(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】蓋外れ防止体及び箱装置
(51)【国際特許分類】
E03B 9/10 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
E03B9/10 C
(21)【出願番号】P 2020165935
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000201582
【氏名又は名称】前澤化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】根本 隆之
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-151101(JP,A)
【文献】特開平09-236470(JP,A)
【文献】実公平05-038145(JP,Y2)
【文献】特開2015-158095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/00
29/045-37/00
E03B 9/00
9/10
B65D 35/44-35/54
39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の開口部を開閉する蓋体に取り付けられ、冠水時に前記蓋体が前記箱体から外れるのを防止する蓋外れ防止体であって、
前記蓋体の凹状部に取り付けられる蓋外れ防止部材と、
前記蓋外れ防止部材に対して着脱可能な突起とを備え、
前記箱体の凸状部が欠落していない場合には、前記突起が取り付けられていない前記蓋外れ防止部材が第1の状態で前記蓋体の凹状部に取り付けられ、当該第1の状態での冠水時に前記蓋外れ防止部材が前記箱体の凸状部と係合し、
前記箱体の凸状部が欠落した場合には、前記突起が取り付けられた前記蓋外れ防止部材が第2の状態で前記蓋体の凹状部に取り付けられ、当該第2の状態での冠水時に前記突起が前記箱体の欠落部分と係合する
ことを特徴とする蓋外れ防止体。
【請求項2】
箱体の開口部を開閉する蓋体に取り付けられ、冠水時に前記蓋体が前記箱体から外れるのを防止する蓋外れ防止体であって、
前記蓋体の凹状部に取り付けられる蓋外れ防止部材と、
前記蓋外れ防止部材に設けられた突起とを備え、
前記箱体の凸状部が欠落していない場合には、前記蓋外れ防止部材が第1の状態で前記蓋体の凹状部に取り付けられ、当該第1の状態での冠水時に前記蓋外れ防止部材が前記箱体の凸状部と係合し、
前記箱体の凸状部が欠落した場合には、前記蓋外れ防止部材が第2の状態で前記蓋体の凹状部に取り付けられ、当該第2の状態での冠水時に前記突起が前記箱体の欠落部分と係合する
ことを特徴とする蓋外れ防止体。
【請求項3】
蓋外れ防止部材は、
冠水時に箱体の凸状部と係合する係合部と、
前記係合部を変形させるための変形用開口部とを有する
ことを特徴とする請求項1
又は2記載の蓋外れ防止体。
【請求項4】
突起は、蓋外れ防止部材から突出する突起部を有し、
前記突起部には、切断用溝が形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の蓋外れ防止体。
【請求項5】
蓋外れ防止部材は、位置調整用突部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の蓋外れ防止体。
【請求項6】
開口部を有する箱体と、
前記開口部を開閉する蓋体と、
冠水時に前記蓋体が前記箱体から外れるのを防止する請求項1ないし5のいずれか一記載の蓋外れ防止体と
を具備することを特徴とする箱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冠水時に蓋体が箱体から外れるのを防止する蓋外れ防止体及びこれを具備する箱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された箱装置が知られている。この従来の箱装置は、上面に開口部を有する箱体と、この箱体の開口部を開閉する蓋体とを備えている。また、蓋体は凹状部を有し、箱体はその蓋体の凹状部と係合する凸状部を有しており、例えばゲリラ豪雨等で冠水した際における蓋体の抜けを防止する対策が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の箱装置では、冠水した際の対策は採られているが、それでも場合によっては冠水時に蓋体が箱体から外れるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、冠水時に蓋体が箱体から外れるのを適切に防止できる蓋外れ防止体及びこれを具備する箱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の蓋外れ防止体は、冠水時に蓋体が箱体から外れるのを防止する蓋外れ防止体であって、前記箱体及び前記蓋体のうちいずれか一方に取り付けられる蓋外れ防止部材を備えるものである。
【0007】
請求項2記載の蓋外れ防止体は、請求項1記載の蓋外れ防止体において、蓋外れ防止部材は、蓋体に取り付けられるものである。
【0008】
請求項3記載の蓋外れ防止体は、箱体の開口部を開閉する蓋体に取り付けられ、冠水時に前記蓋体が前記箱体から外れるのを防止する蓋外れ防止体であって、前記蓋体の凹状部に取り付けられる蓋外れ防止部材と、前記蓋外れ防止部材に対して着脱可能な突起とを備え、前記箱体の凸状部が欠落していない場合には、前記突起が取り付けられていない前記蓋外れ防止部材が第1の状態で前記蓋体の凹状部に取り付けられ、当該第1の状態での冠水時に前記蓋外れ防止部材が前記箱体の凸状部と係合し、前記箱体の凸状部が欠落した場合には、前記突起が取り付けられた前記蓋外れ防止部材が第2の状態で前記蓋体の凹状部に取り付けられ、当該第2の状態での冠水時に前記突起が前記箱体の欠落部分と係合するものである。
【0009】
請求項4記載の蓋外れ防止体は、箱体の開口部を開閉する蓋体に取り付けられ、冠水時に前記蓋体が前記箱体から外れるのを防止する蓋外れ防止体であって、前記蓋体の凹状部に取り付けられる蓋外れ防止部材と、前記蓋外れ防止部材に設けられた突起とを備え、前記箱体の凸状部が欠落していない場合には、前記蓋外れ防止部材が第1の状態で前記蓋体の凹状部に取り付けられ、当該第1の状態での冠水時に前記蓋外れ防止部材が前記箱体の凸状部と係合し、前記箱体の凸状部が欠落した場合には、前記蓋外れ防止部材が第2の状態で前記蓋体の凹状部に取り付けられ、当該第2の状態での冠水時に前記突起が前記箱体の欠落部分と係合するものである。
【0010】
請求項5記載の蓋外れ防止体は、請求項1ないし4のいずれか一記載の蓋外れ防止体において、蓋外れ防止部材は、冠水時に箱体の凸状部と係合する係合部と、前記係合部を変形させるための変形用開口部とを有するものである。
【0011】
請求項6記載の箱装置は、開口部を有する箱体と、前記開口部を開閉する蓋体と、冠水時に前記蓋体が前記箱体から外れるのを防止する請求項1ないし5のいずれか一記載の蓋外れ防止体とを具備するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、冠水時に蓋体が箱体から外れるのを適切に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る蓋外れ防止体を具備する箱装置の分解斜視図である。
【
図3】同上蓋外れ防止体が蓋体の凹状部に取り付けられた状態を示す部分斜視図である。
【
図4】同上蓋外れ防止体を示す図で、(a)は正面側斜視図、(b)は背面側斜視図である。
【
図5】同上蓋外れ防止体を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は一方の側面図、(d)は他方の側面図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係る蓋外れ防止体を示す図で、(a)は正面側斜視図、(b)は背面側斜視図、(c)は側面図、(d)は断面図である。
【
図8】同上蓋外れ防止体を具備した箱装置の作用説明図である。
【
図9】同上蓋外れ防止体の突出量を調整した際の作用説明図である。
【
図10】本発明の第3の実施の形態に係る蓋外れ防止体を示す図で、(a)は背面側斜視図、(b)は断面図である。
【
図11】同上蓋外れ防止体を具備した箱装置の作用説明図である。
【
図12】本発明の第4の実施の形態に係る蓋外れ防止体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態について
図1ないし
図6を参照して説明する。
【0015】
図中の1は箱装置である量水器ボックス(メータボックス)で、この量水器ボックス1は、宅地の地中に埋設されて使用されるものである。
【0016】
量水器ボックス1は、
図1及び
図2等に示すように、宅地の地中に埋設され、開口部である上面開口部4を有し、図示しない被収納物(例えば量水器及び止水栓)を内部に収納する有底の四角筒状の箱体2と、この箱体2に着脱可能に取り付けられ、先端側である前端側が昇降するように基端側である後端側を中心として上下回動することにより箱体2の上面開口部4を開閉する矩形板状の蓋体3とを備えている。
【0017】
なお、箱体2が宅地の地中に埋設された状態において、箱体2の矩形環状の上板部10及び閉状態の蓋体3は、宅地の地表面と同一面上に位置する。
【0018】
また、量水器ボックス1は、蓋体3の左右の後端側に着脱可能に取り付けられ、量水器ボックス1が冠水した冠水時に蓋体3が箱体2から外れるのを防止する複数、すなわち例えば2つの蓋外れ防止体5を備えている。
【0019】
そして、蓋外れ防止体5は、例えば蓋体3の凹状部23に着脱可能に取り付けられる蓋外れ防止部材(蓋外れ防止用のキャップ)7のみで構成されている。つまり、
図1に図示した例(第1の実施の形態)では、左右の各蓋外れ防止体5は、いずれも同じキャップ形状の蓋外れ防止部材(キャップ部材)7のみからなるものである。
【0020】
なお、量水器ボックス1の組み立ての際には、蓋外れ防止部材7を蓋体3の凹状部23に取り付けた後、蓋体3を箱体2に取り付ける。この蓋体3の取り付けの際には、箱体2に対して蓋体3を押し込むことで、箱体2の凸状部16を一旦弾性変形させる。
【0021】
箱体2は、例えば合成樹脂製のもので、前後左右の4つの側板部11を有している。左右の各側板部11の下部には、図示しない配管である水道管が挿通される挿通孔12が形成されている。なお、当該水道管のうち箱体2内に位置する部分には、被収納物としての量水器及び止水栓が接続される。
【0022】
箱体2は、上面開口部4の閉鎖時に閉状態の蓋体3を受け止める蓋受部13を有している。この蓋受部13は、4つの各側板部11の内面上部に突設されている。各蓋受部13には、砂落とし用の傾斜面14が複数形成されている。
【0023】
箱体2は、蓋外れ防止体5との係合(蓋外れ防止部材7の係合部41との係合)により蓋体3が箱体2から外れるのを防止する内方突出状の弾性変形可能な凸状部16を有している。この凸状部16は、左右の各側板部11における後端側の上部に設けられている。
【0024】
具体的には、左右の各凸状部16は、例えば上板部10の所定部分から下方に向かって延出する基端側部分17と、この基端側部分17よりも内方に突出して位置する凸状の先端側部分18と、これら先端側部分18と基端側部分17とを繋ぐ弾性変形可能な中間部分19とを有している(
図6参照)。
【0025】
箱体2は、この箱体2に対する蓋体3の回動の際に蓋体3の被案内部24を案内する案内部20を有し、この案内部20は凸状部16の近傍に設けられている。
【0026】
蓋体3は、例えば合成樹脂製のもので、後端側を中心とする上方回動により開状態となって箱体2の上面開口部4を開口させ、かつ、後端側を中心とする下方回動により閉状態となって箱体2の上面開口部4を閉鎖する。
【0027】
蓋体3は、矩形板状の蓋本体部21を有し、この蓋本体部21の前端部における左右方向中央部には、蓋体3を箱体2に対して回動させる際に作業者(例えば検針等を行う作業者)が手の指を引っ掛ける切欠状の指掛部22が設けられている。
【0028】
蓋本体部21の後端部における左右方向両端部には、外側方に向かって開口する側方開口状の凹状部23が設けられている。そして、左右の各凹状部23には、蓋外れ防止部材7が所定の状態で嵌脱可能に嵌入されて取り付けられる(
図3参照)。なお、蓋本体部21の後端面には湾曲面状の被案内部24が設けられている。
【0029】
蓋本体部21の下面(裏面)には、格子状のリブ部26が突設されている。そして、このリブ部26によって下方開口状の空間部27が多数区画形成されており、この各空間部27には冠水時に空気が溜まる。
【0030】
蓋外れ防止部材7は、例えば弾性変形可能な弾性素材製のもので、
図3ないし
図5にも示すように、蓋体3の凹状部23に対応した所定のキャップ形状に一体に形成されている。
【0031】
蓋外れ防止部材7は、平面状の上板31と下方に向かって凸の湾曲面状の湾曲板32とで構成された筒状部33を有し、この筒状部33の一方の面(正面)は開口部39によって開口しているが、他方の面(背面)は板状部34よって閉鎖されている。
【0032】
そして、板状部34の中央部には、円形状の孔部35が形成されている。板状部34の外周部は、蓋体3の凹状部23に対する蓋外れ防止部材7の嵌入が容易となるように湾曲面状に形成されている。なお、孔部35の位置は、板状部34の中央部には限定されず、例えば板状部34の中央部よりも下方にずれた位置でもよい。
【0033】
また、蓋外れ防止部材7の筒状部33は、量水器ボックス1の冠水時に箱体2の凸状部16と係合する弾性変形可能な湾曲板状の蓋外れ防止用の係合部(底部)41と、この係合部41を板状部34側である背面側に弾性変形させるための長孔状の変形用開口部(スリット部)42とを有している。
【0034】
弾性変形可能な蓋外れ防止部である係合部41は、筒状部33の正面側下部に位置しており、正面側に向かって膨出状に形成されている。また、変形用開口部42は、一定幅の長孔43と、この長孔43の長手方向両端に連設された略楕円状の拡幅孔44とで構成されている。
【0035】
さらに、この筒状部33の外周面には、蓋外れ防止部材7を蓋体3の凹状部23に嵌入する際に当該凹状部23の内面に沿って摺動(スライド)する複数本、すなわち例えば7本の長手状の案内突部46が一体に突設されている。各案内突部46は、蓋外れ防止部材7の嵌入方向(挿入方向)に沿った長手状のもので、例えば断面半円状に形成されている。
【0036】
これら7本の案内突部46のうち、2本が上板31に設けられ、残りの5本が湾曲板32に設けられている。当該湾曲板32に設けられた5本の案内突部46のうちの3本は他の案内突部46に比べて長さが短く、係合部41には案内突部46が設けられていない。なお、案内突部46の本数は、図示した例には限定されず、任意である。
【0037】
次に、量水器ボックス1の作用等を説明する。
【0038】
図6に示すように、通常時には、箱体2の凸状部16は、蓋体3の凹状部23に嵌入により取り付けられた蓋外れ防止体5である蓋外れ防止部材7内に先端側部分18の一部が開口部39から挿入された状態となっている。
【0039】
このとき、箱体2の凸状部16と蓋外れ防止部材7とは接触しておらず、作業者は、支障なく蓋体3を箱体2に対してスムーズに上下回動させることができる。また、作業者は、凸状部16と係合部41とが係合しない位置まで蓋体3を上方回動させることで、蓋体3を箱体2から取り外すこともできる。
【0040】
なお、
図6から明かなように、蓋外れ防止部材7は、板状部34が蓋体3の凹状部23内の奥側に位置するように取り付けられる。そして、蓋外れ防止部材7が蓋体3の凹状部23に取り付けられた状態において、係合部41は、蓋体3の凹状部23から凸状部16側に所望量だけ突出している。
【0041】
また、例えば図示しないが、必要に応じて、蓋外れ防止部材7の板状部34と蓋体3の凹状部23の奥側の面23aとの間にスペーサを挟んで、蓋外れ防止部材7の位置、すなわち係合部41の位置(凹状部23からの係合部41の突出量)を調整してもよい(他の実施の形態でも同様)。
【0042】
そして、例えばゲリラ豪雨等の集中豪雨によって量水器ボックス1が冠水してしまった冠水時には、蓋外れ防止部材7の係合部41と箱体2の凸状部16とが弾性変形して互いに面状接触(係合)する。
【0043】
このため、蓋体3の裏面側の空間部27に溜まった空気や水圧等によって蓋体3に上向きの大きな力が作用した場合でも、蓋外れ防止部材7の係合部41と箱体2の凸状部16との係合により、蓋体3が箱体2から外れにくい。つまり、量水器ボックス1の冠水時において、箱体2の凸状部16が弾性変形したとしても、蓋外れ防止部材7の係合部41がその凸状部16との当接により同時に弾性変形して両者が密着するため、蓋体3は浮力を受けても箱体2から離脱しにくく、蓋体3の流出が防止(抑制)される。
【0044】
したがって、上述した量水器ボックス1によれば、蓋外れ防止部材7を蓋体3の凹状部23に取り付けるだけで、冠水時に蓋体3が箱体2から外れる(抜ける)のを適切に防止できる。
【0045】
また、蓋外れ防止部材7は、冠水時に箱体2の凸状部16と係合する弾性変形可能な係合部41と、この係合部41を弾性変形させるための変形用開口部42とを有するため、係合部41を適切に弾性変形させることができ、蓋体3の外れをより一層適切に防止できる。
【0046】
さらに、蓋外れ防止部材7は、この蓋外れ防止部材7を蓋体3の凹状部23に嵌入する際に当該凹状部23の内面に沿って摺動する案内突部46を有するため、蓋体3の凹状部23に対して蓋外れ防止部材7を容易に嵌入でき、蓋外れ防止部材7の取り付けが容易である。
【0047】
次に、本発明の第2の実施の形態について
図7ないし
図9を参照して説明する。
【0048】
蓋外れ防止体5は、上記第1の実施の形態のように蓋外れ防止部材7のみからなるものには限定されず、
図7に示すように、蓋外れ防止部材7と、この蓋外れ防止部材7に対して着脱可能な突起(突起部材)51とからなるものでもよい。
【0049】
突起51は、例えば弾性変形可能な弾性素材製のもので、蓋外れ防止部材7の板状部34の孔部35に着脱可能に取り付けられる取付部52と、この取付部52に連設され、蓋外れ防止部材7の板状部34から外方に突出する突起部53とを有している。
【0050】
取付部52は、例えば板状部34の孔部35の内周側に嵌合する円板状の嵌合部分56と、この嵌合部分56よりも径大な円板状で板状部34の内面に当接する当接部分57とで構成されている。
【0051】
また、突起部53は、例えば先端が丸まった円錐状のもので、この突起部53の外周面には、蓋外れ防止部材7の板状部34からの突起部53の突出量(突出寸法)を調整するための複数の切断用溝59が円環状に形成されている。つまり、複数の切断用溝59の中から選択した一の切断用溝59に沿って突起部53を切断することにより、突起部53の突出量を調整可能である。なお、例えば突出量が異なる複数種類の突起51を用意しておき、その中から適宜選択した突起51を蓋外れ防止部材7に取り付けるようにしてもよい。
【0052】
そして、
図7に示す蓋外れ防止体5を具備する量水器ボックス1では、
図8(a)に示すように、箱体2の凸状部16が欠落(破損)していない場合、換言すると凸状部16が欠落せずに残っている場合には、突起51が取り付けられていない蓋外れ防止部材7が第1の状態(板状部34が凹状部23内の奥側に位置する状態、換言すると開口部39が凸状部16側を向いた状態)で蓋体3の凹状部23に取り付けられる。
【0053】
このため、この第1の状態での冠水時には、上記
図6の場合と同様、蓋外れ防止部材7の係合部41が箱体3の凸状部16と係合し、この係合により蓋体3が箱体2から外れにくい。
【0054】
また、
図8(b)に示すように、例えば経年劣化等により箱体2の凸状部16の少なくとも一部、例えば凸状部16の略全部が欠落(破損)した場合には、突起51が取り付けられた蓋外れ防止部材7が第1の状態から180度反転させた第2の状態(開口部39が凹状部23内の奥側に位置する状態、換言すると開口部39が凸状部16側とは反対側を向いた状態)で蓋体3の凹状部23に取り付けられる。
【0055】
このため、この第2の状態での冠水時には、蓋外れ防止部材7が弾性変形するとともに突起51の突起部53が箱体2の欠落部分(例えば破断面等の破損部分)と係合し、この係合により蓋体3が箱体2から外れにくい。よって、破損した凸状部16を補修しなくてもよく、必ずしも代替箱や代替蓋等を用意する必要がない。
【0056】
さらに、
図9に示すように、箱体2の凸状部16の欠落量等の欠落具合によっては、複数の切断用溝59の中から選択した一の切断用溝59に沿って突起部53を切断して突起部53の突出量を調整する。
【0057】
したがって、この量水器ボックス1でも、冠水時に蓋体3が箱体2から外れるのを適切に防止できる等の作用効果を奏し得る。
【0058】
また、突起51は蓋外れ防止部材7から突出する突起部53を有し、この突起部53には複数の切断用溝59が形成されているため、必要に応じて突起部53の突出量を容易に調整できる。
【0059】
さらに、突起51は蓋外れ防止部材7に対して着脱可能であるため、突起51が破損した場合等には突起51のみを容易に交換できる。
【0060】
次に、本発明の第3の実施の形態について
図10及び
図11を参照して説明する。
【0061】
蓋外れ防止体5は、上記第2の実施の形態のように蓋外れ防止部材7に対して着脱可能な突起51を備えるものには限定されず、
図10に示すように、蓋外れ防止部材7に突起(突起部分)61を一体に設けたものでもよい。
【0062】
突起61は、例えば弾性変形可能な弾性素材製のもので、蓋外れ防止部材7の板状部34から外方に向かって一体に突出する突起部63を有している。なお、この蓋外れ防止部材7の板状部34には孔部35が形成されていない。
【0063】
突起部63は、例えば先端が丸まった円錐状のもので、この突起部63の外周面には、蓋外れ防止部材7の板状部34からの突起部63の突出量(突出寸法)を調整するための複数の切断用溝69が円環状に形成されている。つまり、この突起61においても、上記突起51の突起部53と同様、複数の切断用溝69の中から選択した一の切断用溝69に沿って突起部63を切断することにより、突起部63の突出量を調整可能である(
図9参照)。なお、例えば蓋外れ防止部材7とは別体の突起を蓋外れ防止部材7に固定してもよい。
【0064】
そして、
図10に示す蓋外れ防止体5を具備する量水器ボックス1では、
図11(a)に示すように、箱体2の凸状部16が欠落(破損)していない場合、換言すると凸状部16が欠落せずに残っている場合には、突起61が設けられた蓋外れ防止部材7が第1の状態(板状部34が凹状部23内の奥側に位置する状態、換言すると開口部39が凸状部16側を向いた状態)で蓋体3の凹状部23に取り付けられる。
【0065】
このため、この第1の状態での冠水時には、上記
図6の場合と同様、蓋外れ防止部材7の係合部41が箱体3の凸状部16と係合し、この係合により蓋体3が箱体2から外れにくい。
【0066】
また、
図11(b)に示すように、例えば経年劣化等により箱体2の凸状部16の少なくとも一部、例えば凸状部16の略全部が欠落(破損)した場合には、突起61が設けられた蓋外れ防止部材7が第1の状態から180度反転させた第2の状態(開口部39が凹状部23内の奥側に位置する状態、換言すると開口部39が凸状部16側とは反対側を向いた状態)で蓋体3の凹状部23に取り付けられる。
【0067】
このため、この第2の状態での冠水時には、蓋外れ防止部材7が弾性変形するとともに突起61の突起部63が箱体2の欠落部分(破損部分)と係合し、この係合により蓋体3が箱体2から外れにくい。よって、この場合も、破損等により欠落した凸状部16を補修しなくてもよく、必ずしも代替箱や代替蓋等を用意する必要がない。
【0068】
したがって、この量水器ボックス1でも、冠水時に蓋体3が箱体2から外れるのを適切に防止できる等の作用効果を奏し得る。
【0069】
また、突起61は蓋外れ防止部材7から突出する突起部63を有し、この突起部63には複数の切断用溝69が形成されているため、必要に応じて突起部63の突出量を容易に調整できる。
【0070】
また一方、蓋外れ防止部材7は、例えば
図12に示すように、複数本、すなわち例えば4本のピン状の位置調整用突部71を板状部34に一体に設けたものでもよい。この場合、
図13(a)及び(b)に示すように、必要に応じて位置調整用突部71を切断することにより、スペーサを用いることなく、蓋外れ防止部材7の係合部41の位置を調整できる。つまり、箱体3の冠水時に凸状部16と係合部41とが適切に係合するように、位置調整用突部71の切断によって蓋体3の凹状部23からの係合部41の突出量Lを容易に調整できる。
【0071】
なお、箱装置は、量水器等を収納する量水器ボックス以外に、例えばバルブを収納するバルブボックス、散水栓を収納する散水栓ボックス等でもよく、任意である。
【0072】
また、箱体は、底なし箱形状でもよく、また単数の部材からなるものでもよく、複数の部材を組み合わせるもの等でもよい。
【0073】
さらに、箱体の凸状部(軸状部)は、弾性変形可能なものが好ましいが、例えば弾性変形しない構成でもよく、また箱体が凸状部を有しない構成等でもよい。
【0074】
また、蓋外れ防止体は、蓋体に後付けすることで既設の箱装置に用いることができるが、新設の箱装置に蓋外れ防止体を用いてもよい。
【0075】
さらに、蓋外れ防止部材は、例えば冠水時に箱体と係合する突出状の蓋外れ防止用の係合部を有する構成等でもよい。
【0076】
また、蓋外れ防止部材の係合部は、弾性変形可能なものが好ましいが、例えば弾性変形しない構成でもよい。
【0077】
さらに、蓋外れ防止部材は、蓋体に取り付けられるものには限定されず、例えば箱体に取り付けられるものでもよい。
【0078】
なお、本発明のいくつかの実施形態及びその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 箱装置である量水器ボックス
2 箱体
3 蓋体
4 開口部である上面開口部
5 蓋外れ防止体
7 蓋外れ防止部材
16 凸状部
23 凹状部
41 係合部
42 変形用開口部
46 案内突部
51,61 突起
53,63 突起部
59,69 切断用溝
71 位置調整用突部