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特許7492359ボイラ、およびそれを備えた発電プラント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】ボイラ、およびそれを備えた発電プラント
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/24 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
F22B37/24 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020064427
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021067449
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2019190133
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堂本 和宏
(72)【発明者】
【氏名】菱田 正志
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-096574(JP,A)
【文献】特開2011-117701(JP,A)
【文献】特開2003-106110(JP,A)
【文献】国際公開第1996/023187(WO,A1)
【文献】特開2005-042960(JP,A)
【文献】特表2015-505027(JP,A)
【文献】特開2012-092732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炉と、
前記火炉の内部側壁に設けられ、燃料を燃焼し燃焼ガスを発生させるバーナであって、前記火炉の鉛直方向における中間位置よりも上方に設けられたバーナと、
前記火炉の内部側壁における、前記火炉の前記鉛直方向における前記中間位置よりも下方に設けられた、前記火炉の内部を下降した前記燃焼ガスの前記火炉からの出口となる燃焼ガス排出口と、
前記燃焼ガス排出口に接続された、燃焼ガスが通過する燃焼ガス流路と、
前記燃焼ガス流路に設けられた、前記燃焼ガスと熱交換し蒸気を生成又は昇温する複数の伝熱管を有する伝熱部と、を備え、
前記燃焼ガス流路の上面は、前記火炉の前記鉛直方向における前記中間位置よりも下方に位置し、
前記燃焼ガス流路は、グランドレベルに設置されている、
ボイラ。
【請求項2】
前記ボイラは、前記伝熱部を支持するための鉄骨構造物をさらに備え、
前記ボイラは、液体燃料又は気体燃料を用いるボイラであり、
前記燃焼ガス流路の前記燃焼ガスが通過する最大流路高さをH、
前記燃焼ガス流路の下面位置と前記鉄骨構造物の基端位置との高さの差をΔH1としたときに、
ΔH1≦1Hの関係を満たす、
請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記燃焼ガス流路の下面は、前記火炉の下面と設置高さが一致するように構成されている、
請求項2に記載のボイラ。
【請求項4】
前記ボイラは、前記伝熱部を支持するための鉄骨構造物をさらに備え、
前記ボイラは、固体燃料を用いるボイラであり、
前記燃焼ガス流路の前記燃焼ガスが通過する最大流路高さをH、
前記燃焼ガス流路の下面位置と前記鉄骨構造物の基端位置との高さの差をΔH2としたときに、
ΔH2≦2Hの関係を満たす、
請求項1に記載のボイラ。
【請求項5】
前記伝熱部は、所定方向に延在し、前記複数の伝熱管の各々の一端部が接続された少なくとも一つの入口ヘッダと、前記所定方向に延在し、前記複数の伝熱管の各々の他端部が接続された少なくとも一つの出口ヘッダと、を含み、
前記出口ヘッダの長手方向における一方側の端部にのみ、蒸気出口となる出口連絡管を有する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のボイラ。
【請求項6】
火炉と、
前記火炉の内部側壁に設けられ、燃料を燃焼し燃焼ガスを発生させるバーナと、
前記火炉の内部側壁における前記バーナの下方に設けられた、前記火炉の内部を下降した前記燃焼ガスの前記火炉からの出口となる燃焼ガス排出口と、
前記燃焼ガス排出口に接続された、燃焼ガスが通過する燃焼ガス流路と、
前記燃焼ガス流路に設けられた、前記燃焼ガスと熱交換し蒸気を生成又は昇温する複数の伝熱管を有する伝熱部と、を備え、
前記燃焼ガス流路は、グランドレベルに設置されており、
前記伝熱部は、所定方向に延在し、前記複数の伝熱管の各々の一端部が接続された少なくとも一つの入口ヘッダと、前記所定方向に延在し、前記複数の伝熱管の各々の他端部が接続された少なくとも一つの出口ヘッダと、を含み、
前記出口ヘッダの長手方向における一方側の端部にのみ、蒸気出口となる出口連絡管を有し、
前記少なくとも一つの出口ヘッダは、第1出口ヘッダと、前記第1出口ヘッダとは異なる第2出口ヘッダと、を含み、
前記複数の伝熱管は、前記第1出口ヘッダにその他端部が接続される第1伝熱管群と、前記第2出口ヘッダにその他端部が接続される第2伝熱管群と、を含む
イラ。
【請求項7】
前記第1伝熱管群を構成する前記複数の伝熱管と、前記第2伝熱管群を構成する前記複数の伝熱管とは、前記所定方向に交互に配置されている、
請求項6に記載のボイラ。
【請求項8】
前記伝熱部は、前記複数の伝熱管と、前記少なくとも一つの入口ヘッダと、前記少なくとも一つの出口ヘッダと、がパッケージ化された少なくとも一つの伝熱モジュールを備え、
前記燃焼ガス流路には、前記伝熱モジュールを増設するための増設空間が形成されている、
請求項乃至7の何れか1項に記載のボイラ。
【請求項9】
前記鉄骨構造物は、設置面上に設置された一対の柱部材と、前記燃焼ガス流路の前記上面よりも上方において前記一対の柱部材間に架設される梁部材と、を含み、
前記伝熱部は、吊り下げ部材を介して前記梁部材に支持されている
請求項2乃至4の何れか1項に記載のボイラ。
【請求項10】
請求項1乃至の何れか1項に記載のボイラと、
前記ボイラで生成した蒸気が供給される蒸気負荷と、を備え、
前記燃焼ガス流路の前記燃焼ガスが通過する最大流路高さをH、
前記燃焼ガス流路の下面位置と前記蒸気負荷の設置位置との高さの差をΔH3としたときに、
ΔH3≦2Hの関係を満たす、
発電プラント。
【請求項11】
請求項5乃至7の何れか1項に記載のボイラと、
前記ボイラで生成した蒸気により回転する少なくとも1つの蒸気タービンを含み、
前記蒸気タービンの回転軸は、前記出口ヘッダの長手方向に対して交差する方向に延在し、
前記出口ヘッダの前記長手方向に対して直交し、且つ、前記出口ヘッダの前記一方側の端部を通過する仮想線に対して、前記出口ヘッダの前記長手方向における他方側の端部が存在する側を一方側領域、前記一方側領域と反対側を他方側領域と定義した場合に、前記蒸気タービンは、前記他方側領域に設置されている、
発電プラント。
【請求項12】
前記発電プラントの前記蒸気負荷に供給される前記蒸気の温度は566℃以上である、
請求項10に記載の発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボイラ、およびそのボイラを備えた発電プラントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラントの発電効率は蒸気条件に大きく影響される。そのため、近年、発電効率の更なる向上を図るため、蒸気タービンに供給される過熱蒸気の温度を、例えば600℃又はそれ以上に高めることが求められている。
一方で、こうした蒸気条件の高温化は、蒸気配管素材の選択にも大きな影響を与え、過熱蒸気の温度が向上するにつれ、それに耐えうる耐高圧・耐高温・耐高温腐食の高機能材料を用いた配管の使用量が増加する。その結果、高機能材料を用いた蒸気配管コストが火力発電プラントの建設コスト全体における大きな比重を占めるようになる。
【0003】
そのため、高機能材料を用いた蒸気配管コストを低減するための技術として、特許文献1には、地上建屋部と地中を掘り下げて形成した地中建屋部から構成されるボイラ建屋内を備える火力発電プラントが開示されている。
【0004】
従来の火力発電プラントの場合、例えば、縦型ボイラの高さは70mを超え、タービン建屋の2倍以上の高さとなるため、縦型ボイラの上端にある蒸気配管接続口と、タービン側の主蒸気止め弁や組合せ再熱弁の間には大きな高低差が発生する。しかし、この火力発電プラントによれば、縦型ボイラの上端部における蒸気配管接続口の高さ位置が、隣接するタービン建屋における主蒸気止め弁や組合せ再熱弁の設置高さ位置と同じとなるように、縦型ボイラがボイラ建屋内に設置されるため、主蒸気配管や再熱蒸気配管の配管長の短縮が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-43562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際に地中にボイラ建屋を形成するためには、地中を深く掘り下げることが必要となるため、高機能材料の使用量が低減できたとしても莫大な土建コストが掛かることとなり、火力発電プラント全体の建設コスト低減技術としての採用は難しい。
【0007】
本開示はこのような事情を鑑みてなされたものであり、高機能材料の使用量と、プラント全体としての建設コストの低減が可能となるボイラ、およびそれを備えた発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラは、火炉と、火炉の内部側壁に設けられ、燃料を燃焼し燃焼ガスを発生させるバーナと、前記火炉の内部側壁における前記バーナの下方に設けられた、前記燃焼ガスの前記火炉からの出口となる燃焼ガス排出口と、前記燃焼ガス排出口に接続された、燃焼ガスが通過する燃焼ガス流路と、前記燃焼ガス流路に設けられた、前記燃焼ガスと熱交換し蒸気を生成又は昇温する複数の伝熱管を有する伝熱部と、を備え、前記燃焼ガス流路は、グランドレベルに設置されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示のボイラ及びこれを備えた発電プラントによれば、高額な高機能材料の使用量と、プラント全体としての建設コストの低減が可能となるボイラ、およびそれを備えた発電プラントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るボイラ及び発電プラントの一例を表す概略図であり、燃料として液体燃料又は気体燃料を用いるボイラ及び発電プラントの一例を表す図である。
図2(a)】本開示の一実施形態に係るボイラ及びボイラの伝熱部を支える鉄骨構造の一例を表す概略図である。
図2(b)】本開示の一実施形態に係るボイラ及びボイラの伝熱部を支える鉄骨構造の一例を表す概略図である。
図2(c)】本開示の一実施形態に係るボイラ及びボイラの伝熱部を支える鉄骨構造の一例を表す概略図である。
図3】本開示の一実施形態に係るボイラ及び発電プラントの一例を表す概略図であり、燃料として固体燃料を用いるボイラ及び発電プラントの一例を表す図である。
図4】従来のボイラにおけるヘッダ構造を表す概略図である。
図5】本開示の一実施形態に係るボイラの伝熱部(片側蒸気抜き出しタイプ)の一例を表す概略図である。
図6】本開示の一実施形態に係るボイラの伝熱部(複数ヘッダ)の一例を表す概略図である。
図7】本開示の一実施形態に係るボイラの伝熱部(複数ヘッダ交互接続タイプ)の一例を表す概略図である。
図8】本開示の一実施形態に係るボイラ及び発電プラントの一例を表す概略図であり、蒸気タービン(蒸気負荷)の配置の一例を表す概略図である。
図9】本開示の一実施形態に係るボイラ及び発電プラントの一例を表す概略図であり、蒸気タービン(蒸気負荷)の配置の一例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1から図9を参照し、本開示の一実施形態に係るボイラ及び発電プラントについて説明する。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態に係るボイラ及び発電プラントの一例を表す概略図である。
【0013】
本実施形態の発電プラントAは、火力発電プラントであり、図1に示すように、石油などの液体燃料、又はLNG(液化天然ガス)などの気体燃料を燃焼させて蒸気を生成するためのボイラBと、ボイラBで生成した蒸気が供給されて駆動する蒸気タービン(蒸気負荷)Cと、を備えて構成されている。
【0014】
本実施形態のボイラBは、ボイラ火炉(火炉)1の上部の側壁またはコーナー部にバーナ本体2が設けられ、その下部に燃焼ガス排出口1aが開口して設けられ、更に燃焼ガス排出口1aに燃焼ガス流路3が連通して設けられている。すなわち、本実施形態のボイラBは、ボイラ火炉1の内部側壁におけるバーナ(バーナ本体2)の下方に燃焼ガス排出口1a及び燃焼ガス流路3が設けられている。
【0015】
一方、押込通風機8によって送り込まれてきた燃焼用空気は、空気予熱器7において所定温度に昇温され、燃焼用空気ダクト9を経てバーナ本体2に送り込まれる。また、燃料は、図示されていない燃料供給設備からバーナ本体2に送り込まれ、バーナノズル2aからボイラ火炉1の内部に噴射される。噴射された燃料は、図示されていない着火源によって着火し、燃焼用空気と拡散混合しつつ、ボイラ火炉1の内部を旋回燃焼しながら下降する。
【0016】
燃焼ガスは、ボイラ火炉1の下部側壁に設けられたボイラ火炉1の出口となる燃焼ガス排出口1aから燃焼ガス流路3に排出され、伝熱部4(過熱器4a、再熱器4b)、節炭器5、脱硝器6、空気予熱器7、電気集塵機10を経て、誘引通風機11により煙突12から大気に放出される。
なお、燃焼ガス流路3を通過した燃焼ガスは、再度、ガス再循環ダクト13上に設けられたガス再循環ファン14を経て火炉へ導入してもよい。
【0017】
図2(a)、図2(b)、図2(c)は、本実施形態のボイラB、及びボイラBの伝熱部4を支える鉄骨構造物16の一例を表す概略図である。
【0018】
伝熱部4は、ボイラ火炉1の下部側壁に開口して設けられた燃焼ガス排出口1aに接続される燃焼ガス流路3の内部に設けられている。
【0019】
ここで、伝熱部4は、密な状態で配置された多数の伝熱管18で構成されるため、ボイラBを構成する機器の中で特に重量の大きな機器となる。
通常(従来)、燃焼ガス流路3及び伝熱部4は、ボイラBの高所に位置するため、その位置を吊り下げ部材15で保持するボイラBの外側に組まれた鉄骨構造物16の高さも非常に高いものとなる。
【0020】
これに対し、本実施形態のボイラBでは、図2(a)、図2(b)、図2(c)に示すように、燃焼ガス流路3がグランドレベル17に設置される。また、本実施形態のボイラBでは、燃焼ガス流路3の下面3bがボイラ火炉1の下面1bと設置高さが一致するように構成されている。
【0021】
ここで、本開示における「グランドレベル17」は、ボイラBを設置する位置(周囲の位置を含む)の地面(地表面)レベルあるいは床スラブの上面などを厳密に示すものではなく、ボイラBを設置する部分の設置面30付近の低所を意味する。
【0022】
例えば、液体燃料又は気体燃料を用いる本実施形態のボイラBでは、図2(c)(図2(a),図2(b))のように、燃焼ガス流路3の燃焼ガスが通過する最大流路高さをH、燃焼ガス流路3の下面3b位置(少なくとも一部の下面3bの位置)と鉄骨構造物16の基端16a位置との高さの差(絶対値)をΔH1としたときに、ΔH1≦1Hの関係を満たすように構成されている。
なお、燃焼ガス流路3の下面3b位置(グランドレベル17)は、鉄骨構造物16の基端16a位置(設置面30)に対して上方にあっても下方にあってもよい。
【0023】
このように燃焼ガス流路3がグランドレベル17の低所の高さ位置に設けられているため、伝熱部4を支えるための鉄骨構造物16も高さの低いもので足りる。このため、鉄骨構造物16に使用される鉄骨の量、および据付コストの大幅な低減が可能となる。
【0024】
また、図2(b)や図2(c)に示すように、ボイラ火炉1の下部に配置すべき機器がある場合は、それら機器のみを格納する空間を地中に設けてもよいし、それら機器をボイラ火炉1の下部に設置できる高さにグランドレベル17を設定してもよい。いずれにせよ、燃焼ガス流路3は、ボイラ全体の高さに対しグランドレベル17の低所に設置される。
【0025】
また、ボイラ火炉1の下部に配置すべき機器としては、例えば再循環ファン14や配管などが挙げられる。
【0026】
一方、本実施形態の発電プラントAは、図3に示すように、石炭やバイオマスなどの固体燃料を燃焼させて蒸気を生成するためのボイラBと、ボイラBで生成した蒸気が供給されて駆動する蒸気タービン(蒸気負荷)Cと、を備えて構成しても勿論構わない。
【0027】
石炭やバイオマスなどの固体燃料を燃焼させて蒸気を生成するためのボイラBにおいては、例えば、ボイラ火炉1の下端側がホッパ状に形成され、ボイラ火炉1内で発生したアッシュをボイラ火炉1の下方に設置された炉底灰払い出し装置32によって排出するように構成されている。
【0028】
このため、この図3のようなボイラBでは、ボイラ火炉1の下部に配置すべき機器として、炉底灰払い出し装置32などが挙げられ、且つ、燃焼ガス流路3の下面3bはボイラ火炉1のホッパの下面1bと設置高さが異なる。
【0029】
また、石炭やバイオマスなどの固体燃料を燃焼させて蒸気を生成するためのボイラBでは、例えば、図3に示すように、燃焼ガス流路3の燃焼ガスが通過する最大流路高さをH、燃焼ガス流路3の下面3b位置と鉄骨構造物16の基端16a位置との高さの差(絶対値)をΔH2としたときに、ΔH2≦2Hの関係を満たすように構成されている。
なお、燃焼ガス流路3の下面3b位置(グランドレベル17)は、鉄骨構造物16の基端16a位置(設置面30)に対して上方にあっても下方にあってもよい。
【0030】
これにより、燃焼ガス流路3がグランドレベル17の低所の高さ位置に設けられ、伝熱部4を支えるための鉄骨構造物16も高さの低いもので足りる。よって、鉄骨構造物16に使用される鉄骨の量、および据付コストの大幅な低減が可能となる。
【0031】
次に、図4は、従来のボイラにおける伝熱部100を表す概略図である。また、図5は本実施形態の伝熱部4(片側蒸気抜き出しタイプ)の一例を表す概略図である。
【0032】
この伝熱部4は、例えば、図1に示すボイラBの燃焼ガス流路3に配置された過熱器4aや再熱器4bなどである。
【0033】
図4に示すように、従来の伝熱部100は、1つの入口ヘッダ19と1つの出口ヘッダ21とそれを結ぶ複数の伝熱管18を備え、入口ヘッダ19及び出口ヘッダ21は、それぞれ、長手方向両端部に外部と連通する入口連絡管20と出口連絡管22を有する。
【0034】
入口ヘッダ19、及び出口ヘッダ21は、例えば、図4の紙面左右方向に一致する所定方向に延在する円筒形状の管状部材であり、低合金鋼、高合金鋼、ステンレス鋼等の金属製とされる。また、入口ヘッダ19及び出口ヘッダ21の流体流通方向における断面積は、通過する蒸気の流量に応じて設定される。
ちなみに、図4における「所定方向」は、紙面左右方向と、紙面の表裏面方向の前後方向と、のどちらの方向でもよい。
【0035】
伝熱管18は、図4の紙面表裏方向に屈曲延在する管状部材であり、低合金鋼、高合金鋼、ステンレス鋼等の金属製とされる。伝熱管18内には流体が流通する流路が形成されている。流通する流体は、例えば水や蒸気などであり、ここでは蒸気とする。複数の伝熱管18は、所定方向に沿って互いに所定の間隔を空けて配列されている。図4では、6本の伝熱管18が配列されているが、実際にはおよそ100本~1000本の伝熱管18が配列されていてもよい。
【0036】
なお、蒸気(流体)は、入口連絡管20を介して入口ヘッダ19内に流入し、各伝熱管18に流入する。各伝熱管18内部を流通する蒸気は、伝熱管18の周囲を流通する燃焼ガスと熱交換が行われることで加熱されて温度が上昇する。加熱された蒸気は、伝熱管18から出口ヘッダ21内に流入して集約される。集約された蒸気は、出口ヘッダ21に設けられたそれぞれの出口連絡管22から取り出される。
【0037】
一方で、本開示の一実施形態である図5の伝熱部4における出口ヘッダ21は、長手方向の片側端部にのみ外部と連通する出口連絡管22を有する。このように構成することで、図4に示した構成と比べ、出口ヘッダ21に接続される配管が1本となる。その配管が蒸気条件の厳しい主蒸気配管である場合、高機能材料が用いられるため、出口ヘッダ21と蒸気タービンCの距離が離れているプラントほど、配管本数、つまり配管長短縮によるコストダウンの効果は大きいものとなる。
【0038】
また、図4のように出口ヘッダ21の両端に配管を接続する場合よりもプラント内での配管の取り回しが容易となり、また組み付け時の作業性も向上する。なお、入口ヘッダ19の入口連絡管20は、出口連絡管22と所定方向の同一側に設けられることが好ましい。
【0039】
図6は、本開示の一実施形態の他の伝熱部4(複数ヘッダタイプ)の構成を表す概略図である。
【0040】
図5に示す伝熱部4と同様、入口ヘッダ19と出口ヘッダ21を連通する複数の伝熱管18を有する点は同じだが、図6に示す伝熱部4における出口ヘッダ21は、所定方向に、第1出口ヘッダ21aと、第2出口ヘッダ21bを備える。
【0041】
また、第1出口ヘッダ21aは、長手方向片側端部に第1出口連絡管22aを有し、第2出口ヘッダ21bは、長手方向片側端部に第2出口連絡管22bを有する点が異なる。さらに、第1出口連絡管22aと第2出口連絡管22bは、所定方向において同一側に設けられている。複数の伝熱管18は、第1伝熱管群18Aと第2伝熱管群18Bを含んでいる。そして、第1出口ヘッダ21aには第1伝熱管群18Aの複数の伝熱管18の各々の他端部が接続され、第2出口ヘッダ21bには第2伝熱管群18Bの複数の伝熱管18の各々の他端部が接続されている。
【0042】
扱う蒸気量の大きな大規模プラントにおいては、蒸気条件に応じ出口ヘッダ21も大口径かつ高温・高圧対応のものが要求されるが、製造工場の製造能力によっては、製造が困難である場合がある。そのような場合でも、本実施形態のように出口ヘッダ21を分割して複数設けることで、各出口ヘッダ21に接続される伝熱管18の本数が低減できるため、1つあたりの扱う蒸気量が減り、口径の拡大を抑えることができる。
【0043】
また、第1出口連絡管22aと第2出口連絡管22bが所定方向において同一側に設けられているため、蒸気タービン(蒸気負荷)Cに接続される配管長の短縮が可能となる。さらに、組み付け時の作業性も向上する。なお、本実施例では、第1出口連絡管22aと第2出口連絡管22bは所定方向において同一側に設けているが、逆方向を向いていてもよい。
【0044】
図7は、本開示の一実施形態の他の伝熱部4(複数ヘッダ交互接続タイプ)の構成を表す概略図である。
【0045】
図7に示すように、この伝熱部4では、第1伝熱管群18Aの複数の伝熱管18の一端部、及び第2伝熱管群18Bの複数の伝熱管18の一端部がそれぞれ、所定方向に延在する入口ヘッダ19に接続されている。一方で、第1伝熱管群18A及び第2伝熱管群18Bの複数の伝熱管18の他端部は、所定方向に沿って、第1出口ヘッダ21aと第2出口ヘッダ21bに対して交互に接続されている。詳細には、図7における左側の伝熱管18から順に、第1出口ヘッダ21a、第2出口ヘッダ21b、第1出口ヘッダ21a、第2出口ヘッダ21b・・・のように交互に接続されている。
【0046】
なお、例えば、出口ヘッダ21が3つの出口ヘッダ(第1出口ヘッダ(21a)と、第1出口ヘッダ(21a)とは異なる第2出口ヘッダ(21b,・・・))、つまり、第1出口ヘッダ21a、第2出口ヘッダ21b、図示しない第3出口ヘッダで構成される場合は、第1出口ヘッダ21a、第2出口ヘッダ21b、第3出口ヘッダ・・・の順で交互に接続される。また、例えば第1出口ヘッダ21a、第3出口ヘッダ、第2出口ヘッダ21b・・・と交互に接続してもよい。
【0047】
そして、このように構成すると、例えば所定方向において、流通する燃焼ガスの流速や温度が偏って不均一である場合(例えば、高温側領域と低温側領域の2領域に分かれているような場合)であっても、交互に接続することで、各温度側領域に配置された伝熱管18から各出口ヘッダ21内へ流れる総熱量が略均等となるように蒸気を集約できる。
【0048】
次に、図8は、本開示の一実施形態の蒸気負荷である蒸気タービンCの配置図、及び発電プラントAを示す図である。
【0049】
本実施形態において、蒸気タービンCは、回転軸24が出口ヘッダ21の長手方向に対し直交する向きに延在し、ボイラの出口連絡管22側に設置されている。
【0050】
言い換えれば、本実施形態において、蒸気タービンCの回転軸24は、出口ヘッダ21の長手方向に対して交差する方向に延在して設けられている。また、出口ヘッダ21の長手方向に対して直交するとともに出口ヘッダ21の一方側の端部を通過する仮想線Sに対して、出口ヘッダ21の長手方向における他方側の端部が存在する側を一方側領域R1、一方側領域R1と反対側を他方側領域R2と定義した場合に、蒸気タービンCは、他方側領域R2に設置されている。
【0051】
さらに、本実施形態では、図9に示すように、燃焼ガス流路3の燃焼ガスが通過する最大流路高さをH、燃焼ガス流路3の下面3bの位置と蒸気タービンCの設置位置31との高さの差(絶対値)をΔH3としたときに、ΔH3≦2Hの関係を満たすように構成されている。
なお、燃焼ガス流路3の下面3b位置(グランドレベル17)は、蒸気タービンCの設置位置31に対して上方にあっても下方にあってもよい。また、本開示において、燃焼ガス流路3の下面3b位置が蒸気タービンCの設置位置31に対して上方の場合は蒸気タービンCの設置位置31はその上端、燃焼ガス流路3の下面3b位置が蒸気タービンCの設置位置31に対して下方の場合は蒸気タービンCの設置位置31はその下端となる。
【0052】
このように配置することで、出口ヘッダ21の長手方向片側端部に設けられた出口連絡管22と蒸気タービンCの間の距離を抑えられるため、蒸気配管の長さを短縮することができる。
【0053】
また、本実施例における火力発電プラントなどの発電プラントAの蒸気条件は566℃以上、好ましくは600℃以上とされ、このような場合、主蒸気配管等に高価な高機能材料を使うことになるため、配管長の短縮によるコスト削減効果は非常に大きいものとなる。
なお、高効率微粉炭火力発電技術(USC)分野において、主蒸気温度を566℃以上(再熱蒸気温度593℃以上)で、優れた送電端効率、CO削減性能が得られることが確認されている。
【0054】
また、伝熱部4は、複数の伝熱管18と入口ヘッダ19と出口ヘッダ21がパッケージ化された伝熱モジュール(過熱器4a,再熱器4b)を備えて構成され、図1に示すように、燃焼ガス流路3には、伝熱モジュールを増設するための増設空間3aが設けられていてもよい。
【0055】
このように増設空間3aを設けることで、建設後のボイラにおいて、要求仕様に変更が生じた場合であっても、容易に伝熱モジュールを追加することが可能となるため、改造コストの低減が可能となる。
【0056】
以上、本開示のボイラ及び発電プラントの一実施形態について説明したが、発明に係るボイラ及び発電プラントは、上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0057】
例えば、本実施形態では、蒸気負荷が蒸気タービンCであるものとして説明を行ったが必ずしも蒸気タービンCに限定しなくてもよい。例えば、蓄熱設備・加熱設備・蒸留設備・乾燥設備・殺菌設備などの蒸気負荷であってもよい。
【0058】
また、伝熱部4は、必ずしも本実施形態の構成に限定しなくてもよく、公知の伝熱部の構成を適用しても構わない。
【0059】
最後に、実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0060】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラ(ボイラB)は、火炉(ボイラ火炉1)と、火炉の内部側壁に設けられ、燃料を燃焼し燃焼ガスを発生させるバーナ(バーナ本体2)と、火炉の内部側壁におけるバーナの下方に設けられた、燃焼ガスの火炉からの出口となる燃焼ガス排出口(燃焼ガス排出口1a)と、燃焼ガス排出口に接続された、燃焼ガスが通過する燃焼ガス流路(燃焼ガス流路3)、燃焼ガス流路に設けられた、燃焼ガスと熱交換し蒸気を生成又は昇温する複数の伝熱管(伝熱管18)を有する伝熱部(伝熱部4)と、を備え、燃焼ガス流路は、グランドレベル(グランドレベル17)に設置されている。
【0061】
上記(1)のボイラによれば、火炉の内部側壁における前記バーナの下方に設けられた燃焼ガス排出口に接続され、ボイラを構成する機器の中でも特に重量の大きな伝熱部を内部に有する燃焼ガス流路が、一般的に設置される高所ではなく、グランドレベルの低所に設置されるため、伝熱部を支えるために使用される鉄骨(柱部材と梁部材(トップビームなど))や耐高圧・耐高温・耐高温腐食の高機能材料(高機能性配管など)の量、及び据付コストの大幅な低減が可能となる。
【0062】
また、グランドレベルの低所に設置されることで、伝熱面の点検・保守作業が安全かつ容易になるとともに、作業前に組み上げる足場の削減が可能となり、建設後のプラント運用コストの低減にもつながる。
【0063】
なお、上記(1)における「グランドレベル」は、ボイラを設置する位置(周囲の位置を含む)の地表面(あるいは床スラブの上面など)を厳密に示すものではなく、ボイラを設置する部分の設置面付近の低所を意味する。
【0064】
(2)本開示の別の実施形態に係るボイラは、上記(1)のボイラであって、ボイラは、伝熱部を支持するための鉄骨構造物(鉄骨構造物16)をさらに備え、燃料が液体燃料又は気体燃料である場合において、燃焼ガス流路の燃焼ガスが通過する最大流路高さをH、燃焼ガス流路の下面(下面3b)位置と鉄骨構造物の基端(16a)基端位置との高さの差をΔH1としたときに、ΔH1≦1Hの関係を満たす。
【0065】
上記(2)のボイラによれば、石油などの液体燃料、又はLNG(液化天然ガス)などの気体燃料を用いるボイラにおいて、ΔH1≦1Hの関係を満たすようにグランドレベルが設定されていることにより、上記(1)の作用効果を好適に得ることが可能になる。
【0066】
(3)本開示の別の実施形態に係るボイラは、上記(2)のボイラであって、燃焼ガス流路の下面は、火炉の下面(下面1b)と設置高さが一致するように構成されている。
【0067】
上記(3)のボイラによれば、燃焼ガス流路の下面が火炉の下面と設置高さが一致するため、台座(ボトムサポート)の構築が容易となる。
【0068】
(4)本開示の別の実施形態に係るボイラは、上記(1)のボイラであって、ボイラは、伝熱部を支持するための鉄骨構造物をさらに備え、燃料が固体燃料である場合において、燃焼ガス流路の燃焼ガスが通過する最大流路高さをH、燃焼ガス流路の下面位置と鉄骨構造物の基端位置との高さの差をΔH2としたときに、ΔH2≦2Hの関係を満たす。
【0069】
上記(4)のボイラによれば、石炭やバイオマスなどの固体燃料を用いるボイラでは、火炉で発生したアッシュを回収して除去するための構成が必要になるが、ΔH2≦2Hの関係を満たすようにグランドレベルが設定されていることにより、上記(1)の作用効果を好適に得ることが可能になる。
【0070】
(5)本開示の別の実施形態に係るボイラは、上記(1)乃至(4)の何れかのボイラであって、伝熱部は、所定方向に延在し、複数の伝熱管の各々の一端部が接続された少なくとも一つの入口ヘッダ(入口ヘッダ19)と、所定方向に延在し、複数の伝熱管の各々の他端部が接続された少なくとも一つの出口ヘッダ(出口ヘッダ21、21a、21b)と、を含み、出口ヘッダの長手方向における一方側の端部にのみ、蒸気出口となる出口連絡管(出口連絡管22、22a、22b)を有する。
【0071】
上記(5)のボイラによれば、通常は高所に設置される伝熱部が低所に設置されるため、出口ヘッダの出口連絡管と、蒸気タービンなどの蒸気負荷と、を接続する蒸気配管の長さを大幅に短縮することができる。また、一般的には、出口ヘッダの長手方向両端部に出口連絡管を有する構成が採用されているが、その構成と比べ、一端部から1本の管で蒸気を抜くこととなるため、蒸気配管の長さをさらに短縮することができる。特に主蒸気配管は蒸気条件が非常に厳しい配管であり、高機能材料が用いられるため、出口ヘッダと蒸気タービンの距離が離れているプラントほど、配管長短縮による大きなコストダウン効果を得ることができる。また、配管本数が減ることにより、プラント内での配管の取り回しが容易となり、また組み付け時の作業性の向上にもつながる。
【0072】
(6)本開示の別の実施形態に係るボイラは、上記(5)のボイラであって、少なくとも一つの出口ヘッダは、第1出口ヘッダ(第1出口ヘッダ21a)と、第1出口ヘッダとは異なる第2出口ヘッダ(第2出口ヘッダ21b,・・・)と、を含み、複数の伝熱管は、第1出口ヘッダにその他端部が接続される第1伝熱管群(18A)と、第2出口ヘッダにその他端部が接続される第2伝熱管群(18B)と、を含む。
【0073】
上記(6)のボイラによれば、伝熱部は、第1出口ヘッダと第2出口ヘッダの複数の出口ヘッダを有し、複数の伝熱管は、第1出口ヘッダに他端部を接続して設けられる第1伝熱管群と、第2出口ヘッダに他端部を接続して設けられる第2伝熱管群と、にグループ分けされる。
【0074】
このように構成したことで、例えば、大口径かつ高温・高圧対応の出口ヘッダの製造能力が不足するような場合に、入口ヘッダの延在する方向(所定方向)に並べて配置された複数の伝熱管が、2つ以上のグループに分けられて、グループごとに異なる出口ヘッダに接続されることで、1つの出口ヘッダの扱う蒸気量を減らすことができる。これにより、出口ヘッダの口径拡大を抑えることができ、大規模なプラントであっても、配管長短縮のコストダウン効果を得ることが可能となる。
【0075】
(7)本開示の別の実施形態に係るボイラは、上記(6)のボイラであって、第1伝熱管群を構成する複数の伝熱管と、第2伝熱管群を構成する前記複数の伝熱管とは、所定方向に交互に配置されている。
【0076】
上記(7)のボイラによれば、伝熱部の設けられた燃焼ガス流路内において、流通するガスの流速や温度が所定方向において偏りが生じているような場合であっても、第1伝熱管群の伝熱管と、第2伝熱管群の伝熱管とが交互に配置されていることで、第1出口ヘッダと第2出口ヘッダのそれぞれのヘッダ内の蒸気の温度は略均一化されるため、各出口ヘッダの下流側機器においても出口ヘッダの違いに起因する温度不均一を抑制することができる。
【0077】
(8)本開示の別の実施形態に係るボイラは、上記(1)乃至(7)の何れかのボイラであって、伝熱部は、複数の伝熱管と、少なくとも一つの入口ヘッダと、少なくとも一つの出口ヘッダと、がパッケージ化された少なくとも一つの伝熱モジュール(伝熱モジュール,過熱器4a,再熱器4b)を備え、燃焼ガス流路には、伝熱モジュールを増設するための増設空間(増設空間3a)が形成されている。
【0078】
上記(8)のボイラによれば、建設後のボイラにおいて要求仕様に変更が生じた場合であっても、容易に伝熱モジュールを追加することが可能となるため、改造コストの低減が可能となる。
【0079】
(9)本開示の一実施形態に係る発電プラントは、上記(1)乃至(8)の何れかのボイラと、ボイラで生成した蒸気が供給される蒸気負荷(蒸気タービンC)と、を備え、燃焼ガス流路の燃焼ガスが通過する最大流路高さをH、燃焼ガス流路の下面位置と蒸気負荷の設置位置(設置位置31)との高さの差をΔH3としたときに、ΔH3≦2Hの関係を満たす。
【0080】
上記(9)の発電プラントによれば、上記(1)乃至(8)の何れかのボイラの作用効果を得ることができる。
さらに、燃焼ガス流路の下面位置と蒸気タービンなどの蒸気負荷の設置位置との高さの差ΔH3がΔH3≦2Hの関係を満たすように構成されていることで、伝熱部の出口ヘッダの出口連絡管と、蒸気タービンなどの蒸気負荷と、を接続する蒸気配管の長さを大幅に短縮することができる。
また、特に主蒸気配管は蒸気条件が非常に厳しい配管であり、高機能材料が用いられるため、配管長短縮による大きなコストダウン効果を得ることができる。さらに、配管本数も減らすこともでき、プラント内での配管の取り回しが容易となり、また組み付け時の作業性の向上にもつながる。
【0081】
(10)本開示の一実施形態に係る発電プラントは、上記(5)乃至(7)の何れかのボイラと、ボイラで生成した蒸気により回転する少なくとも1つの蒸気タービン(蒸気タービンC)を含み、蒸気タービンの回転軸(回転軸24)は、出口ヘッダの長手方向に対して交差する方向に延在し、出口ヘッダの長手方向に対して直交するとともに出口ヘッダの一方側の端部を通過する仮想線(仮想線S)に対して、出口ヘッダの長手方向における他方側の端部が存在する側を一方側領域(一方側領域R1)、一方側領域と反対側を他方側領域(他方側領域R2)と定義した場合に、蒸気タービンは、他方側領域に設置されている。
【0082】
上記(10)の発電プラントによれば、蒸気タービンが前記他方側領域に設置されていることにより、出口ヘッダの長手方向片側端部に設けられた出口連絡管と蒸気タービンの間の距離を抑えられるため、蒸気配管の長さを短縮することができる。
【0083】
(11)本開示の一実施形態に係る発電プラントは、上記(9)又は(10)の発電プラントであって、発電プラントの蒸気条件は566℃以上である。
【0084】
上記(11)の発電プラントによれば、蒸気条件が主蒸気配管等に高機能材料を使うことになる566℃以上の高温条件であるため、配管長の短縮による発電プラント全体のコスト削減効果はより大きなものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示のボイラや発電プラントは、石炭火力発電所などに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 ボイラ火炉(火炉)
1a 燃焼ガス排出口
1b 火炉の下面
2 バーナ本体(バーナ)
2a バーナノズル
3 燃焼ガス流路
3a 増設空間
3b 燃焼ガス流路の下面
4 伝熱部
4a 過熱器(伝熱モジュール)
4b 再熱器(伝熱モジュール)
5 節炭器
6 脱硝器
7 空気予熱器
8 押込通風機
9 燃焼用空気ダクト
10 電気集塵機
11 誘引通風機
12 煙突
13 ガス再循環ダクト
14 ガス再循環ファン
15 吊り下げ部材
16 鉄骨構造物
16a 基端
17 グランドレベル
18 伝熱管
18A 第1伝熱管群
18B 第2伝熱管群
19 入口ヘッダ
20 入口連絡管
21 出口ヘッダ
21a 第1出口ヘッダ
21b 第2出口ヘッダ
22 出口連絡管
22a 第1出口連絡管
22b 第2出口連絡管
24 回転軸
30 設置面
31 蒸気負荷の設置位置
32 炉底灰払い出し装置
A 発電プラント
B ボイラ
C 蒸気タービン(蒸気負荷)
R1 一方側領域
R2 他方側領域
S 仮想線
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9