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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】足親指リフトアップサポート用具
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/10 20060101AFI20240522BHJP
   A61F 5/01 20060101ALN20240522BHJP
【FI】
A63B23/10
A61F5/01 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020067321
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021159649
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】505235989
【氏名又は名称】株式会社ツインズ
(74)【代理人】
【識別番号】100139033
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 賢治
(72)【発明者】
【氏名】梶原隆司
(72)【発明者】
【氏名】土田高史
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3217091(JP,U)
【文献】特開2019-210557(JP,A)
【文献】特開2009-275340(JP,A)
【文献】登録実用新案第3180225(JP,U)
【文献】特開平07-289571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 23/10
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の足親指を弾性力によってリフトアップすることにより、母指球を着地主体とするランニング及び歩行を行うための足親指リフトアップサポート用具であって、
当該足親指リフトアップサポート用具は、
親指の付け根を足裏側から支持する親指支持部と、前記親指支持部の左右両側に接続される2つの連結部と、前記連結部のそれぞれに接続される2本の弾性紐部とからなり、
前記親指支持部、前記連結部、前記弾性紐部の軸線方向に対する各引張弾性率の関係は、
前記連結部の引張弾性率>前記弾性紐部の引張弾性率≧前記親指支持部の引張弾性率、である、
ことを特徴とする足親指リフトアップサポート用具。
【請求項2】
前記連結部は、軸線方向に対して非伸縮性である、
ことを特徴とする請求項1に記載の足親指リフトアップサポート用具。
【請求項3】
前記親指支持部、2つの前記連結部、2本の前記弾性紐部は、組紐として一体に編み込まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の足親指リフトアップサポート用具。
【請求項4】
前記親指支持部、前記連結部、前記弾性紐部の断面中心位置には、非伸縮性又は伸縮性の中心紐が連続して配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の足親指リフトアップサポート用具。
【請求項5】
前記親指支持部、前記連結部、前記弾性紐部は、組紐の編み込み密度がそれぞれ相違することにより、それぞれの引張弾性率が相違する、
ことを特徴とする請求項3に記載の足親指リフトアップサポート用具。
【請求項6】
2本の前記弾性紐部の先端を固定する固定具を更に有し、
前記弾性紐部の先端領域には、前記固定具に形成される2つの孔の径よりも大きな径からなる弾性こぶ部が適宜の間隔で複数個配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の足親指リフトアップサポート用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の足親指を弾性力によって引っ張り上げることにより、母指球を主体にしたランニング及び歩行を行うための足親指リフトアップサポート用具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種スポーツ競技の科学的分析が進化する中、短距離を速く走るため、或いは長距離を効率的に走り抜くためには、母指球で着地するスタイルが最も効果的であると言われている。足先側からではなく踵から着地する走り方の場合、重心が体の後ろ側になることで筋肉や腰に負担が掛かかるため、前半でエネルギーを使い果たしてしまい、結果としてタイムが上がらない。母指球ラインで着地し指先から蹴り出すイメージで走る走法は、フォアフット走法とも呼ばれているが、多くの有名アスリートも母指球を意識した走りが重要であると指摘しており、これを見たネットユーザーや著名人が、市販の輪ゴムを親指に引っ掛けて足首に固定して走ってみたところ、走破タイムが大きく縮まったことをSNS上にアップしている。
【0003】
こうした母指球着地スタイルをサポートする道具として、市販の輪ゴムでは使い勝手が悪いとともに、強い弾性力によって皮膚に食い込み、痛く、かつ皮膚に使用跡が残ると言う問題がある。また、輪ゴムの場合、切れたり伸びきったりする問題もある。
【0004】
母指球着地スタイルを日々の通常歩行時、日々の日常生活の中でも行うことで、ランニング時に違和感なく母指球着地を行うことができるようになる。
【0005】
従来から、外反母趾を予防・矯正するための用具や足指の矯正具、足指のトレーニング用具、母指球着地をサポートするランニングシューズ等は知られているが、母指球を主体にしたランニング及び歩行を行うことを目的とした足親指をリフトアップさせるためのサポート用具は存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-542848号公報
【文献】特開2007-313043号公報
【文献】特開2008-093008号公報
【文献】特開2017-225618号公報
【文献】特開2017-520362号公報
【文献】実用新案登録第3210760号
【文献】実用新案登録第3224932号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、上記した市販の輪ゴムを使用するのではなく、母指球による着地スタイルをサポートするための専用の用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本願発明は、使用者の足親指を弾性力によってリフトアップすることにより、母指球を着地主体とするランニング及び歩行を行うための足親指リフトアップサポート用具であって、当該足親指リフトアップサポート用具は、親指の付け根を足裏側から支持する親指支持部と、前記親指支持部の左右両側に接続される2つの連結部と、前記連結部のそれぞれに接続される2本の弾性紐部とからなり、前記親指支持部、前記連結部、前記弾性紐部の軸線方向に対する各引張弾性率の関係は、前記連結部の引張弾性率>前記弾性紐部の引張弾性率≧前記親指支持部の引張弾性率、である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を有する本願発明に係る足親指リフトアップサポート用具によれば、適度な弾性力を持って足の親指をリフトアップさせることで、痛みもなく、使用跡も残らなくすることができる。
【0010】
また、足親指のリフトアップ力、締め付け具合を、使用者の好みに合わせて、或いは使用者の足の大きな等に合わせて、使用者自身で調節することができる。
【0011】
使用者は、本願発明に係る足親指リフトアップサポート用具を使用することによりフォアフット走法を自然と行うことができ、短距離、中・長距離に拘わらずその走力を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る足親指リフトアップサポート用具の平面概略図。
図2】本発明に係る足親指リフトアップサポート用具の使用状態を示す斜視図。
図3】本発明に係る足親指リフトアップサポート用具の使用状態を示す側面図。
図4】本発明に係る固定具を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施し得る。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る足親指リフトアップサポート用具1の平面概略図であり、足親指リフトアップサポート用具1に対して外力が働いていない自然状態を示す全体像である。
【0015】
足親指リフトアップサポート用具1は、長さ方向の中心位置に親指支持部2が配置され、その両側に2つの連結部3が、更に2つの連結部3にはそれぞれ弾性紐部4が接続されて、一本の紐状となっている。
【0016】
親指支持部2は平面視で小判形状であり、使用者の親指の付け根部分に足裏側からあてがわれるものであり、連結部3及び弾性紐部4によって引っ張られることで親指をリフトアップさせ、走行及び歩行動作の際に、母指球による着地スタイルを実現するものである。
【0017】
親指支持部2、連結部3、弾性紐部4は、組紐によって一体に編み込まれており、弾性糸と非弾性糸を適宜の割合で組み合わせた撚糸によって編まれている。親指支持部2は疎に、連結部3は密に、弾性紐部4はやや疎に編むことで、それそれの引張弾性率(弾性率=応力/ひずみ)を異ならせている。
【0018】
図1に示すとおり、連結部3は密に編まれることで径が細くて硬く、弾性紐部4はやや疎、或いはやや密に編まれることで連結部3よりも径が太くて柔らかくなっている。
【0019】
連結部3は強固に密に編むことで、軸線方向にほとんど弾性変形しないように硬く構成されており、親指支持部2を最も疎に編むことで、親指の付け根を優しい弾力(伸びやすい構造)で支持するようにしてある。
【0020】
また、一体に編み込まれる親指支持部2、連結部3、弾性紐部4の断面中心位置に、芯材(図示せず)を配置する二層構造としても良い。その場合の芯材は、伸縮性であっても、或いは非伸縮性であっても良い。
【0021】
弾性紐部4の先端領域には、後述する固定具6によって締め付け度合いを調節するためのこぶ部5が、適宜の間隔を持って複数個(本実施形態では5個)設けられている。
【0022】
なお、上記したこぶ部5及び固定具6は、締め付け度合いを容易に調節できるための手段であって、必要に応じて採用すれば良く、必須の構成ではない。
【0023】
また上記した組紐の構造及び製造方法は、出願人による特許第5079926号、特許第6501277号、特許第6425364号、特許第6498834号等に詳細に開示されているため、これらを参照されたい。
【0024】
図2、3は、足親指リフトアップサポート用具1の使用方法、使用状態を説明する図である。使用者は、まず弾性紐部4の先端領域にあるこぶ部5を、図4に示す固定具6の孔7-1、7-2に互いに逆方向から挿通して足親指リフトアップサポート用具1の全体を輪の状態にする。
【0025】
輪になった足親指リフトアップサポート用具1に足を通し、親指支持部2を1回転させて親指の裏側付け根にあてがう。その後、使用者の好みに合った弾性力にてセットするために、こぶ部5と固定具6との関係を適宜に調節する。こぶ部5は弾性変形可能であり、自然状態において孔7-1、7-2の径よりも大きいため、こぶ部5を挿通した後は、こぶ部5が孔7-1、7-2に引っ掛かることで、セット状態を維持するストッパーとしての機能を有する。セット状態となった時、図3に示すようにX方向の引っ張り力によって親指AはY方向にリフトアップされ、側面視において母指球Bがせり出すようになるため、走ったり歩いたりする際に母指球から着地するようになる。
【0026】
連結部3は密で弾性変形せず、親指支持部2と弾性紐部4のテンションによって親指の付け根がサポートされ、かつ組紐であることから、輪ゴムのように使用者の皮膚に食い込まず、痛みを軽減し、かつ使用跡が残ることもほとんど無い(連結部3、弾性紐部4が触れる皮膚も同様)。
【0027】
なお、本実施形態ではこぶ部5及び固定具6によって締め付け度合いを容易に調節できるようにしているが、これらの構成を採用せずに、使用者が単純に弾性紐部4の先端領域を足の後ろ側(アキレス腱側)で縛る(結ぶ)ことで固定するようにしても良い。或いは、弾性紐部4の先端領域に面ファスナーを取付け、面ファスナーによって調節する方法や、一方側にアジャスターやバックルを設けて他方側の先端を固定する等の調節機能であっても良く、公知の適宜の手段を用いることができる。
【0028】
また、本実施形態では、親指支持部2、連結部3、弾性紐部4は、組紐によって一体に編み込む例を示したが、それぞれ別々に作成し、縫い付けや接着等の手段によって連結しても良い。
【0029】
以上のとおり、本願発明に係る足親指リフトアップサポート用具によれば、適度な弾性力を持って足の親指をリフトアップさせることで、痛みもなく、使用跡も残らなくすることができる。また、足親指のリフトアップ力、締め付け具合を、使用者の好みに合わせて、或いは使用者の足の大きな等に合わせて使用者自身で行うことができる。本願発明に係る足親指リフトアップサポート用具を使用することによりフォアフット走法を自然と行うことができ、短距離、中・長距離に拘わらず、使用者の走力を効果的に向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 足親指リフトアップサポート用具
2 親指支持部
3 連結部
4 弾性紐部
5 弾性こぶ部
6 固定具
7-1、7-2 孔

図1
図2
図3
図4