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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】廃水処理システムおよび廃水処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/06 20230101AFI20240522BHJP
   C02F 3/20 20230101ALI20240522BHJP
【FI】
C02F3/06
C02F3/20 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020161962
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054766
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】奥野 健太
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-087139(JP,A)
【文献】特開2000-189742(JP,A)
【文献】特開2007-319843(JP,A)
【文献】特開2019-136690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00- 3/34
C02F 1/44
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物の働きを利用して廃水を浄化する廃水処理システムであって、
前記廃水に浸漬して用いられる気体供給体であって、防水透気膜を含み、前記防水透気膜で区画された内部空間に供給された気体が前記防水透気膜の外側の廃水中の前記微生物に供給される、複数の気体供給体と、
前記複数の気体供給体の内部空間の流体を排出する送液部と、
を備え、
前記送液部は、
前記複数の気体供給体の内部空間にそれぞれ接続される複数の送液管と、
前記複数の送液管に接続されるマニホールドと、
前記マニホールドに接続される吸引ポンプと
を有し、
前記吸引ポンプで前記気体供給体の内部空間の流体を外部に排出する際に、気体の流動圧力損失により生じる負圧を利用して前記内部空間の液体を外部に排出する、
廃水処理システム。
【請求項2】
前記送液管の内部の断面積が10mm以下である、
請求項1に記載の廃水処理システム。
【請求項3】
前記送液管が、気体の流動圧力損失を発生させる圧力損失発生部を備える、
請求項1または2に記載の廃水処理システム。
【請求項4】
前記圧力損失発生部が、前記送液管内のオリフィス部位であるか、前記送液管内の狭窄部位であるか、前記送液管の湾曲部位であるか、もしくは、前記送液管内の連通多孔質部材が配置された部位である、
請求項に記載の廃水処理システム。
【請求項5】
前記気体供給体の内部空間に気体を供給する送気部をさらに備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の廃水処理システム。
【請求項6】
前記送気部は、前記気体供給体の内部空間に接続される送気管を含み、
前記送気管は、前記送液管とは別に設けられている、
請求項5に記載の廃水処理システム。
【請求項7】
前記送気部は、前記気体供給体の内部空間に接続される送気管を含み、
前記送気管は、前記送液管と共通している、
請求項5に記載の廃水処理システム。
【請求項8】
廃水処理装置を用いて、微生物の働きを利用して廃水を浄化する廃水処理方法であって、
前記廃水処理装置は、
前記廃水に浸漬して用いられる気体供給体であって、防水透気膜を含み、前記防水透気膜で区画された内部空間に供給された気体が前記防水透気膜の外側の廃水中の前記微生物に供給される、複数の気体供給体と、
前記複数の気体供給体の内部空間の流体を排出する送液部と、
を備え、
前記送液部は、
前記複数の気体供給体の内部空間にそれぞれ接続される複数の送液管と、
前記複数の送液管に接続されるマニホールドと、
前記マニホールドに接続される吸引ポンプと
を有し、
前記吸引ポンプで前記気体供給体の内部空間の流体を外部に排出する際に、気体の流動圧力損失により生じる負圧を利用して前記内部空間の液体を外部に排出する、
廃水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
好気性微生物の働きを活用して水中の有機物を分解して廃水を浄化する廃水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
好気性微生物廃水処理装置は、有機性廃水の処理方法として広く利用されている。一方、散気管を用いた曝気は酸素溶解効率が低く、散気管にかかる水圧以上の圧力での曝気を必要とする為、ブロアの電力費がかかる。
【0003】
気体を透過し液体を透過しない気体供給体に微生物を付着させて廃水処理を行う、廃水処理装置が検討されている。この装置では送気にかかる圧力を抑えることが出来る為、電力費削減が可能である。当該気体供給体の例が特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3743771号公報
【文献】特許第4680504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
気体供給体を使用した好気性微生物廃水処理装置においては、気体供給体を介した水蒸気の浸透や送気された空気中の水蒸気の凝縮により、気体供給体内部に凝縮水が生成する。これによって、送気ガス流路の一部が閉塞し送気効率が低下する。
【0006】
このような凝縮水対策として、気体供給体内部の凝縮水を排出する、送液部を設けることが考えられる。
【0007】
しかし、複数の気体供給体を備えた廃水処理装置において、1つのポンプで水を汲みだそうとすると、水が汲出し終わった気体供給体から気体を吸うことになり、モジュール全体の凝縮水を汲出すのは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1観点の廃水処理システムは、微生物の働きを利用して廃水を浄化する廃水処理システムであって、
前記廃水に浸漬して用いられる気体供給体であって、防水透気膜を含み、前記防水透気膜で区画された内部空間に供給された気体が前記防水透気膜の外側の廃水中の前記微生物に供給される、複数の気体供給体と、
前記複数の気体供給体の内部空間の流体を排出する送液部と、
を備え、
前記送液部は、
前記複数の気体供給体の内部空間にそれぞれ接続される複数の送液管と、
前記複数の送液管に接続されるマニホールドと、
前記マニホールドに接続される吸引ポンプと
を有し、
前記吸引ポンプで前記気体供給体の内部空間の流体を外部に排出する際に、気体の流動圧力損失により生じる負圧を利用して前記内部空間の液体を外部に排出する。
第2観点の廃水処理システムは、第1観点のシステムであって、前記送液管の内部の断面積が10mm以下である。
第3観点の廃水処理システムは、第1観点または第2観点のシステムであって、前記送液管が、気体の流動圧力損失を発生させる圧力損失発生部を備える。
第4観点の廃水処理システムは、第1観点~第3観点のいずれかのシステムであって、前記圧力損失発生部が、前記送液管内のオリフィス部位であるか、前記送液管内の狭窄部位であるか、前記送液管の湾曲部位であるか、もしくは、前記送液管内の連通多孔質部材が配置された部位である。
第5観点の廃水処理システムは、第1観点~第4観点のいずれかのシステムであって、前記気体供給体の内部空間に気体を供給する送気部をさらに備える。
第6観点の廃水処理システムは、第5観点のシステムであって、前記送気部は、前記気体供給体の内部空間に接続される送気管を含み、
前記送気管は、前記送液管とは別に設けられている。
第7観点の廃水処理システムは、第5観点のシステムであって、前記送気部は、前記気体供給体の内部空間に接続される送気管を含み、
前記送気管は、前記送液管と共通している。
第8観点の廃水処理方法は、廃水処理装置を用いて、微生物の働きを利用して廃水を浄化する廃水処理方法であって、
前記廃水処理装置は、
前記廃水に浸漬して用いられる気体供給体であって、防水透気膜を含み、前記防水透気膜で区画された内部空間に供給された気体が前記防水透気膜の外側の廃水中の前記微生物に供給される、複数の気体供給体と、
前記複数の気体供給体の内部空間の流体を排出する送液部と、
を備え、
前記送液部は、
前記複数の気体供給体の内部空間にそれぞれ接続される複数の送液管と、
前記複数の送液管に接続されるマニホールドと、
前記マニホールドに接続される吸引ポンプと
を有し、
前記吸引ポンプで前記気体供給体の内部空間の流体を外部に排出する際に、気体の流動圧力損失により生じる負圧を利用して前記内部空間の液体を外部に排出する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の廃水処理システムによれば、吸引ポンプで複数の気体供給体の内部空間の流体を外部に排出する際に、気体の流動圧力損失により生じる負圧を利用して前記内部空間の液体を外部に排出するので、1部の気体供給体の水がくみ出し終わった後も、マニホールド内の負圧が保たれ、全ての気体供給体の水を汲みだすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の廃水処理システム50の鉛直断面図である。
図2】第1実施形態の廃水処理システム50の図1とは90°異なる方向の鉛直断面図である。
図3】第1実施形態の気体供給体10の鉛直断面図である。
図4】第1実施形態の気体供給体10を構成する気体送出層12の斜視図である。
図5】第1実施形態の気体供給体10を用いて微生物が廃水W中の有機物を分解する様子を模式的に示す図である。
図6A】第1実施形態の気体供給体10a、10bの内部空間に水が溜まり、それを排出している状態を示す図である。
図6B】第1実施形態の気体供給体10a、10bの図6Aの後の状態を示す図である。
図7A】第1実施形態の送液管41内のオリフィス部位47aを示す図である。
図7B】第1実施形態の送液管41内の複数孔のオリフィス部位47bを示す図である。
図7C】第1実施形態の送液管41内の狭窄部位47cを示す図である。
図7D】第1実施形態の送液管41内の湾曲部位47dを示す図である。
図7E】第1実施形態の送液管41内の連通多孔質部材47eが配置された部位を示す図である。
図8】第2実施形態の廃水処理システム50aの鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
(廃水処理装置100)
本実施形態の廃水処理装置100は、廃水に含まれる好気性微生物の働きを利用して、廃水中の少なくとも1つの有機物または窒素源を分解して廃水の浄化処理を行う。図1に示すように、廃水処理装置100は、廃水処理槽51と、廃水処理システム50とを備えている。
【0012】
(廃水処理槽51)
図1または図2に示すように、廃水処理槽51は、廃水Wが貯留される有底の容器であって、流入口51aと流出口51bが設けられている。例えば、互いに対向する側面に流入口51aと流出口51bとが設けられていてもよい。
【0013】
本実施形態では、流入口51aと流出口51bとが常時開放されている。廃水Wは、流入口51aから、流入口51aに対向する位置に配置された流出口51bに向かって、連続的、もしくは、断続的に供給される(図2の一点鎖線矢印は、廃水Wの流れを示している)。
【0014】
廃水処理槽51の容積については、特に限定されないが、例えば、1m以上10,000m以下の容積であればよい。
【0015】
(廃水処理システム50)
廃水処理システム50は、供給体ユニット52と、送気部30と、送液部40とを備えている。
【0016】
(供給体ユニット52)
図1に示すように、供給体ユニット52は、気体供給体10がユニット化されたものであり、廃水処理槽51の内部に配置される。図1では、供給体ユニット52は、平行に配列された複数の気体供給体10によって構成されている。供給体ユニット52は、使用時において、各気体供給体10の上端部分を除いた部分が廃水W中に浸漬されるように配置される。
【0017】
(気体供給体10)
各気体供給体10とは、廃水処理槽51の廃水W中に浸漬された状態で、開口21bから供給された気体を、廃水W中に供給する構造体である。気体供給体10は、図3に示すように、気体送出層12と、防水透気膜21とを含む。気体供給体10の内部空間には、送気部30の送気管31の一部が開口21bを経由して挿入されている。送気部30より、気体(空気、酸素)が気体供給体10の内部空間に供給される。また、気体供給体10の内部空間には、送液部40の送液管41の一部が配置されている。気体送出層の中で生じた凝縮水は、気体供給体10の内部空間より、送液部40を介して外部に排出される。本実施形態においては、開口21bは、送気管31、送液管41の他にも空気、気体が気体供給体10の内部空間に出入りできる。開口21bは、送気管31、送液管41の他には空気、気体が出入りできないように封止されていてもよい。
【0018】
図2に示すように、各気体供給体10は、平板状の部材であって、上下方向(深さ方向)と横方向(水平方向)とに沿って面が展開されるように配置されている。これにより、廃水Wとの接触面積が効率的に確保される。また、流入口51aと流出口51bとを結ぶ直線に対して、各気体供給体10の側面が平行になるように各気体供給体10が配置されることで、流入口51aから廃水処理槽51内に供給される廃水Wは、流出口51bに向けて円滑に流れる。なお、供給体ユニット52を構成する気体供給体10の数は、必ずしも複数である必要はなく、単数であってもよい。また、気体供給体はスパイラル形状や中空糸形状でもよい。スパイラル形状の場合は平板状のように内部に気体供給体が配置され、気体供給体に送気部、送液部が挿入されている。中空糸形状の場合は、中空糸自体の強度で内部空間を保持することができる場合、気体供給体がなくてもよい。送気部、送液部は複数の中空糸を束ねるヘッダ内部に送気部、送液部が挿入される。
【0019】
気体供給体10の間隔を、「気体供給体10の厚みを含まない、隣り合う2つの気体供給体10の外面の間隔」と定義すると、気体供給体10の間隔は、5mm以上200mm以下であることが好ましい。気体供給体10の間隔が5mm未満である場合には、防水透気膜21上に増殖する微生物によって目詰まりを起こす虞がある。気体供給体10の間隔が200mmを超える場合には、廃水との接触効率が悪くなり、廃水処理性能が向上しにくくなる可能性がある。なお上記問題を確実に回避するために、気体供給体10の間隔を15mm以上50mm以下とすることがより好ましい。
【0020】
図3は、気体供給体10の鉛直断面図である。図3に示すように、気体供給体10は、気体送出層12と、防水透気膜21とを備えており、防水透気膜21によって構成される袋の中に気体送出層12が配置される。前記袋は、2枚の防水透気膜21,21を重ね合わせて、これら防水透気膜21,21の3方の端部を接着したものであり、上端部(気体送出層12における気体供給側の端部)に開口21b(図3参照)を有している。そして開口21bから気体送出層12が袋の内部に挿入されることで、気体送出層12の外周は防水透気膜21によって覆われている。なお開口21bの位置あるいは形状は限定されず、例えば各端部(袋の上辺、底辺、横辺(縦のライン)も含む)の一部が開口とされてもよい。
【0021】
(送気部30)
送気部30は、気体供給体10の内部空間に気体を供給する。送気部30は、ブロア36、マニホールド35、送気管31を含む。送気管31は、ブロア36より送り込まれた空気(酸素)を気体供給体10の内部に送り込む配管である。マニホールド35は、一方をブロア36に接続され、一方を複数の送気管31に接続されている。
【0022】
気体供給体10を介して廃水W中に供給される気体としては、廃水W中の好気性微生物の活性化を促すために、酸素を含む気体である。具体的には、空気であってもよいし、純酸素であってもよい。図示の例では、ブロア36からの気体が開口21bに供給されるようになっている。なお製造コストを安価に抑える観点から、ブロア36を使用せずに、開口21bから大気中の空気をそのまま気体供給体10に取り入れてもよい。
【0023】
(防水透気膜21)
防水透気膜21は、最外側層が液体(廃水)に接触するように液体中(廃水中)に浸漬された状態で、内側(気体送出層12側)に供給される酸素を外側へ透過させることで、酸素を液体中(廃水中)に供給する。当該防水透気膜21は、気体供給体10が廃水処理槽51内に浸漬された状態において、内側(気体送出層12)から外側(廃水W)へ空気を透過させ、かつ外側(廃水W)から内側(気体送出層12)へ廃水を透過させない特性を有する。これにより、廃水W中の好気性微生物は、図5に示すように、継続的に空気(酸素)が供給される防水透気膜21の表面21aに集まってくる。よって、防水透気膜21の表面21aに微生物が付着して、バイオフィルム214が形成される。そして、廃水Wに含まれるか、もしくは表面21aに保持されている微生物の働きによって、水中に溶解、もしくは分散している微小個体状の有機物、もしくは窒素化合物が分解されて、廃水が浄化される。
【0024】
具体的には図3に示すように、防水透気膜21は、基材211と、気体透過性無孔層212と、微生物支持層213とを含む。図示の例では、防水透気膜21は、基材211、気体透過性無孔層212、微生物支持層213の順に積層されている。微生物支持層213は、廃水Wに接触する最外側層である。なお図示の例とは異なり、防水透気膜21は、気体透過性無孔層212、基材211、微生物支持層213の順に積層されたものであってもよい。
【0025】
(基材211)
基材211は、熱可塑性樹脂から形成される微多孔膜である。前記微多孔膜とは、微細な貫通孔を多数設けた膜である。基材211の素材として、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリフッ化ビニリデンを含めたフッ素樹脂、ポリブタジエン、ポリ(ジメチルシロキサン)を含めたシリコーンベースのポリマー、およびこれらの材料のコポリマーから選ばれるポリマー材料を含む等を含んでもよい。
【0026】
微多孔膜である基材211の製造方法は、特に限定されないが、例えば、相分離法、延伸開孔法、溶解再結晶法、粉末焼結法、発泡法、溶剤抽出のいずれかによって、基材211を製造できる。また基材211は、自己組織化ハニカム微多孔膜であってもよい。
【0027】
基材211の厚みは、10μm~500μmであることが好ましく、50μm~200μmであることがより好ましい。基材211の厚さは、JIS1913:2010一般不織布試験方法6.1厚さの測定方法で測定される値である。
【0028】
基材211の細孔径は、気体透過性無孔層の欠陥を防止する観点から、0.01μm~50μmであることが好ましく、高い強度と気体透過性を保持する観点から、0.1μm~30μmであることがより好ましい。前記細孔径は、表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、その観察像から以下に示す方法により求めた細孔径である。観察倍率は、観察する対象物の細孔径が適切に算出できる倍率であれば、任意の倍率で観察することができる。
(細孔径を求める方法)
SEM観察で得られた像について、2値化処理を行い、画像解析的に、細孔径を算出する。算出の際には、細孔径は楕円近似を行い、楕円の長軸の長さを細孔径として、その平均値を評価する。
【0029】
或いは、基材211の細孔径は、毛管凝縮法による細孔径分布測定(パームポロシメトリ)から求められる平均細孔径であると定義される。パームポロシメトリでは、試料にかける気体の測定圧力を徐々に増加させていく際に測定される気体の透過流量から、大気圧と測定圧力との差圧と、気体透過流量との関係を求める、細孔径を求めるには、試料を表面張力が既知の湿潤液に浸漬した後の湿潤サンプルにて測定されるウェットカーブと、乾燥した資料で測定されるドライカーブを求める。それぞれ、所定の圧力範囲で徐々に圧力を増加させていくことにより、試料内の貫通細孔径に関する情報を得ることができる。平均細孔径はウェットカーブと、ドライカーブの1/2の傾きの曲線(ハーフドライカーブ)が交わる点Xを求め、これを方程式、d=2860×γ/DPに代入して求める。前記方程式において、dは平均細孔径(mm)、γは湿潤液の表面張力(dynes/cm)、DPは点Xにおける大気圧と気体圧力との差圧(Pa)である。測定は、Porous Materials社製、パームポロメーター(CFP-1500-AEC)を用いることができる。試験条件としては例えば、試験温度は室温(20℃±5℃)、湿潤液はGalwick(表面張力15.7dynes/cm)、加圧気体は圧縮空気、用いる試料の直径は33mm、供給圧力最大値は250psi、差圧の上昇速度は4psi/分で測定することができる。湿潤サンプル作成の際には、サンプルが浸漬されている湿潤液をデシケータに入れ、脱気することでサンプルを十分に湿潤させることができる。
【0030】
(気体透過性無孔層212)
気体透過性無孔層212とは、前記基材の孔より径の小さい細孔径の孔を有するか、もしくは、孔の径を検出できず、かつ、気体を透過可能な層である。気体透過性無孔層212の細孔径は、基材211の細孔径と同様の方法で測定できる。
【0031】
気体透過性無孔層212を透過する前記気体としては、酸素、二酸化炭素、窒素、水素、メタノール、エタノール等のアルコール類や有機溶剤、もしくはそれらの混合ガスが挙げられる。微生物を効果的に育成、活動させる観点から、前記気体は、酸素か、酸素を含む混合ガスであることが好ましい。気体透過性はJIS K 7126に定めた方法で測定できる。
【0032】
気体透過性無孔層212は、熱可塑性樹脂でもよく、熱硬化性樹脂でもよい。当該熱硬化性樹脂は、熱硬化する樹脂であってもよく、紫外線の照射で硬化する樹脂であってもよい。また、有機過酸化物架橋、付加反応架橋、縮合架橋により硬化する樹脂であってもよい。
【0033】
気体透過性無孔層212の素材としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂および、これらの材料のコポリマーから選ばれる熱硬化性ポリマーを含んでもよい。また、(Si-O-Si)n(n=整数)のシロキサン骨格を有するポリ(ジメチルシロキサン)などのシリコーンベースのシリコーン樹脂を用いることができる。これらの中でも、特に、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
上記のポリウレタン樹脂としては、「アサフレックス825」(旭化成社製)、「ペレセン 2363-80A」、「ペレセン2363-80AE」、「ペレセン2363-90A」、「ペレセン2363-90AE」、(以上、ダウ・ケミカル社製)、「ハイムレンY-237NS」(大日精化工業社製)を用いることができる。
【0035】
シリコーン系樹脂やシリコーンポリマー、またはそれらを得るためのシリコーン系樹脂組成物の配合、組成は特に限定されない。シリコーン系樹脂組成物に用いられるモノマーは1官能基、2官能基、3官能基、4官能基のいずれでもよく、単独で用いても、2種類以上を用いてもよい。モノマーとしてハロゲン化アルキルシラン、不飽和基含有シラン、アミノシラン、メルカプトシラン、エポキシシラン等を用いてもよい。用いられるモノマーとしては、例えば次の化学式で表されるモノマーが挙げられる。HSiCl、SiCl、MeSiHCl、MeSiCl、MeSiCl、MeSiCl、MeHSiCl、PhSiCl、PhSiCl、MePhSiCl、PhMeSiCl、CH=CHSiCl、Me(CH=CH)SiCl、Me(CH=CH)SiCl、(CFCHCH)MeSiCl2、(CFCHCH)SiCl、CH1837SiCl(化学式中で「=」は二重結合を、「Me」はメチル基を、「Ph」はフェニル基を表す)。前記モノマーは単独で用いても、2種類以上を用いてもよい。他の有機基としては、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基等を用いてもよい。これらの中でも、メチル基、フェニル基またはこれら両者の組み合わせが好ましい。メチル基、フェニル基またはこれら両者の組み合わせである成分は、合成が容易であり、化学的安定性が良好であるからである。また、特に耐溶剤性が良好なポリオルガノシロキサンを用いようとする場合には、更にメチル基、フェニル基またはこれら両者の組み合わせと3,3,3-トリフルオロプロピル基との組み合わせであることが好ましい。また、前記シリコーン系樹脂組成物には、オルガノアルコキシシランが含まれていてもよい。オルガノアルコキシシランとしては、例えば次の化学式で表される化合物が挙げられ、単独で用いても2種類以上を用いてもよい。MeSiOCH、MeSi(OCH、MeSi(OCH、Si(OCH、Me(C)Si(OCH、CSi(OCH、C1021Si(OCH、PhSi(OCH、PhSi(OCH、MeSiOC、MeSi(OC、Si(OC、CSi(OC、PhSi(OC、PhSi(OC
【0036】
さらに、前記シリコーン系樹脂組成物には、オルガノシラノールが含まれていてもよい。オルガノシラノールとしては、例えば次の化学式で表される化合物が挙げられ、単独で用いても2種類以上を用いてもよい。MeSiOH、MeSi(OH)、MePhSi(OH)、(CSiOH、PhSi(OH)、PhSiOH。
【0037】
シリコーン系樹脂に用いられるシリコーンポリマーを得るための反応方法としては例えば、クロロシランの加水分解、環状ジメチルシロキサンオリゴマーの開環重合等の過程を経てもよい。用いるポリマーとしては例えば、ジメチル系ポリマー、メチルビニル系ポリマー、メチルフェニルビニル系ポリマー、メチルフロロアルキル系ポリマー当が挙げられる。
【0038】
シリコーンポリマーを硬化させる方法、すなわち反応(加硫)させてシリコーン系樹脂を得る方法は特に限定されない。加熱加硫、室温加硫でもよい。反応前の状態として、ミラブル型シリコーン系樹脂組成物、液状ゴム型シリコーン系樹脂組成物のどちらを用いてもよい。ミラブル型シリコーン系樹脂組成物に使用されるポリマーは重合度が4000~10000程度のポリマーが好適に使用される。また、1液型でも2液型でもよい。反応方法としては例えば、シラノール基(Si-OH)間の脱水縮合反応、シラノール基と加水分解性基間の縮合反応、メチルシリル基(Si-CH)、ビニルシリル基(Si-CH=CH)の有機過酸化物による反応、ビニルシリル基とヒドロシリル基(Si-H)との付加反応、紫外線による反応、電子線による反応等を用いてもよい。
【0039】
(微生物支持層213)
微生物支持層213は、その表面もしくは内部に微生物を保持する層であり、内部に微生物が生育可能な空間を有し、水中の有機物が通過可能である。微生物支持層213の素材としては、例えば、メッシュ、織布、不織布、発泡体、又は微多孔膜等の多孔性シートが挙げられる。多孔性シートの素材は、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メチルセルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、パラ系およびメタ系アラミド、ポリアリレート、炭素繊維、ガラス繊維、アルミニウム繊維、スチール繊維、セラミック等が挙げられる。微生物付着性と加工性を考慮すると、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、炭素繊維が好ましい。
【0040】
微生物支持層213の目付量は2g/m2以上、500g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以上200g/m2以下であることがより好ましい。微生物支持層213の目付量はJIS1913:2010一般不織布試験方法6.2単位面積当たりの質量で測定される値である。微生物支持層213の目付量が2g/m以上であることにより、表面に凹凸が生じるため微生物支持層213に微生物が保持しやすくなるという効果を得ることができる。また、微生物支持層213の目付量が500g/m以下であることにより、微生物支持層213の内部に微生物が育成可能な空間が生じるため微生物が保持しやすくなり、前記空間により酸素を微生物に供給しやすくなるという効果を得ることができる。
【0041】
微生物支持層213の厚みは、5μm以上、2000μm以下であることが好ましく、20μm以上500μm以下であることがより好ましい。微生物支持層213の厚さはJIS1913:2010一般不織布試験方法6.1厚さの測定方法で測定される値である。
なお、基材211の表面処理によって微生物支持層213が形成されてもよい。このようにすれば、上記の表面処理で基材211表面の粗さと膜電位を上げられるので、微生物付着性が向上する。例えば上記の表面処理として、グリシジルメタクリレートをグラフト重合し、さらに、ジエチルアミン、もしくは、亜硫酸ナトリウムを反応させることが行われ得る。或いは上記の表面処理として、グリシジルメタクリレートをグラフト重合した後に、アンモニア、もしくは、エチルアミンを反応させることが行われてもよい。
【0042】
(気体送出層12)
図4は、気体送出層12を示す斜視図である。気体送出層12は、中空板状部材であり、紙、樹脂、金属のいずれかから形成される。気体送出層12とは、第1端側から供給された気体を第1方向に沿って送出する気体流路Sを有する構造体である。送気部30(送気管31、図1参照)からの気体は、送気部31aを経由して気体送出層12の下端部に供給される。気体送出層12は、供給された気体を第1方向(図4中の一点鎖線参照)に送出する気体流路Sを有しており、側面の気体通過孔13から気体を放出する。
【0043】
より具体的には図4に示すように、気体送出層12は、複数の芯材12aと、表ライナ12bと、裏ライナ12cと、を有している。気体送出層12の表裏面は、板状の部材である表ライナ12bや裏ライナ12cによって構成される。
【0044】
複数の芯材12aは、それぞれ第1方向に延びるものであって、第1方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配列される。これら複数の芯材12aが表ライナ12bと裏ライナ12cとの間に挟み込まれることで、表ライナ12bと裏ライナ12cとの間の空間に、芯材12aによって区画された複数の気体流路Sが形成される。
【0045】
また各芯材12aは、表ライナ12bおよび裏ライナ12c側から押圧された際に、表ライナ12bと裏ライナ12cとの間の空間が縮小しないように支持する支持部として機能する。図1または図2に示すように気体供給体10が廃水W中に浸漬された状態では、芯材12aは、気体流路Sの断面積が水圧によって縮小しないように、表ライナ12bと裏ライナ12cとの間の空間を保持する。これにより、気体送出層12(気体流路S)における気体送出量を十分に確保できる。
【0046】
表ライナ12bおよび裏ライナ12cには、それぞれ複数の気体通過孔13が形成されている。気体通過孔13は、表ライナ12bおよび裏ライナ12cに形成された貫通孔であり、当該気体通過孔13が気体流路Sと防水透気膜21とを連通させることで、気体流路Sを流れる気体は、防水透気膜21を介して液体中に供給される。
【0047】
なお例えば、気体通過孔13は、気体送出層12の成形時に形成される。或いは気体送出層12の成形後に表ライナ12bや裏ライナ12cの加工が行われることで、気体通過孔13が形成されてもよい。表ライナや裏ライナには多孔性シートが用いられてもよい。また、十分な気体供給性能が得られれば、気体送出層に多孔性シートを用いてもよい。
【0048】
気体送出層12を構成する各部材の素材としては、紙、セラミック、アルミニウム、鉄、プラスチック(ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メチルセルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂及びポリビニルブチラール樹脂)等が挙げられる。
【0049】
なお強度面が優れることから、気体送出層12の素材は、紙、アルミニウム、鉄、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩ビ樹脂、ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0050】
また材料コストを安価に抑える観点では、気体送出層12の素材として、例えば、紙、ポリオレフィン、ポリスチレン、塩ビ、ポリエステル等の樹脂、アルミニウム等の金属等を使用することが好ましい。また、気体流路Sが第1方向(図4中の一点鎖線参照)に延びるように形成された段ボールを気体送出層12として使用することでも、気体送出層12の材料コストを安価に抑えることができる。
【0051】
当該気体送出層12の気体透過孔を形成する孔形状は、円形状、多角形状(ハニカム構造を含む)など様々な形状の孔形状とすることができる。孔形状は特に限定は無いが、多角形状が好ましく、具体的には長方形もしくは正方形が好ましい。
【0052】
(送液部40)
送液部40は、水などの液体、および/または、空気などの気体である流体を、気体供給体10の内部空間から外部へ排出する機能を有する。送液部40は、送液管41と、マニホールド45と、吸引ポンプ46とを有する。複数の送液管41は、複数の気体供給体の内部空間にそれぞれ接続されている。マニホールド45は、1本の管から複数本の管が分岐する構造を持った管である。マニホールド45には、複数の送液管41と吸引ポンプ46とが接続されている。吸引ポンプ46は、マニホールド45に接続されている。吸引ポンプ46は、液体、気体のいずれか、もしくは気液混合流体を吸引することが可能である。
【0053】
送液管41の断面形状は特に限定されず、例えば、円形、四角形等の任意の多角形、D形状断面のように円の一部と多角形の一部を組み合わせたものであってもよい。内径の断面積は0.1mm以上100mm以下が好ましく、吸引ポンプの自由度を高める観点から、0.5mm以上、10mm以下がより好ましく、必要な圧損を少ない空気流量で生じさせ、且つ十分な排液流量を得る観点から、1mm以上4mm以下がさらに好ましい。
【0054】
(圧力損失の発生、圧力損失発生部47)
送液管41は、圧力損失を発生させる機能を有している。送液管41全体が狭い流路を有することで圧力損失を発生させてもよいし、送液管41の中に一部特に高い圧力損失が発生する部位として、圧力損失発生部47を有していてもよい。
【0055】
圧力損失発生部47は、気体の流動により、流動圧力損失が発生する部位である。圧力損失発生部47は、種々の形態であり得る。圧力損失発生部47は、送液管内のオリフィス部位47a、47b(図7A、7B)であっても、送液管41内の狭窄部位47c(図7C)であっても、送液管41の湾曲部位47d(図7D)であっても、もしくは、送液管41内の連通多孔質部材47e(図7E)が配置された部位であってもよい。オリフィス部位47a、47bとは、送液管内部に穴を開けた薄い壁を有する形状である。穴を開けた板が送液管41内部に設置されていてもよい。オリフィス部位の穴の数は1つ(図7A)であっても、多数(図7B)であってもよい。
【0056】
(送液部の動作)
本実施形態の廃水処理システム50においては、気体供給体10の内部空間に凝縮水が生成し、これを取り除かないと、送気ガス流路の一部が閉塞し送気効率が低下するおそれがある。
【0057】
図6A図6Bは、本開示の廃水処理システム50の一部を開示している。すなわち、気体供給体10a、10bと、送液部40が開示されている。図6Aは、気体供給体10a、10bの内部空間に液体(水)が溜まっている状態を示している。気体供給体10a、10bの内部空間に溜まっている水の量は、図6Aに示すように異なっている。本実施形態の廃水処理システム50は、このような場合に、送液部40により、気体供給体10a、10bの内部空間の排水を行う。つまり、吸引ポンプ46作動により、マニホールド45内が負圧となり、気体供給体10a、10bから排液される。
【0058】
このように、送液部40により廃液を継続すると、図6Bに示すように、当初蓄積されていた水量が少なかった気体供給体10bは、液(水)が全て排出される。このような状態では、気体供給体10aからは内部空間の気体が排出され、その気体の流れ(液体の排出より高速)により、流動圧力損失が発生する。その圧力損失により、マニホールド45内の負圧が維持され、液が残っている気体供給体10bからの液の排出が継続される。なお、予め設計段階において、液の水頭圧差以上の負圧が発生するように、吸引ポンプ46の能力の調整、および送液部40の構造の調整(発生する圧力損失の調整)が行われている。
【0059】
なお、本実施形態において、送気管31により気体供給体10の内部空間に供給される気体の量は、送液管41により排気される気体の量よりも多いことが好ましい。その場合、吸引ポンプ46が作動しているときであっても、気体供給体10の内部空間の圧力は、大気圧程度である。また、廃水処理システム50は、気体供給体10の内部空間の圧力が大気圧から大きく変動しないようにする機構を有している。本実施形態においては、廃水処理システム50は、送液管41の他にも気体供給体10の内部空間を排気する機構(開口21bからの排気を含む)を有していることが好ましい。
【0060】
気体供給体10が3本以上の場合も同様にして、当初蓄積されていた水量が少なかった気体供給体10から順次、液の排出が行われて、全体の水の排出が完了する。
本実施形態の廃水処理システム50は、圧力損失発生部47があるからこそ、マニホールド45内の圧力が低下する。圧力損失発生部47がなかった場合、図6Bの状態において、排液が終了した気体供給体10bから優先的に空気が吸われ、マニホールド45内の負圧が保たれなくなり、液が残っている気体供給体10aからは排液ができなくなる。本開示は、圧力損失を生じさせることで、気体供給体10bの排液が終了しても、引き続き他の気体供給体10aの排液が可能となる。
【0061】
<第2実施形態>
本実施形態の廃水処理システム50aは、図8に示すように、送気部30aと送液部40aが供用されている。その他は、第1実施形態の廃水処理システム50と同様である。すなわち、気体供給体の内部空間に空気(酸素)を供給する場合には、ブロア36を用いて、空気を供給する。逆に、気体供給体10の内部空間の流体を排出する時は、吸引ポンプ46を稼働させて、流体の排出を行う。つまり、それぞれは、間欠的に行われる。また、この場合も第1実施形態と同様に、廃水処理システム50aは、気体供給体10の内部空間の圧力が大気圧から大きく変動しないようにする機構を有していることが好ましい。
【0062】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0063】
10 気体供給体
12 気体送気層
21 防水透気膜
30、30a 送気部
31 送気管
35 (送気部の)マニホールド
36 送気ポンプ
40、40a 送液部
41 送液管
45 (送液部の)マニホールド
46 吸引ポンプ
50、50a 廃水処理システム
51 廃水処理槽
52 供給体ユニット
100、100a 廃水処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8