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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】車両用視認装置の可倒機構
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
B60R1/06 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020150631
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022045120
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100090228
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 敏晴
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 良晃
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-194925(JP,A)
【文献】実開平07-030152(JP,U)
【文献】特表2004-519374(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04030010(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用視認装置の可倒機構において、
前記可倒機構は、
シャフトを具えて車体に固定される固定部と、
視認部本体を搭載可能に構成され前記シャフトの中心軸の軸周り方向に回転可能に前記固定部に支持される回転部と、
前記回転部が支持された前記固定部の前記シャフトに外挿されて前記回転部と前記固定部との間に押圧力を付与する圧縮コイルばねと、
中心穴を有し前記圧縮コイルばねが外挿された前記シャフトの自由端側で該中心穴に該シャフトが差し込まれて該シャフトに外挿されるワッシャと、
前記圧縮コイルばねと前記ワッシャが外挿された前記シャフトの自由端側に装着されて前記ワッシャが前記圧縮コイルばねの付勢力により前記シャフトの自由端側に移動するのを係止するプレートを有し、
前記シャフトの外周面と前記ワッシャの前記中心穴の内周面との間には該シャフトおよび該ワッシャの径方向のギャップが形成され、
前記シャフトの外周面は該シャフトの前記中心軸の軸周り方向の1または複数箇所に形成された、該軸周り方向の他の箇所と径が異なる異径部を有し、
前記ワッシャの前記中心穴の内周面は該中心穴の中心軸の軸周り方向の1または複数箇所に形成された、該軸周り方向の他の箇所と径が異なる異径部を有し、
前記可倒機構はさらに、前記シャフトと前記ワッシャの間に作用して該ワッシャを該シャフトに対して前記径方向に移動させて、相互に対面する少なくとも1箇所の前記異径部どうしの間で前記ギャップを狭めまたはゼロにするように前記ワッシャの前記中心穴の位置を前記シャフトの位置に対して偏倚させ、もって前記ワッシャに前記シャフトの軸周り方向の回転力が掛かったときに、前記異部どうしの係合により該ワッシャの回転を抑制させる偏倚機構を有する
車両用視認装置の可倒機構。
【請求項2】
前記偏倚機構は前記シャフトを挟んで前記ギャップが狭められまたはゼロにされる箇所の異径部の反対側の位置にそれぞれ配置された、前記プレートに構成された挟まれ部と前記ワッシャに構成された挟み部を有し、
前記挟まれ部は前記シャフトと前記挟み部の間に挟まれて該シャフトと該挟み部の間の前記ギャップによる間隔が所定状態よりも狭まるのを規制することにより前記ワッシャの前記中心穴の位置を前記シャフトの位置に対して偏倚させる請求項1に記載の車両用視認装置の可倒機構。
【請求項3】
前記ワッシャは該ワッシャの外周部全周から上方に立ち上がって形成された壁部を有し、該壁部の内周側の空間は前記プレートを収容するプレート収容空間を構成し、
前記偏倚機構は前記プレート収容空間に収容された前記プレートの外周面と前記壁部の内壁面とが当接する当接箇所を有し、
前記壁部の前記当接箇所は前記挟み部を構成し、
前記プレートの前記当接箇所と前記シャフトの間の該プレートの部分は前記挟まれ部を構成する
請求項2に記載の車両用視認装置の可倒機構。
【請求項4】
前記挟まれ部は前記プレートの前記外周面に該プレートの径方向外向きに突出形成されたプレート側突起を有し、
前記プレートは前記プレート側突起で前記壁部の前記当接箇所に当接する
請求項3に記載の車両用視認装置の可倒機構。
【請求項5】
前記挟み部は前記ワッシャの前記壁部の前記内壁面に該ワッシャの径方向内向きに突出形成されたワッシャ側突起を有し、
前記ワッシャは前記ワッシャ側突起で前記プレートの前記外周面に当接する
請求項3または4に記載の車両用視認装置の可倒機構。
【請求項6】
前記偏倚機構は前記挟み部と前記挟まれ部どうしの当接面の少なくとも一方に形成された傾斜面を有し、
前記傾斜面は前記シャフトの前記中心軸に対し傾斜した面であり、
前記傾斜面は前記ワッシャに加わる前記圧縮コイルばねの付勢力の一部を、該ワッシャを前記シャフトに対して前記径方向に移動させる力に変換することにより、前記挟み部と前記挟まれ部の前記当接面どうしを前記傾斜面に沿って摺動させ、もって前記ワッシャの前記中心穴の位置を前記シャフトの位置に対して偏倚させる
請求項2から5のいずれか1つに記載の車両用視認装置の可倒機構。
【請求項7】
前記挟み部と前記挟まれ部の前記当接面どうしが前記圧縮コイルばねの付勢力により前記傾斜面に沿って摺動する途中の位置で、前記ギャップが狭められまたはゼロにされる箇所の異径部で前記シャフトの外周面と前記ワッシャの前記中心穴の内周面どうしが当接して該シャフトに対する該ワッシャの前記径方向の移動が係止されるように前記傾斜面が設定され、もって前記ギャップが狭められまたはゼロにされる箇所の異径部で前記シャフトの外周面と前記ワッシャの前記中心穴の内周面どうしが前記圧縮コイルばねの付勢力により押圧当接された状態が保持されるように構成されている請求項6に記載の車両用視認装置の可倒機構。
【請求項8】
前記シャフトの外周面および前記ワッシャの前記中心穴の内周面は前記異径部を構成する二面幅部をそれぞれ有し、
前記偏倚機構は前記シャフトを挟んで対向する、前記二面幅部を構成する2面のうちの一方の面の箇所で前記ギャップを狭めまたはゼロするように前記ワッシャの前記中心穴の位置を前記シャフトの位置に対して偏倚させる
請求項1から7のいずれか1つに記載の車両用視認装置の可倒機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアミラー等の車両用視認装置において、ミラー板、カメラ等の視認部本体を搭載する回転部を車体側の固定部に回転可能に支持して、該回転部を少なくとも使用位置に変位可能にする可倒機構に関し、該回転部を回転させる時の異音の低減を図ったものである。
【背景技術】
【0002】
車両のドアミラーは一般に、ドア外面の固定部に立設されたシャフトに、ミラー板を搭載した回転部を回転可能に支持して、該回転部を格納位置と使用位置(展開位置)に変位可能に構成されている。
【0003】
従来の手動格納式ドアミラーにおける、回転部を固定部に回転可能に支持する可倒機構の、シャフト周囲の機構の一例を図2に分解して示す。この機構を簡単に説明する。シャフト24はドア外面に固定設置された図示しないベースにねじ止めで立設固定される。シャフト24とベースはドアミラーの固定部を構成する。なお、ベースとシャフトが一体鋳造、一体成形等により一体構造物として構成されている場合もある。シャフト24には図示しない回転部のフレームが回転自在に支持される。シャフト24の軸30(中心軸)は回転部の回転軸を構成する。シャフト24に回転部のフレームを支持した状態で、図示しない圧縮コイルばねがシャフト24に伸縮動作可能に外挿される。さらに、シャフト24には、圧縮コイルばねの上側でワッシャ32が昇降可能に外挿される。圧縮コイルばねの下端面は回転部のフレームの底板に載置支持される。圧縮コイルばねの上端面にはワッシャ32が載置支持される。圧縮コイルばねのばね力に抗してワッシャ32を押下して圧縮コイルばねを短縮(圧縮)した状態で、ワッシャ32の上側では、シャフト24の側方からU字状のプレート34(Uプレート)が、シャフト24の両側面の2本の溝24dに差し込まれてシャフト24に装着される。これで、シャフト24に対するワッシャ32の上方への移動がプレート34によって係止される。この状態で圧縮コイルばねの押下(圧縮)を解除すると、圧縮コイルばねの付勢力が回転部のフレームの底板とワッシャ32との間に掛かった状態となり、この状態が保持される。この付勢力は回転部を固定部に押し付ける力として作用する。回転部と固定部の当接面(図2に固定部の当接面としてシャフト基部の上面24eが現れている)には凹凸の嵌合構造が回転軸30の周り方向に沿って複数箇所に等間隔で形成されている。この嵌合構造は回転部が少なくとも使用位置にあるときに嵌合する。この嵌合により、回転部を使用位置に保持することができる。また、使用位置にある回転部に回転軸の周り方向の所定値以上の力を加えると、該嵌合が外れて回転部を格納位置に(または、逆周り方向の所定値以上の力を加えると前方可倒位置に)変位させることができる。
【0004】
シャフト24の外周面には二面幅部24cが形成されている。ワッシャ32の中心穴32aの内周面にも二面幅部32bが形成されている。二面幅部24c,32bどうしは係合する。二面幅部24c,32bはワッシャ32が軸30の周り方向に空回りするのを係止する回転係止機構を構成する。図2の可倒機構を有する手動格納式ドアミラーが組み付けられた状態で回転部を軸30の周り方向に手動で回転させると、圧縮コイルばねは、その下端面が回転部のフレームの底板に載置支持されて該箇所に押圧状態で当接しているので、フレームと一体に回転する。一方、ワッシャ32は、シャフト24とワッシャ32の二面幅部24c,32bどうしが係合するので、シャフト24に対する回転が係止される。したがって、このとき圧縮コイルばねとワッシャ32とは、圧縮コイルばねの上端面とワッシャ32の下面との間でスリップを生じながら軸30の周り方向に相対回転する。
【0005】
なお、ワッシャとUプレートを使用してシャフトに圧縮コイルばねを留める構成を有するドアミラーの可倒機構を開示した先行技術文献として、例えば下記特許文献1が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-315128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2の可倒機構を有する手動格納式ドアミラーにおいて、回転部を手動で格納位置から使用位置に、また使用位置から格納位置に変位させるときに、異音(打音等)が発生する問題があった。
【0008】
この発明は従来技術における上述した問題を解決して、回転部を回転させるときの異音の低減(異音が生じない場合を含む)を図った車両用視認装置の可倒機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが図2の可倒機構を有する手動格納式ドアミラーについて、上記打音の発生原因を実験で確認したところ、シャフト24の外周面とワッシャ32の内周面との衝突により該打音が発生することがわかった。図3A図3Bを参照して打音が発生するメカニズムを説明する。図3A図3Bは、図2の可倒機構を有する手動格納式ドアミラーを組み付けた状態での、軸30に沿った方向の、ワッシャ32が存在する位置におけるシャフト24の、軸30に直交する方向の断面を示し、該位置におけるワッシャ32とシャフト24の位置関係を示す。図3Aは回転部を回転させる前の状態を示し、図3Bは回転部を回転させたときの状態を示す。図3Aにおいて、シャフト24はワッシャ32の中心穴32aに差し込まれている。シャフト24とワッシャ32の二面幅部24c,32bどうしは対面している。この状態で、シャフト24の外周面とワッシャ32の内周面との間にはギャップ(隙間)gが生じている。このギャップgは、シャフト24が抜き勾配等による先細りの形状を有する場合に必然的に生じる。すなわち、図2の可倒機構を有するドアミラーの組付け時に、シャフト24に圧縮コイルばねおよびワッシャ32を外挿して溝24dにプレート34を差し込む際に、ワッシャ32を一旦下方に押し下げる必要がある。このとき、シャフト24が先細り形状により下側で太くなっていると、ワッシャ32を押し下げるためにはワッシャ32の中心穴32aを、該押し下げる位置のシャフトの太さに応じた大きさに形成する必要がある。その結果、プレート34を溝24dに差し込んだ後に圧縮コイルばねの圧縮(短縮)状態を解除して圧縮コイルばねの付勢力よりワッシャ32がプレート34に係止される高さに戻った状態では、シャフト24の外周面とワッシャ32の内周面との間にはギャップgが生じる。また、ギャップgは、シャフト24およびワッシャ32の製造誤差(公差)によっても生じる。そして、ギャップgが生じていると、回転部を手動で格納位置から使用位置に、また使用位置から格納位置に変位させるときに、図3Bに示すように、変位当初にワッシャ32が圧縮コイルばねと共に軸30の周り方向に回転する。ワッシャ32の回転は、ワッシャ32の内周面の二面幅部32bの周方向の途中箇所がシャフト24の外周面の二面幅部24cと円形部24gの境界位置Pに衝突してそれ以上回転できなくなることにより停止される。この衝突により打音が発生する。特に、ギャップgが大きいと打音は大きくなる。また、ワッシャ32が回転するときに、ワッシャ32とプレート34の間で擦れ音が生じることもある。この発明は、前記従来技術における問題点を解決して、回転部を回転させる時の異音の低減を図った車両用視認装置の可倒機構を提供するものである。
【0010】
この発明は、車両用視認装置の可倒機構において、前記可倒機構は、シャフトを具えて車体に固定される固定部と、視認部本体を搭載可能に構成され前記シャフトの中心軸の軸周り方向に回転可能に前記固定部に支持される回転部と、前記回転部が支持された前記固定部の前記シャフトに外挿されて前記回転部と前記固定部との間に押圧力を付与する圧縮コイルばねと、中心穴を有し前記圧縮コイルばねが外挿された前記シャフトの自由端側で該中心穴に該シャフトが差し込まれて該シャフトに外挿されるワッシャと、前記圧縮コイルばねと前記ワッシャが外挿された前記シャフトの自由端側に装着されて前記ワッシャが前記圧縮コイルばねの付勢力により前記シャフトの自由端側に移動するのを係止するプレートを有し、前記シャフトの外周面と前記ワッシャの前記中心穴の内周面との間には該シャフトおよび該ワッシャの径方向のギャップが形成され、前記シャフトの外周面は該シャフトの前記中心軸の軸周り方向の1または複数箇所に形成された、該軸周り方向の他の箇所と径が異なる異径部を有し、前記ワッシャの前記中心穴の内周面は該中心穴の中心軸の軸周り方向の1または複数箇所に形成された、該軸周り方向の他の箇所と径が異なる異径部を有し、前記可倒機構はさらに、前記シャフトと前記ワッシャの間に作用して該ワッシャを該シャフトに対して前記径方向に移動させて、相互に対面する少なくとも1箇所の前記異径部どうしの間で前記ギャップを狭めまたはゼロにするように前記ワッシャの前記中心穴の位置を前記シャフトの位置に対して偏倚させ、もって前記ワッシャに前記シャフトの軸周り方向の回転力が掛かったときに、前記異部どうしの係合により該ワッシャの回転を抑制させる偏倚機構を有するものである。異径部は、例えば二面幅部、Dカット部等の非円形部、その他様々な形状で構成することができる。この発明によれば、偏倚機構が、ワッシャをシャフトに対して径方向に移動させて、相互に対面する少なくとも1箇所の異径部どうしの間でギャップを狭めまたはゼロにするようにワッシャの中心穴の位置をシャフトの位置に対して偏倚させるので、ワッシャにシャフトの軸周り方向の回転力が掛かったときに、異部どうしの係合によりワッシャの回転を抑制させることができる。これにより、回転部を回転させる時の異音を低減させることができる。
【0011】
この発明において、前記偏倚機構は前記シャフトを挟んで前記ギャップが狭められまたはゼロにされる箇所の異径部の反対側の位置にそれぞれ配置された、前記プレートに構成された挟まれ部と前記ワッシャに構成された挟み部を有し、前記挟まれ部は前記シャフトと前記挟み部の間に挟まれて該シャフトと該挟み部の間の前記ギャップによる間隔が所定状態よりも狭まるのを規制することにより前記ワッシャの前記中心穴の位置を前記シャフトの位置に対して偏倚させるものとすることができる。ここで異径部を二面幅部で構成する場合には、前記偏倚機構は中心穴の位置を、例えば、二面幅部の面の対向方向の一方向に偏倚させるものとすることができる。
【0012】
この発明において、前記ワッシャは該ワッシャの外周部全周から上方に立ち上がって形成された壁部を有し、該壁部の内周側の空間は前記プレートを収容するプレート収容空間を構成し、前記偏倚機構は前記プレート収容空間に収容された前記プレートの外周面と前記壁部の内壁面とが当接する当接箇所を有し、前記壁部の前記当接箇所は前記挟み部を構成し、前記プレートの前記当接箇所と前記シャフトの間の該プレートの部分は前記挟まれ部を構成するものとすることができる。
【0013】
この発明において、前記挟まれ部は前記プレートの前記外周面に該プレートの径方向外向きに突出形成されたプレート側突起を有し、前記プレートは前記プレート側突起で前記壁部の前記当接箇所に当接するものとすることができる。
【0014】
この発明において、前記挟み部は前記ワッシャの前記壁部の前記内壁面に該ワッシャの径方向内向きに突出形成されたワッシャ側突起を有し、前記ワッシャは前記ワッシャ側突起で前記プレートの前記外周面に当接するものとすることができる。
【0015】
この発明において、前記偏倚機構は前記シャフトの中心軸に沿った方向に対向する前記ワッシャと前記プレートの対向面どうしに形成された凹凸の嵌合構造を有し、前記ワッシャ側の前記嵌合構造は前記挟み部を構成し、前記プレート側の前記嵌合構造と前記シャフトの間の該プレートの部分は前記挟まれ部を構成するものとすることができる。
【0016】
この発明において、前記挟まれ部は前記プレートの内周位置から下方に向けて突出形成された差込部を有し、前記差込部は前記シャフトを挟んで前記ギャップが狭められまたはゼロにされる箇所の異径部の反対側の位置で前記ギャップに差し込まれ、前記差込部が前記ギャップに差し込まれる位置で前記ワッシャの前記中心穴の内周面は前記挟み部を構成するものとすることができる。ここで異径部を二面幅部で構成する場合には、例えば、前記挟まれ部は前記プレートの内周位置から下方に向けて突出形成された差込部を有し、前記ワッシャの前記二面幅部の一方の面は前記挟み部を構成し、前記差込部は前記ワッシャの前記挟み部を構成する前記二面幅部の一方の面と該面に対向する前記シャフトの前記二面幅部の一方の面との間の前記ギャップに差し込まれるものとすることができる。
【0017】
この発明において、前記可倒機構は前記シャフトの中心軸に沿った方向に対向する前記ワッシャと前記プレートの対向面間に挟まれる追加プレートを有し、前記偏倚機構は前記追加プレートに構成された挟まれ部と前記ワッシャに構成された挟み部を有し、前記挟まれ部は前記シャフトと前記挟み部の間に挟まれて該シャフトと該挟み部の間の前記ギャップによる間隔が所定状態よりも狭まるのを規制することにより前記ワッシャの前記中心穴の位置を前記シャフトの位置に対して偏倚させる(ここで異径部を二面幅部で構成する場合には、例えば、前記二面幅部の面の対向方向の前記一方向に偏倚させる)ものとすることができる。
【0018】
この発明において、前記偏倚機構は前記挟み部と前記挟まれ部どうしの当接面の少なくとも一方に形成された傾斜面を有し、前記傾斜面は前記シャフトの前記中心軸に対し傾斜した面であり、前記傾斜面は前記ワッシャに加わる前記圧縮コイルばねの付勢力の一部を、該ワッシャを前記シャフトに対して前記径方向(ここで異径部を二面幅部で構成する場合には、例えば、前記二面幅部の面の対向方向の前記一方向)に移動させる力に変換することにより、前記挟み部と前記挟まれ部の前記当接面どうしを前記傾斜面に沿って摺動させ、もって前記ワッシャの前記中心穴の位置を前記シャフトの位置に対して偏倚させる(ここで異径部を二面幅部で構成する場合には、例えば、前記二面幅部の面の対向方向の前記一方向に偏倚させる)ものとすることができる。
【0019】
この発明において、前記挟み部と前記挟まれ部の前記当接面どうしが前記圧縮コイルばねの付勢力により前記傾斜面に沿って摺動する途中の位置で、前記ギャップが狭められまたはゼロにされる箇所の異径部で前記シャフトの外周面と前記ワッシャの前記中心穴の内周面どうしが当接して該シャフトに対する該ワッシャの前記径方向の移動が係止されるように前記傾斜面が設定され、もって前記ギャップが狭められまたはゼロにされる箇所の異径部で前記シャフトの外周面と前記ワッシャの前記中心穴の内周面どうしが前記圧縮コイルばねの付勢力により押圧当接された状態が保持されるように構成されているものとすることができる。
【0020】
ここで異径部を二面幅部で構成する場合には、例えば、前記挟み部と前記挟まれ部の前記当接面どうしが前記圧縮コイルばねの付勢力により前記傾斜面に沿って摺動する途中の位置で、前記二面幅部の面の対向方向について前記シャフトの片側で該二面幅部の面どうしが当接して前記ワッシャの前記一方向への移動が係止されるように前記傾斜面が設定され、もって前記二面幅部の面の対向方向について前記シャフトの片側で該二面幅部の面どうしが前記圧縮コイルばねの付勢力により押圧当接された状態が保持されるように構成されているものとすることができる。このとき、前記挟まれ部は、前記シャフトの前記二面幅部を構成する2面のうちの他方の面に押圧当接する直線部を有するものとすることができる。これによれば、シャフトの二面幅部の面と挟まれ部の直線部が押圧当接するので、シャフトの軸周り方向の挟まれ部の回転をより確実に抑制して、シャフトの軸周り方向のワッシャの回転をより確実に抑制することができる。
【0021】
この発明において、前記ワッシャは該ワッシャの外周部全周から上方に立ち上がって形成された壁部を有し、該壁部の内周側の空間は前記プレートを収容するプレート収容空間を構成し、前記ワッシャは前記プレート収容空間に配置される補助具を有し、前記補助具は前記プレートの外周面と前記壁部の内壁面の間に挟まれて前記挟み部を構成するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A図4の実施の形態1においてシャフト軸部にワッシャおよびプレートが組付けられた状態(実使用時の状態)を示す図で、シャフト軸部の軸方向のワッシャおよびプレートが存在する位置における、該軸に直交する方向の断面図である。
図1B図1AのE-E矢視断面図である。
図2】従来の手動格納式ドアミラーにおける可倒機構の、シャフト周囲の機構の一例を示す分解斜視図である。
図3A図2の可倒機構を有する手動格納式ドアミラーを組み付けた状態での、シャフトの軸方向のワッシャが存在する位置における、該軸に直交する方向の断面図で、回転部を回転させる前の該位置におけるワッシャとシャフトの位置関係を示す。
図3B図3Aと同じ位置、同じ断面方向の断面図で、図3Aの状態から回転部を回転させたときワッシャとシャフトの位置関係を示す。
図4】この発明の実施の形態1を示す図でこの発明が適用されたドアミラーの分解斜視図である。
図5A図4のワッシャの詳細構成を示す平面図である。
図5B図5AのA-A矢視断面図である。
図5C図5BのB部拡大図である。
図6A図4のプレートの詳細構成を示す平面図である。
図6B図6AのC-C矢視断面図である。
図6C図6BのD部拡大図である。
図7図4のシャフト軸部を、プレートを装着する溝の位置で、シャフト軸部の軸に直交する面で切断した断面図である。
図8A図8A図8D図4の実施の形態1においてシャフト軸部にワッシャおよびプレートを組み付ける手順を説明する図で、シャフト軸部の中心軸を通りかつシャフト軸部の二面幅部の面に直交する平面で切断した断面をそれぞれ示す。このうち図8Aは第1工程(ワッシャを配置する工程)を示す。
図8B図8Aに続く第2工程(圧縮コイルばねを圧縮する工程)を示す。
図8C図8Bに続く第3工程(プレートを挿入する工程)を示す。
図8D図8Cに続く第4工程(圧縮コイルばねの圧縮を解除してワッシャおよびプレートの組付けが完了した状態)を示す。
図9A図9A図9B図4の実施の形態1において、シャフト軸部に対するワッシャおよびプレートの組付けが完了した状態を示す図である。このうち図9Aは、シャフト軸部の中心軸を通りかつシャフト軸部の二面幅部の面に直交する平面で切断した断面図である。
図9B図9Aの組付けが完了した状態において、図9Aの断面位置に対して中心軸30の周り方向に90度回転した位置の断面図である。
図10】この発明の実施の形態2を示す断面図で、実施の形態1に関する図1Bと同じ位置の断面を示す。
図11】この発明の実施の形態3を示す断面図で、実施の形態1に関する図1Bと同じ位置の断面を示す。
図12】この発明の実施の形態4を示す図で、プレート側突起の配置の変更例を示し、シャフト軸部にワッシャおよびプレートを組み付けてシャフト軸部の軸方向から見た平面図である。
図13】この発明の実施の形態5を示す図で、プレート側突起の配置の変更例を示し、シャフト軸部にワッシャおよびプレートを組み付けてシャフト軸部の軸方向から見た平面図である。
図14】この発明の実施の形態6を示す図で、プレート側突起の配置の変更例を示し、シャフト軸部にワッシャおよびプレートを組み付けてシャフト軸部の軸方向から見た平面図である。
図15】この発明の実施の形態7を示す図で、ワッシャ側突起の配置の一例を示し、シャフト軸部にワッシャおよびプレートを組み付けてシャフト軸部の軸方向から見た平面図である。
図16】この発明の実施の形態8を示す図で、ワッシャ側突起の配置の変更例を示し、シャフト軸部にワッシャおよびプレートを組み付けてシャフト軸部の軸方向から見た平面図である。
図17】この発明の実施の形態9を示す図で、ワッシャ側突起の配置の変更例を示し、シャフト軸部にワッシャおよびプレートを組み付けてシャフト軸部の軸方向から見た平面図である。
図18】この発明の実施の形態10を示す図で、ワッシャ側突起の配置の変更例を示し、シャフト軸部にワッシャおよびプレートを組み付けてシャフト軸部の軸方向から見た平面図である。
図19A】この発明の実施の形態11を示す図で、シャフト軸部にワッシャおよびプレートが組付けられた状態を示し、シャフト軸部の軸方向のワッシャおよびプレートが存在する位置における、該軸に直交する方向の断面図である。
図19B図19AのF-F矢視断面図である。
図20A】この発明の実施の形態12を示す図で、シャフト軸部にワッシャおよびプレートが組付けられた状態を示し、シャフト軸部の軸方向のワッシャおよびプレートが存在する位置における、該軸に直交する方向の断面図である。
図20B図20AのG-G矢視断面図である。
図21A】この発明の実施の形態13を示す図で、シャフト軸部にワッシャおよびプレートが組付けられた状態を示し、シャフト軸部の軸方向のワッシャおよびプレートが存在する位置における、該軸に直交する方向の断面図である。
図21B図21AのH-H矢視断面図である。
図22A】この発明の実施の形態14を示す図で、シャフト軸部にワッシャおよびプレートが組付けられた状態を示し、シャフト軸部の軸方向のワッシャおよびプレートが存在する位置における、該軸に直交する方向の断面図である。
図22B図22AのI-I矢視断面図である。
図23】この発明の実施の形態15を示す図で、実施の形態1に係る図1と同じ箇所で切断した断面図である。
図24】この発明の実施の形態16を示す図で、実施の形態15に係る図23と同じ箇所で切断した断面図である。
図25】この発明の実施の形態17を示す図で、実施の形態15に係る図23と同じ箇所で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の様々な実施の形態を以下説明する。なお、以下の各実施の形態では、図2図3A図3Bの従来構造に対応する箇所には同一の符号を用いる。また、各実施の形態相互間においても、相互に対応する箇所には同一の符号を用いる。
【0024】
《実施の形態1》
この発明の実施の形態1を説明する。図4はこの発明が適用されたドアミラー20を分解して示す。このドアミラー20は以下の構成を有する。ベース22は車体のドアに取り付けられる部品で、亜鉛、アルミ等のダイカスト、または硬質樹脂(強化樹脂等)等で構成される。ベース22にはシャフト24がねじ止めで立設固定される。ベース22とシャフト24はドアミラーの固定部26を構成する。なお、ベース22とシャフト24が一体鋳造、一体成形等により一体構造物として構成される場合もある。シャフト24がベース22と一体構成の場合は、シャフト24はベース22と同一材料で構成される。シャフト24がベース22と別体構成の場合は、シャフト24は亜鉛、アルミ等のダイカスト、または硬質樹脂(強化樹脂等)等で構成される。
【0025】
シャフト24はここでは下側の大径のシャフト基部24aと上側の小径のシャフト軸部24bを同軸に配して一体構造で構成されている。シャフト基部24aの外周面の、軸30に直交する断面形状は円形である。シャフト軸部24bの外周面の、軸30に直交する断面形状は二面幅部24c(シャフト軸部24aの異径部)および溝24dで非円形(直線)であることを除き円形である。シャフト24には軸30に沿って上下方向に貫通する貫通孔25が形成されている。シャフト24はシャフト基部24aの下面でベース22にねじ止めで立設固定される。シャフト軸部24bは抜き勾配等による先細りの形状を有する。シャフト軸部24b外周面の、シャフト24の軸30(シャフト24の中心軸、回転部28の回転軸)を挟んで相互に対称の位置には、該外周面を概ね平行な(正確にはシャフト軸部24bの先細りの形状に合わせて下側に行くに従い間隔が拡がる)2つの平面でカットした2面(以下「二面幅面」という)24c1,24c2を有する二面幅部24cが、シャフト24の軸30に沿った方向(幾分傾斜している)に延在して形成されている。二面幅部24cは後述するワッシャ32の中心穴32aの二面幅部32bと係合して、シャフト24に対するワッシャ32の、軸30の周り方向の回転を係止する働きをする。また、シャフト軸部24bの外周面の上部の、シャフト24の軸30を挟んで相互に対称の位置(ここでは二面幅部24cに対し軸30の周り方向に90度回転させた位置)には、後述するプレート34が差し込まれる2本の溝24dが軸30に直交する方向に延在して形成されている。
【0026】
シャフト24には回転部28のフレーム36が軸30の周り方向に回転自在に支持される。シャフト24の軸30は回転部28の回転軸を構成する。フレーム36は亜鉛、アルミ等のダイカスト、または硬質樹脂(強化樹脂等)等による一体成形品で構成されている。フレーム36の自由端側(軸30から離れる側)の前面には、図示しない鏡面アクチュエータを介して、視認部本体を構成する図示しないミラー板が取り付けられる。鏡面アクチュエータは、車内からの遠隔操作によりモータ駆動でミラー角度を上下左右各方向に調整する。フレーム36の基端側(軸30に近い側)には上下方向に延在する内筒36aと外筒36bが同軸に形成されている。内筒36aと外筒36bはそれらの下部において、底板36c(図9A図9B)により相互に連結されている。内筒36aと外筒36bの間に形成される円筒状空間36dは底板36cで塞がれている。内筒36aの内周側に形成される円柱状空間36eは、フレーム36を上下方向に貫通する貫通孔を構成する。円柱状空間36eには下方からシャフト軸部24bが差し込まれる。シャフト軸部24bの上部は内筒36aの上端部から上方に突出して外部空間に露出する。フレーム36は内筒36aと外筒36bの間の底板36c(図9A図9B)の下面全周でシャフト基部24aの上面24eに載置支持され、かつ円柱状空間36eの内周面全周でシャフト24の軸30の周り方向に回転可能に支持される。フレーム36には図示しないバイザー(ミラーハウジングともいう)が被せて装着される。鏡面アクチュエータ、ミラー板、バイザーを搭載したフレーム36はドアミラーの回転部28を構成する。
【0027】
フレーム36の円筒状空間36dには、圧縮コイルばね38がシャフト24と同軸にかつ伸縮動作自在に収容配置される(図9A図9B)。これにより、シャフト軸部24bに圧縮コイルばね38が伸縮動作自在に外挿された状態となる。圧縮コイルばね38の下端面は、内筒36aと外筒36bの間の底板36c(図9A図9B)の上面(円筒状空間36dの底面)に載置支持される。シャフト軸部24bが円柱状空間36eに差し込まれかつ円筒状空間36dに圧縮コイルばね38が収容配置された状態で、内筒36aの上端部から上方に突出しているシャフト軸部24bには、圧縮コイルばね38の上側(シャフト軸部24bの自由端側)でリング状のワッシャ32が、中心穴32aにシャフト軸部24bを差し込んで昇降自在に外挿される。ワッシャ32は圧縮コイルばね38の上端面に載置支持される。ワッシャ32の中心穴32aの内周面には、中心穴32aの中心軸を挟んで対称の位置に、該内周面を平行な2つの平面でカットした2面(以下「二面幅面」という)32b1,32b2を有する二面幅部32bが形成されている。シャフト軸部24bとワッシャ32の二面幅部24c,32bどうしが対面する位置(シャフト軸部24bとワッシャ32の、軸30の周り方向の相対回転角度位置)で、ワッシャ32の中心穴32aにシャフト軸部24bを差し込むことができる。シャフト軸部24bにワッシャ32を外挿した状態では、シャフト軸部24bに対するワッシャ32の、軸30の周り方向の回転は二面幅部24c,32bどうしの係合により規制される。すなわち、二面幅部24c,32bは、圧縮コイルばね38による付勢がない状態でもワッシャ32が軸30の周り方向に空回りするのを係止する回転係止機構を構成する。
【0028】
ワッシャ32が圧縮コイルばね38の上側でシャフト軸部24bに外挿された状態で、シャフト軸部24bにU字状のプレート34(Uプレート)が装着される。シャフト軸部24bに対するプレート34の装着は、圧縮コイルばね38のばね力に抗してワッシャ32を押下して圧縮コイルばね38を短縮(圧縮)させて、ワッシャ32の上側(シャフト軸部24bの自由端側)でシャフト軸部24bの側方からプレート34を、シャフト軸部24bの両側面の2本の溝24dに差し込むことにより行われる。すなわち、プレート34の平行部34a,34aをシャフト軸部24bの溝24d,24dに差し込んでスライドさせながら、プレート34の開口部34bにシャフト軸部24bを進入させてプレート34をシャフト軸部24bに装着する。これで、ワッシャ32の上方への移動がプレート34によって係止される状態となる。この状態で圧縮コイルばね38の押下(圧縮)を解除すると、圧縮コイルばね38の付勢力がフレーム36の底板36cとワッシャ32との間に掛かった状態となり(図9A図9B)、この状態が保持される。この付勢力は回転部28を固定部26に対して軸30に沿った方向に押し付ける押圧力として作用する。この押圧力が作用する回転部28と固定部26の当接面(フレーム36の底板36cの下面とシャフト基部24aの上面24e、図9A図9B参照)には、図示しない凹凸の嵌合構造が回転軸30の周り方向に沿って複数箇所に等間隔で形成されている。この嵌合構造は回転部28が少なくとも使用位置にあるときに嵌合する。圧縮コイルばね38で付勢されたこの嵌合により、回転部28を使用位置に保持することができる。また、使用位置にある回転部28に回転軸30の周り方向の所定値以上の力を加えると、該嵌合が外れて回転部28を格納位置方向に(または、逆周り方向の所定値以上の力を加えると前方可倒位置方向に)回転して変位させることができる。
【0029】
ドアミラー20が以上のように組み付けられた状態で回転部28を軸30の周り方向に手動で回転させると、圧縮コイルばね38の下端面は内筒36aと外筒36bの間の底板36cの上面に押圧状態で当接しているので、圧縮コイルばね38は回転部28と一緒に軸30の周り方向に回転する。一方、ワッシャ32は、シャフト24とワッシャ32の二面幅部24c,32bどうしが係合するので、シャフト24に対する回転が阻止されている。したがって、このとき圧縮コイルばね38とワッシャ32とは、圧縮コイルばね38の上端面とワッシャ32の下面との間でスリップを生じながら軸30の周り方向に相対回転する。
【0030】
図4のワッシャ32の詳細構成を図5A図5Cを参照して説明する。ワッシャ32は鉄合金等の金属板をプレス加工して作られている。ワッシャ32は、図5Aに示すように、平面形状(外形)が円形であり、面の中央部に中心穴32aが形成されている。中心穴32aの内周面には、中心穴32aの中心軸(ワッシャ32の中心軸と同じ)32cを挟んで対称の位置に、該内周面を平行な平面でカットした二面幅面32b1,32b2を有する二面幅部32b(ワッシャ32の中心穴32aの異径部)が形成されている。中心穴32の内周面は二面幅部32bで非円形(直線)であることを除き中心軸32cを中心とした円形である。中心穴32aの大きさ(径)は、シャフト軸部24bに外挿されたワッシャ32がプレート34で係止される位置(軸30に沿った方向の高さ位置)で、シャフト軸部24bの外周面と中心穴32aの内周面との間に全周で比較的大きなギャップが生じる大きさに設定されている。すなわち、前述のとおりシャフト軸部24bは抜き勾配等により先細りの形状を有しており、ドアミラー20の組立工程でプレート34をシャフト軸部24bの溝24dに差し込む際に、ワッシャ32をプレート34が差し込める位置まで下降できるように、中心穴32aは該下降予定位置のシャフト軸部24bの太さに応じた大きさに設定されている。その結果、ドアミラー20を組み立てた状態(ワッシャ32がシャフト軸部24bの上部に上昇した状態)では、シャフト軸部24bの上部の外周面とワッシャ32の中心穴32aの内周面との間に比較的大きなギャップが生じる。
【0031】
ワッシャ32は、図5Bに示すように、中央部を構成する平面部32dと、平面部32dの外周部全周から上方に立ち上がって形成された壁部32eを有する。壁部32eの内周側の空間はプレート34を収容するプレート収容空間32fを構成する。壁部32eの内壁面32gの断面形状は図5Cに拡大して示すように形成されている。すなわち、内壁面32gは、平面部32dの外周縁部から斜め上方に立ち上がる傾斜面32g1と、傾斜面32g1の上部から傾斜を徐々に緩やかにして形成された丸み面32g2と、丸み面32g2の外周側に連続して平面部32dと平行にワッシャ32の最外周位置まで形成された平坦面32g3を有する。このような内壁面32gの形状により、後述するように、圧縮コイルばね38の付勢力により、プレート34をプレート収容空間32fに誘い込みやすく(引き込みやすく)している。
【0032】
ワッシャ32の平面部32dの下面には、ワッシャ32の中心軸32cを中心に周方向に等間隔に4個の芯ずれ防止用突起32kが突出形成されている。芯ずれ防止用突起32kは、ワッシャ32の下面に当接する圧縮コイルばね38の上端面中央開口部の内周面に近接した位置に配置されて(図9A図9B)、圧縮コイルばね38の芯ずれ(圧縮コイルばね38の中心軸がシャフト24の中心軸30からずれること)を防止する機能を果たすものである。なお、図5A図5B図5C図9A図9Bを除く図では、芯ずれ防止用突起32kの図示を省略している。
【0033】
図4のプレート34の詳細構成を図6A図6Cを参照して説明する。プレート34はワッシャ32と同じ鉄合金等の金属板をプレス加工で型抜きして、全体が均一の厚さの平板状に作られている。プレート34は、図6Aに示すように、平面形状が概ねU字状である。すなわち、プレート34は相互に平行な2本の平行部34a,34aと、平行部34a,34aの一端部どうしを弧状に繋ぐ弧状部34cを有し、平行部34a、弧状部34c、平行部34aで包囲された開口部34bを形成している。開口部34bは平行部34a,34aの自由端側で開放されて、シャフト軸部24bを進入させる進入口34eを構成している。平行部34a,34aの相互に平行な対向辺部34d,34dをシャフト軸部24bの溝24d,24d(図4)に差し込みながら、進入口34eからシャフト軸部24bを開口部34bに進入させる。その結果、平行部34a,34aが溝24d,24dに係合した状態でシャフト軸部24bが開口部34bに収容されて、プレート34はシャフト軸部24bに装着されて軸30に沿った方向の移動が係止される。開口部34bの幅(対向辺部34d,34d間の距離)は、開口部34bに収容されている箇所のシャフト軸部24bの外寸(溝24d,24dの底部24d1,24d1間の距離、図7参照)よりも僅かに大きい程度である。したがって、プレート34はシャフト軸部24bの軸30の周り方向には概ね回転できない。
【0034】
弧状部34cの内周面34fは、プレート34がシャフト軸部24bに装着された位置におけるシャフト軸部24bの外周面の形状に合わせて形成されている。すなわち、弧状部34cの内周面34fは両側の円弧部34f1,34f2と、円弧部34f1,34f2の間を繋ぐ直線部34f3とを有して構成されている。円弧部34f1,34f2の外端部は対向辺部34d,34dにそれぞれ繋がっている。ワッシャ32およびプレート34がシャフト軸部24bに装着されて圧縮コイルばね38で付勢された状態で、直線部34f3はシャフト軸部24bの二面幅面24c2(平面)に平行かつ密接に押圧当接する(図1A図1B)。これにより、プレート34はシャフト軸部24bの軸30の周り方向のがたつきが確実に阻止される。このとき円弧部34f1,34f2はシャフト軸部24bの二面幅面24cの両側の円形部24g(円弧状の外周面)に概ね隙間なく対面している(図1A)。
【0035】
プレート34の弧状部34cの周方向中心位置の外周面には、プレート34の径方向外向きにプレート側突起34gが突出形成されている。プレート側突起34gは偏倚機構の一部を構成する。実施の形態1では、図6Cに示すように、プレート側突起34gの先端面34g1はプレート34の面に対し直角な面に形成されている。
【0036】
図4のシャフト軸部24bの溝24dの位置における、軸30に直交する断面形状を図7を参照して説明する。シャフト軸部24bの外周面の、軸30に直交する断面形状は二面幅部24cおよび溝24dを除き円形(円形部24g)である。二面幅面24c1,24c2の外周面断面形状は、軸30を挟んで相互に対称の位置に配置された相互に平行な直線である。溝24d,24dの底部24d1,24d1の外周面形状は、軸30を挟んで相互に対称の位置に配置された相互に平行な直線である。二面幅面24c1,24c2の外周面断面形状と溝24d,24dの底部24d1,24d1の外周面断面形状は相互に直交する方向に延在する。シャフト軸部24bにはシャフト24の全体を上下に貫通する貫通孔25が形成されている。貫通孔25には鏡面アクチュエータ等への給電用ケーブルが挿通される。
【0037】
ここで、図8A図8Dを参照してシャフト軸部24bにワッシャ32およびプレート34を組み付ける手順を説明する。なお、図8A図8Dは、圧縮コイルばね38およびフレーム36の図示を省略している。
(第1工程:図8A
シャフト軸部24bをフレーム36の円柱状空間36e(図4)に挿通してシャフト24にフレーム36を支持し、かつフレーム36の円筒状空間36dに圧縮コイルばね38を収容した状態で、ワッシャ32の中心穴32aにシャフト軸部24bを挿通してワッシャ32を圧縮コイルばね38の上端面に載置支持する。溝24dにプレート34を差し込む際に、下側で太くなっているシャフト軸部24bに対しワッシャ32を溝24dの位置よりも十分下方に下降させられるように、ワッシャ32の中心穴32aの内周面とシャフト軸部24bの外周面との間にはギャップgが形成されている。
(第2工程:図8B
ワッシャ32を押下して、圧縮コイルばね38を圧縮する。圧縮は、ワッシャ32がシャフト軸部24bの二面幅面24c1,24c2の下端の段部24fで係止される位置で停止する。
(第3工程:図8C
プレート34をシャフト軸部24bの側方から進入させて溝24dに差し込む。
(第4工程:図8D
圧縮コイルばね38の圧縮を解除する。これにより、ワッシャ32は圧縮コイルばね38の付勢力で上方に押し上げられ、プレート34に押圧当接して係止される。プレート34はワッシャ32の上面のプレート収容空間32fに収容される。図5Cについて説明したとおり、ワッシャ32の壁部32eの内壁面32gには上側から丸み面32g2および傾斜面32g1が形成されているので、圧縮コイルばね38の付勢力によりプレート34をプレート収容空間32fに誘い込みやすく(引き込みやすく)なっている。以上でシャフト軸部24bに対するワッシャ32およびプレート34の組付けが完了する。
【0038】
図9A図9Bは、シャフト軸部24bに対するワッシャ32およびプレート34の組付けが完了した状態を、圧縮コイルばね38およびフレーム36を含んで示している。図9Aは、シャフト軸部24bの中心軸30を通りかつシャフト軸部24bの二面幅面24c1,24c2に直交する平面で切断した断面を示す。図9B図9Aの該断面位置を中心軸30の周り方向に90度回転した位置の断面を示す。圧縮コイルばね38はフレーム36の円筒状空間36dの底面(底板36cの上面)とワッシャ32の下面との間に圧縮状態で配置されている。ワッシャ32は圧縮コイルばね38の付勢力で上方に押し上げられ、プレート34に係止されている。フレーム36の内筒36aと外筒36bの間の底板36cの下面とシャフト基部24aの上面24eは圧縮コイルばね38の付勢力で押圧当接している。この押圧当接面には前述のとおりフレーム36(回転部28)を少なくとも使用位置に保持するための凹凸の嵌合構造が回転軸30の周り方向に沿って形成されている。回転部28に回転軸30の周り方向に所定値以上の力を加えると凹凸の嵌合が外れて回転部28は格納方向または前方可倒方向に回転する。凹凸の嵌合が外れる際にフレーム36はシャフト24に対し軸30に沿った方向に凹凸の高さ分上昇し、再嵌合する際に凹凸の高さ分下降する。
【0039】
図1A図1Bは、シャフト軸部24bにワッシャ32およびプレート34が組付けられた状態におけるシャフト軸部24b、ワッシャ32、プレート34の位置関係を示す。プレート34はワッシャ32の上面のプレート収容空間32fに収容されている。ワッシャ32は図示しない圧縮コイルばね38に付勢されてプレート34に押圧当接して係止されている。図1Bに示すように、プレート側突起34gが存在する周方向位置(軸30の周り方向の位置)におけるプレート34の幅「a」は、その周方向位置におけるワッシャ32の平面部32dの幅「b」に対し「a>b」に設定されている。シャフト軸部24bとワッシャ32の中心穴32aとの間にはギャップgが存在するため、この寸法の設定によりワッシャ32はシャフト軸部24bに対しプレート側突起34gに向かう方向に偏倚する。すなわち、シャフト軸部24bの軸30に対し、ワッシャ32の中心軸32cが図1A図1Bにおいて右方向に偏倚する。言い換えれば、シャフト軸部24bに対しワッシャ32の中心穴32aがプレート側突起34gに向かう方向に偏倚する。これにより、シャフト軸部24bの二面幅部24cのギャップgは、図1A図1Bで見て、シャフト軸部24bの右側で大きくなり、左側で小さくなる。左右のギャップgを足し合わせた値を「c」とすると、実施の形態1では図1Bに示すように「a≧(b+c)」に設定されている。その結果、シャフト軸部24bの左側でシャフト軸部24bの二面幅面24c1とワッシャ32の二面幅面32b1が平行に対面し、該両面間のギャップgはゼロ(二面幅面24c1,32b1が当接した状態)となる。また、シャフト軸部24bの右側でシャフト軸部24bの二面幅面24c2とプレート34の内周面34fの直線部34f3の面が平行に対面し、該両面間のギャップはゼロ(二面幅面24c2と直線部34f3が当接した状態)となる。すなわち、シャフト軸部24bの左側のワッシャ32の二面幅面32b1と、シャフト軸部24bの右側のプレート34の直線部34f3の面とでシャフト軸部24bを左右からギャップゼロで挟んだ状態となる。このギャップゼロの状態は、圧縮コイルばね38の付勢力により維持される。これにより、回転部28の回転に伴うシャフト軸部24bに対するワッシャ32の回転(図3Bについて説明した回転)は生じなくなり、回転部28の回転当初の打音(シャフト軸部24bの外周面とワッシャ32の中心穴32aの内周面との衝突による打音、ワッシャ32とプレート34間の擦れ音等)は生じなくなる。すなわち、回転部28を回転しても、図1A図1Bの各部の位置関係に変化は生じない。特に、「a>(b+c)」に設定した場合には、圧縮コイルばね38の付勢力により、プレート側突起34gの先端面34g1がワッシャ32の壁部32eの傾斜面32g1の高さ方向の途中位置に押圧当接して係止された状態に保持され(その結果、ワッシャ32に対しプレート34が僅かに傾斜することになる)、シャフト軸部24bの左側でシャフト軸部24bの二面幅面24c1とワッシャ32の二面幅面32b1どうしが密接に押圧当接し、シャフト軸部24bの右側でシャフト軸部24bの二面幅面24c2とプレート34の内周面34fの直線部34f3の面が密接に押圧当接する。すなわち、シャフト軸部24bの左側のワッシャ32の二面幅面32b1と、シャフト軸部24bの右側のプレート34の直線部34f3の面とでシャフト軸部24bの二面幅部24cを左右から圧縮コイルばね38の付勢力で挟み付けた状態となる。したがって、公差により寸法a,b,cに多少の誤差が存在しても、また経年変化により寸法a,b,cに多少の変化が生じても、圧縮コイルばね38の付勢力によりプレート側突起34gの先端がワッシャ32の壁部32eの傾斜面32g1を下降してこの寸法の変化が吸収されるので、左側の二面幅面24c1,32b1間のギャップgをゼロに維持することができる。なお、「a<(b+c)」に設定した場合は左側の二面幅面24c1,32b1間のギャップgはゼロでなくなる可能性があるが、「a>b」でさえあれば、「a<b」の場合(図2図3Bに示す従来設計)に比べて左側の二面幅面24c1,32b1間のギャップgを小さくできるので、該従来設計に比べて回転部28の回転当初の打音を小さくできる。したがって、寸法a,b,cの関係は次のいずれかに設定すれば、回転当初の打音低減効果が得られる。
・「(b+c)>a>b」:従来設計に比べて回転当初の打音を小さくできる。
・「a=(b+c)」:回転当初の打音をゼロにできる。
・「a>(b+c)」:公差、経年変化による寸法変化等を吸収して回転当初の打音をゼロに維持できる。
【0040】
なお、実施の形態1において、この発明の「挟み部」「挟まれ部」は、図1Aにおいて、それぞれ次の箇所が該当する。挟み部40は、ワッシャ32の、壁部32eの内壁面32gにおける、プレート側突起34gと当接する箇所が該当する。挟まれ部42は、プレート34の、プレート側突起34gから内周面34fの直線部34f3に至る領域、すなわち、ワッシャ32の挟み部40とシャフト軸部24bの右側の二面幅面24c2で挟まれた、プレート34の領域が該当する。挟まれ部42は、ワッシャ32の挟み部40とシャフト軸部24bの右側の二面幅面24c2との間隔が、図1Bの寸法aよりも狭まるのを規制することにより、左側の二面幅面24c1,32b1間のギャップgが拡がらないようにしている。
【0041】
《実施の形態2》
この発明の実施の形態2を図10に示す。これは、実施の形態1に対してワッシャ32の壁部32eの断面形状およびプレート34のプレート側突起34gの先端面34g1の形状を変更したものである。それ以外は実施の形態1と同じである。図10は、図1Bと同じ位置の断面を示す。実施の形態2では、ワッシャ32の壁部32eは平面部32dの外周部全周から上方に直角に立ち上がって形成された断面形状を有する。したがって、壁部32eの内壁面32gは平面部32dに対し直立した面を形成している。壁部32eの内周側の空間はプレート34を収容するプレート収容空間32fを構成する。プレート34のプレート側突起34gの先端面34g1は斜め下向きに傾斜して形成されている。シャフト軸部24bに対するワッシャ32およびプレート34の組付けは、実施の形態1について説明した図8A図8D(第1~4工程)と同様に行うことができる。このとき、図8Dに対応する第4工程では、圧縮コイルばね38の圧縮を解除すると、プレート側突起34gの斜め下向きに傾斜した先端面34g1がワッシャ32の壁部32eの上端面内周側角部32hに当接し、圧縮コイルばね38の付勢力によりプレート34がワッシャ32に対して相対的に下降するに従い、角部32hと傾斜した先端面34g1の摺動によりワッシャ32がシャフト軸部24bに対して図10の右方向にスライドしていき、プレート34がプレート収容空間32fに誘い込まれ、最終的に図10に示す状態に至り、組付けが完了する。組付けが終了した状態では、角部32hと傾斜した先端面34g1の当接は外れ、代わりに先端面34g1の上側角部34g2が、ワッシャ32の壁部32eの直立した内壁面32gに当接する。なお、図10のようにプレート34がプレート収容空間32fに完全に収容された状態で組付けが完了するのでなく、プレート34の寸法aを若干長く設定して、角部32hが、傾斜した先端面34g1の途中位置に当接した状態(プレート34がプレート収容空間32fに不完全に収容された半嵌合の状態)で組付けが完了するようにしてもよい。これにより、実施の形態1で説明したのと同様に、公差、経年変化による寸法変化等を吸収できる構造となる。
【0042】
《実施の形態3》
この発明の実施の形態3を図11に示す。これは、実施の形態1に対してプレート34のプレート側突起34gの先端面34g1の形状を変更したものである。それ以外は実施の形態1と同じである。図11は、図1Bと同じ位置の断面を示す。実施の形態3では、ワッシャ32の壁部32eは図5Cに示す、実施の形態1の壁部32eと同じ断面形状を有する。すなわち、壁部32eの内壁面32gは、平面部32dの外周縁部から斜め上方に立ち上がる傾斜面32g1と、傾斜面32g1の上部から傾斜を徐々に緩やかにして形成された丸み面32g2と、丸み面32g2の外周側に連続して平面部32dと平行にワッシャ32の最外周位置まで形成された平坦面32g3を有する。一方、プレート34のプレート側突起34gの先端面34g1は斜め下向きに傾斜して形成されている。両傾斜面32g1,34g1の傾斜角度は等しく設定されている。シャフト軸部24bに対するワッシャ32およびプレート34の組付けは、実施の形態1について説明した図8A図8D(第1~4工程)と同様に行うことができる。このとき、図8Dに対応する第4工程では、圧縮コイルばね38の圧縮を解除すると、傾斜面32g1,34g1どうしが当接し、圧縮コイルばね38の付勢力により傾斜面32g1,34g1どうしが摺動して、プレート34がワッシャ32に対して相対的に下降する。プレート34が下降するに従い、ワッシャ32がシャフト軸部24bに対して図11の右方向にスライドして、プレート34がプレート収容空間32fに誘い込まれ、最終的に図11に示す状態に至り、組付けが完了する。なお、図11のようにプレート34がプレート収容空間32fに完全に収容された状態で組付けが完了するのでなく、プレート34の寸法aを若干長く設定して、傾斜面34g1が傾斜面32g1を完全に下り切る途中(プレート34がプレート収容空間32fに不完全に収容された状態)で組付けが完了するようにしてもよい。これにより、実施の形態1で説明したのと同様に、公差、経年変化による寸法変化等を吸収できる構造となる。
【0043】
なお、実施の形態1~3ではプレート側突起34gの先端面34g1、ワッシャ32の壁部32eの内壁面32gのいずれか一方を傾斜面とし、他方を平面部32dに対し直立した面とし、または先端面34g1、内壁面32g(32g1)の両方を傾斜面としたが、先端面34g1、内壁面32gの両方を直立した面とすることもできる。特に寸法の関係が前記「(b+c)>a>b」である場合には、先端面34g1、内壁面32gの両方が直立した面であっても、先端面34g1、内壁面32gの間に僅かなギャップを形成できるので、プレート34をプレート収容空間32fに容易に誘い込んで収容することができる。
【0044】
《実施の形態4~6》
この発明の実施の形態4~6を図12図14にそれぞれ示す。これら実施の形態4~6は実施の形態1に対してプレート側突起の配置位置をそれぞれ変更したものである。図12図14はいずれもシャフト軸部にワッシャおよびプレートを組み付けてシャフト軸部の軸方向から見た平面図である。実施の形態1の各部と対応する箇所には共通の符号を用いる。実施の形態4~6を説明する。
(実施の形態4:図12
プレート側突起34gを軸30の周り方向に広幅に形成したものである。プレート側突起34gの先端面34g1は周方向の全幅でワッシャ32の壁部32eの内壁面32gに当接する。
(実施の形態5:図13
プレート側突起34gを軸30の周り方向の2箇所に形成したものである。各プレート側突起34gの先端面34g1はワッシャ32の壁部32eの内壁面32gにそれぞれ当接する。
(実施の形態6:図14
プレート側突起34gを軸30の周り方向にプレート34の全幅にわたり形成したものである。プレート側突起34gの先端面34g1は周方向の全幅でワッシャ32の壁部32eの内壁面32gに当接する。
【0045】
実施の形態4~6において、挟み部40は、ワッシャ32の、壁部32eの内壁面32gにおける、プレート側突起34gと当接する箇所が該当する。挟まれ部42は、プレート34の、プレート側突起34gからプレート34の内周面の直線部34f3に至る領域、すなわち、ワッシャ32の挟み部40とシャフト軸部24bの右側の二面幅面24c2で挟まれた、プレート34の領域が該当する。
【0046】
《実施の形態7~10》
この発明の実施の形態7~10を図15図18にそれぞれ示す。これら実施の形態7~10は、それぞれ実施の形態1,4~6に対して突起の位置をプレート34側からワッシャ32側に変更したものである。図15図18はいずれもシャフト軸部24bにワッシャ32およびプレート34を組み付けてシャフト軸部24bの軸30に沿った方向から見た平面図である。実施の形態1の各部と対応する箇所には共通の符号を用いる。実施の形態7~10を説明する。
(実施の形態7:図15
図15に示す実施の形態7は、実施の形態1(図1A)のプレート側突起34gを、配置位置はそのままでワッシャ32側に設けたものである。すなわち、ワッシャ32の壁部32eの内壁面32gには、ワッシャ32の径方向内向きにワッシャ側突起32iが突出形成されている。ワッシャ32はワッシャ側突起32iの先端面でプレート34の外周面34hに当接する。ワッシャ側突起32iは偏倚機構の一部を構成する。
(実施の形態8:図16
図16に示す実施の形態8は、実施の形態4(図12)のプレート側突起34gを、配置位置はそのままでワッシャ32側に設けたものである。すなわち、ワッシャ32の壁部32eの内壁面32gには、ワッシャ32の径方向内向きに、周方向に広幅のワッシャ側突起32iが突出形成されている。ワッシャ32はワッシャ側突起32iの先端面の周方向全長でプレート34の外周面34hに当接する。
(実施の形態9:図17
図17に示す実施の形態9は、実施の形態5(図13)の2個のプレート側突起34gを、配置位置はそのままでワッシャ32側に設けたものである。すなわち、ワッシャ32の壁部32eの内壁面32gには、軸30の周り方向の2箇所で、ワッシャ32の径方向内向きに、ワッシャ側突起32iが突出形成されている。ワッシャ32は2個のワッシャ側突起32iの先端面でプレート34の外周面34hにそれぞれ当接する。
(実施の形態10:図18
図18に示す実施の形態10は、実施の形態6(図14)のプレート34の全幅のプレート側突起34gを、配置位置はそのままでワッシャ32側に設けたものである。すなわち、ワッシャ32の壁部32eの内壁面32gには、プレート34の弧状部34cの外周面に対面する全幅で、ワッシャ32の径方向内向きに、ワッシャ側突起32iが突出形成されている。ワッシャ32はワッシャ側突起32iの先端面の周方向全長でプレート34の弧状部34cの外周面34hに当接する。
【0047】
実施の形態7~10において、挟み部40は、ワッシャ32の、ワッシャ側突起32iの先端面が該当する。挟まれ部42は、プレート34の、ワッシャ側突起32iとの当接からプレート34の内周面の直線部34f3に至る領域、すなわち、ワッシャ32の挟み部40とシャフト軸部24bの右側の二面幅面24c2で挟まれた、プレート34の領域が該当する。
【0048】
なお、実施の形態4~10では、ワッシャ側突起32iの先端面および該先端面と当接するプレート34の外周面の縦断面形状は、
・いずれか一方を傾斜面とし、他方を非傾斜面(直立面)とする、
・両方とも傾斜面とする、
・両方とも直立面にする、
のいずれにも設定できる。
【0049】
《実施の形態11》
この発明の実施の形態11を図19A図19Bに示す。これは、ワッシャ32とプレート34の対向面どうしに凹凸の嵌合構造44を構成したものである。凹凸の嵌合構造44を有することおよび図1A図1Bのプレート側突起34gを有しないこと以外は実施の形態1と同じである。凹凸の嵌合構造44は、ここではワッシャ32の上面に形成した凹部44aと、プレート34の下面に形成した凸部44bとを、ワッシャ32の半径方向に若干ずらして配置することにより、ワッシャ32の半径方向に半嵌合状態に嵌合させて構成されている。凹凸の嵌合構造44は、ワッシャ32の下面で圧縮コイルばね38(図示せず)と干渉しない位置に配置する。圧縮コイルばね38の付勢力でワッシャ32をプレート34に対し軸30に沿った方向に押圧することにより、凹部44aの外周側の壁面と凸部44bの外周側の壁面との間に軸30に直交する方向の力が発生する。その結果、プレート34の内周面の直線部34f3がシャフト軸部24bの右側の二面幅面24c2を押圧し、ワッシャ32の左側の二面幅面32b1がシャフト軸部24bの左側の二面幅面24c1を押圧し、プレート34とワッシャ32でシャフト軸部24bの二面幅部24cを左右から挟み付けた状態となる。これにより、左側の二面幅面24c1,32b1間のギャップgがゼロとなり、回転部28の回転に伴うシャフト軸部24bに対するワッシャ32の回転は生じなくなり、回転部28の回転当初の打音は生じなくなる。挟み部40はワッシャ32の凹部44aの外周側の壁面が該当する。挟まれ部42はプレート34の、凸部44bの外周側の壁面と直線部34f3との間の領域が該当する。なお、実施の形態11では、凹凸の嵌合構造44を構成する凹部44a、凸部44bを、図19Bで見て下向きの凹部、凸部としてそれぞれ形成したが、これに代えてまたはこれと共に、凹部44a、凸部44bを図19Bで見て上向きの凹部、凸部としてそれぞれ形成することもできる。また、実施の形態11では、凹凸の嵌合構造44を、図19Aで見てプレート34の弧状部34cに相当する位置に配置したが、これに代えてまたはこれと共に、凹凸の嵌合構造44を、図19Aで見てプレート34の2本の平行部34a,34aに相当する位置に、そのままの姿勢で(すなわち、図19Aの凹凸の嵌合構造44をシャフトの中心軸30の周り方向に回転させずに平行移動した姿勢で)それぞれ配置することもできる。
【0050】
《実施の形態12》
この発明の実施の形態12を図20A図20Bに示す。これは、プレート34の内周位置から下方に向けて差込部46をプレート34と一体に突出形成したものである。差込部46は下方に向かって板厚が薄くなるくさび状に形成されている。差込部46を有することおよび図1A図1Bのプレート側突起34gを有しないこと以外は実施の形態1と同じである。差込部46は、右側の二面幅面24c2,32b2間のギャップgに差し込まれる。圧縮コイルばね38(図示せず)の付勢力でワッシャ32をプレート34に対し軸30に沿った方向に押圧することにより、差込部46の外周側の面とワッシャ32の右側の二面幅面32b2との間に軸30に直交する方向の力が発生する。その結果、ワッシャ32の左側の二面幅面32b1がシャフト軸部24bの左側の二面幅面24c1を押圧し、プレート34とワッシャ32でシャフト軸部24bの二面幅部24cを左右から挟み付けた状態となる。これにより、左側の二面幅面24c1,32b1間のギャップgがゼロとなり、回転部28の回転に伴うシャフト軸部24bに対するワッシャ32の回転は生じなくなり、回転部28の回転当初の打音は生じなくなる。挟み部40はワッシャ32の右側の二面幅面32b2が該当する。挟まれ部42は差込部46が該当する。
【0051】
《実施の形態13》
この発明の実施の形態13を図21A図21Bに示す。これは、ワッシャ32がその一部として補助具48を具え、補助具48の傾斜面48aで挟み部40を構成したものである。ここでは、実施の形態2(図10)で説明した、壁部32eが平面部32dの外周部全周から上方に直角に立ち上がる構造のワッシャ32を使用している。プレート34がプレート側突起を有しないこと、ワッシャ32が補助具48を具えることおよびワッシャ32の壁部32eが平面部32dから直角に立ち上がっていること以外は実施の形態1と同じである。補助具48は亜鉛、アルミ等のダイカスト、または硬質樹脂(強化樹脂等)等で構成される。補助具48は平面形状が図21Aに示すように弓状である。補助具48はプレート収容空間32fに収容され、図21Bに示すようにワッシャ32の平面部32dと壁部32eのコーナー部32jに配置される。補助具48は前面に傾斜面48aを有する。圧縮コイルばね38(図示せず)の付勢力でワッシャ32をプレート34に対し軸30に沿った方向に押圧することにより、プレート34の外周面と補助具48の傾斜面48aどうしが押圧当接する。その結果、プレート34の内周面の直線部34f3がシャフト軸部24bの右側の二面幅面24c2を押圧し、ワッシャ32の左側の二面幅面32b1がシャフト軸部24bの左側の二面幅面24c1を押圧し、プレート34とワッシャ32でシャフト軸部24bの二面幅部24cを左右から挟み付けた状態となる。これにより、左側の二面幅面24c1,32b1間のギャップgがゼロとなり、回転部28の回転に伴うシャフト軸部24bに対するワッシャ32の回転は生じなくなり、回転部28の回転当初の打音は生じなくなる。挟み部40はワッシャ32の補助具48の傾斜面48aが該当する。挟まれ部42はプレート34の、補助具48との当接面と直線部34f3との間の領域が該当する。
【0052】
《実施の形態14》
この発明の実施の形態14を図22A図22Bに示す。これは、ワッシャ32とプレート34の対向面間に追加プレート50を挟み込み、追加プレート50に挟まれ部42を形成したものである。追加プレート50を設けたこと、プレート34がプレート側突起を有しないこと、追加プレート50を積層することに合わせてワッシャ32の壁部32eの高さ(プレート収容空間32fの高さ)を高くしたこと以外は実施の形態1と同じである。追加プレート50はワッシャ32およびプレート34と同じ鉄合金等の金属を成形して(プレス加工など)、全体が均一の厚さの平板状に作られている。追加プレート50は、図22Aに示すように、平面形状が概ねリング状である。すなわち、追加プレート50は外形がプレート収容空間32fに収容される大きさの円形に形成されている。追加プレート50の中心部にはシャフト軸部24bを挿通する中心穴50aが形成されている。追加プレート50の外周面には、追加プレート50の径方向外向きに追加プレート側突起50bが突出形成されている。追加プレート側突起50bは偏倚機構の一部を構成する。実施の形態14では、図22Bに示すように、追加プレート側突起50bの先端面50b1はプレート34の面に対し直角な面に形成されている。追加プレート50の中心穴50aの内周面のうち追加プレート50の面を径方向に挟んで追加プレート側突起50bと反対側の位置には直線部50a1が形成されている。図22Bに示すように、追加プレート側突起50bの先端面50b1と直線部50a1との間の幅「a」は、その位置におけるワッシャ32の平面部32dの幅「b」に対し「a>b」に設定されている。ワッシャ32の壁部32eの内壁面32gには傾斜面32g1が形成されている。追加プレート側突起50bは圧縮コイルばね38(図示せず)の付勢力によりプレート34とワッシャ32の間に厚み方向に挟み付けられる。追加プレート50は、追加プレート側突起50bが存在する周方向位置で、ワッシャ32の壁部32eの内壁面32gとシャフト軸部24bの右側の二面幅面24c2の間に半径方向に挟み付けられる。追加プレート側突起50bの先端面50b1はワッシャ32の傾斜面32g1に押圧当接する。その結果、追加プレート50の内周面の直線部50a1がシャフト軸部24bの右側の二面幅面24c2を押圧し、ワッシャ32の左側の二面幅面32b1がシャフト軸部24bの左側の二面幅面24c1を押圧し、追加プレート50とワッシャ32でシャフト軸部24bの二面幅部24cを左右から挟み付けた状態となる。これにより、左側の二面幅面24c1,32b1間のギャップgがゼロとなり、回転部28の回転に伴うシャフト軸部24bに対するワッシャ32の回転は生じなくなり、回転部28の回転当初の打音は生じなくなる。挟み部40はワッシャ32の壁部32eの内壁面32gの、追加プレート側突起50bの先端面50b1が当接する傾斜面32g1が該当する。挟まれ部42は追加プレート側突起50bの先端面50b1と直線部50a1との間の領域が該当する。なお、追加プレート50をシャフト軸部24bに対し左右反転させて組み付けても(すなわち、図22A図22Bにおいて、追加プレート側突起50bがシャフト軸部24bの左側に配置されるように組み付けても)、上記と同じ作用効果が得られる。
【0053】
《実施の形態15》
この発明の実施の形態15を図23に示す。これは、実施の形態1において、シャフト軸部24bおよびワッシャ32の二面幅部24c,32b(図1)に代えて、Dカット部24h,32mを配置したものである。実施の形態1の各部と対応する箇所には共通の符号を用いる。図23において、シャフト軸部24bの外周面には、Dカット部24h(シャフト軸部24aの異径部)を構成する平面が、シャフト24の軸30に沿った方向(シャフト軸部24bの抜き勾配に伴って幾分傾斜している)に延在して形成されている。一方、ワッシャ32の中心穴32aの内周面にはDカット部32m(ワッシャ32の中心穴32aの異径部)が形成されている。プレート34の弧状部34cの内周面34fはその周方向の全長にわたり円弧状に形成されている。すなわち、プレート34の弧状部34cの内周面34fは図1の直線部34f3を有しない。図23は、圧縮コイルばね38(図1)の付勢力により、プレート側突起34gの先端面34g1がワッシャ32の壁部32eの傾斜面32g1の高さ方向の途中位置または下端部に押圧当接して係止された状態に保持されている実使用時の状態を示している。このとき、シャフト軸部24bの左側でDカット部24h,32mどうしが周方向の全長で密接に押圧当接する。図23に示されているようにDカット部24h,32mどうしの当接面の平面形状は直線である。また、シャフト軸部24bの右側でシャフト軸部24bの外周面の円形部24gとプレート34の弧状部34cの円弧状の内周面34fが押圧当接する。すなわち、シャフト軸部24bの左側の、ワッシャ32のDカット部32mと、シャフト軸部24bの右側の、プレート34の円弧状の内周面34fとでシャフト軸部24bを左右から圧縮コイルばね38の付勢力で挟み付けた状態となる。これにより、Dカット部24h,32m間のギャップgをゼロに維持することができる。したがって、回転部28の回転に伴うシャフト軸部24bに対するワッシャ32の回転は生じなくなり、回転部28の回転当初の打音は生じなくなる。挟み部40は、ワッシャ32の、壁部32eの内壁面32gにおける、プレート側突起34gと当接する箇所が該当する。挟まれ部42は、プレート34の、プレート側突起34gから、弧状部34cの円弧状の内周面34fとシャフト軸部24bの外周面の円形部24gとが当接する箇所に至る領域が該当する。なお、図23のDカット部24h,32mを有する構成によれば、図1の二面幅部24c,32bを有する構成に比べて、ワッシャ32の中心穴32aの、図23の紙面における左右方向の幅が拡がる。このため、図23の構成によれば、ワッシャ32が圧縮コイルばね38で付勢されていない状態では、ワッシャ32はシャフト軸部24bに対し空回りする可能性がある。ただし、このような場合でも、ワッシャ32が圧縮コイルばね38で付勢された図23に示す状態では、Dカット部24h,32mどうしが押圧当接するので、ワッシャ32はシャフト軸部24bに対し空回りせず、回転部28の回転に伴うシャフト軸部24bに対するワッシャ32の回転は生じず、回転部28の回転当初の打音は生じない。したがって、ワッシャ32が圧縮コイルばね38で付勢されていない状態でワッシャ32がシャフト軸部24bに対し空回りするような構成においてもこの発明は成立する。すなわち、圧縮コイルばね38による付勢がない状態でもワッシャ32が軸30の周り方向に空回りするのを係止する二面幅部等の回転係止機構を有しない構成においてもこの発明は成立する。
【0054】
《実施の形態16》
この発明の実施の形態16を図24に示す。これは、実施の形態15において、Dカット部24h,32mどうしの当接面に凹凸による嵌合部を設けたものである。図24において、図23の実施の形態15の各部と対応する箇所には共通の符号を用いる。図24において、シャフト軸部24bのDカット部24hの幅方向(図24の紙面の上下方向)の中央部には、凸部24iが、シャフト24の軸30に沿った方向(シャフト軸部24bの抜き勾配に伴って幾分傾斜している)に延在して形成されている。一方、ワッシャ32のDカット部32mの幅方向(図24の紙面の上下方向)の中央部には凹部32nが形成されている。凸部24iと凹部32nは軸30の回り方向に相互に緩く嵌合し、ワッシャ32はシャフト軸部24bに対し軸30に沿った方向に自由に移動することができる。図24の構成によれば、ワッシャ32が圧縮コイルばね38で付勢されていない状態においても、凸部24iと凹部32nは軸30の回り方向に相互に緩く嵌合するので、シャフト軸部24bに対してワッシャ32は空回りしない。ワッシャ32が圧縮コイルばね38で付勢されると、凸部24iと凹部32nが相互に嵌合した状態でDカット部24h,32mどうしが押圧当接する。したがって、回転部28の回転に伴うシャフト軸部24bに対するワッシャ32の回転は生じなくなり、回転部28の回転当初の打音は生じない。
【0055】
《実施の形態17》
この発明の実施の形態17を図25に示す。これは、実施の形態15のDカット部24h,32mに代えて、鋸歯状または波状の凹凸による嵌合部を設けたものである。図25において、図23の実施の形態15の各部と対応する箇所には共通の符号を用いる。図25において、シャフト軸部24bの左側の外周面には軸30に直交する断面形状が図25に示されているように鋸歯状または波状で、軸30に沿った方向(シャフト軸部24bの抜き勾配に伴って幾分傾斜している)に延在する鋸歯状または波状の面24j(シャフト軸部24aの異径部)が形成されている。一方、ワッシャ32の中心穴32aの左側の内周面には鋸歯状または波状の面32p(ワッシャ32の中心穴32aの異径部)が形成されている。鋸歯状または波状の面24j,32pどうしは軸30の回り方向に相互に緩く嵌合し、ワッシャ32はシャフト軸部24bに対し軸30に沿った方向に自由に移動することができる。図25の構成によれば、ワッシャ32が圧縮コイルばね38で付勢されていない状態においても、鋸歯状または波状の面24j,32pどうしは軸30の回り方向に相互に緩く嵌合するので、シャフト軸部24bに対してワッシャ32は空回りしない。ワッシャ32が圧縮コイルばね38で付勢されると、鋸歯状または波状の面24j,32pが相互に嵌合した状態で押圧当接する。したがって、回転部28の回転に伴うシャフト軸部24bに対するワッシャ32の回転は生じなくなり、回転部28の回転当初の打音は生じない。
【0056】
前記各実施の形態において、ワッシャ32およびプレート34のいずれか一方または両方は、シャフト軸部24bに対し左右反転させて(例えば、図1A図1Bにおいて、プレート側突起34gがシャフト軸部24bの左側に配置されるように)組み付けることもできる。また、前記各実施の形態では、偏倚機構を構成する突起として、プレート側突起34g(または追加プレート側突起50b)とワッシャ側突起32iのいずれか一方のみを設けた場合について説明したが、プレート側突起34g(または追加プレート側突起50b)とワッシャ側突起32iを併設することもできる。
【0057】
なお、前述したとおり、この発明は、圧縮コイルばねによる付勢がない状態でワッシャがシャフトの軸回り方向に空回りするのを係止する回転係止機構を有する構成、有しない構成のいずれにも適用することができる。
【0058】
前記実施の形態では視認部本体としてミラー板を有する車両用視認装置に適用した場合について説明したが、この発明はカメラその他の視認部本体を有する車両用視認装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
20…ドアミラー、22…ベース、24…シャフト、24a…シャフト基部、24b…シャフト軸部、24c…二面幅部(異径部)、24c1,24c2…二面幅面(二面幅部の面)、24d…溝、24d1…溝の底部、24e…シャフト基部の上面、24f…段部、24g…円形部、24h…Dカット部(シャフト軸部の異径部)、24i…凸部、24j…鋸歯状または波状の面(シャフト軸部の異径部)、25…貫通孔、26…固定部、28…回転部、30…シャフトの軸(シャフトの中心軸、回転部の回転軸)、32…ワッシャ、32a…中心穴、32b…二面幅部(異径部)、32b1,32b2…二面幅面(二面幅部の面)、32c…ワッシャの中心軸(ワッシャ中心穴の中心軸)、32d…平面部、32e…壁部、32f…プレート収容空間、32g…内壁面、32g1…傾斜面、32g2…丸み面、32g3…平坦面、32h…壁部の上端面内周側角部、32i…ワッシャ側突起(偏倚機構)、32j…コーナー部、32k…芯ずれ防止用突起、32m…Dカット部(ワッシャの中心穴の異径部)、32n…凹部、32p…鋸歯状または波状の面(ワッシャの中心穴の異径部)、34…プレート、34a…平行部、34b…開口部、34c…弧状部、34d…対向辺部、34e…進入口、34f…弧状部の内周面、34f1,34f2…円弧部、34f3…直線部、34g…プレート側突起(偏倚機構)、34g1…プレート側突起の先端面、34g2…傾斜した先端面の上側角部、34h…弧状部の外周面、36…フレーム、36a…内筒、36b…外筒、36c…底板、36d…円筒状空間、36e…円柱状空間、38…圧縮コイルばね、40…挟み部、42…挟まれ部、44…凹凸の嵌合構造、44a…凹部、44b…凸部、46…差込部、48…補助具、48a…補助具の傾斜面、50…追加プレート、50a…中心穴、50a1…直線部、50b…追加プレート側突起、50b1…追加プレート側突起の先端面、P…シャフトの外周面の二面幅部と円形部の境界位置、g…ギャップ
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25