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特許7492395樹脂モールド型電子部品の製造方法、及び樹脂モールド型電子部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】樹脂モールド型電子部品の製造方法、及び樹脂モールド型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/224 20060101AFI20240522BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
H01G4/224
H01G2/10 C
H01G2/10 K
H01G2/10 600
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020125472
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021708
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-07-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 広祐
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-121238(JP,U)
【文献】特開平07-099131(JP,A)
【文献】特開2005-116943(JP,A)
【文献】特開平06-350233(JP,A)
【文献】特開2008-034782(JP,A)
【文献】特開平08-017686(JP,A)
【文献】特開2005-086783(JP,A)
【文献】特開平11-017326(JP,A)
【文献】特開昭64-044092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/224
H01G 4/228- 4/252
H01G 4/30
H01G 2/10
H05K 1/18
H05K 3/30- 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品本体がモールド樹脂で覆われた樹脂モールド型電子部品の製造方法であって、
一体成形によって金属端子が設けられると共に、前記電子部品本体の収容部を有し、接合材が充填される接合材充填空間が形成される第1のモールド樹脂を準備する工程と、
前記第1のモールド樹脂の前記収容部に、主面が前記第1のモールド樹脂の実装面側に配置され、前記主面と垂直な端面に端子電極が形成されると共に前記端面から回り込むことで前記主面の一部に前記端子電極が形成された前記電子部品本体を収容する工程と、
前記接合材充填空間に前記接合材を充填することで、前記金属端子と前記電子部品本体の前記端子電極とを接合する工程と、を備え、
前記金属端子と前記電子部品本体の前記端子電極とを接合する工程において、前記電子部品本体に対する実装面側に前記接合材を流し込み、
前記接合材充填空間は、前記電子部品本体の実装面側の前記主面における前記端子電極と、前記第1のモールド樹脂の底面との間に形成され
前記金属端子は、前記接合材充填空間に露出した状態で前記第1のモールド樹脂の前記底面から立ち上がり、前記端面における前記端子電極と対向するように配置され、
前記金属端子と前記電子部品本体の前記端子電極とを接合する工程において、前記電子部品本体の前記実装面側の位置にて、前記接合材充填空間で前記端子電極と前記接合材が接続され、当該接合材を介して前記端子電極と前記金属端子とが接合される、樹脂モールド型電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記金属端子と前記電子部品本体の端子電極とを接合する工程において、前記端子電極と前記金属端子との間には隙間が形成され、前記接合材は、前記隙間を介して前記接合材充填空間へ充填される、請求項1に記載の樹脂モールド型電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記金属端子は、前記底面から立ち上がり実装面に対して垂直な垂直部を有し、前記垂直部は、前記接合材充填空間に露出している、請求項1又は2に記載の樹脂モールド型電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記金属端子と前記電子部品本体の端子電極とを接合する工程の後、前記第1のモールド樹脂から露出している前記電子部品本体を第2のモールド樹脂で覆う工程を更に備える、請求項1~3の何れか一項に記載の樹脂モールド型電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記接合材は、低融点はんだである、請求項1~4の何れか一項に記載の樹脂モールド型電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂モールド型電子部品の製造方法、及び樹脂モールド型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の製造方法として、特許文献1に記載されたものが知られている。この製造方法では、電子部品本体の端子電極に対して、接合材を介して金属端子を接合している。このとき、このとき、金属端子を定められた姿勢で、且つ、定められた位置にて、電子部品本体の端子電極を接合する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-229867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電子部品本体の端子電極と金属端子との間の位置合わせを正確に行うには手間がかかるため、金属端子が位置ずれした状態にて、電子部品本体の端子電極に接合される場合がある。この状態で耐湿性を向上するために電子部品本体をモールド樹脂で覆った場合、電子部品本体の端子電極と金属端子とが位置ずれした状態でモールド樹脂に覆われてしまう。
【0005】
本発明は、電子部品本体と金属端子との位置ずれを低減した状態で互いに接合し、耐湿性を向上できる樹脂モールド型電子部品の製造方法、及び樹脂モールド型電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る樹脂モールド型電子部品の製造方法は、電子部品本体がモールド樹脂で覆われた樹脂モールド型電子部品の製造方法であって、金属端子が設けられると共に、電子部品本体の収容部を有し、接合材が充填される接合材充填空間が形成される第1のモールド樹脂を準備する工程と、第1のモールド樹脂の収容部に電子部品本体を収容する工程と、接合材充填空間に接合材を充填することで、金属端子と電子部品本体の端子電極とを接合する工程と、を備える。
【0007】
本発明に係る樹脂モールド型電子部品の製造方法では、第1のモールド樹脂を準備する工程において、第1のモールド樹脂が、金属端子、及び電子部品本体の収容部を有している。このように、第1のモールド樹脂が、金属端子と収容部とを同時に有しているため、収容部に電子部品本体を収容する工程では、収容部に電子部品本体を収容するだけで、電子部品本体と金属端子との間の位置合わせを容易に、かつ正確に行うことができる。ここで、第1のモールド樹脂には、接合材が充填される接合材充填空間が形成されている。従って、金属端子と電子部品本体の端子電極とを接合する工程では、接合材充填空間に接合材を充填するだけで、位置決めされた状態を維持しながら、金属端子と端子電極とを接合することができる。また、第1のモールド樹脂は、金属端子、接合部、及び電子部品本体を覆うことで、電子部品本体の耐湿性を向上できる。以上より、電子部品本体と金属端子との位置ずれを低減した状態で互いに接合し、耐湿性を向上できる。
【0008】
金属端子と電子部品本体の端子電極とを接合する工程において、電子部品本体に対する実装面側に接合材を流し込んでよい。接合材は実装面側に流れ込み易いため、当該箇所に接合材を流し込むことで、金属端子と電子部品本体の端子電極との接合の確実性を向上できる。
【0009】
接合材充填空間は、電子部品本体の実装面側の主面と、第1のモールド樹脂の底面との間に形成されてよい。接合材は、第1のモールド樹脂の底面側に流れ込み易いため、接合材充填空間を当該箇所に形成することで、接合材を流し込み易くなる。従って、金属端子と電子部品本体の端子電極との接合の確実性を向上できる。
【0010】
金属端子と電子部品本体の端子電極とを接合する工程において、端子電極と金属端子との間には隙間が形成され、接合材は、隙間を介して接合材充填空間へ充填されてよい。このように、隙間を利用することで、接合材を上側から容易に流し込むことができる。
【0011】
金属端子は、実装面に対して垂直な垂直部を有し、垂直部は、接合材充填空間に露出していてよい。この場合、垂直部は、接合材充填空間に充填された接合材を堰き止める壁部として機能すると共に、そのまま接合部との接続性も確保される。これにより、容易に接合材を充填することができると共に、金属端子と接合部との接合性を向上できる。
【0012】
樹脂モールド型電子部品の製造方法は、金属端子と電子部品本体の端子電極とを接合する工程の後、第1のモールド樹脂から露出している電子部品本体を第2のモールド樹脂で覆う工程を更に備えてよい。この場合、電子部品本体全体をモールド樹脂で覆うことができるため、耐湿性に優れた樹脂モールド型電子部品を製造することができる。
【0013】
接合材は、低融点はんだであってよい。第1のモールド樹脂で電子部品本体を支えた状態で接合材を充填することができるため、低融点はんだを用いた場合であっても良好な接続が可能となる。
【0014】
本発明に係る樹脂モールド型電子部品の製造方法は、電子部品本体がモールド樹脂で覆われた樹脂モールド型電子部品の製造方法であって、電子部品本体の端子電極と接合される金属端子が設けられた第1のモールド樹脂によって電子部品本体を覆う工程と、電子部品本体を第2のモールド樹脂で覆う工程と、を備える。
【0015】
本発明に係る樹脂モールド型電子部品の製造方法では、第1のモールド樹脂及び第2のモールド樹脂で電子部品本体を覆うことで、電子部品本体の耐湿性を向上している。また、一度に電子部品本体の全体をモールド樹脂で覆うのではなく、金属端子が設けられた第1のモールド樹脂と、他の第2のモールド樹脂とで、工程が分けられている。そのため、自由度の高い製造方法が可能となるため、電子部品本体と金属端子との位置ずれを低減するような製造方法を実行しやすくなる。以上より、電子部品本体と金属端子との位置ずれを低減した状態で互いに接合し、耐湿性を向上できる。
【0016】
本発明に係る樹脂モールド型電子部品は、端子電極を有する電子部品本体と、端子電極と接合部を介して接合された金属端子と、電子部品本体及び接合部を覆うと共に、金属端子の一部を外部に引き出すモールド樹脂と、を備え、接合部は、モールド樹脂内において、電子部品本体に対する実装面側に配置され、当該位置にて、金属端子と端子電極とを接合する。
【0017】
この樹脂モールド型電子部品では、モールド樹脂が、金属端子の一部を外部に引き出す構成となっている。この場合、製造時には、モールド樹脂に電子部品本体を収容するだけで、電子部品本体と金属端子との間の位置合わせを容易に、かつ正確に行うことができる。ここで、接合部は、モールド樹脂内において、電子部品本体に対する実装面側に配置され、当該位置にて、金属端子と端子電極とを接合する。このように接合部が電子部品に対する実装面側に配置されている場合、電子部品本体をモールド樹脂内に配置するだけで、金属端子と端子電極との位置決めをしつつ、容易且つ正確に接合材を充填する接合材充填空間を形成することができる。従って、位置決めされた状態を維持しながら、金属端子と端子電極とを接合することができる。また、モールド樹脂は、金属端子、接合部、及び電子部品本体を覆うことで、電子部品本体の耐湿性を向上できる。以上より、電子部品本体と金属端子との位置ずれを低減した状態で互いに接合し、耐湿性を向上できる。
【0018】
モールド樹脂は、電子部品本体の実装面側の主面と対向する底面を有し、底面は、主面から実装面側へ離間する凹部を有し、凹部に接合部が配置されてよい。この場合、電子部品本体をモールド樹脂内に配置するだけで、容易且つ正確に凹部の位置に接合材充填空間を形成できる。また、接合材は、モールド樹脂の底面側に流れ込み易いため、接合材充填空間を当該箇所に形成することで、接合材を流し込み易くなる。従って、金属端子と電子部品本体の端子電極との接合の確実性を向上できる。
【0019】
金属端子は、実装面に対して垂直な垂直部を有し、垂直部に対して接合部が接続されてよい。この場合、垂直部は、接合材充填空間に充填された接合材を堰き止める壁部として機能すると共に、そのまま接合部との接続性も確保される。これにより、容易に接合材を充填することができると共に、金属端子と接合部との接合性を向上できる。
【0020】
接合部は、端子電極における実装面側の部分にて、端子電極に接続されてよい。接合材は実装面側に流れ込み易いため、端子電極における実装面側の部分に接合材を流し込むことで、金属端子と電子部品本体の端子電極との接合の確実性を向上できる。
【0021】
電子部品本体は、モールド樹脂で封止されてよい。この場合、耐湿性に優れた樹脂モールド型電子部品を提供することができる。
【0022】
電子部品本体は、実装面とは反対側の部分がモールド樹脂から露出していてよい。この場合、電子部品本体の状態を目視することができる。
【0023】
金属端子は、接合部を介して端子電極と接合される箇所から、実装面に対して垂直をなした状態にて実装面側へ延びてよい。例えば、金属端子が接合部から実装面と平行な方向に延びるような構造を有する場合、樹脂モールド型電子部品の実装面積が大きくなってしまう。これに対し、金属端子が、接合部を介して端子電極と接合される箇所から、実装面に対して垂直をなした状態にて実装面側へ延びることで、実装面積を小さくすることができるため、実装密度を向上することができる。
【0024】
本発明に係る樹脂モールド型電子部品は、端子電極を有する電子部品本体と、端子電極と接合された金属端子と、電子部品本体を覆うモールド樹脂と、を備え、金属端子は、端子電極から実装面へ向かって延びて、モールド樹脂から外部へ延びる。
【0025】
本発明に係る樹脂モールド型電子部品によれば、モールド樹脂が電子部品本体を覆っているため、電子部品本体の耐湿性を向上できる。ここで、金属端子は、端子電極から実装面へ向かって延びて、モールド樹脂から外部へ延びている。このような金属端子は、例えば、端子電極から実装面と平行をなすように延びるような形状に比して、樹脂モールド型電子部品を製造する上で、端子電極との位置ずれを低減した状態での接合を行い易くなる。以上より、電子部品本体と金属端子との位置ずれを低減した状態で互いに接合し、耐湿性を向上できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電子部品本体と金属端子との位置ずれを低減した状態で互いに接合し、耐湿性を向上できる樹脂モールド型電子部品の製造方法、及び樹脂モールド型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る樹脂モールド型電子部品の斜視図である。
図2】第2のモールド樹脂を省略した樹脂モールド型電子部品の斜視図である。
図3】樹脂モールド型電子部品1の第1のモールド樹脂の斜視図である。
図4図1に示すIV-IV線に沿った断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る樹脂モールド型電子部品の製造方法の工程図である。
図6】電子部品本体を第1のモールド樹脂に収容した様子を示す断面図である。
図7】接合材を接合材充填空間に充填する様子を示す断面図である。
図8図2に示すVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9】変形例に係る樹脂モールド型電子部品を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る樹脂モールド型電子部品の製造方法によって製造される樹脂モールド型電子部品1の構造について説明する。図1は、樹脂モールド型電子部品1の斜視図である。図2は、第2のモールド樹脂2Bを省略した樹脂モールド型電子部品1の斜視図である。図3は、樹脂モールド型電子部品1の第1のモールド樹脂2Aの斜視図である。図4は、図1に示すIV-IV線に沿った断面図である。
【0029】
図1に示すように、樹脂モールド型電子部品1は、電子部品本体3(図2参照)をモールド樹脂2で覆うことによって構成される。モールド樹脂2は、直方体の形状を有する。また、モールド樹脂2は、第1のモールド樹脂2Aと、第2のモールド樹脂2Bと、を有する。第1のモールド樹脂2Aは基板に実装される実装面2a側に形成され、第2のモールド樹脂2Bは実装面2aの反対側に形成される。図2に示すように、樹脂モールド型電子部品1は、二つの電子部品本体3を備えている。なお、以降の説明においては、図面において、XYZ座標を用いて説明を行う場合がある。Y軸方向は、電子部品本体3が並べられる方向に平行であり、Z軸は、樹脂モールド型電子部品1の実装面からの高さ方向に一致し、X軸は、X軸方向及びZ軸方向に垂直な方向に延びる。なお、X軸方向及びY軸方向の一方側が正側に設定され、Z軸方向の実装面2a側が負側に設定される。
【0030】
図2に示すように、電子部品本体3は、素体6と、一対の端子電極7A,7Bと、を備える。なお、二つの電子部品本体3は、互いに同一の形状及びサイズを有している。素体6は、略直方体形状を有する。端子電極7Aは、素体6のX軸方向の正側の端面を覆うように設けられる。端子電極7Bは、素体6のX軸方向の負側の端面を覆うように設けられる。また、端子電極7A,7Bは、素体6のX軸方向の両側の端面同士を接続する四方の側面まで回り込んでいる。従って、端子電極7A,7Bは、素体6のX軸方向の端面を覆う本体部7aと、四方の側面まで回り込む回り込み部7bと、を備える。
【0031】
本実施形態では、電子部品本体3は、コンデンサとして構成されている。従って、図4に示すように、素体6の内部では、誘電体層36を挟んで複数の内部電極層37A,37Bが積層されており、端子電極7Aに接続される内部電極層37Aと端子電極7Bに接続される内部電極層37Bが交互に積層される。電子部品本体3の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。電子部品本体3は、たとえば、縦(X軸方向の寸法)1.0~10.0mm×横(Z軸方向の寸法)0.5~8.0mm×厚み(Y軸方向の寸法)0.3~5.0mm程度である。
【0032】
電子部品本体3の誘電体層36の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。内部電極層37A,37Bに含有される導電体材料は特に限定されないが、誘電体層36の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層37A,37Bは、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層37A,37Bの厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。端子電極7A,7Bの材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極7A,7Bの表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていても良い。
【0033】
次に、図3を参照して、第1のモールド樹脂2Aについて説明する。図3に示すように、第1のモールド樹脂2Aは、二つの電子部品本体3をそれぞれ収容する二つの収容部11を有する。具体的に、第1のモールド樹脂2Aは、底壁部12と、X軸方向に対向する側壁部13A,13Bと、Y軸方向に対向する側壁部14,15と、二つの収容部11を仕切る側壁部16と、を備える。Y軸方向の負側の収容部11は、底壁部12、側壁部13A,13BのY軸方向の負側の領域、側壁部15、側壁部16によって構成される。Y軸方向の正側の収容部11は、底壁部12、側壁部13A,13BのY軸方向の正側の領域、側壁部15、側壁部16によって構成される。いずれの収容部11もZ軸方向の正側の端部において開口している。
【0034】
側壁部13A,13Bは、YZ平面と平行をなすように、底壁部12からZ軸方向の正側へ立ち上がる。側壁部13Aは、底壁部12のX軸方向の正側の端部に配置される。側壁部13Bは、底壁部12のX軸方向の負側の端部に配置される。側壁部14,15,16は、XZ平面と平行をなすように、底壁部12からZ軸方向の正側へ立ち上がる。側壁部14は、底壁部12のY軸方向の正側の端部に配置される。側壁部15は、底壁部12のY軸方向の負側の端部に配置される。側壁部16は、側壁部14,15と平行となるように、底壁部12のY軸方向における中央位置に配置されている。側壁部13A,13B,14,15,16のZ軸方向の高さは、互いに同一である。
【0035】
なお、図1に示すように、第2のモールド樹脂2Bは、第1のモールド樹脂2Aの側壁部13A,13B,14,15よりも更にZ軸方向の正側へ延びるような側壁部23A,23B,24,25を有しており、二つの電子部品本体3のZ軸方向の正側の端部を覆うような上壁部22を有している。なお、第2のモールド樹脂2Bは、内部の側壁部16よりも更にZ軸方向の正側へ延びるような側壁部も有している。
【0036】
第1のモールド樹脂2A及び第2のモールド樹脂2Bの材質として、例えばポリエステル、エポキシなどが採用されてよい。第1のモールド樹脂2Aの材質と第2のモールド樹脂2Bの材質とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、図1図4では、第1のモールド樹脂2Aと第2のモールド樹脂2Bとの境界部が示されているが、同じ材質を採用した場合などには、両者の境界部が目視できない状態になっていてもよい。
【0037】
図4を参照して、樹脂モールド型電子部品1の断面形状について詳細に説明する。なお、図4では、Y軸方向の負側の電子部品本体3の位置における断面が示されているが、Y軸方向の正側の電子部品本体3の位置においても同様の構成となる。
【0038】
図4に示すように、第1のモールド樹脂2Aは、電子部品本体3の実装面2a側(すなわちZ軸方向の負側)の主面3aと対向する底面30を有する。主面3aは、電子部品本体の素体6及び端子電極7A,7BのZ軸方向の負側の面によって構成される。底面30は、主面3aから実装面2a側(すなわちZ軸方向の負側)へ離間する凹部31A,31Bを有する。凹部31Aは、底面30のうち、X軸方向の正側の端部付近の領域において、端子電極7Aと対向する位置に形成される。凹部31Bは、底面30のうち、X軸方向の負側の端部付近の領域において、端子電極7Bと対向する位置に形成される。凹部31A,31Bの底面30bは、素体6と対向する領域の底面30aよりも、Z軸方向の負側に配置される。底面30aは、主面3aのうち素体6の部分と接触し、電子部品本体3を支持する。当該状態では、凹部31A,31Bの底面30bと主面3aのうち端子電極7A,7Bの部分とは、Z軸方向に離間する。
【0039】
第1のモールド樹脂2Aには、金属端子40A,40Bが設けられる。金属端子40A,40Bは、後述の接合部50A,50Bを介して端子電極7A,7Bと接続される。金属端子40A,40Bは、垂直部41と、実装部42と、を備える。なお、金属端子40A,40Bは、Y軸方向において収容部11の略全域にわたって延びている(図6参照)。
【0040】
金属端子40A,40Bの垂直部41は、実装面2aに対して垂直をなす部分である。金属端子40A,40Bは、側壁部13A,13Bの内側の側面13aに沿ってYZ平面と平行に広がる。垂直部41は、凹部31A,31Bの底面30bよりもZ軸方向の正側へ延びる。垂直部41は、底面30a(すなわち後述の接合部50A,50B)よりもZ軸方向の正側に延びる。また、垂直部41は、凹部31A,31Bの底面30bよりもZ軸方向の負側に延びて、実装面2aまで延びている。垂直部41は、凹部31A,31BのX軸方向における外側の側面を構成する。このような構成により、金属端子40A,40Bの垂直部41は、接合部50A,50Bを介して端子電極7A,7Bと接合される箇所から、実装面2aに対して垂直をなした状態にて実装面2a側へ延びる。垂直部41は、Z軸方向における上端から下端に至るまで直線状に延びており、途中に屈曲した箇所を有していない。
【0041】
金属端子40A,40Bの実装部42は、実装面2aにおいて第1のモールド樹脂2Aから外部に露出し、基板に実装される部分である。実装部42は、垂直部41の下端からX軸方向の内側へ向かって延びる。実装部42は、実装面2a上において、当該実装面2a、すなわちXY平面と平行となるように広がる。
【0042】
金属端子40A,40Bの材質は、導電性を有する金属材料であれば特に限定されず、たとえば鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金を用いることができる。特に、金属端子40A,40Bの材質をりん青銅とすることが、金属端子40A,40Bの比抵抗を抑制し、コンデンサのESRを低減する観点から好ましい。
【0043】
第1のモールド樹脂2Aの底面30の凹部31A,31Bには、接合部50A,50Bが形成される。接合部50A,50Bは、凹部31A,31Bにはんだなどの接続材を充填することによって形成される。これにより、接合部50A,50Bは、電子部品本体3の実装面2a側(すなわちZ軸方向の負側)に配置される。すなわち、接合部50A,50Bは、凹部31A,31Bの底面30bと、主面3aにおける端子電極7A,7Bに対応する部分と、の間に配置される。接合部50A,50Bは、金属端子40A,40Bの垂直部41と接続される。また、接合部50A,50Bは、端子電極7A,7Bにおける実装面2a側の部分、すなわち、端子電極7A,7BのZ軸方向の負側における回り込み部7bと接続される。これにより、端子電極7A,7Bと金属端子40A,40Bとが、接合部50A,50Bを介してそれぞれ接合される。
【0044】
次に、図5を参照して、本発明の実施形態に係る樹脂モールド型電子部品の製造方法について説明する。図5は、本発明の実施形態に係る樹脂モールド型電子部品の製造方法の工程図である。
【0045】
図5に示すように、金属端子40A,40Bが設けられると共に、電子部品本体3の収容部11を有し、接合材が充填される接合材充填空間SPが形成される第1のモールド樹脂2Aを準備する工程S1が実行される。この工程S1では、図3に示す状態の第1のモールド樹脂2Aが準備される。第1のモールド樹脂2Aには、それぞれの収容部11に対する金属端子40A,40Bが設けられている。この金属端子40A,40Bは、第1のモールド樹脂2Aを成形する際に、一体成形される。この状態では、接合材充填空間SPは、凹部31A,31Bの位置において、Z軸方向の正側へ向けて開口した状態である。
【0046】
次に、電子部品本体3を準備する工程S2が実行される(図5参照)。次に、第1のモールド樹脂2Aの収容部11に電子部品本体3を収容する工程S3が実行される(図5参照)。図6に示すように、底壁部12側が下側に配置され、収容部11が上方へ開口するように、第1のモールド樹脂2Aを配置する。なお、図6は、図4に対応する箇所における断面図である。そして、上方から電子部品本体3を収容部11に挿入する。このとき、電子部品本体3の素体6における主面3aが底壁部12の底面30aに載置された状態となる。また、端子電極7A,7Bは、凹部31A,31Bの底面30bから離間した状態となる。このとき、接合材充填空間SPは、電子部品本体3の実装面2a側の主面3aと、第1のモールド樹脂2Aの底面30bとの間に形成される。また、金属端子40A,40Bの垂直部41は、接合材充填空間SPに露出した状態となっている。
【0047】
次に、接合材充填空間SPに接合材を充填することで、金属端子40A,40Bと電子部品本体3の端子電極7A,7Bとを接合する工程S4が実行される(図5参照)。この工程S4では、電子部品本体3に対する実装面2a側に接合材を流し込む。具体的には、図7に示すように、端子電極7A,7Bと金属端子40A,40Bの垂直部41との間には隙間が形成される。接合材51は、隙間GP1を介して接合材充填空間SPへ充填される。ここでは、ノズル53が側壁部13A,13Bと電子部品本体3との間の隙間に挿入される。そして、ノズル53から隙間GP1を介して、接合材充填空間SPへ接合材51が充填される。このとき、接合材51は、凹部31A,31Bの底面30bと端子電極7A,7Bの回り込み部7bとの間に流れ込み、底面30b及び回り込み部7bと接触する。また、接合材51は、金属端子40A,40Bの垂直部41によって堰き止められると共に、当該垂直部41に接触する。接合材充填空間SPへの接合材51の充填が完了したら、接合材51を硬化させて接合部50A,50Bを形成する。なお、図8に示すように、側壁部14,15と電子部品本体3との間にも隙間が形成されるため、当該隙間からノズル53を挿入してもよい。
【0048】
次に、第1のモールド樹脂2Aから露出している電子部品本体3を第2のモールド樹脂2Bで覆う工程S5を実行する(図5参照)。この工程S5では、図2に示す状態の部品を金型に配置することで、第2のモールド樹脂2Bを成形する。第2のモールド樹脂2Bが形成されたら、樹脂モールド型電子部品1を金型から取り出す。以上により、図5に示す工程が終了する。
【0049】
次に、本実施形態に係る樹脂モールド型電子部品1の製造方法、及び樹脂モールド型電子部品1の作用・効果について説明する。
【0050】
本実施形態に係る樹脂モールド型電子部品1の製造方法は、電子部品本体3がモールド樹脂2で覆われた樹脂モールド型電子部品1の製造方法であって、金属端子40A,40Bが設けられると共に、電子部品本体3の収容部11を有し、接合材51が充填される接合材充填空間SPが形成される第1のモールド樹脂2Aを準備する工程と、第1のモールド樹脂2Aの収容部11に電子部品本体3を収容する工程S3と、接合材充填空間SPに接合材51を充填することで、金属端子40A,40Bと電子部品本体3の端子電極7A,7Bとを接合する工程S4と、を備える。
【0051】
本実施形態に係る樹脂モールド型電子部品1の製造方法では、第1のモールド樹脂2Aを準備する工程S4において、第1のモールド樹脂2Aが、金属端子40A,40B、及び電子部品本体3の収容部11を有している。このように、第1のモールド樹脂2Aが、金属端子40A,40Bと収容部11とを同時に有しているため、収容部11に電子部品本体3を収容する工程S3では、収容部11に電子部品本体3を収容するだけで、電子部品本体3と金属端子40A,40Bとの間の位置合わせを容易に、かつ正確に行うことができる。ここで、第1のモールド樹脂2Aには、接合材51が充填される接合材充填空間SPが形成されている。従って、金属端子40A,40Bと電子部品本体3の端子電極7A,7Bとを接合する工程S4では、接合材充填空間SPに接合材51を充填するだけで、位置決めされた状態を維持しながら、金属端子40A,40Bと端子電極7A,7Bとを接合することができる。また、第1のモールド樹脂2Aは、金属端子40A,40B、接合部50A,50B、及び電子部品本体3を覆うことで、電子部品本体3の耐湿性を向上できる。以上より、電子部品本体3と金属端子40A,40Bとの位置ずれを低減した状態で互いに接合し、耐湿性を向上できる。
【0052】
金属端子40A,40Bと電子部品本体3の端子電極7A,7Bとを接合する工程S4において、電子部品本体3に対する実装面2a側に接合材51を流し込んでよい。例えば、端子電極7A,7Bの本体部7aの横側に接合部を設ける場合、接合材51が下方へ流れてしまう可能性があり、接続性が低下する可能性がある。これに対し、接合材51は実装面2a側に流れ込み易いため、当該箇所に接合材51を流し込むことで、金属端子40A,40Bと電子部品本体3の端子電極7A,7Bとの接合の確実性を向上できる。
【0053】
接合材充填空間SPは、電子部品本体3の実装面2a側の主面3aと、第1のモールド樹脂2Aの底面30bとの間に形成されてよい。接合材51は、第1のモールド樹脂2Aの底面30b側に流れ込み易いため、接合材充填空間SPを当該箇所に形成することで、接合材51を流し込み易くなる。従って、金属端子40A,40Bと電子部品本体3の端子電極7A,7Bとの接合の確実性を向上できる。
【0054】
金属端子40A,40Bと電子部品本体3の端子電極7A,7Bとを接合する工程S4において、端子電極7A,7Bと金属端子40A,40Bとの間には隙間GP1が形成され、接合材51は、隙間GP1を介して接合材充填空間SPへ充填されてよい。このように、隙間GP1を利用することで、接合材51を上側から容易に流し込むことができる。
【0055】
金属端子40A,40Bは、実装面2aに対して垂直な垂直部41を有し、垂直部41は、接合材充填空間SPに露出していてよい。この場合、垂直部41は、接合材充填空間SPに充填された接合材51を堰き止める壁部として機能すると共に、そのまま接合部50A,50Bとの接続性も確保される。これにより、容易に接合材51を充填することができると共に、金属端子40A,40Bと接合部50A,50Bとの接合性を向上できる。
【0056】
樹脂モールド型電子部品1の製造方法は、金属端子40A,40Bと電子部品本体3の端子電極7A,7Bとを接合する工程S4の後、第1のモールド樹脂2Aから露出している電子部品本体3を第2のモールド樹脂2Bで覆う工程を更に備えてよい。この場合、電子部品本体3全体をモールド樹脂2で覆うことができるため、耐湿性に優れた樹脂モールド型電子部品1を製造することができる。
【0057】
接合材51は、低融点はんだであってよい。第1のモールド樹脂2Aで電子部品本体3を支えた状態で接合材51を充填することができるため、低融点はんだを用いた場合であっても良好な接続が可能となる。
【0058】
本実施形態に係る樹脂モールド型電子部品1の製造方法は、電子部品本体3がモールド樹脂2で覆われた樹脂モールド型電子部品1の製造方法であって、電子部品本体3の端子電極7A,7Bと接合される金属端子40A,40Bが設けられた第1のモールド樹脂2Aによって電子部品本体3を覆う工程S3と、電子部品本体3を第2のモールド樹脂2Bで覆う工程S5と、を備える。
【0059】
本実施形態に係る樹脂モールド型電子部品1の製造方法では、第1のモールド樹脂2A及び第2のモールド樹脂2Bで電子部品本体3を覆うことで、電子部品本体3の耐湿性を向上している。また、一度に電子部品本体3の全体をモールド樹脂2で覆うのではなく、金属端子40A,40Bが設けられた第1のモールド樹脂2Aと、他の第2のモールド樹脂2Bとで、工程が分けられている。そのため、自由度の高い製造方法が可能となるため、電子部品本体3と金属端子40A,40Bとの位置ずれを低減するような製造方法を実行しやすくなる。以上より、電子部品本体3と金属端子40A,40Bとの位置ずれを低減した状態で互いに接合し、耐湿性を向上できる。
【0060】
本実施形態に係る樹脂モールド型電子部品1は、端子電極7A,7Bを有する電子部品本体3と、端子電極7A,7Bと接合部50A,50Bを介して接合された金属端子40A,40Bと、電子部品本体3及び接合部50A,50Bを覆うと共に、金属端子40A,40Bの一部を外部に引き出すモールド樹脂2と、を備え、接合部50A,50Bは、モールド樹脂2内において、電子部品本体3に対する実装面2a側に配置され、当該位置にて、金属端子40A,40Bと端子電極7A,7Bとを接合する。
【0061】
この樹脂モールド型電子部品1では、モールド樹脂2が、金属端子40A,40Bの一部を外部に引き出す構成となっている。この場合、製造時には、モールド樹脂2に電子部品本体3を収容するだけで、電子部品本体3と金属端子40A,40Bとの間の位置合わせを容易に、かつ正確に行うことができる。ここで、例えば、接合部が端子電極7A,7Bの本体部7aと金属端子40A,40Bの垂直部41との間に形成される場合、端子電極7A,7Bの本体部7aと金属端子40A,40Bの垂直部41との間に接合材充填空間が形成されるように位置合わせを慎重に行う必要が生じる。これに対し、本実施形態では、接合部50A,50Bは、モールド樹脂2内において、電子部品本体3に対する実装面2a側に配置され、当該位置にて、金属端子40A,40Bと端子電極7A,7Bとを接合する。このように接合部50A,50Bが電子部品本体3に対する実装面2a側に配置されている場合、電子部品本体3をモールド樹脂2内に配置するだけで(ここでは、底面30aに電子部品本体3を載せるだけで)、金属端子40A,40Bと端子電極7A,7Bとの位置決めをしつつ、容易且つ正確に接合材51を充填する接合材充填空間を形成することができる。従って、位置決めされた状態を維持しながら、金属端子40A,40Bと端子電極7A,7Bとを接合することができる。また、モールド樹脂2は、金属端子40A,40B、接合部50A,50B、及び電子部品本体3を覆うことで、電子部品本体3の耐湿性を向上できる。以上より、電子部品本体3と金属端子40A,40Bとの位置ずれを低減した状態で互いに接合し、耐湿性を向上できる。
【0062】
モールド樹脂2は、電子部品本体3の実装面2a側の主面3aと対向する底面30を有し、底面30は、主面3aから実装面2a側へ離間する凹部31A,31Bを有し、凹部31A,31Bに接合部50A,50Bが配置されてよい。この場合、電子部品本体3をモールド樹脂2内に配置するだけで、容易且つ正確に凹部31A,31Bの位置に接合材充填空間SPを形成できる。また、接合材51は、モールド樹脂2の底面30側に流れ込み易いため、接合材充填空間SPを当該箇所に形成することで、接合材51を流し込み易くなる。従って、金属端子40A,40Bと電子部品本体3の端子電極7A,7Bとの接合の確実性を向上できる。
【0063】
金属端子40A,40Bは、実装面2aに対して垂直な垂直部41を有し、垂直部41に対して接合部50A,50Bが接続されてよい。この場合、垂直部41は、接合材充填空間SPに充填された接合材51を堰き止める壁部として機能すると共に、そのまま接合部50A,50Bとの接続性も確保される。これにより、容易に接合材51を充填することができると共に、金属端子40A,40Bと接合部50A,50Bとの接合性を向上できる。
【0064】
接合部50A,50Bは、端子電極7A,7Bにおける実装面側の部分にて、端子電極7A,7Bに接続されてよい。接合材は実装面側に流れ込み易いため、端子電極7A,7Bにおける実装面側の部分に接合材を流し込むことで、金属端子40A,40Bと電子部品本体の端子電極7A,7Bとの接合の確実性を向上できる。
【0065】
電子部品本体3は、モールド樹脂2で封止されてよい。この場合、耐湿性に優れた樹脂モールド型電子部品1を提供することができる。
【0066】
金属端子40A,40Bは、接合部50A,50Bを介して端子電極7A,7Bと接合される箇所から、実装面に対して垂直をなした状態にて実装面側へ延びてよい。例えば、金属端子40A,40Bが接合部50A,50Bから実装面と平行な方向に延びるような構造を有する場合、樹脂モールド型電子部品の実装面積が大きくなってしまう。これに対し、金属端子40A,40Bが、接合部50A,50Bを介して端子電極7A,7Bと接合される箇所から、実装面2aに対して垂直をなした状態にて実装面2a側へ延びることで、実装面積を小さくすることができるため、実装密度を向上することができる。
【0067】
本実施形態に係る樹脂モールド型電子部品1は、端子電極7A,7Bを有する電子部品本体3と、端子電極7A,7Bと接合された金属端子40A,40Bと、電子部品本体3を覆うモールド樹脂2と、を備え、金属端子40A,40Bは、端子電極7A,7Bから実装面2aへ向かって延びて、モールド樹脂2から外部へ延びる。
【0068】
本実施形態に係る樹脂モールド型電子部品1によれば、モールド樹脂2が電子部品本体3を覆っているため、電子部品本体3の耐湿性を向上できる。ここで、金属端子40A,40Bは、端子電極7A,7Bから実装面2aへ向かって延びて、モールド樹脂2から外部へ延びている。このような金属端子40A,40Bは、例えば、端子電極7A,7Bから実装面2aと平行をなすように延びるような形状に比して、樹脂モールド型電子部品1を製造する上で、端子電極7A,7Bとの位置ずれを低減した状態での接合を行い易くなる。以上より、電子部品本体3と金属端子40A,40Bとの位置ずれを低減した状態で互いに接合し、耐湿性を向上できる。
【0069】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0070】
例えば、上述の実施形態では、並列に二つの電子部品本体3が並べられた構造が例示されたが、電子部品本体3の数や接続態様は特に限定されない。例えば、図9(a)に示すように、二つの電子部品本体3の端子電極7A,7A同士を金属端子140Aで接続することで、二つの電子部品本体3を直列に接続してよい。更に、図9(b)に示すように、端子電極7B,7B同士を金属端子140Bで接続することで、三つの電子部品本体3を直列に接続してもよい。また、三つ以上の電子部品本体3を並列に接続してよい。また、図9(c)に示すように、電子部品本体3を平置きにしてもよい。
【0071】
樹脂モールド型電子部品1は、電子部品本体の実装面2aとは反対側の部分が第1のモールド樹脂2Aから露出するものであってよい(図2参照)。この場合、電子部品本体3の状態を目視することができる。
【0072】
接合材51を充填する際に用いられるノズル53は、必ずしも上側から隙間へ挿入する必要はなく、例えば、第1のモールド樹脂の側壁部に孔などを形成して、当該孔にノズルを挿入してもよい。
【0073】
上述の実施形態では、電子部品本体3に対して実装面2a側に接合部が配置されていたが、接合部の位置は特に限定されず、例えば、端子電極7A,7Bの本体部7aの横側に接合部が形成されてもよい。また、底面30に凹部31A,31Bを形成することで接合材充填空間SPを形成していたが、接合材充填空間SPを形成するための構造は特に限定されない。
【0074】
なお、電子部品本体3は、コンデンサには限定されず、端子電極に対して金属端子が取り付けられる物であれば、あらゆる電子部品に本発明を適用可能である。また、金属端子の構成も上述の実施形態のものには限定されない。すなわち、端子電極と接続部を介して接合可能な形状であれば、金属端子の構成は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…樹脂モールド型電子部品、2…モールド樹脂、2a…実装面、2A…第1のモールド樹脂、2B…第2のモールド樹脂、3…電子部品本体、3a…主面、7A,7B…端子電極、11…収容部、40A,40B…金属端子、50A,50B…接合部、51…接合材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9