池ユニット160は、例えば、外郭ケース161と、二次電池162(図7参照)と、二次電池制御部163(図7参照)とを有する。外郭ケース161は、二次電池ユニット160の外郭を形成している。二次電池162および二次電池制御部163は、外郭ケース161の内部に収容されている。二次電池162は、例えばリチウムイオン電池のような二次電池であり、電力を蓄える。二次電池制御部163は、後述する制御部177(本体側制御部)からの制御指令に基づき、二次電池162の充電および放電を制御する。
【0020】
回路基板170は、配線パターンが設けられたプリント配線板と、プリント配線板に実装された複数の電子部品とを含む。回路基板170は、例えば、電気掃除機10の動作を制御する制御部177を含む。なお、回路基板170については、詳しく後述する。
【0021】
次に、延長管200について説明する。延長管200は、例えば長尺状に形成されており、第1端部201と、第2端部202とを有する。延長管200の第1端部201は、掃除機本体100の延長管接続部111に気密に接続される。延長管200の第2端部202は、吸込口体300に気密に接続される。延長管200の内部には、掃除機本体100と吸込口体300とを電気的に接続する接続配線が設けられている。
【0022】
次に、吸込口体300について説明する。吸込口体300は、床面に沿って移動される部分である。吸込口体300は、例えば、吸込口体ケース301、接続管302、回転ブラシ303、およびブラシモータ304を含む。
【0023】
吸込口体ケース301は、横長、すなわち左右方向に長手状に形成されている。吸込口体ケース301は、ブラシモータ304を収容している。吸込口体ケース301は、床面に対向する下部に、吸込口301aを有する。吸込口301aは、電動送風機150が駆動されることで、床面の塵埃を吸い込む開口部である。
【0024】
接続管302は、吸込口体ケース301と延長管200の第2端部202とを気密に接続する部分であり、吸込口体ケース301に回動可能に接続されている。接続管302により吸込口体ケース301と延長管200とが接続されることで、吸込口体ケース301の吸込口301aから延長管200を経由して掃除機本体100に至る風路が形成される。
【0025】
回転ブラシ303は、吸込口301aに設けられ、床面に沿って配置されている。回転ブラシ303は、吸込口体ケース301に対して回動可能に設けられている。回転ブラシ303は、床面から塵埃を浮かせるまたは絨毯などの毛先を立たせるなどの働きをする。
【0026】
ブラシモータ304は、不図示の回転駆動機構を介して回転ブラシ303に機械的に接続され、回転ブラシ303を駆動する(回転させる)。ブラシモータ304は、例えば、直流モータであるが、これに限定されない。
【0027】
<1.2 充電装置>
次に、充電装置20について説明する。非使用時の電気掃除機10は、例えば延長管200が縮められた状態で充電装置20に取り付けられる。充電装置20は、電気掃除機10の外形に対応した窪みである受け部21を有し、電気掃除機10を支持する。
【0028】
充電装置20の受け部21は、例えば、電気掃除機10の吸込口体300を下方から支持する吸込口体受け部21aと、電気掃除機10の延長管200を後方から支持する延長管受け部21bとを含む。充電装置20は、電気掃除機10に設けられた外部接続端子(不図示)と接続される接続端子22A,22Bを有するとともに、外部電源に電気的に接続される。電気掃除機10の二次電池162は、電気掃除機10が充電装置20に取り付けられることで、充電装置20を介して外部電源に電気的に接続され、外部電源から供給される電力により充電可能である。なお本明細書において「充電装置から電力が供給される」とは、充電装置20を介して外部電源から電力が供給される場合も含む。
【0029】
本実施形態では、充電装置20の吸気口体受け部21aは、複数の通気孔23を有する。複数の通気孔23は、充電装置20の側面に開口した別の通気孔24と連通している。このため、後述する電動送風機150の乾燥運転時に、電動送風機150が逆回転されることで吸込口体300の吸込口301aから排気される空気は、吸込口体受け部21aの通気孔23,24を経由して充電装置20の外部に排気される。
【0030】
次に、電気掃除機10の各部構成について詳しく説明する。
<2.集塵装置>
<2.1 集塵装置の全体構成>
図2は、集塵装置130を一部分解して示す斜視図である。集塵装置130は、例えば、第1分離部131および第2分離部132を備える多段遠心分離式の集塵装置である。詳しく述べると、集塵装置130は、例えば、カップ部135、分離本体部136、フィルタ(細塵捕集フィルタ)137、および蓋体138を備えている。
【0031】
カップ部135は、例えば円筒形状の椀状に形成されている。カップ部135は、吸気口130aを有する。吸気口130aは、掃除機本体100の吸気風路181(図5参照)に接続され、電動送風機150の駆動により吸気風路181内に吸い込まれた含埃空気を集塵装置130の内部に吸い込む。
【0032】
分離本体部136は、第1本体部136aと、第2本体部136bとを有する。第1本体部136aは、カップ部135の内側に挿入される。第1本体部136aとカップ部135の内周面との間には、吸気口130aから吸い込まれた含埃空気を旋回させて、相対的に大きい塵埃である粗塵を空気から遠心分離(サイクロン分離)する第1分離部131が形成される。第2本体部136bは、通気風路部136baと、複数の第2分離部132とを含む。通気風路部136baは、第1分離部131により粗塵が分離された空気を複数の第2分離部132に向けて導く。第2分離部132は、例えば後方から前方に向けて縮径する円錐台状に形成され、第1分離部131で分離できなかった相対的に小さい塵埃である細塵を空気から遠心分離(サイクロン分離)する(図5参照)。第2分離部132により細塵が分離された空気は、フィルタ137に送られる。
【0033】
フィルタ137は、分離本体部136と蓋体138との間に配置されている。フィルタ137は、第2分離部132を通過した空気中に残る僅かな塵埃(細塵)を分離(濾過分離)する。ここで、フィルタ137に対する塵埃の付着は、集塵装置130への吸気自体を阻害するため、電気掃除機10の吸引力の低下に繋がる。このため、フィルタ137は、定期的に取り外されて水洗いされることで塵埃を取り除く必要がある。フィルタ137の塵埃を取り除くと、電気掃除機10の吸引力は復活する。
【0034】
蓋体138は、分離本体部136と蓋体138との間にフィルタ137を挟むようにして、分離本体部136に着脱可能に取り付けられる。蓋体138は、排気口130bを有する。排気口130bは、掃除機本体100の排気風路182(図5参照)に接続され、フィルタ137を通過した空気を本体ケース110の内部に排気する。
【0035】
集塵装置130は、ユーザによって、カップ部135、分離本体部136、フィルタ137、および蓋体138に分解可能である。カップ部135、分離本体部136、フィルタ137、および蓋体138は、別々に分解された状態で水洗い可能である。ただし、集塵装置130は、フィルタ137など一部の部品だけが水洗い可能であってもよい。また集塵装置130は、多段遠心分離式に限らず、その他の方式の集塵装置でもよい。集塵装置130は、「構造体」の一例である。集塵装置130は、電気掃除機10における風の流れ経路P1(図5参照)に着脱可能に配置されている。
【0036】
<2.2 フィルタ>
次に、フィルタ137について説明する。
図3は、フィルタ137を示す断面図である。フィルタ137は、例えば、外装部材(第1部材)137aと、内部部材(第2部材)137bとを含む二重構造になっている。外装部材137aは、フィルタ137の表面を形成している。外装部材137aは、例えば、多数の細孔を有した柔軟性のシート部材である。内部部材137bは、外装部材137aの内部に配置され、フィルタ137の表面には露出していない。内部部材137bは、例えばスポンジ状の部材であり、外装部材137aと比べて乾きにくい素材で形成されている。このため、フィルタ137の表面(外装部材137a)を見ると十分に乾燥しているように見える場合であっても、内部部材137bが十分に乾燥していないことがあり得る。ただし、フィルタ137の構成は、上記のような二重構造に限定されない。
【0037】
<3.回路基板>
図4は、回路基板170を示す斜視図である。なお説明の便宜上、回路基板170のいくつかの電子部品(例えばコンデンサ)の図示は省略している。回路基板170は、後述するスイッチングユニット175を実現する1つ以上の電子部品171と、後述する状態検出部176および制御部177を実現する1つ以上の電子部品172とを有している。電子部品171は、大電流のON/OFFを制御可能な半導体スイッチング素子であり、例えばFET(Field Effect Transistor)である。電子部品171は、回路基板170のなかで発熱が大きな部品の一例である。一方で、電子部品172は、例えば、マイクロコンピュータのようなIC(Integrated Circuit)部品である。
【0038】
ここで、スイッチングユニット175を実現する電子部品171は、電気掃除機10のなかで比較的大きな電流・電圧を取り扱う電子部品である。このため、電子部品171に水分が付着すると、電位を伴ったトラッキングが生じ、回路基板170に不具合が生じる可能性がある。このため、回路基板170のなかで電子部品171が実装された領域Rは、回路基板170の他の部分と比べて水分の付着がより好まれない領域(特定部分)の一例である。以下では説明の便宜上、回路基板170のなかで電子部品171が実装された領域Rを、「特定部分R」と称する。
【0039】
<4.掃除機本体の風路構成と回路基板の配置位置>
図5は、掃除機本体100を示す断面図である。なお図5では、説明の便宜上、実際には空間部分であっても風路とは関係ない部分についてはハッチングを施して示している。
【0040】
掃除機本体100は、吸気風路181と、排気風路182と、複数の第1排気孔183と、複数の第2排気孔184(図5では1つのみ図示)とを有している。吸気風路181は、延長管接続部111と集塵装置130の吸気口130aとの間に設けられている。吸気風路181は、延長管200から掃除機本体100に吸い込まれた含埃空気を、集塵装置130の吸気口130aに向けて案内する。排気風路182は、集塵装置130の排気口130bと複数の排気孔183,184との間に設けられている。排気風路182は、集塵装置130の排気口130bから本体ケース110の内部に送られた空気を、複数の排気孔183,184に向けて案内する。詳しく述べると、排気風路182は、第1排気風路182aと、第2排気風路182bと、第3排気風路182cとを含む。
【0041】
第1排気風路182aは、集塵装置130の排気口130bと電動送風機150の入口部との間に設けられ、集塵装置130の排気口130bから本体ケース110の内部に送られた空気を、電動送風機150の入口部に向けて案内する。第1排気風路182aにより電動送風機150の入口部に案内された空気は、電動送風機150の内部を通過し、第2排気風路182bに至る。この過程で、電動送風機150は、電動送風機150を通過する空気によって冷却される。
【0042】
第2排気風路182bは、電動送風機150の出口部から前方および下方に広がっている。ここで、第2排気風路182bには、回路基板170が配置されている。回路基板170は、例えば、電動送風機150から第2排気風路182bに吐き出される空気の流れ方向において、電動送風機150の正面に位置する。電動送風機150を通過した空気の少なくとも一部は、回路基板170にぶつかり、回路基板170を冷却する。これにより、例えば電子部品171,172の放熱が促進される。複数の第1排気孔183は、本体ケース110の下端部に設けられている。第2排気風路182bは、第2排気風路182bを流れる空気の一部を、複数の第1排気孔183に向けて案内する。これにより、第2排気風路182bを流れる空気の一部は、複数の第1排気孔183から電気掃除機10の外部に排気される。
【0043】
第3排気風路182cは、第2排気風路182bの下端部から後方に延びている。第3排気風路182cは、二次電池ユニット160の近傍(例えば二次電池ユニット160の下方)を通り、本体ケース110の後端部に達している。複数の第2排気孔184は、本体ケース110の後端部に設けられている。第3排気風路182cは、第2排気風路182bを流れる空気の一部を、複数の第2排気孔184に向けて案内する。これにより、第3排気風路182cを流れる空気は、複数の第2排気孔184から電気掃除機10の外部に排気される。
【0044】
以上のような構成によれば、電気掃除機10の通常の使用状態では、延長管200から掃除機本体100に吸い込まれた空気は、次のような風の流れ経路P1で流れる。すなわち、延長管200から掃除機本体100に吸い込まれた空気(含埃空気)は、吸気風路181、集塵装置130、第1排気風路182a、電動送風機150、第2排気風路182bをこの順に通過し、複数の排気孔183,184から電気掃除機10の外部に排気される。回路基板170は、電気掃除機10の風の流れ経路P1において、電気掃除機10の通常の使用状態での風の流れ方向で、集塵装置130よりも下流側に配置されている。
【0045】
図6は、掃除機本体100を後方から見た斜視図である。本実施形態では、本体ケース110は、本体ケース110の後端部に設けられた開口115と、開口115を着脱可能に閉じる後端蓋116とを有する。複数の第2排気孔184は、例えば、後端蓋113の下端部において左右方向に並べて配置されている。
【0046】
<5.電気掃除機のシステム構成>
図7は、電気掃除機10の使用時の電気接続関係を示すブロック図である。なお図7は、電動送風機150の制御に関する部分を抜き出して示している。本実施形態では、回路基板170は、スイッチングユニット175と、状態検出部176と、制御部177とを有する。
【0047】
スイッチングユニット175は、二次電池162と、電動送風機150との間に設けられている。スイッチングユニット175が閉じることにより、電動送風機150に対して二次電池162から電力が供給される。一方で、スイッチングユニット175が開くことにより、電動送風機150に対する二次電池162からの電力の供給が停止される。スイッチングユニット175は、制御部177によるPWM(Pulse Width Modulation)制御に従い所定の周期でON/OFF制御されることで、二次電池162から電動送風機150にパルス状の入力電力を供給する。
【0048】
本実施形態では、状態検出部176および制御部177は、回路基板170の少なくとも一部として設けられている。なお、状態検出部176および制御部177は、回路基板170(スイッチングユニット175が設けられた回路基板)とは別の回路基板として設けられ、第2排気風路182bとは異なる位置に配置されてもよい。これは、以下の全ての実施形態および変形例でも同様である。
【0049】
状態検出部176は、接触センサ140の検出結果に基づき、本体ケース110に対する集塵装置130の着脱状態を検出する。例えば、状態検出部176は、接触センサ140の検出結果に基づき、本体ケース110に対して集塵装置130が取り外されていること、および本体ケース110から取り外された集塵装置130が本体ケース110に再び取り付けられたこと(以下、「再装着されたこと」と称する場合がある)を検出する。言い換えると、状態検出部176は、集塵装置130が風の流れ経路P1から取り外され、その後に風の流れ経路P1に再び配置されたことを検出する。状態検出部176および接触センサ140は、電気掃除機10の電源がOFFにされている場合でも、二次電池162から(または、二次電池162が充電中の場合は充電装置20から)電力が供給されて機能を維持する。なお、状態検出部176と接触センサ140は、別々の部品である必要はなく、1つの部品によって構成されてもよい。
【0050】
また、状態検出部176は、集塵装置130の「再装着」を検出する必要は必ずしもなく、集塵装置130が装着されていない状態から集塵装置130が本体ケース110に装着された状態への状態変化を検出してもよい。このため以下の説明における「再装着」との記載は、「集塵装置130の装着」または「集塵装置130が装着されていない状態から集塵装置130が装着された状態への状態変化」などと読み替えられてよい。
【0051】
制御部177は、例えば、電動送風機制御部177aと、充放電制御部177bとを有する。電動送風機制御部177aは、操作受付部121により受け付けられたユーザの操作に基づき、電動送風機150の駆動を制御する。例えば、電動送風機制御部177aは、ユーザの操作により選択された駆動モードの入力電力目標値に基づいて、スイッチングユニット175のON/OFFのタイミングを切り替えることで、二次電池162から電動送風機150に供給される入力電力のデューティ比を変更する。例えば、電動送風機制御部177aは、ユーザの操作により「強モード」が選択された場合、電動送風機150に供給される入力電力のデューティ比を大きくすることで、比較的高い回転数で電動送風機150を駆動する。一方で、電動送風機制御部177aは、ユーザの操作により「弱モード」が選択された場合、電動送風機150に供給される入力電力のデューティ比を小さくすることで、比較的低い回転数で電動送風機150を駆動する。
【0052】
本実施形態では、電動送風機制御部177aは、本体ケース110に対して集塵装置130が取り外されていると状態検出部176により検出されている場合、操作受付部121に入力されるユーザの操作に関わらず、電動送風機150を駆動しない。これにより、集塵装置130が取り外されている状態で電動送風機150が駆動されることが抑制され、さらなる電気掃除機10の安全な動作が確保される。
【0053】
さらに本実施形態では、電動送風機制御部177aは、所定条件が満たされた場合に、フィルタ137を含む集塵装置130を乾燥させる乾燥運転を行う。この乾燥運転については、詳しく後述する。
【0054】
充放電制御部177bは、二次電池ユニット160の二次電池制御部163に制御指令を出力することで、二次電池162の充電および放電を制御する。例えば、充放電制御部177bは、操作受付部121により電動送風機150を駆動させるユーザの操作が受け付けられた場合、二次電池162を放電させる制御指令を二次電池ユニット160の二次電池制御部163に出力する。また、充放電制御部177bは、電気掃除機10が充電装置20に取り付けられ、二次電池162が充電装置20を介して外部電源と電気的に接続された場合、二次電池162を充電させる制御指令を二次電池ユニット160の二次電池制御部163に出力する。
【0055】
図8は、電気掃除機10の充電時の電気接続関係を示すブロック図である。なお図8は、電動送風機150の制御に関する部分を抜き出して示している。本実施形態では、電気掃除機10が充電装置20に取り付けられると、電気掃除機10の二次電池162は、第1電力線L1を介して充電装置20に電気的に接続される。二次電池162は、第1電力線L1を介して、充電装置20から電力が供給されて充電される。また、電気掃除機10が充電装置20に取り付けられると、電気掃除機10のスイッチングユニット175は、第2電力線L2を介して充電装置20に電気的に接続される。これにより、電動送風機150は、第2電力線L2およびスイッチングユニット175を介して、充電装置20から電力が供給されて駆動可能である。すなわち本実施形態では、電動送風機150は、二次電池162の充電中に、充電装置20から電力が供給されて駆動可能である。なお、第1電力線L1と第2電力線L2とは、互いに一部が共通であってもよい。
【0056】
<6.乾燥運転>
次に、制御部177により行われる「乾燥運転」について詳しく説明する。ここで、集塵装置130が水洗いされ、十分に乾燥されずに本体ケース110に取り付けられて電気掃除機10が使用される場合、電動送風機150の駆動によって集塵装置130(例えばフィルタ137)に残る水分が下流側に飛ばされ、回路基板170に付着する可能性がある。上述したように、回路基板170(例えば電子部品171)に水分が付着すると、電位を伴ったトラッキングが生じ、回路基板170に不具合が生じる可能性がある。このため、本実施形態では、所定条件が満たされた場合、集塵装置130を乾燥させる乾燥運転(電気掃除機10の駆動モードの1つである乾燥モードでの運転)が行われる。なお、乾燥運転を開始させる所定条件のいくつかの例については、後述する。
【0057】
図9は、本実施形態の乾燥運転における風の流れを示す断面図である。本実施形態では、制御部177は、所定条件が満たされた場合に、電動送風機150を制御することで少なくとも集塵装置130と回路基板170との間における風の流れ方向を変更して電動送風機150を駆動する。なお本明細書において「風の流れ方向を変更する」とは、電気掃除機10の通常の使用状態に対して、風の流れ方向を変更することを意味する。
【0058】
本実施形態では、制御部177は、所定条件が満たされた場合、電動送風機150を逆回転させることで、風の流れ方向を変更する。図9に示すように、乾燥運転では、次のような流れ経路P2で電気掃除機10の内部を空気が流れる。すなわち、電動送風機150が逆回転されると、複数の第2排気孔184を通じて本体ケース110の外部の空気が本体ケース110の内部に吸い込まれる。複数の第2排気孔184を通じて本体ケース110の内部に吸い込まれた空気は、第3排気風路182cを通って第2排気風路182bに流入する。また、電動送風機150が逆回転されると、複数の第1排気孔183を通じて本体ケース110の外部の空気が本体ケース110の内部に吸い込まれる。
【0059】
複数の第1排気孔183を通じて本体ケース110の内部に吸い込まれた空気は、複数の第2排気孔184から第3排気風路182cを通って第2排気風路182bに流入した空気と合流する。合流した空気は、第2排気風路182b、電動送風機150、第1排気風路182a、集塵装置130、吸気風路181をこの順に流れ、掃除機本体100の延長管接続部111から延長管200に流入する。延長管200に流入した空気は、延長管200から吸込口体300の内部に流入し、吸込口体300の吸込口301aから電気掃除機10の外部に排気される。このような乾燥運転が行われると、電気掃除機10の外部の空気が集塵装置130を通過することで、集塵装置130(例えばフィルタ137)の乾燥が促進される。これにより、集塵装置130を十分に乾燥させることができる。
【0060】
例えば、上記流れ経路P2の場合、第2排気風路182bを流れる空気は、回路基板170にぶつかり、回路基板170(例えば電子部品171,172)を冷却するとともに、回路基板170の熱によって暖められる。また、空気は、電動送風機150を通る過程でも、電動送風機150を冷却するとともに、電動送風機150によって暖められる。そして、これら温められた空気が集塵装置130を通過する。このような温められた空気が集塵装置130を通過することで、集塵装置130の乾燥をより促進することができる。
【0061】
本実施形態では、制御部177は、乾燥運転を開始させる所定条件として、本体ケース110から取り外された集塵装置130が本体ケース110に再装着されたこと(すなわち、集塵装置130が風の流れ経路P1から取り外され、その後に風の流れ経路P1に再び配置されたこと)が状態検出部176により検出された場合、乾燥運転を開始する。電動機制御部177は、所定時間に亘り乾燥運転を行う。なお、上記所定時間は、固定時間でもよく、あるいは電気掃除機10に設けられた湿度センサにより検出された電気掃除機10の周囲の湿度や、電気掃除機10に設けられた通信装置を介して外部から取得された天候情報などに基づき設定されてもよい。なお上述したように、制御部177は、集塵装置130の「再装着」を検出する必要は必ずしもなく、集塵装置130が装着されていない状態から集塵装置130が本体ケース110に装着された状態への状態変化を検出してもよい。すなわち本明細書における「再装着」との記載は、「集塵装置130の装着」または「集塵装置130が装着されていない状態から集塵装置130が装着された状態への状態変化」などと読み替えられてよい。
【0062】
本実施形態では、制御部177は、上記所定条件が満たされた場合、二次電池162の充電時に乾燥運転を行う。言い換えると、制御部177は、上記再装着が状態検出部176により検出され、且つ、電気掃除機10が充電装置20に取り付けられて充電装置20に二次電池162が接続されたことが検出された場合に、乾燥運転を行う。この場合、制御部177は、二次電池162を充電させる制御指令を二次電池ユニット160の二次電池制御部163に出力するとともに、電動送風機150を逆回転させる制御指令を電動送風機150に出力する。なお本明細書において「二次電池の充電時に乾燥運転を行う」とは、二次電池162の充電中に上記再装着が状態検出部176により検出され、二次電池162の充電途中から乾燥運転が開始される場合と、上記再装着が状態検出部176により検出された後に電気掃除機10が充電装置20に取り付けられ、二次電池162の充電の開始と略同時に乾燥運転が開始される場合とのいずれの場合も含む。
【0063】
本実施形態では、制御部177は、二次電池162の充電を行いながら電動送風機150を逆回転させることで、二次電池162により温められた風を集塵装置130に向けて送る。すなわち、二次電池162の充電時には、二次電池162は発熱する。このため、電動送風機150が逆回転されることで複数の第2排気孔184から本体ケース110の内部に吸い込まれた空気は、第3排気風路182cを流れる間に二次電池162から熱を受け取り温められる。このようにして温められた空気が集塵装置130を通過することで、集塵装置130の乾燥をさらに促進することができる。
【0064】
本実施形態では、乾燥運転時の電動送風機150の回転数は、例えば、「強モード」での電動送風機150の回転数を同じに設定される。ただし、インペラの形状などの理由で、電動送風機150を逆回転させた場合の風量は、同じ回転数で電動送風機150を順回転させた場合の風量と比べて小さい。このため、乾燥運転時の電動送風機150による風量は、例えば、通常の使用状態での「弱モード」での電動送風機150による風量以下である。なお、乾燥運転時の電動送風機150の回転数は、通常の使用状態での「弱モード」での電動送風機150の回転数以下でもよく、それよりもさらに少なくてもよい。この場合、乾燥運転時の電動送風機150の静音性を高めることができる。
【0065】
以上説明した構成によれば、電気掃除機10の信頼性の向上を図ることができる。すなわち、上述したように、集塵装置130が水洗いされた後に本体ケース110に取り付けられた場合、集塵装置130の一部(例えばフィルタ137の内部)に水分が残っている場合がある。この状態で電気掃除機10が使用されると、集塵装置130に残った水分が電動送風機150の吸引動作により風と共に飛んで回路基板170に付着することがある。回路基板170の表面には、防滴用のコーティングが施されていても付着する水分の量が多いと回路基板170に不具合が生じる可能性がある。
【0066】
そこで本実施形態では、電気掃除機10は、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされた場合に、電動送風機150を制御することで、少なくとも集塵装置130と回路基板170との間における風の流れ方向を電気掃除機10の通常の使用状態から変更して電動送風機150を駆動する。このような構成によれば、集塵装置130の一部(例えばフィルタ137の内部)に水分が残っている場合であっても、集塵装置130から回路基板170に向けて水分が飛ぶことを抑制しながら、集塵装置130に風を送り、集塵装置130を乾燥させることができる。これにより、集塵装置130に残った水分に起因して回路基板170に不具合が生じる可能性を低減し、電気掃除機10の信頼性の向上を図ることができる。
【0067】
別の観点によれば、制御部177は、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされた場合に、電気掃除機10の使用時の複数の駆動モード(例えば「強モード」および「弱モード」)のなかで吸引力が最小の駆動モード(例えば「弱モード」)よりも集塵装置130から回路基板170の特定部分Rに向かう風量が小さくなるように電動送風機150を制御して電動送風機150を駆動させる。このような構成によれば、集塵装置130から回路基板170の特定部分Rに向けて水分が飛ぶことを抑制しながら、集塵装置130を乾燥させることができる。このため、電気掃除機10の信頼性の向上を図ることができる。なお本明細書において「集塵装置130(構造体)から回路基板170の特定部分Rに向かう風量が小さくなるように」とは、風向きが逆向きになることも含む。
【0068】
本実施形態では、集塵装置130は、フィルタ137を含む。フィルタ137は、集塵装置130のなかでも水分が残りやすい部分である。このような構成によれば、フィルタ137から回路基板170に向けて水分が飛ぶことを抑制しながら、フィルタ137を乾燥させることができる。これにより、電気掃除機10の信頼性のさらなる向上を図ることができる。
【0069】
本実施形態では、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされた場合に、電動送風機150を逆回転させる。このような構成によれば、集塵装置130から回路基板170に向けて水分が飛ぶことをより確実に抑制しながら、集塵装置130に風を送り、集塵装置130を乾燥させることができる。また、電動送風機150を逆回転させることで乾燥運転を行うことで、第2の実施形態のようは追加部品(風路変更部材510)を設けることなく、乾燥運転を行うことができる。これにより、電気掃除機10の製造コストの増加を抑制しつつ、電気掃除機10の信頼性の向上を図ることができる。
【0070】
本実施形態では、制御部177は、集塵装置130が本体ケース110に再装着されたことが状態検出部176に検出された場合に、乾燥運転を行う。このような構成によれば、ユーザが操作を行うことなく自動で乾燥運転を行うことができる。これにより、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0071】
本実施形態では、制御部177は、二次電池162の充電時に、乾燥運転を行う。このような構成によれば、ユーザが電気掃除機10を使用していない間の時間を利用して乾燥運転を行うことができる。すなわち、ユーザが電気掃除機10を使用したいタイミングには、すでに乾燥運転が終了しており、ユーザは電気掃除機10をすぐに使用することができる。これにより、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0072】
以上、第1の実施形態について説明したが、第1の実施形態は上記例に限定されない。例えば、充電装置20の形状は、図1に示す例に限定されない。図10は、充電装置20の別の例を示す斜視図である。図10に示す例では、充電装置20は、延長管200が外された掃除機本体100が取り付けられる本体支持部25と、掃除機本体100から外された延長管200が取り付けられる延長管支持部26とを有する。本体支持部25は、電動送風機150が逆回転されて乾燥運転が行われる場合に、図9に示す流れ経路P2を通過して吸気風路181から充電装置20の内部に排気される空気を、充電装置20の外部に逃がす複数の通気孔27を有する。
【0073】
なお、充電装置20は、電気掃除機10を支持可能なタイプの充電装置に限定されない。例えば、制御部177は、電気掃除機10が部屋の壁などに立て掛けられ、ACアダプタなどを介して外部電源に接続され充電される充電時に、乾燥運転を行ってもよい。
【0074】
また、制御部177は、二次電池162の充電時以外のタイミングで乾燥運転を行ってもよい。例えば、制御部177は、二次電池162の充電がすでに完了している場合や、電気掃除機10が充電装置20やACアダプタに接続されていない状態(外部電源に電気的に接続されていない状態)で、所定条件が満たされた場合(例えば集塵装置130が本体ケース110に再装着されたことが状態検出部176により検出された場合)に、乾燥運転を行ってもよい。この場合、制御部177は、二次電池162から電動送風機150に電力を供給して乾燥運転を行う。言い換えると、制御部177は、二次電池162の放電を行いながら、乾燥運転を行う。ここで、二次電池162の放電を行わせると、二次電池162が発熱する。このため、電動送風機150を逆回転させることで、充電時と同様に二次電池162により温められた風を集塵装置130に向けて送ることができる。なお、二次電池162の充電時以外のタイミングで乾燥運転を行ってよいことは、後述するいずれの実施形態や変形例でも同様である。
【0075】
<7.第1の実施形態の変形例>
次に、第1の実施形態のいくつかの変形例について説明する。各変形例において、以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同じである。なお以下の説明する各変形例は、別の変形例あるいは後述する第2および第3の実施形態とそれぞれ組み合わされて適用されてもよい。
【0076】
(第1変形例)
図11は、第1変形例の掃除機本体100を示す断面図である。第1変形例では、複数の第1排気孔183は、第1の実施形態と比べて、二次電池ユニット160の近くに設けられている。例えば、複数の第1排気孔183の少なくとも一部(例えば半数以上)は、二次電池ユニット160の前端160aよりも後方(乾燥運転時の風の流れ方向で上流側)に設けられている。別の観点で見ると、複数の第1排気孔183および複数の第2排気孔184とを合わせた複数の排気口のなかで、少なくとも半数以上は、二次電池ユニット160の前端160aよりも後方に設けられている。
【0077】
このような構成によれば、二次電池162の充電時または放電時に電動送風機150が逆回転されて乾燥運転が行われる場合、二次電池162により温められたより多くの空気を、集塵装置130に向けて送ることができる。これにより、集塵装置130を十分に乾燥させるまでに必要な時間をさらに短縮することができる
【0078】
(第2変形例)
図12は、第2変形例の集塵装置130を一部分解して示す斜視図である。第2変形例は、フィルタ137の着脱を検出するための接触センサユニット401が集塵装置130に設けられた例である。接触センサユニット401は、例えば、接触センサ、記憶部、小型電源、およびカバーを含む。接触センサは、蓋体138においてフィルタ137に向かい合う部分に設けられている。接触センサは、蓋体138が分離本体部136から取り外された場合にフィルタ137から離れ、フィルタ137が存在しないことを検出する。接触センサは、分離本体部136と蓋体138との間にフィルタ137が挟まれた状態で、蓋体138が分離本体部136に取り付けられた場合にフィルタ137に接し、フィルタ137の存在を検出する。記憶部は、接触センサの検出結果を記憶する。小型電源は、集塵装置130が本体ケース110から取り外された状態で接触センサおよび記憶部に電力を供給する。カバーは、防水性および柔軟性を有するとともに、接触センサ、記憶部、および小型電源を一体に覆う。なお、状態検出部176と接触センサユニット401は、別々の部品である必要はなく、1つの部品によって構成されてもよい。
【0079】
接触センサユニット401は、集塵装置130が本体ケース110に取り付けられた場合に、上記カバーの表面に露出した不図示の端子と本体ケース110側の端子を介して制御部177に電気的に接続される。接触センサユニット401の記憶部に記憶された接触センサの検出結果は、集塵装置130が本体ケース110に取り付けられた場合に、制御部177に出力される。なお、接触センサユニット401の構成および配置は、上記例に限定されない。例えば、接触センサユニット401は、蓋体138に代えて、分離本体部136に設けられてもよい。
【0080】
図13は、第2変形例の電気掃除機10の電気接続関係を示すブロック図である。第2変形例では、制御部177は、接触センサユニット401の検出結果(記憶部に記憶された接触センサの検出結果)に基づき、分離本体部136および蓋体138に対するフィルタ137の着脱状態を検出する。例えば、状態検出部176Aは、フィルタ137が接触センサから離れたことが接触センサにより検出された場合、分離本体部136と蓋体138との間からフィルタ137が取り外されたものと見做し、分離本体部136および蓋体138に対するフィルタ137の取り外しを検出する。また、状態検出部176Aは、接触センサが再びフィルタ137に接することが接触センサにより検出された場合、分離本体部136と蓋体138との間から取り外されたフィルタ137が分離本体部136と蓋体138との間に再び取り付けられたこと(以下、フィルタ137の「再装着」と称する場合がある)を検出する。言い換えると、状態検出部176Aは、フィルタ137が風の流れ経路P1から取り外され、その後に風の流れ経路P1に再び配置されたことを検出する。
【0081】
本変形例では、制御部177は、乾燥運転を開始させる所定条件として、分離本体部136と蓋体138との間から取り外されたフィルタ137が再装着されたこと(すなわち、フィルタ137が風の流れ経路P1から取り外され、その後に風の流れ経路P1に再び配置されたこと)が状態検出部176Aにより検出された場合、乾燥運転を開始する。
【0082】
このような構成によれば、フィルタ137の取り外しの有無に基づき、乾燥運転を行うか否かを決定することができる。このため、本体ケース110から集塵装置130が取り外された場合であっても、フィルタ137の水洗いを伴わないユーザの動作(例えば集塵装置130内のゴミを捨てるだけの動作)であった場合、不要な乾燥運転の発生を抑制することができる。これにより、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。なお本変形例の場合、集塵装置130の取り付けを検出する接触センサ140は、省略されてもよい。
【0083】
また本変形例では、制御部177は、分離本体部136および蓋体138に対してフィルタ137が取り外されていると状態検出部176Aにより検出されている場合(フィルタ137の再装着が検出されない場合)、操作受付部121に入力されるユーザの操作に関わらず、電動送風機150を駆動しない。これにより、フィルタ137が取り外されている状態で電動送風機150が駆動されることが抑制され、電気掃除機10のより安全な動作が確保される。
【0084】
(第3変形例)
図14は、第3変形例の掃除機本体100を示す断面図である。第3変形例では、例えば本体ケース110から取り外された集塵装置130が本体ケース110に再装着されたことが検出された場合、少なくとも一時的に電動送風機150を駆動させて電気掃除機10の内部を流れる空気の湿度を検出し、検出された湿度が閾値以上である場合に、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされるとして乾燥運転を行う例である。
【0085】
詳しく述べると、掃除機本体100は、湿度センサ411を有する。湿度センサ411は、例えば、電動送風機150を逆回転させた場合の風の流れ方向において、集塵装置130よりも下流側に設けられている。例えば、湿度センサ411は、吸気風路181に設けられている。湿度センサ411は、電動送風機150を逆回転させた場合に、集塵装置130を通過して吸気風路181を流れる空気の湿度を検出する。
【0086】
制御部177は、本体ケース110から取り外された集塵装置130が本体ケース110に再装着されたことが状態検出部176により検出された場合、電動送風機150を逆回転させる。そして、電動送風機150を逆回転させた状態で、湿度センサ411に吸気風路181を流れる空気の湿度を検出させる。制御部177は、湿度センサ411により検出された湿度が第1閾値以上である場合、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされると判定し、乾燥運転を行う。湿度センサ411により検出された湿度は、「湿度に関する値」の一例である。
【0087】
なお、制御部177は、湿度センサ411により検出される湿度の大きさに応じて、乾燥運転を行う時間の長さを変更してもよい。例えば、制御部177は、湿度センサ411により検出される湿度が高いほど、乾燥運転を行う時間の長さを長くしてもよい。また、制御部177は、湿度センサ411により検出される値を監視し、湿度センサ411により検出される湿度が第2閾値未満になるまで乾燥運転を行ってもよい。第2閾値は、第1閾値と同じ値でもよく、第1閾値とは異なる値でもよい。
【0088】
このような構成によれば、集塵装置130に水分が残っている場合をより高い精度で検出することができる。これにより、集塵装置130が水洗いされていない場合や、集塵装置130がすでに十分に乾燥している場合に、不要な乾燥運転を行うことを抑制することができる。これにより、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0089】
なお上記に代えて、制御部177は、本体ケース110から取り外された集塵装置130が本体ケース110に再装着されたことが状態検出部176により検出された場合、電動送風機150を駆動する前に湿度センサ411により検出された湿度(第1湿度)と、電動送風機150を駆動(逆回転)した状態で湿度センサ411により検出された湿度(第2湿度)との差分値が第3閾値以上である場合、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされると判定し、乾燥運転を行ってもよい。このような構成によれば、天候などにより部屋の湿度が高い場合に、集塵装置130が水洗いされたものと誤検出して乾燥運転が行われることを抑制することができる。上記差分値は、「湿度に関する値」の一例である。
【0090】
この場合、制御部177は、第1湿度と第2湿度との差分値の大きさに応じて、乾燥運転を行う時間の長さを変更してもよい。例えば、制御部177は、第1湿度と第2湿度とにより検出された湿度の差分値が大きいほど、乾燥運転を行う時間の長さを長くしてもよい。また、制御部177は、電動送風機150を駆動した状態で湿度センサ411により検出される値(第2湿度)を監視し、第1湿度と第2湿度との差分値が第4閾値未満になるまで乾燥運転を行ってもよい。第4閾値は、第3閾値と同じ値でもよく、第3閾値とは異なる値でもよい。
【0091】
なお本変形例において、乾燥運転を開始させる所定条件としては、集塵装置130が本体ケース110に再装着されたことが状態検出部176により検出されることは必須ではない。制御部177は、別のタイミングで湿度に関する値が閾値以上である場合に、乾燥運転を開始してもよい。これは第4変形例についても同様である。
【0092】
また詳しくは後述するが、後述する第2および第3の実施形態のように、電動送風機150を順回転させて乾燥運転が行われる場合は、湿度センサ411は、排気風路182(例えば第1排気風路182a)に設けられる。
【0093】
(第4変形例)
図15は、第4変形例の掃除機本体100を示す断面図である。第4変形例では、本体ケース110から取り外された集塵装置130が本体ケース110に再装着されたことが検出された場合、電動送風機150を駆動して電気掃除機10の内部を流れる空気の湿度を2つの湿度センサ421,422で検出し、2つの湿度センサ421,422により検出された湿度の差分値が閾値以上である場合に、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされるとして乾燥運転を行う例である。
【0094】
詳しく述べると、掃除機本体100は、第1湿度センサ421と、第2湿度センサ422とを有する。第1湿度センサ421は、電動送風機150を逆回転させた場合の風の流れ方向において、集塵装置130よりも上流側に設けられている。例えば、第1湿度センサ421は、排気風路182(例えば第1排気風路182a)に設けられている。第1湿度センサ421は、集塵装置130を通過する前の空気の湿度を検出する。一方で、第2湿度センサ422は、電動送風機150を逆回転させた場合の風の流れ方向において、集塵装置130よりも下流側に設けられている。例えば、第2湿度センサ422は、吸気風路181に設けられている。第2湿度センサ422は、集塵装置130を通過した後の空気の湿度を検出する。
【0095】
制御部177は、本体ケース110から取り外された集塵装置130が本体ケース110に再装着されたことが状態検出部176により検出された場合、電動送風機150を逆回転させる。そして、電動送風機150を逆回転させた状態で、第1湿度センサ421および第2湿度センサ422により空気の湿度を検出させる。制御部177は、第1湿度センサ421と第2湿度センサ422により検出された湿度の差分値が第5閾値以上である場合、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされると判定し、乾燥運転を行う。上記差分値は、「湿度に関する値」の一例である。
【0096】
なお、制御部177は、第1湿度センサ421と第2湿度センサ422とにより検出された湿度の差分値の大きさに応じて、乾燥運転を行う時間の長さを変更してもよい。例えば、制御部177は、第1湿度センサ421と第2湿度センサ422とにより検出された湿度の差分値が大きいほど、乾燥運転を行う時間の長さを長くしてもよい。また、制御部177は、第1湿度センサ421と第2湿度センサ422とにより検出される湿度の差分値を監視し、上記差分値が第6閾値未満になるまで乾燥運転を行ってもよい。第6閾値は、第5閾値と同じ値でもよく、第5閾値とは異なる値でもよい。なお以上説明した閾値に関する「第1」、「第2」などの名称は、説明の便宜上のものであり、適宜付け直されてもよい。
【0097】
また詳しくは後述するが、後述する第2および第3の実施形態のように、電動送風機150を順回転させて乾燥運転が行われる場合は、第1湿度センサ421は、吸気風路181に設けられ、第2湿度センサ422は、排気風路182(例えば第1排気風路182a)に設けられる。
【0098】
(第5変形例)
第5変形例は、乾燥運転を選択するユーザの操作が操作受付部121により受け付けられた場合、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされるとして乾燥運転が実施される例である。
【0099】
本変形例では、操作受付部121は、乾燥運転(乾燥モード)を選択するユーザの操作を受け付け可能である。例えば、乾燥運転は、操作受付部121に含まれる1つの操作ボタン121aが長押しされることで選択される。乾燥運転を選択するユーザの操作は、「特定モードを選択するユーザの操作」の一例である。なお、操作受付部121は、乾燥運転として、静音で比較的長時間の乾燥運転(通常乾燥運転)を行うか、ある程度の音が出てもよいので短時間の乾燥運転(急速乾燥運転)を行うかのユーザの選択を受け付け可能であってもよい。
【0100】
制御部177は、乾燥運転を選択するユーザの操作が操作受付部121により受け付けられた場合、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされると判定し、乾燥運転を開始する。本変形例でも、乾燥運転は、二次電池162の充電時に行われてもよく、二次電池162の充電時以外のタイミングで行われてもよい。制御部177は、「急速乾燥運転」を選択するユーザの操作が操作受付部121により受け付けられた場合、「通常乾燥運転」が選択される場合と比べて、乾燥運転時の電動送風機150の回転数を高くする。
【0101】
別の観点によれば、制御部177は、乾燥運転を選択するユーザの操作が操作受付部121により受け付けられた場合に、複数の駆動モードのなかで吸引力が最大の駆動モードよりも(さらに言えば、例えば最小の駆動モードよりも)集塵装置130から回路基板170の特定部分Rに向かう風量が小さくなるように、電動送風機150を制御して電動送風機150を駆動する。上述したように本明細書で「集塵装置130(構造体)から回路基板170の特定部分Rに向かう風量が小さくなるように」とは、風向きが逆向きになることも含む。
【0102】
このような構成によれば、ユーザにより指定された任意のタイミングで乾燥運転を行うことができる。これにより、ユーザの利便性を高めることができる。またこのような構成によれば、集塵装置130が水洗いされたものと誤検出して乾燥運転が行われることを抑制することができる。また本変形例によれば、接触センサ140や接触センサユニット401、或いは湿度センサ421,422などを省略可能である。このため、電気掃除機10の製造コストの増加を抑制しつつ、電気掃除機10の信頼性の向上を図ることができる。なお本変形例において、乾燥運転を開始させる所定条件としては、集塵装置130が本体ケース110に再装着されたことが状態検出部176により検出されることは必須ではない。
【0103】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、乾燥運転を行う場合に、掃除機本体100に設けられた風路変更部材510が制御される点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0104】
図16および図17は、第2の実施形態の掃除機本体100を示す断面図である。本実施形態では、掃除機本体100は、風路変更部材(風路変更ユニット)510を備えている。風路変更部材510は、電気掃除機の通常の使用状態における風の流れ方向で、集塵装置130と回路基板170と間に設けられている。例えば、風路変更部材510は、第2排気風路182bに設けられ、電動送風機150と回路基板170との間に位置する。風路変更部材510は、風の流れ方向を規制する風ガイド511と、風ガイド511を退避位置と突出位置との間で移動させる駆動部材512(図17参照)とを有する。駆動部材512は、例えばソレノイドであるが、これに限定されない。風路変更部材510は、「変更手段」の一例である。
【0105】
図16では、風ガイド511が退避位置(第1位置)に位置する状態を示す。風ガイド511は、上記退避位置において電動送風機150から回路基板170に向かう風の流れを実質的に阻害しない位置に位置する。例えば、風ガイド511は、電動送風機150から回路基板170に向かう方向Dで見た場合に回路基板170と実質的に重ならない。例えば、風ガイド511は、方向Dで見た場合に、回路基板170の特定領域R(電子部品171が実装された領域)と重ならない。このため、回路基板170の略全域に電動送風機150からの風がぶつかり、回路基板170(例えば電子部品171)の放熱が効率的に促進される。
【0106】
図17では、風ガイド511が突出位置(第2位置)に位置する状態を示す。風ガイド511は、上記突出位置において電動送風機150と回路基板170との間に突出する。例えば、風ガイド511は、電動送風機150から回路基板170に向かう方向Dで見た場合に、上記退避位置と比べて回路基板170の多くの領域を覆う。例えば、風ガイド511は、板状に形成されており、電動送風機150から回路基板170に向かう風の流れを、第1排気孔183に向ける。
【0107】
図18は、風ガイド511と回路基板170との関係を示す平面図である。図18は、電動送風機150から回路基板170に向かう方向Dから図であり、風ガイド511が上記突出位置にある状態を示す図である。図18に示すように、突出位置にある風ガイド511は、回路基板170のなかで少なくとも特定部分Rを覆う。なお、突出位置にある風ガイド511は、回路基板170の全域を覆ってもよい。
【0108】
本実施形態では、制御部177は、電気掃除機10の通常の使用状態では、駆動部材512を制御し、風ガイド511を退避位置に退避させておく。一方で、制御部177は、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされた場合に、駆動部材512を制御することで風ガイド511を上記突出位置に移動させる。これにより、少なくとも集塵装置130と回路基板170との間における風の流れ経路P1が変更されて経路P3になる。なお「風の流れ経路を変更する」とは、電気掃除機10を用いて掃除が行われる使用状態に対して、風の流れ経路を変更することを意味する。
【0109】
本実施形態では、制御部177は、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされた場合、風ガイド511を上記突出位置に移動させることで、集塵装置130と回路基板170との間における風の流れ経路P1を流れ経路P3に変更するとともに、電動送風機150を駆動して電動送風機150を順回転させる。これにより、乾燥運転では、電気掃除機10の通常の使用状態を同様に、集塵装置130を通過した空気は、第2排気風路182bに送られる。しかしながら、本実施形態では、風ガイド511が突出位置に移動されているため、乾燥運転時に集塵装置130を通過した風は、回路基板170の特定部分Rにあたらなくなる。
【0110】
なお、制御部177は、乾燥運転を行うために電動送風機150を駆動する場合、電動送風機150を、電気掃除機10の通常の使用状態での複数の駆動モード(例えば「強モード」および「弱モード」)のなかで吸引力が最大の駆動モード(「強モード」)よりも低い回転数で電動送風機150を駆動する。例えば、制御部177は、複数の駆動モード(例えば「強モード」および「弱モード」)のなかで吸引力が最小の駆動モードと同じ、またはそれ以下の回転数で電動送風機150を駆動する。これにより、風ガイド511によって回路基板170の特定部分Rに風があたらず、電子部品171の効率的な放熱が期待できない状態において、電子部品171の発熱を抑制することができる。
【0111】
このような構成によれば、集塵装置130の一部(例えばフィルタ137の内部)に水分が残っている場合であっても、集塵装置130から回路基板170の特定部分Rに向けて水分が飛ぶことを抑制しながら、集塵装置130に風を送り、集塵装置130を乾燥させることができる。これにより、集塵装置130に残った水分に起因して回路基板170に不具合が生じる可能性を低減し、電気掃除機10の信頼性の向上を図ることができる。
【0112】
別の観点によれば、制御部177は、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされた場合に、電気掃除機10の使用時の複数の駆動モード(例えば「強モード」および「弱モード」)のなかで吸引力が最小の駆動モード(例えば「弱モード」)よりも集塵装置130から回路基板170の特定部分Rに向かう風量が小さくなるように風路変更部材510を制御するとともに、電動送風機150を駆動させる。このような構成によれば、集塵装置130から回路基板170の特定部分Rに向けて水分が飛ぶことを抑制しながら、集塵装置130を乾燥させることができる。
【0113】
本実施形態においても、乾燥運転は、二次電池162の充電時に行われてもよく、二次電池162の充電時以外のタイミングで行われてもよい。
【0114】
本実施形態の乾燥運転は、第1実施形態の第3変形例と同様に、電動送風機150を駆動させて電気掃除機10の内部を流れる空気の湿度を検出し、湿度に関する値が閾値以上である場合に行われてもよい。この場合、湿度センサ411は、排気風路182に設けられる。
【0115】
また本実施形態の乾燥運転は、第1実施形態の第4変形例と同様に、電動送風機150を駆動させて電気掃除機10の内部を流れる空気の湿度を2つの湿度センサ421,422により検出し、湿度に関する値が閾値以上である場合に行われてもよい。この場合、第1湿度センサ421は、吸気風路181に設けられ、第2湿度センサ422は、排気風路182に設けられる。
【0116】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、乾燥運転を行う場合に、電動送風機150を順回転で駆動するとともに風の流れる強さを弱くする点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0117】
図19は、各駆動モードにおいて、電動送風機150に入力される入力電力の電流値の例を示す図である。本実施形態では、制御部177は、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされた場合、電気掃除機10の通常使用時の複数の駆動モード(例えば「強モード」および「弱モード」)のなかで吸引力が最も小さい駆動モード(例えば「弱モード」)よりもさらに低い回転数で電動送風機150を回転させる。この乾燥運転は、二次電池162の充電時に行われてもよく、二次電池162の充電時以外のタイミングで行われてもよい。
【0118】
別の観点によれば、制御部177は、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされた場合に、電気掃除機10の使用時の複数の駆動モード(例えば「強モード」および「弱モード」)のなかで吸引力が最小の駆動モード(例えば「弱モード」)よりも集塵装置130から回路基板170の特定部分Rに向かう風量が小さくなるように電動送風機150を制御するとともに、電動送風機150を駆動させる。
【0119】
このような構成によれば、集塵装置130の一部(例えばフィルタ137の内部)に水分が残っている場合であっても、水分が水滴のような形で飛ぶことを抑制しながら、集塵装置130に風を送り、集塵装置130を乾燥させることができる。これにより、回路基板170に水滴が付着して回路基板170に不具合が生じる可能性を低減し、電気掃除機10の信頼性の向上を図ることができる。
【0120】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、上述した実施形態および変形例は、互いに適宜組み合わせて実現されてもよい。例えば、乾燥運転を開始させる所定条件は、上述した例に限定されない。また、制御部177は、電気掃除機10の運転開始を選択するユーザの操作が操作受付部121により受け付けられた場合であっても、乾燥運転を開始させる所定条件が満たされる場合、ユーザの操作に対応する運転の前に、電動送風機150または風路変更部材510を制御することで風の流れ方向または風の流れ経路を変更して乾燥運転を行ってもよい。
【0121】
例えば、電気掃除機10の構造などによって、複数の駆動モードのなかで吸引力が最大の駆動モードよりも回転数が低い駆動モード(例えば「弱モード」)で電動送風機150を駆動した場合に、集塵装置130から回路基板170に飛ぶ水分が許容量以下になる場合は、乾燥運転は、その駆動モード(吸引力が最大の駆動モードよりも回転数が低い駆動モード)と同じ回転数で電動送風機150を順回転させるものでもよい。
【0122】
また、電気掃除機10は、充電装置20に取り付けられる度に、毎回乾燥運転を行ってもよい。この場合、状態判定部176による判定などは行われなくてもよい。
【0123】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、電気掃除機は、所定条件が満たされた場合に、電気掃除機の使用時の複数の駆動モードのなかで最も吸引力が小さい駆動モードよりも回路基板の特定部分に向かう風量が小さくなるように、電動送風機または変更手段を制御する制御部を持つことにより、信頼性の向上を図ることができる。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0125】
10…電気掃除機、100…掃除機本体、121…操作受付部、130…集塵装置(構造体)、137…フィルタ、150…電動送風機、160…二次電池ユニット、162…二次電池、170…回路基板、175…スイッチングユニット、176…状態検出部、177…制御部、510…風路変更部材、511…風ガイド、512…駆動部材、R…回路基板の特定部分、P1,P2,P3…風の流れ経路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19