(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 21/00 20060101AFI20240522BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20240522BHJP
F16L 47/02 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
F16L21/00 C
F16L21/08 E
F16L47/02
(21)【出願番号】P 2019175650
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 大慧
(72)【発明者】
【氏名】池田 基
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-066328(JP,A)
【文献】特開2014-190513(JP,A)
【文献】米国特許第05277456(US,A)
【文献】特開2007-292281(JP,A)
【文献】特開平02-256996(JP,A)
【文献】特開昭54-157324(JP,A)
【文献】特開平02-253087(JP,A)
【文献】特開2000-291854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/00
F16L 21/08
F16L 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの樹脂管が溶融接続される溶融接続部を
1つ有する樹脂継手部と、
第1端部に金属管がネジ嵌合により接続されるネジ部が形成され、第2端部の外側の表面が前記樹脂継手部に覆われた金属継手部と、
前記金属継手部の軸線方向に見たときに六角形状を呈し、前記金属継手部の外周面に設けられた係合部と、
前記樹脂継手部に設けられ前記樹脂管を把持する把持部と、
を備え、
前記係合部の内接円の径は、前記樹脂継手部における前記金属継手部側の端部の外径よりも大きく、
前記樹脂継手部
の前記1つの溶融接続部は、一対の端子ピンを有する管継手。
【請求項2】
前記
第2端部の外周面に形成され、前記樹脂継手部が入り込んで覆われた環状突起を備える請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記環状突起の外周面には、ローレット溝が形成されている請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記係合部の前記第1端部側の端と前記樹脂継手部との前記軸線方向の距離は、35mm未満である請求項1から3のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項5】
前記係合部は、前記樹脂継手部の前記第1端部側の端面に接触している請求項1から4のいずれか一項に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂管と金属管とを接続する管継手として、例えば特許文献1に開示された管継手が知られている。
管継手は、樹脂管が溶融接続される樹脂継手部と、金属管がネジ嵌合により接続される金属継手部とが、互いに接続されて構成されている。
金属継手部には、六角形状の係合部が一体に設けられている。互いにネジ嵌合した金属継手部及び金属管を螺合する際に、係合部にパイプレンチやスパナ等の工具が取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属継手部及び金属管を螺合する際には、金属継手部の係合部、金属管に第1工具、第2工具をそれぞれ取付けて、第1工具に対して第2工具を金属継手部の軸線回りの所定の向きに相対的に回転させる。これにより、管継手に金属管が接続される。
管継手における金属継手部の軸線方向の長さが短くなると、管継手の収まりが向上する(管継手を所定の空間内に収納し易くなる)。しかしながら、金属継手部に第1工具を取付ける際に、樹脂継手部に第1工具が干渉して、管継手に金属管を接続する作業性が低下する。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、工具を用いて管継手に金属管を接続する作業性を確保しつつ、収まりを向上させた管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の管継手は、1つの樹脂管が溶融接続される溶融接続部を1つ有する樹脂継手部と、第1端部に金属管がネジ嵌合により接続されるネジ部が形成され、第2端部の外側の表面が前記樹脂継手部に覆われた金属継手部と、前記金属継手部の軸線方向に見たときに六角形状を呈し、前記金属継手部の外周面に設けられた係合部と、前記樹脂継手部に設けられ前記樹脂管を把持する把持部と、を備え、前記係合部の内接円の径は、前記樹脂継手部における前記金属継手部側の端部の外径よりも大きく、前記樹脂継手部の前記1つの溶融接続部は、一対の端子ピンを有することを特徴としている。
【0007】
この発明によれば、係合部の外周面にスパナ等の第1工具を取付け、金属管にスパナ等の第2工具を取付ける。そして、第1工具に対して第2工具を軸線回りの所定の向きに相対的に回転させる。ネジ部に金属管を締め付け、管継手に金属管を接続する。
この際に、金属管に第2工具が取付けられているため、第1工具の軸線方向の長さ(幅)が係合部の軸線方向の長さより長いと、第1工具が係合部よりも第1端部側に張り出すことができない場合がある。
【0008】
このような場合であっても、係合部の内接円の径は、樹脂継手部における金属継手部側の端部の外径よりも大きい。このため、第1工具が係合部よりも第2端部側に張り出しても、樹脂継手部の金属継手部側の端部の径方向外側に第1工具が配置され、第1工具は樹脂継手部の金属継手部側の端部に干渉しない。このため、例えば、係合部の第1端部側の端と樹脂継手部との軸線方向の距離を短くし、管継手における金属継手部の軸線方向の長さを短くした場合であっても、両工具を用いてネジ部に金属管を締め付け、管継手に金属管を接続することができる。
従って、工具を用いて管継手に金属管を接続する作業性を確保しつつ、管継手の軸線方向の長さを短くして、管継手の収まりを向上させることができる。
また、把持部により樹脂管を把持して、管継手に樹脂管を容易に接続することができる。
【0009】
また、前記管継手において、前記第2端部の外周面に形成され、前記樹脂継手部が入り込んで覆われた環状突起を備えてもよい。
【0010】
また、前記管継手において、前記環状突起の外周面には、ローレット溝が形成されていてもよい。
【0011】
また、前記管継手において、前記係合部の前記第1端部側の端と前記樹脂継手部との前記軸線方向の距離は、35mm未満であってもよい。
一般的に、係合部の軸線方向の長さは10mmである。また、金属継手部における係合部と樹脂継手部と間の部分は、管継手の金属継手部と樹脂管とを固定するのに用いられ、この部分の軸線方向の長さは25mmである。係合部の第1端部側の端と樹脂継手部との軸線方向の距離を、10mmと25mmとの和の35mmよりも短い35mm未満とすることで、金属継手部の軸線方向の長さをより確実に短くすることができる。
【0012】
また、前記管継手において、前記係合部は、前記樹脂継手部の前記第1端部側の端面に接触していてもよい。
この発明によれば、管継手における軸線方向の長さをより短くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の管継手によれば、工具を用いて管継手に金属管を接続する作業性を確保しつつ、収まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態の管継手の側面図である。
【
図3】同管継手に用いられる第1工具の平面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態の管継手の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る管継手の第1実施形態を、
図1から
図4を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の管継手1は、いわゆるソケット型の継手(変換継手)であり、樹脂管200と金属管210とを接続する。なお、
図1では、樹脂管200及び金属管210を二点鎖線で示している。
以下では、まず樹脂管200及び金属管210について説明する。
【0017】
樹脂管200は、ポリブテン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、架橋ポリエチレン樹脂、架橋ポリブテン樹脂等で形成されている。
金属管210は、円筒状の口金211と、多層管212と、を備えている。なお、管継手1と接続されるものは金属管210に限るものではなく、金属製のネジ部を備えた圧力計や流量計、温度計等の計器類でもよい。
口金211の第1端部の内周面には、管雌ネジ部214が形成されている。第1端部の外周面には、スパナ等の第2工具222を係合させるための管係合部215が形成されている。口金211における第1端部とは反対側の第2端部は、多層管212との接続部216になっている。
多層管212は、図示はしないが、管状に形成されたポリエチレン樹脂層、アルミニウム層等を、径方向に積層して構成されている。多層管212の端部は、口金211の接続部216に外嵌されている。
なお、金属管210の構成はこれに限定されない。
【0018】
次に、管継手1について説明する。管継手1は、樹脂継手部10と、把持部25と、金属継手部30と、係合部40と、を備えている。樹脂継手部10は、樹脂管200を接続するEF(エレクトロフュージョン)継手である。
樹脂継手部10及び金属継手部30は、それぞれ円筒状に形成されている。樹脂継手部10及び金属継手部30は、互いに共通の軸線上に、この軸線に沿う方向に位置をずらして配置された状態で互いに接続されている。以下では、この共通の軸線を、軸線Oと言う。軸線Oに直交する方向を径方向と言い、軸線O回りに周回する方向を周方向という。樹脂継手部10に対する金属継手部30側を先端側と言い、金属継手部30に対する樹脂継手部10側を基端側と言う。
【0019】
樹脂継手部10は、継手本体11と、加熱線(不図示)と、端子ピン14と、ボス15と、を備えている。
継手本体11は、円筒状に形成されている。継手本体11は、軸線O上に配置されている。継手本体11における基端側の部分の内径、及び樹脂管200の外径は、互いに同等である。
加熱線は、例えばニクロム線で形成されている。加熱線は、ニクロム線をコイル状に形成して構成され、継手本体11の内周面における基端側の部分に配置されている。
樹脂継手部10は、端子ピン14を一対備えている。なお、一対の端子ピン14、継手本体11における基端側の部分、及び加熱線で、樹脂管200が溶融接続される溶融接続部16を構成する。
【0020】
一対の端子ピン14は、継手本体11の外周面における基端側の部分に配置されている。一対の端子ピン14は、軸線O方向に互いに間隔を空けて配置されている。一対の端子ピン14には、加熱線の両端部がそれぞれ電気的に接続されている。
ボス15は、円筒状に形成されて継手本体11の外周面に設けられている。ボス15は、各端子ピン14を囲んでいる。
継手本体11及びボス15は、樹脂管200と同様の材料で一体に形成されている。
【0021】
継手本体11における先端部の外周面には、カシメリング18が取付けられている。カシメリング18は、金属継手部30の後述する連結部31の径方向外側を覆う継手本体11が、連結部31から径方向外側に離れるのを抑制している。
継手本体11の外周面における一対の端子ピン14の間に位置する部分には、インジケータ用の小突起19が配置されている。小突起19は、継手本体11の外周面に形成された穴内に配置されている。
小突起19は、樹脂継手部10と樹脂管200との接続が良好に行われると、径方向外側に向かって突出する。
【0022】
把持部25は、公知の構成のものである。例えば、把持部25は、継手本体11の基端部に設けられている。把持部25は、軸線O方向に見てC字形に形成された一対の把持片26,27と、把持片26,27の第1端部同士を連結する係止部材28と、を備えている。
把持片26は、継手本体11の基端面に固定されている。把持片26,27の第2端部同士は、軸線Oに平行な他の軸線周り互いに回転可能に連結されている。係止部材28は、把持片26の第1端部に回転可能に連結されている。係止部材28は、把持片26,27の第1端部同士を連結したり、この連結を解除したりすることができる。
係止部材28により互いの第1端部を連結された把持片26,27全体としての内径、及び樹脂管200の外径は、互いに同等である。係止部材28により互いの第1端部を連結された把持片26,27は、把持片26,27の間に配置された樹脂管200を把持する。
なお、把持部25の構成は、これに限定されない。
【0023】
金属継手部30及び係合部40は、砲金等の金属で形成されている。金属継手部30は、連結部31と、直管部32と、ネジ接続部33と、を備えている。
連結部31、直管部32、及びネジ接続部33は、それぞれ円筒状に形成されている。連結部31、直管部32、及びネジ接続部33は、軸線O上に、基端側から先端側に向かってこの順に配置されている。連結部31は、金属継手部30の基端部(第2端部)に形成されている。ネジ接続部33は、金属継手部30の先端部(第1端部)に形成されている。金属継手部30の先端部は、金属継手部30の基端部とは反対側の端部である。
金属継手部30において、連結部31からネジ接続部33に向かう向きが先端側であり、ネジ接続部33から連結部31に向かう向きが基端側である。
【0024】
連結部31の内径及び直管部32の内径は、互いに同程度である。連結部31の外径、直管部32の外径、及び樹脂管200の外径は、互いに同程度である。
連結部31の外周面には、環状突起(不図示)が連結部31と同軸に配置されている。環状突起の外周面には、ローレット溝(不図示)が形成されている。ローレット溝の種類は特に限定されないが、ローレット溝の種類は、例えばJIS B 0951:1962に規定される、アヤ目 m0.5である。
連結部31及び環状突起の径方向外側の表面は、樹脂継手部10の継手本体11に覆われている。ローレット溝の溝内に継手本体11の一部が入り込むことで、樹脂継手部10に対して金属継手部30の連結部31が軸線O周りに回転するのが規制されている。
【0025】
係合部40は、直管部32の先端部における外周面に、直管部32と同軸に設けられている。
図2に示すように、係合部40は、軸線O方向に見たときに六角形状を呈している。なお、係合部は、軸線O方向に見たときに八角形状等を呈していてもよい。
係合部40の内接円C1の径は、継手本体11の先端部(金属継手部30側の端部)の外径よりも大きい。なお、継手本体11の先端部にカシメリング18が取付けられている場合には、係合部40の内接円C1の径をカシメリング18の外径よりも大きくする。
係合部40は、互いに平行な一対の表面40aを3組備えている。互いに平行な一対の表面40a間の距離は、継手本体11の先端部の外径よりも大きい。
【0026】
例えば樹脂管200の外径が20A(27.2mm)の場合、継手本体11の先端部の外径は、40mmである。この場合、係合部40の内接円C1の径は40mmより大きくなる。例えば、呼びが41mm、幅(厚さ)が17mmのスパナが用いられる。係合部40の軸線O方向の長さは、10mmである。係合部40の先端から基端側に向かって17mmの範囲の外径が、樹脂継手部10の先端部も含めて、40mm以下であることが好ましい。
樹脂管200の外径が65A(76.3mm)の場合、継手本体11の先端部の外径は、100mmである。この場合、係合部40の内接円C1の径は100mmより大きくなる。例えば、呼びが105mm、幅が34mmのスパナが用いられる。係合部40の先端から基端側に向かって34mmの範囲の外径が、樹脂継手部10の先端部も含めて、100mm以下であることが好ましい。
【0027】
直管部32の外径は、内接円C1の径よりも小さい。
係合部40の軸線O方向の長さは、例えば10mmである。
図1に示すように、係合部40の先端と樹脂継手部10の継手本体11との軸線O方向の距離L1は、10mm以上35mm未満であることが好ましい。
【0028】
ネジ接続部33の内径、外径は、直管部32の内径、外径とそれぞれ同程度である。ネジ接続部33の外周面には、雄ネジ部(ネジ部)33aが形成されている。雄ネジ部33aには、金属管210の管雌ネジ部214がネジ嵌合により接続される。直管部32、ネジ接続部33、及び係合部40は、継手本体11に覆われず、外部に露出している。なお、ネジ部は、雄ネジ部33aに限定されず、雌ネジ部であってもよい。
金属継手部30及び係合部40は、砲金等の金属で形成された塊を削り出して形成されている。
樹脂継手部10の内部空間と、金属継手部30の内部空間とは、互いに連通している。
【0029】
なお、管継手1に樹脂管200及び金属管210を接続する工程は、以下のように行われる。
樹脂管200の端部の外周面を図示しないスクレーパで削り、樹脂管200のこの端部を管継手1の溶融接続部16内に挿入する。樹脂管200のこの端部を、把持部25により把持する。一対の端子ピン14間に通電すると、加熱線により樹脂継手部10の継手本体11及び樹脂管200が溶融する。これにより、管継手1と樹脂管200とが接続される。小突起19が、径方向外側に向かって突出する。
【0030】
一方で、金属継手部30の雄ネジ部33aに金属管210の管雌ネジ部214を嵌合させる。金属継手部30の係合部40の外周面に、スパナ等の第1工具221を取付ける。20Aから65Aの外径の樹脂管200を用いる場合には、樹脂管200の外径によらず、係合部40の先端から基端側に向かって、34mmを超える例えば35mm程度の範囲の外径を係合部40の内接円C1の径よりも小さくしておくことが好ましい。
図3に示すように、第1工具221がスパナの場合、第1工具221の幅(軸線O方向の長さ)L2は17mm~34mm程度である。
図1に示すように、金属管210の管係合部215に、第2工具222を取付ける。第1工具221に対して第2工具222を、軸線O回りの所定の向きに相対的に回転させる。雄ネジ部33aに管雌ネジ部214が締め付けられ、管継手1と金属管210とが接続される。
【0031】
図4に示す従来の管継手6は、本実施形態の管継手1の把持部25及び直管部32に代えて、クランプ部32Aを備えている。クランプ部32Aは、直管部32を軸線O方向に伸ばした形状に形成されている。クランプ部32Aにおける外部に露出した部分の軸線O方向の長さは、例えば樹脂管200の外径が20Aから65Aの場合、25mm程度である。
従来の管継手6では、管継手6と樹脂管200とを固定するために、公知のクランプ230を用いている。クランプ230は、把持部231,232を備えている。把持部231,232の軸線O方向の長さは、それぞれ25mm程度である。把持部231,232は、図示しない部材により互いに連結されている。
把持部231でクランプ部32Aを把持し、把持部232で樹脂管200を把持することで、管継手6と樹脂管200とを固定している。
クランプ230の把持部231を取付けるためのクランプ部32Aが管継手6に必要であるため、管継手6の金属継手部30の軸線O方向の長さが長くなる。
【0032】
この場合に、係合部40の外周面に取付けた第1工具221が係合部40よりも基端側に張り出すことがある。クランプ部32Aの外径が係合部40の内接円C1の径よりも小さいため、継手本体11の外径によらず、第1工具221が継手本体11に干渉し難い。
【0033】
これに対して、本実施形態の管継手1によれば、係合部40の外周面に第1工具221を取付け、金属管210に第2工具222を取付ける。そして、第1工具221に対して第2工具222を軸線O回りの所定の向きに相対的に回転させる。雄ネジ部33aに金属管210を締め付け、管継手1に金属管210を接続する。
この際に、金属管210に第2工具222が取付けられているため、第1工具221の軸線O方向の長さ(幅)が係合部40の軸線O方向の長さより長いと、第1工具221が係合部40よりも先端側に張り出すことができない場合がある。
【0034】
このような場合であっても、係合部40の内接円C1の径は、継手本体11(樹脂継手部10)の先端部の外径よりも大きい。このため、第1工具221が係合部40よりも基端側に張り出しても、継手本体11の先端部の径方向外側に第1工具221が配置され、第1工具221は継手本体11の先端部に干渉しない。このため、例えば、係合部40の先端と継手本体11との軸線O方向の距離L1を短くし、管継手1における軸線O方向の長さを短くした場合であっても、両工具221,222を用いて雄ネジ部33aに金属管210を締め付け、管継手1に金属管210を接続することができる。
従って、工具221,222を用いて管継手1に金属管210を接続する作業性を確保しつつ、管継手1の軸線O方向の長さを短くして、管継手1の収まりを向上させることができる。
【0035】
一般的に、樹脂継手部を形成する合成樹脂の単位体積当たりの材料費に比べて、金属継手部を形成する金属の単位体積当たりの材料費が高い。このため、従来の管継手に比べて金属継手部30の軸線O方向の長さを短くすることで、金属継手部を形成する材料費を抑えることができる。
【0036】
係合部40の先端と継手本体11との軸線O方向の距離L1は、10mm以上35mm未満である。
一般的に、係合部の軸線方向の長さは10mmである。また、金属継手部における係合部と樹脂継手部と間の部分は、管継手の金属継手部と樹脂管とを固定するのに用いられ、この部分の軸線方向の長さは25mmである。係合部40の先端と継手本体11との軸線O方向の距離L1を、10mmと25mmとの和の35mmよりも短い35mm未満とすることで、金属継手部30の軸線O方向の長さをより確実に短くすることができる。
管継手1は、把持部25を備えている。従って、把持部25により樹脂管200を把持して、管継手1に樹脂管200を容易に接続することができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図5を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の管継手2は、第1実施形態の管継手1の係合部40に代えて、係合部50を備えている。
係合部50は、係合部40と同様に、軸線O方向に見たときに六角形状を呈している。この例では、係合部50の内接円の径は、継手本体11における先端部の外径よりも小さい。係合部50の内接円の径は、直管部32の外径よりも大きい。
係合部50の先端と樹脂継手部10との軸線O方向の距離L4は、10mm以上50mm未満である。なお、距離L4は、10mm以上35mm未満であることがより好ましい。
【0038】
一般的に、係合部の軸線方向の長さは10mmであり、係合部の外周面にスパナ等の第1工具が取付けられる。また、金属継手部における係合部と樹脂継手部と間の部分は、公知のクランプにより管継手の金属継手部と樹脂管とを固定するのに用いられ、この部分の軸線方向の長さは25mmである。
距離L4が10mm以上50mm未満であることで、係合部50の先端と樹脂継手部10との軸線O方向の距離が、従来の管継手における係合部の先端と樹脂継手部との軸線方向の距離よりも短くなる。
この場合の係合部50に取付けられる第1工具221の幅は、第1工具221がスパナである場合には、JIS 4630:1998 スパナの規格により、例えば10mm以上40mm以下である。このため、第1工具221が係合部50から基端側に張り出しても、係合部50に第1工具221が取付けられる。従って、係合部50の外周面に第1工具221を取付けて、第1工具221を用いて管継手1に金属管を接続する作業性を確保しつつ、管継手1の収まりを向上させることができる。
なお、係合部50の内接円の径は特に限定されず、継手本体11における先端部の外径と同等でもよいし、この外径よりも大きくてもよい。
【0039】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、係合部40,50は、樹脂継手部10(継手本体11)の先端面に接触していてもよい。このように構成することで、管継手における軸線O方向の長さをより短くすることができる。
【0040】
また、前記第1実施形態及び第2実施形態では、管継手1,2はカシメリング18及び把持部25を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1,2 管継手
10 樹脂継手部
16 溶融接続部
25 把持部
30 金属継手部
33a 雄ネジ部(ネジ部)
40,50 係合部
200 樹脂管
210 金属管
C1 内接円
L1,L4 距離
O 軸線