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特許7492394危険領域提示装置、危険領域提示システム、危険領域提示方法及びプログラム
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  • 特許-危険領域提示装置、危険領域提示システム、危険領域提示方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】危険領域提示装置、危険領域提示システム、危険領域提示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20240522BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20240522BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
G09B29/00 F
G08B27/00 C
G08B21/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020124517
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022021114
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】横山 雄大
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194968(JP,A)
【文献】特開2015-094956(JP,A)
【文献】特開2012-252020(JP,A)
【文献】特開2010-181206(JP,A)
【文献】「危険度分布」にリスク情報を重ね合わせて表示できるよう改善します,気象庁 報道発表 [online],2019年12月24日,https://www.jma.go.jp/jma/press/1912/24a/20191224_RMonHM.pdf,[2024年01月23日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08B 19/00-21/24,
23/00-31/00
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の災害に対して潜在的に危険性があると指定されている区域と、前記災害に関して現時点の危険度が所定以上である領域とで重畳している部分を危険領域と判定する判定部と、
前記危険領域に含まれる前記区域の危険度と、前記危険領域に含まれる前記領域の危険度との組み合わせに応じた態様で前記危険領域を強調して地図上に表示させるための表示情報を、ユーザが利用する装置に送信する送信部と、
を有する危険領域提示装置。
【請求項2】
土砂災害警戒判定メッシュ情報又は降水ナウキャスト情報を取得する取得部を有し、
前記判定部は、
前記災害に対して潜在的に危険性があると指定されている区域と、最新の土砂災害警戒判定メッシュ情報が表す領域のうち、危険度が所定以上である領域とで重畳している領域を危険領域と判定する、又は、前記災害に対して潜在的に危険性があると指定されている区域と、最新の降水ナウキャスト情報が表す領域のうち、雨量が所定以上である領域とで重畳している領域を危険領域と判定する、請求項1に記載の危険領域提示装置。
【請求項3】
前記災害に対して潜在的に危険性があると指定されている区域は、土砂災害に関する特別警戒区域又は警戒区域である、請求項1又は2に記載の危険領域提示装置。
【請求項4】
前記態様には、前記危険領域を点滅表示させる態様が含まれる、請求項1乃至3の何れか一項に記載の危険領域提示装置。
【請求項5】
サーバと、クライアントとが含まれる危険領域提示システムであって、
前記サーバは、
所定の災害に対して潜在的に危険性があると指定されている区域と、前記災害に関して現時点の危険度が所定以上である領域とで重畳している部分を危険領域と判定する判定部と、
前記危険領域に含まれる前記区域の危険度と、前記危険領域に含まれる前記領域の危険度との組み合わせに応じた態様で前記危険領域を強調して地図上に表示させるための表示情報を前記クライアントに送信する送信部と、を有する、
危険領域提示システム。
【請求項6】
所定の災害に対して潜在的に危険性があると指定されている区域と、前記災害に関して現時点の危険度が所定以上である領域とで重畳している部分を危険領域と判定する判定手順と、
前記危険領域に含まれる前記区域の危険度と、前記危険領域に含まれる前記領域の危険度との組み合わせに応じた態様で前記危険領域を強調して地図上に表示させるための表示情報を、ユーザが利用する装置に送信する送信手順と、
コンピュータが実行する危険領域提示方法。
【請求項7】
所定の災害に対して潜在的に危険性があると指定されている区域と、前記災害に関して現時点の危険度が所定以上である領域とで重畳している部分を危険領域と判定する判定手順、
前記危険領域に含まれる前記区域の危険度と、前記危険領域に含まれる前記領域の危険度との組み合わせに応じた態様で前記危険領域を強調して地図上に表示させるための表示情報を、ユーザが利用する装置に送信する送信手順、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険領域提示装置、危険領域提示システム、危険領域提示方法及びプログラムに関する。

【背景技術】
【0002】
近年では各自治体等により土砂災害ハザードマップが整備されており、土砂災害に対して潜在的に危険性がある地域を知ることができる。また、大雨による土砂災害発生の危険度の高まりを表す土砂災害警戒判定メッシュ情報が気象庁により発表されており、リアルタイムで土砂災害の危険度が高まっている地域を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-113913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、土砂災害に対して潜在的に危険性がある地域とリアルタイムで土砂災害発生の危険度が高まっている地域の両方を同時かつ容易に確認できるような技術又はサービスは存在しなかった。土砂災害に対して潜在的に危険性がある地域で土砂災害発生の危険度がリアルタイムで高まっている場合、その地域は現在特に危険であると考えられるため、このような地域をユーザに提示することで早期の避難を支援することが可能になると考えられる。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、災害に対して特に危険な領域を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、一実施形態に係る危険領域提示システムは、ハザードマップで指定されている区域と、前記ハザードマップに関連する災害に関して現時点の危険度が所定以上である領域とで重畳している部分を危険領域と判定する判定部と、前記判定部により判定された危険領域を強調して地図上に表示させるための表示情報を作成する作成部と、前記作成部により作成された表示情報を、ユーザが利用する装置に送信する送信部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
災害に対して特に危険な領域を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る危険領域提示システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】ハザードマップの一例を示す図である。
図3】土砂災害警戒判定メッシュ情報の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る危険領域提示サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る危険領域提示サーバの機能構成の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る危険領域提示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、土砂災害に対して特に危険な領域(すなわち、土砂災害に対して潜在的に危険性がある地域とリアルタイムで土砂災害発生の危険度が高まっている地域で重畳している領域)をユーザに提示することが可能な危険領域提示システム1について説明する。
【0010】
<危険領域提示システム1の全体構成>
まず、本実施形態に係る危険領域提示システム1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る危険領域提示システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る危険領域提示システム1には、危険領域提示サーバ10と、クライアント20と、ハザードマップDBサーバ30と、土砂災害警戒判定メッシュ情報DBサーバ40とが含まれる。これらは、任意の通信ネットワーク(例えば、インターネットや構内LAN(Local Area Network)等)を介して相互に通信可能に接続される。
【0012】
危険領域提示サーバ10は、クライアント20からの要求に応じて、地図上の危険領域を当該クライアント20のディスプレイ上に強調表示(例えば、点滅表示等)させるコンピュータ又はコンピュータシステムである。ここで、危険領域とは、土砂災害ハザードマップ上の特別警戒区域又は警戒区域(つまり、土砂災害に対して潜在的に危険性があると指定されている地域)と或る危険度以上の土砂災害警戒判定メッシュ情報が表す領域(つまり、リアルタイムで土砂災害発生の危険度が高まっている地域)とで重畳している領域のことである。
【0013】
クライアント20は、危険領域提示サーバ10から返信された危険領域を地図上に強調表示するコンピュータ又はコンピュータシステムである。クライアント20としては、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、タブレット端末等が用いられる。なお、クライアント20には地図及びこの地図上に重畳される危険領域を表示可能なアプリケーション(例えば、Webブラウザや専用のアプリケーション等)がインストールされているものとする。
【0014】
ハザードマップDBサーバ30は、土砂災害ハザードマップを記憶するデータベースサーバである。ここで、土砂災害ハザードマップの一例を図2に示す。土砂災害は「急傾斜地の崩壊」、「土石流」及び「地すべり」の3つに分類され、それぞれで「特別警戒区域」と「警戒区域」がある。警戒区域は通称イエローゾーンとも呼ばれ、土砂災害が発生した場合に住民の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる区域で、土砂災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域のことである。一方で、特別警戒区域は通称レッドゾーンとも呼ばれ、土砂災害が発生した場合に建築物の損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域のことである。図2に示す例では、或る範囲内の地図上の「急傾斜地の崩壊」に関する警戒区域と特別警戒区域が表されている。
【0015】
このような土砂災害ハザードマップは各自治体等によって整備(新規作成又は更新等)されるが、その整備頻度は一般に数か月~数年に1回程度である。このため、土砂災害ハザードマップは、土砂災害の危険度を表す静的な情報といえる。なお、土砂災害ハザードマップが整備された場合、ハザードマップDB30に記憶されている土砂災害ハザードマップが更新される。
【0016】
土砂災害警戒判定メッシュ情報DBサーバ40は、土砂災害警戒判定メッシュ情報を記憶するデータベースサーバである。ここで、土砂災害警戒判定メッシュ情報の一例を図3に示す。土砂災害警戒判定メッシュ情報は10分毎に気象庁から発表され、5km×5kmのメッシュ領域における土砂災害の危険度を5段階(「極めて危険」、「非常に危険」、「警戒」、「注意」、「今後の情報等に留意」)で表したものである。なお、土砂災害の危険度が高い順に「極めて危険」、「非常に危険」、「警戒」、「注意」、「今後の情報等に留意」となる。
【0017】
上述したように、土砂災害警戒判定メッシュ情報は10分毎に気象庁から発表されるため、土砂災害の危険度を表す動的(リアルタイム)な情報であるといえる。なお、土砂災害警戒判定メッシュ情報が発表された場合、土砂災害警戒判定メッシュ情報DBサーバ40に記憶されている土砂災害警戒判定メッシュ情報が更新される。
【0018】
<危険領域提示サーバ10のハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る危険領域提示サーバ10のハードウェア構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る危険領域提示サーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0019】
図4に示すように、本実施形態に係る危険領域提示サーバ10は一般的なコンピュータ又はコンピュータシステムにより実現され、ハードウェアとして、入力装置101と、表示装置102と、外部I/F103と、通信I/F104と、プロセッサ105と、メモリ装置106とを有する。これら各ハードウェアは、それぞれがバス107を介して通信可能に接続されている。
【0020】
入力装置101は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等である。表示装置102は、例えば、ディスプレイ等である。なお、危険領域提示サーバ10は、入力装置101及び表示装置102のうちの少なくとも一方を有していなくてもよい。
【0021】
外部I/F103は、記録媒体等の外部装置とのインタフェースである。なお、記録媒体としては、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(Secure Digital memory card)、USB(Universal Serial Bus)メモリカード等が挙げられる。
【0022】
通信I/F104は、危険領域提示サーバ10を通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。プロセッサ105は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の各種演算装置である。メモリ装置106は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の各種記憶装置である。
【0023】
本実施形態に係る危険領域提示サーバ10は、図4に示すハードウェア構成を有することにより、後述する危険領域提示処理を実現することができる。なお、図4に示すハードウェア構成は一例であって、危険領域提示サーバ10は、他のハードウェア構成を有していてもよい。例えば、危険領域提示サーバ10は、複数のプロセッサ105を有していてもよいし、複数のメモリ装置106を有していてもよい。
【0024】
<危険領域提示サーバ10の機能構成>
次に、本実施形態に係る危険領域提示サーバ10の機能構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る危険領域提示サーバ10の機能構成の一例を示す図である。
【0025】
図5に示すように、本実施形態に係る危険領域提示サーバ10は、機能部として、通信部201と、地図取得部202と、ハザードマップ取得部203と、メッシュ取得部204と、強調表示判定部205と、表示情報作成部206とを有する。これら各機能部は、危険領域提示サーバ10にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ105に実行させる処理等により実現される。
【0026】
また、本実施形態に係る危険領域提示サーバ10は、記憶部として、地図情報記憶部301を有する。地図情報記憶部301は、例えば、メモリ装置106等により実現される。ただし、地図情報記憶部301は、例えば、危険領域提示サーバ10と通信ネットワークを介して接続されるデータベースサーバ等により実現されていてもよい。
【0027】
通信部201は、クライアント20からの要求を受信したり、この要求に対する返信を当該クライアント20に送信したりする。クライアント20からの要求には、地図の表示要求がある。地図の表示要求は、クライアント20で地図表示サービスの利用開始操作が行われた場合、クライアント20のディスプレイ上に表示されている地図のスクロール操作が行われた場合等に、クライアント20から危険領域提示サーバ10に送信される。また、地図の表示要求に対する返信としては、クライアント20のディスプレイ上に地図及び危険領域を表示させるための表示情報がある。なお、後述するように、危険領域は地図上に重畳して強調表示される。
【0028】
地図取得部202は、通信部201によって受信された地図の表示要求に対応する地図情報(すなわち、当該表示要求で指定された範囲(緯度及び経度の範囲)の地図の地図情報)を地図情報記憶部301から取得する。なお、地図情報とは、クライアント20のディスプレイ上に表示される地図に関する情報であり、例えば、都道府県等の区間を表す情報を含むレイヤーに、緑地や河川、道路、鉄道、記号(アイコン)、注釈等の情報をそれぞれ含むレイヤーを重ねて背景を構成し、更にその上に店舗や家形枠等の情報を含むレイヤーを重ねることで作成される情報である。
【0029】
ハザードマップ取得部203は、地図取得部202によって取得された地図情報が表す地図の範囲内に土砂災害ハザードマップの特別警戒区域又は警戒区域がある場合、この特別警戒区域を表す情報と警戒区域を表す情報とをハザードマップDBサーバ30から取得する。
【0030】
メッシュ取得部204は、地図取得部202によって取得された地図情報が表す地図の範囲内に危険度「注意」以上の危険度の土砂災害警戒判定メッシュ情報が存在する場合、当該地図の範囲内の土砂災害警戒判定メッシュ情報を土砂災害警戒判定メッシュ情報DBサーバ40から取得する。
【0031】
強調表示判定部205は、土砂災害ハザードマップの特別警戒区域と、危険度が「極めて危険」の土砂災害警戒判定メッシュ情報が表すメッシュ領域とで重畳している領域を、危険領域として強調表示の対象とする。
【0032】
表示情報作成部206は、クライアント20のディスプレイ上に地図を表示させるための表示情報を作成する。例えば、表示情報作成部206は、地図取得部202によって取得された地図情報と、強調表示判定部205によって強調表示の対象とされた危険領域を表す情報とを少なくとも含む表示情報を作成する。これにより、クライアント20のディスプレイ上には、地図情報が表す地図上に危険領域が重畳して強調表示(例えば、点滅表示等)される。すなわち、当該クライアント20のユーザに対して、土砂災害に対して特に危険な領域が提示される。
【0033】
<危険領域提示処理>
次に、本実施形態に係る危険領域提示処理の流れについて、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係る危険領域提示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0034】
まず、通信部201は、地図の表示要求を受信する(ステップS101)。なお、上述したように、クライアント20で地図表示サービスの利用開始操作が行われた場合やクライアント20のディスプレイ上に表示されている地図のスクロール操作が行われた場合等に、クライアント20から危険領域提示サーバ10に地図の表示要求が送信される。この表示要求には、例えば、表示対象となる範囲を表す緯度及び経度等が指定される。
【0035】
次に、地図取得部202は、上記のステップS101で受信された地図の表示要求に対応する地図情報を地図情報記憶部301から取得する(ステップS102)。すなわち、地図取得部202は、当該表示要求に指定された緯度及び経度の範囲内の地図を表す地図情報を地図情報記憶部301から取得する。
【0036】
次に、メッシュ取得部204は、上記のステップS102で取得された地図情報が表す地図の範囲内に危険度「注意」以上の土砂災害警戒判定メッシュ情報が発表されているか否かを判定する(ステップS103)。メッシュ取得部204は、例えば、土砂災害警戒判定メッシュ情報DBサーバ40を参照することで、危険度「注意」以上の土砂災害警戒判定メッシュ情報が当該範囲内に発表されているか否かを判定すればよい。
【0037】
上記のステップS103で危険度「注意」以上の土砂災害警戒判定メッシュ情報が発表されていると判定された場合(ステップS103でYES)、メッシュ取得部204は、当該地図情報が表す地図の範囲内の土砂災害警戒判定メッシュ情報を土砂災害警戒判定メッシュ情報DBサーバ40から取得する(ステップS104)。なお、土砂災害警戒メッシュ情報には、例えば、5km×5kmのメッシュ領域を特定するための情報と、このメッシュ領域の危険度を表す情報とが含まれる。
【0038】
次に、ハザードマップ取得部203は、上記のステップS102で取得された地図情報が表す地図の範囲内に土砂災害ハザードマップの特別警戒区域又は警戒区域が存在するか否かを判定する(ステップS105)。ハザードマップ取得部203は、例えば、ハザードマップDBサーバ30を参照することで、当該地図情報が表す地図の範囲内に土砂災害ハザードマップの特別警戒区域又は警戒区域が存在するか否かを判定すればよい。
【0039】
上記のステップS105で土砂災害ハザードマップの特別警戒区域又は警戒区域が存在すると判定された場合(ステップS105でYES)、ハザードマップ取得部203は、当該特別警戒区域を表す情報と当該警戒区域を表す情報とをハザードマップDBサーバ30から取得する(ステップS106)。なお、特別警戒区域を表す情報には、例えば、区域を特定するための情報(例えば、ポリゴン情報等)と、この区域の分類(「急傾斜地の崩壊」、「土石流」又は「地すべり」)を表す情報と、この区域が特別警戒区域であることを示す情報とが含まれる。同様に、警戒区域を表す情報には、例えば、区域を特定するための情報(例えば、ポリゴン情報等)と、この区域の分類(「急傾斜地の崩壊」、「土石流」又は「地すべり」)を表す情報と、この区域が警戒区域であることを示す情報とが含まれる。
【0040】
次に、強調表示判定部205は、土砂災害ハザードマップの特別警戒区域と、危険度が「極めて危険」の土砂災害警戒判定メッシュ情報が表すメッシュ領域との少なくとも一部が重畳しているか否かを判定する(ステップS107)。
【0041】
上記のステップS107で土砂災害ハザードマップの特別警戒区域と危険度が「極めて危険」の土砂災害警戒判定メッシュ情報が表すメッシュ領域との少なくとも一部が重畳していると判定された場合(ステップS107でYES)、強調表示判定部205は、当該特別警戒区域と当該メッシュ領域とで重畳している領域を、危険領域として強調表示の対象とする(ステップS108)。これにより、潜在的に危険性ある地域(特別警戒区域)とリアルタイムで土砂災害発生の危険度が高まっている地域(危険度が「極めて危険」のメッシュ領域)とで重畳している領域を、特に危険な領域であることを示す危険領域として地図上に重畳表示させると共に当該危険領域を強調表示してユーザに提示することが可能となる。
【0042】
なお、強調表示の態様としては、例えば、危険領域を点滅表示させることが考えられるが、これに限られず、例えば、危険領域を動的に振動させたり、危険領域の色を動的に変えたりしてもよい。また、例えば、土砂災害ハザードマップの特別警戒区域の土砂災害の分類に応じて強調表示の態様を異ならせてもよい。
【0043】
上記のステップS108に続いて、又は上記のステップS103、ステップS105若しくはステップS107でNOと判定された場合、表示情報作成部206は、表示情報を作成する(ステップS109)。ここで、上記のステップS108が実行された場合、表示情報作成部206は、上記のステップS102で取得された地図情報と、上記のステップS108で強調表示の対象とされた危険領域を表す情報とを含む表示情報を作成する。また、このとき、表示情報には、危険領域の強調表示の態様を表す情報が含まれていてもよい。
【0044】
一方で、上記のステップS108が実行されなかった場合、表示情報作成部206は、危険領域を表す情報は含まれない表示情報(例えば、上記のステップS102で取得された地図情報のみを含む表示情報等)を作成する。
【0045】
そして、通信部201は、上記のステップS109で作成された表示情報を、地図の表示要求に対する返信としてクライアント20に送信する(ステップS110)。これにより、クライアント20のディスプレイ上には、当該表示情報に基づく地図が表示される。このとき、この表示情報に危険領域を表す情報が含まれる場合、地図上に危険領域が重畳表示されると共に当該危険領域が強調表示される。したがって、クライアント20のユーザは、当該危険領域が、現在、土砂災害に対して特に危険であることを知ることができる。
【0046】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0047】
≪変形例1≫
本実施形態では土砂災害ハザードマップの特別警戒区域と危険度が「極めて危険」の土砂災害警戒判定メッシュ情報が表すメッシュ領域とで重畳している領域を危険領域としたが、特別警戒区域ではなく、警戒区域であっても危険性の程度は異なるが、同様に危険であると考えられる。また、危険度が「極めて危険」ではなく、「非常に危険」や「警戒」、「注意」であっても危険性の程度は異なるが、同様に危険であると考えられる。
【0048】
したがって、土砂災害ハザードマップの特別警戒区域と所定の第1の危険度以上の土砂災害警戒判定メッシュ情報が表すメッシュ領域とで重畳している領域を危険領域としたり、土砂災害ハザードマップの警戒区域と所定の第2の危険度以上の土砂災害警戒判定メッシュ情報が表すメッシュ領域とで重畳している領域を危険領域としたりしてもよい。ここで、第1の危険度及び第2の危険度は予め設定され、第2の危険度は第1の危険度よりも危険性が高い危険度に設定される。また、このとき、特別警戒区域又は警戒区域と土砂災害警戒判定メッシュ情報の危険度との組み合わせに応じて、危険領域の強調表示させる態様を異ならせてもよい。特に、警戒区域よりも特別警戒区域と重畳している方がより目立つ態様で強調表示すると共に、危険度が高い土砂災害警戒判定メッシュ情報のメッシュ領域と重畳しているほどより目立つ態様で強調表示するようにしてもよい。
【0049】
≪変形例2≫
本実施形態では土砂災害警戒判定メッシュ情報を用いたが、これの代わりに、例えば、降水ナウキャスト又は高解像度降水ナウキャストが用いられてもよい。降水ナウキャストは10分毎(又は5分毎)の1km×1kmのメッシュ領域の雨量を表す情報である。一方で、高解像度降水ナウキャストは5分毎の250m×250mのメッシュ領域の雨量を表す情報である。このとき、例えば、土砂災害ハザードマップの特別警戒区域と所定の雨量以上(例えば、80mm/h以上等)のメッシュ領域とで重畳している領域を危険領域とすればよい。
【0050】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から逸脱することなく、種々の変形や変更、既知の技術との組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 危険領域提示システム
10 危険領域提示サーバ
20 クライアント
30 ハザードマップDBサーバ
40 土砂災害警戒判定メッシュ情報DBサーバ
101 入力装置
102 表示装置
103 外部I/F
104 通信I/F
105 プロセッサ
106 メモリ装置
107 バス
201 通信部
202 地図取得部
203 ハザードマップ取得部
204 メッシュ取得部
205 強調表示判定部
206 表示情報作成部
301 地図情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6